説明

アルツハイマー病の処置のためのチオフェニルスルホンアミド

式(I):


(式中、R1、R2およびnは本明細書に記載されている)の一連の新規のα-(N-スルホンアミド)アセトアミド化合物を提供し、それはβ-アミロイドペプチド(β-AP)産生の阻害剤であり、アルツハイマー病および抗-アミロイド活性の影響を受ける他の症状の処置において有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年5月20日に出願された米国仮特許出願第61/161,801号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、薬物特性および生体作用特性を有する新規のチオフェニルスルホンアミド化合物、その医薬組成物および使用方法を提供する。とりわけ、本発明は、チオフェニルスルホンアミドに関する。これらの化合物は、β-アミロイドペプチド(β-AP)産生の特異な阻害を有し、それにより脳におけるアミロイドタンパク質沈着の蓄積を防ぐように作用する。より具体的には、本発明は、アルツハイマー病(AD)の処置に関連する。さらに、本発明は、頭部外傷、脳外傷、ボクサー認知症、および/またはβ-アミロイドペプチドに関連する他の症状の処置に有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アルツハイマー病(AD)は進行性の神経変性疾患であり、それは記憶喪失に始まり、重度の認知障害、変容行動、および運動機能の低下を含むように進行する(非特許文献1;非特許文献2)。それは、最も多く見受けられる認知症の形態であり、心血管障害および癌に次ぐ第3の主要な死因である。ADの代償は莫大であり、患者および家族の苦しみ、ならびに患者および介護者の生産性の低下が含まれる。ADを効果的に防止するか、または臨床症状および根本的な病態生理を逆行させる処置は、現在のところない。
【0004】
認知症患者に対するADの確定診断には、剖検における老人斑および神経原線維変化の数および局在の病理組織学的評価が必要とされる(非特許文献3)。同様の変化がトリソミー21(ダウン症候群)の患者において観察される。斑は主に、アミロイド前駆体タンパク質(APP)がβ-サイトAPP-切断酵素(BACE)によって段階的にタンパク質切断されてN-末端を形成し、γ-セクレターゼによって段階的にタンパク質切断されてC-末端を形成することにより形成される、β-アミロイド(Aβ)ペプチドから成る(非特許文献4)。γ-セクレターゼは、ニカストリン、Aph-1、PEN-2、およびプレセリン-1(PS-1)もしくはプレセリン-2(PS-2)のいずれかを含む膜貫通タンパク質複合体である(非特許文献5)。PS-1およびPS-2はγ-セクレターゼの触媒部位を有すると考えられている。
【0005】
Aβ40は合成されたAβの最も豊富な形態であり(80-90%)、一方、Aβ42はAD発症に最も密接に関連している。とりわけ、希有な家族性のADを引き起こす、APP、PS-1、およびPS-2遺伝子における変異は、Aβ42凝集体を主要な毒性種として関与させる(非特許文献4)。現在の証拠によって、オリゴマーのAβ42、プロトフィブリルの(protofibrillar)Aβ42、および細胞内のAβ42は、疾患の過程において重要な役割を果たすことが示唆される(非特許文献6)。Aβ42を生じさせる酵素(例えば、γ-セクレターゼ)の阻害剤は、ADの処置のための潜在的な疾患修飾性治療薬(disease-modifying therapeutics)である。
【0006】
γ-セクレターゼは、複数のI型膜貫通タンパク質ならびにAPPを切断する(非特許文献7)。これら切断イベントの大部分の生理学的意義は不明であるが、遺伝学的証拠によってNotchのγ-セクレターゼ切断はNotchシグナリングに必要であることが示されている(非特許文献8;非特許文献9)。γ-セクレターゼ阻害剤を投与されたげっ歯類において、薬剤-関連毒性が、消化(GI)管、胸腺、および脾臓で確認されている(非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。これらの毒性はNotchシグナリングの阻害に関連していると思われる(非特許文献13)。
【0007】
機序に基づく毒性が確認されたこと(identification)により、γ-セクレターゼ阻害剤を用いて許容可能な治療指数を達成することができるかどうかの問題が提起される。Notchプロセシングに及ぶAβ形成の選択的阻害、薬物動態、薬物の体内動態および/または組織特異的薬力学は、治療域(therapeutic margin)に影響を与え得る。
【0008】
証拠によって、γ-セクレターゼの阻害による脳Aβ濃度の低下はADの発症と進行を防ぎうることが示唆されている(非特許文献4;非特許文献14)。他の疾患(軽度認知障害(MCI)、ダウン症候群、脳アミロイド血管症(CAA)、レビー小体型認知症(DLB)、筋萎縮性側索硬化症(ALS-D)、封入体筋炎(IBM)、および加齢黄斑変性を含む)におけるAβの役割に関する新しいデータがある。γ-セクレターゼを阻害しAβの産生を減少させる化合物を、これらまたは他のAβ-依存性疾患の処置に有利に用いることができる。
【0009】
Aβの過剰産生および/またはAβのクリアランス低下は、CAAを引き起こす(非特許文献15)。これらの患者において、血管のアミロイド沈着は、高齢患者における出血性卒中の10〜15%に関与しうる、血管壁および動脈瘤の変性を引き起こす。ADと同様に、Aβをコードする遺伝子における変異は、CAA(アミロイド性脳出血(オランダ型)と称される)の早期発症型をもたらし、この変異タンパク質を発現するマウスは患者と同様のCAAに罹る。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物は、CAAを低減または予防し得る。
【0010】
DLBは、幻視、妄想、およびパーキンソニズムを症状として示す。興味深いことに、Aβ沈着をもたらす家族性AD変異はまた、レビー小体およびDLB症候も引き起こし得る(非特許文献16)。さらに、孤発性DLB患者はADと同様のAβ沈着を有する(非特許文献17)。このデータに基づくと、AβはDLBにおいてレビー小体の病態を駆動すると考えられ、それ故に、γ-セクレターゼ阻害剤はDLBを低減または予防し得る。
【0011】
ALS患者のおよそ25%が重篤な認知症もしくは失語症を有する(非特許文献18)。ALS-Dと認定されたこれらの患者の大部分(〜60%)は、TDP-43タンパク質を主に含むユビキチン陽性封入体を有する(非特許文献19)。ALS-D患者の約30%が、それらの認知症を引き起こすAβと一致するアミロイド斑を有する(非特許文献18)。これらの患者はアミロイド造影剤を用いて同定可能であり、γ-セクレターゼ阻害剤を用いて処置できる可能性を有するであろう。
【0012】
IBMは希有な、骨格筋の加齢性変性疾患である。トランスジェニックマウスの筋肉にAPPを過剰発現させることによる、IBM筋におけるAβ沈着の出現およびいくつかの病態の再現によって、IBMにおけるAβの役割が裏付けられる(非特許文献20に概説)。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物は、IBMを低減または予防し得る。
【0013】
加齢黄斑変性において、Aβはドルーゼ(網膜色素上皮(RPE)の真下の細胞外沈着)のいくつかの成分のうちの1つとして同定された(非特許文献21)。最近の研究により、マウスにおいてAβと黄斑変性との間に関連がある可能性が示されている(非特許文献22)。Aβ沈着および核白内障(supranuclear cataract)の増加が、AD患者において認められている(非特許文献23)。γ-セクレターゼを特異的に標的とする化合物は、加齢黄斑変性を低減または予防し得る。
【0014】
腫瘍形成におけるNotchシグナリングの役割に基づくと、γ-セクレターゼを阻害する化合物はまた、癌の処置のための治療薬としても有用でありうる(非特許文献24)。
【0015】
γ-セクレターゼを阻害する化合物はまた、ミエリン形成の喪失に関連する症状(例えば多発性硬化症)の処置においても有用でありうる(非特許文献25)。
【0016】
ジョージタウン大学医療センターの研究者による最近の研究によって、γ-セクレターゼ阻害剤は脳外傷からの長期的損傷を予防しうることが示唆されている(非特許文献26)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Grundman, M. et al., Arch Neurol. (2004) 61: 59-66
【非特許文献2】Walsh, D.M. et al., Neuron (2004) 44: 181-193
【非特許文献3】Consensus recommendations for the postmortem diagnosis of Alzheimer's disease. Neurobiol Aging (1997) 18: S1-2
【非特許文献4】Selkoe, D.J., Physiol Rev. (2001) 81: 741-766
【非特許文献5】Wolfe, M.S. et al., Science (2004) 305: 1119-1123
【非特許文献6】Cleary, J.P. et al., Nat Neurosci. (2005) 8: 79-84
【非特許文献7】Pollack, S.J. et al., Curr Opin Investig Drugs (2005) 6: 35-47
【非特許文献8】Artavanis-Tsakonas, S. et al., Science (1999) 284(5415): 770-6
【非特許文献9】Kadesch, T.; Exp Cell Res. (2000) 260(1): 1-8
【非特許文献10】Searfoss, G.H.; Jordan et al., J Biol Chem. (2003) 278: 46107-46116
【非特許文献11】Wong, G.T. et al., J Biol Chem. (2004) 279: 12876-12882
【非特許文献12】Milano, J. et al., Toxicol Sci. (2004) 82: 341-358
【非特許文献13】Jensen, J. et al., Nat Genet. (2000) 24: 36-44
【非特許文献14】Wolfe, M., J. Med. Chem. (2001) 44: 2039-2060
【非特許文献15】Thal, D. et al., J. Neuropath. Exp. Neuro. (2002) 61: 282-293
【非特許文献16】Yokota, O. et al., Acta Neuropathol (Berl) (2002) 104: 637-648
【非特許文献17】Deramecourt, V. et al., J Neuropathol Exp Neurol (2006) 65: 278-288
【非特許文献18】Hamilton, R.L. et al., Acta Neuropathol (Berl) (2004) 107: 515-522
【非特許文献19】Neumann, M. et al., Science (2006) 314: 130-133
【非特許文献20】Murphy, M.P. et al., Neurology (2006) 66: S65-68
【非特許文献21】Anderson, D.H. et al., Exp Eye Res (2004) 78: 243-256
【非特許文献22】Yoshida, T. et al., J Clin Invest (2005) 115: 2793-2800
【非特許文献23】Goldstein, L.E. et al., Lancet (2003) 361: 1258-1265
【非特許文献24】Shih, I.-M., et al., Cancer Research (2007) 67: 1879-1882
【非特許文献25】Watkins, T.A., et al., Neuron (2008) 60: 555-569
【非特許文献26】Loane, D. J., et al., Nature Medicine (2009): 1-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の概要)
一連のチオフェニルスルホンアミド誘導体が合成されている。これらの化合物は、特異的に、β-アミロイド前駆体タンパク質(β-APP)からのβ-アミロイドペプチド(β-AP)の産生を阻害する。これらの化合物の薬理作用によってそれらは、患者(例えば、アルツハイマー病(AD)、ならびにダウン症候群、頭部外傷、脳外傷、およびボクサー認知症)におけるβ-APの阻害に応答する症状の処置に有用となる。これらの症状を患っているかもしくは患いやすい患者にこれらの化合物を投与することを用いる療法は、これらの患者の脳において蓄積および沈着しうるβ-APを減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、式Iの化合物、それらの医薬製剤、ならびにADもしくは脳組織のβ-AP蓄積によって生じる他の障害を患っているかもしくは患いやすい患者でのβ-AP産生を阻害することにおけるそれらの使用を包含する。式Iの化合物(その塩、無毒の医薬的に許容される塩および/または水和物を含む)は、以下の式および意味:
【化1】

(式中、
R1は、C1-6アルキル、-(CH2)r-C3-6シクロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり;
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
nは、1〜3であり;そして、
rは、1〜3である)
を有する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、該化合物は式(Ia):
【化2】

(式中、
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
R2aは、ハロであり;
nは、0〜12である)
の化合物またはその塩である。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、R1がC1-4アルキル、-(CH2)r-C3-6シクロアルキル、またはC1-3ハロアルキルである、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、R1が-(CH2)-C3-6シクロアルキルまたはC1-3ハロアルキルである、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0023】
別の実施態様において、本発明は、R2がハロ、
【化3】

である、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0024】
別の実施態様において、本発明は、R1が-(CH2)-シクロプロピルまたは-CH2-CH2-CF3である、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、式(I):
【化4】

(式中、
R1は、シクロプロピルメチルまたはCF3-CH2-CH2-;(シクロアルキル-CH2-)またはハロアルキルであり;
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
nは、1〜3である)
の化合物またはその塩を提供する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、該化合物は式(Ia):
【化5】

(式中、
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
R2aは、ハロであり;
nは、0〜1である)
である。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、R2がハロ、
【化6】

である、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を提供し、ここで、該化合物は式(Ib):
【化7】

である。
【0029】
本発明はまた、式(I)の化合物、および医薬的に許容されるアジュバント、担体もしくは希釈剤を含有する医薬組成物も提供する。
【0030】
本発明はまた、通常のアジュバント、担体もしくは希釈剤と一緒に、治療上有効な量の式Iの化合物またはその無毒の医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、β-アミロイドペプチドに関連する障害(特にアルツハイマー病)を処置もしくは軽減する方法も提供する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、療法における使用のための本発明の化合物を提供する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症候群の処置または発症の遅延のための療法における使用のための本発明の化合物を提供する。
【0033】
別の実施態様において、本発明はまた、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症候群の処置または発症の遅延のための医薬の製造のための、本発明の式Iの化合物の使用も提供する。
【0034】
さらに別の実施態様において、本発明は、頭部外傷、脳外傷、および/またはボクサー認知症の処置のための方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0035】
さらに別の実施態様において、本発明は、頭部外傷の処置のための方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0036】
さらに別の実施態様において、本発明は、脳外傷の処置のための方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0037】
さらに別の実施態様において、本発明は、ボクサー認知症の処置のための方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0038】
本発明は、本発明の精神またはそれに帰する本質から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化されうる。本発明は、本明細書中に記載する本発明の好ましい態様および/または実施態様の全ての組み合わせを包含する。本発明のいずれかおよび全ての実施態様は、いずれかの他の実施態様と組み合わせて、より好ましいさらなる実施態様を記載することができると理解される。さらに、実施態様のいずれかの要素は、いずれかの実施態様からのいずれかおよび全ての他の要素を組み合わせてさらなる実施態様を記載することを意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(定義)
本明細書において用いられうる用語の定義を以下に記載する。本明細書の基もしくは用語について与えられる最初の定義を、他に指示されない限り、本明細書全体にわたる個別もしくは別の基の一部としての基または用語に適用する。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「C1-6アルキル」は(文中に他に指示のない限り)、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、3-メチルブチル、ヘキシルなど)を意味する。本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「C2-6アルケニル」は(文中に他に指示のない限り)、直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基(例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル、アリル、ブテニル、3-メチルブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなど)を意味する。他に規定のない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、ヨウ素およびフッ素を含むことを意図し、一方、用語「ハライド」は、臭化物、塩化物およびヨウ化物アニオンを含むことを意図する。
【0041】
用語「C3-7シクロアルキル」は、炭素環系(carbon cyclic ring system)、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを意味する。
【0042】
用語「C1-4ハロアルキル」は、1〜3個のハロゲン原子を含む直鎖もしくは分枝鎖のC1-4アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、フルオロエチル、1,2-ジクロロエチル、トリクロロエチルなど)を意味する。
【0043】
いずれの変数(例えば、R2)が、化合物についてのいずれの組成もしくは式中に1回以上現れる場合、各々のその定義は、全ての他の場合における定義から独立している。従って、例えば、基が0〜2個のR2で置換されていると示される場合、該基は、適宜、最大2個のR2基で置換されていてよく、R2は、各々、R2の定義から独立して選択される。また、置換基および/または変数の組み合わせは、該組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容され得る。
【0044】
置換基に対する結合が、環中の2個の原子をつなげる結合と交差すると示される場合、該置換基は、該環上のいずれの原子と結合してもよい。置換基が、それが所定の式の残りの化合物と結合するのに介する原子を示すことなく記載されている場合、該置換基は該置換基中のいずれの原子を介して結合していてもよい。置換基および/または変数の組み合わせは、該組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容され得る。
【0045】
式Iの化合物は、遊離型(イオン化されていない)として存在していてよいか、または塩を形成してもよく、それもまた本発明の範囲内である。他の塩もまた有用(例えば、本発明の化合物の単離もしくは精製において)であるけれども、医薬的に許容される(すなわち、無毒の、生理学的に許容される)塩が好ましい。
【0046】
式Iの化合物は、アルカリ金属との塩(例えばナトリウム、カリウムおよびリチウム)、アルカリ土類金属との塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム)、有機塩基との塩(例えばジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンおよびアミノ酸(例えばアルギニン、リジンなど))を形成してもよい。そのような塩は、当業者に公知のとおり形成され得る。
【0047】
式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸との塩を形成してもよい。そのような塩には、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、および様々なその他と形成されるもの(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩など)が含まれる。そのような塩は、当業者に公知のように形成され得る。
【0048】
加えて、双性イオン(「分子内塩」)を形成してもよい。
【0049】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合形態か、または純粋もしくは実質的に純粋な形態のいずれかであることが意図される。本発明による化合物の定義は、全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物を包含する。それには、まさにとりわけ、特定の活性を有するラセミ体および単離された光学異性体が包含される。例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶、分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離といった物理的方法によって、該ラセミ体を分割することができる。該個々の光学異性体は、例えば、光学活性酸を用いた塩形成とその後の結晶化によってなどの、通常の方法によって、ラセミ体から得ることができる。
【0050】
本発明は、本発明の化合物に出現する原子の全ての同位体を含むことを意図する。同位体には、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、限定されることなく、水素の同位体にはジュウテリウムおよびトリチウムが含まれる。炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。同位体で標識された本発明の化合物は一般に、当業者に公知の通常の技法によってか、または本明細書に記載されたものと類似した方法によって、他で用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体-標識試薬を用いて、製造することができる。
【0051】
当然のことながら、式Iの化合物の溶媒和物(例えば、水和物)もまた本発明の範囲内である。溶媒和の方法は通常、当分野において公知である。
【0052】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度までの単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を示すことを意味する。本発明の化合物は、N-ハロ、S(O)2H、またはS(O)H基を含まないことが好ましい。
【0053】
本明細書で用いる「処置すること」または「処置」には、哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患状態の処置が含まれ、ならびに:(a)とりわけ、哺乳動物が疾患状態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合において、哺乳動物での疾患状態が生じるのを予防すること;(b)疾患状態の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;および/または(c)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態の退行をもたらすこと、が含まれる。
【0054】
「治療上有効な量」は、単独もしくは組み合わせて投与した場合に有効である本発明の化合物の量を包含することを意図する。「治療上有効な量」はまた、疾患の処置に有効である化合物の組み合わせの量を包含することも意図する。
【0055】
本発明はさらに、1つ以上の本発明の化合物および医薬的に許容される担体を含有する組成物を包含する。
【0056】
「医薬的に許容される担体」とは、動物(とりわけ哺乳動物)への生物活性薬剤の送達に関して当分野で通常許容されている媒体を言う。医薬的に許容される担体は、十分に当分野の通常の技術の範囲内である多くの因子に従って製剤化される。これらには、制限されることなく:製剤化される活性薬剤の種類および性質;該薬剤含有組成物を投与する対象;該組成物の目的の投与経路;および標的とする治療指標が含まれる。医薬的に許容される担体には、水性および非水性の両方の液体媒体、ならびに様々な固体および半固体剤形が含まれる。そのような担体は、活性薬剤に加えて多くの異なる成分および添加物を含むことができ、そのような追加成分は様々な理由(例えば、活性薬剤、結合剤などの安定化)で該製剤に含まれ、当業者に周知である。適切な医薬的に許容される担体、およびそれらの選択に関与する因子が、様々な容易に入手可能な出典、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985に記載されており、引用によりその全般が本明細書に援用される。
【0057】
本発明の化合物は不斉炭素原子を有するので、本発明は、本明細書および特許請求の範囲に記載の式Iの化合物のラセミ体ならびに個々のエナンチオマー形態を包含する。単独の記号表示(例えば(R)もしくは(S))の使用は、主に1つの立体異性体を包含することを意図する。異性体の混合物は、公知である方法、例えば分別結晶、吸着クロマトグラフィー、または他の適切な分離方法によって、個々の異性体に分離することができる。得られたラセミ体を、適切な塩形成グループ(salt-forming grouping)の導入後に通常の方法で、例えば光学活性な塩形成剤を用いてジアステレオマー塩の混合物を形成し、該混合物をジアステレオマー塩に分離し、該分離された塩を遊離化合物に変換することによって、対掌体に分離することができる。該可能なエナンチオマー形態はまた、キラル高圧液体クロマトグラフィーカラムを用いて分画することにより、分離してもよい。
【0058】
本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「無毒の医薬的に許容される塩」は、無毒の塩基付加塩を含むことを意図する。適切な塩としては、有機および無機酸(例えば、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、スルフィン酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、など)由来の塩が挙げられる。
【0059】
本発明の方法において、該用語「治療上有効な量」とは、有意義な患者利益、すなわち、β-アミロイドペプチド産生の阻害により特徴づけられる急性症状の治癒を示すのに十分である、該方法の各活性成分の総量を意味する。単独で投与された個々の活性成分に適用する場合、該用語は成分単独について言及する。組み合わせに適用する場合、該用語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されたかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の合計量について言及する。本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「処置する、処置すること、処置」は、β-アミロイドペプチド関連疾患を予防することまたは寛解させることを意味する。
【0060】
(有用性)
治療的使用のために、式Iの薬理学的に活性な化合物は、通常は、該(もしくは、ある)不可欠な活性成分として少なくとも1つのそのような化合物を、個体もしくは液体の医薬的に許容される担体とともに、ならびに適宜、医薬的に許容されるアジュバントおよび賦形剤とともに含有する医薬組成物として、標準的で通常の技法を用いて投与されるであろう。
【0061】
該医薬組成物は、経口、非経口(皮下、筋肉内、皮内および静脈内を含む)、経皮、舌下、気管支または経鼻投与に適した剤形を含む。従って、個体担体を用いる場合、該製剤は、錠剤化されるか、粉末もしくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられるか、またはトローチ剤もしくはロゼンジ剤の形態であってよい。該個体担体は、通常の賦形剤、例えば結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などを含んでよい。該錠剤は、所望であれば、通常の技法によって膜コーティングされていてよい。経口製剤は、ゼラチン製の押し込み型(push-fit)カプセル剤、ならびに、ゼラチン製の、コーティング(例えばグリセロールまたはソルビトール)された軟性の薄層(scaled)カプセル剤を含む。押し込み型カプセル剤は、充填剤または結合剤、例えばラクトースまたはデンプン、滑沢剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および適宜、安定化剤と混合された、活性成分を含み得る。軟カプセル中において、該活性化合物は、安定化剤の有無にかかわらず、適切な液体(例えば脂肪油、液体(liquid)、または液体のポリエチレングリコール)に溶解または懸濁され得る。液体担体を用いる場合、該製剤はシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、注入用の無菌ビヒクル、水性もしくは非水性液体懸濁剤の形態であってよいか、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで再構築する乾燥製品であってよい。液体製剤は、通常の添加剤(例えば懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、非水性ビヒクル(食用油を含む)、保存剤、ならびに着香剤および/または着色剤)を含んでもよい。非経口投与において、生理食塩水、グルコース溶液などを用いてもよいが、ビヒクルは通常、少なくとも大部分は滅菌水を含むであろう。また、注射用懸濁液を用いてもよく、そのような場合、通常の懸濁化剤が用いられうる。通常の保存剤、緩衝剤などを非経口剤形に添加してもよい。局所または経鼻投与においては、浸透する特定のバリアに適した浸透剤を製剤化において用いる。そのような浸透剤は当分野では一般的に公知である。該医薬組成物は、適当な量の活性成分、すなわち、本発明に記載の式Iの化合物を含有する目的の製剤に適した通常の技法により、製造される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, 17th edition, 1985を参照。
【0062】
治療効果を成す式Iの化合物の用量は、患者の年齢、体重および性別のような因子ならびに投与様式だけでなく、望ましいAβ阻害の程度および関与する特定の障害または疾患に対する式Iの化合物の能力にも依存するであろう。処置および式Iの化合物の用量を単位用量形態で投与してもよく、該単位用量形態は、活性の相対的レベルを反映するように当業者により調節されうることもまた意図される。用いられる具体的用量(および一日あたりの投与回数)の決定は、医師の裁量の範囲内であり、目的の治療効果をもたらすための、具体的状況に対する本発明の用量の設定により変化しうる。
【0063】
本明細書に記載のAβペプチド産生に関連するいずれの症状を患っているまたは患いやすい哺乳動物(ヒト男性を含む)に対する式Iの化合物またはその医薬組成物の適切な用量、通常一日量は、非経口投与の場合、約0.01 mg/kgから約10 mg/kg、および好ましくは約0.1から2 mg/kgであろう。経口投与の場合、該用量は約0.01から約20 mg/kgおよび好ましくは0.1から10 mg/kg体重の範囲であってよい。該活性成分は、好ましくは等用量を1日1から4回で投与され得る。しかしながら、通常は小用量を投与し、そして治療中のホストに対する最適用量が決定されるまで該用量を徐々に増加させる。良好な臨床的実践に従って、どんな有害または不都合な副作用も引き起こすことなく有効な抗アミロイド効果をもたらし得る濃度レベルで、本発明の化合物を投与するのが好ましい。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、処置する症状、投与する化合物の選択、選択した投与経路、個々の患者の年齢、体重および反応、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況の観点において、医師により決定される得ることが理解されよう。
【0064】
(生物学的試験方法)
式(I)の化合物はγ-セクレターゼ阻害活性を有すると予期されている。γ-セクレターゼ活性の検出には、γ-セクレターゼ切断産物(とりわけAβ)を検出できる、信頼性があって正確で便宜的なアッセイが必要とされる。本発明の化合物のγ-セクレターゼ阻害活性は、そのような活性に対するアッセイを用いて、例えば、以下に記載のアッセイを用いて、示される。そのような活性に対するアッセイを用いて決定されるとおり、本発明の範囲内の化合物はγ-セクレターゼの活性を阻害することが示されている。
【0065】
本発明により提供される化合物は、潜在的医薬品のAβ産生を阻害する能力の決定において、標準および試薬として有用であるだろう。これらは、本発明の化合物を含む市販キットとして提供されるだろう。
【0066】
培養細胞におけるAβ形成の阻害
スウェーデン型変異APP751を安定して発現しているH4 神経膠腫細胞株であるH4 APP751 SWEクローン8.20(Bristol-Myers Squibbで開発された)を用いて、細胞におけるAβ40もしくはAβ42阻害について、化合物をアッセイした。一週間に2回、1:20希釈で継代することにより、細胞を対数期に維持した。IC50決定のため、30 μLの細胞(1.5 x 104細胞/ウェル)(0.0125%BSA(Sigma A8412)を含有するDMEM培地中)を、DMSO中に連続希釈した化合物を0.1 μL含有する384-ウェル化合物プレート(Costar 3709)に、直接播種した。5%CO2中において37℃で19時間インキュベートした後、プレートを軽く遠心分離した(1000 rpm, 5分)。各ウェルからの10 μLのアリコートを、Aβ40測定のために第2アッセイプレート(Costar 3709)に移した。抗体カクテルを、0.2%BSA含有40 mM Tris-HCl(pH 7.4)中に希釈することにより直前に調製し、アッセイプレートに加えた。Aβ42測定については、Aβ42ネオエピトープに特異的な抗体(565, Bristol-Myers Squibbで開発; Wallac試薬(Perkin Elmer)に結合させた)と、AβペプチドのN-末端配列に特異的な抗体(26D6, SIBIA/Bristol-Myers Squibbで開発; APC(Perkin Elmer)に結合させた)を混合し、20 μLの該混合液を、最終濃度が0.8 ng/ウェル(565)および75 ng/ウェル(26D6)となるように、インキュベートした細胞プレートの各ウェルに加えた。Aβ40測定については、Aβ40ネオエピトープに特異的な抗体(TSD, Bristol-Myers Squibbで開発; Wallac試薬(Perkin Elmer)に結合させた)と上記の26D6に特異的な抗体を混合し、20 μLの該混合液を、最終濃度 1.6 ng/ウェル(TSD)および17.5 ng/ウェル(26D6)となるように、細胞プレートから予め取り出した10 μLのアリコートに加えた。抗体を含むアッセイプレートをアルミニウムホイルで密閉し、4℃で終夜インキュベートした。Viewluxカウンター(Perkin Elmer)を用いてシグナルを測定し、マスターカーブ(CurveMaster)(Excel Fitに基づく)においてカーブフィッティングを用いてIC50値を決定した。

表1:培養細胞におけるAβ形成の阻害に基づくin vitroアッセイにおける、実施例の活性
【表1】

【0067】
本発明の化合物は、上記アッセイの1つもしくは全てにおいて10 μM未満のIC50値を有することが示されている。従って、式Iの化合物もしくはその医薬組成物は、β-アミロイドペプチドの阻害に関連する障害もしくは他の障害の処置、軽減もしくは根絶において、有用である
【0068】
APPの切断に加えて、γ-セクレターゼは、膜貫通受容体のNotchファミリー(Selkoe, D. Physiol. Rev. 2001, 81, 741-766; Wolfe, M. J. Med. Chem. 2001 44, 2039-2060に概説);LDL受容体-関連タンパク質(May, P., Reddy, Y.K., Herz, J. J. Biol. Chem. 2002, 277, 18736-18743);ErbB-4 (Ni, C.Y., Murphy, M.P., Golde, T.E., Carpenter, G. Science 2001, 294, 2179-2181);E-カドヘリン(Marambaud, P., Shioi, J., et al., EMBO J. 2002, 21,1948-1956);およびCD44(Okamoto, I., Kawano, Y., et al., J. Cell Biol. 2001, 155, 755-762)を含む他の基質も切断する。非-APP基質の切断の阻害がヒトにおいて望ましくない効果を引き起こす場合、目的のγ-セクレターゼ阻害剤は、望ましくない基質と比べて、APP切断を優先的に阻害するであろう。Notch切断は、切断産物の量を測定することにより直接的に、または切断産物の転写に対する効果を測定することにより間接的に、モニターすることができる(Mizutani, T., Taniguchi, Y., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, 9026-9031)。
【0069】
(IN VIVO薬理)
AβELISA
動物からのAβ種を、サンドイッチELISAアッセイを用いて測定した。個々の抗体に対するエピトープの詳細によって検出されるAβ種が決定されるので、これらのアッセイの簡単な考察を本明細書に記載する。マウスおよびラットAβは共通のAβ配列を共有しており、それはヒトAβとは異なっている。これらの配列差異の結果として、ヒトAβのN-末端領域を認識する抗体(例えば26D6)は、げっ歯類Aβに対する結合が弱い。同様に、げっ歯類Aβに強く結合する抗体(例えば252)は、ヒトAβに対する結合が弱い。げっ歯類Aβ40を測定するために2つのアッセイを開発した:252-TSDおよび4G8-TSD。該TSD-4G8アッセイは、Aβ40だけでなく、他のBACE-γ-セクレターゼ切断産物(Aβ11-40)およびα-セクレターゼ-γ-セクレターゼ切断産物(P3)も測定することができる。表2は、本願に示されるアッセイおよびその使用を要約する。

表2: In Vivoサンプルのアッセイに用いられる抗体ペアーの概要
【表2】

a“x”の正確な位置は不明である。252はAβのN-末端領域を認識するが、Aβのアミノ末端トランケーションが252結合に影響を及ぼすかどうかは不明である。N-末端トランケーションは稀であるので、ラットにおいてこの不確定事項が問題となる可能性は低い。
【0070】
これらのアッセイの各々を、いくつかの方法を用いて検証した。まず、様々な量の合成Aβを生体マトリックスに添加し、シグナルの増大をバッファー溶液中の合成Aβを用いて得られたものと比較した。2番目に、抗-Aβ抗体を用いて生物サンプルからAβを枯渇させた。3番目に、高用量のγ-セクレターゼ阻害剤で処置した動物からのサンプルをアッセイした。検証したアッセイは、外から加えられたAβを効率的に検出し(>80% 回収率)、Aβ免疫除去後のシグナルを大きく減少させ(非特異的コントロールに比べて>80%の減少)、高用量のγ-セクレターゼ阻害剤で処置した動物からのサンプルを用いたアッセイ下限(floor)に到達または重なる値までシグナルを減少させた。最適化して検証したAβアッセイは依然として、抗-Aβ抗体によってかまたはγ-セクレターゼ阻害剤での処置によって枯渇させることができなかった少量のシグナル(ビヒクルコントロールの5-20%)を含んでいた。このシグナルは、Aβである可能性は低く、従ってアッセイ下限と見なされる。Aβ測定のいずれの補正にも該アッセイ下限を用いなかったことから、報告された値はAβ阻害の実際の量の過小評価である可能性がある。
【0071】
Aβ40を、in vivoにおいてAβ42の代替として用いた。Aβ40は生物サンプルにおいてAβ42よりも約10倍豊富である。Aβ40およびAβ42が実施例7の化合物および他のγ-セクレターゼ阻害剤によって同様に阻害された培養細胞における実験に基づくと、Aβ40はAβ42の良好な代替である。
【0072】
(ラットでの研究)
生体において
雌のHarlan Sprague-Dawleyラット(〜200 - 250 g)に、99%PEG-400、1%Tween-80の投与ビヒクルを、4 mL/kgで経口経管栄養によって午前中に毎日投与した。投与溶液は、研究の開始時に一度に作製した。56℃で加熱し、超音波処理を用いて化合物を投与溶液中に可溶化した。全ての手順はACUCガイドラインに従って行った。末梢血液サンプルは、CO2安楽死の後で心穿刺により得て、EDTAチューブに集めた。遠心分離して血漿を得た。脳組織を解剖し、重量を秤り、分析までドライアイス上で凍結させた。CSFサンプルを遠心分離して細胞またはデブリ(debris)を除去した後、4%BSA中に1:2で希釈し、その後の分析用に凍結させた。病理組織学的サンプルを中性緩衝ホルマリンに入れた後、加工した。使用するために集めたサンプルを包埋マトリックスでコーティングし、-25℃から-30℃で、2-メチルブタン浴中において凍結させた後、ドライアイス中で凍結させた。生体において、血漿サンプルは後眼窩採血(retro-orbital bleeding)を用いて得た。
【0073】
脳Aβ40アッセイ
ラット脳(半球の半分)を、PBS(pH 7.8、2%CHAPS、complete protease inhibitors(Roche))中において、ポリトロンを用いて4 mL/gでホモジナイズした。大きなデブリを20,800 x gで30分間遠心分離して除去し、得られた上清をPBS(2.5%BSA)中に1:2に希釈した。白色のMicrolite II ELISAプレート(Thermo Electron)を、50 μg/mLのTSD9S3.2抗体とともにPBS中で、37℃で1時間インキュベートした。プレートを、プレートシェーカー上で、200 μLの5%ウシ血清アルブミン(BSA;重量/容積 PBS中に調製)を用いて室温で2時間ブロッキングした後、500 μL/ウェルのPBS(0.05%Tween-20)で5回洗浄した。精製脳ホモジネートを、6組の50 μL/ウェルでロードし、室温で1時間インキュベートした。プレートを前述の通り洗浄した後、PBS(0.05%Tween、0.1%BSA)中に1:2000で希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)-結合252抗体(Biosource)とともに1時間インキュベートした。3組は252-HRP抗体のみを含み、3組は252-HRP抗体と1 μg/mLラットAβ1-14(Anaspec)(結合抗体と特異的に競合した)を含んでいた;このバックグラウンドシグナルを総シグナルから減算して特異的シグナルを得た。該結合252-HRP抗体を、10分間 Pierce Supersignal Pico Chemiluminescent基質を用いて検出し、Packard TopCountで定量化した。サンプルは、各プレートに設置した脳ホモジネート基準に標準化した。Aβ40検量線に基づくと、該LLQは10 pg/mLであり、該LLDは20 pg/g組織であった。
【0074】
血漿Aβ40アッセイ
プレートをTSD抗体でコーティングし、脳Aβ40アッセイと同様に洗浄した。血漿サンプルを、PBSバッファー(pH 7.8、0.25%ノニデットP40、2.5%BSA)中に1:3に希釈した。サンプルを6組の50 μL/ウェルでロードし、室温で1-2時間インキュベートした。サンプルを、1時間、PBS(0.05%Tween、0.1%BSA)中に1:8000に希釈した4G8-ビオチン(Signet)を用いて検出した。3組は4G8-ビオチン抗体のみを有し、3組は4G8-ビオチン抗体と1 μg/mL Aβ17-24(特異的シグナルに競合した)を有し、それにより各サンプルに対するバックグラウンド値が確立された。上記の通り洗浄した後、プレートを、PBS(0.05%Tween、0.1%BSA)中に1:50,000に希釈したストレプトアビジン-HRP(Zymed)とともに10分間インキュベートした。脳Aβ40アッセイと同様に検出および定量化した。サンプルを各プレートに設置した血漿の基準に標準化した。Aβ40検量線に基づくと、該LLQは7.5 pg/mLであり、該LLDは23 pg/mL血漿であった。
【0075】
急性ラット(Acute Rat)研究
実施例7の化合物の10 mg/kgでの単一用量により、血漿Aβ40および脳Aβ40の両方が、ビヒクルコントロールの47%および41%の濃度まで顕著に減少した。
【0076】
100 mg/kgの用量にて少なくとも50%までAβを減少させる場合、γ-セクレターゼ阻害剤は上記in vivoアッセイのうちの1つにおいて活性であると考えられる。
【0077】
上記の結果は、本発明の化合物が強力な選択的γ-セクレターゼ阻害剤であることを確かなものとする。これらの結果は、アルツハイマー病、頭部外傷、脳外傷、ボクサー認知症、および/またはβ-アミロイドペプチドに関連する他の障害の治療的処置としての本発明の化合物の使用を支持する。
【0078】
従って、式Iの化合物またはその医薬組成物は、β-アミロイドペプチドの阻害に関連する障害もしくは他の障害の処置、軽減もしくは根絶において有用である。
【0079】
別の実施態様において、本発明には、少なくとも1つの式Iの化合物と、医薬的アジュバント、担体または希釈剤と組み合わせて含有する医薬組成物が含まれる。
【0080】
さらに別の実施態様において、本発明は、処置もしくは予防を必要とする哺乳動物におけるβ-アミロイドペプチドの阻害に反応する障害の処置もしくは予防方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその無毒の医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0081】
さらに別の実施態様において、本発明は、処置を必要とする哺乳動物におけるアルツハイマー病およびダウン症候群の処置方法であって、該哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物またはその無毒の医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0082】
治療的な使用において、薬理学的に活性な式Iの化合物は通常は、不可欠な活性成分として少なくとも1つのそのような化合物を個体もしくは液体の医薬的に許容される担体ならびに適宜、医薬的に許容されるアジュバントおよび賦形剤とともに含有する医薬組成物として、標準的および通常の技法を用いて、投与されるであろう。
【0083】
医薬組成物には、経口、非経口(皮下、筋肉内、皮内および静脈内を含む)、気管支または経鼻投与に適切な剤形が含まれる。従って、個体担体を用いる場合、該製剤は、錠剤化されるか、粉末もしくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられるか、またはトローチ剤もしくはロゼンジ剤形態であってよい。該固体担体は、通常の賦形剤、例えば、結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などを含みうる。所望であれば、該錠剤は通常の技法により膜コーティングされていてよい。液体担体を用いる場合、該製剤はシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、注入用の無菌ビヒクル、水性もしくは非水性液体懸濁剤の形態であってよいか、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで再構築する乾燥製品であってよい。液体製剤は、通常の添加剤(例えば懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、非水性ビヒクル(食用油を含む)、保存剤、ならびに着香剤および/または着色剤)を含んでもよい。非経口投与において、生理食塩水、グルコース溶液などを用いてもよいが、ビヒクルは通常、少なくとも大部分は滅菌水を含むであろう。また注射用懸濁液を用いてもよく、そのような場合、通常の懸濁剤を用いてもよい。通常の保存剤、緩衝剤などを非経口剤形に添加してもよい。該医薬組成物は、適当な量の活性成分、すなわち、本発明に記載の式Iの化合物を含有する、目的の製剤に適した通常の技法により製造される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, 17th edition, 1985を参照。
【0084】
治療効果を達成する式Iの化合物の用量は、患者の年齢、体重および性別のような因子ならびに投与様式だけでなく、望ましいβ-AP阻害の程度および関与する特定の障害もしくは疾患に対して有用な特定の化合物の効力にも依存するであろう。また、処置および特定の化合物の用量を単位用量形態で投与してもよく、該単位用量形態は活性の相対的レベルを反映するように当業者によって適宜調節されうることも意図される。用いられる具体的用量(および一日あたりの投与回数)の決定は医師の裁量の範囲内であり、目的の治療効果が得られるように具体的状況に対する本発明の用量を設定することにより、変化させてもよい。
【0085】
本明細書に記載のβ-AP産生に関連するいずれの症状を患っているまたは患いやすい哺乳動物(ヒト男性を含む)に対する式Iの化合物またはその医薬組成物の適切な用量(通常一日量)は、皮経口投与の場合、約0.05 mg/kgから約10 mg/kg、および好ましくは、約0.1から2 mg/kgであろう。経口投与の場合、該用量は、約1から約75 mg/kgおよび好ましくは0.1から10 mg/kg体重の範囲であってよい。該活性成分は、等用量を1日1回から4回で投与され得る。しかしながら、通常は小用量を投与し、そして処置中のホストに対する最適用量が決定されるまで、該用量を徐々に増大させる。良好な臨床的実践に従って、どんな有害または不都合な副作用も引き起こすことなく有効な抗アミロイド効果をもたらし得る濃度レベルで、本発明の化合物を投与するのが好ましい。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、治療する症状、投与する化合物の選択、選択した投与経路、個々の患者の年齢、体重および反応、ならびに患者の症状の重症度を含む、関連する状況の観点において、医師により決定される得ることが理解されよう。
【0086】
以下の実施例は説明の目的で提示するものであり、本発明を制限するものではなく、本発明の精神の範囲内で多くの変更が可能であると解釈される。
【実施例】
【0087】
(合成)
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者に周知の多くの方法で製造することができる。本発明の化合物は、以下に記載の方法、ならびに、有機合成化学の分野で公知の合成方法、または当業者によって認められているその改変法を用いて、合成することができる。好ましい方法としては、限定はされないが、以下に記載のものが挙げられる。本明細書に引用された全ての参照は、引用によりその全てが本明細書に援用される。
【0088】
該化合物は、このセクションに記載の反応および技法を用いて製造されうる。該反応は、用いられる試薬および物質に適した溶媒中で実施され、達成される変換に適したものである。また、以下に記す合成方法の記載において、全ての提示された反応条件(溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験期間およびワークアップ方法を含む)はその反応に対して標準的な条件であるように選択され、それは当業者によって容易に認識されるべきであることが理解される。分子の様々な部分に存在する官能基(functionality)は提示された試薬および反応と互換性がなくてはならないことが、有機合成分野の当業者により理解される。反応条件に適合する置換基に対するそのような制限は当業者に容易に認識され得て、その結果、代替方法が用いられるに違いない。
【0089】
一般的な反応スキーム
本発明の化合物は、有機合成の分野の当業者に周知の多くの異なる方法により製造することができる。式Iの化合物は、以下の反応スキーム1に記載の方法により製造することができる。記載した方法の適当な改変、ならびに当業者に明白であろう合成方法は、本発明の範囲内であると意図される。
【0090】
反応スキーム1
【化8】

反応スキーム1に説明した一製造方法において、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態で用いられる、R1が1,1,1-トリフルオロプロパン-3-イルである式IIの出発(α-アミノ)アセトアミドは、周知の文献方法により、例えば、トリフルオロブチルアルデヒドからR1が1,1,1-トリフルオロプロパン-3-イルである式IIの(α-アミノ)アセトアミドへの変換に関する合成セクションに記載の不斉Strecker合成法を用いて、製造されうる。R1がシクロプロピルメチルである式IIの(α-アミノ)アセトアミドは、当分野で周知の方法による対応する市販のカルボン酸から一級アミドへの変換によって得てもよい。式IIの(α-アミノ)アセトアミドを適切な塩基で処理し、適切な非プロトン溶媒(例えばCH2Cl2)中においておよそ室温にて2-クロロチオフェンスルホニルクロリドを用いてスルホニル化して、式IIIの(α-スルホンアミド)アセトアミドを得る。適切な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンなどが挙げられる。
【0091】
式IIIの化合物から式Iのスルホンアミドへの変換は、塩基の存在下において、式IIIの(α-スルホンアミド)アセトアミドと式IVのアルキル化剤を、適切な非プロトン溶媒中において加熱しながらもしくは加熱せずに反応させることにより、行われる。式IVの化合物は、合成セクションに記載の方法によって容易に製造されうる。このアルキル化に適切な塩基としては、無機塩基、例えば炭酸カリウムおよび炭酸セシウムが挙げられる。好ましい溶媒としては、DMFおよびアセトニトリルが挙げられる。該反応に対する温度範囲は、通常、20℃から100℃である。
【0092】
以下の実施例において、全ての温度は摂氏温度で示されている。融点は、Thomas Scientific Unimelt capillary融点測定装置で記録し、補正はしていない。プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker Avance 300、Bruker Avance 400、またはBruker Avance 500分光計で記録した。全てのスペクトルは示された溶媒中で測定され、化学シフトは内部標準テトラメチルシラン(TMS)からの低磁場へのδ単位で記録され、プロトン間結合定数はヘルツ(Hz)で記録する。多重パターンは以下の通り示す: s, 1重線; d, 2重線; t, 3重線; q, 4重線; m, 多重線; br, ブロードピーク; dd, 2重の2重線; br d, ブロードの2重線; dt, 2重の3重線; br s, ブロードの1重線; dq, 2重の4重線。臭化カリウム(KBr)または塩化ナトリウムフィルムを用いた赤外線(IR)スペクトルは、ポリスチレンフィルムの1601 cm-1吸収にキャリブレートした、4000 cm-1から400 cm-1のJasco FT/IR-410分光計もしくはPerkin Elmer 2000 FT-IR分光計で測定し、毎センチメートル(reciprocal centimeters)(cm-1)で記録した。旋光度[α]Dは、示された溶媒中において、Rudolph Scientific Autopol IV旋光計で測定した;濃度はmg/mLで示されている。低分解能質量スペクトル(MS)および見かけの分子(MH+)もしくは(M-H)+は、Finnegan SSQ7000で測定した。高分解能質量スペクトルは、Finnegan MAT900で測定した。液体クロマトグラフィー(LC)/質量スペクトルは、Water Micromass ZQに連結した島津LCで実施した。
【0093】
以下の略号を用いる:DMF(ジメチルホルムアミド);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド)、Leu(ロイシン);TFA(トリフルオロ酢酸);MTBE(メチル tert-ブチルエーテル);DAST[(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド]、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);rt(室温);aq.(水性または水溶液);AP(面積パーセント(area percent))。
【0094】
(合成)
A)中間体の製造
【化9】

(1)化合物Iの製造
75℃まで加熱したCCl4 34(50 mL)中の4-ブロモ-3-フルオロトルエン(5.0 g, 26.7 mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(6.19 g, 34.8 mmol)の混合液に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.50 g, 3.0 mmol)を加えた。得られた混合液を、窒素下において75℃で16時間撹拌した後、室温まで冷却した。溶媒をエバポレートし、残渣をジクロロメタン中に溶解させ、濾過した。クロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 40+Mカラム, 2%〜30%EtOAc/ヘキサン, 702 mL)により、目的の生成物を淡黄色の油状物として得た(4.3 g, 46%収率)。 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.67 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.41 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.22 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.61 (s, 2H).
【0095】
(2)化合物IIの製造
2,5-ジフルオロトルエン(2.5 g, 19.7 mmol)および鉄粉末(1.1 g, 19.7 mmol)の混合液に、機械的に撹拌しながら、-5℃にて30分間にわたって、臭素(2.8 g, 17.7 mmol)を滴下した。得られた混合液を-5℃で3時間撹拌した後、EtOAc(20 mL)を加えた。室温で5分間撹拌を続け、沈殿物を濾過して除いた。該濾液を濃縮し、次いでクロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 40+Mカラム, 0%〜10%EtOAc/ヘキサン, 702 mL)により精製した。淡黄色の油状物を得た(3.2 g, 79.2%収率)。 LC/MS m/e: No (MH+), 1.99分. 95% 純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.63 (dd, J=8.8, 6.0 Hz, 1H), 7.38 (dd, J=8.8, 6.8 Hz, 1H), 2.21 (s, 3H).
【0096】
(3)化合物IIIの製造
75℃まで加熱したCCl4(50 mL)中の2(2.2 g, 10.7 mmol)およびN-ブロモスクシンイミド(3.2 g, 18.0 mmol)の混合液に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.60 g, 3.7 mmol)を加えた。得られた混合液を窒素下において75℃で16時間撹拌した後、室温まで冷却した。溶媒をエバポレートし、残渣をジクロロメタン中に溶解させ、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレートして淡黄色のガム状物質(4.0 g)を得て、それを次の工程にそのまま用いた。
【0097】
(4)化合物IVの製造
THF(10 mL)中のIII(4.0 g)およびジエチルホスフィン(1.38 mL, 12.9 mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.0 mL, 11.5 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で2時間撹拌した後、沈殿物を濾過して除いた。該生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 40+Mカラム, 3%〜10%EtOAc/ヘキサン, 702 mL)により精製した。淡黄色の油状物を得た(4-ブロモ-2,5-ジフルオロトルエンIIから、1.2g, 39.6%収率)。 LC/MS m/e: No (MH+), 2.00分. 79%純度. 1H NMR (CDCl3): 7.29 (dd, J=8.8, 5.6 Hz, 1H), 7.16 (dd, J=8.4, 6.8 Hz, 1H), 4.40 (s, 2H).
【0098】
実施例1
【化10】

(R)-2-(N-(4-ブロモベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(100 mg, 0.32 mmol)および4-ブロモベンジルブロミド(120 mg, 0.48 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で30分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 25+Mカラム, 3%〜80%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物として得た(82 mg, 53.0%収率)。 LC/MS m/e: 477.0 (MH+), 2.38分. 99%純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.58 (s,1H), 7.56 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.49 (m, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.27 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 4.77 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.58 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.40 (t, J=7.0 Hz, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.34 (m, 1H), 0.48 (m, 1H), 0.30 (m, 2H), 0.06 (m, 1H), -0.05 (m, 1H); HRMS (ESI): m/z 計算値(C17H19N2O3BrClS2) 476.9709, 実測値 476.9697 [M+H]+.
【0099】
実施例2
【化11】

(R)-2-(N-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(100 mg, 0.32 mmol)および4-ブロモ-2-フルオロベンジルブロミド(120 mg, 0.45 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で30分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 25+Mカラム, 3%〜80%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物として得た(95 mg, 56.0%収率)。 LC/MS m/e: 495.0 (MH+), 2.44分. 99%純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.62 (s,1H), 7.60 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.50 (m, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.42 (m, 1H), 7.28 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 4.93 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.52 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.42 (t, J=7.0 Hz, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.34 (m, 1H), 0.48 (m, 1H), 0.32 (m, 2H), 0.07 (m, 1H), -0.03 (m, 1H); 19F NMR (CD3CN): δ -116.1; HRMS (ESI): m/z 計算値(C17H18N2O3BrFClS2) 494.9615, 実測値 474.9597 [M+H]+
【0100】
実施例3
【化12】

(R)-2-(N-(4-ブロモ-3-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(100 mg, 0.32 mmol)および4-ブロモ-3-フルオロベンジルブロミド(120 mg, 0.45 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で30分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 25+Mカラム, 3%〜80%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物を得た(94 mg, 59.3%収率)。 LC/MS m/e: 495.0 (MH+), 2.38分. 99%純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.63 (m, 2H), 7.58 (d, J=4.3 Hz, 1H), 7.34 (dd, J=10.3, 1.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.20 (m, 2H), 4.77 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.59 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.42 (t, J=7.0 Hz, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.38 (m, 1H), 0.48 (m, 1H), 0.33 (m, 2H), 0.07 (m, 1H), -0.04 (m, 1H); 19F NMR (CD3CN): δ -109.33. HRMS (ESI): m/z 計算値(C17H18N2O3BrFClS2) 494.9615, 実測値 474.9614 [M+H]+ .
【0101】
実施例4
【化13】

(R)-2-(N-(4-ブロモ-2,5-ジフルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(110 mg, 0.32 mmol)および4-ブロモ-2,5-ジフルオロベンジルブロミド(130 mg, 0.46 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で45分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 25+Mカラム, 3%〜85%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物を得た(78 mg, 42.6%収率)。 LC/MS m/e: 513.0 (MH+), 3.63分. 96%純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.69 (m, 2H), 7.61 (d, J=4.3 Hz, 1H), 7.38 (dd, J=10.3, 1.7 Hz, 1H), 7.31 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.23 (s, 1H), 4.87 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.53 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.43 (t, J=7.0 Hz, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.42 (m, 1H), 0.50 (m, 1H), 0.33 (m, 2H), 0.07 (m, 1H), -0.03 (m, 1H); 19F NMR (CD3CN): δ -114.46, -121.68. HRMS (ESI): m/z 計算値(C17H17N2O3BrF2ClS2) 512.9521, 実測値 512.9506 [M+H]+
【0102】
実施例5
【化14】

(R)-2-(N-(4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(100 mg, 0.32 mmol)および4-オキサジアゾールベンジルブロミド(120 mg, 0.50 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で30分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル, biotage, 25+Mカラム, 3%〜80%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物を得た(72 mg, 30.8%収率)。 LC/MS m/e: 477.0 (MH+), 2.38分. 99%純度. 1H NMR (DMSO-d6): δ 7.58 (s,1H), 7.56 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.49 (m, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.27 (d, J=4.0 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 4.77 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.58 (d, J=17.0 Hz, 1H), 4.40 (t, J=7.0 Hz, 1H), 1.52 (m, 1H), 1.34 (m, 1H), 0.48 (m, 1H), 0.30 (m, 2H), 0.06 (m, 1H), -0.05 (m, 1H); 19F NMR (CD3CN): δ -66.4, -113.0 -123.5. HRMS (ESI): m/z 計算値(C17H19N2O3BrClS2) 476.9709, 実測値 476.9697 [M+H]+.
【0103】
実施例6
【化15】

(R)-2-(5-クロロ-N-(4-クロロ-2,5-ジフルオロベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミドの製造
工程A:100mlのジグリム中の4-クロロ-2,5-ジフルオロ安息香酸(10g, 52mmol)の溶液に、NaBH4(1.9g, 50mmol)を室温でゆっくりと加え、白色の濁った溶液を得た。BF3.2Et2O(7.0ml, 55mmol)を1時間かけて滴下し、澄明な溶液を得た。該混合液をさらに3時間撹拌し、100mlの氷水でクエンチした。該粗混合液をEtOAcで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレートして、9.0 gの(4-クロロ-2,5-ジフルオロフェニル)メタノールを油状物として得た。 MS (ES+, 161.07, 163.07, M-H2O). NMR (500MHz, CDCl3) 7.2-7.3 (m, 1H), 7.0 (m, 1H), 4.5-4.7 (m, 2H).
【0104】
工程B:20ml Et2Oおよび20ml CH2Cl2中の(4-クロロ-2,5-ジフルオロフェニル)メタノール(9.0g, 50.5mmol)の溶液に、室温でPBr3(1ml, 10.6mmol)を加えた。該混合液を10分間撹拌した後、70℃まで30分間加熱した。該混合液を冷却して室温まで戻し、30mlの水に注ぎ入れた。該混合液をEtOAcで抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレートして、6.0 gの1-(ブロモメチル)-4-クロロ-2,5-ジフルオロベンゼンを油状物として得た(49%)。 NMR (500MHz, CDCl3) 7.3-7.0 (m, 2H), 4.37 (s, 2H).
【0105】
工程C:実施例6の製造
DMF(2 mL)中の(R)-2-(5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド(110 mg, 0.36 mmol)および4-クロロ-2,5-ジフルオロベンジルブロミド(100 mg, 0.42 mmol)の溶液に、Cs2CO3(300 mg, 0.92 mmol)を加えた。得られた混合液を室温で30分間撹拌し、沈殿物を濾過して除いた。該生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル, Biotage 25+Mカラム, 3%〜80%EtOAc/ヘキサン 702 mL)により精製し、白色の固形物として164 mg(0.35 mmol; 97%収率)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ ppm 7.4-7.3 (m, 2H), 7.1-7.0 (t, 1H), 6.93-6.91 (d, 1H), 6.17 (s, 1H), 5.25 (s, 1H), 4.65-4.50 (d, 1H), 4.4-4.3 (m, 2H), 1.83-1.80 (m, 1H), 1.27-1.22 (m, 1H), 0.44-0.30 (m, 3H), 0.1- -0.2 (m, 2H). MS (LC/MS) [M+H]+ = 469.08 [M+ Na] = 491.06.
【0106】
化合物VIの合成
(R)-2-アミノ-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド塩酸塩
工程A. 4,4,4-トリフルオロブタナール
【化16】

ジクロロメタン(4.2 L)を、機械的撹拌および冷却浴を備えた20 Lの4つ口丸底フラスコに入れた。撹拌を開始し、該反応混合液を0〜-2℃まで冷却した。4, 4, 4-トリフルオロブタノール(750.0 g)を加え、該反応混合液をさらに-5〜-8℃まで冷却した。温度を-5〜-8℃に維持しながら、TEMPO;(2, 2, 6, 6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ, フリーラジカル)(9.15 g)を加えた。臭化カリウム水溶液(1.17 Lの水中に60 g)を上記の溶液に加え、温度は-5〜-8℃に維持した。該反応混合液の温度を-5℃に維持しながら、NaOCl水溶液(8.8 L, 6-7重量%, 炭酸水素ナトリウムを用いてpH = 8.5に緩衝した)を該反応混合液に加えた(注意:発熱性)。同様に、酸化剤として過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)をNaOClと置き換えることができる。添加の完了後、ジクロロメタン層を分離し、水層をジクロロメタン(1 x 750 mL)で洗浄した。該ジクロロメタン層を合わせて、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。乾燥剤を濾過し、4,4,4-トリフルオロブタナール溶液の濃縮物を、NMRにより測定した。表題の化合物を含有する溶液を、さらなる処理は行わずに次の工程にそのまま用いた。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 2.30 - 2.50 (m, 2H, CH2-CF3), 2.70 - 2.80 (m, 2H, CH2-CHO), 9.8 (s, 1H, CHO).
【0107】
工程B. 5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル(ジアステレオマーの混合物)
【化17】

R-α-メチル ベンジルアミン(528.5 g)を、機械的撹拌、冷却浴を備えた適切な容器に入れ、窒素ブランケット(blanket of nitrogen)下において維持した。4, 4, 4-トリフルオロブチルアルデヒド溶液(工程Aから, 550 g)、続いてメタノール(3.3 L)を加えた。その後、該反応混合液を約0から-3℃まで冷却した。温度をおよそ0℃に維持しながら酢酸(氷酢酸, 260 mL)を滴下し、続いて、トリメチルシリルシアニド(581 mL)を15分間かけて滴下した。同様に、シアン化ナトリウム(NaCN)もしくはシアン化カリウムがシアン化物源として用いられうる。該反応混合液を25から27℃まで昇温させ、終夜撹拌した。該反応物の完結をTLCにより決定した。冷水(10.0 L)を該反応混合液に加え、該反応混合液をジクロロメタン(1 x 10.0 L)で抽出した。ジクロロメタン層を、水(2 x 10.0 L)、続いて食塩水(1 x 5.0 L)で洗浄した。該ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮して、表題のアミノニトリル(ジアステレオマーの混合物)を、粘稠性の液状物として、平均収率90%で得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 1.42 (d&m, 5H), 2.15 & 2.35 (2つのm, 各々1H), 3.10 - 3.20 ( m, 1H), 4.10 - 4.15 (m,1H), 7.10 - 7.35 (m, 6H).
【0108】
工程C. 5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド(ジアステレオマーの混合物)
【化18】

5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンニトリル(工程Bからのジアステレオマーの粗混合物, 1.10 kg)を、機械的撹拌、冷却用氷浴を備えた適切な容器中でジクロロメタン(5.5 L)に溶解させ、窒素ブランケット下で維持した。撹拌を開始し、該反応混合液を0から-5℃まで冷却した。温度を0℃以下に維持しながら、濃硫酸(1.75 L)を上記混合液に1時間かけて滴下した;添加の完了後、澄明な溶液を得た。該反応混合液の温度を25から27℃まで昇温させ、終夜撹拌した(12-14時間)。該反応物の完結をHPLCにより決定した。該反応混合液を、砕いた氷(〜15.0 kg)にゆっくりと注ぎ入れ、アンモニア水(〜25体積%)を用いて中和した。水層を分離し、ジクロロメタン(2 x 3.0 L)で抽出した。ジクロロメタン層を合わせて、水(1 x 12.0 L)、続いて食塩水(1 x 3.0 L)で洗浄した。生成物が豊富な有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下において濃縮して、0.85 kg(72.0%)のクルードな表題の化合物を得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) (ジアステレオマーの混合物) δ 1.36 (d&m, 4H, CH3 (J = 8.0 Hz & CH2の1H), 1.90 (m, CH2の1H), 2.15 & 2.35 (2つのm, CH2-CF3の各々1H), 2.80 - 2.90 (m, 1H, CH-Ph), 3.60 - 3.70 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 5.90 & 6.45 (CONH2の各々1H、ならびに他のジアステレオマーの微小ピーク), 7.20 - 7.40 (m, 6H, Ar + NH).
【0109】
工程D. (R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド塩酸塩
【化19】


5,5,5-トリフルオロ-2-(1-フェニルエチルアミノ)ペンタンアミド(ジアステレオマーの混合物)(850 g)を、機械的撹拌および冷却浴を備えた適切な容器に入れた。メタノール(2.55 L)、酢酸エチル(1.7 L)および水(1.06 L)を、該反応混合液に加え、0から5℃まで冷却した。HCl/ジオキサン(4.5 M, 1.72 L)溶液を30〜45分間かけて滴下した。同様に、イソプロパノールとメチル tert-ブチルエーテルの混合液を溶媒として用いることができ、HCl水溶液もしくは濃HClをHCl源として用いることができた。その後、該反応混合液の温度を25から27℃まで昇温させ、2時間撹拌した。該反応物の完結をTLCにより決定した。沈殿した固形物を濾過し、ケーキを適切な溶媒、例えば酢酸エチル(1.8 L)、続いて石油エーテル(2.5 L)、またはイソプロパノールとメチル tert-ブチルエーテルの混合液で洗浄した。該固形物を、開放トレーにおいて周囲温度で乾燥させ、表題のR-アミノアミド(480 g, 50%収率, ジアステレオマー過剰率 = 99.9%)を得た。 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 1.73 (d, 3H, CH3, J = 8.0 Hz), 2.08 - 2.09 (m, CH2の2H), 2.20 - 2.40 (m, 2H, CH2-CF3), 3.50 - 3.55 ( m, 1H, CH-Ph), 4.40 - 4.41 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 7.48 - 7.53 (ブロードのs, 5H, Ar).
【0110】
工程E. (R)-2-アミノ-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド塩酸塩(化合物VI)
【化20】

適切な圧力容器に、(R)-5,5,5-トリフルオロ-2-((R)-1-フェニルエチルアミノ)-ペンタンアミド塩酸塩(1.50 kg)ならびにメタノール(15.0 L)を入れた。その後これに、水(701.0 mL)、続いて20%水素化パラジウム/炭素(225 g)を加えた。同様に、パラジウム/炭素(Pd/C)を水素化触媒として用いることができた。該容器を、3回、窒素でフラッシュした後、60℃にて、該容器内に水素ガスを加圧した(3-4 kg/cm2)。該反応物の完結を、HPLCによってモニターした。完結後、該反応混合液を30-35℃まで冷却し、セライトパッドを通して濾過し、次いでメタノールで洗浄した。次いで、濾液を減圧下で濃縮した。濃縮が完了した後、残った反応混合物を、ジクロロメタン(2.5 L/洗浄)で処理し、濾過し、45℃で12時間乾燥させて、表題の化合物(915 g, 91.0%; 純度 = 97%)を得た。 1H NMR (DMSO-d6) (400 MHz) δ 2.00 (m, 2H, CH2), 2.30 - 2.40 (m, CH2-CF3の2H), 3.85 - 3.88 (m,1H, -(CONH2)CH(NH), 7.64 & 8.11 (ブロードのs, 1H, CONH2の各々), 8.44 (ブロードのs, 3H, NH3+). 13C NMR (DMSO-d6) (100.0 MHz) δ 169.57, 131.20, 128.45, 125.71, 122.97, 50.91, 29.46, 29.18, 28.89, 28.61, 23.56, 23.53.
【0111】
化合物VIIの合成
【化21】

フラスコに、化合物VI(2.0 g, 9.7 mmol)/ジクロロメタン(100ml)を加えた。これに、5-クロロチオフェン-2-スルホニルクロリド(3.0 g, 13.9 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(9 ml, 50 mmol)を加えた。該反応液を、室温で終夜撹拌した。次いで該反応液を、酢酸エチルおよび水に注ぎ入れた。有機層を、0.1 N HClおよび飽和塩化ナトリウムで、抽出および洗浄した。有機層を減圧濃縮した後、ジクロロメタン/ヘキサンでトリチュレートし、3.1 gの化合物VIIを得た(91%)。 1H NMR (DMSO-d6): δ 8.4(d, 1H, J=8), 7.40-7.47(m, 2H), 7.15-7.30(m, 2H), 3.8-3.9(m, 1H), 2.0-2.3(m, 2H), 1.5-1.8(m, 2H).
【0112】
化合物VIIIの合成
【化22】

工程A:500 mlフラスコに、3-フルオロ-4-メチルベンゾニトリル(20 g, 148 mmol)/エタノール(200 ml)を加えた。これに、ヒドロキシルアミン(50%/水)(15 ml, 444 mmol)を加えた。該反応液を80℃まで1.5時間加熱し、その後、室温まで冷却し、濃縮して残渣を得た。該残渣をジクロロメタン(200 ml)に溶解させた。これに、三フッ化ホウ素エーテラート(1.2 mL)およびオルトギ酸トリエチル(60 mL)を加えた。次いで、該反応液を室温で2時間撹拌した後、1時間還流加熱した。加熱後、該反応液を室温まで冷却し、シリカゲルで精製して、24.2 g(92%)の3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキシジアゾール(oxidiazole)を得た。 1H NMR(DMSO-d6): δ7.76(d, 1H, J=12), 6.68(d, 1H, J=12), 7.47(t, 1H, J=8), 3.41 (s, 3H).
【0113】
工程B:3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)-1,2,4-オキシジアゾール(24g, 134 mmol)を四塩化炭素(200ml)に溶解させた。これに、N-ブロモスクシンイミド(bromosuccimide)(40g)およびAIBN(1.0g)を加えた。該反応液を80℃まで18時間加熱し、室温まで冷却した。該反応液を水で希釈し、有機層を集めて濃縮した。残渣をTHF(60 ml)に溶解させ、ホスホン酸ジエチル(12 mL)、続いてジイソプロピルエチルアミン(18ml)を該反応液に加えた。該反応液を室温で1時間撹拌した後、水および酢酸エチルに注ぎ入れた。有機層を集めて、硫酸マグネシウムで乾燥させ、Biotageカラム(5%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製した。該生成物を集めて濃縮し、18.8 g(53%, 黄色の固形物)の化合物Aを得た。 1H NMR(DMSO-d6): δ9.77(s, 1H), 7.7-7.9(m, 3H), 4.76(s, 2H).
【0114】
化合物IXの合成
【化23】

工程A:3-フルオロ-4-メチルベンズアミド(15.0 g, 97.9 mmol)を75 mLのジグリム中に溶解させた。これに、22 mL(146.9 mmol)のブロモアセトアルデヒドジエチルアセタールを加え、該混合液を130℃で8時間加熱した。該混合液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水(6X)、5%LiCl(3X)、食塩水(2X)で洗浄した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。該粗物質を、65M biotageカラム(100%ヘキサン〜40%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)により2回に分けて精製し、10.9 gの2-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)オキサゾールを黄色の固形物として得た(63%収率)。 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.68 (m, 3H), 7.25 (m, 2H), 2.31(d, 3H, J=1.8 Hz)
【0115】
工程B:160 mLの四塩化炭素中の2-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)オキサゾール(6.0 g; 33.9 mmol)に、N-ブロモスクシンアミド(6.03 g; 33.9 mmol)および2,2-アゾビスイソブチロニトリル(556 mg; 3.39 mmol)を加えた。該反応液を90℃で1時間加熱し、冷却し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を減圧濃縮し、酢酸エチルに再溶解させ、水(3X)および食塩水(2X)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、65M biotageカラム(5%酢酸エチル/ヘキサン〜55%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製して、5.77 gの化合物C(67%)を得た。 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.82 (d, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.47 (t, 1H, J= 7.8 Hz), 4.52 (s, 2H).
【0116】
実施例7
【化24】

(R)-2-(5-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
化合物VII(500 mg)/アセトニトリル(25 ml)を含むフラスコに、化合物VIII(500mg)およびCsCO3(1.0g)を加えた。該反応液を室温で18時間撹拌した後、酢酸エチルおよび水に注ぎ入れた。次いで、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を、Biotage 25Mカラム(10-50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で精製した。該生成物を集め、濃縮して、残渣を得た。該残渣を最小量のエタノールに溶解させ、1 mlの水酸化アンモニウムを該混合液に加えた。これを室温で6時間撹拌し、Biotage 25Mカラム(10-50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)で再び精製した。該化合物を、ジクロロメタンおよびヘキサンでトリチュレートした。沈殿物を集めて、83 mgの白色の粉末を得た(11%収率)。
1H NMR (DMSO-d6): δ9.75(s, 1H), 7.9-8.0(m, 1H), 7.7-7.9(m, 2H), 7.6-7.7(m, 1H), 7.56(s, 1H), 7.3-7.4(m, 2H), 5.1(d, 1H, J=17), 4.7(d, 1H, J=17), 4.4-4.5(m, 1H), 2.0-2.2(m,2H), 1.9-2.0(m, 1H), 1.5-1.6(m, 1H). LC/MS (M+H) 526.99 2.493分にて(4.6x50mm S10 カラム, 4分グラジエント).
【0117】
実施例8
【化25】

(R)-2-(5-クロロ-N-(3-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
実施例7と同じ方法で、化合物IXを用いて、70 mgの実施例8(8%収率)を白色の粉末として製造した。最終的な精製は、100x30 mm IDカラムで、45 ml/分にて、プレパラティブHPLCにより実施した。 1H NMR (DMSO-d6): δ9.78(s, 1H), 8.0(t, 1H, J=8), 7.7(d, 1H, J=4), 7.6(s, 1H), 7.4-7.4(m, 2H), 7.4(s, 1H), 7.3(d, 1H, J=4), 4.86(d, 1H, J=20), 4.75(d, 1H, J=20), 4.47(t, 1H, J=8), 2.0-2.2(m, 2H), 1.8-2.0(m, 1H), 1.5-1.6(m, 1H). LC/MS (M+H) 526.99 2.227分にて(4.6x50mm S10, 4分グラジエント).
【0118】
実施例9
【化26】

(R)-2-(5-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(オキサゾール-2-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
この化合物は、2-(4-(ブロモメチル)-3-フルオロフェニル)オキサゾールを用いて実施例7と同じ方法で製造され、602 mg(79%)を得た。最終的な精製は、実施例7と同一の溶媒においてBiotage 40カラムで実施した。 1H NMR (DMSO-d6): δ8.26(s, 1H), 7.8-7.9(m, 1H), 7.6-7.8(m, 3H), 7.5(s, 1H), 7.4(s, 1H), 7.2-7.4(m, 2H), 5.0(d, 1H, J=20), 4.6(d, 1H, J=20), 4.5(t, 1H, J=10), 2.0-2.3(m, 2H), 1.8-2.0(m, 1H), 1.5-1.7(m, 1H). LC/MS (M+H) 526.42 3.070分にて(4.6x50mm S10, 4分グラジエント).
【0119】
実施例10
【化27】

(R)-2-(N-(4-ブロモベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
化合物VII(0.1g, 0.28 mmol)および1-ブロモ-4-(ブロモメチル)ベンゼン(0.085 g; 0.34 mmmol)を2 mLのDMFに溶解させた。CsCO3(0.27g; 0.84 mmol)を加え、2時間撹拌した。該混合液を水に注ぎ入れ、酢酸エチル(2 X 50 mL)で抽出した。有機層を合わせて水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、乾固するまでストリッピングした。残渣を塩化メチレンに溶解させ、40+ biotageカラム(500 mLにわたる10%ヘキサン/酢酸エチル〜50%ヘキサン/酢酸エチルで溶出)で精製し、81 mgの表題の化合物を油状の固形物として得た(55%収率)。 HRMS C16H14N2O3F3S2ClBrとして計算;計算値: 516.9270; 実測値: 516.9265. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.44 (2 H, d, J=8.31 Hz), 7.33 (1 H, d, J=4.03 Hz), 7.25 (1 H, s), 7.23 (1 H, s), 6.94 (1 H, d, J=4.03 Hz), 6.08 (1 H, br. s.), 5.23 (1 H, br. s.), 4.43 - 4.55 (1 H, m), 4.25 - 4.40 (2 H, m), 1.98 - 2.23 (2 H, m), 1.85 (1 H, td, J=10.01, 4.41 Hz), 1.44 - 1.53 (1 H, m). 19F NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -66.61. LC/MS phenomenex Luna 3 X 50 mm S10, 3分ラン, 2.36分にてM+23 = 542.
【0120】
実施例11
【化28】

(R)-2-(N-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
この化合物は、実施例11と同様の方法で、4-ブロモ-1-(ブロモメチル)-2-フルオロベンゼンを用いて製造され、70%の表題の化合物を得た。 HRMS C16H13N2O3F4S2ClBrとして計算;計算値: 534.9176; 実測値: 534.9169. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.31 - 7.42 (2 H, m), 7.15 - 7.31 (3 H, m), 6.95 (1 H, d, J=4.03 Hz), 6.16 (1 H, br. s.), 5.23 (1 H, br. s.), 4.50 - 4.61 (1 H, m), 4.31 - 4.43 (2 H, m), 2.16 - 2.30 (1 H, m), 1.99 - 2.16 (1 H, m), 1.79 - 1.99 (1 H, m), 1.54 - 1.62 (1 H, m). 19F NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -66.60, -114.90. LC/MS phenomenex Luna 3 X 50 mm S10, 3分ラン, 2.39分にてM+23 = 560.
【0121】
実施例12
【化29】

(R)-2-(N-(4-ブロモ-3-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミドの製造
この化合物は、上記に記載の化合物Iを用いて実施例10と同様の方法で製造され、52%の表題の化合物を得た。 HRMS C16H13N2O3F4S2ClBrとして計算;計算値: 534.9176; 実測値: 534.9161. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.45 - 7.53 (1 H, m), 7.35 (1 H, d, J=4.03 Hz), 7.17 (1 H, dd, J=9.19, 1.89 Hz), 7.02 (1 H, dd, J=8.18, 1.89 Hz), 6.95 (1 H, d, J=4.03 Hz), 6.11 (1 H, br. s.), 5.28 (1 H, br. s.), 4.45 - 4.55 (1 H, m), 4.27 - 4.41 (2 H, m), 1.99 - 2.22 (2 H, m), 1.86 (1 H, ddd, J=14.98, 4.66, 4.53 Hz), 1.44 - 1.53 (1 H, m). 19F NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm -66.58. LC/MS phenomenex Luna 3 X 50 mm S10, 3分ラン, 2.37分にてM+23 = 560.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I;
【化1】

(式中、
R1は、C1-6アルキル、-(CH2)r-C3-6シクロアルキル、またはC1-6ハロアルキルであり;
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
nは、1〜3であり;そして、
rは、1〜3である)
の化合物、またはその塩。
【請求項2】
該化合物が式(Ia):
【化2】

(式中、
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
R2aは、ハロであり;
nは、0〜2である)
の化合物かまたはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1がC1-4アルキル、-(CH2)r-C3-6シクロアルキル、またはC1-3ハロアルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R1が-(CH2)-C3-6シクロアルキル、またはC1-3ハロアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R2が、ハロ、
【化3】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
R1が-(CH2)-シクロプロピル、または-CH2-CH2-CF3である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式I:
【化4】

(式中、
R1は、シクロプロピルメチルまたはCF3-CH2-CH2-;(シクロアルキル-CH2-)またはハロアルキルであり;
R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
nは、1〜3である)
の化合物またはその塩。
【請求項8】
該化合物が式(Ia):
【化5】

R2は、ハロ、オキサジアゾリル、またはオキサゾリルであり;
R2aは、ハロであり;
nは、0〜1である)
の化合物かまたはその塩である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R2が、ハロ、
【化6】

である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
該化合物が、式(Ib):
【化7】

の化合物かまたはその塩である、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
該化合物が、
(R)-2-(N-(4-ブロモベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(N-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(N-(4-ブロモ-3-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(N-(4-ブロモ-2,5-ジフルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(N-(4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(5-クロロ-N-(4-クロロ-2,5-ジフルオロベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-3-シクロプロピルプロパンアミド;
(R)-2-(5-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;
(R)-2-(5-クロロ-N-(3-フルオロ-4-(1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;
(R)-2-(5-クロロ-N-(2-フルオロ-4-(オキサゾール-2-イル)ベンジル)チオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;
(R)-2-(N-(4-ブロモベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;
(R)-2-(N-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;もしくは
(R)-2-(N-(4-ブロモ-3-フルオロベンジル)-5-クロロチオフェン-2-スルホンアミド)-5,5,5-トリフルオロペンタンアミド;
か、またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の化合物、および医薬的に許容されるアジュバント、担体もしくは希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項13】
アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症候群の処置または発症の遅延のための方法であって、それが必要な哺乳動物に治療上有効な量の請求項1〜11に記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項14】
アルツハイマー病の処置のための請求項13に記載の方法。
【請求項15】
頭部外傷、脳外傷、および/またはボクサー認知症の処置のための方法であって、それが必要な哺乳動物に治療上有効な量の請求項1〜11に記載の化合物を投与することを含む、該方法。

【公表番号】特表2012−520899(P2012−520899A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500962(P2012−500962)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/027805
【国際公開番号】WO2010/107997
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】