アリールアミン化合物および電子素子
本発明により、導電性有機アリールアミン化合物が提供される。本化合物は、膜として調製することができ、かつこのような膜は、有機発光素子における正孔輸送層、放出層、または電子輸送層として用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、導電性有機化合物、特にエレクトロルミネセンス有機化合物、およびこのような化合物を含有する電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エレクトロルミネセンス有機材料は、共役高分子および有機小分子の2つの種類に分類することができる。
【0003】
高分子エレクトロルミネセンス有機材料には、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、およびそれらの誘導体が含まれる。エレクトロルミネセンス高分子は、それらの溶液プロセスに適している処理という理由から魅力的であり、該溶液プロセスは、エレクトロルミネセンス用有機材料を含有する電子素子を製造するための、比較的費用効果が大きい方法である。
【0004】
しかしながら、高分子発光材料は、このような材料が高分子骨格中に一定量の構造上の欠陥、重合処理中に生成される副生成物、および高分子鎖上に残存する末端基を含有することが多いため、高純度を達成することが困難である。高分子の調製におけるこれらの不純物および/または欠陥の全てが、高分子エレクトロルミネセンス有機材料を組み込んだ電子素子の効率および寿命に影響を与える可能性がある。
【0005】
小分子は、別の種類の発光材料であり、放出体、または電荷輸送材料のいずれかとして、例えば有機発光ダイオード(OLED)等の有機発光素子において広く用いられてきた。例えば昇華または再結晶化プロセス等の精製プロセスの使用により、かなり純粋な小分子発光材料を生産することが可能であり、これは発光高分子と比較して有利な点を提供する。
【0006】
しかしながら、小分子を含有する素子は、通常、真空蒸着技術を用いて加工処理され、該技術は、ほとんど費用効果がなく、かつ大量生産には望ましくない場合がある。一般的に、溶液プロセスは、より低費用の技術であり、かつ大量で迅速な生産により適しており、大型ディスプレイのために必要とされるより大きな膜の調製にもより適し得る。
【0007】
多層素子は公知であり、通常、正孔注入層および/または電子注入層を含む可能性がある、正孔輸送層、放出層、および電子輸送層で構成されている。
【0008】
しかしながら、現用の有機発光材料の多く、高分子および小分子はどちらも、通常、不平衡な電荷輸送特性を有する。一般に、発光材料は、正孔または電子のいずれか1種類の電荷担体のみを伝導することができ、通常、両方ともではない。例えば、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)またはアルコキシ置換ポリ(1,4-フェニレンビニレン)が良好な正孔輸送体であるのに対して、トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム (III)(Alq3)は電子輸送体である。OLED素子における不平衡な電荷輸送は、低い素子効率という結果になる。
【0009】
素子における電荷担体に平衡を保たせるための1つの解決策は、電子輸送セグメントおよび正孔輸送セグメントの両方を1つの構造に組み合わせて、二極性材料を構成することであり、骨格内で2つのセグメントを一緒に連結させるか、またはそれらを別々に骨格に付加させるかのいずれかである。
【0010】
いくつかのこのような二極性材料が開発されてきたが、現在に至るまで、このような材料を主原料とする報告された素子性能は、未だ満足のいくものではない。
【0011】
したがって、エレクトロルミネセンス素子における有機発光層に用いることができる、新しい材料の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
一局面において、下記式 (I) の化合物が提供される:
式中、
Ar1、Ar2、およびAr3の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar4およびAr5の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar6およびAr7の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく、かつAr6およびAr7のうちの少なくとも1つが、電子求引性Ar基であるか、1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されているか、または1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されている電子求引性Ar基であり;かつ
m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、独立して、1〜20の整数である。
【0013】
式 (I) の化合物の態様は、エレクトロルミネセンス化合物であり、それ自体が、有機エレクトロルミネセンス素子における有機層として有用であり、かつ放出層、電荷注入層、電荷輸送層、または正孔阻止層(hole blocking layer)を形成するために用いられ得る。
【0014】
好都合なことに、前記化合物は、正孔輸送セグメントおよび電子輸送セグメントの両方から成り、該セグメントは組み合わさって、二極性輸送機能を有する化合物を提供する。その上、これらの化合物は、溶液プロセスに適しており、比較的高い程度に、容易に精製され得る。
【0015】
したがって、別の局面において、本明細書に記載の化合物を含む薄膜が提供される。
【0016】
さらなる局面において、陽極、陰極、および本明細書に記載の薄膜、すなわち陽極と陰極との間に配置された薄膜を含む、素子が提供される。
【0017】
なおさらなる局面において、陽極と;本明細書に記載の化合物を含みかつ陽極上に配置された放出層と;放出層上に配置された陰極とを含む素子が提供される。
【0018】
別の局面において、陽極と;陽極上に配置された正孔輸送層と;正孔輸送層上に配置された放出層と;放出層上に配置された電子輸送層と;電子輸送層上に配置された陰極とを含む素子であって、正孔輸送層、放出層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の化合物を含む、素子が提供される。
【0019】
さらに別の局面において、陽極と;陽極上に配置された正孔注入層と;正孔注入層上に配置された正孔輸送層と;正孔輸送層上に配置された放出層と;放出層上に配置された電子輸送層と;電子輸送層上に配置された正孔阻止層と;放出層上に配置された電子注入層と;電子注入層上に配置された陰極とを含む素子であって、正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の化合物を含む、素子が提供される。
【0020】
本発明の他の局面および特徴は、添付の図と併せて、以下に示す本発明の具体的な態様の説明を検討することで、当業者に明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図においては、単に例示のみを目的として、本発明の態様を説明する。
【図1】式 (I) の電子輸送セグメント、正孔輸送セグメント、および放出調整セグメントを示す、式 (I) の模式図である。
【図2】式 (I) の特定の化合物に関する合成機構を説明する概略図である。
【図3】式 (I) の化合物を含有する薄膜を組み込んだ単層素子の図である。
【図4】式 (I) の化合物を含有する少なくとも1つの薄膜を組み込んだ多層素子の図である。
【図5】ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のI-Vプロットであり、ここで該ドーパントは式 (I) の種々の化合物である。
【図6】ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のV-Lプロットである。
【図7】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のI-Vプロットであり、ここで該化合物は式 (I) の種々の化合物である。
【図8】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のV-Lプロットである。
【図9】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子の輝度に対する外部量子効率のプロットである。
【図10】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のELスペクトルである。
【図11】クロロホルムに溶解した式 (I) の種々の化合物に関する、UV吸光度スペクトルである。
【図12】クロロホルム中で測定した式 (I) の種々の化合物のフォトルミネセンスのグラフである。
【図13】化合物を含有するクロロホルム溶液を石英板上にスピンコーティングした後の固体の状態で測定した、式 (I) の種々の化合物のフォトルミネセンスのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本明細書に記載の式 (I) の化合物の態様は、エレクトロルミネセンス化合物であり、つまり電流がそれらを通過する際に、これらの化合物が発光する。したがって、これらの化合物は、有機電子素子における電荷輸送層または発光層として作用するのによく適している。
【0023】
ある特定の有機化合物は、分子内に広範囲な系のπ結合を含んでいるため、電荷を伝導することができる。すなわち、例えばポリアリーレン化合物またはポリアリーレンビニレン化合物(例えば、ポリ(フェニレンビニレン))等の、結合または共役したπ系を有する化合物は、重なり合って分子の長さを伸長する、一組のπ分子軌道を有する。これらの伸長されたπ分子軌道は、電子が充填されていない場合か、または電子が部分的に充填されているのみである場合に、分子が電圧バイアス下に置かれた際に分子を横断する、さらなる電子の輸送のための、分子を横断する通行路を提供する。いくつかのこのような伸長されたπ軌道は、導電性有機化合物を横断して生じることができ、それぞれが、異なる構造およびエネルギー準位を有する。最も低いエネルギー順位を有する分子軌道は、余分の電子の輸送ための有効な通路であることが多い。
【0024】
これらの化合物がルミネセンスを示すために、電子は、分子を横断して輸送されているので、充填されているか、または部分的に充填されている、より高いエネルギー軌道から、充填されていないか、または部分的に充填されている、より低いエネルギー軌道へと、1個または複数の電子が移動する必要がある。電子が高エネルギー状態から低エネルギー状態に移る際に、電子により放出されるエネルギーが、可視スペクトル内にある場合に、これらの分子は発光することが分かっている。
【0025】
簡単にいうと、正孔が導電性有機分子に注入された場合には、該分子はプラスに帯電した分子になり、逆に、電子がこのような分子に注入された場合には、該分子はマイナスに帯電した分子になる。帯電した分子は、隣接する分子から反対の電荷を得ることができ、導電性有機分子を含有する組成物における電荷輸送をもたらす。注入された電子および正孔は、放出層内で再結合することができ、励起状態からより低いエネルギー状態に緩和された場合にエネルギーを放出することができる励起子と呼ばれる、結合した電子/正孔対を形成する。放出エネルギーの波長に応じて、該エネルギーが紫外線または可視光として放出され得る。
【0026】
記載される化合物は、有機高分子と比較した場合に、比較的小さい分子であり、調製後、例えば、カラムクロマトグラフィーにより、または溶液からの結晶化により、比較的高い度合いに容易に精製でき、高分子よりも高純度の、未反応の出発試薬および中間体を比較的含んでいない最終化合物をもたらす。したがって、有機電子素子における電荷輸送層または発光層としてこれらの化合物を含むことは、より長い寿命を有し、かつ電荷輸送に関してより効率的である素子をもたらし得る。
【0027】
本化合物は、電子輸送領域および正孔輸送領域の両方を保有し、したがって、電荷輸送に関して二極性である。結果として、これらの化合物は平衡電荷輸送特性を有し、したがって、例えばOLED等の有機発光素子における含有物に特に適している。
【0028】
図1に示すように、本化合物には、化合物の放出波長を調整するように設計および選択され得る、セグメント(図1でAと表示される)が組み込まれている。Ar7、Ar3、Ar2、およびAr6により定義されるセグメントは、Ar基の性質、Ar基の数、およびAr基の1つまたは複数に付加した任意の置換基の性質に関して変化してもよい。これらの要素の各々は、式 (I) の特定の化合物の放出波長を決定するのに役立つ。
【0029】
その上、式 (I) の化合物は、電子輸送特性を化合物に与えるために組み込まれた1つまたは複数の電子求引性基(図1でBおよびB'と表示される)を有する。Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つ、ならびに任意でAr2およびAr3のうちの1つまたは複数が、電子求引性基であるか、または電子求引性置換基で置換されている。1つまたは複数の電子求引性基を組み込むことは、発光層における電子注入および輸送を増強し、これらの化合物を組み込んだ有機発光素子の素子効率を改善することができる可能性がある。
【0030】
これらの化合物は、3つのAr基、すなわちAr1、Ar2、およびAr3(この部分は図1でCと表示される)で置換された、中心第3級窒素も有する。中心窒素に付加した3つのAr基のうち、少なくともAr1が別の窒素原子にさらに結合している。このような設計は、化合物の最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位を増加させる手伝いをし、したがって、化合物の正孔注入および正孔輸送特性を促進する。その上、この設計は、式 (I) の化合物を組み込んだ電子素子に対するターンオン電圧(turn-on voltage)および運転電圧の減少をもたらし得る。
【0031】
本化合物は、したがって、下記に述べる式 (I) により記載される。
【0032】
式 (I) に関連して、かつ本明細書で用いられる「アリーレン」基は、2個の水素原子の除去により芳香族化合物から誘導される、二価の芳香族遊離基である。芳香族化合物は、nが0と等しいかまたはそれより大きい整数である4n+2π個の電子を有する、環状化合物である。特定の態様において、アリーレン基は、5〜100個の骨格炭素原子、5〜60個の骨格炭素原子、5〜50個の骨格炭素原子、5〜30個の骨格炭素原子、または5〜20個の骨格炭素原子を有し得る。
【0033】
本明細書で用いられる「アリール」基は、1個の水素原子の除去により芳香族化合物から誘導される、一価の芳香族遊離基である。芳香族化合物は、nが0と等しいかまたはそれより大きい整数である4n+2π個の電子を有する、環状化合物である。特定の態様において、アリーレン基は、5〜100個の骨格炭素原子、5〜60個の骨格炭素原子、5〜50個の骨格炭素原子、5〜30個の骨格炭素原子、または5〜20個の骨格炭素原子を有し得る。
【0034】
本明細書で用いられる「ヘテロアリーレン」基は、骨格炭素原子の1個または複数が、N、O、S、Si、またはPを含むヘテロ原子で置き換えられた、アリーレン基である。
【0035】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」基は、骨格炭素原子の1個または複数が、N、O、S、Si、またはPを含むヘテロ原子で置き換えられた、アリール基である。
【0036】
特定のAr基は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を含むように記載されているが、このようなアリーレンまたはヘテロアリーレンが分子の末端に生じ、かつ一価である場合には、該特定のAr基は、アリールまたはヘテロアリールであることが認識されると考えられる。例えば、Ar6がアリーレン基またはヘテロアリーレン基を含むように記載されており、かつsが2である場合、(Ar6)Sにおける末端Ar6基は、アリール基またはヘテロアリール基を含む(それが別のAr基に結合または連結していないという前提で)が、末端から2番目のAr6基は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を含む。
【0037】
本明細書で用いられる「ビニレン」基は、式-CH=CH-で表される二価の遊離基である。
【0038】
本明細書で用いられる「エチニレン」基は、式-CH≡CH-で表される二価の遊離基である。
【0039】
したがって、本明細書で用いられる「Ar」という記号は、一般にアリール基、アリーレン基、ヘテロアリール基、ヘテロアリーレン基、アリール基および隣接するビニレン基(「アリールビニレン」)、アリーレン基および隣接するビニレン基(「アリーレンビニレン」)、ヘテロアリール基および隣接するビニレン基(「ヘテロアリールビニレン」)、ヘテロアリーレン基および隣接するビニレン基(「ヘテロアリーレンビニレン」)、アリール基および隣接するエチニレン基(「アリールエチニレン」)、アリーレン基および隣接するエチニレン基(「アリーレンエチニレン」)、ヘテロアリール基および隣接するエチニレン基(「ヘテロアリールエチニレン」)、またはヘテロアリーレン基および隣接するエチニレン基(「ヘテロアリーレンエチニレン」)のことをいう。
【0040】
本明細書で用いられる「アルキル」基は、1〜18炭素原子を有する分枝または非分枝の一価炭化水素基のことをいう。同様に、本明細書で用いられる「アルキレン」基は、1〜18炭素原子を有する分枝または非分枝の二価炭化水素基のことをいう。アルケニルおよびアルケニレンは、1つまたは複数の二重結合を含有する一価および二価の炭化水素遊離基に対するそれぞれの用語であり、アルキニルおよびアルキニレンは、1つまたは複数の三重結合を含有する一価および二価の炭化水素遊離基に対するそれぞれの用語であることが、理解されると考えられる。
【0041】
したがって、一局面において、下記式 (I) の化合物が提供される。
【0042】
前記式 (I) において、Ar1、Ar2、およびAr3の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数でさらに置換されていてもよい。
【0043】
任意で、Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つが、独立して、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されていてもよい。「電子求引性置換基」は、置換基がその上で置換されている基の骨格から該置換基の方へと電子を引き離す傾向を有する、置換基であり、該置換基に、または該置換基の近くに電子が豊富である領域を作り出す。電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0044】
特定の態様において、Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つは、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む。特定の態様において、9,9-ジアルキルフルオレニレンは、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである。他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む。さらなる他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジヘキシルフルオレニレンを含む。さらなる他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである。
【0045】
特定の態様において、Ar1は、フェニレンである。
【0046】
Ar4およびAr5の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数でさらに置換されていてもよい。前記で述べたように、Ar4またはAr5中の末端Ar基に関して、末端Ar基は、アリーレンまたはヘテロアリーレンに対立するものとしてアリール基またはヘテロアリール基を含む。
【0047】
さらに、任意で、Ar1、Ar4、およびAr5のうちの1つまたは複数は、独立して、アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシル、窒素を介して骨格に結合したアミド、酸素を介して骨格に結合したカルボキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、およびカルバゾリルのうちの1つまたは複数で置換されていてもよい。
【0048】
特定の態様において、Ar4およびAr5のうちの少なくとも1つは、フェニルである。他の特定の態様において、Ar4およびAr5の各々は、フェニルである。
【0049】
さらに、Ar1とAr2;Ar1とAr3;Ar2とAr3;Ar4とAr5;Ar1とAr4;およびAr1とAr5の対のうちの1対または複数対は、該対における2つのAr基の間で、単結合を介して結合していてもよく、または結合基として、O、S、Si、分枝または非分枝の置換または非置換アルキレン、分枝または非分枝の置換または非置換アルケニレン、分枝または非分枝の置換または非置換アルキニレンを含む連結基を介して結合していてもよい。したがって、例えば、Ar4またはAr5が別のAr基と結合している場合、特定のAr4またはAr5は、一価の基ではなく二価の基であることが認識されると考えられる。例えば、Ar4が連結基によりAr1と結合している場合、Ar4は、例えばアリール基ではなくアリーレン基である。m、n、p、r、s、x、またはyのいずれかが1より大きい場合、連結は、可能なAr基のうちの任意の2つの間で生じ得ることも認識されると考えられる。例えば、Ar1とAr2が連結している場合、かつpおよびnが両方とも2である場合、Ar1基のどちらかがAr2基のどちらかと連結し得る。同様に、Ar1基のうちの1つより多い基が、Ar2基のうちの1つまたは複数と連結し得る可能性がある。
【0050】
特定の態様において、Ar4とAr5は、単結合により互いに結合している。特定の態様において、Ar4およびAr5の各々は、フェニレンであり、かつAr4とAr5は、単結合により互いに結合している。
【0051】
Ar6およびAr7の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数で置換されていてもよい。前記で述べたように、Ar6またはAr7中の末端Ar基に関して、末端Ar基は、アリーレンまたはヘテロアリーレンに対立するものとしてアリール基またはヘテロアリール基を含む。
【0052】
さらに、Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つは、電子求引性Ar基であり、かつ/または1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されている。
【0053】
「電子求引性Ar基」は、電子不足のAr基、または骨格に沿って隣接するAr基から電子を受容または誘引する傾向を有するように1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されたAr基のことをいう。例えば、ピリジレン、チアゾリレン、オキサジアゾリレン、およびトリアゾリレンは、電子不足のAr基である。電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0054】
隣接Ar基から電子を求引する電子求引性Ar基の能力は、電子求引性Ar基の電子密度を、電子求引性ではない隣接Ar基の電子密度よりも高くする傾向があり、Si半導体で用いられるn型材料に類似しており、これによって電子を輸送することがより可能である。一般的に、電子求引性基は、骨格から置換基の方へ電子を引っ張るように、骨格に隣接する正領域(positive region)またはデルタ正領域(delta-positive region)を作り出す基である。
【0055】
特定の態様において、Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されており、該電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0056】
特定の態様において、Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つは、以下のAr基のうちの1つまたは複数であり、式中、R、R'、R''、およびR'''の各々は、独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオニル、スルホニル、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、アリーレンビニレン、またはアリーレンエチニレンであり、かつqは、0〜6の整数である。
【0057】
下記のAr基のいくつかは、一価または二価のどちらかとして表現されるが、前述のように、Ar基が化合物中で生じる状況に依存して、基のいずれかが、一価または二価のどちらかであり得るということが認識されると考えられる。その上、化合物のいくつかは、原子においてかまたは結合の向こう側かのいずれかでAr基の環の中心に入っているような、化合物の残りの部分に基を付加する結合を伴って表現される。このような表現は、特定のAr基が、環上の任意の有効な位置で結合によって該化合物の残りの部分に付加されていてもよいと解釈することを意図することが認識されると考えられる。
【0058】
m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、独立して、1〜20の整数である。そこで、m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、1〜20の任意の数であり、かつ例えば、1〜15、1〜10もしくは1〜5、または10〜15もしくは10〜20等の、1〜20以内の任意の範囲であってもよいと理解されるべきである。m、n、p、r、s、x、またはyのいずれか1つが1より大きい場合、該当するAr基(例えば、rに対するAr7)は、該Ar基の各々の存在に対して、独立して選択される。例えば、rが5である場合、5つのAr7基の各々は、残りの4つのAr7基から独立して選択される。
【0059】
特定の態様において、Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つは、フェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである。特定の態様において、Ar6およびAr7は同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである。
【0060】
特定の態様において、Ar1はフェニレンであり、Ar2およびAr3は両方とも9,9-ジヘキシルフルオレニレンであり、Ar4およびAr5は両方ともフェニレンでありかつ単結合により互いに結合しており、Ar6およびAr7は同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルであり、かつm、n、p、r、s、x、およびyは各々1である。
【0061】
式 (I) の化合物は、当技術分野で公知の標準的な有機合成技術を用いて合成することができる。適した合成機構の例を図2および下記で提示される実施例に提示する。例えば、ウルマン反応を適用して、芳香族ハロゲン化物を芳香族アミンとカップリングさせてもよい。同様に、グリニャール反応、スティル反応、および鈴木カップリング反応を用いて、2つの芳香族官能基を連結させてもよい。
【0062】
前記のように、式 (I) の化合物は、標準的な方法により、例えば、カラムクロマトグラフィー、または溶液からの結晶化により精製することができる。このような技術は、公知であり、当業者は、最低限の所定の労力で、容易に、このような技術を式 (I) の化合物に適用することができると考えられる。
【0063】
本明細書に記載される化合物は、溶液プロセスに適しており、それ故に本化合物を含有する薄膜の作製を可能にする。したがって、一局面において、式 (I) の化合物を含む薄膜が提供される。
【0064】
薄膜は、式 (I) の化合物を含有する薄層であって、厚さ約0.1〜約1000 nm、厚さ約1〜約500 nm、厚さ約5〜約250 nm、または厚さ約5〜約100 nmのオーダーになるように形成され得る。
【0065】
薄膜は、他の成分を含有してもよい。例えば、薄膜は、例えば導電性有機化学物質等の母材(host material)、および式 (I) の化合物を含んでもよい。母材は、例えば、ポリ(9-ビニルカルバゾール)(PVK)、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、4,4',4''-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン(TDAB)、1,3,5-トリス(4-(ジ-2-ピリジルアミノ)フェニル)ベンゼン(TDAPB)、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB, spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、2-(4-ビフェニル)-5(4-tertブチル-フェニル)-1,3,4,オキサジアゾール(PBD)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、BMB-3Tであり得る。
【0066】
式 (I) の化合物に対する母材の比率は、約100:0.01〜約0.01:100であり得る。
【0067】
あるいは、薄膜は、母材として式 (I) の化合物を含んでもよく、かつ有機色素またはリン光放出体、例えば、10-(2-ベンゾチアゾリル)-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[l]ベンゾ-ピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジル-9-エニル)-4H-ピラン(DCJTB)、ルブレン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(p-ジフェニルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCTP)、3-(ジシアノメチレン)-5,5-ジメチル-1-[(4-ジメチルアミノ)スチリル]シクロヘキセン(DCDDC)、6-メチル-3-[3-(1,1,6,6-テトラメチル-10-オキソ-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H,10H-11-オキサ-3a-アザベンゾ[de]-アントラセン-9-イル)アクリロイル]ピラン-2,4-ジオン(AAAP)、6,13-ジフェニルペンタセン(DPP)、および3-(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)-9-(N-p-スチリルフェニル-N-p-トリルアミノ)ペリレン[(PPA)(PSA)Pe-1]、1,1'-ジシアノ置換ビス-スチリルナフタレン誘導体(BSN)等の色素、またはPtOEP、Ir(ppy)3、もしくはそれらの誘導体等のリン光放出体をさらに含んでもよい。
【0068】
前記色素または前記リン光放出体に対する、開示される化合物の比率は、約100:0.01〜約1:1であり得る。
【0069】
薄膜を、適した基板上に形成させてもよく、該基板は、石英、ガラス、マイカ、例えばポリエチレンテレフタレートもしくはポリカーボネート等のプラスチック基板、紙、金属、またはシリコンを含む、任意の固体基板であり得る。薄膜は、多層素子を形成させる場合には別の層上に層を重ねるか、または電極上に層を重ねることもあり得る。
【0070】
薄膜を形成させるために、式 (I) の化合物および任意の付加的な膜成分を、適した有機溶媒に溶解してもよい。適した溶媒には、クロロホルム、トルエン、キシレン、安息香酸エチル、1,1,2,2-テトラクロロエタン、THF、ジクロロベンゼン、メシチレン、および前述の溶媒の混合物が含まれる。
【0071】
薄膜は、標準的な蒸着または溶液コーティングを含むコーティング法を用いて、適した表面上に形成させ得る。溶液コーティングには、スピンコーティング、キャスティング、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング(wire bar coating)、ディップコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、およびインクジェット印刷が含まれる。
【0072】
式 (I) の化合物およびこのような化合物を含有する薄膜は、単層素子および多層素子を含むエレクトロルミネセンス素子を構成するために用いられ得る。式 (I) の化合物およびこのような化合物を含有する薄膜は、有機発光ダイオードにおける放出層、有機薄膜トランジスタにおける活性層、または有機光電池における活性層を形成し得る。このような素子および層は、当技術分野で公知である。
【0073】
したがって、別の局面において、式 (I) の化合物を含む素子、または式 (I) の化合物を含む薄膜が提供される。
【0074】
一態様において、図3に関して、素子300は、式 (I) の化合物を含む放出層310を含む。前記のように、放出層310は、式 (I) の化合物に加えて、母材をさらに含んでもよい。
【0075】
放出層310は、電子注入陰極320と正孔注入陽極330との間に配置されている。
【0076】
陽極330は、正孔を伝導し、かつ有機層にそれらを注入することができる、任意の材料である。陽極330は、金、銀、もしくは酸化インジウムスズ(ITO)、または導電性高分子層であり得る。陽極320は、反射型、透明、半透明(semi-transparent)、または透光性(translucent)であり得る。
【0077】
陰極320は、電子を伝導し、かつ有機層にそれらを注入することができる、任意の材料である。陰極320は、例えば、バリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、イッテルビウム、カルシウム:銀合金、アルミニウム:リチウム合金、またはマグネシウム:銀合金を含む、低仕事関数金属または合金、例えば、銀に対するマグネシウムの原子比率が約10:1である合金(米国特許第6,791,129号)またはアルミニウムに対するリチウムの原子比率が約0.1:100〜約0.3:100である合金(Kimら (2002) Curr. Appl. Phys. 2(4): 335-338;Chaら (2004) Synth. Met. 143(1): 97;Kimら (2004) Synth. Met. 145(2-3): 229)等であり得る。陰極330は、単層であり得るか、または化合物構造を有し得る。陰極330は、フッ化リチウム、アルミニウム、および銀の層を含んでもよい。陰極330は、反射型、透明、半透明、または透光性であり得る。
【0078】
特定に態様において、陽極および陰極の1つまたは複数が、支持体340上に蒸着され得、該支持体は、透明、半透明、または透光性であり得る。支持体340は、剛性の、例えば、石英またはガラスであり得るか、または可撓性の高分子基板であり得る。可撓性で、透明、半透明、または透光性の基板の例には、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、例えばポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、およびポリアクリオニトリル(polyacrionitrile)、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ならびに例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化高分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
素子は、さらに追加の層を含んでもよい。一態様において、図4に図示されるように、素子400は有機発光ダイオード(OLED)である。
【0080】
したがって、素子400は、放出層410に加えて、素子400は、陽極420および陰極430を含む。
【0081】
素子400は、陽極420と放出層410との間に配置された正孔輸送層440を含む。正孔輸送層440は、陽極420から放出層410に正孔を輸送することができる任意の材料である、正孔輸送材料を含む。適した正孔輸送材料には、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の混合物が含まれるか、またはポリアニリンであってもよい。
【0082】
任意で、正孔注入層480を、陽極420と正孔輸送層440との間に含んでもよい。正孔注入層480は、例えば4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、TDATA、TDAB、TDAPB、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリフルオレンもしくはその誘導体等の正孔注入材料を含む。
【0083】
素子400は、放出層410と陰極430との間に配置された電子輸送層450を任意で含んでもよい。電子輸送層450は、陰極430から放出層410へ電子を輸送することができる任意の材料である、電子輸送材料を含む。電子輸送材料は、当業者に公知であり、これには、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、2-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、および2,2',2''-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス-[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tが含まれる。
【0084】
前記層の各々は、例えば厚さ約01. nm〜約200 nm、または厚さ約10 nm〜約100 nmであり得る。
【0085】
素子400は、放出層410と陰極430との間に、正孔阻止層460を任意で含んでもよい。特に、該正孔阻止層460は、素子400中に存在している場合、電子輸送層450と陰極430との間に配置される。
【0086】
一般的に、OLED素子の効率は、正孔阻止層を組み込むことにより改善され得る。任意の特定の理論に限定されることなく、正孔阻止材料のHOMO準位は、電荷が放出層から外へ拡散されることを防ぐが、正孔阻止材料は、電子が正孔阻止層を通過して放出層に入ることを可能にするために十分に低い電子障壁を有していると考えられている(例えば、米国特許第6,097,147号、米国特許第6,784,106号、および米国特許出願公開第20030230980号を参照されたい)。
【0087】
正孔阻止層460は、正孔阻止材料を含む。正孔阻止材料は、当業者に公知であり、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)および1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)が含まれる。通常、正孔阻止層460は、電子輸送層450よりも薄く、例えば約5 nm〜約30 nmの厚さを有し得る。
【0088】
素子400は、陰極430の直前に配置される電子注入層470を任意で含んでもよい。電子注入層470は、陰極430から電子輸送層450へ電子を効率的に輸送することができる任意の材料である、電子注入材料を含む。電子注入材料は、当業者に公知であり、例えば、フッ化リチウムまたはフッ化リチウム/アルミニウムが含まれる。電子注入層470は、一般的に、陰極430の厚さまたは隣接する電子輸送層450の厚さよりも、極めて薄い厚さを有し得、例えば、約0.5 nm〜約5.0 nmの厚さを有し得る。
【0089】
素子300と同様に、素子400は、支持体上に蒸着または形成され得る。
【0090】
認識されるように、素子は、異なる様式で異なる層を組み合わせることにより調製され得、素子400中に具体的に記載または図示されていない他の層も、存在してよい。
【0091】
その上、材料は、エレクトロルミネセンス素子において1つを超える機能を果たすことが認識されると考えられる。式 (I) の化合物の二極性の電荷輸送性に依存して、これらの化合物は、記載される素子中の他の層において見出され得る。例えば、式 (I) の化合物は、単独で、または混合物の一部として、正孔輸送層または電子輸送層を構成する。
【0092】
したがって、現在記載される素子としては、正孔輸送層、放出層、正孔阻止層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが式 (I) の化合物を含む、素子が包含される。
【0093】
上述の素子は、該当する層をもう1つの層の上部に層を重ねることにより調製され得る。層は、上述の溶液コーティング技術を含む、当技術分野で公知の方法により調製され得る。溶液コーティング工程は、例えば窒素ガス下等の不活性雰囲気中で実行され得る。あるいは、層は熱蒸発により、または真空蒸着により調製され得る。金属層は、例えば、熱蒸発もしくは電子ビーム蒸発、化学気相蒸着、またはスパッタリング等の公知の技術により調製され得る。
【0094】
実施例
機器:
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、溶媒としてクロロホルム-dおよび内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いたBruker DPX 400 MHz分光計で収集した。マトリクス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量スペクトルは、Bruker Autoflex TOF/TOF機器で得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器と組み合わせたWaters 2695セパレーションモジュールで行った。示差走査熱量測定(DSC)は、TA InstrumentのDSC 2920モジュール(20℃/分の走査速度)で、窒素下で実行した。熱重量分析(TGA)は、TA InstrumentのTGA 2050モジュール(20℃/分の加熱速度)を用いて実行した。サイクリックボルタンメトリー(CV)実験は、Autolabポテンショスタット(モデルPGSTAT30)で実施した。全てのCV測定は、白金線の作用電極、金の対電極、および対照電極である3 M KCl 中のAg/AgClからなる、通常の3電極配置を用いて、支持電解質として0.1 Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを有するジクロロメタン中で記録した(50 mV/秒の走査速度)。測定電位は、SCE(飽和カロメル電極)に変換し、対応するイオン化電位(IP)および電子親和力(EA)の値は、真空準位を基準としたSCEエネルギー準位としての-4.4 eVに基づいて、開始の酸化還元電位から導いた(EA=Ered-onset+4.4 eV、IP=Eox-onset+4.4 eV)。吸収スペクトルおよびフォトルミネセンススペクトルは、ShimadzuのUV-3101 PC UV-vis-NIR分光光度計、および光源としてキセノンランプを備えたPerkin-ElmerのLS-50B蛍光光度計を用いて得た。溶液スペクトルは、ジクロロメタン溶液から測定した。
【0095】
合成:
下記に記載する合成法を、図2に図示した合成概略図に図示する。
【0096】
9-(4-ブロモフェニル)カルバゾールの合成:
文献(Macromolecules 2004, 37, 5531-5537)で報告された手法に従って、ウルマン反応により、9-(4-ブロモフェニル)カルバゾールを調製した。簡単にいうと、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)10 ml中の、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(2.83 g, 10 mmol)、酸化銅 (I)(2.86 g, 20 mmol)およびカルバゾール(0.84 g, 5 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、次いで濾過して過剰の銅錯体を除去した。濾液を蒸発乾固させ、シリカゲルカラムに通して1.22 g(76%)の収量で生成物を得た。
【0097】
4-(2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-7-イル)ベンゾニトリルの合成:
以下の手法により、4-(2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-7-イル)ベンゾニトリルを調製した。2,7-ジブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン(0.985 g, 2 mmol)、4-シアノフェニルボロン酸(0.146 g, 1 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11.6 mg, 0.01 mmol)の混合物を、トルエン(25 mL)と2M Na2CO3水溶液(15 mL)の空気を含有しない二相系混合物(two-phase mixture)に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相(aqueous phase)をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.27 gの純粋な生成物を51%の収率で得た。
【0098】
4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゼンアミン (A) の合成:
文献(Macromolecules 2004, 37, 5531-5537)で報告された手法に従って、ウルマン反応により、4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゼンアミン (A) を調製した。1-フェノキシベンゼン40 ml中の、4-ヨードベンゼンアミン(2.19 g, 10 mmol)、酸化銅 (I)(2.18 g, 20 mmol)およびカルバゾール(3.35 g, 20 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で190℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、高速シリカゲルカラム(fast silica gel column)により濾過して過剰の銅錯体および1-フェノキシベンゼンを除去した。濾液を蒸発乾固させ、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルの混合物(6:1)を用いたシリカゲルカラムに通して2.37 g(92%)の収量で生成物を得た。
【0099】
化合物 (B) の合成:
前記手法に従って、化合物 (B) を調製した。1-フェノキシベンゼン中の、2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-7-ヨード-9H-フルオレン(17.26 g, 32 mmol)、酸化銅 (I)(2.29 g, 16 mmol)および (A)(2.07 g, 8 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で210℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで濾過して過剰の銅錯体を除去した。濾液を蒸発乾固させ、シリカゲルカラムに通して4.35 g(50%)の収量で生成物を得た。
【0100】
化合物 (C) の合成:
以下の手法により、化合物 (C) を調製した。(B)(2.16 g, 2 mmol)の無水THF(40 mL)溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウム(5 mL, 8 mmol, ヘキサン中1.6M)を添加した。混合物を-78℃で1時間攪拌した。2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2.4 mL, 12 mmol)を、溶液に速やかに添加した。混合物が室温に温まるまで放置し、終夜攪拌した。混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を一つにして、食塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、未精製の生成物を、ヘキサン/クロロホルム混合物からの再結晶化により精製して、1.36 g(58%)の収量で生成物を得た。
【0101】
化合物1の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、フェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.134 gの純粋な化合物1を83%の収率で得た。
【0102】
化合物2の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、4-トリフルオロメチルフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.115 gの純粋な化合物2を63%の収率で得た。
【0103】
化合物3の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、2-ナフチルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.104 gの純粋な化合物3を59%の収率で得た。
【0104】
化合物4の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、3-ベンゾチオフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.98 gの純粋な化合物4を55%の収率で得た。
【0105】
化合物5の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、9-ブロモフェナントレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.129 gの純粋な化合物5を67%の収率で得た。
【0106】
化合物6の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、2-ブロモ-9,9-ジヘキシルフルオレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.157 gの純粋な化合物6を66%の収率で得た。
【0107】
化合物7の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、1-ブロモピレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.108 gの純粋な化合物7を54%の収率で得た。
【0108】
化合物8の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、9-(4-ブロモフェニル)カルバゾール(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.118 gの純粋な化合物8を56%の収率で得た。
【0109】
化合物9の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、4-シアノフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.147 gの純粋な化合物9を87%の収率で得た。
【0110】
化合物10の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、2-ブロモ-7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.160 gの純粋な化合物10を60%の収率で得た。
【0111】
素子の製造および測定:
2種類の素子を制作して、以下の配置に基づいて評価した。
【0112】
構成A(ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Ag):
1.2 mgの該当する放出ドーパント(前記で合成した式 (I) の化合物)および60 mgのポリ(9-ビニルカルバゾール)(PVK)を、4 mlの安息香酸エチルに溶解し、素子製造のために0.2 mm PTFEフィルターに通した。
【0113】
パターン成形した酸化スズインジウム(ITO)コーティングガラス基板上に、発光素子を調製した。該基板を、清浄し、酸素プラズマで処理し、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)で、50 nmにスピンコーティングした後、120℃で15分間風乾した。
【0114】
高分子溶液をスピンコーティングして、約70 nmの厚さを有する放出層を形成させ、1×10-5 Paの減圧下の小部屋へ移した。電子注入および正孔阻止のために、40 nmの1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)を、放出層の表面上に蒸着した。
【0115】
陰極は、連続して熱蒸着させた、0.4 nmのLiF、20 nmのCaおよび200 nmのAgから成った。
【0116】
全ての測定は、大気中、室温で実行した。素子の電流-電圧特性、素子の電流-輝度特性は、Keithley 2420ソースメーターおよび較正したフォトダイオードを用いて記録した。ELスペクトルは、Ocean OpticsのUSB2000小型ファイバー光学分光器で記録した。測光データは、素子の電流-電圧-輝度データおよびELスペクトルを用いて算出した。
【0117】
化合物1〜10を含有する素子の素子性能を表1にまとめる。図5および6は、構成Aの素子のI-VプロットおよびV-Lプロットである。
【0118】
(表1)素子構成Aを有する化合物1〜10の素子性能のまとめ
【0119】
構成B(ITO/PEDOT:PSS/発光分子/TPBI/LiF/Ca/Ag):
前記のように合成した60 mgの発光分子を、4 mlの安息香酸エチルに溶解し、素子製造のために0.2 mm PTFEフィルターを通して濾過した。
【0120】
パターン成形した酸化スズインジウム(ITO)コーティングガラス基板上に、発光素子を調製した。該基板を、清浄し、酸素プラズマで処理し、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)で、50 nmにスピンコーティングした後、120℃で15分間風乾した。
【0121】
発光分子溶液をスピンコーティングして、約70 nmの厚さを有する放出層を形成させ、1×10-5 Paの減圧下の小部屋へ移した。電子注入および正孔阻止のために、40 nmの1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)を、放出層の表面上に蒸着した。
【0122】
陰極は、連続して熱蒸着した、0.4 nmのLiF、20 nmのCa、および200 nmのAgから成った。
【0123】
化合物1〜10を含有する素子の素子性能を表2にまとめる。図7および図8は、構成Aの素子のI-VプロットおよびV-Lプロットである。図9は、構成Bの素子の輝度に対する外部量子効率のプロットであり、図10は、構成Bを有する素子のELスペクトルを示す。
【0124】
(表2)素子構成Bを有する化合物1〜10の素子性能のまとめ
【0125】
表3は、化合物1〜10のエネルギー準位を示す。
【0126】
(表3)発光材料である化合物1〜10のエネルギー準位
【0127】
当業者により一般的に理解され得るように、本明細書で記載した例示的な態様に対する多くの修正が可能である。本発明は、むしろ、特許請求の範囲で定義されるその範囲内で、このような修正全てを包含することを意図する。
【0128】
本明細書で言及した全ての文書は、参照により完全に組み入れられる。
【0129】
本発明の種々の態様を本明細書に開示するが、多くの改造および修正は、当業者の一般常識に従って、本発明の範囲内でなされ得る。このような修正としては、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するために、本発明の任意の局面を公知の等価物で置換することが含まれる。本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、別途定義されない限り、本発明の技術分野における当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、導電性有機化合物、特にエレクトロルミネセンス有機化合物、およびこのような化合物を含有する電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エレクトロルミネセンス有機材料は、共役高分子および有機小分子の2つの種類に分類することができる。
【0003】
高分子エレクトロルミネセンス有機材料には、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、およびそれらの誘導体が含まれる。エレクトロルミネセンス高分子は、それらの溶液プロセスに適している処理という理由から魅力的であり、該溶液プロセスは、エレクトロルミネセンス用有機材料を含有する電子素子を製造するための、比較的費用効果が大きい方法である。
【0004】
しかしながら、高分子発光材料は、このような材料が高分子骨格中に一定量の構造上の欠陥、重合処理中に生成される副生成物、および高分子鎖上に残存する末端基を含有することが多いため、高純度を達成することが困難である。高分子の調製におけるこれらの不純物および/または欠陥の全てが、高分子エレクトロルミネセンス有機材料を組み込んだ電子素子の効率および寿命に影響を与える可能性がある。
【0005】
小分子は、別の種類の発光材料であり、放出体、または電荷輸送材料のいずれかとして、例えば有機発光ダイオード(OLED)等の有機発光素子において広く用いられてきた。例えば昇華または再結晶化プロセス等の精製プロセスの使用により、かなり純粋な小分子発光材料を生産することが可能であり、これは発光高分子と比較して有利な点を提供する。
【0006】
しかしながら、小分子を含有する素子は、通常、真空蒸着技術を用いて加工処理され、該技術は、ほとんど費用効果がなく、かつ大量生産には望ましくない場合がある。一般的に、溶液プロセスは、より低費用の技術であり、かつ大量で迅速な生産により適しており、大型ディスプレイのために必要とされるより大きな膜の調製にもより適し得る。
【0007】
多層素子は公知であり、通常、正孔注入層および/または電子注入層を含む可能性がある、正孔輸送層、放出層、および電子輸送層で構成されている。
【0008】
しかしながら、現用の有機発光材料の多く、高分子および小分子はどちらも、通常、不平衡な電荷輸送特性を有する。一般に、発光材料は、正孔または電子のいずれか1種類の電荷担体のみを伝導することができ、通常、両方ともではない。例えば、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)またはアルコキシ置換ポリ(1,4-フェニレンビニレン)が良好な正孔輸送体であるのに対して、トリス-(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム (III)(Alq3)は電子輸送体である。OLED素子における不平衡な電荷輸送は、低い素子効率という結果になる。
【0009】
素子における電荷担体に平衡を保たせるための1つの解決策は、電子輸送セグメントおよび正孔輸送セグメントの両方を1つの構造に組み合わせて、二極性材料を構成することであり、骨格内で2つのセグメントを一緒に連結させるか、またはそれらを別々に骨格に付加させるかのいずれかである。
【0010】
いくつかのこのような二極性材料が開発されてきたが、現在に至るまで、このような材料を主原料とする報告された素子性能は、未だ満足のいくものではない。
【0011】
したがって、エレクトロルミネセンス素子における有機発光層に用いることができる、新しい材料の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
一局面において、下記式 (I) の化合物が提供される:
式中、
Ar1、Ar2、およびAr3の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar4およびAr5の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar6およびAr7の各々は、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく、かつAr6およびAr7のうちの少なくとも1つが、電子求引性Ar基であるか、1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されているか、または1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されている電子求引性Ar基であり;かつ
m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、独立して、1〜20の整数である。
【0013】
式 (I) の化合物の態様は、エレクトロルミネセンス化合物であり、それ自体が、有機エレクトロルミネセンス素子における有機層として有用であり、かつ放出層、電荷注入層、電荷輸送層、または正孔阻止層(hole blocking layer)を形成するために用いられ得る。
【0014】
好都合なことに、前記化合物は、正孔輸送セグメントおよび電子輸送セグメントの両方から成り、該セグメントは組み合わさって、二極性輸送機能を有する化合物を提供する。その上、これらの化合物は、溶液プロセスに適しており、比較的高い程度に、容易に精製され得る。
【0015】
したがって、別の局面において、本明細書に記載の化合物を含む薄膜が提供される。
【0016】
さらなる局面において、陽極、陰極、および本明細書に記載の薄膜、すなわち陽極と陰極との間に配置された薄膜を含む、素子が提供される。
【0017】
なおさらなる局面において、陽極と;本明細書に記載の化合物を含みかつ陽極上に配置された放出層と;放出層上に配置された陰極とを含む素子が提供される。
【0018】
別の局面において、陽極と;陽極上に配置された正孔輸送層と;正孔輸送層上に配置された放出層と;放出層上に配置された電子輸送層と;電子輸送層上に配置された陰極とを含む素子であって、正孔輸送層、放出層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の化合物を含む、素子が提供される。
【0019】
さらに別の局面において、陽極と;陽極上に配置された正孔注入層と;正孔注入層上に配置された正孔輸送層と;正孔輸送層上に配置された放出層と;放出層上に配置された電子輸送層と;電子輸送層上に配置された正孔阻止層と;放出層上に配置された電子注入層と;電子注入層上に配置された陰極とを含む素子であって、正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の化合物を含む、素子が提供される。
【0020】
本発明の他の局面および特徴は、添付の図と併せて、以下に示す本発明の具体的な態様の説明を検討することで、当業者に明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図においては、単に例示のみを目的として、本発明の態様を説明する。
【図1】式 (I) の電子輸送セグメント、正孔輸送セグメント、および放出調整セグメントを示す、式 (I) の模式図である。
【図2】式 (I) の特定の化合物に関する合成機構を説明する概略図である。
【図3】式 (I) の化合物を含有する薄膜を組み込んだ単層素子の図である。
【図4】式 (I) の化合物を含有する少なくとも1つの薄膜を組み込んだ多層素子の図である。
【図5】ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のI-Vプロットであり、ここで該ドーパントは式 (I) の種々の化合物である。
【図6】ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のV-Lプロットである。
【図7】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のI-Vプロットであり、ここで該化合物は式 (I) の種々の化合物である。
【図8】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のV-Lプロットである。
【図9】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子の輝度に対する外部量子効率のプロットである。
【図10】ITO/PEDOT:PSS/化合物/TPBI/LiF/Ca/Agの構成を有する素子のELスペクトルである。
【図11】クロロホルムに溶解した式 (I) の種々の化合物に関する、UV吸光度スペクトルである。
【図12】クロロホルム中で測定した式 (I) の種々の化合物のフォトルミネセンスのグラフである。
【図13】化合物を含有するクロロホルム溶液を石英板上にスピンコーティングした後の固体の状態で測定した、式 (I) の種々の化合物のフォトルミネセンスのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本明細書に記載の式 (I) の化合物の態様は、エレクトロルミネセンス化合物であり、つまり電流がそれらを通過する際に、これらの化合物が発光する。したがって、これらの化合物は、有機電子素子における電荷輸送層または発光層として作用するのによく適している。
【0023】
ある特定の有機化合物は、分子内に広範囲な系のπ結合を含んでいるため、電荷を伝導することができる。すなわち、例えばポリアリーレン化合物またはポリアリーレンビニレン化合物(例えば、ポリ(フェニレンビニレン))等の、結合または共役したπ系を有する化合物は、重なり合って分子の長さを伸長する、一組のπ分子軌道を有する。これらの伸長されたπ分子軌道は、電子が充填されていない場合か、または電子が部分的に充填されているのみである場合に、分子が電圧バイアス下に置かれた際に分子を横断する、さらなる電子の輸送のための、分子を横断する通行路を提供する。いくつかのこのような伸長されたπ軌道は、導電性有機化合物を横断して生じることができ、それぞれが、異なる構造およびエネルギー準位を有する。最も低いエネルギー順位を有する分子軌道は、余分の電子の輸送ための有効な通路であることが多い。
【0024】
これらの化合物がルミネセンスを示すために、電子は、分子を横断して輸送されているので、充填されているか、または部分的に充填されている、より高いエネルギー軌道から、充填されていないか、または部分的に充填されている、より低いエネルギー軌道へと、1個または複数の電子が移動する必要がある。電子が高エネルギー状態から低エネルギー状態に移る際に、電子により放出されるエネルギーが、可視スペクトル内にある場合に、これらの分子は発光することが分かっている。
【0025】
簡単にいうと、正孔が導電性有機分子に注入された場合には、該分子はプラスに帯電した分子になり、逆に、電子がこのような分子に注入された場合には、該分子はマイナスに帯電した分子になる。帯電した分子は、隣接する分子から反対の電荷を得ることができ、導電性有機分子を含有する組成物における電荷輸送をもたらす。注入された電子および正孔は、放出層内で再結合することができ、励起状態からより低いエネルギー状態に緩和された場合にエネルギーを放出することができる励起子と呼ばれる、結合した電子/正孔対を形成する。放出エネルギーの波長に応じて、該エネルギーが紫外線または可視光として放出され得る。
【0026】
記載される化合物は、有機高分子と比較した場合に、比較的小さい分子であり、調製後、例えば、カラムクロマトグラフィーにより、または溶液からの結晶化により、比較的高い度合いに容易に精製でき、高分子よりも高純度の、未反応の出発試薬および中間体を比較的含んでいない最終化合物をもたらす。したがって、有機電子素子における電荷輸送層または発光層としてこれらの化合物を含むことは、より長い寿命を有し、かつ電荷輸送に関してより効率的である素子をもたらし得る。
【0027】
本化合物は、電子輸送領域および正孔輸送領域の両方を保有し、したがって、電荷輸送に関して二極性である。結果として、これらの化合物は平衡電荷輸送特性を有し、したがって、例えばOLED等の有機発光素子における含有物に特に適している。
【0028】
図1に示すように、本化合物には、化合物の放出波長を調整するように設計および選択され得る、セグメント(図1でAと表示される)が組み込まれている。Ar7、Ar3、Ar2、およびAr6により定義されるセグメントは、Ar基の性質、Ar基の数、およびAr基の1つまたは複数に付加した任意の置換基の性質に関して変化してもよい。これらの要素の各々は、式 (I) の特定の化合物の放出波長を決定するのに役立つ。
【0029】
その上、式 (I) の化合物は、電子輸送特性を化合物に与えるために組み込まれた1つまたは複数の電子求引性基(図1でBおよびB'と表示される)を有する。Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つ、ならびに任意でAr2およびAr3のうちの1つまたは複数が、電子求引性基であるか、または電子求引性置換基で置換されている。1つまたは複数の電子求引性基を組み込むことは、発光層における電子注入および輸送を増強し、これらの化合物を組み込んだ有機発光素子の素子効率を改善することができる可能性がある。
【0030】
これらの化合物は、3つのAr基、すなわちAr1、Ar2、およびAr3(この部分は図1でCと表示される)で置換された、中心第3級窒素も有する。中心窒素に付加した3つのAr基のうち、少なくともAr1が別の窒素原子にさらに結合している。このような設計は、化合物の最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位を増加させる手伝いをし、したがって、化合物の正孔注入および正孔輸送特性を促進する。その上、この設計は、式 (I) の化合物を組み込んだ電子素子に対するターンオン電圧(turn-on voltage)および運転電圧の減少をもたらし得る。
【0031】
本化合物は、したがって、下記に述べる式 (I) により記載される。
【0032】
式 (I) に関連して、かつ本明細書で用いられる「アリーレン」基は、2個の水素原子の除去により芳香族化合物から誘導される、二価の芳香族遊離基である。芳香族化合物は、nが0と等しいかまたはそれより大きい整数である4n+2π個の電子を有する、環状化合物である。特定の態様において、アリーレン基は、5〜100個の骨格炭素原子、5〜60個の骨格炭素原子、5〜50個の骨格炭素原子、5〜30個の骨格炭素原子、または5〜20個の骨格炭素原子を有し得る。
【0033】
本明細書で用いられる「アリール」基は、1個の水素原子の除去により芳香族化合物から誘導される、一価の芳香族遊離基である。芳香族化合物は、nが0と等しいかまたはそれより大きい整数である4n+2π個の電子を有する、環状化合物である。特定の態様において、アリーレン基は、5〜100個の骨格炭素原子、5〜60個の骨格炭素原子、5〜50個の骨格炭素原子、5〜30個の骨格炭素原子、または5〜20個の骨格炭素原子を有し得る。
【0034】
本明細書で用いられる「ヘテロアリーレン」基は、骨格炭素原子の1個または複数が、N、O、S、Si、またはPを含むヘテロ原子で置き換えられた、アリーレン基である。
【0035】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」基は、骨格炭素原子の1個または複数が、N、O、S、Si、またはPを含むヘテロ原子で置き換えられた、アリール基である。
【0036】
特定のAr基は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を含むように記載されているが、このようなアリーレンまたはヘテロアリーレンが分子の末端に生じ、かつ一価である場合には、該特定のAr基は、アリールまたはヘテロアリールであることが認識されると考えられる。例えば、Ar6がアリーレン基またはヘテロアリーレン基を含むように記載されており、かつsが2である場合、(Ar6)Sにおける末端Ar6基は、アリール基またはヘテロアリール基を含む(それが別のAr基に結合または連結していないという前提で)が、末端から2番目のAr6基は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を含む。
【0037】
本明細書で用いられる「ビニレン」基は、式-CH=CH-で表される二価の遊離基である。
【0038】
本明細書で用いられる「エチニレン」基は、式-CH≡CH-で表される二価の遊離基である。
【0039】
したがって、本明細書で用いられる「Ar」という記号は、一般にアリール基、アリーレン基、ヘテロアリール基、ヘテロアリーレン基、アリール基および隣接するビニレン基(「アリールビニレン」)、アリーレン基および隣接するビニレン基(「アリーレンビニレン」)、ヘテロアリール基および隣接するビニレン基(「ヘテロアリールビニレン」)、ヘテロアリーレン基および隣接するビニレン基(「ヘテロアリーレンビニレン」)、アリール基および隣接するエチニレン基(「アリールエチニレン」)、アリーレン基および隣接するエチニレン基(「アリーレンエチニレン」)、ヘテロアリール基および隣接するエチニレン基(「ヘテロアリールエチニレン」)、またはヘテロアリーレン基および隣接するエチニレン基(「ヘテロアリーレンエチニレン」)のことをいう。
【0040】
本明細書で用いられる「アルキル」基は、1〜18炭素原子を有する分枝または非分枝の一価炭化水素基のことをいう。同様に、本明細書で用いられる「アルキレン」基は、1〜18炭素原子を有する分枝または非分枝の二価炭化水素基のことをいう。アルケニルおよびアルケニレンは、1つまたは複数の二重結合を含有する一価および二価の炭化水素遊離基に対するそれぞれの用語であり、アルキニルおよびアルキニレンは、1つまたは複数の三重結合を含有する一価および二価の炭化水素遊離基に対するそれぞれの用語であることが、理解されると考えられる。
【0041】
したがって、一局面において、下記式 (I) の化合物が提供される。
【0042】
前記式 (I) において、Ar1、Ar2、およびAr3の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数でさらに置換されていてもよい。
【0043】
任意で、Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つが、独立して、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されていてもよい。「電子求引性置換基」は、置換基がその上で置換されている基の骨格から該置換基の方へと電子を引き離す傾向を有する、置換基であり、該置換基に、または該置換基の近くに電子が豊富である領域を作り出す。電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0044】
特定の態様において、Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つは、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む。特定の態様において、9,9-ジアルキルフルオレニレンは、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである。他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む。さらなる他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジヘキシルフルオレニレンを含む。さらなる他の特定の態様において、Ar2およびAr3の各々は、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである。
【0045】
特定の態様において、Ar1は、フェニレンである。
【0046】
Ar4およびAr5の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数でさらに置換されていてもよい。前記で述べたように、Ar4またはAr5中の末端Ar基に関して、末端Ar基は、アリーレンまたはヘテロアリーレンに対立するものとしてアリール基またはヘテロアリール基を含む。
【0047】
さらに、任意で、Ar1、Ar4、およびAr5のうちの1つまたは複数は、独立して、アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシル、窒素を介して骨格に結合したアミド、酸素を介して骨格に結合したカルボキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、およびカルバゾリルのうちの1つまたは複数で置換されていてもよい。
【0048】
特定の態様において、Ar4およびAr5のうちの少なくとも1つは、フェニルである。他の特定の態様において、Ar4およびAr5の各々は、フェニルである。
【0049】
さらに、Ar1とAr2;Ar1とAr3;Ar2とAr3;Ar4とAr5;Ar1とAr4;およびAr1とAr5の対のうちの1対または複数対は、該対における2つのAr基の間で、単結合を介して結合していてもよく、または結合基として、O、S、Si、分枝または非分枝の置換または非置換アルキレン、分枝または非分枝の置換または非置換アルケニレン、分枝または非分枝の置換または非置換アルキニレンを含む連結基を介して結合していてもよい。したがって、例えば、Ar4またはAr5が別のAr基と結合している場合、特定のAr4またはAr5は、一価の基ではなく二価の基であることが認識されると考えられる。例えば、Ar4が連結基によりAr1と結合している場合、Ar4は、例えばアリール基ではなくアリーレン基である。m、n、p、r、s、x、またはyのいずれかが1より大きい場合、連結は、可能なAr基のうちの任意の2つの間で生じ得ることも認識されると考えられる。例えば、Ar1とAr2が連結している場合、かつpおよびnが両方とも2である場合、Ar1基のどちらかがAr2基のどちらかと連結し得る。同様に、Ar1基のうちの1つより多い基が、Ar2基のうちの1つまたは複数と連結し得る可能性がある。
【0050】
特定の態様において、Ar4とAr5は、単結合により互いに結合している。特定の態様において、Ar4およびAr5の各々は、フェニレンであり、かつAr4とAr5は、単結合により互いに結合している。
【0051】
Ar6およびAr7の各々は、独立して、アリーレン基;ヘテロアリーレン基;アリーレンビニレン基;ヘテロアリーレンビニレン基;アリーレンエチニレン基;またはヘテロアリーレンエチニレン基であり、これらの基はいずれも、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールの基のうちの1つまたは複数で置換されていてもよい。前記で述べたように、Ar6またはAr7中の末端Ar基に関して、末端Ar基は、アリーレンまたはヘテロアリーレンに対立するものとしてアリール基またはヘテロアリール基を含む。
【0052】
さらに、Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つは、電子求引性Ar基であり、かつ/または1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されている。
【0053】
「電子求引性Ar基」は、電子不足のAr基、または骨格に沿って隣接するAr基から電子を受容または誘引する傾向を有するように1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されたAr基のことをいう。例えば、ピリジレン、チアゾリレン、オキサジアゾリレン、およびトリアゾリレンは、電子不足のAr基である。電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0054】
隣接Ar基から電子を求引する電子求引性Ar基の能力は、電子求引性Ar基の電子密度を、電子求引性ではない隣接Ar基の電子密度よりも高くする傾向があり、Si半導体で用いられるn型材料に類似しており、これによって電子を輸送することがより可能である。一般的に、電子求引性基は、骨格から置換基の方へ電子を引っ張るように、骨格に隣接する正領域(positive region)またはデルタ正領域(delta-positive region)を作り出す基である。
【0055】
特定の態様において、Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されており、該電子求引性置換基には、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、およびトリアゾリルの基が含まれる。
【0056】
特定の態様において、Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つは、以下のAr基のうちの1つまたは複数であり、式中、R、R'、R''、およびR'''の各々は、独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオニル、スルホニル、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、アリーレンビニレン、またはアリーレンエチニレンであり、かつqは、0〜6の整数である。
【0057】
下記のAr基のいくつかは、一価または二価のどちらかとして表現されるが、前述のように、Ar基が化合物中で生じる状況に依存して、基のいずれかが、一価または二価のどちらかであり得るということが認識されると考えられる。その上、化合物のいくつかは、原子においてかまたは結合の向こう側かのいずれかでAr基の環の中心に入っているような、化合物の残りの部分に基を付加する結合を伴って表現される。このような表現は、特定のAr基が、環上の任意の有効な位置で結合によって該化合物の残りの部分に付加されていてもよいと解釈することを意図することが認識されると考えられる。
【0058】
m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、独立して、1〜20の整数である。そこで、m、n、p、r、s、x、およびyの各々は、1〜20の任意の数であり、かつ例えば、1〜15、1〜10もしくは1〜5、または10〜15もしくは10〜20等の、1〜20以内の任意の範囲であってもよいと理解されるべきである。m、n、p、r、s、x、またはyのいずれか1つが1より大きい場合、該当するAr基(例えば、rに対するAr7)は、該Ar基の各々の存在に対して、独立して選択される。例えば、rが5である場合、5つのAr7基の各々は、残りの4つのAr7基から独立して選択される。
【0059】
特定の態様において、Ar6およびAr7のうちの少なくとも1つは、フェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである。特定の態様において、Ar6およびAr7は同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである。
【0060】
特定の態様において、Ar1はフェニレンであり、Ar2およびAr3は両方とも9,9-ジヘキシルフルオレニレンであり、Ar4およびAr5は両方ともフェニレンでありかつ単結合により互いに結合しており、Ar6およびAr7は同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルであり、かつm、n、p、r、s、x、およびyは各々1である。
【0061】
式 (I) の化合物は、当技術分野で公知の標準的な有機合成技術を用いて合成することができる。適した合成機構の例を図2および下記で提示される実施例に提示する。例えば、ウルマン反応を適用して、芳香族ハロゲン化物を芳香族アミンとカップリングさせてもよい。同様に、グリニャール反応、スティル反応、および鈴木カップリング反応を用いて、2つの芳香族官能基を連結させてもよい。
【0062】
前記のように、式 (I) の化合物は、標準的な方法により、例えば、カラムクロマトグラフィー、または溶液からの結晶化により精製することができる。このような技術は、公知であり、当業者は、最低限の所定の労力で、容易に、このような技術を式 (I) の化合物に適用することができると考えられる。
【0063】
本明細書に記載される化合物は、溶液プロセスに適しており、それ故に本化合物を含有する薄膜の作製を可能にする。したがって、一局面において、式 (I) の化合物を含む薄膜が提供される。
【0064】
薄膜は、式 (I) の化合物を含有する薄層であって、厚さ約0.1〜約1000 nm、厚さ約1〜約500 nm、厚さ約5〜約250 nm、または厚さ約5〜約100 nmのオーダーになるように形成され得る。
【0065】
薄膜は、他の成分を含有してもよい。例えば、薄膜は、例えば導電性有機化学物質等の母材(host material)、および式 (I) の化合物を含んでもよい。母材は、例えば、ポリ(9-ビニルカルバゾール)(PVK)、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、4,4',4''-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン(TDAB)、1,3,5-トリス(4-(ジ-2-ピリジルアミノ)フェニル)ベンゼン(TDAPB)、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB, spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、2-(4-ビフェニル)-5(4-tertブチル-フェニル)-1,3,4,オキサジアゾール(PBD)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、BMB-3Tであり得る。
【0066】
式 (I) の化合物に対する母材の比率は、約100:0.01〜約0.01:100であり得る。
【0067】
あるいは、薄膜は、母材として式 (I) の化合物を含んでもよく、かつ有機色素またはリン光放出体、例えば、10-(2-ベンゾチアゾリル)-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[l]ベンゾ-ピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジル-9-エニル)-4H-ピラン(DCJTB)、ルブレン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(p-ジフェニルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCTP)、3-(ジシアノメチレン)-5,5-ジメチル-1-[(4-ジメチルアミノ)スチリル]シクロヘキセン(DCDDC)、6-メチル-3-[3-(1,1,6,6-テトラメチル-10-オキソ-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H,10H-11-オキサ-3a-アザベンゾ[de]-アントラセン-9-イル)アクリロイル]ピラン-2,4-ジオン(AAAP)、6,13-ジフェニルペンタセン(DPP)、および3-(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)-9-(N-p-スチリルフェニル-N-p-トリルアミノ)ペリレン[(PPA)(PSA)Pe-1]、1,1'-ジシアノ置換ビス-スチリルナフタレン誘導体(BSN)等の色素、またはPtOEP、Ir(ppy)3、もしくはそれらの誘導体等のリン光放出体をさらに含んでもよい。
【0068】
前記色素または前記リン光放出体に対する、開示される化合物の比率は、約100:0.01〜約1:1であり得る。
【0069】
薄膜を、適した基板上に形成させてもよく、該基板は、石英、ガラス、マイカ、例えばポリエチレンテレフタレートもしくはポリカーボネート等のプラスチック基板、紙、金属、またはシリコンを含む、任意の固体基板であり得る。薄膜は、多層素子を形成させる場合には別の層上に層を重ねるか、または電極上に層を重ねることもあり得る。
【0070】
薄膜を形成させるために、式 (I) の化合物および任意の付加的な膜成分を、適した有機溶媒に溶解してもよい。適した溶媒には、クロロホルム、トルエン、キシレン、安息香酸エチル、1,1,2,2-テトラクロロエタン、THF、ジクロロベンゼン、メシチレン、および前述の溶媒の混合物が含まれる。
【0071】
薄膜は、標準的な蒸着または溶液コーティングを含むコーティング法を用いて、適した表面上に形成させ得る。溶液コーティングには、スピンコーティング、キャスティング、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング(wire bar coating)、ディップコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、およびインクジェット印刷が含まれる。
【0072】
式 (I) の化合物およびこのような化合物を含有する薄膜は、単層素子および多層素子を含むエレクトロルミネセンス素子を構成するために用いられ得る。式 (I) の化合物およびこのような化合物を含有する薄膜は、有機発光ダイオードにおける放出層、有機薄膜トランジスタにおける活性層、または有機光電池における活性層を形成し得る。このような素子および層は、当技術分野で公知である。
【0073】
したがって、別の局面において、式 (I) の化合物を含む素子、または式 (I) の化合物を含む薄膜が提供される。
【0074】
一態様において、図3に関して、素子300は、式 (I) の化合物を含む放出層310を含む。前記のように、放出層310は、式 (I) の化合物に加えて、母材をさらに含んでもよい。
【0075】
放出層310は、電子注入陰極320と正孔注入陽極330との間に配置されている。
【0076】
陽極330は、正孔を伝導し、かつ有機層にそれらを注入することができる、任意の材料である。陽極330は、金、銀、もしくは酸化インジウムスズ(ITO)、または導電性高分子層であり得る。陽極320は、反射型、透明、半透明(semi-transparent)、または透光性(translucent)であり得る。
【0077】
陰極320は、電子を伝導し、かつ有機層にそれらを注入することができる、任意の材料である。陰極320は、例えば、バリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、イッテルビウム、カルシウム:銀合金、アルミニウム:リチウム合金、またはマグネシウム:銀合金を含む、低仕事関数金属または合金、例えば、銀に対するマグネシウムの原子比率が約10:1である合金(米国特許第6,791,129号)またはアルミニウムに対するリチウムの原子比率が約0.1:100〜約0.3:100である合金(Kimら (2002) Curr. Appl. Phys. 2(4): 335-338;Chaら (2004) Synth. Met. 143(1): 97;Kimら (2004) Synth. Met. 145(2-3): 229)等であり得る。陰極330は、単層であり得るか、または化合物構造を有し得る。陰極330は、フッ化リチウム、アルミニウム、および銀の層を含んでもよい。陰極330は、反射型、透明、半透明、または透光性であり得る。
【0078】
特定に態様において、陽極および陰極の1つまたは複数が、支持体340上に蒸着され得、該支持体は、透明、半透明、または透光性であり得る。支持体340は、剛性の、例えば、石英またはガラスであり得るか、または可撓性の高分子基板であり得る。可撓性で、透明、半透明、または透光性の基板の例には、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、例えばポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、およびポリアクリオニトリル(polyacrionitrile)、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ならびに例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化高分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
素子は、さらに追加の層を含んでもよい。一態様において、図4に図示されるように、素子400は有機発光ダイオード(OLED)である。
【0080】
したがって、素子400は、放出層410に加えて、素子400は、陽極420および陰極430を含む。
【0081】
素子400は、陽極420と放出層410との間に配置された正孔輸送層440を含む。正孔輸送層440は、陽極420から放出層410に正孔を輸送することができる任意の材料である、正孔輸送材料を含む。適した正孔輸送材料には、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の混合物が含まれるか、またはポリアニリンであってもよい。
【0082】
任意で、正孔注入層480を、陽極420と正孔輸送層440との間に含んでもよい。正孔注入層480は、例えば4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、TDATA、TDAB、TDAPB、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリフルオレンもしくはその誘導体等の正孔注入材料を含む。
【0083】
素子400は、放出層410と陰極430との間に配置された電子輸送層450を任意で含んでもよい。電子輸送層450は、陰極430から放出層410へ電子を輸送することができる任意の材料である、電子輸送材料を含む。電子輸送材料は、当業者に公知であり、これには、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、2-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、および2,2',2''-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス-[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tが含まれる。
【0084】
前記層の各々は、例えば厚さ約01. nm〜約200 nm、または厚さ約10 nm〜約100 nmであり得る。
【0085】
素子400は、放出層410と陰極430との間に、正孔阻止層460を任意で含んでもよい。特に、該正孔阻止層460は、素子400中に存在している場合、電子輸送層450と陰極430との間に配置される。
【0086】
一般的に、OLED素子の効率は、正孔阻止層を組み込むことにより改善され得る。任意の特定の理論に限定されることなく、正孔阻止材料のHOMO準位は、電荷が放出層から外へ拡散されることを防ぐが、正孔阻止材料は、電子が正孔阻止層を通過して放出層に入ることを可能にするために十分に低い電子障壁を有していると考えられている(例えば、米国特許第6,097,147号、米国特許第6,784,106号、および米国特許出願公開第20030230980号を参照されたい)。
【0087】
正孔阻止層460は、正孔阻止材料を含む。正孔阻止材料は、当業者に公知であり、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)および1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)が含まれる。通常、正孔阻止層460は、電子輸送層450よりも薄く、例えば約5 nm〜約30 nmの厚さを有し得る。
【0088】
素子400は、陰極430の直前に配置される電子注入層470を任意で含んでもよい。電子注入層470は、陰極430から電子輸送層450へ電子を効率的に輸送することができる任意の材料である、電子注入材料を含む。電子注入材料は、当業者に公知であり、例えば、フッ化リチウムまたはフッ化リチウム/アルミニウムが含まれる。電子注入層470は、一般的に、陰極430の厚さまたは隣接する電子輸送層450の厚さよりも、極めて薄い厚さを有し得、例えば、約0.5 nm〜約5.0 nmの厚さを有し得る。
【0089】
素子300と同様に、素子400は、支持体上に蒸着または形成され得る。
【0090】
認識されるように、素子は、異なる様式で異なる層を組み合わせることにより調製され得、素子400中に具体的に記載または図示されていない他の層も、存在してよい。
【0091】
その上、材料は、エレクトロルミネセンス素子において1つを超える機能を果たすことが認識されると考えられる。式 (I) の化合物の二極性の電荷輸送性に依存して、これらの化合物は、記載される素子中の他の層において見出され得る。例えば、式 (I) の化合物は、単独で、または混合物の一部として、正孔輸送層または電子輸送層を構成する。
【0092】
したがって、現在記載される素子としては、正孔輸送層、放出層、正孔阻止層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが式 (I) の化合物を含む、素子が包含される。
【0093】
上述の素子は、該当する層をもう1つの層の上部に層を重ねることにより調製され得る。層は、上述の溶液コーティング技術を含む、当技術分野で公知の方法により調製され得る。溶液コーティング工程は、例えば窒素ガス下等の不活性雰囲気中で実行され得る。あるいは、層は熱蒸発により、または真空蒸着により調製され得る。金属層は、例えば、熱蒸発もしくは電子ビーム蒸発、化学気相蒸着、またはスパッタリング等の公知の技術により調製され得る。
【0094】
実施例
機器:
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、溶媒としてクロロホルム-dおよび内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いたBruker DPX 400 MHz分光計で収集した。マトリクス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量スペクトルは、Bruker Autoflex TOF/TOF機器で得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器と組み合わせたWaters 2695セパレーションモジュールで行った。示差走査熱量測定(DSC)は、TA InstrumentのDSC 2920モジュール(20℃/分の走査速度)で、窒素下で実行した。熱重量分析(TGA)は、TA InstrumentのTGA 2050モジュール(20℃/分の加熱速度)を用いて実行した。サイクリックボルタンメトリー(CV)実験は、Autolabポテンショスタット(モデルPGSTAT30)で実施した。全てのCV測定は、白金線の作用電極、金の対電極、および対照電極である3 M KCl 中のAg/AgClからなる、通常の3電極配置を用いて、支持電解質として0.1 Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを有するジクロロメタン中で記録した(50 mV/秒の走査速度)。測定電位は、SCE(飽和カロメル電極)に変換し、対応するイオン化電位(IP)および電子親和力(EA)の値は、真空準位を基準としたSCEエネルギー準位としての-4.4 eVに基づいて、開始の酸化還元電位から導いた(EA=Ered-onset+4.4 eV、IP=Eox-onset+4.4 eV)。吸収スペクトルおよびフォトルミネセンススペクトルは、ShimadzuのUV-3101 PC UV-vis-NIR分光光度計、および光源としてキセノンランプを備えたPerkin-ElmerのLS-50B蛍光光度計を用いて得た。溶液スペクトルは、ジクロロメタン溶液から測定した。
【0095】
合成:
下記に記載する合成法を、図2に図示した合成概略図に図示する。
【0096】
9-(4-ブロモフェニル)カルバゾールの合成:
文献(Macromolecules 2004, 37, 5531-5537)で報告された手法に従って、ウルマン反応により、9-(4-ブロモフェニル)カルバゾールを調製した。簡単にいうと、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)10 ml中の、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(2.83 g, 10 mmol)、酸化銅 (I)(2.86 g, 20 mmol)およびカルバゾール(0.84 g, 5 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、次いで濾過して過剰の銅錯体を除去した。濾液を蒸発乾固させ、シリカゲルカラムに通して1.22 g(76%)の収量で生成物を得た。
【0097】
4-(2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-7-イル)ベンゾニトリルの合成:
以下の手法により、4-(2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン-7-イル)ベンゾニトリルを調製した。2,7-ジブロモ-9,9-ジヘキシル-9H-フルオレン(0.985 g, 2 mmol)、4-シアノフェニルボロン酸(0.146 g, 1 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11.6 mg, 0.01 mmol)の混合物を、トルエン(25 mL)と2M Na2CO3水溶液(15 mL)の空気を含有しない二相系混合物(two-phase mixture)に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相(aqueous phase)をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.27 gの純粋な生成物を51%の収率で得た。
【0098】
4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゼンアミン (A) の合成:
文献(Macromolecules 2004, 37, 5531-5537)で報告された手法に従って、ウルマン反応により、4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゼンアミン (A) を調製した。1-フェノキシベンゼン40 ml中の、4-ヨードベンゼンアミン(2.19 g, 10 mmol)、酸化銅 (I)(2.18 g, 20 mmol)およびカルバゾール(3.35 g, 20 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で190℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、高速シリカゲルカラム(fast silica gel column)により濾過して過剰の銅錯体および1-フェノキシベンゼンを除去した。濾液を蒸発乾固させ、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルの混合物(6:1)を用いたシリカゲルカラムに通して2.37 g(92%)の収量で生成物を得た。
【0099】
化合物 (B) の合成:
前記手法に従って、化合物 (B) を調製した。1-フェノキシベンゼン中の、2-ブロモ-9,9-ジヘキシル-7-ヨード-9H-フルオレン(17.26 g, 32 mmol)、酸化銅 (I)(2.29 g, 16 mmol)および (A)(2.07 g, 8 mmol)の混合物を、N2雰囲気下、24時間、油浴中で210℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで濾過して過剰の銅錯体を除去した。濾液を蒸発乾固させ、シリカゲルカラムに通して4.35 g(50%)の収量で生成物を得た。
【0100】
化合物 (C) の合成:
以下の手法により、化合物 (C) を調製した。(B)(2.16 g, 2 mmol)の無水THF(40 mL)溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウム(5 mL, 8 mmol, ヘキサン中1.6M)を添加した。混合物を-78℃で1時間攪拌した。2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2.4 mL, 12 mmol)を、溶液に速やかに添加した。混合物が室温に温まるまで放置し、終夜攪拌した。混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を一つにして、食塩水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、未精製の生成物を、ヘキサン/クロロホルム混合物からの再結晶化により精製して、1.36 g(58%)の収量で生成物を得た。
【0101】
化合物1の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、フェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.134 gの純粋な化合物1を83%の収率で得た。
【0102】
化合物2の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、4-トリフルオロメチルフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.115 gの純粋な化合物2を63%の収率で得た。
【0103】
化合物3の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、2-ナフチルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.104 gの純粋な化合物3を59%の収率で得た。
【0104】
化合物4の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、3-ベンゾチオフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.98 gの純粋な化合物4を55%の収率で得た。
【0105】
化合物5の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、9-ブロモフェナントレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.129 gの純粋な化合物5を67%の収率で得た。
【0106】
化合物6の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、2-ブロモ-9,9-ジヘキシルフルオレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.157 gの純粋な化合物6を66%の収率で得た。
【0107】
化合物7の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、1-ブロモピレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.108 gの純粋な化合物7を54%の収率で得た。
【0108】
化合物8の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、9-(4-ブロモフェニル)カルバゾール(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.118 gの純粋な化合物8を56%の収率で得た。
【0109】
化合物9の合成:
(B)(0.162 g, 0.15 mmol)、4-シアノフェニルボロン酸(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.147 gの純粋な化合物9を87%の収率で得た。
【0110】
化合物10の合成:
(C)(0.176 g, 0.15 mmol)、2-ブロモ-7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレン(0.6 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.4mg, 0.003 mmol)の混合物を、トルエン(15 mL)と2M Na2CO3水溶液(12 mL)の空気を含有しない二相系混合物に添加した。得られる混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間、激しく攪拌した。有機層を分離し、水相をエーテルで抽出した。有機層を、食塩水(2×50 mL)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムに通した。ヘプタンでの再結晶化により、0.160 gの純粋な化合物10を60%の収率で得た。
【0111】
素子の製造および測定:
2種類の素子を制作して、以下の配置に基づいて評価した。
【0112】
構成A(ITO/PEDOT:PSS/PVK:ドーパント/TPBI/LiF/Ca/Ag):
1.2 mgの該当する放出ドーパント(前記で合成した式 (I) の化合物)および60 mgのポリ(9-ビニルカルバゾール)(PVK)を、4 mlの安息香酸エチルに溶解し、素子製造のために0.2 mm PTFEフィルターに通した。
【0113】
パターン成形した酸化スズインジウム(ITO)コーティングガラス基板上に、発光素子を調製した。該基板を、清浄し、酸素プラズマで処理し、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)で、50 nmにスピンコーティングした後、120℃で15分間風乾した。
【0114】
高分子溶液をスピンコーティングして、約70 nmの厚さを有する放出層を形成させ、1×10-5 Paの減圧下の小部屋へ移した。電子注入および正孔阻止のために、40 nmの1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)を、放出層の表面上に蒸着した。
【0115】
陰極は、連続して熱蒸着させた、0.4 nmのLiF、20 nmのCaおよび200 nmのAgから成った。
【0116】
全ての測定は、大気中、室温で実行した。素子の電流-電圧特性、素子の電流-輝度特性は、Keithley 2420ソースメーターおよび較正したフォトダイオードを用いて記録した。ELスペクトルは、Ocean OpticsのUSB2000小型ファイバー光学分光器で記録した。測光データは、素子の電流-電圧-輝度データおよびELスペクトルを用いて算出した。
【0117】
化合物1〜10を含有する素子の素子性能を表1にまとめる。図5および6は、構成Aの素子のI-VプロットおよびV-Lプロットである。
【0118】
(表1)素子構成Aを有する化合物1〜10の素子性能のまとめ
【0119】
構成B(ITO/PEDOT:PSS/発光分子/TPBI/LiF/Ca/Ag):
前記のように合成した60 mgの発光分子を、4 mlの安息香酸エチルに溶解し、素子製造のために0.2 mm PTFEフィルターを通して濾過した。
【0120】
パターン成形した酸化スズインジウム(ITO)コーティングガラス基板上に、発光素子を調製した。該基板を、清浄し、酸素プラズマで処理し、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)で、50 nmにスピンコーティングした後、120℃で15分間風乾した。
【0121】
発光分子溶液をスピンコーティングして、約70 nmの厚さを有する放出層を形成させ、1×10-5 Paの減圧下の小部屋へ移した。電子注入および正孔阻止のために、40 nmの1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)を、放出層の表面上に蒸着した。
【0122】
陰極は、連続して熱蒸着した、0.4 nmのLiF、20 nmのCa、および200 nmのAgから成った。
【0123】
化合物1〜10を含有する素子の素子性能を表2にまとめる。図7および図8は、構成Aの素子のI-VプロットおよびV-Lプロットである。図9は、構成Bの素子の輝度に対する外部量子効率のプロットであり、図10は、構成Bを有する素子のELスペクトルを示す。
【0124】
(表2)素子構成Bを有する化合物1〜10の素子性能のまとめ
【0125】
表3は、化合物1〜10のエネルギー準位を示す。
【0126】
(表3)発光材料である化合物1〜10のエネルギー準位
【0127】
当業者により一般的に理解され得るように、本明細書で記載した例示的な態様に対する多くの修正が可能である。本発明は、むしろ、特許請求の範囲で定義されるその範囲内で、このような修正全てを包含することを意図する。
【0128】
本明細書で言及した全ての文書は、参照により完全に組み入れられる。
【0129】
本発明の種々の態様を本明細書に開示するが、多くの改造および修正は、当業者の一般常識に従って、本発明の範囲内でなされ得る。このような修正としては、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するために、本発明の任意の局面を公知の等価物で置換することが含まれる。本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、別途定義されない限り、本発明の技術分野における当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式 (I) の化合物:
式中、
Ar1、Ar2、およびAr3の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar4およびAr5の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar6およびAr7の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく、かつAr6およびAr7のうちの少なくとも1つが、電子求引性Ar基であるか、1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されているか、またはその両方であり;かつ
m、n、p、r、s、x、およびyの各々が、独立して、1〜20の整数である。
【請求項2】
Ar1とAr2;Ar1とAr3;Ar2とAr3;Ar4とAr5;Ar1とAr4;およびAr1とAr5の対のうち、少なくとも1つの対における2つのAr基が、互いに結合している、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2つのAr基が、単結合、O、S、Si、または置換もしくは非置換アルキレンにより互いに結合している、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つのAr基が、独立して、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
Ar1、Ar4、およびAr5のうちの少なくとも1つのAr基が、独立して、アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシル、窒素を介して骨格に結合したアミド、酸素を介して骨格に結合したカルボキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、およびカルバゾリルのうちの1つまたは複数で置換されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つのAr基が、下記のうちの1つまたは複数を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物:
式中、R、R'、R''、およびR'''の各々が、独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオニル、スルホニル、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、アリーレンビニレン、またはアリーレンエチニレンであり、かつqが、0〜6の整数である。
【請求項7】
少なくとも1つの電子求引性置換基の各々が、独立して、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルである、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つのAr基が、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
Ar2およびAr3の各々が、9,9-ジアルキルフルオレニレンである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
9,9-ジアルキルフルオレニレンが、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである、請求項8または9記載の化合物。
【請求項11】
Ar1がフェニレンである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
Ar4およびAr5のうちの少なくとも1つのAr基が、フェニルである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
Ar4およびAr5の各々が、フェニルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
Ar4およびAr5の各々が、フェニレンであり、かつAr4とAr5が、単結合により互いに結合している、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
Ar6およびAr7のうちのAr基の少なくとも1つが、フェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである、請求項1〜5および8〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
Ar6およびAr7の各々が、同一であり、かつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Ar1がフェニレンであり、Ar2およびAr3が両方とも9,9-ジヘキシルフルオレニレンであり、Ar4およびAr5が両方ともフェニレンでありかつ単結合により互いに結合しており、Ar6およびAr7が同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルであり、かつm、n、p、r、s、x、およびyの各々が1である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、薄膜。
【請求項19】
約0.1〜約1000 nmの厚さである、請求項18記載の薄膜。
【請求項20】
母材(host material)をさらに含む、請求項18または19記載の薄膜。
【請求項21】
母材が、ポリ(9-ビニルカルバゾール)、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン、4,4',4''-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)トリフェニルアミン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-(ジ-2-ピリジルアミノ)フェニル)ベンゼン、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2-(4-ビフェニル)-5(4-tertブチル-フェニル)-1,3,4,オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]、ポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tを含む、請求項17記載の薄膜。
【請求項22】
有機色素またはリン光放出体をさらに含む薄膜であって、化合物が母材の役割を果たす、請求項18または19記載の薄膜。
【請求項23】
有機色素が、10-(2-ベンゾチアゾリル)-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[l]ベンゾ-ピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジル-9-エニル)-4H-ピラン(DCJTB)、ルブレン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(p-ジフェニルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCTP)、3-(ジシアノメチレン)-5,5-ジメチル-1-[(4-ジメチルアミノ)スチリル]シクロヘキセン(DCDDC)、6-メチル-3-[3-(1,1,6,6-テトラメチル-10-オキソ-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H,10H-11-オキサ-3a-アザベンゾ[de]-アントラセン-9-イル)アクリロイル]ピラン-2,4-ジオン(AAAP)、6,13-ジフェニルペンタセン(DPP)、3-(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)-9-(N-p-スチリルフェニル-N-p-トリルアミノ)ペリレン[(PPA)(PSA)Pe-1]、または1,1'-ジシアノ置換ビス-スチリルナフタレン誘導体(BSN)を含む、請求項22記載の薄膜。
【請求項24】
リン光放出体が、PtOEPまたはIr(ppy)3を含む、請求項22記載の薄膜。
【請求項25】
溶液コーティングにより調製される、請求項18〜24のいずれか一項記載の薄膜。
【請求項26】
溶液コーティングが、スピンコーティング、キャスティング、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング(wire bar coating)、ディップコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、またはインクジェット印刷を含む、請求項25記載の薄膜。
【請求項27】
陽極と、陰極と、請求項18〜26のいずれか一項記載の薄膜とを含む素子であって、該薄膜が、該陽極と該陰極との間に配置されている、素子。
【請求項28】
薄膜が放出層である、請求項27記載の素子。
【請求項29】
放出層と陽極との間に配置された正孔輸送層をさらに含む、請求項28記載の素子。
【請求項30】
正孔輸送層が、ポリアニリンを含むか、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の混合物を含む、請求項29記載の素子。
【請求項31】
陽極と正孔輸送層との間に配置された正孔注入層をさらに含む、請求項28〜30のいずれか一項記載の素子。
【請求項32】
正孔注入層が、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、TDATA、TDAB、TDAPB、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、またはポリフルオレンを含む、請求項31記載の素子。
【請求項33】
放出層と陰極との間に配置された電子輸送層をさらに含む、請求項28〜32のいずれか一項記載の素子。
【請求項34】
電子輸送層が、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、2-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、および2,2',2''-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス-[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、またはAlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tを含む、請求項33記載の素子。
【請求項35】
放出層と陰極との間に配置された正孔阻止層(hole blocking layer)をさらに含む、請求項28〜34のいずれか一項記載の素子。
【請求項36】
正孔阻止層が、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンまたは1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼンを含む、請求項35記載の素子。
【請求項37】
陰極に直接隣接して陰極と放出層との間に配置された電子注入層をさらに含む、請求項28〜36のいずれか一項記載の素子。
【請求項38】
電子注入層が、フッ化リチウムまたはフッ化リチウム/アルミニウムを含む、請求項37記載の素子。
【請求項39】
陽極に隣接して配置された正孔注入層、正孔注入層に隣接して配置された正孔輸送層、正孔輸送層と陰極との間に配置された放出層、放出層と陰極との間に配置された電子輸送層、電子輸送層と陰極との間に配置された正孔阻止層、および正孔阻止層と陰極との間に配置された電子注入層をさらに含む素子であって、正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが薄膜を含む、請求項27記載の素子。
【請求項40】
陽極;
請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含みかつ陽極上に配置された放出層;および
放出層上に配置された陰極
を含む素子。
【請求項41】
陽極;
陽極上に配置された正孔輸送層;
正孔輸送層上に配置された放出層;
放出層上に配置された電子輸送層;および
電子輸送層上に配置された陰極
を含む素子であって、
正孔輸送層、放出層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、
素子。
【請求項42】
陽極;
陽極上に配置された正孔注入層;
正孔注入層上に配置された正孔輸送層;
正孔輸送層上に配置された放出層;
放出層上に配置された電子輸送層;および
電子輸送層上に配置された正孔阻止層;
放出層上に配置された電子注入層;
電子注入層上に配置された陰極
を含む素子であって、
正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、
素子。
【請求項43】
陽極が、金、銀、酸化インジウムスズ、または導電性高分子層を含む、請求項27〜42のいずれか一項記載の素子。
【請求項44】
陰極が、バリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、イッテルビウム、カルシウム:銀合金、アルミニウム:リチウム合金、またはマグネシウム:銀合金を含む、請求項27〜43のいずれか一項記載の素子。
【請求項1】
下記式 (I) の化合物:
式中、
Ar1、Ar2、およびAr3の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar4およびAr5の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく;
Ar6およびAr7の各々が、独立して、アリーレン;ヘテロアリーレン;アリーレンビニレン;ヘテロアリーレンビニレン;アリーレンエチニレン;またはヘテロアリーレンエチニレンであり、それらは、分枝もしくは非分枝のアルキル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキル、分枝もしくは非分枝のアルケニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルケニル、分枝もしくは非分枝のアルキニル、分枝もしくは非分枝のヘテロアルキニル、分枝もしくは非分枝のアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールのうちの1つまたは複数で置換されていてもよく、かつAr6およびAr7のうちの少なくとも1つが、電子求引性Ar基であるか、1つもしくは複数の電子求引性置換基で置換されているか、またはその両方であり;かつ
m、n、p、r、s、x、およびyの各々が、独立して、1〜20の整数である。
【請求項2】
Ar1とAr2;Ar1とAr3;Ar2とAr3;Ar4とAr5;Ar1とAr4;およびAr1とAr5の対のうち、少なくとも1つの対における2つのAr基が、互いに結合している、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2つのAr基が、単結合、O、S、Si、または置換もしくは非置換アルキレンにより互いに結合している、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つのAr基が、独立して、1つまたは複数の電子求引性置換基で置換されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
Ar1、Ar4、およびAr5のうちの少なくとも1つのAr基が、独立して、アルキルチオ、アミノ、ヒドロキシル、窒素を介して骨格に結合したアミド、酸素を介して骨格に結合したカルボキシル、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、およびカルバゾリルのうちの1つまたは複数で置換されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
Ar6またはAr7のうちの少なくとも1つのAr基が、下記のうちの1つまたは複数を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物:
式中、R、R'、R''、およびR'''の各々が、独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、カルボニル、チオニル、スルホニル、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、アリーレンビニレン、またはアリーレンエチニレンであり、かつqが、0〜6の整数である。
【請求項7】
少なくとも1つの電子求引性置換基の各々が、独立して、ハロ、ペルフルオロアルキル、カルボニル、カルボキシル、シアノ、アンモニオ、ニトロ、チオニル、スルホニル、酸素を介して骨格に連結したアミド、ピリジニウム、ホスホニウム、ピリジル、チアゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルである、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つのAr基が、9,9-ジアルキルフルオレニレンを含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
Ar2およびAr3の各々が、9,9-ジアルキルフルオレニレンである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
9,9-ジアルキルフルオレニレンが、9,9-ジヘキシルフルオレニレンである、請求項8または9記載の化合物。
【請求項11】
Ar1がフェニレンである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
Ar4およびAr5のうちの少なくとも1つのAr基が、フェニルである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
Ar4およびAr5の各々が、フェニルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
Ar4およびAr5の各々が、フェニレンであり、かつAr4とAr5が、単結合により互いに結合している、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
Ar6およびAr7のうちのAr基の少なくとも1つが、フェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである、請求項1〜5および8〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
Ar6およびAr7の各々が、同一であり、かつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Ar1がフェニレンであり、Ar2およびAr3が両方とも9,9-ジヘキシルフルオレニレンであり、Ar4およびAr5が両方ともフェニレンでありかつ単結合により互いに結合しており、Ar6およびAr7が同一でありかつ両方ともフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2-ナフチル、3-ベンゾチオフェニル、フェナントレニル、9,9-ジヘキシルフルオレニル、ピレニル、9-フェニルカルバゾリル、4-シアノフェニル、または7-(4'-シアノフェニル)-9,9-ジヘキシルフルオレニルであり、かつm、n、p、r、s、x、およびyの各々が1である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、薄膜。
【請求項19】
約0.1〜約1000 nmの厚さである、請求項18記載の薄膜。
【請求項20】
母材(host material)をさらに含む、請求項18または19記載の薄膜。
【請求項21】
母材が、ポリ(9-ビニルカルバゾール)、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン、4,4',4''-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)トリフェニルアミン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-(ジ-2-ピリジルアミノ)フェニル)ベンゼン、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2-(4-ビフェニル)-5(4-tertブチル-フェニル)-1,3,4,オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]、ポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン、AlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tを含む、請求項17記載の薄膜。
【請求項22】
有機色素またはリン光放出体をさらに含む薄膜であって、化合物が母材の役割を果たす、請求項18または19記載の薄膜。
【請求項23】
有機色素が、10-(2-ベンゾチアゾリル)-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[l]ベンゾ-ピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジル-9-エニル)-4H-ピラン(DCJTB)、ルブレン、4-(ジシアノメチレン)-2-t-ブチル-6-(p-ジフェニルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCTP)、3-(ジシアノメチレン)-5,5-ジメチル-1-[(4-ジメチルアミノ)スチリル]シクロヘキセン(DCDDC)、6-メチル-3-[3-(1,1,6,6-テトラメチル-10-オキソ-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H,10H-11-オキサ-3a-アザベンゾ[de]-アントラセン-9-イル)アクリロイル]ピラン-2,4-ジオン(AAAP)、6,13-ジフェニルペンタセン(DPP)、3-(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)-9-(N-p-スチリルフェニル-N-p-トリルアミノ)ペリレン[(PPA)(PSA)Pe-1]、または1,1'-ジシアノ置換ビス-スチリルナフタレン誘導体(BSN)を含む、請求項22記載の薄膜。
【請求項24】
リン光放出体が、PtOEPまたはIr(ppy)3を含む、請求項22記載の薄膜。
【請求項25】
溶液コーティングにより調製される、請求項18〜24のいずれか一項記載の薄膜。
【請求項26】
溶液コーティングが、スピンコーティング、キャスティング、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング(wire bar coating)、ディップコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、またはインクジェット印刷を含む、請求項25記載の薄膜。
【請求項27】
陽極と、陰極と、請求項18〜26のいずれか一項記載の薄膜とを含む素子であって、該薄膜が、該陽極と該陰極との間に配置されている、素子。
【請求項28】
薄膜が放出層である、請求項27記載の素子。
【請求項29】
放出層と陽極との間に配置された正孔輸送層をさらに含む、請求項28記載の素子。
【請求項30】
正孔輸送層が、ポリアニリンを含むか、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の混合物を含む、請求項29記載の素子。
【請求項31】
陽極と正孔輸送層との間に配置された正孔注入層をさらに含む、請求項28〜30のいずれか一項記載の素子。
【請求項32】
正孔注入層が、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4',4''-トリ(N-カルバゾール)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N'-ビス(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-1,1''-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)、TDATA、TDAB、TDAPB、TTBND、PPD、PTDATA、BFA-1T、p-dmDPS、p-DPA-TDAB、MTBDAB、spiro-mTTB、DBC、ポリ(1,4-フェニレンビニレン)、またはポリフルオレンを含む、請求項31記載の素子。
【請求項33】
放出層と陰極との間に配置された電子輸送層をさらに含む、請求項28〜32のいずれか一項記載の素子。
【請求項34】
電子輸送層が、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム、2-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、および2,2',2''-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス-[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]、3-フェニル-4(1'ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、1,3,4-オキサジアゾール,2,2'-(1,3-フェニレン)ビス[5-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]](OXD-7)、またはポリ[2-(6-シアノ-6-メチル)ヘプチルオキシ-1,4-フェニレン(CNPP)、またはAlOq、Alq(Clq)2、Al(Saph-q)、Al(ODZ)3、Ph2Bq、Zn(BIZ)2、Bepp2、Bebq2、Zn(ODZ)2、spiro-PBD、またはBMB-3Tを含む、請求項33記載の素子。
【請求項35】
放出層と陰極との間に配置された正孔阻止層(hole blocking layer)をさらに含む、請求項28〜34のいずれか一項記載の素子。
【請求項36】
正孔阻止層が、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンまたは1,3,5-トリス(フェニル-2-ベンゾイミダゾリル)ベンゼンを含む、請求項35記載の素子。
【請求項37】
陰極に直接隣接して陰極と放出層との間に配置された電子注入層をさらに含む、請求項28〜36のいずれか一項記載の素子。
【請求項38】
電子注入層が、フッ化リチウムまたはフッ化リチウム/アルミニウムを含む、請求項37記載の素子。
【請求項39】
陽極に隣接して配置された正孔注入層、正孔注入層に隣接して配置された正孔輸送層、正孔輸送層と陰極との間に配置された放出層、放出層と陰極との間に配置された電子輸送層、電子輸送層と陰極との間に配置された正孔阻止層、および正孔阻止層と陰極との間に配置された電子注入層をさらに含む素子であって、正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが薄膜を含む、請求項27記載の素子。
【請求項40】
陽極;
請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含みかつ陽極上に配置された放出層;および
放出層上に配置された陰極
を含む素子。
【請求項41】
陽極;
陽極上に配置された正孔輸送層;
正孔輸送層上に配置された放出層;
放出層上に配置された電子輸送層;および
電子輸送層上に配置された陰極
を含む素子であって、
正孔輸送層、放出層、および電子輸送層のうちの少なくとも1つが、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、
素子。
【請求項42】
陽極;
陽極上に配置された正孔注入層;
正孔注入層上に配置された正孔輸送層;
正孔輸送層上に配置された放出層;
放出層上に配置された電子輸送層;および
電子輸送層上に配置された正孔阻止層;
放出層上に配置された電子注入層;
電子注入層上に配置された陰極
を含む素子であって、
正孔輸送層、放出層、または電子輸送層のうちの少なくとも1つが、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物を含む、
素子。
【請求項43】
陽極が、金、銀、酸化インジウムスズ、または導電性高分子層を含む、請求項27〜42のいずれか一項記載の素子。
【請求項44】
陰極が、バリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム、イッテルビウム、カルシウム:銀合金、アルミニウム:リチウム合金、またはマグネシウム:銀合金を含む、請求項27〜43のいずれか一項記載の素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−511700(P2010−511700A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540210(P2009−540210)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000383
【国際公開番号】WO2008/069756
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508305029)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (36)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000383
【国際公開番号】WO2008/069756
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508305029)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]