説明

アリール‐{4‐ハロゲノ‐4‐[アミノメチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノンの新規な誘導体、その製造方法、および医薬品としてのその使用

本発明は、一般式(1)(I)の化合物、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とのその付加塩および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体に関する:


(式中、
R1は、−水素原子またはハロゲン、−直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基またはC‐Cフルオロアルキル基、−直鎖状または分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基、または−シアノ基(CN)であり、R2は、−水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基であり、Hal、Hal、およびHalは− ハロゲンである)。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
5‐HT1A受容体は、最もよく特性決定されている、構造的、薬学的、および機能的に、セロトニン作動性受容体である。数多くの障害および精神病の病態生理へのその関与は公知である(Curr Drug Targets CNS Neurol Dis. 2004, 3, 1、Neurosci Biobehav Rev. 1990, 14, 35)。例えば、サブタイプ5‐HT1Aのセロトニン作動性受容体に対するアゴニスト活性を有する化合物の臨床試験により、5‐HT1Aアゴニストが、不安症(J. Clin. Psychiatry 1987, 48, 3S)およびうつ病(Int. J. Neuropsychopharmacology 1998, 1, 18)の治療に効果的であることが示されている。加えて、動物において、5‐HT1Aアゴニストは、神経保護特性(Arch. Int. Pharmacodyn. 1995, 329, 347)および鎮痛特性(Behav. Brain Res. 1995, 73, 1/2, 69)を示した。
【0002】
サブタイプ5‐HT1Aのセロトニン作動性受容体に対するアゴニスト活性を有する化合物の治療上の大きな可能性を考えると、前記活性を有する新規な化合物を発見することが特に望まれる。
【0003】
非常に数多くの化合物が5‐HT1アゴニストとして報告されてきたが、臨床上使用可能であるのは僅かに2つである(すなわち、ブスピロン:欧州および米国、ならびにタンドスピロン:日本)。しかし、これら2つの化合物は、同一の化学物質ファミリーに属し(すなわち、アリールピペラジン)、比較的類似の薬学的プロファイル:5‐HT1A受容体に対する限られた親和性、およびうつ病および疼痛モデルにおける不十分な活性レベルを有する。
【0004】
異なる構造の5‐HT1Aアゴニストは、異なる薬学的プロファイルを有すると考えられる(Eur. J. Pharmacol. 2001, 420, 103-112)。
【0005】
本発明の目的は、以下の一般式(1)を有する、アリール‐{4‐ハロゲノ‐4‐[アミノメチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノンから誘導される化合物の新規なファミリー、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とのその付加塩および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体(enantiomer forms)である:
【化1】

(式中、
R1は、
− 水素原子、またはハロゲン、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、もしくはヨウ素原子、
− 直鎖状または分岐鎖状C‐Cアルキル基、例えば、直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基、またはC‐Cフルオロアルキル基、例えば、フルオロメチル、もしくはジフルオロメチル、もしくはトリフルオロメチル基、
− 直鎖状または分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、例えば、直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、
− 1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基、または、
− シアノ基(CN)
であり、
R2は、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基、例えば、直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基であり、
Hal、Hal、およびHalは、
− ハロゲン、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子
である)。
【0006】
本発明によれば、一般式(1)の化合物は、
HalおよびHalが、
− フッ素原子、
であり、および、
Halが、
− 塩素原子
である化合物である。
【0007】
本発明の1つの特定の態様によれば、式(1)の化合物は、
R1が、
− 水素原子、または塩素原子、またはフッ素原子、
− 直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基、またはフルオロメチル、またはジフルオロメチル、またはトリフルオロメチル基、
− 直鎖状または分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、
− 1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基(CONH2)、または、
− シアノ基(CN)
であり、
R2が、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基であり、
HalおよびHalが、
− フッ素原子、
であり、および、
Halが、
− 塩素原子
である化合物、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とのその付加塩および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体である。
【0008】
本発明の別の態様によれば、式(1)の化合物は、
R1が、
− 水素原子、または塩素原子、またはフッ素原子、
− メチル基(CH3)、
− メトキシ基(O−CH3)、
− 非置換カルバミル基(CONH2)、または、
− シアノ基(CN)
であり、
R2が、
− 水素原子またはメチル基
であり、
HalおよびHalが、
− フッ素原子、
であり、
Hal2が、
− 塩素原子
である化合物、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とのその付加塩および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体である。
【0009】
本発明によれば、一般式(1)の化合物は、
− R1が、水素原子、および、1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状でC‐Cアルキル基N‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基からなる群から選択されるものである。
【0010】
本発明によれば、一般式(1)の化合物は、
− R2が、水素原子である化合物である。
【0011】
本発明によれば、一般式(1)の化合物は、
− R1およびR2が水素原子である
化合物である。
【0012】
本発明はまた、式(1)の化合物の薬学的に許容可能な無機酸または有機酸との無機または有機塩、および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体に関する。
【0013】
本発明の化合物は、その構造中に不斉炭素原子を有する。この意味で、これらはエナンチオマー体で存在する。本発明は、純粋な、すなわち共存する他方のエナンチオマーが5%未満である各エナンチオマー、およびラセミまたは非ラセミ混合物のいずれにも関する。しかし、式(1)の化合物の中でも、ジヒドロ‐ベンゾキサジンメタナミン断片の炭素原子が絶対配置(S)であるエナンチオマーが好ましい。
【0014】
式(1)の分子に含有される不斉炭素原子の絶対配置の指定に用いられるRおよびSの表記は、カーン・インゴルド・プレローグ順位則(E.L. Eliel and S.H. Wilen Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., chap. 5, 104-12, 1994)で定められるように定義される。
【0015】
「ハロゲン原子」とは、本発明の意味において、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
【0016】
「アルキル基」とは、本発明の意味において、示された数の炭素を含む、直鎖状または分岐鎖状、飽和または不飽和の炭化水素鎖を意味する。
【0017】
「アルコキシ基」とは、本発明の意味において、酸素原子と結合し(O−アルキル)、示された数の炭素を含む、直鎖状または分岐鎖状、飽和または不飽和の炭化水素鎖を意味する。
【0018】
「フルオロアルキル基」とは、本発明の意味において、1もしくは2つ以上の水素原子がフッ素原子に置換され、示された数の炭素を含む、直鎖状または分岐鎖状、飽和または不飽和の炭化水素鎖を意味する。
【0019】
「1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基(CONH2)」とは、本発明の意味において、窒素原子が、直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基の1もしくは2つでN‐置換されていてよいCONH基を意味する。
【0020】
本発明のさらなる目的は、活性成分として、少なくとも1つの一般式(1)の化合物、または薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸とのその薬学的に許容可能な塩の1つ、もしくはその薬学的に許容可能な塩の水和物の1つ、またはそのエナンチオマーの1つを、1もしくは2つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤、アジュバント、またはビヒクルと組み合わせて含有する医薬組成物に関する。例として、特に、本発明の化合物とシクロデキストリンによって形成される、包接複合体を挙げることができる。
【0021】
本発明の医薬組成物は、経口、経鼻、舌下、直腸内、または非経口経路を介して投与することができる組成物であってよい。一般的に、前記医薬組成物を単位剤形として製剤することが有利である。この場合、各用量は、適切なビヒクル、賦形剤、および/またはアジュバントと合わせて、任意の治療効果を得るように計算された所定量の活性成分を含有する。経口経路で投与することができる単位剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、および経口溶液剤または懸濁液剤を挙げることができる。
【0022】
選択された投与形態に適する製剤は公知であり、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, 1995, Mack Publishing Company、に記載されており、従って、当業者であれば容易に製造することができる。
【0023】
障害の種類および重度、選択された投与の経路、患者の体重、年齢、および性別によって、用量が人によって異なることは知られている。従って、効率的な用量は、これらのパラメータに関連して、その状況の専門家によって決定されるべきである。目安として、効率的な用量は、1日あたり0.001mg/Kgから100mg/Kgの範囲であり得る。
【0024】
一般式(1)の化合物は、複数の互変異性体の形態で存在し得る。前記互変異性体の形態は、本願では式の表記を単純化するために明白に記載はしていないが、しかし、本発明の適用分野に含まれる。
【0025】
本発明のさらなる目的は、医薬品として用いられる、式(1)の化合物、または薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸とのその薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物、またはそのエナンチオマーである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、うつ病の治療を意図した医薬品として用いるための、式(1)の化合物、または薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸とのその薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物、またはそのエナンチオマーである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、疼痛の治療を意図した医薬品として用いるための、式(1)の化合物、または薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸とのその薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物、またはそのエナンチオマーである。
【0028】
本発明の目的はまた、病的疼痛および/または生理的疼痛の治療を意図した医薬品として用いるための、式(1)の化合物、または薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸とのその薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物、またはそのエナンチオマーからなる。
【0029】
本発明はまた、一般式(1)の化合物の製造に用いられる、式(2)の合成中間体:
【化2】

(式中、
R1は、
− 水素原子、
− 塩素原子もしくはフッ素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基、またはフルオロメチルまたはジフルオロメチルもまたはトリフルオロメチル基、
− 直鎖状または分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、または、
− 1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基
であり、
R2は、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基である)
も提供する。
【0030】
本発明は、一般式(1)の化合物を製造する方法であって、
【化3】

還元剤、および所望により塩基の存在下にて、式(2)の3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンのタイプの中間体と、式(3)のシアノヒドリン:
【化4】

との間の縮合を用いる方法を提供する。
【0031】
式(1)の化合物は、スキームAに示す反応手順に従って製造した。
【0032】
スキームA
【化5】

【0033】
シアノヒドリン(3)は、国際公開第02/064585号の特許の記載に従って製造される。式(2a)の断片3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン[102908‐68‐9]は、文献に報告されている方法に従って製造される(J. Med. Chem. 1998, 41, 3142)。式(2)の新規な中間体に関しては、これらは、スキームBに示した反応手順に従って製造した。
【0034】
スキームB
【化6】

【0035】
従って、J. Med. Chem. 2003, 16, 1338に記載の方法に従い、塩基性ビヒクル中にて式(6)の2‐アミノフェノールをエチル2,3‐ジブロモ‐プロピオネートと縮合させることで、式(5)のエステルを得る。次に、化合物(5)を、当業者に公知のプロトコルに従ってアンモニアで処理することにより、アミド(4)へ変換する。次に、形成した式(4)のアミドを、Archiv der Pharmazie, 1982, 315, 538に記載の方法に類似の方法により、非プロトン性ビヒクル中にて水素化アルミニウムリチウムを用いて還元し、期待されるアミン(2)を得る。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、いかなる点でも本発明を限定するものではない。
【0037】
以下の実施例において:
(i) 反応の進行は、薄層クロマトグラフィ(TLC)で追跡され、従って、反応時間は単なる目安として与えられる。
(ii) 結晶形状が異なると、融点が異なる場合があり、本願で示す融点は、記載の方法に従って製造された生成物のものであり、補正は行っていない。
(iii) 本発明に従って得られた生成物の構造は、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、百分率分析(centesimal analysis)で確認され、最終生成物の純度はTLCで検証される。
(iv) NMRスペクトルは、示した溶媒中で記録される。ケミカルシフト(δ)は、テトラメチルシランに対する百万分率(ppm)で表される。シグナルの多重性は、以下のように示される:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線。
(v) 単位の種々の記号は、それらの通常の意味を有する:mg(ミリグラム);g(グラム);mL(ミリリットル);cm(センチメートル);℃(摂氏度);mmol(ミリモル);min(分)。
(vi) 略号は以下の意味を有する:MP(融点);BP(沸点);Tr(保持時間)。
(vii) 「周囲温度」とは、20℃から25℃の間の温度を意味する。
【0038】
中間体1
(+)および(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a)
(+)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンのエナンチオマー(8.1g)は、ヘキサン‐エタノール‐ジエチルアミン(90:10:0.05)の混合物を溶出溶媒として用いるキラル相クロマトグラフィ、Chiralpack ADによって分離される。
(+)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a1)、4.0g;Tr=16.6分;[α]=+0.57°(c 0.93、MeOH)
(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)、4.0g;Tr=21.3分;[α]=−0.67°(c .1.34 MeOH)
【0039】
中間体2
3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐エチルカルボキシレート(5b)
2‐アミノ‐6‐フルオロフェノール(2g、8.3mmol)、エチル2,3‐ジブロモプロピオネート(1.46mL、9.96mmol)、およびKCO(3.44g、24.9mmol)のアセトン(80mL)中の混合物を、還流下にて9時間15分加熱する。この混合物を冷却し、ろ過する。ろ液を真空濃縮し、残渣を氷冷NaOH水溶液(1N、10mL)に溶解し、エチルエーテルで抽出する。エーテル相を水で、次に生理食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、減圧濃縮する。残渣を、ジクロロメタンを溶出溶媒として用い、シリカゲルを通してろ過することで精製する。表題の化合物は、オイルの形態で得られる(1.1g、59%)。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.26(t,3H),3.61(m,2H),3.87(s,1H),4.26(q,2H),4.88(t,1H),6.37(d,1H),6.53(t,1H),6.67(t,1H)
【0040】
中間体3
3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4b)
エタノール(20mL)中の5b(1.1g、4.89mmol)の溶液へ、アンモニア溶液を添加する(32%、5mL)。得られた溶液を周囲温度で14時間攪拌し、次にアンモニア10mLを添加し、この混合物を48時間攪拌する。この溶液を減圧濃縮し、残渣を石油エーテルに溶解する。形成した析出物をろ過し、石油エーテルで洗浄し、真空乾燥する(0.75g、78%)。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.42(s,2H),3.50(dd,1H),3.73(dd,1H),4.69(m,1H),5.60(s,1H),6.41(d,1H),6.52(t,1H),6.71(m,1H)
【0041】
中間体4
ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2b)
不活性雰囲気下にて周囲温度に保持された無水THF(20mL)中の4b(0.75g、3.83mmol)の溶液へ、THF中のLiAlHの溶液(13.4mL、13.4mmol)を滴下する。滴下完了後、この混合物を11時間60℃に加熱する。得られた混合物を0℃まで冷却し、次に、塩酸水溶液(1N)をpH3に到達するまでゆっくり添加する。この混合物を減圧濃縮し、次に残渣を、NaOH水溶液(1N)の添加によってアルカリ性とする。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を水で、続いて食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、減圧濃縮する。残渣を、ジクロロメタン‐メタノール混合物(85:5)を溶出溶媒として用いたシリカゲルクロマトグラフィによって精製する。表題の化合物は、オイルの形態で得られる(1.1g、59%)。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.42(s,2H),2.98(m,2H),3.26(dd,1H),3.42(dd,(1H),3.80(s,1H),4.12(m,1H),6.35,(d,1H),6.47(t,1H),6.64(t,1H)
【0042】
中間体5
ジヒドロ‐8‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4c)
この化合物は、中間体(4b)の合成に用いたものと同じ実験条件を用いて得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐エチルカルボキシレート(5b)を3,4‐ジヒドロ‐8‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐エチルカルボキシレート(5c)、[220120‐58‐1]に置き換える。式(4c)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.55 (s,1H),2.23(s,3H),3.46(dd,1H),3.67(dd,1H),3.81(s,1H),4.69(m,1H),5.56(s,1H),6.50(d,1H),6.58(d,1H),6.74(t,1H)
【0043】
中間体6
ジヒドロ‐8‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2c)
この化合物は、中間体2bの合成に用いたものと同じ実験条件を用いて得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4b)を3,4‐ジヒドロ‐8‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4c)に置き換える。式(2c)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.6(s,2H),2.19(s,3H),2.92(m,2H),3.19(dd,1H),3.37(dd,1H),4.11(m,1H),6.17(d,1H),6.54(d,1H),6.67(t,1H)
【0044】
中間体7
ジヒドロ‐8‐クロロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4d)
この化合物は、中間体4bの合成に用いたものと同じ実験条件を用いて得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐エチルカルボキシレート(5b)を3,4‐ジヒドロ‐8‐クロロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐エチルカルボキシレート(5d)、[73268‐47‐0]に置き換える。式(4d)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 3.60(dd,1H),3.85(dd,1H),4.87(m,1H),5.36(s,1H),6.70‐6.90(m,2H),6.73(d,1H),7.20(s,2H)
【0045】
中間体8
ジヒドロ‐8‐クロロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2d)
この化合物は、中間体2bの合成に用いたものと同じ実験条件に従って得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4b)を3,4‐ジヒドロ‐8‐クロロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4d)に置き換える。式(2d)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 3.10(m,2H),3.31(dd,1H),3.56(dd,1H),4.16(m,1H),5.11(s,2H),5.28(s,1H),6.70‐6.90(m,2H),6.73(d,1H)
【0046】
中間体9
ジヒドロ‐8‐メトキシ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2e)
この化合物は、中間体2bの合成に用いたものと同じ反応手順および同じ実験条件を用いて得られるが、2‐アミノ‐6‐フルオロフェノールを2‐アミノ‐6‐メトキシフェノールに置き換える。これによって式(2e)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 2.98(m,2H),3.23(dd,1H),3.38(dd,1H),3.85(s,3H),4.14(m,1H),4.67(s,2H),6.26(d,1H),6.34(d,1H),6.70(t,3H)
【0047】
中間体10
ジヒドロ‐8‐シアノ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2f)
この化合物は、中間体2bの合成に用いたものと同じ反応手順および同じ実験条件を用いて得られるが、2‐アミノ‐6‐フルオロフェノールを2‐アミノ‐6‐シアノフェノールに置き換える。式(2f)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 1.48(s,2H),2.99(m,2H),3.28(dd,1H),3.46(dd,1H),4.19(s,1H),4.20(m,1H),6.73‐6.80(m,2H),6.90(d,1H)
【0048】
中間体11
ジヒドロ‐4‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2g)
この化合物は、中間体2bの合成に用いたものと同じ実験条件に従って得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4b)を3,4‐ジヒドロ‐4‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4g)[84831‐37‐8]に置き換える。式(2g)の表題の化合物が得られる。
H NMR (CDCl,400MHz) δ 2.67‐3.16(m,3H),2.85(s,3H),3.38(d,1H),4.3(s,1H),6.55(t,1H),6.63(d,1H),6.70‐6.74(m,2H),8.48(s,2H)
【0049】
中間体12
ジヒドロ‐8‐カルバモイル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2h)
この化合物は、中間体(2b)の合成に用いたものと同じ実験条件に従って得られるが、3,4‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4b)を3,4‐ジヒドロ‐4‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐カルボキシアミド(4h)に置き換える。式(2h)の表題の化合物が得られる。
H NMR (DMSO,400MHz) δ 1.62(s,2H),2.69‐2.83(m,2H),3.07(dd,1H),3.40(dd,1H),4.00(m,1H),6.28(s,1H),6.76‐6.84(m,3H)
【0050】
実施例1: (−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)
【0051】
【化7】

【0052】
メタノール(500mL)中の(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2、4.1g、25mmol)の溶液へ、式3の化合物(8.28g、26mmol)、硫酸鉄(8.3g、30mmol)、およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.0g、32mmol)を順に添加する。この混合物を、50℃にて6時間加熱し、次に周囲温度まで冷却し、ろ過し、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、続いて食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過する。溶媒を真空蒸発によって除去し、生成物を、ジクロロメタン‐メタノール混合物(95:5)を溶出溶媒として用いたシリカクロマトグラフィによって精製する。1.6gの表題の化合物(1a1)が得られる。この化合物をフマル酸によって塩化することにより、シュウ酸塩が白色結晶の形態で得られる(6.0g)。
2224ClF,C
MP: 185℃
[α] = −30.9(0.4 EtOH)
H NMR (DMSO d) δ 1.65‐1.93(m,4H),2.76‐2.84(m,4H),3.00(dd,1H),3.32(dd,1H),2.74‐3.56(m,7H),4.07(m,1H),4.26(s,1H),6.47(t,1H),6.55(d,1H),6.62‐6.67(m,4H),7.43‐7.51(m,2H),7.66(d,1H)
理論値% C 56.58、H 5.11、N 7.61
測定値% C 56.37、H 5.16、N 7.45
【0053】
実施例2: (+)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a2)
【0054】
【化8】

【0055】
(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)の代わりに(+)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a1)を用いることで表題の化合物が得られ、これをフマル酸によって塩化することにより、式(1a2)の化合物が得られる。
2224ClF,C
MP: 185℃
[α] = +37.0(0.41 MeOH)
H NMR (DMSO d) δ 1.65‐1.93(m,4H),2.76‐2.84(m,4H),3.00(dd,1H),3.32(dd,1H),2.74‐3.56(m,7H),4.07(m,1H),4.26(s,1H),6.47(t,1H),6.55(d,1H),6.62‐6.67(m,4H),7.43‐7.51(m,2H),7.66(d,1H)
理論値% C 56.58、H 5.11、N 7.61
測定値% C 56.78、H 5.25、N 7.56
【0056】
実施例3: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a3)
【0057】
【化9】

【0058】
(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)の代わりに市販の3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンを用いることで表題の化合物が得られ、これを塩酸によって塩化することにより、式(1a3)の化合物が得られる。
2224ClF,HCl
MP: 175℃
H NMR (DMSO d) δ 1.68‐2.14(m,4H),3.12‐3.21(m,4H),3.37‐3.50(3,7H),4.32(s,1H),4.58(m,1H),6.59(t,1H),6.71(d,1H),6.74‐6.77(m,2H),7.44‐7.55(m,2H),7.70(dd,1H),9.48(s,2H)
理論値% C 51.93、H 5.15、N 8.26
測定値% C 5.81、H 5.30、N 8.22
【0059】
実施例4: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐フルオロ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1b)
【0060】
【化10】

【0061】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法を用いるが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)を(±)‐ジヒドロ‐8‐フルオロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2b)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化してフマル酸塩の形態とする。
2223ClF,C
MP: 100℃
H NMR (DMSO d) δ 1.61‐2.00(m,4H),2.76‐2.84(m,4H),3.03‐3.45(m,9H),4.06(m,1H),4.23(s,1H),5.96(s,1H),6.34‐6.38(m,2H),6.59‐6.63(m,2H),7.43‐7.49(m,2H),7.67(d,1H)
理論値% C 54.79、H 4.77、N 7.37
測定値% C 54.57、H 4.88、N 7.13
【0062】
実施例5: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐メチル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1c)
【0063】
【化11】

【0064】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法に従うが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐8‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2c)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化して二塩酸塩の形態とする。
2326ClF,HCl
MP: 180℃
H NMR (DMSO d) δ 1.85‐2.08(m,4H),2.13(s,3H),3.09‐3.46(m,10H),4.31(s,1H),4.59(m,1H),6.50‐6.55(m,2H),6.63−6.67(m,1H),7.45‐7.54(m,2H),7.69(d,1H),9.52(s,2H)
理論値% C 52.84、H 5.40、N 8.04
測定値% C 53.55、H 5.67、N 7.65
【0065】
実施例6: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐クロロ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1d)
【0066】
【化12】

【0067】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法を用いるが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐8‐クロロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2d)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化して二塩酸塩の形態とする。
2223Cl,HCl
MP: 136℃
H NMR (DMSO d) δ 1.82‐1.94(m,4H),3.11‐3.75(m,10H),4.06(m,1H),4.35(s,1H),4.64(m,1H),6.57‐6.64(m,2H),6.73(m,1H),7.45‐7.68(m,2H),7.68(d,1H),9.59(d,2H)
理論値% C 48.63、H 4.64、N 7.73
測定値% C 48.57、H 4.54、N 7.42
【0068】
実施例7: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐メトキシ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1e)
【0069】
【化13】

【0070】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法に従うが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐8‐メトキシ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2e)に置き換える。得られた化合物を塩化して二塩酸塩の形態とする。
2326ClF,HCl
MP: 187℃
H NMR (DMSO d) δ 1.75‐2.10(m,4H),3.09‐3.70(m,10H),3.71(s,3H),4.27(s,1H),4.59(m,1H),6.31‐6.36(m,2H),6.68(t,1H),7.46‐7.53(m,2H),7.69(d,1H),9.86(s,2H)
理論値% C 51.26、H 5.24、N 7.79
測定値% C 51.15、H 5.37、N 7.53
【0071】
実施例8: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐シアノ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1f)
【0072】
【化14】

【0073】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法に従うが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐8‐シアノ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2f)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化して二塩酸塩の形態とする。
2323ClF,HCl
MP: 149℃
H NMR (DMSO d) δ 1.72‐2.13(m,4H),3.14‐3.63(m,10H),4.26(s,1H),4.72(m,1H),6.87‐6.94(m,3H),7.45‐7.64(m,2H),7.67(d,1H),9.60(s,2H)
理論値% C 51.75、H 4.72、N 10.50
測定値% C 51.36、H 4.71、N 10.28
【0074】
実施例9: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐4‐メチル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1g)
【0075】
【化15】

【0076】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法に従うが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐4‐メチル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2g)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化してフマル酸塩の形態とする。
2326ClF,C
MP: 125℃
H NMR (DMSO d) δ 1.60‐2.08(m,4H),2.81(s,3H),2.76‐3.51(m,10H),4.22(m,2H),6.56‐6.76(m,4H),7.46‐7.65(m,2H),7.67(d,1H)
理論値% C 48.80、H 5.34、N 7.42
測定値% C 48.72、H 5.42、N 7.33
【0077】
実施例10: (3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐カルバモイル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1h)
【0078】
【化16】

【0079】
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(1a1)の製造と同じ操作方法に従うが、(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2a2)をジヒドロ‐8‐カルバモイル‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミン(2h)に置き換える。次に、得られた化合物を塩化して二塩酸塩の形態とする。
2325ClF,HCl
MP: 170℃
H NMR (DMSO d) δ 1.80‐2.12(m,4H),3.12‐3.73(m,10H),4.45(s,1H),4.64(m,1H),6.87‐6.93(m,3H),7.45‐7.66(m,2H),7.68(d,1H),9.40(d,2H)
理論値% C 50.06、H 4.93、N 10.15
測定値% C 4973、H 4.68、N 10.00
【0080】
本発明の生成物の薬学的研究
本発明の化合物を、臨床使用されている5‐HT1A受容体のアゴニストであるブスピロン(4‐ブチル‐4‐メチル‐1‐[4‐(4‐ピジ ウリド‐2‐イル‐ピペラジン‐1‐イル)‐ブチル]‐ピペリジン‐2.6‐ジオン)と比較した。本発明の化合物のラット5‐HT1A受容体に対する親和性を、放射標識した5‐HT1Aアゴニストとの競合実験により、従来の方法で測定した。本発明の化合物およびブスピロンの抗うつ薬活性を、ラットへの経口投与後、強制水泳試験によって評価した(Eur. J. Pharmacol. 1978, 47, 379)。この試験は、ヒトにおける抗うつ薬作用を予測することができることから、広く用いられている。鎮痛薬活性は、ラットへの腹腔内投与後、生理的疼痛モデルおよび病的疼痛モデルの両方によって測定した。発明者らは、生理的疼痛は、過剰な侵害受容刺激によって引き起こされる疼痛など、病変および/または器官の機能不全に由来する疼痛と定める。対照的に、病的疼痛は、発明者らは、明らかな病的原因を持たず、従って生理的役割(例:警告シグナル)を果たさない疼痛と定めるものであり;後者の分類には、例えば、神経障害に由来するある種の疼痛が含まれる。
【0081】
本発明の化合物の鎮痛薬活性を測定するために発明者らが選択した生理的疼痛モデルでは、過剰な侵害受容刺激(ホルモールの注射)を用いて動物に痛みの感覚を誘発する(Eur. J. Pharmacol. 2001, 421, 109)。動物におけるいわゆる病的疼痛モデルについては、発明者らは、オキサリプラチンなどの細胞傷害剤の注射によって誘発された疼痛を用いることを選択した(Eur. J. Cancer 2007, 2658)。
【0082】
1− 本発明の化合物の5‐HT1A受容体に対する親和性の測定
プロトコル
本発明の化合物の5‐HT1A受容体に対するインビトロでの親和性を、(H)8‐OH‐DPAT(トリチウムで標識された5HT1受容体のアゴニスト、TRK850;160‐240Ci/mmole)のシフトを測定することで決定した。
【0083】
5‐HT1A受容体との結合に関する研究を、Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmaco. 1991, 343, 106に記載にように実施した。これらの実験では、ラットの大脳皮質を用いた。トリス‐HClバッファー 50mmol、pH=7.40、25℃、の中で脳を解凍した後、大脳皮質を採取し、4℃に維持した20倍量のバッファー中でホモジナイズする。ホモジネートを39000gにて10分間遠心分離し、遠心分離残渣を同量のバッファー中へ懸濁し、再度遠心分離する。同一の条件下にてさらに懸濁させた後、ホモジネートを37℃にて10分間インキュベートし、次に再度遠心分離する。最終残渣を、10mmolのパージリン、4mmolのCaCl、および0.10%のアスコルビン酸を含有する冷反応バッファー、トリス‐HCl 50mmol、pH=7.40、25℃、に懸濁させる。インキュベーションビヒクル中の組織の最終濃度は10mg/チューブである。
【0084】
反応チューブには、0.10mLの(H)8‐OH‐DPAT(最終的には0.20mmol)、0.10mLの6〜7種類の濃度の試験生成物、および0.80mLの組織を投入する。非特異的結合は10mmolの5‐HTを用いて同定する。反応チューブを23℃にて30分間インキュベートし、次にその内容物を、Whatman GF/Bフィルターを通して迅速に真空ろ過し、チューブを2×5mLのトリス‐HClバッファー 50mmol、pH=7.4、25℃、によりリンスする。放射活性をフィルター上に集め、4mLの液体シンチレータ(Emulsifier Safe、パッカード)を添加することで液体シンチレーションによる分析を行う。実験はすべて3つの反復サンプルによって行った。
【0085】
本発明の生成物の阻害定数(Ki)を、EBDA(Equilibrium Binding Data Analysis バイオソフト(Biosoft),ケンブリッジ,英国、Mc Pherson, 1985)による非線形回帰プログラムRADLIG バージョン4を用いて、シフト実験から算出する。計算に用いた放射性リガンドの(H)8‐OH‐DPATに対する解離定数は、0.31mmolである。pKi(−logKi)の値は、少なくとも3つの実験の平均値±SEMの形で提供する。
【0086】
2− 強制水泳試験:本発明の化合物の抗うつ薬活性
プロトコル
ラット(オス スプラーグドーリーラット(ICO:OFA SD[IOPS]、イッファクレド(Iffa Credo),フランス)を、17cmの高さまで25℃±0.5の水を満たしたシリンダー内(高さ45cm、直径20cm)へ配置する。この深さは、シリンダーの底に尾を着くことなく、ラットを泳がせるかまたは浮遊させるものである。
【0087】
試験日の24時間前に、ラットをこのシリンダー内に15分間配置すると、その時間の経過後、ラットはそれ以上脱出する試みをせず、静止したままとなる。試験当日に動物をシリンダーへ戻し、直接の観察によって動物が静止している時間を測定し、続いて5分間の音声映像記録により確認する。本発明の生成物は、試験の60分前に経口経路で投与する。ラットは、自身を浮遊させ、水面に留まるために僅かな動きをするだけである場合に、静止していると見なされる。同時に2匹のラットを観察する。
【0088】
3− ホルモール試験:いわゆる生理的疼痛に対する鎮痛薬活性
プロトコル
ラット(オス スプラーグドーリーラット(ICO:OFA SD[IOPS]、イッファクレド,フランス)を、後足の観察が容易となるように下側に角度を付けた鏡を設置したプレキシガラスの観察箱内に配置する。30分間の馴化の後、動物の右後足の足底表面に、2.5%に希釈したホルモールの注射を施す。ホルモールの注射は、以下の2つのフェーズで発生する行動反応を引き起こす:
− 急性フェーズ、ホルモールの注射後0から5分、脊髄への疼痛メッセージの伝達に特化した受容体の刺激に対応する。
− 後期フェーズ、注射後20から30分の間に発生。このフェーズは、炎症メディエータによる受容体の刺激、および/または第一のフェーズの間に誘発された後角の過剰興奮性に相当する。従って、この後期フェーズは、中枢性の過敏化を含む。
【0089】
本発明の化合物の研究において、発明者らは、疼痛行動の2つの表現を選択し、2つの疼痛フェーズに対応する2つの観察時間を選択した(すなわち、0〜5分、および22.5〜27.5分)。これらの5分間の間、動物を30秒ごとに観察し、以下の行動についてスコアを与える:注射した方の足を舐めるか舐めないか、および注射した方の足を持ち上げるか持ち上げないか。2つのフェーズの各々において10回の観察を行い、各パラメータについて最大10のスコアを与える。本発明の生成物は、ホルモールの注射の15分前に、腹腔内経路を介して投与する。
【0090】
4− オキサリプラチン試験:いわゆる病的疼痛に対する鎮痛薬活性
プロトコル
ラット(オス スプラーグドーリーラット(ICO:OFA SD[IOPS]、イッファクレド,フランス)に対して金曜日にまず試験を行い、機械刺激感受性の閾値を決定する(フォンフライ試験)。次に、8mg/kgの用量でオキサリプラチンの腹腔内注射(i.p.)を与える(患者に神経因性疼痛を引き起こす抗癌治療)。ラットにおけるこの用量は、機械的過敏症(アロディニア)として解釈される神経障害を誘発し、これは注射の3日後に発症し、第5日にピークを示す。本発明の化合物の研究では、動物は、第5日に、腹腔内経路を介した化合物の投与の15分後に再度試験される。
【0091】
結果の統計分析
本発明の化合物の強制水泳試験およびホルモール試験に対する効果の定量を、グループ間の一元配置分散分析(ANOVA分析)、続いてコントロール動物に対する多重比較試験(ダネット試験)によって行う。ED50値を、反応動物のパーセントからリッチフィールド・ウィルコクソン分析を用いて算出する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】式(1a1)の化合物またはブスピロンの経口投与(p.o.)後の強制水泳試験で得られた結果、すなわち、投与化合物の用量(mg/kg)の対数と比較した、動物の静止が観察された時間(秒)を示す。
【図2】式(1a1)の化合物またはブスピロンの腹腔内投与(i.p.)後のホルモール試験での観察結果(足上げ、または足舐めについて)を示す。この試験では、動物の観察は、2回の5分間の期間において30秒ごとに行う。以下の行動に注目する:注射した方の足を舐めるかどうか、および注射した方の足を上げるかどうか。2つのフェーズの各々において10回の観察を行い、各パラメータについて最大10のスコアを与えることで、足上げまたは足舐めを測定する。この試験は、比較のために、ビヒクル(veh)のみの投与でも行なった。
【図3】オキサリプラチンによるフォンフライ試験から得られた結果を示す。各実験において、オキサリプラチンで処理しない(基底)、またはオキサリプラチンで処理した動物の足に、生理食塩水溶液、または化合物(1a1)(0.01、0.04、または0.16mg/kgの用量)、またはブスピロン(0.63または2.5mg/kgの用量)の腹腔内投与後に圧力を与える。次に、動物の足を引き寄せる動きが見られる圧力(単位はg)を測定する。
【0093】
結果
1) 本発明の化合物の5‐HT1A受容体に対する親和性の測定
表1は、例として、参照品として選択したブスピロンと比較した本発明のいくつかの誘導体に対するpKi値を示す。
【0094】
【表1】

【0095】
試験結果は、式(1)の化合物が、サブタイプ5‐HT1Aのセロトニン作動性受容体に対して強い親和性を有することを示している。加えて、本発明の化合物の5‐HT1A親和性は、ブスピロンのそれよりも相当に高い。
【0096】
2) 強制水泳試験:本発明の化合物の抗うつ薬活性
ラットへの経口投与後の強制水泳試験(図1)は、シリーズを代表する式(1a1)の化合物が、中枢作用を及ぼすことを示している。例えば、式(1a1)の化合物は、用量依存的な形で動物の静止時間を短縮することができる[F(7.50)=43.67;P<0.001]。この化合物は、10mg/Kgの投与時およびその後に静止状態を維持する動物はいないことから、非常に強力であり(ED50=0.08mg/Kg)、かつ非常に効果的である。比較として、ブスピロンは、40mg/Kgの投与であっても、動物の静止状態に効果を示さない[F(5.61)=0.51 P>0.05]。結論として、化合物(1a1)、およびこの化学シリーズに属する化合物全般は、経口経路を介しての投与後、十分に注目すべき抗うつ薬特性を示す。
【0097】
3) ホルモール試験:いわゆる生理的疼痛に対する鎮痛薬活性
腹腔内経路を介しての投与を用いるホルモール試験(図2)は、この化学シリーズを代表する式(1a1)の化合物が、生理的由来の疼痛に対する注目すべき鎮痛薬活性をもたらすことを示す。式(1a1)の化合物は、2つのフェーズの各々について、2つの測定したパラメータ(足上げおよび足舐め)の用量依存的阻害を示す:それぞれ、[F(5.36)=323.80;P<0.001]、[F(5.36)=41.13;P<0.001]、[F(5.36)=50.19;P<0.001]、および[F(5.36)=39.67;P<0.001]。
【0098】
式(1a1)の化合物、および本発明の化合物全般の効果は、足上げのパラメータに関して明らかに見られる。化合物(1a1)は、このパラメータの阻害に非常に強力である(ED50=0.05mg/Kg)ことが示されるだけでなく、0.63mg/Kgの投与時およびその後においてホルモールを注射したラットすべてで足上げを阻止している限りにおいて、非常に効果的でもある。考慮された疼痛フェーズ(急性または後期)に関係なく十分な鎮痛が得られ、それはまた、足舐めのパラメータでも表される。比較として、ブスピロンは、2.5mg/kgの投与時およびその後において、急性フェーズおよび後期フェーズの間の足上げのパラメータに影響を与えるのみである([F(3.24)=8.20;P<0.001]および[F(3,24)=4.57;P=0.01])。ブスピロンは、急性フェーズでの0.63mg/kg、および後期フェーズでの2.5mg/kgの投与時およびその後において、足舐めを阻害する([F(3.24)=47.04;P<0.001]および[F(3.24)=40.50;P<0.001])。結論として、化合物(1a1)、およびこの化学シリーズに属する化合物全般は、腹腔内投与後、生理的疼痛に対する十分に注目すべき鎮痛特性を示す。
【0099】
4) 試験:いわゆる病的疼痛に対する鎮痛薬活性
腹腔内投与によるオキサリプラチン誘発疼痛の試験(図3)は、この化学シリーズを代表する式(1a1)の化合物が、いわゆる病的疼痛に対する強力な鎮痛薬活性をもたらすことを示す。例えば、式(1a1)の化合物は、オキサリプラチンで処理した動物が発症したアロディニアの用量依存的阻害を示す。化合物1a1の0.04mg/kgの投与時およびその後において、十分な鎮痛が得られる。比較として、ブスピロンでは、2.5mg/kgの投与であっても、有意な鎮痛を得られない。
【0100】
まとめると、化合物(1a1)、およびこの化学シリーズに属する化合物全般は、i.p.経路を介する投与後、病的疼痛に対する十分に注目すべき鎮痛特性を示す。
【0101】
これらの試験から、本発明の化合物が:
− サブタイプ5‐HT1Aのセロトニン作動性受容体に対する、ブスピロンよりも強い親和性、
− ブスピロンよりも強い抗うつ薬活性、
− 生理的由来および病的由来の両方の疼痛に対処することによる、広範囲の鎮痛薬活性、
を示すことが分かる。この鎮痛薬活性は、ヒトでの臨床使用がなされている5‐HT1Aアゴニスト、ブスピロンのそれよりも強いことが示される。
【0102】
この意味で、本発明の化合物は、従って、セロトニン作動性機能不全を含む病態の治療、特に治療法が強く求められているうつ病および疼痛の治療に有用である可能性を有している。
【0103】
本発明の化合物の投与には、経口、経鼻、舌下、直腸内、または非経口経路を用いることができる。製剤の限定されない例として、本発明の化合物の1つの製剤を下記に示す。本発明の範囲を改変することなく、これらの成分、およびその他の治療的に許容される成分を、他の割合で添加してよい。以下に示す製剤の例で用いられる「活性成分」の用語は、式(1)の化合物、もしくは付加塩、または所望により式(1)の化合物の薬学的に許容可能な無機酸もしくは有機酸との付加塩の水和物、もしくは式(1)の化合物のエナンチオマーの1つを意味する。
【0104】
医薬組成物の例:
各々が10mgの活性成分を含有する1000錠の錠剤を製造するための処方:
活性成分 10g
ラクトース 100g
コムギデンプン 10g
ステアリン酸マグネシウム 3g
タルク 3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物、薬学的に許容可能な無機酸または有機酸とのその付加塩および付加塩の水和物、ならびにそれらのエナンチオマー体:
【化1】

(式中、
R1は、
− 水素原子またはハロゲン、
− 直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基またはC‐Cフルオロアルキル基、
− 直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、
− 1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基、または、
− シアノ基(CN)
であり、
R2は、
− 水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基
であり、
Hal、Hal、およびHalは:
− ハロゲン
である)。
【請求項2】
HalおよびHalがフッ素原子であり、Halが塩素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、水素原子、および、1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R2が水素原子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R1およびR2が、水素原子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物:
(−)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(+)‐(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐フルオロ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐メチル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐クロロ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐メトキシ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐シアノ‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐4‐メチル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン、
(3‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェニル)‐{4‐フルオロ‐4‐[(3,4‐ジヒドロ‐2H‐8‐カルバモイル‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミノ)‐メチル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン。
【請求項7】
医薬品として用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の式(1)の化合物。
【請求項8】
前記医薬品が、疼痛の治療を意図するものである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記医薬品が、病的疼痛および/または生理的疼痛の治療を意図するものである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
前記医薬品が、うつ病の治療を意図するものである、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に定義される少なくとも1つの式(1)の化合物と、1つ以上の適切かつ薬学的に許容可能な賦形剤、アジュバントまたはビヒクルとを組み合わせて含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
一般式(1)の化合物を製造する方法であって、
【化2】

(式中、R、R、Hal、Hal、およびHal基は、請求項1に記載に記載の通りである)
式(2)の3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンタイプの中間体と、
式(3)のシアノヒドリンとの、還元剤および所望により塩基の存在下での
縮合を適用する、方法:
【化3】

(式中、R1およびRは、前記式(1)に記載通りである)
【化4】

(式中、Hal、Hal、およびHalは、式(1)に記載の記載通りである)。
【請求項13】
一般式(1)の化合物の製造に用いられる、合成中間体式(2):
【化5】

(式中、R1は、
− 水素原子、
− 塩素もしくはフッ素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基、またはフルオロメチル、またはジフルオロメチル、またはトリフルオロメチル基、
− 直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルコキシ基、または、
− 1もしくは2つの直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基でN‐置換されたまたはN‐非置換のカルバミル基、
であり、
R2は、水素原子、または直鎖状もしくは分岐鎖状C‐Cアルキル基である)。
【請求項14】
式(1a2)の化合物の製造に用いられる(+)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンである、請求項13に記載の式(2a1)の合成中間体。
【請求項15】
式(1a1)の化合物の製造に用いられる(−)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,4‐ベンゾキサジン‐2‐メタナミンである、請求項13に記載の式(2a2)の合成中間体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528833(P2012−528833A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513626(P2012−513626)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057781
【国際公開番号】WO2010/139758
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】