説明

アリール置換オレフィンアミンと、コリン受容体アゴニストとしてのアリール置換オレフィンアミンの使用

【課題】ニコチン性コリン受容体を活性化できる化合物、例えば、特異的ニコチン受容体サブタイプのアゴニストの提供。
【解決手段】下記のアリール置換オレフィンアミンを取り込んだ化合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、ニコチン性コリン受容体を活性化できる化合物に関し、例えば、特異的ニコチン受容体サブタイプのアゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンは、多くの薬理効果を示すと報告されている。例えば、Pullanら、N.Engl.J.Med.330:811−815(1994)を参照されたい。これらの効果のあるものは神経伝達物質遊離に対する効果に関連し得る。例えば、ニコチンの神経保護効果が報告されているSjak−shieら、Brain Res.624:295(1993)を参照されたい。ニコチン投与時のニューロンによるアセチルコリンおよびドーパミンの遊離が、Rowellら、J.Neurochem.43:1593(1984)、Rapierら、J.Neurochem.50:1123(1988)、Sandorら、Brain Res.567:313(1991)およびVizi,Br.J.Pharmacol.47:765(1973)により報告されている。ニコチン投与時のニューロンによるノルエピネフリンの遊離が、Hallら、Biochem.Pharmacol.21:1829(1972)により報告されている。ニコチン投与時のニューロンによるセロトニンの遊離は、Heryら、Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.296:91(1977)により報告されている。ニコチン投与時のニューロンによるグルタメートの遊離が、Tothら、Neurochem Res.17:265(1992)により報告されている。さらに、ニコチンは報告によると、ある疾患の治療に使用するある薬剤組成物の薬理学的挙動を増強する。Sanbergら、Pharmacol.Biochem.&Behavior46:303(1993)、Harsingら、J.Neurochem.59:48(1993)およびHughes、Proceedings from Intl.Symp.Nic.S40(1994)を参照されたい。さらに、様々な他の有益なニコチンの薬理効果が提唱されている。Decinaら、Biol.Psychiatry28:502(1990)、Wagnerら、Pharmacopsychiatry21:301(1988)、Pomerleauら、Addictive Behaviors 9:265(1984)、Onaiviら、Life.Sci.54(3):193(1994)、Tripathiら、JPET 221:91−96(1982)およびHamon、Trends in Pharmacol.Res.15:36を参照されたい。
【0003】
様々なニコチン化合物が、多種多様な状態および疾患の治療に有用であると報告されている。例えば、Williamsら、DN&P 7(4):205−227(1994)、Arnericら、CNS Drug Rev.1(1):1−26(1995)、Arnericら、Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996)、Bencherifら、JPET 279:1413(1996)、Lippielloら、JPET 279:1422(1996)、Damajら、Neuroscience(1997)、Holladayら、J.Med.Chem. 40(28):4169−4194(1997)、Bannonら、Science 279:77−80(1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、およびBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの米国特許第5,597,919号、Smithらの米国特許第5,604,231号およびDullらの米国特許第5,616,716号を参照されたい。ニコチン化合物は、多種多様な中枢神経系(CNS)障害の治療に特に有用であると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 94/08992
【特許文献2】WO 96/31475
【特許文献3】米国特許第5,583,140号
【特許文献4】米国特許第5,597,919号
【特許文献5】米国特許第5,604,231号
【特許文献6】米国特許第5,616,716号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】N.Engl.J.Med.330:811−815(1994)
【非特許文献2】Brain Res.624:295(1993)
【非特許文献3】J.Neurochem.43:1593(1984)
【非特許文献4】J.Neurochem.50:1123(1988)
【非特許文献5】Brain Res.567:313(1991)
【非特許文献6】Vizi,Br.J.Pharmacol.47:765(1973)
【非特許文献7】Biochem.Pharmacol.21:1829(1972)
【非特許文献8】Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.296:91(1977)
【非特許文献9】Neurochem Res.17:265(1992)
【非特許文献10】Pharmacol.Biochem.&Behavior46:303(1993)
【非特許文献11】J.Neurochem.59:48(1993)
【非特許文献12】Proceedings from Intl.Symp.Nic.S40(1994)
【非特許文献13】Biol.Psychiatry28:502(1990)
【非特許文献14】Pharmacopsychiatry21:301(1988)
【非特許文献15】Addictive Behaviors 9:265(1984)
【非特許文献16】Life.Sci.54(3):193(1994)
【非特許文献17】JPET 221:91−96(1982)
【非特許文献18】Trends in Pharmacol.Res.15:36
【非特許文献19】DN&P 7(4):205−227(1994)
【非特許文献20】CNS Drug Rev.1(1):1−26(1995)
【非特許文献21】Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996)
【非特許文献22】JPET 279:1413(1996)
【非特許文献23】JPET 279:1422(1996)
【非特許文献24】Neuroscience(1997)
【非特許文献25】J.Med.Chem. 40(28):4169−4194(1997)
【非特許文献26】Science 279:77−80(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CNS障害は一種の神経学的疾患である。CNS障害は、薬物誘導され得るか、遺伝的素因、感染または外傷に起因し得るか、または病因が不明であり得る。CNS障害は、神経精神医学的疾患、神経学的疾病および精神病を含み、神経変性疾病、行動異常、認知障害および認知情動障害を含む。その臨床徴候がCNS機能不全に起因するCNS障害がいくつかある(すなわち、不適切なレベルの神経伝達物質遊離、神経伝達物質受容体の不適切な特性、および/または神経伝達物質と神経伝達物質受容体間の不適切な相互作用から生じる疾患)。数個のCNS障害は、コリン作動性欠乏、ドーパミン作動性欠乏、アドレナリン作動性欠乏および/またはセロトニン作動性欠乏に起因し得る。比較的一般に生じるCNS障害は、初老痴呆(早期発症型アルツハイマー病)、老年痴呆(アルツハイマー型痴呆)、パーキンソン病を含むパーキンソン症、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、躁病、注意不足障害、不安、失読症、精神分裂病およびトゥレット症候群を含む。
【0007】
該状態または疾患を受け易いまたは罹患している患者にニコチン化合物を投与することにより該状態または疾患を予防および治療するための有用な方法を提供することが望ましい。ニコチン薬理を有し、有益な効果を有するが(例えばCNSの機能に対し)、有意な随伴する副作用のない活性成分を含む薬剤組成物の投与により、ある疾患(例えばCNS疾病)に罹患している個体の、それらの疾患の症状を中断することが非常に有益である。CNSの機能に影響を及ぼす機能をもつが、CNSの機能に影響を及ぼすに十分な量で使用する場合に化合物は望ましくない副作用(例えば骨格筋および神経節部位での認め得る活性)を誘導する機能をもつそれらの受容体サブタイプに有意に影響を及ぼさない化合物といったニコチン受容体と相互作用する化合物を取り込んだ薬剤組成物を提供することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、アリール置換オレフィンアミン化合物に関する。代表的な化合物は、(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンおよび(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンである。本発明はまた、本発明の化合物などの、あるアリール(aryl)置換オレフィンアミン化合物の合成法に関する。特に関心のあるのは、単離エナンチオマー化合物(すなわち、ラセミ混合物とは反対の、実質的に純粋な形の化合物)、および実質的に純粋な形の該エナンチオマー化合物の合成法である。
【0009】
本発明はまた、多種多様な状態または疾患、および特にドーパミン遊離などの神経伝達物質遊離の神経調節に関与する疾患を含むニコチン性コリン神経伝達の機能不全を特徴とする疾患を予防または治療する方法に関する。本発明はまた、正常な神経伝達物質遊離の変化を特徴とする、中枢神経系(CNS)障害などの疾患を予防または治療する方法に関する。本発明はまた、ある状態の治療法(例えば疼痛の軽減法)にも関する。該方法は、被検者に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0010】
本発明は、別の態様で、有効量の本発明の化合物を含む薬剤組成物に関する。該薬剤組成物は、有効量で使用する場合に化合物が被検者の関連ニコチン受容体と相互作用でき、従って、多種多様な状態および疾患、特に正常な神経伝達物質遊離の変化を特徴とする疾患の予防または治療に治療薬として作用する機能を有する。好ましい薬剤組成物は、本発明の化合物を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薬剤組成物は、正常な神経伝達物質遊離の変化を特徴とする、CNS障害などの疾患の予防および治療に有用である。薬剤組成物は、該疾患に罹患し、該疾患の臨床徴候を示す個体に治療利点を提供し、これらの組成物内の化合物は、有効量で使用する場合、(i)ニコチン薬理を示し、関連ニコチン受容体部位に影響を及ぼし(例えば、ニコチン受容体を活性化する薬理学的アゴニストとして作用する)、および(ii)神経伝達物質分泌を誘発し、従って、これらの疾病に関連した症状を予防および抑制する機能を有する。さらに、該化合物は、(i)患者の脳のニコチン性コリン受容体数を増加させ、(ii)神経保護効果を示し、および(iii)有効量で使用する場合に認め得る有害な副作用(例えば、血圧および心拍の有意な増加、胃腸管に対する有意な有害な作用、および骨格筋に対する有意な効果)を引き起こさない機能を有すると期待される。本発明の薬剤組成物は、多種多様な状態および疾患の予防および治療に関して安全かつ効果的であると信じられる。
【0012】
本発明の前記および他の態様は、下記に示した詳細な説明および例で詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は、式
【化3】

[式中、XおよびX’のそれぞれ別個に、Hanschら、Chem.Rev.91:165(1991)に開示されるように、0より大きく、しばしば0.1より大きく、一般的には0.2より大きく、さらには0.3より大きく、0未満および一般的には−0.1未満、または0のシグマm値を有することを特徴とする置換基種に結合した窒素または炭素であり、mは、整数でありnは整数であり、ただし、mとnの和が1、2、3、4、5、6、7または8であり、好ましくは1、2または3であり、最も好ましくは2または3であり、構造中の波線は化合物がシス(Z)またはトランス(E)形を有し得ることを示し、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIは、それぞれ別個に、水素または低級アルキル(例えば、C1−C8、好ましくはC1−C5、例えばメチル、エチル、またはイソプロピルを含む直鎖または分枝アルキル)またはハロ置換低級アルキル(例えば、C1−C8、好ましくはC1−C5、例えばトリフルオロメチルまたはトリクロロメチルを含む直鎖または分枝アルキル)を示し、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの少なくとも1つは水素ではなく、残りのEI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIは水素であり、および、ZおよびZ”はそれぞれ別個に水素または低級アルキル(例えば、C1−C8、好ましくはC1−C5、例えばメチル、エチルまたはイソプロピルを含む直鎖または分枝アルキル)を示し、好ましくはZ’およびZ”の少なくとも1つは水素であり、最も好ましくはZ’は水素であり、Z”はメチルであり、別にZ’は水素でありZ”は環構造(シクロアルキルまたは芳香族)、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、キヌクリジニル、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニル、ベンジル(前記のいずれも、アルキル、ハロ、またはアミノ置換基などの少なくとも1つの置換基で適切に置換され得る)を示し、別に、Z’、Z”および結合窒素原子は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、キヌクリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルなどの環構造を形成し得る]
で示される化合物を含む。より具体的には、XおよびX’は、N、C−H、C−F、C−Cl、C−Br、C−I、C−R’、C−NR’R”、C−CF3、C−OH、C−CN、C−NO2、C−C2R’、C−SH、C−SCH3、C−N3、C−SO2CH3、C−OR’、C−SR’、C−C(=O)NR’R”、C−NR’C(=O)R’、C−C(=O)R’、C−C(=O)OR’、C(CH2qOR’、C−OC(=O)R’、COC(=O)NR’R”およびC−NR’C(=O)OR’を含み、ここでのR’およびR”はそれぞれ別個に水素または低級アルキル(例えば、C1−C10アルキル、好ましくはC1−C5アルキル、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはイソブチル)、芳香族基含有種または置換芳香族基含有種であり、qは、1〜6の整数である。R’およびR”は、直鎖または分枝アルキルであり得るか、またはR’およびR”はシクロアルキル官能基性(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、およびキヌクリジニル)を形成できる。代表的な芳香族基含有種は、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニルおよびベンジル(ここで前記のいずれも、アルキル、ハロまたはアミノ置換基などの少なくとも1つの置換基で適切に置換され得る)を含む。他の代表的な芳香族環系は、Gibsonら、J.Med.Chem.39:4065(1996)に示される。XおよびX’が置換基種に結合した炭素原子を示す場合、その置換基種はしばしば、約−0.3ないし約0.75、頻繁には約−0.25ないし約0.6のシグマ値を有する。ある状況では、置換基種は、0に等しくないシグマm値を有することを特徴とする。A、A’およびA”はそれぞれ別個に、XおよびX’について前記した芳香族炭素原子に対する置換基種として記載した種を示し、通常、水素、ハロ(例えば、F、Cl、BrまたはI)、アルキル(例えば、低級直鎖または分枝C1-8アルキル、しかし好ましくはメチルまたはエチル)、またはNX”X”’を含み、ここでのX”およびX”’はそれぞれ別個に水素、またはC1−C8、好ましくはC1−C5アルキルを含む低級アルキルである。さらに、Aが水素であることが非常に好ましく、A’が水素であることが好ましく、通常A”は水素である。一般的に、AおよびA’の両方が水素であり、時にAおよびA’が水素であり、A”が、アミノ、メチルまたはエチルであり、および、しばしばA、A’およびA”は全て水素である。好ましい実施形態において、mは1または2であり、nは1であり、EI、EII、EIII、EIVおよびEVIは各々水素であり、Evはアルキル(例えばメチル)である。各個々のEI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの同一性および位置に応じて、ある化合物は光学活性であり得る。さらに、本発明の化合物は、アルケニル側鎖内にキラル中心を有し得、例えば、該化合物は、EIII、EIV、EVおよびEVIの選択に応じてRまたはS立体配置を有し得、S立体配置が好ましい。EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIに応じて、本発明の化合物はキラル中心を有し、本発明は、該化合物のラセミ混合物並びにエナンチオマー化合物に関する。典型的には、m、n、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIの選択は、EI、EII、EIII、EIV、EVおよびEVIと称される置換基の約4つまでおよび頻繁には3つまで、通常1または2つが、水素ではない置換基(すなわち、低級アルキルまたはハロ置換低級アルキルなどの置換基)である。典型的には、XはCH、CBrまたはCORである。最も好ましくは、X’は窒素である。
【0014】
特に関心のあるのは、式
【化4】

[式中、m、EI、EII、EIII、EIV、X、Z’、Z”、A、A’およびA”は前記で定義した通りである]
で示される化合物である。
【0015】
代表的な本発明の化合物は、(3E)および(3Z)−N−メチル−4−(3−ピリジル)−2−メチル−3−ブテン−1−アミン、(3E)および(3Z)−N−メチル−4−(3−ピリジル)−3−メチル−3−ブテン−1−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−3−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−2−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−3−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−1−アミン、(4E)および(4Z)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(1E)および(1Z)−N−メチル−1−(3−ピリジル)−1−オクテン−4−アミン、(1E)および(1Z)−N−メチル−1−(3−ピリジル)−5−メチル−1−ヘプテン−4−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−N−メチル−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−3−アミン、(3E)および(3Z)−4−(3−ピリジル)−2−メチル−3−ブテン−1−アミン、(3E)および(3Z)−4−(3−ピリジル)−3−メチル−3−ブテン−1−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−3−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−2−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−3−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−1−アミン、(4E)および(4Z)−5−(3−ピリジル)−4−メチル−4−ペンテン−2−アミン、(1E)および(1Z)−1−(3−ピリジル)−1−オクテン−4−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−2−アミン、(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−ヘキセン−2−アミン、および(5E)および(5Z)−6−(3−ピリジル)−5−メチル−5−ヘキセン−3−アミンである。Dullらの米国特許第5,616,716号を参照されたい。
【0016】
本発明のアリール置換オレフィン化合物を合成的に製造する方法は変化し得る。(E)−メタニコチン型化合物は、置換ニコチン型化合物から、Lofflerら、Chem.Ber.、42、p.3431−3438(1909)およびLaforge、J.A.C.S.、50、p.2477(1928)により示された技法を使用して調製できる。ある6−置換メタニコチン型化合物は、対応する6−置換ニコチン型アンチセンス化合物から、Achesonら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、2、p.579−585(1980)の一般的な方法を使用して調製できる。該化合物の必要な前駆体である6−置換ニコチン型化合物は、6−置換ニコチン酸エステルから、Rondahl、Acta Pharm Suec.、14、p.113−118(1977)により開示された一般的な方法を使用して合成できる。ある5−置換メタニコチン型化合物の調製は、対応する5−置換ニコチン型化合物から、Achesonら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、2、p.579−585(1980)により示された一般的な方法を使用して達成できる。5−ハロ置換ニコチン型化合物(例えば、フルオロおよびブロモ置換ニコチン型化合物)および5−アミノニコチン型化合物は、Rondahl、Act.Pharm.Suec.、14、p.113−118(1977)により開示された一般的な手順を使用して調製できる。5−トリフルオロメチルニコチン型化合物は、Ashimoriら、Chem.Pharm.Bull.、38(9)、p.2446−2458(1990)およびRondahl、Acta.Pharm.Suec.、14、p.113−118(1977)により示された技法および材料を使用して調製できる。
【0017】
さらに、あるメタニコチン型化合物の調製は、芳香族ハロゲン化物と、保護アミン置換基を含む末端オレフィンのパラジウム触媒カップリング反応を使用し、保護基を除去して一級アミンを獲得し、および所望によりアルキル化して二級または三級アミンを提供して達成できる。特に、あるメタニコチン型化合物は、3−ハロ置換、5−置換ピリジン化合物または5−ハロ置換ピリミジン化合物を、保護アミン官能基性を有するオレフィン(例えば、フタルイミド塩と、3−ハロ−1−プロペン、4−ハロ−1−ブテン、5−ハロ−1−ペンテンまたは6−ハロ−1−ヘキセンとの反応により得られるオレフィンなど)を使用してパラジウム触媒カップリング反応にかけることにより調製できる。Frankら、J.Org.Chem.、43(15)、p.2947−2949(1978)およびMalekら、J.Org.Chem.、47、p.5395−5397(1982)を参照されたい。別に、あるメタニコチン型化合物は、Nを保護され修飾されたアミノ酸残基、例えば、4−(N−メチル−N−tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ酪酸メチルエステルを、適切なアリールハロゲン化物とブチルリチウムから誘導できるような、アリールリチウム化合物とカップリングさせることにより調製できる。次いで、得られたN保護アリールケトンを対応するアルコールに化学的に還元し、アルキルハロゲン化物に変換し、続いて、脱ハロゲン化水素化してオレフィン官能基性を導入する。次いで、N保護基の除去により所望のメタニコチン型化合物が得られる。
【0018】
(Z)−メタニコチン型化合物を得る多くの異なる方法がある。1つの方法では、(Z)−メタニコチン型化合物を、EおよびZ異性体混合物としてニコチン型化合物から合成でき、次いで、(Z)−メタニコチン型化合物を、Sprouseら、論文の要約、p.32、Coresta/TCRC Joini Conference(1972)により開示された型の技法を使用してクロマトグラフィーにより分離できる。別の方法では、メタニコチン型化合物は、対応するアセチレン化合物(例えば、N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブチン−1−アミン型化合物)の制御された水素化により調製できる。例えば、ある5−置換(Z)−メタニコチン型化合物およびある6−置換(Z)−メタニコチン型化合物は、5−置換−3−ピリジンカルボキシアルデヒドおよび6−置換−3−ピリジンカルボキシアルデヒドからそれぞれ調製できる。(Z)−メタニコチン型化合物の代表的な合成技法は、Dullらの米国特許第5,597,919号に示される。
【0019】
アリール置換オレフィンアミン化合物の(Z)−オレフィン異性体を合成的に製造できる多くの方法がある。1つのアプローチで、アリール置換オレフィンアミン化合物の(Z)−異性体は、市販で入手できるリンドラー触媒(Aldrich Chemical Company)を使用して、H.リンドラーら、Org.Syn.46:89(1966)に示された方法論を使用して、対応するアルキニル化合物(例えば、N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ブチン−2−アミン型化合物)の制御された水素化により調製できる。必要なアルキニル化合物は、芳香族ハロゲン化物、好ましくは3−ブロモピリジン型または3−ヨードピリジン型化合物と、アルキニル側鎖化合物(例えば、N−メチル−4−ペンチン−2−アミン型化合物)のパラジウム触媒カップリングにより調製できる。典型的には、L.Bleicherら、Synlett.1115(1995)に示された方法論は、アリールハロゲン化物と、一置換アルキンとの、ヨウ化銅(I)およびトリフェニルホスフィンおよび塩基としての炭酸カリウムの存在下でのパラジウム触媒カップリングに使用される。N−メチル−4−ペンチン−2−アミンなどのアルキニル化合物は、市販で入手できる4−ペンチン−2−オール(Aldrich Chemical Company)から、ピリジン中p−トルエンスルホニルクロリドで処理し、次いで、得られた4−ペンチン−2−オールp−トルエンスルホネートを、40%水溶液または2.0Mテトラヒドロフラン溶液での過剰のメチルアミンと反応させることにより調製できる。いくつかの場合では、tert−ブトキシカルボニル保護アミン型化合物を得るために、N−メチル−4−ペンチン−2−アミン型化合物のアミノ官能基性を、ジ−tert−ブチルジカーボネートで処理して保護することが必要であり得る。該保護アミン化合物は、アリールハロゲン化物とのパラジウム触媒カップリングおよび続いて非保護アミン化合物よりも容易な、生じたアルキニル化合物の制御された水素化を受け得る。tert−ブトキシカルボニル保護基は、トリフルオロ酢酸などの強酸を使用して容易に除去でき、アリール置換オレフィンアミン化合物の(Z)−オレフィン異性体を生成できる。
【0020】
本発明のアリール置換オレフィンアミン化合物を合成的に製造できる方法は変化し得る。4−ペンテン−2−オールなどのオレフィンアルコールは、3−ブロモピリジンまたは3−ヨードピリジンなどの芳香族ハロゲン化物と縮合させる。典型的には、オレフィンと芳香族ハロゲン化物のパラジウム触媒カップリングを含む、Frankら、J.Org.Chem.、43、p.2947−2949(1978)およびMalekら、J.Org.Chem.、47、p.5395−5397(1982)に示した型の手順を使用する。オレフィンアルコールは所望により、カップリング前に、t−ブチルジメチルシリルエーテルとして保護できる。次いで、脱シリル化によりオレフィンアルコールが得られる。次いで、アルコール縮合生成物を、deCostaら、J.Org.Chem.、35、p.4334−4343(1992)に示された型の手順を使用してアミンに変換する。典型的には、アルコール縮合生成物は、メタンスルホニルクロリドまたはp−トルエンスルホニルクロリドを使用してアルコールを活性化し、次いで、アンモニア、または一級または二級アミンを使用してメシレートまたはトシレートを置換して、アリール置換オレフィンアミンに変換する。従って、アミンがアンモニアである場合、アリール置換オレフィン一級アミン化合物が得られ、アミンがメチルアミンまたはシクロブチルアミンなどの一級アミンである場合、アリール置換オレフィン二級アミン化合物が得られ、アミンがジメチルアミンまたはピロリジンなどの二級アミンである場合、アリール置換オレフィン三級アミン化合物が得られる。他の代表的なオレフィンアルコールは、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−2−オール、5−ヘキセン−3−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−メチル−4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ペンテン−2−オール、1−オクテン−4−オール、5−メチル−1−ヘプテン−4−オール、4−メチル−5−ヘキセン−2−オール、5−メチル−5−ヘキセン−2−オール、5−ヘキセン−2−オールおよび5−メチル−5−ヘキセン−3−オールを含む。トリフルオロメチル置換オレフィンアルコール、例えば、1,1,1−トリフルオロ−4−ペンテン−2−オールは、1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロ−エタノールおよびアリルトリメチルシランから、Kubotaら、Tetrahedron Letters、Vol.33(10)、p.1351−1354(1992)の手順を使用して、またはトリフルオロ酢酸エチルエステルおよびアリルトリブチルスタナンからIshiharaら、Tetrahedron Letters、Vol.34(56)、p.5777−5780(1993)の手順を使用して調製できる。あるオレフィンアルコールは光学活性であり、エナンチオマー混合物としてまたは純粋なエナンチオマーとして使用して、対応する光学活性形のアリール置換オレフィンアミン化合物を得ることができる。オレフィンアリルアルコール、例えばメタリルアルコールを、芳香族ハロゲン化物と反応させると、アリール置換オレフィンアルデヒドが生成し、得られたアルデヒドは、還元的アミン化により(例えば、アルキルアミンおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用した処理により)、アリール置換オレフィンアミン化合物に変換できる。好ましい芳香族ハロゲン化物は、3−ブロモピリジン型化合物および3−ヨードピリジン型化合物である。典型的には、3−ハロピリジン型化合物のような置換基は、それらの置換基がそれらの化学物質(例えばトシルクロリドおよびメチルアミン)との接触およびアリール置換オレフィンアミン化合物の調製中に受ける反応条件に耐え得る置換基である。別に、−OH、−NH2および−SHなどの置換基を対応するアシル化合物として保護できるか、または−NH2などの置換基をフタルイミド官能基性として保護できる。
【0021】
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンなどの、分枝側鎖を有するあるアリール置換オレフィンアミン化合物が得られる方法は異なり得る。1つの合成アプローチの使用により、後者の化合物は収束的な方法で合成でき、ここでは、側鎖のN−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンを、3−置換5−ハロ置換ピリジン、5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンと、Heck反応条件下でカップリングさせ、次いで、tert−ブトキシカルボニル保護基を除去する。典型的には、オレフィンと芳香族ハロゲン化物のパラジウム触媒カップリングを含む、W.C.Frankら、J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malekら、J.Org.Chem.47:5395(1982)に示した型の手順を使用する。必要なN−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンは以下の通りに合成できる。(i)T.Michelら、Liebigs Ann.11:1811(1996)により以前に記載されたように、市販で入手できる4−ペンテン−2−オール(Aldrich Chemical Company、Lancaster Synthesis Inc.)を、ピリジン中p−トルエンスルホニルクロリドで処理すると4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネートを得ることができる。(ii)得られたトシレートは、40%水溶液のメチルアミンの20モル等量と共に加熱すると、N−メチル−4−ペンテン−2−アミンを得ることができる。(iii)A.Violaら、J.Chem.Soc.Chem.Commun.(21):1429(1984)に以前に記載されたような得られたアミンを、乾燥テトラヒドロフラン中、1.2モル等量のジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させると、側鎖N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンを得ることができる。ハロ置換ピリジン、(例えば5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン)は、2つの異なる経路により合成できる。1つの調製法では、3,5−ジブロモピリジンを、140℃で14時間、乾燥イソプロパノール中、2モル等量のイソプロポキシドカリウムと共に、銅粉末(5%、3,5−ジブロモピリジンのw/w)の存在下で、封管ガラスチューブ中加熱すると、5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンを得ることができる。5−ブロモニコチン酸からの5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンの第二の調製法は、以下の通りに実施できる。(i)5−ブロモニコチン酸を、塩化チオニルで処理し、次いで、中間体の酸クロリドをアンモニア水と反応させて、5−ブロモニコチンアミドに変換する。(ii)得られた5−ブロモニコチンアミドを、C.V.Grecoら、J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)により以前に記載されたように、水酸化ナトリウムおよび70%次亜塩素酸カルシウム溶液での処理によりホフマン分解にかける。(iii)得られた3−アミノ−5−ブロモピリジンを、C.V.Grecoら、J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)により以前に記載されたように、酸性条件下でイソアミルニトレートでジアゾ化し、次いで、中間体のジアゾニウム塩を、イソプロパノールで処理することにより5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンに変換すると、5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンが得られる。5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンとN−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミンのパラジウム触媒カップリングは、アセトニトリル−トリエチルアミン(2:1、v/v)中で、1モル%の酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリホスフィンからなる触媒を使用して実施する。反応は、成分を80℃で20時間加熱して実施でき、(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが得られる。tert−ブトキシカルボニル保護基の除去は、アニソール中30モル等量のトリフルオロ酢酸で0℃で処理することにより達成でき、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが得られる。
【0022】
分枝側鎖を有するあるアリール置換オレフィンアミン化合物が得られる方法は異なり得る。1つの合成アプローチを使用して、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンなどの化合物を、ハロ置換ピリジンの5−ブロモ−3−メトキシピリジンを、二級アルコール官能基性を含むオレフィンの4−ペンテン−2−オールと、Heck反応条件下でカップリングさせることにより合成でき、得られたピリジルアルコール中間体は、メチルアミンでの処理後に、そのp−トルエンスルホネートエステルに変換できる。典型的には、オレフィンと芳香族ハロゲン化物のカラジウム触媒カップリングを含む、W.C.Frankら、J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malekら、J.Org.Chem.47:5395(1982)に示される型の手順を使用する。必要なハロ置換ピリジンの5−ブロモ−3−メトキシピリジンは、H.J.den Hertogら、Recl.Trav.Chim.Pays−Bas 74:1171(1955)により記載の方法論と類似のものを使用して合成され、すなわち、3,5−ジブロモピリジンを、乾燥メタノール中、2.5モル等量のナトリウムメトキシドと共に、銅粉末(5%、3,5−ジブロモピリジンのw/w)の存在下で、封管ガラスチューブ中、150℃で14時間加熱することにより5−ブロモ−3−メトキシピリジンが製造される。得られた5−ブロモ−3−メトキシピリジンは、D.L.Cominsら、J.Org.Chem.55:69(1990)により以前に記載されたように、4−ペンテン−2−オールと、アセトニトリル−トリエチルアミン(1.1:1、v/v)中、1モル%の酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリルホスフィンからなる触媒を使用してカップリングできる。反応は、成分を、封管ガラスチューブ中、140℃で14時間加熱することにより実施され、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−オールが得られる。得られたアルコールは、乾燥ピリジン中、2モル等量のp−トルエンスルホニルクロリドで0℃で処理すると、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネートが製造される。トシレート中間体を、共溶媒として少量のエタノールを含む40%水溶液の120モル等量のメチルアミンで処理すると、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが製造される。
【0023】
光学活性形のあるアリール置換オレフィンアミン化合物、例えば(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが得られる方法は変化し得る。1つの合成アプローチでは、後者の型の化合物は、ハロ置換ピリジンの3−ブロモピリジンを、キラルな二級アルコール官能基性を有するオレフィンの(2R)−4−ペンテン−2−オールと、Heck反応条件下でカップリングさせることにより合成される。得られたキラルピリジルアルコール中間体の(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールは、その対応するp−トルエンスルホネートエステルに変換され、これを次いでメチルアミンで処理すると、トシレートが置換され、立体配置が反転する。典型的には、芳香族ハロゲン化物とオレフィンのパラジウム触媒カップリングを含む、W.C.Frankら、J.Org.Chem.43:2947(1978)およびN.J.Malekら、J.Org.Chem.47:5395(1982)に示した型の手順を使用する。キラル側鎖の(2R)−4−ペンテン−2−オールは、テトラヒドロフラン中、低温で(−25℃〜−10℃)、A.Kalivretenos,J.K.Stille、およびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)の一般的な合成方法論を使用して、キラルエポキシドの(R)−(+)−プロピレンオキシド(Fluka Chemical Companyから入手できる)を臭化ビニルマグネシウムで処理して、(2R)−4−ペンテン−2−オールを得ることにより調製できる。得られたキラルアルコールは、1モル%の酢酸パラジウム(II)および4モル%のトリ−o−トリルホスフィンからなる触媒を使用して、アセトニトリル−トリエチルアミン(1:1、v/v)中、3−ブロモピリジンと共にHeck反応にかける。反応は、成分を140℃で14時間封管ガラスチューブ中加熱することにより実施され、Heck反応生成物の(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールが製造される。得られたキラルピリジルアルコールを、3モル等量のp−トルエンスルホニルクロリドで、乾燥ピリジン中0℃で処理すると、トシレート中間体が得られる。p−トルエンスルホネートエステルを、共溶媒である少量のエタノールを含む40%水溶液の82モル等量のメチルアミンと共に加熱すると、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが製造される。類似の方法で、対応するアリール置換オレフィンアミンエナンチオマー、例えば、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンが、3−ブロモピリジンと(2S)−4−ペンテン−2−オールのHeckカップリングにより合成できる。得られた中間体の(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールは、そのp−トルエンスルホネートに変換され、これはメチルアミンに置換される。キラルアルコールの(2S)−4−ペンテン−2−オールは、(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製に記載したのと類似の手順を使用して、(S)−(−)−プロピレンオキシド(Aldrich Chemical Comapnyから市販で入手できる)から、または、A.Kalivretenos,J.K.StilleおよびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)により報告されたように(R)−(+)−プロピレンオキシドから調製される。
【0024】
本発明は、該状態または疾患を受け易い被検者に該状態または疾患の予防を提供し、およびそれに罹患している患者に治療を提供する方法に関する。例えば、該方法は、患者に、CNS障害の進行のある程度の予防(すなわち保護効果を提供する)、CNS障害の症状の回復、およびCNS障害の再発の改善を提供するに有効な量の化合物を投与することを含む。該方法は、本明細書で前記に示した一般式から選択した化合物を有効量投与することを含む。本発明は、本明細書で前記に示した一般式から選択した化合物を取り込んだ薬剤組成物に関する。光学活性化合物は、ラセミ混合物としてまたはエナンチオマーとして使用できる。化合物は、遊離塩基形または塩形(例えば医薬的に許容される塩として)で使用できる。適切な医薬的に許容される塩の例は、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩などの無機酸付加塩、酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩などの有機酸付加塩、アスパルテートおよびグルタメートなどの酸性アミノ酸との塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機塩基塩、およびリジン塩およびアルギニン塩などの塩基性アミノ酸との塩を含む。塩は、ある場合には水和物またはエタノール溶媒和物であり得る。代表的な塩は、Dullらの米国特許第5,597,919号、Dullらの米国特許第5,616,716号およびRuecroftらの米国特許第5,663,356号の記載のように提供される。
【0025】
本発明の化合物は、他の型のニコチン化合物が治療薬として提唱されている型の状態および疾患の治療に有用である。例えば、Williamsら、DN&P7(4)、205−227(1994)、Arnericら、CNS Drug Rev.1(1):1−26(1995)、Arnericら、Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996)、Bencherifら、JPET 279:1413(1996)、Lippielloら、JPET 279:1422(1996)、Damajら、Neuroscience(1997)、Holladayら、J.Med.Chem.40(28):4169−4194(1997)、Bannonら、Science 279:77−80(1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、およびBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの米国特許第5,597,919号、およびSmithらの米国特許第5,604,231号を参照されたい。本発明の化合物は、鎮痛薬として、潰瘍性結腸炎の治療に、および癲癇の症候の痙攣といった痙攣の治療に使用できる。本発明に従って治療できるCNS障害は、初老痴呆(早期発症型アルツハイマー病)、老年痴呆(アルツハイマー型痴呆)、パーキンソン病を含むパーキンソン症、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、躁病、注意不足障害、不安、失読症、精神分裂病およびトゥレット症候群を含む。
【0026】
薬剤組成物はまた、様々な他の成分を添加剤または補助剤として含み得る。関連した状況で使用される例示的な医薬的に許容される成分または補助剤は、抗酸化剤、フリーラジカル捕獲剤、ペプチド、増殖因子、抗生物質、静菌剤、免疫抑制剤、抗凝固剤、緩衝剤、抗炎症剤、解熱剤、時間放出結合剤、麻酔剤、ステロイドおよびコルチコステロイドを含む。該成分は、追加の治療利点を提供するか、薬剤組成物の治療作用に影響を及ぼすように作用するか、または薬剤組成物の投与の結果として付与され得る任意の潜在的な副作用を予防する方向で作用できる。ある状況で、本発明の化合物は、特定の疾患を予防または治療する目的の他の化合物と共に薬剤組成物の一部として使用できる。
【0027】
化合物を投与する方法は変化し得る。化合物は、吸入により(例えば、鼻からまたはBrooksらの米国特許第4,922,901号に示される型の送達製品を使用してエアゾールの形で)、局所的に(例えばローション形)、経口で(例えば、水性または非水性液体などの溶媒内での液体形、または固体担体内)、静脈内(例えば、デキストロースまたは食塩水溶液中)、注入または注射として(例えば、医薬的に許容される液体または液体の混合物中での懸濁液またはエマルションとして)、くも膜下腔内、脳室内、または経皮(例えば、経皮パッチを使用)投与できる。バルク活性化学物質の形で化合物を投与することが可能であるが、各化合物を、効率的かつ効果的な投与用の薬剤組成物または製剤の形で提示することが好ましい。該化合物の例示的投与法は当業者には明らかである。例えば、該化合物は錠剤、硬ゼラチンカプセル剤、または時間放出カプセル剤として投与できる。別の例として、該化合物は、ノバルティスおよびAlza Corporationから入手できる型のパッチ技術を使用して経皮送達できる。本発明の薬剤組成物の投与は、間欠的、または漸進的、連続的、一定または制御された速度で、恒温動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシまたはサルなどの哺乳動物)に対してであり得、しかし有利には好ましくはヒトに投与する。さらに、医薬製剤を投与する時間および1日あたりの回数は変化し得る。投与は、好ましくは、医薬製剤の活性成分が、CNSの機能に影響を及ぼす被検者の生体内の受容体部位と相互作用するようなものである。より具体的には、CNS障害の治療において、投与は、好ましくは、CNSの機能に対する効果を有する関連受容体サブタイプに対する効果を最適化し、一方、筋肉型受容体サブタイプに対する効果を最小限にするようなものである。他の適切な本発明の化合物の投与法は、Smithらの米国特許第5,604,231号に記載され、その開示はその全体を本明細書に引用することで本明細書の一部をなすものとする。
【0028】
該化合物の適切な投与量は、疾患の症状の発現を予防するか、または患者が罹患する疾患のいくつかの症状を治療するに有効な量である。「有効量」、「治療量」または「有効投与量」により、所望の薬理学的または治療効果を誘発し、従って疾患を効果的に予防または治療するに十分な量を意味する。従って、CNS障害を治療する場合、有効量の化合物は、被検者の血液脳関門を通過し、被検者の脳の関連受容体部位に結合し、ニコチン受容体サブタイプを活性化(例えば、神経伝達物質を分泌し、従って疾患が効果的に予防または治療される)するに十分な量である。疾患の予防は、疾患の症状の開始の遅延により現れる。疾患の治療は、疾患に関連した症状の減少により、または疾患の症状の再発の寛解により現れる。(E)−メタニコチンに比べて、本発明の化合物は、哺乳動物系であまり徹底的に代謝されない(すなわち、より少ない代謝物が形成され、血液からの消失速度がより遅い)。従って、(E)−メタニコチンに比べて、本発明の化合物は、より高い完全血漿濃度を提供でき、より長期間におよび哺乳動物系内に維持され得る。従って、本発明の化合物は、低投与量で、(E)−メタニコチンと匹敵する治療効果を提供できる。
【0029】
有効な投与量は、患者の状態、疾患の症状の重度および薬剤組成物を投与する方法などの因子に応じて変化し得る。ヒト患者では、典型的な化合物の有効投与量は、一般的に、関連受容体を活性化して、神経伝達物質(例えばドーパミン)遊離を奏効するに十分な量で化合物を投与することを必要とするが、その量は、有意な程度に骨格筋および神経節に効果を誘導するには不十分であるべきである。化合物の有効量は、勿論、患者によって異なるが、一般的に、CNS効果または他の所望の治療効果が得られ始める量であるが筋肉効果が観察される量未満を含む。
【0030】
典型的には、有効量の化合物は一般的に、患者重量1kgあたり15mg未満の量の化合物を投与することを必要とする。しばしば、本発明の化合物は、患者重量1kgあたり1mgから100μg未満、頻繁には、患者重量1kgあたり約10μgから100μg未満、および好ましくは患者重量1kgあたり約10μgから50μg未満の量である。低濃度で筋肉型ニコチン受容体に対して効果を誘導しない本発明の化合物では、有効投与量は、患者重量1kgあたり5mg未満であり、しばしば、該化合物は患者重量1kgあたり50μgから5mg未満の量で投与する。前記の有効投与量は、典型的には、1回量として、または24時間におよび投与する1回より大きくの投与量として投与する量を示す。
【0031】
ヒト患者では、典型的な化合物の有効投与量は、一般的に、少なくとも約1、しばしば少なくとも患者一人あたり約10、頻繁には少なくとも約25μg/24時間量で化合物を投与することを含む。ヒト患者では、典型的な化合物の有効投与量は、一般的には患者一人あたり約500を超えない、しばしば約400を超えない、頻繁には約300μg/24時間を超えない化合物を投与することを必要とする。さらに、有効投与量の投与は、患者の血漿中化合物濃度が、通常、500ng/mlを超えない、頻繁には100ng/mlを超えないようなものである。
【0032】
本発明の方法に有用な化合物は、患者の血液脳関門を通過できる。従って、該化合物は、患者の中枢神経系に侵入できる。本発明の実施に有用な典型的な化合物のlogP値は、一般的に、約0より大きく、しばしば約0.5より大きく、頻繁には約1より大きくである。該典型的な化合物のlogP値は、一般的に約3.5未満、しばしば約3未満、時には約2.5未満である。LogP値は、生物膜などの拡散障壁を通過する化合物の機能の指標を提供する。Hanschら、J.Med.Chem.11:1(1968)を参照されたい。
【0033】
本発明の方法に有用な化合物は、患者の脳のニコチン性コリン受容体(例えば、ドーパミン遊離を調節する受容体など)への結合能、およびほとんどの状況でその活性化を引き起こす機能を有する。従って、該化合物は、ニコチン薬理を表現、特にニコチンアゴニストとして作用する機能を有する。本発明の実施に有用な典型的な化合物の受容体結合定数は、一般的に、約0.1nMを超えない、しばしば約1nMを超えない、頻繁には約10nMを超えない。該典型的な化合物の受容体結合定数は、一般的に、約1μM未満、しばしば約100nM未満、頻繁には約50nM未満である。受容体結合定数は、患者のある脳細胞の関連受容体部位の半分に結合する該化合物の機能の指標を提供する。Chengら、Biochem.Pharmacol.22:3099(1973)を参照されたい。
【0034】
本発明の方法に有用な化合物は、神経終末標本(例えば視床または線条体シナプトソーム)を通るイオン流入および/またはそれからの神経伝達物質の分泌を効率的に誘発することによりニコチン機能を実証する機能を有する。従って、該化合物は、関連ニューロンを活性化させ、アセチルコリン、ドーパミンまたは他の神経伝達物質の遊離または分泌を引き起こす機能を有する。一般的には、本発明の実施に有用な典型的な化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大限に得られる量の、少なくとも約30%、しばしば少なくとも約50%および頻繁には少なくとも約75%の量で関連受容体の活性化を効率的に提供する。一般的に、本発明の実施に有用な典型的な化合物は、関連受容体活性化の誘発において、(S)−(−)−ニコチンよりも強力である。一般的に、本発明の実施に有用な典型的な化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大限に得られる量の、少なくとも約50%、しばしば少なくとも約75%、および頻繁には少なくとも約100%の量でドーパミンの分泌を効率的に提供する。本発明のある化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大限に得られる量を超え得る量でドーパミンの分泌を提供できる。一般的に、本発明の実施に有用な典型的な化合物は、ドーパミン分泌などの神経伝達物質分泌の誘発において、(S)−(−)−ニコチンよりも強力ではない。
【0035】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用する場合、任意の有意な程度でヒト筋肉のニコチン受容体の活性化を誘発する機能がない。これに関して、本発明の化合物は、筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体を発現している細胞標本においてニコチン受容体を通る同位体ルビジウムイオン流入を引き起こす機能の低いことを実証する。従って、該化合物は、極めて高い(すなわち約100μMより大きく)受容体活性化定数またはEC50値(すなわち、患者の骨格筋の関連受容体部位の半分を活性化するに必要な化合物の濃度の指標を提供する)を示す。一般的に、本発明の実施に有用な典型的に好ましい化合物は、S(−)ニコチンにより最大限に得られる量の10%未満、しばしば5%未満、同位体ルビジウムイオン流入を活性化する。
【0036】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用する場合、ある関連ニコチン受容体に対して選択的であるが、望ましくない副作用に関連した受容体の有意な活性化を引き起こさない。これにより、CNS障害を予防および/または治療する特定量の化合物は、ある神経節型ニコチン受容体の活性化の誘発に実質的には効力のないことを意味する。心血管副作用に関与するそれらの受容体に対する本発明の化合物のこの選択性は、これらの化合物が、副腎クロム親和性組織のニコチン機能を活性化する機能のないことにより実証される。従って、該化合物は、副腎由来の細胞標本でのニコチン受容体を通る同位体ルビジウムイオン流入を引き起こす機能が低い。一般的に、本発明の実施に有用な典型的に好ましい化合物は、S(−)ニコチンにより最大限に得られる量の10%未満、しばしば5%未満、同位体ルビジウムイオン流入を活性化する。
【0037】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用する場合、CNS障害の進行のある程度の予防、CNS障害の症状の寛解、およびCNS障害の再発のある程度の寛解を得るのに有効である。しかし、かかる有効量のこれらの化合物は、認め得る副作用を誘発するに十分ではなく、これは、心血管系に対する効果または骨格筋に対する効果を反映すると信じられる標本に対する効果の減少により実証される。従って、本発明の化合物の投与は、あるCNS障害の治療が得られ、副作用が回避される、治療手段を提供する。すなわち、有効量の本発明の化合物が、CNSに対する所望の効果を得るには十分であるが、望ましくない副作用を得るには不十分である(すなわち、十分に高いレベルではない)。好ましくは、CNS障害が治療される本発明の化合物の効果的な投与は、任意の副作用を有意な程度まで引き起こすに十分な量の、1/3未満、頻繁には1/5未満、およびしばしば1/10未満の投与時に起こる。
【実施例】
【0038】
以下の例は、本発明を説明するために提供され、それを制限するとは捉えない。これらの例では、特記しない限り、全ての割合および%は重量による。反応収率はモル%で報告する。数個の市販で入手できる出発物質を以下の例を通じて使用する。3−ブロモピリジン、3,5−ジブロモピリジン、5−ブロモニコチン酸、5−ブロモピリミジン、および4−ペンテン−2−オールは、Aldrich Chemical ComapnyまたはLancaster Synthesis Inc.から得られた。2−アミノ−5−ブロモ−3−メチルピリジンはMaybridge Chemical Company Ltd.から購入した。(R)−(+)−プロピレンオキシドは、Fluka Chemical Companyから得、(S)−(−)−プロプレンオキシドはAldrich Chemical Companyから得た。カラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(70〜230メッシュ)または酸化アルミニウム(活性化、中性、Brockmann I、標準グレード、〜150メッシュ)を使用して実施した。加圧反応は、重壁ガラス加圧チューブ(185mL容量)中、Ace Glass Inc.から入手可能なAce−Threadおよびプランジャーバルブを用いて実施した。反応混合物は、典型的には、恒温シリコン油浴を使用して加熱し、温度は油浴の温度を意味する。以下の略称を以下の例で使用する。クロロホルムにはCHCl3、ジクロロメタンにはCH2Cl2、メタノールにはCH3OH、N,N−ジメチルホルムアミドにはDMF、および酢酸エチルにはEtOAc、テトラヒドロフランにはTHF、およびトリエチルアミンにはEt3N。
【0039】
[例1]
[LogP値の決定]
LogP値は、化合物の血液脳関門を通過する相対的機能を評価するのに使用されているが(Hanschら、J.Med.Chem.ii:1(1968))、これはMolecular Simulations,Inc.によるCerius2ソフトウェアパッケージVer3.5を使用して計算した。
【0040】
[例2]
[関連受容体部位への結合の決定]
関連受容体部位への化合物の結合は、Dullらの米国特許第5,597,919号に記載の技法に従って決定した。nMで報告した阻害定数(Ki値)は、Chengら、Biochem.Pharmacol.22:3099(1973)の方法を使用してIC50値から計算した。
【0041】
[例3]
[ドーパミン遊離の決定]
ドーパミン遊離は、Dullらの米国特許第5,597,919号に記載の技法に従って測定した。遊離は、最大効果がもたらされる(S)−(−)−ニコチンの濃度で得られる遊離の%として表現する。報告されたEC50値はnMで表し、Emax値は、%に基づく、(S)−(−)−ニコチンに比して遊離された量を示す。
【0042】
[例4]
[ルビジウムイオン遊離の決定]
ルビジウム遊離は、Bencherifら、JPET、279:1413−1421(1996)に記載の技法を使用して測定した。報告されたEC50値はnMで表し、Emax値は、%に基づく、300μMテトラメチルアンモニウムイオンに比して遊離されたルビジウムイオンの量を示す。
【0043】
[例5]
[筋肉受容体との相互作用の決定]
筋肉受容体との化合物の相互作用の決定は、Dullらの米国特許第5,597,919号に記載の技法に従って実施した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、(S)−(−)−ニコチンにより誘導される最大活性化の%として決定した。報告されたEmax値は、%に基づく、(S)−(−)−ニコチンに比して遊離された量を示す。
【0044】
[例6]
[神経節受容体との相互作用の決定]
神経節受容体との化合物の相互作用の決定は、Dullらの米国特許第5,597,919号に記載の技法に従って実施した。個々の化合物の最大活性化(Emax)は、(S)−(−)−ニコチンにより誘導される最大活性化の%として決定した。報告されたEmax値は、%に基づく、(S)−(−)−ニコチンに比して遊離された量を示す。
【0045】
[例7]
サンプル番号1は、(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0046】
[(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
3−ブロモピリジン(7.50g、47.46mmol)、4−ペンテン−2−オール(4.90g、56.96mmol)、酢酸パラジウム(II)(106mg、0.47mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(575mg、1.89mmol)、トリエチルアミン(28.4mL、204.11mmol)およびアセトニトリル(25mL)の混合物を封管ガラスチューブ中、140℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、淡い黄色の油状物(7.50g、81.0%)が得られた。
【0047】
[(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
0℃の(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(5.00g、30.67mmol)の乾燥ピリジン(30mL)撹拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(8.77g、46.01mmol)を加えた。反応混合物を、24時間、周囲温度で撹拌した。ピリジンを回転蒸発により除去した。トルエン(50mL)を残渣に加え、続いて回転蒸発により除去した。粗生成物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)と共に撹拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(3:7、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、粘性の褐色の油状物(5.83g、60.1%)が得られた。
【0048】
[(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(5.60g、17.66mmol)、メチルアミン(100mL、40%水溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−メタノール(7:3、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると油状物が得られた。減圧蒸留によりさらに精製すると、0.1mmHgで沸点110−120℃の1.60g(51.6%)の無色の油状物が得られた。
【0049】
[(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.60g、9.10mmol)を、60℃まで加温することにより補助して、エチルアルコール(20mL)に溶かした。温溶液をガラクタル酸(955mg、4.54mmol)で少しずつ処理し、次いで水(0.5mL)を滴下して加えた。溶液を熱いうちにろ過して不溶性物質を除去した。濾液を周囲温度まで冷却した。得られた結晶をろ過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で40℃で乾燥すると、融点148−150℃の1.20g(47.0%)の白色の結晶粉末が得られた。
【0050】
サンプル番号1は、1.924のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、化合物が、血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは83nMのKiを示す。低い結合定数は、化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0051】
サンプル番号1は、ドーパミン遊離について6600nMのEC50値および113%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で、3100nMのEC50値および35%のEmax値を示し、該化合物は効率的にCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0052】
サンプル番号1は、筋肉型受容体で13%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は、筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で62%のEmax(100μMの濃度で)を示す。あるレベルで、該化合物は、有意な程度までCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉効果も神経節効果も示さない。該化合物は、ルビジウムイオン流入およびドーパミン遊離の活性化に必要な量の数倍の量で使用した場合にのみ筋肉および神経節効果を引き起こし始め、従って、その化合物の投与を受けた被検者に、ある望ましくない副作用はないことを示唆する。
【0053】
[例8]
サンプル番号2は、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0054】
[(2S)−4−ペンテン−2−オール]
(2S)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos、J.K.StilleおよびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)に詳述されるように、(R)−(+)−プロピレンオキシドからの(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製で記載したのと類似の手順を使用して、(S)−(−)−プロピレンオキシドから調製した。従って、ビニルマグネシウムブロミドの1.0M THF溶液(129mL、129.0mmol)をゆっくりと、−25℃の、ヨウ化銅(I)(2.46g、12.92mmol)の乾燥THF(40mL、ナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留)懸濁液に加えた。5分間撹拌した後、(S)−(−)−プロピレンオキシド(5.00g、86.1mmol)の乾燥THF(5mL)溶液を加えた。混合物を−10℃まで加温し、0℃の冷凍庫に12時間入れた。混合物をさらに1時間0℃で撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)および氷(100g)の混合物に注いだ。混合物を4時間撹拌し、エーテル(3×100mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、減圧下で回転蒸発により0℃で濃縮した。得られた褐色の油状物を減圧蒸留すると、9mmHgで沸点37−39℃の、5.86g(79.1%)の無色の留出物が得られた。
【0055】
[(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
3−ブロモピリジン(11.22g、70.58mmol)、(2S)−4−ペンテン−2−オール(5.00g、58.05mmol)、酢酸パラジウム(II)(527mg、2.35mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(1.79g、5.88mmol)、トリエチルアミン(30mL、216mmol)およびアセトニトリル(30mL)の混合物を封管ガラスチューブ中で130−140℃で8時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却した。溶媒を減圧下で回転蒸発器で除去した。水(20mL)を加え、混合物をクロロホルム(4×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、淡い黄色の油状物(6.00g)が得られた。粗生成物を、クロロホルム−アセトン(95:5、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、3.95g(41.7%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0056】
[(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
窒素雰囲気下で、p−トルエンスルホニルクロリド(7.01g、36.77mmol)を、0℃の(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.00g、18.38mmol)の乾燥トリエチルアミン(20mL)撹拌溶液に加えた。18時間かけて撹拌し周囲温度まで加温した後、混合物を冷飽和NaHCO3溶液(50mL)と共に1時間撹拌し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、濃厚な暗褐色の塊(〜7mg)が得られた。粗生成物を、クロロホルム−アセトン(98:2、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、4.00g(68.6%)の明褐色シロップが得られた。
【0057】
[(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(2S)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(3.80g、11.97mmol)およびメチルアミン(20mL、2.0MのTHF溶液)の混合物を100−110℃で8時間、封管ガラスチューブ中で加熱した。混合物を周囲温度まで冷却し、減圧下で回転蒸発器で濃縮した。得られた褐色のシロップを飽和NaHCO3溶液(25mL)で希釈し、クロロホルム(4×25mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、濃厚な褐色のシロップ(2.00g)が得られた。粗生成物をクロロホルム−メタノール(95:5、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発器により濃縮すると800mg(37.9%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0058】
[(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
ガラクタル酸(328.0mg、1.56mmol)および(2R)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(600.0mg、3.40mmol)を、加熱および超音波により補助して、2−プロパノール(5mL)および水(0.2mL)に溶かした。熱溶液をろ過して不溶性物質を除去した。溶媒を回転蒸発器で除去し、残渣を高真空下で乾燥すると、クリーム色のシロップが得られた。シロップを乾燥2−プロパノール(5mL)に溶かし、4℃で冷却した。得られた沈殿物をろ過し、高真空下で乾燥すると、融点131−134℃の700mg(79.7%)のオフホワイトの結晶粉末が得られた。
【0059】
サンプル番号2は、1.924のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、520nMのKiを示し、該化合物はあるCNSニコチン受容体への結合を示すことを示唆する。
【0060】
サンプル番号2は、ドーパミン遊離について27400nMのEC50値および76%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で4390nMのEC50値および32%のEmax値を示し、該化合物はCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0061】
サンプル番号2は、筋肉型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。サンプル番号1は、神経節型受容体で36%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度まで筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉および神経節効果は示さない。
【0062】
[例9]
サンプル番号3は、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは以下の技法に従って調製した。
【0063】
[(2R)−4−ペンテン−2−オール]
(2R)−4−ペンテン−2−オールは、82.5%収率で、(R)−(+)−プロピレンオキシドから、A.Kalivretenos、J.K.StilleおよびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)に示した手順に従って調製した。
【0064】
[(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
3−ブロモピリジン(9.17g、58.04mmol)、(2R)−4−ペンテン−2−オール(6.00g、69.65mmol)、酢酸パラジウム(II)(130mg、0.58mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(710mg、2.32mmol)、トリエチルアミン(34.7mL,249.5mmol)およびアセトニトリル(35mL)の混合物を封管ガラスチューブ中、140℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、6.17g(65.2%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0065】
[(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
0℃の(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(6.00g、36.81mmol)の乾燥ピリジン(30mL)の撹拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(21.05g、110.43mmol)を加えた。反応混合物を24時間周囲温度で撹拌した。ピリジンを回転蒸発により除去した。トルエン(50mL)を残渣に加え、続いて回転蒸発により除去した。粗生成物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)と共に撹拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロオホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、11.67g(84.0%)の暗褐色の粘性油状物が得られた。
【0066】
[(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(2R)−(4E)−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(9.00g、28.35mmol)、メチルアミン(200mL、40%水溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を酢酸エチル−メタノール(7:3、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、油状物が得られた。減圧蒸留によりさらに精製すると、0.5mmHgで沸点90−100℃の1.20g(24.0%)の無色油状物が得られた。
【0067】
[(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(800mg、4.54mmol)を、60℃まで加温することにより補助して、エチルアルコール(20mL)に溶かした。温溶液をガラクタル酸(477mg、2.27mmol)で少しずつ処理し、次いで水(0.5mL)を滴下して加えた。溶液を熱いうちにろ過して不溶性物質を除去した。濾液を周囲温度まで冷却した。得られた結晶をろ過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で40℃で乾燥すると、融点141−143℃の830mg(65.4%)のオフホワイトの結晶粉末が得られた。
【0068】
サンプル番号3は、1.924のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が、血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは34nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0069】
サンプル番号3は、ドーパミン遊離について2600nMのEC50値および162%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で、45nMのEC50値および33%のEmax値を示し、該化合物は効率的にCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0070】
サンプル番号3は、筋肉型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は、筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で18%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉または神経節効果は示さない。
【0071】
[例10]
サンプル番号4は、(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0072】
[4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
窒素雰囲気下で、p−トルエンスルホニルクロリド(16.92g、88.75mmol)を、冷却された(2℃)4−ペンテン−2−オール(7.28g、84.52mmol)のピリジン(60mL)撹拌溶液に加えた。この溶液を2〜5℃で2時間撹拌し、周囲温度まで数時間かけて加温した。白色固体を含む混合物を、冷却された3M HCl溶液(250mL)に注ぎ、CHCl3(4×75mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を3M HCl溶液(4×100mL)、飽和NaCl溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発器で濃縮し、高真空下でさらに乾燥すると、17.38g(85.6%)の明琥珀油状物が得られた。
【0073】
[N−メチル−4−ペンテン−2−アミン]
ガラス加圧チューブに、4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(17.30g、71.99mmol)、次いで40%のメチルアミン水溶液(111.85g、1.44mol)を添加した。チューブを封管し、混合物を撹拌し、122℃で16時間加熱し、周囲温度まで冷却した。さらに0〜5℃まで冷却した後、明黄色溶液を、固体NaClで飽和させ、ジエチルエーテル(6×40mL、阻害剤非含有)で抽出した。合わせた明黄色エーテル抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過した。エーテルを6インチVigreauxカラムおよび短経路の蒸留装置を使用して大気圧下で蒸留して除去した。残りの明黄色の油状物を大気圧下で蒸留して、沸点75〜105℃の3.72g(52.1%)の無色油状物を回収した。
【0074】
[N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン]
ジ−tert−ブチルジカーボネート(6.84g、31.35mmol)を少しずつ冷却された(0〜5℃)N−メチル−4−ペンテン−2−アミン(3.66g、25.68mmol)の乾燥THF(25mL、ナトリウムおよびベンゾフェノンから新しく蒸留)撹拌溶液に素早く加えた。得られた明黄色溶液を撹拌し、数時間かけて周囲温度まで加温した。この溶液を回転蒸発器で濃縮した。得られた油状物を短経路の蒸留装置を使用して減圧蒸留し、5.5mmHgで沸点85〜86℃の5.22g(88.4%)のほぼ無色の油状物を回収した。
【0075】
5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジンは、下記したように2つの異なる方法(方法Aおよび方法B)により調製できる。
【0076】
[5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン(方法A)]
カリウム金属(6.59g、168.84mmol)を乾燥2−プロパノール(60.0mL)に窒素下で溶かした。得られたカリウムイソプロポキシドを、3,5−ジブロモピリジン(20.00g、84.42mmol)および銅粉末(1g、3,5−ジブロモピリジンの5重量%)と共に140℃で封管ガラスチューブ中、14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、ジエチルエーテル(4×200mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。得られた粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:9、v/v)で溶出しながら、酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、淡い黄色の油状物(12.99g、71.2%)が得られた。
【0077】
[5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン(方法B)]
[5−ブロモニコチンアミド]
窒素雰囲気下で、5−ブロモニコチン酸(10.10g、50.00mmol)を塩化チオニル(65.24g、0.55mmol)に溶かし、得られた溶液を45分間周囲温度で撹拌した。過剰の塩化チオニルを蒸留により除去し、残渣を高真空下で乾燥した。この得られた固体を、窒素雰囲気下で乳鉢および乳棒を用いて粉砕して粉末とし、素早く0℃の28%アンモニア水溶液に加えた。この混合物を簡潔に0℃で撹拌し、次いで、周囲温度で3時間撹拌した。粗生成物をろ過し、乾燥し、トルエン−エタノール(1:1、v/v)から再結晶すると、融点210−213℃(文献、融点219−219.5℃、C.V.Grecoら、J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)を参照されたい)の6.92g(68.9%)の5−ブロモニコチンアミドが得られた。
【0078】
[3−アミノ−5−ブロモピリジン]
水酸化ナトリウム(2.50g、62.50mmol)を冷却された(0℃)次亜塩素酸カルシウム(1.53g、7.50mmolの70%溶液)水(35mL)溶液の撹拌懸濁液に加えた。混合物を15分間0℃で撹拌し、ろ過した。透明な濾液を集め、5−ブロモニコチンアミド(3.03g、15.1mmol)を少しずつ加えながら、氷塩浴中で撹拌した。この懸濁液を2時間0℃で撹拌し、周囲温度まで加温し、スチーム浴で1時間加熱した。冷却後、混合物をCHCl3(2×50mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発器で濃縮すると、1.42gの明黄色固体が得られた。水層を、6M HCl溶液でpH8に調整し、CHCl3(2×50mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発器で濃縮すると、0.98gの褐色固体が得られた。TLC分析(トルエン−エタノール(3:1、v/v))に基づき、両方の粗生成物を合わせると、2.40gが得られ、これはエタノール(10mL)に溶かし、ろ過して少量の明黄色の固体(80mg、融点225〜227℃)を除去した。濾液を回転蒸発器で濃縮し、残渣を2−プロパノール(6mL)に溶かし、ろ過し、5℃まで冷却した。得られた沈殿物をろ過し、乾燥すると少量の黄褐色の固体(65mg、融点63〜64℃)が得られた。濾液を回転蒸発器で濃縮し、残渣を、加熱により補助してトルエン(5mL)に溶かし、5℃まで冷却した。得られた沈殿物をろ過し、真空下で乾燥すると、融点65〜67℃の1.80gの褐色の結晶固体が得られた。濾液の濃縮および冷却により、融点64〜66℃(文献、融点69〜69.5℃、C.V.Grecoら、J.Heteocyclic Chem.7(4):761(1970)を参照されたい)の第二収穫物の0.27gの褐色固体が得られ、全収量は2.07g(79.3%)となった。
【0079】
[5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン]
5−アミノ−3−ブロモピリジン(1.29g、7.46mmol)の6M HCl溶液(5mL)のスラリーを、30分間周囲温度で撹拌した。この混合物を高真空下で濃縮し、残渣を15時間50℃で真空乾燥すると、黄褐色固体が得られた。この固体を2−プロパノール(25mL)中でスラリー化し、亜硝酸アミル(1.70g、15.00mmol)で処理した。この混合物を撹拌し、1.5時間還流下で加熱した。溶液を回転蒸発により濃縮し、残渣をジエチルエーテルと1M NaOH溶液間に分配した。水層を分離し、エーテルで抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると橙色の油状物(2.03g)が得られた。油状物を減圧蒸留により精製し、9mmHgで沸点105〜115℃の画分を集めた。蒸留生成物をさらに、ヘキサン中10→20%(v/v)ジエチルエーテルで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。TLC分析(ヘキサン−エーテル(4:1、v/v)でRf0.40)に基づいて選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、566.0mg(35.2%)の透明で無色の油状物が得られた。
【0080】
[(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
窒素雰囲気下で、5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン(847.0mg、3.92mmol)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(784.7mg、3.94mmol)、酢酸パラジウム(II)(9.0mg、0.04mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(50.0mg、0.16mmol)、トリエチルアミン(0.73g、7.21mmol)および無水アセトニトリル(2mL)の混合物を撹拌し、80℃で20時間還流下で加熱した。固体を含む混合物を集め、水(10mL)で希釈し、CHCl3(3×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、油状残渣(1.56g)が得られた。粗生成物を、ヘキサン中25→40%(v/v)酢酸エチルで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含む選択画分を合わせ濃縮すると、1.15g(87.8%)の明琥珀油状物が得られた。
【0081】
[(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
窒素雰囲気下で、冷却された(0〜5℃)(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(150.0mg、0.45mmol)のアニソール(2.25ml)撹拌溶液を、トリフルオロ酢酸(1.49g、13.79mmol)で少しずつ処理した。得られた溶液を15分間0〜5℃で撹拌した。シリカゲルでのTLC分析(EtOAc−ヘキサン(3:1、v/v)およびCH3OH−Et3N(97.5:2.5、v/v))により、ほぼ反応の完了したことが示された。さらに15分間撹拌した後、この溶液を回転蒸発器で濃縮し、次いで、0.5mmHgの真空下でさらに乾燥させることにより、278mgの暗黄色の油状物が得られた。油状物を冷却(0〜5℃)し、10%NaOH溶液(2mL)でpH12まで塩基性とし、飽和NaCl溶液(5mL)を加えた。この混合物をCHCl3(5×3mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を飽和NaCl溶液(5mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、次いで、0.5mmHgでさらに乾燥すると、104.7mgの明黄色の僅かに橙色の油状物が得られた。粗生成物を、CH3OH−Et3N(100:2、v/v)で溶出しながら、シリカゲル(20g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.37)を含む選択した画分を合わせ、回転蒸発器で濃縮すると、72.3mgの黄色の油状物が得られた。油状物をCHCl3(25mL)に溶かし、CHCl3溶液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、69.3mg(66.2%)の黄色の油状物が得られた。
【0082】
[(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(69.3mg、0.23mmol)を、加熱により補助してCH3OH(1.5mL)に溶かした。温溶液をガラクタル酸(24.3mg、0.12mmol)、次いで水(0.3mL)で処理した。得られた溶液を加温し、ガラスウールを通して濾過し、不溶性粒子を除去し、フィルター栓を0.4mLのCH3OH−H2O(4:1、v/v)溶液で洗浄した。濾液をCH3OH(1.5mL)で希釈し、明黄色溶液を5℃で15時間貯蔵した。沈殿物は形成されず、それ故、溶液を回転蒸発器で濃縮した。得られた固体を無水ジエチルエーテル(3×6mL)で粉砕した。生成物を窒素気流下で乾燥し、高真空下で乾燥し、次いで、さらに45℃で15時間真空乾燥させると、融点144〜146.5℃の73.0mg(93.1%)のオフホワイトの粉末が得られた。
【0083】
サンプル番号4は2.957のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、化合物が、血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは10nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0084】
サンプル番号4は、ドーパミン遊離について100nMのEC50値および57%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効率的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で、100nMのEC50値および60%のEmax値を示し、該化合物は効率的にCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0085】
サンプル番号4は、筋肉型受容体で15%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は、筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で36%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉および神経節効果は示さない。該化合物は、ルビジウムイオン流入およびドーパミン遊離の活性化に必要な量より大きくで使用した場合にのみ筋肉効果および神経節効果を引き起こし始め、従って、この化合物の投与を受けた被検者に、望ましくない副作用はないことを示唆する。
【0086】
[例11]
サンプル番号5は、(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0087】
[(2S)−4−ペンテン−2−オール]
(2S)−4−ペンテン−2−オールは、A.Kalivretenos、J.K.StilleおよびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)に詳述されるように、(R)−(+)−プロピレンオキシドからの(2R)−4−ペンテン−2−オールの調製で記載したのと類似の手順を使用して、(S)−(−)−プロピレンオキシドから調製した。従って、ビニルマグネシウムブロミドの1.0M THF溶液(129mL、129.0mmol)をゆっくりと、−25℃の、ヨウ化銅(I)(2.46g、12.92mmol)の乾燥THF(40mL、ナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留)懸濁液に加えた。5分間撹拌した後、(S)−(−)−プロピレンオキシド(5.00g、86.1mmol)の乾燥THF(5mL)溶液を加えた。この混合物を−10℃まで加温し、0℃の冷凍庫に12時間入れた。この混合物をさらに1時間0℃で撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)および氷(100g)の混合物に注いだ。この混合物を4時間撹拌し、エーテル(3×100mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、減圧下で回転蒸発により0℃で濃縮した。得られた褐色の油状物を減圧蒸留すると、9mmHgで沸点37−39℃の、5.86g(79.1%)の無色の留出物が得られた。
【0088】
[(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン(12.56g、58.13mmol)、(2S)−4−ペンテン−2−オール(5.00g、58.05mmol)、酢酸パラジウム(II)(130mg、0.58mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(706mg、2.32mmol)、トリエチルアミン(35mL、252mmol)およびアセトニトリル(35mL)の混合物を封管ガラスチューブ中、130〜140℃で8時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却した。溶媒を減圧下で回転蒸発器で除去した。水(50mL)を加え、混合物をクロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、クロロホルム−アセトン(95:5、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、7.80g(60.7%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0089】
[(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
窒素雰囲気下で、p−トルエンスルホニルクロリド(11.45g、60.06mmol)を、0℃の(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(7.00g、31.63mmol)の乾燥トリエチルアミン(30mL)撹拌溶液に加えた。18時間かけて撹拌し周囲温度まで加温した後、混合物を回転蒸発器により濃縮した。粗生成物を、飽和NaHCO3溶液(100mL)と共に1時間撹拌し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、暗褐色の油状物として10.00g(84.2%)が得られ、これはさらに精製することなく使用した。
【0090】
[(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(2S)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(10.00g、26.63mmol)およびメチルアミン(50mL、2.0MのTHF溶液)の混合物を100℃で10時間、封管ガラスチューブ中で加熱した。混合物を周囲温度まで冷却し、減圧下で回転蒸発器で濃縮した。粗生成物を飽和NaHCO3溶液(50mL)で処理し、クロロホルム(4×50mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を乾燥(K2CO3)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、暗褐色油状物(3.50g)が得られた。粗生成物を、クロロホルム−メタノール(95:5、v/v)で溶出しながら反復(2回)シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると明褐色の油状物(2.50g)が得られた。油状物は、短経路の蒸留装置を使用して減圧蒸留によりさらに精製し、0.04mmHgで沸点98〜100℃の2.05g(32.9%)の無色油状物を回収した。
【0091】
[(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
ガラクタル酸(314.0mg、1.49mmol)を、10分間におよび加熱および超音波により補助して、2−プロパノール(10mL)および水(〜1mL)に溶かした。(2R)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(700.3mg、2.99mmol)の2−プロパノール(10mL)溶液を加え、次いで、60℃で10分間さらに超音波および加熱を実施した。熱溶液をろ過して不溶性物質を除去した。溶媒を回転蒸発器で除去し、得られた明褐色シロップを乾燥2−プロパノール(5mL)に溶かし、4℃で冷却した。得られた沈殿物をろ過し、高真空下で乾燥すると、融点150〜153℃の657mg(64.8%)のオフホワイトの結晶粉末が得られた。
【0092】
サンプル番号5は、2.957のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が、血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは62nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0093】
サンプル番号5は、ドーパミン遊離について634nMのEC50値および38%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で、88nMのEC50値および14%のEmax値を示し、該化合物はCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0094】
サンプル番号5は、筋肉型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は、筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で14%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該サンプルは、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉および神経節効果は示さない。
【0095】
[例12]
サンプル番号6は、(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0096】
[(2R)−4−ペンテン−2−オール]
(2R)−4−ペンテン−2−オールは、82.5%収率で、(R)−(+)−プロピレンオキシドから、A.Kalivretenos、J.K.StilleおよびL.S.Hegedus、J.Org.Chem.56:2883(1991)に示される手順に従って調製した。
【0097】
[(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
5−ブロモ−3−イソプロポキシピリジン(10.26g、47.50mmol)、(2R)−4−ペンテン−2−オール(4.91g、57.00mmol)、酢酸パラジウム(II)(106mg、0.47mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(578mg、1.90mmol)、トリエチルアミン(28.46mL、204.25mmol)およびアセトニトリル(30mL)の混合物を封管ガラスチューブ中で140℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、淡い黄色の油状物(8.92g、85.0%)が得られた。
【0098】
[(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
0℃の(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(8.50g、38.46mmol)の乾燥ピリジン(30mL)撹拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(14.67g、76.92mmol)を加えた。反応混合物を24時間周囲温度で撹拌した。ピリジンを回転蒸発により除去した。トルエン(50mL)を残渣に加え、回転蒸発により除去した。粗生成物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)と共に撹拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、暗褐色の粘性油状物(11.75g、81.5%)が得られた。
【0099】
[(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(2R)−(4E)−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(11.00g、29.33mmol)、メチルアミン(200mL、40%水溶液)、およびエチルアルコール(10mL)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルムを硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−メタノール(7:3、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると油状物が得られた。減圧蒸留によりさらに精製すると、0.5mmHgで沸点90〜100℃の2.10g(31.0%)の無色の油状物が得られた。
【0100】
[(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(2S)−(4E)−N−メチル−5−(5−イソプロポキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(2.00g、8.55mmol)を、70℃まで加温することにより補助して、エチルアルコール(20mL)に溶かした。温溶液をガラクタル酸(900mg、4.27mmol)で少しずつ処理し、次いで水(0.5mL)を滴下して加えた。この溶液を熱いうちにろ過して不溶性物質を除去した。濾液を周囲温度まで冷却した。得られた結晶をろ過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で40℃で乾燥すると、融点140−143℃の白色の結晶粉末(750mg、26.0%)が得られた。
【0101】
サンプル番号6は、2.957のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が、血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは11nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0102】
サンプル番号6は、ドーパミン遊離について106nMのEC50値および85%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で、220nMのEC50値および58%のEmax値を示し、該化合物は効率的にCNSニコチン受容体の活性化を誘導することを示唆する。
【0103】
サンプル番号6は、筋肉型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は、筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉または神経節効果は示さない。
【0104】
[例13]
サンプル番号7は、(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0105】
[(4E)−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
3,5−ジブロモピリジン(23.60g、100.0mmol)、4−ペンテン−2−オール(10.8g、125.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(230mg、1.02mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(1.20g、3.94mmol)、トリエチルアミン(29.7mL、213.45mmol)およびアセトニトリル(40mL)の混合物を封管ガラスチューブ中で140℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。回転蒸発により溶媒を除去し、アセトン−クロロホルム(1:9、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施すると、8.10g(34.0%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0106】
[(4E)−N−メチル−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
0℃の(4E)−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.14g、13.0mmol)の乾燥ピリジン(30mL)撹拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(3.71g、19.5mmol)を加えた。反応混合物を24時間周囲温度で撹拌した。ピリジンを回転蒸発により除去した。トルエン(50mL)を残渣に加え、続いて回転蒸発により除去した。粗生成物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)と共に撹拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、(4E)−5−(5−ブロモ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネートが得られた。得られたトシレートを、過剰のメチルアミン(40%水溶液)、エチルアルコール(10mL)で処理し、周囲温度で18時間撹拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。回転蒸発により溶媒を除去し、次いで、クロロホルム−メタノール(95:5、v/v)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施すると、1.50g(45.0%)の淡黄色の油状物が得られた。
【0107】
サンプル番号7は、2.026のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、284nMのKiを示し、該化合物はあるCNSニコチン受容体への結合を示すことを示唆する。
【0108】
サンプル番号7は、ドーパミン遊離について202nMのEC50値および18%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で0%のEmax値を示し、該化合物はあるCNSニコチン受容体で選択的活性化を示すことを示唆する。
【0109】
サンプル番号7は、筋肉型受容体で6%のEmax値(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で8%のEmax値(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉または神経節効果は示さない。
【0110】
[例14]
サンプル番号8は、(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0111】
[3−ブロモ−3−メトキシピリジン]
3,5−ジブロモピリジン(20.00g、84.42mmol)、ナトリウムメトキシド(11.40g、211.06mmol)および銅粉末(1g、3,5−ジブロモピリジンの5重量%)の混合物の乾燥メタノール溶液を、封管ガラスチューブ中で150℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、ジエチルエーテル(4×200mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:9、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、9.40g(59.5%)の無色油状物が得られ、これは冷却すると結晶化する傾向があった。
【0112】
[(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール]
5−ブロモ−3−メトキシピリジン(4.11g、21.86mmol)、4−ペンテン−2−オール(2.25g、26.23mmol)、酢酸パラジウム(II)(49mg、0.22mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(266mg、0.87mmol)、トリエチルアミン(13.71mL、98.37mmol)およびアセトニトリル(15mL)の混合物を封管ガラスチューブ中、140℃で14時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水で希釈し、クロロホルム(3×200mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、3.53g(70.3%)の淡い黄色の油状物が得られた。
【0113】
[(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート]
0℃の(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オール(3.50g、18.13mmol)の乾燥ピリジン(15mL)撹拌溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(6.91g、36.27mmol)を加えた。反応混合物を24時間周囲温度で撹拌した。ピリジンを回転蒸発により除去した。トルエン(50mL)を残渣に加え、続いて回転蒸発により除去した。粗生成物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)と共に撹拌し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、5.25g(83.5%)の暗褐色の粘性油状物が得られた。
【0114】
[(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
(4E)−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−オールp−トルエンスルホネート(5.00g、14.41mmol)、メチルアミン(150mL、40%水溶液)およびエチルアルコール(10mL)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。得られた溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、回転蒸発により濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル−メタノール(7:3、v/v)で溶出しながら酸化アルミニウムのカラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮すると、油状物が得られた。減圧蒸留によりさらに精製すると、0.5mmHgで沸点90〜100℃の1.25g(41.8%)の無色油状物が得られた。
【0115】
[(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(4E)−N−メチル−5−(5−メトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.20g、5.83mmol)を、60℃まで加温することにより補助してエチルアルコール(20mL)に溶かした。温溶液をガラクタル酸(610mg、2.91mmol)で少しずつ処理し、次いで水(0.5mL)を滴下して加えた。溶液を熱いうちにろ過して不溶性物質を除去した。濾液を周囲温度まで冷却した。得られた結晶をろ過し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で40℃で乾燥すると、融点143−145℃の1.05g(58.0%)の白色の結晶粉末が得られた。
【0116】
サンプル番号8は、2.025のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、22nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0117】
サンプル番号8は、ドーパミン遊離について5000nMのEC50値および110%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。
【0118】
サンプル番号8は、筋肉型受容体で10%のEmax値(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で2%のEmax値(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉または神経節効果は示さない。
【0119】
[例15]
サンプル番号9は、(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0120】
[5−ブロモ−3−エトキシピリジン]
窒素雰囲気下で、ナトリウム(4.60g、200.0mmol)を無水エタノール(100mL)に0〜5℃で加え、撹拌混合物を18時間かけて周囲温度まで加温させた。得られた溶液に、3,5−ジブロモピリジン(31.50g、133.0mmol)、次いでDMF(100mL)を加えた。この混合物を70℃で48時間加熱した。褐色混合物を冷却し、水(600mL)に注ぎ、エーテル(3×500mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮すると、46.70gの油状物が得られた。減圧蒸留により精製すると、2.8mmHgで沸点89〜90℃の22.85g(85.0%)の油状物(文献、5mmHgで沸点111℃、K.Clarkeら、J.Chem.Soc.1885(1960)を参照されたい)が得られた。
【0121】
[(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
窒素雰囲気下で、5−ブロモ−3−エトキシピリジン(1.20g、5.94mmol)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.18g、5.94mmol)、酢酸パラジウム(II)(13.5mg、0.06mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(73.1mg、0.24mmol)、トリエチルアミン(1.5mL、10.8mmol)および無水アセトニトリル(3mL)の混合物を撹拌し、80〜85℃で28時間還流下で加熱した。ベージュの固体を含む得られた混合物を、周囲温度まで冷却し、水(20mL)で希釈し、CHCl3(3×20mL)で抽出した。合わせた明黄色CHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、黄色の油状物(1.69g)が得られた。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(1:1、v/v)で溶出しながらシリカゲル(100g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.20)を含む選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、残渣を真空乾燥すると、0.67g(35.2%)の明黄色の油状物が得られた。
【0122】
[(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
窒素雰囲気下で、冷却された(0〜5℃)(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(0.67g、2.09mmol)のアニソール(10mL)撹拌溶液を、30分間かけてトリフルオロ酢酸(10.40g、91.17mmol)の滴下により処理した。得られた溶液を45分間0〜5℃で撹拌し、次いで、回転蒸発により濃縮した。明黄色油状物は、0.5mmHgの高真空下でさらに乾燥させた。得られた油状物を冷却(0〜5℃)し、10%NaOH溶液(10mL)で塩基性とし、飽和NaCl溶液(7.5mL)で処理し、CHCl3(4×10mL)で処理した。合わせた明黄色のCHCl3抽出物を、飽和NaCl溶液(20mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、次いで、0.5mmHgでさらに乾燥させると褐色の油状物(0.46g)が得られた。粗生成物を、CH3OH−Et3N(98:2、v/v)で溶出しながらシリカゲル(56g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.35)を含む選択した画分を合わせ、回転蒸発器で濃縮した。残渣をCHCl3に溶かし、CHCl3溶液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、327.5mg(71.0%)の明黄色の油状物が得られた。
【0123】
[(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(4E)−N−メチル−5−(5−エトキシ−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンの無水エタノール(2.3mL)溶液に、ガラクタル酸(72.2mg、0.34mmol)を加えた。水(0.5mL)を、明褐色溶液を穏やかに加温しながら、滴下して加えた。溶液を、ガラスウールを通して濾過し、いくつかの不溶性粒子を除去し、フィルター栓をエタノール−水(4:1、v/v)(1mL)で洗浄した。濾液をエタノール(3.4mL)で希釈し、周囲温度まで冷却し、さらに5℃で18時間冷却した。沈殿物は全く形成されなかったので、溶液を回転蒸発器で濃縮した。得られた固体を高真空下で乾燥し、2−プロパノール−水から再結晶した。5℃で48時間冷却した後、生成物をろ過し、冷却された2−プロパノールで洗浄し、45℃で6時間真空乾燥した。さらに周囲温度で18時間真空乾燥すると、融点141〜143.5℃の168mg(76.1%)の白色からオフホワイトの粉末が得られた。
【0124】
サンプル番号9は、2.556のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、15nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性の結合を示すことを示唆する。
【0125】
サンプル番号9は、ドーパミン遊離について520nMのEC50値および85%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で0%のEmax値を示し、該化合物はCNSニコチン受容体で選択的活性化を誘導することを示す。
【0126】
サンプル番号9は、筋肉型受容体で21%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で9%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。すなわち、あるレベルで、該化合物は有意な程度のCNS効果を示すが、任意の有意な程度の望ましくない筋肉または神経節効果は示さない。
【0127】
[例16]
サンプル番号10は、(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミンであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0128】
[(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
2−アミノ−5−ブロモ−3−メチルピリジン(1.41g、7.53mmol)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.50g、7.53mmol)、酢酸パラジウム(II)(33.8mg、0.15mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(183.2mg、0.60mmol)、トリエチルアミン(4.50mL、32.3mmol)および無水アセトニトリル(8mL)の混合物を撹拌し、130〜132℃で封管ガラスチューブ中、18時間加熱した。この混合物を140℃で84時間さらに加熱した。得られた暗褐色溶液を周囲温度まで冷却し、回転蒸発により濃縮した。残渣を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3×25mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、暗褐色油状物(2.84g)が得られた。粗生成物を、酢酸エチル−ヘキサン(3:1、v/v)で溶出しながらシリカゲル(135g)カラムクロマトグラフィーにより精製し、不純物を除去し、次いで、CH3OH−Et3N(98:2、v/v)で溶出し、生成物を回収した。生成物(Rf0.70)を含む画分を合わせ、CHCl3に溶かした。CHCl3溶液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、1.11g(48.4%)の琥珀褐色油状物が得られた。
【0129】
[(4E)−N−メチル−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン]
窒素雰囲気下で、トリフルオロ酢酸(17.76g、155.76mmol)を、滴下漏斗を介して30分間かけて、冷却された(0〜5℃)(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(6−アミノ−5−メチル−3−ピリジル)−4−ペンテン−2−アミン(1.11g、3.47mmol)のアニソール(15mL)撹拌溶液に滴下して加えた。得られた溶液を45分間0〜5℃で撹拌し、次いで回転蒸発により濃縮した。粘性褐色油状物をさらに18時間高真空下で乾燥させた。粗生成物を冷却(0〜5℃)し、10%NaOH溶液(10mL)で塩基性とし、飽和NaCl溶液(10mL)で処理し、CHCl3(5×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、次いで、高真空下でさらに乾燥すると、暗褐色油状物が得られた。粗生成物は、CHCl3−CH3OH−Et3N(4:1:1、v/v/v)で溶出しながらシリカゲル(50g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.13)を含む選択した画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、残渣をCHCl3−CH3OH(7:3、v/v)で溶出しながら再度シリカゲル(50g)クロマトグラフィーを実施した。生成物(Rf0.12)を含む画分を合わせ、回転蒸発により濃縮した。残渣をCHCl3に溶かし、CHCl3溶液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると黄色の油状物(0.087g)が得られ、これは結晶化する傾向があった。半結晶物質を少量の酢酸エチルを含む温ヘキサン溶液に溶かした。温溶液を不溶性ゴム状物質からデカンテーションした。溶液を周囲温度まで冷却し、さらに5℃で18時間冷却した。得られた結晶固体を回収し、ヘキサンで洗浄し、40℃で16時間真空乾燥した。収量は、融点78〜81℃の明黄色粉末30.8mg(4.3%)であった。
【0130】
サンプル番号10は、1.333のlogPを示し、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、720nMのKiを示す。結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への高親和性結合を示すことを示唆する。
【0131】
サンプル番号10は、ドーパミン遊離について100000nMのEC50値および200%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。
【0132】
サンプル番号10は、筋肉型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で0%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。
【0133】
[例17]
サンプル番号11は、(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレートであり、これは、以下の技法に従って調製した。
【0134】
[(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール]
ガラス加圧チューブに、5−ブロモピリミジン(1.28g、8.05mmol)、N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ペンテン−2−アミン(1.60g、8.05mmol)、酢酸パラジウム(II)(18.1mg、0.08mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(98.6mg、0.32mmol)、トリエチルアミン(3.00mL、21.5mmol)および無水アセトニトリル(6mL)の混合物を添加した。チューブに窒素を流し、封管した。混合物を撹拌し、90℃で64時間加熱し、次いで、さらに110℃で24時間加熱した。得られた褐色混合物を周囲温度まで冷却し、回転蒸発により濃縮した。褐色残渣を水(25mL)で希釈し、CH2Cl2(3×25mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、暗褐色油状物(2.24g)が得られた。粗生成物は、酢酸エチル−ヘキサン(3:1、v/v)で溶出しながらシリカゲル(120g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.21)を含む画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、1.05g(46.9%)の明黄色の油状物が得られた。
【0135】
[(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール]
窒素雰囲気下で、(4E)−N−メチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−オール(881.2mg、3.18mmol)のCHCl3(55mL)撹拌溶液を、周囲温度で、ヨードトリメチルシラン(1.41g、7.03mmol)の滴下により処理した。得られた溶液を30分間撹拌した。メタノール(55mL)を加え、溶液をさらに1時間撹拌し、回転蒸発により濃縮した。氷浴で冷却しながら、残渣を10%NaOH溶液(10mL)で塩基性とし、飽和NaCl溶液(10mL)で処理し、CHCl3(8×10mL)で抽出した。合わせたCHCl3抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、次いで高真空下でさらに乾燥すると明褐色油状物(0.50g)が得られた。粗生成物を、CH3OH−NH4OH(20:1、v/v)で溶出しながらシリカゲル(50g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物(Rf0.43)を含む画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、残渣をCHCl3に溶かした。CHCl3溶液を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、回転蒸発により濃縮し、真空乾燥すると、306.4mg(54.4%)の明琥珀油状物が得られた。
【0136】
[(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミンヘミガラクタレート]
(4E)−N−メチル−5−(5−ピリミジニル)−4−ペンテン−2−アミン(258.6mg、1.46mmol)の無水エタノール(2.3mL)温溶液に、ガラクタル酸(153.3mg、0.73mmol)を加えた。水(0.8mL)を加え、溶液をほとんどの固体が溶けるまで還流付近まで加熱した。この溶液をガラスウールを通してろ過し、いくつかの白色の不溶性粒子を除去し、フィルター栓を温エタノール−水(4:1、v/v)(1.1mL)で洗浄した。濾液をエタノール(6.5mL)で希釈し、周囲温度まで冷却し、5℃で48時間さらに冷却した。白色沈殿物をろ過し、冷却されたエタノールで洗浄し、40℃で18時間真空乾燥した。収量は、融点164〜167℃のふわふわした白色の結晶粉末390.6mg(94.8%)であった。
【0137】
サンプル番号11は、0.571のlogPを示すと決定され、かかる好ましいlogP値は、該化合物が血液脳関門を通過できることを示唆する。該サンプルは、179nMのKiを示す。低い結合定数は、該化合物のあるCNSニコチン受容体への良好な高親和性結合を示すことを示唆する。
【0138】
サンプル番号11は、ドーパミン遊離について1500nMのEC50値および80%のEmax値を示し、該化合物は、神経伝達物質遊離を効果的に誘導し、よって既知のニコチン薬理を示すことを示唆する。該サンプルは、ルビジウムイオン流入検定で100000nMのEC50値および0%のEmax値を示し、該化合物はCNSニコチン受容体で選択的効果を示すことを示唆する。
【0139】
サンプル番号11は、筋肉型受容体で0%のEmax値(100μMの濃度で)を示し、該化合物は筋肉型受容体の活性化を誘導しないことを示唆する。該サンプルは、神経節型受容体で13%のEmax(100μMの濃度で)を示す。該化合物は、任意の有意な程度の筋肉型および神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することなく、ヒトCNS受容体を活性化できる。従って、CNS障害の治療に利用する治療手段が提供される。
【0140】
前記は本発明の説明であり、発明を制限するものとは捉えない。本発明は、クレームにより定義され、クレームの等価物も本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で表される化合物および医薬的に許容されるその塩:
【化1】

[式中、
Xは、N、C−H、C−F、C−Cl、C−Br、C−I、C−R’、C−NR’R”、C−CF、C−OH、C−CN、C−NO、C−CR’、C−SH、C−SCH、C−N、C−SOCH、C−OR’、C−SR’、C−C(=O)NR’R”、C−NR’C(=O)R’、C−C(=O)R’、C−C(=O)OR’、C(CH2qOR’、C−OC(=O)R’、COC(=O)NR’R”またはC−NR’C(=O)OR’であり、
R’およびR”は、それぞれ別個に水素またはアルキルであり、
qは、1〜6の整数であり、
Z’およびZ”は、それぞれ別個に水素またはアルキルであり、Z’およびZ”の少なくとも1つは水素であり、ならびに
構造中の波線は化合物がシス(Z)またはトランス(E)形を有し得ることを示す]。
【請求項2】
XがC−H、C−BrまたはC−OR’である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R’が直鎖または分岐アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R’およびR”がC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R’およびR”がメチル、エチル、イソプロピルまたはイソブチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Z’が水素であり、Z”が直鎖または分岐アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Z’が水素であり、Z”がC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Z”がメチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物および医薬的に許容される担体を含む薬剤組成物。
【請求項10】
老年痴呆(アルツハイマー型痴呆)または注意不足障害から選択される中枢神経系障害を治療するための、請求項9に記載の薬剤組成物。

【公開番号】特開2010−229149(P2010−229149A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135746(P2010−135746)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【分割の表示】特願2008−130502(P2008−130502)の分割
【原出願日】平成11年6月3日(1999.6.3)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】