説明

アロファネート基含有ポリイソシアネート

本発明は、イソホロンジイソシアネートをベースとする新規のアロファネート基含有ポリイソシアネート、並びにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソホロンジイソシアネートをベースとする新規のアロファネート基含有ポリイソシアネート、並びにその使用に関する。
【0002】
GB 994890は、金属カルボキシレート、金属キレート及び第三級アミンを用いた、ジイソシアネートとモノ官能性又は多官能性アルコールとからのアロファネートの製造を記載している。明示的に開示されているのは、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応、及びイソホロンジイソシアネートと1,6−ヘキサンジオ−ルとの反応である。
【0003】
EP 194 A1は、酸の触媒作用による、脂肪族又は脂環式イソシアネートからのアロファネート基含有ポリイソシアネートの製造を記載している。このために好ましくは、フェノール性ポリヒドロキシ化合物、1〜4価の脂肪族アルコール、1〜4価の脂環式アルコール、1〜4価の芳香脂肪族アルコール、又は高分子のポリオールのウレタンから出発する。この反応のためのジイソシアネートとしては、脂肪族又は脂環式のジイソシアネート、又はキシレンジイソシアネートが提示されている。
【0004】
EP 194 A1の実施例8は、塩化水素により導入される、イソホロンジイソシアネートと、1,6−ヘキサンジオール及びn−ブタノールとの反応による、アロファネート基含有ポリイソシアネートの形成を明示的に開示している。
【0005】
EP 194 A1によればこの発明で重要なのは、強いプロトン酸を触媒として使用することである。
【0006】
GB 994890から公知の金属カルボキシレート、金属キレート及び第三級アミンは、EP 194 A1の記載によると、所望のアロファネート形成の他に、二量体の、及び第三級のポリイソシアネートの形成につながる。
【0007】
DE 102004015985 A1は、イソシアネートと、モル質量が300〜20000であり、かつ官能価が1.9より大きいポリエーテルポリオールとからのアロファネートプレポリマーの形成を記載している。好ましいイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、及び/又はイソホロンジイソシアネートであり、そして触媒としてはルイス酸又はブレンステッド酸が開示されている。
【0008】
明示的に開示されているのは、官能価が2のポリエーテルを有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする生成物のみである。
【0009】
DE 102004015982 A1は、イソシアネートとポリヒドロキシ化合物とからのアロファネートプレポリマーの安定化を記載している。
【0010】
明示的に開示されているのは、官能価が2のポリエーテルを有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする生成物のみである。
【0011】
DE 102004015983 A1は、Zn触媒を用いた、イソシアネートと平均官能価が>1.5のポリヒドロキシ化合物とから成るアロファネートプレポリマーの製造を記載している。
【0012】
明示的に開示されているのは、官能価が2のポリエーテルを有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする生成物のみである。
【0013】
US 5290902は、10:1〜1:10の比のアロファネートとイソシアヌレートとから成る混合物の製造を開示しており、この際にアルコールとしてはモノアルコールのみが記載されている。
【0014】
従来技術で記載されているこれらすべての化合物にも関わらず、低コストの高官能性ポリイソシアネートに対する需要がなお存在する。
【0015】
本発明の課題は、高い耐引掻性と同時に良好な弾性を有する、塗料用、とりわけクリアコート用の新規の高官能性ポリイソシアネートを提供することであった。加えて、当該生成物は僅少な粘性を有すること、ひいては塗料中でより容易に加工可能であるのが望ましかった。
【0016】
この課題は、式(I)
【化1】

[式中、
aは(k+m)価の基、好ましくは有機基であり、
kは0又は正の数であり、
mは正の数であり、
ただし、(k+m)は全体で少なくとも3の正の数であり、
Yは酸素原子又は窒素原子であり、
iはあらゆるiについて1からnまで相互に独立して、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−、及び−CHPh−CH2−O−から成る群、好ましくは−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、及び−CH(CH3)−CH2−O−から成る群から選択されており、そして特に好ましいのは−CH2−CH2−O−であり、
ここでPhはフェニルであり、かつVinはビニルであり、
nはあらゆるkについて、及びあらゆるmについて相互に独立して0又は正の数を表し、かつ
bはあらゆるk及びあらゆるmについて相互に独立して基
【化2】

を表す]
のアロファネート基含有ポリイソシアネートにより解決された。
【0017】
本発明によるアロファネートの基礎となるアルコールとは、選択的に基Xiを有することのできる(k+m)価のアルコールであり、この際に(k+m)は、本発明によれば少なくとも3、好ましくは3〜6、特に好ましくは3〜4、及び極めて特に好ましくは3である。
【0018】
k、m、及びnの値は、統計的な平均で奇数を取ることがあり得るが、その場合にはもちろん、式(I)のあらゆる各分子に対しては、偶数である。
【0019】
好ましくはm>k、特に好ましくはm≧(k+1)、極めて特に好ましくはk≦0.5、とりわけk≦0.2、そして殊にk=0である。
【0020】
この(k+m)価のアルコールは、分子量が好ましくは500g/mol未満、特に好ましくは400g/mol未満、極めて特に好ましくは350g/mol未満、とりわけ300g/mol未満、及び殊に250g/mol未満である。
【0021】
このようなアルコールRa−(−Y−H)(k+m)[式中、Yは酸素原子を表す]の例は、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイット、エリトリット、アドニット(リビトール)、アラビット(リキシトール)、キシリット、又はズルシット(ガラクチトール)である。
【0022】
好ましくはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、グリセリン及びジグリセロールであり、好ましいのはトリメチロールプロパンとグリセリンであり、そして特に好ましいのはトリメチロールプロパンである。
【0023】
本発明の実施態様では、基Xiが式(I)の化合物中に含まれていない、すなわち、nは0である。
【0024】
本発明のさらなる実施態様では、基Xiが存在しており、かつ式(I)の化合物中の基Xiの総数、すなわちnの値の総和は最大16、好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜8、そして極めて特に好ましくは3〜6である。
【0025】
この実施態様によれば、これはエトキシ化された、及び/又はプロポキシ化されたアルコールであり、好ましいのは完全にエトキシ化されたアルコール又は完全にプロポキシ化されたアルコールであり、そして特に好ましいのは完全にエトキシ化されたアルコールである。
【0026】
この基準を満たすために数nは、あらゆるkとあらゆるmに対して相互に独立して、0又は正の数、例えば0〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4、極めて特に好ましくは1〜3、及びとりわけ1〜2を表す。
【0027】
a−(−Y−[−Xin−H)(k+m)のアルコール[式中、Yは窒素原子を表す]の例は、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、及び1,3,5,トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌール酸であり、好ましいのは、1,3,5,トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌール酸である。この場合、nはその都度1であり、かつXiはその都度−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、若しくは−CH(CH3)−CH2−O−である。
【0028】
基Rbはモノマーのイソホロンジイソシアネートから誘導され、この際に本発明によれば二次的に重要になるのは、ウレタン基若しくはアロファネート基が第一級又は第二級炭素原子に結合されているかどうかということである。それぞれの反応条件(下記参照)に従って、ウレタン基若しくはアロファネート基の比較的多くが第二級炭素原子に結合されているであろう。E. Spyrou, Farbe und Lack 106, 10/2006, p126-130によれば、例えばウレタン反応の選択性には、様々な触媒により影響を与えることができる。
【0029】
式(I)のアロファネート基含有ポリイソシアネートの数平均分子量Mnは通常、2000g/mol未満、好ましくは1800g/mol未満、特に好ましくは1500g/mol未満、極めて特に好ましくは1200g/mol未満、及びとりわけ1100g/mol未満である。
【0030】
NCO含有率(モル質量42g/molのNCOとして計算)は通常、5質量%より多く、好ましくは6質量%より多く、及び特に好ましくは8質量%より多く、かつ最大17質量%、好ましくは最大15質量%である。
【0031】
アロファネート基の他に、本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートは、二次的な量でさらに他の反応性の基、例えば未反応のヒドロキシ基並びにイソシアヌレート基を有することができる。
【0032】
アロファネート基含有ポリイソシアネートを製造するために、イソホロンジイソシアネート及び相応するアルコキシ化されたアルコールを、溶剤有り又は無しでウレタン化条件で、及び引き続きアロファネート化条件下で相互に反応させる。
【0033】
この反応の際に温度は通常、最大150℃、好ましくは最大120℃、特に好ましくは100℃未満、及び極めて特に好ましくは90℃未満であり、そして大抵は、ウレタン化反応及び/又はアロファネート化反応を触媒作用する少なくとも1つの触媒の存在下で行う。しかしながらウレタン基の形成は、触媒の不存在下でも行うことができる。
【0034】
通常、反応の温度は少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、特に好ましくは少なくとも40℃、及び極めて特に好ましくは少なくとも50℃である。好ましい実施態様では、反応温度は少なくとも80℃である。
【0035】
ここで触媒とは、出発原料中に触媒が存在することによって、同じ出発原料で同一の反応条件下で触媒がない場合よりも、より多くのウレタン基若しくはアロファネート基含有反応生成物につながる化合物である。
【0036】
この触媒は、例えば有機アミン、特に第3級の脂肪族、脂環式又は芳香族アミン、及び/又はルイス酸の有機金属化合物である。ルイス酸有機金属化合物として考慮されるのは例えばスズ化合物であり、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノエート)、及びスズ(II)ジラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズ−ジラウレート、ジブチルスズ−マレエート、ジオクチルスズ−ジラウレート、及びジオクチルスズジアセテートである。加えて亜鉛(II)塩、例えば亜鉛(II)ジオクトエートを使用することもできる。金属錯体、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ジルコン、マンガン、ニッケル、亜鉛、及びコバルトのアセチルアセトネートも考えられる。更なる金属触媒は、Blank et al著、Progress in Organic Coatings, 1999, Vol.35, 19-29ページに記載されている。
【0037】
好ましいルイス酸の有機金属化合物は、ジメチルスズ−ジアセテート、ジブチルスズ−ジブチレート、ジブチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズ−ジラウレート、ジオクチルスズ−ジラウレート、亜鉛(II)ジオクトエート、ジルコン−アセチルアセトネート及びジルコン−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートである。
【0038】
ビスマス触媒とコバルト触媒、並びにセシウム塩も、触媒として使用することができる。この際にセシウム塩として考慮されるのは、以下のアニオン:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、J-、JO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-、並びに(Cn+12n-242-が使用される化合物であり、この際にnは1〜20である。
【0039】
この際に好ましいのは、アニオンが式(Cn2n-12-、並びに(Cn+12n-242-に従う(ただしnは1〜20である)、セシウムカルボキシレートである。特に好ましいセシウム塩はアニオンとして、一般式(Cn2n-12-[式中、nは1〜20の数である]のモノカルボキシレートを有する。ここでとりわけ言及すべきは、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート、及び2−エチルヘキサノエートである。
【0040】
さらに触媒として使用可能なのは:
US-A-3 817 939に記載の式
【化3】

[式中、
Aはヒドロキシ基又は水素原子であり、
nは1〜3の数であり、
Rは線状又は分枝状の、脂肪族又は芳香族の多官能性炭化水素基であり、かつ

はカチオン、例えばアルカリ金属カチオン、又は第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムである]
の有機金属塩であり、並びに式
【化4】

の第四級ヒドロキシアルキルアンモニウム化合物を、
DE-A-26 31 733 (US-A-4 040 992) に記載の触媒(基についての定義はそこに記載された定義の通り)として使用可能である。
【0041】
本方法に触媒として特に適しているのは、式
【化5】

に相応する第四級アンモニウム塩である。

=カルボン酸イオン(R13COO-)、フッ化物イオン(F-)、カルボン酸イオン(R13O(CO)O-)、又は水酸化物イオン(OH-)であり、
-=OH-のものは、米国特許4,324,879に、及びドイツ公開公報 2,806,731及び2,901 ,479に記載されている。
【0042】


は好ましくは、カルボン酸イオン、炭酸イオン、又は水酸化物イオンであり、そして特に好ましいのはカルボン酸イオン又は水酸化物イオンである。
【0043】
この中でR13は、水素、C1〜C20−アルキル、C6〜C12−アリール、又はC7〜C20−アリールアルキルであり、これはそれぞれ選択的に置換されていてよい。
【0044】
13は好ましくは、水素又はC1〜C8−アルキルである。
【0045】
好ましい第四級アンモニウム塩は、基R9〜R12が、同一であるか又は異なって1〜20個、好適には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、これらの基は場合によりヒドロキシ基又はフェニル基によって置換されている。
【0046】
9〜R12のうち2つはまた、窒素原子と、及び場合によりさらなる窒素原子又は酸素原子と共に1つのヘテロ環、五員環、六員環、又は七員環を形成することができる。基R9〜R11はまたあらゆる場合で、第四級窒素原子と、及びさらなる第三級窒素原子と共に二環性のトリエチレンジアミン構造を形成するエチレン基であってもよいが、この場合に前提となるのは、基R12が2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基であり、この際にヒドロキシ基が好適には第四級窒素原子に対して二位に配置されていることである。ヒドロキシ置換された1つの、又は複数の基はまた、他の置換基、例えばC1〜C4−アルコキシ置換基を含むことができる。
【0047】
この際にアンモニウムイオンはまた、単環又は多環構造の一部であってよく、例えばピペラジン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、キヌクリジン、又は1,4−ジ−アザ−ビシクロ−[2.2.2]−オクタンから誘導されていてよい。
【0048】
1〜20個の炭素原子を有する基R9〜R12の例は相互に独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンゾヒドリル、p−トルイルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボンエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシ−プロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、フェニル、トルイル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、ノルボルニル、又はノルボルネニルである。
【0049】
基R9〜R12は相互に独立して、C1〜C4−アルキルであるのが好ましい。R12は、付加的にベンジルであってもよく、又は式
【化6】

[式中、R14とR15は相互に独立して、水素、又はC1〜C4−アルキルであってよい]
の基であってよい。
【0050】
特に好ましい基R9〜R12は、相互に独立して、メチル、エチル、及びn−ブチルであり、そしてR12については加えて、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、及び2−ヒドロキシプロピルである。
【0051】
好ましくは、本発明の方法には以下の触媒を使用することができる:
DE-A-38 06 276に記載の、第四級水酸化アンモニウム、好適にはN,N,N−トリメチル−N−ベンジル水酸化アンモニウム、及びN,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)−水酸化アンモニウム、
EP-A-10 589 (US-A-4 324 879)に記載の、ヒドロキシアルキル置換された第四級水酸化アンモニウム、
US-A-3 817 939に記載の式
【化7】

[式中、Aはヒドロキシ基又は水素であり、nは1〜3の数であり、Rは線状又は分枝状の、脂肪族又は芳香族の多官能性炭化水素基であり、そしてMは強塩基のカチオン、例えばアルカリ金属カチオン又は第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラアルキルアンモニウムである]
の有機金属塩。
【0052】
好ましい触媒は、亜鉛(II)塩、この中でも特に亜鉛アセチルアセトネートである。
【0053】
さらに好ましいのは、前掲のセシウム塩及びビスマス塩である。
【0054】
このような触媒によって、反応の際に現れるポリイソシアネートの形成を抑制することができる。こうして、アロファネート基対イソシアヌレート基の比が少なくとも0.1:1、好ましくは少なくとも0.3:1、特に好ましくは少なくとも0.5:1、極めて特に好ましくは少なくとも1:1、とりわけ少なくとも1.5:1、殊に少なくとも5:1、及びそれどころか10:1である、反応混合物を得ることができる。
【0055】
さらに好ましいのは、ジブチルスズジラウレートである。
【0056】
触媒は活性に従って通常は、使用されるイソシアネート基に対して0.001〜10mol%、好ましくは0.5〜8mol%、特に好ましくは1〜7mol%、及び極めて特に好ましくは2〜5mol%の量で使用される。
【0057】
イソホロンジイソシアネートは大抵、アルコール中のヒドロキシ基に対して少なくとも2倍の等モル化学量論で使用され、アルコール中のヒドロキシ基に対してイソホロンジイソシアネートを好ましくは2.5〜10倍、好ましくは3〜8倍、及び特に好ましくは4〜5倍の過剰量で使用する。
【0058】
イソホロンジイソシアネートの未反応の部分は、反応混合物中に残しておくか、又は好ましくは分離し、好ましくは蒸留により、例えば短路蒸留又は薄膜蒸留によって分離する。
【0059】
反応混合物中の未反応のイソホロンジイソシアネート含分は通常、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、及び特に好ましくは0.3質量%未満である。
【0060】
反応は好ましくは溶剤無しで行うが、少なくとも1つの溶剤の存在下で行うこともできる。同様に、得られる反応混合物は、反応終了後に溶剤中で調製してもよい。
【0061】
溶剤として使用可能なのは、イソシアネート基に対して反応性の基を有さず、かつ当該溶剤中にポリイソシアネートが少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、極めて特に好ましくは少なくとも75質量%、とりわけ少なくとも90質量%、及び殊に少なくとも95質量%溶解する溶剤である。
【0062】
このような溶剤の例は、芳香族(アルキル化されたベンゼン及びナフタリンを含む)の、及び/又は(環式)脂肪族の炭化水素、及びこれらの混合物、塩化炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシ化されたアルカン酸アルキルエステル、エーテル、各溶剤の混合物である。
【0063】
芳香族炭化水素混合物としては、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を含み、かつ110〜300℃の沸点範囲を有することができるようなもの、特に好ましくはトルエン、o−、m−又はp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタリン及びこれらを含む混合物が好ましい。
【0064】
このための例は、Exxon Mobil Chemical社のSolvesso(登録商標)、特にSolvesso(登録商標)100(CAS-No. 64742-95-6、主にC9〜C10−芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)及び200(CAS-No. 64742-94-5)、並びにShell社のShellsol(登録商標)、 Petrochem Carless社の Caromax(登録商標)(例えば、Caromax(登録商標)18)、及びDHC社のハイドロゾル (例えばHydrosol(登録商標) A170)である。パラフィン、シクロパラフィン及び芳香族化合物からなる炭化水素混合物は、商品名Kristalloel(例えばKristalloel 30、沸点範囲約158〜198℃又はKristalloel 60: CAS-No. 64742-82-1)、ホワイトスピリット(例えば同様にCAS-No. 64742-82-1)又はソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90質量%より高く、好ましくは95質量%より高く、特に好ましくは98質量%より高く、さらに特に好ましくは99質量%より高い。特に低いナフタリン含分を有する炭化水素混合物を使用するのが有利であり得る。
【0065】
(環式)脂肪族炭化水素は例えば、デカリン、アルキル化デカリン、及び直鎖状もしくは分枝状のアルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物である。
【0066】
脂肪族炭化水素含分は通常、5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、及び特に好ましくは1質量%未満である。
【0067】
エステルは例えば、n−ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2、及び2−メトキシエチルアセテートである。
【0068】
エーテルは例えば、THF、ジオキサン、並びにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル、又はn−ブチルエーテルである。
【0069】
ケトンは例えば、アセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン、及びt−ブチルメチルケトンである。
【0070】
本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートは例えば、イソシアネートに対して反応性の基を含む少なくとも1つの成分(結合剤)を有する、二成分ポリウレタン塗料での適用が見いだされる。このために前記ポリイソシアネートは、単独で、又は本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートとは異なる他のポリイソシアネートとの混合物中で、架橋性成分として使用することができる。
【0071】
このような他のポリイソシアネートは、モノマーのイソシアネートのオリゴマー化によって得られる。
【0072】
使用されるモノマーのイソシアネートは、芳香族、脂肪族、又は脂環式であってよく、好ましくは脂肪族又は脂環式(これらは本明細書では短く(環式)脂肪族と呼ぶ)であり、特に好ましいのは脂肪族イソシアネートである。
【0073】
芳香族イソシアネートとは、少なくとも1つの芳香族環構造を含むものであり、つまり純粋な芳香族化合物でも、芳香脂肪族化合物でもある。
【0074】
脂環式イソシアネートとは、少なくとも1つの脂環式環構造を含むものである。
【0075】
脂肪族イソシアネートとは、直鎖又は分枝鎖のみを有するイソシアネートである、つまり非環式化合物である。
【0076】
モノマーのイソシアネートは好ましくは、ちょうど2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。しかしながらまた原理的には、1つのイソシアネート基を有するモノイソシアネートであり得る。
【0077】
原理的にはまた、平均で2つより多いイソシアネート基を有するより高級なイソシアネートも考慮される。これに適しているのは例えば、トリイソシアネート、例えばトリイソシアナトノナン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアネート、若しくは2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル、又はジ−、トリ−、及びより高級なポリイソシアネートから成る混合物であり、当該ポリイソシアネートは例えば、相応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られ、かつメチレン架橋を有するポリフェニルポリイソシアネートである。
【0078】
これらのモノマーのイソシアネートは、自身とのイソシアネート基の反応生成物を基本的に有さない。
【0079】
モノマーのイソシアネートは好ましくは、4〜20個のC原子を有するイソシアネートである。通常のジイソシアネートの例は、脂肪族のジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアネート、又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式のジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−、又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−、又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4−、又は2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、並びに3(若しくは4)、8(若しくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−異性体混合物、並びに芳香族ジイソシアネート、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート、及びこれらの異性体混合物、m−、又はp−キシレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、及びこれらの異性体混合物、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、又はジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。
【0080】
特に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、及び4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、極めて特に好ましいのは、イソホロンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、とりわけ好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0081】
前掲のジイソシアネートの混合物が存在していてもよい。
【0082】
イソホロンジイソシアナートは大抵、混合物として、即ち、シス−及びトランス異性体の混合物として存在し、通常は、約60:40〜80:20(w/w)の比、好ましくは約70:30〜75:25の比、及び特に好ましくは約75:25の比の混合物として存在する。
【0083】
ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートは同様に、異なるシス−及びトランス−異性体の混合物として存在することができる。
【0084】
本発明のためには、相応するアミンのホスゲン化により得られるジイソシアネートも、またホスゲンを使用することなく、すなわちホスゲン無しの方法で製造されるジイソシアネートも使用することができる。EP-A-0 126 299 (US 4 596 678)、EP-A-126 300 (US 4 596 679) 、及びEP-A-355 443 (US 5 087 739)の記載によると例えば、(環式)脂肪族のジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、アルキル基中に6個の炭素原子を有する、異性体の脂肪族ジイソシアネート、4,4’−又は2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及び1−イソシアナト−3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート若しくはIPDI)は、反応(環式)脂肪族ジアミンを、例えば尿素及びアルコールと反応させて(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルにし、そしてこのエステルを熱によって相応するジイソシアネートとアルコールに開裂させることにより製造することができる。この合成は大抵は連続的に循環法で、及び場合によりN−非置換のカルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート、及び他の反応工程から返送される副生成物の存在下で行われる。こうして得られるジイソシアネートは通常、非常に僅少な塩化化合物含分を有するか、又はそれどころか測定不能なほどであり、このことは例えば、電気工業における適用で有利である。
【0085】
本発明の実施態様では、使用されるイソシアネートは、加水分解可能な塩素の合計含分が、200ppm未満、好ましくは120ppm未満、特に好ましくは80ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、とりわけ15ppm未満、及び殊に10ppm未満である。これは例えば、ASTM D4663-98のマニュアルによって測定することができる。しかしながらもちろん、塩素含分が比較的高い、例えば最大500ppmのモノマーのイソシアネートを使用することもできる。
【0086】
またもちろん、(環式)脂肪族ジアミンと、例えば尿素及びアルコールとの反応により、及び得られた(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルの開裂により手に入ったモノマーのイソシアネートと、相応するアミンのホスゲン化により手に入ったジイソシアネートとから成る混合物を使用することもできる。
【0087】
モノマーのイソシアネートがオリゴマー化することによってできるポリイソシアネートは通常、以下のように特性決定されている:
このような化合物の平均NCO官能価は通常、少なくとも1.8であり、かつ最大8、好ましくは2〜5、そして特に好ましくは2.4〜4であってよい。
【0088】
オリゴマー化後のイソシアネート基含分は特に記載がなければ、NCO=42g/molとして計算して、通常5〜25質量%である。
【0089】
好ましくは、本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートとは異なる他のポリイソシアネートは、以下の化合物である:
1) 芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートの、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート。この場合特に好ましいのは、相応する脂肪族及び/又は脂環式イソシアナト−イソシアヌレート、及びとりわけ、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートをベースとするものである。この場合に存在するイソシアヌレートはとりわけ、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート若しくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、又は1個より多いイソシアヌレート環を有するそれらのより高級な同族体との混合物である。このイソシアナト−イソシアヌレートは一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、とりわけ15〜25質量%であり、平均NCO官能価は2.6〜8である。
【0090】
2) 芳香族的、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的及び/又は脂環式的に結合した、及びとりわけヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるイソシアネート基を有する、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。
【0091】
ウレトジオン基を有するポリイソシアネートは、本発明の範囲では他のポリイソシアネート、とりわけ1)で挙げたものとの混合物で得られる。このためにジイソシアネートを、ウレトジオン基も他のポリイソシアネートも形成される反応条件下で反応させることができ、又はまずウレトジオン基を形成し、そしてこれを引き続き反応させて他のポリイソシアネートにするか、又はジイソシアネートをまず他のポリイソシアネートにし、そしてこれを引き続き反応させてウレトジオン基含有生成物にすることができる。
【0092】
3) 芳香族的、脂環式的又は脂肪族的に結合した、好ましくは脂環式的又は脂肪族的に結合したイソシアネート基を有する、ビウレット基含有ポリイソシアネート、とりわけトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれらの高級な同族体とのその混合物。このビウレット基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.8〜6である。
【0093】
4) 芳香族的、脂肪族的、又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有する、ウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネート、例えば過剰量のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、一価又は多価のアルコール(A)との反応によるもの。このウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が12〜24質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.5〜4.5である。このようなウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、触媒作用無しで、又は好ましくは触媒、例えばカルボン酸アンモニウム又は水酸化アンモニウムの存在下、又はアロファネート化触媒、例えばZn(II)化合物の存在下で、その都度一価、二価、又は多価の、好ましくは一価のアルコールの存在下で製造することができる。
【0094】
5) オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、好適にはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。このようなオキサジアジントリオン基を含むポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から手に入る。
【0095】
6) イミノオキサジアジンジオン基を含むポリイソシアネート、好適にはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。このようなイミノオキサジアジンを含むポリイソシアネートは、特別な触媒を用いてジイソシアネートから製造可能である。
【0096】
7) ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0097】
8) カルボジイミド変性ポリイソシアネート。
【0098】
9) 超分岐ポリイソシアネート、例えばDE-A1 10013186又はDE-A1 10013187から公知のもの。
【0099】
10) アルコールを有するジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートから得られる、ポリウレタン−ポリイソシアネートのプレポリマー。
【0100】
11) ポリ尿素−ポリイソシアネートのプレポリマー。
【0101】
12) ポリイソシアネート1)〜11)、好ましくは1)、3)、4)、及び6)は製造後に、ビウレット基又はウレタン基/アロファネート基を有し、かつ芳香族的、脂環式的、又は脂肪族的に、好ましくは(環式)脂肪族的に結合したイソシアネート基を有する、ポリイソシアネートに変えることができる。ビウレット基の形成は例えば、水の添加、又はアミンとの反応により行う。ウレタン基及び/又はアロファネート基の形成は、一価、二価、又は三価の、好ましくは一価のアルコールとの反応により、場合により適切な触媒の存在下で行う。このビウレット基、又はウレタン基/アロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.8〜6である。
【0102】
13) 親水性に変性されたポリイソシアネート、すなわち1〜12で記載された基の他に、形式的には、NCO反応性の基及び親水化基を有する分子を、上記分子のイソシアネート基に付加することにより生成する基を含む、ポリイソシアネート。後者に当たるのは、非イオン基、例えばアルキルポリエチレンオキシドであり、及び/又はイオン基、例えばリン酸、ホスホン酸、硫酸、又はスルホン酸、若しくはこれらの塩から誘導されるイオン基である。
【0103】
14) デュアルキュア適用のために変性されたポリイソシアネート、すなわち1〜12で記載された基の他に、形式的には、NCO反応性の基及びUV又は放射線架橋性の基を有する分子を、上記分子のイソシアネート基に付加することにより生成する基を含む、ポリイソシアネート。これらの分子は例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及び他のヒドロキシビニル化合物である。
【0104】
前述のジイソシアネート又はポリイソシアネートはまた、少なくとも部分的にブロックされた形で存在していてもよい。
【0105】
ブロック化のために使用される化合物類は、D. A. Wicks, Z. W. Wicks, Progress in Organic Coatings, 36, 148-172 (1999), 41 , 1-83 (2001 )並びに43, 131-140 (2001 )に記載されている。
【0106】
ブロック化のために使用される化合物類の例は、フェノール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、オキシム、N−ヒドロキシイミド、ヒドロキシコハク酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH酸環式ケトン、マロン酸エステル、又はアルキルアセトアセテートである。
【0107】
本発明の好ましい実施態様においてポリイソシアネートは、イソシアヌレート、ビウレット、ウレタン及びアロファネートから成る群から、好ましくはイソシアヌレート、ウレタン及びアロファネートから成る群から、特に好ましくはイソシアヌレート及びアロファネートから成る群から選択されており、これはとりわけイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0108】
このポリイソシアヌレートは特に好ましい実施態様では、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。
【0109】
このポリイソシアヌレートはさらなる特に好ましい実施態様では、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートと、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートとの混合物である。
【0110】
特に好ましい実施態様においてこのポリイソシアネートは、粘度が600〜1500mPa*s、とりわけ1200mPa*s未満の低粘度のポリイソシアネート、好ましくはイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、粘度が200〜1600mPa*s、とりわけ600〜1500mPa*sの低粘度のウレタン及び/又はアルファネート、及び/又はイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートを含む混合物である。
【0111】
本明細書では特に言及しない場合、円錐−板システム(Kegel-Platte-System)において1000s-1の速度勾配でDIN EN ISO 3219/A.3に従った、23℃での粘度が記載されている。
【0112】
本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートは場合により、少なくとも1つの結合剤を有する架橋剤成分とは異なる他のポリイソシアネートとの混合物で、ポリウレタン塗料中で使用することができる。
【0113】
通常、ポリイソシアネート組成物、つまりイソシアネート基含有化合物の合計に対して、本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートを50〜100質量%、好ましくは50〜90質量%、及び特に好ましくは60〜80質量%を使用し、そして他のポリイソシアネートを0〜50質量%、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%使用する(ただし、合計は常に100質量%である)。
【0114】
結合剤は、例えばポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリ尿素ポリオール;ポリエステルポリアクリレートポリオール;ポリエステルポリウレタンポリオール;ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば様々なガラス温度を有する上記物質群からのグラフトポリマー、並びに上記結合剤の混合物であってよい。好ましいのは、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールである。
【0115】
DIN 53240-2により測定される好ましいOH価は、ポリエステルに対しては固体樹脂1gあたり40〜350mgKOH、好ましくは固体樹脂1gあたり80〜180mgKOH、及びポリアクリレートオールに対しては固体樹脂1gあたり15〜250mgKOH、好ましくは80〜160mgKOH/gである。
【0116】
加えて結合剤は、DIN EN ISO 3682に従った酸価が、〜200mgKOH/g、好ましくは150KOH/g、及び特に好ましくは100mgKOH/gである。
【0117】
ポリアクリレートポリオールは好ましくは、分子量Mnが少なくとも1000g/mol、特に好ましくは少なくとも2000g/mol、及び極めて特に好ましくは少なくとも5000g/molである。モル質量Mnは原理的に上限には縛られないが、好ましくは最大200,000g/mol、特に好ましくは最大100,000g/mol、極めて特に好ましくは最大80,000g/mol、及びとりわけ最大50,000g/molであってよい。
【0118】
後者に挙げられるのは例えば、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本明細書では「(メタ)アクリル酸」と呼ぶ)と、好適には2〜20個のC原子を有し、かつ少なくとも2つのヒドロキシ基を有するジオール又はポリオールとのモノエステルであり、当該ジオール又はポリオールは例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1−2、1,3−、及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−、1,3−、又は1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリット、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイット、エリトリット、アドニット(リビトール)、アラビット(リキシトール)、キシリット、ズルシット(ガラクチトール)、マルチット、イソマルト、モル質量が162〜4500、好ましくは250〜2000のポリTHF、ポリ−1,3−プロパンジオール、又はモル質量が134〜2000のポリプロピレングリコール、又はモル質量が238〜2000のポリエチレングリコールであってよい。
【0119】
好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、又は3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートであり、そして特に好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0120】
ヒドロキシ基を有するモノマーは、他の重合可能な、好ましくはラジカル重合可能なモノマーとの混合物で共重合に使用することができ、このモノマーは、50質量%より多くがC1〜C20−、好ましくはC1〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、最大20個のC原子を有するビニル芳香族化合物、最大20個のC原子を含むカルボン酸のビニルエステル、ハロゲン化ビニル、4〜8個のC原子及び1つ又は2つの二重結合を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル、及びこれらの混合物から成る。特に好ましいのは、60質量%より多くがC1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレンとその誘導体、ビニルイミダゾール又はこれらの混合物からなるポリマーである。
【0121】
その上当該ポリマーは、上述のヒドロキシ基含分に相当するヒドロキシ官能性モノマー及び場合によりさらなるモノマー、例えばメタクリル酸グリシジルエポキシエステル、エチレン性不飽和酸、とりわけカルボン酸、酸無水物又は酸アミドを含むことができる。
【0122】
さらなるポリマーは例えばポリエステルオールであり、これはポリカルボン酸、とりわけジカルボン酸とポリオール、とりわけジオールとの縮合によって得られる。重合に適合されたポリエステルポリオールの官能価を保証するために、部分的にはまた、トリオール、テトロールなど、例えばトリ酸なども使用される。
【0123】
ポリエステルポリオールは例えば、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, 62〜65pから公知である。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られるポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりにまた、相応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物を、ポリエステルポリオールの製造に使用することもできる。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環化合物であってよく、そして場合により例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。これについての例として、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体及び水素化生成物、並びに上述の酸のエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えばC1〜C4−アルキルエステル、好ましくはメチル−、エチル−、又はn−ブチルエステルを使用する。好ましいのは、一般式HOOC−(CH2)y−COOH[式中、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]のジカルボン酸であり、特に好ましいのは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。
【0124】
ポリエステルオールの製造のために多価のアルコールとして考慮されるのは1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、モル量が162〜4500、好ましくは250〜2000のポリTHF、モル質量が134〜1178のポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量が134〜898のポリ−1,2−プロパンジオール、モル質量が106〜458のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−、又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイット、エリトリット、アドニット(リビトール)、アラビット(リキシトール)、キシリット、ズルシット(ガラクチトール)、マルチット、又はイソマルトであり、これらは場合により前述のようにアルコキシ化されていてよい。
【0125】
好ましいのは、一般式HO−(CH2x−OH[式中、xは1〜20の数、有利には2〜20の偶数である]のアルコールである。好ましいのは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、及びドデカン−1,12−ジオールである。さらに好ましいのは、ネオペンチルグリコールである。
【0126】
更に考慮されるのはまた、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として上述の低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボネートジオールである。
【0127】
適切なのはまた、ラクトンベースのポリエステルジオールであり、この場合、これはラクトンのホモポリマー又はコポリマーであり、好ましくは、適切な二官能性開始剤分子で末端ヒドロキシ基を有するラクトンのアダクトである。ラクトンとして考慮されるのは好ましくは、一般式HO−(CH2z−COOHで示され、その式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C1〜C4−アルキル基で置換されていてもよい化合物から誘導されるラクトンである。その例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタリン酸又はピバロラクトン並びにこれらの混合物である。適切な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子二価アルコールである。ε−カプロラクトンの相応するポリマーが特に好ましい。低級のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の相応する化学的に等価な重縮合物も使用されうる。
【0128】
さらにポリマーとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドのH−活性成分への付加によって製造されるポリエーテロールも適している。同様にブタンジオールからの重縮合物が適している。
【0129】
さらに、ヒドロキシ官能性カルボン酸、例えばジメチロールプロピオン酸又はジメチロールブタン酸を使用することができる。
【0130】
当然のことながらこれらのポリマーは、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有する化合物であってもよい。
【0131】
このためにポリイソシアネート組成物及び結合剤を、イソシアネート基対イソシアネート反応性の基のモル比が、0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜5:1、特に好ましくは0.3〜3:1、極めて特に好ましくは0.5:1〜2:1、とりわけ0.8:1〜1.2:1、及び殊に0.9:1〜1.1:1で相互に混合し(この際に場合によりなお、更なる塗料に典型的な成分を混入することもできる)、そして基材上に塗布する。
【0132】
引き続きこの塗料混合物を、適切な条件下で硬化させる。硬化はそれぞれの適用によって例えば100〜140℃で、例えばOEM適用における塗料で、又は比較的低い温度範囲、例えば20〜80℃で行うことができる。
【0133】
それぞれの温度により通常、12時間以下、好ましくは最大8時間、特に好ましくは最大6時間、極めて特に好ましくは最大4時間、とりわけ最大3時間が、硬化に必要となる。
【0134】
さらに被覆材料は0〜10質量%、少なくとも1つのUV安定剤を含むことができる。
【0135】
適切な安定剤に含まれるのは、通常のUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールは、Ciba−Spezialitaetenchemie社の商標Tinuvin(登録商標)として入手できる)、並びにベンゾフェノンである。
【0136】
これらは付加的に、適切なラジカル捕捉剤、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシナートを0〜5質量%含むことができる。
【0137】
さらに被覆材料は、その上、さらなる塗料に典型的な添加剤を0〜10質量%含むことができる。
【0138】
さらなる通常の塗料添加剤として例えば、酸化防止剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、着色剤、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート化剤を使用することができる。
【0139】
増粘剤としては、ラジカル(コ)ポリマー化した(コ)ポリマーの他に、慣用の有機及び無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロール又はベントナイトが挙げられる。
【0140】
キレート形成剤としては例えば、エチレンジアミノ酢酸、及びこれらの塩、並びにβ−ジケトンを使用することができる。
【0141】
適切な充填材料には、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られたケイ酸塩、例えばDegussa社製のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。
【0142】
基材の被覆は、通常の、当業者に公知の方法により行われ、その際、少なくとも1つの被覆材料が被覆されるべき基材に所望の厚さで施与され、そして場合により含まれるこの被覆材料の揮発成分は、場合により加熱して除去される。
【0143】
この工程は、所望であれば、1回又は複数回にわたって繰り返して行ってよい。基材上への施与は、公知のように、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、流し塗り、成層、背面射出成形又は同時押出によって実施してよい。
【0144】
このような硬化すべき層の厚さは、0.1μm〜数mmであってよく、好ましくは1〜2,000μm、特に好ましくは5〜200μm、極めて特に好ましくは5〜60μm(溶剤が塗料から除去されている状態の塗料に対して)であってよい。
【0145】
さらにまた、本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む塗料で被覆された基材も、本発明の対象である。
【0146】
特に適しているのは、特に高い適用安全性、耐候性、外観、耐溶剤性、耐薬品性及び耐水性が要求される適用のためのポリウレタン塗料である。
【0147】
得られる二成分被覆材料及び塗料調製物は基本的に、基材、例えば木材、木材の化粧張り、紙、板紙、厚紙、織物、シート、皮革、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミック、無機建材、例えばセメント成形ブロック及び繊維セメント板、又は金属(これらはそれぞれ選択的に予備被覆若しくは前処理されていてもよい)を被覆するために適している。しかしながらこれらは特に好ましくは、プラスチック表面及び金属基材の被覆に適している。
【0148】
これらの被覆材料は好ましくは、クリアコート、ベースコート、及びトップコート、プライマー及びサーフェーサーとして使用し、これらは特にその高い耐引掻性により、トップコートとして、好ましくはクリアコートとして、とりわけ(大型)自動車及び航空機でのコーティングにおいて、並びに自動車塗料でOEM及び補修適用として適している。
【0149】
本発明によるアロファネート基含有ポリイソシアネートの利点は、クリアコート中で高い硬度と同時に良好な弾性をもたらすことである。本発明による生成物は加えて、高い官能価を有する。
【0150】
実施例
実施例1
モノマーのイソホロンジイソシアネート800g(3.6mol)を、ヒドロキシ基1つにつき平均で1つのプロピレンオキシド基を有するプロポキシ化されたグリセリン47.9g(0.18mol)と混合し、そして80℃に加熱した。この透明な溶液に、亜鉛アセチルアセトネート0.2gを添加した。この混合物を約5時間、120℃に保った。NCO含有率は、30.6%であった。この混合物に、ジエチルヘキシルホスフェート0.2mlを加えた。薄膜式蒸発器で、外部温度165℃かつ4.1barで未反応のモノマーを除去した。
【0151】
固体生成物のNCO含有率は、13.2%であった。酢酸ブチル中で70質量%の生成物溶液は、NCO含有率が10.4%、そして粘度が2340mPasであった。
【0152】
比較例1
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート800g(4.76mol)を、実施例1と同様のプロポキシ化されたグリセリン63.3g(9.24mol)と混合し、そして80℃に加熱した。この透明な溶液に、亜鉛アセチルアセトネート0.2gを添加した。この混合物を120℃に加熱した。1時間後、フラスコ内容物は架橋されていた。
【0153】
適用例:
実施例1からのポリイソシアネート、並びに比較例のポリイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする市販のイソシアヌレート(NCO含有率約22.0質量%、DIN EN ISO 3219によると23℃での粘度は1000s-1及び約3300mPas、Ludwigshafen在、BASF AGのBasonat(登録商標)HI 100)と、イソホロンジイソシアネートをベースとする市販のイソシアヌレート(NCO含有率約12.0質量%、DIN EN ISO 3219によると23℃での粘度は1000s-1及び約700mPas、Ludwigshafen在、BASF AGのBasonat(登録商標)IT 170 B)との混合物(化学量論比で7:3))を、ヒドロキシ官能性のポリアクリレート樹脂(Cytec社のMacrynal(登録商標) SM 600、固体含分= 60%;OH価 = 100mg KOH/g)と、化学量論的なNCO/OH比1:1で相応して混合し、そして酢酸ブチルを用いて20sの適用粘度(DIN 53 211 Becher、Becherの4mmの流出ノズル)に調整した。伸ばしフレーム(Ziehrahmen)を用いて、金属板上に湿潤膜厚200μmの被覆を塗布した。こうして得られたクリアコートを、10分のフラッシュオフ時間後、80℃、及び130℃でそれぞれ30分硬化させ、そして塗料のペンデル硬度及びエリクセン深さを測定した。塗料特性の試験は、塗料が塗られた板を24時間、空調室に23℃、かつ相対湿度50%で貯蔵した後に行った。
【0154】
エリクセン深さの測定を、DIN53156と同様に実施した。この値が大きければ、柔軟性(Flexibilitaet)が大きいことを意味する。
【0155】
ペンデル硬度の測定はDIN 53157に従って行い、高い値は高い硬度を意味する。
【0156】
【表1】

【0157】
本発明によるポリイソシアネートは、改善された硬度で、比較例のポリイソシアネート混合物と比較可能な弾性を示すことが、試験により示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
aは(k+m)価の基、好ましくは有機基であり、
kは0又は正の数であり、
mは正の数であり、
ただし、(k+m)は全体で少なくとも3の正の数であり、
Yは酸素原子又は窒素原子であり、
iはあらゆるiについて1からnまで相互に独立して、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−、及び−CHPh−CH2−O−から成る群から選択されており、
ここでPhはフェニルであり、かつVinはビニルであり、
nはあらゆるkについて、及びあらゆるmについて相互に独立して0又は正の数を表し、かつ
bはあらゆるk及びあらゆるmについて相互に独立して基
【化2】

を表す]
のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項2】
(k+m)が3〜4の値を取ることを特徴とする、請求項1に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項3】
基礎となるアルコール
a−(−Y−H)(k+m)
[式中、Yは酸素原子を表す]
が、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリット、ソルビット、マンニット、ジグリセロール、トレイット、エリトリット、アドニット(リビトール)、アラビット(リキシトール)、キシリット、及びズルシット(ガラクチトール)から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項4】
iが−CH2−CH2−O−、CH2−CH(CH3)−O−、及び−CH(CH3)−CH2−O−から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項3に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項5】
基礎となるアルコールRa−(−Y−[−Xin−H)(k+m)
[式中、Yは窒素原子を表す]
が、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、及び1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)シアヌール酸から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項6】
NCO含有率(42g/molのモル質量を有するNCOとして計算して)が5質量%より多く、かつ最大17質量%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート、場合によりさらなるポリイソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性の基を含む少なくとも1つの成分を含む、二成分ポリウレタン塗料。
【請求項8】
クリアコートにおける、請求項1から6までのいずれか1項に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートの使用。
【請求項9】
(大型)自動車用、航空機用被覆材料での、OEM及び補修塗料適用としての自動車塗料での、請求項1から6までのいずれか1項に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートの使用。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法において、
イソホロンジイソシアネートを、アルコール中のヒドロキシ基に対して化学量論の少なくとも2倍の当量でアルコールと混合し、そして少なくとも1つの触媒の存在下、少なくとも80℃の温度で相互に反応させることを特徴とする、製造方法。
【請求項11】
前記触媒が、亜鉛塩、セシウム塩、ビスマス塩、及びスズ化合物から成る群から選択されていることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2011−506283(P2011−506283A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536423(P2010−536423)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066612
【国際公開番号】WO2009/071533
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】