説明

アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物

【課題】GDP(グルコース分解産物)含有溶液又はGDPが発生しうる溶液による細胞のダメージを低減できる溶液組成物の提供。
【解決手段】電解質塩、グルコース又はグルコースポリマー、及び、アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物。この溶液組成物によれば、GDPによる細胞へのダメージを低減できる溶液組成物を提供でき、好ましくは、GDPによる腹膜中皮細胞への傷害性を低減できる腹膜透析液を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物に関し、特に、アミロイド形成抑制物質を含有する腹膜透析液製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
腎不全の患者に対する治療法として、従来血液透析療法や腹膜透析療法等が行なわれてきた。腹膜透析療法(CAPD)とは、腎不全患者の腹腔内にカテーテルを留置し、これを通じて透析液バッグより腹膜透析液を腹腔内に注入し、一定時間貯留した後、同カテーテルを通じて腹膜透析液を体外へ排出する操作を1日数回繰り返す方法である。腹膜透析液には、一般に、電解質塩に加えてグルコースが含有されており、グルコースは腹膜透析液においては浸透圧剤の役割を果たす。すなわち、血液中の過剰な水分を、浸透圧の差を利用して除去するために、腹膜透析液にはグルコースが使用される。
【0003】
腹膜透析療法を行なう上での問題点として、長期に亘り腹膜透析を行なうことによる腹膜機能の劣化や腹膜の硬化・肥厚化が挙げられる。腹膜機能の劣化や腹膜の硬化・肥厚化により、溶質の除去や除水の能力が衰える、被嚢性腹膜硬化症(EPS)の発症等の問題を引き起こすおそれがある。この原因のひとつとして、浸透圧剤として腹膜透析液に含まれるグルコースが分解されて発生するグルコース分解産物(GDPs)や、糖とタンパクとの反応により発生する最終糖化産物(AGEs)による腹膜への悪影響が指摘されている。
【0004】
GDPとしては、メチルグリオキサール(MGO)、グリオキサール(GO)、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、3−デオキシグルコソン(3−DG)、3,4−ジデオキシグルコソン−3−エン(3,4−DGE)が挙げられる。これらの物質は、腹膜透析液を加熱滅菌する際の熱負荷によってグルコースが分解されることで発生する。これらの物質が細胞毒性を持つことは知られており、腹膜透析液に含まれるGDPsの細胞毒性によって腹膜機能の劣化や腹膜の硬化・肥厚化が引き起こされるものと考えられてきた。
【0005】
グルコース溶液に熱を加えた場合、溶液の水素イオン濃度(pH)が3に近いほど、熱負荷によるGDPsの発生を低減することができる。しかし、腹膜透析液は体内に注入するものであるため、pHは生体に近い中性であることが好ましい。この相反する問題を解決するため、特許文献1に記載のような腹膜透析液が開発されている。この技術によれば、グルコースが含まれた液とグルコースが含まれない液をバッグ内にて分割し、グルコースが含まれた液側の室をグルコースが安定しやすいpHとした構成により、加熱滅菌時のGDPsの生成を抑制することができる。また、各室の液を混合した後の透析液のpHが生体に近いpHとなるよう各室の液を調製することで、pHによる生体へのダメージも防ぐことができる。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明もある。特許文献2においては、腹膜硬化症にAGEsが関与しているとの知見から、AGEsの生成を抑制する物質やこれを用いた腹膜透析液の構成が開示されている。しかし、GDPsやAGEsが腹膜に対してどのように作用し、どのような機序で腹膜が硬化・肥厚化するのかについては解明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4284737号
【特許文献2】WO2005/018649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、GDP含有溶液又はGDPが発生しうる溶液による細胞のダメージを低減できる溶液組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一態様において、電解質塩、グルコース又はグルコースポリマー、及び、アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物に関する。
【0010】
本発明はその他の態様において、グルコース又はグルコースポリマー、及びアミロイド形成抑制物質を含有する腹膜透析液製剤に関する。また、本発明はその他の態様において、腹膜透析液又は腹膜透析液バッグ中に混注するための、アミロイド形成抑制物質が収容されたプレフィルドシリンジに関する。さらに、本発明はその他の態様において、アミロイド形成抑制物質を含有する腹腔内洗浄液に関する。さらにまた、本発明はその他の態様において、グルコース又はグルコースポリマーを含有する腹膜透析液製剤にアミロイド形成抑制物質を混注することを含む腹膜透析液の調製方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、GDPによる細胞へのダメージを低減できる溶液組成物を提供でき、好ましくは、GDPによる腹膜中皮細胞への傷害性を低減できる腹膜透析液を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、3,4−DGEの化学式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、上記のGDPsの中でも特に3,4−DGEに着目し、3,4−DGEがタンパク質の変性を引き起こし、変性したタンパク質がアミロイド構造をとることにより腹膜中皮細胞の細胞死を引き起こすことを見出した。また、変性したタンパク質のアミロイド形成を抑制することで、3,4−DGEによる細胞死を抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
【0014】
すなわち、本発明は、電解質塩、グルコース又はグルコースポリマー、及び、アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物(以下、「本発明の溶液組成物」ともいう。)に関する。本発明の溶液組成物によれば、該溶液組成物が含む又は含みうるグルコース分解産物(GDP)の細胞毒性を低減できる。したがって、本発明の溶液組成物は、腹膜中皮細胞へのダメージを低減できる腹膜透析液製剤として使用できる。
【0015】
本発明の溶液組成物によりGDPの細胞毒性を低減できるメカニズムは以下のように考えられる。すなわち、GDPによる細胞死の原因はGDPによる最終糖化産物(AGEs)のアミロイド化が誘導するアポトーシスであり、本発明の溶液組成物に含まれるアミロイド形成抑制物質によってアポトーシスが抑制されるからであると考えられる。但し、本発明はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0016】
[電解質塩]
本発明の溶液組成物における電解質塩は、本発明の溶液組成物を腹膜透析液として使用する観点から、従来の腹膜透析液に使用される組成及び濃度であることが好ましい。電解質塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに、これらの組み合わせなどが挙げられ、血清中の組成及び濃度に近いものが好ましい。
【0017】
本発明の溶液組成物の限定的に解釈されない一実施形態において、含有される電解質塩の組み合わせ及びその濃度としては、0.4〜0.6w/v%塩化ナトリウム、0.01〜0.02w/v%塩化カルシウム水和物、0.005〜0.02w/v%塩化マグネシウム、及び0.3〜0.5w/v%乳酸ナトリウムが挙げられる。
【0018】
[グルコース及びグルコースポリマー]
本発明の溶液組成物は、グルコース及び/又はグルコースポリマーを含有する。本発明の溶液組成物におけるグルコース及びグルコースポリマーは、本発明の溶液組成物を腹膜透析液として使用する観点から、従来の腹膜透析液に使用される組成及び濃度であることが好ましい。グルコース及びグルコースポリマーは、腹膜透析液として使用される場合に、浸透圧を高くする機能を果たす。一般に、腹膜透析液の浸透圧比は、好ましくは1.1〜1.6、より好ましくは1.2〜1.5である。したがって、本発明の溶液組成物におけるグルコース及び/又はグルコースポリマーの含有量は、腹膜透析液としてこれらの浸透圧比の形成に必要量含まれていることが好ましく、1.4〜2.5w/v%が好ましく、1.5〜2.4w/v%がより好ましい。
【0019】
本明細書においてグルコースポリマーとは、構成単位としてグルコースを含むポリマー又は構成単位がグルコースのみからなるポリマーをいう。グルコースポリマーとしては、腹膜透析液として使用した場合に浸透圧差を形成できるものであれば特に制限されないが、腹膜透析液として使用可能とする観点から、構成単位がαグルコースであるグルコースポリマーが好ましい。本明細書におけるグルコースポリマーの具体例としては、デキストラン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、プルラン、カードラン、シゾフィラン、レンチナン、ペスタロチアン等が挙げられる。
【0020】
[pH]
本発明の溶液組成物のpHは、腹膜透析液として使用可能とする観点から、6.4〜7.6が好ましく、6.5〜7.5がより好ましい。
【0021】
[GDP及び3,4−DGE]
透析液には高温高圧条件下の滅菌処理が必要である。グルコースを含有する腹膜透析液は、該滅菌処理を受けることによりグルコース分解物(GDP)を含有することとなる。上述したとおり、腹膜透析液中のGDPとしては、メチルグリオキサール(MGO)、グリオキサール(GO)、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、3−デオキシグルコソン(3−DG)、3,4−DGEが報告されている。したがって、本発明の溶液組成物は、その一態様として、GDPの少なくとも1種を含有する。GDPは、いずれも、腹膜透析液中で腹膜中皮細胞にダメージを与えると考えられるが、そのなかでも3,4−DGEの細胞毒性は著しく高い傾向がある。本発明の溶液組成物によれば、3,4−DGEを含有する場合にも、腹膜中皮細胞への傷害性低減の効果を発揮しうる。なお、本明細書において「3,4−DGE」とは、図1に示す3,4−ジデオキシグルコソン−3−エンのことをいう。
【0022】
本発明の溶液組成物は、グルコース分解物(GDP)を含まないことが好ましいが、例えば、グルコース又はグルコースポリマー含有液が滅菌処理されるとGDPが発生するため、GDPを含有することとなる。一般に、グルコース及び/又はグルコースポリマーを中性条件で滅菌処理した場合に発生しうるGDPは50μM又はそれ以下であり、酸性条件で滅菌処理した場合に発生しうるGDPは300〜400μM又はそれ以下である。
【0023】
[アミロイド形成抑制物質]
本発明の溶液組成物に含まれうるGDPは、アミロイド化を経由して細胞傷害を引き起こすと考えられる。したがって、本発明の溶液組成物におけるアミロイド形成抑制物質は、公知のアミロイド形成抑制物質を使用できる。腹膜透析液内のGDPの細胞毒性にアミロイド化が関与すること、及び、アミロイド形成抑制物質によりGDPの細胞毒性を軽減できることは、従来知られていなかった新たな知見である。
【0024】
本発明の溶液組成物におけるアミロイド形成抑制物質の好ましい例としては、コンゴーレッド、チオフラビン、クルクミン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの物質は、塩の形態であってもよい。これらのアミロイド形成抑制物質の中でも、GDPの細胞障害性の低減の観点から、クルクミン及びクルクミン誘導体が好ましい。クルクミン誘導体としては、クルクミンと類似した構造を有し、アミロイド形成抑制作用を有するものが好ましい。
【0025】
本発明の溶液組成物におけるアミロイド形成抑制物質の含有量としては、GDPの細胞傷害性の低減の観点から、例えば0.1μM〜100mMである。
【0026】
[腹膜透析液製剤]
本発明は、その他の態様として、腹膜透析液製剤であって(以下、「本発明の腹膜透析液製剤」ともいう)、グルコース又はグルコースポリマー、及びアミロイド形成抑制物質を含有する腹膜透析液製剤に関する。すなわち、本発明の腹膜透析液製剤は、従来のグルコース含有腹膜透析液に上述したアミロイド形成抑制物質を加えたものである。したがって、加熱滅菌処理後においては上述したGDPが含まれることとなる。本発明の腹膜透析液製剤であれば、グルコースを用いる腹膜透析液から排除が困難なGDPによる腹膜中皮細胞への傷害性を低減することができる。本発明の腹膜透析液製剤におけるアミロイド形成抑制物質の種類及び濃度は上述と同様とすることができる。
【0027】
本発明の腹膜透析液製剤は、一実施形態として、電解質塩が溶解し、かつ、グルコース及びグルコースポリマーを含有しない第1液と、グルコース又はグルコースポリマーが溶解した第2液とを分離して収容する腹膜透析液製剤であって、第1液及び第2液の少なくとも一方がアミロイド形成抑制物質を含有する腹膜透析液製剤に関する。この実施形態によれば、製造時にアミロイド形成抑制物質を添加でき、使用時における手間が省けるメリットがある。第1液及び第2液のいずれかにアミロイド形成抑制物質を含ませるかについては、そのアミロイド形成抑制剤のpH安定性等から適宜判断できる。この実施形態は、例えば、従来の2液タイプの透析液バッグを用いて実施できる。
【0028】
本発明の腹膜透析液製剤は、その他の実施形態として、電解質塩が溶解し、かつ、グルコース及びグルコースポリマーを含有しない第1液とグルコース又はグルコースポリマーが溶解した第2液とを分離して収容する腹膜透析液製剤であって、アミロイド形成抑制物質を含有する第3液をさらに分離して収容した腹膜透析液製剤に関する。この実施形態によれば、使用時までアミロイド形成抑制物質と第1液又は第2液との接触を避けることができるというメリットがある。この実施形態は、例えば、従来の3液タイプの透析液バッグを用いて実施できる。
【0029】
本発明の腹膜透析液製剤は、さらにその他の実施形態として、従来の1〜3液タイプの腹膜透析液と該腹膜透析液に混注するためのアミロイド形成抑制物質との組み合わせの腹膜透析製剤に関する。前記アミロイド形成抑制物質は、操作の簡便性の点から前記アミロイド形成抑制物質が収容されたプレフィルドシリンジとすることが好ましい。したがって、本発明は、その他の態様として、腹膜透析液に混注するためのアミロイド形成抑制物質が収容されたプレフィルドシリンジに関する。本発明のプレフィルドシリンジは、薬液をアミロイド形成抑制物質又はその溶液とするほかは、従来公知のプレフィルドシリンジを採用できる。また、本発明のプレフィルドシリンジは、腹膜透析液に使用する旨の取扱い説明書が添付されていてもよい。
【0030】
[腹腔内洗浄液]
本発明は、さらにその他の態様において、アミロイド形成抑制物質を含有する腹腔内洗浄液に関する。本明細書において、腹腔内洗浄液とは、腹腔内を洗浄するために腹腔内に導入する液体であって、例えば、腹膜透析療法を中止する場合に透析液の代わりに腹腔内に注入し洗浄する液をいう。透析液の排液後であっても腹腔内にはGDPが残存している可能性が考えられるため、アミロイド形成抑制物質を含む腹腔内洗浄液を用いることで、腹膜中皮細胞をより保護できる。本発明の腹腔内洗浄液におけるアミロイド形成抑制物質の含有量は、上述と同様にすることができる。アミロイド形成抑制物質以外の成分は従来と同様であってよく、例えば、生理食塩水とすることができる。
【0031】
[腹膜透析方法]
本発明は、さらにその他の態様において、腹膜透析方法であって、本発明の溶液組成物又は本発明の腹膜透析液製剤を腹膜透析液として使用する腹膜透析方法に関する。具体的な手法は、公知のCAPD療法と同様に行うことができる。
【0032】
[アポトーシス抑制方法]
本発明は、さらにその他の態様において、グルコース分解産物の溶液と接触した細胞のアポトーシスを抑制する方法であって、前記溶液にアミロイド形成抑制物質を含有させることを含む抑制方法に関する。前記細胞は、体内の細胞であってもよく、インビトロの細胞であってもよい。
【実施例】
【0033】
〔3,4−DGEを含有する細胞培養液の調製〕
アミロイド形成抑制物質であるコンゴーレッド(Sigma、最終濃度100μM)及び透析液中から自社にて単離・精製した3,4−DGE(最終濃度100μM)をM199培地(10%FBS、100U/ml penicillin、及び100μg/ml streptomycin入り、以下同じ)に添加し、培養液1とした。コンゴーレッドをクルクミン(Sigma、最終濃度10μM)に換えた他は培養液1と同様の培養液2、コンゴーレッドをチオフラビンT(和光純薬、最終濃度100μM)に換えたほかは培養液1と同様の培養液3を調製した。また、培養液1〜3のアミロイド形成抑制物質を含まず、3,4−DGE(最終濃度100μM)のみを添加したM199培地を比較培養液1とした。なお、比較培養液2は、アミロイド形成抑制物質及び3,4−DGEを含まない通常のM199培地である。
【0034】
上記のように調製した培養液1〜3及び比較培養液1〜2を用い、下記の測定条件でアミロイド形成抑制物質の細胞死抑制効果を確認した。
【0035】
〔細胞死抑制効果の確認実験〕
ラット腹膜中皮細胞を培養した8Wellカルチャースライドに培養液1〜3及び比較培養液1〜2(500μl)を添加し、さらに4時間培養した後に、Hoechst33342を用いた核染色及び抗Vimentin抗体を用いた免疫染色を行った。Vimentin免疫染色により細胞骨格を染色することで細胞の形態を確認し、Hoechst33342染色によりアポトーシス細胞で特徴的に観察される核の収縮を共焦点レーザー顕微鏡にて確認した。その観察結果に基づき、全細胞数及び死細胞数をカウントし、死細胞の割合(%)を算出した。その結果を下記表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
上記表1に示す通り、アミロイド形成抑制物質を含有する培養液1〜3で培養した腹膜中皮細胞では、比較培養液1で培養した場合と比べ、3,4−DGEによって誘発される細胞毒性が低減されていた。
【0038】
なお、比較培養液1〜2で培養後の細胞をコンゴーレッドで染色すると、比較培養液2と比べ、比較培養液1では著しく細胞が染色された(Data not shown)。また、比較培養液1で培養した腹膜中皮細胞に誘発される細胞死はアポトーシスであることもYO−PRO−1染色及びHoechst33258染色により確認した(Data not shown)。これらの結果から、3,4−DGEによりアミロイド化が促進された結果、アポトーシスが誘発され、細胞死が起こるものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば、腹膜透析の分野で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質塩、グルコース又はグルコースポリマー、及び、アミロイド形成抑制物質を含有する溶液組成物。
【請求項2】
さらに、グルコース分解産物を含有する、請求項1記載の溶液組成物。
【請求項3】
グルコース又はグルコースポリマー、及びアミロイド形成抑制物質を含有する、腹膜透析液製剤。
【請求項4】
電解質塩が溶解し、かつ、グルコース及びグルコースポリマーを含有しない第1液と、グルコース又はグルコースポリマーが溶解した第2液とを分離して収容する腹膜透析液製剤であって、第1液及び第2液の少なくとも一方がアミロイド形成抑制物質を含有するか、或いは、アミロイド形成抑制物質を含有する第3液をさらに分離して収容した、請求項3記載の腹膜透析液製剤。
【請求項5】
さらに、グルコース分解産物を含有する、請求項3又は4に記載の腹膜透析液製剤。
【請求項6】
腹膜透析液に混注するための、アミロイド形成抑制物質が収容されたプレフィルドシリンジ。
【請求項7】
アミロイド形成抑制物質を含有する、腹腔内洗浄液。
【請求項8】
グルコース又はグルコースポリマーを含有する腹膜透析液製剤にアミロイド形成抑制物質を混注することを含む、腹膜透析液の調製方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−241174(P2011−241174A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114572(P2010−114572)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】