説明

アンカー打込み用工具及びアンカー打込みユニット

【課題】簡素かつ小型、軽量な構造でアンカー打込み作業を行うことが可能なアンカー打込み用工具およびアンカー打込みユニットを提供する。
【解決手段】前記ユニットは、アンカー打込み用工具10と、この工具10を工具駆動機に連結するための工具連結部材20とを備える。工具10は、工具連結部材20に着脱可能に保持される被保持部24と、この被保持部24から軸方向の一方の側に延びるドリル部12と、他方の側に延びるハンマー部16とを一体に有し、被保持部24は、ドリル部12が先端側を向く第1の姿勢と、ハンマー部16が先端側を向く第2の姿勢とのいずれの姿勢でも工具連結部材20に保持される。ドリル部12は、アンカー打込み用の孔を開け、ハンマー部16は孔にセットされたアンカーを打撃してその打込みを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等の建材にアンカー打込み用の孔を設けてこれにアンカーを打込むための工具及びユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、天井にこれとは別の吊天井や照明具などを吊下げる際には、当該天井(例えばコンクリート材)に下から孔を開けてこの孔にアンカーボルトを打込む作業が必要である。具体的には、図6(a)に示されるように、天井90の下面に対して高速回転するドリル刃100を押付けることにより当該天井90に所定深さの孔92を穿設した後、同図(b)に示すように前記孔92内にアンカー94を打込み、このアンカー94に付設されたボルト95とナット96とによって吊下げ用ブラケット98が前記天井90の下面に固定するといった作業が行われる。
【0003】
このようなアンカー打込み作業を行うためのユニットとして、従来、特許文献1の図14に記載されたものが知られている。これを図7に示す。
【0004】
このユニットは、ドリルビット102と、ハンマー部材122とを有する。ドリルビット102は、その先端側に前記ドリル刃100を有し、他端側にシャンク104を有していて、このシャンク104が図略の工具駆動機の出力軸に連結される。当該ドリルビット102の中間部分の周囲には筒状のボディ106が装着され、このボディ106の周囲に軸受108を介して環状の回転部材112が回転可能に取付けられ、この回転部材112に蛇腹状のカバー114が取付けられる。前記ハンマー部材122は、前記ドリルビット102のドリル刃100を外側から覆う形状を有し、その基部が前記ボディ106に着脱可能に装着される一方、先端部に円柱部124が突設されている。
【0005】
このユニットによれば、次の要領でアンカーの打込みが行われる。
【0006】
1)ドリルビット102のシャンク104を図略の工具駆動機の出力軸に連結する。この工具駆動機により前記ドリルビット102を高速で回転駆動しながら、当該ドリルビット102を天井等の建材に押付けることにより、当該建材に穿孔を施す。このとき、蛇腹状のカバー114は、前記ドリル刃100の周囲を覆うことによって当該ドリル刃100の穿孔により生ずる切粉の飛散を防ぐ。
【0007】
2)前記穿孔により形成された孔内にアンカーをセットする。
【0008】
3)前記ドリルビット102のドリル刃100にハンマー部材122を被せるようにして当該カバー122をボディ106に装着する。そして、今度は、当該ハンマー部材122及びドリルビット102を前記工具駆動機により軸方向に振動させながら当該ハンマー部材122の円柱部124を前記アンカーに押付けることにより、当該アンカーを前記天井に打込む。
【特許文献1】特開2001−54837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記図7に示されるユニットでは、構造の簡素化、及び使用される工具の小型化及び軽量化が課題となる。
【0010】
具体的に、このユニットでは、アンカー打込みのために穿孔用のドリルビット102とハンマー部材122との双方が必要であり、部品点数が多い。また、部材同士の連結箇所として、ドリルビット102とボディ106との連結、及び、当該ボディ106とハンマー部材122との連結が必要であって、複雑な二重連結構造を要する。
【0011】
さらに、ハンマー部材122は、前記ドリルビット102のドリル刃100に被せられる必要があるため、その全体の外径をアンカーの打込みに求められる外径(図では円柱部124の径)よりも大きくしなければならず、これが工具の小型化及び軽量化の妨げとなる。
【0012】
なお、前記アンカー打込み作業を実現するための他の手段として、前記ドリルビット102と同様に前記工具駆動機の出力軸に連結可能なハンマー工具を用いる方法があるが、その場合も、アンカー打込みのために2つの工具を要することに代わりはなく、また、工具駆動機の出力軸への2つの工具の付け替えが面倒である。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑み、簡素かつ小型、軽量な構造でアンカー打込み作業を行うことが可能なアンカー打込み用工具およびアンカー打込みユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、工具駆動機に工具連結部材を介して連結され、当該工具駆動機による駆動力を受けて建材にアンカー打込み用の孔を開けかつ当該孔にアンカーを打込むためのアンカー打込み用工具であって、前記工具連結部材に着脱可能に保持される被保持部と、前記被保持部から一方向に延び、その長手方向と平行な軸回りの回転駆動力を前記工具駆動機から与えられることにより前記建材に前記アンカー打込み用の孔を開ける形状を有するドリル部と、前記被保持部から前記ドリル部と反対の側に延び、当該ドリル部の中心軸と平行な方向の振動力を前記工具駆動機から与えられることにより前記アンカーを打撃して当該アンカーを前記孔に打込む形状を有するハンマー部と、を一体に有するものである。
【0015】
この発明によれば、当該工具の被保持部が工具連結部に保持される際の当該工具の姿勢を切換えるだけで、アンカー打込み用の穿設及びアンカー打撃の双方を単一の工具のみで行うことが可能である。
【0016】
具体的に、前記穿孔の際には、そのドリル刃が先端側を向く第1の姿勢で当該工具の被保持部を工具連結部材に保持させればよい。この姿勢で当該工具を当該工具連結部材を介して工具駆動機に連結し、当該工具を回転駆動してそのドリル部を建材に押付けることにより、当該建材にアンカー打込み用の孔を開けることができる。
【0017】
その後、この孔にアンカーをセットしておく一方、前記工具連結部材が前記工具駆動機に連結された状態のまま、前記工具のハンマー部が先端側を向く第2の姿勢で当該工具の被保持部が工具連結部材に保持される状態に切換え、この状態で当該工具駆動機により当該工具をその軸方向に振動させながら当該ハンマー部を前記孔にセットされたアンカーに押付けることにより、当該アンカーの打込みを行うことができる。
【0018】
このユニットでは、従来のようにドリル部のさらに外側にハンマー部材を被せる必要がないため、構造は簡単であり、また工具の小型及び軽量化が可能である。具体的には、当該工具のハンマー部を、前記ドリル部の中心軸の延長線上に中心軸を有する単なる柱状とすることが可能であり、さらには、当該ハンマー部の外径を前記ドリル部の外径よりも小さくすることも可能である。
【0019】
また本発明は、工具駆動機に連結され、当該工具駆動機による駆動力を受けて建材にアンカー打込み用の孔を開けかつ当該孔にアンカーを打込むためのアンカー打込みユニットであって、前記のアンカー打込み用工具と、前記工具駆動機に着脱可能に装着される駆動連結部及びこの駆動連結部の中心軸上で当該駆動連結部と反対の側に前記アンカー打込み用工具の被保持部を着脱可能に保持する工具保持部を有する工具連結部材とを備え、前記工具連結部材の工具保持部は、この工具連結部材からその駆動連結部と反対の側に前記ドリル部が突出する第1の姿勢と、当該工具連結部材からその駆動連結部と反対の側に前記ハンマー部が突出する第2の姿勢とのいずれの姿勢においても前記アンカー打込み用工具の被保持部を保持することが可能なものであり、前記工具連結部材は、その工具保持部が前記工具連結部材を前記第1の姿勢で保持するときには当該工具連結部材のハンマー部を収容し、かつ、当該工具保持部が当該工具連結部材を第2の姿勢で保持するときには当該工具連結部材のドリル部を収容する工具収容部を有するものである。
【0020】
このユニットによれば、前記工具連結部材は、前記アンカー打込み用工具のドリル部、ハンマー部のいずれも収容可能な工具収容部を有するので、当該工具のドリル部が先端側を向く第1の姿勢、当該工具のハンマー部が先端側を向く第2の姿勢のいずれにおいても、コンパクトな構造で当該工具を工具駆動機に連結することが可能である。
【0021】
このユニットにおいて、前記工具連結部材は、前記工具保持部及び第1連結部を有する工具保持部材と、工具駆動機の出力軸に連結される駆動連結部及び第2連結部をそれぞれ有する、互いに軸長の異なる複数の駆動連結部材とを有し、これら駆動連結部材のうちの任意の駆動連結部材の第2連結部が前記第1連結部に着脱可能に連結されることが、より好ましい。
【0022】
このユニットでは、前記工具保持部材と前記工具駆動機の出力軸との間に介在する駆動連結部材を適宜交換することにより、当該駆動連結部材の軸長を変更して前記工具駆動機から前記工具保持部までの距離を変えることができる。これにより、建材に対する作業者の相対位置をその作業に好適な位置に調節することが可能である。
【0023】
その場合、前記工具保持部材が筒状であって、その軸方向の一方の端部は前記被保持部が嵌入可能な内径を有して前記工具保持部を構成し、他方の端部は任意の駆動連結部材の第2連結部が挿入可能な内径を有して前記第1連結部を構成し、当該工具保持部と当該第1連結部との間の部分が前記ドリル部及び前記ハンマー部のいずれもが収容可能な内部空間を囲む工具収容部を構成するものとすることが可能である。この構造は、前記工具保持部材が筒状の簡単な形状でありながら、前記工具保持部及び前記第1連結部をもつ工具駆動連結部材を構築することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、単一の工具を用いてアンカー打込み用の穿設とアンカーの打込みとの双方を行うことが可能であり、これにより、当該工具の小型及び軽量化、およびユニット全体の構造の簡素化を実現することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の好ましい実施の形態を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0026】
図1〜図5は、この実施の形態に係るアンカー打込みユニットを示す。このユニットは、アンカー打込み用工具10と、工具連結部材20とを備え、当該アンカー打込み用工具10が当該工具連結部材20を介して図略の工具駆動機の出力軸に連結される。この工具駆動機には既に周知のものを適用することが可能であり、当該出力軸を高速回転させる回転駆動モードと、当該出力軸を高速回転させながらその軸方向に振動させる振動付与モードとを有する。
【0027】
前記アンカー打込み用工具10は、単一の円柱状の金属材料を除去加工することにより形成されたもので、その軸方向の一端から順に、ドリル部12と、被保持部14と、ハンマー部16とを一体に有する。
【0028】
前記被保持部14は、前記工具連結部材20に着脱可能に連結される部位であり、互いに軸方向に離間する一対の円柱部14aと、これらの円柱部14aの間に位置する異形部14bとを有する。両円柱部14aは、互いに等しい外径を有し、前記異形部14bは、その外径に対して内接する多角形状の断面を有する。この実施の形態では、当該異形部14bは、図3に示すような略正六角形状の断面を有し、この断面は、素材の円柱部分を6枚の平面で削ぎ落とすことにより形成される。
【0029】
前記ドリル部12は、前記被保持部14から軸方向の一方の側に延び、その先端にドリル刃12aを有する。このドリル刃12aは、アンカー打込み用工具10の中心軸回りの回転駆動力を前記工具駆動機から与えられながら建材に押付けられることにより当該建材に前記アンカー打込み用の孔を開ける形状を有する。
【0030】
前記ハンマー部16は、前記被保持部14から前記ドリル部12と反対の側に延び、アンカー打込み用工具10の軸方向すなわち前記ドリル部12の中心軸と平行な方向の振動力を前記工具駆動機から与えられながら、当該ハンマー部16の先端16aが前記孔内のアンカーに押付けられることにより、当該アンカーを打撃して前記孔に打込む形状を有する。具体的には、この実施の形態に係るハンマー部16は、前記ドリル部12と中心軸の延長線上に中心軸を有し、かつ当該ドリル部12の外径よりも小さな外径をもつ円柱状をなす。
【0031】
前記工具連結部材20は、前記工具駆動機の出力軸に連結されるとともに、前記アンカー打込み用工具10を保持するものであり、この実施の形態では、工具保持部材22と、複数の駆動連結部材とを備える。
【0032】
前記駆動連結部材には、互いに軸長の異なるもの、具体的には、図1及び図2に示すような短尺の駆動連結部材24Aと、図5に示すような長尺の駆動連結部材24Bとが含まれる。そして、これらの駆動連結部材のうちの任意のものが前記工具保持部材22に着脱可能に連結される。具体的に、各駆動連結部材24A,24Bの一方の端部は、前記工具駆動機の出力軸に着脱可能に連結されるシャンク部(駆動連結部)24sを構成し、他方の端部は、前記工具保持部材22に着脱可能に連結される第2連結部28を構成する。この第2連結部28の外周面には雄ねじが刻まれている。
【0033】
前記工具保持部材22は筒状(略円筒状)であり、その軸方向の一方の端部は工具保持部25を構成し、他方の端部は第1連結部26を構成し、その中間部分が工具収容部27を構成する。
【0034】
前記第1連結部26は、前記各駆動連結部材24A,24Bの第1連結部28と着脱可能に連結可能な部位である。具体的に、その内周面には雌ねじが形成され、この雌ねじと前記各駆動連結部材24A,24Bの第1連結部28の雄ねじとが螺合しながら当該第1連結部28が挿入されるように、前記第1連結部26の内径が設定されている。
【0035】
前記工具保持部25は、前記シャンク部24sの中心軸上で当該シャンク部24sと反対の側に前記アンカー打込み用工具10の被保持部14を着脱可能に保持するものであり、前記被保持部14の円柱部14aが嵌入可能な内径を有する。この工具保持部25には、この工具保持部25から先端側(前記シャンク部24sと反対の側)に前記ドリル部12が突出する第1の姿勢(図1の姿勢)と、当該先端側に前記ハンマー部16が突出する第2の姿勢(図2)のいずれにおいても、前記アンカー打込み用工具10の被保持部14が嵌入可能である。
【0036】
前記嵌入の際、前記第1の姿勢では前記ハンマー部16が、前記第2の姿勢では前記ドリル部12が、それぞれ前記工具収容部27内に収容される。すなわち、この工具収容部27は、前記ハンマー部16、前記ドリル部12のいずれも収容可能な内部空間を囲む内径を有する。
【0037】
前記工具保持部25に嵌入される被保持部14は、例えばねじ止めによって当該工具保持部25に着脱可能に固定されることも可能であるが、この実施の形態では、当該被保持部14の形状を利用してその着脱作業を容易にするための工具保持構造が前記工具保持部25に付与される。具体的には、前記工具保持部25を構成する周壁においてその周方向に並ぶ位置に、当該周壁を径方向に貫通する貫通孔25aがそれぞれ設けられるとともに、各貫通孔25aに収容される係止球30と、これらの係止球30を径方向外側から拘束するスリーブ32と、圧縮コイルばね34とが備えられる。
【0038】
各係止球30は、前記貫通孔25aの直径よりも僅かに小さく、かつ、この貫通孔25aが形成された周壁の厚みよりも僅かに大きい直径を有する。ただし、前記貫通孔25aのうちその内端部(図1では下端部)の内径のみ前記係止球30の直径よりも小さくなるように、当該貫通孔25の形状が設定されており、この内径が小さい部分が前記貫通孔25aから径方向内側への前記係止球30の離脱を阻止している。
【0039】
これらの係止球30および貫通孔25aの位置は、前記工具保持部25に前記被保持部14が嵌入された状態で当該被保持部14の後ろ側の円柱部14aと異形部14bとの段差に前記係止球30が係合するように、設定されている。この係合は、前記工具保持部25に対する前記被保持部14の回転止めと、当該工具保持部25からの前記被保持部14の軸方向の抜け止めとの双方を同時に実現する。
【0040】
前記スリーブ32は、前記工具保持部材22のうち前記工具保持部25を含む前側部分の周囲に設けられている。具体的には、当該前側部分の外周面に対して軸方向に摺動可能となるように当該前側部分に嵌合され、その摺動により、前記係止球30を径方向外側から押さえ込んで当該係止球30を前記周壁の内側面から径方向内側に突出させる拘束位置(図1及び図2に示される位置)と、当該係止球30の拘束を解除する解放位置(図1及び図2に示される位置よりも後方の位置)とに切換えられる。
【0041】
前記圧縮コイルばね34は、前記スリーブ32を前記拘束位置に弾性的に保持する。具体的には、前記工具保持部材22における前記工具保持部25と前記工具収容部27との境界部分の外周面に段差29が与えられる一方、前記スリーブ32の内側面から内方に内鍔部32aが突出し、さらに、この内鍔部32aよりも後方の位置で前記工具収容部27の外周面上に止め環36が固定されており、この止め環36と前記内鍔部32aとの間に前記圧縮コイルばね34が圧縮状態で介入している。そして、この圧縮コイルばね34の弾発力が前記内鍔部32aを前記段差29に押付けて前記スリーブ32を前記拘束位置に保持する。また、その弾発力に抗して前記スリーブ32を前記解放位置まで後退させることが可能である。
【0042】
さらに、この実施の形態では、前記工具保持部材22の前端に傘部材40が固定される。この傘部材40は、例えば天井への穿孔作業中に切粉が作業者側に落下するのを防ぐためのもので、前記工具保持部材22からその径方向外側に張り出して前記切粉を受け止める形状を有する。
【0043】
次に、このアンカー打込みユニットの使用要領を説明する。
【0044】
1)工具連結部材20に含まれる複数の駆動連結部材のうち作業内容に適した軸長をもつものを選出し、これを工具保持部材22に連結する(工具連結部材20の組立)。例えば、建材に対して近い距離で作業をする場合には、図1及び図2に示すような短尺の駆動連結部材24Aを選び、その第2連結部28を前記工具保持部材22の第1連結部26に螺合挿入して両連結部28,26を連結する。一方、図5に示すような長尺の駆動連結部材24Bを前記工具保持部材22に連結すれば、後述の穿孔作業及びアンカー打込み作業を例えば地上から天井に対して施すことが可能である。
【0045】
なお、以下の説明では前記駆動連結部材24Aを選出した場合について説明する。
【0046】
2)図略の工具駆動機の出力軸に前記駆動連結部材24Aのシャンク部24sを着脱可能に連結する。
【0047】
3)前記工具保持部材22の工具保持部25にアンカー打込み用工具10を第1の姿勢で保持させる。具体的には、前記工具保持部材22に取付けられているスリーブ32を圧縮コイルばね34の弾発力に抗して解放位置(すなわち各係止球30の径方向外側からの拘束を解除する位置)まで後退させた状態で、図2に示すように、当該アンカー打込み用工具10のハンマー部16を前記工具保持部材22の工具収容部27内に挿入するようにしながら当該工具10の被保持部14を前記工具保持部25内に嵌入する。この嵌入完了後に、前記スリーブ32を解放する。これにより、当該スリーブ32は前記圧縮コイルばね34の弾発力で図2に示すような拘束位置に復帰し、前記各係止球30を径方向内側に押し込んで前記被保持部14の後ろ側円柱部14aと異形部14bとの段差部分に係合させる。この係合により、当該係止球30は前記工具保持部材22に対する前記アンカー打込み用工具10の相対回転および軸方向への離脱の双方を阻止する状態となる。
【0048】
4)前記工具駆動機を回転駆動モードにしてアンカー打込みユニット全体を高速で回転させる。この状態で前記ドリル部12のドリル刃12aを建材に押付けることにより、当該建材にアンカー打込み用の孔を開けることができる。
【0049】
5)孔開け終了後、当該孔から前記ドリル部12を抜き、その回転駆動を停止させる。さらに、当該孔にアンカー(例えば前記図6(a)に示すようなボルト95付きのアンカー94)をセットする。
【0050】
6)前記工具保持部材22に保持されるアンカー打込み用工具10の姿勢を前記第1の姿勢から図4に示される第2の姿勢に切換える。具体的には、前記スリーブ32を再び解放位置に強制摺動させて工具保持部材22からアンカー打込み用工具10を抜き取り、今度はそのドリル部12を工具収容部27内に挿入するようにして被保持部14を工具保持部25内に嵌入する。この嵌入完了後に、前記スリーブ32を解放して拘束位置に復帰させることにより、前記と同様、前記各係止球30が前記被保持部14の後ろ側円柱部14a(前記と反対側の円柱部14a)と異形部14bとの段差部分に係合して前記アンカー打込み用工具10の回転止め及び抜け止めを行う。
【0051】
7)前記工具駆動機を今度は振動付与モードにし、アンカー打込みユニットに前記回転駆動力に加えてその軸方向への振動力を加える。この状態で前記アンカー打込み用工具10のハンマー部16の先端を前記アンカーに押付けることにより、当該ハンマー部16が前記アンカーを打撃してこれを前記孔内に打込む。
【0052】
以上説明したように、このユニットでは、単一のアンカー打込み用工具10によって、孔開け作業とアンカー打込み作業の双方を行うことができる。また、図7に示すような二重連結構造は要しない。また、アンカー打込み用工具10においては、そのハンマー部16の形状を簡素でかつ小径にしてその軽量化も図ることが可能である。
【0053】
なお、本発明において、前記工具連結部材は単一の素材にて構成されたものでもよい。ただし、前記実施の形態に係る工具連結部材20のように、工具保持部材22と、この工具保持部材22に択一的に連結される、互いに軸長の異なる複数の駆動連結部材(駆動連結部材24A,24B)とを具備することで、建材から作業者までの距離を適宜調節することが可能になる。
【0054】
また、本発明は天井に限らず、壁や床にアンカーを打込む場合にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係るアンカー打込みユニットの分解断面正面図である。
【図2】前記アンカー打込みユニットにおいてアンカー打込み用工具が第1の姿勢で工具連結部材に保持された状態を示す断面正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】前記アンカー打込みユニットにおいてアンカー打込み用工具が第1の姿勢で工具連結部材に保持された状態を示す断面正面図である。
【図5】前記アンカー打込みユニットにおいて長尺の駆動連結部材が用いられた状態を示す正面図である。
【図6】(a)は天井にアンカー打込み用の孔を開ける工程を示す断面図、(b)はその孔にブラケット固定用のアンカーを打込んだ状態を示す断面図である。
【図7】従来のアンカー打込みユニットを示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 アンカー打込み用工具
12 ドリル部
12a ドリル刃
14 被保持部
16 ハンマー部
20 工具連結部材
22 工具保持部材
24A 駆動連結部材
24B 駆動連結部材
24s シャンク部(駆動連結部)
25 工具保持部
26 第1連結部
27 工具収容部
28 第2連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具駆動機に工具連結部材を介して連結され、当該工具駆動機による駆動力を受けて建材にアンカー打込み用の孔を開けかつ当該孔にアンカーを打込むためのアンカー打込み用工具であって、
前記工具連結部材に着脱可能に保持される被保持部と、
前記被保持部から一方向に延び、その長手方向と平行な軸回りの回転駆動力を前記工具駆動機から与えられることにより前記建材に前記アンカー打込み用の孔を開ける形状を有するドリル部と、
前記被保持部から前記ドリル部と反対の側に延び、当該ドリル部の中心軸と平行な方向の振動力を前記工具駆動機から与えられることにより前記アンカーを打撃して当該アンカーを前記孔に打込む形状を有するハンマー部と、を一体に有することを特徴とするアンカー打込み用工具。
【請求項2】
請求項1記載のアンカー打込み用工具において、
前記ハンマー部は、前記ドリル部の中心軸の延長線上に中心軸を有する柱状をなすことを特徴とするアンカー打込み用工具。
【請求項3】
請求項2記載のアンカー打込み用工具において、
前記ハンマー部の外径が前記ドリル部の外径よりも小さいことを特徴とするアンカー打込み用工具。
【請求項4】
工具駆動機に連結され、当該工具駆動機による駆動力を受けて建材にアンカー打込み用の孔を開けかつ当該孔にアンカーを打込むためのアンカー打込みユニットであって、
請求項1または2記載のアンカー打込み用工具と、
前記工具駆動機に着脱可能に連結される駆動連結部と、この駆動連結部の中心軸上で当該駆動連結部と反対の側に前記アンカー打込み用工具の被保持部を着脱可能に保持する工具保持部とを有する工具連結部材とを備え、
前記工具連結部材の工具保持部は、この工具連結部材からその駆動連結部と反対の側に前記ドリル部が突出する第1の姿勢と、当該工具連結部材からその駆動連結部と反対の側に前記ハンマー部が突出する第2の姿勢とのいずれの姿勢においても前記アンカー打込み用工具の被保持部を保持することが可能なものであり、
前記工具連結部材は、その工具保持部が前記工具連結部材を前記第1の姿勢で保持するときには当該工具連結部材のハンマー部を収容し、かつ、当該工具保持部が当該工具連結部材を第2の姿勢で保持するときには当該工具連結部材のドリル部を収容する工具収容部を有することを特徴とするアンカー打込みユニット。
【請求項5】
請求項4記載のアンカー打込みユニットにおいて、
前記工具連結部材は、前記工具保持部、前記工具収容部、及び第1連結部を有する工具保持部材と、前記駆動連結部及び第2連結部をそれぞれ有する、互いに軸長の異なる複数の駆動連結部材とを有し、これら駆動連結部材のうちの任意の駆動連結部材の第2連結部が前記第1連結部に着脱可能に連結されることを特徴とするアンカー打込みユニット。
【請求項6】
請求項5記載のアンカー打込みユニットにおいて、
前記工具保持部材は筒状であり、その軸方向の一方の端部は前記被保持部が嵌入可能な内径を有して前記工具保持部を構成し、他方の端部は任意の駆動連結部材の第2連結部が挿入可能な内径を有して前記第1連結部を構成し、当該工具保持部と当該第1連結部との間の部分が前記ドリル部及び前記ハンマー部のいずれもが収容可能な内部空間を囲む工具収容部を構成することを特徴とするアンカー打込みユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−264007(P2009−264007A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115236(P2008−115236)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(391007518)株式会社ハウスビーエム (7)
【Fターム(参考)】