説明

アミド誘導体及びこれを含有する皮膚外用剤

【課題】角層の正常なバリア機能を維持し、また障害を受けたバリア機能を回復するのに有用な皮膚外用剤の提供。
【解決手段】一般式(1)


(式中、R1は酸素原子を構成原子として含んでいてもよい炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3は水素原子、或いは末端に水酸基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。)
で表されるアミド誘導体、その塩又はそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアミド誘導体及びこれを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
角層は、皮膚の最表面にあって、体表面全体を覆い、体外からの刺激や異物の進入を防ぎ、また体内からの水分の蒸散を防ぐ等の役割を果たしている。この角層のバリア機能が何らかの原因によって弱まると、皮膚に炎症が起きたり、肌荒れが生じやすくなったりするなどの問題が起こる。
【0003】
従来、皮脂腺から分泌される脂質が皮表で皮脂膜を形成することにより、角層のバリア機能の一部が補われると考えられており、ワセリン等を配合した皮膚外用剤が、皮膚表面に皮膜を形成させて、角層のバリア機能を補充する目的で使用されている。しかし、これらの皮膚外用剤は、あくまでも一時的に皮膚表面に皮膜を形成させバリア機能を補充しているに過ぎず、本質的に角層のバリア機能を維持・改善するものではなかった。
【0004】
皮膚の水分保持機能やバリア機能を改善する方法としては、例えばN−オレオイルフィトスフィンゴシンやセラミド誘導体等を外用投与する方法が提案されている(特許文献1、2)。
しかしながら、これらの効果は未だ十分満足すべきものではなく、さらに角層のバリア機能維持・改善効果に優れた皮膚外用剤が求められていた。
【特許文献1】特表平9−505834号公報
【特許文献2】特開2000−143598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、角層の正常なバリア機能を維持し、また障害を受けたバリア機能を回復するのに有用な皮膚外用剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題を解決すべく研究を行った結果、下記一般式(1)で表される新規アミド誘導体が、角層のバリア機能の維持・改善作用を有し、また様々な外用剤基剤へ優れた溶解性を示すことを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1は酸素原子を構成原子として含んでいてもよい炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3は水素原子、或いは末端に水酸基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。)
で表されるアミド誘導体、その塩又はそれらの溶媒和物を提供するものである。
また、本発明は、上記アミド誘導体(1)、その塩又はそれらの溶媒和物を含有する皮膚外用剤を提供するものである。
また、本発明は、上記アミド誘導体(1)、その塩又はそれらの溶媒和物を含有する皮膚バリア機能改善剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアミド誘導体は、角層のバリア機能を正常な状態に維持し、また回復させることができるため、これを皮膚に塗布すれば、肌荒れや炎症に対して優れた予防・改善効果を発揮する。また、本発明のアミド誘導体は、様々な外用剤基剤への配合することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一般式(1)中、R1で示される炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルウンデシル、2−デシルテトラデシル等のアルキル基;デセニル、ドデセニル、ウンデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘンイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル等のアルケニル基;デカジエニル、ドデカジエニル、ウンデカジエニル、トリデカジエニル、テトラデカジエニル、ペンタデカジエニル、ヘキサデカジエニル、ヘプタデカジエニル、オクタデカジエニル、ノナデカジエニル、イコサジエニル、ヘンイコサジエニル、ドコサジエニル、トリコサジエニル、テトラコサジエニル、ペンタコサジエニル、ヘキサコサジエニルのアルカジエニル基;デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、イコシニル、ヘンイコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル、ヘキサコシニル等のアルキニル基等が挙げられる。
【0012】
これらの炭化水素基には酸素原子が構成原子として含まれていてもよく、そのような基としては、例えば、R−O−CH2−基が挙げられる。ここで、Rは上記R1の構成基を示す。具体的には、ノニルオキシメチル、デシルオキシメチル、ウンデシルオキシメチル、ドデシルオキシメチル、トリデシルオキシメチル、テトラデシルオキシメチル、ペンタデシルオキシメチル、ヘキサデシルオキシメチル、ヘプタデシルオキシメチル、オクタデシルオキシメチル、ノナデシルオキシメチル、イコシルオキシメチル、2−ヘキシルデシルオキシメチル、2−オクチルウンデシルオキシメチル、2−デシルテトラデシルオキシメチル等のアルコキシアルキル基が好ましいものとして挙げられる。
1としては、皮膚のバリア機能の向上及び外用剤基剤への溶解性の点から、炭素数10〜20のR−O−CH2−基が好ましく、テトラデシルオキシメチル基がより好ましい。
【0013】
また、R2で示される炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルウンデシル、2−デシルテトラデシル等のアルキル基;ノネニル、デセニル、ドデセニル、ウンデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘンイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル等のアルケニル基;ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、ウンデカジエニル、トリデカジエニル、テトラデカジエニル、ペンタデカジエニル、ヘキサデカジエニル、ヘプタデカジエニル、オクタデカジエニル、ノナデカジエニル、イコサジエニル、ヘンイコサジエニル、ドコサジエニル、トリコサジエニル、テトラコサジエニル、ペンタコサジエニル等のアルカジエニル基;ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、イコシニル、ヘンイコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル等のアルキニル基等が挙げられる。R2としては、皮膚のバリア機能の向上及び外用剤基剤への溶解性の点から、炭素数9〜21のアルキル基が好ましく、ペンタデシル基がより好ましい。
【0014】
3で示される末端に水酸基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル等のヒドロキシアルキル基;ヒドロキシビニル、ヒドロキシアリル等のヒドロキシアルケニル基;ヒドロキシエチニル、ヒドロキシプロピニル等のヒドロキシアルキニル基等が挙げられる。R3としては、皮膚のバリア機能の向上及び外用剤基剤への溶解性の点から、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基が好ましく、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0015】
本発明のアミド誘導体は、薬学的に許容される塩を形成することができ、斯かる塩もまた本発明に含まれる。塩としては、無機酸及び有機酸の塩が挙げられ、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、本発明のアミド誘導体は、水和物や各種有機溶媒和物も包含する。
【0016】
本発明のアミド誘導体(1)は、例えば次式に示す方法により製造することができる。
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R1、R2及びR3は前記と同義である。)
すなわち、グリシジルエーテル(4)とアミン類から得られる化合物(3)のアミノ基をアシル化するか、又は該化合物(3)をアシル化した後、化合物(2)のエステル基を選択的に加水分解することによって、アミド誘導体(1)を製造することができる。
【0019】
グリシジルエーテル(4)は、公知の方法、例えば下記に示すように、エポキシ体にアリルアルコールを反応させ、得られる3−アルコキシプロペンに酸化剤を作用させることによって得ることができる。
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、R1は、前記と同義である。)
【0022】
グリシジルエーテル(4)とアミン類との反応は、グリシジルエーテルとアンモニア、又は第一アミン、例えばメタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン等のアミノアルコールとを、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒あるいはこれらの任意の混合溶媒中において、25〜150℃で数十分〜数十時間攪拌することにより行われる。
反応におけるアミンの使用量は、化合物(4)1モルに対して1〜50当量、特に1〜20当量使用するのが好ましい。
【0023】
上記反応により得られた化合物(3)のアミノ基のアシル化は、例えば長鎖脂肪酸アルキルエステルと化合物(3)とを塩基の存在下、常圧〜1Torrの減圧下に25〜150℃で数十分〜数十時間反応させることにより行われる。長鎖脂肪酸アルキルエステルとしては、炭素数9〜25の長鎖脂肪酸アルキルエステルが挙げられ、例えばミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル等が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸アルカリ金属;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属;又は水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等の水素化アルカリ金属等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(3)1モルに対し、0.01〜2モル用いることが好ましく、特に0.01〜1モル用いることが好ましい。
【0024】
また、化合物(3)のアシル化は、例えば長鎖脂肪酸ハライドと化合物(3)をピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン又はジメチルアミノピリジン等の第3級アミンの存在下、−5〜50℃で数十分〜数十時間反応させることにより行われる。長鎖脂肪酸ハライドとしては、炭素数9〜25の飽和又は不飽和脂肪酸ハライドが挙げられ、例えばミリスチン酸クロリド、パルミチン酸クロリド等が挙げられる。得られたアミド−エステル体(2)のエステル基を加水分解するには、炭酸アルカリ金属、水酸化アルカリ金属等の塩基を用いて常法により行われる。
【0025】
アシル化反応は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン等の有機溶媒中で行ってもよく、無溶媒下でもよい。
【0026】
本発明のアミド誘導体は、上記の方法によって得られるが、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、溶媒抽出、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等を用いることにより単離精製が可能である。
【0027】
斯くして得られるアミド誘導体(1)は、後記実施例に示すように、角層の水分蒸散を抑制し、皮膚のバリア機能を維持・改善する作用を有する。従って、本発明のアミド誘導体(1)、その塩又はそれらの溶媒和物は、肌荒れや炎症に対して優れた予防・改善効果を発揮する皮膚外用剤、特に皮膚バリア機能改善剤となり得、また皮膚外用剤又は皮膚バリア機能改善剤を製造するために使用することができる。皮膚外用剤及び皮膚バリア機能改善剤は、通常、医薬部外品、医薬品の薬用外用剤と化粧料に大別されるが、本発明はこれらのいずれも含むものである。
薬用外用剤の剤型としては、例えば軟膏剤、硬膏剤、リニメント剤、パップ剤、乳剤(W/O又はO/W)、液剤等が挙げられる。また、化粧料の形態としては、例えば水中油型、油中水型化粧料、油性化粧料等の基礎化粧料;口紅、ファンデーション等のメイクアップ化粧料が上げられる。
【0028】
本発明において、アミド誘導体(1)、その塩又はそれらの溶媒和物の皮膚外用剤又は皮膚バリア機能改善剤への配合量は、特に制限されないが、全組成物中0.001〜10質量%(以下、単に「%」で示す)、特に0.01〜5%とすることが好ましい。
【0029】
本発明の皮膚外用剤又は皮膚バリア機能改善剤は、上記必須成分のほかに、必要に応じ皮膚外用剤成分として一般に使用されている成分、例えば直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコール類;流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素類;液状ラノリン、ラノリン脂肪酸等のラノリン誘導体;ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン等のシリコン誘導体;高級アルコール高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸類、アルキル基又はアルケニル基を有する長鎖アミドアミン等の油脂類;ミンクオイル、オリーブ油等の動植物性油脂類;抗フケ剤、殺菌剤、ビタミン類等の薬効剤;パラベン類等の防腐剤;水溶性高分子等の増粘剤;染料及び顔料等の着色剤;紫外線吸収剤;収れん剤;プロピレングリコール、グリセリン、カルビトール、3−メチルー1,3−ブタンジオール、糖類等の保湿剤;酸化防止剤;水、香料等を配合することができる。
【実施例】
【0030】
実施例1 化合物(3a)の合成
【0031】
【化4】

【0032】
200mL三口フラスコに、エタノールアミン33g(0.52mol)、エタノール6.40g(エタノールアミンの20wt%)を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に加熱した。ここに3−テトラデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルグリシジルエーテル12.0g(35mmol)を滴下した。滴下終了後1.5時間攪拌し、80℃、0.1kPa以下で過剰のエタノールアミンとエタノールを留去して、粗生成物14.6gを得た。ヘキサン/エタノール(40/1)から2回再結晶し、化合物(3a)11.2g(24mmol)を無色結晶として収率79%で得た。
mp 71.0-72.2 ℃
1H NMR (CDCl3,δ) 3.93-3.90 (2H, m), 3.66-3.65 (2H, m), 3.58-3.39 (8H, m), 2.74 (2H, t, J = 4.9 Hz), 2.67-2.64 (2H, m), 1.54-1.52 (2H, m), 1.25-1.23 (22H, m), 0.85 (3H, t, J = 6.9 Hz), 0.85 (3H, s)
13C NMR (CDCl3,δ) 76.7, 74.3, 74.2, 73.1, 73.1, 71.8, 69.5, 69.4, 69.2, 69.1, 61.0, 51.7, 51.3, 31.9, 29.7, 29.6, 29.6, 29.6, 29.5, 29.3, 26.0, 22.7, 14.1
IR (ATR, cm-1) 3418, 2952, 2917, 2849, 1466, 1120, 1049.
【0033】
実施例2 化合物(1a)の合成
【0034】
【化5】

【0035】
100mL三口フラスコに、KOH 84.8mg(1.5mmol)、化合物(3a)10.0g(25mmol)を入れ、0.5kPa、95℃で3時間脱水したのち、パルミチン酸メチル7.00g(26mmol)をゆっくり滴下した。そのまま3時間加熱攪拌を続け、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール 100/0から90/10)により、化合物(1a)13.7g(21mmol)を無色結晶として収率86%で得た。
mp 33.0-33.5℃
1H NMR (CDCl3 δ) 4.56-4.54 (0.7H, m), 4.41-4.39 (0.3H, m), 4.12-4.10 (0.7H, m), 3.91-3.73 (3.3H, m), 3.61-3.25 (11H, m), 2.39-2.28 (2H, m), 1.88 (1H, br s), 1.58-1.53 (4H, m), 1.26-1.23 (50H, m), 0.85 (6H, t, J = 6.9 Hz)
13C NMR (CDCl3 δ) 175.6, 175.6, 175.5, 73.2, 73.0, 73.0, 72.9, 72.7, 72.7, 71.7, 71.6, 71.5, 71.5, 69.6, 69.6, 69.5, 69.4, 69.4, 69.3, 69.3, 52.7, 52.7, 52.4, 51.1, 50.9, 50.9, 33.5, 33.4, 31.8, 29.6, 29.5, 29.5, 29.5, 29.5, 29.4, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 295.9, 25.2, 25.1, 22.5, 14.0
IR (ATR, cm-1) 3376, 2952, 2917, 2850, 1619, 1467, 1114.
【0036】
実施例3 化合物(1b)の合成
【0037】
【化6】

【0038】
3−テトラデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルグリシジルエーテルを2−ヒドロキシオクタデシルグリシジルエーテルに代え、前述と同様の方法で、化合物(1b)を合成した。
mp 60.0-60.2℃
1H NMR (CDCl3 δ) 4.08-3.99 (1H, m), 3.80-3.70 (3H, m), 3.60-3.29 (7.5H, m), 3.05-2.91 (0.5H, m), 2.41-2.29 (2H, m), 1.69-1.57 (4H, m), 1.40-1.23 (2H, m)
13C NMR (CDCl3 δ) 175.8, 175.8, 76.3, 76.2, 76.1, 76.0, 73.3, 73.2, 73.0, 73.0, 70.6, 70.5, 69.9, 69.9, 69.5, 69.4, 61.8, 60.9, 60.9, 53.0, 52.5, 52.5, 51.4, 51.0, 51.0, 33.6, 33.6, 33.2, 33.2, 33.1, 33.1, 31.9, 29.7, 29.7, 29.7, 29.6, 29.6, 29.6, 29.5, 29.5, 29.5, 29.5, 29.3, 25.6, 25.3, 22.7, 14.1
IR (ATR, cm-1) 3359, 2952, 2917, 2850, 1616, 1468.
【0039】
試験例1 化合物(1a)及び(1b)のバリア皮膜形成能評価
赤崎秀一, 河合通雄, FRAGRANCE JOURNAL SPECIAL ISSUE, 13, 64(1994)に記載の方法を参考に、本発明のアミド誘導体(1)のバリア皮膜形成能について評価した。
化合物(1a)又は(1b)/コレステロール(質量比1/2)からなる脂質のクロロホルム溶液をそれぞれ調製し、溶液中にメンブランフィルターを浸した後、乾固させ、イオン交換水25mLの入ったバイアル瓶にのせ、穴を開けたキャップで固定した。容器ごと20℃湿度40%の恒温槽で保管して、経時的に重量を測定し(N=3)、水分損失量から脂質のもつバリア機能を求めた(表1)。なお、コントロールは、メンブランフィルターをクロロホルムに浸漬したものを使用し、比較例として下記化合物(A)と(B)を用いた。
【0040】
【化7】

【0041】
【表1】

【0042】
その結果、本発明品は角層の水分蒸散を抑制する作用を有し、バリア機能の維持及び回復促進効果が認められた。
【0043】
試験例2 化合物(1a)の溶解性評価
次の手順に従い、化合物(1a)の汎用油剤及び汎用水溶性基剤に対する溶解性を評価した。
各段階における溶解性の結果を表2に示す。下記表2から明らかなように、化合物(1a)は、外用剤基剤として用いられる汎用油剤及び汎用水溶性基剤に対して優れた溶解性を有することが確認された。
【0044】
(1)サンプル 0.1g、油剤 0.9gをスクリュー管に量りとり、70℃(湿度10%)に保存し、溶解状態を観察する。
(2)上記サンプルが完全溶解した場合、25℃(湿度10%)まで空冷し、溶解状態を観察する。
(3)(1)で溶解しなかった場合、同一スクリュー管に油剤 1gを量りとり、70℃(湿度10%)に保存し、溶解状態を観察する。
(4)上記サンプルが完全溶解した場合、25℃(湿度5%)まで空冷し、サンプルの溶解状態を観察する。
(5)(3)で溶解しなかった場合、同一スクリュー管に油剤 8gを量りとり、70℃(湿度1%)に保存し、溶解状態を観察する。
(6)上記サンプルが完全溶解した場合、25℃(湿度1%)まで空冷し、溶解状態を観察する。
【0045】
【表2】

【0046】
試験例3 化合物(A)の溶解性評価
試験例2の手順に従い、化合物(A)の汎用油剤及び汎用水溶性基剤に対する溶解性を評価した。各段階における溶解性の結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例4 皮膚外用剤の製造
下記表4に示す成分を室温にて混合し、無色透明の液状化粧料を得た。
【0049】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)
【化1】

(式中、R1は酸素原子を構成原子として含んでいてもよい炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R2は炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3は水素原子、或いは末端に水酸基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。)
で表されるアミド誘導体、その塩又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
請求項1記載のアミド誘導体、その塩又はそれらの溶媒和物を含有する皮膚外用剤。
【請求項3】
請求項1記載のアミド誘導体、その塩又はそれらの溶媒和物を含有する皮膚バリア機能改善剤。

【公開番号】特開2010−30968(P2010−30968A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197267(P2008−197267)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】