説明

アリールアミン化合物およびその合成方法、並びにアリールアミン化合物を用いて得られる発光素子用材料、発光素子、電子機器

【課題】繰り返される酸化反応に対して耐性を有するアリールアミン化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】一般式(1)で表される第2級アリールアミン化合物を提供する。


(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアリールアミン化合物およびその合成方法に関する。また、アリールアミンを用いて得られた発光素子用材料、およびその発光素子用材料を用いて作製された発光素子、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性の有機化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0003】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。
【0004】
このような発光素子は、例えば0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間は1μ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。
【0005】
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0006】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0007】
電流励起型の発光素子の劣化の一因として、一対の電極間に形成された発光物質を含む層に含まれる材料の劣化が挙げられる。電流励起型の発光素子において、発光物質を含む層を電流が流れることにより、発光物質を含む層に含まれる材料は酸化反応および還元反応を繰り返すことになる。酸化反応または還元反応により分解されやすい材料が発光物質を含む層に含まれていると、その繰り返される酸化反応または繰り返される還元反応により、徐々に劣化し、発光素子自体も劣化してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、繰り返される酸化反応に対して耐性を有するアリールアミン化合物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、繰り返される酸化反応に対して耐性を有するアリールミン化合物を合成する方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、繰り返される酸化反応に対して耐性を有するアリールアミン化合物を用いて得られた発光素子用材料、およびその発光素子用材料を用いて作製された発光素子、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一は、一般式(1)で表される第2級アリールアミン化合物である。
【0012】
【化1】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0013】
本発明の一は、一般式(2)で表される第2級アリールアミン化合物である。
【0014】
【化2】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0015】
本発明の一は、構造式(31)で表される第2級アリールアミン化合物である。
【0016】
【化3】

【0017】
本発明の一は、上述の第2級アリールアミンを置換基とした第3級アリールアミン構造を有する発光素子用材料である。
【0018】
本発明の一は、一般式(4)で示される発光素子用材料である。
【0019】
【化4】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(5)で示される置換基のいずれかを表す。
【0020】
【化5】

一般式(5)中、Ar14は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar15およびAr16はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0021】
本発明の一は、一般式(6)で示される発光素子用材料である。
【0022】
【化6】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(7)で示される置換基のいずれかを表す。
【0023】
【化7】

一般式(7)中、Ar25およびAr26はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0024】
本発明の一は、一般式(8)で表される発光素子用材料である。
【0025】
【化8】

(式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、構造式(9)で示される置換基のいずれかを表す。)
【0026】
【化9】

【0027】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、上記の発光素子用材料を含むことを特徴とする発光素子である。
【0028】
また、本発明の一は、第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、発光層を有し、発光層よりも第1の電極側に、上記の発光素子用材料を含む層を有し、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに発光物質が発光することを特徴とする発光素子である。
【0029】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、発光層を有し、発光層は、上記の発光素子用材料を含むことを特徴とする発光素子である。
【0030】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質は、上記の発光素子用材料であることを特徴とする発光素子である。
【0031】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0032】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物は、正孔輸送性、正孔注入性に優れている。また、酸化されやすく、酸化された状態が安定であり、引き続く還元によってもとの中性の状態に戻る。つまり、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物は、酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって、酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。
【0034】
また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって、酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。つまり、繰り返される酸化反応に対して耐性を有する。よって、本発明の発光素子用材料を用いることで、信頼性が高く、長寿命な発光素子および電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0036】
(実施の形態1)
本発明の第2級アリールアミン化合物、およびその合成方法について説明する。
【0037】
本発明の第2級アリールアミン化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0038】
【化10】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0039】
炭素数6〜25のアリール基としては、具体的には、フェニル基、4―ビフェニリル基、1―ナフチル基、2―ナフチル基、9―アントリル基、9―フェンナントリル基、1―ピレニル基、9,9’―ジメチル―2―フルオレニル基、9,9’―ジフェニル―2―フルオレニル基、スピロ―9,9’―ビフルオレン―2―イル基等が挙げられる。また、m―トリル基、p―トリル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等の置換基を有するアリール基でもよい。
【0040】
炭素数5〜9のヘテロアリール基としては、具体的には、2―ピリジル基、8―キノリル基、3―キノリル基等が挙げられる。
【0041】
炭素数7〜25のアリール基としては、具体的には、4―ビフェニリル基、1―ナフチル基、2―ナフチル基、9―アントリル基、9―フェンナントリル基、1―ピレニル基、9,9’―ジメチル―2―フルオレニル基、9,9’―ジフェニル―2―フルオレニル基、スピロ―9,9’―ビフルオレン―2―イル基等が挙げられる。また、m―トリル基、p―トリル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等の置換基を有するアリール基でもよい。
【0042】
炭素数7〜9のヘテロアリール基としては、具体的には、8―キノリル基、3―キノリル基等が挙げられる。
【0043】
また、炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、下記構造式(11)〜(23)で表される2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0044】
【化11】

【0045】
また、炭素数5〜10の2価の複素環基としては、具体的には、下記構造式(24)〜(29)で表される2価の複素環基が挙げられる。
【0046】
【化12】

【0047】
また、上記一般式(1)で表される第2級アリールアミン化合物のうち、下記一般式(2)で表される第2級アリールアミン化合物であることが好ましい。
【0048】
【化13】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0049】
上記一般式(1)で表される第2級アリールアミン化合物の具体的態様として、下記構造式(31)〜(54)で表される第2級アリールアミン化合物が挙げられる。
【0050】
【化14】

【0051】
【化15】

【0052】
【化16】

【0053】
【化17】

【0054】
特に、下記構造式(31)で表される第2級アリールアミン化合物は合成が容易であり、好ましい。
【0055】
【化18】

【0056】
本発明の第2級アリールアミン化合物は、下記の反応スキーム(A−1)に示す方法で合成することができる。
【0057】
【化19】

第1級アリールアミンと第3級アリールアミンハロゲン化物を、(t−Bu)Pを配位子として有するPd触媒を用いて反応させる。例えば、Pd(dba)と(t−Bu)Pを混合することにより、(t−Bu)PがPdに配位する。なお、Pd(dba)以外にも、配位力が(t−Bu)Pより小さい配位子を配位したPd錯体を用いても構わない。具体的には、Pd(dba)、Pd(OAc)等を用いることができる。好ましくは、Pd(dba)を用いると良い。配位子としては、(t−Bu)P以外にもDPPFを用いることができる。反応温度は、室温から130℃が好ましい。130℃以上に加熱してしまうとPd触媒が分解してしまい、触媒としての機能を果たさなくなってしまうことがある。また、反応温度を60℃から110℃とすると、反応を制御することが容易となり、収率も高くなるので、より好ましい。なお、dbaとはtrans,trans−dibenzylideneacetoneを示す。また、DPPFとは、1,1―ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを示す。溶媒としては、脱水トルエンやキシレン等を用いることができる。塩基としてはt−BuONa等のアルカリ金属アルコキシド等を用いることができる。
【0058】
以上に示した本発明の第2級アリールアミン化合物を用いた第3級アリールアミン化合物は、正孔輸送性、正孔注入性に優れている。また、酸化されやすく、酸化された状態が安定であり、引き続く還元によってもとの中性の状態に戻る。つまり、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いた第3級アリールアミン化合物は、酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって、酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。すなわち、繰り返される酸化反応に対して耐性を有する。
【0059】
また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いた第3級アリールアミン化合物は、成膜したときにアモルファス状態の膜を得やすい。よって、発光素子に好適に用いることができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる発光素子用材料について説明する。
【0061】
実施の形態1で示した第2級アリールアミン化合物を用いた発光素子用材料の一態様として、下記一般式(4)で表されるカルバゾール誘導体が挙げられる。
【0062】
【化20】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(5)で示される置換基のいずれかを表す。
【0063】
【化21】

一般式(5)中、Ar14は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar15およびAr16はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0064】
炭素数6〜25のアリール基としては、具体的には、フェニル基、4―ビフェニリル基、1―ナフチル基、2―ナフチル基、9―アントリル基、9―フェンナントリル基、1―ピレニル基、9,9’―ジメチル―2―フルオレニル基、9,9’―ジフェニル―2―フルオレニル基、スピロ―9,9’―ビフルオレン―2―イル基等が挙げられる。また、m―トリル基、p―トリル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等の置換基を有するアリール基でもよい。
【0065】
炭素数5〜9のヘテロアリール基としては、具体的には、2―ピリジル基、8―キノリル基、3―キノリル基等が挙げられる。
【0066】
炭素数7〜25のアリール基としては、具体的には、4―ビフェニリル基、1―ナフチル基、2―ナフチル基、9―アントリル基、9―フェンナントリル基、1―ピレニル基、9,9’―ジメチル―2―フルオレニル基、9,9’―ジフェニル―2―フルオレニル基、スピロ―9,9’―ビフルオレン―2―イル基等が挙げられる。また、m―トリル基、p―トリル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等の置換基を有するアリール基でもよい。
【0067】
炭素数7〜9のヘテロアリール基としては、具体的には、8―キノリル基、3―キノリル基等が挙げられる。
【0068】
また、炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、下記構造式(11)〜(23)で表される2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0069】
【化22】

【0070】
また、炭素数5〜10の2価の複素環基としては、具体的には、下記構造式(24)〜(29)で表される2価の複素環基が挙げられる。
【0071】
【化23】

【0072】
上記構成において、Rは、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基のいずれか一であることが好ましい。
【0073】
上記構成において、Rは、水素、またはtert−ブチル基あることが好ましい。または、Rは構造式(5)の構造を有していることが好ましい。
【0074】
また、実施の形態1で示した第2級アリールアミン化合物を用いた発光素子用材料の一態様として、下記一般式(6)で表されるカルバゾール誘導体が挙げられる。
【0075】
【化24】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(7)で示される置換基のいずれかを表す。
【0076】
【化25】

一般式(7)中、Ar25およびAr26はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【0077】
上記構成において、Rは、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基のいずれか一であることが好ましい。
【0078】
上記構成において、Rは、水素、またはtert−ブチル基あることが好ましい。または、Rは一般式(7)の構造を有していることが好ましい。
【0079】
また、実施の形態1で示した第2級アリールアミン化合物を用いた発光素子用材料の一態様として、下記一般式(8)で表されるカルバゾール誘導体が挙げられる。
【0080】
【化26】

(式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、構造式(9)で示される置換基のいずれかを表す。)
【0081】
【化27】

【0082】
上記構成において、Rは、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基のいずれか一であることが好ましい。
【0083】
上記構成において、Rは、水素、またはtert−ブチル基あることが好ましい。または、Rは構造式(9)の構造を有していることが好ましい。
【0084】
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、正孔輸送性、正孔注入性に優れている。そのため駆動電圧が低減された発光素子を得ることができる。
【0085】
また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、酸化されやすく、酸化された状態は安定であり、引き続く還元によって元の中性の状態に戻る。つまり、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって、酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。すなわち、繰り返される酸化反応に対して耐性を有する。また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、成膜したときにアモルファス状態の膜を得ることができる。よって、長寿命の発光素子を得ることができる。
【0086】
(実施の形態3)
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる発光素子用材料を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
【0087】
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体)の再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0088】
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
【0089】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0090】
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したインジウム酸化物(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。その他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等が挙げられる。
【0091】
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は正孔注入性に優れているため、第1の層103に用いることができる。
【0092】
また、第1の層103に、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いてもよい。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、正孔の輸送に優れた材料であることが好ましい。具体的には、芳香族アミン系の有機化合物またはカルバゾール系の有機化合物であることが好ましい。本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、正孔輸送性に優れているため、無機化合物と複合してなる複合材料として、第1の層103に用いることができる。また、有機化合物として、芳香族炭化水素を用いてもよい。無機化合物としては、有機化合物に対し電子受容性を示す物質であればよく、具体的には、遷移金属の酸化物であることが好ましい。例えば、チタン酸化物(TiOx)、バナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、タングステン酸化物(WOx)、レニウム酸化物(ReOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、クロム酸化物(CrOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、タンタル酸化物(TaOx)、銀酸化物(AgOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物を用いることができる。第1の層103に有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極102を形成する材料を選ぶことができる。
【0093】
第2の層104を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は正孔輸送性に優れているため、第2の層104として用いることができる。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0094】
第3の層105は、発光性の物質を含む層である。発光性物質については、特に制限させることなく各種のものが使用でき、それには、クマリン6やクマリン545Tなどのクマリン誘導体、N,N’−ジメチルキナクリドンやN、N’−ジフェニルキナクリドンなどのキナクリドン誘導体、N−フェニルアクリドンやN−メチルアクリドンなどのアクリドン誘導体、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジフェニルアントラセン、2、5、8、11−テトラ−t−ブチルペリレン、ルブレンなどの縮合芳香族化合物、4−ジシアノメチレン−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]6−メチル−4H−ピランなどのピラン誘導体、4−(2,2−ジフェニルビニル)トリフェニルアミンなどのアミン誘導体などが挙げられる。燐光発光性物質としては、ビス{2−(4−トリル)ピリジナト}アセチルアセトナトイリジウム(III)やビス{2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト}アセチルアセトナトイリジウム(III)、ビス{2−(4、6−ジフルオロフェニル)ピリジナト}ピコリナトイリジウム(III)などのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金錯体などの白金錯体、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン−トリス(2−チオフェニルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)などの希土類錯体などが挙げられる。
【0095】
また、本発明の発光素子用材料を発光性物質として用いることができる。なお、本発明の第2級アリールアミン化合物は酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。本発明の第2級アリールアミン化合物と、還元反応およびそれに引き続く酸化反応によって還元状態と中性状態とを繰り返しても安定である置換基とを化学結合させることにより、繰り返される酸化還元反応に安定な発光物質を得ることができる。還元反応およびその還元に引き続く酸化反応を繰り返しても安定な置換基としては、ジフェニルアントラセンを含む置換基、スチルベンを含む置換基等が挙げられる。
【0096】
また、発光性の物質を分散させるための材料としては、各種のものを用いることができる。具体的には、発光性の物質よりもLUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質を用いることができる。また、発光性の物質を分散させるための材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うために4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、あるいはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等をさらに添加してもよい。
【0097】
なお、発光性の物質を分散させるための材料として、本発明の発光素子用材料を用いることができる。
【0098】
第4の層106は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。また、第4の層106は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0099】
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と発光層との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
【0100】
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)やリチウム(Li)を含有させたもの等を用いることができる。
【0101】
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法の他、例えばインクジェット法またはスピンコート法など種々の方法を用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0102】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0103】
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0104】
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
【0105】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料と自由に組み合わせて構成すればよい。
【0106】
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
【0107】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
【0108】
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、正孔輸送性、正孔注入性に優れている。よって、発光素子に用いることで良好な特性を有する発光素子を得ることができる。具体的には、低電圧駆動の発光素子を得ることができる。
【0109】
また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、酸化されやすく、酸化された状態が安定であり、引き続く還元によって元の中性の状態に戻る。つまり、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、酸化反応およびその酸化に引き続く還元反応によって、酸化状態と中性状態とを繰り返しても安定である。すなわち、繰り返される酸化反応に対して耐性を有する。よって、信頼性の高い発光素子を得ることができる。また、本発明の第2級アリールアミン化合物を用いて得られる第3級アリールアミン化合物である発光素子用材料は、成膜したときにアモルファス状態の膜を得ることができる。よって、長寿命の発光素子を得ることができる。
【0110】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の発光素子用材料を用いて作製された発光装置について説明する。
【0111】
本実施の形態では、本発明の発光素子用材料を用いて作製された発光装置について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面図、図3(B)は図3(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0112】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0113】
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0114】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0115】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0116】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0117】
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617が形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0118】
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態2で示した本発明の発光素子用材料を含んでいる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料であっても良い。また、発光物質を含む層に用いる材料としては、通常、有機化合物を単層もしくは積層で用いる場合が多いが、本発明においては、有機化合物からなる膜の一部に無機化合物を用いる構成も含めることとする。
【0119】
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0120】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0121】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0122】
以上のようにして、本発明の発光素子用材料を用いて作製された発光装置を得ることができる。
【0123】
本発明の発光装置は、実施の形態2で示した発光素子用材料を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、消費電力が低減された発光装置を得ることができる。また、信頼性が高く、長寿命な発光装置を得ることができる。
【0124】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図4には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図4において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0125】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態2に示した発光素子用材料を含み、消費電力が低く、信頼性が高く、長寿命の表示部を有する。
【0126】
本発明の発光素子用材料を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図5に示す。
【0127】
図5(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、信頼性が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が小さく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0128】
図5(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、信頼性が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が小さく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
【0129】
図5(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、信頼性が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が小さく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0130】
図5(D)は本発明に係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、信頼性が高く、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が小さく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0131】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の発光素子用材料を用いることにより、低消費電力で、信頼性が高く、長寿命の表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
【0132】
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図6を用いて説明する。
【0133】
図6は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図6に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0134】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【実施例1】
【0135】
本実施例では、本発明の第2級アリールアミン化合物およびその合成方法について説明する。
【0136】
[ステップ1]
まず、N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミンの合成方法について説明する。N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミンの合成スキームを(A−2)に示す。
【0137】
【化28】

【0138】
4−ブロモトリフェニルアミン3.2g(10mmol)、1−アミノナフタレン1.4g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)58mg(0.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド3.0g(30mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、系内を窒素置換した後、脱水キシレン40mLを加え、約3分減圧下にて脱気した。更にこの反応混合物に、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン540mg(1.0mmol)を加え、窒素気流下にて90℃で、6.5時間加熱撹拌を行った。反応後、反応混合物にトルエン約300mLを加え、フロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られた濾液を、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をろ過し、濾液を濃縮して得られた油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=3:7)により精製した。得られたフラクションを濃縮して得た油状物に、ヘキサンを加えて超音波をかけ、析出した固体を吸引濾過により回収したところ、N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミン1.8gの白色粉末状固体を収率46%で得た。NMRのデータを以下に示すH NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.93−7.00(m、8H)、7.09(d、J=8.7Hz、2H)、7.23−7.32(m、5H)、7.39(t、J=7.8Hz、1H)、7.48−7.52(m、3H)、7.86−7.90(m、1H)8.20−8.23(m、2H)。13C NMR(60MHz、DMSO−d);δ=113.2、118.6、120.9、121.7、122.2、122.6、125.0、126.0、126.2、126.6、127.0、128.1、129.3、134.4、139.1、139.6、141.4、147.6。また、H NMRのチャートを図7に示す。また、図7における6.5〜8.5ppmの部分を拡大したものを図8に示す。13C NMRのチャートを図9に示す。
【実施例2】
【0139】
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いた誘導体の一例として、構造式(61)で示される3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN1)およびその合成方法について説明する。
【0140】
【化29】

[ステップ1]
3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN1)の合成スキームを(B−1)に示す。
【0141】
【化30】

【0142】
3−ヨード−9−フェニルカルバゾール740mg(2.0mmol)、N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミン700mg(1.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)12mg(0.02mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド600mg(6.0mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、系内を窒素置換し、更に脱水キシレンを5mL加え、減圧下にて脱気を3分行った。トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mL(0.05mmol)を加えた。この反応混合物を窒素気流下90℃で、5.5時間加熱撹拌を行った。反応後、反応混合物にトルエン約100mLを加え、フロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られた濾液を、水、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をろ過し、濾液を濃縮して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=3:7)により精製した。得られたフラクションを濃縮して得た油状物に、ヘキサンを加えて超音波をかけ、析出した固体を吸引濾過により回収したところ、PCzTPN1の黄色粉末状固体を500mg、収率44%で得た。NMRのデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.74(d、J=8.7Hz、2H)、6.88−7.00(m、8H)、7.16−7.67(m、23H)、7.84(d、J=8.4Hz、1H)、7.97(d、J=8.1Hz、1H)、8.02(s、1H)、8.08(t、J=7.8Hz、2H)。また、H NMRのチャートを図10に示す。また、図10における6.0〜8.5ppmの部分を拡大したものを図11に示す。
【0143】
得られたPCzTPN1の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。なお、測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,TG/DTA 320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、380℃であった。
【0144】
また、PCzTPN1のトルエン溶液およびPCzTPN1の薄膜の吸収スペクトルを図12に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図12において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。最大吸収波長はトルエン溶液の場合では314nm、薄膜の場合では314nmであった。また、PCzTPN1のトルエン溶液(励起波長330nm)および薄膜(励起波長350nm)の発光スペクトルを図13に示す。図13において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では490nm(励起波長330nm)、薄膜の場合で500nm(励起波長350nm)であった。
【0145】
また、PCzTPN1の薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を行った。HOMO準位の値は、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO準位の値は、図12における薄膜の吸収端をエネルギーギャップとし、HOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、HOMO準位とLUMO準位はそれぞれ−5.21eVと−2.28eVであった。
【0146】
また、PCzTPN1の酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0147】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
【0148】
PCzTPN1の酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.03から0.4Vまで変化させた後、0.4Vから−0.03Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
【0149】
PCzTPN1の酸化反応特性について調べた結果を図14に示す。図14において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−5A)を表す。
【0150】
図14から酸化電位は0.20V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応の前後でCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の発光素子用材料は酸化反応に対して極めて安定であることが分かった。
【実施例3】
【0151】
本発明の第2級アリールアミン化合物を用いた誘導体の一例として、構造式(62)で示される3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)およびその合成方法について説明する。
【0152】
【化31】

【0153】
[ステップ1]
3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)の合成スキームを(B−2)に示す。
【0154】
【化32】

【0155】
3、6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール740mg(1.5mmol)、N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミン1.2g(3mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)18mg(0.03mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、系内を窒素置換した。更に、脱水キシレンを7.5mL加え、減圧下にて脱気を3分行った。更に、この混合物にトリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mL(0.1mmol)を加えた。この反応混合物を窒素気流下90℃で、7時間加熱撹拌を行った。反応後、この反応混合物にトルエン約300mLを加え、フロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られた濾液を、水、飽和食塩水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物をろ過し、濾液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=3:7)により精製した。得られたフラクションを濃縮して得た油状物に、ヘキサンを加えて超音波をかけ、析出した固体を吸引濾過により回収したところ、PCzTPN2の黄色粉末状固体を1.0mg、収率66%で得た。NMRのデータを以下に示す。H NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.68(d、J=9.0Hz、4H)、6.86−6.97(m、16H)、7.20−6.97(m、16H)、7.20−7.65(m、25H)、7.83(d、J=8.1Hz、2H)、7.95−7.98(m、4H)、8.05(d、J=8.4Hz、2H)。また、H NMRのチャートを図15に示す。また、図15における6.0〜8.5ppmの部分を拡大したものを図16に示す。
【0156】
得られたPCzTPN2の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。なお、測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,TG/DTA 320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度は、470℃であった。
【0157】
また、PCzTPN2のトルエン溶液およびPCzTPN2の薄膜の吸収スペクトルを図17に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図17において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。最大吸収波長はトルエン溶液の場合では320nm、薄膜の場合では393nmであった。また、PCzTPN2のトルエン溶液(励起波長335nm)および薄膜(励起波長320nm)の発光スペクトルを図18に示す。図18において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では493nm(励起波長335nm)、薄膜の場合で488nm(励起波長320nm)であった。
【0158】
また、PCzTPN2の薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を行った。HOMO準位の値は、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO準位の値は、図17における薄膜の吸収端をエネルギーギャップとし、HOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、HOMO準位とLUMO準位はそれぞれ−5.13eVと−2.24eVであった。
【0159】
また、PCzTPN2の酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0160】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
【0161】
PCzTPN2の酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.36から0.4Vまで変化させた後、0.4Vから−0.36Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
【0162】
PCzTPN2の酸化反応特性について調べた結果を図19に示す。図19において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−5A)を表す。
【0163】
図19から酸化電位は0.22V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応の前後でCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の発光素子用材料は酸化反応に対して極めて安定であることが分かった。
【実施例4】
【0164】
本実施例では、本発明の発光素子用材料を用いて作製された発光素子について、図20を用いて説明する。
【0165】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0166】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、PCzTPN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、PCzTPN1と酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=PCzTPN1:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0167】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、ホール輸送層2104を形成した。
【0168】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、ホール輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。
【0169】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
【0170】
さらに、電子輸送層2106上に、Alqとリチウムを共蒸着することにより、Alq上に、30nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
【0171】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、実施例4の発光素子を作製した。
【0172】
本実施例4の発光素子の輝度―電圧特性を図21に示す。また、電流効率―輝度特性を図22に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図23に示す。本実施例4の発光素子において、903cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.2Vであり、その時流れた電流は0.34mA(電流密度は8.5mA/cm)であり、CIE色度座標は(x=0.30、y=0.63)であった。また、この時の電流効率は10.6cd/Aであった。
【0173】
このように、本発明の発光素子用材料は正孔輸送性に優れているため、金属酸化物と複合してなる複合材料として発光素子に用いることができる。本発明の発光素子用材料を含む複合材料を用いることにより、第1の電極とオーム接触をすることが可能となるため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の電子機器を説明する図。
【図6】本発明の電子機器を説明する図。
【図7】N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミンのHNMRチャートを示す図。
【図8】N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミンのHNMRチャートを示す図。
【図9】N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミンの13CNMRチャートを示す図。
【図10】3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図11】3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図12】3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールの吸収スペクトルを示す図。
【図13】3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールの発光スペクトルを示す図。
【図14】3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのCV測定結果を示す図。
【図15】3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図16】3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図17】3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールの吸収スペクトルを示す図。
【図18】3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールの発光スペクトルを示す図。
【図19】3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールのCV測定結果を示す図。
【図20】実施例4の発光素子を説明する図。
【図21】実施例4の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図22】実施例4の発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。
【図23】実施例4の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【符号の説明】
【0175】
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 ホール輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される第2級アリールアミン化合物。
【化1】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【請求項2】
一般式(2)で表される第2級アリールアミン化合物。
【化2】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【請求項3】
構造式(31)で表される第2級アリールアミン化合物。
【化3】

【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の第2級アリールアミンを置換基とした第3級アリールアミン構造を有する発光素子用材料。
【請求項5】
一般式(4)で示される発光素子用材料。
【化4】

(式中、Ar11は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar12およびAr13はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(5)で示される置換基のいずれかを表す。
【化5】

一般式(5)中、Ar14は炭素数7〜25のアリール基、炭素数7〜25のヘテロアリール基のいずれかを表し、Ar15およびAr16はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【請求項6】
一般式(6)で示される発光素子用材料。
【化6】

(式中、Ar22およびAr23はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Xは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、一般式(7)で示される置換基のいずれかを表す。
【化7】

一般式(7)中、Ar25およびAr26はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、Yは炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、炭素数5〜10の2価の複素環基のいずれかを表す。)
【請求項7】
一般式(8)で表される発光素子用材料。
【化8】

(式中、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Rは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、構造式(9)で示される置換基のいずれかを表す。)
【化9】

【請求項8】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、
前記発光物質を含む層は、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光素子用材料を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層を有し、
前記発光物質を含む層は、発光層を有し、
前記発光層よりも第1の電極側に、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光素子用材料を含む層を有し、
前記第1の電極の電位の方が前記第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに前記発光物質が発光することを特徴とする発光素子。
【請求項10】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、
前記発光物質を含む層は、発光層を有し、
前記発光層は、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光素子用材料を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項11】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、
前記発光物質は、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の発光素子用材料であることを特徴とする発光素子。
【請求項12】
請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項13】
表示部を有し、
前記表示部は、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−70352(P2007−70352A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217779(P2006−217779)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】