説明

アミノクロトニル化合物の調製方法

本発明は、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンおよび関連するアミノクロトニル化合物の改良された調製方法に関する。さらに、本発明は、医薬製剤における活性成分として使用するための、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの適切な塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アミノクロトニル化合物、例えば4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンおよび生理学的に許容されるその塩、特に4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの改良された調製方法、並びに4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートおよび医薬組成物を調製するためのその使用に関する。
【0002】
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンは下記の構造:

(I)
【0003】
を有し、WO02/50043より既に知られ、前記文献は有用な薬理学的特性(特にチロシンキナーゼを介したシグナル伝達に対する阻害効果および上皮成長因子受容体(EGF-R)を介したシグナル伝達に対する阻害効果を含む)を有する化合物を記載する。従って、この種の化合物は疾患の治療、特に腫瘍性疾患、肺および気道の疾患、並びに胃腸管、胆管および胆嚢の疾患の治療に適している。
WO02/50043は調製方法を開示し、前記調製方法ではアミノクロトニル化合物(IV)、例えば4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンが、対応するアニリン構成要素(II)、ブロモクロトン酸(III)、塩化オキサリルおよび第二級アミンからワンポット反応により調製される(ダイアグラム1参照)。












【0004】
ダイアグラム1:

【0005】
この方法においては収率は最大で50%であった。加えて、精製は通常、カラムクロマトグラフィーで行われた。従って、この4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの調製方法は工業規模には適していなかった。さらには、前記方法には、ブロモクロトン酸は大量には市販されておらず、また対応するメチルブロモクロトナートも純度約80%でしか入手できないという欠点があった。これらの状況もまた、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの工業的生産における前記方法の適合性に不利に影響する。
【0006】
既知の製造方法の上記の欠点に鑑みて、本発明の目的は、容易に入手可能な高純度の出発物質を使用し、かつ、多額の技術的経費を必要としない、アミノクロトニルアリールアミド、特に4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの製造を可能とする方法を提供することである。従って、この新規方法は工業規模での合成、延いては商業的利用に適するものである。
この目的は、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンおよび他のアミノクロトニル化合物を調製するための本発明の方法により達成される。高収率で工業的実施が可能であることに加えて、本発明の合成方法はさらに、化学純度が非常に良好であること、およびシス含量が低い(0.1%未満)という利点を有する。
【0007】
本発明の方法では、ダイアグラム2に従って、好ましくは1,1-カルボニルジイミダゾール、1,1-カルボニルジトリアゾールまたはプロパンホスホン酸無水物(propanephosphonic anhydride)、特に好ましくは1,1-カルボニルジイミダゾールによる対応する活性化の後に、対応するアミノアリール化合物(V)を、適切な溶媒中で、ジ-(C1-4-アルキル)-ホスホノ酢酸、好ましくはジエチルホスホノ酢酸と反応させる。使用し得る溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)または酢酸エチルが挙げられる。
前記活性化は、可能ないかなるアミド結合の方法により実施してもよく、即ち、前記方法は例えば1,1-カルボニルジイミダゾール、1,1-カルボニルジトリアゾール、DCC(N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDC(N'-(ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド)、TBTU(O-(ベンゾトリアゾル-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート)、チアゾリジン-2-チオンにより、または対応する酸塩化物に、可能であれば塩化チオニルを使用して、変換することにより実施するものである。所望の場合、前記活性化はトリエチルアミンまたはピリジンなどの有機塩基を使用して実施してもよく、ここでDMAP(ジメチルアミノピリジン)をさらに加えてもよい。適切な溶媒としては、DMF、THF、酢酸エチル、トルエン、塩素化炭化水素またはそれらの混合物が挙げられる。
【0008】
下記の式において、
X はメチン基(methyne group)または窒素原子を表し、
Ra はベンジル、1-フェニルエチルまたは3-クロロ-4-フルオロフェニル基を表し、
R1 は直鎖または分岐鎖の C1-4-アルキル基を表す。
前記方法は、好ましくは、
X は窒素原子を表し、
Ra は3-クロロ-4-フルオロフェニル基を表し、
R1 はエチル基を表す、
化合物について使用される。
【0009】
ダイアグラム2:

a) ジ-(C1-4-アルキル)-ホスホノ酢酸、活性化剤
【0010】
このようにして高収率かつ高純度で得られたアリールアミド(VI)を、Wittig-Horner-Emmons反応により、適切な有機若しくは無機塩基を使用して、対応する2-アミノアセトアルデヒドと反応させる(ダイアグラム3)。この反応は直接実施してもよいし、化合物(VI)の単離後(例えばtert-ブチルメチルエーテルを添加して沈殿させることにより行う)に行ってもよい。適切な塩基としては、例えばDBU(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン)、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられ、このうち水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好ましく、水酸化カリウムが特に好ましい。前記アルデヒドの代わりに、(予めまたは現場(in situ)で)アルデヒドを遊離させた対応する等価体(例えば水和物(hydrate)またはアセタール)を使用してもよい。









【0011】
ダイアグラム3:

b) アルデヒド、塩基、THF/水
【0012】
使用するアセタールは、例えば以下の一般式を有する化合物であり得る:

(式中、R2 - R5 は各ケースにおいて直鎖または分岐鎖のC1-C4-アルキル基を表し、ここでこれらの基は同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、
R3 と R4 は各ケースにおいてメチル基を表し、
R2 と R5 は各ケースにおいてエチル基を表す。)
【0013】
このようにして得られた式(VII)のアミノクロトニルアリールアミド、例えば式(I)の4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンは、その後既知の方法によってその塩、特に生理学的に許容されるその塩に変換し得る。好ましくは、それらはフマラート、タルトラートまたはマレアートに変換される。ダイアグラム4に示すように、構造式(Ia)の4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンのジマレアート、および、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの、そのジマレアートへの変換が特に好ましい。これを実施するためには、化合物(I)を、場合により水を添加した適切な溶媒(例えばメタノール、イソプロパノール、n-ブタノールまたはエタノール、好ましくはエタノール)に溶解し、加熱下で結晶状マレイン酸またはマレイン酸溶液と混合する。エタノールを溶媒として使用する場合には、この操作は好ましくはマレイン酸のエタノール溶液を使用して、60〜75℃の温度で行われる。反応条件は、好ましくは所望の酸ができるだけ速く結晶化するように選択される。好ましくは、約2等量のマレイン酸が使用される。結晶化が起こった後は、混合物を周囲温度に冷まし、撹拌し、そして化合物(Ia)を含む結晶を分離する。







【0014】
ダイアグラム4:

c) マレイン酸、エタノール
【0015】
式(V)の出発化合物は、文献により知られる方法に従って、例えば以下のように調製し得る。
式(V)のキノリン(式中、X = CH)は、市販の3-フルオロ-6-ニトロフェニル(XIV)から出発して、アルキル化し、フッ素原子をアミノ基へ交換し、そしてエトキシアクリル酸(ethoxyacrylic acid)エステル、エトキシメチレン-シアノ酢酸エステルまたはエトキシメチレン-マロン酸エステルと反応させることにより得ることができる(ダイアグラム5)。
このようにして得られた化合物(XVII)は、次いで、キナゾリン類縁体についてのダイアグラム6に説明されるように、化合物(XVIII)に変換される。
【0016】
ダイアグラム5a:

【0017】
化合物(V)(式中、X = N)を調製するために、以下の方法が使用される:
市販の4-クロロ-アントラニル酸(VIII;X = Cl)から出発し、酢酸ホルムアミジンとの反応によりキナゾリノン(IX)を得、その後硫酸と濃硝酸を使用して窒素化(nitrogenated)される(ダイアグラム5b)。あるいは、4-フルオロ-アントラニル酸を出発物質として使用することもできる。
【0018】
ダイアグラム5b:

d) 酢酸ホルムアミジン
e) H2SO4、濃HNO3
【0019】
このようにして得られた窒素化生成物の所望の位置異性体(X)を次いで塩素化し、そして塩素化生成物(XI)を、対応するアミンと現場(in situ)で反応させる(ダイアグラム6)。
ダイアグラム6:

f) SOCl2、アセトニトリル
g) RaNH2
【0020】
このようにして得られた式(XII)の化合物を(S)-(+)-3-ヒドロキシテトラヒドロフランと反応させて、化合物(XIII)を形成する。その後、化合物(XIII)またはダイアグラム5aの化合物(XVIII)の水素化により、出発化合物(V)が生成される(ダイアグラム7)。
ダイアグラム7:

h) (S)-(+)-3-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン
i) H2
【0021】
本発明はさらに、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートに関する。この塩は、1つの結晶形体でのみ存在し、さらには無水で非常に安定であるため、医薬用途に特に適している。
医薬用途について、医薬組成物としての使用を認められるためには、活性物質は所望の活性を示すだけではなく、さらに別途の要件に適合しなければならない。これらのパラメーターは、活性物質の物理化学的性質と大幅に関連する。
限定をするものではないが、これらのパラメーターの例としては、様々な環境下における出発物質の効果の安定性、医薬製剤の製造過程における安定性および最終医薬組成物内での安定性が挙げられる。従って、医薬組成物の調製に使用される医薬的活性物質は高度の安定性を有していなければならず、前記安定性は様々な環境条件下においても保障されていなければならない。これは、実際の活性物質に加えて例えば分解物質を含む医薬組成物が使用されないようにするために必須である。このような場合、医薬製剤における活性物質の含有量は、特定されたよりも少ない可能性がある。
【0022】
水分の吸収は、水の取り込みによる重量増加のために、医薬的活性物質の含有量を減らす。水分を吸収する性質のある医薬組成物は、例えば適切な乾燥剤を添加したり製剤を除湿環境下で保存するなどして保管中に湿気から保護しなくてならない。加えて、湿気から全く保護しない環境に製剤が曝された場合、水分の取り込みにより、製造過程において医薬活性物質の含有量が減る可能性がある。従って、好ましくは、医薬的活性物質の吸湿性は低いことが好ましい。
活性物質の結晶形体は製剤の活性物質含有量の再現性に重要であるため、結晶体に存在する活性物質のいかなる多形体をも可能な限り明確にする必要がある。活性物質の様々な多形体が存在する場合には、その物質の結晶形体が、そこからその後生産される医薬製剤の中で変化しないように対処しなくてはならない。さもなければ、薬剤の再現性有効性に対して悪影響を及ぼす可能性がある。このことを背景として、わずかな多形体しか存在しない活性物質が好ましい。
剤形の選択または製造方法の選択に依存する特定の状況下において特に重要となり得る別の基準は、活性物質の溶解度である。例えば医薬溶液が調製された場合(例えば注入用に)、活性物質は生理学的に許容される溶媒に十分に溶解することが必須である。経口摂取される薬剤についても、活性物質が十分に溶解することが重要である。
【0023】
本発明の問題は、高い薬理学的効果を有するだけでなく、上記の物理化学的要件を可能な限り満たす医薬的活性物質を提供することである。
この問題は、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートにより解決される。
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの融点は178℃である(図2に示す熱分析を参照されたい)。結晶の4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートを、粉末X-線回析によりさらに分析した。得られたダイアグラムを図1に示す。
この分析で得られたデータを以下の表に示す:









【0024】
表:4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの粉末X-線反射および強度(標準化)

【0025】
上記の表において、値“2Θ[°]”は回析の角度を度数で表したものであり、値“dhkl[Å]”は特定された格子面間の距離をÅで表したものである。
本発明において、粉末x-線ダイアグラムは、PSD検出器およびx-線源としてCuアノードを備えたブルカー社製D8高性能回析計を使用して記録された(CuKα1 放射線, λ= 1.5418Å, 40kV, 40mA)。
以下の実施例は本発明の例証を意図するものである:
【実施例】
【0026】
実施例1
ジエチル{[4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イルカルバモイル]-メチル}-ホスホナート


【0027】
3.58kgの1,1-カルボニルジイミダゾール(22.16mol)を12.8リットルのテトラヒドロフランに加え、そして40℃において6.5リットルのテトラヒドロフランに溶解した4.52kg(22.16mol)のジエチルホスホノ酢酸と混合した。混合物を40℃で30分撹拌した。得られた溶液を溶液Aと表す。
6.39kg(17.05mol)のN4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)キナゾリン-4,6-ジアミンを26.5リットルのテトラヒドロフランに加え、そして40℃において溶液Aと混合し、30℃で2時間撹拌した。この懸濁液に64リットルのtert-ブチルメチルエーテルを加え、そして20℃に冷却した後、遠心により沈殿を取り出した。それを16リットルのテトラヒドロフランと16リットルのtert-ブチルメチルエーテルとの混合物、次いで32リットルの水で洗浄し、50℃で乾燥させた。
収量:白色結晶6.58kg(69.8%)、含有量:HPLC 99.1 Fl%
【0028】
実施例2
(E)-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エン酸-[4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イル]-アミド


【0029】
5.6リットルの30%塩酸(53.17mol)を4.4リットルの水に加えた。次いで、30℃において、20分以内で4.28kgの95%(ジメチルアミノ)-アセトアルデヒド-ジエチルアセタール(26.59mol)を滴下した。反応溶液を35℃で8時間撹拌し、5℃に冷却し、そしてアルゴン下で保存した。この溶液を溶液Bと表す。
4.55kg(68.06mol)の水酸化カリウムを23.5リットルの水に溶解し、-5℃に冷却した。この溶液を溶液Cと表す。
5.88kg(10.63mol)のジエチル((4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イルカルバモイル)-メチル)-ホスホナートと0.45kgの塩化リチウム(10.63mol)を23.5リットルのテトラヒドロフランに加え、-7℃に冷却した。冷溶液Cを10分以内で加えた。次いで-7℃において溶液Bを1時間以内で加えた。-5℃でさらに1時間撹拌した後、反応混合物を20℃に加熱し、15リットルの水と混合した。3℃に冷却した後、懸濁液を吸引濾過し、沈殿を水で洗浄し、乾燥させた。収量:5.21kgのクルード生成物, 100%, 水分含有量:6.7%
前記クルード生成物の結晶化は酢酸ブチル/メチルシクロヘキサンを使用して行った。
収量:78%純度HPLC 99.4 Fl%, 水分含有量 5.4%
【0030】
実施例3
(E)-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エン酸-(4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イル)-アミドジマレアート
6.0kg(12.35mol)の(E)-4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エン酸-(4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イル)-アミドを84リットルのエタノールに加え、70℃に加熱し、そして、36リットルのエタノール中の2.94kg(25.31mol)のマレイン酸の溶液と混合した。結晶化が起こった後、まず混合物を20℃に冷却して2時間撹拌し、次いで0℃で3時間撹拌した。沈殿を吸引濾過し、19リットルのエタノールで洗浄し、40℃で減圧乾燥させた。
収量:8.11kg(91.5%)
融点:178℃
1H-NMR (CD3OD):δ= 2.47 + 2.27 (m+m, 2H)、2.96 (s, 6H)、4.03 (m, 2H)、4.07 + 3.92 (m+m, 2H)、4.18 + 4.03 (m+m, 2H)、5.32 (m, 1H)、6.26 (s, 4H)、6.80 (m, 1H)、6.99 (m, 1H)、7.27(s, 1H)、7.30 (t, 1H)、7.66 (m, 1H)、7.96 (dd, 1H)、8.62 (s, 1H)、9.07 (s, 1H) ppm
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの粉末X-線回析を示す。
【図2】4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの熱分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(VII)の化合物

(式中、X はメチン基または窒素原子を表し、
Ra はベンジル、1-フェニルエチルまたは3-クロロ-4-フルオロフェニル基を表し、
R3 と R4 は直鎖または分岐鎖のC1-C4-アルキル基を表す。)
の調製方法であって、以下の合成工程を含む前記調製方法:
a) 一般式(V)の化合物

(式中、X はメチン基または窒素原子を表し、
Ra はベンジル、1-フェニルエチルまたは3-クロロ-4-フルオロフェニル基を表す。)
を、ジ-(C1-4-アルキル)-ホスホノ酢酸による対応する活性化の後に、適切な溶媒中で反応させる工程、および、
b) 得られた一般式(VI)の化合物

(式中、X はメチン基または窒素原子を表し、
Ra はベンジル、1-フェニルエチルまたは3-クロロ-4-フルオロフェニル基を表し、
R1 は直鎖または分岐鎖のC1-4-アルキル基を表す。)
を、有機若しくは無機塩基を使用して、下記式のアルデヒド

(式中、R3 と R4 は各ケースにおいて直鎖または分岐鎖のC1-C4-アルキル基を表し、ここでこれらの基は同一であっても異なっていてもよい。)
または対応するアルデヒド等価体と反応させる工程。
【請求項2】
以下の合成工程を含む、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの調製方法:
a) N4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-7-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)キナゾリン-4,6-ジアミンを、ジ-(C1-4-アルキル)-ホスホノ酢酸による対応する活性化の後に、適切な溶媒中で反応させる工程、および、
b) 得られたジアルキルエステル {[4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イルカルバモイル]-メチル}-ホスホナートを、適切な有機若しくは無機塩基を使用して、対応する(ジメチルアミノ)-アセトアルデヒド-ジアルキルアセタールから現場で調製されたアルデヒドと反応させる工程。
【請求項3】
工程a)において、溶媒としてジエチルホスホノ酢酸が使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)において、塩基としてDBU(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン)、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工程b)において、塩基として水酸化カリウムが使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンのジマレアートの調製方法であって、請求項1に記載の工程aおよびbと共に以下の工程c)を含む前記調製方法:
c) 得られた4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンを、加熱下で適切な溶媒中でマレイン酸と反応させることにより、そのジマレアートに変換する工程。
【請求項7】
溶媒としてエタノールまたはイソプロパノール(場合により水を添加してもよい。)が使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2等量のマレイン酸が使用される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアート。
【請求項10】
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアート(場合により1または2以上の不活性な担体および/または希釈剤と組み合わせてもよい。)を含む医薬組成物。
【請求項11】
良性または悪性の腫瘍の治療、気道および肺の疾患の予防および治療、並びに、胃腸管、胆管および胆嚢の疾患の治療に適した医薬組成物を調製するための、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレアートの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−510624(P2007−510624A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534662(P2006−534662)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011378
【国際公開番号】WO2005/037824
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】