説明

アルギネート及び水不溶性塩の形態の錯化剤を含むキット

本発明は、水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、並びに1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物を含む、ケラチン物質コーティングキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚、爪、唇、特に、睫毛のメイクアップまたはケアの分野、好ましくはメイクアップ組成物に関する。
【0002】
各組成物は、ルースパウダーもしくはコンパクトパウダー、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、コンシーラー製品、頬紅、リップスティック、リップバーム、リップグロス、リップペンシル、アイペンシル、マスカラ、アイライナー、マニキュア、ボディメイクアップ製品、または皮膚着色製品であってよい。
【背景技術】
【0003】
消費者は、メイクアップしようとするケラチン物質の嵩をより大きく認識させることが可能な化粧品を求めている。特に、マスカラには睫毛に対するチャージング(charging)もしくはボリュームアップ効果が望まれ、リップグロス及びリップスティックにはふっくらした肉感(fleshy effect)が求められ、更に、ファンデーション及びリップスティックの使用者には、顔のモデリング特性及び皮膚の欠点(皺、小皺、色素沈着欠陥、唇の色の喪失、または毛細血管拡張症(couperosis))のマスキングが求められている。
【0004】
更にまた、これらの化粧品組成物は、経時的に優れた耐久力を有して、得られる美的効果が保持されねばならない。
【0005】
現在では、顔または身体の所定部分の改造及び増大が、シリコーンゲルなどの物質を注入することによって得られる。この種の改造は、一般的に、局所麻酔の下で行われる。更に、この種の改造は、長く、困難であり、且つ高価である。
【0006】
ボリュームアップ効果が、明るい色と暗い色とを隣り合わせに適用し、目立たせたい領域に明るい色を適用することによって生まれることもまた、既知である。この効果を得ることは、従来2つの異なる組成物の使用を要し、これらを適用する人の技量に依存している。更にまた、この技術は、唇のメイクアップに実践することは困難である。
【0007】
例えば、文献EP0953330、WO01/51015、またはEP1382323により、視覚的効果を有する顔料(角度彩色性(goniochromatic)顔料または干渉顔料)を使用して、観察の角度または光線の入射角度によって、当該組成物を適用する身体部分のボリュームの認識の変更が行われていることも既知である。
【0008】
マスカラの場合には、ケラチン物質にいっそうのもつれ感をもたせるために、高い固形物含量を有する組成物が一般的に使用されるが、これらの組成物は高稠度を有して、睫毛への均一な適用に適合しない。特許出願US2006/0140895はまた、高い吸水能を有するポリマーを含み、膨潤効果を有する組成物のキットを開示している。
【0009】
しかしながら、膨潤効果を得るためには、大量の水を要し、また、得られる膨潤は、水の蒸発のために長期継続しない。文献US2004/0126345には、(メタ)アクリレートポリマーに基づく、遅延膨潤を示すゲルが開示されており、これは、ケラチン物質にボリュームアップ効果を得ることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP0953330
【特許文献2】WO01/51015
【特許文献3】EP1382323
【特許文献4】US2006/0140895
【特許文献5】US2004/0126345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、優れた耐久力及び/または優れた耐水性を有し、且つケラチン物質にボリュームアップ効果をもたらし、更に容易に除去可能であるフィルムを、ケラチン物質上に形成することが可能な、ケラチン物質コーティング組成物を得ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、錯化剤の存在下で架橋しうるアルギン酸ベースの化合物と、水不溶性塩の形態の錯化剤とを含む組成物の使用により、ケラチン物質上に、優れた耐久力及び有利なボリュームアップ効果を有するフィルムが得rare流ことを見出した。
【0013】
さらにまた、このフィルムは、一般的には水性溶液中の、前記錯化剤のためのキレート剤の存在下で、容易に除去可能である。
【0014】
本発明の第1の主題は、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、
・1乃至6の範囲のpKaを有する少なくとも1つの酸を含む第二組成物、並びに
・少なくとも1つの親油性または親水性フィルム形成性ポリマーを含む第一及び/または第二組成物、
を含む、ケラチン物質コーティングキット、
である。
【0015】
本発明の第2の主題は、ケラチン物質のコーティングのための美容方法であって、この方法は、前記ケラチン物質への、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、少なくとも1つの第1組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、これに次ぐ、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む、少なくとも1つの第2組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、
・少なくとも1つの親油性または親水性フィルム形成性ポリマーを含む第1及び/または第2組成物を適用する工程、
である。
【0016】
「第1組成物」及び「第2組成物」なる語は、前記組成物のケラチン物質への適用の順序を条件付けるものでは全くない。
【0017】
好ましくは、第1組成物の少なくとも1つのコーティングに次いで、第2組成物の少なくとも1つのコーティングがケラチン物質に適用される。
【0018】
さらにまた、上述の第1及び第2組成物の適用後に生成するコーティングまたはフィルムは、錯化剤をキレートするための作用剤を含む組成物を使用して、容易に除去しうる。
【0019】
したがって、別の態様によれば、本発明の主題は、水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、及び、1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物の、ケラチン物質への適用によって形成されるメイクアップフィルムの除去及び/またはクレンジング方法であって、前記メイクアップフィルム上に、生理学的に許容される媒質中に水性相及び前記錯化剤のための少なくとも1つの金属イオン封鎖剤を含むメイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物を適用する少なくとも1つの工程を含む方法である。
【0020】
最後に、本発明の主題はまた、水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含む組成物であって、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる組成物である。
【0021】
本発明の別の特徴、特性、及び利点は、以下の詳細な説明及び実施例を読むことにより、明らかになるであろう。
【0022】
(アルギン酸ベースの化合物)
「アルギン酸ベースの化合物」なる語は、特に、アルギン酸、アルギン酸誘導体、及びアルギン酸塩(アルギネート)、あるいは前記誘導体の塩を意味する。好ましくは、アルギン酸ベースの化合物は、水溶性である。
【0023】
アルギン酸は、褐藻類または所定の細菌由来の天然物質であって、1,4-グリコシド結合を介して互いに結合した2つのウロン酸、β-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルクロン酸を含むポリウロン酸である。
【0024】
アルギン酸は、アルカリ金属、例えば、ナトリウム、カリウム、またはリチウムと、低級アミン及び置換アンモニウム、例えば、メチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンのカチオンと、水溶性塩(アルギネート)を形成しうる。これらのアルギネートは、pH4の水性媒質中に水溶性であるが、4未満のpHでは解離してアルギン酸になる。
【0025】
これらのアルギネートは、錯化剤の存在下で、前記錯化剤と残基Gの負に帯電した基との間にイオン結合を形成することによって、互いに架橋しうる。幾つかのアルギネート分子間に多数の架橋が形成されることにより、水中に不溶性のゲルを形成するマトリックスの生成がもたらされる。
【0026】
10000乃至1000000、好ましくは、15000乃至500000、更に好適には、20000乃至250000の範囲の重量平均分子量を有するアルギン酸ベースの化合物が、好ましく使用される。
【0027】
好ましくは、第1の組成物は、5乃至10のpHを有する。
【0028】
好ましい一実施態様によれば、アルギン酸ベースの化合物は、アルギン酸ナトリウムもしくはカリウムである。
【0029】
アルギン酸ベースの化合物は、これを含む第1組成物全質量に対して、0.1乃至30質量%、好ましくは、0.5乃至20質量%、更に好適には、1乃至10質量%の範囲の含量で存在してよい。
【0030】
(錯化剤)
「錯化剤」なる語は、イオン結合の形成によって、アルギン酸ベースの化合物と共に錯体形成しうる化合物を意味する。この錯体形成は、可逆性である。
【0031】
錯化剤は、水不溶性塩の形態で、第1組成物中に存在する。
【0032】
これは、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる。
【0033】
水不溶性塩の形態の錯化剤は、特に、不溶性塩形態の高分子電解質及び多価イオンから選択してよい。
【0034】
多価イオンは、特に、カチオン、例えば、ポリカチオンもしくは多価カチオン、好ましくは、2乃至4の価数を有するもの、より好ましくは、二価のカチオン、特に、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、銅(+II)、あるいは、マンガンのカチオン、並びにこれらの混合であってよい。
【0035】
錯化剤は、特に、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、アルカリ土類金属、例えば、カルシウムまたはマグネシウムとCO32-との塩から選択してよい。
【0036】
第2組成物中に存在する、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との反応後にCO2の放出をもたらす化合物、例えば、アルカリ土類金属カチオンの炭酸塩、特に、炭酸カルシウムが、水不溶性塩の形態の錯化剤として、好ましく使用される。
【0037】
第2組成物の適用の間に、この組成物中に存在する酸は、水不溶性塩の形態の錯化剤の解離をもたらし、錯化剤は、放出されてアルギン酸ベースの化合物と共にイオン結合の形成によって錯体形成し、これと同時に気体の発生が起こる。水不溶性塩の形態の錯化剤が、アルカリ土類金属炭酸塩である場合には、第2組成物中に含まれるカルボン酸の適用によってCO2気体が発生し、気泡は錯化剤と錯体形成したアルギネートによって形成されるネットワーク/ゲルに捕捉され、このことによって睫毛表面に形成される付着物のボリュームの増大及び睫毛のボリュームアップ効果の創出がもたらされる。
【0038】
不溶性塩の形態の錯化剤は、組成物の全質量に対して、0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至15質量%、更に好適には、0.05乃至5質量%の範囲の含量で存在してよい。
【0039】
多糖類と錯化剤との間の反応の速度は、pH条件、組成物の温度を調整することによって、あるいは、多糖類と錯化剤との間の反応を促進または遅延させることのできる化合物、例えば、アルギン酸ベースの誘導体の架橋を遅延化することのできるリン酸ナトリウムを加えることによって、調節してよい。
【0040】
(1乃至6の範囲のpKaを有する酸)
第2組成物中に存在する、1乃至6、好ましくは、3乃至6の範囲のpKaを有する酸は、特に、硫酸及びカルボン酸、並びにこれらの混合物から、好ましくは、カルボン酸、例えば、プロパン酸、ブタン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸から選択して良い。
酒石酸またはクエン酸が好ましく使用される。
【0041】
1乃至6の範囲のpKaを有する前記酸が、第2組成物の全質量に対して、0.0001乃至15質量%、好ましくは、0.001乃至10質量%の範囲の含量で存在してよい。
【0042】
(水性相)
本発明による第1組成物は、水性相を含み、これは、前記組成物の連続相を形成しうる。
【0043】
「連続水性相を有する組成物」なる語は、この組成物が、25℃で測定して、23μS/cm(マイクロジーメンス/cm)を超える電気伝導度を有することを意味し、ここで測定される電気伝導度は、例えば、Mettler Toledo社のMPC227 電気伝導度計及びInlab 730電気伝導度測定セルを使用して測定されるものである。測定セルは、セルの2本の電極の間に形成しやすい気泡を取り除くために、組成物中に浸漬させる。電気伝導度計の値が安定した時点で、電気伝導度の読取りがされる。平均が、少なくとも3つの連続した測定に基づいて決定される。
【0044】
水性相は、水及び/または少なくとも1つの水溶性溶媒を含む。
【0045】
本発明では、「水溶性溶媒」なる語は、室温で液体であり、且つ、水混和性(25℃及び常圧において、50質量%を超える水中混和性)である化合物を示す。
【0046】
本発明による組成物中に使用して良い水溶性溶媒は、揮発性であってもよい。
【0047】
本発明による組成物中に使用して良い水溶性溶媒の中では、特に、1乃至5の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えば、エタノール及びイソプロパノール、2乃至8の炭素原子を含むグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びジプロピレングリコール、C3-C4ケトン及びC2-C4アルデヒドを挙げてよい。
【0048】
水性相(水及び任意の水混和性溶媒)は、一般的に、本発明による組成物中に、組成物全質量に対して、1乃至95質量%、好ましくは3乃至80質量%、更に好ましくは、5乃至60質量%の範囲の含量で存在する。
【0049】
第2組成物は、上述の水性相を含んで良い。
【0050】
一実施態様によれば、第1組成物は、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる付加的作用剤(水不溶性塩の形態であって、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、錯化剤とは別のもの)を含んで良い。前記作用剤は、好ましくは、アルカリ金属カチオンの硫酸塩、炭酸塩、または珪酸塩、例えば、NaまたはK等のアルカリ金属と、CO32-、SO32-、SO42-、またはC2O42-との塩から選択されることが好ましい。
【0051】
この付加的作用剤は、第2組成物中に含まれる酸と接触すると、気体の放出をもたらし、気泡は、錯化剤と錯体形成したアルギネートによって形成されるネットワーク/ゲル中に捕捉され、このことによって睫毛表面に形成される付着物のボリュームの増大及び睫毛のボリュームアップ効果が増強される。水不溶性形態である錯化剤とは異なり、放出されるカチオンはアルギネートと錯体形成はせず、組成物中でカチオン形態を維持する。
【0052】
一実施態様によれば、第2組成物は、上述の水不溶性形態の錯化剤(主要錯化剤として既知)に加え、水溶性形態の錯化剤(付加的錯化剤として既知)を含んで良く、これは、第1組成物のアルギン酸ベースの化合物と、イオン結合の形成によって、可逆的に錯体形成することができる。
【0053】
錯化剤自体は、上述のものから選択して良く、水溶性形態の錯化剤は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、銅(+II)、及びマンガンのカチオン、並びにこれらの混合物の水溶性塩から選択して良い。特に、カチオンの塩化物または硫酸塩、特に、塩化物、例えば、塩化カルシウムを挙げてよい。
【0054】
上述の不溶性塩形態の主要錯化剤とは異なり、水溶性の付加的錯化剤は、水中で解離した後に、イオン結合の生成によってアルギン酸ベースの化合物と錯体形成するが、気体の放出はせず、アルギネートと主要錯化剤との錯体形成により形成されたネットワーク/ゲルを強化する。
【0055】
これらの付加的作用剤は、ケラチン物質への第1及び第2組成物の適用によって得られるフィルムの、ボリューム及び/または耐久力の調節を可能にする。
【0056】
これらの付加的作用剤は、組成物の全質量に対して、0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至15質量%、更に好適には、0.05乃至5質量%の範囲の含量で、それぞれ存在して良い。
【0057】
(乳化系)
第1及び/または第2組成物は、1つもしくは複数の界面活性剤を含む乳化系を含んで良い。
【0058】
本発明によれば、水中油型エマルションを得るために適切に選択される乳化剤が、一般的に使用される。特に、25℃にて、グリフィンのHLB(親水性−親油性バランス)が8以上である乳化剤を使用して良い。
【0059】
グリフィンによるHLB値は、J. Soc. Cosm. Chem. 1954 (volume 5), pages 249-256に定義されている。
【0060】
これらの界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び両性の界面活性剤もしくは乳化界面活性剤から選択して良い。界面活性剤の特性及び(乳化)機能に関する定義については、カーク-オスマー(Kirk-Othmer)の「化学技術百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」1979, 22:333-432, 第3版、ウイリー(Wiley)社刊を参照することができ、特にアニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤については、そのpp.347-377を参照することができる。
【0061】
本発明による組成物中に好ましく使用される界面活性剤は:
a) 25℃にて、8以上のHLBを持つ非イオン性界面活性剤、これらは単独で、又は混合物として使用され、特に以下のものを挙げることができる:
・グリセロールの、オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化エーテル(これらは、1〜150個のオキシエチレン及び/またはオキシプロピレン基を含むことができる);
・脂肪アルコール(特に、C8-C24及び好ましくはC12-C18アルコール)のオキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化エーテル(これらは、1〜150個のオキシエチレン及び/またはオキシプロピレン基を含むことができる)、例えば、20個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化ステアリルアルコールエーテル(CTFA名ステアレス-20)、例えば、Uniqema社によって市販されているブリー(Brij) 78、30個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化セテアリルアルコールエーテル(CTFA名セテアレス(Ceteareth)-30)及び7個のオキシエチレン基を含む、C12-C15脂肪アルコール混合物のオキシエチレン化エーテル(Shell Chemicals社から、ネオドール(Neodol) 25-7(登録商標)なる名称の下で市販の、CTFA名C12-15パレス(Pareth)-7);
・ポリエチレングリコール(1〜150個のエチレングリコール単位を含むことができる)の、脂肪酸エステル(特に、C8-C24及び好ましくはC16-C22酸のもの)、例えば、ICI Uniqema社により、Myrj 52P(登録商標)なる名称の下で市販されている、PEG-50ステアレート及びPEG-40モノステアレート;
・オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化グリセリルエーテル(1〜150個のオキシエチレン及び/またはオキシプロピレン基を含むことができる)の、脂肪酸エステル(特に、C8-C24及び好ましくはC16-C22酸のもの)、例えば、SEPPIC社によりサイマルソル(Simulsol) 220(登録商標)なる名称の下で市販されている、PEG-200グリセリルモノステアレート;30個のエチレンオキシド基を持つ、ポリエトキシル化グリセリルステアレート、例えば、ゴールドシュミット(Goldschmidt)社により市販されている製品:タガット(Tagat) S(登録商標)、30個のエチレンオキシド基を持つ、ポリエトキシル化グリセリルオレエート、例えば、ゴールドシュミット社により市販されている製品:タガットO(登録商標)、30個のエチレンオキシド基を持つ、ポリエトキシル化グリセリルココエート(cocoate)、例えば、シェレックス(Sherex)社により市販されている製品:バリオニック(Varionic) LI13(登録商標)、30個のエチレンオキシド基を持つ、ポリエトキシル化グリセリルイソステアレート、例えば、ゴールドシュミット社により市販されている製品:タガットL(登録商標)、及び30個のエチレンオキシド基を持つ、ポリエトキシル化グリセリルラウレート、例えば、ゴールドシュミット社により市販されている製品:タガットI(登録商標);
・オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(1〜150個のオキシエチレン及び/またはオキシプロピレン基を含むことができる)の、脂肪酸エステル(特に、C8-C24及び好ましくはC16-C22酸のもの)、例えば、Uniqema社により、ツイーン(Tween) 60(登録商標)なる名称の下で市販されている、ポリソルベート60;
・ジメチコーンコポリオール、例えば、ダウコーニング(Dow Corning)社により、Q2-5220(登録商標)なる名称の下で市販されている製品;
・ジメチコーンコポリオールベンゾエート(ファインテックス(Finetex)社によるフィンソルブ(Finsolv) SLB 101(登録商標)及び201(登録商標));
・EO/PO重縮合物としても知られている、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマー;及び
・これらの混合物。
【0062】
該EO/PO重縮合物は、より詳しくはポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールブロックからなるコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールからなるトリブロック重縮合物である。これらのトリブロック重縮合物は、例えば、以下のような化学構造を持つ:
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH
この式において、aは2〜120なる範囲内にあり、またbは1〜100なる範囲内にある。
【0063】
該EO/PO重縮合物は、好ましくは1,000〜15,000なる範囲、より好ましくは2,000〜13,000なる範囲内の重量平均分子量を持つ。有利には、該EO/PO重縮合物は、蒸留水中10g/lにおいて、20℃以上、好ましくは60℃以上の曇点を持つ。この曇点は、ISO標準規格1065に従って測定される。本発明において使用できるEO/PO重縮合物としては、ICI社によりシンパロニック(Synperonic(登録商標))、例えば、シンパロニックPE/L44(登録商標)及びシンパロニックPE/F127(登録商標)なる名称の下で市販されている、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物を挙げることができる。
【0064】
b) 25℃にて、8を越えるHLBを持つ非イオン性界面活性剤、場合により25℃にて、8を越えるHLBを持つ、1種又はそれ以上の非イオン性界面活性剤と組合わせて使用される、例えば、以上に列挙するもの:
・糖エステル及びエーテル、例えば、スクロースステアレート、スクロースココエート及びソルビタンステアレート、及びこれらの混合物、例えば、ICI社により市販されている、アーラトン(Arlatone) 2121(登録商標);
・ポリオール、とりわけグリセロール又はソルビトールの脂肪酸エステル(特に、C8-C24及び好ましくはC16-C22酸のもの)、例えば、グリセリルステアレート、例えば、ゴールドシュミット社によりテジン(Tegin) M(登録商標)なる名称の下に市販されている製品、グリセリルラウレート、例えば、ヒュルス(Huls)社により、インビター(Imwitor) 312(登録商標)なる名称の下に市販されている製品、ポリグリセリル-2ステアレート、ソルビタントリステアレート又はグリセリルリシノレエート;
・オキシエチレン化及び/またはオキシプロピレン化エーテル、例えば、2つのオキシエチレン基を含むステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名ステアレス-2)、例えば、Uniqema社によって市販されているブリー(Brij) 78;
・ダウコーニング(Dow Corning)社により、Q2-3225C(登録商標)なる名称の下で市販されている、シクロメチコーン/ジメチコーンコポリオール混合物、
【0065】
c) アニオン性界面活性剤、例えば、DEAオレス(oleth)-10ホスフェート(Croda社製、Crodafos N 10N)またはモノセチルモノカリウムホスフェート(Givaudan社製のAmphisol KまたはUniqema社製のArlatone MAP 160K);
・スルホスクシネート、例えば、PEG-5シトレートラウリルスルホスクシネート二ナトリウム及びリシノールアミドMEAスルホスクシネート二ナトリウム;
・アルキルエーテルサルフェート、例えば、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート;
・イセチオネート類;
・アシルグルタメート、例えば、水添タローグルタメート二ナトリウム(アジノモト(Ajinomoto)社により市販されているアミソフト(Amisoft) HS-21 R(登録商標))、及びこれらの混合物。
【0066】
代表例として特に挙げてよいカチオン性界面活性剤には、
・アルキルイミダゾリジニウム、例えば、イソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート、
・アンモニウム塩、例えば、N,N,N-トリメチル-1-ドコサナミニウムクロライド(ベヘントリモニウムクロライド)
が含まれる。
【0067】
本発明による組成物は、1つもしくは複数の両性界面活性剤、例えば、N-アシルアミノ酸、例えば、N-アルキルアミノアセテート及びココアンホジアセテート二ナトリウム、並びにアミンオキサイド、例えば、ステアラミドオキサイド、あるいはまた、シリコーン界面活性剤、例えば、ジメチコーンコポリオールホスフェート、例えば、Phoenix Chemical社よりPecosil PS 100(登録商標)の名称で市販の製品を更に含んで良い。
【0068】
一実施態様によれば、第1組成物の乳化系は、少なくとも1つのC10-C30アルキルホスフェートを含む。
【0069】
一実施態様によれば、この組成物の乳化系は、少なくとも1つのC10-C30アルキルホスフェート及びC8-C24脂肪アルコールとポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエーテルを含み、前記エーテルは、1乃至19エチレングリコール単位を含み、且つ25℃において8未満のHLBバランスを有する
【0070】
この乳化系は、C8-C24脂肪アルコールとポリエチレングリコールとの少なくとも1つのエーテルを更に含んで良く、前記エーテルは、20乃至1000のエチレングリコール単位を含み、且つ25℃において8を超えるHLBバランスを有し、少なくとも1つの脂肪アルコールは、10乃至30の炭素原子を含む、例えば、セチルアルコールである。
【0071】
一実施態様によれば、第1組成物の乳化系は、以下より選択される少なくとも1つを含む:
・グルタミン酸誘導体及びこれらの塩、例えば、アシルグルタミン酸(INCI名:アシルグルタミン酸)及びこれらの塩(グルタメート)、例えば、ラウロイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、ナトリウムステアロイルグルタメート、カリウムラウロイルグルタメート、カリウムココイルグルタメート、ナトリウムオリボイルグルタメート、または水添タロウグルタメート二ナトリウム、及びこれらの混合物、
・次式:CH3-N(R)-CH2-COOH(式中、Rは、アシル基O=CR’であり、R’は、10乃至30の炭素原子、好ましくは、12乃至22の炭素原子を含む、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の炭化水素ベースの鎖)のサルコシン誘導体、あるいは、化粧品として許容されるこれらの塩、特に、ミリストイルサルコシン誘導体、パルミトイルサルコシン誘導体、オレオイルサルコシン誘導体、ステアロイルサルコシン誘導体、好ましくは、ステアロイル及びパルミトイルサルコシン誘導体、または化粧品として許容されるこれらの塩(サルコシネート)。特に、ナトリウムパルミトイルサルコシネート、マグネシウムパルミトイルサルコシネート、ミリストイルサルコシン、及びステアロイルサルコシン、並びにこれらの混合物を挙げてよい。
【0072】
一実施態様によれば、この組成物は、脂肪アルコール、好ましくは、10乃至30の炭素原子を含むものから選択される、共界面活性剤を更に含む。「10乃至30の炭素原子を含む脂肪アルコール」なる表現は、10乃至30の炭素原子を含み、飽和または不飽和であって、分枝状または非分枝状の、あらゆる純粋脂肪アルコールを意味する。
【0073】
10乃至26の炭素原子、更に好適には、10乃至24の炭素原子、更に好適には、14乃至22の炭素原子を含む脂肪アルコールが、好ましく使用される。
【0074】
この組成物中に使用しうる脂肪アルコールとして、特に、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、ベヘニルアルコール、及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げてよい。セチルアルコールが好ましく使用される。
【0075】
こうした脂肪アルコールは、Sasol社によりNafolの名称で特に市販されている。
【0076】
この脂肪アルコールは、組成物の全質量に対して、0.2乃至20質量%、好ましくは、0.3乃至10質量%の範囲の含量で存在して良い。
【0077】
一実施態様によれば、本発明による第1及び/または第2の組成物の主要界面活性剤系は、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満のトリエタノールアミンステアレートを含み、更に好適には、トリエタノールアミンステアレートを含まない。
【0078】
一変形によれば、第1及び/または第2の組成物は、1質量%未満、好ましくは、0.5質量%未満のトリエタノールアミンステアレートを含み、更に好適には、トリエタノールアミンステアレートを含まない。
【0079】
本発明による組成物中の界面活性剤の総含量は、これを含む組成物の全質量に対して、1乃至30質量%、好ましくは、1乃至20質量%、更に好適には、2乃至15質量%の範囲であって良い。
【0080】
(ワックス)
本発明による第1及び/または第2組成物は、少なくとも1つのワックスを含んで良い。
【0081】
本発明の目的のためには、「ワックス」なる語は、親油性化合物であって、室温(25℃)で固体であり、可逆性の固体/液体の状態の変化を示し、且つ、30℃以上であって、上限が120℃であってよい融点を有するものである。
【0082】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、Mettler社によりDSCの名称で市販の熱量計を使用して測定してよい。
【0083】
ワックスは、炭化水素ベースのワックス、フッ化ワックス、及び/またはシリコーンワックスであって良く、植物、鉱物、動物、及び/または合成由来のものであってよい。特に、このワックスは、25℃を超える、更に好適には、45℃を超える融点を有する。
【0084】
このワックスは、前記組成物の全質量に対して、0.1乃至50質量%、更に好適には、1乃至40質量%、更に好適には、5乃至30質量%の範囲の含量で存在して良い。
【0085】
炭化水素ベースのワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックス、またはイボタ蝋;米糠ワックス、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、オウリキュリー蝋、エスパルト蝋、コルクファイバー蝋、サトウキビ蝋、木蝋、及びスマック蝋;モンタン蝋、微晶蝋、パラフィン類、及びオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ合成によって得られるワックス類、及び蝋質のコポリマー類、更にはそれらのエステル類を特に使用して良い。
【0086】
更に、直鎖状または分枝状のC8-C24脂肪鎖を含む、動物または植物油の触媒水素添加によって得られるワックスを挙げてよい。
【0087】
これらのワックスの中で特に挙げてよいものは、水添ホホバオイル、例えば、Desert Whale社により、品番Iso-Jojoba-50(登録商標)として市販のトランス異性化部分水添ホホバオイル、水添サンフラワーオイル、水添蓖麻子油、水添ココナッツオイル、水添ラノリンオイル、及びHeterene社によりHest 2T-4Sの名称で市販のビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、Heterene社によりHest 2T-4Bの名称で市販のビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネートである。
【0088】
シリコーンワックス、例えば、16乃至45の炭素原子を含むアルキルもしくはアルコキシジメチコーン、及びフッ化ワックスを更に挙げてよい。
【0089】
Sophim社製の、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブオイルの水素添加によって得られるワックス、Phytowax Olive 18L57の名称で市販のもの、または、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素添加によって得られるワックス、Phytowax ricin 16L64及び22L73の名称で市販のものを使用してもよい。このようなワックス類は、特許出願FR-A-2 792 190に記載されている。
【0090】
特段の一実施態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1つの「粘着性」ワックス、すなわち、すなわち、0.7N.s以上の粘着性を有し、かつ、3.5MPa以下の硬度を有するワックスを含んでもよい。
【0091】
粘着性ワックスの使用により、特に、睫毛への適用が容易であって、睫毛によく付着し、滑らかで均一且つ濃化性のメイクアップの形成をもたらす化粧品組成物の製造が可能である。
【0092】
使用される粘着性ワックスは、特に、0.7N.sから30のN.sの範囲の、特に、1N.s以上、特に、1N.sから20の範囲の、特に2N.s以上の、特に、2N.sから10N.sの範囲の、特に、2N.sから5N.sの範囲の粘着性を有して良い。
【0093】
ワックスの粘着性は、力(圧縮力及び伸縮力)における変化を、20℃での時間の関数として、Rheo社によりTA-TX2i(登録商標)の名称で市販のテクスチュロメータであって、45°の角度を成してコニカルアクリルポリマースピンドルを取り付けたものを使用して測定することによって決定される。
【0094】
測定プロトコルは以下の通りである:
ワックスを、ワックスの融点+10℃と等しい温度で溶解する。融解したワックスを、直径25mm及び深さ20mmの容器へ流し込む。ワックスを、常温(25℃)で、24時間かけて再結晶させてワックスの表面を平坦且つなめらかにし、その後、このワックスを、粘着性を測定する前に20℃で少なくとも1時間保存する。
【0095】
テクスチュロメータスピンドルを0.5mm/sの速度で変位させると、その後、2mmの貫入深さでワックスに入り込む。スピンドルが2mmの深さでワックスに入り込んだ時点で、スピンドルを1秒間(緩和時間に相当する)に亘ってそのまま保持し、その後、0.5mm/sの速度で、引き出す。
【0096】
緩和時間の間に力(圧縮力)が0に至るまで大幅に減少した後、スピンドルの引き出しの間には、力(伸縮力)は負となり、その後再度0の値まで上昇する。粘着性は、時間の関数としての力の曲線の、力(伸縮力)の負の値に相当する曲線の部分についての積分に相当する。粘着性は、N.sで表現される。
【0097】
使用してもよい粘着性のワックスは、一般に、3.5MPa以下、特に、0.01MPaから3.5MPaの範囲の硬度、そして、特に0.05MPaから3MPaまでの範囲の硬度、更には、0.1MPaから2.5MPaの硬度を有する。
【0098】
硬度は、前述のプロトコルにしたがって測定される。
【0099】
使用して良い粘着性ワックスは、単独のC20-C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基が、20乃至40の炭素原子を含む)または混合物、特に、下式:
【化1】

[式中、mは、18乃至38の範囲の整数である]
のC20-C40アルキル12-(12’-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート、または式(II)の化合物の混合物である。
【0100】
こうしたワックスは、特に、Koster Keunen社により、Kester Wax K 82 P(登録商標)及びKester Wax K 80 P(登録商標)の名称で市販されている。
【0101】
上述のワックスは、一般的に、45℃未満の溶融開始点を有する。
【0102】
約0.46MPaの硬度及び約1N.sの粘着性値を有する、Strahl & Pitsch社によって品番SP18の下で市販の微晶蝋を使用しても良い。
【0103】
前記ワックスは、ワックスの水性マイクロ分散物の形態であってよい。「ワックスの水性マイクロ分散物」なる表現は、ワックス粒子の水性分散物であって、前記ワックス粒子のサイズが約1μm以下であるものを意味する。
【0104】
ワックスマイクロ分散物は、コロイドワックス粒子の安定な分散物であり、特に、”Microemulsions Theory and Practice”, L. M. Prince Ed., Academic Press (1977) pages 21-32に記載されている。
【0105】
特に、これらのワックスマイクロ分散物は、界面活性剤及び任意に少量の水の存在下でワックスを溶解させ、次いで、撹拌しつつ高温の水を徐々に加えることによって得られる。油中水型のエマルションの中間体形成が観察され、次いで、位相反転によって、水中油型のマイクロエマルションの最終生成がもたらされる。冷却すると、固形ワックスのコロイド粒子の安定なマイクロ分散物が得られる。
【0106】
ワックスマイクロ分散物は、ワックス、界面活性剤、及び水の混合物を、撹拌手段、例えば、超音波、高圧ホモジェナイザー、またはターボミキサーを使用して撹拌することによって得られる。
【0107】
ワックスマイクロ分散物の粒子は、好ましくは、1μm未満(特に、0.02μm乃至0.99μmの範囲)、好ましくは、0.5μm未満(特に、0.06μm乃至0.5μmの範囲)の平均経を有する。
【0108】
これらの粒子は、本質的に、ワックスまたはワックスの混合物からなる。しかしながら、これらは、少量の油及び/またはペースト状脂肪の添加剤、界面活性剤、及び/または通常の脂溶性添加剤/活性剤を含んで良い。
【0109】
本発明による第1及び/または第2組成物は、少なくとも1つの親水性または親油性のフィルム形成性ポリマーを含む。このフィルム形成性ポリマーは、むろん、前記アルギン酸ベースの化合物とは異なる。
【0110】
本明細書においては、「フィルム形成性ポリマー」なる語は、それ自体で、またはフィルム形成補助剤の存在下で、睫毛に付着する微視的連続性フィルム、好ましくは、粘着性フィルム、更に好適には、例えば、前記フィルムが、こびりつかない表面、例えば、テフロン(登録商標)コーティングまたはシリコーンコーティングされた表面に注ぐことによって製造される場合、その粘着及び機械特性が、このフィルムの単独での分離及び取扱を可能にするようなものであるフィルムを形成することのできるポリマーを意味する。
【0111】
一般的に、本発明による組成物中の「フィルム形成性ポリマー」の含量は、組成物の全質量に対して、0.1乃至40質量%、好ましくは、0.5乃至30質量%、更に好適には、1乃至20質量%の範囲である。
親水性フィルム形成性ポリマーは、水溶性ポリマーであってよく、または水性媒質中に分散状態であってよい。
【0112】
本発明の組成物中に使用して良いフィルム形成性ポリマーの中では、フリーラジカルタイプまたは重縮合物タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、並びにこれらの混合物を挙げてよい。
【0113】
挙げてよい水溶性フィルム形成性ポリマーの例には、
・タンパク質、例えば、植物由来のタンパク質、例えば、小麦または大豆タンパク質;動物由来のタンパク質、例えば、ケラチン、例えば、ケラチン水解物及びスルホン化ケラチン;
・セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース、並びに、第四級セルロース誘導体;
・アクリルポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート;
・ビニルポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルとマレイン酸無水物とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー;ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー;ポリビニルアルコール;
・アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性のキチンまたはキトサンポリマー;
・アラビアゴム、グアーガム、キサンタン誘導体、及びカラヤゴム;
・カラギーナン;
・グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸、及びこれらの誘導体;
・シェラック樹脂、サンダラックゴム、ダマー樹脂、エレミガム、及びコーパル樹脂;
・デオキシリボ核酸;
・ムコ多糖類、例えば、硫酸コンドロイチン;及び
これらの混合物が含まれる。
【0114】
このフィルム形成性ポリマーは、該組成物中に、水性相中に分散した粒子の形態で存在しても良く、これは一般的にラテックスまたはシュードラテックスとして既知である。これらの分散物を調製する技術は、当業者には周知である。
【0115】
使用して良いフィルム形成性ポリマーの水性分散物には、Avecia-Neoresins社によりNeocryl(登録商標)XK-90、Neocryl(登録商標)A-1070、Neocryl(登録商標)A-1090、Neocryl(登録商標)BT-62、Neocryl(登録商標)A-1079、及びNeocryl(登録商標)A523、Dow Chemical社によりDow Latex(登録商標)432、Daito Kasey Kogyo社によりDaitosol(登録商標)5000 ADまたはDaitosol(登録商標)5000 SJ;Interpolymer Allianz社によりSyntran(登録商標)5760、Rohm & Haas社によりAllianz(登録商標)Optの名称で市販されているアクリル分散物、またはAvecia-Neocresisn社によりNeorez(登録商標)R-981及びNeorez(登録商標)R-974、Noveon社によりAvalure(登録商標)UR-405、Avalure(登録商標)UR-410、Avalure(登録商標)UR-425、Avalure(登録商標)UR-450、Sancure(登録商標)875、Avalure(登録商標)UR-445、及びSancure(登録商標)2060、Bayer社によりImpranil(登録商標)85、Hydromer社によりAquamere(登録商標)H-1511の名称で市販されている水性ポリウレタン分散物;Eastman Chemical Products社によりEastman(登録商標)AQの商標名で市販されているスルホポリエステル、ビニル分散物、例えば、Mexomer(登録商標)PAM、水性ポリビニルアセテート分散物、例えば、Nisshin Chemical社製のVinybran(登録商標)、またはUnion Carbide社により市販されているもの、ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロリドターポリマーの水性分散物、例えば、ISP社製のStyleze W、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマーの水性分散物、例えば、Air Products社によりHybridur(登録商標)、またはNational Starch社によりDuromer(登録商標)の名称で市販されているもの、及びコア/シェルタイプの分散物:例えば、Hynarの名称でAtofina社により市販されているもの(コア:フルオロ;シェル:アクリル)、あるいはまた米国特許第5 188 899に記載されているもの(コア:シリカ;シェル:シリコーン)、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0116】
親油性ポリマーは、溶液、または非水性溶媒相中の分散物の状態であって良い。
【0117】
好ましくは、第1組成物は、以上に定義される少なくとも1つの水溶性ポリマーを含む。
【0118】
本特許出願による組成物は、以下のものから選択して良い少なくとも一つの親水性ゲル化剤を更に含んでも良い:
−アクリル酸またはメタクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーまたはその塩及びエステル、特にAllied Colloid社によりVersicol(登録商標)FまたはVersicol(登録商標)Kの名称で、Ciba-Geigy社によりUltrahold(登録商標)8の名称で市販されている製品、及びSynthalen Kタイプのポリアクリル酸;
−Hercules社によりReten(登録商標)の名称で市販されているナトリウム塩の形態のアクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー、Henkel社によりHydagen(登録商標)Fの名称で市販されているポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩;
−Pemulenタイプのポリアクリル酸/アルキルアクリレートコポリマー;
−Clariant社により市販されているAMPS(アンモニア水で部分的に中和され、高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);
−SEPPIC社により市販されているSepigel(登録商標)またはSimulgel(登録商標)タイプのAMPS/アクリルアミドコポリマー;
−AMPS/ポリオキシエチレン化アルキルメタクリレートコポリマー(架橋または非架橋)並びにこれらの混合物、
−Servo Delden社製のC16-OE120-C16ポリマーのような会合ポリウレタン(ウレタン官能基を含み、1300の重量平均分子量を有する分子である、SER AD FX1100の名称で市販されているもの、ここでOEはオキシエチレン単位である)、Rheox社により市販されているウレア官能基を含むRheolate 205、あるいはまた、Rheolate 208もしくは204(これらのポリマーは純粋形態で市販されている)、または水中に20%の活性材料で市販されている、C20アルキル鎖とウレタン結合を有する、Rohm & Haas社製のDW 1206B。特に水中または水性−アルコール性媒体中の、これらの会合ポリウレタンの溶液または分散物が使用されてもよい。そのようなポリマーの例としては、Servo Delden社製のSER AD FX1010、SER AD FX 1035、及びSER AD 1070、及びRheox社により市販されているRheolate 255、Rheolate 278、及びRheolate 244が挙げられる。DW 1206F及びDW 1206J、並びにRohm & Haas社製のAcrysol RM 184またはAcrysol 44、あるいはBorchers社製のBorchigel LW 44の製品もまた使用してよい
−並びにこれらの混合物。
【0119】
上述の所定の水溶性フィルム形成性ポリマーはまた、水溶性ゲル化剤としても作用してよい。
【0120】
親水性ゲル化剤は、組成物の全質量に対して0.05から40質量%、好ましくは0.1から20質量%、好適には0.5から15質量%の含量で、本発明による組成物中に存在してよい。
【0121】
本特許出願による組成物は、更に、少なくとも1つもしくは複数のオイルまたは有機溶媒を含んでも良い。
【0122】
「オイルまたは有機溶媒」なる語は、室温及び大気圧にて液体である非水性物質を意味する。このオイルは、揮発性または不揮発性であって良い。
【0123】
本発明の目的のため、「揮発性オイルまたは有機溶媒」なる語は、室温及び大気圧にてケラチン物質と接触した際に、1時間未満で蒸発しうる、あらゆる非水性媒体を意味する。本発明の揮発性有機溶媒及び揮発性オイルは、室温で液体であり、室温及び大気圧にて、特に0.13Paから40000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、とりわけ1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲である、ゼロではない蒸気圧を有する揮発性有機溶媒及び美容オイルである。「不揮発性オイル」なる語は、室温及び大気圧にて、ケラチン物質上で少なくとも数時間維持され、特に10-3mmHgmmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有するオイルを意味する。
【0124】
前記オイルは、組成物の全質量に対して0.05から30質量%、好ましくは0.1から15質量%の範囲の含量で組成物中に存在してよい。本発明に係る組成物は、揮発性オイルまたは不揮発性オイル、及びそれらの混合物を含んで良い。
【0125】
揮発性オイル(または有機溶媒)は、炭化水素ベースのオイル、シリコーンオイル、またはフッ化オイル、あるいはそれらの混合物であって良い。
【0126】
「炭化水素ベースのオイル」なる語は、主に水素原子と炭素原子を含み、任意に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を含むオイルを意味する。揮発性炭化水素ベースのオイルは、8から16の炭素原子を含む炭化水素ベースのオイル、特に分枝状C8-C16アルカン、例えば、石油起源のC8-C16イソアルカン(イソパラフィンとしても既知である)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても既知である)、イソデカン、及びイソヘキサデカン、例えば、Isopar(登録商標)またはPermethyl(登録商標)の名称で市販されているオイル、分枝状C8-C16エステル、及びイソヘキシルネオペンタノエート、及びこれらの混合物から選択して良い。他の揮発性炭化水素ベースのオイル、例えば、石油蒸留物、特にShell社によりShell Soft(登録商標)の名称で市販されているものも使用してよい。
【0127】
更に使用してよい揮発性オイルは、揮発性シリコーン、例えば、揮発性直鎖状または環状シリコーンオイル、特に6センチストーク(6×10-6m2/s)以下の粘度を有し、特に3から6のケイ素原子を含むものを含み、これらのシリコーンは任意に、1または2の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含む。本発明で使用してよい揮発性シリコーンオイルとして、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
揮発性有機溶媒、特にフッ化溶媒、例えば、ノナフルオロメトキシブタン、またはパーフルオロメチルシクロペンタンもまた使用してよい。
【0129】
本発明による各組成物は、特に、不揮発性炭化水素ベースのオイル、及び/またはシリコーンオイル、及び/またはフッ化オイルから選択して良い、少なくとも一つの不揮発性オイルまたは有機溶媒を含んでも良い。
【0130】
挙げてよい不揮発性炭化水素ベースのオイルには、以下のものがあげられる:
−植物起源の炭化水素ベースのオイル、例えば、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドであって、その脂肪酸の鎖の長さはC4からC24まで変化してよく、これらの鎖が直鎖状または分枝状で、飽和または不飽和であってよいもの;これらのオイルは、特に、麦芽オイル、ヒマワリオイル、グレープシードオイル、ゴマ実オイル、トウモロコシオイル、アンズオイル、ヒマシ油、シアーオイル、アボカドオイル、オリーブオイル、大豆油、スィートアーモンドオイル、ヤシオイル、レイプシードオイル、綿実油、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアオイル、ホホバオイル、アルファルファオイル、ケシオイル、カボチャオイル、ゴマ実オイル、インゲンマメオイル、レイプシードオイル、クロフサスグリオイル、メマツヨイグサオイル、アワオイル、オオムギオイル、キノアオイル、ライムギオイル、サフラワーオイル、ククイノキオイル、トケイソウオイル、ジャコウバラオイル;あるいはまた、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により市販されているもの、またはDynamit Nobel社によりMiglyol810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で市販されているものである;
−10から40の炭素原子を含む合成エーテル;
−鉱物または合成起源の直鎖状または分枝状炭化水素、例えば、ワセリン、ポリデセン、水素化イソブテン、例えば、パーリーム、及びスクアラン、並びにこれらの混合物;
−式R1COOR2のオイル等の合成エステル[式中、R1は1から40の炭素原子を含む直鎖状または分枝状脂肪酸残基を表し、R2は1から40の炭素原子を含む特に分枝状炭化水素ベースの鎖を表し、但しR1+R2≧10である]、例えば、パーセリンオイル(セトステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12-C15アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ジイドプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、アルキル若しくはポリアルキルオクタノエート、ドデカノエート、若しくはリシノールエート、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート、及びジイソステアリルマレート;並びにペンタエリスリトールエステル;
−12から26の炭素原子を含む分枝状及び/または不飽和の炭素ベースの鎖を含む、室温で液体である脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、または2-ウンデシルペンタデカノール;
−高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸;
並びにこれらの混合物。
【0131】
本発明による組成物(i)または(ii)中に使用してよい不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、2から24の炭素原子をそれぞれ含む、ペンダント状及び/またはシリコーン鎖の末端のアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであってよい。
【0132】
本発明による組成物中に使用してよいフッ化オイルは、特に、文献EP-A-847 752に記載されたような、フッ化シリコーンオイル、フッ化ポリエーテル、またはフッ化シリコーンである。
【0133】
本発明による組成物中の不揮発性オイルまたは有機溶媒の含量は、組成物の全質量に対して0.01から30質量%、特に、0.1から25質量%、好適には、0.1から20質量%の範囲である。
【0134】
本発明による組成物は、少なくとも一つの色素、例えば、粉体染料、脂溶性染料、及び水溶性染料を更に含んでよい。
【0135】
粉体染料は、顔料及び真珠光沢剤から選択して良い。
【0136】
顔料は、白色または着色されており、鉱物及び/または有機であり、被覆されているかまたはされていなくても良い。鉱物顔料としては、任意に表面処理されたに酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、または酸化セリウム、並びに酸化鉄、または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコチニールカルミン、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、若しくはアルミニウムに基づくレーキが挙げられる。
【0137】
真珠光沢剤は、白色真珠光沢顔料、例えば、チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタン、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたマイカチタン、上述のタイプの有機顔料で被覆されたマイカチタン、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択して良い。
【0138】
脂溶性染料は、例えば、スーダンレッド、D&C赤色17号、D&C緑色6号、ベータ−カロチン、ダイズオイル、スーダンブラウン、D&C黄色11号、D&C紫色2号、D&C橙色5号、キノリンイエロー、及びアナートである。
【0139】
これらの色素は、組成物の全質量に対して0.01から30質量%の範囲の含量で存在してよい。
【0140】
本発明による組成物は、少なくとも一つのフィラーを更に含んでも良い。
【0141】
フィラーは、当業者に周知であり、化粧品組成物で一般的に使用されるものから選択して良い。フィラーは、鉱物または有機のものであり、ラメラ状または球状であって良い。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミドパウダー、例えば、Atochem社によりOrgasol(登録商標)の商標名で市販されているナイロン(登録商標)、ポリ−β−アラニンパウダー、及びポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー、例えば、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、膨張ポリマー状中空ミクロスフェア、例えば、ポリビニリデンクロリド/アクロリニトリルのもの、例えば、Nobel Industrie社によりExpancel(登録商標)の名称で市販されている製品、アクリルパウダー、例えば、Dow Corning社によりPolytrap(登録商標)の名称で市販されているもの、ポリメチルメタクリレート粒子、及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、Toshiba社製のTospearls(登録商標))、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilicaBeads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22の炭素原子、特に、12から18の炭素原子を含む有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、マグネシウム、若しくはリチウム、ラウリン酸亜鉛、及びミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0142】
加熱時に膨潤しうる化合物、特に、熱膨張性の粒子、例えば、ビニリデンクロリド/アクロリニトリル/メチルメタクリレートのコポリマー、またはアクリロニトリルホモポリマーコポリマーの非膨張ミクロスフェア、例えば、それぞれAkzo Nobel社によりExpancel(登録商標)820 DU 40及びExpancel(登録商標)007WUの名称で市販されているものを使用することも可能である。
【0143】
フィラーは、組成物の全質量に対して0.1から25質量%、特に、0.2から20質量%を占めても良い。
【0144】
本発明による組成物は、睫毛を長くする効果の改良を可能にする繊維を更に含んでも良い。
【0145】
用語「繊維」は、長さがLであり、直径がDであって、LがDより格段に大きく、Dが、繊維の断面が含まれる円の直径を表すような物を意味すると解されるべきである。特に、L/Dの比(または形状係数)は、3.5から2500、特に、5から500、特に、5から150の範囲で選択される。
【0146】
本発明の組成物で使用して良い繊維は、合成または天然起源の鉱物または有機繊維であって良い。それらは短くても長くても良く、個別でも組織されていても、例えば、編まれていても良く、中空でも固体でも良い。それはいずれの形状を有しても良く、特に、企図される特定の応用によって、円形または多角形(四角形、六角形、または八角形)の断面を有しても良い。特にその末端は平滑であり、及び/または傷害を防止するため滑らかである。
【0147】
特に、前記繊維は、1μmから10mm、好ましくは、0.1mmから5mm、好適には、0.3mmから3.5mmの範囲の長さを有する。その断面は、2nmから500μmの範囲、好ましくは、100nmから100μmの範囲、好適には、1μmから50μmの範囲の直径の円内に入ってよい。繊維の質量またはヤーン数は、しばしばデニールまたはデシテクス単位で与えられ、9kmのヤーン当たりのグラム単位の質量を表す。特に、本発明による繊維は、0.15から30デニール、好適には、0.18から18デニールの範囲で選択されるヤーン数を有してよい。
【0148】
本発明の組成物で使用して良い繊維は、剛性または非剛性繊維から選択されて良く、合成または天然の鉱物または有機起源のものであってよい。
【0149】
更にまた、繊維は表面処理されていてもされていなくても良く、被覆されていてもされていなくても良く、着色されていてもされていなくても良い。
【0150】
本発明による組成物中に使用して良い繊維として、非剛性繊維、例えば、ポリアミド(ナイロン(登録商標))繊維、または剛性繊維、例えば、ポリイミドアミド繊維、例えば、Rhodia社によりKermel(登録商標)及びKermel Tech(登録商標)の名称で市販されている製品、または特にDuPont de Nemours社によりKevlar(登録商標)の名称で市販されている、ポリ(p-フェニレンテトラフタルアミド)(またはアラキド)繊維が挙げられる。
【0151】
繊維は、組成物の全質量に対して0.01から10質量%、特に、0.1から5質量%、とりわけ、0.3から3質量%の範囲の含量で、本発明による組成物中に存在してよい。
【0152】
本発明による組成物は、少なくとも一つの化粧品活性剤を含んでも良い。
【0153】
本発明による組成物中に使用してよい化粧品活性剤として、特に、抗酸化剤、防腐剤、香料、中和剤、皮膚軟化剤、増粘剤、合着剤、可塑剤、保湿剤、ビタミン、及びスクリーニング剤、特にサンスクリーン剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0154】
第1及び/または第2組成物は、液体、半液体、ペースト状または固体の形態であってよい。
【0155】
言うまでもなく、当業者であれば、任意の付加的添加剤及び/またはその量を、注意深く選択し、本発明による組成物の有利な特性が、考慮される添加によって損なわれないように、または、実質的に損なわれないように、とりわけ、アルギン酸ベースの化合物と錯化剤との間の錯体形成反応を妨害しないようにするであろう。
【0156】
本発明の主題は、また、ケラチン物質のコーティングのための美容方法であって、前記ケラチン物質への、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、少なくとも1つの第1組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、これに次ぐ、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む、少なくとも1つの第2組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、
である、方法である。
第1及び第2組成物は、以上に定義される通りである。
【0157】
上記の睫毛コーティング方法は、前記第1及び/または第2組成物を、その睫毛への適用の前に、これと同時に、あるいはその後に、加熱する工程を含んでよい。
【0158】
一実施態様によれば、この睫毛コーティング方法は、睫毛に、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、少なくとも1つの第1組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、これに次ぐ、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む、少なくとも1つの第2組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、これに次ぐ、
・第1及び第2組成物の適用後に得られるフィルムを熱源に処する工程、
である。
前記熱源は、例えば、加熱アプリケーターであってよい。
【0159】
(メイクアップ除去)
上述の第1組成物のアルギン酸ベースの化合物と、上述の第2組成物の錯化剤との間の反応によって得られる水不溶性フィルムは、アルギン酸ベースの化合物の錯体形成のための作用剤として、金属イオン封鎖剤(キレート剤としても既知)を使用して、容易に除去してよい。
【0160】
したがって、本発明は、更に、水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、及び、1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物の、ケラチン物質への適用によって形成されるメイクアップフィルムの除去及び/またはクレンジング方法であって、前記メイクアップフィルム上に、生理学的に許容される媒質中に水性相及び前記錯化剤のための少なくとも1つの金属イオン封鎖剤を含むメイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物を適用する少なくとも1つの工程を含む方法に関する。
【0161】
第1及び第2組成物の適用後に得られるメイクアップフィルムに、メイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物を適用した後、金属イオン封鎖剤は、錯化剤−アルギン酸ベース化合物の錯体中に存在する錯化剤(特に、多価イオン)と結合し、これにより前記錯体の解離及び睫毛表面のメイクアップフィルムの分解をもたらす。
【0162】
本発明はまた、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、
・1乃至6の範囲のpKaを有する少なくとも1つの酸を含む第二組成物、並びに
・生理学的に許容される媒質中に水性相及び前記錯化剤のための少なくとも1つの金属イオン封鎖剤を含むメイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物、
を含む、化粧品キットである。
【0163】
第1及び第2組成物は、上述の通りである。
【0164】
錯化剤のための金属イオン封鎖剤は、特に、第2組成物中に存在する、1乃至6の範囲のPKaを有する酸以外のカルボン酸、好ましくは、アミノカルボン酸、ホスホン酸、好ましくは、アミノホスホン酸、ポリリン酸、好ましくは、直鎖状ポリリン酸、及びこれらの塩及び誘導体から選択される。
【0165】
前記塩は、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及び置換アンモニウム塩である。
【0166】
キレート剤は、特に、以下より選択される:
・アミノカルボン酸(すなわち、少なくとも一つのカルボン酸基を含む酸)、例えば、以下のINCI名を有するもの:
フィチン酸、
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、
エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)及びエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム、例えば、Octel社製のOctaquest E30、
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
エチレンジアミン-N,N’-ジグルタル酸(EDDG)、
グリシンアミド-N,N’-ジコハク酸(GADS)、
2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(HPDDS)、
エチレンジアミン-N,N’-ビス(オルト-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、
N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HBED)、
ニトリロ三酢酸(NTA)、
メチルグリシン二酢酸(MGDA)、
N-2-ヒドロキシエチル-N,N-二酢酸及びグリセリルイミノ二酢酸(EP-A-317 542及びEP-A-399 133に記載のもの)、
イミノ二酢酸-N-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸及びアスパラギン酸N-カルボキシメチルN-2-ヒドロキシプロピル-3-スルホン酸(EP-A-516 102に記載のもの)、
ベータ-アラニン-N,N’-二酢酸、アスパルチン酸-N,N’-二酢酸、及びアスパルチン酸-N-一酢酸(EP-A-509 382に記載のもの)、
イミノジコハク酸(IDSA)ベースのキレート剤(EP-A-509 382に記載のもの)、
エタノールジグリシン酸、
ホスホノブタン三カルボン酸、例えば、BayerによりBayhibit AMの品番で市販の化合物、
グルタミン酸ジ酢酸四ナトリウム(GLDA)、
・モノまたはポリリン酸ベースのキレート剤、例えば、以下のINCI名を有する化合物:
ジエチレントリアミン五(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、
エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸(E1HTP)、
エタン-2-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸(E2HTP)、
エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(EHDP)、
エタン-1,1,2-トリホスホン酸(ETP)、
エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、
ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、
・ポリリン酸ベースのキレート剤、例えば、以下のINCI名を有する化合物:
ナトリウムトリポリホスフェート(STP)、
四ナトリウムジホスフェート、
ヘキサメタリン酸、
ナトリウムメタホスフェート、
フィチン酸、
これらの塩及び誘導体、並びに
これらの混合物。
【0167】
フルクタンイヌリンのカルボキシル化誘導体(例えば、文献US6280628に記載のもの)を更に挙げてよい。
【0168】
挙げたキレート剤の中では、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、S,S’-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸及び四ナトリウムグルタミン酸二酢酸(GLDA)、並びにこれらの混合物が好ましく使用される。
【0169】
金属イオン封鎖剤は、メイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物の全質量に対して、0.01乃至30質量%、好ましくは、0.05乃至15質量%、更に好適には、0.1乃至15質量%の範囲の含量で存在してよい。
【0170】
好ましくは、前記金属イオン封鎖剤は、水性溶液の形態で存在する。すなわち、前記メイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物は、以上に定義される水性相を含む。
【0171】
本発明による組成物は、それぞれ、前記組成物を含む少なくとも一つの区画を仕切る容器中に準備してよく、前記容器は、閉鎖部材によって閉鎖される。
【0172】
この容器には、好ましくは、アプリケーター、特に、ねじれたワイヤによって保持された毛の列を備えたブラシの形態のものが付随する。こうしたねじれブラシ(twisted wire)は、特に、特許US4887622に記載されている。これは、特に、成型によって得られる、多数のアプリケーション部材を含む櫛の形態であってもよい。こうした櫛は、例えば、特許FR2796529に記載されている。アプリケーターは、例えば、特許FR2761959に記載のように、容器に堅固に備え付けられていてよい。有利には、このアプリケーターは、それ自体が閉鎖部材に堅固に備え付けられた、軸に堅固に備え付けられていてよい。
【0173】
これは、文献WO06/125122またはFR2769529に記載の通り、成型櫛または成型ブラシであってよい。
【0174】
閉鎖部材は、ねじ締めによって容器と連結させてよい。あるいはまた、閉鎖部材と容器との連結は、ねじ締め以外の、特に、差し込み機構による、クリック留めまたは締め付けによって行われる。特に「クリック留め」なる語は、構成要素、特に閉鎖部材の、一部分の弾性変形による縁もしくは玉縁の通過を含み、次いで、縁もしくは玉縁の通過後に、前記一部分が、弾性圧力が加えられていない部分に戻ることを含むあらゆるシステムを意味する。
【0175】
前記容器は、少なくとも部分的に熱可塑性材料製であってよい。挙げてよい熱可塑性材料の例には、ポリプロピレン及びポリエチレンが含まれる。
【0176】
あるいはまた、この容器は、非熱可塑性材料製、特に、ガラスまたは金属(または合金)製である。
【0177】
この容器は、好ましくは、容器の開口部の領域に配置されたドレイナーを備えている。こうしたドレイナーによれば、アプリケーター及び、任意にこれに堅固に備え付けられた軸を拭うことが可能になる。こうしたドレイナーは、例えば、特許FR2792618に記載されている。
【0178】
好ましくは、第1及び第2組成物は、別々の調整状態で準備される。
【0179】
各組成物は、同一の調整物品(conditioning article)内の区画中に準備してよく、二つの組成物の混合は、各組成物の排出の間に前記調整物品の先端で行われる。
【0180】
あるいはまた、第1及び第2組成物のそれぞれを、別々の調整物品中に準備してよい。
【0181】
以下の例は、本発明の詳説を与えるものであり、その範囲をどのようにも制限するものではない。
【実施例】
【0182】
以下の組成物を調製した。記載の量は、組成物の全質量に対する質量百分率で表される。
【0183】
(組成物1)
アルギン酸ナトリウム 3%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%
炭酸カルシウム(Solvay社製のSocal 90 A) 1%
保存料 適量
水 100%とする残量
【0184】
(組成物2)
クエン酸(Merck) 3%
水 100%とする残量
【0185】
第1組成物のコーティングを睫毛に適用し、その上に第2組成物(クエン酸溶液)のコーティングを適用する。
【0186】
数秒後、アルギネートゲル中に捕捉されたCO2の気泡の放出による、睫毛の上のフィルムの膨張が観察され、これによって睫毛のボリュームアップ効果がもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物、並びに
・少なくとも1つの親油性または親水性フィルム形成性ポリマーを含む第一及び/または第二組成物、
を含む、ケラチン物質コーティングキット。
【請求項2】
前記アルギン酸ベースの化合物が、10000乃至1000000、好ましくは、15000乃至500000、更に好適には、20000乃至250000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記アルギン酸ベースの化合物が、アルギン酸ナトリウムもしくはカリウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記アルギン酸ベースの化合物が、これを含む第1組成物全質量に対して、0.1乃至30質量%、好ましくは、0.5乃至20質量%、更に好適には、1乃至10質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記水性相が、組成物全質量に対して、1乃至95質量%、好ましくは、3乃至80質量%、より好ましくは、5乃至60質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
アルギン酸ベースの化合物のための、不溶性塩の形態の前記錯化剤が、不溶性塩形態の高分子電解質及び不溶性塩形態の多価イオンから選択されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
アルギン酸ベースの化合物のための前記錯化剤が、不溶性塩形態の多価カチオン及びポリカチオンから選択されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記カチオンが、二価カチオン、特に、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、銅(+II)、あるいはマンガンのカチオン、並びにこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
不溶性塩形態の前記錯化剤が、アルカリ土類金属炭酸塩から選択されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
不溶性塩形態の前記錯化剤が、CO32-のカルシウム塩またはマグネシウム塩から選択されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
不溶性塩形態の前記錯化剤が、炭酸カルシウムから選択されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
不溶性塩形態の前記錯化剤が、組成物の全質量に対して、0.01乃至30質量%、好ましくは、0.02乃至15質量%、更に好適には、0.05乃至5質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
第2組成物中に存在する、1乃至6の範囲のpKaを有する前記酸が、硫酸及びカルボン酸、並びにこれらの混合物から、好ましくは、カルボン酸、例えば、プロパン酸、ブタン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
第2組成物中に存在する、1乃至6の範囲のpKaを有する前記酸が、乳酸及びクエン酸から選択されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
1乃至6の範囲のpKaを有する前記酸が、第2組成物の全質量に対して、0.0001乃至15質量%、好ましくは、0.001乃至10質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のキット。
【請求項16】
ケラチン物質のコーティングのための美容方法であって、前記ケラチン物質への、
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、少なくとも1つの第1組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、これに次ぐ、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む、少なくとも1つの第2組成物の、少なくとも1つのコーティングを適用する工程、
・少なくとも1つの親油性または親水性フィルム形成性ポリマーを含む第1及び/または第2組成物を適用する工程、
である、方法。
【請求項17】
水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、及び、1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物の、ケラチン物質への適用によって形成されるメイクアップフィルムの除去及び/またはクレンジング方法であって、前記メイクアップフィルム上に、生理学的に許容される媒質中に水性相及び前記錯化剤のための少なくとも1つの金属イオン封鎖剤を含むメイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物を適用する少なくとも1つの工程を含む、方法。
【請求項18】
前記錯化剤のための金属イオン封止剤が、カルボン酸、好ましくは、アミノカルボン酸、ホスホン酸、好ましくは、アミノホスホン酸、ポリリン酸、好ましくは、直鎖状ポリリン酸、及びこれらの塩及び誘導体から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
錯化剤のための前記金属イオン封止剤が、
・アミノカルボン酸、例えば、
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、
エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)及びエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
エチレンジアミン-N,N’-ジグルタル酸(EDDG)、
グリシンアミド-N,N’-ジコハク酸(GADS)、
2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(HPDDS)、
エチレンジアミン-N,N’-ビス(オルト-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、
N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HBED)、
ニトリロ三酢酸(NTA)、
メチルグリシン二酢酸(MGDA)、
N-2-ヒドロキシエチル-N,N-二酢酸及びグリセリルイミノ二酢酸、
イミノ二酢酸-N-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸及びアスパラギン酸N-カルボキシメチルN-2-ヒドロキシプロピル-3-スルホン酸、
ベータ-アラニン-N,N’-二酢酸、アスパルチン酸-N,N’-二酢酸、及びアスパルチン酸-N-一酢酸、
イミノジコハク酸(IDSA)ベースのキレート剤、
エタノールジグリシン酸、
ホスホノブタン三カルボン酸、
グルタミン酸ジ酢酸四ナトリウム(GLDA)、
・モノまたはポリリン酸ベースのキレート剤、例えば、
ジエチレントリアミン五(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、
エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸(E1HTP)、
エタン-2-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸(E2HTP)、
エタン-1-ヒドロキシ-1,1-トリホスホン酸(EHDP)、
エタン-1,1,2-トリホスホン酸(ETP)、
エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、
ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、
・ポリリン酸ベースのキレート剤、例えば、
ナトリウムトリポリホスフェート(STP)、
四ナトリウムジホスフェート、
ヘキサメタリン酸、
ナトリウムメタホスフェート、
フィチン酸、
これらの塩及び誘導体、並びに
これらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属イオン封止剤が、
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、
S,S’-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、
エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、
ホスホノブタントリカルボン酸及び四ナトリウムグルタミン酸二酢酸(GLDA)、これらの塩及び誘導体、及びフィチン酸、並びにこれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項17乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記金属イオン封止剤が、エチレンジアミン四酢酸であることを特徴とする、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記金属イオン封止剤が、メイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物の全質量に対して、0.01乃至30質量%、好ましくは、0.05乃至15質量%、更に好適には、0.1乃至15質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項17乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
・水性相、少なくとも1つのアルギン酸ベースの化合物、及び前記化合物と錯体形成するための少なくとも1つの作用剤を含み、前記作用剤が、水不溶性塩の形態であり、且つ、1乃至6の範囲のpKaを有する酸との接触に際して気体を放出しうる、第1組成物、
・1乃至6の範囲のpKaを有する酸を含む第二組成物、並びに
・生理学的に許容される媒質中に、水性相及び前記錯化剤のための少なくとも1つの金属イオン封止剤を含む、メイクアップ除去及び/またはクレンジング組成物
を含む、化粧品キット。

【公表番号】特表2011−506550(P2011−506550A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538683(P2010−538683)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067655
【国際公開番号】WO2009/080627
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】