説明

アンダートレッド貼付装置

【課題】ナイフの位置調整を自動的に行うことによりアンダートレッドのセンタリング不良およびセンタリングの微調整を自動的に行うことができるアンダートレッド貼付装置を提供する。
【解決手段】アンダートレッドの左右両端を切断して所定幅のアンダートレッドを形成する一対のナイフと、ナイフ移動手段と、第1カメラと、第2カメラと、第1カメラの撮影画像によりトレッドのセンター位置を算出すると共に、第2カメラの撮影画像によりアンダートレッドのセンター位置を算出することにより、トレッドのセンター位置に対する切断前のアンダートレッドのセンター位置のずれ方向およびずれ量を特定する手段と、ずれ方向およびずれ量に基づいて一対のナイフを移動させてアンダートレッドを所定幅に切断する手段と、トレッドにアンダートレッドを、それぞれのセンター位置を合致させた状態で貼り付ける手段とを備えているアンダートレッド貼付装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤのトレッドにアンダートレッドを貼り付けるためのアンダートレッド貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐摩耗性や高速走行時の操縦安定性に優れたラジアル構造の空気入りタイヤが広く普及している。かかる空気入りタイヤの一部を構成するトレッドは、押出し成形されてコンベアにより搬送され、搬送中に、裏面側(トレッドのタイヤ半径方向の内側)にアンダートレッドが供給されて貼り付けられる(特許文献1)。
【0003】
このようにトレッド裏面側にアンダートレッドを貼り付ける場合、アンダートレッドの貼り付け位置が重要になる。すなわち、アンダートレッドはナイフで所定幅に切断した後にトレッドの裏面側に貼り付けるが、所定幅に切断されたアンダートレッドのセンター位置をトレッドのセンター位置に合致させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−279890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンダートレッドをトレッドに貼り付ける場合、従来は、作業者の目視確認により手動でアンダートレッドの貼り付け位置の調整を行っていたため、調整作業をミスした場合、センタリング不良となり、また調整が遅れた場合、生産性の悪化を招くという問題があった。
【0006】
また、従来のアンダートレッド貼付装置には、アンダートレッドの貼り付け位置を検出する機能がないため、装置の稼働中に作業者が定期的に貼り付け位置のチェックを行って微調整を行っていた。このため適切なチェックが遅れた場合、多量の不良品が発生して生産ロスを招くという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、アンダートレッドのセンター位置をトレッドのセンター位置に自動的に合致させることにより、センタリング不良を解消して生産性を向上させることができ、また、貼り付け位置のチェックを自動的に行うことにより、適切なチェックの遅れによる生産ロスを解消することができるアンダートレッド貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
搬送中のトレッドに所定幅のアンダートレッドを、前記トレッドの幅方向のセンター位置に前記アンダートレッドの幅方向のセンター位置を合致させた状態で貼り付けるアンダートレッド貼付装置であって、
前記所定幅と同じ間隔で配置され、前記アンダートレッドの左右両端を切断して所定幅の前記アンダートレッドを形成する一対のナイフと、
前記一対のナイフを前記アンダートレッドの幅方向に移動させるナイフ移動手段と、
前記トレッドの表面を撮影する第1カメラと、
切断前の前記アンダートレッドの表面を撮影する第2カメラと、
前記第1カメラの撮影画像により前記トレッドの幅方向の両端位置を検出し、検出された前記両端位置から前記トレッドのセンター位置を算出すると共に、前記第2カメラの撮影画像により前記アンダートレッドの幅方向の両端位置を検出し、検出された前記両端位置から切断前の前記アンダートレッドのセンター位置を算出することにより、前記トレッドのセンター位置に対する切断前の前記アンダートレッドのセンター位置のずれ方向およびずれ量を特定する誤差特定手段と、
前記誤差特定手段により特定されたずれ方向およびずれ量に基づいて前記ナイフ移動手段を駆動させて前記一対のナイフを移動させ、前記アンダートレッドを所定幅に切断するアンダートレッド切断手段と、
前記トレッドに前記アンダートレッドを、前記トレッドの幅方向のセンター位置に前記アンダートレッドの幅方向のセンター位置を合致させた状態で貼り付ける貼付手段と
を備えていることを特徴とするアンダートレッド貼付装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、センタリングのためのナイフの位置調整を自動的に行うことによりセンタリング不良を解消して生産性を向上させ、また、センタリングの定期的なチェックおよびセンタリングの微調整も自動的に行うことにより生産性を向上させることができるアンダートレッド貼付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の主要部を矢印イの方向から見た矢視図である。
【図3】本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置のシステム構成図である。
【図4】本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置のアンダートレッドの自動センタリングの手順を示すためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置を模式的に示す側面図である。図2は図1の主要部を矢印イの方向から見た矢視図である。図3は本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置のシステム構成図である。
【0013】
アンダートレッド貼付装置は、図1に示すように、トレッド9を矢印ロの方向に搬送するテイクアウェイコンベア12と、成形機15で成形されたアンダートレッド(UT)10を矢印ハの方向に搬送するコンベア14と、カメラ1(第1カメラ)と、光源1と、カメラ2(第2カメラ)と、光源2と、トレッド9の裏面にアンダートレッド10を貼付けるための貼付けローラー(貼付手段)12cと、一対のナイフから構成されるアンダートレッドのUT幅出しナイフ13とを備えている。
【0014】
テイクアウェイコンベア12は、搬入側ローラー12aと、搬出側ローラー12bとを備えている。
【0015】
UT幅出しナイフ13は、アンダートレッド10の両端をカットして所定幅のアンダートレッド10を形成するために用いられる。UT幅出しナイフ13は、2本のナイフが所定間隔を保った状態で図外のナイフ移動手段によりアンダートレッド10の幅方向に移動可能に配置され、また、2本のナイフの間隔は適宜変更できるようになっている。前記ナイフ移動手段は、モーターとモーターの回転駆動力によりUT幅出しナイフ13を移動させる移動機構とが備わっている。
【0016】
光源1は、テイクアウェイコンベア12の下方で、搬出側ローラー12b間の隙間12dからトレッド9裏面に光を照射できる位置に配置されている。そして、カメラ1は、テイクアウェイコンベア12の上方で光源1に対応する位置に設置され、光源1からの光の照射によりトレッド9の外形の画像(第1撮影画像)を得ることができる。
【0017】
光源2は、切断前のアンダートレッド10に光を照射できる位置に配置されている。そしてカメラ2は、光源2から照射された光のアンダートレッド10での反射光によりアンダートレッド10の外形の画像(第2撮影画像)を得ることができる。
【0018】
センタリングは、図2に示すように、トレッド9のオフセンター量(基準位置からセンターまでの距離)をC1とし、アンダートレッド10のオフセンター量をC2とした場合において、演算式をΔC=C1−C2としてずれ量ΔCを算出し、ずれ量がプラス(ΔC>0)の場合には、一対のUT幅出しナイフ13を、2本のナイフの間隔を保持した状態で図面上左方向に移動させ、ずれ量がマイナス(ΔC<0)の場合には、一対のUT幅出しナイフ13を2本のナイフの間隔を保持した状態で図面上右方向に移動させる。
【0019】
前記のようなセンタリングを行うために、アンダートレッド貼付装置は、図3に示すように、2つのカメラと共に、画像コントローラー3と、トレッドラインPLC(Programmable Logic Controller)4と、上位条件(トレッド幅、アンダートレッド幅など)をトレッドラインPLC4に入力するためのパソコン(PC)7から構成される画像処理システムとを備えている。
【0020】
そして、画像コントローラー3は、カメラ1によるトレッド9の外形の画像(第1撮影画像)およびカメラ2によるアンダートレッド10の外形の画像(第2撮影画像)を取り込み、画像コントローラー3からトレッドラインPLC4に、トレッド9の幅およびオフセンター位置のデータと、アンダートレッド10の幅およびオフセンター位置のデータとが送信される。その後、トレッドラインPLC4において、第1撮影画像より、基準位置に基づいてトレッド9の幅方向の両端位置を検出し、検出された両端位置からトレッド9のセンター位置を算出する。
【0021】
同様にして、第2撮影画像より、アンダートレッド10の幅方向の両端位置を検出し、検出された両端位置から切断前のアンダートレッド10のセンター位置を算出する。
【0022】
その後、トレッド9のセンター位置に対する切断前のアンダートレッド10のセンター位置のずれ方向およびずれ量を算出する。
【0023】
その後、トレッドラインPLC4から、ずれ方向およびずれ量に基づいてナイフ移動手段の駆動回路に信号を出力し、ナイフ移動手段によりUT幅出しナイフ13を右方向または左方向に移動させてUT幅出しナイフ13の位置調整を行うことによりセンター位置をトレッドのセンター位置に合致させたアンダートレッド10を所定幅に切断することができる。
【0024】
なお、画像コントローラー3からは、故障検出のためにトレッッドラインPLC4に、画像コントローラー状態信号も送信される。
【0025】
また、トレッドラインPLC4からは、光源1、光源2のオン/オフ制御のための信号も出力される。
【0026】
次に、アンダートレッド貼付装置によるアンダートレッドの自動センタリングの具体的な手順を図4に基づいて説明する。
【0027】
図4は本発明の実施の形態のアンダートレッド貼付装置の自動センタリングの手順を示すフローチャート図である。
【0028】
アンダートレッド10の自動センタリングを行うための前提条件として、トレッドラインPLC4のスキャンによりカメラ1およびカメラ2の画像情報が常時更新され、画像情報から得られるトレッド9およびアンダートレッド10の幅およびオフセンター位置が正常であることの確認が必要になる。
【0029】
また、設備故障によるデータの異常がないことの確認や自動制御の機能を起動させていることの確認を行う必要がある。
【0030】
(ステップ1)
ステップ1では、カメラ1が、カメラ1の下方位置に搬送されたトレッド9(図1参照)の撮影画像を取得することにより、テイクアウェイコンベア12上にトレッド9が無い状態から有る状態に変わったことを検知する。これによりアンダートレッド10(図1参照)のセンタリング調整作業が開始される。また、自動センタリング開始のプッシュボタン(PB)をオンにすることにより、センタリング調整作業を開始させてもよい。
【0031】
(ステップ2)
ステップ2では、自動センタリングの開始がオン状態になった時点からN1秒経過する間にカメラ1およびカメラ2による撮影データによりトレッド9およびアンダートレッド10のオフセンター量C1、C2が求められる。
【0032】
(ステップ3)
ステップ3では、カメラ1およびカメラ2による撮像データに基づいて得られたC1、C2を演算式(ΔC=C1−C2)に基づいて、ずれ量ΔCが算出される。
【0033】
(ステップ4)
ステップ4では、ずれ量がプラスか否かを判別し、ナイフ移動手段の制御回路に制御信号を出力する。なお、予め作業者によるカメラ1、2の視野および光源1、2の遮りによる誤動作を回避するために不感帯を準備する。
【0034】
(ステップ5、6)
ステップ4においてΔC>0の場合、ステップ5に進み、UT幅出しナイフ13が左方向にずれ量ΔC分移動する。ステップ4においてΔC<0の場合、ステップ6に進み、UT幅出しナイフ13が右方向にずれ量ΔC分移動する。なお、ΔC=0の場合には、自動センタリングが完了する。
【0035】
(ステップ7)
1対のナイフ13の移動が完了した後、ステップ7では、ステップ3からステップ6の処理がN2回繰り返されていない場合は、ステップ3に戻す信号が出され、N2回繰り返された信号を得た時にアンダートレッドの自動センタリングが完了する。
【0036】
(ステップ8)
ステップ7からステップ3に戻る場合、ステップ8では、ΔCN3mの長さ分、トレッド9またはアンダートレッド10を通過させた後に、再びずれ量(ΔC)の算出が行われ、UT幅出しナイフ13の位置調整が行われる。このように位置調整を繰り返すことにより安定した正確なセンタリングを行うことができる。
【0037】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、2つのカメラと共に、画像コントローラー3と、トレッドラインPLC4とを備えており、トレッド9のオフセンター量C1とアンダートレッド10のオフセンター量C2からずれ方向とずれ量ΔCが特定され、トレッドラインPLC4からずれ方向とずれ量ΔCに関する信号がナイフ移動手段の駆動回路に出力されてUT幅出しナイフ13の位置調整を行うことによりセンター位置をトレッドのセンター位置に合致させたアンダートレッドを所定幅に切断することができる。
【0038】
このように、アンダートレッドのセンター位置をトレッドのセンター位置に自動的に合致させることができるため、センタリング不良を解消して生産性を向上させることができる。
【0039】
また、アンダートレッド貼付装置の稼働中においてもずれ方向およびずれ量ΔCを検出することによりセンタリングの定期的なチェックおよびセンタリングの微調整を自動的に行うことができるため、生産性をさらに向上させることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
3 画像コントローラー
4 トレッドラインPLC
7 パソコン
9 トレッド
10 アンダートレッド
12 テイクアウェイコンベア
12a 搬入側ローラー
12b 搬出側ローラー
12c 貼付けローラー
12d 隙間
13 UT幅出しナイフ(一対のナイフ)
14 コンベア
15 成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中のトレッドに所定幅のアンダートレッドを、前記トレッドの幅方向のセンター位置に前記アンダートレッドの幅方向のセンター位置を合致させた状態で貼り付けるアンダートレッド貼付装置であって、
前記所定幅と同じ間隔で配置され、前記アンダートレッドの左右両端を切断して所定幅の前記アンダートレッドを形成する一対のナイフと、
前記一対のナイフを前記アンダートレッドの幅方向に移動させるナイフ移動手段と、
前記トレッドの表面を撮影する第1カメラと、
切断前の前記アンダートレッドの表面を撮影する第2カメラと、
前記第1カメラの撮影画像により前記トレッドの幅方向の両端位置を検出し、検出された前記両端位置から前記トレッドのセンター位置を算出すると共に、前記第2カメラの撮影画像により前記アンダートレッドの幅方向の両端位置を検出し、検出された前記両端位置から切断前の前記アンダートレッドのセンター位置を算出することにより、前記トレッドのセンター位置に対する切断前の前記アンダートレッドのセンター位置のずれ方向およびずれ量を特定する誤差特定手段と、
前記誤差特定手段により特定されたずれ方向およびずれ量に基づいて前記ナイフ移動手段を駆動させて前記一対のナイフを移動させ、前記アンダートレッドを所定幅に切断するアンダートレッド切断手段と、
前記トレッドに前記アンダートレッドを、前記トレッドの幅方向のセンター位置に前記アンダートレッドの幅方向のセンター位置を合致させた状態で貼り付ける貼付手段と
を備えていることを特徴とするアンダートレッド貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86264(P2013−86264A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225459(P2011−225459)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】