アルカリ水溶液の疲労度評価方法
【課題】 アルカリ過水液中の疲労度を短時間でかつ容易に評価することができる。
【解決手段】 過酸化水素を含むSC−1溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該SC−1溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量から算出される当該SC−1溶液に含まれる過酸化水素の分解速度の値に基づいて、前記SC−1溶液中の疲労度を評価する。
【解決手段】 過酸化水素を含むSC−1溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該SC−1溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量から算出される当該SC−1溶液に含まれる過酸化水素の分解速度の値に基づいて、前記SC−1溶液中の疲労度を評価する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスで多用される洗浄液であるアンモニア過酸化水素の疲労度を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、SC−1溶液と呼ばれるアンモニア過酸化水素溶液を用いてシリコンウェハを洗浄する前工程が設けられている。SC−1溶液はNH4OH、H2O2、H2Oを混合した溶液であり、半導体基板のエッチングなどにおいて用いられている。また、アンモニアの変わりに、コリン(CH3)3(CH2CH2OH)N−OH)が用いられる場合もある。ここでは、圧倒的に多く使われるアンモニア過酸化水素溶液にて説明する。
【0003】
この溶液が継続的に使用されると、液中に鉄、銅などの金属がppbあるいはpptオーダーで溶け込み、鉄の場合はFe(OH)3、銅の場合は、それとのテトラアミン複合体などの錯体を形成し、それが触媒になり、過酸化水素の分解が促進される。過酸化水素から酸素ガスが発生するが、それがシリコンウェハ表面にミクロなバブルとして付着すれば、その箇所だけ、洗浄できなかったり、エッチングされなかったりして、マイクロラフネス(表面微小粗さ)が悪くなり、そのことが、その後作成する半導体の性能を悪くする。この状態を溶液が疲労した状態といい、この疲労度により溶液の交換などの時期を判断することが行われている。
【0004】
また、同様のことが、パーティクルが溶け込むことにより、それが核となり過酸化水素の分解を促進させ、同じくミクロな酸素のバブルが発生させ、半導体の性能を悪くする。
【0005】
このような状況で、SC−1溶液の疲労度を評価する方法として、過酸化水素の分解度合いを測定する方法が用いられ、以下のものが知られている。(1)液中の容存酸素量を測定する方法である。よく使用される原理のものは、隔膜型ポーラログラフ電極式である。(2)また、液中のパーティクルを計測する方法としては、パーティクルカウンタを用いる方法がある。よく使用される原理のものは、レーザ光を用いた光散乱カウント方式である。あるいは、液中の金属量を測定する方法としては、(3)フレームレス原子吸光法(基底状態の原子による放射エネルギーの吸収を測定する)、(4)蛍光分析法(原子を励起し、発生した蛍光を測定する)、(5)誘導結合プラズマ発光−質量分析法(ICP−MS)(プラズマ炎をイオン源とした質量分析法)、(6)電気化学的方法(金属の酸化、還元に要する、電圧、電流を測定する)がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの方法は、(1)は、電極式であるため、センサヘッドがアンモニア過酸化水素という薬液に耐性がないことと、一定期間ごとに使用している膜を交換して校正し直すという煩雑なメンテナンスが必要であることと、容存酸素が過酸化水素由来のものかは判断できず、空気中などから溶け込んだ酸素があれば、まちがった指標となる。
(2)の方法は、パーティクルのみで金属汚染に対しては無力である。一方、(3)、(4)、(5)、(6)は、逆に金属汚染のみでパーティクル由来のものには無力であることと、これらは、装置が高価であり、測定に多大な時間がかかり、メンテナンスが複雑という短所がある。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、半導体製造工程等の精密工業において必要とされている、洗浄液であるアルカリ過酸化水素水溶液において、特に、アンモニア過酸化水素液の疲労度を効率よく評価する方法を提供することである。この洗浄液は、半導体製造分野では、シリコンウェハを洗浄するのに使用され、液晶製造分野では、液晶基板を洗浄するのに使用され、太陽電池製造分野では、太陽電池基板を洗浄するのに使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のアルカリ水溶液の疲労度の評価方法を提供する。本発明は、容存酸素量、パーティクル量、微量金属濃度を測定するのではなく、過酸化水素の分解速度を直接測定することにより疲労度を評価することとしたものである。ここで疲労度とは次の状況が発生する度合いを示している。この液中に鉄、銅などの金属がppb、あるいはpptオーダーで溶け込むと、鉄の場合はFe(OH)3、銅の場合は、それとのテトラアミン複合体などの錯体を形成し、それが触媒になり、過酸化水素の分解が促進される。過酸化水素から酸素ガスが発生するが、それがシリコンウェハ表面にミクロなバブルとして付着すれば、その箇所だけ、洗浄できなかったり、エッチングされなかったりして、マイクロラフネス(表面微小粗さ)が悪くなり、そのことが、その後作成する半導体の性能を悪くする。また、同様のことが、パーティクルが溶け込むことにより、それが核となり過酸化水素の分解を促進させ、同じくミクロな酸素のバブルが発生させ、半導体の性能を悪くする。このことから、金属、パーティクルが許容濃度以上入って、過酸化水素の分解が管理値以上になり、その分解により発生するミクロなバブル量が多くなる。このような状況が発生する場合、その液は疲労していると表現する。
【0009】
本発明の第1態様によれば、過酸化水素を含むアルカリ水溶液の疲労度を評価する方法であって、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該アルカリ水溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量を算出し、前記算出された過酸化水素の減少量の値に基づいて、前記アルカリ水溶液の疲労度を評価する評価方法を提供する。
【0010】
本発明の第2態様によれば、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度は、
セル中に滞留された前記半導体プロセス用薬剤水溶液の透過強度または反射強度を紫外線分光過程により測定する分光測定装置を用いて測定され、
紫外線の測定データを説明変数として、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を得るための計算式または、重回帰式を求めることによって測定されることを特徴とする、第1態様の評価方法を提供する。
【0011】
本発明の第3態様によれば、前記セルを、内部に収容されている前記アルカリ水溶液の温度を前記30〜95℃の範囲の一定温度となるように加熱することを特徴とする、第2態様の評価方法を提供する。
【0012】
本発明の第4態様によれば、前記セルの内部に収容されている前記アルカリ水溶液に、紫外線を照射させながら、前記過酸化水素の濃度測定を行うこと特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの評価方法を提供する。
【0013】
本発明の第5態様によれば、前記アルカリ水溶液は、アンモニア過酸化水素溶液であることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの評価方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様によれば、アンモニア過酸化水素水溶液中の過酸化水素の減少量を測定することにより、その疲労度を評価することができる。すなわち、本発明は、アンモニア過酸化水素水溶液中の金属量により過酸化水素の分解速度が変化するという関係を利用したものであり、具体的には、所定時間経過前後の過酸化水素濃度に相関づけられる過酸化水素の減少量に基づいて、アンモニア過酸化水素水溶液中の金属量を評価し、これによりアンモニア過酸化水素水溶液の疲労度の評価指標とするものである。したがって、例えば、アンモニア過酸化水素水溶液の疲労度を評価することにより、アンモニア過酸化水素水溶液を新液に置き換えることにより、過酸化水素の分解を抑制でき、ひいてはそのプロセス中のシリコンウェハのマイクロラフネスを減少させることができる。
【0015】
また、本発明の第2態様によれば、過酸化水素濃度の測定を分光測定によっておこなうため、測定までの処理が簡単で、測定にかかるコスト高及び装置の故障などの問題を解消することができる。さらに、測定に薬品などの消耗品が不要であり、補給や装置の交換などが不要であることから、オペレータにとっては操作を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るアンモニア過酸化水素の疲労度の測定装置について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる測定装置の概略構成を示す模式図である。本装置は、アンモニア過酸化水素溶液(以下、SC−1溶液と略記する。)のプロセス槽2から、サンプル液を採取する。そのサンプル液採取は、本装置のセルユニット8を途中に配置した石英ガラス管3の一端をプロセス槽に浸してあり、当該石英ガラス管3からセルユニット8にサンプル液が供給される。配管3はすべて石英により作製されている。配管に用いられる石英は、金属含有量が極めて少ない合成石英を用いる。セルは、入り口は下方向で、出口は上方向であるフローセルである。セル出口側に接続された石英ガラス管のセルユニット8から1m程度下流側に、オールテフロン製のダイアフラムポンプ4が設けられており、それを用いてサンプル液を吸引する。セルとポンプとを1m離している理由は、サンプル液逆流による、ダイアフラムポンプからの金属汚染、パーティクル汚染を防止するためである。
【0018】
プロセス槽2からセル出口を出て、ダイアフラムポンプ4までの石英配管の構成は、石英のみでその他材質は一切使用していない。これは、その他材料から出るパーティクルと金属汚染をなくするためで、配管の継ぎ目はガラス溶接で構成している。ポンプから下流側の配管3aは、PFAチューブ、PTFEチューブのフッ素樹脂材料とで構成されている。
【0019】
図2は、図1の測定装置に用いられるセルユニット8の部分拡大図である。図3は、図2のセルユニット及び光学系の構成を示す模式図である。セルユニット8は、石英ガラス管3に接続された石英で構成されたフローセル10を有する。フローセル10の周囲には、光学系6が設けられており、光をフローセルの光透過面15を透過させて分光測定を行うことにより、フローセル10中を流れるアルカリ溶液の分光スペクトルを測定可能となっている。また、フローセル10の光学系6に対し、直交する方向両側はアルミ金属ブロック11で挟まれている。アルミ金属ブロック11には、測温体12とペルチェ素子13を用いた電子温度調節器が組み込まれている。また、アルミ金属ブロック11には、放熱フィン14が設けられており、フローセル10の温度調整を短時間で行うことができるようになっている。なお、本実施形態において、フローセル10のセル長は10mmである。
【0020】
フローセル10の配管径は、上流側から内径1mmから内径2mmに途中で変化し、セル長10mmの光照射面15を通過し、下流側から内径2mmになり途中で内径1mmになる。このようにしている理由は、フローセル内で液温度の上昇、下降を行うため、フローセル内での対流が、入口側及び出口側での配管内の液の巻き込みを少なくするためである。
【0021】
ポンプ4は、サンプル液をセル容量の10倍になるように吸引する。その時は、アルミ金属ブロック11の温度調節は切られており、フローセル10には水銀灯17の光が照射されないようにシャッタ16が閉じた状態となっている。その後、フローセル10にサンプル液が充填されると、ポンプ4はサンプル液の吸引を停止する。ポンプ4を停止すれば、セル中にはサンプル液が貯まる。このとき、電子温度調節器をオンにしてセル温度を30℃に調節する。
【0022】
光学系6には、図3に示すように水銀灯17が配置されており、その光が効率よくフローセル10に照射できるように構成されている。この水銀灯17から照射される光は、後述するように、フローセル中の過酸化水素の分解を促進するために用いられるものである。また、水銀灯17に対して反対側には、水銀灯17からの光が後述するように分光測定に用いられる受光素子22に入射しないように、遮光板23が設けられている。
【0023】
重水素ランプ18は、分光測定に用いられる光源である。重水素ランプ18から波長300nmと350nmの光をセルの透過面より入射させる。重水素ランプ18から照射された光は、干渉フィルタ20で分光されたのち、フローセルに到達する。フローセルを透過した光は受光素子22にて受光され、光強度が測定される。受光素子22によって測定された光強度の信号は、演算装置7に送信され、後述する演算処理に用いられる。
【0024】
次に、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理について説明する。図4は、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理のフロー図である。まず、測定装置は、ポンプ4を駆動させ、サンプル液をフローセル10中に吸引する(#1)。この状態で、重水素ランプを点灯させ、波長300nmと350nmの光をそれぞれセルの透過面より入射させ、それぞれの波長における光強度を測定する。受光素子22によって測定された光強度のうち、300nmの光強度をI1、350nmの光強度をI2とする(#2)。
【0025】
次に、サンプル溶液中の過酸化水素を分解促進するために分解促進処理を行う(#3)。具体的には、サンプル溶液を加熱するため、ペルチェ素子11を作動させてセル温度を80℃に調節する。この状態で、シャッタ16を開け、水銀灯17の紫外光をセルに照射させる。10分間、その状態を維持する。なお、上述のように、水銀灯17からの光は遮光板23によって遮光され、受光素子22に到達しないようになっている。加熱と紫外線照射により、サンプル溶液中の金属含有量に基づいて、所定の分解速度で過酸化水素が分解する。
【0026】
次に、ペルチェ素子11及び水銀灯17を停止させて分解促進処理を停止させ、セル温度を30℃になるように冷却して温度調節する(#4)。80℃から30℃にサンプル液が冷却するのに5分程度である。その後、この状態で、波長300nmと350nmの光をフローセル10に入射させ、それぞれの光強度を測定する(#5)。このときの300nmの光強度をJ1、350nmの光強度をJ2とする。
【0027】
図5に過酸化水素の紫外線スペクトルを示す。過酸化水素の紫外線スペクトルは、350nmより短波長側に単一増加の非常に強い吸収が存在する。重水素ランプの強度ふらつき、受光素子の感度ふらつき、サンプル液のゆらぎによる散乱変化などを差し引くため、吸収が比較的小さい、重水素ランプの強度も比較的強い350nmをベース補正のため、比較光として使用する。
【0028】
次に、演算装置7は、上記工程で測定された、光強度I1、I2、J1、J2の情報を用いて以下の演算を行う(#6)。まず、演算装置7は、加熱紫外線照射前後の各波長での光強度の比T1、T2をそれぞれ演算する。具体的には、T1=J1/I1、T2=J2/I2を求める。次に、T1とT2の比U=T1/T2を求める。これが最終の変化量である。
【0029】
このUの値を用いると、SC−1溶液の疲労度を評価することができる。具体的な値を持って説明すると、適度に疲労したSC−1サンプル測定値としては、I1=1.51V、I2=5.32V、J1=1.82V、J2=5.31Vとなり、これから、T1=1.20、T2=0.998となるため、U=1.20/0.998=1.20となり、1を超える値になる。
【0030】
一方、疲労のほとんどない新しいSC−1溶液では、I1=1.51V、I2=5.32V、J1=1.52V
J2=5.32Vとなり、これから、T1=1.01、T2=1.00となるため、U=1.01/1.00=1.01となり、かぎりなく1に近い値になる。すなわち、Uの値が1より大きくなる場合は、SC−1溶液が疲労していると判断することができ、予め定めておいたUの値を超えた場合は、SC−1溶液を新液に置換するように判断することができる。
【0031】
このようにSC−1溶液の疲労度に応じてUの値が異なるのは、10分間経過したときの、サンプル液中の過酸化水素の減少量が、過酸化水素分解速度に比例していることを利用している。これ以外に、紫外線の吸収量の所定の低下量をあらかじめ決めておき、その低下量になるまでの時間を計測してもよい。その場合は、その時間の逆数が分解速度に比例する。
【0032】
強い紫外光と、温度上昇により、過酸化水素の分解が促進される(図10参照)が、その分解速度は、サンプル液に含まれる微量金属量、パーティクル量で決定される。すなわち、液温が90℃程度までは温度上昇と共に過酸化水素の分解速度が増大するため、本実施形態では、サンプル液を80℃に加熱することで過酸化水素の分解を促進することとしている。
【0033】
過酸化水素の減少量を求めて、当該減少量から演算されるUの値が演算装置7内のメモリに設定されている所定の設定値より高い場合は、警報出力を出し、サンプル液が金属あるいはパーティクルに過度に汚染されていることをユーザに知らせる。
【0034】
上記測定装置は、サンプル吸引と上記測定のシーケンスを繰り返す。過大な疲労度結果が出た場合は、サンプル液が過大に金属汚染、パーティクル汚染されている結果を示している。その場合、プロセス槽2からセル8までの配管にも汚染が付着している可能性が高い。通常、セル容量の10倍のサンプル液吸引を行っているが、この場合は、100倍のサンプル液吸引を行い、再測定を行う。また、明らかにプロセス槽2の汚染、疲労液が除かれても本測定値の値が疲労度の高い状態を出し続ける場合は、プロセス槽2からセル8までの配管内の過大な汚染が考えられ、その場合は、測定を休止して、本装置配管洗浄を促す警報を発する。
【0035】
次に、変形例について説明する。この変形例として、過酸化水素の分解速度は、アンモニア濃度によっても左右されるため、これを考慮するようにしたものである。通常、プロセス上では、アンモニア濃度は濃度制御されていて、大きく変化することはない。しかし、アンモニア濃度も大きく変化するときは、次の方法でアンモニアによる分解速度変化率を補正することができる。
【0036】
この変形例の光学系は図6のような構成を有する。図3の光学系との相違点は、フローセル10中には、紫外線ばかりではなく近赤外線の測定波長を照射することができるように、重水素ランプ18に加えてハロゲンランプ19が設けられている点である。波長800nmから1400nmの光がハロゲンランプ19より照射され、重水素ランプ18の光束と、ハーフミラー21でひとつの光束にした後、干渉フィルタ20で分光されたのち、フローセルの透過面15より入射させる。フローセルを透過した光は受光素子22にて受光され、光強度が測定される。なお、この変形例において、アンモニアと過酸化水素濃度を測定する具体的な方法は、例えば、特開2000−131228号公報や、特開平3−175341号公報などに開示の技術を用いることができる。
【0037】
アンモニア濃度は、近赤外線に吸収がある。アンモニア濃度を近赤外線の吸収を用いて決定して、アンモニア濃度と、過酸化水素濃度と、純水の比率による分解速度のテーブルをあらかじめ本演算装置7内のマイコンメモリに設定されて、過酸化水素の分解速度を、アンモニア濃度変化に由来するものかを演算装置7が判断してから、警報を出すことができる。
【0038】
紫外線領域では、特開2000−131228号公報で記載されているように、アンモニア濃度も幾分、紫外線領域に吸収がある。その場合は、近赤外線のデータと組み合わせて、アンモニア濃度による紫外線変化量が、過酸化水素定量に影響しないようにすることができる。
【0039】
また、上記の技術は、過酸化水素の量を紫外線吸収を用いた方法で測定する方法を説明しているが、特開平3−175341号公報で記載されているように近赤外線分光で、過酸化水素の濃度を測定してもよい。この場合は、紫外線分光よりもスペクトル感度が落ちるが、光源強度、センサ感度は、近赤外線領域の方が高いので、総合的には同じ精度の測定が可能である。
【0040】
なお、疲労度を評価する場合について、過酸化水素濃度を精度よく測定できる方法であるならば、どんな方法を用いても評価することができる。これらの方法によって求められた過酸化水素濃度は、それぞれ、左記の例のT1,T2に相当し、両者の比を求めることで疲労度の指標Uとして用いることができる。具体的な例としては、過マンガン酸自動滴定装置による特開昭63−107739号公報に示した方法で過酸化水素の分解速度を求めても良い。ただし、計測時間がかかることと、装置が複雑になる。
【0041】
また、過酸化水素の減少率の測定は、最初と10分後の2回の測定で行っているが、図1に示す本装置の分光計測で行う方法では、1回測定が50m秒で測定できる。そのため、次のような処理を行い、サンプル吸引直後から、分解過程途中も含めて連続に過酸化水素の濃度を計測することができる。図7は、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う変形例にかかる処理のフロー図である。
【0042】
この変形例にかかる処理フローは、分解過程途中も含めて連続に過酸化水素の濃度を計測するものであり、液中の過酸化水素の分解が、指数関数に従う単一減少カーブになることが多いことを利用したものである。この例では、特許3628462号に示したアルゴリズムを使用する。これは、温度変化による濃度変化カーブをカーブフィッテングによるデータ処理を行い、確度よく目的の濃度を求めるために、その特許の実施例では採用しているが、本実施形態では、横軸時間で、過酸化水素濃度の減少カーブに、指数関数をフィティングして、減少率を精度よく求めることとしている。
【0043】
具体的には、次の処理を行う。まず、測定装置は、ポンプ4を駆動させ、サンプル液をフローセル10中に吸引する(#11)。この状態で重水素ランプを点灯させ、波長300nmの光をセルの透過面より入射させ、それぞれの波長における光強度を測定する。凍ときの光強度をI1とする(#12)。
【0044】
次に測定データとして、サンプル温度を所定の80℃に設定後、水銀灯17の照射を開始する。その後t時間経過の光強度のデータを連続的に計測する(#14)。具体的には、0秒後がU0、10秒後がU1、その後10秒間隔で計測を行い、20秒後をU2、30秒後をU3と、所定時間、例えば、10分経過まで測定を続ける(15)。データは、U1からU60の60個のデータが集まる。
U1からU60を、Utと記載する。
【0045】
測定されたデータに基づいて、過酸化水素の分解速度の演算処理を行う(#17)。過酸化水素の時間とともに分解していくときの変化曲線は、概ね図8に示すようなものであり、次式に従うことが経験より判っている。
Ct=C0×exp(−p・t)
この式において、
C0:分解直前の過酸化水素濃度
Ct:分解過程t時の過酸化水素濃度
t:経過時間
p:減少率に関係するパラメータ
である。
【0046】
計測により得られたUtは、サンプル液の透過率の減少分を符号を変えたデータである。U0=1で時間の経過とともに、1を超える値になる。そのLOG10変換後のデータは、吸光度Atになり、ランバート・ビーアの法則から、過酸化水素濃度の減少量Dtに比例する。
At=LOG10(Ut)
Dt=q・At
分解直前の過酸化水素濃度C0は、分解過程t時の過酸化水素濃度Ctとは、Ct=C0−Dtの関係がある。ここから
Dt=C0・(1−exp(−p・t))
が得られる。この式にDtのi=0から60までのデータと、それに相当する時間を代入して、最小2乗法演算により、pを求める。そのパラメータは、分解速度に比例するので、その値を用いれば、疲労度の評価値として使用できる。
【0047】
具体的な値を持って説明すると、
実際の適度に疲労したSC−1で、測定波長を300nmに設定したとき、
A0=LOG10(U0)=LOG10(1)=0
A1=LOG10(U1)=LOG10(1.001)=4.3E-5
A2=LOG10(U2)=LOG10(1.002)=8.7E-4
A60=LOG10(U60)=LOG10(1.2)=7.9E-2
となった。
【0048】
この場合、測定波長300nmで、セル長が10mmの場合、q=3.85であり、tが600秒経過後のA0からA60までの吸光度減少量は、7.9E-2でそれに相当する過酸化水素減少量は、0.3wt%である。(すなわち、Atの値に3.85を掛けた値が、Dtとなる。)
C0=3wt% であることが、300nmの吸光度値から判明しており、
Dtとtの値から、
Dt=C0・(1−exp(−p・t))
式に回帰演算すれば、pの値が求められ、p=1.8E-4が得られる。
【0049】
次に新液のSC−1についての具体的な測定結果としては、
A0=LOG10(U0)=LOG10(1)=0
A1=LOG10(U1)=LOG10(1.000)=0
A2=LOG10(U2)=LOG10(1.001)=4.3E-5
A60=LOG10(U60)=LOG10(1.01)=4.3E-3
となった。
【0050】
この測定値から上記と同様に、q=3.85で、C0=3wt%で、Dtとtの値から、
Dt=C0・(1−exp(−p・t))となり、
式に回帰演算すれば、pの具体的な値として、p=9.2E-6が得られる。
【0051】
このように、pの値が、0に近くなればなるほど、分解速度が小さい。このようにSC−1溶液の疲労度に応じてpの値が異なるのは、所定時間(10分間)経過したときの、サンプル液中の過酸化水素の減少量から求められる減少曲線が、過酸化水素分解速度に比例していることを利用するものである。そして、この過酸化水素の分解速度は金属汚染量(溶液中の金属イオン濃度及びパーティクル量)と相関関係がある。本実施形態においては、閾値として、pの値が1.0E-4を設定しておき、その値を超えた場合は、疲労度が高いと判断して、液を新液に交換することとした。
【0052】
図9A、図9Bに、金属汚染量と過酸化水素の分解速度との関係を示す。ここで、分解速度は、この吸光度値が最初の半分になる時間の逆数としている。過酸化水素中に銅や鉄などの金属不純物が含まれると、添加量の増加に伴い、過酸化水素の分解速度が増加する傾向が見られる。すなわち、過酸化水素の分解速度を求めることによって、逆にSC−1溶液中の金属不純物の量を評価することができ、SC−1溶液の疲労度の評価を行うことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかる装置によれば、SC−1溶液中の過酸化水素濃度を指標として、SC−1の疲労度を評価することができる。また、過酸化水素濃度の測定を分光測定によっておこなうため、測定までの処理が簡単で、測定にかかるコスト高及び装置の故障などの問題を解消することができる。さらに、測定に薬品などの消耗品が不要であり、補給や装置の交換などが不要であることから、オペレータにとっては操作を簡単にすることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定方法を使用する装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のセル部の概略構成を示す図である。
【図3】図2のセル部分を含む光学系の概略構成を示す図である。
【図4】サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理のフロー図である。
【図5】過酸化水素の紫外線スペクトルである。
【図6】変形例にかかる測定装置のセル部分を含む光学系の概略構成を示す図である。
【図7】サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う変形例にかかる処理のフロー図である。
【図8】過酸化水素の経時分解変化データを示すグラフである。
【図9A】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度とFe金属濃度との関係を示すグラフである。
【図9B】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度とCu金属濃度との関係を示すグラフである。
【図10】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度と液温との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 測定装置
2 プロセス槽
3 石英ガラス管
4 ポンプ
6 光学系
7 制御演算部
8 セルユニット
10 フローセル
11 アルミ金属ブロック
12 測温体
13 ペルチェ素子
14 放熱フィン
15 光透過面
16 シャッタ
17 水銀灯
18 重水素ランプ
19 ハロゲンランプ
20 干渉フィルタ
22 受光素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスで多用される洗浄液であるアンモニア過酸化水素の疲労度を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、SC−1溶液と呼ばれるアンモニア過酸化水素溶液を用いてシリコンウェハを洗浄する前工程が設けられている。SC−1溶液はNH4OH、H2O2、H2Oを混合した溶液であり、半導体基板のエッチングなどにおいて用いられている。また、アンモニアの変わりに、コリン(CH3)3(CH2CH2OH)N−OH)が用いられる場合もある。ここでは、圧倒的に多く使われるアンモニア過酸化水素溶液にて説明する。
【0003】
この溶液が継続的に使用されると、液中に鉄、銅などの金属がppbあるいはpptオーダーで溶け込み、鉄の場合はFe(OH)3、銅の場合は、それとのテトラアミン複合体などの錯体を形成し、それが触媒になり、過酸化水素の分解が促進される。過酸化水素から酸素ガスが発生するが、それがシリコンウェハ表面にミクロなバブルとして付着すれば、その箇所だけ、洗浄できなかったり、エッチングされなかったりして、マイクロラフネス(表面微小粗さ)が悪くなり、そのことが、その後作成する半導体の性能を悪くする。この状態を溶液が疲労した状態といい、この疲労度により溶液の交換などの時期を判断することが行われている。
【0004】
また、同様のことが、パーティクルが溶け込むことにより、それが核となり過酸化水素の分解を促進させ、同じくミクロな酸素のバブルが発生させ、半導体の性能を悪くする。
【0005】
このような状況で、SC−1溶液の疲労度を評価する方法として、過酸化水素の分解度合いを測定する方法が用いられ、以下のものが知られている。(1)液中の容存酸素量を測定する方法である。よく使用される原理のものは、隔膜型ポーラログラフ電極式である。(2)また、液中のパーティクルを計測する方法としては、パーティクルカウンタを用いる方法がある。よく使用される原理のものは、レーザ光を用いた光散乱カウント方式である。あるいは、液中の金属量を測定する方法としては、(3)フレームレス原子吸光法(基底状態の原子による放射エネルギーの吸収を測定する)、(4)蛍光分析法(原子を励起し、発生した蛍光を測定する)、(5)誘導結合プラズマ発光−質量分析法(ICP−MS)(プラズマ炎をイオン源とした質量分析法)、(6)電気化学的方法(金属の酸化、還元に要する、電圧、電流を測定する)がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの方法は、(1)は、電極式であるため、センサヘッドがアンモニア過酸化水素という薬液に耐性がないことと、一定期間ごとに使用している膜を交換して校正し直すという煩雑なメンテナンスが必要であることと、容存酸素が過酸化水素由来のものかは判断できず、空気中などから溶け込んだ酸素があれば、まちがった指標となる。
(2)の方法は、パーティクルのみで金属汚染に対しては無力である。一方、(3)、(4)、(5)、(6)は、逆に金属汚染のみでパーティクル由来のものには無力であることと、これらは、装置が高価であり、測定に多大な時間がかかり、メンテナンスが複雑という短所がある。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、半導体製造工程等の精密工業において必要とされている、洗浄液であるアルカリ過酸化水素水溶液において、特に、アンモニア過酸化水素液の疲労度を効率よく評価する方法を提供することである。この洗浄液は、半導体製造分野では、シリコンウェハを洗浄するのに使用され、液晶製造分野では、液晶基板を洗浄するのに使用され、太陽電池製造分野では、太陽電池基板を洗浄するのに使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のアルカリ水溶液の疲労度の評価方法を提供する。本発明は、容存酸素量、パーティクル量、微量金属濃度を測定するのではなく、過酸化水素の分解速度を直接測定することにより疲労度を評価することとしたものである。ここで疲労度とは次の状況が発生する度合いを示している。この液中に鉄、銅などの金属がppb、あるいはpptオーダーで溶け込むと、鉄の場合はFe(OH)3、銅の場合は、それとのテトラアミン複合体などの錯体を形成し、それが触媒になり、過酸化水素の分解が促進される。過酸化水素から酸素ガスが発生するが、それがシリコンウェハ表面にミクロなバブルとして付着すれば、その箇所だけ、洗浄できなかったり、エッチングされなかったりして、マイクロラフネス(表面微小粗さ)が悪くなり、そのことが、その後作成する半導体の性能を悪くする。また、同様のことが、パーティクルが溶け込むことにより、それが核となり過酸化水素の分解を促進させ、同じくミクロな酸素のバブルが発生させ、半導体の性能を悪くする。このことから、金属、パーティクルが許容濃度以上入って、過酸化水素の分解が管理値以上になり、その分解により発生するミクロなバブル量が多くなる。このような状況が発生する場合、その液は疲労していると表現する。
【0009】
本発明の第1態様によれば、過酸化水素を含むアルカリ水溶液の疲労度を評価する方法であって、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該アルカリ水溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量を算出し、前記算出された過酸化水素の減少量の値に基づいて、前記アルカリ水溶液の疲労度を評価する評価方法を提供する。
【0010】
本発明の第2態様によれば、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度は、
セル中に滞留された前記半導体プロセス用薬剤水溶液の透過強度または反射強度を紫外線分光過程により測定する分光測定装置を用いて測定され、
紫外線の測定データを説明変数として、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を得るための計算式または、重回帰式を求めることによって測定されることを特徴とする、第1態様の評価方法を提供する。
【0011】
本発明の第3態様によれば、前記セルを、内部に収容されている前記アルカリ水溶液の温度を前記30〜95℃の範囲の一定温度となるように加熱することを特徴とする、第2態様の評価方法を提供する。
【0012】
本発明の第4態様によれば、前記セルの内部に収容されている前記アルカリ水溶液に、紫外線を照射させながら、前記過酸化水素の濃度測定を行うこと特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの評価方法を提供する。
【0013】
本発明の第5態様によれば、前記アルカリ水溶液は、アンモニア過酸化水素溶液であることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの評価方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様によれば、アンモニア過酸化水素水溶液中の過酸化水素の減少量を測定することにより、その疲労度を評価することができる。すなわち、本発明は、アンモニア過酸化水素水溶液中の金属量により過酸化水素の分解速度が変化するという関係を利用したものであり、具体的には、所定時間経過前後の過酸化水素濃度に相関づけられる過酸化水素の減少量に基づいて、アンモニア過酸化水素水溶液中の金属量を評価し、これによりアンモニア過酸化水素水溶液の疲労度の評価指標とするものである。したがって、例えば、アンモニア過酸化水素水溶液の疲労度を評価することにより、アンモニア過酸化水素水溶液を新液に置き換えることにより、過酸化水素の分解を抑制でき、ひいてはそのプロセス中のシリコンウェハのマイクロラフネスを減少させることができる。
【0015】
また、本発明の第2態様によれば、過酸化水素濃度の測定を分光測定によっておこなうため、測定までの処理が簡単で、測定にかかるコスト高及び装置の故障などの問題を解消することができる。さらに、測定に薬品などの消耗品が不要であり、補給や装置の交換などが不要であることから、オペレータにとっては操作を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るアンモニア過酸化水素の疲労度の測定装置について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる測定装置の概略構成を示す模式図である。本装置は、アンモニア過酸化水素溶液(以下、SC−1溶液と略記する。)のプロセス槽2から、サンプル液を採取する。そのサンプル液採取は、本装置のセルユニット8を途中に配置した石英ガラス管3の一端をプロセス槽に浸してあり、当該石英ガラス管3からセルユニット8にサンプル液が供給される。配管3はすべて石英により作製されている。配管に用いられる石英は、金属含有量が極めて少ない合成石英を用いる。セルは、入り口は下方向で、出口は上方向であるフローセルである。セル出口側に接続された石英ガラス管のセルユニット8から1m程度下流側に、オールテフロン製のダイアフラムポンプ4が設けられており、それを用いてサンプル液を吸引する。セルとポンプとを1m離している理由は、サンプル液逆流による、ダイアフラムポンプからの金属汚染、パーティクル汚染を防止するためである。
【0018】
プロセス槽2からセル出口を出て、ダイアフラムポンプ4までの石英配管の構成は、石英のみでその他材質は一切使用していない。これは、その他材料から出るパーティクルと金属汚染をなくするためで、配管の継ぎ目はガラス溶接で構成している。ポンプから下流側の配管3aは、PFAチューブ、PTFEチューブのフッ素樹脂材料とで構成されている。
【0019】
図2は、図1の測定装置に用いられるセルユニット8の部分拡大図である。図3は、図2のセルユニット及び光学系の構成を示す模式図である。セルユニット8は、石英ガラス管3に接続された石英で構成されたフローセル10を有する。フローセル10の周囲には、光学系6が設けられており、光をフローセルの光透過面15を透過させて分光測定を行うことにより、フローセル10中を流れるアルカリ溶液の分光スペクトルを測定可能となっている。また、フローセル10の光学系6に対し、直交する方向両側はアルミ金属ブロック11で挟まれている。アルミ金属ブロック11には、測温体12とペルチェ素子13を用いた電子温度調節器が組み込まれている。また、アルミ金属ブロック11には、放熱フィン14が設けられており、フローセル10の温度調整を短時間で行うことができるようになっている。なお、本実施形態において、フローセル10のセル長は10mmである。
【0020】
フローセル10の配管径は、上流側から内径1mmから内径2mmに途中で変化し、セル長10mmの光照射面15を通過し、下流側から内径2mmになり途中で内径1mmになる。このようにしている理由は、フローセル内で液温度の上昇、下降を行うため、フローセル内での対流が、入口側及び出口側での配管内の液の巻き込みを少なくするためである。
【0021】
ポンプ4は、サンプル液をセル容量の10倍になるように吸引する。その時は、アルミ金属ブロック11の温度調節は切られており、フローセル10には水銀灯17の光が照射されないようにシャッタ16が閉じた状態となっている。その後、フローセル10にサンプル液が充填されると、ポンプ4はサンプル液の吸引を停止する。ポンプ4を停止すれば、セル中にはサンプル液が貯まる。このとき、電子温度調節器をオンにしてセル温度を30℃に調節する。
【0022】
光学系6には、図3に示すように水銀灯17が配置されており、その光が効率よくフローセル10に照射できるように構成されている。この水銀灯17から照射される光は、後述するように、フローセル中の過酸化水素の分解を促進するために用いられるものである。また、水銀灯17に対して反対側には、水銀灯17からの光が後述するように分光測定に用いられる受光素子22に入射しないように、遮光板23が設けられている。
【0023】
重水素ランプ18は、分光測定に用いられる光源である。重水素ランプ18から波長300nmと350nmの光をセルの透過面より入射させる。重水素ランプ18から照射された光は、干渉フィルタ20で分光されたのち、フローセルに到達する。フローセルを透過した光は受光素子22にて受光され、光強度が測定される。受光素子22によって測定された光強度の信号は、演算装置7に送信され、後述する演算処理に用いられる。
【0024】
次に、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理について説明する。図4は、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理のフロー図である。まず、測定装置は、ポンプ4を駆動させ、サンプル液をフローセル10中に吸引する(#1)。この状態で、重水素ランプを点灯させ、波長300nmと350nmの光をそれぞれセルの透過面より入射させ、それぞれの波長における光強度を測定する。受光素子22によって測定された光強度のうち、300nmの光強度をI1、350nmの光強度をI2とする(#2)。
【0025】
次に、サンプル溶液中の過酸化水素を分解促進するために分解促進処理を行う(#3)。具体的には、サンプル溶液を加熱するため、ペルチェ素子11を作動させてセル温度を80℃に調節する。この状態で、シャッタ16を開け、水銀灯17の紫外光をセルに照射させる。10分間、その状態を維持する。なお、上述のように、水銀灯17からの光は遮光板23によって遮光され、受光素子22に到達しないようになっている。加熱と紫外線照射により、サンプル溶液中の金属含有量に基づいて、所定の分解速度で過酸化水素が分解する。
【0026】
次に、ペルチェ素子11及び水銀灯17を停止させて分解促進処理を停止させ、セル温度を30℃になるように冷却して温度調節する(#4)。80℃から30℃にサンプル液が冷却するのに5分程度である。その後、この状態で、波長300nmと350nmの光をフローセル10に入射させ、それぞれの光強度を測定する(#5)。このときの300nmの光強度をJ1、350nmの光強度をJ2とする。
【0027】
図5に過酸化水素の紫外線スペクトルを示す。過酸化水素の紫外線スペクトルは、350nmより短波長側に単一増加の非常に強い吸収が存在する。重水素ランプの強度ふらつき、受光素子の感度ふらつき、サンプル液のゆらぎによる散乱変化などを差し引くため、吸収が比較的小さい、重水素ランプの強度も比較的強い350nmをベース補正のため、比較光として使用する。
【0028】
次に、演算装置7は、上記工程で測定された、光強度I1、I2、J1、J2の情報を用いて以下の演算を行う(#6)。まず、演算装置7は、加熱紫外線照射前後の各波長での光強度の比T1、T2をそれぞれ演算する。具体的には、T1=J1/I1、T2=J2/I2を求める。次に、T1とT2の比U=T1/T2を求める。これが最終の変化量である。
【0029】
このUの値を用いると、SC−1溶液の疲労度を評価することができる。具体的な値を持って説明すると、適度に疲労したSC−1サンプル測定値としては、I1=1.51V、I2=5.32V、J1=1.82V、J2=5.31Vとなり、これから、T1=1.20、T2=0.998となるため、U=1.20/0.998=1.20となり、1を超える値になる。
【0030】
一方、疲労のほとんどない新しいSC−1溶液では、I1=1.51V、I2=5.32V、J1=1.52V
J2=5.32Vとなり、これから、T1=1.01、T2=1.00となるため、U=1.01/1.00=1.01となり、かぎりなく1に近い値になる。すなわち、Uの値が1より大きくなる場合は、SC−1溶液が疲労していると判断することができ、予め定めておいたUの値を超えた場合は、SC−1溶液を新液に置換するように判断することができる。
【0031】
このようにSC−1溶液の疲労度に応じてUの値が異なるのは、10分間経過したときの、サンプル液中の過酸化水素の減少量が、過酸化水素分解速度に比例していることを利用している。これ以外に、紫外線の吸収量の所定の低下量をあらかじめ決めておき、その低下量になるまでの時間を計測してもよい。その場合は、その時間の逆数が分解速度に比例する。
【0032】
強い紫外光と、温度上昇により、過酸化水素の分解が促進される(図10参照)が、その分解速度は、サンプル液に含まれる微量金属量、パーティクル量で決定される。すなわち、液温が90℃程度までは温度上昇と共に過酸化水素の分解速度が増大するため、本実施形態では、サンプル液を80℃に加熱することで過酸化水素の分解を促進することとしている。
【0033】
過酸化水素の減少量を求めて、当該減少量から演算されるUの値が演算装置7内のメモリに設定されている所定の設定値より高い場合は、警報出力を出し、サンプル液が金属あるいはパーティクルに過度に汚染されていることをユーザに知らせる。
【0034】
上記測定装置は、サンプル吸引と上記測定のシーケンスを繰り返す。過大な疲労度結果が出た場合は、サンプル液が過大に金属汚染、パーティクル汚染されている結果を示している。その場合、プロセス槽2からセル8までの配管にも汚染が付着している可能性が高い。通常、セル容量の10倍のサンプル液吸引を行っているが、この場合は、100倍のサンプル液吸引を行い、再測定を行う。また、明らかにプロセス槽2の汚染、疲労液が除かれても本測定値の値が疲労度の高い状態を出し続ける場合は、プロセス槽2からセル8までの配管内の過大な汚染が考えられ、その場合は、測定を休止して、本装置配管洗浄を促す警報を発する。
【0035】
次に、変形例について説明する。この変形例として、過酸化水素の分解速度は、アンモニア濃度によっても左右されるため、これを考慮するようにしたものである。通常、プロセス上では、アンモニア濃度は濃度制御されていて、大きく変化することはない。しかし、アンモニア濃度も大きく変化するときは、次の方法でアンモニアによる分解速度変化率を補正することができる。
【0036】
この変形例の光学系は図6のような構成を有する。図3の光学系との相違点は、フローセル10中には、紫外線ばかりではなく近赤外線の測定波長を照射することができるように、重水素ランプ18に加えてハロゲンランプ19が設けられている点である。波長800nmから1400nmの光がハロゲンランプ19より照射され、重水素ランプ18の光束と、ハーフミラー21でひとつの光束にした後、干渉フィルタ20で分光されたのち、フローセルの透過面15より入射させる。フローセルを透過した光は受光素子22にて受光され、光強度が測定される。なお、この変形例において、アンモニアと過酸化水素濃度を測定する具体的な方法は、例えば、特開2000−131228号公報や、特開平3−175341号公報などに開示の技術を用いることができる。
【0037】
アンモニア濃度は、近赤外線に吸収がある。アンモニア濃度を近赤外線の吸収を用いて決定して、アンモニア濃度と、過酸化水素濃度と、純水の比率による分解速度のテーブルをあらかじめ本演算装置7内のマイコンメモリに設定されて、過酸化水素の分解速度を、アンモニア濃度変化に由来するものかを演算装置7が判断してから、警報を出すことができる。
【0038】
紫外線領域では、特開2000−131228号公報で記載されているように、アンモニア濃度も幾分、紫外線領域に吸収がある。その場合は、近赤外線のデータと組み合わせて、アンモニア濃度による紫外線変化量が、過酸化水素定量に影響しないようにすることができる。
【0039】
また、上記の技術は、過酸化水素の量を紫外線吸収を用いた方法で測定する方法を説明しているが、特開平3−175341号公報で記載されているように近赤外線分光で、過酸化水素の濃度を測定してもよい。この場合は、紫外線分光よりもスペクトル感度が落ちるが、光源強度、センサ感度は、近赤外線領域の方が高いので、総合的には同じ精度の測定が可能である。
【0040】
なお、疲労度を評価する場合について、過酸化水素濃度を精度よく測定できる方法であるならば、どんな方法を用いても評価することができる。これらの方法によって求められた過酸化水素濃度は、それぞれ、左記の例のT1,T2に相当し、両者の比を求めることで疲労度の指標Uとして用いることができる。具体的な例としては、過マンガン酸自動滴定装置による特開昭63−107739号公報に示した方法で過酸化水素の分解速度を求めても良い。ただし、計測時間がかかることと、装置が複雑になる。
【0041】
また、過酸化水素の減少率の測定は、最初と10分後の2回の測定で行っているが、図1に示す本装置の分光計測で行う方法では、1回測定が50m秒で測定できる。そのため、次のような処理を行い、サンプル吸引直後から、分解過程途中も含めて連続に過酸化水素の濃度を計測することができる。図7は、サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う変形例にかかる処理のフロー図である。
【0042】
この変形例にかかる処理フローは、分解過程途中も含めて連続に過酸化水素の濃度を計測するものであり、液中の過酸化水素の分解が、指数関数に従う単一減少カーブになることが多いことを利用したものである。この例では、特許3628462号に示したアルゴリズムを使用する。これは、温度変化による濃度変化カーブをカーブフィッテングによるデータ処理を行い、確度よく目的の濃度を求めるために、その特許の実施例では採用しているが、本実施形態では、横軸時間で、過酸化水素濃度の減少カーブに、指数関数をフィティングして、減少率を精度よく求めることとしている。
【0043】
具体的には、次の処理を行う。まず、測定装置は、ポンプ4を駆動させ、サンプル液をフローセル10中に吸引する(#11)。この状態で重水素ランプを点灯させ、波長300nmの光をセルの透過面より入射させ、それぞれの波長における光強度を測定する。凍ときの光強度をI1とする(#12)。
【0044】
次に測定データとして、サンプル温度を所定の80℃に設定後、水銀灯17の照射を開始する。その後t時間経過の光強度のデータを連続的に計測する(#14)。具体的には、0秒後がU0、10秒後がU1、その後10秒間隔で計測を行い、20秒後をU2、30秒後をU3と、所定時間、例えば、10分経過まで測定を続ける(15)。データは、U1からU60の60個のデータが集まる。
U1からU60を、Utと記載する。
【0045】
測定されたデータに基づいて、過酸化水素の分解速度の演算処理を行う(#17)。過酸化水素の時間とともに分解していくときの変化曲線は、概ね図8に示すようなものであり、次式に従うことが経験より判っている。
Ct=C0×exp(−p・t)
この式において、
C0:分解直前の過酸化水素濃度
Ct:分解過程t時の過酸化水素濃度
t:経過時間
p:減少率に関係するパラメータ
である。
【0046】
計測により得られたUtは、サンプル液の透過率の減少分を符号を変えたデータである。U0=1で時間の経過とともに、1を超える値になる。そのLOG10変換後のデータは、吸光度Atになり、ランバート・ビーアの法則から、過酸化水素濃度の減少量Dtに比例する。
At=LOG10(Ut)
Dt=q・At
分解直前の過酸化水素濃度C0は、分解過程t時の過酸化水素濃度Ctとは、Ct=C0−Dtの関係がある。ここから
Dt=C0・(1−exp(−p・t))
が得られる。この式にDtのi=0から60までのデータと、それに相当する時間を代入して、最小2乗法演算により、pを求める。そのパラメータは、分解速度に比例するので、その値を用いれば、疲労度の評価値として使用できる。
【0047】
具体的な値を持って説明すると、
実際の適度に疲労したSC−1で、測定波長を300nmに設定したとき、
A0=LOG10(U0)=LOG10(1)=0
A1=LOG10(U1)=LOG10(1.001)=4.3E-5
A2=LOG10(U2)=LOG10(1.002)=8.7E-4
A60=LOG10(U60)=LOG10(1.2)=7.9E-2
となった。
【0048】
この場合、測定波長300nmで、セル長が10mmの場合、q=3.85であり、tが600秒経過後のA0からA60までの吸光度減少量は、7.9E-2でそれに相当する過酸化水素減少量は、0.3wt%である。(すなわち、Atの値に3.85を掛けた値が、Dtとなる。)
C0=3wt% であることが、300nmの吸光度値から判明しており、
Dtとtの値から、
Dt=C0・(1−exp(−p・t))
式に回帰演算すれば、pの値が求められ、p=1.8E-4が得られる。
【0049】
次に新液のSC−1についての具体的な測定結果としては、
A0=LOG10(U0)=LOG10(1)=0
A1=LOG10(U1)=LOG10(1.000)=0
A2=LOG10(U2)=LOG10(1.001)=4.3E-5
A60=LOG10(U60)=LOG10(1.01)=4.3E-3
となった。
【0050】
この測定値から上記と同様に、q=3.85で、C0=3wt%で、Dtとtの値から、
Dt=C0・(1−exp(−p・t))となり、
式に回帰演算すれば、pの具体的な値として、p=9.2E-6が得られる。
【0051】
このように、pの値が、0に近くなればなるほど、分解速度が小さい。このようにSC−1溶液の疲労度に応じてpの値が異なるのは、所定時間(10分間)経過したときの、サンプル液中の過酸化水素の減少量から求められる減少曲線が、過酸化水素分解速度に比例していることを利用するものである。そして、この過酸化水素の分解速度は金属汚染量(溶液中の金属イオン濃度及びパーティクル量)と相関関係がある。本実施形態においては、閾値として、pの値が1.0E-4を設定しておき、その値を超えた場合は、疲労度が高いと判断して、液を新液に交換することとした。
【0052】
図9A、図9Bに、金属汚染量と過酸化水素の分解速度との関係を示す。ここで、分解速度は、この吸光度値が最初の半分になる時間の逆数としている。過酸化水素中に銅や鉄などの金属不純物が含まれると、添加量の増加に伴い、過酸化水素の分解速度が増加する傾向が見られる。すなわち、過酸化水素の分解速度を求めることによって、逆にSC−1溶液中の金属不純物の量を評価することができ、SC−1溶液の疲労度の評価を行うことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかる装置によれば、SC−1溶液中の過酸化水素濃度を指標として、SC−1の疲労度を評価することができる。また、過酸化水素濃度の測定を分光測定によっておこなうため、測定までの処理が簡単で、測定にかかるコスト高及び装置の故障などの問題を解消することができる。さらに、測定に薬品などの消耗品が不要であり、補給や装置の交換などが不要であることから、オペレータにとっては操作を簡単にすることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定方法を使用する装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のセル部の概略構成を示す図である。
【図3】図2のセル部分を含む光学系の概略構成を示す図である。
【図4】サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う処理のフロー図である。
【図5】過酸化水素の紫外線スペクトルである。
【図6】変形例にかかる測定装置のセル部分を含む光学系の概略構成を示す図である。
【図7】サンプル溶液の疲労度を評価するために測定装置が行う変形例にかかる処理のフロー図である。
【図8】過酸化水素の経時分解変化データを示すグラフである。
【図9A】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度とFe金属濃度との関係を示すグラフである。
【図9B】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度とCu金属濃度との関係を示すグラフである。
【図10】アンモニア過酸化水素中の過酸化水素の分解速度と液温との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 測定装置
2 プロセス槽
3 石英ガラス管
4 ポンプ
6 光学系
7 制御演算部
8 セルユニット
10 フローセル
11 アルミ金属ブロック
12 測温体
13 ペルチェ素子
14 放熱フィン
15 光透過面
16 シャッタ
17 水銀灯
18 重水素ランプ
19 ハロゲンランプ
20 干渉フィルタ
22 受光素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素を含むアルカリ水溶液の疲労度を評価する方法であって、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該アルカリ水溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量を算出し、前記算出された過酸化水素の減少量の値に基づいて、前記アルカリ水溶液の疲労度を評価する評価方法。
【請求項2】
前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度は、
セル中に滞留された前記半導体プロセス用薬剤水溶液の透過強度または反射強度を紫外線分光過程により測定する分光測定装置を用いて測定され、
紫外線の測定データを説明変数として、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を得るための計算式または、重回帰式を求めることによって測定されることを特徴とする、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記セルを、内部に収容されている前記アルカリ水溶液の温度を前記30〜95℃の範囲の一定温度となるように加熱することを特徴とする、請求項2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記セルの内部に収容されている前記アルカリ水溶液に、紫外線を照射させながら、前記過酸化水素の濃度測定を行うこと特徴とする、請求項2に記載の評価方法。
【請求項5】
前記アルカリ水溶液は、アンモニア過酸化水素溶液であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の評価方法。
【請求項1】
過酸化水素を含むアルカリ水溶液の疲労度を評価する方法であって、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を異なるタイミングで複数回測定することにより、当該アルカリ水溶液に含まれる前記過酸化水素の単位時間当たりの減少量を算出し、前記算出された過酸化水素の減少量の値に基づいて、前記アルカリ水溶液の疲労度を評価する評価方法。
【請求項2】
前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度は、
セル中に滞留された前記半導体プロセス用薬剤水溶液の透過強度または反射強度を紫外線分光過程により測定する分光測定装置を用いて測定され、
紫外線の測定データを説明変数として、前記アルカリ水溶液中の過酸化水素濃度を得るための計算式または、重回帰式を求めることによって測定されることを特徴とする、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記セルを、内部に収容されている前記アルカリ水溶液の温度を前記30〜95℃の範囲の一定温度となるように加熱することを特徴とする、請求項2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記セルの内部に収容されている前記アルカリ水溶液に、紫外線を照射させながら、前記過酸化水素の濃度測定を行うこと特徴とする、請求項2に記載の評価方法。
【請求項5】
前記アルカリ水溶液は、アンモニア過酸化水素溶液であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2007−24572(P2007−24572A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204257(P2005−204257)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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