説明

アンテナ装置、レーダ装置

【課題】製作精度に左右されずに測角精度を損なわない。
【解決手段】複数のアンテナ素子102をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナ101と、複数のサブアレーアンテナの端部にそれぞれ1つずつ接続される複数の給電部104と、を具備し、複数のサブアレーアンテナ101を、同一平面上に自由空間波長以下の間隔で平行に並列させ、同一平面上で複数のサブアレーアンテナ101に平行で、かつ複数のサブアレーアンテナ101の全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレーアンテナに関し、特に複数の給電口をもつアンテナ装置およびレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルビームフォーミング、ビームスキャンないしはモノパルス方式を目的としてサブアレーアンテナを複数配置したアレーアンテナがある(例えば、非特許文献1参照)。ミリ波帯では、サブアレーアンテナに用いられるアンテナ素子としてトリプレート線路パッチアンテナ、マイクロストリップ線路パッチアンテナ、ホーンアンテナや導波管スロットアレーアンテナなどがあり、これらのアンテナ素子へ給電する場合には、マイクロストリップ線路、トリプレート線路、導波管、ポスト壁導波管などにより給電される(例えば、特許文献1または非特許文献2参照)。サブアレーアンテナの給電口はミリ波の車載レーダでは導波管給電が一般的である。アレーアンテナにおいて、送受信それぞれのアンテナをインターディジタル構造に配置し、両側から給電することにより、開口面積を有効に活用しているものもある(例えば、非特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−124727公報
【非特許文献1】「アンテナ工学ハンドブック(第二版)」、オーム社、p339−p445
【非特許文献2】飯塚他、「車載ミリ波レーダ用アンテナ」、2001年電子情報通信学会総合大会、SB−1−7、p743−p744
【非特許文献3】岡島祐介、朴世鉉、広川二郎、安藤真、“インターディジタル構造を用いた直交45度偏波共用ポスト壁導波管スロットアレー”電子情報通信学会技術報告、A・P2003−149、RCS2003−155、pp.21−26
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車載レーダのように水平方向の測角をおこなう場合、水平方向にサブアレーアンテナが配置され、それぞれのサブアレーアンテナに給電口が設けられる。このサブアレーアンテナの間隔はグレーティングローブレベルとの兼ね合いで、広角化を目指したレーダにおいてはサブアレーアンテナ間隔を狭くする必要がある。例えば最大走査角を40度とすると、サブアレーアンテナの動作周波数の自由空間波長をλと定義すれば、0.6λ以下程度を選ぶ必要がある。さらに導波管給電において、各サブアレーアンテナの給電口を同じ側に形成すると、導波管のカットオフの関係より広壁面は0.5λ以上必要であり、かつ導波管を形成する金属の壁厚や各アンテナの給電口間のアイソレーションを改善するためのチョーク構造など物理的な影響を考慮すると、グレーティングローブレベルを押さえるための条件以上のスペースが必要となる。よって、アンテナの放射部に比べ、アンテナの給電部の幅が広くなってしまい、アンテナ全体の面積が大きくなってしまう。
【0004】
この改善法としてアンテナへ上下もしくは左右から給電するものがあり、送受信のアンテナの開口面積を有効に活用することができる。
【0005】
しかし、構造上の物理的な影響は避けられるものの、インターディジタル構造はビーム走査する面に対して非対称となるため、製作精度などの影響で各ポートへの給電位相が非対称にずれ、ビームやヌル点が非対称にチルトし、モノパルス方式などでは測角精度が損なわれる問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、製作精度に左右されずに測角精度が損なわれないようなアンテナ装置およびビーム装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明に係るアンテナ装置は、複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと、前記複数のサブアレーアンテナの端部にそれぞれ1つずつ接続される複数の給電部と、を具備し、前記複数のサブアレーアンテナを、同一平面上に自由空間波長以下の間隔で平行に並列させ、該同一平面上で該複数のサブアレーアンテナに平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係にあることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るアンテナ装置は、複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと、前記複数のサブアレーアンテナにそれぞれ給電をおこなう複数の給電部と、を具備し、前記複数のサブアレーアンテナは、前記複数のアンテナ素子の整列方向に対し、同一平面上で平行に前記複数のサブアレーアンテナを並列させて隣接するサブアレーアンテナ同士の間隔が自由空間波長以下となるように配置させ、前記複数のサブアレーアンテナと平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係となり、前記2つのサブアレーアンテナ群内のそれぞれで、前記中心軸に最も近いサブアレーアンテナである第3サブアレーアンテナの第3給電部に対し、隣接する第4サブアレーアンテナの第4給電部が、該第3給電部から最も遠い距離にある該第4サブアレーアンテナの端部に接続されて、順次隣接する各サブアレーアンテナに対し給電部がインターディジタルに接続されることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係るレーダ装置は、複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと前記複数のサブアレーアンテナの端部にそれぞれ1つずつ接続される複数の給電部とを含むアンテナと、前記アンテナより受信した信号の増幅および該信号を周波数変換し変換信号を得るダウンコンバートを含む処理をおこなうRFチップ部と、前記変換信号にアナログディジタル変換を行いディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、前記ディジタル信号よりビームの到来方向を推定するモノパルスDBF部と、を具備し、前記複数のサブアレーアンテナを、同一平面上に自由空間波長以下の間隔で平行に並列させ、該同一平面上で該複数のサブアレーアンテナに平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ装置およびレーダ装置によれば、各サブアレーアンテナの給電口が互いに構造上の物理的な影響を受けずに、かつ製作精度に左右されずに測角精度を損なわない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るアンテナ装置およびレーダ装置について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作をおこなうものとして、重ねての説明を省略する。
まず、本発明の実施形態に係るアンテナ装置およびレーダ装置について図1を参照して説明する。
本実施形態に係るアンテナ装置100は、サブアレーアンテナ101、アンテナ素子102、給電線路103、給電口104を含む。さらにアンテナ装置100は、複数のサブアレーアンテナ101をアンテナ素子102が整列している方向と同一平面上で、平行に並列させることによりアレーアンテナ群が形成される。
サブアレーアンテナ101は、複数のアンテナ素子102、給電線路103を含む。
アンテナ素子102は、例えば、導波管構造を用いる場合はスロットまたはホーン、マイクロストリップ線路を用いる場合はパッチ素子によって構成される。
給電線路103は、例えば、導波管、マイクロストリップ線路、トリプレート線路、ポスト壁導波路によって構成され、アンテナ素子102に給電する。
給電口104は、給電の際に用いられる給電線路103の形状によりその形状が変化する。給電口104はその給電線路103の形状にあわせたモード変換器の構造をとる。
【0012】
サブアレーアンテナ101並列させる際のサブアレーアンテナ101同士の間隔dは、グレーティンローブなどの不要放射の抑圧のために、サブアレーアンテナの動作周波数の自由空間波長λ、最大走査角をθmとすると(1)式を満たす必要がある。
【数1】

【0013】
この(1)式を満たすように、複数のアンテナ素子102の整列方向と平行に複数のサブアレーアンテナ101を並列させて配置される。特に、サブアレーアンテナ101の間隔が自由空間波長以下になるように配置する。複数のサブアレーアンテナ101は、40度以上のビーム走査する場合は、サイドローブが抑圧できるように、できればサブアレーアンテナ101同士の隣り合う間隔が、0.6λ以下程度となるように並べるとよい。図1ではサブアレーアンテナ101の数は8本であるが、並べるサブアレーアンテナ101の数には制限はなく適用するスペースがある限り複数ならべてもよい。このサブアレーアンテナ101の配置において重要なのが、アンテナ装置100の中心軸に対して鏡像の関係(線対称)になるように配置することである。具体的にはサブアレーアンテナ101の数が偶数である場合には、中心にある2つのサブアレーアンテナ101の間に中心軸を想定し、図1に示すように両側とも同数のサブアレーアンテナ101が存在するように配置する。サブアレーアンテナ101の数が奇数である場合には、図2のように中心軸として中心にある1つのサブアレーアンテナ101を選択して、その両側に同数のサブアレーアンテナ101が存在するよう配置する。
中心以外の位置に並列するサブアレーアンテナ101については、隣り合うサブアレーアンテナ101の給電口104が、お互いに最も遠い位置に配置される。つまり図1に示すようにサブアレーアンテナ101の一方の端に給電口104があり、隣あうサブアレーアンテナ101はサブアレーアンテナ101の整列方向に対して反対側の端部に給電口104があるように互い違いになるインターディジタル構造をとる。ここで、サブアレーアンテナ101の数の合計が偶数の場合は、鏡像を保つために中心軸を挟んで中心軸に最も近い2つのサブアレーアンテナ101の給電口104を、互いに隣り合うように配置する。
このとき、中心にある二つのサブアレーアンテナ101の給電口は、サブアレーアンテナ101同士を自由空間波長以下の間隔に保ち、かつ互いの給電口が物理的に干渉しないように、給電口の位置を横方向にオフセットしてもよい。オフセットを行う距離は、中心にあるサブアレーアンテナの給電部の中心から、中心軸方向に向かう給電部の周縁までの最短距離と前記間隔の半分との差以上となる距離だけ、中心軸方向にずらす。具体的に図1を参照して説明すると、導波管の幅をw、サブアレーアンテナの間隔をdとすると、
【数2】

【0014】
以上となるように、中心の右側にあるサブアレーアンテナ101については、給電線路103を中心軸方向へ、つまり左側にオフセットする。中心の左側にあるサブアレーアンテナ101については、給電線路103を右側にオフセットする。つまり、中心軸を挟んだ2つのサブアレーアンテナ101が互いに接近するようにオフセットをおこなう。図1では導波管給電を想定して説明をおこなったが、その他のマイクロストリップ線路−導波管変換器や、トリプレート線路−導波管変換器、ポスト壁導波路−導波管変換器など、他のモード変換器を用いて給電する場合も同様である。
なお、サブアレーアンテナ101の数の合計が奇数である場合は、互いにとなりあう給電口104はなく、全ての隣り合うサブアレーアンテナ101の最も遠い端部に給電口104を交互に配置する。
【0015】
ここで、鏡像の関係、つまり左右対称構造である利点について図3、図4を用いて説明する。
例えば本実施形態に係るアンテナ装置100をレーダ装置として使用する場合、モノパルス方式での測角をおこなうことが考えられる。モノパルス方式で測角をおこなうレーダ装置の一例を図3に示す。図3はモノパルス方式の受信時の回路を示しており、本実施形態に係るレーダ装置300は、アンテナ301a、301b、301c、301d、RFチップ部302、AD変換部303、モノパルスDBF(Digital Beam Forming)部304、を含む。
RFチップ部302は、サブアレーアンテナであるアンテナ301a、301b、301c、301dで受信した信号を、増幅したり、信号のダウンコンバートを含む処理をおこない、AD変換部303に送る。
AD変換部303は、RFチップ部より送られた信号をアナログディジタル変換をおこなってディジタル信号を生成し、モノパルスDBF303部に送る。
モノパルスDBF部304は、AD変換部303から送られたディジタル信号を用いてビームの到来方向を推定する。さらなる詳細な動作については公知の技術を用いるためここでの説明は省略する。
ここで、アンテナ301a、301b、301c、301dのそれぞれが本実施形態に係るアンテナ装置100のサブアレーアンテナ101を示すとする。ここでは4本のサブアレーアンテナを用いているが、任意の本数のサブアレーアンテナを用いてもよい。
モノパルス方式では、サブアレーアンテナで受信した出力を合成して和信号と差信号を作り、対象物の測角を行う。図3を用いて具体的に説明すると、例えばアンテナ301aと301b、アンテナ301cと301dに分けて、アンテナ301aと301b出力と、アンテナ301cと301dの出力を逆相に合成すると正面方向にヌルを形成する。
実際に本実施形態に係るアンテナ装置100をポスト壁導波路スロットアレーによって実現したものを図4に示す。ポスト壁導波路スロットアレーに対して給電線路401とパッケージ402が接続されている。ポスト壁導波路スロットアレーによって実現したアンテナ装置については後に図6を用いて詳細に説明する。
ここでは、サブアレーアンテナ101を端から、301a、301b、301c、301dと仮定する。各サブアレーアンテナ101から受信した信号は、各サブアレーアンテナ101の給電部に接続された給電線路301を通じてパッケージ302に入力される。
このとき、もしアンテナ301aとアンテナ301bへの給電線路301の距離が製作誤差により長さにずれが生じた場合、同相となるように出力を合成してもアンテナ301aとアンテナ301bとの間で、それぞれの給電部までに位相差が生じてしまうことが考えられる。しかし、もし位相差が生じてしまったとしても、左右対称であれば、アンテナ301cとアンテナ301dにおいても同じ分だけ位相差を生じることとなるため互いに打ち消しあい、結局正面方向のヌルはシフトすること無く維持することができる。
【0016】
以上に示した実施形態によれば、インターディジタル構造を用いて、隣あうサブアレーアンテナの給電口が重なり合う等の物理的干渉を起こすことなく、かつ隣り合う給電口の大きさを考慮せずにサブアレーアンテナ同士の間隔を狭めることができる。また、アンテナ装置の中心軸に対して左右のサブアレーアンテナ群が鏡像となる構造をとることにより、位相誤差が対称に現れるために正面方向のヌルは維持され、製作精度に左右されずに測角精度が損なわれないという利点を持つ。
【0017】
(第1の変形例)
次に、図1で示した本実施形態に係るアンテナ装置100の変形例を図5に示す。これはサブアレーアンテナ101の総数が偶数個である場合に、鏡像の関係を保つために中心にある2つのサブアレーアンテナ101の給電口104を隣り合わせに並列させる必要があるため、給電線路103をオフセットしたとしても隣り合う給電口104同士が干渉する可能性がある。そこで、中心軸に最も近い2つのサブアレーアンテナ101は、それぞれの給電部に最も近いアンテナ素子102との距離が、他のサブアレーアンテナ101の距離に比べて長くなるように引き延ばす。つまり、給電口104同士が干渉することがないように一番外側のサブアレーアンテナ101のさらに外側に給電線路103を引き延ばして給電する。つまり図5に示すように、中心の右側にあるサブアレーアンテナ101の給電線路103が「L」字となる状態を形成する。なお、中心にある2つのサブアレーアンテナ101はインターディジタル構造ではないが、残りの他のサブアレーアンテナ101についてはインターディジタル構造を保っている。さらに、必ずしも一番外側のサブアレーアンテナ101の外側にある必要はなく、中心軸に最も近いサブアレーアンテナ101の給電部104と中心軸との最短距離が、他の給電部104における中心軸との最短距離に比較して、最も長い距離に配置されればよい。またアンテナの製作時におけるアンテナの面積やその他の制約等を考慮して給電口104が互いに干渉しない位置に配置すればよい。
【0018】
本変形例によれば、アンテナ装置100の中心の2つの給電口104が干渉することなく、中心軸に対して左右のサブアレーアンテナ群が鏡像の関係を保つことができる。
【0019】
(第1の変形例の具体例)
第1の変形例をポスト壁導波路スロットアレーで作製した一例を図6に示す。ポスト壁導波路は、誘電体基板と、スルーホール601、アンテナ素子602、給電口603、整合ピン604を含む。
誘電体基板は、テフロン(登録商標)や液晶ポリマーなどの材質の上に上下両面が例えば銅のような導電性金属材料により作られた金属膜により覆われている。
スルーホール601は、誘電体基板を貫通して金属膜間を短絡する金属部材(スルーホール部材と呼ばれる)によって作られる。このスルーホール601を整列させたスルーホール列により、等価的に誘電体が充填された導波管構造のように動作するポスト壁導波路が形成される。ポスト壁導波路は、導波管の狭壁面に相当する側面を共有している。
アンテナ素子602は、スロットアンテナの場合、エッチングによりスロットを開けることにより形成される。ポスト壁導波路スロットアレーアンテナは、誘電体の充填された導波管のスロットアレーアンテナとして動作する。スロットは、ポスト壁導波路における管軸方向(ポスト壁導波路を形成するスルーホール列と並行な方向に相当)に対して、平行、垂直、斜め45度等、様々な方向に形成されてもよく、また、様々な方向にあけたスロットを組み合わせてもよい。スロットの間隔は、等間隔であっても、不等間隔であってもよい。ポスト壁導波路スロットアレーにおいて、ポスト壁導波路を形成するスルーホール群以外に、ポスト壁導波路内にスルーホールが具備されていてもよい。
【0020】
給電口603は、エッチングにより開口が形成されている。また、給電口603の周りのスルーホール列は、スロットが形成されている領域のスルーホール列よりも列幅が広がったステップ構造を形成される。ただし、給電口603の周りのスルーホール列をステップ構造にせず、スロットが形成されている領域のスルーホール列の列幅と同じにしてもよい。
整合ピン604は、アンテナにおける反射損失を防ぐために誘電体を貫通させて整合をおこなっている。
第1の変形例を形成するために、中心にある二つのサブアレーアンテナ101の給電口603は、ベンド構造を介して、一番外側のサブアレーアンテナの外側に、引き回されて給電される。ベンドは、図6ではLベンド形成されているが、Uベンドを用いてもよい。Lベンド内に整合ピン604として配置されたスルーホールがあってもよい。
【0021】
(第2の変形例)
本実施形態では、実施形態または第2の実施形態におけるサブアレーアンテナ101を、導波管スロットアンテナ、誘電体導波管スロットアンテナ、マイクロストリップ線路パッチアンテナ、トリプレート線路パッチアンテナ、ホーンアレーにより構成する。各アンテナの製作法については公知の技術を用いるためここでの詳細な説明は省略する。ここでは特にサブアレーアンテナ内のアンテナ素子の配列について図7から図9を参照して詳細に説明する。図1では、1列の給電線路に直列に接続されているが、図7のように給電線路702から片側に向けて、アンテナ素子102が枝分かれした配置をとるサブアレーアンテナ701でもよい。また、図8のように給電線路802から両側にアンテナ素子102が枝分かれするサブアレーアンテナ801の配置をとってもよい。さらに図9のように、給電線路902から枝分かれした後、T分岐を3回繰り返してその末端にアンテナ素子102を配置することにより、給電線路902からの1つの枝分かれに対して8個のアンテナ素子102が配置されるサブアレーアンテナ901としてもよい。
これら図7から図9のサブアレーアンテナ701、801、901に共通することは、本実施形態に係るアンテナ装置の中心軸に対して、鏡像の関係と保つようにアンテナ素子配置をとることである。具体的に図7のサブアレーアンテナ701を用いたアンテナ素子配置を図10に示す。サブアレーアンテナ701の右側に枝分かれをしたものが中心軸から見て左側に配置されている場合、中心軸から右側に配置されているサブアレーアンテナ701は、左側に枝分かれする構造をとるようにする。
以上に示した第2の変形例によれば、様々なアンテナの形状に対応したアンテナ素子配置で本実施形態に係るアンテナ装置を実現することができる。
【0022】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す図。
【図2】本実施形態に係るアンテナ装置の別例を示す図。
【図3】レーダ装置を示すブロック図。
【図4】パッケージからアンテナへの給電線路を示す図。
【図5】アンテナ装置の第1の変形例を示す図。
【図6】アンテナ装置をポスト壁導波路スロットアレーアンテナで製作した例を示す図。
【図7】サブアレーアンテナのアンテナ素子配置の第1の別例を示す図。
【図8】サブアレーアンテナのアンテナ素子配置の第2の別例を示す図。
【図9】サブアレーアンテナのアンテナ素子配置の第3の別例を示す図。
【図10】アンテナ素子配置の第1の別例を用いたアンテナ装置を示す図。
【符号の説明】
【0024】
100・・・アンテナ装置、101、701、801、901・・・サブアレーアンテナ、102、602・・・アンテナ素子、103、401、702、802、902・・・給電線路、104、603・・・給電口、301a、301b、301c、301d・・・アンテナ、302・・・RFチップ部、303・・・AD変換部、304・・・モノパルスDBF部、402・・・パッケージ、601・・・スルーホール、604・・・整合ピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと、
前記複数のサブアレーアンテナの端部にそれぞれ1つずつ接続される複数の給電部と、を具備し、
前記複数のサブアレーアンテナを、同一平面上に自由空間波長以下の間隔で平行に並列させ、該同一平面上で該複数のサブアレーアンテナに平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係にあることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記中心軸を挟んで該中心軸に最も近い2つのサブアレーアンテナのそれぞれの給電部は、該給電部に最も近い前記アンテナ素子との距離が、他のサブアレーアンテナの該距離に比べて長いことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記中心軸を挟んで該中心軸に最も近い2つのサブアレーアンテナのそれぞれの給電部は、前記給電部と前記中心軸との最短距離が、他の給電部の該最短距離に比較して最も長い距離に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記2つのサブアレーアンテナ群内のそれぞれで、前記複数のサブアレーアンテナに含まれる第1サブアレーアンテナの、前記複数の給電部に含まれる第1給電部に対し、隣接する第2サブアレーアンテナの、前記複数の給電部に含まれる第2給電部が、該第1給電部から最も遠い距離にある該第2サブアレーアンテナの端部に接続されて、順次隣接する各サブアレーアンテナに対し給電部がインターディジタルに接続されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと、
前記複数のサブアレーアンテナにそれぞれ給電をおこなう複数の給電部と、を具備し、
前記複数のサブアレーアンテナは、前記複数のアンテナ素子の整列方向に対し、同一平面上で平行に前記複数のサブアレーアンテナを並列させて隣接するサブアレーアンテナ同士の間隔が自由空間波長以下となるように配置させ、前記複数のサブアレーアンテナと平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係となり、前記2つのサブアレーアンテナ群内のそれぞれで、前記中心軸に最も近いサブアレーアンテナである第3サブアレーアンテナの第3給電部に対し、隣接する第4サブアレーアンテナの第4給電部が、該第3給電部から最も遠い距離にある該第4サブアレーアンテナの端部に接続されて、順次隣接する各サブアレーアンテナに対し給電部がインターディジタルに接続されることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
前記中心軸を挟んで該中心軸に最も近い2つのサブアレーアンテナのそれぞれの給電部は、該給電部に最も近い前記アンテナ素子との距離が、他のサブアレーアンテナの該距離に比べて長いことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記複数のサブアレーアンテナの数の合計が偶数である場合は、前記サブアレーアンテナ群内のそれぞれで、前記中心軸に最も近いサブアレーアンテナである第3サブアレーアンテナを第3給電部に接続する位置が、前記給電部の中心から前記中心軸方向に向かう該給電部の周縁までの最短距離と前記間隔の半分との差以上となる距離だけ前記第3サブアレーアンテナを前記第3給電部よりも前記中心軸の方向へオフセットして配置することを特徴とする請求項1または請求項4または請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数のサブアレーアンテナの数の合計が奇数である場合は、中心にある1つの前記サブアレーアンテナを前記中心軸として、他の前記複数のサブアレーアンテナを配置することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数のアンテナ素子および前記複数のサブアレーアンテナを、ポスト壁導波路スロットアレーアンテナ、誘電体導波管スロットアレーアンテナ、導波管スロットアレーアンテナ、マイクロストリップ線路パッチアンテナ、トリプレート線路パッチアンテナ、ホーンアレーのいずれか1つにより実現することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
複数のアンテナ素子をそれぞれ含む複数のサブアレーアンテナと前記複数のサブアレーアンテナの端部にそれぞれ1つずつ接続される複数の給電部とを含むアンテナと、
前記アンテナより受信した信号の増幅および該信号を周波数変換し変換信号を得るダウンコンバートを含む処理をおこなうRFチップ部と、
前記変換信号にアナログディジタル変換を行いディジタル信号に変換するアナログディジタル変換部と、
前記ディジタル信号よりビームの到来方向を推定するモノパルスDBF部と、を具備し、
前記複数のサブアレーアンテナを、同一平面上に自由空間波長以下の間隔で平行に並列させ、該同一平面上で該複数のサブアレーアンテナに平行で、かつ該複数のサブアレーアンテナの全本数を2等分し2つのサブアレーアンテナ群に分割する中心軸に対して、前記サブアレーアンテナ群同士が鏡像の関係にあることを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−119045(P2010−119045A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292492(P2008−292492)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】