説明

アルファ‐グルカナーゼ及びアルファ‐グルカナーゼを含む口腔ケア組成物

ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)、及びトリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)由来単離されたアルファ‐グルカナーゼを開示し、並びにそれらを含む口腔ケア組成物を開示する。口腔ケア組成物を歯垢を予防し又は低減するために用いてよい。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる2008年4月11日に出願した米国仮出願第61/044,316に基づいて優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
歯垢の形成は虫歯、歯肉炎、歯周病、及び最終的に歯を失うことをもたらす。歯垢は、細菌、上皮細胞、白血球、マクロファージ、及び他の口腔滲出液の混合物である。細菌は高度に分岐したポリサッカライドを生産し、口腔からの微生物とともに歯垢の連続的な増殖のための付着マトリックスを形成する。
【0003】
歯垢は、蓄積され続け、石のように硬い白色又は黄色っぽい沈着物が生じる。これらの沈着物は石灰化プラーク、歯石、又はタータと呼ばれ、歯垢及び例えば、カルシウムのようなミネラルから唾液中に形成される。
【0004】
歯垢及び関連する虫歯を予防及び/又は低減するための新しい治療が必要となる。
【発明の概要】
【0005】
ある態様において、本発明は
a)成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)と少なくとも99%の同一性、又は
b)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)と少なくとも85%の同一性
を有するアミノ酸配列を含む単離されたアルファ‐グルカナーゼを提供する。
【0006】
別の態様においては、本発明は本発明のアルファ‐グルカナーゼをコードする単離されたポリヌクレオチド、及び単離されたポリヌクレオチドを含む組み換え核酸を提供する。また、本発明は組み換え核酸を含むベクター及び宿主細胞も提供する。
【0007】
別の態様においては、本発明は細胞培養物を提供する。いくつかの実施態様においては、細胞培養物は培養培地、及び上記に記載の宿主細胞の集団を含む。細胞培養物は単離されたアルファ‐グルカナーゼの生産に適した条件下にて細胞培養物を維持することにより本発明のアルファ‐グルカナーゼを生産するために用いられてよい。アルファ‐グルカナーゼが分泌される場合、アルファ‐グルカナーゼを培養培地から採取してよい。
【0008】
別の態様においては、本発明は、単離されたアルファ‐グルカナーゼの生産に適した条件下にて上述の細胞培養物を維持することを含むタンパク質を生産する方法を提供する。いくつかの実施態様においては、方法は培養培地からアルファ‐グルカナーゼを採取することをさらに含む。
【0009】
別の態様においては、本発明は
a)成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)のアミノ酸配列に少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
b)成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)のアミノ酸配列に少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、又は
c)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)のアミノ酸配列に少なくとも85%同一性であるアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
から選択される単離されたアルファ‐グルカナーゼを得ること、及び
前記単離されたアルファ‐グルカナーゼを経口的に許容な賦形剤と混合し、口腔ケア組成物を作ること
を含む方法を提供する。いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼはトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)に同一でない。いくつかの実施態様においては、方法は口腔ケア組成物をパッケージングすることをさらに含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、
a)経口的に許容な賦形剤、及び
b)単離されたアルファ‐グルカナーゼ
を含む口腔ケア組成物を提供する。
【0011】
関連する態様において、経口的に許容な賦形剤、及び
a)成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)のアミノ酸配列に少なくとも99%同一性であるアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
b)成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)のアミノ酸配列に少なくとも85%同一性であるアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、又は
c)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)のアミノ酸配列に少なくとも85%同一性であるアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
から選択される単離されたアルファ‐グルカナーゼ
を含む口腔ケア組成物を提供する。いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼがトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)と同一でない。
【0012】
いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼが組成物の重量に基づき0.0001wt.%から5wt.%の濃度にて組成物に存在する。
【0013】
いくつかの実施態様においては、口腔ケア組成物が第二の酵素をさらに含む。ある実施態様においては、前記第二の酵素がデアミナーゼ、エステラーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、ウレアーゼ、又はセルラーゼである。
【0014】
いくつかの実施態様においては、他の口腔ケア製剤が想定されるけれども、組成物が練り歯磨きとして製剤化される。いくつかの実施態様においては、組成物が例えば、増粘剤、界面活性剤、保湿剤、及び研磨剤の少なくとも一つを含む。
【0015】
別の態様においては、本発明は、単離されたアルファ‐グルカナーゼを得ること、及びそれから経口的に許容な賦形剤と混合し、口腔ケア組成物を作る方法を提供する。口腔ケア組成物はパッケージングされる。
【0016】
別の態様において、本発明は、前記アルファ‐グルカナーゼの活性に適した条件下にて本発明の口腔ケア組成物を歯と接触させることを含む方法を提供する。接触させることが例えば、歯ブラシを用いて行われてよい。ある場合、方法が歯垢の予防及び/又は低減をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1はヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)(配列番号1)、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)(配列番号2)、トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)(配列番号3)、及びトリコデルマ ハージアヌム(Trichoderma harzianum)(配列番号4)由来のアルファ‐グルカナーゼのアミノ酸配列アライメント及びアライメントに基づいたコンセンサス配列(配列番号5)を示す。シグナル配列、触媒ドメイン、リンカードメイン、及びグルカン結合ドメインのような、アルファ‐グルカナーゼの多様な特徴を示す。
【0018】
図2は多様な細胞の無い培養溶液で終夜インキュベーションして得られた不溶性グルカン加水分解物のHPLC分析の結果をまとめた表である。
【0019】
図3は、pH4.5及びpH6.0にてトリコデルマ レーシ(T. reesei)、ヒポクレア タワ(H. tawa)、及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)由来推定アルファ‐1,3‐グルカナーゼを発現するトリコデルマ レーシ(T. reesei)の培養物からの上清の活性を示す。天然アルファ‐グルカナーゼは宿主菌株から排除されなかった。グルカン加水分解物反応をタンパク質含有量ではなく培養体積に基づいて充填した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書にて特に断りがない限り、すべての技術用語及び科学用語は当分野で用いるような通常の意味を与えられるべきである。明確を期するために次の用語を以下のとおり定義する。他の定義は本明細書中他の場所で述べられることがある。
【0021】
本明細書にて用いる、用語「アルファ‐グルカナーゼ」はポリサッカライド中1,3−アルファ‐D−グルコシド結合を加水分解する酵素をいう。本明細書に記載のアルファ‐グルカナーゼは、IUBMB酵素命名法に従って、EC 3.2.1.59として記載される活性を有し、不溶性グルカンを加水分解する。アルファ‐グルカナーゼの系統名は1,3(1,3;1,4)−アルファ−D−グルカン 3-グルカノヒドロラーゼである。この酵素はある刊行物中1,3−アルファ‐グルカナーゼとして称されてよい。本発明の酵素は1,3−アルファ‐D−グルコシド活性に加えて他の活性を有してよく、それは1,2−アルファ‐D−グルコシド活性を含むが、これに限定されない。
【0022】
本明細書にて用いる、用語「口腔ケア組成物」は、成分の混合物をいい、その混合物は、通常使用過程が特定の治療剤の規則的な投与の目的のために意図的に服用するものではなく、むしろ口腔活性に有用な薬を運ぶ目的のために歯の表面及び/又は口腔組織に接触するのに十分な時間虫歯中に維持されるものである。口腔組成物は練り歯磨、歯磨き剤、歯磨き粉、歯磨きゲル、歯肉縁下ゲル、口腔リンス、義歯製品、口腔スプレー、薬用キャンディー、口腔錠剤、チューインガム等の形態中に存在してよい。また、口腔組成物は口腔表面に直接投与又は張るためのストリップ又はフィルムの上に取り込まれてよい。
【0023】
他に特定しない限り、用語「デントリフィス(dentrifice)」はペースト状、ゲル状、固形状、液状口腔ケア組成物製剤をいう。デントリフィスの例は、練り歯磨き、歯科用ゲル、及び歯磨き粉である。デントリフィスは単一層組成物又は2以上の分離組成物の組み合わせでもよい。デントリフィスはディープストリップ、表面ストリップ、ペーストの周りにゲルを有する多層ストリップ、又はそれらの組み合わせのような任意の所望の形態で存在してよい。二以上の分離する組成物を含むデントリフィス中の各組成物は物理的に分離した区画を有する容器及び隣り合う容器中に含まれてよい。
【0024】
本明細書にて用いる用語「経口的に許容な担体」は口腔ケア組成物に用いるために安全的及び効果的な材料をいう。そのような材料はフッ化物イオン供給源、抗歯石剤、緩衝液、研磨用磨き材料、過酸化物供給源、アルカリ金属重炭酸塩、増粘剤、保湿剤、水、界面活性剤、二酸化チタニウム、香料系、甘味剤、キシリトール、着色剤、及びそれらの混合物を含む。
【0025】
本明細書にて用いる用語「歯(tooth)」又は「歯(teeth)」は自然の歯、及びに人工の歯又は義歯をいう。
【0026】
本明細書にて用いる用語「エナメル質」は通常目に見え、多くがヒドロキシアパタイトを含むミネラルから構成される歯の一部をいう。エナメル質はヒト及び動物の歯における自然発生的なエナメル質、及び損傷を受けた又は失った歯の一部を交換するために用いるエナメル様物質であって、そのような目的のために用いる樹脂及び陶材を含む物質を包含する。
【0027】
本明細書にて用いる「歯石(tartar)」及び「歯石(calculus)」は歯の歯垢の沈着の石化をいい、互換的に用いる。
【0028】
本明細書にて用いる用語、「グリコカリックス」は細菌、上皮細胞、及び他の細胞により作られる細胞外ポリマー材料をいい、歯の表面上をコーティングするよう形成し、歯垢が接着するためのマトリックとして働く。
【0029】
本明細書にて用いる用語「歯垢」は歯(又は歯(teeth))の表面に形成するバイオフィルムをいう。バイオフィルムを形成する微生物は多くが、細菌であって、ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス アナエロベス(Streptococcus anaerobes)、フソバクテリウム種(Fusobacterium spp.)、及びアクチノバクテリア種(Actinobacteria spp.)等である。歯垢はグリコカリックス上に形成し、それによりサポートされ、その一部でよい。
【0030】
歯垢中に存在する微生物は口腔中にすべて自然に存在し、通常無害である。しかしながら、規則的な歯磨きによる歯垢除去を怠ると、微生物は粘性の層を構築させる。歯の表面に最も近いそれらの微生物は嫌気呼吸へ転換する。この状態において微生物は酸を作り始める。
【0031】
本明細書にて用いる用語「組み換え体」は野生型宿主細胞中に発生しない、野生型宿主細胞により分泌されない、又は野生型宿主細胞中で改変した発現パターンを有するポリヌクレオチド又はポリペプチドをいう。組み換えポリペプチド及びポリヌクレオチドは野生型配列と異なり、野生型ポリペプチド及びポリヌクレオチドと異なる時間的又は空間的発現パターンを有し、及び/又は野生型ポリペプチド及びポリヌクレオチドと異なるレベルで発現される個別の配列を有する。組み換え分子は、自然には生じない方法で一緒に結合される二以上の自然発生的配列を含んでよい。組み換え細胞は組み換えポリヌクレオチド又は組み換えポリペプチドを含んでよい。
【0032】
本明細書にて用いる用語「異種の」は互いに通常は関連しない要素をいう。たとえば、宿主細胞が異種のタンパク質を生成する場合、そのタンパク質は通常その宿主細胞中に生産されない。同様に、異種のコード配列に作動可能に結合するプロモーターは野生型宿主細胞中通常作動可能に結合しないコード配列に作動可能に結合するプロモーターである。ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して、用語「相同の」は宿主細胞中自然に生じるポリヌクレオチド又はタンパク質をいう。
【0033】
本明細書にて用いる用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は互換可能に用いられ、ペプチド結合により結合するアミノ酸の鎖をいう。特段の断りがない限り、ポリペプチドは標準的にN末端からC末端の方向へ記載される。
【0034】
本明細書にて用いる、「シグナル配列」はタンパク質のN末端の一部に存在するアミノ酸配列であり、細胞からタンパク質の成熟型の分泌を手助けする。多くのシグナル配列の構造が知られているが、シグナル配列の定義は機能的なものである。細胞外タンパク質の成熟型は分泌過程で切断されるシグナル配列を欠失している。
【0035】
本明細書にて用いる「コード配列」はポリペプチドをコードするDNAセグメントである。
【0036】
本明細書にて用いる用語「核酸」はDNA、RNA、ハイブリッド、及び合成又は化学的に修飾した核酸を含み、一本鎖又は二本鎖いずれかを含む。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は互換可能に用いてよく、ホスホジエステル、スルホジエステル、又は類似の結合により結合されるヌクレオチドの鎖をいう。他に指示しない限り、それぞれ核酸は5’から3’の方向を左から右へ記載する。
【0037】
本明細書にて用いる用語「ベクター」は核酸を1つ以上の宿主細胞に導入するために設計されるポリヌクレオチドをいう。ベクターは、異なる宿主細胞中で自動的に複製することができ、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子及びカセット等を含む。
【0038】
本明細書にて用いる「発現ベクター」は適切な宿主細胞においてタンパク質の発現に影響を与えられる適切な制御配列に作動可能に結合されたタンパク質コード領域を含むDNA構築体をいう。そのような制御配列は転写に影響するプロモーター、mRNAを生産するために転写を制御する任意のオペレーター配列、mRNA上の適切なリボゾーム結合部位をコードする配列、及びエンハンサーや転写及び翻訳の停止を制御する他の配列を含んでもよい。
【0039】
本明細書にて用いる「プロモーター」は下流の核酸の転写を開始する調節配列である。
【0040】
本明細書にて用いる用語「作動可能に結合する」は、開示された、又は自明な態様で要素を機能させる状態をいう。例えば、プロモーターが配列の転写を制御する場合、プロモーターはコード配列に作動可能に結合する。
【0041】
用語「選択的/選択可能なマーカー」は導入された核酸又はベクターを含む宿主細胞の選別を容易するように宿主中に発現可能なタンパク質をいう。例えば、選択可能なマーカーの例は抗菌剤(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)に耐性を与えるタンパク質及び/又は宿主細胞の栄養的利益のような代謝利益を与える遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書にて用いる用語「由来する(derived from)」は「から得られる(originated from)」、「得られる(obtained)」、又は「から得られる(obtainable from)」及び「から単離される(isolated from)」を含む。
【0043】
本明細書にて用いる、「非病原性の」生物体はヒトに病原性(言い換えると、病気又は原因となる病気)ではない生物体である。
【0044】
本明細書にて用いる用語「回収される」、「単離される」、及び「分離される」は、自然に結合する少なくとも一つの成分から除去されるタンパク質、細胞、核酸、又はアミノ酸をいう。
【0045】
本明細書にて用いる用語「形質転換した(transformed)」、「安定な形質転換(stably transformed)」及び細胞に関して用いる「トランスジェニック(transgenic)」は細胞がその染色体へ組みこまれた又は複数の世代を通して維持されるエピソーム性プラスミドのような非天然の(例えば、異種の)核酸配列を有することを意味する。
【0046】
本明細書にて用いる用語「発現」は遺伝子の核酸配列に基づいてポリペプチドが生産されるプロセスをいう。プロセスは転写及び翻訳の両方を含む。
【0047】
本明細書にて用いる、細胞へ核酸配列を挿入するという文脈中「導入される(introduced)」という用語は、「トランスフェクション(transfection)」、「形質転換(transformation)」、又は「形質導入(transduction)」を意味し、真核又は原核細胞へ核酸配列を取り込むことであって、核酸配列が細胞の遺伝子(例えば、染色体、プラスミド、プラスチド、又はミトコンドリアDNA)へ取りこまれ、自律的複製への転換、又は一時的な発現(例えば、トランスフェクトされたmRNA)を生じることを特徴とする。
【0048】
本明細書にて用いる用語「混合可能な」は特定の組成物がその組成物の成分の安定性及び/又は効果を実質的に低減する状態を生じるように相互作用することなく混じり合う(混合される)ことができることを意味する。
【0049】
本明細書にて用いる用語「薬用キャンディー」は口臭予防ミントキャンディー(breath mints)、トローチ(troche)、トローチ(pastille)、マイクロカプセル、及び凍結乾燥形態(ケーキ、ウエハース、薄い膜、錠剤)を含む速溶性の固形物を含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書にて用いる用語「速溶性固体物」は、口腔内又は義歯を含む容器に固形剤を置いた後、固形剤が約60秒未満、約15秒未満、約5秒未満で溶解することを意味する。
【0051】
数字範囲は範囲を規定する数字を含む。本明細書にて用いるすべてのパーセント及び比は特段の断りがない限り、特定の口腔組成物の重量に基づくものであり、与えられる口腔製剤全体の重量に基づくものではない。特段の断りがない限り又は文脈から明らかでない限り、単数「a」「an」及び「the」は複数を含む。
【0052】
見出しは、読みやすくするために記載されるものであり、発明を限定するものではない。特段の断りがない限り又は文脈から明らかでない限り、見出し項目に含まれる記載は明細書の全体に適用される。
【0053】
他の方法及び材料が類似のまたは等しい結果をもたらすかもしれないが、ここでは一般的な材料及び方法が記載される。すべての特許及び刊行物は、そこに記載されるすべての配列を含み、すべて参照により明確に本明細書中に取り込まれる。
【0054】
詳細な説明
本明細書にてアルファ‐グルカナーゼ活性を有するポリペプチドに関連する組成物及び方法を記載する。本発明の組成物及び方法は歯垢の形成を低減又は予防するために適しており、歯垢の形成を促進する根本的な生理学的条件を減少又は予防するために適している。
【0055】
A.ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び宿主細胞
本発明の組成物及び方法のある態様は、単離されたアルファ‐グルカナーゼに関連する。いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは、成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)のアミノ酸配列に少なくとも98%の同一性(例えば、少なくとも99%又は99.5%の同一性)であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟ヒポクレア タワ(H. tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)のアミノ酸配列を含む。
【0056】
いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸38−627)のアミノ酸配列に少なくとも85%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)のアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸38−622)のアミノ酸配列に少なくとも85%の同一性(例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸38−622)のアミノ酸配列に対して同一でないアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは野生型アルファ‐グルカナーゼに類似するが、同一ではない。例えば、いくつかの実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟ヒポクレア タワ(H. tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)に少なくとも98%の同一性であるが、成熟ヒポクレア タワ(H. tawa)アルファ‐グルカナーゼに同一でないアミノ酸配列を有する。同様に、ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼは成熟トリコデルマ レーシ(T. reesei)又はトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(それぞれ、配列番号2のアミノ酸38−622又は配列番号3のアミノ酸38−627)に少なくとも85%の同一性であるが、それらと同一でないアミノ酸配列を有してよい。
【0059】
50以上の異なるアルファ‐グルカナーゼのアミノ酸配列は知られており、NCBIのGenbankデータベースに保管されており、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)(登録番号: XP_001390909.1; GID: 145236523), ペニシリウム パープロゲナム(Penicillium purpurogenum) (登録番号: AAF27912.1; GID: 6752866), エメリセラ ニドゥラン(Emericella nidulans) (登録番号: CAC48025.1; GID: 15072711)及びクリプロコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)(登録番号: AAW47079.1; GID: 57230770)由来のものを含む。本出願の最も早い出願日におけるこれらのGenbank登録は参照によりその全体を本明細書に取り込まれ、その核酸とタンパク質及びそれらの配列の注釈も含まれる。アルファ‐グルカナーゼに保存されたドメインを記載する項目はNCBIの保存されたドメインのデータベース(Conserved Domain Database)(Marchler-Bauer他、CDD: a conserved domain database for interactive domain family analysis. (2007) Nucleic Acids Res. 35:D237-40) においてpfam03659として登録されている。分裂酵母(S. pombe)由来のアルファ‐グルカナーゼの配列及びアルファ‐グルカナーゼの構造の検討はFuglsang他、((2000) J. Biol. Chem. 275:2009-18)に記載される。
【0060】
どのアミノ酸を置換してアルファ‐グルカナーゼ活性を維持するヒポクレア タワ(H. tawa)、トリコデルマ レーシ(T. reesei)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)の野生型アルファ‐グルカナーゼの活性型変異体を作成するかの指標は、例えば、それらのアルファ‐グルカナーゼタンパク質のアミノ酸配列を整列させ、それらのタンパク質での一致する位置であって、しかし、それらのタンパク質間で異なるアミノ酸を同定し、ひとつのタンパク質から他のタンパク質へそれらのアミノ酸を移転することにより、得られた。一般的な配列アライメントを図1及びFuglsang 他(上記を参照願いたい)に示す。
【0061】
変異体ポリペプチドは、ポリペプチドについて他の有益な生化学的特性を与えながら、一般的な電荷、疎水性/親水性及び/又は置換されているアミノ酸の立体的かさ高さを保存する保存アミノ酸置換(conservative amino acid substitution)を含んでよい。保存置換の例は次のグループの間のものを含んでよいが、これらに限定されない。それは、Gly/Ala、Val/Ile/Leu、Lys/Arg、Asn/Gln、Glu/Asp、Ser/Cys/Thr、及びPhe/Trp/Tyrである。これら及び他の保存置換を下記表に示す。
【表1】

【0062】
あるいは、アミノ酸置換は保存的ではなく、一般的な荷電、疎水性/親水性及び/又は置換されるアミノ酸の立体的かさ高さを変化させる。
【0063】
アルファ‐グルカナーゼ活性を評価する試験は多くの刊行物に記載され、次のFuglsang他(上記を参照願いたい)、Inoue 他((1988) Carbohydr. Res. 182:277-86)、Ait-Lahsen他((2001) Appl. Environ. Microbiol. 67:5833-9)、及びSumitomo他、((2007) Biochim. Biophys. Acta. 1770:716-24)を含む。
【0064】
また、本発明は本明細書に記載のアルファ‐グルカナーゼをコードする単離されたポリヌクレオチド及びその単離されたポリヌクレオチドを含む組み換え核酸を提供する。遺伝子コードが知られているならば、そのようなポリヌクレオチドはアミノ酸配列に基づき容易に設計できる。ある実施態様においては、単離されたポリヌクレオチドは、野生型ヒポクレア タワ(H. tawa)アルファ‐グルカナーゼ遺伝子又はコード配列の核酸配列(例えば、それぞれ、配列番号29及び30)、野生型トリコデルマ レーシ(T. reesei)アルファ‐グルカナーゼ遺伝子又はコード配列の核酸配列(例えば、それぞれ、配列番号31及び32)、又は野生型トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ遺伝子又はコード配列の核酸配列(例えば、それぞれ、配列番号33及び34)に少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性)であるヌクレオチド配列、又はストリンジェント条件下にてそれらの核酸配列にハイブリダイズしうるヌクレオチド配列を有する。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼのコード配列は、用いる宿主細胞中でアルファ‐グルカナーゼの発現のために最適化されるコドンである。トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)及び多様な他の酵母と細菌宿主細胞を含む多くの宿主細胞における各コドンの使用頻度を記載するコドン使用頻度表は、この分野で知られ(Nakamura他(2000) Nucl. Acids Res. 28:292を参照願いたい)又は容易に導き出せるので、そのような核酸は、アルファ‐グルカナーゼのアミノ酸配列を発現させるよう容易に設計できる。
【0065】
また、本発明は、組み換え核酸を含む発現ベクター及び宿主細胞を提供する。ある実施態様においては、宿主細胞は細菌(例えば、バシルス種(Bacillus sp.)又はストレプトミセス種(Streptomyces sp.)宿主細胞)又は糸状菌宿主細胞であり、ある場合において、非病原性、言い換えるとヒトに非病原性であってよい。ある実施態様においては、宿主細胞はGRAS状態、言い換えると、FDAによる食品安全認定(Generally Recognized as Safe)を有するタンパク質の生産に用いた経歴を有する菌株である糸状菌細胞でよい。
【0066】
ある実施態様においては、本発明に用いる菌細胞は次の種の細胞でよい。
トリコデルマ(Trichoderma)(例えば、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)(以前はトリコデルマ ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)及びまた、現在ヒポクレア ジェコリナ(Hypocrea jecorina)として知られる)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ コニンギー(Trichoderma koningii)及びトリコデルマ ハージアヌム(Trichoderma harzianum))、
ペニシリウム種(Penicillium spp.)、
フミコーラ種(Humicola spp.)(例えば、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)及びフミコーラ グリセア(Humicola grisea))、
クリソスポリウム種(Chrysosporium spp.)(例えば、クリソスポリウム ルクノウエンス(C. lucknowense)、
グリオクラジウム種(Gliocladium spp.)、
アスペルギルス種(Aspergillus spp)(例えば、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス ニドゥラン(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス カワチ(Aspergillus kawachi)、アスペルギルス アクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス ソジャエ(Aspergillus sojae)、及びアスペルギルス アワモリ(A. awamori))、
フザリウム種(Fusarium spp.)、
ニューロスポラ種(Neurospora spp.)、
ヒポクレア種(Hypocrea spp.)、又は
エメリセラ種(また、Innis 他 (1985) Science 228:21-26を参照願いたい)等。
いくつかの実施態様においては、本発明に用いる菌細胞はアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)の菌株でよく、ATCC 22342、ATCC 44733、ATCC 14331及びそれら由来の菌株を含む。いくつかの実施態様においては、宿主細胞は天然の遺伝子が欠失又は不活化されているものでよい。例えば、セルラーゼ遺伝子に対応する遺伝子又はプロテアーゼ遺伝子に対応する遺伝子が、欠失又は不活化されてよい。
【0067】
上述の核酸は宿主細胞の核ゲノム中に存在してよく、又は例えば、一過性発現ベクター、シャトルベクター、人工染色体等のような、宿主細胞中で複製するプラスミド中に存在してよい。
【0068】
ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼを菌類宿主細胞中でアルファ‐グルカナーゼに作動可能に結合するシグナル配列を含む融合タンパク質を発現することにより生産してよい。そのような実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼを培養培地に分泌してよく、そこからアルファ‐グルカナーゼを採取できる。融合タンパク質のシグナル配列は宿主細胞からタンパク質分泌を機能させる任意のシグナル配列でよい。用いるシグナル配列は宿主細胞に内因性又は非内因性でよく、ある実施態様においては、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)又はアスペルギルス種(Aspergillus sp.)から多く分泌されことが知られているタンパク質のシグナル配列でよい。そのようなシグナル配列はセロビオヒドロラーゼI、セロビオヒドロラーゼII、エンドグルカナーゼI、エンドグルカナーゼII、エンドグルカナーゼIII、アルファ‐アミラーゼ、アスパラチルプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、マンナナーゼ、グリコシダーゼ及びオオムギエンドペプチダーゼB(例えば、Saarelainen (1997) Appl. Environ. Microbiol. 63:4938-40を参照願いたい。)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼをそれ自身の(つまり、内因性)シグナル配列を用いて分泌してよい。
【0069】
その結果、いくつかの実施態様においては、宿主細胞へ核酸を導入することによりアルファ‐グルカナーゼを生産し、ここで、核酸は、アルファ‐グルカナーゼをコードする部分に作動可能に結合するシグナル配列をコードする部分を含み、核酸の翻訳は宿主細胞からアルファ‐グルカナーゼ部分の分泌用のN末端シグナル配列を有するアルファ‐グルカナーゼ部分を含む融合タンパク質を生産することを特徴とする。
【0070】
ある実施態様においては、融合タンパク質はシグナル配列に加えて、宿主細胞に内因性であり、宿主細胞により多く分泌されるタンパク質の一部であるキャリアタンパク質をさらに含んでよい。有用なキャリアタンパク質はトリコデルマ レーシ(T. reesei)マンナナーゼI(Man5A又はMANI)、トリコデルマ レーシ(T. reesei)セロビオヒドロラーゼII(Cel6A又はCBHII) (例えば、Paloheimo他(2003) Appl. Environ. Microbiol. 69:7073-82を参照願いたい)、又はトリコデルマ レーシ(T. reesei)セロビオヒドロラーゼI(CHBI)のものを含む。ある実施態様においては、キャリアタンパク質はCBH1のコア領域及びCBH1リンカー領域の一部を含む欠失トリコデルマ レーシ(T. reesei)CBH1タンパク質である。従って、アミノ末端からカルボキシ末端まで、作動可能に結合するシグナル配列、キャリアタンパク質及び本発明のアルファ‐グルカナーゼを含む融合タンパク質をコードする核酸を用いる。
【0071】
コード配列に加えて、核酸は宿主細胞中アルファ‐グルカナーゼの発現のために必要な他の要素をさらに含んでよい。例えば、核酸はコード配列の転写用プロモーター、及び転写ターミネーターを含んでよい。トリコデルマ レーシ(T. reesei)中に用いてよい一般的なプロモーターは、トリコデルマ レーシ(T. reesei)cbh1、cbh2、egl1、egl2、eg5、xln1及びxln2プロモーター、又はそれらのハイブリッド又はそれらの欠失バージョンを含む。例えば、プロモーターはトリコデルマ レーシ(T. reesei)cbh1プロモーターである。適切なターミネーターはトリコデルマ レーシ(T. reesei)cbh1、cbh2、egl1、egl2、eg5、xln1及びxln2ターミネーター及び例えば、アスペルギルス ニガー(A.niger)、又はアスペルギルス アワモリ(A. awamori)グルコアミラーゼ遺伝子(Nunberg他(1984) Mol Cell Biol. 4:2306-15); Boel他(1984) EMBO J. 3:1097-102及びBoel他(1984) EMBO J. 3:1581-85)、アスペルギルス ニドゥラン(Aspergillus nidulans)アントラニル酸合成遺伝子、アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ遺伝子、又はアスペルギルス ニドゥラン(A. nidulans)trpC(Punt他(1987) Gene 56:117-24)由来ターミネーターを含む多くの他のものを含む。プロモーター及び/又はターミネーターはトリコデルマ種(Trichoderma sp.)の宿主細胞に天然に存在するか又は非内因性のものでよい。
【0072】
また、本発明は宿主細胞の培養物(つまり、宿主細胞の集団及び培養培地を含む組成物)を提供する。培養物の培養培地は上述のアルファ‐グルカナーゼを含んでよい。ある実施態様においては、細胞培養は培養培地及び上述の細胞の集団を含んでよい。細胞培養物を単離されたアルファ‐グルカナーゼの生産に適した条件下にて細胞培養物を維持することにより、本発明のアルファ‐グルカナーゼを生産するために用いてよい。アルファ‐グルカナーゼを分泌する場合、アルファ‐グルカナーゼを培養培地から採取してよい。
【0073】
分泌されるタンパク質を生産するように遺伝子工学的に作られた細胞での方法を含む糸状菌中タンパク質を発現する方法は、米国特許第6,022,725と6,268,328、及び公開さらた米国特許出願第20060041113、20060040353、20060040353、20050208623に記載されるものを含み、これらは、参照により本明細書に取り込まれる。さらに、アスペルギルス(Aspergillus)菌株の形質転換のための一般的な方法はCao他(2000) Protein Sci. 9:991-1001及びYelton他(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1470-74に記載され、トリコデルマ(Trichoderma)菌株の形質転換のための一般的方法は、Nevalainen他(1992) “The Molecular Biology of Trichoderma and its Application to the Expression of Both Homologous and Heterologous Genes” in Molecular Industrial Mycology, Eds. Leong and Berka, Marcel Dekker Inc., NY, pp 129-48に記載される。
【0074】
アルファ‐グルカナーゼが培養培地に分泌される場合、アルファ‐グルカナーゼは任意の従来の方法、例えば、沈殿、遠心、アフィニティー、ろ過、又は任意の当分野で知られる方法により回収されてよい。例えば、
アフィニティークロマトグラフィー(Tilbeurgh他(1984) FEBS Lett. 16:215)、
高分解能を有する材料を用いるイオン交換(Medve他(1998) J. Chromatography A. 808153)を含むイオン交換クロマトグラフィー法(Goyal他 (1991) Biores. Technol. 36:37; Fliess他 (1983) Eur. J. Appl. Microbiol. Biotechnol. 17:314; Bhikhabhai他(1984) J. Appl. Biochem. 6:336;及びEllouz他(1987) Chromatography 396:307)、
疎水性相互作用クロマトグラフィー(Tomaz and Queiroz (1999) J. Chromatography A. 865:123)、
2相分配(Brumbauer他 (1999) Bioseparation 7:287)、
エタノール沈殿、
逆相HPLC、
シリカ又はDEAEのようなカチオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィー、
クロマトフォーカシング、
SDS−PAGE、
硫酸アンモニウム沈殿、又は
例えば、Sephadex G-75を用いるゲルろ過
を用いてよい。ある実施態様においては、アルファ‐グルカナーゼを培養培地の他の成分から精製せずに用いてよい。これらの実施態様においては、培養培地を単に濃縮し、例えば、それから培養培地の成分からさらなるタンパク質の精製をせずにあるいは任意のさらなる修飾をせずに用いてよい。
【0075】
B.口腔ケア組成物
本発明の組成物及び方法の態様は口腔ケア組成物に関連する。口腔ケア組成物は一以上の本明細書に記載のアルファ‐グルカナーゼ及び経口的に許容な担体を含む。一以上のアルファ‐グルカナーゼのそれぞれは0.0001wt.%から5wt.%(例えば、0.0001wt.%から0.0005wt.%、0.0005wt.%から0.001wt.%、0.001wt.%から0.005wt.%、0.005wt.%から0.01wt.%、0.01wt.%から0.05wt.%、0.05wt.%から0.1wt.%、0.1wt.%から0.5wt.%、0.5wt.%から1wt.%、又は1wt.%から5wt.%)の範囲の濃度にて組成物に存在してよいが、この範囲から出る濃度も用い得る。口腔ケア組成物は経口的に許容な賦形剤とアルファ‐グルカナーゼを混合することを含む方法により作ってよい。ある場合、この方法は口腔ケア組成物をパッケージングすることをさらに含んでよい。
【0076】
口腔ケア組成物は、例えば、歯磨き剤、練り歯磨、歯磨き粉、局所経口用ゲル、口腔リンス、義歯製品、口腔スプレー、薬用キャンディー、口腔錠剤、又は、チューインガム等の形態中に存在してよい。また、口腔組成物は口腔表面に直接投与又は張るためのストリップ又はフィルム、フロス、又はテープの上に取り込まれてよい。
【0077】
経口的に許容な担体は局所的な経口投与に適している混合可能な固形状又は液状賦形剤又は封入物質の一以上を含んでよい。適切な担体又は賦形剤は、以後詳しく記載するように、歯磨き剤(非研磨ゲル及び歯肉縁下塗布用ゲルを含む)、口腔リンス、口腔スプレー、チューイングガム、及び薬用キャンディー(口臭予防ミントキャンディー(breath mints)を含む)の通常及び従来の成分を含む。液状形態での本発明の口腔ケア組成物は、例えば、約5.0から約8.0のような約4.0から約10.0の範囲のpHを任意に有してよい。
【0078】
いくつかの実施態様においては、担体は、どの方法で組成物が口腔内へ導入されるべきかに基づいて選択される。例えば、練り歯磨き(歯のゲル等を含む)を用いる場合、「練り歯磨き担体」を例えば、米国特許第3,988,433中ベネディクト(Benedict)に記載のように選択してよい(例えば、研磨材料、界面活性剤、ビルダー、保湿剤、香味剤及び甘味剤を含む)。口腔リンスを用いる場合、「口腔リンス担体」を米国特許第3,988,433中ベネディクト(Benedict)に記載のように選択してよい(例えば、水、香味剤及び甘味剤を含む)。口腔スプレーを用いる場合、「口腔スプレー担体」を選択してよく、又は薬用キャンディーを用いる場合は「薬用キャンディー担体」を選択してよい(例えば、キャンディーベース)。チューインガムを用いる場合、「チューイングガム担体」を選択してよい(例えば、ガム基礎剤、香味剤及び甘味剤を含む)。小袋(sachet)を用いる場合,「小袋(sachet)用担体」を選択してよい(例えば、小袋(sachet)用の袋、香味剤及び甘味剤を含む)。歯肉縁下用ゲルを用いる場合(歯周ポケットへ又は歯周ポケットの周りに活性物の輸送のために)、「歯肉縁下用ゲル担体」を選択してよい。本発明の組成物の調製に適した他の有用な担体は当分野に周知である。それらの選択は、味、価格、貯蔵安定性、糖又は塩が入っていない組成物に対する必要性などのような二次的考察による。
【0079】
いくつかの実施態様においては、組成物は、例えば、歯肉縁下用ゲルのような非研磨ゲルの形態でよく、水溶性又は非水溶性の形態で良い。一般的に水溶性ゲルは、増粘剤(約0.1%から約20%)、保湿剤(約10%から約55%)、香味剤(約0.04%から約2%)、甘味剤(約0.1%から約3%)、着色剤(約0.01%から約0.5%)、及び適量の水を含む。ある場合、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして約0.05%から約0.3%)、及び抗歯石剤(約0.1%から約13%)を含んでよい。
【0080】
他の実施態様においては、組成物は、練り歯磨き、歯科用ゲル、又は歯磨き粉のような歯磨き剤の形態でもよい。そのような練り歯磨き及び歯科用ゲルの成分は歯科用研磨剤(約5%から約50%)、界面活性剤(約0.5%から約10%)、増粘剤(約0.1%から約5%)、保湿剤(約10%から約55%)、香味剤(約0.04%から約2%)、甘味剤(約0.1%から約3%)、着色剤(約0.01%から約0.5%)、及び水(約2%から約45%)の1以上を含んでよい。このような練り歯磨き又は歯科用ゲルはまた、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして約0.05%から約0.3%)、及び抗歯石剤(約0.1%から約13%)の1以上を含んでもよい。歯磨き粉は、実質的に全ての非液体の成分を含有する。
【0081】
歯磨き剤組成物の一例は米国特許第6,238,648に記載され、次の製剤(w/w)有する。
グリシン 14.0
ポリエチレングリコール 300 4.5
シリカ 21.5
ピロリン酸4ナトリウム 4.5
水 23.5
キサンタンガム 0.3
カルボキシメチルセルロース 0.5
フッ化ナトリウム 0.2
香料 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム (27.9%溶液) 4.5
サッカリンナトリウム 0.4
二酸化チタニウム 0.4
重炭酸ナトリウム 0.9
炭酸ナトリウム無水物 1.4
ポロキサマー407 1.8
キシリトール 10.0
プロピレングリコール 10.6
全量 100.00

【0082】
歯磨き剤組成物の別の例は、米国特許第5,578,295に記載され、次の製剤を含む(w/w)。
トリクロサン2リン酸塩 1
ソルビトール 33
サッカリン 0.46
シリカ 22
NaF 0.243
グリセリン 9
NaOH (50%) 0.2
カルボポール(Carbopol) 0.2
ケルトロール(Keltrol) 0.6
TiO.sub.2 0.5
アルキル硫酸ナトリウム(28%溶液) 4
PEG 6
3 FD&C Blue #1 (1%溶液) 0.05
香料 1.1
水 適量

【0083】
いくつかの実施態様においては、組成物は、口腔スプレーを含む口腔洗浄剤である。そのような口腔洗浄剤及び口腔スプレーの成分は一般的に水(約45%から約95%)、エタノール(約0%から約25%)、保湿剤(約0%から約50%)、界面活性剤(約0.01%から約7%)、香味剤(約0.04%から約2%)、甘味剤(約0.1%から約3%)、及び着色剤(約0.001%から約0.5%)の1以上を含む。このような口腔洗浄剤又は口腔スプレーはまた、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして約0.05%から約0.3%)、及び抗歯石剤(約0.1%から約3%)の1以上を含んでもよい。
【0084】
ある実施態様においては、組成物は洗浄液を含む歯科用溶液でよい。一般的にそのような歯科用溶液の組成物は水(約90%から約99%)、防腐剤(約0.01%から約0.5%)、増粘剤(約0%から約5%)、香味剤(約0.04%から約2%)、甘味剤(約0.1%から約3%)、及び界面活性剤(約0%から約5%)の1以上を含む。
【0085】
チューインガム組成物は一般的にガム基礎剤(約50%から約99%)、香味剤(約0.4%から約2%)、及び、甘味剤(約0.01%から約20%)の1以上を含む。
【0086】
薬用キャンディーは香味基礎剤中に治療剤を含む円盤形固形物を含んでよい。基礎剤は硬い糖キャンディー、グリセリンゼラチン、又はそれを形成するのに十分な粘液を有する砂糖の組み合わせでよい。これらの薬剤の形態は一般的に周知である。
【0087】
別の実施態様においては、本発明は、本明細書に記載の組成物を浸透させた歯科用器具を提供する。歯科用器具は口腔内で歯及び他の組織に接触するための器具を含んでよく、その器具をポリエチレンイミン又はソルビトールを有するオキシダーゼを含む組成物に浸透させてよい。歯科用器具はデンタルフロス又はテープ、チップ、ストリップ、フィルム、つまようじ、及びポリマー繊維を含む浸透される繊維の形態中に存在してよい。
【0088】
経口的に許容できる担体中存在してよい一般的な物質を下記に示す。
【0089】
研磨剤
歯科用研磨剤は、多くの異なる物質を含む。選択される物質は、本発明の組成物内で混合可能であり、象牙質を過度に削らないものでよい。有用な研磨剤は、例えば、ゲル及び沈殿物を含むシリカ、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0090】
組成物に用いられるある型は、粒子状熱硬化性重合樹脂である。有用な樹脂は、例えば、メラミン、フェノール成分、尿素、メラミン−尿素、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン‐尿素‐ホルムアルデヒド、架橋されたエポキシド、及び架橋されたポリエステルを含む。
【0091】
様々なタイプのシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の清浄及び研磨性能という効果があるため、選択されてよい。他の研磨剤と同様に、シリカ研磨物質は、約0.1ミクロンから約30ミクロン、又は約1ミクロンから約15ミクロンの間の範囲の平均粒子サイズを有してよい。研磨剤は、沈殿シリカ、又はシリカキセロゲルなどのシリカゲルでよい。
【0092】
また、研磨剤の混合物も用いてよい。歯磨き剤組成物中の研磨剤の合計量は、約6wt.%から約70wt.%の範囲でよい。練り歯磨きは、組成物の重量に基づき、約10wt.%から約50wt.%の研磨剤を含有してよい。溶液、口腔スプレー、口腔洗浄、及び非研磨剤ゲル組成物は、研磨剤を全く含有しない。
【0093】
界面活性剤
また本発明の組成物は、例えば、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤又はタウレート界面活性剤のような界面活性剤を含んでもよい。ある場合、これらの界面活性剤のアルカリ金属又は硫酸塩を含んでよい。ある場合、組成物は次のナトリウム及びカリウム塩を含んでよい。それは、ラウロイルサルコシン酸塩、ミリストイルサルコシン酸塩、パルミトイルサルコシン酸塩、ステアロイルサルコシン酸塩、及びオレオイルサルコシン酸塩である。他の適切な溶解可能な界面活性剤をこれらの界面活性剤の代わりに又はこれらと組み合わせて用いてよい。
【0094】
有用な陰イオン性界面活性剤は、アルキルラジカルに10個から18個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩、及び10個〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン酸モノグリセリドの水溶性塩を含む。ラウリル硫酸ナトリウム及びココナッツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、このタイプの陰イオン性界面活性剤の例である。また、アニオン性界面活性剤の混合物も使用してよい。
【0095】
適切な陽イオン界面活性剤は、約8〜約18の炭素原子を含む一つのアルキル長鎖を有する脂肪族第四級アンモニウム誘導体を含み、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジ−イソブチルフェノキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウムニトライト、セチルピリジニウムフルオライドなどである。ある場合、界面活性剤は洗剤特性を有する第四級アンモニウムフルオライドでよい。いくつかの陽イオン界面活性剤は、組成物中殺菌剤としても作用できる。
【0096】
適切な非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基類(本質的に親水性)と、本質的に脂肪族またはアルキル芳香族とすることができる有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物を含む。例としては、プルロニック(Pluronics)、アルキルフェノール類のポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合物から得られる生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド類、長鎖第三級ホスフィンオキシド類、長鎖ジアルキルスルホキシド類、およびこれらの物質の混合物を含む。
【0097】
適切な両性合成界面活性剤は、脂肪族の4級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物であって、その脂肪族基は直鎖状または分岐鎖状でよく、脂肪族置換基の1つが約8〜約18個の炭素原子を含有し、かつ1つが陰イオン水溶性基、例えばカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、ホスホネートを含有する。
【0098】
好適なベタイン界面活性剤は、デシルベタイン又は2−(N−デシル‐N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ‐N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等を含む。アミドベタインの例としては、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等があげられる。ある実施態様においては、組成物中のベタインはココアミドプロピルベタイン又はラウラミドプロピルベタインである。
【0099】
界面活性剤は組成物の総量の約0.1wt.%から約2.5wt.%、約0.3wt.%から約2.5wt.%、又は約0.5wt.%から約2.0wt.%の範囲での濃度にて存在してよい。
【0100】
抗歯垢剤
また、組成物は、例えば、ポリアクリレート又はマレイン酸又はその無水物のコポリマー、及びメチルビニルエーテル並びにポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛2水和物、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸のような)、及びそれらの混合物のような合成陰イオンポリマーのような抗歯垢剤を含んでよい。
【0101】
キレート剤
組成物はキレート剤を含んでよい。キレート剤は酒石酸及びその薬学的に許容される塩、クエン酸及びアルカリ金属クエン酸塩及びそれらの混合物を含む。キレート剤は細菌の細胞壁に見られるカルシウム複合体でもよい。キレート剤はバイオマスを無傷に保つのに役立つカルシウム架橋からカルシウムを除去することにより歯垢を崩壊してもよい。歯の脱塩をもたらすかもしれないキレート剤は使用すべきでない。
【0102】
いくつかの実施態様においては、アルカリ金属クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム)は組成物中に存在してよい。ある場合、キレート剤はクエン酸/アルカリ金属クエン酸塩の組み合わせを含む。他の場合、酒石酸のアルカリ金属塩を用いてよい。他のものは酒石酸2ナトリウム、酒石酸2カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウムを含む。酒石酸塩キレート剤を単独で又は他の任意のキレート剤との組み合わせで用いてよい。ある実施態様においては、これらのキレート剤は低減される歯垢形成を有する改善された洗浄を提供するために約10から10のカルシウム結合定数を有する。
【0103】
キレート剤の別のグループは陰イオンポリカルボキシレートポリマーである。そのような物質は当分野に周知であり、それらの遊離酸、部分的に又は完全に中性水溶性アルカリ金属(例えば、カリウム、及び好ましくはナトリウム)又はアンモニウム塩の形態で使用される。ある場合、組成物は、1:4から4:1の比であるマレイン酸無水物又はマレイン酸と平均分子量(AMW)約30,000から約1,000,000を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)のような重合性エチレン性不飽和コモノマーのコポリマーを含む。
【0104】
他の有効なポリカルボキシレートポリマーはエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル‐2−ピロリドン、又はエチレンを伴うマレイン酸無水物の1:1のコポリマー、及びメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル‐2−ピロリドンを伴うアクリル酸の1:1のコポリマーのようなものを含んでよい。
【0105】
さらなる有効なポリカルボキシレートポリマーは、スチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、ポリマレイン酸、及び1000のAMWを有するスルホアクリルオリゴマーを有するマレイン酸無水物のコポリマーを含んでよい。
【0106】
キレート剤の量は約0.1%から約2.5%、約0.5%から約2.5%、約1.0%から約2.5%でよい。
【0107】
フッ化物供給源
ある実施態様においては、水溶性フッ化物化合物は、25℃にて組成物中に約0.0025wt.%から約5.0wt.%、又は約0.005wt.%から約2.0wt.%のフッ化物イオン濃度与えるのに十分な量にて口腔ケア組成物中に存在してよい。多様なフッ化物イオンを与える物質は本発明の組成物における溶解性フッ化物の供給源として用いてよい。代表的なフッ化物イオン供給源はフッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロホスフェートナトリウム等を含んでよい。ある場合、本発明の組成物はフッ化スズ及びフッ化ナトリウム、及びそれらの混合物を含む。
【0108】
歯を白くする活性及び歯の色を変える物質
また、歯の白色剤及び/又は歯の色を変える物質も口腔ケア組成物中に存在してよい。これらの物質は歯の色を変えるのに有効である。これらの物質は歯の表面に塗布した場合、光の吸収及び反射に関して表面を変える粒子を含んでよい。そのような粒子を含むフィルムが歯の表面上に塗布される場合、そのような粒子は明らかな利益を提供する。
【0109】
粒子は化粧分野で通常用いる顔料及び着色料を含む。しかし、本発明の組成物に用いる顔料及び/又は着色料に限定されない。顔料及び着色料は無機の白い顔料、無機の着色顔料、真珠箔(pearling agent)、充填用の粉等を含む。具体的な例はタルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタニウム、酸化亜鉛、べんがら、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、フェロシアン化鉄アンモニウム(ferric ammonium ferrocyanide)、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、デンプン、チタン酸マイカ、酸化鉄チタン酸マイカ(iron oxide titanated mica)、ビスマスオキシクロライド(bismuth oxychloride)、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよい。ある実施態様においては、二酸化チタニウム、ビスマスオキシクロライド、酸化亜鉛、又はそれらの混合物を用いてよい。
【0110】
顔料は乳白剤又は着色剤として用いてよい。これらの顔料は処理される粒子として、又は加工されていない顔料自身として用いてよい。典型的な顔料のレベルは消費者により望まれる特定の効果のために選択されてよい。例えば、特に、黒く又は汚れた歯のためにその歯の色を薄くするために十分な量の顔料を使用してよい。一方、個々の歯又は歯の上の斑点が他の歯の色より薄い場合、歯を黒くするための顔料が有効である。顔料及び着色剤のレベルを組成物の約0.05%から約20%、約0.10%から約15%、約0.25%から約10%の範囲で用いてよい。
【0111】
増粘剤
ある実施態様においては、練り歯磨き又はゲルのような、いくつかの増粘物質は組成物の粘度、使用時の活性放出特性、貯蔵安定性、組成物の安定性等を与える。増粘剤は、カルボキシビニルポリマー類、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト(laponite)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムやカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなどのセルロースエーテル類の水溶性塩を含む。インドゴム、キサンタンゴム、アラビアゴム、トラガカントゴムなどの天然ゴムも使用することができる。さらに感触を改善するために、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは微粒子シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。
【0112】
増粘剤またはゲル化剤は、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル又はスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーまたはカルボマー類あるいはそれらの混合物の分類を含んでよい。
【0113】
ラクチドおよびグリコリドのモノマーのコポリマーである、分子量が約1,000〜約120,000(数平均)の範囲のコポリマーは、「歯肉縁下ゲル」のような本発明に用いる組成物中に用いてよい。
【0114】
増粘剤を練り歯磨きまたはゲル組成物の総重量で約0.1wt.%〜約15wt.%、約2wt.%〜約10wt.%、約4wt.%〜約8wt.%の量で用いてよい。より高濃度をチューインガム、薬用キャンディー(口臭予防用ミントを含む)、サシェ(sachet)、非研磨性ゲル、および歯肉縁下ゲルに用いてよい。
【0115】
保湿剤
ある実施態様においては、本発明の組成物の局所用口腔キャリアは保湿剤を含んでよい。保湿剤は、口に対する潤い感を組成物に与えるために、また特定の保湿剤については本発明の組成物に望ましい甘い香りを付与するために、練り歯磨き組成物が空気にさらされて硬化しないようにする働きをしてよい。純粋な保湿基材における保湿剤は、本明細書に記載の組成物の重量で約0wt.%〜約70wt.%、約5wt.%〜約25wt.%を含んでよい。本発明の組成物に用いてよい適切な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなどの食用多価アルコール類を含む。ある場合、保湿剤はソルビトール及び/又はグリセリンである。
【0116】
香味剤および甘味剤
また、香味剤も本組成物に加えてよい。適切な香味剤は、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽油、メンソール、アネトール、メチルサリチル酸、オイカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン(oxanone)、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグアエトール(propenyl guaethol)、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、およびそれらの混合物を含む。香味剤は、組成物の重量で約0.001wt.%〜約5wt.%のレベルにて組成物中に用いてよい。
【0117】
適切な甘味剤は、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルト−ス、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、シクラメート塩、シクラメートナトリウム又はサッカリンナトリウム、及びこれらの混合物を含む。組成物はこれらの甘味剤の約0.1wt.%〜約10wt.%、又は組成物の重量に基づき約0.1wt.%〜約1wt.%を含有してよい。
【0118】
香味剤及び甘味剤に加えて、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤、局所麻酔剤を本発明の組成物中任意の成分として用いてよい。これらの剤は組成物の重量で約0.001wt.%から約10wt.%、又は約0.1wt.%から約1wt.%のレベルにて組成物中に存在してよい。
【0119】
冷却剤は、幅広い種類の物質のいずれかでよい。このような物質には、カルボキシアミド類、メンソール、ケタール類、ジオール類、およびそれらの混合物が含まれる。冷却剤の例は、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキシアミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの混合物などのパラメンタンカルボキシアミド剤である。その他の冷却剤は、メンソール、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メントングルセロールアセタール、及びメチルラクテートからなる群から選択されてよい。用語、メンソールおよびメンチルは、これらの化合物の右旋性異性体および左旋性異性体、ならびにそれらのラセミ混合物を含む。
【0120】
加温剤はカプサイシン及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステルを含む。局所麻酔剤はベゾカイン、リドカイン、丁子油、及びエタノールを含んでよい。
【0121】
アルカリ金属重炭酸塩
また、組成物は、アルカリ金属重炭酸塩を含んでよい。アルカリ金属炭酸塩は水溶性であり、安定化しない限り、水溶液系で二酸化炭素を放出する。重曹としても知られる重炭酸ナトリウムは、アルカリ金属重炭酸塩として存在してよい。ある実施態様においては、組成物は、約0.5%〜約30%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約5%のアルカリ金属重炭酸塩を含む。
【0122】
その他の担体
口腔組成物の調製に用いる水は、イオン含量が低く有機不純物がなくてよく、水溶性組成物の重量で約5wt.%から約70wt.%、約20wt.%から約50wt.%で存在してよい。これらの水の量には、添加される遊離水に加えて他の剤及び担体と共に導入される水が含まれる。
【0123】
ポロキサマーを組成物中に用いてよい。ポロキサマーは非イオン界面活性剤として分類される。乳化剤、バインダー、又は安定剤として機能でき、又は関連機能を行うことができる。ポリキサマーは1,000から15,000を超えるまでの範囲の分子量を有する第一級水酸基で終わる二官能基を有するブロックポリマーを含む。
【0124】
組成物中に用いてよい他の乳化剤は乳化剤ポリマーを含む。主に高分子のポリアクリル酸ポリマーを乳化剤として用いてよい。
【0125】
二酸化チタニウムもまた組成物に加えてよい。二酸化チタニウムは組成物に混濁性を増加しうる白い粉である。二酸化チタニウムを組成物の重量に基づき約0.25wt.%から約5wt.%を含んでよい。
【0126】
好ましくは、組成物のpHを一以上の緩衝剤の使用により調整してよい。緩衝剤は約pH4.0から約pH10.0の範囲で組成物のpHを調整するために用いられる物質である。緩衝剤はリン酸1ナトリウム、リン酸3ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムを含む。緩衝剤を本発明の組成物の重量で約0.5wt.%から約10wt.%のレベルにて投与してよい。ある実施態様においては、歯磨き剤組成物のpHは3:1の歯磨き剤の水溶性スラリー、(例えば水3に対して歯磨剤1)から測定してよい。
【0127】
本発明の組成物に用いてよい他の物質はC12からC20アルキルジメチコンコポリオール類のようなアルキル及びアルコキシジメチコンコポリオール類並びにそれらの混合物から選択されるジメチコンコポリオール類を含む。ある場合、組成物はセチルジメチコンコポリオールを含む。ジメチコンコポリオールは約0.01wt.%から約25wt.%、約0.1wt.%から約5wt.%又は約0.5wt.%から約1.5wt.%のレベルで存在してよい。ジメチコンコポリオール類を歯に良い感触与えるために添加してよい。
【0128】
他の活性化剤
また、本発明の口腔ケア組成物は抗菌剤のような他の活性化剤も含んでよい。そのような抗菌剤は、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノールおよびその同族体を含むフェノール化合物、モノとポリ−アルキルおよび芳香族ハロフェノール、レゾルシノールおよびその誘導体、ビスフェノール化合物およびハロゲン化サリチルアニリド、安息香酸エステル、ハロゲン化カルバニリドなどの、水不溶性で非陽イオン性抗菌剤を含む。水溶性抗菌剤は、特に四級アンモニウム塩、およびビス−ビクアニド塩を含む。追加の水溶性抗菌剤はトリクロサン一リン酸である。四級アンモニウム剤は、四級窒素にて一以上の置換基が炭素原子約8〜約20個又は約10〜約18個の炭素鎖長(通常はアルキル基)であり、残りの置換基(通常アルキル基またはベンジル基)が炭素原子約1〜約7個など、炭素原子数が少なく、メチル基またはエチル基であるものが含まれる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、および塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な四級アンモニウム抗菌剤の例である。他の化合物はビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。銅ビスグリシネート、銅グリシネート、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛などの他の抗菌剤も含めることができる。
【0129】
アルファ‐グルカナーゼに加えて、本発明の口腔ケア組成物は炭水化物加水分解活性、抗菌剤活性、歯を白くする活性を有する一以上の他の酵素も含んでよい。そのような酵素はデアミナーゼ、エステラーゼ、グルコシダーゼ、グルカンヒドロラーゼ、デキストリナーゼ、アミラーゼ、トランスグルコシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、及びウレアーゼを含むが、これらに限定されない。
【0130】
C.使用方法
本発明の組成物及び方法の別の態様は、歯の表面をアルファ‐グルカナーゼを含む組成物に接触させ虫歯を低減若しくは予防し、又は虫歯の根本となる原因の予防する方法である。
【0131】
いくつかの実施態様においては、方法は歯の表面をアルファ‐グルカナーゼを含む組成物と接触させ、歯の表面に存在するグリコカリックスを加水分解することに関係する。この実施態様に従って、アルファ‐グルカナーゼの1,3−α‐D‐グルコシダーゼ活性、及び/又はアルファ‐グルカナーゼの他の活性はポリサッカライド類、グルカン類、マンナン類、及び/又は歯垢細菌により作られる接着分子を加水分解し、それにより、歯の表面への歯垢の接着する能力を減少し、歯垢形成を低減し、又は歯垢の存在レベルを低減する。そのようなポリサッカライド類、グルカン類、マンナン類、及び/又は接着分子は、従来グリコカリックスとして呼ばれていたもの中に存在できる。
【0132】
いくつかの実施態様においては、方法は歯の表面をアルファ‐グルカナーゼを含む組成物と接触させ、ポリサッカライド類、グルカン類、マンナン類、及び/又は口腔中の細菌により作られる接着分子を崩壊し、それによりフィルム形成又は細菌接着を低減し、及び/又は細菌性酸及び歯の表面に傷をつける他の物質の蓄積を予防することに関する。
【0133】
方法は歯の表面を上述のような製剤化できる一以上のアルファ‐グルカナーゼと接触することを含んでよい。方法は歯の表面を同じ製剤又は異なる製剤中に存在してよい追加的な酵素と接触することを含んでよい。いくつかの実施態様においては、酵素は、デアミナーゼ、エステラーゼ、グルコシダーゼ、グルカンヒドロラーゼ、デキストリナーゼ、アミラーゼ、トランスグルコシダーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、及びウレアーゼである。また、追加的酵素は追加的アルファ‐グルカナーゼでもよい。
【0134】
歯及び他のパーソナルケア組成物並びにそれらの作用機序はLad. R. (ed.) “Biotechnology in Personal Care”, Cosmetic Science and Technology Series, Vol.29, Taylor and Francis Group, New York, NY, USA, 2006に記載される。この引例は最先端の技術を示し、本明細書に取り込まれる。
【0135】
口腔ケアへの利用に加えて、本発明の組成物及び方法を多くの他の状況におけるバイオフィルムの予防及び除去に適用できる。例えば、冷却水装置、飲料水装置、食品生産及び食品を取り扱う装置、医療用インプラント、製紙及び織物製造及び加工、油精製及び採掘装置、船やボートの構造物、化学工場、水泳用プール、水槽、及び池等においてである。そのような場合、アルファ‐グルカナーゼをバイオフィルム中に存在するポリサッカライド成分を崩壊するために用いることができ、それにより、表面への微生物の吸着及び/又は接着を低減できる。そのようなポリサッカライド類の崩壊は脱水ももたらし、表面上の微生物の成長及び増殖に適した微小環境の形成を低減又は予防する。
【0136】
本発明の組成物及び方法の他の態様及び実施態様は明細書の記載を考慮して当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0137】
次の実施例は本発明の組成物及び方法並びに有益性を説明するために提供され、特許請求の範囲を限定するように理解すべきでない。
【0138】
実施例1.候補菌類アルファ‐1,3‐グルカナーゼ(EC 3.2.1.59)の同定
ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)、トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)、及びトリコデルマ ハージアヌム(Trichoderma harzianum)を含むいくつかの候補菌類を15%マルトースを含む規定の培地中の培養で増殖した(28℃、7日、150rpmの撹拌)。グルカン(及びデキストラン)加水分解活性スクリーニングのために上清を滅菌ろ過、遠心、及び脱塩により採取した。脱塩培養上清(体積で5%)を100mMリン酸緩衝液、pH6.3(又は100mM酢酸緩衝液、pH4.5)中0.2%の洗浄した不溶性グルカンに加えた。反応混合物を37から40℃にて終夜インキュベートした。その混合物を不溶性グルカンの溶解を視覚的に確認し、可溶性加水分解物に関して上清をHPLCで分析した。HPLC分析において、反応上清を10mMNaOHへ10倍希釈して、そらから10μlを電気化学的検出器を備えたAgilent 1100 HPLCへ注入した。モノサッカライド及びジサッカライドをPA1陰イオン交換カラムにてNaOH/酢酸ナトリウムグラジエントで溶出した。未知混合物の成分をすでに実施した標準に基づいて同定した。トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)、及びヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)由来の上清はグルカンのとてもよい可溶化をもたらした(例えば、図2を参照願いたい)。ヒポクレア タワ(H. tawa)、トリコデルマ レーシ(T. reesei)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)のα‐1,3‐グルカナーゼをクローニングで選別し、発現し、特徴づけた。推定上のトリコデルマ レーシ(T. reesei)α‐1,3‐グルカナーゼ配列を相同性によりゲノム配列(JGI)中同定した。
【0139】
実施例2.ゲノムDNAの単離
トリコデルマ レーシ(T. reesei)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)、ヒポクレア タワ(H. tawa)の菌類の培養物を安全キャビネット(Biological hood)の中で30mLの滅菌YEGブロスを3つの250mLのバッフル三角振盪フラスコへ添加することにより調製した。滅菌プラスチック製ループを用いてそれぞれ別々の培養プレートから1x1インチの大きさの正方形を切り取り、適切な培養フラスコへ移した。播種されたフラスコをそれから28℃の振盪インキュベーターへ置いて、終夜培養した。
【0140】
トリコデルマ レーシ(T. reesei)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)、ヒポクレア タワ(H. tawa)の培養物を振盪インキュベーターから外し、各フラスコの内容物を別々の滅菌50mLザルスタット(Sarstedt)試験管へ注いだ。そのザルスタット(Sarstedt)試験管を卓上遠心機に置き、10分間4,500rpmで回転させ、菌の菌糸を沈殿させた。上清を破棄し、各菌糸サンプルの多めの白金耳量を溶解性マトリックス(FastDNA)を含む別々の試験管へ移した。藻類、菌類、及び酵母に関する取り扱い手順に従って、ゲノムDNAをFastDNAを用いて採取した菌糸から抽出した。均質化の時間(Mini BeadBeater-8)は25秒であった。抽出したゲノムDNAの量と質をゲル電気泳動により検出した。
【0141】
実施例3.PCRによりアルファ‐グルカナーゼポリペプチドを獲得
A.トリコデルマ レーシ(T. reesei)
推定α‐1,3グルカナーゼ遺伝子を相同性によりトリコデルマ レーシ(T. reesei)ゲノム(JGI)において同定した。トリコデルマ レーシ(T. reesei)に関するPCRプライマーを推定相同体DNA配列に基づいて設計した。縮重PCRプライマーを推定トリコデルマ レーシ(T. reesei)タンパク質配列及び他の公開されたα‐1,3グルカナーゼタンパク質配列に基づいてトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)又はヒポクレア タワ(H. tawa)について設計した。
【0142】
トリコデルマ レーシ(T. reesei)の具体的なPCRプライマーを下記に示す。
SK592: 5'-CACCATGTTTGGTCTTGTCCGC (配列番号: 6)
SK593: 5'-TCAGCAGTACTGGCATGCTG (配列番号: 7)
【0143】
トリコデルマ レーシ(T. reesei)菌株RL−P37から抽出したゲノムDNA由来推定α‐1,3グルカナーゼを増幅するために用いたPCR条件を下記に示す。
1.94℃、2分間
2.94℃、30秒間
3.56℃、30秒間
4.72℃、3分間
5.ステップ2へ戻り24サイクル
6.4℃を持続
反応サンプルは2μLのRL−P37ゲノムDNA、10μLの10X緩衝液、2μLの10mM dNTPs,1μLの20μMプライマーSK592及びSK593、1μLのPfu Ultra及び83μLの蒸留水を含んだ。
【0144】
B.トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)及びヒポクレア タワ(H. tawa)
初期のPCR反応はいくつかの相同性配列のタンパク質アライメントから設計された縮重プライマーを用いた。5´及び3´末端の近くをアニーリングするように設計した縮重プライマーのプライマリーセットを最初のPCR反応中に用いて、α‐1,3グルカナーゼの配列と類似の配列を増幅した。
最初のクローニングのための縮重プライマー
ヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)
MA1F: GTNTTYTGYCAYTTYATGAT (配列番号: 8)
MA2F: GTNTTYTGYCAYTTYATGATHGGNAT (配列番号: 9)
MA4F: GAYTAYGAYGAYGAYATGCARCG (配列番号: 10)
MA5F: GTRCAYTTRCAIGGICCIGGIGGRCARTANCC (配列番号: 11)
MA6R: YTCICCIGGNAGNGGRCANCCRTT (配列番号: 12)
MA7R: RCARTAYTGRCAIGCYGTYGGYGGRCARTA (配列番号: 13)
【0145】
それからこれらのPCR反応の産物をPCRフラグメントの産物内に接着するように設計されたプライマーを用いてネストPCR中に用いた。
最初のクローニングのための具体的なプライマー
トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)
TP1S: CCCCCTGGCCAAGTATGTGT (配列番号: 14)
TP2A: GTACGCAAAGTTGAGCTGCT (配列番号: 15)
TP3S: AGCACATCGCTGATGGATAT (配列番号: 16)
TP3A: AAGTATACGTTGCTTCCGGC (配列番号: 17)
TP4S: CTGACGATCGGACTRCACGT (配列番号: 18)
TP4A: GGTTGTCGACGTAGAGCTGT (配列番号: 19)

ヒポクレア タワ(H. tawa)

HP2A: ACGATCGGCAGAGTCATAGG (配列番号: 20)
HP3S: ATCGGATTGCATGTCACGAC (配列番号: 21)
HP3A: TACATCCAGACCGTCACCAG (配列番号: 22)
HP4S: ACGTTTGCTCTTGCGGTATC (配列番号: 23)
HP4A: TCATTATCCCAGGCCTAAAA (配列番号: 24)
【0146】
PCR産物のゲル電気泳動を予想されるサイズのフラグメントが増幅されたか否か測定するために用いた。予想されるサイズの単一なネストPCR産物をQIAクイックPCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。さらに、予想されるサイズの産物を複数の産物バンドを含むアガロースゲルから切り出し及び抽出し、QIAクイックゲル抽出キット(Qiagen)を用いて精製した。
【0147】
実施例4.形質転換/単離スクリーニング/プラスミド抽出
PCR産物を取扱説明書に従ってInvitrogen Zero Blunt(商標)TOPO(商標)PCR クローニングキットを用いてクローニングベクターへ挿入した。それから、製造元の推奨に従って、ベクターをワン(商標) ショット トップ 10 ケミカリーコンピテント大腸菌細胞(One Shot Top10chemically competent E. coli cells)(Invitrogen)に形質転換し、50ppmのカナマイシン含有LBプレート上に拡げた。これらのプレートを終夜37℃のインキュベーターでインキュベートした。
【0148】
ベクター及びDNA挿入を含む形質転換体を選別するために、コロニーを生のプラスミド抽出物のためのプレートから選別した。50μLのDNA抽出溶液(100 mM NaCl、10 mM EDTA、2 mM Tris pH 7)をきれいな1.5mLエッペンドルフチューブに加えた。安全キャビネット(biological hood)の中で、それぞれTOPO(商標)形質転換クローンの7から10個のコロニーを数え、取り出し、抽出溶液に再けん濁した。ドラフト(chemical hood)内で、50μLのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールを各サンプルに加え、しっかりボルテックスした。チューブを5分間最高の速さで微量遠心して、20μLの上澄み層を除き、きれいなPCRチューブへ移した。それから1μLのRNase2mg/mLを加え、サンプルを混合し、37℃にて30分間インキュベートした。それから全サンプル体積をゲル上で電気泳動し、空ベクターとのサイズの違いに基づいてTOPO(商標)ベクター中挿入の存在を測定した。いったん形質転換体コロニーを同定したら、それらのコロニーをプレートからこすり取って、5mLのLB/カナマイシン培地(0.0001%)を含む別々の15mL試験管に稙菌した。培養を37℃の振盪インキュベーターにおいて、終夜行った。
【0149】
サンプルをインキュベーターから外し、Sorval遠心機を用いて6分間6,000rpmにて遠心した。QIAprep Spin Miniprep キット (Qiagen)及び手順を用いてプラスミドDNAを単離し、それから、プラスミドDNAを消化し、挿入の存在を確認した。用いた制限酵素は挿入配列中及びその周りに存在する部位によって決まった。ゲル電気泳動を用いてフラクメントのサイズを測定した。適切なDNAサンプルをシークエンシングのために提出した(Sequetech, Mountain View, CA)。
【0150】
実施例5.3´及び5´末端のクローニング
すべてのDNAフラグメントを配列決定した。配列をAlign X及びContigExpress(商標)(Vector NTI(商標)suite, Invitrogen)を用いて整列し並びにヌクレオチド及びアミノ酸同一性を決定するために比較した。具体的なプライマーを設計し、既知の配列から外部に拡げることによりヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)からそれぞれ不完全フラグメントの3´及び5´の一部を増幅した。前回のプライマーセットの増幅産物内のそれぞれネスト化された少なくとも3つの具体的なプライマーを各鋳型として設計した。5´及び3´配列の増幅をLA PCRインビトロクローニングキット(タカラバイオ社)とネスト化プライマーセットを用いて実施した。
【0151】
新しいゲノムDNAをこの増幅のために調製した。トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)及びヒポクレア タワ(H. tawa)の培養物を250mLのバッフル三角フラスコ中適切な胞子形成真菌プレート培養の1平方インチ部分を用いて30mLのYEGブロスに植菌することにより調製した。フラスコを28℃振盪インキュベーターで終夜インキュベートした。培養物を10分間4500rpmにて50mLザルスタット(Sarstedt)試験管中遠心分離することにより採取した。上清を破棄し、菌糸を−80℃の冷凍庫で終夜貯蔵した。冷凍菌糸をそれから数個のドライアイスとともにコーヒー用グラインダーへ移した。グラインダーを全体混合物が均一な粉状になるまで動かした。それから、粉を空気乾燥して10mLのEasy-DNA(商標)キット溶液A (Invitrogen)を含む滅菌50mLザルスタット(Sarstedt)試験管へ移し、取扱手順に従った。抽出物から集められたゲノムDNAの濃度をNanoDropスペクトロフォトメーターを用いて測定した。
【0152】
LA PCRインビトロクローニングキットカセットを既知のDNA配列内の特定の制限酵素認識部位が存在しないことに基づいて選択し及び取扱手順に従った。第一PCRの実施のために、1μLのライゲーションDNAサンプルを33.5μLの滅菌蒸留水に希釈した。異なるプライマーをサンプル及び所望の末端フラグメントに従って用いた。5´末端のためにHP4A及び TP3Aプライマーをヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)にそれぞれ用い、一方3´末端のためにHP4S及びTP3Sプライマーをヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)に用いた。PCR混合物を34.5μLの希釈ライゲーションDNA溶液、5μLの10XLA緩衝液II(Mg2+)、8μLのdNTPs混合物、1μLのカセットプライマーI、1μLの具体的プライマーI(サンプル及び末端フラグメントに依存)、及び0.5μLのタカラLATaqを加えることにより調製した。それからPCR試験管を下記に記載する手順で行うサーモサイクラーに置いた。
1.94℃10分間
2.94℃30秒間
3.55℃30秒間
4.72℃4分間、ステップ2へ戻り、30回、4℃を維持
【0153】
第二PCR反応を1μLの第一PCR反応物を取り、1/10,000の希釈ファクターになるよう滅菌蒸留水でサンプルを希釈することにより調製した。第一増幅領域内でネスト化したプライマーの第二セットを第一PCR反応で単離したフラグメントを増幅するために用いた。プライマーHP3A及びTP4Aをヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)の5´末端へ向かってそれぞれ増幅するために用い、一方プライマーHP3S及びTP4Sを3´末端に向かって増幅するために用いた。希釈DNAを33.5μLの滅菌蒸留水、5μLの10XLA緩衝液II(Mg2+)、8μLのdNTPs混合物、1μLのカセットプライマー2、1μLの具体的プライマー2(サンプル及び末端フラグメントに依存)、及び0.5μLのタカラLATaqを含むPCR反応物へ添加し、十分混合し、PCR反応を実施した。PCRの手順は、初期の94℃10分間をせずに、第一反応と同様であった。反応が完了した後、サンプルをゲル電気泳動にかけ、単離されたフラグメントのサイズ及び数を確認した。もし単一バンドが存在した場合、サンプルを精製し、シークエンシングのために送付した。もしフラグメントが単離されない場合は、ネスト化PCR反応用の前の手順を用いて第3のPCR反応を実施した。ゲル電気泳動により増幅フラグメント処理した後、最も明るいバンドを切り取り、精製し、及びシーケンシングのために送付した。
【0154】
実施例6.配列アライメントの分析
Align X及びContigExpressを含むVector NTI suiteを用いて配列を獲得しかつ分析した。それぞれの末端フラグメント配列をすでに得られたヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)のフラグメントに並べて、全体の遺伝子配列を得た。トリコデルマ ハージアヌム(T. harzianum)及びトリコデルマ レーシ(T. reesei)配列を用いたヌクレオチドアライメントはヒポクレア タワ(H. tawa)及びトリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)両者における本発明の遺伝子の転写開始及び終始点を明らかとした。全体の遺伝子配列を同定した後、具体的なプライマーを設計し、ゲノムDNAから全体遺伝子を増幅した。GATEWAY(商標)クローニング(Invitrogen)のために、プライマーを翻訳開始点の前にCACCヌクレオチド配列を加える点を除き、上述のように設計した。
最終クローニング用プライマー
トリコデルマ コニラングブラ(T. konilangbra)
T1FS: caccatgctaggcattctccg (配列番号: 25)
T1FA: tcagcagtattggcatgccg (配列番号: 26)
ヒポクレア タワ(H. tawa)
H1FS: CACCATGTTGGGCGTTTTTCG (配列番号: 27)
H1FA: CTAGCAGTATTGRCATGCCG (配列番号: 28)
【0155】
PCRの手順は、アニーリング温度を55℃に変えた点を除いてすでに述べたように行った。ゲル電気泳動を通して単一なバンドを確認し、及び単離した後、増幅されたフラグメントを上述のように精製し、及び取扱説明書に従って、pENTR/D TOPO(商標)(Invitrogen)形質転換に用いた。それからケミカリーコンピテント大腸菌(Chemically competent E.coli)をすでに述べたように形質転換し、50ppmのカナマイシン含有LBプレートへ移した。37℃終夜インキュベーション後、プラスミド及び挿入物を含む形質転換体をすでに述べたように未精製のDNA抽出物から選別し、プラスミドのサイズを分析した。選別された形質転換体をプレートからこすり取り、5mLのLB/カナマイシン培地(0.0001%)を含む新しい15mL試験管に植菌した。培養を37℃の振盪インキュベーターに置いて、終夜行った。細胞を遠心分離により採取し、プラスミドDNAをすでに述べたように抽出した。プラスミドDNAを消化し、挿入配列の存在を確認した後、シークエンシングのために提出した。LRクロナーゼ反応(Gatewayクローニング、Invitrogen)を取扱説明書に従って用い、直接的に挿入物をpENTR/Dベクターから目的ベクターへ移した。選別のためにアスペルギルス ニガー(A. niger)アセタミダーゼを有するCBH1プロモーター及びターミネーターの制御下にて、トリコデルマ レーシ(T. reesei)において、目的ベクターは本発明の遺伝子の発現のために設計される。
【0156】
実施例7.バイオリスティック形質転換
トリコデルマ レーシ(T. reesei)胞子のけん濁液をアセトアミダーゼ形質転換プレートの中心から6cm径上に拡げた(150μLの5x10−5x10胞子/mLけん濁液)。それからプレートを安全キャビネット(biological hood)内で空気乾燥した。ストッピングスクリーン(stopping screen)(BioRad 165-2336)及びマクロキャリアホルダー(macrocarrier holder)(BioRad 1652322)を70%エタノールに浸し、空気乾燥した。ドライライト(DriRite)乾燥剤を小さなペトリ皿(6cm Pyrex)に置き、ワットマン(Whatman)濾紙に銃の照準をあてた。マクロキャリア(BioRad 165-2335)を含むマクロキャリアホルダーを濾紙の上に水平に置き、ペトリ皿のふたを交換した。
【0157】
タングステン粒子けん濁液を60mgタングステンM−10粒子(マイクロキャリア、0.7ミクロン、BioRad番号1652266)をエッペンドルフチューブに加えることにより調製した。1mLエタノール(100%)を添加した。タングステンをエタノール溶液中ボルテックスし、15分間浸らせた。エッペンドルフチューブを最大のスピードで手短に遠心し、タングステンを沈殿した。エタノールをデカンテーションし、滅菌蒸留水で3回洗浄した。洗浄水を3回注いだ後、タングステンを1mLの滅菌50%グリセロールに再けん濁した。
【0158】
形質転換反応を25μLけん濁タングステンを各形質転換用1.5mLのエッペンドルフチューブに添加することにより調製した。続けて、2μLのDNA、pTrex3g発現ベクター、25μLの2.5M CaCl、10μLの0.1M スペルミジンの順番で加えた。反応物を5から10分間連続的にボルテックスし、タングステンをけん濁するよう維持した。エッペンドルフチューブを手短に遠心し、デカンテーションした。タングステン沈殿物を200μLの70%エタノールで洗浄し、沈殿物を手短に遠心し、注いだ。タングステン沈殿物を200μLの100%エタノールで洗浄し、沈殿物を手短に遠心し、注いだ。タングステン沈殿物を24μLの100%エタノール中に再けん濁した。エッペンドルフチューブを超音波水浴中15秒置き、8μLのアリコートを乾燥したマクロキャリアの中央に移した。マクロキャリアを乾燥したペトリ皿の上に乾燥するように放置した。
【0159】
ヘリウムタンクを1500psiになるよう開けた。1100psiラプチャーディスク(rupture disc)(BioRad 165-2329)をモデルPDS-1000/Heバイオリスティックパーティクルデリバリーシステム(Biolistic Particle Delivery System)(BioRad)に用いた。タングステン溶液を乾燥した場合、ストップスクリーン及びマクロキャリアホルダーをPDS-1000へ挿入した。標的トリコデルマ レーシ(T. reesei)胞子を含むアセタミダーゼプレートをストッピングスクリーンの下6cmにおいた。29インチHgの真空度で薬室を吸引し、維持した。Heバイオリスティックパーティクルデリバリーシステムを作動した。薬室を通風しアセタミダーゼプレートを除き、コロニーが現われるまで(5日間)28℃でインキュベートした。

改良amdSバイオリスティックアガー(MABA) 1リットル当たり
パートI、500mlの蒸留水中調製
1000x 塩 1 ml
ノーブル寒天 20 g
pH 6.0、オートクレーブ
パートII、500mlの蒸留水中調製
アセタミド 0.6 g
CsCl 1.68 g
グルコース 20 g
KH2PO4 15 g
MgSO4 ・7H2O 0.6 g
CaCl2 ・2H2O 0.6 g
pH 4.5, 0.2マイクロフィルター滅菌、温めるために50°Cのオーブンに放置、寒天を添加、混合、プレートに注ぐ。室温保存。

1000x 塩 1リットル当たり
FeSO4 ・7H2O 5 g
MnSO4 ・H2O 1.6 g
ZnSO4 ・7H2O 1.4 g
CoCl2 ・6H2O 1 g
蒸留水で1Lにする。
0.2マイクロフィルター滅菌
【0160】
実施例8.トリコデルマ レーシ(T. reesei)形質転換体によるα‐1,3−グルカナーゼの発現
1cm寒天プラグをプロフロ(Proflo)種培地を接種するために用いた。培養物を28℃、200rpmで振盪しながらインキュベートした。二日目、10%培養物を無菌的に調製培地に移した。培養物を28℃、200rpmで振盪しながらインキュベートした。三日目、培養物を遠心分離により採取した。上清を滅菌ろ過し(0.2μmPES)、4℃にて保存した。SDS−PAGEによる分析によりそれぞれアルファ‐グルカナーゼ遺伝子を発現するクローンを同定した。
【0161】
実施例9.不溶性グルカン基質の調製
BHI(ブレインハートインフュージョン)ブロスを含む4つの滅菌フラスコをBHIプレートからストレプトコッカス ソブリナス(Streptococcus sobrinus)(ATCC 27607)で接種した。培養物を37℃にて24時間静置でインキュベートした後、目に見える程度に濁った。上清(ストレプトコッカス ソブリナス(S. sobrinus)グルコシルトランスフェラーゼを含む)を遠心分離(15分、10,000rpm)により採取した。上清を集めて滅菌ろ過(0.22μm)し、任意の残存する細胞を除去した。滅菌的に、スクロースを最終濃度が5%になるように添加した。これは、グルカンポリマーを生成するためにグルコシルトランスフェラーゼを誘発する。培養上清プラススクロースに蓋をして、混合し、24から28時間(静置)37℃インキュベーターにて保存した。ふわふわした沈殿を形成し、遠心分離(10,000rpm、15分間)により採取した。上清をデカンテーションし、dI水で3回洗浄し、沈殿を最後に風袋の重さを測ったエッペンドルフチューブにいれた。グルカンをスピードバック(SpeedVac)で乾燥し、乾燥後、そのエッペンドルフチューブの重さを測定した。
【0162】
実施例10.クローン化アルファーグルカナーゼの活性を測定するためのPAHBAH低減糖アッセイ
形質転換トリコデルマ レーシ(T. reesei)培養上清、緩衝液及び不溶性グルカンを下記に示した量において丸底96穴プレートへ添加した。二つのタイプの緩衝液(pH4.5及びpH6.0)を活性レベルを比較するために用いた。サンプルを添加した後、96穴プレートに蓋をし、37℃の振盪インキュベーターに終夜置いた。
グルカン加水分解混合物:
50μL培養上清
50μLの28mg/mLグルカン溶液
5μLの1Mクエン酸緩衝液(pH 4.5 又は 6.0)
105μL

PAHBAH溶液:
0.5gの酒石酸カリウムナトリウム
0.15gのp-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド(hydroxybenzoic acid hydrazide) (PAHBAH)
10mLの2% NaOH
【0163】
インキュベーションの後、150μLの新しく作られたPAHBAH(p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド(p−hydroxybenzoic acid hydrazide))試薬を20μLの各加水分解混合物とともに0.2mLのPCRチューブに移した。これらのチューブをそれから軽く混ぜ、サーモサイクラーへ置き、これらのチューブを30分間99℃に温めた。PCRチューブを除き、150μLの各サンプルを新しい96穴プレートへ移した。各サンプルの吸光度を410nmにて測定した。このアッセイの結果を図3に示す。

【図1A】

【図1B】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)と少なくとも99%の同一性、又は
b)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)と少なくとも85%の同一性、
を有するアミノ酸配列を含む単離されたアルファ‐グルカナーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載の単離されたアルファ‐グルカナーゼをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む組み換え核酸。
【請求項4】
請求項3に記載の組み換え核酸を含むベクター。
【請求項5】
請求項3に記載の組み換え核酸を含む宿主細胞。
【請求項6】
a)培養培地、及び
b)請求項5に記載の細胞の集団
を含む細胞培養物。
【請求項7】
前記単離されたアルファ‐グルカナーゼの生産に適した条件下にて請求項6に記載の細胞培養物を維持すること
を含むタンパク質を生産する方法。
【請求項8】
培養培地から前記アルファ‐グルカナーゼを採取することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a) 成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
b)成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、又は
c)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
から選択される単離されたアルファ‐グルカナーゼを得ること、及び
前記単離されたアルファ‐グルカナーゼを経口的に許容な賦形剤と混合し、口腔ケア組成物を作ること
を含む方法。
【請求項10】
前記口腔ケア組成物をパッケージングすることをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルファ‐グルカナーゼがトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)と同一でないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
a)経口的に許容な賦形剤、及び
b)請求項1に記載の単離されたアルファ‐グルカナーゼ
を含む口腔ケア組成物。
【請求項13】
経口的に許容な賦形剤、及び
a) 成熟ヒポクレア タワ(Hypocrea tawa)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号1のアミノ酸残基38−635)と少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
b)成熟トリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、又は
c)成熟トリコデルマ コニラングブラ(Trichoderma konilangbra)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号3のアミノ酸残基38−627)と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ‐グルカナーゼ、
から選択される単離されたアルファ‐グルカナーゼ
を含む口腔ケア組成物。
【請求項14】
アルファ‐グルカナーゼがトリコデルマ レーシ(Trichoderma reesei)アルファ‐グルカナーゼ(配列番号2のアミノ酸残基38−622)と同一でないことを特徴とする請求項13に記載の口腔ケア組成物。
【請求項15】
前記アルファ‐グルカナーゼが前記組成物の重量に基づき0.0001wt.%から5wt.%の濃度にて前記組成物に存在することを特徴とする請求項12から14のいずれか一つに記載の口腔ケア組成物。
【請求項16】
第二の酵素をさらに含むことを特徴とする請求項12から15のいずれか一つに記載の口腔ケア組成物。
【請求項17】
前記第二の酵素がデアミナーゼ、エステラーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、ウレアーゼ、又はセルラーゼであることを特徴とする請求項16に記載の口腔ケア組成物。
【請求項18】
口腔ケア組成物が練り歯磨きとして製剤化されることを特徴とする請求項12から17のいずれか一つに記載の口腔ケア組成物。
【請求項19】
口腔ケア組成物が増粘剤、界面活性剤、保湿剤、及び研磨剤の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項12から18のいずれか一つに記載の口腔ケア組成物。
【請求項20】
前記アルファ‐グルカナーゼの活性に適した条件下にて請求項12から19のいずれか一つに記載の口腔ケア組成物を歯と接触させること
を含む方法。
【請求項21】
前記接触させることが歯ブラシを用いて行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が歯垢の予防及び/又は低減をもたらすことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。


【公表番号】特表2011−516083(P2011−516083A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504166(P2011−504166)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/040013
【国際公開番号】WO2009/126773
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】