説明

アミノ酸生成方法

【課題】アミノ酸を簡便かつ安全に生成し得るアミノ酸生成方法を提供すること。
【解決手段】本発明のアミノ酸生成方法は、風化侵食を受け、土壌化された鉱物を用意し、加熱および加圧下において、ガスを供給しつつ前記鉱物同士を衝突させることにより粉砕して粉砕物を得る第1の工程と、該粉砕物を水に浸漬し、該水中にアミノ酸を生じさせる第2の工程とを有する。前記土壌化された鉱物は、土壌化された閃雲花崗緑閃岩であることが好ましい。前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬の途中において、前記水のpHをアルカリ領域に調整することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸は、例えば有機合成法(例えば、特許文献1参照。)により製造される。
有機合成法によるアミノ酸の合成は、その工程が煩雑であったり、場合によっては、合成に用いる試薬や有機溶剤が人体に対して有毒であったり等する問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−212153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、アミノ酸を簡便かつ安全に生成し得るアミノ酸生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
(1) 風化侵食を受け、土壌化された鉱物を用意し、加熱および加圧下において、ガスを供給しつつ前記鉱物同士を衝突させることにより粉砕して粉砕物を得る第1の工程と、
該粉砕物を水に浸漬し、該水中にアミノ酸を生じさせる第2の工程とを有することを特徴とするアミノ酸生成方法。
【0006】
(2) 前記第1の工程において、前記ガスの供給量は、0.01〜1m/secである上記(1)に記載のアミノ酸生成方法。
【0007】
(3) 前記ガスは、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスおよび水蒸気のうちの少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載のアミノ酸生成方法。
【0008】
(4) 前記第1の工程において、前記加熱の温度は、10〜70℃である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0009】
(5) 前記第1の工程において、前記加圧の圧力は、5〜20Paである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0010】
(6) 前記粉砕物の平均粒径は、10〜1000μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0011】
(7) 前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、光を照射しつつ行われる上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0012】
(8) 前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、前記水の温度を4〜40℃に保った状態で行われる上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0013】
(9) 前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬時または途中において、前記水のpHをアルカリ領域に調整する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0014】
(10) 前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬の途中において、前記水に酸素ガスを供給する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0015】
(11) 前記水として、電気伝導率が100〜1500μS/cmの水を用いる上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0016】
(12) 前記水として、糖類を含有する水を用いる上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0017】
(13) 前記糖類は、スクロースを主成分とするものである上記(12)に記載のアミノ酸生成方法。
【0018】
(14) 前記糖類を含有する水における前記糖類の含有量は、1〜25wt%である上記(12)または(13)に記載のアミノ酸生成方法。
【0019】
(15) 前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、前記水の発泡が減弱または停止するまで行われる上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【0020】
(16) 前記土壌化された鉱物は、土壌化された閃雲花崗緑閃岩である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アミノ酸を簡便かつ安全に生成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のアミノ酸生成方法を、好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、風化侵食を受け、土壌化された鉱物を、所定の条件で粉砕した粉砕物を水に浸漬しておくと、この水中にアミノ酸を含む生成物が生成してくることを見出した。
【0023】
かかる現象は、鉱物中に閉じ込められていた微生物が、所定の条件で鉱物を粉砕することにより、鉱物の外部に放出されるか、放出され易くなる状態となるか、または、鉱物に保持された状態にあっても外部環境に曝され易い状態となり、この微生物が水中で増殖して、アミノ酸を生成(産生)することにより生じるのではないかと、発明者は、推察している。
【0024】
また、この微生物は、後述するような加熱および加圧環境を経ても完全に死滅せず、場合によっては、活性化するものであると、本発明者は、推察している。
【0025】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明のアミノ酸生成方法は、風化侵食を受け、土壌化された鉱物を用意し、加熱および加圧下において、ガスを供給しつつ前記鉱物同士を衝突させることにより粉砕して粉砕物を得る第1の工程と、該粉砕物を水に浸漬し、該水中にアミノ酸を生じ(生成)させる第2の工程とを有する。
【0026】
以下、各工程について順次説明する。
[1]第1の工程
まず、風化侵食を受け、土壌化された鉱物を用意する。
【0027】
ここで、風化侵食を受け、土壌化された鉱物とは、鉱物が風化侵食を受けて、比較的小さい塊状になったもののことを言う。
【0028】
この風化侵食を受け、土壌化された鉱物としては、例えば、土壌化された閃雲花崗緑閃岩、フィロケイ酸塩鉱物、テクトケイ酸塩鉱物、粘度鉱物等が挙げられるが、特に、土壌化された閃雲花崗緑閃岩が好ましい。
【0029】
土壌化された閃雲花崗緑閃岩を用いることにより、より多くの微生物が発生し(推定)、より収率よくアミノ酸を生成させることができる。
【0030】
次に、用意した鉱物同士を、加熱および加圧下において、ガスを供給しつつ衝突させる。これにより、鉱物を粉砕して粉砕物を得る。
この鉱物の粉砕には、例えば、ジェットミル等の粉砕装置が好適に用いられる。
【0031】
ガスの供給量は、0.01〜1m/sec程度であるのが好ましく、0.1〜0.5m/sec程度であるのがより好ましく、0.2〜0.3m/sec程度であるのがさらに好ましい。これにより、鉱物を確実に粉砕することができるとともに、より粒径の小さい粉砕物が得られる。このため、後述する第2工程において、粉砕物と水との接触面積が増大させることができ、その結果、微生物がより効率よく増殖し(推定)、アミノ酸の生成効率がより向上する。
【0032】
用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスのような希ガス(不活性ガス)、水蒸気等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスおよび水蒸気のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらのガスを用いることにより、後述する第2の工程において、微生物がより確実に増殖するようになり(推定)、より効率よくアミノ酸が生成されるようになる。
【0033】
また、加熱の温度は、10〜70℃程度であるのが好ましく、40〜50℃程度であるのがより好ましい。これにより、後述する第2の工程において、微生物がより確実に増殖するようになり(推定)、より効率よくアミノ酸が生成されるようになる。
【0034】
また、加圧の圧力は、5〜20Pa程度であるのが好ましく、10〜15Pa程度であるのがより好ましい。これにより、後述する第2の工程において、微生物がより確実に増殖するようになり(推定)、より効率よくアミノ酸が生成されるようになる。
【0035】
得られた粉砕物は、その平均粒径が10〜1000μm程度であるのが好ましく、100〜500μm程度であるのがより好ましく、200〜300μm程度であるのがさら好ましい。このように、十分に粒径を小さくすることにより、後述する第2の工程において、粉砕物と水との接触面積を十分に大きくすることができ、その結果、微生物がさらに効率よく増殖し(推定)、アミノ酸の生成効率がさらに向上する。
【0036】
[2]第2の工程
次に、得られた粉砕物を水に浸漬し、この状態で放置する。
【0037】
これにより、水中において微生物が増殖し、この微生物が水中にアミノ酸を産生(生成)する(推定)。
【0038】
粉砕物の水への浸漬は、遮光した状態で行うようにしてもよいが、光を照射した状態で行うのが好ましい。本発明者の検討によれば、微生物は、光合成を伴って増殖するようであり、粉砕物の水への浸漬を光を照射した状態で行うことにより、微生物がより効率よく増殖し(推定)、結果として、アミノ酸の生成効率がより向上する。なお、照射する光としては、可視光が好適である。
【0039】
用いる水は、例えば、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水、RO水、水道水等が挙げられる。
【0040】
また、用いる水は、その電気伝導率が100〜1500μS/cm程度であるのが好ましく、500〜1000μS/cm程度であるのがより好ましい。これにより、微生物の増殖効率をより向上させ(推定)、アミノ酸の生成効率をより向上させることができる。なお、かかる電気伝導率の水は、例えば、水に溶解する電解質の組成や濃度等を適宜設定することにより調整することができる。
【0041】
この電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、用いる水は、各種物質(添加剤)を含有してもよく、少なくとも糖類を含有するのが好ましい。これにより、炭素源が確保されるため、微生物をより効率よく増殖させ(推定)、結果として、アミノ酸をより効率よく生成させることができる。
【0043】
糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースのような単糖類、スクロース、マルトース、ラクトース、セルビオースのような二糖類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、糖類としては、スクロースを主成分とするものが好適である。これにより、微生物の増殖効率がより向上し(推定)、アミノ酸の生成効率がより向上する。
【0044】
用いる水が糖類を含有する場合、その糖類の含有量は、1〜25wt%程度であるのが好ましく、5〜20wt%程度であるのがより好ましい。これにより、微生物の増殖効率がさらに向上し(推定)、アミノ酸の生成効率がさらに向上する。
【0045】
また、粉砕物の水への浸漬は、水の温度を、好ましくは4〜40℃程度、より好ましくは10〜30℃程度に保った状態で行われる。これにより、微生物の増殖効率がより向上し(推定)、アミノ酸の生成効率がより向上する。
【0046】
このとき、水が蒸発することにより、減少する場合には、適宜、水の追加(加水)を行うようにして、浸漬する水の量をほぼ一定にするのが好ましい。
【0047】
また、粉砕物の水への浸漬時または途中において、水のpHをアルカリ領域(例えば、pH10〜12程度)に調整するようにするのが好ましい。これにより、微生物の増殖が特に活発に起こり(推定)、アミノ酸の生成効率がより向上する。なお、水のpHは、通常、経時的に低下し、中性領域となる。
【0048】
このpH調製は、例えば、炭酸カルシウム、中間石灰(土中釜や塩焼きと称される石灰石を大気湿により膨潤したもの)等のpH調整剤を水中に混合することにより行われる。
【0049】
また、粉砕物の水への浸漬の途中において、水に酸素ガスを供給するのが好ましい。これにより、微生物の増殖効率がより向上し(推定)、アミノ酸の生成効率がより向上する。
【0050】
なお、水に酸素ガスを供給する方法としては、例えば、水の攪拌、一端部が酸素ボンベに接続されたチューブの他端部を水中に入れて、酸素ガスを強制的に供給する方法、溶存酸素ガス濃度の高い水を追加(加水)する方法等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
このように、粉砕物を水に浸漬すると、時間の経過とともに、水中に発泡(発酵または腐敗によるものと推定される)が生じ、その後、発泡が収まる(減弱または停止する)。本発明では、例えば、この発泡が収まる時点を、粉砕物の水への浸漬を終了する目安とすることができる。これは、水の発泡が収まった後においては、それ以上のアミノ酸の生成量の増加が期待できないからである。
【0052】
なお、粉砕物を水に浸漬する際の条件(例えば気温等)によっては、水の発泡が収まる時期が前後するため、粉砕物を水に浸漬する時間は、特に限定されないが、例えば、冬期(1月〜3月)に室温放置した場合、5〜300日程度(発泡開始後1〜2500日程度)であるのが好ましく、10〜200日程度(発泡開始後5〜150日程度)であるのがより好ましく、15〜100日程度(発泡開始後10〜50日程度)であるのがより好ましくい。
【0053】
なお、得られた混合液中には、粉砕物が混在するため、例えば、次のようにして粉砕物が除去される。
【0054】
まず、前記工程[2]終了後の混合液から、液性成分(主に水)を除去する。この液性成分の除去方法としては、例えば、混合液を大気圧または減圧下に放置する方法、凍結乾燥、加熱乾燥等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
次に、得られた固形成分(アミノ酸を含む生成物および粉砕物)を粉砕した後、例えば水に懸濁し、沈殿物(主に粉砕物)を沈殿させ、上澄み(アミノ酸を含む生成物の水溶液)を回収する。再度、沈殿物を、例えば水に懸濁し、上澄みを回収するという操作を、複数回繰り返し行う。
【0056】
次に、回収された上澄みを、大気圧下、室温に放置し、沈殿してくる沈殿物を濾紙を用いて濾別するか、または、前述と同様にして水を除去する。これにより、アミノ酸を含む生成物が得られる。
【0057】
得られた生成物中には、アミノ酸の他、その他の各種物質が含まれるため、必要に応じて、アミノ酸を単離(精製)する。
【0058】
このアミノ酸の単離方法としては、例えば、アフィニティークロマトグラフィー法、ゲル濾過クロマトグラフィー法のようなクロマトグラフィー法、電気泳動法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
このようにして得られたアミノ酸は、例えば、医薬品等として用いられる化合物の合成原料、医薬品、化粧品、食品、飲料水等の添加物、飼料、肥料等に適用することができる。
【0060】
以上のようなアミノ酸生成方法によれば、人体に対して有毒な試薬や有機溶剤を用いることなく、所定の鉱物を粉砕した粉砕物を水に浸漬するだけでアミノ酸を得ることができ、簡便かつ安全である。
【0061】
以上、本発明のアミノ酸生成方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、必要に応じて、任意の1または2以上の工程を追加するようにしてもよい。
【実施例】
【0062】
(実施例)
<1> まず、土壌化された閃雲花崗緑閃岩を用意し、ジェットミル(相互産業社製、「衝撃式」)を用いて、加熱および加圧下に粉砕して、粉砕物を得た。
【0063】
このとき、装置内に空気(酸素ガスと窒素ガスとの混合ガス)を供給量0.3m/secで供給した。また、装置内の温度を50℃、圧力を10Paとした。
なお、得られた粉砕物の平均粒径は、275μmであった。
【0064】
<2> 次に、粉砕物3kgに、8wt%スクロース水溶液2Lを添加して、擬似太陽灯(可視光)により光を照射しつつ、以下の表1に示す時期に、水の追加(加水)や攪拌の操作等を行った。この加水により、スクロース水溶液の容量がほぼ一定となるように調整した。
【0065】
なお、スクロース水溶液の調整用および加水用の水には、蒸留水に塩化ナトリウムを添加して、その電気伝導率を約800μS/cmに調整したものを用いた。
【0066】
【表1】

【0067】
表1には、水の酸化還元電位、pH、Brix、電気伝導率および温度の測定結果、さらに水を目視で確認した状態について示した。
【0068】
<3> 次に、55日経過して得られた混合液を、大気圧下、室温に放置(約60日)して、水(液性成分)を除去した。
【0069】
<4> 次に、得られた固形成分を粉砕した後、水に懸濁し、沈殿物を沈殿させ、上澄みを回収した。そして、再度、沈殿物を、水に懸濁し、上澄みを回収するという操作を、5回繰り返し行った。
【0070】
<5> 次に、回収した上澄みを、大気圧下、室温に放置し、沈殿した沈殿物を濾紙を用いて濾別した。これにより、アミノ酸を含む生成物(約2.9kg)を得た。
【0071】
そして、得られた生成物の成分ついて、財団法人日本食品分析センターにおいて分析を行った。その結果、生成物100g中に、アルギニン11mg、リジン12mg、ヒスチジン4mg、フェニルアラニン10mg、チロシン7mg、ロイシン20mg、イソロイシン12mg、メチオニン4mg、バリン13mg、アラニン14mg、グリシン13mg、プロリン7mg、グルタミン酸30mg、セリン13mg、スレオニン12mg、アスパラギン酸26mg、トリプトファン2mgを含有することが確認された。
【0072】
なお、トリプトファンの定量は、高速液体クロマトグラフ法により、また、その他のアミノ酸の定量は、アミノ酸自動分析法により行った。
【0073】
(比較例1)
前記工程<1>において、加熱および加圧を省略した以外は、前記実施例と同様にして行った。
ところが、前記工程<5>と同様の工程において、沈殿物が回収されなかった。
【0074】
(比較例2)
前記工程<1>を次のように変更した以外は、前記実施例と同様にして行った。
【0075】
すなわち、土壌化された閃雲花崗緑閃岩を、ボールミル(中工精機社製、「乾式」)を用いて、加熱および加圧下に粉砕して、粉砕物を得た。
このとき、装置内の温度を50℃とした。
【0076】
なお、得られた粉砕物の平均粒径は、405μmであった。
ところが、前記工程<5>と同様の工程において、沈殿物が回収されなかった。
【0077】
なお、前記工程<1>において、空気に代えて、炭酸ガス、アルゴンガス、水蒸気またはこれらの混合ガスを用いて、前記実施例と同様にして、アミノ酸の生成を行った。
【0078】
また、前記工程<2>において、光の照射を省略した以外は、前記実施例と同様にして、アミノ酸の生成を行った。
【0079】
また、前記工程<2>において、水のpHの調整を省略した以外は、前記実施例と同様にして、アミノ酸の生成を行った。
【0080】
また、前記工程<2>において、水の攪拌を省略した以外は、前記実施例と同様にして、アミノ酸の生成を行った。
【0081】
これらのいずれの場合においても、前記実施例と同様に、アミノ酸の生成が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風化侵食を受け、土壌化された鉱物を用意し、加熱および加圧下において、ガスを供給しつつ前記鉱物同士を衝突させることにより粉砕して粉砕物を得る第1の工程と、
該粉砕物を水に浸漬し、該水中にアミノ酸を生じさせる第2の工程とを有することを特徴とするアミノ酸生成方法。
【請求項2】
前記第1の工程において、前記ガスの供給量は、0.01〜1m/secである請求項1に記載のアミノ酸生成方法。
【請求項3】
前記ガスは、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスおよび水蒸気のうちの少なくとも1種である請求項1または2に記載のアミノ酸生成方法。
【請求項4】
前記第1の工程において、前記加熱の温度は、10〜70℃である請求項1ないし4のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項5】
前記第1の工程において、前記加圧の圧力は、5〜20Paである請求項1ないし4のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項6】
前記粉砕物の平均粒径は、10〜1000μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項7】
前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、光を照射しつつ行われる請求項1ないし6のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項8】
前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、前記水の温度を4〜40℃に保った状態で行われる請求項1ないし7のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項9】
前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬時または途中において、前記水のpHをアルカリ領域に調整する請求項1ないし8のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項10】
前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬の途中において、前記水に酸素ガスを供給する請求項1ないし9のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項11】
前記水として、電気伝導率が100〜1500μS/cmの水を用いる請求項1ないし10のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項12】
前記水として、糖類を含有する水を用いる請求項1ないし11のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項13】
前記糖類は、スクロースを主成分とするものである請求項12に記載のアミノ酸生成方法。
【請求項14】
前記糖類を含有する水における前記糖類の含有量は、1〜25wt%である請求項12または13に記載のアミノ酸生成方法。
【請求項15】
前記第2の工程において、前記粉砕物の水への浸漬は、前記水の発泡が減弱または停止するまで行われる請求項1ないし14のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。
【請求項16】
前記土壌化された鉱物は、土壌化された閃雲花崗緑閃岩である請求項1ないし15のいずれかに記載のアミノ酸生成方法。

【公開番号】特開2007−49942(P2007−49942A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237945(P2005−237945)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(306008816)
【Fターム(参考)】