アンテナ装置並びに通信装置
【課題】比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成された、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、第1のアンテナ素子と、第2のアンテナ素子と、各アンテナ素子がそれぞれ別の伝送線路を介して接続されるハイブリッド回路からなり、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、第2のアンテナ素子をハイブリッド回路に接続する伝送線路の遅延線路長を調整することにより、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子は同相結合となり、広帯域な特性を得ることができ、低周波側又は高周波側で帯域が拡大する。
【解決手段】アンテナ装置は、第1のアンテナ素子と、第2のアンテナ素子と、各アンテナ素子がそれぞれ別の伝送線路を介して接続されるハイブリッド回路からなり、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、第2のアンテナ素子をハイブリッド回路に接続する伝送線路の遅延線路長を調整することにより、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子は同相結合となり、広帯域な特性を得ることができ、低周波側又は高周波側で帯域が拡大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に適用するアンテナ装置並びに通信装置に係り、特に、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成されたアンテナ装置並びに通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数百MHzから数GHzの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する無線伝送システムが各種普及している。例えば、2GHz帯や5GHz帯などを使用する無線LAN(Local Area Network)システムや、LTE(Long Term Evolution)や3G通信システムとして、700MHz帯から2GHz帯を使用する携帯電話の通信システムが開発されている。このような帯域を使った無線通信装置が備えるアンテナ装置として、各種方式のものが開発され、実用化されている。
【0003】
当業界では、複数のアンテナ素子を配置して、多重波によるフェージングを抑制するなどのダイバーシティ効果が得られることが広く知られている。例えば、電磁信号の送信/受信回路に給電ラインのネットワークにより接続されている第1及び第2の放射素子を少なくとも基板上に有する、放射ダイバーシティを伴う送信/受信アンテナにについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
近年、無線伝送に比較的広い帯域を使用する無線伝送システムが増えてきている。これに伴って、数百MHzから数GHzなどの比較的高い周波数帯域用のアンテナにおいて、広い周波数範囲内で連続して利用できること、すなわち広帯域化が望まれている。
【0005】
一般に、広帯域アンテナは、使用波長に比べて長く大きな構造になる。しかしながら、広帯域化が望まれるに反して、アンテナ自体は小型低背な構成が望まれている。勿論、上記のダイバーシティ効果を持つアンテナについても、簡単且つ小型な構成で、より良好なダイバーシティ特性を持ったアンテナが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−514292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に好適に適用することができる、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらなる目的は、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成された、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
を具備するアンテナ装置である。
【0010】
本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置の第2の伝送線路は、前記ハイブリッド回路の各入力ポートを励振したそれぞれの場合において、前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子が同相結合となるように、各入力ポートに対応した遅延線路長を含んでいる。そして、スイッチは、前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるようになっている。
【0011】
本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置は、スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、前記第1又は第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となるように構成されている。
【0012】
本願の請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置は、スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、異なる周波数帯で放射する特性となるように構成されている。
【0013】
また、本願の請求項5に記載の発明は、
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
前記第1並びに第2のアンテナ素子の無線送受信信号を処理する無線送受信回路と、
前記無線送受信回路の入出力ポートの切り換えと連動して、前記スイッチの切り換えを制御する制御部と、
を具備する通信装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に好適に適用することができる、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成された、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することができる。
【0016】
本発明に係るアンテナ装置は、第1のアンテナ素子と、第2のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とがそれぞれ別の伝送線路を介して接続されるハイブリッド回路で構成される。そして、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、第2のアンテナ素子をハイブリッド回路に接続する伝送線路の遅延線路長を調整するように構成されている。伝送線路の遅延調整を行なうことにより、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子は同相結合となるので、第1及び第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となるという効果がある。また、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、異なる周波数で放射する特性を得ることができる。
【0017】
すなわち、本発明によれば、2つのアンテナ素子を備えたアンテナ装置として、1つのアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となり、比較的簡単な構成で、中心周波数に対して低周波領域並びに高周波領域に広帯域特性を持つ、良好なアンテナ装置を得ることができる。また、そのアンテナ装置を備えた通信装置の無線通信特性を良好にすることができる。
【0018】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、アンテナ装置を備えた通信装置10の構成例を示した図である。
【図2】図2は、90度ハイブリッド回路13の一構成例を示した図である。
【図3】図3は、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12の配置例を示した図である。
【図4】図4は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を説明するための図である。
【図5】図5は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を説明するための図である。
【図6】図6は、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12からなるアンテナ装置の設計モデルを例示した図である。
【図7】図7は、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての電流分布のシミュレーション結果を示した図である。
【図8】図8は、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての放射効率の結果を示した図である。
【図9】図9は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)を示した図である。
【図10】図10は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)を示した図である。
【図11】図11は、通信装置の回路構成例を示した図である。
【図12】図12は、通信装置の他の回路構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1には、アンテナ装置を備えた通信装置10の構成例を示している。通信装置10に取り付けられたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12を備えた結合アンテナである。第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12はともに、いわゆる逆F型モノポール・アンテナとして構成され、各アンテナ素子11、12は同じ長さの素子である。逆F型アンテナは、λ/4モノポール・アンテナの先端を折り曲げて低背化したアンテナであり、給電点位置付近に短絡部を設けて給電点とのインピーダンス整合が取られている。
【0022】
第1のアンテナ素子11の給電点11aは、伝送線路15を介して90度ハイブリッド回路13の第3のポート13cに接続され、第2アンテナ素子12の給電点12aは、遅延線路長を調整可能な伝送線路16を介して90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dに接続されている。また、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのいずれか一方が励振する入力ポートとなり、他方は終端される。
【0023】
図2には、90度ハイブリッド回路13の一構成例を示している。図示の90度ハイブリッド回路13は、配線基板上の導電体パターン14で構成され、第1のポート13aと第2のポート13bと第3のポート13cと第4のポート13dを備えている。通信装置10の使用波長をλ0とすると、導電体パターン14は、隣接するポート間を、それぞれ遅延線路長λ0/4の伝送路で接続するように形成されている。
【0024】
第2アンテナ素子12の給電点12aと90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dの間を接続する伝送線路16は、遅延線路長を調整可能であり(前述)、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a又は第2のポート13bのいずれの入力ポートを励振するかに応じて、遅延線路長を調整するようになっている。
【0025】
図1に示す例では、伝送路線16は、第1の遅延線路16aと、第2の遅延線路16bと、単極双投(Single Pole Double Throw:SPDT)スイッチ16cと、単極単投(Single Pole Single Throw)スイッチ16dで構成される。第1の遅延線路16aの遅延線路長は、λ0/4である。また、第2の遅延線路16bの遅延線路長は、λ0/2である。第1の遅延線路16aの一端は、90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dに接続され、他端は、SPDTスイッチ16cに接続されている。SPDTスイッチ16cは、第1の遅延線路16aの他端を、第2のアンテナ素子11b(第1のポート)又は第2の遅延線路16bの一端(第2のポート)のいずれか一方へ、接続を切り換える。また、第2の遅延線路16bの他端は、SPSTスイッチ16dを介して第2のアンテナ素子11bに接続されている。
【0026】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16aのみとなり、伝送線路16全体での遅延線路長D2はλ0/4となる。
【0027】
また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16a及び第2の遅延線路16bとなり、伝送線路16全体での遅延線路長D2は3λ0/4となる。
【0028】
但し、伝送線路16は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振されるときに遅延線路長がλ0/4、第2のポート13bが励振されるときに遅延線路長が3λ0/4となるように、遅延線路長を調整可能であれば、図1に示した構成に限定されるものではない。
【0029】
2つのアンテナ素子11、12は、所定の間隔をあけて、ほぼ直線状に並ぶように配置されている。図3には、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12の配置例を示している。同図に示すように、それぞれ逆F型モノポール・アンテナとして構成されたアンテナ素子11、12は、接地電位部であるグラウンド面17上に、その表面からわずかに離間して、直線状に並ぶように配置されている。ここで、第1のアンテナ素子11の給電点11aは、伝送線路15に接続されている。給電点11aは、接続導体11bを介してグラウンド面17に短絡されている。また、第2のアンテナ素子12の給電点12aは、伝送線路16に接続されている。給電点12aは、接続導体12bを介してグラウンド面17に短絡されている。図3に示す例では、第1のアンテナ素子11の先端と第2のアンテナ素子12の先端を近接させ、第1のアンテナ素子11の給電点11aと第2のアンテナ素子12の給電点12aとを逆向きにしている。また、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12間のアンテナ結合距離D1は、λ0/2とする。
【0030】
図1に示した通信装置10は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのうちいずれの入力ポートを励振するかに応じて、伝送線路16の遅延線路長を調整することで、結合アンテナの帯域を拡大する。結合アンテナの帯域を拡大する仕組みについて、図4並びに図5を参照しながら説明する。
【0031】
図4には、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を図解している。
【0032】
まず、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合の、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合について考察する。
【0033】
第1のポート13aから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4であり、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第1のアンテナ素子11経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/4+λ0/2=3λ0/4となる。
【0034】
他方、第1のポート13aから第2のポート13b経由での伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2である。また、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、このときの伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16aのみとなり、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。したがって、第2のポート13b経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、3λ0/4となる。
【0035】
よって、2つの経路のいずれも遅延線路長が3λ0/4と同相であるから、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合は同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0036】
次いで、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合の、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合について考察する。
【0037】
第1のポート13aから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4である。
【0038】
他方、第1のポート13aから第2のポート13b経由での伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/2であり、このときの伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。また、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第2のアンテナ12経由での第1のポート13aから第1のアンテナ素子11先端までの総遅延線路長は、λ0/2+λ0/4+λ0/2=5λ0/4となる。
【0039】
よって、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合も同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0040】
また、図5には、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を図解している。
【0041】
まず、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合の、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合について考察する。
【0042】
第2のポート13bから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2であり、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第1のアンテナ素子11経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/2+λ0/2=4λ0/4となる。
【0043】
他方、第2のポート13bから伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4である。また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、このときの伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16a及び第2の遅延線路16bとなり、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。したがって、第2のポート13bから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/4+3λ0/4=4λ0/4となる。
【0044】
よって、2つの経路のいずれも遅延線路長が4λ0/4と同相であるから、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合は同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0045】
次いで、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合の、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合について考察する。
【0046】
第2のポート13bから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2である。
【0047】
他方、第2のポート13bから伝送線路16の根元までのハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4であり、このときの伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。また、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第2のアンテナ12経由での第1のポート13aから第1のアンテナ素子11先端までの総遅延線路長は、λ0/4+3λ0/4+λ0/2=3λ0/2となる。
【0048】
よって、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合も同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0049】
図6には、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12からなるアンテナ装置の設計モデルを例示している。例えば使用周波数帯域の中心が800MHzになるように、基板の高さH、幅W、厚さT、逆F字の第1及び第2のアンテナ素子11、12の長さL、基板とアンテナ素子間の間隙G、アンテナ素子の径D、第1及び第2のアンテナ素子11、12の先端間の距離L1、アンテナ素子先端から給電点までの距離L2、給電点から短絡点までの距離L3の各パラメーターを決定するようにすればよい。
【0050】
第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12間の間隔は、電磁界シミュレーションによって、それぞれの電流分布が最も強くなる部分の距離がλ0/2となるように配置を決定している。この配置条件は、図4及び図5におけるアンテナ結合距離D1に相当する。図7には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての電流分布のシミュレーション結果を示している。
【0051】
図8には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての放射効率の結果を示している。但し、中心周波数を800MHzとする。同図において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は放射効率[dB]であり、四角(■)でプロットした曲線は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置の放射効率特性を示し、丸(●)でプロットした曲線は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置の放射効率特性を示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置の放射効率特性を、破線で示している。
【0052】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにするので、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。図8から、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子単独での放射特性と比較して、放射効率の値が大きくなり、低周波側に帯域が拡大していることが分かる。
【0053】
一方、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにするので、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。図8から、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子11単独での放射特性と比較して、放射効率の値が大きくなり、高周波側に帯域が拡大していることが分かる。
【0054】
要するに、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、90度ハイブリッド回路の第1のポート13a並びに第2のポート13bの各入力ポートを励振したときに、第1のアンテナ素子11又は第2のアンテナ素子12の一方のみを単独でのアンテナ特性よりも広帯域となる。また、90度ハイブリッド回路の第1のポート13a並びに第2のポート13bのうちいずれの入力ポートを励振するかによって、低周波側又は高周波側で帯域が拡大し、異なる周波数で放射する特性を得ることができる。
【0055】
図9には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについて、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)[dB]を、実線で示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置のリターンロス特性を、破線で示している。
【0056】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにするので、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。同図から、中心である800MHzから低域側のリターンロスの変化が緩やかであり、高域側の方で急峻にリターンロスが変化していることが分かる。すなわち、低域側の方がよりインピーダンス・マッチングがとれるため、図8に示したように放射効率が低域側に帯域拡大される。
【0057】
また、図10には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについて、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S22特性)[dB]を、実線で示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置のリターンロス特性を、破線で示している。
【0058】
90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにするので、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。同図から、中心である800MHzから高域側のリターンロスの変化が緩やかであり、低域側の方で急峻にリターンロスが変化していることが分かる。すなわち、高域側の方がよりインピーダンス・マッチングがとれるため、図8に示したように放射効率が高域側に帯域拡大される。
【0059】
なお、アンテナの特性や実装状態(周辺のグラウンドや寄生部品など)によって、インピーダンス・マッチングの状態は変化する。したがって、その都度、線路長を微調整することによって、上述したような広帯域特性を得ることができる。
【0060】
図11には、通信装置の回路構成例を示している。RF信号処理制御部18は、制御信号AをXSPDT(クロスSPDT)スイッチ19に出力して、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのいずれか一方が励振するよう切り換えを行なう。また、RF信号処理制御部18は、SPDTスイッチ16cのポート切り替え及びSPSTスイッチ16dのオン/オフをそれぞれ制御する制御信号B、Cを出力する。RF信号処理制御部18は、アンテナ装置での無線送受信信号を処理するが、制御信号Aの切り換えによって入出力ポートの切り換えを行なう。また、RF信号処理制御部18は、下表に示すように、制御信号Aの切り換えに連動して制御信号B、Cを切り換えることによって、無線送受信の入出力ポートの切り換えとリンクして、伝送線路16の遅延線路長を切り換えることができる。
【0061】
【表1】
【0062】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振するとき、RF信号処理制御部18は、制御信号Aをローにするとともに、制御信号BでSPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、制御信号CでSPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。
【0063】
また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振するとき、RF信号処理制御部18は、制御信号Aをハイにするとともに、制御信号BでSPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、制御信号CでSPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。
【0064】
また、図12には、通信装置の他の回路構成例を示している。図11との主な相違は、90度ハイブリッド回路13を180度ハイブリッド回路13´に置き換えた点である。180度ハイブリッド回路13´からの出力位相差が180度となり、90度ハイブリッド回路13の場合と比べて90度だけ増える。すなわち、λ0/4分が増えるので、第1の遅延線路16aが不要となり、λ0/2分の遅延を与える第2の遅延線路16bだけとなる。図12に示した通信装置においても、RF信号処理制御は、上表に従って制御信号A、B、Cを切り換えることで、励振ポートを切り換えることができ、従来(一方のアンテナ素子のみを使用する場合)に比較して動作周波数を拡大したアンテナを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0066】
本発明に係るアンテナ装置は、2GHz帯や5GHz帯などを使用する無線LANシステム、LTEや3G通信システム、その他、比較的高い周波数帯域で広帯域を使用するさまざまな無線通信システムで使用される通信装置に適用することができる。
【0067】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0068】
10…通信装置
11…第1のアンテナ素子、11a…給電点、11b…接続導体
12…第2のアンテナ素子、12a…給電点、12b…接続導体
13…90度ハイブリッド回路
13´…180度ハイブリッド回路
14…導電体パターン
15…伝送線路
16…伝送線路
16a…第1の遅延線路、16b…q第2の遅延線路
16c…SPDTスイッチ、16d…SPSTスイッチ
17…グラウンド面
18…RF信号処理制御部
19…XSPDTスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に適用するアンテナ装置並びに通信装置に係り、特に、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成されたアンテナ装置並びに通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数百MHzから数GHzの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する無線伝送システムが各種普及している。例えば、2GHz帯や5GHz帯などを使用する無線LAN(Local Area Network)システムや、LTE(Long Term Evolution)や3G通信システムとして、700MHz帯から2GHz帯を使用する携帯電話の通信システムが開発されている。このような帯域を使った無線通信装置が備えるアンテナ装置として、各種方式のものが開発され、実用化されている。
【0003】
当業界では、複数のアンテナ素子を配置して、多重波によるフェージングを抑制するなどのダイバーシティ効果が得られることが広く知られている。例えば、電磁信号の送信/受信回路に給電ラインのネットワークにより接続されている第1及び第2の放射素子を少なくとも基板上に有する、放射ダイバーシティを伴う送信/受信アンテナにについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
近年、無線伝送に比較的広い帯域を使用する無線伝送システムが増えてきている。これに伴って、数百MHzから数GHzなどの比較的高い周波数帯域用のアンテナにおいて、広い周波数範囲内で連続して利用できること、すなわち広帯域化が望まれている。
【0005】
一般に、広帯域アンテナは、使用波長に比べて長く大きな構造になる。しかしながら、広帯域化が望まれるに反して、アンテナ自体は小型低背な構成が望まれている。勿論、上記のダイバーシティ効果を持つアンテナについても、簡単且つ小型な構成で、より良好なダイバーシティ特性を持ったアンテナが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−514292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に好適に適用することができる、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらなる目的は、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成された、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
を具備するアンテナ装置である。
【0010】
本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置の第2の伝送線路は、前記ハイブリッド回路の各入力ポートを励振したそれぞれの場合において、前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子が同相結合となるように、各入力ポートに対応した遅延線路長を含んでいる。そして、スイッチは、前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるようになっている。
【0011】
本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置は、スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、前記第1又は第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となるように構成されている。
【0012】
本願の請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載のアンテナ装置は、スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、異なる周波数帯で放射する特性となるように構成されている。
【0013】
また、本願の請求項5に記載の発明は、
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
前記第1並びに第2のアンテナ素子の無線送受信信号を処理する無線送受信回路と、
前記無線送受信回路の入出力ポートの切り換えと連動して、前記スイッチの切り換えを制御する制御部と、
を具備する通信装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線LANシステムなどの比較的高い周波数帯域を無線伝送に使用する通信装置に好適に適用することができる、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、比較的高い周波数帯域で広帯域化を実現するとともに、小型低背に構成された、優れたアンテナ装置並びに通信装置を提供することができる。
【0016】
本発明に係るアンテナ装置は、第1のアンテナ素子と、第2のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とがそれぞれ別の伝送線路を介して接続されるハイブリッド回路で構成される。そして、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、第2のアンテナ素子をハイブリッド回路に接続する伝送線路の遅延線路長を調整するように構成されている。伝送線路の遅延調整を行なうことにより、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子は同相結合となるので、第1及び第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となるという効果がある。また、ハイブリッド回路のいずれの入力ポートを励振するかに応じて、異なる周波数で放射する特性を得ることができる。
【0017】
すなわち、本発明によれば、2つのアンテナ素子を備えたアンテナ装置として、1つのアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となり、比較的簡単な構成で、中心周波数に対して低周波領域並びに高周波領域に広帯域特性を持つ、良好なアンテナ装置を得ることができる。また、そのアンテナ装置を備えた通信装置の無線通信特性を良好にすることができる。
【0018】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、アンテナ装置を備えた通信装置10の構成例を示した図である。
【図2】図2は、90度ハイブリッド回路13の一構成例を示した図である。
【図3】図3は、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12の配置例を示した図である。
【図4】図4は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を説明するための図である。
【図5】図5は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を説明するための図である。
【図6】図6は、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12からなるアンテナ装置の設計モデルを例示した図である。
【図7】図7は、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての電流分布のシミュレーション結果を示した図である。
【図8】図8は、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての放射効率の結果を示した図である。
【図9】図9は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)を示した図である。
【図10】図10は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)を示した図である。
【図11】図11は、通信装置の回路構成例を示した図である。
【図12】図12は、通信装置の他の回路構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1には、アンテナ装置を備えた通信装置10の構成例を示している。通信装置10に取り付けられたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12を備えた結合アンテナである。第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12はともに、いわゆる逆F型モノポール・アンテナとして構成され、各アンテナ素子11、12は同じ長さの素子である。逆F型アンテナは、λ/4モノポール・アンテナの先端を折り曲げて低背化したアンテナであり、給電点位置付近に短絡部を設けて給電点とのインピーダンス整合が取られている。
【0022】
第1のアンテナ素子11の給電点11aは、伝送線路15を介して90度ハイブリッド回路13の第3のポート13cに接続され、第2アンテナ素子12の給電点12aは、遅延線路長を調整可能な伝送線路16を介して90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dに接続されている。また、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのいずれか一方が励振する入力ポートとなり、他方は終端される。
【0023】
図2には、90度ハイブリッド回路13の一構成例を示している。図示の90度ハイブリッド回路13は、配線基板上の導電体パターン14で構成され、第1のポート13aと第2のポート13bと第3のポート13cと第4のポート13dを備えている。通信装置10の使用波長をλ0とすると、導電体パターン14は、隣接するポート間を、それぞれ遅延線路長λ0/4の伝送路で接続するように形成されている。
【0024】
第2アンテナ素子12の給電点12aと90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dの間を接続する伝送線路16は、遅延線路長を調整可能であり(前述)、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a又は第2のポート13bのいずれの入力ポートを励振するかに応じて、遅延線路長を調整するようになっている。
【0025】
図1に示す例では、伝送路線16は、第1の遅延線路16aと、第2の遅延線路16bと、単極双投(Single Pole Double Throw:SPDT)スイッチ16cと、単極単投(Single Pole Single Throw)スイッチ16dで構成される。第1の遅延線路16aの遅延線路長は、λ0/4である。また、第2の遅延線路16bの遅延線路長は、λ0/2である。第1の遅延線路16aの一端は、90度ハイブリッド回路13の第4のポート13dに接続され、他端は、SPDTスイッチ16cに接続されている。SPDTスイッチ16cは、第1の遅延線路16aの他端を、第2のアンテナ素子11b(第1のポート)又は第2の遅延線路16bの一端(第2のポート)のいずれか一方へ、接続を切り換える。また、第2の遅延線路16bの他端は、SPSTスイッチ16dを介して第2のアンテナ素子11bに接続されている。
【0026】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16aのみとなり、伝送線路16全体での遅延線路長D2はλ0/4となる。
【0027】
また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16a及び第2の遅延線路16bとなり、伝送線路16全体での遅延線路長D2は3λ0/4となる。
【0028】
但し、伝送線路16は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振されるときに遅延線路長がλ0/4、第2のポート13bが励振されるときに遅延線路長が3λ0/4となるように、遅延線路長を調整可能であれば、図1に示した構成に限定されるものではない。
【0029】
2つのアンテナ素子11、12は、所定の間隔をあけて、ほぼ直線状に並ぶように配置されている。図3には、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12の配置例を示している。同図に示すように、それぞれ逆F型モノポール・アンテナとして構成されたアンテナ素子11、12は、接地電位部であるグラウンド面17上に、その表面からわずかに離間して、直線状に並ぶように配置されている。ここで、第1のアンテナ素子11の給電点11aは、伝送線路15に接続されている。給電点11aは、接続導体11bを介してグラウンド面17に短絡されている。また、第2のアンテナ素子12の給電点12aは、伝送線路16に接続されている。給電点12aは、接続導体12bを介してグラウンド面17に短絡されている。図3に示す例では、第1のアンテナ素子11の先端と第2のアンテナ素子12の先端を近接させ、第1のアンテナ素子11の給電点11aと第2のアンテナ素子12の給電点12aとを逆向きにしている。また、第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12間のアンテナ結合距離D1は、λ0/2とする。
【0030】
図1に示した通信装置10は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのうちいずれの入力ポートを励振するかに応じて、伝送線路16の遅延線路長を調整することで、結合アンテナの帯域を拡大する。結合アンテナの帯域を拡大する仕組みについて、図4並びに図5を参照しながら説明する。
【0031】
図4には、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を図解している。
【0032】
まず、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合の、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合について考察する。
【0033】
第1のポート13aから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4であり、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第1のアンテナ素子11経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/4+λ0/2=3λ0/4となる。
【0034】
他方、第1のポート13aから第2のポート13b経由での伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2である。また、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、このときの伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16aのみとなり、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。したがって、第2のポート13b経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、3λ0/4となる。
【0035】
よって、2つの経路のいずれも遅延線路長が3λ0/4と同相であるから、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合は同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0036】
次いで、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振する場合の、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合について考察する。
【0037】
第1のポート13aから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4である。
【0038】
他方、第1のポート13aから第2のポート13b経由での伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/2であり、このときの伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。また、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第2のアンテナ12経由での第1のポート13aから第1のアンテナ素子11先端までの総遅延線路長は、λ0/2+λ0/4+λ0/2=5λ0/4となる。
【0039】
よって、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合も同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0040】
また、図5には、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合に結合アンテナの帯域が拡大する線路長を図解している。
【0041】
まず、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合の、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合について考察する。
【0042】
第2のポート13bから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2であり、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第1のアンテナ素子11経由での第1のポート13aから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/2+λ0/2=4λ0/4となる。
【0043】
他方、第2のポート13bから伝送線路16の根元までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4である。また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bが励振される場合、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、このときの伝送線路16の遅延要素は第1の遅延線路16a及び第2の遅延線路16bとなり、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。したがって、第2のポート13bから第2のアンテナ素子12先端までの総遅延線路長は、λ0/4+3λ0/4=4λ0/4となる。
【0044】
よって、2つの経路のいずれも遅延線路長が4λ0/4と同相であるから、第1のアンテナ素子11から第2のアンテナ素子12の方向のアンテナ結合は同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0045】
次いで、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振する場合の、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合について考察する。
【0046】
第2のポート13bから第3のポート13cに接続された第1のアンテナ素子11までの90度ハイブリッド回路13内での遅延線路長は、λ0/4+λ0/4=λ0/2である。
【0047】
他方、第2のポート13bから伝送線路16の根元までのハイブリッド回路13内での遅延線路長はλ0/4であり、このときの伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。また、結合アンテナのアンテナ結合距離D1は、λ0/2である。したがって、第2のアンテナ12経由での第1のポート13aから第1のアンテナ素子11先端までの総遅延線路長は、λ0/4+3λ0/4+λ0/2=3λ0/2となる。
【0048】
よって、第2のアンテナ素子12から第1のアンテナ素子11の方向のアンテナ結合も同相結合となり、図1に示したアンテナ装置の帯域が拡大する。
【0049】
図6には、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12からなるアンテナ装置の設計モデルを例示している。例えば使用周波数帯域の中心が800MHzになるように、基板の高さH、幅W、厚さT、逆F字の第1及び第2のアンテナ素子11、12の長さL、基板とアンテナ素子間の間隙G、アンテナ素子の径D、第1及び第2のアンテナ素子11、12の先端間の距離L1、アンテナ素子先端から給電点までの距離L2、給電点から短絡点までの距離L3の各パラメーターを決定するようにすればよい。
【0050】
第1のアンテナ素子11と第2のアンテナ素子12間の間隔は、電磁界シミュレーションによって、それぞれの電流分布が最も強くなる部分の距離がλ0/2となるように配置を決定している。この配置条件は、図4及び図5におけるアンテナ結合距離D1に相当する。図7には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての電流分布のシミュレーション結果を示している。
【0051】
図8には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについての放射効率の結果を示している。但し、中心周波数を800MHzとする。同図において、横軸は周波数[GHz]、縦軸は放射効率[dB]であり、四角(■)でプロットした曲線は、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置の放射効率特性を示し、丸(●)でプロットした曲線は、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置の放射効率特性を示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置の放射効率特性を、破線で示している。
【0052】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにするので、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。図8から、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子単独での放射特性と比較して、放射効率の値が大きくなり、低周波側に帯域が拡大していることが分かる。
【0053】
一方、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにするので、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。図8から、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、第1のアンテナ素子11単独での放射特性と比較して、放射効率の値が大きくなり、高周波側に帯域が拡大していることが分かる。
【0054】
要するに、第1のアンテナ素子11及び第2のアンテナ素子12を備えたアンテナ装置は、90度ハイブリッド回路の第1のポート13a並びに第2のポート13bの各入力ポートを励振したときに、第1のアンテナ素子11又は第2のアンテナ素子12の一方のみを単独でのアンテナ特性よりも広帯域となる。また、90度ハイブリッド回路の第1のポート13a並びに第2のポート13bのうちいずれの入力ポートを励振するかによって、低周波側又は高周波側で帯域が拡大し、異なる周波数で放射する特性を得ることができる。
【0055】
図9には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについて、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S11特性)[dB]を、実線で示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置のリターンロス特性を、破線で示している。
【0056】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオフにするので、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。同図から、中心である800MHzから低域側のリターンロスの変化が緩やかであり、高域側の方で急峻にリターンロスが変化していることが分かる。すなわち、低域側の方がよりインピーダンス・マッチングがとれるため、図8に示したように放射効率が低域側に帯域拡大される。
【0057】
また、図10には、図6に示したアンテナ装置の設計モデルについて、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したときのアンテナ装置のリターンロス特性(S22特性)[dB]を、実線で示している。また、参考として第の1アンテナ素子11を単独で使用した場合のアンテナ装置のリターンロス特性を、破線で示している。
【0058】
90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振したとき、SPDTスイッチ16cを第2のポートに切り換え、且つ、SPSTスイッチ16dをオンにするので、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。同図から、中心である800MHzから高域側のリターンロスの変化が緩やかであり、低域側の方で急峻にリターンロスが変化していることが分かる。すなわち、高域側の方がよりインピーダンス・マッチングがとれるため、図8に示したように放射効率が高域側に帯域拡大される。
【0059】
なお、アンテナの特性や実装状態(周辺のグラウンドや寄生部品など)によって、インピーダンス・マッチングの状態は変化する。したがって、その都度、線路長を微調整することによって、上述したような広帯域特性を得ることができる。
【0060】
図11には、通信装置の回路構成例を示している。RF信号処理制御部18は、制御信号AをXSPDT(クロスSPDT)スイッチ19に出力して、90度ハイブリッド回路13の第1のポート13a及び第2のポート13bのいずれか一方が励振するよう切り換えを行なう。また、RF信号処理制御部18は、SPDTスイッチ16cのポート切り替え及びSPSTスイッチ16dのオン/オフをそれぞれ制御する制御信号B、Cを出力する。RF信号処理制御部18は、アンテナ装置での無線送受信信号を処理するが、制御信号Aの切り換えによって入出力ポートの切り換えを行なう。また、RF信号処理制御部18は、下表に示すように、制御信号Aの切り換えに連動して制御信号B、Cを切り換えることによって、無線送受信の入出力ポートの切り換えとリンクして、伝送線路16の遅延線路長を切り換えることができる。
【0061】
【表1】
【0062】
90度ハイブリッド回路13の第1のポート13aを励振するとき、RF信号処理制御部18は、制御信号Aをローにするとともに、制御信号BでSPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、制御信号CでSPSTスイッチ16dをオフにする。この結果、伝送線路16の遅延線路長D2はλ0/4となる(前述)。
【0063】
また、90度ハイブリッド回路13の第2のポート13bを励振するとき、RF信号処理制御部18は、制御信号Aをハイにするとともに、制御信号BでSPDTスイッチ16cを第1のポートに切り換え、且つ、制御信号CでSPSTスイッチ16dをオンにする。この結果、伝送線路16の遅延線路長D2は3λ0/4となる(前述)。
【0064】
また、図12には、通信装置の他の回路構成例を示している。図11との主な相違は、90度ハイブリッド回路13を180度ハイブリッド回路13´に置き換えた点である。180度ハイブリッド回路13´からの出力位相差が180度となり、90度ハイブリッド回路13の場合と比べて90度だけ増える。すなわち、λ0/4分が増えるので、第1の遅延線路16aが不要となり、λ0/2分の遅延を与える第2の遅延線路16bだけとなる。図12に示した通信装置においても、RF信号処理制御は、上表に従って制御信号A、B、Cを切り換えることで、励振ポートを切り換えることができ、従来(一方のアンテナ素子のみを使用する場合)に比較して動作周波数を拡大したアンテナを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0066】
本発明に係るアンテナ装置は、2GHz帯や5GHz帯などを使用する無線LANシステム、LTEや3G通信システム、その他、比較的高い周波数帯域で広帯域を使用するさまざまな無線通信システムで使用される通信装置に適用することができる。
【0067】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0068】
10…通信装置
11…第1のアンテナ素子、11a…給電点、11b…接続導体
12…第2のアンテナ素子、12a…給電点、12b…接続導体
13…90度ハイブリッド回路
13´…180度ハイブリッド回路
14…導電体パターン
15…伝送線路
16…伝送線路
16a…第1の遅延線路、16b…q第2の遅延線路
16c…SPDTスイッチ、16d…SPSTスイッチ
17…グラウンド面
18…RF信号処理制御部
19…XSPDTスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
を具備するアンテナ装置。
【請求項2】
前記ハイブリッド回路の各入力ポートを励振したそれぞれの場合において、前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子が同相結合となるように、前記第2の伝送線路は各入力ポートに対応した遅延線路長を含み、
前記スイッチは、前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換える、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、前記第1又は第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となる、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、異なる周波数帯で放射する特性となる、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
前記第1並びに第2のアンテナ素子の無線送受信信号を処理する無線送受信回路と、
前記無線送受信回路の入出力ポートの切り換えと連動して、前記スイッチの切り換えを制御する制御部と、
を具備する通信装置。
【請求項1】
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
を具備するアンテナ装置。
【請求項2】
前記ハイブリッド回路の各入力ポートを励振したそれぞれの場合において、前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子が同相結合となるように、前記第2の伝送線路は各入力ポートに対応した遅延線路長を含み、
前記スイッチは、前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換える、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、前記第1又は第2のアンテナ素子単独でのアンテナ特性よりも広帯域な特性となる、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スイッチが前記ハイブリッド回路の励振する入力ポートに応じて前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えることにより、異なる周波数帯で放射する特性となる、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
第1のアンテナ素子と、
第2のアンテナ素子と、
第1の伝送線路を介して前記第1のアンテナ素子が接続されるとともに、第2の伝送線路を介して前記第2のアンテナ素子が接続され、いずれかの入力ポートが励振されるハイブリッド回路と、
前記第2の伝送線路の遅延線路長を切り換えるスイッチと、
前記第1並びに第2のアンテナ素子の無線送受信信号を処理する無線送受信回路と、
前記無線送受信回路の入出力ポートの切り換えと連動して、前記スイッチの切り換えを制御する制御部と、
を具備する通信装置。
【図1】
【図3】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図3】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【公開番号】特開2012−160998(P2012−160998A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20511(P2011−20511)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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