説明

アミノアルコール化合物、前駆体、並びに調製方法及び使用

塗料及びコーティングのための中和剤として使用するためのアミノアルコール化合物を提供する。化合物は、式(I):


(式中R1、R2、R3、R4、R5、及びnは、本明細書において定義された通りである)のもの、またはその塩である。さらにアミノアルコール化合物の前駆体、並びにそれらの製造及び使用のための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願に関する相互参照
本出願は、参照によって本明細書にその全内容が組み込まれている2009年12月17日に出願された米国特許仮出願第61/287,439号に対する優先権を請求する。
本発明は、アミノアルコール化合物及びそれらの調製方法に関する。さらに本発明は、塗料及びコーティングのための低臭気、低揮発性有機含有量(VOC)添加剤として、かかる化合物を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
有機アミンは、水性に基づく塗料において、中和剤として使用される。多くの地形において、塗料製造業者は、彼らの配合物の揮発性有機含有量(VOC)を減らすための調整に直面している。ほとんどの慣用の中和アミンは、100%の揮発性物質であるために、VOC寄与因子である。さらに、他の低VOC塗料配合物において使用される場合、かかるアミンの臭気は、より顕著である。
【0003】
アンモニア及び無機水酸化物は、定義非VOC寄与因子によるものである中和剤として使用するための可能性のある選択肢である。しかしながらアンモニアは効果的な中和剤であるが、非常に強い臭気を有し、それ故に低臭気の塗料において使用するためには不適切である。水酸化カリウム等の無機水酸化物は、それらがしばしば乏しいスクラブ抵抗性を有するコーティングをもたらすために所望されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、低VOC、または無VOCを示し、且つ非常に低いアミン臭気、または無アミン臭気を有する効果的な中和剤は、塗料及びコーティング産業のために重要な進歩となるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
1つの観点では、本発明は、水性に基づく塗料またはコーティングのための中和剤として有用である低VOC及び低臭気のアミノアルコール化合物を提供する。化合物は、式I:
【化1】

(式中R1、R2、R3、R4、R5、及びnは、下記の定義の通りである)のもの、またはその塩である。
【0006】
他の観点では、本発明は、式II:
【化2】

(式中R1、R2、R3、R4、R5、及びnは、下記の定義の通りである)のニトロアルコール化合物を提供する。
【0007】
さらなる観点では、本発明は、式IIIA:
【化3】

(式中R1、R2、及びR3は、下記の定義の通りである)のニトロ化オキシラン化合物を提供する。
【0008】
またさらなる観点では、本発明は、中和剤として式Iの化合物を含んで成る水性に基づく塗料またはコーティングを提供する。
【0009】
またさらなる観点では、本発明は、中和剤、結合剤、担体、及び顔料を含む水性に基づく塗料またはコーティングの揮発性有機化合物含有量を減らすための方法を提供する。方法は、塗料またはコーティング中で、中和剤として有効量の式Iの化合物を使用することを含んで成る。
【0010】
他の観点では、本発明は、式I、II、及びIIIAの化合物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
上記の通り、1つの観点において、本発明は、水性に基づく塗料及びコーティング配合物中で中和剤として有用であるアミノアルコール化合物を提供する。中和剤は、所望される値、典型的に約8〜10までpHを上げるためにかかる配合物中に含められる。現在産業界において使用されている最も慣用的な中和剤は、VOC寄与因子である。さらに他の低VOC配合物において使用される場合、慣用の中和剤の臭気は、より顕著である。
【0012】
対照的に本発明のアミノアルコール化合物は、非常に低いVOCを有する利益による、優れた低臭気材料である。例えば、本発明の例示化合物である1,1’−(エタン−1,2−ジイルビス(メチルアザンジイル))ビス(4−アミノ−4−メチルペンタン−2−オール)は、ごくわずかなVOC寄与を示す。
【0013】
それらの優れた低VOC及び低臭気特質に加えて、本発明のアミノアルコール化合物は、慣用の中和アミンによって提供されるものに匹敵する性能特性を与える。その結果として、低臭気及び低VOCの利点は、他の塗料またはコーティングの特質に有意な影響を与えずに本発明のアミノアルコール化合物により達成される。さらに本発明のアミノアルコール化合物は、塗料及びコーティング配合物において存在する顔料粒子の有効な共分散剤である。
【0014】
本発明のアミノアルコール化合物は、式I:
【化4】

(式中nは、0または1であり;
1及びR2は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり、或いはR1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、任意にC1〜C6アルキル(例えば独立して選定された1個または2個のかかる基)により置換されたC3〜C12シクロアルキル環を形成し;
3は、H、C1〜C10アルキル、或いは任意にC1〜C6アルキル、アリール、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、またはエステルから独立して選定された1個または2個の置換基により置換されたアリール(例えばフェニル)であり、但しnが0である場合、R3は、Hであり;
4は、H、任意にヒドロキシ(例えば、1個または2個のヒドロキシ、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキル、−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)、またはYであり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり;
5、R8、及びR9は、独立してH、任意にヒドロキシ(例えば、1個または2個のヒドロキシ、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキル、またはYであり;並びに
Yは、式:
【化5】

の基である)のもの、またはその塩である。
【0015】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5及びR8が同一であり、且つHまたはC1〜C10アルキルであり;並びにR9がHである、式Iの化合物である式I−1の化合物である。さらなる態様では、R5及びR8は、同一であり、且つC1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0016】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5及びR8が同一であり、且つHまたはC1〜C10アルキルであり、並びにR9がYである、式Iの化合物である式I−2の化合物である。さらなる態様では、R5及びR8は、同一であり、且つC1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0017】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5がHまたはC1〜C10アルキルであり、並びにR8及びR9が同一であり、且つ共にYである、式Iの化合物である式I−3の化合物である。さらなる態様では、R5は、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0018】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5、R8及びR9が同一であり、且つ全てYである、式Iの化合物である式I−4の化合物である。さらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0019】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4がH、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルであり、及びR5がヒドロキシ(いずれの場合も、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキルである、式Iの化合物である式I−5の化合物である。さらなる態様では、R4は、Hである。またさらなる態様では、R4は、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはそれはエチルであり、或いはそれはメチルである。またさらなる態様では、R4は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。またさらなる態様では、R5は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。
【0020】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4がYであり、及びR5がヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C10アルキルである、式Iの化合物である式I−6の化合物である。さらなる態様では、R5は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。
【0021】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R4及びR5が同一であり、且つともにYである、式Iの化合物である式I―7の化合物である。
【0022】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R1及びR2が、全ての出現で、同時に水素または同時にC1〜C10アルキルのいずれかである、式I、I―1、I―2、I―3、I―4、I―5、I―6、またはI―7の化合物である式I−8の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2は、全ての出現で、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。
【0023】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒になってC3〜C12シクロアルキル環を形成する、式I、I―1、I―2、I―3、I―4、I―5、I―6、またはI―7の化合物である式I―9の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロヘキシル環を形成する。
【0024】
いくつかの態様では、本発明のアミノアルコールは、式中全ての出現でR3がHである、式I、I―1、I―2、I―3、I―4、I―5、I―6、I―7、I―8、またはI―9の化合物である式I−10の化合物である。
【0025】
いくつかの態様では、アミノアルコールは、式中全ての出現でnが1である、式I、I―1、I―2、I―3、I―4、I―5、I―6、I―7、I―8、I―9、またはI―10の化合物である式I−11の化合物である。
【0026】
いくつかの態様では、アミノアルコールは、式中全ての出現でnが0である(すなわち丸括弧内が存在しない)、式I、I―1、I―2、I―3、I―4、I―5、I―6、I―7、I―8、I―9、またはI―10の化合物である式I−12の化合物である。
【0027】
いくつかの態様では、アミノアルコールは、表1において示される化合物である。
【表1】

【0028】
式Iの化合物は、酸性塩の形態であり得る(例えば下記の塗料及びコーティング中和剤としてのそれらの用途)。適切な塩は、これらに限定されないが、塩酸、ホウ酸、乳酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、アゼライン酸、クエン酸、安息香酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トールオイル脂肪酸、エチレンジアミン四酢酸等の材料を含める。
【0029】
他の観点では、本発明は、(後述の方法を用いて)式Iのアミノアルコール化合物が調製され得るニトロアルコール化合物を提供する。ニトロアルコール化合物は、式II:
【化6】

(式中R1及びR2は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり、或いはR1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、任意にC1〜C6アルキル(例えば独立して選定された1個または2個のかかる基)により置換されたC3〜C12シクロアルキル環を形成し;
3は、H、C1〜C10アルキル、或いは任意にC1〜C6アルキル、アリール、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、またはエステルから独立して選定された1個または2個の置換基により置換されたアリールであり、但しnが0である場合、R3は、Hであり;
4は、H、任意にヒドロキシ(例えば、1個または2個のヒドロキシ、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキル、−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)、またはY’であり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり;
5、R8、及びR9は、独立してH、任意にヒドロキシ(例えば、1個または2個のヒドロキシ、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキル、またはY’であり;並びに
Y’は、式:
【化7】

の基である)のものである。
【0030】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5及びR8が同一であり、且つHまたはC1〜C10アルキルであり;並びにR9がHである、式IIの化合物である式II−1の化合物である。さらなる態様では、R5及びR8は、同一であり、且つC1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0031】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5及びR8が同一であり、且つHまたはC1〜C10アルキルであり、並びにR9がY’である、式IIの化合物である式II−2の化合物である。さらなる態様では、R5及びR8は、同一であり、且つC1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0032】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5がHまたはC1〜C10アルキルであり、並びにR8及びR9が同一であり、且つ共にY’である、式IIの化合物である式II−3の化合物である。さらなる態様では、R5は、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。またさらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0033】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4が−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)であり、R5、R8及びR9が同一であり、且つ全てY’である、式IIの化合物である式II−4の化合物である。さらなる態様では、R6及びR7は、共に水素である。
【0034】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4がH、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルであり、及びR5がヒドロキシ(いずれの場合も、好適には1個のヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキルである、式IIの化合物である式II−5の化合物である。さらなる態様では、R4は、Hである。またさらなる態様では、R4は、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはそれはエチルであり、或いはそれはメチルである。またさらなる態様では、R4は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。またさらなる態様では、R5は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。
【0035】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4がY’であり、及びR5がヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C10アルキルである、式IIの化合物である式II−6の化合物である。さらなる態様では、R5は、ヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C6アルキル、或いはヒドロキシ(好適には1個のヒドロキシル基)により置換されたC1〜C3アルキル、或いはそれは2−ヒドロキシエチルである。
【0036】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R4及びR5が同一であり、且つともにY’である式IIの化合物である式II―7の化合物である。
【0037】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R1及びR2が、全ての出現で、同時に水素または同時にC1〜C10アルキルのいずれかである、式II、II―1、II―2、II―3、II―4、II―5、II―6、またはII―7の化合物である式II−8の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2は、全ての出現で、C1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。
【0038】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒になってC3〜C12シクロアルキル環を形成する、式II、II―1、II―2、II―3、II―4、II―5、II―6、またはII―7の化合物である式II―9の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロヘキシル環を形成する。
【0039】
いくつかの態様では、本発明のニトロアルコール化合物は、式中全ての出現でR3がHである、式II、II―1、II―2、II―3、II―4、II―5、II―6、II―7、II―8、またはII―9の化合物である式II−10の化合物である
【0040】
いくつかの態様では、ニトロアルコール化合物は、式中全ての出現でnが1である、式II、II―1、II―2、II―3、II―4、II―5、II―6、II―7、II―8、II―9またはII―10の化合物である式II−11の化合物である。
【0041】
いくつかの態様では、ニトロアルコール化合物は、式中全ての出現でnが0である(すなわち丸括弧内が存在しない)、式II、II―1、II―2、II―3、II―4、II―5、II―6、II―7、II―8、II―9またはII―10の化合物である式II−12の化合物である。
【0042】
いくつかの態様では、ニトロアルコール化合物は、表2において示される通りである。
【表2】

【0043】
さらなる観点では、本発明は、(後述の方法を用いて)式Iのアミノアルコール化合物及び式IIのニトロアルコール化合物が調製され得るニトロ化オキシラン化合物を提供する。ニトロ化オキシラン化合物は、式IIIA:
【化8】

(式中R1及びR2は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり、或いはR1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、任意にC1〜C6アルキルにより置換されたC3〜C12シクロアルキル環を形成し;並びにR3は、H、C1〜C10アルキル、またはフェニルである)のものである。
【0044】
いくつかの態様では、本発明のニトロ化オキシランは、式中R1及びR2が、同時に水素または同時にC1〜C10アルキルである、式IIIAの化合物である式IIIA−1の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2は、同時にC1〜C6アルキル、或いはC1〜C3アルキル、或いはメチルである。
【0045】
いくつかの態様では、本発明のニトロ化オキシランは、式中R1及びR2が、それらが結合した炭素と一緒になって、任意にC1〜C6アルキルにより置換されたC3〜C12シクロアルキル環を形成する、式IIIAの化合物である式IIIA−2の化合物である。さらなる態様では、R1及びR2、並びにそれらが結合した炭素は、シクロヘキシル環を形成する。
【0046】
いくつかの態様では、ニトロ化オキシランは、R3がHである式IIIA、IIIA−1、またはIIIA−2の化合物である式IIIA−3の化合物である。
【0047】
いくつかの態様では、ニトロ化オキシラン化合物は、2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランである。いくつかの態様では、ニトロ化オキシラン化合物は、2−((l−ニトロシクロヘキシル)メチル)オキシランである。
【0048】
さらなる観点では、本発明は、式Iの化合物が中和剤として存在する水性に基づく塗料またはコーティングを提供する。塗料及びコーティングは、床、自動車、家の外装及び内装、並びに他の建物用等の住宅用及び工業用表面のための、保護的及び/または装飾的障壁を提供するために使用される。本発明の観点によれば、塗料及びコーティング配合物は、中和剤を含んで成ることに加えて、結合剤、顔料、及び担体も含んで成る。
【0049】
顔料は、最終コーティング材料に隠蔽力及び所望される色を提供するために含められ、且つ塗料またはコーティングに体積を提供するためにも使用され得る。多数の顔料が最終用途の塗料またはコーティングにおいて存在し得るが、たまに酸化チタン等の白色顔料のみが、おそらく炭酸カルシウム及び/またはカオリン粘土等の体質顔料との組み合わせにおいて、配合物の形成の早い段階において添加される。任意の他の所望される多様な色の顔料(より白色の顔料を含める)は、任意に配合物が形成される遅い段階で、または配合物が形成された後に添加され得る。
【0050】
顔料は、有機または無機であり得る。顔料の例は、これらに限定されないが、二酸化チタン、カオリン粘土、焼成カオリン粘土、カーボンブラック、酸化鉄ブラック、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、酸化鉄ブラウン、有機赤色顔料(キナクリドンレッド、並びに金属化及び非金属化アゾレッド(例えば、リソール、リソールルビン、トルイジンレッド、ナフトールレッド)を含める)、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノ-またはジ-アリライドイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、複素環式イエロー、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレット等、及び任意のその組み合わせを含め得る。
【0051】
結合剤は、顔料粒子が分散及び懸濁されるネットワークを提供するために、塗料及びコーティング配合物中に含められる。結合剤は、まとまって顔料粒子に結合し、そして塗料またはコーティングフィルムに全体性及び接着を提供する。一般的に、2つの分類の結合剤が存在し、ラテックス結合剤は、水性に基づく配合物において使用され、そしてアルキドに基づく結合剤は、非水性配合物において使用され、最終的にそれぞれラテックス塗料及びコーティング、並びにアルキド塗料及びコーティングをもたらす。
【0052】
ラテックスに基づく塗料及びコーティング配合物における結合剤は、典型的にアクリル酸アルキル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/またはアクリル酸2-エチルヘキシル)、メタクリル酸アルキル、ビニルアルコール/酢酸塩、スチレン、並びに/或いはアクリロニトリル、そしてエチレンタイプ単量体を含む単量体混合物の水性エマルション重合を開始するフリーラジカルによって調製される。好適な結合剤は、アクリル系、ビニルアクリル系、スチレン化−アクリル系、または酢酸ビニルエチレンに基づく材料を含める。本発明の配合物における結合剤の量は、塗料及びコーティング配合物において慣用的に使用される量であってよく、それは特定の塗料配合物の所望される光沢/艶の範囲、そしてさらに固体濃度に起因して幅広く変えることができる。非限定的な実施例の方法による結合剤固体の量は、配合物の総重量に基づき、約2重量%〜約75重量%、或いは約5重量%〜約65重量%、或いは約20重量%〜約55重量%であり得る。
【0053】
さらに配合物は、配合物成分が溶解され、分散され、及び/または懸濁される担体を含む。本発明の水性に基づく配合物における担体は、通常水であるが、水−アルコール混合物等の他の水に基づく溶液も使用され得る。水性担体は、一般的に全ての他の成分が計上された後に、配合物のバランスを作り出す。
【0054】
他の添加剤は、上記に検討された中和剤、顔料、結合剤、及び担体に加えて、塗料及びコーティング配合物中に含められ得る。これらは、以下に限定されないが、レベリング剤及び界面活性剤、増粘剤、レオロジー改良剤、プロピレングリコールまたはエチレングリコールを含めるグリコール等の共溶媒、腐食防止剤、消泡剤、共分散剤、追加のアミノアルコール化合物、並びに殺生物剤を含める。
【0055】
本発明の塗料及びコーティング配合物は、当業者に周知である慣用の塗料製造技術によって製造され得る。典型的に、配合物は、2つのステップの方法によって製造される。一般に研磨段階と呼ばれる最初の分散段階は、一定の高せん断撹拌下で、乾燥顔料を、ほとんどの他の固体粉体配合物材料を含める他の研磨段階成分と混合して、高粘性及び高固体混合物を提供することによって調製される。方法のこの部分は、効果的に湿るように設計され、そして乾燥顔料を解凝集させ、そしてそれらを水性分散において安定させる。
【0056】
塗料製造方法の第二のステップは、研磨混合よりも一般的に少ない粘性である残存配合物成分により粘性研磨物が希釈されるために、一般に減弱(letdown)または薄化(thindown)段階と呼ばれる。典型的に、結合剤、任意の予め分散させた顔料、並びに混合及びおそらく穏やかなせん断のみを要求する任意の他の塗料材料は、減弱段階の間に組み入れられる。減弱段階は、研磨混合を含む容器中に減弱成分を連続して添加することによって、またはラテックス樹脂及び他の減弱成分の前混合を含む容器中に研磨混合を添加し、その後に最終減弱成分を連続添加することによって成され得る。いずれの場合も、一定の撹拌は必要とされるが、高せん断の適用は要求されない。本発明の中和剤化合物は、典型的に製造方法中の3つの異なる箇所:顔料分散、結合剤分散、及び/または塗料配合物の最終添加の1つ以上で、配合物に添加される。使用される量は、配合物の所望されるpHに基づき決定される。典型的に、化合物の量は、約8〜10、より好適には約8.5〜9.5の範囲内で最終pHを提供するように添加される。
【0057】
さらなる観点では、本発明は、中和剤、結合剤、担体、及び顔料を含む水性に基づく塗料またはコーティングの揮発性有機化合物含有量を減少させるための方法を提供する。方法は、中和剤として有効量の式Iの化合物を使用することを含んで成る。上述の通り、有効量は、塗料またはコーティング配合物中で約8〜10、好適には8.5〜9.5のpHを提供するために要求される量である。
【0058】
本発明は、さらに上記のアミノアルコール化合物の製造方法、並びにそれらの前駆体化合物を提供する。スキームIは、方法を説明する。スキームIにおけるR1、2、R3、R4、R5、R6、X、m、及びnは、全てのその態様を含めて、式I、II、及びIIIAの化合物に関する上記定義と同一である。
【化9】

【0059】
式IVのニトロ化アルケンは、商業的に入手可能であるか、または周知の文献技術を用いて当業者によって容易に調製され得る。例えば上記の式IIIAの化合物を含める式IIIのニトロアルキル−オキシラン化合物は、エポキシ化反応による式IVニトロ化アルケンのエポキシ化によって調製され得る。アルケンをエポキシ基に酸化することができる任意のエポキシ化剤が使用され得る。典型的なエポキシ化剤は、m−CPBA、Oxone、及び過酸化水素を含める。好適なエポキシ化剤は、メタ−クロロ過安息香酸(m−CPBA)である。典型的に反応は、不活性雰囲気下、且つ塩化メチレン等の溶媒の存在中で行われる。過剰のエポキシ化剤も使用され得る。反応は、約0〜約55℃、好適には0〜45℃の間の温度で行われ得る。反応が起こるのに十分な時間、例えば1〜6時間後に、所望される生成物は、公知技術を用いて単離または精製され得る。
【0060】
実施例のエポキシ化反応を経由して、式IIIAのニトロ化オキシランは、式IVA:
【化10】

のニトロ化アルケン化合物のエポキシ化によって、上記の方法を用いて調製され得る。好適には反応は、塩化メチレン中で、0〜45℃の温度で行われる。好適にはm−CPBAは、エポキシ化剤として使用される。
【0061】
式IIのニトロアルコール化合物を調製するための方法は、式IIIのニトロアルキルオキシラン化合物をアミン化合物と組み合わせることを含んで成る。アミン化合物は、式HNR1011(R11は、H、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルであり;且つR10は、H、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、または−(C(R6)(R7))m−N(R12)(R13)であり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してH、またはC1〜C10アルキルであり、且つR12及びR13は、独立してH、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルである)を有し得る。
【0062】
いくつかの態様では、アミン中のR10は、Hであり、且つR11は、ヒドロキシ(好適には1つのヒドロキシ)により置換されたC1〜C10アルキルである。
【0063】
いくつかの態様では、アミン中のR10は、C1〜C10アルキルであり、且つR11は、−(C(R6)(R7))m−N(R12)(R13)である。さらなる態様では、R6、R7、及びR12は、Hであり、且つR13は、C1〜C10アルキルである。
【0064】
いくつかの態様では、式HNR1011のアミンは、N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、エタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、エタン−1,2−ジアミン、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、アンモニア、またはヘキサメチレンジアミンである。
【0065】
アミン化合物に対する式IIIのニトロアルキルオキシランのモル当量数は、所望される最終生成化合物に基づき、通常の当業者によって選定され得る。いくつかの態様では、少なくとも1モル当量のニトロアルキルオキシランが使用され、いくつかの態様では、2モル当量以上が使用される。さらなる態様では、アミン化合物に対して、少なくとも2モル当量、或いは少なくとも3モル当量、或いは少なくとも4モル当量のニトロアルキルオキシランが使用される。
【0066】
反応は、50〜80℃等の上昇した温度で、且つ1〜12時間等の結合を生じさせるために十分な時間において行われ得る。溶媒は任意に使用され得る。反応後に式IIのニトロアルコール化合物は、当業者に周知の技術を用いて、反応混合物から精製または単離され得る。或いは生成物は、単離及び/または精製をしないで使用され得る。いくつかの態様では、生成物は、式IIのニトロアルコール化合物の混合物である。
【0067】
式IIのニトロアルコール化合物は、脂肪族ニトロ基を還元することができる任意の試薬を用いる還元を介して、式Iのアミノアルコールに変換され得る。
【0068】
かかる還元剤の例は、触媒、例えばラネーニッケル、または白金もしくはパラジウムに基づく触媒(担体、例えば炭素の有無を問わず、元素形態にある、または酸化物としてのPtまたはPd)との組み合わせにある水素ガス;及び金属/酸の組み合わせ、例えば鉄/酢酸を含める他の還元剤;アルミニウム水素化物、例えばVITRIDEを含める。好適な還元剤は、任意の以下の触媒:ラネーニッケル、白金、またはパラジウムとの組み合わせにある水素ガスを含める。ニトロ基の水素化のための条件は、周知である。例えば約20〜80℃の温度範囲、約100〜1000psi(690kPa〜6900kPa)の圧力が典型的であるが、これらは、当業者によって容易に調整され得る。いくつかの態様では、還元された生成物は、式Iのアミノアルコールの混合物である。
【0069】
本発明のアミノアルコール化合物は、水性に基づく塗料及びコーティング配合物における中和剤として有用である。化合物は、非常に低いVOCを有するという利益を持つ優れた低臭気材料である。好都合に本発明の化合物は、塗料及びコーティングにおいて使用される場合、慣用の中和アミンによって提供されるものに匹敵する性能特性を与える。その結果として、低臭気及び低VOCの利点は、塗料またはコーティングの他の特質に重大な影響を及ぼさずに、本発明のアミノアルコール化合物により達成される。さらに本発明のアミノアルコール化合物は、塗料及びコーティング配合物において存在する顔料粒子のための効果的な共分散剤である。
【0070】
本明細書において使用される用語"アルキル"とは、示された数の炭化水素を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味する。数が示されていない場合には、アルキルは、1〜10個の炭素原子、好適には1〜3個の炭素原子を含む。アルキルの代表例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びn−ヘキシルを含める。“任意にヒドロキシにより置換された”とは、アルキルの1、2、または3個の水素がOH基により置き換わり得ることを意味する。ヒドロキシル基は、内部もしくは末端炭素、または両方において存在し得る。ヒドロキシにより置換される好適なアルキルは、1つのかかるヒドロキシを含む。さらに好適には、ヒドロキシは、末端炭素上にある。
【0071】
本明細書において用いられる用語"シクロアルキル"とは、3〜12個の炭素、好適には5〜8個の炭素を有する飽和した、及び部分的に飽和した環状炭化水素基を含める。好適なシクロアルキル基は、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを含める。
【0072】
用語"アリール"とは、1〜3個の芳香族環を含んで成るC6〜C12芳香族部位を意味する。好適にはアリール基は、C6〜C10アリール基である。好適なアリール基は、これらに限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフルオレニルを含める。
【0073】
他に断りのない限り、本明細書において使用される比率、パーセンテージ、部等は、重量による。
【0074】
以下の実施例は、本発明の実例となるが、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0075】
[実施例1]
4−メチル―4−ニトロペンタ−1−エンの調製
【化11】

滴下漏斗、温度調節器、窒素排気口、撹拌子及びコンデンサーを備えた三つ口の500mL丸底フラスコに、17.3g(0.309mol)の水酸化カリウム(KOH)、50mLのメタノール及び150mLのイソプロパノールを添加する。添加は、室温で行うが、塩基は、温度が20℃上昇している溶媒中に溶けている。窒素下で、20分間塩基溶液を撹拌にかけ、そしてその間にフラスコの温度を35℃まで下げる。混合物を激しく撹拌しながら、25gの2−ニトロプロパン(“2−NP”)(0.281mol)を上記の塩基溶液にゆっくり添加する。混合物を10分間撹拌し、そして酢酸パラジウム(0.56mmol)/トリフェニルホスフィン(1.7mmol)を触媒として添加する。窒素下で、さらに5分間、得られた黄色の溶液を撹拌し、そしての滴下漏斗を介して、30.9gの酢酸アリルを混合物に滴下し添加する。酢酸塩を添加する間に、反応混合物は暗色に濁り、その後に暗褐色から澄んだオレンジ色になり、そして最終的に添加完了後には澄んだ黄色になる。添加の間に温度を約60℃まで上げる。この時点で熱の電源を入れ、混合物を6時間、60℃で撹拌し、引き続き一晩室温で撹拌する。翌日、混合物を再び60℃まで加熱し、引き続き室温で一晩撹拌する。総反応時間は、48時間である。
【0076】
反応が完了した後、フラスコの内容物を300mLの水を含む分液漏斗に注ぐ。有機層をペンタン(3×150mL)で抽出し、そしてMgSO4下で乾燥させる。ロータリーエバポレーター下で過剰な溶媒を揮散させ、そして20gの黄色の溶液を得る。溶液を25mmHgでの真空蒸留により精製すると、17g(53%)の4−メチル―4−ニトロペンタ−1−エンが、無色の溶液として、96〜98%の純度で得られる。GCにおけるアルケンの保持時間は、7.4分である。GC/MS分析は、[MH]+m/z83を示す。1H NMR(CDCl3):δ0.91(s,6H)、δ2.63(d,2H)、δ5.07〜5.17(m,2H)及びδ5.59(m,1H)。13C NMR(CDCl3):δ25.3、44.8、87.6、120及び131ppm。
【0077】
[実施例2]
2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランの調製
【化12】

滴下漏斗、温度調節器、窒素排気口、撹拌子及びコンデンサーを備えた三つ口100mL丸底フラスコに、1.54g(11mmol)のアルケン及び15mLのCH2Cl2を添加する。25mLのCH2Cl2中に溶解した2.68g(16mmol)のmCPBAを溶液にゆっくり添加する。添加完了後に、反応を6時間還流し、そして反応の進み具合をGCによって監視する。6時間後には、エポキシドへの約80%の変換がある。反応を室温に冷却し、そして溶液から抜け出して衝突する固体のmCPBAを重力ろ過によって除去する。再び黄色のろ液をフラスコの中に入れ、そしてCH2Cl2中の0.3mol当量のmCPBA溶液をフラスコに添加する。再び混合物を2時間還流し、そしてこの時点で、エポキシドへの100%変換が得られる。反応混合物を室温まで冷却し、そして重力ろ過により過剰のmCPBAを除去する。10%のNa2C03(3×15mL)により有機層を洗浄し、引き続きブライン(3×15mL)により洗浄する。有機層をMgS04下で乾燥させ、そして過剰な溶媒をロータリーエバポレーター下で揮散させる。これは、0.73g(50%)の純粋なエポキシドを与える。GCでのエポキシドの保持時間は、11.0分である。1H NMR(CDC13):δ1.62(s,6H)、δ1.96(m,2H)、δ2.32(m,1H)、δ2.53(m,1 H)及びδ2.97(m,1H)。13C NMR(CDC13):δ25.3、26.9、43.3、46.0、47.9及び87.0ppm。
【0078】
[実施例3]
2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランとN,N’−DMEDAの反応(3)
【化13】

撹拌子、コンデンサー、及び窒素排気口を備えた一口の100mL丸底フラスコに、16.6g(0.114mol)の2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシラン及び5.0g(0.057mol)のN,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミンを添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、引き続き60℃で2時間、そして80℃で6時間加熱する。黄色のオキシランは、暗いオレンジ色になり、且つ得られた生成物は、高い粘性を有する。得られた混合物のGC分析は、出発原料が6時間の反応の間に消費され、且つ20.1分の保持時間により1つの生成物のみが存在していることを示す。この新規のピークは、単一付加体に対応する。ビス付加体の分子量はとても大きいので、GCにおいて溶出できない。化合物3は、NMRによって特徴付けられる。13C NMR(CDCl3):δ25.6、25.7、43.2、44.6、53.9、63.7、64.2及び87.7ppm。スペクトル上の余分なピークは、反応の間に中間体として形成されたモノ付加体に対応する。
【0079】
[実施例4]
2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランとエタノールアミンの反応(4)
【化14】

撹拌子、コンデンサー、及び窒素排気口を備えた一口の100mL丸底フラスコに、20g(0.18mol)の2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシラン及び5.7g(0.09mol)のエタノールアミンを添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、引き続き60℃で2時間、そして80℃で8時間加熱する。黄色のオキシランは、暗いオレンジ色になり、且つ得られた生成物は、高い粘性を有する。得られた混合物のGC分析は、出発原料が8時間の反応の間に消費され、且つ20.4分の保持時間により1つの生成物のみが存在していることを示す。この新規のピークは、単一付加体に対応する。ビス付加体の分子量はとても大きいので、GCにおいて溶出できない。化合物4は、NMRによって特徴付けられる。13C NMR(CDCl3):δ25.1、25.7、44.0、50.2、54.5、59.9、65.0及び86.6ppm。スペクトル上の余分なピークは、反応の間に中間体として形成されたモノ付加体に対応する。
【0080】
[実施例5]
Ν,Ν'-DΜΕDΑのアミノ誘導体(5)を形成するための化合物3の水素化
【化15】

2リットルの撹拌ParrオートクレーブにRaNi 3111(19.8g)及び200mLのメタノールを添加する。オートクレーブを密閉し、そして50psiのN2を加圧、引き続き5psiまでの通気の3サイクルを介してパージする。さらにH2ガスを用いてこれを繰り返す。パージ後、オートクレーブの圧力を450psiのH2まで上げる。その後、密閉した反応器を600rpmで撹拌し、そしてこの時点で熱の電源を入れる。一度、圧力を600psiまで上げ、オートクレーブの温度を60℃に到達させる。この時点で、300mLのメタノールに溶けた化合物3(29g、0.076mol)を、ポンプを介して、7.0mL/分で、RaNiを含むオートクレーブに添加する。添加完了後、ポンプの電源を切り、そしてオートクレーブの内容物を60℃で1時間撹拌し、引き続き45℃で、さらに0.5時間撹拌する。オートクレーブ中の内容物を室温に冷却し、残りの水素を放出し、そして反応器を開放する。吸引ろ過を通して、生成物をRaNiからろ過し、そして過剰のメタノールをロータリーエバポレーターによって揮散させる。この工程は、22.7g(93%−粗)の深紅色の粘性のあるオイルをもたらす。GC/MS分析は、[MH]+m/z 319及び26.0分の保持時間によりビス付加体5を示す。VOCの粗原料は、12.4である。VOCは、ニート原料を110℃で1時間加熱し、そして重量損失を計算することによって決定される。13C NMR(CDCl3):δ32.1、42.7、50.9、51.0、55.4、64.0及び65.9ppm。GC−MS分析は、表題のビス生成物に加えて、さらに開環ステップの間に形成されるモノ付加体及び加水分解生成物も還元(アミン)型において存在することを示す。これらの化合物に対応するシグナルは、NMRにおいても検出される。
【0081】
[実施例6]
エタノールアミンのアミノ誘導体(6)を形成するための化合物4の水素化
【化16】

2リットルの撹拌ParrオートクレーブにRaNi 3111(27.8g)及び200mLのメタノールを添加する。オートクレーブを密閉し、そして50psiのN2を加圧、引き続き5psiまでの通気の3サイクルを介してパージする。さらにH2ガスを用いてこれを繰り返す。パージ後、オートクレーブの圧力を450psiのH2まで上げる。その後、密閉した反応器を600rpmで撹拌し、そしてこの時点で熱の電源を入れる。一度、圧力を600psiまで上げ、オートクレーブの温度を60℃に到達させる。この時点で、300mLのメタノールに溶けた化合物4(34g、0.096mol)を、ポンプを介して、7.0mL/分で、RaNiを含むオートクレーブに添加する。添加完了後、ポンプの電源を切り、そしてオートクレーブの内容物を60℃で1時間撹拌し、引き続き45℃で、さらに0.5時間撹拌する。オートクレーブ中の含有物を室温まで冷却し、残りの水素を放出し、そして反応器を開放する。吸引ろ過を通して、生成物をRaNiからろ過し、そして過剰のメタノールをロータリーエバポレーターによって除去する。この工程は、26.3g(94%−粗)の深紅色の粘性のあるオイルをもたらす。GC/MS分析は、[MH]+m/z 292及び26.2分の保持時間によりビス付加体6を示す。VOCの粗原料は、14.2である。VOCは、ニート原料を110℃で1時間加熱し、そして重量損失を計算することによって決定される。13C NMR(CDCl3):δ32.4、32.7、44.8、50.9、62.4、63.8、66.0及び67.5ppm。GC−MS分析は、表題のビス生成物に加えて、さらに開環ステップの間に形成されるモノ付加体及び加水分解生成物も還元(アミン)型において存在することを示す。これらの化合物に対応するシグナルは、NMRにおいても検出される。
【0082】
[実施例7]
2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランとモノメチルエタノールアミンの反応(7)
【化17】

撹拌子、コンデンサー、及び窒素排気口を備えた一口の50mL丸底フラスコに、4.25g(0.029mol)の2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシラン及び2.87mL(0.09mol)のモノメチルエタノールアミンを添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後に75℃で3時間加熱する。黄色のオキシランは、暗いオレンジ色になり、且つ得られた生成物は、高い粘性を有する。得られた混合物のGC分析は、出発原料が3時間の反応時間の間に消費されることを示す。存在する主要な生成物は、20.8分の保持時間を有し、且つGC-MS CIは、新規のピークが[M+H]=221.1により1−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−4−メチル−4−ニトロペンタン−2−オール(7)であることを裏付ける。水素化反応は、任意のさらなる精製をせずに、粗生成物において成される。
【0083】
4−アミノ−l−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−4−メチルペンタン−2−オール(8)を調製するための化合物(7)の水素化
【化18】

300mLのParrオートクレーブにメタノール(150mL)、ラネーニッケル触媒(R−3111、2.2g湿重量)及び化合物(7)(6.2g粗)を添加する。反応器を密閉し、窒素によりパージし、引き続き水素によりパージし、そしてその後に450psiの水素圧下で、60℃にまで持っていく。オートクレーブ温度が60℃に到達すると、反応器圧は約630psiまで上がる。反応において水素がもはや消費されなければ、反応は停止する。全反応は、完了するまで2時間かかる。室温まで冷却した後、反応器を通気し、そして真空ろ過を介して触媒を単離する。ロータリーエバポレーター上で茶色のろ液を揮散させ(45〜50℃/29〜30“真空)、水/メタノールを除去する。上記の工程は、5.12gの粗混合物を提供し、且つGCによれば、存在する所望される材料の90%を有する。GC−MS CIは、17.5分の保持時間より[M+H]=191を与え、4−アミノ−1−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−4−メチルペンタン−2−オール(8)の形成を裏付ける。
【0084】
[実施例8]
(9)を作るための2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランとヘキサン−1,6−ジアミンの反応
【化19】

撹拌子、コンデンサー及び窒素排気口を備えた一口の50mL丸底フラスコに、4.60g(0.03mol)の2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシラン及び0.85g(0.007mol)のヘキサン−1,6−ジアミンを添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、引き続き80℃で8〜10時間加熱する。黄色のオキシランは、暗褐色になり、且つ得られた生成物は、高い粘性を有する。得られた混合物のGC分析は、出発原料が8〜10時間の反応時間の間に消費されることを示す。ニトロアミン生成物は、大きすぎてGC−MS上に現れることができなく、且つ一旦GCにおける出発原料のピークが消失したら、反応は完了したものと見なされる。得られた暗褐色の高粘性材料は、そのままの状態で水素化ステップに取り入れられる。
【0085】
化合物(10)を調製するための化合物(9)の水素化
【化20】

300mLのParrオートクレーブにメタノール(150mL)、ラネーニッケル触媒(R−3111、2.2g湿重量)、及び50mLのMeOHに溶けた化合物(9)(5g粗)を添加する。反応器を密閉し、窒素によりパージし、引き続き水素によりパージし、そしてその後に450psiの水素圧下で、60℃にまで持っていく。温度が60℃に到達すると、反応器圧は約730psiまで上がる。反応において水素がもはや消費されなければ、反応は停止する。全反応は、完了するまで2〜2.5時間かかる。室温まで冷却した後、反応器を通気し、開放し、そして真空ろ過を介して触媒を単離する。ロータリーエバポレーター上で茶色のろ液を揮散させ(50〜55℃/28〜29”真空)、水/メタノールを除去する。上記の工程は、3.8gの粗混合物を産する。従って、化合物(10)は、[M+H]=577によりLC/MSにより同定される。サンプル中の主要な不純物は、2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランの合成の間に持ち越されたものである。
【0086】
[実施例9]
1−アリル−1−ニトロシクロヘキサンの調製
【化21】

滴下漏斗、温度調節器、窒素排気口、撹拌子及びコンデンサーを備えた三つ口の2L丸底フラスコに、71g(1.27mol)の水酸化カリウム(KOH)、3000mLのメタノール及び300mLのイソプロパノールを添加する。添加は、室温で行われるが、塩基は、温度が約30℃上昇している溶媒中に溶けている。窒素下で、20分間、塩基溶液を撹拌にかける。この時間の間にフラスコの温度を44.7℃まで下げる。激しく撹拌しながら、156gのニトロシクロヘキサン(“NCyHex”)(1.16mol)を上記の塩基溶液にゆっくり添加する。混合物を10分間撹拌し、そして酢酸パラジウム(0.56mmol)/トリフェニルホスフィン(1.7mmol)を触媒として添加する。窒素下で、さらに5分間、得られた黄色の溶液を撹拌し、そして滴下漏斗を介して、139・5mL(1.06mol)の酢酸アリルを混合物に滴下し添加する。酢酸塩を添加する間に、反応混合物は、透明でない茶色に変わる。添加の間に温度を上げる。この時点で熱の電源を入れ、そして混合物を8時間、55℃で撹拌し、引き続き一晩室温で撹拌する。翌日、混合物を再び55℃まで加熱し、引き続き室温で一晩撹拌する。反応完了後、フラスコの内容物を600mLの水を含む分液漏斗に注ぐ。有機層をペンタンにより抽出し(3×200mL)、そしてMgS04下で乾燥させる。ロータリーエバポレーター下で過剰な溶媒を除去し、そして167g(93.5%)の所望される1−アリル−1−ニトロシクロヘキサン(11)の濃い茶色の溶液を90.7%の純度で得る。GC/MS分析は、[MH]+m/z123を示す。
【0087】
[実施例10]
2−((1−ニトロシクロヘキシル)メチル)オキシラン(12)の調製
【化22】

滴下漏斗、温度調節器、窒素排気口、撹拌子及びコンデンサーを備えた一口の500mL丸底フラスコに、約37gのmCPBA(72%純度、0.15mol)及び100mLのCH2Cl2を添加する。反応スラリーを温めて、全ての固体をCH2Cl2に溶かす。一旦、透明の溶液が得られたら、20g(0.12mol)の1−アリル−1−ニトロシクロヘキサン(11)をゆっくり添加する。添加完了後に、反応を2時間還流し、そして室温で48時間撹拌する。反応の進み具合をGCによって監視する。ほぼ50時間継続後の反応混合物中のエポキシド組成物は、約38.5%である。溶液から抜け出して衝突する固体のmCPBAを重力ろ過によって除去する。10%のNa2CO3(3×30mL)により有機層を洗浄し、引き続きブライン(3×30mL)により洗浄する。有機層をMgSO4下で乾燥させ、そして過剰の溶媒をロータリーエバポレーター下で揮散させる。これは、11.8gの粗原料を与える。GCにおけるエポキシドの保持時間は、18.3分である。エポキシドの存在は、GC−MS CIによって裏付けられる。親イオンは、NO2基の不安定な性質のせいで検出されない。しかしながら、NO2を差し引いたフラグメントは、認められる。CI GC/MS、[C915O]+=139。
【0088】
[実施例11]
1−((2−ヒドロキシエチル)メチル)アミノ)−3−(1−ニトロシクロヘキシル)プロパン−2−オール(13)の調製
【化23】

撹拌子、コンデンサー及び窒素排気口を備えた一口の100mL丸底フラスコに、3.24g(34.6%純度、0.018mol)の2−((l−ニトロシクロヘキシル)メチル)オキシラン及び1.31g(0.018mol)のモノメチルエタノールアミンを添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、40℃で1.5時間加熱する。黄色のオキシランは、暗いオレンジ色になり、且つ得られた生成物は、高い粘性を有する。この時間後の反応混合物のGCは、まだエポキシドの存在を示す。この時点で、0.7mL(0.65g)の追加のモノメチルエタノールアミンを添加し、そしてさらに1.5時間、40℃、及び一晩、室温で撹拌する。得られた混合物のGC分析は、ニトロエポキシド(12)が十分に消費されていることを示す。この時点で、反応は完了したものと見なされる。化合物(13)、1−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−3−(1−ニトロシクロヘキシル)プロパン−2−オールは、LC/MSによって[M+H]=261.17により同定された。エポキシ環開放ステップからの生成混合物は、水素化ステップにそのままの状態で使用される。
【0089】
[実施例12]
1−(1−アミノシクロヘキシル)−3−((2ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(14)の調製
【化24】

300mLのParrオートクレーブにメタノール(100mL)、ラネーニッケル触媒(R−3111、6.8g湿重量)、及び100mLのMeOH中に溶けた化合物(13)(20.8g粗)を添加する。反応器を密閉し、窒素によりパージし、引き続き水素によりパージし、そしてその後に400psiの水素圧下で、60℃にまで持っていく。温度が60℃に到達すると、反応器圧は約450psiまで上がる。反応において水素がもはや消費されなければ、反応は停止する。全反応は、完了するまで1〜1.5時間かかる。室温まで冷却した後、反応器を通気し、開放し、そして真空ろ過を介して触媒を単離する。ロータリーエバポレーター上で茶色のろ液を揮散させ(50〜55℃/28〜29”真空)、水/メタノールを除去する。上記の工程は、6.4gの粗混合物を提供する。所望される材料である化合物(14)を、GC−MS EI中で、22.7分の保持時間で溶出するが、分子イオンピークは、GCにおける分解のせいで見ることができない。1−(1−アミノシクロヘキシル)−3−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)プロパン−2−オール(14)の存在は、LC/MSによって、[M+H]=231.20により同定される。
【0090】
[実施例13]
pKa値のための滴定
水滴定は、自動滴定装置(Dosimat 685及び撹拌器728を有するMetrohm Titroprocessor 726)において、0.1NのHCl滴定剤により、電位差プローブと共に行う。滴定装置は、pH対滴定剤容積曲線からpKaを決定する。pKaは、最初の中和エンドポイントに対する滴定剤容積中間でpHに相当し、ビス−分子に対応する。エンドポイントは、曲線上の変曲点である。pKa値は、9.8〜10.3の範囲の化合物5及び6について記録した。
【0091】
[実施例14]
塗料配合物における中和、共分散アミンとしての有効性
中和及び共分散アミンとして発明の化合物5及び6を試験し、且つ水性に基づくラテックス半光沢配合物において商業用中和剤と比較する。比較の中和剤は、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
【0092】
化合物が試験される塗料配合物は、以下を含んで成るラテックスに基づく半光沢材料である。
二酸化チタン(例えばDuPontのTIPURE(商標)Rr942)及び重質炭酸カルシウム(例えばOmya,Inc.のOMYACARB(商標)UF)等の顔料(両顔料の合計20〜25%)。
The Dow Chemical CompanyのUCAR(商標)Latex379及び6030等の結合剤(両結合剤の合計40〜45%)。
ヒドロキシエチルセルロール(例えばDowのCELLOSIZE(商標)HEC)及び無溶媒、非イオン性会合性増粘剤/疎水的に改質されたポリエチレンオキシドウレタン−HEUR(Rohm and HaasのACRYSOL(商標)RM−5000)等の増粘剤及びレオロジー改良剤(両増粘剤の合計3〜5%)。
【0093】
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(比較)等の中和剤またはアミン、或いは化合物5または6(発明)は、等しい重量または等しいモルのいずれかで塗料配合物中に含められた(後の表を参照)。重量による量は、総塗料配合物のkgあたり約2〜7グラムの間で変化する。
【0094】
多様な試験化合物を含む配合物のpH、VOC、フィルム不透明度、及び光沢を以下の通り決定する。
【0095】
pH測定。配合物pHは、ThermoElectron Orion 9203BNコンビネーションpH電極を備えたFisher Scientific Accumet 15pH meterを用いて測定する。商業用pH緩衝剤は、それぞれの使用前に装置を調整するために使用する。報告された値は、それぞれの配合物を3つに独立して読み込んだ平均であり、プローブは、それぞれの測定の間にDI水で洗浄する。
【0096】
揮発性有機含有量(VOC)。VOCは、修正EPA法24に従い測定する。平鍋の中でニートアミンを計量し、そしてオーブンの中で1時間、105〜110℃で保つ。パーセント重量損失を測定し、そしてKarl Fisher滴定によって測定され得るサンプル中の水含有量を補正したVOCとして報告する。
【0097】
コーティング光学特性(不透明度及び光沢)。Symyx XCMモジュールに基づくオートメーション化された色/光沢/濃淡ロボットを用いて20、60、及び85°での不透明度、光沢、並びに乾燥フィルムの色を測定する。光ファイバーケーブルによってOcean Optics USB 4000分光計に接続された0.4”のサンプリングアパーチャーを有する球体を統合しているOcean Optics ISP−REFを用いて、色を測定する。測定は、D65照明により行われる。この機器は、Symyxコアモジュールロボットの左腕に位置し、多数の位置にあるサンプル上に比色計を動かすことを可能にする。この試験では、それぞれのLeneta紙の黒及び白の部分上の3つの分離した部分において測定を行う。光沢は、BYK micro−Tri−光沢計を用いて測定する。この器具は、サンプルをBenchCelサンプルホテルからモジュールのデッキへ動かすために用いられるプレートグリッパーと共にSymyxコアモジュールロボットの右腕に付随している。光沢は、Leneta紙の白及び黒の両方にかかるコーティング上の3つの異なるスポットで測定する。
【0098】
本発明の化合物と2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを比較するデータは、表3に示す。
【表3】

【0099】
結果から見ることがきるように、発明化合物5及び6は、商業用材料である2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと同等に、良好なフィルム不透明度及び光沢測定に変換可能である顔料の良好な共分散(粒子径分析によって表されるような)を達成する。好都合に本発明化合物は、商業用材料よりもかなり低いVOC寄与で、これらの匹敵する結果を提供する。さらに好都合に本発明化合物は、低VOC塗料配合物において低臭気を有する。
【0100】
本発明は、その好適な態様に従い上に記載されているが、それは本開示の精神及び範囲の中で修正され得る。したがって本出願は、本明細書において開示された一般原理を用いる本発明の任意の変化、用途、または適応にまで及ぶことが意図される。さらに本出願は、本発明が属する当業界において知られた、または当業界における慣行の範囲内にあり、且つ特許請求の範囲の限定の範囲内にあるような、本開示からのかかる逸脱にまで及ぶことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中nは、0または1であり;
1及びR2は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり、或いはR1及びR2は、それらが結合した炭素と一緒になって、任意にC1〜C6アルキルにより置換されたC3〜C12シクロアルキル環を形成し;
3は、H、C1〜C10アルキル、またはフェニルであり、但しnが0である場合、R3は、Hであり;
4は、H、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)、またはYであり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり;
5、R8、及びR9は、独立してH、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、またはYであり;並びに
Yは、式:
【化2】

の基である)の化合物またはその塩。
【請求項2】
式中R4=−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9);
5=R8=HまたはC1〜C10アルキル;及び
9=Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中R4=−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9);
5=R8=HまたはC1〜C10アルキル;及び
9=Yである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式中R4=−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9);
5=HまたはC1〜C10アルキル;及び
8=R9=Yである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式中R4=−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9);及び
5=R8=R9=Yである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式中R4=H、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル;及び
5=ヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式中R4=Y;及び
5=ヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式中R4=R5=Yである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式中全ての出現のnが、1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
1,1’−(エタン−1,2−ジイルビス(メチルアザンジイル))ビス(4−アミノ−4−メチルペンタン−2−オール) ; 1,1’−(2−ヒドロキシエチルアザンジイル)ビス(4−アミノ―4−メチルペンタン−2−オール);3,3’−(エタン−1,2−ジイルビス(メチルアザンジイル))ビス(1−(1−アミノシクロヘキシル)プロパン−2−オール);1−(1−アミノシクロヘキシル)−3−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)プロパン−2−オール;4−アミノ−1−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−4−メチルペンタン−2−オール;2,2’−(3−(1−アミノシクロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアザンジイル)ジエタノール;2,2’−(4−アミノ−2−ヒドロキシ―4−メチルペンチルアザンジイル)ジエタノール;4−アミノ−1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−メチルペンタン−2−オール;4−アミノ―4−メチル−1−(メチル(2−(メチルアミノ)エチル)アミノ)ペンタン−2−オール;4−アミノ−1−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルアミノ)−4−メチルペンタン−2−オール;1,1’,1’’,1’’’−(ヘキサン−1,6−ジイルビス(アザントリイル))テトラキス(4−アミノ―4−メチルペンタン−2−オール); 及びその2つ以上の混合物から成る群から選定される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式II:
【化3】

(式中R1、R2及びR3並びにnは、請求項1において定義された通りであり;
4は、H、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、−(C(R6)(R7))m−N(R8)(R9)、またはY’であり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり;
5、R8、及びR9は、独立してH、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、またはY’であり;並びに
Y’は、式:
【化4】

の基である)の化合物。
【請求項12】
式IIIA
【化5】

(式中R1、R2、及びR3は、請求項1において定義された通りである)の化合物。
【請求項13】
2−(2−メチル−2−ニトロプロピル)オキシランまたは2−((1−ニトロシクロヘキシル)メチル)オキシランである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
中和剤、結合剤、担体、及び顔料を含んで成り、前記中和剤が請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物である、水性に基づく塗料またはコーティング。
【請求項15】
レベリング剤、界面活性剤、増粘剤、レオロジー改良剤、共溶媒、腐食防止剤、消泡剤、共分散剤、追加のアミノアルコール化合物、及び殺生物剤から選定される1つ以上の追加の成分をさらに含んで成る、請求項14に記載の水性に基づく塗料またはコーティング。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって:
(a)式III:
【化6】

のニトロアルキルオキシラン化合物を式HNR1011(式中R11は、H、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルであり;及び
10は、H、任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキル、または−(C(R6)(R7))m−N(R12)(R13)であり、式中mは、1〜6の整数であり、且つR6及びR7は、独立してHまたはC1〜C10アルキルであり、且つR12及びR13は、独立してH、または任意にヒドロキシにより置換されたC1〜C10アルキルである)のアミンと組み合わせて、式II:
【化7】

の化合物を形成させ;そして
(b)ステップ(a)の生成物を、ニトロ基を還元することができる還元剤と接触させることを含んで成る方法。
【請求項17】
前記式IIIのニトロアルキルオキシラン化合物が、前記アミンに対してモル過剰で使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルケンをエポキシ基に酸化することができるエポキシ化剤と式IVAのニトロ化アルケン:
【化8】

の化合物を接触させることにより、前記式IVAの化合物をエポキシ化することを含んで成る、請求項12に記載の化合物の製造方法。
【請求項19】
中和剤、結合剤、担体、及び顔料を含む水性に基づく塗料またはコーティングの揮発性有機化合物含有量を減らすための方法であって、有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を中和剤として使用することを含んで成る方法。

【公表番号】特表2013−514355(P2013−514355A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544581(P2012−544581)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/058547
【国際公開番号】WO2011/084273
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】