説明

アンテナ装置

【課題】従来のアンテナ装置よりも小型のアンテナ装置を提供する。
【解決手段】反射板1と、前記反射板1上に配置される放射素子とを有するアンテナ装置であって、前記反射板1と前記放射素子とは、樹脂6(例えば、熱硬化性樹脂)で覆われており、前記樹脂6内に埋め込まれている。前記放射素子は、パッチアンテナ3であり、前記パッチアンテナ3は、中心部に孔が形成されている。また、前記反射板1は、少なくとも1個の孔が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に係り、特に、従来のアンテナ装置よりも小型のアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6、図7は、従来のアンテナ装置を説明するための図であり、
図6は、従来のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図、
図7は、従来のアンテナ装置の概略断面構造を示す断面図である。
図6、図7において、1は反射板、2は誘電体基板、3はパッチアンテナ、4は無給電素子、5はカバー、20は空気層である。
図6、図7に示す従来のアンテナ装置では、反射板1上に、表面にパッチアンテナ3が形成された誘電体基板2が配置される。そして、パッチアンテナ3上には、周波数帯域を拡大するための無給電素子4が配置される。
また、パッチアンテナ3を保護するために、反射板1、パッチアンテナ3が形成された誘電体基板2、および、無給電素子4は、カバー5で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−113168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6、図7に示す従来のアンテナ装置では、パッチアンテナ3を保護するためのカバー5が使用される。この場合、パッチアンテナ3とカバー5との間には空気層20が存在するため、小型化が困難である。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、従来のアンテナ装置よりも小型のアンテナ装置提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)反射板と、前記反射板上に配置される放射素子とを有するアンテナ装置であって、前記反射板と前記放射素子とは、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)で覆われており、前記樹脂内に埋め込まれている。
(2)(1)において、前記放射素子は、パッチアンテナである。
(3)(2)において、前記パッチアンテナは、中心部に孔が形成されている。
(4)(1)において、前記放射素子は、ダイポールアンテナである。
(5)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記反射板は、少なくとも1個の孔が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、従来のアンテナ装置よりも小型のアンテナ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例のアンテナ装置の概略断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例の反射板と、パッチアンテナのより具体的な構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例のアンテナ装置のパッチアンテナの変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例のアンテナ装置の反射板の変形例を示す平面図である。
【図6】従来のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図7】従来のアンテナ装置の概略断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1、図2は、本発明の実施例のアンテナ装置を説明するための図であり、
図1は、本実施例のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図、
図2は、本実施例のアンテナ装置の概略断面構造を示す断面図である。
図1、図2において、1は反射板、3はパッチアンテナ、6は樹脂である。
本実施例では、パッチアンテナ3は、黄銅の金属板で構成され、例えばスペーサにより反射板1上に固定される。また、樹脂6は、例えば、シリコン系の熱硬化性樹脂で構成される。
図1、図2に示すように、本実施例のアンテナ装置では、反射板1とパッチアンテナ3とは、樹脂6で覆われており、樹脂6内に埋め込まれている。そして、本実施例では、反射板1とパッチアンテナ3との間隔を、図6、図7に示す従来のアンテナ装置よりも広げて、広帯域化を実現できるので、無給電素子4は省略されている。
本実施例では、パッチアンテナ3は樹脂6内に埋め込まれているため、パッチアンテナ3の寸法が、樹脂6の比誘電率(εr)に応じた値だけ短くでき、しかも、無給電素子4を省略して全体の厚さを薄くできるので、その結果として、本実施例では、従来のアンテナ装置よりも小型化を図ることができる。
また、本実施例では、カバー5が必要ないので、部品を削減することができるばかりか、本実施例では、耐熱性、耐寒性、防水性、耐候性、耐油性にも優れたものとなる。その上、撥水性を有するので、雨、雪等による電気特性の劣化を少なくすることができる。
【0009】
図3は、本発明の実施例の反射板と、パッチアンテナのより具体的な構成を説明するための図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図である。
図3において、7は同軸ケーブル、8は外部導体、9は内部導体、10は半田、11はスペーサである。
図3に示すように、パッチアンテナ3は、スペーサ11により反射板1上に固定される。また、同軸ケーブル7の外部導体8が、半田10により反射板1に電気的・機械的に接続され、同軸ケーブル7の内部導体9が、半田10によりパッチアンテナ3に電気的・機械的に接続される。
本実施例のアンテナ装置は、図3に示すように、反射板1と、スペーサ11により反射板1上に固定されたパッチアンテナ3とを、金型内に配置し、この金型内に、熱硬化性樹脂を流し込んだ後に、熱を加えて、熱硬化性樹脂を硬化させて形成される。
図4は、本発明の実施例のアンテナ装置のパッチアンテナ3の変形例を示す平面図である。図4に示すパッチアンテナ3は、円偏波用のパッチアンテナであり、中心部に孔12が形成されていることを特徴とする。
図5は、本発明の実施例のアンテナ装置の反射板1の変形例を示す平面図である。図5に示す反射板1は、中心部と、その周囲の4カ所に孔12が形成されていることを特徴とする。なお、図4、図5において、13はスペーサを取り付けるための孔である。
図4に示すパッチアンテナ3の孔12と、図5に示す反射板1の孔12とは、反射板1と、スペーサ11により反射板1上に固定されたパッチアンテナ3とを、金型内に配置し、アンテナ装置を形成する際に、熱硬化性樹脂を、金型内に速やかに充填させるために形成される。
【0010】
なお、本実施例では、図4に示す円偏波用のパッチアンテナに限らず、直線偏波用の矩形形状のパッチアンテナ、あるいは、円形形状のパッチアンテナを使用する場合にも、熱硬化性樹脂を金型内に速やかに充填させることを目的として、中心部に孔12を形成してもよいことはいうまでもない。
また、本実施例において、パッチアンテナ3を、黄銅の金属板で構成する代わりに、図6、図7に示すように、例えば、ホトエッチング等により誘電体基板に形成された金属パターンで構成するようにしてもよい。
また、パッチアンテナ3に代えて、ダイポールアンテナを使用するようにしてもよい。この場合、ダイポールアンテナは、黄銅の金属板で構成してもよく、あるいは、例えば、ホトエッチング等により誘電体基板に形成された金属パターンで構成するようにしてもよい。
さらに、パッチアンテナ3に代えて、モノポールアンテナを使用するようにしてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0011】
1 反射板
2 誘電体基板
3 パッチアンテナ
4 無給電素子
5 カバー
6 樹脂
7 同軸ケーブル
8 外部導体
9 内部導体
10 半田
11 スペーサ
12,13 孔
20 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射板と、
前記反射板上に配置される放射素子とを有するアンテナ装置であって、
前記反射板と前記放射素子とは、樹脂で覆われており、前記樹脂内に埋め込まれていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記放射素子は、パッチアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記パッチアンテナは、中心部に孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記放射素子は、ダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記反射板は、少なくとも1個の孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記樹脂は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−49767(P2012−49767A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189206(P2010−189206)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000232287)日本電業工作株式会社 (71)
【Fターム(参考)】