説明

アミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造方法

本発明はアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造方法に関し、その際アンモノリシスの枠内で、相当するアミノ−またはヒドロキシ安息香酸化合物を、燐酸塩含有担体材料の存在で250〜500℃の温度でアンモニアと反応させる。該当する製造工程は、反応ガス(混合物)中で、有機溶剤を関与させずに実施し、その後少なくとも2段階の精製工程を行う。その際まず製造工程から得られるガス状混合物を水性塩基性懸濁液に変換し、引き続きこの懸濁液から固体の形で含まれる生成物を遊離する。この組み合わせた方法の主な利点はエステルから出発せず、その他の一般的な方法と異なり得られる生成物がその他の一般的な副生成物を含有せず、これにより高い生成物純度を達成することである。更に請求項に記載される方法は、最終生成物および副生成物が使用される懸濁液中で異なる凝結状態で存在し、互いに容易に分離できるので、きわめて経済的な方法で行うことができる。これにより溶剤を含まないベンゾニトリルが高い収率で、明らかに改良された生成物特性を有して取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、製造工程1)と製造工程2)を組み合わせたアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの新規製造方法である。
【0002】
アミノ−およびヒドロキシベンゾニトリルは重要性がますます増加している生成物であり、特にヒドロキシベンゾニトリルは植物活性作用物質を製造する際に中間生成物として使用される。
【0003】
芳香族ニトリルを製造する際に多くの異なる変法が存在し、その際アミノ−またはヒドロキシニトリルに関してメチルアレーンのアンモ酸化が従来注目された。この場合に例としてドイツ特許(DE−A1)第2020866号およびフランス特許第2332261号が挙げられる。
【0004】
ヒドロキシベンゾニトリルの製造は一般にアルキルヒドロキシベンゾエートのアミノ化を介して行われ、前記ベンゾエートを引き続き脱水反応させる。ドイツ特許(DE−A1)第2020866号は4−ヒドロキシベンゾニトリルの製造方法を読み取ることができ、その際アンモニアおよび4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルの反応を気相中で、担持された燐酸触媒の存在で行い、典型的なアンモノリシスとして行う。
【0005】
類似の反応がフランス特許第2332261号に記載されるが、前記方法と異なり遷移金属がドープされた燐酸硼素からなる触媒を使用する。この反応タイプの重要な問題は、これから得られる生成物、すなわちヒドロキシベンゾニトリル化合物が凝縮して固化し、これにより生成物の分離が困難になることである。更にこの反応方法において、例えば得られた生成物からs−トリアジンを生じる三量体化に由来する副生成物が形成され、これを特に高温で行う。引き続く副反応は得られた2−ヒドロキシベンゾニトリルから2−ヒドロキシベンズアミドを生じる加水分解として進行し、これが特にニトリルの製造の経過中に遊離する水の量により促進される。この加水分解はアンモニアの存在により強化される。
【0006】
使用される多数の固定床法と異なり流動床反応は、焼き付けおよび溝形成の傾向が少ないので、その際使用される触媒が更に安定である利点を有する。触媒に関するこれらの欠点は前記のドイツ特許明細書およびフランス特許明細書から導かれるが、それはまさに前記の不利な特性を有する触媒が必要であるためである。
【0007】
この理由から例えばドイツ特許第19520491号において、高い耐摩耗性を有し、特に流動床法に使用できる、アミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造方法が提案された。ここに記載される触媒は高い負荷を有し、これが高い空−時−収率および前記ニトリルの高い経済的製造を可能にする。更にこのドイツ特許明細書に記載される触媒は高い選択性により際立っている。
【0008】
ドイツ特許第19520491号による触媒は元素周期表の5、6,12または14族の遷移金属化合物またはその組合せ物がドープされた燐酸硼素担体触媒であり、その比表面積は少なくとも400m/gである。
【0009】
この担体触媒を使用して100%までの収率および選択率を達成できるが、触媒は付加的に触媒1kg当たり出発物質5モルまでの負荷に耐える。しかし所望の生成物の分離は依然として問題を生じる。
【0010】
従って特にヒドロキシベンゾニトリルの分離を簡単にする方法の改良を行うことが強く求められる。
【0011】
ここで特にヒドロキシベンゾニトリルタイプの化合物の分離法を記載する国際特許WO01/96284号が挙げられ、その際最終生成物をアミド化/脱水法により取得する。ここに示される考察の中心は特に2−ヒドロキシベンゾニトリル(2−シアノフェノール)である。
【0012】
この明細書に記載される分離はガス状反応流からアンモニウム塩の形で得られる粗製生成物から出発する。主要精製工程はアンモニウムイオンを排除することにあり、これは特にガス状反応流の物理的処理を伴って行う。しかしガス状反応流から予め液化により得られる固体の物理的処理または溶液で運ばれる固体の処理も可能である。同様に液化されたガス状反応流の化学的処理が提案される。
【0013】
従来一般的に実施されるすべてのアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法において、これらの方法がエステルから出発し、酸の場合においてもこの酸をまず酸アミドに反応させ、ニトリルを生じる反応を行うことが特徴である。出発物質として酸が特に気相中で多くの場合に高い温度で分解する傾向があるので、そのエステルを使用することに移行するが、これは再び形成するアルコールのために生成物の純度に不利に、従って関係する芳香族副生成物に不利に作用する。
【0014】
技術水準およびこれに結びつく欠点から出発して、本発明には、一般式(I):
【化1】

(式中、Xは少なくとも1個のアミノ基またはヒドロキシ基を表す)
のアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造方法であり、一般式(II):
【化2】

(式中、Rは−OH、−NHであり、Xは前記のものを表す)のアミノ−またはヒドロキシ安息香酸化合物を、燐含有担体触媒の存在で250〜500℃の温度でアンモニアと反応させる、アミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造方法を提供する課題が設定される。適当な処理工程もしくは製造の選択により粗製生成物が得られ、その形が引き続く精製を経済的な形で保証し、単離した最終生成物が高い純度を有するべきである。特にその他の一般的な副生成物は抑制されるかまたは完全に排除され、製造方法および精製方法は環境の観点から付加的に経済的見地から魅力あるものにする要求を満たすべきである。
【0015】
前記課題は、製造工程1)を反応ガス(混合物)中で、有機溶剤を関与せずに実施し、引き続き少なくとも2段階の精製工程2)を実施し、その際2.1)製造工程1)から得られるガス状混合物を水性塩基性懸濁液に変換し、2.2)引き続きこの懸濁液から固体に含まれる生成物を遊離する方法により解決される。
【0016】
課題の設定は、特に本発明の方法を、例えば類似する方法より更に経済的にかつ廉価に実施することにより満たされ、その際まず相当するアミノ酸またはヒドロキシ酸から得られる酸アミドをホスゲンと反応させ、ニトリルを得る。この方法から多くの量で生じる塩濃縮物を完全に回避するかまたは著しく減少し、その際使用される酸および使用されない酸を循環することができる。これにより本発明の方法を使用してきわめて純粋な生成物が得られ、この生成物はその他の典型的な副生成物より著しく減少したフェノール含量およびアルコール含量を有する。
【0017】
意想外にも、課題の設定を満たすために、本発明の方法を使用して、技術水準から知られた従来の偏見、すなわち芳香族ニトリルを経済的な方法でその相当する酸エステルからのみ製造できるという偏見をはじめて克服できることが判明した。すなわち記載されるように、その熱安定性および改良された取り扱い性により従来使用されたエステルのみが使用できない。本発明が示すように、芳香族酸はアミノ化されたおよびヒドロキシル化された形で同様にきわめて適した出発化合物として使用できる。明らかに低い価格にあると思われるその経済的な利点のほかに、その他の場合にエステルに一般に含まれるアルコールがもはや中間生成物および最終生成物を汚染することがなく、もはや除去する必要がないことがきわめて有利であると示された。特に例えば好ましくない塩素化またはアルキル化により存在する微量のアルコールにより生じる他の副生成物を回避できる。
【0018】
新規方法のこの利点、特に、酸をアンモノリシス条件下でアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの製造に直接的出発化合物として使用できないという偏見の克服は予想できないことであった。
【0019】
製造工程1)の表示に見出されるように、これに関する本発明の方法は典型的なアンモノリシスである。このアンモノリシスは製造工程1)として、精製工程2)として、特定の温度範囲に固定されないが、製造工程1)を340〜450℃、特に380〜420℃の温度で実施することが有利であると示された。
【0020】
請求の範囲に記載される方法の組合せを達成する1つの重要な要素は適当な触媒の使用にあると思われる。これに関して特にドイツ特許第19520491号が示され、ここに本発明の方法に有利に使用されるドーピングされた燐酸硼素担体触媒が詳しく記載されている。
【0021】
本発明の方法に一般的に元素周期表の5、6、12または14族の遷移金属化合物またはその組合せ物がドープされ、少なくとも300m/gの比表面積を有する燐酸水素含有担体触媒を使用する。有利に付加的に硼素がドープされた担体触媒を使用することができる。この場合に燐酸硼素の割合は担体材料の質量に対して0.01〜15質量%であり、その際0.5〜5質量%の割合が特に適当であるとみなされる。
【0022】
これらの燐酸硼素担体触媒の製造に関して本発明はいかなる限定も受けない。しかし燐酸0.01〜15質量%、ホウ酸0.01〜15質量%および元素周期表の5、6、12または14族の遷移金属の塩またはこの塩の組合せ物0.01〜5質量%の水溶液を使用して担体材料を処理することにより製造された担体触媒が特に適当であることが示された。この遷移金属の塩を予め入れた溶液に溶解し、引き続き室温で約1時間攪拌する。このために有利にそれぞれの元素のカチオンおよびアニオン、ホウ酸塩、塩化物、燐酸塩または硫酸塩からなる塩を使用する。しかしそれぞれの元素のアニオンおよびカチオンとしてアンモニウムから塩を形成することも可能である。
【0023】
担体材料のための有利なカチオンとしてバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、カドミウム、水銀、ゲルマニウム、錫、鉛、または亜鉛のカチオンが挙げられ、その際相当する塩の組合せももちろん使用できる。
【0024】
相当するカチオンおよびアニオンを有する予め入れた溶液に、一般に二酸化珪素、シリカゲル、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化ジルコンもしくはその混合物の群から選択される担体材料20〜80質量%を添加する。この担体材料は少なくとも400m/gの比表面積を有するべきである。引き続き水を蒸発させ、これを真空下で行うこともでき、得られた粗製触媒を100〜500℃の温度で最高3時間乾燥し、その際弱い空気流の通過が有利であると示された。140〜160℃の範囲が特に適当な乾燥温度として示される。こうして製造される担体触媒は本発明により400m/gより大きい比表面積を有する。500m/gより大きく、600m/gより大きく、特に750m/gである比表面積が特に有利とみなされる。担体触媒の細孔直径は有利に0.4nm〜25nm、特に0.5nm〜15nmであるべきである。
【0025】
アミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルの本来の製造工程1)に関して本発明の範囲で酸素を含まずおよび/または主にアンモニアを含む反応ガス(混合物)を使用するべきである。この反応ガス(混合物)は本発明の方法に特に重要であり、それは反応ガス(混合物)を不活性ガスとして使用するおよび/または担体ガスとして機能できるからである。
【0026】
専ら気相中で実施される製造工程1)に関して、アミノ−またはヒドロキシ安息香酸化合物を反応ガス(混合物)および/または触媒床に導入する場合が更に有利であり、これを触媒上の注入または噴射により行うことができ、これを本発明は同様に考慮する。それぞれの出発化合物は有利に酸または酸アミド(アンモニウム塩の水溶液)として、溶融物として、または固体の形で触媒上に設けることができる。
【0027】
すでに記載したように、気相中で使用される酸化合物を分解せずに本発明の方法の組合せの製造工程1)を達成し、これは場合により使用されるアンモニアガスの安定化作用に起因し、これにより酸を使用する場合にその他の場合に認められる脱カルボキシル化傾向が排除されもしくは完全に回避される。本発明の方法において生成物が反応器を離れる際にのみ気相中に存在し、従って例えば三量体化反応のような持続する作用が回避されることが保持される。製造工程1)から得られる生成物が一般に白から淡い褐色までの、薄片状の、うろこ状の生成物の形で生じ、この生成物が容易に得られ、引き続く二段階の精製工程2)に供給されることが確認される。
【0028】
本発明の方法の精製工程2)の適当な温度として、−20℃〜100℃の範囲が有利であると示され、その際0℃〜60℃の範囲、特に2℃〜7℃の範囲が特定の変法に特に好ましいことが示された。
【0029】
すでに記載したように、製造工程1)で使用される反応ガス(混合物)は実質的に酸素を含まないべきであるが、場合による妨害を避けるために、精製工程2)を付加的に不活性ガス条件下で、この場合に有利に窒素雰囲気で実施することが必要である。
【0030】
精製工程2)に関してまず製造工程1)から得られるガス状混合物を水性塩基性懸濁液に移行することが本発明に重要であるとして保持される。このために本発明は、有利に水またはアンモニア水を使用して行うクエンチの使用を勧める。固体の形で存在する生成物をクエンチする場合は、特に当然塩基性を有するアンモニア水を使用すべきである。
【0031】
精製工程2.2)に関して実際に懸濁液を得るために、製造工程1)から得られる生成物をまず冷却し、得られた固体を引き続きアンモニア水と一緒に取り入れることが勧められる。
【0032】
水性塩基性懸濁液をクエンチを使用してまたは冷却および引き続く取り入れにより得るかどうかに関係なく、本発明の方法の範囲で、生成物の品質にとって水性塩基性懸濁液が濃縮された形で存在し、懸濁液に副生成物が溶解した形で存在することが必要である。
【0033】
これらの懸濁液からすなわち最終生成物および副生成物を特に有効に、少ない費用で分離することができるが、それはそれぞれの生成物群がすでに異なる凝集状態で存在するからである。
【0034】
精製工程2)の最後の部分工程は処理工程2.1)から得られる水性塩基性懸濁液から固体中に存在する生成物を遊離することにある。この遊離に関して本発明の方法は酸性条件を考慮し、これにより有利に固体中にアンモニウム塩として存在する生成物を純粋な形で取得する。
【0035】
この遊離に関して、本発明により3つの変法が可能であり、これらを必要な場合に互いに組み合わせることができる。
【0036】
変法1は濾過を使用し、酸を添加して遊離を行うかまたは選択的にアンモニアの追い出しおよび引き続く酸成分の導入により遊離を行うことにある。酸性条件を保証するために、酸の添加が勧められ、このために無機酸、特に塩酸が特に適していると示された。しかし酸性ガス、例えばCOの導入も可能である。引き続き求める生成物もしくはその純度に依存してなお少なくとも1回の洗浄工程および少なくとも1回の乾燥工程を行う。
【0037】
酸性条件下で生成物を遊離する第2変法は反応蒸留を行うことである。その際一般にまず結合したアンモニウムをアンモニアとして遊離し、分離し、これにより生成物を最終的に純粋な形で取得する。
【0038】
有利に固体中にアンモニウム塩として存在する生成物を遊離する第3の選択案として、0℃〜100℃の比較的広い温度範囲での分離が提案される。生成物含有懸濁液のこの処理形式において特に20℃〜80℃の温度範囲が勧められ、その際真空条件が適している。0.1ミリバール〜1バール、特に500ミリバール〜800ミリバールの圧力範囲が特に有利であるとみなされる。この実質的に熱による分離は有機溶剤、例えばDMFの存在で行うことができる。この最後に記載した選択案は本発明の方法で有機溶剤を使用する唯一の例外である。
【0039】
この分離の推進力として、一般に熱処理の際に有機溶液を生じるような溶媒和圧力を考慮することができる。この場合に20〜80℃の温度範囲および1ミリバール〜1バールの圧力が勧められる。
【0040】
この条件下で分離される軽いフラクションとして透明な溶液および所望のニトリルを溶剤に溶解して含有する第2フラクションが得られる。
【0041】
製造工程1)および精製工程2)からなる本発明の方法を使用して、特に、例えばヒドロキシ基である脱プロトン化可能な置換基を有するベンゾニトリルを取得することができ、その際特に2−ヒドロキシベンゾニトリル、および4−ヒドロキシベンゾニトリル、2,4−ジヒドロキシベンゾニトリルが注目される。これらの生成物は比類のない生成物特性により際立っており、それは有機溶剤およびアルキル化副生成物によるいかなる不純物もほとんど有せず、これが特に酸から直接的アンモノリシスにより得られることを理由付ける。従って生成物は典型的に溶剤不含アミノ−およびヒドロキシベンゾニトリルである。本発明の方法の他の利点はそれぞれ経済的な原料を使用し、すでに記載された高い純度を一般にきわめて少ない脱カルボキシル化損失によってのみ達成することに認められる。その際少ないCO形成と結びついたかなり少ない排出率によりアンモニアが有効に利用される。特定の方法の実施により酸の塩分解が回避されるので、提案された方法を大規模に使用する場合に特定の材料が必要でなく、一般に都合のよい材料を使用できる。これにより塩化物含有排水を回避し、特定の方法の実施により全排水量を明らかに減少できる。
【0042】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
【0043】
実施例
2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造および精製
1)製造工程
以下に記載される製造に関して以下の方法で得られる燐酸硼素担体触媒を使用した。
85%オルト燐酸5.88gおよび99.8%ホウ酸3.33gを蒸留水500gに溶解した。硫酸亜鉛3.6gを更に溶解後、この溶液を室温で1時間攪拌し、引き続き比表面積が400m/gより大きいシリカゲル500gを添加した。シリカゲルの細孔直径は0.4〜25nmであった。引き続き減圧下、60℃で乾燥するまで蒸発させ、弱い空気流を通過させながら3時間かけて150℃に加熱した。冷却後、こうして得られた担体触媒を以下に記載するように使用できた。
【0044】
反応器に亜鉛ドープ燐酸硼素担体触媒50mlを導入した。引き続き340℃の温度でアンモニアガス2.1モル/hおよび2−ヒドロキシ安息香酸350ミリモルを70ミリモル/hの速度で酸素不含ガス空間に注入した。分離機中で排出したガス流を冷却し、この上に反応生成物が白い薄片状固体として堆積した。
【0045】
2)精製工程
製造工程1)により得られた粗製生成物500gを予め入れ、水性アンモニア1500ml(32%溶液として)と混合し、引き続き室温で60分攪拌した。
【0046】
このクエンチ工程から得られた塩基性懸濁液を濾過し、フィルターケーキをそれぞれ32%アンモニア水187.5mlで2回洗浄した。引き続きフィルターケーキを20分間乾式吸引し、15%HCl1250mlと混合した。この酸性条件下で懸濁液を室温で45分攪拌し、固体を濾過し、それぞれ15%HCl187.5mlで2回洗浄した。引き続き固体を乾燥し、脱イオン水360mlと混合し、15分間攪拌し、吸引濾過した。こうして得られた固体を真空中、50℃で夜通し乾燥した。
【0047】
製造方法および引き続く精製工程により2−ヒドロキシベンゾニトリルが理論値の75%の収率で、98.9%の純度で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(式中、Xは少なくとも1個のアミノ基またはヒドロキシ基を表す)のアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法であり、一般式(II):
【化2】

(式中、Rは−OH、−NHであり、Xは前記のものを表す)のアミノ−またはヒドロキシ安息香酸を、燐含有担体触媒の存在で250〜500℃の温度でアンモニアと反応させることによりアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法において、製造工程1)を反応ガス(混合物)中で、有機溶剤を関与せずに実施し、引き続き少なくとも2段階の精製工程2)を実施し、その際2.1)製造工程1)から得られるガス状混合物を水性塩基性懸濁液に変換し、2.2)引き続きこの懸濁液から固体に含まれる生成物を遊離することを特徴とするアミノ−またはヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法。
【請求項2】
前記方法を340〜450℃、特に380〜420℃の温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒が元素周期表の5、6,12および14族の遷移金属化合物またはその組合せ物でドープされ、比表面積が少なくとも300m/gである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
付加的に硼素でドープされた担体触媒を使用する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
燐酸0.01〜15質量%、ホウ酸0.01〜15質量%および元素周期表の5,6,12または14族の遷移金属の塩または前記塩の組合せ物0.01〜5質量%の水溶液を使用する担体材料の処理により製造された燐酸硼素担体触媒を使用する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
担体材料が二酸化珪素、シリカゲル、酸化アルミニウム、酸化チタン、または酸化ジルコンもしくはその混合物からなる請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、カドミウム、水銀、ゲルマニウム、錫、鉛、または亜鉛の元素の塩もしくはこれらの塩の組合せ物を使用する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
塩がそれぞれの元素のカチオンおよびアニオン、ホウ酸塩、塩化物、燐酸塩または硫酸塩からなる請求項7記載の方法。
【請求項9】
塩がそれぞれの元素のアニオンおよびカチオンとしてアンモニウムからなる請求項7記載の方法。
【請求項10】
ドープされた担体触媒の比表面積が400m/gより大きく、有利に500m/gより大きく、特に600m/gより大きく、殊に750m/gである請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ドープされた燐酸硼素担体触媒が0.4〜25nm、特に0.5〜15nmの細孔直径を有する請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ドープされた担体触媒を100〜500℃の温度で3時間まで乾燥する請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
反応ガス(混合物)が酸素不含であり、アンモニアを含有する請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
アミノ−またはヒドロキシ安息香酸を反応ガス(混合物)および/または触媒床に導入し、これを有利にアンモニウム塩の溶融物、固体または水溶液として行う請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
精製工程2)を−20℃〜100℃、有利に0℃〜60℃、特に2℃〜7℃の温度で実施する請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
精製工程2)を不活性ガス条件下、有利に窒素雰囲気で実施する請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
精製工程2)において水またはアンモニア水を使用して実施するクエンチにより水性塩基性懸濁液を取得する請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
精製工程2)において製造工程1)から得られる生成物の冷却および引き続くアンモニア水の取り入れにより水性塩基性懸濁液を取得する請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
水性塩基性懸濁液が高度に濃縮した形で存在し、副生成物を溶解した形で含有する請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
精製工程2.2)において有利に固体中にアンモニウム塩として存在する生成物の遊離を酸性条件下に行う請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
酸を添加する濾過によりまたはアンモニアの追い出しおよび引き続く酸成分の導入により遊離を行う請求項19記載の方法。
【請求項22】
酸、有利に無機酸、特に塩酸の添加によりまたは酸性ガス、例えばCOの導入により酸性条件を調節する請求項19または20記載の方法。
【請求項23】
引き続き少なくとも1つの洗浄工程および少なくとも1つの乾燥工程を行う請求項20から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
有利に固体中にアンモニウム塩として存在する生成物の遊離を反応蒸留により行う請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
有利に固体中にアンモニウム塩として存在する生成物の遊離を0℃〜100℃、有利に20℃〜80℃の温度および有機溶剤の存在での分離により行う請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2008−521852(P2008−521852A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543762(P2007−543762)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012749
【国際公開番号】WO2006/058710
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】