アンテナ装置
【課題】本発明は、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現することのできるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明のアンテナ装置は、基板と、前記基板上に配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明のアンテナ装置は、基板と、前記基板上に配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロストリップアンテナを用いたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信用基地局に用いられるアンテナ装置に対して、通信容量の増大のためMIMO(Multiple Input Multiple Output)機能や指向性可変機能が求められている。一般に、アンテナ装置の指向性可変は複数のアンテナを配置して行うが、アンテナの回路構成が複雑になる。
【0003】
さらに移動体通信用基地局には小型化に対する要求があり、アンテナ装置の小型化も望まれている。この小型化と指向性可変機能を有するアンテナ装置として、例えば、特許文献1及び2に提示されたマイクロストリップアンテナがある。特許文献1及び2に記載されたマイクロストリップアンテナは、矩形の給電素子の両端部に矩形の無給電素子(非励振素子)を配置し、無給電素子に接続されたスイッチを制御して給電素子に接続・開放可能とすることにより、指向性を可変しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】埼玉大学 工学部 羽石 操、須賀 秀和、「可変スタブ装荷非励振素子によるマイクロストリップアンテナのビーム成形」、電子通信学会論文誌、1986年4月17日、A・P86−1
【特許文献2】特開2007−37077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提示されたアンテナ装置は、指向性の可変方向が限られるものであった。また、特許文献2に提示されたように、給電素子と無給電素子とを複数配置したアンテナ装置の場合には、指向性の可変方向を上下左右に切り替えることができるが、複数の無給電素子を相互干渉による影響を受けないようにするために、所定の距離だけ離隔して配置する必要があり、小型化の観点から望ましくないものであった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、小型化を行い、MIMO、Beamforming対応を実現する指向性を可変することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、基板と、前記基板上に配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【0008】
また、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、矩形状の基板と、前記基板の四隅にそれぞれ配置され、二つの矩形状を交差させた部分に重畳部を有する略十字形状の複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子の間に、それぞれ前記無給電素子から離隔して配置された複数の給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【0009】
さらに、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、矩形状の基板と、前記基板上の辺部にそれぞれ配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子を挟むように、前記複数の給電素子の両端部にそれぞれ前記給電素子から所定の距離だけ離隔して配置された多角形状の複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の構成を説明するための図であり、(a)は、図1に示したマイクロストリップアンテナの構成を示す上面図であり、(b)は、図1に示した寄生素子基板の構成を示す上面図である。
【図3】従来のアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、従来のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図4】図3に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図5】本発明に対する比較例1に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例1に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図6】図5に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図7】本発明に対する比較例2に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例2に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図8】図7に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図9】本発明に対する比較例3に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図11】本発明に対する比較例4に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例4に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図12】図11に示したアンテナ装置の一部における電流分布を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置のマイクロストリップアンテナの概略構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、Y−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(b)は、(a)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(c)は、Y−Z方向の0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(d)は、(c)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(e)は、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(f)は、(e)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(b)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(c)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(d)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(e)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(f)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の一部における電流分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係るアンテナ装置について説明する。但し、本発明のアンテナ装置は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成を示す斜視図である。図1において、アンテナ装置1000は、グラウンド導体120と、グラウンド導体120上に配置される第1基板110と、第1基板110上に配置される複数の給電素子101a〜101d及び複数の無給電素子102a〜102dとを備えるマイクロストリップアンテナ100を含む。また、アンテナ装置1000は、マイクロストリップアンテナ100上に、マイクロストリップアンテナ100から離隔して配置され、第2基板210上に配置される複数の無給電素子201a〜201dを含む寄生素子基板200を含んでもよい。
【0015】
図1に示したマイクロストリップアンテナ100及び寄生素子基板200について、図2を参照してさらに詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成を説明するための図であり、(a)は、図1に示したマイクロストリップアンテナ100の構成を示す上面図であり、(b)は、図1に示した寄生素子基板200の構成を示す上面図である。
【0016】
図2(a)に図示したように、マイクロストリップアンテナ100は、第1基板110上に、矩形状の給電素子101a〜101dと、多角形状の無給電素子102a〜102dとが配置されたものである。なお、第1基板110は誘電体であり、図1に図示したように、第1基板110の下には第1基板110と同じ大きさのグラウンド導体120が配置されてもよい。第1基板110の大きさは、例えば、一辺が14cm〜17cm程度の正方形状であってもよく、厚みは、0.2mm以上、1.0mm以下の薄板状のものであってもよい。なお、第1基板110及びグラウンド導体120の寸法は一例であり、アンテナ装置1000に対して要求される寸法に応じて変更されてもよい。給電素子101a〜101d及び無給電素子102a〜102dは、薄膜状の金属であり、第1基板110上に金属薄膜をパターニングして各々形成してもよい。また、第1基板110上に複数の金属薄板を積層して各々形成してもよい。
【0017】
給電素子101a〜101dは、図2(a)に図示したように、異なる二辺の長さa1、b1が、a1>b1となる矩形状であってもよい。給電素子101a〜101dは、第1基板110の辺部に、第1基板110の縁から距離c1だけ離隔して配置され、第1基板110の縁と対向する辺の長さがb1であるように配置される。このとき、図示したように、給電素子101a〜101dが、それぞれ、第1基板110の一辺の中央を通って互いに直交する二つの軸k1、k2上に、軸対称に配置されてもよい。ここで、各寸法は、一例として、a1=53mmであり、b1=30mmであり、c1=15mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
なお、給電素子101a〜101dには、検波方向を規定する位置に、それぞれ給電点111a〜111dが配置される。この給電点111a〜111dを介して、マイクロストリップアンテナ100は、マイクロストリップアンテナ100の下に配置されたグラウンド導体120との間で給電される。給電点111a〜111dは、図示したように、矩形状の給電素子101a〜101dの中心から第1基板110の縁側に近い位置に配置されてもよいが、図示した位置に限定されず、仕様に応じて適宜変更され得る。
【0019】
無給電素子102a〜102dは、図2(a)に図示したように、同じ形状の二つの矩形状を互いに直角に交差させて構成される多角形状であってもよい。例えば、給電素子101a〜101dと同形状である、二辺の長さa1、b1がa1>b1の矩形状を二つ直交させて形成される形状であってもよい。また、無給電素子102a〜102dは、二つの矩形状の中心を重ねずに、ずらして交差させた略十字形状であってもよく、このとき、無給電素子102a〜102dは、それぞれ、第1基板110の対角線を軸として、軸対称となる形状に配置してもよい。また、無給電素子102a〜102dは、第1基板110上の直交する二つの軸k1、k2に対し、軸対称となる形状に配置してもよい。なお、無給電素子102a〜102dは、図2(a)に図示したように、第1基板110の中心Oに対向する無給電素子102a〜102dの辺の長さa2と、第1基板110の角部に対向する無給電素子102a〜102dの辺の長さa3とが、a2<a3となるように、二つの矩形状が交差された形状であってもよい。一例として、無給電素子102a〜102dの寸法は、a2=14.7mmであり、a3=8.8mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0020】
無給電素子102a〜102dには、それぞれ接続点112a〜112hが二つずつ配置される。接続点112a〜112hは、図示したように、無給電素子102a〜102dの二つの矩形状がクロスした交差部上に配置されてもよいが、図示した位置に限定されず、仕様に応じて適宜変更され得る。接続点112a〜112hには、図13に図示したように、スイッチ123a〜123hを介してスタブ122a〜122pが接続される。スタブ122a〜122pは、長さの異なる2つのオープンスタブであり、スイッチ123a〜123hの切換によって長短のオープンスタブのどちらかを選択するものであってもよい。なお、スタブ122a〜122pの大きさや構成は、アンテナ装置の構成に応じて適宜変更され得る。
【0021】
無給電素子102a〜102dは、給電素子101a〜101dの両端部に配置される。図2(a)に図示したように、無給電素子102a〜102dは、矩形状の第1基板110の四隅に、第1基板110の縁から距離c1だけ離隔して、第1基板110の縁と対向する辺の長さがb1であるように配置されてもよい。また、無給電素子102a〜102dは、接続点112a〜112hから給電素子101a〜101dの給電点111a〜111dまでの距離が素子間隔d1となるように、それぞれ給電素子101a〜101dから所定の距離だけ離隔して配置される。本実施形態において、素子間隔d1は、d1=40.8mmである。
【0022】
このような構成を有するマイクロストリップアンテナ100の上には、寄生素子基板200が、スペーサ(図示せず)等を介して配置される。図2(b)に図示したように、寄生素子基板200は、第2基板210上に寄生素子201a〜201dが配置されたものである。寄生素子201a〜201dは、給電素子101a〜101dと同じ材料を用いて、同じ形状に形成してもよく、異なる二辺の長さa1、b1が、a1>b1となる矩形状であってもよい。このとき、図1に図示したように、第2基板210上の寄生素子201a〜201dが、第1基板110上の給電素子101a〜101dと所定の間隔だけ離隔して同じ位置に重なるように配置されてもよい。
【0023】
次に、上述したマイクロストリップアンテナ100を含む本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の動作及び放射特性を説明するために、以下、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800について説明する。なお、アンテナ装置400〜800は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000と同様の構成については、同様の材料及び製造方法を用いて製造するものとし、詳細な説明については、以下省略する。
【0024】
(従来例1)
図3及び図4を参照して、従来例1に係るアンテナ装置400の構成及びビームの放射特性について説明する。図3は、従来のアンテナ装置400の概略構成を説明するための図であり、(a)は、従来のアンテナ装置400の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置400のY−Z方向の放射特性を示す図である。図4は、図3に示したアンテナ装置400の電流分布を示す図である。
【0025】
図3(a)に図示したように、従来例1に係るアンテナ装置400は、基板410上に、給電素子401と、給電素子401の給電点411から素子間隔d4だけ離隔して給電素子401の両端部に配置される接続点412a、412bを有する無給電素子402a、402bとが配置される。このとき、給電素子401及び無給電素子402a、402bは、それぞれ、一辺の長さa4が、a4=50.5mmの正方形状である。このときの素子間隔d4は、d4=58mmであり、給電素子401及び無給電素子402a、402bを含むアンテナ素子全体の長さは、1.44λである。なお、以下、λは、給電素子の共振周波数の波長である。
【0026】
アンテナ装置400によれば、図3(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置400の電流分布は、図4に示した通りである。図4は、無給電素子402aの接続点412aに接続されるスタブ422aの長さが長く、無給電素子402bの接続点412bに接続されるスタブ422bの長さが短い場合の電流分布を示している。
【0027】
図4において、点線で囲んで示した範囲403a、403bは、給電素子401と無給電素子402a、402bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図4に示した範囲403a、403bを参照すると、無給電素子402aと、無給電素子402bにおいてそれぞれカップリングが異なっていることがわかる。従って、従来のアンテナ装置400は、無給電素子402aに接続されているスタブ422aによって無給電素子402aに生じるカップリングを調整し、指向性を可変させている。
【0028】
このように、従来例1に係るアンテナ装置400は、アンテナ素子の大きさが1.44λと大きくなるものであった。従って、アンテナ装置の小型化を実現するために、以下に述べる比較例1〜4のように、アンテナ素子の形状を変えて実験を行った。
【0029】
(比較例1)
図5及び図6を参照して、本発明に対する比較例1に係るアンテナ装置500の構成及びビームの放射特性について説明する。図5は、比較例1に係るアンテナ装置500の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例1に係るアンテナ装置500の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置500のY−Z方向の放射特性を示す図である。図6は、図5に示したアンテナ装置500の電流分布を示す図である。
【0030】
図5(a)に図示したように、比較例1に係るアンテナ装置500は、基板510上に、給電素子501と、給電素子501の給電点511から素子間隔d5だけ離隔して給電素子501の両端部に配置される接続点512a、512bを有する無給電素子502a、502bとが配置される。このとき、給電素子501及び無給電素子502a、502bは、それぞれ異なる二辺の長さa5、b5が、a5=20mm、b5=51mmである矩形状である。このときの素子間隔d5は、d5=58mmであり、給電素子501及び無給電素子502a、502bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、図3(a)に示した従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、比較例1に係るアンテナ装置500は、小型化が可能である。
【0031】
アンテナ装置500によれば、図5(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置500の電流分布は、図6に示した通りである。図6は、無給電素子502aの接続点512aに接続されるスタブ522aの長さが長く、無給電素子502bの接続点512bに接続されるスタブ522bの長さが短い場合の電流分布を示している。
【0032】
図6において、点線で囲んで示した範囲503a、503bは、給電素子501と無給電素子502a、502bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図6に示した範囲503a、503bの、無給電素子502aと無給電素子502bとを比較すると、いずれもカップリング量が少なく、指向性の可変量は少ないことがわかる。
【0033】
このように、比較例1に係るアンテナ装置500は、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、0.9λと小型化することが可能であるが、指向性の可変量が少ないものであった。このため、アンテナ装置の小型化と、指向性の可変量を多くすることのいずれをも実現するために、以下に述べる比較例2として、アンテナ素子の形状を変化させて実験を行った。
【0034】
(比較例2)
図7及び図8を参照して、比較例2に係るアンテナ装置600の構成及びビームの放射特性について説明する。図7は、比較例2に係るアンテナ装置600の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例2に係るアンテナ装置600の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置600のY−Z方向の放射特性を示す図である。図8は、図7に示したアンテナ装置600の電流分布を示す図である。
【0035】
図7(a)に図示したように、比較例2に係るアンテナ装置600は、基板610上に、給電素子601と、給電素子601の給電点611から素子間隔d6だけ離隔して給電素子601の両端部に配置される接続点612a、612bを有する無給電素子602a、602bとが配置される。このとき、給電素子601は、図5(a)に示した比較例1に係るアンテナ装置500の給電素子501と同じ大きさの矩形状を有する。また、無給電素子602a、602bは、比較例1に係る無給電素子502a、502bと同じ大きさの矩形状から、長さa6だけ給電素子601に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa6、b6が、a6=20mm、b5=51mmである矩形状が組み合わされた形状を有する。このときの素子間隔d6は、d6=58mmであり、給電素子501及び無給電素子502a、502bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、比較例2に係るアンテナ装置600は、比較例1に係るアンテナ装置500と同様に、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して小型化することが可能となる。
【0036】
アンテナ装置600によれば、図7(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置600の電流分布は、図8に示した通りである。図8は、無給電素子602aの接続点612aに接続されるスタブ622aの長さが長く、無給電素子602bの接続点612bに接続されるスタブ622bの長さが短い場合を示している。
【0037】
図8において、点線で囲んで示した範囲603a、603bは、給電素子601と無給電素子602a、602bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図8に示した範囲603a、603bにおいて、無給電素子602a、602bに流れる電流量は、従来例1及び比較例1と比較して増加していることがわかる。このため、アンテナ装置600は、アンテナ装置500よりも、接続したスタブ622a、622bによって指向性の可変量を多くすることが可能となる。
【0038】
このように、比較例2に係るアンテナ装置600は、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、0.9λと小型化することが可能であるが、指向性の可変方向は限られるものであった。従って、アンテナ装置の小型化と、指向性の可変量を多くすることのいずれをも実現するために、以下に述べる比較例3として、アンテナ素子の形状を変化させて実験を行った。
【0039】
(比較例3)
図9及び図10を参照して、比較例3に係るアンテナ装置700の構成及びビームの放射特性について説明する。図9は、比較例3に係るアンテナ装置700の概略構成を説明するための図である。図10は、図9に示したアンテナ装置700の電流分布を示す図である。
【0040】
図9に図示したように、比較例3に係るアンテナ装置700は、基板710上に、給電素子701と、給電素子701の給電点711から素子間隔d7だけ離隔して給電素子701の両端部に配置される接続点712a、712bを有する無給電素子702a、702bとが配置される。このとき、給電素子701は、図5(a)に示した比較例1に係るアンテナ装置500の給電素子501と同じ大きさの矩形状を有する。また、無給電素子702a、702bは、比較例1に係るアンテナ装置500の無給電素子502a、502bと同じ大きさの矩形状から、長さa7だけ給電素子701に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa7、b7が、a7=30mm、b7=10mmである矩形状と、さらにこの矩形状から長さa8だけ給電素子701に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa8、b8が、a8=7mm、b8=30mmである矩形状とが組み合わされた形状を有する。このときの素子間隔d7は、d7=58mmであり、給電素子701及び無給電素子702a、702bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、比較例3に係るアンテナ装置700は、比較例1及び2に係るアンテナ装置500、600と同様に、従来例1に係るアンテナ装置400と比較すると小型化することが可能となる。
【0041】
図10に、アンテナ装置700の電流分布を示す。図10は、無給電素子702aの接続点712aに接続されるスタブ722aの長さが長く、無給電素子702bの接続点712bに接続されるスタブ722bの長さが短い場合を示している。
【0042】
図10において、点線で囲んで示した範囲703a、703bは、給電素子701と無給電素子702a、702bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。図10に示した範囲703a、703bの、無給電素子702a、702bに流れる電流量は、比較例1と比較すると増加することわかるが、比較例2と比較すると減少することがわかる。従って、比較例3に係るアンテナ装置700は、比較例2に係るアンテナ装置600と比較して、指向性を変化させることに寄与するカップリング量を減少させる構成であることがわかる。
【0043】
このように、比較例3に係るアンテナ装置700は、無給電素子702a、702bの形状の一部を延長して給電素子701に近接させ、カップリング量を増やして指向性を可変することが、アンテナ装置700を小型化しても可能である。さらに、以下に述べる比較例4として、通信量の増大のためにMIMO化の実験を行った。
【0044】
(比較例4)
図11及び図12を参照して、比較例4に係るアンテナ装置800の構成及びビームの放射特性について説明する。図11は、比較例4に係るアンテナ装置800の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例4に係るアンテナ装置800の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置800のY−Z方向の放射特性を示す図である。図12は、図11に示したアンテナ装置800の一部における電流分布を示す図である。
【0045】
図11(a)に図示したように、比較例4に係るアンテナ装置800は、基板810上に、4つの給電素子801a〜801dと、給電素子801a〜801dの給電点811a〜811dからそれぞれ素子間隔d8だけ離隔して給電素子801a〜801dの両端部に配置される接続点812a〜812hを有する4つの無給電素子802a〜802dとが配置される。このとき、給電素子801a〜801d及び無給電素子802a〜802dは、従来例1に係る給電素子401及び無給電素子402a、402bと同じように、それぞれ、一辺がa1の正方形状を有する。なお、アンテナ装置800は、給電素子801aと、給電素子801aの両端部に配置された無給電素子802a、802bとを一つのアンテナとして、基板810の中心Oを通るZ軸を中心にアンテナを90度ずつ回転させ、基板810上に4つのアンテナを配置したものである。アンテナを90度回転させることによって、給電素子801a、801cと給電素子801b、801dのアンテナの偏波は直交することになる。無給電素子802a〜802dは重複した部分を除く。給電素子801aの無給電素子は無給電素子802a、802bであり、給電素子801bの無給電素子は無給電素子802b、802cであり、給電素子801cの無給電素子は無給電素子802c、802dであり、給電素子801dの無給電素子は無給電素子802d、802aである。このときの素子間隔d8は、d8=58mmであり、0.5λである。
【0046】
図12に、アンテナ装置800の一部におけるアンテナの電流分布を示す。図12は、無給電素子802aの接続点812a、812bに接続されるスタブ822a、822bと、無給電素子802bの接続点812dに接続されるスタブ822dの長さが長く、無給電素子802bの接続点812cに接続されるスタブ822cの長さが短い場合を示している。
【0047】
図12において、点線で囲んで示した範囲803a、803bは、給電素子801aと無給電素子802a、802bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。従来例1に係るアンテナ装置400と比較してカップリング量が少なくなっている。無給電素子802a、802bを兼用しているため、電流が無給電素子802a、802bに直交して発生していないためである。
【0048】
このように、比較例4に係るアンテナ装置800は、従来例1に係るアンテナ装置400をMIMOに対応可能とするために、コンパクトに4つのアンテナを配置したものであるが、指向性の変化はほとんど無いものである。
【0049】
以上の通り、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800は、いずれも小型化と、所望する指向性可変量を得ることはできないものであった。そこで、給電素子601と無給電素子602a、602bとの間のカップリング量が大きくなるという結果が出た比較例2に係るアンテナ装置600の構成となるように、比較例1に係るアンテナ装置500を一つのアンテナとして、アンテナ装置800の構成に基づいた配置とすることにより、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000に至った。
【0050】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成及び動作について、図13〜図16を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0051】
図13は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000に含まれるマイクロストリップアンテナ100の概略構成を示す斜視図である。図13に示したマイクロストリップアンテナ100は、図2に示したマイクロストリップアンテナ100と同じ構成を有する。なお、マイクロストリップアンテナ100は、比較例1に係るアンテナ装置500の構成に基づき、無給電素子102a〜102dを給電素子101a〜101dに対して凸状に矩形状を組み合わせた構成、及び、比較例4に係るアンテナ装置800の構成に基づき、複数の無給電素子102a〜102dが複数の給電素子101a〜101dを挟むように複数の給電素子101a〜101dの両端部にそれぞれ配置される構成を含むものとした。
【0052】
図13に図示したように、無給電素子102a〜102dの接続点112a〜112hにはそれぞれ、スイッチ123a〜123hを介してスタブ122a〜122pが接続される。スタブ122a〜122pは、上述したように、各々に接続されたスイッチ123a〜123hの切り替えにより、2つのオープンスタブの長さが替わるものとする。なお、図13は、スタブ122a〜122p及びスイッチ123a〜123hの概略構成を示したものであり、スタブ122a〜122p及びスイッチ123a〜123hは、それぞれ同じ大きさ及び構成であるものとする。
【0053】
なお、マイクロストリップアンテナ100は、給電素子101aと、給電素子101aの両端部に配置された無給電素子102a、102bとを一つのアンテナとして、第1基板110の中心Oを通るZ軸を中心にアンテナを90度ずつ回転させて配置した形状を有しており、図示していないが、無給電素子102a〜102dは二つの矩形状が交差される部分に重畳部分を有していてもよい。また、図示したように、無給電素子102a〜102dは重畳部分を有さず、一枚の略十字形状であってもよい。このとき、マイクロストリップアンテナ100の素子間隔d1は、d1=40.8mmであり、0.35λである。従って、マイクロストリップアンテナ100は、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800と比較して、小型化することができる。
【0054】
さらに、図14〜図16を参照して、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の放射特性について説明する。
【0055】
図14は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、Y−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(b)は、(a)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(c)は、Y−Z方向の0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(d)は、(c)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(e)は、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(f)は、(e)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図である。図15は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(b)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(c)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(d)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(e)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(f)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図である。図16は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の一部における電流分布を示す図である。
【0056】
図14は、マイクロストリップアンテナ100を構成する4つのアンテナのうち、図13に図示した給電素子101a及び無給電素子102a、102bからなるアンテナを、接続されたスタブ122c〜122fをそれぞれ制御して指向性を可変した場合の輻射パターンを示している。以下、マイクロスリップアンテナ100の指向性を変化させるスタブ122a〜122pの切り替え動作について、図16を参照しながら説明する。
【0057】
<動作>
まず、給電素子101aについて述べる。図14(a)及び(b)に示したY−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変する場合について、図13及び図16に示した給電素子101a及び無給電素子102a、102bを参照して説明する。図16は、無給電素子102bの接続点112b(図13参照)に接続されたスイッチ123bが長いオープンスタブ122cに、無給電素子102dの接続点112c(図13参照)に接続されたスイッチ123cが短いオープンスタブ122fに接続される状態に切り替えられた状態を示している。他のスイッチの状態は問わないものとする。
【0058】
図16において、点線で囲んで示した範囲103a、103bは、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。図16に示した範囲103a、103bの、無給電素子102aと無給電素子102bとを比較すると、無給電素子102bの接続点112cに接続されたスイッチ123cを短いオープンスタブ122fに接続される状態に切り替えることにより、無給電素子102bに流れる電流量が、無給電素子102aに流れる電流量よりも増加することがわかる。これにより、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にそれぞれ生じるカップリング量に差が生じるため、指向性をY−Z方向の−90°〜0°の方向に可変することができるようになる。
【0059】
また、図14(e)及び(f)に示したように、マイクロストリップアンテナ100の指向性をY−Z方向の0°〜90°の方向に可変する場合には、無給電素子102aの接続点112bに接続されるスイッチ123bを短いオープンスタブ122dに接続される状態に切り替え、無給電素子102bの接続点112cに接続されるスイッチ123cを長いオープンスタブ122eに接続される状態に切り替える。これにより、無給電素子102aに流れる電流量を、無給電素子102bに流れる電流量よりも増加させることができる。従って、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にそれぞれ生じるカップリング量に差を生じさせることができるため、マイクロストリップアンテナ100によれば、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変することができる。
【0060】
なお、図14(c)及び(d)に示したような中央にピークをもつ指向性にするには、双方のオープンスタブを長い方に接続すればよい。
【0061】
このように、マイクロストリップアンテナ100によれば、4つのアンテナのうち、給電素子101a及び無給電素子102a、102bからなるアンテナについて、スタブ122c〜122fをそれぞれ制御することにより、Y−Z方向の0°〜90°の方向または−90°〜0°の方向に指向性を可変することができる。また、給電素子101c及び無給電素子102c、102dからなるアンテナについても同様である。
【0062】
給電素子101b及び無給電素子102b、102cからなるアンテナ、給電素子101d及び無給電素子102d、102aからなるアンテナについてはX−Z方向に指向性を可変することができる。
【0063】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000によれば、指向性を可変出来る無給電素子102a、102bを含むアンテナの大きさを1.13λと小型化することができる。したがって、アンテナ装置1000を搭載する移動体通信用基地局の小型化も可能とする。
【符号の説明】
【0064】
1000…アンテナ装置、100…マイクロストリップアンテナ、110…第1基板、101a〜101d…給電素子、102a〜102d…無給電素子、120…グラウンド導体、122a〜122p…スタブ、123a〜123h…スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロストリップアンテナを用いたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信用基地局に用いられるアンテナ装置に対して、通信容量の増大のためMIMO(Multiple Input Multiple Output)機能や指向性可変機能が求められている。一般に、アンテナ装置の指向性可変は複数のアンテナを配置して行うが、アンテナの回路構成が複雑になる。
【0003】
さらに移動体通信用基地局には小型化に対する要求があり、アンテナ装置の小型化も望まれている。この小型化と指向性可変機能を有するアンテナ装置として、例えば、特許文献1及び2に提示されたマイクロストリップアンテナがある。特許文献1及び2に記載されたマイクロストリップアンテナは、矩形の給電素子の両端部に矩形の無給電素子(非励振素子)を配置し、無給電素子に接続されたスイッチを制御して給電素子に接続・開放可能とすることにより、指向性を可変しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】埼玉大学 工学部 羽石 操、須賀 秀和、「可変スタブ装荷非励振素子によるマイクロストリップアンテナのビーム成形」、電子通信学会論文誌、1986年4月17日、A・P86−1
【特許文献2】特開2007−37077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提示されたアンテナ装置は、指向性の可変方向が限られるものであった。また、特許文献2に提示されたように、給電素子と無給電素子とを複数配置したアンテナ装置の場合には、指向性の可変方向を上下左右に切り替えることができるが、複数の無給電素子を相互干渉による影響を受けないようにするために、所定の距離だけ離隔して配置する必要があり、小型化の観点から望ましくないものであった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、小型化を行い、MIMO、Beamforming対応を実現する指向性を可変することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、基板と、前記基板上に配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【0008】
また、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、矩形状の基板と、前記基板の四隅にそれぞれ配置され、二つの矩形状を交差させた部分に重畳部を有する略十字形状の複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子の間に、それぞれ前記無給電素子から離隔して配置された複数の給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【0009】
さらに、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、矩形状の基板と、前記基板上の辺部にそれぞれ配置された複数の給電素子と、前記複数の給電素子を挟むように、前記複数の給電素子の両端部にそれぞれ前記給電素子から所定の距離だけ離隔して配置された多角形状の複数の無給電素子と、前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、を備えることを特徴とする。本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、指向性を一次元方向に可変することができ、且つ小型化を実現するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の構成を説明するための図であり、(a)は、図1に示したマイクロストリップアンテナの構成を示す上面図であり、(b)は、図1に示した寄生素子基板の構成を示す上面図である。
【図3】従来のアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、従来のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図4】図3に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図5】本発明に対する比較例1に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例1に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図6】図5に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図7】本発明に対する比較例2に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例2に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図8】図7に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図9】本発明に対する比較例3に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示したアンテナ装置の電流分布を示す図である。
【図11】本発明に対する比較例4に係るアンテナ装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例4に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置のY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図12】図11に示したアンテナ装置の一部における電流分布を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置のマイクロストリップアンテナの概略構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、Y−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(b)は、(a)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(c)は、Y−Z方向の0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(d)は、(c)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(e)は、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(f)は、(e)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(b)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(c)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(d)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(e)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(f)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の一部における電流分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係るアンテナ装置について説明する。但し、本発明のアンテナ装置は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成を示す斜視図である。図1において、アンテナ装置1000は、グラウンド導体120と、グラウンド導体120上に配置される第1基板110と、第1基板110上に配置される複数の給電素子101a〜101d及び複数の無給電素子102a〜102dとを備えるマイクロストリップアンテナ100を含む。また、アンテナ装置1000は、マイクロストリップアンテナ100上に、マイクロストリップアンテナ100から離隔して配置され、第2基板210上に配置される複数の無給電素子201a〜201dを含む寄生素子基板200を含んでもよい。
【0015】
図1に示したマイクロストリップアンテナ100及び寄生素子基板200について、図2を参照してさらに詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成を説明するための図であり、(a)は、図1に示したマイクロストリップアンテナ100の構成を示す上面図であり、(b)は、図1に示した寄生素子基板200の構成を示す上面図である。
【0016】
図2(a)に図示したように、マイクロストリップアンテナ100は、第1基板110上に、矩形状の給電素子101a〜101dと、多角形状の無給電素子102a〜102dとが配置されたものである。なお、第1基板110は誘電体であり、図1に図示したように、第1基板110の下には第1基板110と同じ大きさのグラウンド導体120が配置されてもよい。第1基板110の大きさは、例えば、一辺が14cm〜17cm程度の正方形状であってもよく、厚みは、0.2mm以上、1.0mm以下の薄板状のものであってもよい。なお、第1基板110及びグラウンド導体120の寸法は一例であり、アンテナ装置1000に対して要求される寸法に応じて変更されてもよい。給電素子101a〜101d及び無給電素子102a〜102dは、薄膜状の金属であり、第1基板110上に金属薄膜をパターニングして各々形成してもよい。また、第1基板110上に複数の金属薄板を積層して各々形成してもよい。
【0017】
給電素子101a〜101dは、図2(a)に図示したように、異なる二辺の長さa1、b1が、a1>b1となる矩形状であってもよい。給電素子101a〜101dは、第1基板110の辺部に、第1基板110の縁から距離c1だけ離隔して配置され、第1基板110の縁と対向する辺の長さがb1であるように配置される。このとき、図示したように、給電素子101a〜101dが、それぞれ、第1基板110の一辺の中央を通って互いに直交する二つの軸k1、k2上に、軸対称に配置されてもよい。ここで、各寸法は、一例として、a1=53mmであり、b1=30mmであり、c1=15mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
なお、給電素子101a〜101dには、検波方向を規定する位置に、それぞれ給電点111a〜111dが配置される。この給電点111a〜111dを介して、マイクロストリップアンテナ100は、マイクロストリップアンテナ100の下に配置されたグラウンド導体120との間で給電される。給電点111a〜111dは、図示したように、矩形状の給電素子101a〜101dの中心から第1基板110の縁側に近い位置に配置されてもよいが、図示した位置に限定されず、仕様に応じて適宜変更され得る。
【0019】
無給電素子102a〜102dは、図2(a)に図示したように、同じ形状の二つの矩形状を互いに直角に交差させて構成される多角形状であってもよい。例えば、給電素子101a〜101dと同形状である、二辺の長さa1、b1がa1>b1の矩形状を二つ直交させて形成される形状であってもよい。また、無給電素子102a〜102dは、二つの矩形状の中心を重ねずに、ずらして交差させた略十字形状であってもよく、このとき、無給電素子102a〜102dは、それぞれ、第1基板110の対角線を軸として、軸対称となる形状に配置してもよい。また、無給電素子102a〜102dは、第1基板110上の直交する二つの軸k1、k2に対し、軸対称となる形状に配置してもよい。なお、無給電素子102a〜102dは、図2(a)に図示したように、第1基板110の中心Oに対向する無給電素子102a〜102dの辺の長さa2と、第1基板110の角部に対向する無給電素子102a〜102dの辺の長さa3とが、a2<a3となるように、二つの矩形状が交差された形状であってもよい。一例として、無給電素子102a〜102dの寸法は、a2=14.7mmであり、a3=8.8mmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0020】
無給電素子102a〜102dには、それぞれ接続点112a〜112hが二つずつ配置される。接続点112a〜112hは、図示したように、無給電素子102a〜102dの二つの矩形状がクロスした交差部上に配置されてもよいが、図示した位置に限定されず、仕様に応じて適宜変更され得る。接続点112a〜112hには、図13に図示したように、スイッチ123a〜123hを介してスタブ122a〜122pが接続される。スタブ122a〜122pは、長さの異なる2つのオープンスタブであり、スイッチ123a〜123hの切換によって長短のオープンスタブのどちらかを選択するものであってもよい。なお、スタブ122a〜122pの大きさや構成は、アンテナ装置の構成に応じて適宜変更され得る。
【0021】
無給電素子102a〜102dは、給電素子101a〜101dの両端部に配置される。図2(a)に図示したように、無給電素子102a〜102dは、矩形状の第1基板110の四隅に、第1基板110の縁から距離c1だけ離隔して、第1基板110の縁と対向する辺の長さがb1であるように配置されてもよい。また、無給電素子102a〜102dは、接続点112a〜112hから給電素子101a〜101dの給電点111a〜111dまでの距離が素子間隔d1となるように、それぞれ給電素子101a〜101dから所定の距離だけ離隔して配置される。本実施形態において、素子間隔d1は、d1=40.8mmである。
【0022】
このような構成を有するマイクロストリップアンテナ100の上には、寄生素子基板200が、スペーサ(図示せず)等を介して配置される。図2(b)に図示したように、寄生素子基板200は、第2基板210上に寄生素子201a〜201dが配置されたものである。寄生素子201a〜201dは、給電素子101a〜101dと同じ材料を用いて、同じ形状に形成してもよく、異なる二辺の長さa1、b1が、a1>b1となる矩形状であってもよい。このとき、図1に図示したように、第2基板210上の寄生素子201a〜201dが、第1基板110上の給電素子101a〜101dと所定の間隔だけ離隔して同じ位置に重なるように配置されてもよい。
【0023】
次に、上述したマイクロストリップアンテナ100を含む本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の動作及び放射特性を説明するために、以下、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800について説明する。なお、アンテナ装置400〜800は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000と同様の構成については、同様の材料及び製造方法を用いて製造するものとし、詳細な説明については、以下省略する。
【0024】
(従来例1)
図3及び図4を参照して、従来例1に係るアンテナ装置400の構成及びビームの放射特性について説明する。図3は、従来のアンテナ装置400の概略構成を説明するための図であり、(a)は、従来のアンテナ装置400の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置400のY−Z方向の放射特性を示す図である。図4は、図3に示したアンテナ装置400の電流分布を示す図である。
【0025】
図3(a)に図示したように、従来例1に係るアンテナ装置400は、基板410上に、給電素子401と、給電素子401の給電点411から素子間隔d4だけ離隔して給電素子401の両端部に配置される接続点412a、412bを有する無給電素子402a、402bとが配置される。このとき、給電素子401及び無給電素子402a、402bは、それぞれ、一辺の長さa4が、a4=50.5mmの正方形状である。このときの素子間隔d4は、d4=58mmであり、給電素子401及び無給電素子402a、402bを含むアンテナ素子全体の長さは、1.44λである。なお、以下、λは、給電素子の共振周波数の波長である。
【0026】
アンテナ装置400によれば、図3(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置400の電流分布は、図4に示した通りである。図4は、無給電素子402aの接続点412aに接続されるスタブ422aの長さが長く、無給電素子402bの接続点412bに接続されるスタブ422bの長さが短い場合の電流分布を示している。
【0027】
図4において、点線で囲んで示した範囲403a、403bは、給電素子401と無給電素子402a、402bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図4に示した範囲403a、403bを参照すると、無給電素子402aと、無給電素子402bにおいてそれぞれカップリングが異なっていることがわかる。従って、従来のアンテナ装置400は、無給電素子402aに接続されているスタブ422aによって無給電素子402aに生じるカップリングを調整し、指向性を可変させている。
【0028】
このように、従来例1に係るアンテナ装置400は、アンテナ素子の大きさが1.44λと大きくなるものであった。従って、アンテナ装置の小型化を実現するために、以下に述べる比較例1〜4のように、アンテナ素子の形状を変えて実験を行った。
【0029】
(比較例1)
図5及び図6を参照して、本発明に対する比較例1に係るアンテナ装置500の構成及びビームの放射特性について説明する。図5は、比較例1に係るアンテナ装置500の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例1に係るアンテナ装置500の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置500のY−Z方向の放射特性を示す図である。図6は、図5に示したアンテナ装置500の電流分布を示す図である。
【0030】
図5(a)に図示したように、比較例1に係るアンテナ装置500は、基板510上に、給電素子501と、給電素子501の給電点511から素子間隔d5だけ離隔して給電素子501の両端部に配置される接続点512a、512bを有する無給電素子502a、502bとが配置される。このとき、給電素子501及び無給電素子502a、502bは、それぞれ異なる二辺の長さa5、b5が、a5=20mm、b5=51mmである矩形状である。このときの素子間隔d5は、d5=58mmであり、給電素子501及び無給電素子502a、502bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、図3(a)に示した従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、比較例1に係るアンテナ装置500は、小型化が可能である。
【0031】
アンテナ装置500によれば、図5(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置500の電流分布は、図6に示した通りである。図6は、無給電素子502aの接続点512aに接続されるスタブ522aの長さが長く、無給電素子502bの接続点512bに接続されるスタブ522bの長さが短い場合の電流分布を示している。
【0032】
図6において、点線で囲んで示した範囲503a、503bは、給電素子501と無給電素子502a、502bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図6に示した範囲503a、503bの、無給電素子502aと無給電素子502bとを比較すると、いずれもカップリング量が少なく、指向性の可変量は少ないことがわかる。
【0033】
このように、比較例1に係るアンテナ装置500は、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、0.9λと小型化することが可能であるが、指向性の可変量が少ないものであった。このため、アンテナ装置の小型化と、指向性の可変量を多くすることのいずれをも実現するために、以下に述べる比較例2として、アンテナ素子の形状を変化させて実験を行った。
【0034】
(比較例2)
図7及び図8を参照して、比較例2に係るアンテナ装置600の構成及びビームの放射特性について説明する。図7は、比較例2に係るアンテナ装置600の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例2に係るアンテナ装置600の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置600のY−Z方向の放射特性を示す図である。図8は、図7に示したアンテナ装置600の電流分布を示す図である。
【0035】
図7(a)に図示したように、比較例2に係るアンテナ装置600は、基板610上に、給電素子601と、給電素子601の給電点611から素子間隔d6だけ離隔して給電素子601の両端部に配置される接続点612a、612bを有する無給電素子602a、602bとが配置される。このとき、給電素子601は、図5(a)に示した比較例1に係るアンテナ装置500の給電素子501と同じ大きさの矩形状を有する。また、無給電素子602a、602bは、比較例1に係る無給電素子502a、502bと同じ大きさの矩形状から、長さa6だけ給電素子601に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa6、b6が、a6=20mm、b5=51mmである矩形状が組み合わされた形状を有する。このときの素子間隔d6は、d6=58mmであり、給電素子501及び無給電素子502a、502bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、比較例2に係るアンテナ装置600は、比較例1に係るアンテナ装置500と同様に、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して小型化することが可能となる。
【0036】
アンテナ装置600によれば、図7(b)に図示したように、Y−Z方向の放射特性を有する。なお、このときのアンテナ装置600の電流分布は、図8に示した通りである。図8は、無給電素子602aの接続点612aに接続されるスタブ622aの長さが長く、無給電素子602bの接続点612bに接続されるスタブ622bの長さが短い場合を示している。
【0037】
図8において、点線で囲んで示した範囲603a、603bは、給電素子601と無給電素子602a、602bとの間にそれぞれカップリングを生じさせる部分を示したものである。図8に示した範囲603a、603bにおいて、無給電素子602a、602bに流れる電流量は、従来例1及び比較例1と比較して増加していることがわかる。このため、アンテナ装置600は、アンテナ装置500よりも、接続したスタブ622a、622bによって指向性の可変量を多くすることが可能となる。
【0038】
このように、比較例2に係るアンテナ装置600は、従来例1に係るアンテナ装置400と比較して、0.9λと小型化することが可能であるが、指向性の可変方向は限られるものであった。従って、アンテナ装置の小型化と、指向性の可変量を多くすることのいずれをも実現するために、以下に述べる比較例3として、アンテナ素子の形状を変化させて実験を行った。
【0039】
(比較例3)
図9及び図10を参照して、比較例3に係るアンテナ装置700の構成及びビームの放射特性について説明する。図9は、比較例3に係るアンテナ装置700の概略構成を説明するための図である。図10は、図9に示したアンテナ装置700の電流分布を示す図である。
【0040】
図9に図示したように、比較例3に係るアンテナ装置700は、基板710上に、給電素子701と、給電素子701の給電点711から素子間隔d7だけ離隔して給電素子701の両端部に配置される接続点712a、712bを有する無給電素子702a、702bとが配置される。このとき、給電素子701は、図5(a)に示した比較例1に係るアンテナ装置500の給電素子501と同じ大きさの矩形状を有する。また、無給電素子702a、702bは、比較例1に係るアンテナ装置500の無給電素子502a、502bと同じ大きさの矩形状から、長さa7だけ給電素子701に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa7、b7が、a7=30mm、b7=10mmである矩形状と、さらにこの矩形状から長さa8だけ給電素子701に向かって延び、それぞれ異なる二辺の長さa8、b8が、a8=7mm、b8=30mmである矩形状とが組み合わされた形状を有する。このときの素子間隔d7は、d7=58mmであり、給電素子701及び無給電素子702a、702bを含むアンテナ素子全体の長さが、0.9λである。従って、比較例3に係るアンテナ装置700は、比較例1及び2に係るアンテナ装置500、600と同様に、従来例1に係るアンテナ装置400と比較すると小型化することが可能となる。
【0041】
図10に、アンテナ装置700の電流分布を示す。図10は、無給電素子702aの接続点712aに接続されるスタブ722aの長さが長く、無給電素子702bの接続点712bに接続されるスタブ722bの長さが短い場合を示している。
【0042】
図10において、点線で囲んで示した範囲703a、703bは、給電素子701と無給電素子702a、702bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。図10に示した範囲703a、703bの、無給電素子702a、702bに流れる電流量は、比較例1と比較すると増加することわかるが、比較例2と比較すると減少することがわかる。従って、比較例3に係るアンテナ装置700は、比較例2に係るアンテナ装置600と比較して、指向性を変化させることに寄与するカップリング量を減少させる構成であることがわかる。
【0043】
このように、比較例3に係るアンテナ装置700は、無給電素子702a、702bの形状の一部を延長して給電素子701に近接させ、カップリング量を増やして指向性を可変することが、アンテナ装置700を小型化しても可能である。さらに、以下に述べる比較例4として、通信量の増大のためにMIMO化の実験を行った。
【0044】
(比較例4)
図11及び図12を参照して、比較例4に係るアンテナ装置800の構成及びビームの放射特性について説明する。図11は、比較例4に係るアンテナ装置800の概略構成を説明するための図であり、(a)は、比較例4に係るアンテナ装置800の概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示したアンテナ装置800のY−Z方向の放射特性を示す図である。図12は、図11に示したアンテナ装置800の一部における電流分布を示す図である。
【0045】
図11(a)に図示したように、比較例4に係るアンテナ装置800は、基板810上に、4つの給電素子801a〜801dと、給電素子801a〜801dの給電点811a〜811dからそれぞれ素子間隔d8だけ離隔して給電素子801a〜801dの両端部に配置される接続点812a〜812hを有する4つの無給電素子802a〜802dとが配置される。このとき、給電素子801a〜801d及び無給電素子802a〜802dは、従来例1に係る給電素子401及び無給電素子402a、402bと同じように、それぞれ、一辺がa1の正方形状を有する。なお、アンテナ装置800は、給電素子801aと、給電素子801aの両端部に配置された無給電素子802a、802bとを一つのアンテナとして、基板810の中心Oを通るZ軸を中心にアンテナを90度ずつ回転させ、基板810上に4つのアンテナを配置したものである。アンテナを90度回転させることによって、給電素子801a、801cと給電素子801b、801dのアンテナの偏波は直交することになる。無給電素子802a〜802dは重複した部分を除く。給電素子801aの無給電素子は無給電素子802a、802bであり、給電素子801bの無給電素子は無給電素子802b、802cであり、給電素子801cの無給電素子は無給電素子802c、802dであり、給電素子801dの無給電素子は無給電素子802d、802aである。このときの素子間隔d8は、d8=58mmであり、0.5λである。
【0046】
図12に、アンテナ装置800の一部におけるアンテナの電流分布を示す。図12は、無給電素子802aの接続点812a、812bに接続されるスタブ822a、822bと、無給電素子802bの接続点812dに接続されるスタブ822dの長さが長く、無給電素子802bの接続点812cに接続されるスタブ822cの長さが短い場合を示している。
【0047】
図12において、点線で囲んで示した範囲803a、803bは、給電素子801aと無給電素子802a、802bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。従来例1に係るアンテナ装置400と比較してカップリング量が少なくなっている。無給電素子802a、802bを兼用しているため、電流が無給電素子802a、802bに直交して発生していないためである。
【0048】
このように、比較例4に係るアンテナ装置800は、従来例1に係るアンテナ装置400をMIMOに対応可能とするために、コンパクトに4つのアンテナを配置したものであるが、指向性の変化はほとんど無いものである。
【0049】
以上の通り、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800は、いずれも小型化と、所望する指向性可変量を得ることはできないものであった。そこで、給電素子601と無給電素子602a、602bとの間のカップリング量が大きくなるという結果が出た比較例2に係るアンテナ装置600の構成となるように、比較例1に係るアンテナ装置500を一つのアンテナとして、アンテナ装置800の構成に基づいた配置とすることにより、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000に至った。
【0050】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の構成及び動作について、図13〜図16を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0051】
図13は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000に含まれるマイクロストリップアンテナ100の概略構成を示す斜視図である。図13に示したマイクロストリップアンテナ100は、図2に示したマイクロストリップアンテナ100と同じ構成を有する。なお、マイクロストリップアンテナ100は、比較例1に係るアンテナ装置500の構成に基づき、無給電素子102a〜102dを給電素子101a〜101dに対して凸状に矩形状を組み合わせた構成、及び、比較例4に係るアンテナ装置800の構成に基づき、複数の無給電素子102a〜102dが複数の給電素子101a〜101dを挟むように複数の給電素子101a〜101dの両端部にそれぞれ配置される構成を含むものとした。
【0052】
図13に図示したように、無給電素子102a〜102dの接続点112a〜112hにはそれぞれ、スイッチ123a〜123hを介してスタブ122a〜122pが接続される。スタブ122a〜122pは、上述したように、各々に接続されたスイッチ123a〜123hの切り替えにより、2つのオープンスタブの長さが替わるものとする。なお、図13は、スタブ122a〜122p及びスイッチ123a〜123hの概略構成を示したものであり、スタブ122a〜122p及びスイッチ123a〜123hは、それぞれ同じ大きさ及び構成であるものとする。
【0053】
なお、マイクロストリップアンテナ100は、給電素子101aと、給電素子101aの両端部に配置された無給電素子102a、102bとを一つのアンテナとして、第1基板110の中心Oを通るZ軸を中心にアンテナを90度ずつ回転させて配置した形状を有しており、図示していないが、無給電素子102a〜102dは二つの矩形状が交差される部分に重畳部分を有していてもよい。また、図示したように、無給電素子102a〜102dは重畳部分を有さず、一枚の略十字形状であってもよい。このとき、マイクロストリップアンテナ100の素子間隔d1は、d1=40.8mmであり、0.35λである。従って、マイクロストリップアンテナ100は、従来例1及び比較例1〜4に係るアンテナ装置400〜800と比較して、小型化することができる。
【0054】
さらに、図14〜図16を参照して、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の放射特性について説明する。
【0055】
図14は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、Y−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(b)は、(a)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(c)は、Y−Z方向の0°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(d)は、(c)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図であり、(e)は、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変した場合の輻射パターンを3次元に示す図であり、(f)は、(e)に示した輻射パターンにおけるY−Z方向の放射特性を示す図である。図15は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の輻射パターンを説明するための図であり、(a)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(b)は、図14(a)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(c)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(d)は、図14(b)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図であり、(e)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Z方向の放射特性を示す図であり、(f)は、図14(c)に示した輻射パターンにおけるX−Y方向の放射特性を示す図である。図16は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000の一部における電流分布を示す図である。
【0056】
図14は、マイクロストリップアンテナ100を構成する4つのアンテナのうち、図13に図示した給電素子101a及び無給電素子102a、102bからなるアンテナを、接続されたスタブ122c〜122fをそれぞれ制御して指向性を可変した場合の輻射パターンを示している。以下、マイクロスリップアンテナ100の指向性を変化させるスタブ122a〜122pの切り替え動作について、図16を参照しながら説明する。
【0057】
<動作>
まず、給電素子101aについて述べる。図14(a)及び(b)に示したY−Z方向の−90°〜0°の方向に指向性を可変する場合について、図13及び図16に示した給電素子101a及び無給電素子102a、102bを参照して説明する。図16は、無給電素子102bの接続点112b(図13参照)に接続されたスイッチ123bが長いオープンスタブ122cに、無給電素子102dの接続点112c(図13参照)に接続されたスイッチ123cが短いオープンスタブ122fに接続される状態に切り替えられた状態を示している。他のスイッチの状態は問わないものとする。
【0058】
図16において、点線で囲んで示した範囲103a、103bは、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にカップリングを生じさせる部分を示したものである。図16に示した範囲103a、103bの、無給電素子102aと無給電素子102bとを比較すると、無給電素子102bの接続点112cに接続されたスイッチ123cを短いオープンスタブ122fに接続される状態に切り替えることにより、無給電素子102bに流れる電流量が、無給電素子102aに流れる電流量よりも増加することがわかる。これにより、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にそれぞれ生じるカップリング量に差が生じるため、指向性をY−Z方向の−90°〜0°の方向に可変することができるようになる。
【0059】
また、図14(e)及び(f)に示したように、マイクロストリップアンテナ100の指向性をY−Z方向の0°〜90°の方向に可変する場合には、無給電素子102aの接続点112bに接続されるスイッチ123bを短いオープンスタブ122dに接続される状態に切り替え、無給電素子102bの接続点112cに接続されるスイッチ123cを長いオープンスタブ122eに接続される状態に切り替える。これにより、無給電素子102aに流れる電流量を、無給電素子102bに流れる電流量よりも増加させることができる。従って、給電素子101aと無給電素子102a、102bとの間にそれぞれ生じるカップリング量に差を生じさせることができるため、マイクロストリップアンテナ100によれば、Y−Z方向の0°〜90°の方向に指向性を可変することができる。
【0060】
なお、図14(c)及び(d)に示したような中央にピークをもつ指向性にするには、双方のオープンスタブを長い方に接続すればよい。
【0061】
このように、マイクロストリップアンテナ100によれば、4つのアンテナのうち、給電素子101a及び無給電素子102a、102bからなるアンテナについて、スタブ122c〜122fをそれぞれ制御することにより、Y−Z方向の0°〜90°の方向または−90°〜0°の方向に指向性を可変することができる。また、給電素子101c及び無給電素子102c、102dからなるアンテナについても同様である。
【0062】
給電素子101b及び無給電素子102b、102cからなるアンテナ、給電素子101d及び無給電素子102d、102aからなるアンテナについてはX−Z方向に指向性を可変することができる。
【0063】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1000によれば、指向性を可変出来る無給電素子102a、102bを含むアンテナの大きさを1.13λと小型化することができる。したがって、アンテナ装置1000を搭載する移動体通信用基地局の小型化も可能とする。
【符号の説明】
【0064】
1000…アンテナ装置、100…マイクロストリップアンテナ、110…第1基板、101a〜101d…給電素子、102a〜102d…無給電素子、120…グラウンド導体、122a〜122p…スタブ、123a〜123h…スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された複数の給電素子と、
前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記複数のスタブは、それぞれ複数のスイッチに接続され、
前記複数のスイッチを切り替えて前記アンテナ装置の指向性を可変することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数の給電素子は矩形状であり、
前記複数の無給電素子は、それぞれ前記給電素子と同じ形状の二つの矩形状を直角に交差させた形状であることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上に金属薄膜をパターニングして各々構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上に複数の金属薄板を積層して各々構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
矩形状の基板と、
前記基板の四隅にそれぞれ配置され、二つの矩形状を交差させた部分に重畳部を有する略十字形状の複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子の間に、それぞれ前記無給電素子から離隔して配置された複数の給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
矩形状の基板と、
前記基板上の辺部にそれぞれ配置された複数の給電素子と、
前記複数の給電素子を挟むように、前記複数の給電素子の両端部にそれぞれ前記給電素子から所定の距離だけ離隔して配置された多角形状の複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数の無給電素子は、それぞれ二つの矩形状を直角に交差させた多角形状であることを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上の直交する軸上に、それぞれ軸対象に配置されることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記複数のスタブは、それぞれ複数のスイッチに接続され、
前記複数のスイッチを切り替えて、前記複数の給電素子と前記複数の無給電素子との間に発生するカップリング量をそれぞれ異ならせることにより、前記アンテナ装置の指向性を可変することを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された複数の給電素子と、
前記複数の給電素子の両端部に、それぞれ前記給電素子から離隔して配置され、二つの矩形状を交差させた形状を有する複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記複数のスタブは、それぞれ複数のスイッチに接続され、
前記複数のスイッチを切り替えて前記アンテナ装置の指向性を可変することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数の給電素子は矩形状であり、
前記複数の無給電素子は、それぞれ前記給電素子と同じ形状の二つの矩形状を直角に交差させた形状であることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上に金属薄膜をパターニングして各々構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上に複数の金属薄板を積層して各々構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
矩形状の基板と、
前記基板の四隅にそれぞれ配置され、二つの矩形状を交差させた部分に重畳部を有する略十字形状の複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子の間に、それぞれ前記無給電素子から離隔して配置された複数の給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
矩形状の基板と、
前記基板上の辺部にそれぞれ配置された複数の給電素子と、
前記複数の給電素子を挟むように、前記複数の給電素子の両端部にそれぞれ前記給電素子から所定の距離だけ離隔して配置された多角形状の複数の無給電素子と、
前記複数の無給電素子にそれぞれ接続された複数のスタブと、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数の無給電素子は、それぞれ二つの矩形状を直角に交差させた多角形状であることを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数の給電素子及び無給電素子は、前記基板上の直交する軸上に、それぞれ軸対象に配置されることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記複数のスタブは、それぞれ複数のスイッチに接続され、
前記複数のスイッチを切り替えて、前記複数の給電素子と前記複数の無給電素子との間に発生するカップリング量をそれぞれ異ならせることにより、前記アンテナ装置の指向性を可変することを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−129599(P2012−129599A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276850(P2010−276850)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】
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