説明

アログリプチンおよびピオグリタゾンを含有する固形製剤

【課題】糖尿病治療薬などとして有用であり、かつ溶出性と化学安定性と溶出安定性に優れた、化合物(I)[化合物(I)の定義は明細書のとおり]とピオグリタゾンを含む固形製剤の提供。
【解決手段】以下の第1および第2の部分を含む固形製剤:
(1)化合物(I)またはその塩と、第1の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第1の部分;および
(2)ピオグリタゾンまたはその塩と、第2の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第2の部分。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、糖尿病治療薬などとして有用な、2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリル(一般名:アログリプチン(Alogliptin);以下、化合物(I)と称することがある)またはその塩と、ピオグリタゾンまたはその塩とを含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明に用いられる化合物(I)は、インスリン分泌を高めるホルモンであるグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)を分解する酵素であるジペプチジルペプチダーゼ(DPP−IV)の阻害薬として報告されている(特許文献1)。
しかし、化合物(I)またはその塩とピオグリタゾンまたはその塩とを含有する製剤は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開公報2005/0261271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の開示
DPP−IV阻害薬である化合物(I)、およびピオグリタゾンは、それぞれが糖尿病などの治療に有効であり、両者を活性成分として含む製剤(合剤)を提供することは臨床上の有用性が極めて高い。しかし、複数の活性成分を含む製剤の実用化は、単一の活性成分からなる製剤に比べると容易ではない。例えば、製剤からの活性成分の溶出速度は、投与後の経時的薬効プロファイルに影響しうることから、製剤の実用化においては、活性成分の溶出速度が最適となるよう製剤組成を調節する必要がある。しかし、合剤の場合には、各活性成分について溶出速度を最適化する必要があり、製剤学的な困難性が高い。また、合剤に含まれる複数の活性成分が互いに作用することによる悪影響(経時的な活性成分の分解や活性低下などの保存または化学安定性の低下、経時的な活性成分溶出パターンの変化などの溶出安定性の低下など)を抑制する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、化合物(I)またはその塩と第1の賦形剤として糖または糖アルコールを含有する第1の部分(part)、およびピオグリタゾンまたはその塩と第2の賦形剤として糖または糖アルコールを含有する第2の部分をそれぞれ調製し、これらの2つの部分を含有する固形製剤とすることによって、各活性成分の溶出速度を調節でき、かつ活性成分が互いに作用することによる悪影響を抑えることができることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1] 以下の第1および第2の部分を含む固形製剤:
(1)化合物(I)またはその塩と、第1の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第1の部分;および
(2)ピオグリタゾンまたはその塩と、第2の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第2の部分、
[2] 糖または糖アルコールが、乳糖、ショ糖、エリスリトールまたはマンニトールである、上記[1]記載の固形製剤、
[3] 第1および第2の賦形剤が、マンニトールである、上記[2]記載の固形製剤、
[4] 第1の部分からなる内核、および第2の部分からなる外層を含む被覆錠剤である、上記[3]記載の固形製剤、
[5] 第1の賦形剤が、マンニトールであり、第2の賦形剤が、乳糖である、上記[2]記載の固形製剤、
[6] 第2の部分からなる内核、および第1の部分からなる外層を含む被覆錠剤である、上記[5]記載の固形製剤、
[7] 第1の部分からなる第1層、および第2の部分からなる第2層を含む積層錠剤である、上記[5]記載の固形製剤、
などに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固形製剤は、糖尿病治療薬などとして有用であり、該製剤に含まれる活性成分の溶出速度を最適化することができ、かつ活性成分が互いに作用することによる悪影響(経時的な活性成分の分解や活性低下などの保存または化学安定性の低下、経時的な活性成分溶出パターンの変化などの溶出安定性の低下など)を抑えることができる。
【0008】
発明の詳細な説明
以下に、本発明の固形製剤を詳細に説明する。
本発明の固形製剤における第1および第2の部分(part)は、各々独立した組成物として存在し得る組成物または構成成分(component)を意味する。
【0009】
(1)第1の部分
本発明における第1の部分は、化合物(I)またはその塩と、第1の賦形剤として糖または糖アルコールを含有する部分(組成物)である。
本明細書中、第1の賦形剤として用いられる「糖または糖アルコール」を、単に「第1の賦形剤」と略記することがある。
【0010】
化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0011】
化合物(I)の塩の好適な例としては、安息香酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられ、好ましくは安息香酸との塩が挙げられる。
化合物(I)またはその塩は、好ましくは、化合物(I)の安息香酸塩、化合物(I)のトリフルオロ酢酸塩、または化合物(I)のp−トルエンスルホン酸塩であり、より好ましくは、化合物(I)の安息香酸塩(本明細書中、化合物(IA)と略記することがある)である。
【0012】
化合物(I)またはその塩の含量は、本発明における第1の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜90重量部、より好ましくは0.5〜80重量部、さらに好ましくは1〜70重量部である。
【0013】
第1の賦形剤における糖としては、例えば、乳糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖などが挙げられ、好ましくは、乳糖またはショ糖である。
【0014】
第1の賦形剤における糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどが挙げられ、好ましくは、エリスリトールまたはマンニトールであり、より好ましくは、マンニトールである。
これらの糖または糖アルコールは、単独で用いてもよいし、二種以上を組合わせて用いてもよい。
第1の賦形剤は、好ましくは、乳糖、ショ糖、エリスリトールまたはマンニトールであり、より好ましくは、マンニトールである。
【0015】
本発明における第1の賦形剤の使用量は、上記第1の部分100重量部に対して、好ましくは5〜99重量部、より好ましくは10〜95重量部、さらに好ましくは20〜90重量部である。
【0016】
また、第1の賦形剤に対する化合物(I)またはその塩の重量比(化合物(I)またはその塩:第1の賦形剤)は、好ましくは0.001〜15:1、より好ましくは0.005〜10:1、さらに好ましくは0.01〜5:1である。
【0017】
上記第1の部分は、後述する第2の部分と一緒に固形製剤を形成でき、かつ生体に投与(好ましくは経口投与)可能であれば如何なる形状、大きさであってもよい。また、第1の部分は、如何なる内部構造を有していてもよく、内部が均一であっても不均一であってもよい。
【0018】
上記第1の部分は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば、糖または糖アルコール以外の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤、コーティング基剤、コーティング添加剤などが挙げられる。これら添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。
上記第1の部分は、化合物(I)またはその塩と第1の賦形剤とを、必要により上記添加剤とともに、自体公知の方法に従って混合し、次いで、剤形に応じて、圧縮成形または第2の部分に被覆することによって製造することができる。
【0019】
糖または糖アルコール以外の賦形剤の好適な例としては、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;無水リン酸カルシウム、結晶セルロース(例、微結晶セルロース)、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらのなかでも、結晶セルロースが好ましい。
該糖または糖アルコール以外の賦形剤の使用量は、上記第1の部分100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。
【0020】
崩壊剤の好適な例としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。これらのなかでも、クロスカルメロースナトリウムが好ましい。
該崩壊剤の使用量は、上記第1の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
【0021】
結合剤の好適な例としては、結晶セルロース(例、微結晶セルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース[例、グレード:L、SL、SL−T、SSL(商品名);日本曹達(株)]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[例、TC−5(グレード:MW、E、EW、R、RW)(商品名);信越化学(株)]、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムなどが挙げられる。これらのなかでも、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
該結合剤の使用量は、上記第1の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。
【0022】
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。これらのなかでも、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
該滑沢剤の使用量は、上記第1の部分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。
【0023】
着色剤の好適な例としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。
【0024】
pH調整剤の好適な例としては、クエン酸またはその塩、リン酸またはその塩、炭酸またはその塩、酒石酸またはその塩、フマル酸またはその塩、酢酸またはその塩、アミノ酸またはその塩などが挙げられる。
界面活性剤の好適な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0025】
安定化剤の好適な例としては、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
酸味料の好適な例としては、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
【0026】
香料の好適な例としては、メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
【0027】
流動化剤の好適な例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられる。
【0028】
コーティング基剤の好適な例としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0029】
糖衣基剤としては、白糖が用いられる。さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
【0030】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース[例、グレード:L、SL、SL−T、SSL(商品名);日本曹達(株)]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[例、TC−5(グレード:MW、E、EW、R、RW)(商品名);信越化学(株)]、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE[オイドラギットE(商品名)]、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0031】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL[オイドラギットL(商品名)]、メタアクリル酸コポリマーLD[オイドラギットL−30D55(商品名)]、メタアクリル酸コポリマーS[オイドラギットS(商品名)]などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0032】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS[オイドラギットRS(商品名)]、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液[オイドラギットNE(商品名)]などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
【0033】
コーティング添加剤の好適な例としては、酸化チタンなどの遮光剤、タルクなどの流動化剤、および/または三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などの着色剤;ポリエチレングリコール[例、マクロゴール6000(商品名)]、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸;などが挙げられる。
【0034】
上記した添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
上記第1の部分は、好ましくは、化合物(I)またはその塩(好ましくは化合物(I)の安息香酸塩);第1の賦形剤(好ましくはマンニトール);糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース);崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム);結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース);および滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)を含有する。
【0035】
(2)第2の部分
本発明における第2の部分とは、ピオグリタゾンまたはその塩と、第2の賦形剤として糖または糖アルコールを含む部分(組成物)である。
本明細書中、第2の賦形剤として用いられる「糖または糖アルコール」を、単に「第2の賦形剤」と略記することがある。
【0036】
ピオグリタゾンの塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。これらの塩としては、上記化合物(I)の塩として例示したものが用いられる。
【0037】
ピオグリタゾンの塩の好適な例としては、塩酸との塩が挙げられる。
ピオグリタゾンまたはその塩としては、塩酸ピオグリタゾンが好ましい。
【0038】
当該ピオグリタゾンまたはその塩の含量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部、より好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部である。
【0039】
第2の賦形剤における糖および糖アルコールとしては、それぞれ第1の賦形剤における糖および糖アルコールとして例示したものが用いられる。
第2の賦形剤は、好ましくは、乳糖、ショ糖、エリスリトール、マンニトールであり、より好ましくは、乳糖、マンニトールである。
【0040】
本発明における第2の賦形剤の使用量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは5〜99重量部、より好ましくは10〜95重量部、さらに好ましくは20〜90重量部である。
【0041】
また、第2の賦形剤に対するピオグリタゾンまたはその塩の重量比(ピオグリタゾンまたはその塩:第2の賦形剤)は、好ましくは0.001〜30:1、より好ましくは0.005〜10:1、さらに好ましくは0.01〜1:1である。
【0042】
上記第2の部分は、前述した第1の部分と一緒に固形製剤を形成でき、かつ生体に投与(好ましくは経口投与)可能であれば如何なる形状、大きさであってもよい。また、第2の部分は、如何なる内部構造を有していてもよく、内部が均一であっても不均一であってもよい。
【0043】
上記第2の部分は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよく、公知の方法に従って製造することができる。該添加剤としては、上記第1の部分で述べたもの(例えば、糖または糖アルコール以外の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤、コーティング基剤、コーティング添加剤など)が挙げられる。これら添加剤は、特に述べない限り、製剤分野において慣用の量が用いられる。
【0044】
上記第2の部分は、ピオグリタゾンまたはその塩と第2の賦形剤とを、必要により上記添加剤とともに、自体公知の方法に従って混合し、次いで剤形に応じて、圧縮成形または第1の部分に被覆することによって製造することができる。
【0045】
ここで、第2の部分における糖または糖アルコール以外の賦形剤の使用量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部である。
【0046】
第2の部分における崩壊剤の使用量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
【0047】
第2の部分における結合剤の使用量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0048】
第2の部分における滑沢剤の使用量は、上記第2の部分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0049】
第2の部分におけるその他の添加剤の使用量は、それぞれ、製剤分野で慣用の量が用いられる。
【0050】
上記第2の部分は、好ましくは、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸ピオグリタゾン);第2の賦形剤(好ましくは乳糖またはマンニトール);および結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)を含有する。
【0051】
本発明の固形製剤における、第1の部分に対する第2の部分の重量比(第2の部分:第1の部分)は、好ましくは0.01〜100:1、より好ましくは0.05〜10:1、さらに好ましくは0.1〜5:1である。
【0052】
また、化合物(I)およびピオグリタゾンは、溶媒和物(例えば、水和物)であっても、無溶媒和物であってもよい。
さらに、化合物(I)は、同位元素(例、H,14C,35S,125I)で標識されていてもよい。
さらに、HをH(D)に変換した重水素変換体でもよい。
【0053】
本発明の固形製剤は、第1の部分と第2の部分とが一体的に成型された製剤であれば特に制限はなく、これらの部分を、必要により上記添加剤とともに、自体公知の方法に従って混合し、圧縮成形するか、または一方の部分に他方の部分を被覆することによって製造することができる。
【0054】
また、本発明の固形製剤は、第1の部分と第2の部分との間に、不活性な中間層を有していてもよい。
【0055】
本発明の固形製剤が中間層を有する場合、中間層は、第1の部分100重量部に対して、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは0.5〜500重量部、さらに好ましくは1〜200重量部の割合で形成される。
【0056】
本発明の固形製剤が、このような中間層を有する場合、活性成分が互いに作用することによる悪影響(経時的な活性成分の分解や活性低下などの保存または化学安定性の低下、経時的な活性成分溶出パターンの変化などの溶出安定性の低下など)をより効果的に抑えることができる。
【0057】
本発明の固形製剤の具体例としては、[1]第1の部分からなる内核および第2の部分からなる外層を含む被覆錠剤(本明細書中、「被覆錠剤(A)」と略記することがある);[2]第2の部分からなる内核および第1の部分からなる外層を含む被覆錠剤(本明細書中、「被覆錠剤(B)」と略記することがある);[3]第1の部分からなる第1層および第2の部分からなる第2層を含む積層錠剤(本明細書中、「積層錠剤(A)」と略記することがある)が例示される。
【0058】
上記被覆錠剤(A)では、第1および第2の賦形剤は、共に、マンニトールが好ましい。
【0059】
本発明の被覆錠剤(A)は、例えば、以下の製造工程にしたがって製造することができる。
【0060】
第1の部分からなる内核は、例えば、化合物(I)またはその塩と第1の賦形剤を、必要に応じて添加剤と共に、造粒することによって製造することができる。また、造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。
該添加剤は、好ましくは、糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース);崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム);結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース);および滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)などである。
【0061】
上記第1の部分からなる内核は、好ましくは、以下の製造工程にしたがって製造することができる。
1)化合物(I)またはその塩(好ましくは化合物(I)の安息香酸塩);第1の賦形剤(好ましくはマンニトール);および糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液を用いて造粒する。
ここで、分散液は、溶液あるいは懸濁液のいずれであってもよく、本明細書中の「分散液」は、溶液および懸濁液のいずれをも含む。
【0062】
2)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)、滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)、および、必要に応じて、糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース)とを混合する。
3)得られた混合物を圧縮成形(好ましくは打錠)する。
【0063】
一方、第2の部分からなる外層は、例えば、ピオグリタゾンまたはその塩と第2の賦形剤を、必要に応じて添加剤と共に、上記第1の部分に適用(apply)することによって製造することができる。
当該適用は、例えば、圧縮成形、コーティングなどによって行われる。また、該添加剤は、好ましくは結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)などである。
【0064】
上記第2の部分からなる外層は、好ましくは、以下の製造工程にしたがって製造することができる。
1)第1の部分からなる内核を、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)、第2の賦形剤(好ましくはマンニトール)および結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液を用いてコーティングする。
【0065】
被覆錠剤(A)を製造する際、内核と外層の直接接触を回避することを目的として、これらの間に不活性な中間層を設けることが好ましい。該中間層は、例えば、上記したコーティング基剤およびコーティング添加剤を含有する。該中間層は、好ましくは、水溶性フィルムコーティング基剤(好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)および流動化剤(好ましくは、タルク)を含有する。
【0066】
上記被覆錠剤(A)において、外層は、内核100重量部に対して、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは1〜300重量部、さらに好ましくは10〜100重量部の割合で形成される。
【0067】
また、上記被覆錠剤(A)において、中間層は、内核100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の割合で形成される。
【0068】
上記被覆錠剤(B)では、第1の賦形剤がマンニトール、第2の賦形剤が乳糖であることが好ましい。
【0069】
上記被覆錠剤(B)は、内核として第2の部分を、外層として第1の部分を用いる以外は、被覆錠剤(A)と同様にして製造することができる。
上記被覆錠剤(B)において、外層は、内核100重量部に対して、好ましくは1〜300重量部、より好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜80重量部の割合で形成される。
【0070】
上記積層錠剤(A)に関して、第1の賦形剤がマンニトール、第2の賦形剤が乳糖であることが好ましい。
【0071】
積層錠剤(A)は、例えば、以下の製造工程にしたがって製造することができる。
化合物(I)またはその塩と第1の賦形剤とを、必要に応じて添加剤と混合し、得られた混合物を造粒することにより、第1層を製造する。造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。
次いで、ピオグリタゾンまたはその塩と第2の賦形剤とを、必要に応じて添加剤と共に混合し、得られた混合物を上記第1層に層を形成するように積み重ねて、圧縮成形(好ましくは打錠)する。
この際、各層の直接接触を回避するために、各層の間に不活性な中間層を設けてもよい。該中間層は、例えば、上記した結合剤を含有する。
【0072】
積層錠剤(A)は、好ましくは、以下の製造工程にしたがって製造することができる。
1)化合物(I)またはその塩(好ましくは化合物(I)の安息香酸塩);第1の賦形剤(好ましくはマンニトール);および糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液を用いて造粒する。
2)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)、滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)、および、必要に応じて、糖または糖アルコール以外の賦形剤(好ましくは結晶セルロース)、とを混合して、顆粒を得る。
3−1)ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸ピオグリタゾン);第2の賦形剤(好ましくは乳糖);および崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液を用いて造粒する。
3−2)得られた造粒物を、さらに結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)および第2の賦形剤(好ましくは乳糖)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液を用いて造粒する。
4)造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)および滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)とを混合して、顆粒を得る。
5)上記4)で得た顆粒と上記2)の顆粒を、層状に積み重ねて圧縮成形(好ましくは打錠)する。
上記工程における分散液は、溶液あるいは懸濁液のいずれであってもよい。
各活性成分の溶出速度を調節し、かつ活性成分が互いに作用することによる悪影響を抑えるためには、上記3−2)の工程が特に重要である。
【0073】
上記積層錠剤(A)において、第2層は、第1層100重量部に対して、好ましくは1〜1000重量部、より好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜300重量部の割合で形成される。
また、上記積層錠剤(A)において、中間層は、第1層100重量部に対して、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは0.5〜500重量部、さらに好ましくは1〜200重量部の割合で形成される。
【0074】
上記被覆錠剤(A)または(B)あるいは積層錠剤(A)を、カプセル(例、ゼラチンカプセル)に充填することによって製造されるカプセル剤も本発明の固形製剤に含まれる。
本発明の固形製剤は、好ましくは、被覆錠剤(A)および積層錠剤(A)であり、より好ましくは積層錠剤(A)である。
【0075】
また、上記被覆錠剤(A)または(B)や積層錠剤(A)を、上記コーティング剤およびコーティング添加剤によってフィルムコーティングすることによって製造されるフィルムコーティング製剤も本発明の固形製剤に含まれる。
【0076】
また、本発明の固形製剤には、識別性のための刻印あるいは文字を印刷してあってもよく、分割用の割線を付してあってもよい。
【0077】
本発明の固形製剤は、服用性、製剤強度などの観点から、フィルムコーティングされていることが好ましい。
前記製造工程において、混合、圧縮成形、コーティングなどの操作は、製剤技術分野において慣用の方法にしたがって行われる。
【0078】
混合は、例えば、V型混合機、タンブラー混合機などの混合機;および高速攪拌造粒機、流動層造粒乾燥機、押し出し造粒機、ローラーコンパクターなどの造粒機を用いて行われる。
【0079】
圧縮成形は、例えば、単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いて行われる。
なお、単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いる際には、通常1〜35kN/cm(好ましくは5〜35kN/cm)の打錠圧を採用することが好ましく、さらに、キャッピング防止を目的として、テーパー形状の臼を用いることが好ましい。
【0080】
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置などを用いて行われる。
【0081】
本発明の固形製剤は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的あるいは非経口的に安全に投与することができる。
【0082】
本発明の固形製剤および該固形製剤に含まれる各活性成分は、例えば、糖尿病[例、1型糖尿病、2型糖尿病、1.5型糖尿病(LADA(Latent Autoimmune Diabetes in Adults))、妊娠糖尿病、インスリン分泌不全型糖尿病、肥満型糖尿病、耐糖能不全(IGT(Impaired Glucose Tolerance))、IFG(Impaired Fasting Glucose)、IFG(Impaired Fasting Glycaemia)]、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、動脈硬化症、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]、肥満症、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症)、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、代謝不全症候群(Dysmetabolic syndrome)などの予防または治療に有用である。また、本発明の固形製剤は、上記した各種疾患の2次予防(例、心筋梗塞などの心血管イベントの2次予防)または進展抑制[例、耐糖能不全から糖尿病への進展抑制;糖尿病から糖尿病性合併症(好ましくは、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、動脈硬化症)への進展抑制]にも有用である。
【0083】
本発明の固形製剤の投与量は、該固形製剤に含まれる化合物(I)およびピオグリタゾンとしての有効量であればよい。
【0084】
ここで、化合物(I)またはその塩の有効量は、例えば、成人(体重60kg)1人あたり、通常、化合物(I)(フリー体)として、1〜1000mg/日、好ましくは1〜100mg/日、より好ましくは10〜30mg/日、さらにより好ましくは12.5〜25mg/日である。
【0085】
ピオグリタゾンまたはその塩の場合、その有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常、ピオグリタゾン(フリー体)として、5〜100mg/日、好ましくは7.5〜60mg/日、より好ましくは15〜60mg/日である。
【0086】
本発明の固形製剤の前記哺乳動物への1日あたりの投与回数は、好ましくは1日1〜3回、さらに好ましくは1日1回である。とりわけ、本発明の固形製剤は、哺乳動物に対し、朝食前に1回投与されることが好ましい。
【0087】
本発明の固形製剤の特に好ましい具体例としては、
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)34mg(化合物(I)として25mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)34mg(化合物(I)として25mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(外層)49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)および化合物(I)の安息香酸塩(内核)34mg(化合物(I)として25mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン(内核)49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)および化合物(I)の安息香酸塩(外層)68mg(化合物(I)として50mg)を含有する被覆錠剤」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)および化合物(I)の安息香酸塩17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する積層錠」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.6mg(ピオグリタゾンとして30mg)および化合物(I)の安息香酸塩17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する積層錠」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)および化合物(I)の安息香酸塩17mg(化合物(I)として12.5mg)を含有する積層錠」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)および化合物(I)の安息香酸塩34mg(化合物(I)として25mg)を含有する積層錠」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)および化合物(I)の安息香酸塩34mg(化合物(I)として25mg)を含有する積層錠」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)および化合物(I)の安息香酸塩34mg(化合物(I)として25mg)を含有する積層錠」;
が挙げられる。
【0088】
本発明の固形製剤は、第2の賦形剤(糖または糖アルコール)の種類や量などを変化させることによって、かつ/あるいは、ピオグリタゾンまたはその塩の含有量を変化させることによって、固形製剤からのピオグリタゾンまたはその塩の溶出速度を制御することができるという製剤設計上の利点を有する。
【0089】
本発明の固形製剤および該固形製剤に含まれる各活性成分は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗血栓剤などから選ばれる1以上の薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。
【0090】
糖尿病治療剤としては、例えば、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS-1)、経口インスリン製剤)、ピオグリタゾン以外のインスリン抵抗性改善剤(例、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、テサグリタザール(Tesaglitazar)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)、ムラグリタザール(Muraglitazar)、エダグリタゾン(Edaglitazone)、メタグリダセン(Metaglidasen)、ナベグリタザール(Naveglitazar)、AMG-131、THR-0921)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物]、化合物(I)以外のジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、T-6666、TS-021)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、GPR40アゴニスト、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP-1、GLP-1MR剤、NN-2211、AC-2993(exendin-4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLUT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T-1095)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro-28-1675)、GIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)等が挙げられる。
【0091】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT-112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、神経再生促進薬(例、Y-128)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、N-フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、ALT-711、EXO-226、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ-1(ASK-1)阻害薬が挙げられる。
高脂血症治療剤としては、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、ラパキスタットアセテート(lapaquistat acetate))、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))等が挙げられる。
【0092】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載の化合物);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778);グレリン拮抗薬)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、セティリスタット)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL-15849)、摂食抑制薬(例、P-57)等が挙げられる。
【0093】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0094】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride))等が挙げられる。
上記併用薬剤のなかでも、インスリン製剤、α−グルコシダーゼ阻害剤(好ましくは、ボグリボース、アカルボース)、ビグアナイド剤(好ましくは、塩酸メトホルミン)、およびスルホニルウレア剤(好ましくは、グリメピリド)が好ましい。
【0095】
本発明の固形製剤と併用薬剤とを組み合わせて用いる場合、これらの投与時期は限定されず、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
また、投与対象に対して、本発明の固形製剤と併用薬剤とを別々の製剤として投与してもよく、本発明の固形製剤と併用薬剤とを含む単一の製剤として投与してもよい。
【0096】
併用薬剤の投与量は、各薬剤の臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の固形製剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明の固形製剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
【0097】
このように、併用薬剤を用いることにより、1)本発明の固形製剤または併用薬剤の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の固形製剤または併用薬剤の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の固形製剤または併用薬剤の二次的な作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
【0098】
以下に、実施例、比較例および実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、製剤添加物としては、日本薬局方第15改正、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格2003の収載品を用いた。
【実施例】
【0099】
実施例1
表1に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(34310g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2190g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;26520g)、マンニトール(32370g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0100】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(20330g)、乳糖(30520g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0101】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0102】
(4) 精製水(3500g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);390g)とタルク(60g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(750g)に、酸化チタン(35g)、三二酸化鉄(15g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(250g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−650、(株)パウレック)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例2
表2に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(7480g)、マンニトール(50600g)及び微結晶セルロース(11550g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(67380g)に、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒とした。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を25mg含有する裸錠を得た。
【0105】
(2) 精製水(36340g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5771g)とタルク(641.3g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0106】
(3) 精製水(128200g)に塩酸ピオグリタゾン(6360g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);384.8g)、マンニトール(12490g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり150mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0107】
(4) 精製水(30550g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5131g)とマクロゴール6000(1026g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(8208g)に、酸化チタン(478.8g)、三二酸化鉄(205.2g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0108】
【表2】

【0109】
実施例3
表3に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(B)を製造した。
(1) 精製水(7050g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);450g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(FD−S2、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(4959g)、乳糖(11451g)及びカルメロースカルシウム(540g)を均一に混合後、結合液(I)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、ピオグリタゾンを含む造粒末を得た。得られた造粒末(3バッチ)の一部をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(46980g)に、カルメロースカルシウム(1458g)及びステアリン酸マグネシウム(162g)を加え、タンブラー混合機(TM20−0−0、末広化工機)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒を、ロータリー式打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で7.5mmφの杵を用いて重量180mgで打錠し、1錠当たりピオグリタゾンを45mg含有する裸錠を得た。
【0110】
(2) 精製水(450g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);45g)とマクロゴール6000(5g)を溶解してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(HC−LABO、(株)フロイント産業)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0111】
(3) 精製水(2000g)に化合物(IA)(272g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);24g)、マンニトール(104g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(HC−LABO、(株)フロイント産業)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり100mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)50mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(B)を得た。
【0112】
【表3】

【0113】
実施例4
表4に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(3740g)、マンニトール(54340g)及び微結晶セルロース(3850g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60130g)に、微結晶セルロース(7245g)、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を12.5mg含有する裸錠を得た。
【0114】
(2) 精製水(36340g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5771g)とタルク(641.3g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0115】
(3) 精製水(106400g)に塩酸ピオグリタゾン(2069g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);375.5g)、マンニトール(15580g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり150mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0116】
(4) 精製水(29640g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5131g)とマクロゴール6000(1026g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(9120g)に、酸化チタン(663.5g)、黄色三二酸化鉄(20.52g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧して、被覆錠剤(III)を得た。
【0117】
(5) 精製水(16630g)にマクロゴール6000(1848g)を溶解してコーティング液(IV)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(4)で得た被覆錠剤(III)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり0.25mg増加するまでコーティング液(IV)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0118】
【表4】

【0119】
実施例5
表5に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(3740g)、マンニトール(54340g)及び微結晶セルロース(3850g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60130g)に、微結晶セルロース(7245g)、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を12.5mg含有する裸錠を得た。
【0120】
(2) 精製水(36340g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5771g)とタルク(641.3g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0121】
(3) 精製水(106400g)に塩酸ピオグリタゾン(4139g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);375.5g)、マンニトール(13510g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり150mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0122】
(4) 精製水(29640g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5131g)とマクロゴール6000(1026g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(9120g)に、酸化チタン(663.5g)、黄色三二酸化鉄(14.36g)および三二酸化鉄(6.156g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧して、被覆錠剤(III)を得た。
【0123】
(5) 精製水(16630g)にマクロゴール6000(1848g)を溶解してコーティング液(IV)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(4)で得た被覆錠剤(III)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり0.25mg増加するまでコーティング液(IV)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン30mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0124】
【表5】

【0125】
実施例6
表6に示す処方に従って、実施例4と同様の方法で、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0126】
【表6】

【0127】
実施例7
表7に示す処方に従って、実施例4と同様の方法で、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0128】
【表7】

【0129】
実施例8
表8に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(7480g)、マンニトール(50600g)及び微結晶セルロース(3850g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60130g)に、微結晶セルロース(7245g)、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を25mg含有する裸錠を得た。
【0130】
(2) 精製水(36340g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5771g)とタルク(641.3g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0131】
(3) 精製水(106400g)に塩酸ピオグリタゾン(4139g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);375.5g)、マンニトール(13510g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり150mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0132】
(4) 精製水(29640g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5131g)とマクロゴール6000(1026g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(9120g)に、酸化チタン(615.6g)、黄色三二酸化鉄(47.88g)および三二酸化鉄(20.52g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧して、被覆錠剤(III)を得た。
【0133】
(5) 精製水(16630g)にマクロゴール6000(1848g)を溶解してコーティング液(IV)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(4)で得た被覆錠剤(III)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり0.25mg増加するまでコーティング液(IV)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン30mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0134】
【表8】

【0135】
実施例9
表9に示す処方に従って、実施例4と同様の方法で、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0136】
【表9】

【0137】
実施例10
表10に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;13260g)、マンニトール(45630g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0138】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(6777g)、乳糖(44070g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0139】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0140】
(4) 精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(169.8g)、黄色三二酸化鉄(5.25g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0141】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0142】
【表10】

【0143】
実施例11
表11に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;13260g)、マンニトール(45630g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0144】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(13550g)、乳糖(37290g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0145】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0146】
(4) 精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(169.8g)、黄色三二酸化鉄(3.675g)および三二酸化鉄(1.575g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0147】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン30mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0148】
【表11】

【0149】
実施例12
表12に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;13260g)、マンニトール(45630g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0150】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(20330g)、乳糖(30520g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0151】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0152】
精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(157.5g)、三二酸化鉄(17.50g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0153】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0154】
【表12】

【0155】
実施例13
表13に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;26520g)、マンニトール(32370g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0156】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(6777g)、乳糖(44070g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0157】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0158】
(4) 精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(157.5g)、黄色三二酸化鉄(17.5g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0159】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0160】
【表13】

【0161】
実施例14
表14に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;26520g)、マンニトール(32370g)及び微結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、微結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0162】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(13550g)、乳糖(37290g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0163】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0164】
(4) 精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(157.5g)、黄色三二酸化鉄(12.25g)および三二酸化鉄(5.25g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0165】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン30mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0166】
【表14】

【0167】
実施例15
表15に示す処方に従って、本発明の積層錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(35250g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2250g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(化合物(I)の安息香酸塩;26520g)、マンニトール(32370g)及び結晶セルロース(3900g)を均一に混合した後、結合液(I)(32500g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60180g)に、結晶セルロース(7250g)、クロスカルメロースナトリウム(4350g)及びステアリン酸マグネシウム(725g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒(I)を得た。
【0168】
(2) 精製水(34290g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1802g)を溶解して結合液(II)を調製した。精製水(73320g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);1976g)を溶解し、さらに乳糖(18720g)を分散して懸濁液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、塩酸ピオグリタゾン(20330g)、乳糖(30520g)及びクロスカルメロースナトリウム(2706g)を均一に混合し、結合液(II)(27920g)を噴霧しながら造粒した後、さらに懸濁液(I)(74130g)を噴霧し、ついで乾燥することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)及びステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合することにより、顆粒(II)を得た。
【0169】
(3) 顆粒(I)(100mg)及び顆粒(II)(180mg)を、ロータリー式打錠機(アクア08242L2JI、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて積層状に成型し、素錠を得た。
【0170】
(4) 精製水(12250g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 RW、信越化学工業(株);1365g)とタルク(210g)を分散して分散液(I)を調製した。精製水(2625g)に、酸化チタン(122.5g)、三二酸化鉄(52.5g)を分散して分散液(II)を調製した。分散液(I)に分散液(II)および精製水(875g)を加え、撹拌機(LR400D、ヤマト科学)で撹拌混合し、コーティング液(I)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)を用いて、(3)で得た素錠に、該素錠の重量が1錠当たり10mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、積層錠剤(I)を得た。
【0171】
(5) 精製水(1710g)にマクロゴール6000(90g)を溶解してコーティング液(II)を調製した。コーティング機(HCF(S)−100N、(株)フロイント産業)内で、(4)で得た積層錠剤(I)に、該積層錠剤の重量が1錠当たり0.15mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧することにより、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、積層錠剤(A)を得た。
【0172】
【表15】

【0173】
実施例16
表16に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(3740g)、マンニトール(54340g)及び微結晶セルロース(3850g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60130g)に、微結晶セルロース(7245g)、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を12.5mg含有する裸錠を得た。
【0174】
(2) 精製水(36550g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5805g)とタルク(645.0g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0175】
(3) 精製水(136000g)に塩酸ピオグリタゾン(5290g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);480.0g)、マンニトール(17270g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり75mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0176】
(4) 精製水(35200g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5760g)とマクロゴール6000(1152g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(8320g)に、酸化チタン(745.0g)、黄色三二酸化鉄(23.04g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり12mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧して、1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0177】
【表16】

【0178】
実施例17
実施例16と同様の方法を用いて、表17の処方に従って1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン15mgを含有する、被覆錠剤(A)を得ることができる。
【0179】
【表17】

【0180】
実施例18
表18に示す処方に従って、本発明の被覆錠剤(A)を製造した。
(1) 精製水(38540g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);2460g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(WSG−60、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(7480g)、マンニトール(50600g)及び微結晶セルロース(3850g)を均一に混合した後、結合液(I)(33000g)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−7S、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(60130g)に、微結晶セルロース(7245g)、クロスカルメロースナトリウム(4347g)及びステアリン酸マグネシウム(724.5g)を加え、タンブラー混合機(TM−400S、昭和化学機械工作所)で混合して、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(アクエリアス0836SS2JII、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠して、1錠当たり化合物(I)を25mg含有する裸錠を得た。
【0181】
(2) 精製水(36550g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 EW、信越化学工業(株);5805g)とタルク(645.0g)を溶解・懸濁してコーティング液(I)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(1)で得た裸錠に、該裸錠の重量が1錠当たり15mg増加するまでコーティング液(I)を噴霧して、被覆錠剤(I)を得た。
【0182】
(3) 精製水(235000g)に塩酸ピオグリタゾン(12950g)、ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL-T、日本曹達(株);1175g)、マンニトール(42790g)を溶解・懸濁して、コーティング液(II)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(2)で得た被覆錠剤(I)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり225mg増加するまでコーティング液(II)を噴霧して、被覆錠剤(II)を得た。
【0183】
(4) 精製水(36080g)にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(TC-5 EW、信越化学工業(株);5940g)とマクロゴール6000(1188g)を溶解してHPMC溶液(I)を調製した。精製水(8800g)に、酸化チタン(554.4g)、三二酸化鉄(237.6g)を分散して分散液(I)を得た。HPMC溶液(I)に分散液(I)を加え、撹拌機(MXD−2302、佐竹化学機械)で撹拌混合し、コーティング液(III)を調製した。コーティング機(DRC−1200DS、(株)パウレック)内で、(3)で得た被覆錠剤(II)に、該被覆錠剤の重量が1錠当たり18mg増加するまでコーティング液(III)を噴霧して、1錠当たり、化合物(I)25mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(A)を得た。
【0184】
【表18】

【0185】
実施例19
実施例18と同様の方法を用いて表19の処方に従って1錠当たり、化合物(I)12.5mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、被覆錠剤(A)を得ることができる。
【0186】
【表19】

【0187】
比較例1
化合物(IA)を50mg秤量した。
【0188】
比較例2
化合物(IA)800mgと塩酸ピオグリタゾン 793.44mgを乳棒、乳鉢で均一に混合し、化合物(IA)/塩酸ピオグリタゾン(1:1)混合物を得た。
【0189】
比較例3
化合物(IA)1200mgと乳糖 6000mgを乳棒、乳鉢で均一に混合し、化合物(IA)/乳糖(1:5)混合物を得た。
【0190】
比較例4
表20に示す処方に従って、化合物(I)およびピオグリタゾンを含有する単層錠剤(A)を製造した。
【0191】
精製水(206.8g)にヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株);13.2g)を溶解して結合液(I)を調製した。流動層造粒乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で、化合物(IA)(109.1g)、塩酸ピオグリタゾン(149.6g)、乳糖(169.4g)及び微結晶セルロース(52.8g)を均一に混合後、結合液(I)を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末の一部をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)および1.5mmφパンチングスクリーンを用いて解砕して整粒末を得た。得られた整粒末の一部(449.2g)に、クロスカルメロースナトリウム(28.8g)及びステアリン酸マグネシウム(2g)を加えて、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合し、顆粒を得た。得られた顆粒をロータリー式打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて重量240mgで打錠し、1錠当たり、化合物(I)50mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、単層錠剤(A)を得た。
【0192】
【表20】

【0193】
比較例5
表21に示す処方に従って、賦形剤としてマンニトールを用いる以外、比較例4と同様の方法により、1錠当たり、化合物(I)50mgおよびピオグリタゾン45mgを含有する、単層錠剤(B)を製造した。
【0194】
【表21】

【0195】
実験例1
比較例1の化合物(IA)(50mg)、比較例2の混合物(99.59mg)、ならびに実施例1および実施例2の錠剤を、40℃75%RHにてガラス瓶開栓または60℃にてガラス瓶密栓の条件下で保存し、化合物(IA)として残存する安息香酸量を測定することにより、化学安定性を評価した。結果を表22に示す。
【0196】
【表22】

【0197】
表22に示されるとおり、本発明の錠剤は、化学安定性に優れることが示された。
【0198】
実験例2
比較例3の混合物(408mg)、ならびに比較例4、実施例1および実施例2の錠剤を、各々、60℃ガラス瓶密栓の条件下で保存した後、化合物(I)に由来する総類縁物質(化合物(I)のデスメチル体、ジベンジル体、ダイマー等の合計)量を測定した。結果を表23に示す。
【0199】
【表23】

【0200】
表23に示されるとおり、本発明の錠剤は、化学安定性に優れることが示された。
【0201】
実験例3
比較例5、実施例1、実施例2および実施例3の錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0、900mL)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表24に示す。表中の値は、各々、錠剤3〜6個の溶出率の平均値を示す。
【0202】
【表24】

【0203】
表24に示されるとおり、本発明の錠剤は、保存の前後で、ピオグリタゾンの溶出性に優れることが示された。
【0204】
実験例4
実施例1、実施例2および実施例3の錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0、900mL)を用いたパドル法(50rpm)により、化合物(I)の溶出性を評価した。結果を表25に示す。表中の値は、各々、錠剤3個の溶出率の平均値を示す。
【0205】
【表25】

【0206】
表25に示されるとおり、本発明の錠剤は、保存の前後で、化合物(I)の溶出性に優れることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明の固形製剤は、糖尿病治療薬などとして有用であり、優れた溶出性と化学安定性と溶出安定性を兼ね備えている。
【0208】
本出願は、日本で出願された特願2007−023594を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の第1および第2の部分を含む固形製剤:
(1)2−[[6−[(3R)−3−アミノ−1−ピペリジニル]−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−1(2H)−ピリミジニル]メチル]−ベンゾニトリルまたはその塩と、第1の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第1の部分;および(2)ピオグリタゾンまたはその塩と、第2の賦形剤として糖または糖アルコールを含む、第2の部分。
【請求項2】
糖または糖アルコールが、乳糖、ショ糖、エリスリトールまたはマンニトールである、請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
第1および第2の賦形剤が、マンニトールである、請求項2記載の固形製剤。
【請求項4】
第1の部分からなる内核、および第2の部分からなる外層を含む被覆錠剤である、請求項3記載の固形製剤。
【請求項5】
第1の賦形剤がマンニトールであり、第2の賦形剤が乳糖である、請求項2記載の固形製剤。
【請求項6】
第2の部分からなる内核、および第1の部分からなる外層を含む被覆錠剤である、請求項5記載の固形製剤。
【請求項7】
第1の部分からなる第1層、および第2の部分からなる第2層を含む積層錠剤である、請求項5記載の固形製剤。

【公表番号】特表2010−517937(P2010−517937A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532078(P2009−532078)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/JP2008/051900
【国際公開番号】WO2008/093882
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】