説明

アレイ基板製造方法、アレイ基板、対向基板および液晶パネル製造方法

【課題】 製造工程にかかる時間を大幅に短縮するとともに、大幅なコストダウンを達成することのできるアレイ基板製造方法およびそれによって製造されるアレイ基板、対向基板、ならびにこれらを用いた液晶パネル製造方法を提供する。
【解決手段】 所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法において、第1工程において、前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成し、第2工程において、前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ基板製造方法、アレイ基板、対向基板および液晶パネル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「TFT」と記す)型の液晶パネルにおいて、アレイ基板上に直接カラーフィルタが形成されるカラーフィルタオンアレイ(以下「COA」と記す場合がある)構造の液晶パネルが知られている。図9は、COA構造を有するTFT型液晶パネル90の構成の一例を示す断面図である。このCOA構造を有するTFT型液晶パネル90は、図9に示すように、カラーフィルタオンアレイ基板91と、対向基板92とを有する。カラーフィルタオンアレイ基板91は、ガラス基板93a上に信号線および走査線が共に形成されるスイッチング能動素子94と、遮光膜(黒色膜)95と、カラーフィルタ96と、透明電極97とが形成される。また、透明電極97上には、液晶パネル90の視野角を広くするために、図示しない半球形状の配向突起が形成される。対向基板92は、ガラス基板93b上に透明電極98が形成される。カラーフィルタオンアレイ基板91と対向基板92との相対向する面には、配向膜99a,99bが形成される。そして、ガラス基板93a,93bは、その周縁部がシール材100で閉じられ、さらに球状あるいは柱状のスペーサ101を介して固着され、その間隙に液晶102が充填されることで、TFT型液晶パネル90が形成される。TFT型液晶パネル90の表裏面には偏光板または偏光フィルムが貼付けられ、また、TFT型液晶パネル90の用途に応じて、他の光学フィルムなどが貼付けられる。
【0003】
上述のようなCOA構造を有するTFT型液晶パネル90におけるカラーフィルタの形成方法として、たとえば特許文献1および特許文献2では、顔料分散法を使用している。
【0004】
顔料分散法では、たとえば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のカラーフィルタおよび黒色(K)の遮光膜を形成する場合には、まず、黒色顔料を分散させたインクをアレイ基板に塗布後、プリベーク(前乾燥)、露光、現像、焼成などの工程を経て、所定のパターンの着色層を形成する。次いで同様の工程を繰り返して、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色層を形成するため、工程が長く複雑である。また、このようなフォトリソ法を用いる工程には、高価な露光機や現像機が対応する色の数だけ必要であるため、製造設備の設置面積が広大になり、また多額の費用がかかる。さらに、何度も加熱処理を行うためアレイ基板の不良が生じやすく高価なアレイ基板を破棄する確率が高くなり、さらなるコストアップにつながるという問題もある。
【0005】
上述のような問題を解決する方法として、近年、特に凸版反転オフセット印刷法を使用するカラーフィルタの形成方法が脚光を浴びている。凸版反転オフセット印刷法とは、高分子樹脂などから構成されるインクをシリコンブランケットなどのブランケット表面に膜厚が均一になるように塗布した後、表面にインク層が形成されたブランケットと凸版とを接触させて不要な部分のインク層を凸版の凸部に転写させて除去し、ブランケット表面に残ったインク層を被刷物に転写する印刷法である。特許文献3では、連続積層(ウェット オン ウェット)が可能な上述の凸版反転オフセット印刷法を用いることで、大幅なコストダウンを達成しつつ、顔料分散法により製造されるカラーフィルタと同等の精度のカラーフィルタを製造している。
【0006】
このように、凸版反転オフセット印刷法は、スイッチング能動素子が形成された付加価値の高いアレイ基板上にカラーフィルタを形成する方法として、非常に好適であるという認識が高まっている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−29069号公報
【特許文献2】特開2001−330851号公報
【特許文献3】特開2001−56405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に開示されるアレイ基板製造方法では、スペーサ101には、ガラスなどから構成されるものを使用し、配向突起には、フォトレジストなどによってパターンを形成し、熱溶融させて半球形状にしたものなどを使用しているため、それぞれの材料および製造方法が異なり、製造設備の設置面積が広大になり、製造工程にかかる時間が長くなり、またコストアップにつながるという問題がある。
【0009】
また、従来の液晶パネルの製造方法においては、アレイ基板と対向基板とを貼合せた後に、たとえば、偏光フィルムなどの偏光機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムを液晶パネルの裏表面に貼合せるため、液晶パネルの裏表面を反転させる工程などを設けなければならず、生産効率が悪いという問題がある。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造設備の設置面積を小さくし、製造工程にかかる時間を大幅に短縮するとともに、大幅なコストダウンを達成することのできるアレイ基板製造方法およびそれによって製造されるアレイ基板、対向基板、ならびにこれらを用いた液晶パネル製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法であって、
前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成する工程を含むことを特徴とするアレイ基板製造方法である。
【0012】
また本発明は、前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
また本発明のアレイ基板製造方法は、スペーサ用のインクの粘度は配向機能素子用のインクの粘度よりも大きくなるように構成され、かつ前記スペーサ用のインクの粘度は2cps〜100cpsであって、前記配向機能素子用のインクの粘度は2cps〜50cpsであることを特徴とする。
【0014】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記第2工程において、スペーサおよび配向機能素子を形成するときには、スペーサを先に形成することを特徴とする。
【0015】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記印刷方法は、凸版反転オフセット印刷法であることを特徴とする。
【0016】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記第1工程において、カラーフィルタ用のインク層を転写した後であって焼成する前に、前記インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する第1検査工程と、
不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する第1除去工程とを含み、
前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第1工程で再利用することを特徴とする。
【0017】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記第2工程において、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層を転写した後であって焼成する前に、少なくとも前記スペーサ用インク層または前記配向機能素子用インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する第2検査工程と、
不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する第2除去工程とを含み、
前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第2工程で再利用することを特徴とする。
【0018】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記第1除去工程および第2除去工程において、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液によって洗浄することでインク層を除去することを特徴とする。
【0019】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記有機溶剤は、アセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることを特徴とする。
【0020】
また本発明のアレイ基板製造方法は、前記水系溶剤は、水、アルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものであることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記アレイ基板製造方法によって製造されることを特徴とするアレイ基板である。
【0022】
また本発明は、前記アレイ基板と貼合されることで液晶パネルを構成する対向基板であって、
前記対向基板は、透明基板に、偏光機能、共通電極機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムが積層されて構成されるかまたは、位相差機能および照明機能を有するフィルムが積層されて構成されることを特徴とする対向基板である。
【0023】
また本発明の対向基板は、前記透明基板が、透明ガラスまたは透明樹脂から構成されることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記アレイ基板と、前記対向基板とを貼合せ、前記アレイ基板と前記対向基板との間隙に液晶を封入することを特徴とする液晶パネル製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法において、まず、前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成する。これに続いて、前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成する。
【0026】
これによって、カラーフィルタ、スペーサおよび配向機能素子の全てを、インクを材料として印刷法によって形成することができるようになるため、製造設備の設置面積を小さくでき、製造工程にかかる時間を短縮でき、またCOA用のアレイ基板製造にかかる費用を削減することができる。したがって、製造設備の設置面積を小さくし、COA用のアレイ基板製造工程にかかる時間を大幅に短縮するとともに、大幅なコストダウンを達成することができるアレイ基板製造方法を提供できる。
【0027】
また本発明によれば、スペーサ用のインクの粘度は配向機能素子用のインクの粘度よりも大きくなるように構成され、かつ前記スペーサ用のインクの粘度は2cps〜100cpsであって、前記配向機能素子用のインクの粘度は2cps〜50cpsであることが好ましい。これによって、好適な膜厚のスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層をより確実に形成することができる。
【0028】
また本発明によれば、前記第2工程において、スペーサおよび配向機能素子を形成するときには、スペーサを先に形成することが好ましい。スペーサ用インクの粘度は配向突起用のインクの粘度よりも高いため、アレイ基板に転写後において、スペーサ用のインク層は、配向突起用のインク層よりもその形状を維持しやすい。したがって、スペーサが先に形成されることによって、好適な形状のスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層をより確実に形成することができる。
【0029】
また本発明によれば、前記印刷方法は、凸版反転オフセット印刷法であることが好ましい。このように、第1工程において、凸版反転オフセット印刷法を用いてカラーフィルタを形成し、第2工程においても、同様に凸版反転オフセット印刷法を用いてスペーサおよび配向突起を形成することによって、第1工程と第2工程とにおいて、同様の装置にて同様の操作を行えばよいため、第1工程と第2工程とで異なる印刷法を使用する場合と比較して、より一層効率良くアレイ基板を製造することができる。したがって、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0030】
また本発明によれば、前記第1工程では、第1検査工程にて、カラーフィルタ用のインク層を転写した後であって焼成する前に、前記インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定し、第1除去工程にて、不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する。そして、前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第1工程で再利用することが好ましい。これによって、カラーフィルタ用のインク層を除去してアレイ基板を再利用することができない顔料分散法を使用してカラーフィルタを形成する場合と比較して、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0031】
また本発明によれば、前記第2工程では、第2検査工程にて、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層を転写した後であって焼成する前に、少なくとも前記スペーサ用インク層または前記配向機能素子用インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定し、第2除去工程にて、不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する。そして、前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第2工程で再利用することが好ましい。これによって、従来では除去が困難であったスペーサおよび配向突起を除去してアレイ基板を再利用することができるようになるため、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0032】
また本発明によれば、前記第1除去工程および第2除去工程において、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液によって洗浄することでインク層を除去することが好ましい。これによって、アレイ基板を損傷することなくインク層を除去することができるため、より確実にアレイ基板を再利用することができ、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0033】
また本発明によれば、前記有機溶剤は、アセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることが好ましい。これによって、より安価で簡便にインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0034】
また本発明によれば、前記水系溶剤は、アルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものであることが好ましい。これによって、より安価で簡便にインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0035】
また本発明によれば、前記アレイ基板製造方法によって製造されることによって、従来のものよりもより一層安価なアレイ基板を提供することができる。
【0036】
また本発明によれば、前記アレイ基板と貼合されることで液晶パネルを構成する対向基板において、前記対向基板は、透明基板に、共通電極機能、偏光機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムが貼合または積層されて構成される。または、偏光機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムが貼合または積層されて構成される。このように、あらかじめ必要とされる各種フィルムを貼合または積層させておくことによって、アレイ基板と対向基板とを貼合または積層させた後に上記各種フィルムを貼合または積層させる場合に設けられる、液晶パネルの裏表面を反転させる工程などを省くことができるため、より生産効率を向上させることができる。
【0037】
また本発明によれば、前記透明基板は、透明ガラスまたは透明樹脂から構成されることが好ましい。
【0038】
また本発明によれば、本発明の液晶パネル製造方法は、前記アレイ基板と、前記対向基板とを貼合せ、前記アレイ基板と前記対向基板との間隙に液晶を封入、またはアレイ基板の周縁部にUV硬化型のシール材を塗布し、その型枠内に液晶を適量滴下した後、アレイ基板と対向基板とをそれぞれの配向膜が相対向するように重ね合わせ、UV照射および加熱によりシール材を硬化させることで液晶パネルを製造する。これによって、製造設備の設置面積を小さくし、製造工程にかかる時間を大幅に短縮して生産効率を向上させるとともに、大幅なコストダウンを達成することができる液晶パネル製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明のアレイ基板製造方法は、所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法であって、第1工程にて、前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成し、第2工程にて、前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成する。
【0040】
これによって、カラーフィルタ、スペーサおよび配向突起の全てを、インクを材料として印刷法によって形成することができるようになるため、製造設備の設置面積を小さくでき、製造工程にかかる時間を短縮でき、またアレイ基板製造にかかる費用を削減することができる。したがって、製造設備の設置面積を小さくし、アレイ基板製造工程にかかる時間を大幅に短縮するとともに、大幅なコストダウンを達成することができるアレイ基板製造方法を提供できる。
【0041】
〔アレイ基板製造方法〕
以下、本発明のアレイ基板製造方法において使用される印刷方法について説明する。本発明のアレイ基板製造方法において使用される印刷方法としては、凸版反転オフセット印刷法が挙げられる。図1は、凸版反転オフセット印刷法の概要を示す断面図であり、図2は、凸版反転オフセット印刷法を使用する多色印刷機20の構成の一例を示す概略図である。
【0042】
凸版反転オフセット印刷法は、まず、図1(a)に示すように、ブランケット10を回転させながら、ダイコータ12によってブランケット10の表面に、膜厚が均一になるようにインクを塗布してインク層11を形成する。次いで、図1(b)に示すように、インク層11が塗布されたブランケット10に所定のパターンが形成された凸版13を接触させて、不要な部分のインク層11を凸版13の凸部14に転写させて除去する。そして、図1(c)に示すように、ブランケット10表面にパターニングされたインク層11を被印刷体15の表面に転写した後、インク層11が転写された被印刷体15を焼成することによって被印刷体に所望のパターンを印刷する印刷法である。
【0043】
凸版反転オフセット印刷法に使用される凸版13の表面には、所定のパターンが形成される。すなわち、実際に被印刷体15上に形成されるパターンに対応して、凸部14と凹部16とが形成される。凸部14間の凹部16の形状は、所望のパターンの形状に対応する。したがって、不要な部分のインク層11が除去された後のブランケット10の表面には、所望のパターンの形状に対応したインク層11が残る。凸版13の構成材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ガラス、金属、樹脂などが挙げられる。凸版13の大きさとしては、被印刷体15のサイズより大きいことが好ましい。
【0044】
上述の凸版反転オフセット印刷法を使用する多色印刷機20は、たとえば、図2に示すように、固定フレーム21と、版定盤22と、印刷定盤23と4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dとを備える。
【0045】
なお、多色印刷機20を構成する各部材には、色や粘度などが異なるように構成される4種類のインクに対応して、それぞれ4つずつ設けられるものがある。本明細書において、インクの種類に対応して4つずつ設けられる各部材については、それぞれアルファベットa,b,c,dを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0046】
版定盤22および印刷定盤23は、この順番で印刷ユニット24から近い側から順に並ぶように固定フレーム21上に設けられ、かつ固定フレーム21上を水平方向に移動可能に構成される。版定盤22は、4つの凸版13a,13b,13c,13dを、それぞれ4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dに対応するように支持する。印刷定盤23は、被印刷体15を支持する。
【0047】
印刷ユニット24は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成され、図1(a)に示すように、ブランケット10と、ダイコータ12とを備える。
【0048】
ブランケット10は、表面に撥樹脂機能や剥離機能などの離型性を有するローラ状部材であり、たとえば、金属や樹脂などから構成されるロール状部材である胴体の表面に離型性を有するシートなどを巻きつけたものや、前記胴体の表面を離型剤で処理したものなどが挙げられる。離型性を有するシートとしては、たとえば、シリコン樹脂やフッ素樹脂などで構成されるシートなどが挙げられる。このように、表面に離型性を有するブランケット10を使用するのは、その撥樹脂機能や剥離機能を利用して、凸版13の凸部14や被印刷体15の表面に確実にインク層11を転写させるためである。本実施形態では、ブランケット10として、鉄、アルミ製の胴体にシリコンゴムシートが巻かれたものを使用した。
【0049】
ブランケット10は、回転可能に設けられ、その回転位置は精度良く調整される。たとえば、ブランケット10と、凸版13および被印刷体15とに対する相対的な位置合わせは、あらかじめ位置決めパターンを形成しておくなどの方法で精密に行うことができる。なお、本実施形態では、ローラ状のブランケット10を使用したが特にこれに限定されるものではなく、たとえば平板状やベルト状のものを使用してもよい。
【0050】
ダイコータ12はインクの塗布手段であり、インクがブランケット10の表面に均一な膜厚のインク層11を形成するように、対向するダイ間のギャップから液状のインクを流出させる。なお、本実施形態では、ブランケット10へのインクの塗布手段としてダイコータ12を使用したが、必要な膜厚を得られるものであれば特にこれに限定されるものではなく、たとえばCAPコータ、アニロックス、ワイヤーバーコータおよびブレードなどを使用してもよい。CAPコータは、毛細血管現象を利用してインクを塗布するものであり、アニロックスはシリンダーに形成された細かなくぼみにインクを充填し塗布するものであり、ワイヤーバーコータやブレードは、これらとブランケット10との間に形成される隙間を介してインクを塗布するものである。
【0051】
以下に、多色印刷機20の動作について説明する。まず、4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dに、所望の4種類のインクのうちそれぞれ対応するインクを充填する。次いで、ブランケット10a,10b,10c,10dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ12a,12b,12c,12dによってインクを塗布してインク層11a,11b,11c,11dを形成する。このとき、形成するインク層の色によって形成順序などは適宜調整することが好ましい。次いで、図示しない昇降手段によって印刷ユニット24a,24b,24c,24dを下降させて、版定盤22に支持され、所定のパターンが形成された凸版13a,13b,13c,13dと、インク層11a,11b,11c,11dとをそれぞれ接触させる。その後、版定盤22を、矢符Aに示す方向、すなわち印刷ユニット24aから24dに向かう方向に水平移動させるとともにブランケット10a,10b,10c,10dを回転させて、不要な部分のインク層11a,11b,11c,11dを凸版13a,13b,13c,13dの凸部14a,14b,14c,14dにそれぞれ転写させて除去する。その後、印刷ユニット24a,24b,24c,24dを一旦上昇させ、版定盤22を印刷ユニット24a,24b,24c,24dの下方以外の位置に水平移動させた後、再度印刷ユニット24a,24b,24c,24dを印刷定盤23に支持される被印刷体15に接触可能な位置まで下降させる。そして、印刷定盤23を矢符Aの方向に水平移動させてブランケット10a,10b,10c,10dと順に接触させることで、ブランケット10a,10b,10c,10d表面にパターニングされたインク層11a,11b,11c,11dを、この順に被印刷体15の表面に転写する。次いで、4色のインク層11a,11b,11c,11dが転写された被印刷体15を検査および焼成することで、被印刷体に所望のパターンを印刷する。
【0052】
次いで、本発明のアレイ基板製造方法において使用される他の印刷方法について説明する。本発明のアレイ基板製造方法において使用される他の印刷方法としては、平版水無しオフセット印刷法が挙げられる。図3は、平版水無しオフセット印刷法の概要を示す断面図であり、図4は、平版水無しオフセット印刷法を使用する多色印刷機40の構成の一例を示す概略図であり、図5は、平版水無しオフセット印刷法を使用する多色印刷機40の一部の構成を拡大して示す概略図である。
【0053】
平版水無しオフセット印刷法は、まず、図3(a)に示されるような、撥樹脂処理および親樹脂処理がそれぞれ施された部分である撥樹脂部31および親樹脂部32によって所定のパターンが形成された平版30を作製する。次いで、図3(b)に示すように、平版30に形成された撥樹脂部31および親樹脂部32上にダイコータ33を用いてインク34を塗布する。その後、図3(c)に示すように、塗布されたインク34の表面に、撥樹脂部31よりも弱い離型性を持たせたブランケット35を接触させることで撥樹脂部31上のインク34をブランケット35上に転写する。そして、図3(d)に示すように、ブランケット35表面にパターニングされたインク層36を被印刷体15の表面に転写した後、インク層36が転写された被印刷体15を検査および焼成することによって被印刷体に所望のパターンを印刷する印刷法である。
【0054】
平版水無しオフセット印刷法に使用される平版30の表面には、所定のパターンが形成される。すなわち、実際に被印刷体15上に形成されるパターンに対応して、撥樹脂部31と親樹脂部32とが形成される。撥樹脂部31の形状は、所望のパターンの形状に対応する。親樹脂部32は、撥樹脂部31が形成されない残余の部分に形成される。したがって、撥樹脂部31上のインク34が転写された後のブランケット35の表面には、所望のパターンの形状に対応したインク層36が残る。平版30としては、一般的に平版水無し印刷に使用されるPS(Pre-sensitized Aluminum)版が好ましく、たとえば、東レ株式会社製の水無し平版ネガ型などが挙げられる。平版30の大きさとしては、被印刷体15のサイズより大きいことが好ましい。
【0055】
上述の平版水無しオフセット印刷法を使用する多色印刷機40は、たとえば、図4に示すように、固定フレーム41と、印刷定盤42と4つの印刷ユニット43a,43b,43c,43dとを備える。
【0056】
なお、多色印刷機40を構成する各部材には、色や粘度などが異なるように構成される4種類のインクに対応して、それぞれ4つずつ設けられるものがある。本明細書において、インクの種類に対応して4つずつ設けられる各部材については、それぞれアルファベットa,b,c,dを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0057】
印刷定盤42は、固定フレーム41上に設けられ、固定フレーム41上を水平方向に移動可能に構成される。印刷定盤42は、被印刷体15を支持する。印刷ユニット43は、図5に示すように、版胴51と、ブランケット35と、ダイコータ33と、クリーニングユニット52とを備える。
【0058】
版胴51は、たとえば、金属や樹脂などから構成されるロール状部材である胴体の表面に、上述の撥樹脂部31および親樹脂部32によって所定のパターンが形成された平版30を巻きつけたものである。このように、多色印刷機40を、平版30を胴体に巻きつけてロール形状とした胴型印刷機とすることによって、装置全体を小型化することができる。
【0059】
ブランケット35は、表面に撥樹脂部31よりも弱い離型性を有するローラ状部材であり、たとえば、金属や樹脂などから構成されるロール状部材である胴体の表面に離型性を有するシートなどを巻きつけたものや、前記胴体の表面を離型剤で処理したものなどが挙げられる。離型性を有するシートとしては、たとえば、シリコン樹脂やフッ素樹脂などで構成されるシートなどが挙げられる。このように、表面に離型性を有するブランケット35を使用するのは、その撥樹脂機能や剥離機能を利用して、被印刷体15の表面に確実にインク層36を転写させるためである。また、その離型性を撥樹脂部31よりも弱くするのは、ブランケット35の表面に確実に撥樹脂部31上のインク34を転写させるためである。本実施形態では、ブランケット35として、鉄、アルミ製の胴体にシリコンゴムシートが巻かれたものを使用した。
【0060】
ブランケット35は、回転可能に設けられ、その回転位置は精度良く調整される。たとえば、ブランケット35と、版胴51および被印刷体15とに対する相対的な位置合わせは、あらかじめ位置決めパターンを形成しておくなどの方法で精密に行うことができる。なお、本実施形態では、ローラ状のブランケット35を使用したが特にこれに限定されるものではなく、たとえば平板状やベルト状のものを使用してもよい。
【0061】
ダイコータ33はインクの塗布手段であり、インクが版胴51の表面に均一にインク34を塗布できるように、対向するダイ間のギャップから液状のインクを流出させる。なお、本実施形態では、ブランケット35へのインクの塗布手段としてダイコータ33を使用したが、必要な膜厚を得られるものであれば特にこれに限定されるものではなく、たとえばCAPコータ、ワイヤーバーコータおよびブレードなどを使用してもよい。CAPコータは、毛細血管現象を利用してインクを塗布するものであり、ワイヤーバーコータやブレードは、これらとブランケット35との間に形成される隙間を介してインクを塗布するものである。
【0062】
クリーニングユニット52は、回転可能に構成されるローラ状部材であり、たとえば、金属や樹脂などから構成されるロール状部材である胴体の表面に、インク34を溶解できる洗浄液、たとえばエタノールなどを浸み込ませた布などを巻きつけたものである。クリーニングユニット52が版胴51に圧接することによって、撥樹脂部31上のインク34の転写後に版胴51の表面に残ったインク34を除去する。
【0063】
以下に、多色印刷機40の動作について説明する。まず、4つの印刷ユニット43a,43b,43c,43dに、所望の4種類のインクのうちそれぞれ対応するインクを充填する。次いで、撥樹脂部31および親樹脂部32によって所定のパターンが形成された平版30を巻きつけられた版胴51a,51b,51c,51dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ33a,33b,33c,33dによってインク34a,34b,34c,34dを塗布する。このとき、塗布するインクの色によって塗布順序などは適宜調整することが好ましい。そして、塗布されたインク34a,34b,34c,34dの表面に、ブランケット35a,35b,35c,35dを回転させながら接触させることで撥樹脂部31a,31b,31c,31d上のインク34a,34b,34c,34dをブランケット35a,35b,35c,35d上に転写する。次いで、図示しない昇降手段によって印刷ユニット43a,43b,43c,43dを印刷定盤42に支持される被印刷体15に接触可能な位置まで下降させる。そして、印刷定盤42を矢符Bの方向、すなわち印刷ユニット43aから43dに向かう方向に水平移動させて、ブランケット35a,35b,35c,35dと順に接触させることで、ブランケット35a,35b,35c,35d表面にパターニングされたインク層36a,36b,36c,36dを、この順に被印刷体15の表面に転写する。次いで、4色のインク層36a,36b,36c,36dが転写された被印刷体15を検査および焼成することで、被印刷体に所望のパターンを印刷する。
【0064】
なお、上記構成では、多色印刷機20,40は4色のインクに対応できる構成であったが、特にこれに限定されるものではなく、たとえば、2色のインクに対応できる構成であってよいし、5色以上のインクに対応できる構成であってもよい。
【0065】
図6は、本発明のアレイ基板製造方法の各工程を示す概略図である。本発明のアレイ基板製造方法は、図6に示すように、第1転写工程、第1検査工程、第1除去工程および第1焼成工程を含む第1工程と、第2転写工程、第2検査工程、第2除去工程および第2焼成工程を含む第2工程とを含んで構成される。
【0066】
[第1工程]
(第1転写工程)
第1転写工程では、上述の凸版反転オフセット印刷法または平版水無しオフセット印刷法を使用して、カラーフィルタ用のインク層を被印刷体である、スイッチング能動素子が形成されたアレイ基板に転写する。
以下、カラーフィルタ用のインクについて説明する。カラーフィルタ用のインクとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、有機着色インクが挙げられる。有機着色インクは、樹脂成分と溶媒成分とを含む樹脂剤および顔料を含んで構成される。
【0067】
樹脂成分としては、透明性を有し、適切な溶剤に溶解する樹脂であれば特に限定されるものではなく、たとえば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などのうち少なくとも1種類が用いられる。またこれらの樹脂は水溶性であってもよい。さらに、パターンの形成されたカラーフィルタ用のインク層の転写後に熱や光、電子線などによって重合する材料、たとえば、樹脂成分の前駆体である多官能モノマーのような材料や架橋剤などを混合してもよいし、さらにモノマーの重合反応を促進させるために重合開始剤や架橋開始剤を添加してもよい。樹脂成分の含有量は、特に制限されないけれども、好ましくは有機着色インク100重量%に対して樹脂成分が10重量%以上30重量%以下である。
【0068】
溶媒成分としては、アルコール系、ケトン類、エステル類、エーテル系などの溶媒が好ましく、たとえば、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブタノール、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。溶媒成分の含有量は、特に制限されないけれども、好ましくは有機着色インク100重量%に対して溶媒成分が60重量%以上90重量%以下である。
【0069】
着色剤としては染料や顔料を用いることができるが、特に、耐環境性、耐熱性に優れる顔料を用いることが好適である。顔料としては有機および無機顔料を用いることができ、具体的には、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント(Pigment)に分類される化合物が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。好ましい顔料の具体例を以下に述べる。
【0070】
本発明で使用される顔料は、カラーフィルタの製造に適用されるので、赤色(R)、緑色(G)、青(B)および黒色(K)などの着色画像に適した各顔料が使用される。本実施形態では、上述の4色を使用した。赤色顔料としては、たとえば、ピグメントレッド4BS(山陽色素株式会社製)などが挙げられ、緑色顔料としては、たとえば、フタロシアニングリーンSAX(山陽色素株式会社製)などが挙げられ、青色顔料としては、たとえば、フタロシアニンブルーSR−150(山陽色素株式会社製)などが挙げられ、黒色顔料としては、たとえば、カーボンブラック、チタンブラックなどが挙げられる。顔料の含有量は、特に制限されないけれども、好ましくは樹脂成分100重量部に対して10重量部以上30重量部以下である。
【0071】
有機着色インクの作製方法としては、上述の各構成成分を混合分散して各顔料の色に対応した着色剤を調整する。その後、これらの着色剤を希釈して所望の粘度となるように調整することにより、有機着色インキが作製される。
【0072】
混合分散に用いられる分散手段としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用できるが、たとえば、3本ロールミル、2本ロールミル、サンドミル、アトライダー、ボールミル、ニーダー、ペイントシェーカなどが挙げられる。また混合分散の際に、顔料の分散を良好にするために適宜分散剤を添加しても良い。分散剤は顔料の分散を助け、かつ、分散後の再凝集を防止する効果があるので、より透明性に優れたカラーフィルタを製造できる。
【0073】
分散剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ビックケミージャパンBYKシリーズ(ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられ、顔料によって適宜選択すればよい。
【0074】
粘度調整に用いられる溶媒としては、アルコール系、ケトン類、エステル類などの溶媒が好ましく、たとえば、酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0075】
上述のようにして作製されるカラーフィルタ用のインクの粘度は、2cps〜50cpsであることが好ましい。これにより、顔料を充分に分散させ、好適な膜厚のカラーフィルタ用のインク層をより確実に形成することができる。カラーフィルタ用のインク層の好適な膜厚としては、1μm〜4μmである。なお、ここでいう粘度とは、20℃においてE型粘度計によって測定した値を示す。
【0076】
第1転写工程において、凸版反転オフセット印刷法を使用する場合には、まず、多色印刷機20の4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dに、黒色(K)、赤色(R)、緑色(G)および青(B)のカラーフィルタ用のインクをこの順でそれぞれ充填する。次いで、ブランケット10a,10b,10c,10dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ12a,12b,12c,12dによって上述のインクを塗布してカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを形成する。このとき、形成するインク層の色によって形成順序などは適宜調整することが好ましい。次いで、昇降手段によって印刷ユニット24a,24b,24c,24dを下降させて、版定盤22に支持される凸版13a,13b,13c,13dと、カラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dとをそれぞれ接触させる。その後、版定盤22を、矢符Aに示す方向に水平移動させるとともにブランケット10a,10b,10c,10dを回転させて、不要な部分のカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを凸版13a,13b,13c,13dの凸部14a,14b,14c,14dにそれぞれ転写させて除去する。その後、印刷ユニット24a,24b,24c,24dを一旦上昇させ、版定盤22を印刷ユニット24a,24b,24c,24dの下方以外の位置に水平移動させた後、再度印刷ユニット24a,24b,24c,24dを印刷定盤23に支持される被印刷体である、スイッチング能動素子が形成されたアレイ基板15に接触可能な位置まで下降させる。そして、印刷定盤23を矢符Aの方向に水平移動させてブランケット10a,10b,10c,10dと順に接触させることで、ブランケット10a,10b,10c,10d表面にパターニングされたカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを、この順にアレイ基板15の表面に転写する。
【0077】
また、第1転写工程において、平版水無しオフセット印刷法を使用する場合には、まず、多色印刷機40の4つの印刷ユニット43a,43b,43c,43dに、黒色(K)、赤色(R)、緑色(G)および青(B)のカラーフィルタ用のインク34a,34b,34c,34dをこの順でそれぞれ充填する。次いで、版胴51a,51b,51c,51dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ33a,33b,33c,33dによってカラーフィルタ用のインク34a,34b,34c,34dを塗布する。このとき、塗布するインクの色によって形成順序などは適宜調整することが好ましい。そして、塗布されたインク34a,34b,34c,34dの表面に、ブランケット35a,35b,35c,35dを回転させながら接触させることで撥樹脂部31a,31b,31c,31d上のカラーフィルタ用のインク34a,34b,34c,34dをブランケット35a,35b,35c,35d上に転写する。次いで、昇降手段によって印刷ユニット43a,43b,43c,43dを印刷定盤42に支持される被印刷体である、スイッチング能動素子が形成されたアレイ基盤15に接触可能な位置まで下降させる。そして、印刷定盤42を矢符Bの方向に水平移動させて、ブランケット35a,35b,35c,35dと順に接触させることで、ブランケット35a,35b,35c,35d表面にパターニングされたカラーフィルタ用インク層36a,36b,36c,36dを、この順にアレイ基板15の表面に転写する。
【0078】
なお、上記構成では、黒色(K)、赤色(R)、緑色(G)および青(B)のカラーフィルタ用のインクをこの順で印刷ユニット24,43に充填したが、特にこれに限定されるものではなく上記と異なる順で充填されてもよいが、特には、より乾きやすいインクが先に印刷されるような順で充填されることが好ましい。
【0079】
(第1検査工程)
第1検査工程では、第1転写工程にてカラーフィルタ用のインク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する。
【0080】
第1検査工程にて使用される検査装置としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、アレイ基板表面に白色光を照射し、その反射光を検出することにより検査を行うものであることが好ましい。
【0081】
前記アレイ基板が不良品であるか否かの判定基準としては、特に限定されるものではなく所望とするアレイ基板およびカラーフィルタに応じて適宜設定されればよい。本実施形態では、カラーフィルタ用のインク層において、コンタクトホールの大きさや形状、またはパネル化に支障を与えるサイズの凹凸異物または外観不良が観察された場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定する。第1検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板は第1除去工程を行う製造ラインに搬送され、良品であると判定されたアレイ基板は第1焼成工程を行う製造ラインに搬送される。
【0082】
(第1除去工程)
第1除去工程では、第1検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板から、カラーフィルタ用のインク層を除去する。
【0083】
カラーフィルタ用のインク層を除去する方法としては、カラーフィルタ用のインク層を除去できる方法であれば特に限定されるものではないが、特には、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液によって洗浄する方法が好ましい。
【0084】
このように、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液を使用することで、アレイ基板を損傷することなくカラーフィルタ用のインク層を除去することができるため、より確実にアレイ基板を再利用することができ、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0085】
有機溶剤から構成される洗浄液としては、アルコール系、ケトン類、エステル類などの溶剤であって揮発しやすいものが好ましく、たとえば、エタノール、アセトンなどが挙げられるが、特には、アセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることが好ましい。
【0086】
このように、有機溶剤から構成される洗浄液がアセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることによって、より安価で簡便にカラーフィルタ用のインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0087】
水系溶剤から構成される洗浄液としては、アルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものが好ましい。アルカリ溶液は、たとえばKOHなどのアルカリ性物質によってpH7〜pH14程度のアルカリ性となるように調整された水溶液であり、その濃度としては、0.01%〜1.0%程度であることが好ましい。また、アルカリ溶液に添加される界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば(花王製:エマルゲン)などが挙げられる。
【0088】
このように、水系溶剤から構成される洗浄液がアルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものであることによって、より安価で簡便にカラーフィルタ用のインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0089】
洗浄方法としては、カラーフィルタ用のインク層を除去できる方法であれば特に限定されるものではないが、たとえば、アレイ基板を上述の洗浄液に浸漬する方法や、上述の洗浄液を浸み込ませた布、ブラシ、スポンジロール、高圧スプレーなどによって除去する方法などが挙げられる。
【0090】
第1除去工程にて、カラーフィルタ用のインク層が除去されたアレイ基板は、第1転写工程を行う製造ラインに搬送され、新たなカラーフィルタ用のインク層が転写されることによって再利用される。
【0091】
このように、本発明のアレイ基板製造方法における第1工程では、第1検査工程にて、カラーフィルタ用のインク層を転写した後であって焼成する前に、カラーフィルタ用のインク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定し、第1除去工程にて、不良品であると判定された前記アレイ基板上のインク層を除去する。そして、インク層が除去されたアレイ基板を第1工程にて再利用する。
【0092】
顔料分散法を使用してカラーフィルタを形成する場合には、顔料レジストの塗布後にすぐにプリベーク、露光、現像、焼成を行うため、上述のようにカラーフィルタ用のインク層を除去してアレイ基板を再利用するのに困難を伴う。したがって、顔料分散法を使用してカラーフィルタを形成する場合と比較して、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0093】
(第1焼成工程)
第1焼成工程では、第1検査工程にて良品であると判定されたアレイ基板を焼成して、所望のパターンのカラーフィルタを形成する。すなわち、カラーフィルタの画素形成に必要な全てのカラー原色、本実施形態では赤色(R)、緑色(G)、青色(B)および黒色(K)のカラーフィルタ用のインク層が転写されたアレイ基板を200℃〜260℃で10分〜1時間焼成することによって、カラーフィルタを形成する。焼成後のカラーフィルタの厚みは0.5μm〜5μmであることが好ましい。
【0094】
なお、本実施形態では、3原色のカラーフィルタを製造したが、本発明は、2色または4色以上のカラーフィルタの形成にも適用することができる。
【0095】
[透明電極形成工程]
透明電極形成工程では、第1工程にて、カラーフィルタが形成されたアレイ基盤に透明電極を形成する。
【0096】
透明電極の形成方法としては、特に限定されるものではないが、リフトオフ加工を用いることが可能である。リフトオフ加工によれば、目的とするパターンの逆パターンを、アレイ基板上にフォトレジストなどでパターニングする。次いで、目的とする薄膜、たとえばインジウム酸化スズ(以下「ITO」と記す)からなる薄膜をスパッタリング法などによって形成する。そして、フォトレジストなどを除去して不要部分を除去することによって、目的とするパターンに形成された透明電極を形成する。
【0097】
[ITO検査工程および突起物研磨工程]
ITO検査工程では、透明電極形成工程にて透明電極が形成されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する。ITO検査工程にて使用される検査装置としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではない。
【0098】
前記アレイ基板が不良品であるか否かの判定基準としては、特に限定されるものではなく所望とするアレイ基板および透明電極に応じて適宜設定されればよい。本実施形態では、透明電極において、対向基板の共通電極とのショートを引き起こす可能性のある異物が観察された場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定する。ITO検査工程にて突起不良品であると判定されたアレイ基板は突起物研磨工程を行う製造ラインに搬送され、良品であると判定されたアレイ基板は第2工程を行う製造ラインに搬送される。
【0099】
突起物研磨工程では、突起物検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板の透明電極上の突起物を研磨して除去する。突起物研磨工程にて使用される研磨方法としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、テープ研磨などが挙げられる。
【0100】
突起物研磨工程にて研磨が行われたアレイ基板は、再度突起物検査工程を行う製造ラインに搬送され、突起物検査が行われる。
【0101】
[第2工程]
(第2転写工程)
図7(a)は、スペーサ70および配向突起71が形成されたアレイ基板15の上面図であり、図7(b)は、スペーサ70および配向突起71が形成されたアレイ基板の側面図である。第2転写工程では、図7(a),(b)に示すように、上述の凸版反転オフセット印刷法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層を、カラーフィルタ72および透明電極73が形成されたアレイ基板15に転写する。配向突起は、配向機能素子に相当する。
【0102】
以下、スペーサ用のインクおよび配向突起用のインクについて説明する。
スペーサ用のインクとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、特開2006−171160号公報に開示されるバインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶剤を含有する感光性樹脂組成物に充填剤を添加したものを希釈して所望の粘度となるように調整したものなどが挙げられる。充填剤としては、特に限定されるものではないが、無機微粒子などが挙げられる。
【0103】
配向突起用のインクとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、特開2006−171160号公報に開示されるバインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶剤を含有する感光性樹脂組成物を希釈して所望の粘度となるように調整したものなどが挙げられる。
【0104】
配向突起用およびスペーサ用のインクにおいて、粘度調整に用いられる溶剤としては、アルコール系、ケトン類、エステル類などが好ましく、たとえば、酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0105】
図7(b)に示すように、スペーサ70の高さは、配向突起71の高さよりも大きい。したがって、スペーサ用のインク層の厚みは、配向突起用のインク層の厚みよりも大きくなるように形成される必要がある。このため、スペーサ用のインクの粘度は配向突起用のインクの粘度よりも高くなるように構成され、かつスペーサ用のインクの粘度は、2cps〜100cpsであって、配向突起用のインクの粘度は2cps〜50cpsであることが好ましい。これによって、好適な膜厚のスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層をより確実に形成することができる。
【0106】
スペーサ用のインク層の好適な膜厚としては、1μm〜8μmであり、配向突起用のインク層の好適な膜厚としては、0.5μm〜3μmである。なお、ここでいう粘度とは、20℃においてE型粘度計によって測定した値を示す。
【0107】
また、上述の好適な膜厚を有するスペーサ用のインク層は、厚みが大きすぎるため平版水無しオフセット印刷法によって形成することは困難である。したがって、第2工程では凸版反転オフセット印刷法を使用することが好ましい。
【0108】
第2転写工程において、凸版反転オフセット印刷法を使用してスペーサおよび配向突起を共に形成する場合には、まず、多色印刷機20の印刷ユニット24bにスペーサ用のインクを充填し、別の印刷ユニット24dに配向突起用のインクを充填する。次いで、ブランケット10b,10dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ12b,12dによって上述のインクを塗布してスペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dを形成する。このとき、形成するインク層の種類によって形成順序などは適宜調整することが好ましい。次いで、昇降手段によって印刷ユニット24b,24dを下降させて、版定盤22に支持される凸版13bおよび13dと、スペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dとをそれぞれ接触させる。その後、版定盤22を、矢符Aに示す方向に水平移動させるとともにブランケット10b,10dを回転させて、不要な部分のカラーフィルタ用のインク層11b,11dを凸版13b,13dの凸部14b,14dにそれぞれ転写させて除去する。その後、印刷ユニット24b,24dを一旦上昇させ、版定盤22を印刷ユニット24a,24b,24c,24dの下方以外の位置に水平移動させた後、再度印刷ユニット24a,24b,24c,24dを印刷定盤23に支持される被印刷体である、カラーフィルタおよび透明電極が形成されたアレイ基盤15に接触可能な位置まで下降させる。そして、印刷定盤23を矢符Aの方向に水平移動させてブランケット10b,10dと順に接触させることで、ブランケット10b,10d表面にパターニングされたスペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dを、この順にカラーフィルタおよび透明電極が形成されたアレイ基板15の表面に転写する。
【0109】
上述したように、スペーサ用インクの粘度は配向突起用のインクの粘度よりも高いため、アレイ基板に転写後において、スペーサ用のインク層は、配向突起用のインク層よりもその形状を維持しやすい。したがって、第2転写工程において、凸版反転オフセット印刷法によってスペーサおよび配向突起を共に形成するときには、スペーサを先に形成することが好ましい。これによって、好適な形状のスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層をより確実に形成することができる。
【0110】
なお、本実施形態では、4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dのうち印刷ユニット24b,24dにスペーサ用のインクおよび配向突起用のインクを充填したが、特にこれに限定されるものではなく、スペーサおよび配向突起を共に形成する場合において、スペーサが先に形成されるように充填されるのであればいずれの印刷ユニット24に充填してもよい。また、スペーサおよび配向突起のいずれか一方のみを形成する場合には、4つの印刷ユニットのうち、任意のいずれか1つに対応するインクを充填すればよい。
【0111】
(第2検査工程)
第2検査工程では、第2転写工程にて、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する。
【0112】
第2検査工程にて使用される検査装置としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではないが、アレイ基板表面にレーザや白色光を照射し、その反射光を検出することにより検査を行うものであることが好ましい。
【0113】
前記アレイ基板が不良品であるか否かの判定基準としては、特に限定されるものではなく所望とするアレイ基板、スペーサおよび配向突起に応じて適宜設定されればよい。本実施形態では、スペーサ用のインク層ならびに配向突起用インク層においては、非周期的な現象が観察された場合や外観異状が視認される場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定する。第2検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板は第2除去工程を行う製造ラインに搬送され、良品であると判定されたアレイ基板は第2焼成工程を行う製造ラインに搬送される。
【0114】
(第2除去工程)
第2除去工程では、第2検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板から、アレイ基板上に形成された少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層のうち全てのインク層(以下、単に「インク層」と記す場合がある)を除去する。
【0115】
インク層を除去する方法としては、インク層を除去できる方法であれば特に限定されるものではないが、特には、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液によって洗浄する方法が好ましい。
【0116】
このように、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液を使用することで、アレイ基板を損傷することなくインク層を除去することができるため、より確実にアレイ基板を再利用することができ、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0117】
有機溶剤から構成される洗浄液としては、アルコール系、ケトン類、エステル類などの溶剤であって揮発しやすいものが好ましく、たとえば、エタノール、アセトン、酢酸プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられるが、特には、アセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることが好ましい。
【0118】
このように、有機溶剤から構成される洗浄液がアセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることによって、より安価で簡便にインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0119】
水系溶剤から構成される洗浄液としては、アルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものが好ましい。アルカリ溶液は、たとえばKOHなどのアルカリ性物質によってpH7〜pH14程度のアルカリ性となるように調整された水溶液であり、その濃度としては、0.01%〜1.0%程度であることが好ましい。また、アルカリ溶液に添加される界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば花王製:エマルゲンなどが挙げられる。
【0120】
このように、水系溶剤から構成される洗浄液がアルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものであることによって、より安価で簡便にインク層を除去することができるようになるため、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、さらに大幅なコストダウンを達成することができる。
【0121】
洗浄方法としては、インク層を除去できる方法であれば特に限定されるものではないが、たとえば、アレイ基板を上述の洗浄液に浸漬する方法や、上述の洗浄液を浸み込ませた布、ブラシ、スポンジロール、高圧スプレーなどによって除去する方法などが挙げられる。
【0122】
第2除去工程にて、インク層が除去されたアレイ基板は、第2転写工程を行う製造ラインに搬送され、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層が新たに転写されることによって再利用される。
【0123】
このように、本発明のアレイ基板製造方法における第2工程では、第2検査工程にて、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層を転写した後であって焼成する前に、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定し、第2除去工程にて、不良品であると判定された前記アレイ基板上のインク層を除去する。そして、インク層が除去されたアレイ基板を第2工程にて再利用する。これによって、従来では、構成材料が異なり除去方法も異なるため、除去が困難であったスペーサおよび配向突起を除去してアレイ基板を再利用することができるようになるため、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0124】
(第2焼成工程)
第2焼成工程では、第2検査工程にて良品であると判定されたアレイ基板を焼成して、所望のパターンの、少なくともスペーサまたは配向突起を形成する。すなわち、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層が転写されたアレイ基板を200℃〜260℃で10分間〜1時間焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向突起を形成する。
【0125】
焼成後のスペーサは、高さ1μm〜8μmで、底面10μm〜50μm角の略柱形状であることが好ましく、焼成後の配向突起は、高さ0.5μm〜3μmで、底面の半径5μm〜20μmの半球形状であることが好ましい。
【0126】
上述したように、本発明のアレイ基板製造方法は、所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法であって、第1工程において、前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成し、第2工程において、前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向突起用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成する。
【0127】
これによって、カラーフィルタ、スペーサおよび配向突起の全てを、インクを材料として印刷法によって形成することができるようになるため、製造設備の設置面積を小さくでき、製造工程にかかる時間を短縮でき、またアレイ基板製造にかかる費用を削減することができる。したがって、製造設備の設置面積を小さくし、アレイ基板製造工程にかかる時間を大幅に短縮するとともに、大幅なコストダウンを達成することができるアレイ基板製造方法を提供できる。
【0128】
また、上記印刷方法は、凸版反転オフセット印刷法であることが好ましい。このように、第1工程において、凸版反転オフセット印刷法を用いてカラーフィルタを形成し、第2工程においても、同様に凸版反転オフセット印刷法を用いてスペーサおよび配向突起を形成することによって、第1工程と第2工程とにおいて、同様の装置にて同様の操作を行えばよいため、第1工程と第2工程とで異なる印刷法を使用する場合と比較して、より一層効率良くアレイ基板を製造することができる。したがって、製造工程にかかる時間をより短縮でき、また、より大幅なコストダウンを達成することができる。
【0129】
また、本発明のアレイ基板製造方法によって製造することによって、従来のものよりもより一層安価なアレイ基板を提供することができる。
【0130】
〔対向基板〕
図8は、本発明の対向基板80の構成の一例を示す概略図である。本発明の対向基板80は、図8に示すように、透明基板81に、たとえば、偏光フィルム82、光学補償フィルム83などの偏光機能、位相差機能およびその他に共通電極機能、照明機能を有する各種フィルム、樹脂板が貼合、または積層されて構成される。
【0131】
透明基板81の構成材料としては、特に限定されるものではなく、たとえば、透明樹脂やガラスなどが挙げられるが、特には透明樹脂が好ましい。透明樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、PET樹脂、PEN樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられるが、これらの中でもアクリル樹脂が好ましい。
【0132】
このように、透明基板81は、透明樹脂から構成されることによって、透明基板81がガラスから構成される場合と比較して、透明基板81の割れを防止することができ、また、より軽量化を達成できる。
【0133】
また、透明基板81の各種フィルムが貼合されていない面には、必要に応じて、ハードコート層、反射防止層および防眩層などが設けられていてもよい。
【0134】
偏光機能、位相差機能および照明機能を有する各種フィルムの貼合わせ順としては、特に限定されるものではなく、視認性に応じて適宜設定されればよい。本実施形態の対向基板80では、透明基板81の片側に、光学補償フィルム83、トリアセチルセルロースフィルム(以下、「TACフィルム」と記す)85b、偏光フィルム82、TACフィルム85aが、この順で貼合または積層される。また、使用するフィルムは上記のものに限定されるものではなく、目的とする機能に応じて適宜選択されればよい。
【0135】
対向基板81の別の片方に透明電極、すなわちITO層87が形成され、ITO層は透明基板に直接形成してもよいが、本実施形態ではPETフィルム86にITO層87が形成される。また、透明電極87の上には、たとえば、ポリイミド樹脂などから構成される図示しない配向膜が形成される。
【0136】
このように、本発明の対向基板80は、本発明のアレイ基板と貼合されることで液晶パネルを構成する対向基板であって、透明基板81に、偏光機能、位相差機能および不図示の照明機能を有するフィルムまたは基板が、貼合または積層されて構成される。このように、あらかじめ必要とされる各種フィルムを貼合せておくことによって、アレイ基板と対向基板とを貼合せた後に、上記各種フィルムを貼合せる場合に設けられる、液晶パネルの裏表面を反転させる工程などを省くことができるため、より生産効率を向上させることができる。
【0137】
〔液晶パネル製造方法〕
本発明の液晶パネル製造方法では、上述のようにして製造した本発明のアレイ基板と、前述する本発明の対向基板とを貼合わせて、前記アレイ基板と前記対向基板との間に液晶を封入することで、液晶パネルを製造する。
【0138】
アレイ基板と対向基板との貼合わせ方法および液晶の封入方法としては、特に限定されるものではなく一般的な方法が使用されればよいが、特には、液晶滴下工法(ODF法)を使用することが好ましい。液晶滴下工法は、アレイ基板の周縁部にUV硬化型のシール材を塗布し、その型枠内に液晶を適量滴下した後アレイ基板と対向基板とをそれぞれの配向膜が相対向するように重ね合わせ、UV照射および加熱によりシール材を硬化させる工法である。上述のようにして製造された液晶パネルのアレイ基板側の面には、偏光フィルムが貼合わされる。
【0139】
このように、本発明の液晶パネルの製造方法は、液晶が適量滴下された本発明のアレイ基板と、本発明の対向基板とを貼合せすることで液晶パネルを製造する。これによって、製造設備の設置面積を小さくし、製造工程にかかる時間を大幅に短縮して生産効率を向上させるとともに、大幅なコストダウンを達成することができる液晶パネル製造方法を提供できる。
【実施例】
【0140】
以下に本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り特に本実施例に限定されるものではない。
【0141】
(実施例)
〔アレイ基板の製造〕
[第1工程]
(第1転写工程)
〔カラーフィルタ用のインクの作製〕
水溶性ポリエステル樹脂および水溶性メラミン樹脂からなる樹脂成分70重量%と、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブおよびn−ブタノールからなる溶剤成分30重量%とを含む樹脂剤に、ピグメントレッド4BS(山陽色素株式会社製)を樹脂剤100重量部に対して60重量部加え、3本ロールミルで混合分散して赤色の着色剤を調整した。次いで、得られた着色剤を酢酸エチルで稀釈することにより、粘度が4cpとなるように調整し、赤色(R)の有機着色インクを作製した。このようにして作製された有機着色インクにおける樹脂成分および溶媒成分の最終的な含有量としては、有機着色インク100重量%に対して、樹脂成分が30重量%となり、溶媒成分が70重量%となった。
【0142】
次いで、ピグメントレッド4BS(山陽色素株式会社製)をフタロシアニングリーンSAX(山陽色素株式会社製)にかえた以外は、赤色(R)の有機着色インクと同様にして、緑色(G)の有機着色インクを作製した。
【0143】
次いで、ピグメントレッド4BS(山陽色素株式会社製)をフタロシアニンブルーSR−150(山陽色素株式会社製)にかえた以外は、赤色(R)の有機着色インクと同様にして、青色(B)の有機着色インクを作製した。
【0144】
次いで、ピグメントレッド4BS(山陽色素株式会社製)をカーボンブラックにかえた以外は、赤色(R)の有機着色インクと同様にして、黒色(K)の有機着色インクを作製した。
【0145】
〔カラーフィルタ用のインク層の形成〕
まず、多色印刷機20の4つの印刷ユニット24a,24b,24c,24dに、上述のようにして作製した黒色(K)、赤色(R)、緑色(G)および青(B)の有機着色インクをこの順でそれぞれ充填した。次いで、ブランケット10a,10b,10c,10dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ12a,12b,12c,12dによって上述のインクを塗布して膜厚が3.5μmになるようにカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを形成した。このとき、形成するインク層の色によって形成順序などは適宜調整した。次いで、印刷ユニット24a,24b,24c,24dを下降させて、版定盤22に支持される凸版13a,13b,13c,13dと、カラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dとをそれぞれ接触させた。その後、版定盤22を、矢符Aに示す方向に水平移動させるとともにブランケット10a,10b,10c,10dを回転させて、不要な部分のカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを凸版13a,13b,13c,13dの凸部14a,14b,14c,14dにそれぞれ転写させて除去した。その後、印刷ユニット24a,24b,24c,24dを一旦上昇させ、版定盤22を印刷ユニット24a,24b,24c,24dの下方以外の位置に水平移動させた後、再度印刷ユニット24a,24b,24c,24dを印刷定盤23に支持されるスイッチング能動素子が形成された厚み0.7mmのアレイ基盤15に接触可能な位置まで下降させた。そして、印刷定盤23を矢符Aの方向に水平移動させてブランケット10a,10b,10c,10dと順に接触させることで、ブランケット10a,10b,10c,10d表面にパターニングされた4色のカラーフィルタ用のインク層11a,11b,11c,11dを、この順にアレイ基板15の表面に転写した。
【0146】
(第1検査工程)
第1転写工程にて得られたカラーフィルタ用のインク層が転写されたアレイ基板について欠陥検査を行い、前記アレイ基板が不良品であるか否かを判定した。判定基準としては、カラーフィルタ用のインク層において、直径20μm以上の凹凸または異物が観察された場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定した。第1検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板は第1除去工程を行う製造ラインに搬送し、良品であると判定されたアレイ基板は焼成工程を行う製造ラインに搬送した。
【0147】
(第1除去工程)
第1検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板を、アセトンから構成される洗浄液によって洗浄し、カラーフィルタ用のインク層を除去した。
【0148】
カラーフィルタ用のインク層が除去された洗浄後のアレイ基板は、第1転写工程を行う製造ラインに搬送され、新たなカラーフィルタ用インク層を転写することによって再利用した。
【0149】
(第1焼成工程)
第1検査工程にて良品であると判定されたアレイ基板を、大気下において230℃で1時間焼成して、厚さ2.8μmのカラーフィルタを形成した。
【0150】
[透明電極形成工程]
第1工程にて、カラーフィルタが形成されたアレイ基盤に、ポジ型のフォトレジストを所定のパターンにパターニングし、次いでスパッタリング法によってITOからなる薄膜を形成した。その後、ポジ型のフォトレジストを剥離することによって、所定のパターンに形成されたITOからなる透明電極を形成した。
【0151】
[ITO検査工程および突起物研磨工程]
透明電極形成工程にて透明電極が形成されたアレイ基板について、欠陥検査を行い、前記アレイ基板が不良品であるか否かを判定した。判定基準としては、透明電極において、高さ3μm以上の突起物が観察された場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定した。上述の検査にて不良品であると判定されたアレイ基板は、突起物研磨工程を行う製造ラインに搬送され、テープ研磨によって突起物の研磨が行われた後、再度上述の突起物検査が行われる。
【0152】
突起物検査にて良品であると判定されたアレイ基板は、第2工程を行う製造ラインに搬送した。
【0153】
[第2工程]
(第2転写工程)
〔配向突起用のインクの作製〕
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200重量部および3−メトキシブチルアセテート105重量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸55重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(下記式(1)で表される化合物および下記式(2)で表される化合物をモル比で50:50で混合したもの)175重量部およびN−シクロヘキシルマレイミド70重量部を、3−メトキシブチルアセテート140重量部に溶解して溶液を調製し、この溶液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30重量部を3−メトキシブチルアセテート225重量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間70℃に維持し、その後室温まで冷却して、粘度(23℃)114mPa・s、固形分32.8%、酸価34.3mg−KOH/gのバインダー樹脂溶液を得た。得られたバインダー樹脂の重量平均分子量Mwは、13,600であり、分散度は2.54であった。
【0154】
上述のようにして得られたバインダー樹脂溶液(固形分32.8%)100重量部に、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製)40重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート53重量部、3−エトキシエチルプロピオネート20重量部、3−メトキシ1−ブタノール37重量部および3−メトキシブチルアセテート87重量部を混合して感光性樹脂組成物を得た。次いで、得られた感光性樹脂組成物を酢酸エチルで稀釈することにより、粘度が2.6cpとなるように調整し、配向突起用のインクを作製した。
【0155】
【化1】

【0156】
【化2】

【0157】
〔スペーサ用のインクの作製〕
配向突起用インクと同様にして得られた感光性樹脂組成物100重量部に対して充填剤として酸化ケイ素微粒子15重量部を添加し、次いで酢酸エチルで稀釈することにより、粘度が7.0cpとなるように調整し、スペーサ用のインクを作製した。
【0158】
〔スペーサ用のインク層および配向突起用のインク層の形成〕
まず、多色印刷機20の印刷ユニット24bに上述のようにして作製したスペーサ用のインクを充填し、別の印刷ユニット24dに上述のようにして作製した配向突起用のインクを充填した。次いで、ブランケット10b,10dを回転させながら、その表面に、それぞれ対応するダイコータ12b,12dによってほぼ同時に上述のインクを塗布してスペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dを形成した。次いで、印刷ユニット24b,24dを下降させて、版定盤22に支持される凸版13bおよび13dと、スペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dとをそれぞれ接触させた。その後、版定盤22を、矢符Aに示す方向に水平移動させるとともにブランケット10b,10dを回転させて、不要な部分のカラーフィルタ用のインク層11b,11dを凸版13b,13dの凸部14b,14dにそれぞれ転写させて除去した。その後、印刷ユニット24b,24dを一旦上昇させ、版定盤22を印刷ユニット24a,24b,24c,24dの下方以外の位置に水平移動させた後、再度印刷ユニット24a,24b,24c,24dを印刷定盤23に支持されるアレイ基盤15に接触可能な位置まで下降させた。そして、印刷定盤23を矢符Aの方向に水平移動させてブランケット10b,10dと順に接触させることで、ブランケット10b,10d表面にパターニングされたスペーサ用インク層11bおよび配向突起用のインク層11dを、この順にカラーフィルタおよび透明電極が形成されたアレイ基板15の表面に同時転写した。
【0159】
(第2検査工程)
第2転写工程にて得られたスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層が転写されたアレイ基板について欠陥検査を行い、前記アレイ基板が不良品であるか否かを判定した。判定基準としては、スペーサ用、配向突起用のインク層においては、非周期的な現象が観察された場合には不良品であると判定し、観察されなかった場合には良品であると判定した。第2検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板は第2除去工程が行われる製造ラインに搬送し、良品であると判定されたアレイ基板は第2焼成工程が行われる製造ラインに搬送した。
【0160】
(第2除去工程)
第2検査工程にて不良品であると判定されたアレイ基板を、アセトンから構成される洗浄液によって洗浄し、スペーサ用のインク層および配向突起用のインク層を除去した。
スペーサ用のインク層および配向突起用のインク層が除去された洗浄後のアレイ基板は、第2転写工程に搬送され、新たなスペーサ用のインク層および配向突起用のインク層を転写することによって再利用した。
【0161】
(第2焼成工程)
第2検査工程にて良品であると判定されたアレイ基板を、大気下において230℃で1時間焼成して、高さ3μmで、底面が50μm角の略四角柱形状のスペーサ、および高さ0.6μmで、底面の直径が15μmの半球形状の配向突起を作製した。
【0162】
(配向膜の作製)
該アレイ基板の配向突起、スペーサ、の形成された面にJSR社製の配向膜(AL1254)をフレキソ印刷により塗布し、230℃のオーブンで1時間焼成し、厚みが0.6μmの配向膜を得た。次いで、ラビング装置を用いて、基板上の配向膜に配向処理を施し、アレイ基板を作製した。
【0163】
[対向基板の製造]
PETフィルムに低温スパッタリング法によってITO膜からなる透明電極を形成し、その上に、アレイ基板と同様に配向膜を形成しラビング装置により配向処理を施した。次いで、前記PETフィルムの透明電極が形成されていない側の面を、透明基板であるアクリル板に貼合わせた。TACフィルムが貼合された偏光フィルムと光学補償フィルムが貼合されたフィルムを、図に示す構成で、アクリル板のPETフィルムが貼合されていない片面に貼合することで、対向基板を作製した。
【0164】
[液晶パネルの製造]
上述のようにして製造したアレイ基板の周縁部にUV硬化型のシール剤を塗布し、その型枠内に液晶を適量滴下した。次いで、前記アレイ基板と、上述のようにして製造した対向基板とを、それぞれの配向膜が相対向するように重ね合わせた後、UV照射および加熱によってシール材を硬化させた。その後、アレイ基板側の面に偏光フィルムを張り合わせることで、液晶パネルを作製した。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】凸版反転オフセット印刷法の概要を示す断面図である。
【図2】凸版反転オフセット印刷法を使用する多色印刷機の構成の一例を示す概略図である。
【図3】平版水無しオフセット印刷法の概要を示す断面図である。
【図4】平版水無しオフセット印刷法を使用する多色印刷機の構成の一例を示す概略図である。
【図5】平版水無しオフセット印刷法を使用する多色印刷機の一部の構成を拡大して示す概略図である。
【図6】本発明のアレイ基板製造方法の各工程を示す概略図である。
【図7】図7(a)は、スペーサおよび配向突起が形成されたアレイ基板の上面図であり、図7(b)は、スペーサおよび配向突起が形成されたアレイ基板の側面図である。
【図8】本発明の対向基板の構成の一例を示す概略図である。
【図9】COA構造を有するTFT型液晶パネルの構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0166】
10,35 ブランケット
11,36 インク層
12,33 ダイコータ
13 凸版
14 凸部
15 被印刷体
16 凹部
20,40 多色印刷機
21,41 固定フレーム
22 版定盤
23,42 印刷定盤
24,43 印刷ユニット
30 平版
31 撥樹脂部
32 親樹脂部
34 インク
51 版胴
52 クリーニングユニット
70 スペーサ
71 配向突起
72 カラーフィルタ
73 透明電極
80 対向基板
81 透明基板
82 偏光フィルム
83 光学補償フィルム
84 ハードコート層
85 TACフィルム
86 PETフィルム
87 透明電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状のパターンが形成された版を使用してブランケット表面にパターニングしたインク層をアレイ基板に転写した後焼成する印刷方法を使用するアレイ基板製造方法であって、
前記印刷方法を使用して、カラーフィルタ用のインク層をアレイ基板に転写した後焼成することによってカラーフィルタを形成する工程を含むことを特徴とするアレイ基板製造方法。
【請求項2】
前記印刷方法を使用して、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層をカラーフィルタが形成された前記アレイ基板に転写した後焼成することによって、少なくともスペーサまたは配向機能素子を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載のアレイ基板製造方法。
【請求項3】
スペーサ用のインクの粘度は配向機能素子用のインクの粘度よりも大きくなるように構成され、かつ前記スペーサ用のインクの粘度は2cps〜100cpsであって、前記配向機能素子用のインクの粘度は2cps〜50cpsであることを特徴とする請求項2に記載のアレイ基板製造方法。
【請求項4】
前記第2工程において、スペーサおよび配向機能素子を形成するときには、スペーサを先に形成することを特徴とする請求項2に記載のアレイ基板製造方法。
【請求項5】
前記印刷方法は、凸版反転オフセット印刷法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のアレイ基板製造方法。
【請求項6】
前記第1工程において、カラーフィルタ用のインク層を転写した後であって焼成する前に、前記インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する第1検査工程と、
不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する第1除去工程とを含み、
前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第1工程で再利用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のアレイ基板製造方法。
【請求項7】
前記第2工程において、少なくともスペーサ用のインク層または配向機能素子用のインク層を転写した後であって焼成する前に、少なくとも前記スペーサ用インク層または前記配向機能素子用インク層が転写されたアレイ基板が不良品であるか否かを判定する第2検査工程と、
不良品であると判定された前記アレイ基板のインク層を除去する第2除去工程とを含み、
前記インク層が除去された前記アレイ基板を前記第2工程で再利用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のアレイ基板製造方法。
【請求項8】
前記第1除去工程および第2除去工程において、有機溶剤または水系溶剤から構成される洗浄液によって洗浄することでインク層を除去することを特徴とする請求項6または7に記載のアレイ基板製造方法。
【請求項9】
前記有機溶剤は、アセトン、エタノールまたは酢酸プロピレングリコールメチルエーテルであることを特徴とする請求項8に記載のアレイ基板製造方法。
【請求項10】
前記水系溶剤は、水、アルカリ溶液に界面活性剤が添加されたものであることを特徴とする請求項8に記載のアレイ基板製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載のアレイ基板製造方法によって製造されることを特徴とするアレイ基板。
【請求項12】
請求項11に記載のアレイ基板と貼合されることで液晶パネルを構成する対向基板であって、
前記対向基板は、透明基板に、共通電極機能、偏光機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムが貼合または積層されて構成されるかまたは、偏光機能、位相差機能および照明機能を有するフィルムが貼合または積層されて構成されることを特徴とする対向基板。
【請求項13】
前記透明基板は、透明ガラスまたは透明樹脂から構成されることを特徴とする請求項12に記載の対向基板。
【請求項14】
請求項11に記載のアレイ基板と、請求項12に記載の対向基板とを貼合せ、前記アレイ基板と前記対向基板との間隙に液晶を封入することを特徴とする液晶パネル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−229607(P2009−229607A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72533(P2008−72533)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】