説明

アルカリ土類金属シリケート系蛍光体及びこれを含む白色発光素子

【課題】白色発光素子用蛍光体及びこれを含む白色発光素子を提供する。
【解決手段】本発明は、(M11−x−yMgM2で表示されるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体及びこれを含むLEDである。式中、M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、M2は、Si及びGeのうちから選択された一つ以上であり、A、Bは、それぞれ独立して、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つであり、Zは、一価または二価元素、H及びNからなる群から選択された一つ以上であり、0<x<1、0≦y≦1、6.3<a<7.7、0.9<b<1.1、3.6<c<4.4、14.4<d<17.6、14.4<d+e<17.6及び0≦e≦0.18である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類金属シリケート系蛍光体及びこれを含む白色発光素子(Light Emitting Device:LED)に係り、さらに詳細には、広い励起波長領域及び広い波長範囲の発光領域を有し、優れた発光効率を示すアルカリ土類金属シリケート系蛍光体及びこれを含む白色発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を利用した白色LEDは、白熱電球に比べて寿命が長く、小型化が可能であり、低電圧で駆動できるので、家庭用蛍光灯、液晶表示素子のバックライトなどをはじめとする照明分野全般にわたって代替光源としての可能性が認められている。
【0003】
このような白色LEDを具現する方法は、光の三原色である赤色、緑色、青色を出す3個のLEDを組み合わせて白色を具現する方式、青色LEDを光源として用いて黄色蛍光体を励起させることで白色を具現する方式、またはUV LEDを光源として用いて三原色蛍光体を励起させて白色を具現する方式に主に分けられる。
【0004】
前記のような白色LEDを具現する場合、赤色蛍光体としては、KEu2.5(WO6.25、LaS:Euなどが使われ、緑色蛍光体として(Ba,Sr)SiO:Euなどが使われ、青色蛍光体としてSr(POCl:Euなどが使われることが一般的である。
【0005】
前記の3方式のうち、3番目の方式によれば、高電流下での使用が可能であり、色感に優れるので、これについての研究が最近最も活発に進められている。このようなUV LEDを光源とし、緑色蛍光体としてZnS:Cu,Al、BaMgAl1017:Eu,Mnなどが使われて、CRT、照明などに適用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の蛍光体は、ホスト材料となる化合物の結晶構造上の理由から発光効率が低く、このような低い発光効率だけでなく、発光ピーク波長領域が狭くて、自然光と類似した発光を得ることが困難であった、という問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、前記問題点を解決してUV励起光源で発光効率に優れ、かつ発光ピーク波長領域の広いアルカリ土類金属シリケート系蛍光体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記の蛍光体を含む発光効率に優れ、自然光に近い特性を有する白色LEDを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、下記化学式1で表示される化合物であるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体が提供される。
【0010】
(M11−x−yMgM2 ・・・(化学式1)
【0011】
前記式中、M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、M2は、Si及びGeのうちから選択された一つ以上であり、A、Bは、それぞれ独立して、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つであり、Zは、一価または二価元素、H及びNからなる群から選択された一つ以上であり、0<x<1、0≦y≦1、6.3<a<7.7、0.9<b<1.1、3.6<c<4.4、14.4<d<17.6、14.4<d+e<17.6及び0≦e≦0.18である。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、UV LEDと、前述したアルカリ土類金属シリケート系蛍光体を含む白色LEDが提供される。
【0013】
前記UV LEDの励起波長が390〜460nmの範囲であることが望ましく、前記白色LEDは、青色蛍光体及び赤色蛍光体のうちから選択された一つ以上をさらに含みうる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化学式1で表示されるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、広い励起波長領域を有するので、白色LEDを具現するにあたってUV LED及び青色LEDにいずれも適用可能であり、また、発光スペクトルの総発光面積が従来の蛍光体より広いので、さらに優れた発光効率を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
本発明は、下記化学式1で表示されるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体を提供し、この蛍光体は、広い励起波長領域を有するので、白色LEDを具現するにあたってUV LED及び青色LEDにいずれも適用可能であり、また、発光スペクトルの総発光面積が従来の蛍光体より広いので、さらに優れた発光効率を示す。
【0017】
(M11−x−yMgM2 ・・・(化学式1)
【0018】
前記式中、M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、M2は、Si及びGeのうちから選択された一つ以上であり、A、Bは、それぞれ独立して、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つであり、Zは、一価または二価元素(例えば、F、Cl、S2−、OH等)、H及びNからなる群から選択された一つ以上であり、0<x<1、0≦y≦1、6.3<a<7.7、0.9<b<1.1、3.6<c<4.4、14.4<d<17.6、14.4<d+e<17.6及び0≦e≦0.18である。なお、Zが含まれる場合としては、例えば、(1)合成に際し、フッ化物、塩化物、硫化物などをフラックス(融剤)として使用した場合であって、これら化合物のアニオン成分が取り込まれた場合や、(2)空気中に放置した場合などに、水分と反応してOHが付加された場合などがある。
【0019】
前記本発明による化学式1の化合物は、ブレディガイト(bredigite)構造を有する。本発明のブレディガイト構造を有する化合物は、結晶場が他のさまざまなアルカリ土類金属サイトを含み、このとき、アルカリ土類金属のそれぞれのサイトに、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、dY、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、SnまたはSbのようなドーパントが一部または全部置換できるので、広い励起波長領域及び発光領域を有するようになる。
【0020】
前記のような特性のブレディガイト構造を有する化合物は、蛍光体として有用に使われることができ、特に、照明用白色LEDに適している。また、広い励起波長領域を有するため、励起光源として、UV LED及び青色LEDにいずれも適用可能である。
【0021】
前記化学式1で表示されるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、390〜460nmの範囲の励起波長領域で吸収スペクトルを示し、ピーク波長500〜550nmで優れた発光効率を示す。
【0022】
本発明による化学式1のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、前記化学式から分かるように、アルカリ土類金属以外に、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つ以上の金属イオンが共にドーピングされている。前記イオンは、ブレディガイト構造の蛍光体ホスト格子によってUV光を強く吸収でき、多様な色の光を具現することが可能である。
【0023】
前記化学式1の化合物は、独特の結晶構造を有する。図3は、前記化学式1の化合物の一例であるCaMgSi16のブレディガイト結晶構造を示す図である。前記化学式1でM1は、斜方晶系結晶構造内のユニットセルで8個のサイトを占めているが、これらは、EuまたはMnなどによって置換されて蛍光体として使われうる。前記8個それぞれのサイトは、異なる結晶場を有するので、各サイトに置換されたEuまたはMnなどの賦活剤(activator)を励起させるのに必要な励起光源の波長はそれぞれ異なり、これにより、発光スペクトルの波長も広い範囲にわたって現れる。本発明の化合物のこのような特性は、自然光に近いLED光を得るための蛍光体として有用に用いられる。
【0024】
図2Aは、自然光の波長によるエネルギー強度を示すグラフであり、図2B及び図2Cは、本発明による化合物の場合に励起光線の波長の分布と発光波長の分布を概略的に示すグラフである。図2A、図2B及び図2Cにおいて、縦軸のエネルギー(%)は、スペクトルの最大発光強度を100%としたときの標準化強度又は相対強度を示している。従来の赤色、緑色、青色の蛍光体は、それぞれのカラーに対応する狭くて一定の波長帯域でのみ強い発光が得られる一方、本発明による化合物の場合は、図2Cのように波長による発光を表すグラフを図示すれば、非常に自然光に近いグラフ、すなわち図2Aと類似したグラフが現れる。
【0025】
前記化学式1のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、特に、下記化学式2で表示される蛍光体であることが望ましい。
【0026】
(M11−x−yMgM2 ・・・(化学式2)
【0027】
前記式中、M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、M2は、SiまたはGeのうちから選択された一つ以上であり、A、Bは、それぞれ独立して、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つであり、0<x<1、0≦y≦1、6.3<a<7.7、0.9<b<1.1、3.6<c<4.4及び14.4<d<17.6である。
【0028】
前記化学式2で表示される蛍光体の具体的な例として、(Ca0.99Eu0.01MgSi16(CaMgSi16:Euと同様に表記される)、(Ca0.96Eu0.01Mn0.03MgSi16(CaMgSi16:Eu,Mnと同様に表記される)、(Ca0.99Ce0.01MgSi16などがある。
【0029】
本発明による化学式1の蛍光体の製造方法は、特に制限されず、固相法、液相法または気相法が可能である。固相法によって製造される場合を説明すれば次の通りである。
【0030】
以下、本発明の望ましい一実施形態によるCaMgSi16:Eu,Mnの場合を例に挙げて説明する。
【0031】
カルシウム含有化合物、マグネシウム含有化合物のうちから選択された一つ以上、ユーロピウム含有化合物、マンガン含有化合物、リン酸化合物、シリコン含有化合物を化学量論的な含有量程度採取してこれらを混合する。このように得た混合物は、必要に応じて粉砕過程を経て、これを乾燥して800〜1300℃で1次焼結する。
【0032】
次いで、前記1次焼結された結果物を水素と窒素との混合ガス雰囲気下で1000〜1500℃で2次焼結する。ここで、前記混合ガスで水素の含有量は、少なくとも5体積%程度になるように調節する。
【0033】
前記焼結を2段階にかけて実施することは、1次焼結は、混合原料に含まれた水分、有機物または一部塩の錯体のような不純物を除去させつつ、結晶成長を促進させるためである。1次焼結温度が800℃未満であれば、結晶がよく形成されず、1300℃を超過すれば、混合成分内で不要な未反応物質を形成することがあり、2次相焼結生成反応を妨げて波長変換効率を低下させるという問題点がある。
【0034】
前記2次焼結温度が1000℃未満であれば、合成反応が円滑に行われないため、UV波長領域で所望の発光強度が得られず、1500℃を超過すれば、目的物が高温で溶解されてガラス相が形成されて発光強度が減少し、所望の物性の粉末を得難いため望ましくない。
【0035】
前記カルシウム含有化合物としては、CaCO、CaCl・2HOなどを使用し、前記マグネシウム含有化合物としては、MgO、MgCOなどを使用する。カルシウムの代わりにストロンチウムまたはバリウムを使用する場合、このようなストロンチウム含有化合物としては、SrCO、SrCl・6HOなどを使用し、バリウム含有化合物としては、BaCO、BaClなどを使用する。そして、前記ユーロピウム含有化合物としては、Euなどを使用し、前記マンガン含有化合物としては、MnCO、MnO、MnCl・4HOなどを使用し、前記リン酸化合物としては、NHPO、(NHHPO、などを使用し、前記シリコン含有化合物としては、SiO、HSiO、TEOSなどを使用する。
【0036】
本発明の他の態様において、LED及び緑色蛍光体として前記本発明の蛍光体を含む白色LEDを提供する。緑色蛍光体としては、具体的には、ユーロピウム・マンガン共賦活アルミン酸塩緑色発光蛍光体を使用することができる。
【0037】
前記本発明による白色LEDは、青色蛍光体及び赤色蛍光体のうちから選択された一つ以上をさらに含みうる。
【0038】
以下、前記本発明による白色LEDの製造方法について説明する。
【0039】
まず、前記化学式1のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体に青色蛍光体及び赤色蛍光体を混合して蛍光体組成物を準備する。
【0040】
前記青色蛍光体の例として、BaMgAl1627:Eu2+、SrAl1425:Eu2+、BaAl1219:Eu2+、(Sr,Mg,CA,Ba)(POCl:Eu2+、SrSi・2SrCl:Eu2+などを使用する。
【0041】
前記青色蛍光体の含有量は、具現しようとする発光領域によって可変的であるが、緑色蛍光体1質量部を基準として0.1〜15質量部、特に0.1〜5質量部であることが望ましい。青色蛍光体の含有量が前記範囲を外れれば、色特性などが望ましくない。
【0042】
前記赤色蛍光体の例として、Y:Eu3+、Bi3+;(Sr,CA,Ba,Mg,Zn):Eu2+、Mn2+;(Ca,Sr,Ba,Mg,Zn)10(PO(F,Cl,Br,OH)2:Eu2+、Mn2+;(Gd,Y,Lu,La):Eu3+、Bi3+;(Gd,Y,Lu,La)S:Eu3+、Bi3+;(Gd,Y,Lu,La)BO:Eu3+、Bi3+;(Gd,Y,Lu,La)(P,V)O:Eu3+、Bi3+;(Ca,Sr)S:Eu2+; CaLa:Ce3+;(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu2+、Mn2+;(Y,Lu)WO:Eu3+、Mo6+;(Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+(0.5≦x≦3.1、5≦y≦8、0<z≦3)、(Sr,CA,Ba,Mg,Zn)SiO:Eu2+、Mn2+などが挙げられる。
【0043】
前記赤色蛍光体の含有量は、具現しようとする発光領域によって可変的であるが、緑色蛍光体1質量部を基準として0.1〜15質量部、特に、0.1〜5質量部であることが望ましい。赤色蛍光体の含有量が前記範囲を外れれば、色特性などが望ましくない。
【0044】
本発明の化学式1のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、緑色蛍光体として使われる。
【0045】
本発明による白色LEDにおいて、望ましくは、前記緑色蛍光体の放出ピーク波長が500〜550nmであり、前記青色蛍光体の放出ピーク波長が440〜460nmであり、前記赤色蛍光体の放出ピーク波長が590〜690nmである。
【0046】
前記の組成を有する蛍光体組成物を利用して作ったLEDは、90以上の優れた演色指数を有し、照明光として使用する際に色表現に優れて自然光に近い。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態による白色LEDの構造を示す概略図であって、高分子レンズタイプの表面実装型LEDを示すものである。ここで、高分子レンズの一実施形態としてエポキシレンズを使用する。
【0048】
図1を参照して、UV LEDチップ10は、金ワイヤー20を介して電気リード線30とダイボンディングされ、本発明による緑色蛍光体を含有する蛍光体組成物40を含むように、エポキシモールド層50が形成されている。そして、図1で成形モールド60の内部は、アルミニウムまたは銀でコーティングされた反射膜からなり、これは、ダイオードから放出された光を上方に反射させる役割及び適当量のエポキシを閉じ込める役割を果たす。
【0049】
前記エポキシモールド層50の上部には、エポキシドームレンズ70が形成されており、このエポキシドームレンズ70は、所望の指向角によって形態を変えうる。
【0050】
本発明のLEDは、図1の構造のみに限定されることを意味するものではなく、この他に他の構造、例えばLEDに蛍光体が実装されるタイプ、砲弾型、PCBタイプの表面実装型タイプの構造を有するLEDでありうる。
【0051】
一方、本発明の化学式1で表示されるアルカリ土類金属シリケート系蛍光体は、前述のLED以外に、水銀ランプ、キセノンランプなどのランプまたは自発光液晶表示素子(LCD)にも適用可能である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を下記実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明が下記実施例により限定されるものではない。
【0053】
(合成例1:CaMgSi16:Eu((Ca0.99Eu0.01MgSi16)の製造)
CaCO30g、MgO1.74g、SiO10.4g及びEu0.5gを混合した。前記混合物をアルミナるつぼに入れて、これを電気炉に置いた。還元大気(5% H及び95% N)下で、1000〜1300℃で3〜10時間熱処理した。このように得た焼結体を粉末に粉砕し、蒸溜水で洗浄して、蛍光体サンプルCaMgSi16:Euを得た。
【0054】
前記粉末のX線回折(XRD)分析を実施し、その結果を図6Aに示し、予めシミュレーションした結果である図6Bと比較した。図6Aの結果が図6Bの結果と同一であるので、前記合成例1によって製造された蛍光体は、ブレディガイト構造を有するということを確認することができる。
【0055】
図7は、本発明の合成例1によって製造された蛍光体のSEM写真である。
【0056】
(合成例2:CaMgSi16:Eu,Mn((Ca0.99Eu0.01(Mg0.9Mn0.1)Si16)の製造)
CaCO35g、MgO 1.8g、SiO12.1g、Eu0.6g及びMnCO 0.6gを混合した。前記混合物をアルミナるつぼに入れて、これを電気炉に置いた。還元大気(5% H及び95% N)下で、1000〜1300℃で3〜10時間熱処理した。このように得た焼結体を粉末に粉砕し、蒸溜水で洗浄して、蛍光体サンプルCaMgSi16:Eu,Mnを得た。
【0057】
前記合成例1及び2によって製造された蛍光体の吸収スペクトルを調べ、その結果を図4に示した。
【0058】
図4で、市販されている緑色発光蛍光体の吸収スペクトルと比較する際、合成例1及び2の化合物は、約390〜約450nmの波長帯で高い吸収特性を示した。
【0059】
前記合成例1及び2によって製造された蛍光体の発光スペクトルを調べ、その結果を図5に示した。
【0060】
図5は、約390nm付近の励起波長で発光スペクトルを測定した結果であって、約430〜610nmの広い波長領域で発光が具現されたことを確認することができ、これにより、合成例1及び2の化合物が自然光に近い光を具現するのに有用であるということが分かった。また、市販されている緑色発光蛍光体の発光スペクトルと比較すると、合成例1及び2の化合物が広い波長領域で発光できるだけでなく、CaMgSi16:Eu,Mn発光スペクトル曲線内部面積が緑色発光蛍光体の場合の112%であり、高い発光強度が得られて、白色LED用蛍光体として実用化するのに適していることを確認することができた。
【0061】
(実施例1:白色LEDの製造)
緑色蛍光体として前記合成例1で製造した化合物を使用し(賦活剤はEu2+)、赤色蛍光体としてY:Eu、Biを使用し、青色蛍光体として(Sr,Ba,Ca)(POCl:Euを使用し、励起光源としてUV LED(波長:約390nm)を使用し、図1のような白色LEDを製造した。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、白色発光素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による白色LED構造を示す概略図である。
【図2A】自然光の波長によるエネルギー強度を示すグラフである。
【図2B】本発明による化合物の励起光線の波長分布を概略的に示すグラフである。
【図2C】本発明による化合物の発光波長の分布を概略的に示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態による蛍光体、CaMgSi16の結晶構造である。
【図4】本発明の合成例1及び2によって製造された蛍光体の吸収スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の合成例1及び2によって製造された蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
【図6A】本発明の合成例1によって製造された蛍光体のX線回折(XRD)スペクトルを示すずである。
【図6B】本発明の合成例1によって製造された蛍光体のX線回折(XRD)スペクトルのシミュレーションである。
【図7】本発明の合成例1によって製造された蛍光体のSEM写真である。
【符号の説明】
【0065】
10 LEDチップ
20 金ワイヤー
30 電気リード線
40 蛍光体組成物
50 エポキシモールド層
60 成形モールド
70 エポキシドームレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される化合物であることを特徴とする、アルカリ土類金属シリケート系蛍光体。
(M11−x−yMgM2 ・・・(化学式1)
前記式中、
M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、
M2は、Si及びGeのうちから選択された一つ以上であり、
A、Bは、それぞれ独立して、Eu、Ce、Mn、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Bi、Sn及びSbからなる群から選択された一つであり、
Zは、一価または二価元素、H及びNからなる群から選択された一つ以上であり、
0<x<1、 0≦y≦1、 6.3<a<7.7、 0.9<b<1.1、 3.6<c<4.4、 14.4<d<17.6、 14.4<d+e<17.6及び0≦e≦0.18である。
【請求項2】
前記蛍光体が、ブレディガイト構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体。
【請求項3】
前記蛍光体が、下記化学式2で表示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体。
(M11−x−yMgM2 ・・・(化学式2)
前記式中、
M1は、Ba、Ca及びSrからなる群から選択された一つであり、
M2は、Si及びGeのうちから選択された一つ以上であり、
A、Bは、それぞれ独立してEuまたはMnであり、
0<x<1、0≦y≦1、6.3<a<7.7、0.9<b<1.1、3.6<c<4.4及び14.4<d<17.6である。
【請求項4】
前記化学式1の化合物が、CaMgSi16:EuまたはCaMgSi16:Eu,Mnであることを特徴とする、請求項1に記載のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体。
【請求項5】
LEDと、
緑色蛍光体として請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のアルカリ土類金属シリケート系蛍光体と、
を含むことを特徴とする、白色発光素子。
【請求項6】
前記LEDの励起波長が、390〜460nmの範囲であることを特徴とする、請求項5に記載の白色発光素子。
【請求項7】
青色蛍光体及び赤色蛍光体のうちから選択された一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の白色発光素子。
【請求項8】
前記青色蛍光体は、BaMgAl1627:Eu2+、SrAl1425:Eu2+、BaAl1219:Eu2+、(Sr,Mg,CA,Ba)(POCl:Eu2+及びSrSi・2SrCl:Eu2+からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項7に記載の白色発光素子。
【請求項9】
前記赤色蛍光体は、Y:Eu3+,Bi3+(Sr,CA,Ba,Mg,Zn):Eu2+,Mn2+; (Ca,Sr,Ba,Mg,Zn)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu2+,Mn2+; (Gd,Y,Lu,La):Eu3+,Bi3+; (Gd,Y,Lu,La)S:Eu3+,Bi3+; (Gd,Y,Lu,La)BO:Eu3+,Bi3+; (Gd,Y,Lu,La)(P,V)O:Eu3+,Bi3+; (Ca,Sr)S:Eu2+;CaLa:Ce3+; (Ba,Sr,Ca)MgP:Eu2+,Mn2+; (Y,Lu)WO:Eu3+,Mo6+; (Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+(0.5≦x≦3.1、5≦y≦8、0<z≦3)及び(Sr,CA,Ba,Mg,Zn)SiO:Eu2+,Mn2+からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項7に記載の白色発光素子。
【請求項10】
前記緑色蛍光体の放出ピーク波長が500〜550nmであり、前記青色蛍光体の放出ピーク波長が440〜460nmであり、前記赤色蛍光体の放出ピーク波長が590〜690nmであることを特徴とする、請求項7に記載の白色発光素子。
【請求項11】
前記白色発光素子は、照明用であることを特徴とする、請求項5から請求項10のうちいずれか一項に記載の白色発光素子。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−24933(P2008−24933A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186157(P2007−186157)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】