アライメント機能を有する半導体検査装置とアライメント方法
【課題】 カメラ等の設備を必要とせず、かつ、位置ずれについての定量的な情報が得られるアライメント機能を有する半導体検査装置とアライメント方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触させ、電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、記憶装置からアライメント用の補正量を読み出し、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わすアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法を提供することによって解決する。
【解決手段】 検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触させ、電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、記憶装置からアライメント用の補正量を読み出し、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わすアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法を提供することによって解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント機能を有する半導体検査装置とアライメント方法に関し、詳細には、TABテープ等の基体上に担持されている液晶駆動ドライバ等の半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置において、テストパッドとテスト用プローブ針の位置合わせを行うアライメント機能を有する半導体検査装置とそのアライメント方法、さらには、そのような半導体検査装置又はアライメント方法に使用される半導体チップを担持する基体並びにプローブカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板やTABテープなどの基体上に担持されている半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置においては、半導体チップの電極パッド又はテストパッドと、テスト用プローブ針との位置合わせを行うことが必要であり、この位置合わせに関しては、従来から種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2においては、半導体チップを担持するTABテープに位置合わせ用のマークを形成しておき、そのマークをカメラ等によって撮影して画像解析することにより、基準位置からのずれを計算し、半導体チップのテストパッドとテスト用プローブ針との位置合わせを行うアライメント方法が開示されている。しかし、このような光学的なアライメント方法では、マークを撮影するカメラや画像解析の設備が必要となり、装置が大掛かりなものとなる上に、位置合わせ用のマークをカメラが撮影できるように、検査装置の限られた空間の中でマークとカメラの光学的な位置関係を確保しなければならないという制約がある。
【0004】
また、特許文献3、4においては、半導体チップを担持する基板又はTABテープ上に、位置合わせ用の接点又はダミーパッドを形成し、複数の位置合わせ用のプローブ針をこれらの接点又はダミーパッドと接触させ、その電気的導通の有無を調べることによって、基準位置からのずれについての情報を得るようにすることが提案されている。しかし、これら従来から提案されている電気的なアライメント方法では、基準位置からのどの方向にずれているかの情報は得られるものの、どの程度ずれているかについての定量的な情報は得られず、位置合わせを完了するまでに、何度も試行錯誤を繰り返さなければならないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2556386号公報
【特許文献2】特開2008−116221号公報
【特許文献3】特開昭53−45181号公報
【特許文献4】特許第3214420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために為されたもので、カメラ等の設備を必要とせず、かつ、位置ずれについての定量的な情報が得られるアライメント機能を有する半導体検査装置とそのアライメント方法、さらには、そのような半導体検査装置又はアライメント方法に使用される半導体チップを担持する基体並びにプローブカードを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を、半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置であって、検査対象である半導体チップを担持する基体を検査位置まで送る手段;検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触又は離脱させる手段;コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる手段;電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段;電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて前記対応関係を記憶する手段からアライメント用の補正量を読み出す手段;読み出された補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす手段を備えているアライメント機能を有する半導体検査装置を提供することによって解決するものである。
【0008】
すなわち、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置においては、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及びダミー端子を介して電気的に導通状態となるコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせを調べ、その組み合わせに基づいて、予め求められている電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶手段から読み出すようにしているので、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することが可能である。
【0009】
また、本発明は、上記の課題を、半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置におけるアライメント方法であって、1)検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体を、検査位置まで送る工程;2)検査位置まで送られた基体に対し、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、アライメント用のコモン端子にはコモンプローブ針を、ダミー端子には複数のダミープローブ針のうちのいずれかを、それぞれ、電気的に接触させる工程;3)コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる工程;4)電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する記憶装置から、アライメント用の補正量を読み出す工程;5)読み出した補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす工程;を含む半導体検査装置におけるアライメント方法を提供することによって解決するものである。
【0010】
本発明のアライメント方法においては、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及びダミー端子を介して電気的に導通状態となるコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせを調べ、その組み合わせに基づいて、予め求められている電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶手段から読み出すようにしているので、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することが可能であり、半導体チップをテスト用プローブ針に対して必要とされる量だけ相対的に的確に移動させ、両者の位置関係を合わすことが可能である。
【0011】
さらに、本発明は、検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体、また、対象とする基体に形成されているコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子に対応する位置に、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を備えているプローブカードを提供することによって上記の課題を解決するものである。
【0012】
本発明が対象とする半導体チップを担持する基体としては、液晶駆動ドライバ等のICやLSIを搭載したTABテープが最も好適であるが、その上に多数の半導体チップが形成された半導体基板であっても良く、本発明は、電極パッド又はテストパッドとテスト用プローブ針との位置合わせが必要な全ての基体を対象とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法によれば、基準位置からのずれを補正量として定量的に知ることができるので、アライメント作業における試行錯誤の回数を減らし、効率の良い位置合わせを行うことができるという利点が得られる。また、本発明の半導体チップを担持する基体及びプローブカードによれば、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法に使用されることにより、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することを可能にし、効率の良いアライメントを実現することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置の一例を示す概略図である。
【図2】TABテープとプローブカードの関係を拡大して示す断面図である。
【図3】TABテープの一例を示す平面図である。
【図4】TABテープの部分拡大図である。
【図5】マクロアライメント用の端子の拡大図である。
【図6】マクロアライメント用の端子とコモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。
【図7】図6のX−X’断面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図10】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図11】マイクロアライメント用の端子の拡大図である。
【図12】マイクロアライメント用の端子とコモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。
【図13】図12のY−Y’断面図である。
【図14】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図15】位置合わせの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、半導体チップを担持する基体がTABテープである場合を例に、図面を用いて本発明を説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0016】
図1は、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置の一例を示す概略図である。図1において、1は本発明の半導体検査装置で、半導体検査装置1は、ハンドラー2とテスター3から構成されている。4はデバイスリール、5は収容リール、6、6はスプロケット、7はTABテープである。スプロケット6、6は、TABテープ7に設けられているスプロケットホールにスプロケットの歯を係合させ、TABテープ7をデバイスリール4から収容リール5に向かう方向に送る機能を有している。8はプッシャー、9はXY移動ステージ、10はプッシャー7を上下方向に移動させる駆動装置である。プッシャー8には、図示しない吸引手段が設けられており、TABテープ7を吸着し、吸着したTABテープ7ごと、XY移動ステージ9によってXY方向に移動させることができるようになっている。これらデバイスリール4、収容リール5、スプロケット6、6、プッシャー8、XY移動ステージ9、及び駆動装置10は、ハンドラー2の構成要素である。
【0017】
11はプローブカード、12はテスターヘッドである。これらプローブカード11及びテスターヘッド12は、テスター3の構成要素である。
【0018】
本発明の半導体検査装置1は、上記のようなハンドラー2とテスター3を有しており、TABテープ7に担持されている半導体チップを、スプロケット6、6によって、検査位置まで送り、位置合わせをした後に、プッシャー8を下降させて、プローブカード11に取り付けられている多数のテスト用プローブ針を、半導体チップのテストパッドに電気的に接触させ、その電気的特性の検査を行うものである。なお、XY移動ステージ9は、テスターヘッド12側に設けられていても良く、TABテープ7をプローブカード11に対して移動させるのではなく、プローブカード11をTABテープ7に対して移動させるようにしても良い。
【0019】
図2は、TABテープ7と、プローブカード11の関係を拡大して示す断面図である。13はプローブ基板、14はプローブカード11の配線基板である。15はTABテープ7に担持されている半導体チップ、16、16はプローブカード11に取り付けられているテスト用のプローブ針、17はプラットフォームであり、プラットフォーム17には凹部17aが設けられている。凹部17aは、プローブ基板13の略中央部に設けられている貫通穴18を介して、TABテープ7に向かって開口している。凹部17aの深さは、貫通穴18の厚さを含めた場合に、半導体チップ15を収容するのに十分な深さとされている。このような凹部17aがプラットフォーム17に設けられている場合には、プッシャー8によってTABテープ7がプローブカード11側に押圧されたとき、TABテープ7に担持されている半導体チップ15の少なくとも一部が凹部17aに収容され、プラットフォーム17と接触することがないという利点が得られる。通常、TBAテープ7に搭載される半導体チップ15の高さは0.8mmであり、プローブカード11の厚さは0.14mmであるので、凹部17aの深さは、0.8mm−0.14mm、すなわち、0.64mm以上あれば良いことになる。なお、19はスペーサー、20は補強板である。
【0020】
図3は、本発明の基体であるTABテープ7の一例を示す平面図である。図に示すとおり、TABテープ7には、複数の半導体チップ15、15、15・・・が担持されており、個々の半導体チップ15、15、15・・・の図示しないインナーリードは、TABテープ上に形成されているリードパターン21、21・・・と接続され、リードパターン21、21の先端には、図示しないテストパッドが形成されている。
【0021】
22、23は、それぞれマクロアライメント用及びマイクロアライメント用の端子であり、いずれもTABテープ7上に形成されている。本例においては、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23は、後述するように、各端子から得られる補正量の平均値を得るために、各半導体チップ15ごとに2セットずつ形成されているが、1セットずつであっても良いし、配置する角度を各セットごとに異ならせても良い。また、場合によっては、マクロアライメント用又はマイクロアライメント用のいずれか一方の端子を設けるだけでも良い。なお、24、24はスプロケットホールである。
【0022】
図4に一つの半導体チップ15に関連するTABテープ7の部分だけを取り出して拡大して示す。図3と同じ部材には同じ符号を付してある。25、25はテスト用のプローブ針であり、テスト用のプローブ針25、25は、図に示すとおり、その先端部をリードパターン21の先端に形成されているテストパッドに接触させて、半導体チップ15の電気的特性を検査するものである。
【0023】
図5は、マクロアライメント用の端子22の拡大図である。マクロアライメント用の端子22は、長尺状のコモン端子22COMと、コモン端子22COMの長尺状の中央部から長尺状の長手方向に対し直角方向に突出した1つのダミー端子22aから構成されている。ダミー端子22aは、コモン端子22COMから突出していることから明らかなように、コモン端子22COMと電気的に接続されている。αはダミー端子22aの幅方向の中心線であり、本例においてダミー端子22aは、コモン端子22COMの長手方向中央部から突出しているので、αは、コモン端子22COMの長手方向の中心線でもある。
【0024】
図6は、マクロアライメント用の端子22と、コモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。図6において、26COMはコモンプローブ針、261〜2619はダミープローブ針であり、ダミープローブ針261〜2619は、いずれも同形、同大であり、その先端部が直線状に整列するように配置されている。Wはダミープローブ針261〜2619の配置間隔(ピッチ)であり、ダミープローブ針261〜2619間で配置間隔Wは均等である。βは中央のダミープローブ針2610の幅方向の中心線であり、図に示すとおり、コモンプローブ針26COMは、中央のダミープローブ針2610と向き合った位置にあるので、βは、コモンプローブ針26COMの幅方向の中心線でもある。コモンプローブ針26COMの直下にはコモン端子22COMが存在し、ダミープローブ針2610の直下には、ダミー端子22aが存在する。
【0025】
図7は、図6のX−X’断面図であり、図の状態では、ダミープローブ針2610だけがダミー端子22aと接触している。Lはダミー端子22aの幅方向の長さであり、Xはダミープローブ針261〜2619の先端径である。
【0026】
コモンプローブ針26COMとダミープローブ針261〜2619とは、通常、テスト用のプローブ針とともに、プローブカード11に取り付けられているが、これらコモンプローブ針26COM及びダミープローブ針261〜2619と、TABテープ7上に形成されているコモン端子22COM及びダミー端子22aとの位置関係は次のとおりである。すなわち、両者の位置関係は、検査位置において、検査対象の半導体チップ15を担持するTABテープ7が正規の位置にあるときに、中央のダミープローブ針2610の中心線βがダミー端子22aの中心線α上に来るように設定される。したがって、中央のダミープローブ針2610の中心線βがダミー端子22aの中心線α上に位置するとき、換言すれば、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aに接触し、その位置がダミー端子22aの中央であれば、TABテープ7は検査位置において、少なくともコモン端子22COMの長尺状の長手方向に関し、正規の位置にあることになる。
【0027】
逆に、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aと接触しないか、他のダミープローブ針261〜269、2611〜2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合には、その接触したダミープローブ針が中央のダミープローブ針2610から離れている分だけ、TABテープ7の位置は正規の位置からずれていることになる。例えば、最も外側に位置するダミープローブ針261又は2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合には、TABテープ7は、検出できる範囲において、正規の位置から最もずれていることになり、中央のダミープローブ針2610からダミープローブ針261又は2619までの距離が、検出できるずれ量の最大値を規制することになる。なお、コモン端子22COMの長手方向の長さは、最も外側に位置するダミープローブ針261又は2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合であっても、コモンプローブ針26COMとの電気的接触が絶たれない長さに選ばれる。また、図示の例では、ダミープローブ針の数は19本であるが、19本に限られず、18本以下であっても、20本以上であっても良い。ただし、ダミープローブ針の数は、ダミープローブ針列の中央が判然とするように奇数とするのが好ましい。
【0028】
以下、図8〜図10を用いて、コモンプローブ針26COMと電気的に導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、アライメント用の補正量との対応関係について説明する。なお、図8〜図10において、ダミープローブ針261〜2619は、プローブ針上に番号を記すことによって示してある。
【0029】
図8は、図7の中央部のみを拡大して示すものである。図8において、中央のダミープローブ針2610はダミー端子22aの中央にあり、TABテープ7は正規の位置にある。この状態では先に図6で示したとおり、コモンプローブ針26COMは、コモン端子22COMと接触している。したがって、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610のみが導通状態にあり、コモンプローブ針26COMと他のダミープローブ針とは導通状態にはない。
【0030】
この図8に示す状態から、TABテープ7が例えば図中左方向又は右方向にS1だけずれると、ダミープローブ針269又はダミープローブ針2611もダミー端子22aと接触することになる。この場合でも、ダミープローブ針2610は依然としてダミー端子22aと接触状態にあるから、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び269、又はコモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び2611とが導通状態になることになる。このときの距離S1を求めると、S1は、ダミープローブ針269〜2610間の間隔Wから、ダミー端子22aの幅方向の長さLの(1/2)と、ダミープローブ針269の先端径Xの(1/2)とを減算した長さ、すなわち、
S1=W−(L/2)−(X/2)
となる。
【0031】
つまり、ダミープローブ針2610だけでなく、隣接するダミープローブ針269又は2611がコモンプローブ針26COMと導通状態にあるときには、TABテープ7は、図中左又は右方向に少なくとも距離S1だけずれていることになり、逆に、ダミープローブ針2610だけがコモンプローブ針26COMと導通状態にあるときには、TABテープ7のずれ量は、±S1未満ということになる。
【0032】
図9は、図8に示す状態からTABテープ7が図中右方向にずれて、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aと接触しなくなる限界の状態を示している。このときのずれの量S2は、図から明らかなとおり、
S2=(L/2)+(X/2)
となる。
【0033】
つまり、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及びダミープローブ針2611とが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は、図中右方向へのずれを「マイナス」の符号にすると−S1以上、−S2以下ということになる。図8に示す状態からTABテープ7が図中左方向にずれた場合も、ただ、S1、S2の距離が「マイナス」に変えて「プラス」を付して表されるだけで、同様である。
【0034】
図10は、図9に示す状態からTABテープ7がさらに図中右方向、すなわち、「マイナス」方向にずれて、ダミープローブ針2611に加えて、ダミープローブ針2612がダミー端子22aと接触する臨界の状態を示している。このときのずれの量S3は、図から明らかなとおり、
S3=W+{W−(L/2)−(X/2)}=2W−(L/2)−(X/2)
となる。
【0035】
つまり、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2611だけが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は−S2超、−S3未満ということになる。以上の結果をまとめると以下の表1のようになる。
【0036】
【表1】
【0037】
ところで、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の幅は均等である方が望ましいので、今、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び2611とが導通状態であるときのずれ量の幅(=−S2−(−S1))と、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2611だけが導通状態であるときのずれ量の幅(=−S3−(−S2))とが等しいと仮定して、そのときの、W、L、Xの関係を求めると以下のようになる。
【0038】
すなわち、−S2−(−S1)=−S3−(−S2)と仮定すると、2S2=S3+S1となるから、ここに上記で求めたS1、S2、S3を代入すると、
2{(L/2)+(X/2)}={2W−(L/2)−(X/2)}+{W−(L/2)−(X/2)}
となり、これを整理すると、
L+X=3W−L−X
つまり、3W=2(L+X)となり、ダミープローブ針261〜2619の配置間隔Wとその先端径X、及びダミーパッド22aの幅方向の長さLとが、3W=2(L+X)の場合には、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の範囲は均等になることが分かる。
【0039】
以上の結果に基づいて、通常の汎用されているプローブ針の先端径が約20μm程度であることを前提に、W、X、Lの関係を検討した結果、W=60μm、X=22.5μm、L=67.5μmとした場合には、ずれ量のピッチは30μmと均等になることが確認された。この場合のコモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、そのときのずれ量、及び補正量の対応関係を表2、表3に示す。表2は、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が2610〜2619の場合、表3は、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が261〜2610の場合を示し、便宜上、2つに分けたので、26COMと導通するダミープローブ針が2610だけである場合を重複して示している。なお、ずれ量には幅があるので、各ずれ量の範囲の平均値をもってアライメント用の補正量としている。また、当然のことながら、補正量の符号はずれ量の符号と反対になり、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が2610〜2619の場合の補正量を「+」とすると、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が261〜2610の場合の補正量は「−」として表される。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
このように、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、アライメント用の補正量との間には対応関係があるので、この対応関係を記憶装置に記憶させておき、アライメント時に求められるコモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせに基づいて、対応する補正量を記憶装置から読み出すことによって、アライメント用の補正量を、ずれの方向まで含めて、定量的に知ることができる。後は、読み出された補正量に基づいて、半導体チップ15をテスト用プローブ針25、25・・・に対して相対的に移動させ、両者の位置関係を合わせればよい。
【0043】
図11は、マイクロアライメント用の端子23の拡大図である。マイクロアライメント用の端子23は、櫛状に突出した複数のダミー端子23a〜23gと、それらダミー端子23a〜23gの櫛状の根元部に対し、その根元部の中央部で、電気的に接続されたコモン端子23COMから構成されている。αは中央のダミー端子23dの幅方向の中心線であり、Dはダミー端子23a〜23gの配置間隔(ピッチ)、Yはダミー端子23a〜23gの幅方向の長さである。なお、ダミー端子23a〜23gは、全て同形、同大である。
【0044】
図12は、マイクロアライメント用の端子23と、コモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。図12において、27COMはマイクロアライメント用のコモンプローブ針、271〜275はマイクロアライメント用のダミープローブ針、Wはダミープローブ針271〜275の配置間隔(ピッチ)である。ダミープローブ針271〜275は、いずれも同形、同大であり、その先端部が直線状に整列されており、ダミープローブ針271〜275間で配置間隔Wは均等である。βは中央のダミープローブ針273の幅方向の中心線である。図に示すとおり、コモンプローブ針27COMは、中央のダミープローブ針273と向き合った位置にあるので、βは、コモンプローブ針27COMの幅方向の中心線でもある。コモンプローブ針27COMの直下にはコモン端子23COMが存在し、ダミープローブ針273の直下には、ダミー端子23dが存在する。
【0045】
図13は、図12のY−Y’断面図である。図に示すとおり、ダミープローブ針273の直下には、ダミー端子23dが存在するが、隣接するダミープローブ針272及び274の下にも、それぞれ、ダミー端子23c及び23eが存在し、結局、3本のダミープローブ針272、273、274が、ダミー端子23c〜23e及びコモン端子23COMを介して、コモンプローブ針27COMと導通状態にある。Xはダミープローブ針271〜275の先端径、W、D、Yは、上述したとおり、それぞれ、ダミープローブ針271〜275の配置間隔、ダミー端子23a〜23gの配置間隔、ダミー端子23a〜23gの幅方向の長さである。なお、図13において、ダミープローブ針271〜275は、プローブ針上に番号を記すことによって、ダミー端子23a〜23gは、各ダミー端子の下にアルファベットa〜gを記すことによって示してある。
【0046】
マクロアライメント用のコモンプローブ針26COM及びダミープローブ針261〜2619と同様に、マイクロアライメント用のコモンプローブ針27COM及びダミープローブ針271〜275も、通常、テスト用のプローブ針とともに、プローブカード11に取り付けられている。これらコモンプローブ針27COM及びダミープローブ針271〜275は、TABテープ7上に形成されているマイクロアライメント用のコモン端子23COM及びダミー端子23a〜23gに対し、検査位置において、検査対象の半導体チップ15を担持するTABテープ7が正規の位置にあるときに、中央のダミープローブ針273の中心線βが中央のダミー端子23dの中心線α上に来るように設定される。したがって、図13に示すように、中央のダミープローブ針273がその中央位置でダミー端子23dに接触し、隣接するダミープローブ針272及び274が、それぞれ、ダミー端子23c及び23eに接触していれば、TABテープ7は検査位置において、少なくともダミー端子23a〜23gの櫛状の配列方向(図12、図13における左右方向)に関し、正規の位置にあることになる。
【0047】
なお、コモン端子23COMの幅、すなわち、ダミー端子23a〜23gの配列方向(図12、図13における左右方向)に沿った長さは、最も外側にあるダミープローブ針271又は275が最も外側にあるダミー端子23a又は23gと十分に接触できる位置まで移動しても、コモンプローブ針27COMとコモン端子23COMとの電気的接触が絶たれない長さに選ばれる。また、図示の例では、ダミー端子の数は7本、ダミープローブ針の数は5本であるが、ダミー端子及びダミープローブ針の数は、これらに限られない。ただし、ダミー端子の数はダミープローブ針の数よりも2多い数とするのが好ましい。
【0048】
以下、図13、図14を用いて、マイクロアライメント用のコモンプローブ針27COMと電気的に導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、アライメント用の補正量との対応関係について説明する。
【0049】
図13において、中央のダミープローブ針273は、その中央位置でダミー端子23dに接触し、隣接するダミープローブ針272及び274も、それぞれ、ダミー端子23c及び23eに接触しており、TABテープ7は正規の位置にある。この状態から、TABテープ7が例えば図中左方向又は右方向にs1だけずれると、ダミープローブ針271又はダミープローブ針275のいずれかが、ダミー端子23b又は23fと接触することになる。この場合でも、ダミープローブ針272〜274は、依然として、それぞれのダミー端子23c〜23eと接触状態にあるから、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274及び271、又はコモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274及び275とが導通状態になることになる。
【0050】
このときの距離s1を求めると、s1は、ダミープローブ針273〜275間の間隔、2×Wから、ダミー端子23d〜23fの間隔、2×Dを減算し、さらに、ダミー端子23fの幅方向の長さYの(1/2)と、ダミープローブ針275の先端径Xの(1/2)とを減算した長さ、すなわち、
s1=2W−2D−(Y/2)−(X/2)
となる。
【0051】
つまり、ダミープローブ針272〜274だけでなく、ダミープローブ針271又は275がコモンプローブ針27COMと導通状態にあるときには、TABテープ7は、図中左又は右方向に少なくとも距離s1だけずれていることになり、逆に、ダミープローブ針272〜274だけがコモンプローブ針27COMと導通状態にあるときには、TABテープ7のずれ量は、±s1未満ということになる。
【0052】
図14は、図13に示す状態からTABテープ7が図中右方向にずれて、左から2番目のダミープローブ針272がダミー端子23cと接触しなくなる限界の状態を示している。このときのずれの量s2は、図から明らかなとおり、
s2={D+(Y/2)}−{W−(X/2)}
となる。
【0053】
つまり、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272、273、274、275とが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は、図中右方向へのずれを「マイナス」の符号にすると−s1以上、−s2以下ということになる。図13に示す状態からTABテープ7が図中左方向にずれた場合も、ただ、s1、s2の距離が「マイナス」に変えて「プラス」を付して表されるだけで、同様である。以上の結果をまとめると表4のようになる。
【0054】
【表4】
【0055】
ところで、マクロアライメント用の補正量の場合と同様に、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の幅は均等である方が望ましいので、今、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274とが導通状態であるときのずれ量の幅(=2×s1)と、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜275が導通状態であるときのずれ量の幅(=s2−s1)とが等しいと仮定して、そのときの、W、D、X、Yの関係を求めると以下のようになる。
【0056】
すなわち、2s1=s2−s1と仮定して、これに上記で求めたs1、s2を代入すると、
2{2W−2D−(Y/2)−(X/2)}={D+(Y/2)}−{W−(X/2)}−{2W−2D−(Y/2)−(X/2)}
となり、これを整理すると、
4W−4D−Y−X=3D−3W+Y+X
つまり、7(W−D)=2(X+Y)となり、ダミープローブ針271〜275の配置間隔Wとその先端径X、及びダミーパッド23a〜23gの配置間隔Dと幅Yとが、7(W−D)=2(X+Y)の場合には、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の範囲は均等になることが分かる。
【0057】
以上の結果に基づいて、通常の汎用されているプローブ針の先端径が約20μm程度であることを前提に、W、X、D、Yの関係を検討した結果、W=60μm、X=22.5μm、D=50μm、Y=12.5μmとした場合には、ずれ量のピッチは5μmと均等になることが確認された。この場合のコモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、そのときのずれ量、及び補正量の対応関係を表5に示す。なお、ずれ量には幅があるので、各ずれ量の範囲の平均値をもってアライメント用の補正量としている。また、当然のことながら、補正量の符号はずれ量の符号と反対になる。
【0058】
【表5】
【0059】
このように、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、アライメント用の補正量との間には対応関係があるので、この対応関係を記憶装置に記憶させておき、アライメント時に求められるコモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせに基づいて、対応する補正量を記憶装置から読み出すことによって、アライメント用の補正量を、ずれの方向まで含めて、定量的に知ることができる。後は、読み出された補正量に基づいて、半導体チップ15をテスト用プローブ針25、25・・・に対して相対的に移動させ、両者の位置関係を合わせればよい。
【0060】
なお、図4に示したように、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とが、それぞれ2セットずつTABテープ7に設けられている場合には、プローブカード11にも、マクロアライメント用及びマイクロアライメント用のコモンプローブ針及びダミープローブ針のセットが、それぞれ対応する位置に、2セットずつ取り付けられていることになる。このように、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とが、それぞれ2セットずつTABテープ7に設けられている場合には、それぞれの端子とダミープローブ針を接触させて求められる補正量の平均値をもって、アライメント用の補正量とすることができる。したがって、例えば、TABテープ7上における端子22又は23の形成位置に若干のずれがあったとしても、そのずれを平均して均すことができるので、より精度の高いアライメントを実現することが可能となる。
【0061】
さらに、図4に示した例では、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とは、いずれも、TABテープ7のテープ送り方向とは直角方向の位置ずれを検出する方向に配置されているが、これは、TABテープ7に形成されているテストパッドは、通常、TABテープ7の送り方向にある程度の長さをもって形成されており、TABテープ7の送り方向に関しては、それほど高いアライメント精度が求められないからである。必要な場合には、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とを、図4に示す配置とは90度回転した配置として、TBAテープ7の送り方向における位置ずれを検出することができることは勿論である。
【0062】
図15は、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法による位置合わせの手順を示すフローチャートである。図15に示されるとおり、本発明においては、ハンドラーとテスターとが、情報を交換しながら、まず、上述したマクロアライメント用の端子及びプローブを用いて得られる補正量に基づいて、マクロ位置合わせを行い、次に、マイクロアライメント用の端子及びプローブを用いて得られる補正量に基づいてマイクロ位置合わせを行う。そして、いずれの位置合わせも完了した時点で、テスターは所定の電気的特性の検査を行うことになる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上の述べたとおり、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法によれば、検査対象である半導体チップを担持した基体の検査位置における位置ずれを、補正量として、定量的に知ることができるので、アライメント作業における試行錯誤の回数を減らし、効率の良い位置合わせを行うことができるので、極めて有用である。また、本発明の半導体チップを担持する基体及びプローブカードによれば、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法に使用されることにより、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することを可能にし、効率の良いアライメントを実現することができるという優れた産業上の有用性が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体検査装置
2 ハンドラー
3 テスター
4 デバイスリール
7 TABテープ
8 プッシャー
9 XY移動ステージ
10 駆動装置
11 プローブカード
12 テスターヘッド
13 プローブ基板
14 配線基板
15 半導体チップ
16 プローブ針
17 プラットフォーム
17a 凹部
18 貫通穴
22 マクロアライメント用端子
23 マイクロアライメント用端子
25 テスト用プローブ針
26 アライメント用プローブ針
W アライメント用プローブ針の配置間隔
X アライメント用プローブ針の先端径
L マクロアライメント用ダミー端子の幅
D マイクロアライメント用のダミー端子の配置間隔
Y マイクロアライメント用ダミー端子の幅
S、s ずれ量
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント機能を有する半導体検査装置とアライメント方法に関し、詳細には、TABテープ等の基体上に担持されている液晶駆動ドライバ等の半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置において、テストパッドとテスト用プローブ針の位置合わせを行うアライメント機能を有する半導体検査装置とそのアライメント方法、さらには、そのような半導体検査装置又はアライメント方法に使用される半導体チップを担持する基体並びにプローブカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板やTABテープなどの基体上に担持されている半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置においては、半導体チップの電極パッド又はテストパッドと、テスト用プローブ針との位置合わせを行うことが必要であり、この位置合わせに関しては、従来から種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2においては、半導体チップを担持するTABテープに位置合わせ用のマークを形成しておき、そのマークをカメラ等によって撮影して画像解析することにより、基準位置からのずれを計算し、半導体チップのテストパッドとテスト用プローブ針との位置合わせを行うアライメント方法が開示されている。しかし、このような光学的なアライメント方法では、マークを撮影するカメラや画像解析の設備が必要となり、装置が大掛かりなものとなる上に、位置合わせ用のマークをカメラが撮影できるように、検査装置の限られた空間の中でマークとカメラの光学的な位置関係を確保しなければならないという制約がある。
【0004】
また、特許文献3、4においては、半導体チップを担持する基板又はTABテープ上に、位置合わせ用の接点又はダミーパッドを形成し、複数の位置合わせ用のプローブ針をこれらの接点又はダミーパッドと接触させ、その電気的導通の有無を調べることによって、基準位置からのずれについての情報を得るようにすることが提案されている。しかし、これら従来から提案されている電気的なアライメント方法では、基準位置からのどの方向にずれているかの情報は得られるものの、どの程度ずれているかについての定量的な情報は得られず、位置合わせを完了するまでに、何度も試行錯誤を繰り返さなければならないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2556386号公報
【特許文献2】特開2008−116221号公報
【特許文献3】特開昭53−45181号公報
【特許文献4】特許第3214420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために為されたもので、カメラ等の設備を必要とせず、かつ、位置ずれについての定量的な情報が得られるアライメント機能を有する半導体検査装置とそのアライメント方法、さらには、そのような半導体検査装置又はアライメント方法に使用される半導体チップを担持する基体並びにプローブカードを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を、半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置であって、検査対象である半導体チップを担持する基体を検査位置まで送る手段;検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触又は離脱させる手段;コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる手段;電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段;電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて前記対応関係を記憶する手段からアライメント用の補正量を読み出す手段;読み出された補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす手段を備えているアライメント機能を有する半導体検査装置を提供することによって解決するものである。
【0008】
すなわち、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置においては、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及びダミー端子を介して電気的に導通状態となるコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせを調べ、その組み合わせに基づいて、予め求められている電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶手段から読み出すようにしているので、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することが可能である。
【0009】
また、本発明は、上記の課題を、半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置におけるアライメント方法であって、1)検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体を、検査位置まで送る工程;2)検査位置まで送られた基体に対し、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、アライメント用のコモン端子にはコモンプローブ針を、ダミー端子には複数のダミープローブ針のうちのいずれかを、それぞれ、電気的に接触させる工程;3)コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる工程;4)電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する記憶装置から、アライメント用の補正量を読み出す工程;5)読み出した補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす工程;を含む半導体検査装置におけるアライメント方法を提供することによって解決するものである。
【0010】
本発明のアライメント方法においては、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及びダミー端子を介して電気的に導通状態となるコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせを調べ、その組み合わせに基づいて、予め求められている電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶手段から読み出すようにしているので、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することが可能であり、半導体チップをテスト用プローブ針に対して必要とされる量だけ相対的に的確に移動させ、両者の位置関係を合わすことが可能である。
【0011】
さらに、本発明は、検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体、また、対象とする基体に形成されているコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子に対応する位置に、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を備えているプローブカードを提供することによって上記の課題を解決するものである。
【0012】
本発明が対象とする半導体チップを担持する基体としては、液晶駆動ドライバ等のICやLSIを搭載したTABテープが最も好適であるが、その上に多数の半導体チップが形成された半導体基板であっても良く、本発明は、電極パッド又はテストパッドとテスト用プローブ針との位置合わせが必要な全ての基体を対象とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法によれば、基準位置からのずれを補正量として定量的に知ることができるので、アライメント作業における試行錯誤の回数を減らし、効率の良い位置合わせを行うことができるという利点が得られる。また、本発明の半導体チップを担持する基体及びプローブカードによれば、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法に使用されることにより、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することを可能にし、効率の良いアライメントを実現することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置の一例を示す概略図である。
【図2】TABテープとプローブカードの関係を拡大して示す断面図である。
【図3】TABテープの一例を示す平面図である。
【図4】TABテープの部分拡大図である。
【図5】マクロアライメント用の端子の拡大図である。
【図6】マクロアライメント用の端子とコモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。
【図7】図6のX−X’断面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図10】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図11】マイクロアライメント用の端子の拡大図である。
【図12】マイクロアライメント用の端子とコモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。
【図13】図12のY−Y’断面図である。
【図14】位置がずれたときのダミープローブ針とダミー端子の関係を表す図である。
【図15】位置合わせの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、半導体チップを担持する基体がTABテープである場合を例に、図面を用いて本発明を説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0016】
図1は、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置の一例を示す概略図である。図1において、1は本発明の半導体検査装置で、半導体検査装置1は、ハンドラー2とテスター3から構成されている。4はデバイスリール、5は収容リール、6、6はスプロケット、7はTABテープである。スプロケット6、6は、TABテープ7に設けられているスプロケットホールにスプロケットの歯を係合させ、TABテープ7をデバイスリール4から収容リール5に向かう方向に送る機能を有している。8はプッシャー、9はXY移動ステージ、10はプッシャー7を上下方向に移動させる駆動装置である。プッシャー8には、図示しない吸引手段が設けられており、TABテープ7を吸着し、吸着したTABテープ7ごと、XY移動ステージ9によってXY方向に移動させることができるようになっている。これらデバイスリール4、収容リール5、スプロケット6、6、プッシャー8、XY移動ステージ9、及び駆動装置10は、ハンドラー2の構成要素である。
【0017】
11はプローブカード、12はテスターヘッドである。これらプローブカード11及びテスターヘッド12は、テスター3の構成要素である。
【0018】
本発明の半導体検査装置1は、上記のようなハンドラー2とテスター3を有しており、TABテープ7に担持されている半導体チップを、スプロケット6、6によって、検査位置まで送り、位置合わせをした後に、プッシャー8を下降させて、プローブカード11に取り付けられている多数のテスト用プローブ針を、半導体チップのテストパッドに電気的に接触させ、その電気的特性の検査を行うものである。なお、XY移動ステージ9は、テスターヘッド12側に設けられていても良く、TABテープ7をプローブカード11に対して移動させるのではなく、プローブカード11をTABテープ7に対して移動させるようにしても良い。
【0019】
図2は、TABテープ7と、プローブカード11の関係を拡大して示す断面図である。13はプローブ基板、14はプローブカード11の配線基板である。15はTABテープ7に担持されている半導体チップ、16、16はプローブカード11に取り付けられているテスト用のプローブ針、17はプラットフォームであり、プラットフォーム17には凹部17aが設けられている。凹部17aは、プローブ基板13の略中央部に設けられている貫通穴18を介して、TABテープ7に向かって開口している。凹部17aの深さは、貫通穴18の厚さを含めた場合に、半導体チップ15を収容するのに十分な深さとされている。このような凹部17aがプラットフォーム17に設けられている場合には、プッシャー8によってTABテープ7がプローブカード11側に押圧されたとき、TABテープ7に担持されている半導体チップ15の少なくとも一部が凹部17aに収容され、プラットフォーム17と接触することがないという利点が得られる。通常、TBAテープ7に搭載される半導体チップ15の高さは0.8mmであり、プローブカード11の厚さは0.14mmであるので、凹部17aの深さは、0.8mm−0.14mm、すなわち、0.64mm以上あれば良いことになる。なお、19はスペーサー、20は補強板である。
【0020】
図3は、本発明の基体であるTABテープ7の一例を示す平面図である。図に示すとおり、TABテープ7には、複数の半導体チップ15、15、15・・・が担持されており、個々の半導体チップ15、15、15・・・の図示しないインナーリードは、TABテープ上に形成されているリードパターン21、21・・・と接続され、リードパターン21、21の先端には、図示しないテストパッドが形成されている。
【0021】
22、23は、それぞれマクロアライメント用及びマイクロアライメント用の端子であり、いずれもTABテープ7上に形成されている。本例においては、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23は、後述するように、各端子から得られる補正量の平均値を得るために、各半導体チップ15ごとに2セットずつ形成されているが、1セットずつであっても良いし、配置する角度を各セットごとに異ならせても良い。また、場合によっては、マクロアライメント用又はマイクロアライメント用のいずれか一方の端子を設けるだけでも良い。なお、24、24はスプロケットホールである。
【0022】
図4に一つの半導体チップ15に関連するTABテープ7の部分だけを取り出して拡大して示す。図3と同じ部材には同じ符号を付してある。25、25はテスト用のプローブ針であり、テスト用のプローブ針25、25は、図に示すとおり、その先端部をリードパターン21の先端に形成されているテストパッドに接触させて、半導体チップ15の電気的特性を検査するものである。
【0023】
図5は、マクロアライメント用の端子22の拡大図である。マクロアライメント用の端子22は、長尺状のコモン端子22COMと、コモン端子22COMの長尺状の中央部から長尺状の長手方向に対し直角方向に突出した1つのダミー端子22aから構成されている。ダミー端子22aは、コモン端子22COMから突出していることから明らかなように、コモン端子22COMと電気的に接続されている。αはダミー端子22aの幅方向の中心線であり、本例においてダミー端子22aは、コモン端子22COMの長手方向中央部から突出しているので、αは、コモン端子22COMの長手方向の中心線でもある。
【0024】
図6は、マクロアライメント用の端子22と、コモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。図6において、26COMはコモンプローブ針、261〜2619はダミープローブ針であり、ダミープローブ針261〜2619は、いずれも同形、同大であり、その先端部が直線状に整列するように配置されている。Wはダミープローブ針261〜2619の配置間隔(ピッチ)であり、ダミープローブ針261〜2619間で配置間隔Wは均等である。βは中央のダミープローブ針2610の幅方向の中心線であり、図に示すとおり、コモンプローブ針26COMは、中央のダミープローブ針2610と向き合った位置にあるので、βは、コモンプローブ針26COMの幅方向の中心線でもある。コモンプローブ針26COMの直下にはコモン端子22COMが存在し、ダミープローブ針2610の直下には、ダミー端子22aが存在する。
【0025】
図7は、図6のX−X’断面図であり、図の状態では、ダミープローブ針2610だけがダミー端子22aと接触している。Lはダミー端子22aの幅方向の長さであり、Xはダミープローブ針261〜2619の先端径である。
【0026】
コモンプローブ針26COMとダミープローブ針261〜2619とは、通常、テスト用のプローブ針とともに、プローブカード11に取り付けられているが、これらコモンプローブ針26COM及びダミープローブ針261〜2619と、TABテープ7上に形成されているコモン端子22COM及びダミー端子22aとの位置関係は次のとおりである。すなわち、両者の位置関係は、検査位置において、検査対象の半導体チップ15を担持するTABテープ7が正規の位置にあるときに、中央のダミープローブ針2610の中心線βがダミー端子22aの中心線α上に来るように設定される。したがって、中央のダミープローブ針2610の中心線βがダミー端子22aの中心線α上に位置するとき、換言すれば、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aに接触し、その位置がダミー端子22aの中央であれば、TABテープ7は検査位置において、少なくともコモン端子22COMの長尺状の長手方向に関し、正規の位置にあることになる。
【0027】
逆に、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aと接触しないか、他のダミープローブ針261〜269、2611〜2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合には、その接触したダミープローブ針が中央のダミープローブ針2610から離れている分だけ、TABテープ7の位置は正規の位置からずれていることになる。例えば、最も外側に位置するダミープローブ針261又は2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合には、TABテープ7は、検出できる範囲において、正規の位置から最もずれていることになり、中央のダミープローブ針2610からダミープローブ針261又は2619までの距離が、検出できるずれ量の最大値を規制することになる。なお、コモン端子22COMの長手方向の長さは、最も外側に位置するダミープローブ針261又は2619のいずれかがダミー端子22aと接触する場合であっても、コモンプローブ針26COMとの電気的接触が絶たれない長さに選ばれる。また、図示の例では、ダミープローブ針の数は19本であるが、19本に限られず、18本以下であっても、20本以上であっても良い。ただし、ダミープローブ針の数は、ダミープローブ針列の中央が判然とするように奇数とするのが好ましい。
【0028】
以下、図8〜図10を用いて、コモンプローブ針26COMと電気的に導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、アライメント用の補正量との対応関係について説明する。なお、図8〜図10において、ダミープローブ針261〜2619は、プローブ針上に番号を記すことによって示してある。
【0029】
図8は、図7の中央部のみを拡大して示すものである。図8において、中央のダミープローブ針2610はダミー端子22aの中央にあり、TABテープ7は正規の位置にある。この状態では先に図6で示したとおり、コモンプローブ針26COMは、コモン端子22COMと接触している。したがって、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610のみが導通状態にあり、コモンプローブ針26COMと他のダミープローブ針とは導通状態にはない。
【0030】
この図8に示す状態から、TABテープ7が例えば図中左方向又は右方向にS1だけずれると、ダミープローブ針269又はダミープローブ針2611もダミー端子22aと接触することになる。この場合でも、ダミープローブ針2610は依然としてダミー端子22aと接触状態にあるから、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び269、又はコモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び2611とが導通状態になることになる。このときの距離S1を求めると、S1は、ダミープローブ針269〜2610間の間隔Wから、ダミー端子22aの幅方向の長さLの(1/2)と、ダミープローブ針269の先端径Xの(1/2)とを減算した長さ、すなわち、
S1=W−(L/2)−(X/2)
となる。
【0031】
つまり、ダミープローブ針2610だけでなく、隣接するダミープローブ針269又は2611がコモンプローブ針26COMと導通状態にあるときには、TABテープ7は、図中左又は右方向に少なくとも距離S1だけずれていることになり、逆に、ダミープローブ針2610だけがコモンプローブ針26COMと導通状態にあるときには、TABテープ7のずれ量は、±S1未満ということになる。
【0032】
図9は、図8に示す状態からTABテープ7が図中右方向にずれて、中央のダミープローブ針2610がダミー端子22aと接触しなくなる限界の状態を示している。このときのずれの量S2は、図から明らかなとおり、
S2=(L/2)+(X/2)
となる。
【0033】
つまり、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及びダミープローブ針2611とが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は、図中右方向へのずれを「マイナス」の符号にすると−S1以上、−S2以下ということになる。図8に示す状態からTABテープ7が図中左方向にずれた場合も、ただ、S1、S2の距離が「マイナス」に変えて「プラス」を付して表されるだけで、同様である。
【0034】
図10は、図9に示す状態からTABテープ7がさらに図中右方向、すなわち、「マイナス」方向にずれて、ダミープローブ針2611に加えて、ダミープローブ針2612がダミー端子22aと接触する臨界の状態を示している。このときのずれの量S3は、図から明らかなとおり、
S3=W+{W−(L/2)−(X/2)}=2W−(L/2)−(X/2)
となる。
【0035】
つまり、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2611だけが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は−S2超、−S3未満ということになる。以上の結果をまとめると以下の表1のようになる。
【0036】
【表1】
【0037】
ところで、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の幅は均等である方が望ましいので、今、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2610及び2611とが導通状態であるときのずれ量の幅(=−S2−(−S1))と、コモンプローブ針26COMとダミープローブ針2611だけが導通状態であるときのずれ量の幅(=−S3−(−S2))とが等しいと仮定して、そのときの、W、L、Xの関係を求めると以下のようになる。
【0038】
すなわち、−S2−(−S1)=−S3−(−S2)と仮定すると、2S2=S3+S1となるから、ここに上記で求めたS1、S2、S3を代入すると、
2{(L/2)+(X/2)}={2W−(L/2)−(X/2)}+{W−(L/2)−(X/2)}
となり、これを整理すると、
L+X=3W−L−X
つまり、3W=2(L+X)となり、ダミープローブ針261〜2619の配置間隔Wとその先端径X、及びダミーパッド22aの幅方向の長さLとが、3W=2(L+X)の場合には、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の範囲は均等になることが分かる。
【0039】
以上の結果に基づいて、通常の汎用されているプローブ針の先端径が約20μm程度であることを前提に、W、X、Lの関係を検討した結果、W=60μm、X=22.5μm、L=67.5μmとした場合には、ずれ量のピッチは30μmと均等になることが確認された。この場合のコモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、そのときのずれ量、及び補正量の対応関係を表2、表3に示す。表2は、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が2610〜2619の場合、表3は、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が261〜2610の場合を示し、便宜上、2つに分けたので、26COMと導通するダミープローブ針が2610だけである場合を重複して示している。なお、ずれ量には幅があるので、各ずれ量の範囲の平均値をもってアライメント用の補正量としている。また、当然のことながら、補正量の符号はずれ量の符号と反対になり、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が2610〜2619の場合の補正量を「+」とすると、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針が261〜2610の場合の補正量は「−」として表される。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
このように、コモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせと、アライメント用の補正量との間には対応関係があるので、この対応関係を記憶装置に記憶させておき、アライメント時に求められるコモンプローブ針26COMと導通するダミープローブ針261〜2619の組み合わせに基づいて、対応する補正量を記憶装置から読み出すことによって、アライメント用の補正量を、ずれの方向まで含めて、定量的に知ることができる。後は、読み出された補正量に基づいて、半導体チップ15をテスト用プローブ針25、25・・・に対して相対的に移動させ、両者の位置関係を合わせればよい。
【0043】
図11は、マイクロアライメント用の端子23の拡大図である。マイクロアライメント用の端子23は、櫛状に突出した複数のダミー端子23a〜23gと、それらダミー端子23a〜23gの櫛状の根元部に対し、その根元部の中央部で、電気的に接続されたコモン端子23COMから構成されている。αは中央のダミー端子23dの幅方向の中心線であり、Dはダミー端子23a〜23gの配置間隔(ピッチ)、Yはダミー端子23a〜23gの幅方向の長さである。なお、ダミー端子23a〜23gは、全て同形、同大である。
【0044】
図12は、マイクロアライメント用の端子23と、コモンプローブ針及びダミープローブ針の関係を示す平面図である。図12において、27COMはマイクロアライメント用のコモンプローブ針、271〜275はマイクロアライメント用のダミープローブ針、Wはダミープローブ針271〜275の配置間隔(ピッチ)である。ダミープローブ針271〜275は、いずれも同形、同大であり、その先端部が直線状に整列されており、ダミープローブ針271〜275間で配置間隔Wは均等である。βは中央のダミープローブ針273の幅方向の中心線である。図に示すとおり、コモンプローブ針27COMは、中央のダミープローブ針273と向き合った位置にあるので、βは、コモンプローブ針27COMの幅方向の中心線でもある。コモンプローブ針27COMの直下にはコモン端子23COMが存在し、ダミープローブ針273の直下には、ダミー端子23dが存在する。
【0045】
図13は、図12のY−Y’断面図である。図に示すとおり、ダミープローブ針273の直下には、ダミー端子23dが存在するが、隣接するダミープローブ針272及び274の下にも、それぞれ、ダミー端子23c及び23eが存在し、結局、3本のダミープローブ針272、273、274が、ダミー端子23c〜23e及びコモン端子23COMを介して、コモンプローブ針27COMと導通状態にある。Xはダミープローブ針271〜275の先端径、W、D、Yは、上述したとおり、それぞれ、ダミープローブ針271〜275の配置間隔、ダミー端子23a〜23gの配置間隔、ダミー端子23a〜23gの幅方向の長さである。なお、図13において、ダミープローブ針271〜275は、プローブ針上に番号を記すことによって、ダミー端子23a〜23gは、各ダミー端子の下にアルファベットa〜gを記すことによって示してある。
【0046】
マクロアライメント用のコモンプローブ針26COM及びダミープローブ針261〜2619と同様に、マイクロアライメント用のコモンプローブ針27COM及びダミープローブ針271〜275も、通常、テスト用のプローブ針とともに、プローブカード11に取り付けられている。これらコモンプローブ針27COM及びダミープローブ針271〜275は、TABテープ7上に形成されているマイクロアライメント用のコモン端子23COM及びダミー端子23a〜23gに対し、検査位置において、検査対象の半導体チップ15を担持するTABテープ7が正規の位置にあるときに、中央のダミープローブ針273の中心線βが中央のダミー端子23dの中心線α上に来るように設定される。したがって、図13に示すように、中央のダミープローブ針273がその中央位置でダミー端子23dに接触し、隣接するダミープローブ針272及び274が、それぞれ、ダミー端子23c及び23eに接触していれば、TABテープ7は検査位置において、少なくともダミー端子23a〜23gの櫛状の配列方向(図12、図13における左右方向)に関し、正規の位置にあることになる。
【0047】
なお、コモン端子23COMの幅、すなわち、ダミー端子23a〜23gの配列方向(図12、図13における左右方向)に沿った長さは、最も外側にあるダミープローブ針271又は275が最も外側にあるダミー端子23a又は23gと十分に接触できる位置まで移動しても、コモンプローブ針27COMとコモン端子23COMとの電気的接触が絶たれない長さに選ばれる。また、図示の例では、ダミー端子の数は7本、ダミープローブ針の数は5本であるが、ダミー端子及びダミープローブ針の数は、これらに限られない。ただし、ダミー端子の数はダミープローブ針の数よりも2多い数とするのが好ましい。
【0048】
以下、図13、図14を用いて、マイクロアライメント用のコモンプローブ針27COMと電気的に導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、アライメント用の補正量との対応関係について説明する。
【0049】
図13において、中央のダミープローブ針273は、その中央位置でダミー端子23dに接触し、隣接するダミープローブ針272及び274も、それぞれ、ダミー端子23c及び23eに接触しており、TABテープ7は正規の位置にある。この状態から、TABテープ7が例えば図中左方向又は右方向にs1だけずれると、ダミープローブ針271又はダミープローブ針275のいずれかが、ダミー端子23b又は23fと接触することになる。この場合でも、ダミープローブ針272〜274は、依然として、それぞれのダミー端子23c〜23eと接触状態にあるから、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274及び271、又はコモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274及び275とが導通状態になることになる。
【0050】
このときの距離s1を求めると、s1は、ダミープローブ針273〜275間の間隔、2×Wから、ダミー端子23d〜23fの間隔、2×Dを減算し、さらに、ダミー端子23fの幅方向の長さYの(1/2)と、ダミープローブ針275の先端径Xの(1/2)とを減算した長さ、すなわち、
s1=2W−2D−(Y/2)−(X/2)
となる。
【0051】
つまり、ダミープローブ針272〜274だけでなく、ダミープローブ針271又は275がコモンプローブ針27COMと導通状態にあるときには、TABテープ7は、図中左又は右方向に少なくとも距離s1だけずれていることになり、逆に、ダミープローブ針272〜274だけがコモンプローブ針27COMと導通状態にあるときには、TABテープ7のずれ量は、±s1未満ということになる。
【0052】
図14は、図13に示す状態からTABテープ7が図中右方向にずれて、左から2番目のダミープローブ針272がダミー端子23cと接触しなくなる限界の状態を示している。このときのずれの量s2は、図から明らかなとおり、
s2={D+(Y/2)}−{W−(X/2)}
となる。
【0053】
つまり、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272、273、274、275とが導通状態であるときには、TABテープ7の図中右方向へのずれ量は、図中右方向へのずれを「マイナス」の符号にすると−s1以上、−s2以下ということになる。図13に示す状態からTABテープ7が図中左方向にずれた場合も、ただ、s1、s2の距離が「マイナス」に変えて「プラス」を付して表されるだけで、同様である。以上の結果をまとめると表4のようになる。
【0054】
【表4】
【0055】
ところで、マクロアライメント用の補正量の場合と同様に、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の幅は均等である方が望ましいので、今、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜274とが導通状態であるときのずれ量の幅(=2×s1)と、コモンプローブ針27COMとダミープローブ針272〜275が導通状態であるときのずれ量の幅(=s2−s1)とが等しいと仮定して、そのときの、W、D、X、Yの関係を求めると以下のようになる。
【0056】
すなわち、2s1=s2−s1と仮定して、これに上記で求めたs1、s2を代入すると、
2{2W−2D−(Y/2)−(X/2)}={D+(Y/2)}−{W−(X/2)}−{2W−2D−(Y/2)−(X/2)}
となり、これを整理すると、
4W−4D−Y−X=3D−3W+Y+X
つまり、7(W−D)=2(X+Y)となり、ダミープローブ針271〜275の配置間隔Wとその先端径X、及びダミーパッド23a〜23gの配置間隔Dと幅Yとが、7(W−D)=2(X+Y)の場合には、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針の組み合わせが変わることによって導かれるずれ量の範囲は均等になることが分かる。
【0057】
以上の結果に基づいて、通常の汎用されているプローブ針の先端径が約20μm程度であることを前提に、W、X、D、Yの関係を検討した結果、W=60μm、X=22.5μm、D=50μm、Y=12.5μmとした場合には、ずれ量のピッチは5μmと均等になることが確認された。この場合のコモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、そのときのずれ量、及び補正量の対応関係を表5に示す。なお、ずれ量には幅があるので、各ずれ量の範囲の平均値をもってアライメント用の補正量としている。また、当然のことながら、補正量の符号はずれ量の符号と反対になる。
【0058】
【表5】
【0059】
このように、コモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせと、アライメント用の補正量との間には対応関係があるので、この対応関係を記憶装置に記憶させておき、アライメント時に求められるコモンプローブ針27COMと導通するダミープローブ針271〜275の組み合わせに基づいて、対応する補正量を記憶装置から読み出すことによって、アライメント用の補正量を、ずれの方向まで含めて、定量的に知ることができる。後は、読み出された補正量に基づいて、半導体チップ15をテスト用プローブ針25、25・・・に対して相対的に移動させ、両者の位置関係を合わせればよい。
【0060】
なお、図4に示したように、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とが、それぞれ2セットずつTABテープ7に設けられている場合には、プローブカード11にも、マクロアライメント用及びマイクロアライメント用のコモンプローブ針及びダミープローブ針のセットが、それぞれ対応する位置に、2セットずつ取り付けられていることになる。このように、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とが、それぞれ2セットずつTABテープ7に設けられている場合には、それぞれの端子とダミープローブ針を接触させて求められる補正量の平均値をもって、アライメント用の補正量とすることができる。したがって、例えば、TABテープ7上における端子22又は23の形成位置に若干のずれがあったとしても、そのずれを平均して均すことができるので、より精度の高いアライメントを実現することが可能となる。
【0061】
さらに、図4に示した例では、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とは、いずれも、TABテープ7のテープ送り方向とは直角方向の位置ずれを検出する方向に配置されているが、これは、TABテープ7に形成されているテストパッドは、通常、TABテープ7の送り方向にある程度の長さをもって形成されており、TABテープ7の送り方向に関しては、それほど高いアライメント精度が求められないからである。必要な場合には、マクロアライメント用の端子22と、マイクロアライメント用の端子23とを、図4に示す配置とは90度回転した配置として、TBAテープ7の送り方向における位置ずれを検出することができることは勿論である。
【0062】
図15は、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法による位置合わせの手順を示すフローチャートである。図15に示されるとおり、本発明においては、ハンドラーとテスターとが、情報を交換しながら、まず、上述したマクロアライメント用の端子及びプローブを用いて得られる補正量に基づいて、マクロ位置合わせを行い、次に、マイクロアライメント用の端子及びプローブを用いて得られる補正量に基づいてマイクロ位置合わせを行う。そして、いずれの位置合わせも完了した時点で、テスターは所定の電気的特性の検査を行うことになる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上の述べたとおり、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法によれば、検査対象である半導体チップを担持した基体の検査位置における位置ずれを、補正量として、定量的に知ることができるので、アライメント作業における試行錯誤の回数を減らし、効率の良い位置合わせを行うことができるので、極めて有用である。また、本発明の半導体チップを担持する基体及びプローブカードによれば、本発明のアライメント機能を有する半導体検査装置及びアライメント方法に使用されることにより、基準位置からのずれ量を補正量として定量的に把握することを可能にし、効率の良いアライメントを実現することができるという優れた産業上の有用性が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体検査装置
2 ハンドラー
3 テスター
4 デバイスリール
7 TABテープ
8 プッシャー
9 XY移動ステージ
10 駆動装置
11 プローブカード
12 テスターヘッド
13 プローブ基板
14 配線基板
15 半導体チップ
16 プローブ針
17 プラットフォーム
17a 凹部
18 貫通穴
22 マクロアライメント用端子
23 マイクロアライメント用端子
25 テスト用プローブ針
26 アライメント用プローブ針
W アライメント用プローブ針の配置間隔
X アライメント用プローブ針の先端径
L マクロアライメント用ダミー端子の幅
D マイクロアライメント用のダミー端子の配置間隔
Y マイクロアライメント用ダミー端子の幅
S、s ずれ量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置であって、検査対象である半導体チップを担持する基体を検査位置まで送る手段;検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触又は離脱させる手段;コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる手段;電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段;電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて前記対応関係を記憶する手段からアライメント用の補正量を読み出す手段;読み出された補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置を合わせる手段を備えているアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項2】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針がテスト用プローブ針とともにプローブカードに取り付けられており、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を、検査対象である半導体チップを担持している基体に対して相対的に移動させる手段が、当該プローブカードを基体に対して相対的に移動させる駆動装置を備えている請求項1記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項3】
電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段が、当該対応関係を、マクロアライメント用とマイクロアライメント用の少なくとも2種類記憶している請求項1又は2に記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項4】
検査対象である半導体チップを担持している基体がTABテープである請求項1〜3のいずれかに記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項5】
半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置におけるアライメント方法であって、1)検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体を、検査位置まで送る工程;2)検査位置まで送られた基体に対し、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、アライメント用のコモン端子にはコモンプローブ針を、ダミー端子には複数のダミープローブ針のうちのいずれかを、それぞれ、電気的に接触させる工程;3)コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる工程;4)電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する記憶装置から、アライメント用の補正量を読み出す工程;5)読み出した補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす工程;を含む半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項6】
基体には、コモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のセットが、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ形成されており、上記2)〜5)の工程が、マクロアライメント用とマイクロアライメント用のコモン端子及びダミー端子のセットのそれぞれについて、それぞれ、マクロアライメント用又はマイクロアライメント用のコモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を用いて、少なくとも1回ずつ繰り返される請求項5記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項7】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針がテスト用プローブ針とともにプローブカードに取り付けられており、上記2)の工程が、検査位置まで送られた基体に対し、プローブカードを相対的に移動させる工程である請求項5又は6記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項8】
検査対象である半導体チップを担持している基体がTABテープである請求項5〜7のいずれかに記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項9】
検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体。
【請求項10】
アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が、長尺状のコモン端子と、コモン端子の長尺状の中央部から長尺状の長手方向に対し直角方向に突出した1つのダミー端子である請求項9記載の基体。
【請求項11】
アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が、櫛状に突出した複数のダミー端子と、それらダミー端子の櫛状の根元部に対し、その根元部の中央部で、電気的に接続されたコモン端子である請求項9記載の基体。
【請求項12】
コモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のセットが、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ形成されている請求項9〜11のいずれかに記載の基体。
【請求項13】
基体がTABテープである請求項9〜12のいずれかに記載の基体。
【請求項14】
検査対象とする半導体チップを担持する基体に形成されているコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子に対応する位置に、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を備えているプローブカード。
【請求項15】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針のセットを、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ備えている請求項14記載のプローブカード。
【請求項16】
プローブ基板を担持するプラットフォームが、プローブ基板の略中央部に設けられている貫通穴を介して検査対象である半導体チップを担持している基体に向かって開口し、プロービング時に検査対象である半導体チップの少なくとも一部を収容する凹部を備えている請求項14又は15記載のプローブカード。
【請求項1】
半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置であって、検査対象である半導体チップを担持する基体を検査位置まで送る手段;検査位置まで送られた基体に対して、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、基体上に形成されているアライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のそれぞれと接触又は離脱させる手段;コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる手段;電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段;電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて前記対応関係を記憶する手段からアライメント用の補正量を読み出す手段;読み出された補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置を合わせる手段を備えているアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項2】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針がテスト用プローブ針とともにプローブカードに取り付けられており、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を、検査対象である半導体チップを担持している基体に対して相対的に移動させる手段が、当該プローブカードを基体に対して相対的に移動させる駆動装置を備えている請求項1記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項3】
電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する手段が、当該対応関係を、マクロアライメント用とマイクロアライメント用の少なくとも2種類記憶している請求項1又は2に記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項4】
検査対象である半導体チップを担持している基体がTABテープである請求項1〜3のいずれかに記載のアライメント機能を有する半導体検査装置。
【請求項5】
半導体チップの電極パッド又はテストパッドにテスト用プローブ針の先端を電気的に接触させて半導体チップの電気的特性を検査する半導体検査装置におけるアライメント方法であって、1)検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体を、検査位置まで送る工程;2)検査位置まで送られた基体に対し、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を相対的に移動させ、アライメント用のコモン端子にはコモンプローブ針を、ダミー端子には複数のダミープローブ針のうちのいずれかを、それぞれ、電気的に接触させる工程;3)コモンプローブ針及びダミープローブ針間の電気的導通を調べる工程;4)電気的に導通したコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせに基づいて、電気的に導通するコモンプローブ針とダミープローブ針の組み合わせとアライメント用の補正量との対応関係を記憶する記憶装置から、アライメント用の補正量を読み出す工程;5)読み出した補正量に基づいて、半導体チップとテスト用プローブ針との相対的な位置関係を合わす工程;を含む半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項6】
基体には、コモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のセットが、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ形成されており、上記2)〜5)の工程が、マクロアライメント用とマイクロアライメント用のコモン端子及びダミー端子のセットのそれぞれについて、それぞれ、マクロアライメント用又はマイクロアライメント用のコモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を用いて、少なくとも1回ずつ繰り返される請求項5記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項7】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針がテスト用プローブ針とともにプローブカードに取り付けられており、上記2)の工程が、検査位置まで送られた基体に対し、プローブカードを相対的に移動させる工程である請求項5又は6記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項8】
検査対象である半導体チップを担持している基体がTABテープである請求項5〜7のいずれかに記載の半導体検査装置におけるアライメント方法。
【請求項9】
検査対象である半導体チップを担持するとともに、アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が形成されている基体。
【請求項10】
アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が、長尺状のコモン端子と、コモン端子の長尺状の中央部から長尺状の長手方向に対し直角方向に突出した1つのダミー端子である請求項9記載の基体。
【請求項11】
アライメント用のコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子が、櫛状に突出した複数のダミー端子と、それらダミー端子の櫛状の根元部に対し、その根元部の中央部で、電気的に接続されたコモン端子である請求項9記載の基体。
【請求項12】
コモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子のセットが、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ形成されている請求項9〜11のいずれかに記載の基体。
【請求項13】
基体がTABテープである請求項9〜12のいずれかに記載の基体。
【請求項14】
検査対象とする半導体チップを担持する基体に形成されているコモン端子及び該コモン端子と電気的に接続されている1又は複数のダミー端子に対応する位置に、コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針を備えているプローブカード。
【請求項15】
コモンプローブ針及び複数のダミープローブ針のセットを、マクロアライメント用とマイクロアライメント用に、それぞれ、少なくとも1セットずつ備えている請求項14記載のプローブカード。
【請求項16】
プローブ基板を担持するプラットフォームが、プローブ基板の略中央部に設けられている貫通穴を介して検査対象である半導体チップを担持している基体に向かって開口し、プロービング時に検査対象である半導体チップの少なくとも一部を収容する凹部を備えている請求項14又は15記載のプローブカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−237108(P2010−237108A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86866(P2009−86866)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】
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