説明

アンドロステンジオンおよび/またはテストステロンの合成を阻害するための、ステロイドスルファターゼインヒビターの使用

アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用が提供される。本発明は、ステロイドスルファターゼインヒビターがアンドロステンジオンおよびテストステロンの、ならびに特に副腎皮質ステロイドのデヒドロエピアンドロステロンサルフェートから周囲組織での変換によって産生されたアンドロステンジオンおよびテストステロンのインビボ合成を阻害しうるという驚くべき発見に基づいている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、化合物またはそれを含む組成物の治療用途での使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アンドロゲン、たとえばアンドロステンジオン(A4)およびテストステロン(T)は、女性および男性における多数の病態生理学的状態を調節するのに重要な役割を有する。閉経前女性では、過剰なアンドロゲン産生は座瘡、多毛症および多嚢胞卵巣障害症候群に関連している。閉経後女性では、卵巣エストロゲン産生の停止により、エストロゲンはアロマターゼ酵素複合体の作用によって、周囲組織にてアンドロステンジオンおよびテストステロンからほぼ独占的に生成される(Reedら、1979)。エストロゲンは、乳房および子宮内膜のホルモン依存性癌の発症および成長に関与している。アンドロステンジオンからのエステロンのインサイチュ合成は、大半の乳房腫瘍におけるエストロゲン合成に大きく寄与している(Reedら、1989)。男性では、過剰なアンドロゲン産生は座瘡および過剰な皮脂産生に関連している。
【0003】
女性における主要なアンドロステンジオン源は、一般に副腎皮質からの直接分泌であると見なされてきた。図1は、アンドロステンジオンのエステロンへの芳香族化の分野での第一人者であるLonningによって最近発表された、副腎皮質からのアンドロステンジオンの分泌スキームを示す(非特許文献1)。アンドロステンジオンの副腎起源のさらなる裏付けは、Siiteriらによる発表(非特許文献2)に含まれている。
【0004】
当分野は、乱れたアンドロゲンレベルおよび特に過剰なアンドロゲンレベルが一連の病的状態に関連することを教示してきた。関連する教示(「有害なアンドロゲンレベルの教示」)は:
・Gordon CM (1999). Menstrual disorders in adolescents. Excess androgens and the polycystic ovary syndrome. Pediatr Clin North Am 46:519−543.
・Moghetti P et al., (1996). The insulin resistance in women with hyperandrogenism is partially reversed by antiandrogen treatment: evidence that androgens impair insulin action in women. J Clin Enodocrinol Metab. 81:952−960.
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を含む。
【0005】
本発明は、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する新規な治療法を提供することを目的としている。
【非特許文献1】Lonning(2004).Aromatase inhibitors in breast cancer.Endocrine−Related Cancer 11:179−189.
【非特許文献2】Siiteri et al.,(1980).Adrenal androgen metabolism and conversion in humans.: Adrenal Androgens(Ed Genazzeni et al).Raven Press,NY,pp190−113.
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様
第1の態様において、本発明は、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、(i)多毛症、(ii)過剰皮脂産生、(iii)良性乳房疾患、(iv)良性卵巣疾患、(v)多嚢胞卵巣疾患、(vi)排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下、(vii)アンドロゲン過剰に関連する流産、(viii)良性前立腺肥大、(ix)子宮筋腫、(x)子宮平滑筋肉腫、(xi)高アンドロゲン症、(xii)機能性卵巣高アンドロゲン症、(xiii)過少月経、および(xiv)脱毛から選択される少なくとも1つの状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0009】
本発明は、ステロイドスルファターゼインヒビターがアンドロステンジオンおよびテストステロンの、ならびに特に副腎皮質ステロイドのデヒドロエピアンドロステロンサルフェートから周囲組織での変換によって産生されたアンドロステンジオンおよびテストステロンのインビボ合成を阻害しうるという驚くべき発見に基づいている。
【0010】
特にステロイドスルファターゼインヒビターがアンドロステンジオンの大部分、およびテストステロンのかなりの部分のインビボ合成を阻害することも見出されている。
【0011】
本発明の効果は、閉経後女性において、そして特に乳癌に罹患した閉経後女性の群において顕著である。
【0012】
参照を容易にするために、本発明のこれらおよびさらなる態様はここで適切な節見出しの下で議論される。しかしながら各節の教示は、各特定の節に必ずしも限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好ましい態様
本明細書で議論するように、化合物はアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造で使用される。典型的には、化合物は、デヒドロエピアンドロステロンサルフェートからのアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。
【0014】
一態様において、化合物は副腎皮質周辺の組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。
【0015】
好ましい態様において、化合物は腺組織および腺外組織より選択される組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。典型的な腺組織は卵巣、精巣および副腎皮質である。典型的な腺外組織は脂肪、筋肉、および肝臓である。
【0016】
好ましい態様において、化合物は腺組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。
【0017】
好ましい態様において、化合物は副腎皮質周辺の腺組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。
【0018】
化合物は、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害する。化合物がアンドロステンジオンのインビボ合成を阻害しうること、または化合物がテストステロンのインビボ合成を阻害しうること、または該化合物がアンドロステンジオンおよびテストステロンのインビボ合成を阻害しうることが理解されるであろう。
【0019】
好ましい態様において、化合物はアンドロステンジオンのインビボ合成を阻害する。
【0020】
好ましい態様において、化合物はアンドロステンジオンおよびテストステロンのインビボ合成を阻害する。
【0021】
本発見は一般に、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成の阻害が所望であるいずれかの治療に適用されうる。一態様において、本発明は、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0022】
治療での使用がアンドロステンジオンの有害レベルに関連する状態または疾患に関しうること、または治療での使用がテストステロンの有害レベルに関連する状態または疾患に関しうること、または治療での使用がアンドロステンジオンおよびテストステロンの有害レベルに関連する状態または疾患に関しうることが理解されるであろう。好ましくは、治療での使用はアンドロステンジオンの有害レベルに関連する状態または疾患に関する。
【0023】
アンドロステンジオンおよびテストステロンの有害レベルは、過剰または不十分を意味することが理解されるであろう。好ましい一態様において、有害レベルは過剰レベルである。
【0024】
有害なアンドロステンジオンおよび/またはテストステロンのレベルに関連することが既知である状態は、当業者に既知である。これらは本明細書では有害なアンドロゲンレベルの教示として参照される。
【0025】
化合物が使用されうる具体的な治療としては、(i)多毛症、(ii)過剰皮脂産生、(iii)良性乳房疾患、(iv)良性卵巣疾患、(v)多嚢胞卵巣疾患、(vi)排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下、(vii)アンドロゲン過剰に関連する流産、(viii)良性前立腺肥大、(ix)子宮筋腫、(x)子宮平滑筋肉腫、(xi)高アンドロゲン症、(xii)機能性卵巣高アンドロゲン症、(xiii)過少月経、および(xiv)脱毛より選択される少なくとも1つの状態または疾患が挙げられる。
【0026】
それゆえさらなる態様において、本発明は、(i)多毛症、(ii)過剰皮脂産生、(iii)良性乳房疾患、(iv)良性卵巣疾患、(v)多嚢胞卵巣疾患、(vi)排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下、(vii)アンドロゲン過剰に関連する流産、(viii)良性前立腺肥大、(ix)子宮筋腫、(x)子宮平滑筋肉腫、(xi)高アンドロゲン症、(xii)機能性卵巣高アンドロゲン症、(xiii)過少月経、および(xiv)脱毛より選択される少なくとも1つの状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0027】
特にステロイドスルファターゼインヒビターがアンドロステンジオンの大部分、およびテストステロンのかなりの部分のインビボ合成を阻害することも見出されている。
【0028】
本発明の効果は、閉経後女性において特に顕著である。
【0029】
それゆえ好ましい態様において、本発明は、閉経後女性におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造における記載した化合物の使用を提供する。
【0030】
化合物
本明細書で議論するように、アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造で使用される化合物は、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる。
【0031】
化合物は、いずれの適切な化合物でもよい。適切な化合物のクラスはここで説明されるであろう。
【0032】
スルファメート化合物
好ましくは、化合物はスルファメート基を含む。本態様において、化合物はスルファメート化合物と呼ばれる。
【0033】
用語「スルファメート」は、スルファミン酸のエステル、またはスルファミン酸のN置換誘導体のエステル、またはその塩を含む。
【0034】
スルファメート基は好ましくは式:
【0035】
【化9】

を有し、式中、RおよびRは、Hまたはヒドロカルビル基より独立して選択される。
【0036】
好ましくはRおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アシルおよびアリール、またはその組合せより独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルまたはアリールは、1個以上のヘテロ原子または基を必要に応じて含む。
【0037】
本発明のN置換化合物は置換されたときに、最大10個の炭素原子を好ましくは含有またはそれぞれ含有する1個以上のN−アルキル、N−アルケニル、N−シクロアルキル、N−アシル、またはN−アリール置換基を含有しうる。Rおよび/またはRがアルキルであるとき、好ましい値は、RおよびRが1〜5個の炭素原子を含有する低級アルキル基、すなわちたとえばメチル、エチル、プロピルなどよりそれぞれ独立して選択される値である。好ましくはどちらもメチルである。Rおよび/またはRがアリールであるとき、典型的な値は、フェニルおよびトリル(−PhCH;o、mまたはp)である。Rおよび/またはRがシクロアルキルを示すとき、典型的な値はシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。共に結合されたときに、RおよびRは、典型的には、5、6または7員複素環、たとえばモルホリノ、ピロリジノまたはピペリジノを与えるために1個以上のヘテロ原子または基、たとえばOまたはNHによって必要に応じて割り込まれた4〜6個の炭素原子の鎖を与えるアルキレン基を表す。
【0038】
アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アシルおよびアリールの値の中に、我々は、その中に置換基として、問題の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1個以上の基を含有する置換基を含める。例示的な非妨害置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルおよびアリールが挙げられる。ヒドロカルビル基の非制限的な例は、アシル基である。
【0039】
ある実施形態において、スルファメート基は、ステロイド環系の中または上の1個以上の原子に縮合(または結合)することによって環構造を形成しうる。
【0040】
ある実施形態において、1個を超えるスルファメート基がありうる。一例として、2個のスルファメート(すなわちビススルファメート化合物)がありうる。
【0041】
ある好ましい実施形態において、RおよびRの少なくとも1つはHである。
【0042】
ある好ましい実施形態において、RおよびRのそれぞれがHである。
【0043】
ある好ましい実施形態において、スルファメート化合物上のスルファメート基がサルフェート基と置換されてサルフェート化合物を形成する場合、サルフェート化合物はステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)によって加水分解可能である。
【0044】
ある好ましい実施形態において、スルファメート化合物上のスルファメート基がサルフェート基と置換されてサルフェート化合物を形成して、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)によってpH7.4および37℃にてインキュベートされる場合、それは50nM未満のKを与える。
【0045】
ある好ましい実施形態において、スルファメート化合物上のスルファメート基がサルフェート基と置換されてサルフェート化合物を形成して、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)によってpH7.4および37℃にてインキュベートされる場合、それは50μM未満のKを与える。
【0046】
クマリンベース化合物
好ましい一態様において、化合物は、WO97/30041の教示に従う化合物である。
【0047】
好ましくは、化合物は式(A)
【0048】
【化10】

の化合物であり、式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基であり、ここでXは、O、NR、およびCR1011より選択され、ここでRは、Hおよびヒドロカルビルより選択され、ここでR10およびR11は、H、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロカルビルより独立して選択される。
【0049】
好ましくは、R〜Rの2つ以上は共に結合されて、追加の環式構造を形成する。
【0050】
好ましくは、XはOである。
【0051】
好ましくは、R〜Rは、H、アルキルおよびハロアルキルより独立して選択される。
【0052】
好ましくは、R〜Rは、H、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルより独立して選択される。
【0053】
好ましくは、R〜Rは、H、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルより独立して選択される。
【0054】
好ましくは、R〜Rは、H、メチルおよびハロメチルより独立して選択される。
【0055】
好ましくは、化合物は式(C)
【0056】
【化11】

の化合物であり、式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基であり、ここでnは、3〜14である。好ましくは、nは、3〜10である。さらに好ましくは、nは5である。
【0057】
好ましい一態様において、Rは、スルファメート基である。
【0058】
特に好ましい化合物は、式
【0059】
【化12】

の化合物であり、式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基である。
【0060】
好ましくは、スルファメート基は、本明細書で議論した通りであり、好ましくは、式:
【0061】
【化13】

を有し、好ましくはRおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アシルおよびアリール、またはその組合せより独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルは、1個以上のヘテロ原子または基を必要に応じて含む。より好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはHである。なおさらに好ましくは、RおよびRのそれぞれはHである。
【0062】
非常に好ましい態様において、化合物は、式
【0063】
【化14】

の化合物より選択される。
【0064】
きわめて非常に好ましい態様において、化合物は、
【0065】
【化15】

である。
【0066】
アリールスルホンアミド
好ましい一態様において、化合物は、Lehrらの教示“N−Acyl arylsulfonamides STS inhibitors”2005 BMCLに従う化合物である。
【0067】
環式スルファメート
好ましい一態様において、化合物は、WO93/05064、US5616574、US5830886、US6011024、US6159960、US6187766、US6476011、US6677325、およびUS6642397の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は、ステロイド環構造および式
【0068】
【化16】

のスルファメート基を含む化合物であり、式中、RおよびRのそれぞれは、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、およびアリールより独立して選択され;ここで好ましくはRおよびRの少なくとも1つはHであり;ここで化合物は、ステロイドスルファターゼ活性(E.C.3.1.6.2)を有する酵素のインヒビターであり;そして化合物上のスルファメート基がサルフェート基と置換されてサルフェート化合物を形成して、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)によってpH7.4および37℃にてインキュベートされる場合、それは50μM未満のKを与える。
【0069】
チオホスホネート
好ましい一態様において、化合物はWO91/13083、US5281587、およびUS5344827の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0070】
【化17】

のステロイド−3−トリホスホネートであり、式中、Rはアルキル基であり、環系ABCDは、置換または非置換飽和または不飽和ステロイド核である。
【0071】
スルホネート/ホスホネート
好ましい一態様において、該化合物は、WO93/05063、US5604215、US5861390、およびUS6017904の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式:
【0072】
【化18】

のスルホネートまたはホスホネート化合物であり、式中、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールより選択され;Xは、PまたはSであり;XがPであるときにYはOHであり、XがSであるときにOであり;そしてO−多環は、多環式アルコールである多環式アルコールの残基を表し、そのサルフェートは、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能である。
【0073】
ステロイド誘導体
好ましい一態様において、化合物はWO98/24802およびUS6642220の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は
・式;
【0074】
【化19】

(式中、Rおよび/またはRは、H以外の置換基であり;ここでRおよびRは、同じまたは異なっていてよいが、両方がHというわけではなく;RおよびRのそれぞれは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールより独立して選択され、ここでRおよびRの少なくとも1つがHであり;そしてYは、適切な結合基(好ましくは−CH−または−C(O)−)を有する、スルファターゼ化合物;あるいは
・式;
【0075】
【化20】

(式中、Rおよび/またはRは、H以外の置換基であり;ここでRおよびRは、同じまたは異なっていてよく;RおよびRのそれぞれは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールより独立して選択され、ここでRおよびRの少なくとも1つがHであり;そして基Aは、環Bの位置1にて炭素原子にさらに結合する)を有する、スルファメート化合物;あるいは
・式;
【0076】
【化21】

(式中、Xはスルファメート基であり、そしてYは、CHであり、そして環系に直接結合した必要に応じてH以外のいずれかが別の基によって置換される)を有する、スルファメート化合物である。
【0077】
オキシム
好ましい一態様において、化合物はWO99/27936およびUS6670353の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物はスルファメート化合物であり、ここで化合物は少なくとも2個の環構成要素を含む多環式化合物であり、ここで多環式化合物は、環構成要素の少なくとも1つに結合された少なくとも1個のスルファメート基を含み、ここで少なくとも1個のオキシム基は、環構成要素の少なくとも1つに結合されるか、または環構成要素の少なくとも1つの一部である。そのような化合物は、式
【0078】
【化22】

のスルファメート化合物を含み、式中、RおよびRのそれぞれは、Hまたはヒドロカルビル基より独立して選択され、ここでXは、Hまたはヒドロカルビル基である。
【0079】
ラクトン
好ましい一態様において、化合物は、WO98/11124の教示に従う化合物である。典型的な化合物はスルファメート化合物であり、ここで化合物は少なくとも2個の環構成要素を含む多環式化合物であり、ここで多環式化合物は、環構成要素の少なくとも1つに結合された少なくとも1個のスルファメート基を含み、ここで多環式構造の環構成要素の少なくとも1つは複素環式環である。そのような化合物は、式:
【0080】
【化23】

のスルファメート化合物を含み、式中、Rは、スルファメート基であり、Dは、複素環式環および/または6員環を表す。
【0081】
ハロゲン化誘導体
好ましい一態様において、化合物は、WO01/44268の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0082】
【化24】

の化合物であり、式中:Xは、環内に少なくとも4個の原子を有する環であり;Kは、ヒドロカルビル基であり;Rh1は、任意のハロ基であり;Rh2は、任意のハロ基であり;Rh1およびRh2の少なくとも1つが存在し;Rsは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。そのような化合物は、式
【0083】
【化25】

の化合物を含み、式中、Rh1は、任意のハロ基であり;Rh2は、任意のハロ基であり;Rh1およびRh2の少なくとも1つが存在し;Rsは、スルファメート基である。
【0084】
スルファニル誘導体
好ましい一態様において、化合物は、WO02/16394の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0085】
【化26】

の化合物であり、式中:Xは、環内に少なくとも4個の原子を有する環であり;Kは、ヒドロカルビル基であり;Rは、式−L−S−R1’の任意の基であり、ここでLは任意のリンカー基であり、R1’はヒドロカルビル基であり;Rは、式−L−S−R2’の任意の基であり、ここでLは任意のリンカー基であり、R2’はヒドロカルビル基であり;Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つであり;ここでRおよびRのいずれか1つが存在し;そしてここで前記化合物は、ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害することが可能であり、および/または細胞周期のモジュレータとして、および/またはアポトーシスのモジュレータとして、および/または細胞成長のモジュレータとして作用可能である。そのような化合物は、式
【0086】
【化27】

の化合物を含み、式中:Rは、式−L−S−R1’の任意の基であり;ここでLは、任意のC1−10ヒドロカルビル基であり;R1’はC1−10ヒドロカルビル基であり;Rは、式−L−S−R2’の任意の基であり、ここでLは任意のC1−10ヒドロカルビル基であり;R2’はC1−10ヒドロカルビル基であり;ここでRおよびRの少なくとも1つが存在し;Rは、式(R)(R)N−S(O)(O)−O−のスルファメート基であり;ここでRおよびRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せよりそれぞれ独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;ここでD環の位置17は、=O、ヒドロキシ、エチニル、ヒドロカルビル基、または
i)式(R)(R10)N−S(O)(O)−O−のスルファメート基
ii)式(R11)−P(O)(OH)−O−のホスホネート基
iii)式(R12)−P(S)(OH)−O−のチオホスホネート基
iv)式(R13)−S(O)(O)−O−のスルホネート基;によって必要に応じて置換され;
ここでRおよびR10は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せよりそれぞれ独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルキニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;ここでR11、R12およびR13は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せであり、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルキニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;ここで環系は、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アルキニル、およびハロゲンより選択される1個以上の置換基によって必要に応じて置換される。
【0087】
アリール置換
好ましい一態様において、化合物は、WO02/16393の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、ステロイド環系、およびスルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つより選択される基Rを含む化合物であり;ここでステロイド環系のD環は、式−L−Rの基Rによって置換され、ここでLはリンカー基であり、そしてRは芳香族ヒドロカルビル基である。そのような化合物は、式
【0088】
【化28】

の化合物を含み、式中:Rは、i)式(R)(R)N−S(O)(O)−O−のスルファメート基;ii)式(R)−P(O)(OH)−O−のホスホネート基、iii)式(R)−P(S)(OH)−O−のチオホスホネート基、iv)式(R)−S(O)(O)−O−のスルホネート基より選択され;ここでRおよびRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せよりそれぞれ独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルキニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;ここでR、RおよびRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せであり、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルキニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;Lは、必要に応じて存在し、C1−10アルキル基であり;Rは、炭素および必要に応じて窒素を含有して、C1−10アルキルおよびハロゲンより選択される基によって必要に応じて置換される6員芳香族環であり;Rは、C1−10アルコキシ、C1−10アルキル、または式-L−S−R4’の基より選択され、ここでLは、必要に応じて存在し、C1−10アルキルであり;R4’は、C1−10アルキルであり、ここで環系は、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキニル、およびハロゲンより選択される1個以上の置換基によって必要に応じて置換される。
【0089】
多スルファメート置換
好ましい一態様において、化合物は、WO02/16392の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0090】
【化29】

の化合物であり、式中:Xは環系であり;Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つであり;Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つであり;ここでXがステロイド構造であり、RおよびRの両方がスルファメート基であるとき、ステロイド環系(X)は、エストロゲンを表す。そのような化合物は、式
【0091】
【化30】

の化合物を含み、式中、RおよびRはスルファメート基であり、ここで各スルファメート基は、式
【0092】
【化31】

のスルファメート基であり、式中、RおよびRのそれぞれは、Hおよびヒドロカルビルより独立して選択され;ここでRは、ヒドロカルビルまたはオキシヒドロカルビル基であり;そしてここで環系は、1個以上のヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキニルまたはハロゲン置換基を含有しうる。
【0093】
好ましい一態様において、化合物はWO98/42729およびUS6339079の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0094】
【化32】

のゴナンおよびD−ホモゴナン型のステロイドであり、式中、C原子9および11、8および9、8および14、14および15、15および16、6および7、または7および8の間に追加の二重結合が存在することがあり、あるいは各場合において、C原子8、9、14、15または8、9、7、6の間におそらく2個の二重結合があり、あるいはC原子14および15または15および16の間にαまたはβ配向でシクロプロパンまたはエポキシド基を所有し、ここでC原子2、3、4、6、7、11、12、15、16および/または17は、非置換であるか、あるいはC−C−アルキルオキシ、C−C−アルキルオキシC−C−アルキルオキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキルオキシ、C−C−アルカノイルオキシまたはトリス−(C−C−アルキル)−シリルオキシまたはヒドロキシによって置換され、
ここで2級ヒドロキシ基−CH(OH)の代わりに、ケタール、チオケタール、シアノヒドリン、シアノシリルエーテルまたはジェミナルヒドロキシエチニル基の形で保護されうるケト基−C(=O)も存在可能であり、n=1または2、R=H、αまたはβメチル、あるいはαまたはβエチルであり、スルファモイルオキシ残基−OSONHRは、C−1、−2、−3、−4、−6、−7、−11、−15、−16および/または−17にはもちろんのこと、残基Rおよび/またはRにも位置し、R=H、C−C−アルキル、環付加飽和環を持つC−C−アルキル、アリール−C−Cアルキル、C−C−アルカノイル、C−C−シクロアルキル−カルボニル、R=H、OH、ハロゲン、偽ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、1’,1’−シクロアルキルまたはアリール−C−C−アルキル、R=H、アリールまたはC−C12−アルキル、R=H、C−C12−アルキルまたはC−C12−アルキルアリール、R=Hまたはハロゲン、およびm=1〜5であり、mが1であって、また、スルファモイルオキシ基が芳香族A環に結合されている場合は、RはHおよびOHと異なるという条件である。
【0095】
D環修飾
好ましい一態様において、化合物は、WO03/033518の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0096】
【化33】

を有する化合物であり、式中、Gは、Hまたは置換基であり、ここでRは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。そのような化合物は、式
【0097】
【化34】

を有する化合物を含み、式中、Rは、式(R)(R)NSO−O−のスルファメート基であり;RおよびRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはその組合せより独立して選択され、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該または各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルは、1個以上のヘテロ原子または基を含有し;Gは、HあるいはOHまたはヒドロカルビル基より選択される置換基であり;ここで環系は、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルキニルおよびハロゲンより選択される1個以上の置換基によって必要に応じて置換される。そのような化合物は、式
【0098】
【化35】

【0099】
【化36】

【0100】
【化37】

を有する化合物、たとえば式
【0101】
【化38】

の化合物を含む。
【0102】
好ましい一態様において、化合物は、WO2004/085459の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、ステロイド環、および−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つより選択される任意の基Rを含む化合物であり;ここでステロイド環系のD環は、式−L−Rの基Rによって置換され、ここでLは任意のリンカー基であり、Rは、ニトリル基、アルコール、エステル、エーテル、アミンおよびアルケンの1つである、またはニトリル基、アルコール、エステル、エーテル、アミンおよびアルケンの1つを含む基より選択され、Rは、アルコールであるか、またはアルコールを含むときにLが存在するという条件であり;そしてここでステロイド環系のA環は、位置2または4にて基Rによって置換され、ここでRはヒドロカルビル基である。
【0103】
二重インヒビター
ある態様において、化合物は、ステロイドスルファターゼ以外を阻害することができる。たとえば一態様において、化合物は、ステロイドスルファターゼおよびアロマターゼを阻害することができる。
【0104】
好ましい一態様において、化合物は、WO03/045925の教示に従う化合物である。典型的な化合物は、式
【0105】
【化39】

の化合物であり、式中、Tのそれぞれは、H、ヒドロカルビル、−F−R、およびD、E、PまたはQの1つとの結合より独立して選択され、あるいはPおよびQの1つと共に環を形成し;Zは、その価数がmである適切な原子であり;D、EおよびFは、それぞれ相互から独立して任意のリンカー基であり、ここでZが窒素であるとき、EはCHおよびC=O以外であり;P、QおよびRは、相互から独立して環系であり;少なくともQがスルファメート基を含む。
【0106】
好ましい一態様において、化合物はWO97/32872、US6083978およびUS6506792の1つの教示に従う化合物である。典型的な化合物は、一般式
【0107】
【化40】

の化合物であり、式中、Aは第1環構造を表し、Bは第3環構造を表し、Dは第2環構造を表し、Cは任意の二重結合であり、Eは第2環構造を第3環構造に連結するリンクであり、Xは適切な第1基を表し、そしてYは適切な第2基を表し;ここで環構造A、BおよびDのいずれか1つは、フェノール環であり;そしてここで環構造A、BおよびDのいずれか1つはそれに加えてスルファメート基に結合されている。そのような化合物は、一般式
【0108】
【化41】

の化合物を含み、式中、Fはフェノール性環構造(第1環構造)を表し、Jは第3環構造を表し、Iはフェノール性環構造(第2環構造)を表し、Gは任意の二重結合であり、Hは第2環構造を第3環構造に連結するリンクであり、そしてYは適切な第2基を表し;ここで環構造F、JおよびIのいずれか1つはそれに加えてスルファメート基に結合されている。そのような化合物は、一般式
【0109】
【化42】

の化合物を含み、式中、R〜R12は、H、OH、ハロゲン、アミン、アミド、スルホンアミン、スルホンアミド、他のいずれかの硫黄含有基、飽和または不飽和C1−10アルキル、アリール基、飽和または不飽和C1−10エーテル、飽和または不飽和C1−10エステル、リン含有基より独立して選択され;そしてここでR〜R12の少なくとも1つがスルファメート基である。
他のステロイドスルファターゼインヒビター
好ましい一態様において、化合物は、
【0110】
【化43】

【0111】
【化44】

【0112】
【化45】

の1つの教示に従う化合物である。
【0113】
本発明の化合物は他の置換基を含みうる。これらの他の置換基はたとえば、本発明の化合物の活性をさらに上昇させる、およびまたは安定性(エキソビボおよび/またはインビボ)を上昇させることができる。
【0114】
ヒドロカルビル基
用語「ヒドロカルビル基」は本明細書で使用するように、少なくともCおよびHを含む基を意味し、1個以上の他の適切な置換基を必要に応じて含みうる。そのような置換基の例としては、ハロ、アルコキシ、ニトロ、アルキル基、環式基などが挙げられる。置換基が環式基である可能性に加えて、置換基の組合せが環式基を形成しうる。ヒドロカルビル基が1個を超えるCを含む場合、これらの炭素は必ずしも相互に結合する必要はない。たとえば炭素の少なくとも2個は、適切な元素または基を介して結合されうる。それゆえヒドロカルビル基はヘテロ原子を含みうる。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかとなり、たとえば硫黄、窒素および酸素を含む。ヒドロカルビル基の非制限的な例は、アシル基である。
【0115】
典型的なヒドロカルビル基は炭化水素基である。ここで用語「炭化水素」は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれか1つを意味し、該基は直鎖、分岐または環式、あるいはアリール基でありうる。用語炭化水素は、それらの基も含むが、ここでそれらは必要に応じて置換されている。炭化水素がその上に置換基を有する分岐構造である場合、置換は炭化水素主鎖または分岐のどちらかに存在しうる;あるいは置換基は炭化水素および分岐に存在しうる。
【0116】
ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、直鎖または分岐でありうる、および/または飽和または不飽和でありうる。
【0117】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有する直鎖または分岐炭化水素基より選択されうる。
【0118】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも2個の炭素を含むヒドロカルビル基でありうるか、あるいはここで炭素およびヘテロ原子の総数は少なくとも2である。
【0119】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有するヒドロカルビル基より選択されうる。好ましくは、ヘテロ原子は、硫黄、窒素および酸素より選択される。
【0120】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有する直鎖または分岐炭化水素基より選択されうる。好ましくは、ヘテロ原子は、硫黄、窒素および酸素より選択される。
【0121】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有する直鎖または分岐炭化水素基、好ましくはC1−10アルキル、さらに好ましくはC1−5アルキルより選択されうる。好ましくは、ヘテロ原子は、硫黄、窒素および酸素より選択される。
【0122】
好ましい一態様において、ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有する直鎖炭化水素基、好ましくはC1−10アルキル、さらに好ましくはC1−5アルキルより選択されうる。好ましくは、ヘテロ原子は、硫黄、窒素および酸素より選択される。
【0123】
ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは
・C−C10ヒドロカルビル、
・C−Cヒドロカルビル、
・C−Cヒドロカルビル、
・炭化水素基、
・C−C10炭化水素、
・C−C炭化水素、
・C−C炭化水素、
・アルキル基
・C−C10アルキル、
・C−Cアルキル、
・C−Cアルキル
より選択されうる。
【0124】
ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、直鎖または分岐でありうる、および/または飽和または不飽和でありうる。
【0125】
ヒドロカルビル/炭化水素/アルキルは、少なくとも1個のヘテロ原子を基内に含有する直鎖または分岐炭化水素基でありうる。
【0126】
オキシヒドロカルビル基
典型的なヒドロカルビル基はオキシヒドロカルビル基である。
【0127】
用語「オキシヒドロカルビル基」は本明細書で使用するように、少なくともC、HおよびOを含む基を意味し、1個以上の他の適切な置換基を必要に応じて含みうる。そのような置換基の例としては、ハロ、アルコキシ、ニトロ、アルキル基、環式基などが挙げられる。置換基が環式基である可能性に加えて、置換基の組合せが環式基を形成しうる。オキシヒドロカルビル基が1個を超えるCを含む場合、これらの炭素は必ずしも相互に結合する必要はない。たとえば炭素の少なくとも2個は、適切な元素または基を介して結合されうる。それゆえオキシヒドロカルビル基はヘテロ原子を含みうる。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかとなり、たとえば硫黄および窒素を含む。
【0128】
本発明の一実施形態において、オキシヒドロカルビル基はオキシ炭化水素基である。
【0129】
ここで用語「オキシ炭化水素」は、アルコキシ基、オキシアルケニル基、オキシアルキニル基のいずれか1つを意味し、該基は直鎖、分岐または環式、あるいはオキシアリール基でありうる。用語オキシ炭化水素は、それらの基を含むが、ここでそれらは必要に応じて置換されている。オキシ炭化水素はその上に置換基を有する分岐構造である場合、置換は炭化水素主鎖または分岐のどちらかに存在しうる;あるいは置換基は炭化水素および分岐に存在しうる。
【0130】
ヒドロカルビル基に関する上の教示のそれぞれは、類似のオキシヒドロカルビル基、すなわちヒドロカルビルに加えて酸素を含む対応するヒドロカルビル基に等しく適用される。
【0131】
典型的には、オキシヒドロカルビル基は、式C1−6O(たとえばC1−3O)のオキシヒドロカルビル基である。
【0132】
他の態様
ある用途のためには、好ましくは、化合物はエストロゲン効果を全く持たないか、最小限のエストロゲン効果を有する。
【0133】
ある用途のためには、好ましくは、化合物はエストロゲン効果を有する。
【0134】
ある用途のためには、好ましくは、化合物は可逆性作用を有する。
【0135】
ある用途のためには、好ましくは、化合物は非可逆性作用を有する。
【0136】
本発明は、本発明の化合物および本発明の化合物の代謝産物を調製するのに有用である新規な中間体も対象とする。たとえば本発明は、化合物の新規なアルコール前駆体も対象とする。さらなる例のために、本発明は化合物のビス保護前駆体も対象とする。これらの前駆体のそれぞれの例は、本明細書で示されている。本発明は、本発明の化合物の合成のための、それらの前駆体のそれぞれまたは両方を含むプロセスも含む。
【0137】
ステロイドスルファターゼ
ステロイドスルファターゼ−時にはステロイドスルファターゼまたはステリルスルファターゼまたは短縮して「STS」と呼ばれる−は、複数の硫酸化ステロイド、たとえばオステロンサルフェート、デヒドロエピアンドロステロンサルフェートおよびコレステロールサルフェートなどを加水分解する。STSは、酵素番号EC3.1.6.2に割り当てられている。
【0138】
STSはクローニングされ、発現されている。たとえばSteinら(J.Biol.Chem.264:13865−13872(1989))およびYenら(Cell 49:443−454(1987))を参照のこと。
【0139】
STSは、多数の疾患状態に関与している酵素である。
【0140】
一例として、研究者は、STSの完全な欠乏が魚鱗癬を発生することを見出している。一部の研究者によると、STS欠乏は日本でかなり蔓延している。同じ研究者(Sakuraら、J Inherit Metab Dis 1997 Nov;20(6):807−10)は、アレルギー疾患、たとえば気管支喘息、アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎がステロイドスルファターゼ欠乏と関連しうることも報告している。
【0141】
疾患状態がSTS活性の完全な欠乏によって引き起こされていることに加えて、STS活性レベルの上昇も疾患状態を引き起こしうる。一例として、そして上で示したように、乳癌成長および転移におけるSTSの役割を裏付ける強力な証拠がある。
【0142】
STSは他の疾患状態にも関与している。一例として、Le Roy et al(Behav Genet 1999 Mar;29(2):131−6)は、マウスにおけるステロイドスルファターゼ活性と発作挙動の開始との間の遺伝的相関がありうることを判断した。著者らは、ステロイドのスルファターゼ化が、変異誘発による攻撃に関与することが示されている遺伝子を含む、複雑なネットワークの主な原動力でありうることを結論付けている。
【0143】
STS阻害
STS活性に関連するある疾患状態は、非活性硫酸化オステロンの活性非硫酸化オステロンへの変換のためであると考えられている。STS活性に関連する疾患状態では、STS活性を阻害することが望ましい。
【0144】
ここで用語「阻害する」は、STSの有害作用を低減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止することを含む。
【0145】
STSインヒビター
本発明により、本発明の化合物は、STSインヒビターとして作用することができる。
【0146】
ここで用語「インヒビター」は本発明の化合物に関して本明細書で使用するように、STS活性を阻害−たとえばSTSの有害作用を低減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止できる化合物を意味する。STSインヒビターは、アンタゴニストとして作用しうる。
【0147】
化合物がオステロンスルファターゼ活性を阻害する能力は、無傷のJEG3絨毛癌または胎盤ミクロソームのどちらかを使用して評価されうる。加えて動物モデルが使用されうる。適切なアッセイプロトコルの詳細は次の節で与えられる。STS活性、そしてそれゆえSTS阻害を判定するために、他のアッセイが使用されることに注目すべきである。たとえばWO−A−99/50453の教示にも参照が行われうる。
【0148】
一態様において、ある用途のためには、化合物は、スルファメート基がサルフェート基によって置換されてサルフェート誘導体を形成する場合に、サルフェート誘導体がステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって、すなわちステロイドスルファターゼEC3.1.6.2によってpH7.4および37℃にてインキュベートされたときに加水分解されうるという特徴によってさらに特徴付けられる。
【0149】
好ましい一実施形態において、化合物のスルファメート基がサルフェート基によって置換されてサルフェート化合物を形成する場合、そのサルフェート化合物は、ステロイドスルファターゼEC3.1.6.2によってpH7.4および37℃にてインキュベートされたときに、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であり、200ミリモル未満の、好ましくは150ミリモル未満の、好ましくは100ミリモル未満の、好ましくは75ミリモル未満の、好ましくは50ミリモル未満のK値を与える。
【0150】
ある用途のためには、好ましくは本発明の化合物は、所望の標的(たとえばSTSおよび/またはアロマターゼ)に対して少なくとも約100倍の選択性を、好ましくは所望の標的に対して約150倍の選択性を、好ましくは所望の標的に対して約200倍の選択性を、好ましくは所望の標的に対して約250倍の選択性を、好ましくは所望の標的に対して約300倍の選択性を、好ましくは所望の標的に対して約350倍の選択性を有する。
【0151】
本発明の化合物が、STSおよび/またはアロマターゼ活性を阻害するその能力に加えて、またはその能力の代わりに他の有益な特性を有しうることに注目すべきである。
【0152】
他の置換基
本発明の化合物は、一般式で示した化合物以外の他の置換基を有しうる。一例として、これらの他の置換基は:1個以上のスルファメート基、1個以上のホスホネート基、1個以上のチオホスホネート基、1個以上のスルホネート基、1個以上のスルホンアミド基、1個以上のハロ基、1個以上のO基、1個以上のヒドロキシ基、1個以上のアミノ基、1個以上の硫黄含有基、1個以上のヒドロカルビル基−たとえばオキシヒドロカルビル基の1つ以上でありうる。
【0153】
癌細胞を使用してSTS活性を決定するためのアッセイ(プロトコル1)
JEG3細胞におけるステロイドスルファターゼ活性の阻害
ステロイドスルファターゼ活性は、無傷のJEG3絨毛癌細胞を使用してインビトロで測定される。この細胞系は、ヒト乳癌細胞成長の制御を研究するために使用されうる。それは有意なステロイドスルファターゼ活性(Boivinら、J.Med.Chem.,2000,43:4465−4478)を所有し、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能である。
【0154】
細胞は、20mMのHEPES、5%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、非必須アミノ酸および0.075%重炭酸ナトリウムを含有する最小必須培地(MEM)(Flow Laboratories,Irvine,Scotland)中に維持される。最大30個の複製25cm2組織培養フラスコに、上の培地を用いて約1×10細胞/フラスコで播種する。細胞は80%コンフルエントまで培養され、培地を3日おきに交換する。
【0155】
3通りの25cm組織培養フラスコ内のJEG3細胞の無傷単層をアール平衡塩類溶液(ICN FlowからのEBSS、High Wycombe,U.K.)で洗浄して、エストロン−3−スルファメート(11の濃度:0;1fM;0.01pM;0.1pM;1pM;0.01nM;0.1nM;1nM;0.01mM;0.1mM;1mM)と共に、無血清MEM(2.5ml)中の[6,7−3H]エストロン−3−サルフェート5pmol(7×10dpm)(New England Nuclearからの比活性60Ci/mmol、Boston,Mass.,U.S.A.)によって3〜4時間、37℃にてインキュベートする。インキュベーション後に、各フラスコを冷却して、[14C]エストロン(7×10dpm)(Amersham International Radiochemical Centreからの比活性97Ci/mmol,Amersham,U.K.)を含有する個別の管に培地(1ml)をピペットで移す。混合物をトルエン(5ml)と共に30秒間にわたって完全に振とうする。実験は、>90%[14C]エストロンおよび<0.1%[3H]エストロン−3−サルフェートがこの処置によって水相から除去されることを示している。有機相の一部(2ml)を取って、蒸発させ、残渣の3Hおよび14C含量をシンチレーション分光法により決定する。加水分解されたエストロン−3−サルフェートの質量を得られた3Hカウント(使用した培地および有機相の体積について、そして[14C]の回収率について補正)および基質の比活性から計算した。実験の各バッチは、スルファターゼ陽性ヒト胎盤から調製したミクロソーム(正の対照)および細胞を含まないフラスコ(基質の見かけの非酵素的加水分解を評価するために)のインキュベーションも含む。フラスコ当たりの細胞核の数は、Zaponinによす細胞単層の処置後にCoulter Counterを使用して決定する。各バッチで1個のフラスコを使用して、トリパンブル排除法を用いて細胞膜状態および生存能を評価する(Phillips,H.J.(1973)In:Tissue culture and applications,[eds:Kruse,D.F.& Patterson,M.K.];pp.406−408;Academic Press,New York)。
【0156】
ステロイドスルファターゼ活性の結果は、10細胞について、そして統計的有意性を示す値についてエストロン−3−スルファメートを含有しないインキュベーションに対する低下パーセント(阻害)として計算された、インキュベーション期間(3〜4時間)中に形成された全生成物(エストロン+エストラジオール)の平均±1標準偏差として表される。対応のないStudentのt検定を使用して、結果の統計的有意性を検定した。
【0157】
胎盤ミクロソームを使用してSTS活性を決定するためのアッセイ(プロトコル2)
胎盤ミクロソームにおけるステロイドスルファターゼ活性の阻害
正常期間の妊娠からのスルファターゼ陽性ヒト胎盤をハサミで完全に刻み、冷リン酸緩衝液(pH7.4、50mM)で1回洗浄して、次に冷リン酸緩衝液(5mg/g組織)に再懸濁させる。ホモジネーションは、Ultra−Turraxホモジナイザーによって、2分間の氷中での冷却期間によって隔てられた10秒間のバースト3回を用いて完了させる。核および細胞砕片を2000gで30分間の遠心分離(4℃)によって除去して、上清の一部(2ml)を20℃で貯蔵する。上清のタンパク質濃度をBradfordの方法(Anal.Biochem.,72,248−254(1976))によって決定する。
【0158】
インキュベーション(1ml)は、100mg/mlのタンパク質濃度、20mMの[6,7−3H]エストロン−3−スルファターゼ(New England Nuclearからの比活性60Ci/mmol,Boston,Mass.,U.S.A.)の基質濃度および37℃での20分間のインキュベーション時間を使用して実施する。必要ならば、化合物の8つの濃度:0(すなわち対照);0.05mM;0.1mM;0.2mM;0.4mM;0.6mM;0.8mM;1.0mMを利用する。インキュベーション後に、各サンプルを冷却して、[14C]エストロン(7×103dpm)(Amersham International Radiochemical Centreからの比活性97Ci/mmol,Amersham,U.K.)を含有する個別の管に培地(1ml)をピペットで移した。混合物をトルエン(5ml)と共に30秒間にわたって完全に振とうする。実験は、>90%[14C]エストロンおよび<0.1%[3H]エストロン−3−サルフェートがこの処置によって水相から除去されることを示している。有機相の一部(2ml)を取って、蒸発させ、残渣の3Hおよび14C含量をシンチレーション分光法により決定した。加水分解されたエストロン−3−サルフェートの質量を得られた3Hカウント(使用した培地および有機相の体積について、そして加えられた[14C]エストロンの回収率について補正)および基質の比活性から計算する。
【0159】
STS活性を決定するための動物アッセイモデル(プロトコル3)
インビボでのエストロンスルファターゼの阻害
本発明の化合物は、動物モデルを使用して、特に卵巣切除ラットにて研究されうる。本モデルにおいて、エストロゲン性である化合物は子宮成長を刺激する。
【0160】
化合物(5日間にわたって0.1mg/kg/日)をラットに経口投与し、動物の別の群にはビヒクル(プロピレングリコール)のみを投与する。研究の終わりに、肝臓組織のサンプルを得て、以前に記載されているように(PCT/GB95/02638を参照)3Hエストロンサルフェートを基質として使用して、エステロンスルファターゼ活性を評価した。
【0161】
エストロゲン活性を決定するための動物アッセイモデル(プロトコル4)
本発明の化合物は、動物モデルを使用して、特に卵巣切除ラットにて研究されうる。本モデルにおいて、エストロゲン性である化合物は子宮成長を刺激する。
【0162】
化合物(5日間にわたって0.1mg/kg/日)をラットに経口投与し、動物の別の群にはビヒクル(プロピレングリコール)のみを投与した。研究の終わりに、子宮を採取および秤量して、結果を子宮重量/全体重×100で表した。
【0163】
子宮成長に対して有意な効果を持たない化合物はエストロゲン性ではない。
【0164】
STS活性を決定するためのバイオテクノロジーアッセイ(プロトコル5)
化合物がエストロンスルファターゼ活性を阻害する能力はまた、STSをコードするアミノ酸配列またはヌクレオチド配列、あるいは活性断片、誘導体、その類似体または変異体を使用して、たとえば高スループットスクリーンにおいて評価されうる。このようなアッセイおよびその実施方法は、参照により本明細書に組み入れられているWO03/045925で教示されている。
【0165】
好ましい一態様において、本発明は、STSを選択的に調節する薬剤を同定する方法に関し、化合物は式(I)を有する。
【0166】
JEG3細胞を使用してアロマターゼ活性を決定するためのアッセイ(プロトコル6)
アロマターゼ活性は、ATCCより入手したJEG3絨毛癌細胞において測定される。本細胞系は、有意なアロマターゼ活性を持ち、ヒトアロマターゼ活性の制御を研究するために広範に使用されている(Bhatnagerら、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.2001,76:199−202)。細胞は、20mMのHEPES、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、非必須アミノ酸および0.075%重炭酸ナトリウムを含有する最小必須培地(MEM、Flow Laboratories,Irvine,Scotland)中に維持される。3通りの25cm組織培養フラスコ内のJEG3細胞の無傷単層(2.5×10細胞)をアール平衡塩類溶液(ICN FlowからのEBSS、High Wycombe,U.K.)で洗浄して、10pm〜10mMの範囲のインヒビターと共に[1β−H]アンドロステンジオン(2〜5nM、26Ci/mmol、New England Nuclear,Boston,MA,USA)によって30分間インキュベートする。アロマターゼ反応の間、液体シンチレーション分光計(Beckman−Coulter,High Wycombe,Bucks.UK)を使用して定量されうるOが遊離される。このO放出法は、アロマターゼ活性を測定するために広範に使用されてきた(Newton et al.,J.Steroid Biochem.1986,24:1033−1039)。フラスコ当たりの細胞核の数は、Zaponinによる細胞単層の処置後にCoulter Counterを使用して決定する。
【0167】
アロマターゼ活性の結果は、10細胞について、そして統計的有意性を示す値についてアロマターゼインヒビターを含有しないインキュベーションに対する低下パーセント(阻害)として計算された、インキュベーション期間(30分間)中に形成された生成物の平均±1標準偏差として表される。対応のないStudentのt検定を使用して、結果の統計的有意性を検定した。IC50値は、アロマターゼ活性の50%阻害を得るために必要なインヒビターの濃度として計算した。
【0168】
治療
本明細書で議論したように、本発明の一態様は、(i)多毛症、(ii)過剰皮脂産生、(iii)良性乳房疾患、(iv)良性卵巣疾患、(v)多嚢胞卵巣疾患、(vi)排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下、(vii)アンドロゲン過剰に関連する流産、(viii)良性前立腺肥大、(ix)子宮筋腫、(x)子宮平滑筋肉腫、(xi)高アンドロゲン症、(xii)機能性卵巣高アンドロゲン症、(xiii)過少月経、および(xiv)脱毛から選択される少なくとも1つの状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0169】
一態様において、本発明は、多毛症の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0170】
一態様において、本発明は、過剰皮脂産生の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0171】
一態様において、本発明は、良性乳房疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0172】
一態様において、本発明は、良性卵巣疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0173】
一態様において、本発明は、多嚢卵巣疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0174】
一態様において、本発明は、排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0175】
一態様において、本発明は、アンドロゲン過剰に関連する流産の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0176】
一態様において、本発明は、良性前立腺肥大の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0177】
一態様において、本発明は、子宮筋腫の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0178】
一態様において、本発明は、子宮平滑筋肉腫の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0179】
一態様において、本発明は、高アンドロゲン症の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0180】
一態様において、本発明は、機能性卵巣高アンドロゲン症の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0181】
一態様において、本発明は、過少月経の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0182】
一態様において、本発明は、脱毛の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。脱毛は男性または女性患者に存在しうる。
【0183】
一態様において、本発明は、排卵の誘発での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0184】
一態様において、本発明は、制御された卵巣過剰刺激での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用を提供する。
【0185】
用語「治療」は、治療効果、緩和効果、および予防効果を含む。
【0186】
治療は、ヒトまたは動物、好ましくは女性のヒトまたは動物、好ましくはヒト女性に対してでありうる。
【0187】
製薬組成物
一態様において、本発明は、本発明による化合物および必要に応じて製薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤(その組合せを含む)を含む、製薬組成物を提供する。
【0188】
製薬組成物は、ヒトおよび動物用薬でのヒトまたは動物用途のためであり、典型的には、製薬的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤のいずれか1つ以上を含むであろう。治療用途に許容される担体または希釈剤は、製薬分野において公知であり、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載されている。製薬的担体、賦形剤または希釈剤の選択は、目的とする投与経路および標準の製薬的慣行に関連して選択されうる。製薬組成物は、担体、賦形剤または希釈剤として−あるいは担体、賦形剤または希釈剤に加えて−、いずれかの適切な(複数の)バインダ、(複数の)潤滑剤、(複数の)懸濁化剤、(複数の)コーティング剤、(複数の)可溶化剤を含みうる。
【0189】
保存料、安定剤、染料および着香剤も製薬組成物中に供給されうる。保存料の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤および懸濁化剤も使用されうる。
【0190】
異なる送達系に応じて、異なる組成物/製剤要件がありうる。一例として、本発明の製薬組成物は、ミニポンプを使用して、または粘膜経路によって、たとえば経鼻スプレーまたは吸入用エアゾールまたは経口摂取液剤として、あるいはたとえば静脈内、筋肉内または皮下経路による送達のための注射形によって組成物が調合される非経口によって送達されるように調合されうる。あるいは製剤は、両方の経路によって送達されるように設計されうる。
【0191】
薬剤が消化粘膜を通じて粘膜送達される場合、薬剤は消化管内の通過中に安定を維持できるべきである;たとえば薬剤は、タンパク質分解に耐性であり、酸性pHにて安定であり、胆汁の洗浄効果に耐性であるべきである。
【0192】
適切な場合には、製薬組成物は、吸入によって、坐剤またはペッサリーの形で、ローション、液剤、クリーム、軟膏または散布剤の形で局所的に、皮膚パッチの使用により、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形で、あるいは単独でまたは賦形剤との混合物のどちらかでのカプセルまたは卵で、あるいは着香料または着色料を含有するエリキシル、液剤または懸濁剤の形で経口的に投与されうるか、あるいは製薬組成物は、非経口的に、たとえば静脈内に、筋肉内に、または皮下的に注射されうる。非経口投与では、組成物は、他の物質、たとえば溶液を血液と等張性にするために十分な塩およびモノサッカライドを含有しうる滅菌水溶液の形で最良に使用されうる。頬側または舌下投与の場合、組成物は、従来の方法で調合されうる錠剤または菱形錠の形で投与されうる。
【0193】
併用薬
本発明の化合物は、1つ以上の他の活性剤、たとえば1つ以上の他の製薬的活性剤と組合せて使用されうる。
【0194】
一例として、本発明の化合物は、他のSTSインヒビターおよび/または他のインヒビター、たとえばアロマターゼインヒビター(たとえば4−ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA))および/またはステロイド−たとえば天然発生型神経ステロイドデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEAS)およびプレグネノロンサルフェート(PS)および/または他の構造的に類似した有機化合物と組合せて使用されうる。他のSTSインヒビターの例は、上の参考文献に見出されうる。一例として、本発明での使用のためのSTSインヒビターとしては、EMATE、本明細書で示した化合物5に類似した2−エチルおよび2−メトキシ17デオキシ化合物のどちらかまたは両方が挙げられる。
【0195】
加えて、または代わりに、本発明の化合物は、生物応答調節剤と組合せて使用されうる。
【0196】
用語生物応答調節剤(「BRM」)は、サイトカイン、免疫調節剤、成長因子、造血調節因子、コロニー刺激因子、化学走化性、溶血および血栓溶解因子、細胞表面レセプタ、リガンド、白血球接着分子、モノクローナル抗体、予防および治療ワクチン、ホルモン、細胞外マトリクス成分、フィブロネクチンなどが含まれる。ある用途のためには、好ましくは、生物応答調節剤はサイトカインである。サイトカインの例としては:インターロイキン(IL)−たとえばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−19;腫瘍壊死因子(TNF)−たとえばTNF−α;インターフェロンアルファ、ベータおよびガンマ;TGF−βが挙げられる。ある用途のためには、好ましくは、サイトカインは腫瘍壊死因子(TNF)である。ある用途のためには、TNFはTNFのいずれかの種類−たとえばその誘導体または混合物を含むTNF−α、TNF−βでありうる。さらに好ましくは、サイトカインはTNF−αである。TNFの教示は、当分野−たとえばWO−A−98/08870およびWO−A−98/13348に見出されうる。
【0197】
投与
典型的には、医師は、個々の対象に最も適切であろう実際の投薬量を決定し、実際の投薬量は特定の患者の年齢、体重および応答によって変化するであろう。下の投薬量は、平均症例の例である。もちろん、より高いまたはより低い投薬量範囲が有益である個々の例がありうる。
【0198】
本発明の組成物は、直接注射によって投与されうる。組成物は、非経口、粘膜、筋肉内、静脈内、皮下、眼内または経皮投与用に調合されうる。必要に応じて、薬剤は0.01〜30mg/kg体重、たとえば0.01〜10mg/kg体重、たとえば0.01〜2mg/kg体重、たとえば0.05〜2mg/kg体重、たとえば0.01〜1mg/kg体重、たとえば0.05〜0.5mg/kg体重、たとえば0.05〜0.3mg/kg体重、たとえば0.07〜0.3mg/kg体重の用量で投与されうる。
【0199】
さらなる例として、本発明の薬剤は、1日につき1〜4回の投与計画に従って、好ましくは1日につき1または2回投与されうる。いずれかの特定の患者のための具体的な投薬レベルおよび投与頻度は、変化することがあり、利用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与の様式および時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、および治療を受けている宿主を含む各種の因子に依存するであろう。
【0200】
上述した典型的な送達様式とは別に、用語「投与された」は、脂質媒介トランスフェクション、リポソーム、免疫リポソーム、リポフェクチン、カチオン表面両親媒性物質(CFA)およびその組合せなどの技法による送達も含む。このような送達機構の経路としては、これに限定されないが、粘膜、経鼻、経口、非経口、胃腸、局所、または舌下経路が挙げられる。
【0201】
用語「投与された」は、これに限定されないが、粘膜経路による、たとえば経鼻スプレーまたは吸入用エアゾールまたは経口摂取液剤としての;あるいはたとえば静脈内、筋肉内または皮下経路による送達のための注射形によって組成物が調合される非経口経路による送達を含む。
【0202】
それゆえ製薬的投与のために、本発明のSTSインヒビターは、在来の製薬的調合技法および製薬的担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤などを利用する、そして非経口投与で通常のいずれかの適切な方法で調合されうる。適切な有効用量率は、本題の化合物の個々の活性に応じて、平均(70kg)体重の患者について、1〜1000mg/日、たとえば10〜900mg/日またはなお100〜800mg/日の範囲でありうる。好ましくより活性の化合物のさらに通常の投薬率は、200〜800mg/日、さらに好ましくは200〜500mg/日、最も好ましくは200〜250mg/日の範囲であろう。それらは1回用量投薬計画、分割用量投薬計画で、および/または数日にわたる複数回投薬計画で投与されうる。経口投与の場合、それらは単位用量あたり化合物100〜500mg含有する錠剤、カプセル剤、液剤または懸濁剤で調合されうる。あるいは、そして好ましくは、化合物は、適切な非経口投与可能な担体中での非経口投与用に調合され、200〜800mg、好ましくは200〜500、さらに好ましくは200〜250mgの範囲の単一の1日投薬量率を与えるであろう。そのような有効1日用量は、しかしながら、活性成分の固有の活性に、そして患者の体重に応じて変化し、このような変化は医師の技能および判断の範囲内である。
【0203】
化合物の調製
本発明の化合物は、適切なアルコールを適切なクロライドと反応させることによって調製されうる。一例として、本発明のスルファメート化合物は、適切なアルコールを式RNSOClのスルファモイルクロライドと反応させることによって調製されうる。
【0204】
反応を実施するための典型的な条件は次の通りである。
【0205】
ナトリウムヒドリドおよびスルファモイルクロライドは、0℃の無水ジメチルホルムアミドによるアルコールの撹拌溶液に添加される。次に反応物を室温まで加温させて、室温にて撹拌をさらに24時間継続する。反応混合物を重炭酸ナトリウムの冷飽和溶液に注入して、生じた水相をジクロロメタンで抽出する。合せた有機抽出物を無水MgSOで乾燥させる。真空中での溶媒蒸発に続き、トルエンと同時蒸発される濾過は粗残渣を与え、粗残渣はフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製される。
【0206】
好ましくは、アルコールは必要に応じて、スルファモイルクロライドとの反応前に誘導体化される。必要な場合、アルコールの官能基は既知の方法で保護でき、(複数の)保護基は反応終了時に除去されうる。
【0207】
好ましくは、スルファメート化合物はPageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)の教示に従って調製されうる。
【0208】
ホスホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586の教示によって調製されうる。
【0209】
スルホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586を適切に修正することによって調製されうる。
【0210】
チオホスホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB91/00270を適切に修正することによって調製されうる。
【0211】
好ましい調製物は以下の本文でも示されている。
【0212】
概要
まとめると、本発明は、ステロイドスルファターゼインヒビターおよび/またはアロマターゼインヒビターおよび/またはアポトーシスのモジュレータおよび/または細胞周期および/または細胞成長のモジュレータとしての使用のための新規な化合物、ならびにそれを含有する製薬組成物を提供する。
【実施例】
【0213】
本発明はここで、例として添付図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【0214】
本発明はここで、例として説明されるであろう。しかしながら、実施例は、本発明の好ましい化合物はもちろんのこと、その作製のための好ましい経路およびその調製における有用な中間体も示すことが理解されよう。
【0215】
化合物の調製
化合物STX64(下に示す)は、WO97/30041の教示に従って調製した。
【0216】
【化46】

生物学的データ
アンドロステンジオン、テストステロン、E1およびE2の決定のためのアッセイは、Wangら(2005).Recombinant cell ultra−sensitive bioassay for measurements of estrogens in postmenopausal women.J Clin Endocrinol Metab(近刊)のガスクロマトグラフィータンデム質量分析法であった。
【0217】
(実施例1)
第1相試験
第1相試験において、STX64(5mgまたは20mg)を、試験の第1日に1回試験用量として経口投与した。24時間(24h)後、血液サンプルを採取して、末梢血リンパ球(PBL)中のSTS活性を評価して、ステロイドホルモン濃度も測定した。試験の第8日に、患者に5日間にわたって1日投薬量を投与して、第12日(D12)のこの期間の終わりにさらなる血液サンプルを採取した。
【0218】
STSおよび内分泌測定
STS活性は、採血管を使用して採取した血液10mlから単離したPBL中で測定した。細胞中の酵素は、リン酸緩衝生理食塩水/TritonX−100によって可溶化させて、STS活性はHエストロンサルフェート[H−E1S]の生理学的(2〜3nM)基質濃度を使用して20時間の期間にわたって測定した。
【0219】
下に挙げるステロイドの血清濃度を測定した:
【0220】
【化47】

結果
STS活性
試験投薬の24時間後、そして試験の第12日に、STS活性はPBL中で測定されたように、ほぼ完全に阻害された(図2)。この発見は、STXがヒトにおいて活性である非常に強力なSTSインヒビターであることを証明する。
【0221】
内分泌パラメータ
血清アンドロステンジオン(図3)およびテストステロン(図4)濃度の測定は、予想外に、濃度がSTX64投与の24および第12日時点で著しく低下することを明らかにした。アンドロステンジオンおよびテストステロンの血清濃度の低下は、血清E1およびE2濃度の有意な低下をもたらした(それぞれ図5および6)。
【0222】
有意性
STS活性の阻害がアンドロステンジオンおよびテストステロンの血清濃度の有意な低下をもたらすという発見は予想されなかった。前に示したように、アンドロステンジオンは一般に、副腎皮質から直接分泌されると見なされる。実際に、本研究の結果から示されるように、アンドロステンジオンのほぼ89%まではDHEASから生じうる。DHEASのDHEAへの変換はSTX64によって阻害される。アンドロステンジオンは女性でのE1およびテストステロンの形成のための主要な基質であるため、DHEASの加水分解の阻害は、これらのステロイドの血清濃度の有意な低下を生じる。E1およびテストステロンの両方が、E2に変換されうる(アロマターゼおよび17βHSD1酵素複合体それぞれによって)。それゆえE1およびテストステロンの産生の低下は、研究で見出されたように血清E2濃度の有意な低下をもたらす。
【0223】
図7および8は、ステロイドスルファターゼ(STS)インヒビターであるSTX64によって処置された患者でのアンドロステンジオン(Adione)およびテストステロン(Testo)の血漿濃度(PC)を示す。血清AdioneおよびTesto濃度分析用の血液サンプルは、最初の1回用量の前(Pre)および12時間後に採取した。最初の用量の1週間後(Pre Cyc1)、そして5日間にわたる1日投薬後(D5+8h)に、さらなる血液サンプルを採取した。結果は、STSインヒビターの投与が血清Adione濃度に顕著な低下を引き起こしたことを示す。サイクル1の開始前に多少の回復が発生したが、5日間の1日投薬後にはAdione濃度のさらなる低下が発生した。テストステロン濃度ははるかに低いので、これらは、異なるスケールを使用して再プロットされており(図8)、そこではSTSインヒビターの血清Testo濃度に対する効果が明瞭に見られる。図9および10は、図7および8にそれぞれ相当するが、異なる患者に対してである。
【0224】
STX64は、5mgおよび20mg用量の両方にて、末梢血リンパ球中で測定されたように、ステロイドスルファターゼ(STS)活性の>90%の阻害を引き起こした。STSの阻害は、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEAS)のデヒドロエピアンドステロン(DHEA)への加水分解の遮断をもたらす。図11(i)に示すように、このことは5mgおよび20mg用量の両方における、STX64による原因であることが見出され、DHEAS:DHEAの比(図ではDS:Dと示す)の顕著な上昇をもたらした。予想外に、図11(ii)および11(iii)に示すように、STS活性の阻害は、血清アンドロステンジオンおよびテストステロン濃度の顕著な低下を生じた。
【0225】
(実施例2)
男性ボランティアでの阻害
図12は、強力なSTSインヒビターである、エストロン−3−O−スルファメート(EMATE)40mgを投与された男性ボランティア対象での研究による結果を示す。これはSTS活性がこの対象においてほぼ完全に阻害されたという点で証明され、これはエストロンサルフェート(E1S)対エストロン(E1)比の顕著な上昇に反映されている。STSインヒビターEMATEの投与は、最大15日間持続した血漿アンドロステンジオン濃度の有意な(20〜30%)の低下も生じた。この発見は、男性へのSTSインヒビターの投与が血漿アンドロステンジオン濃度を低下させるために使用されうることを示す。アンドロステンジオンは、一部の組織(たとえば皮膚)でのテストステロンの形成に重要な基質であるため、STSインヒビターの投与は組織テストステロン濃度を低下させる新規な方法でありうる。
【0226】
【化48】

上の明細書で触れたすべての刊行物ならびに特許および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられている。本発明の各種の修飾形態および変更形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明は具体的な好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、請求されるような本発明はそのような具体的な実施形態に過度に限定されないことが理解されるべきである。実際に化学、生物学および関連分野の当業者に明らかである本発明を実施するために説明された様式の各種の修飾形態は、次の請求項の範囲内であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】概略スキームを示す。
【図2】グラフを示す。
【図3】グラフを示す。
【図4】グラフを示す。
【図5】グラフを示す。
【図6】グラフを示す。
【図7】グラフを示す。
【図8】グラフを示す。
【図9】グラフを示す。
【図10】グラフを示す。
【図11】記載なし。
【図12】記載なし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の、使用。
【請求項2】
デヒドロエピアンドロステロンサルフェートからのアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
副腎皮質周辺の組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
腺組織におけるアンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つのインビボ合成を阻害するための、請求項1、2または3に記載の使用。
【請求項5】
アンドロステンジオンのインビボ合成を阻害するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
テストステロンのインビボ合成を阻害するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
アンドロステンジオンおよびテストステロンのインビボ合成を阻害するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
アンドロステンジオンおよびテストステロンの少なくとも1つの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用。
【請求項9】
アンドロステンジオンの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
テストステロンの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
アンドロステンジオンおよびテストステロンの有害レベルに関連する状態または疾患の治療での使用のための、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記有害レベルが過剰レベルである、請求項8〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
以下:
(i)多毛症
(ii)過剰皮脂産生
(iii)良性乳房疾患
(iv)良性卵巣疾患
(v)多嚢胞卵巣疾患
(vi)排卵の回復および/または多発性卵胞発達の誘発による処置が可能な女性不妊症または妊娠能力低下
(vii)アンドロゲン過剰に関連する流産
(viii)良性前立腺肥大
(ix)子宮筋腫
(x)子宮平滑筋肉腫
(xi)高アンドロゲン症
(xii)機能性卵巣高アンドロゲン症
(xiii)過少月経、および
(xiv)脱毛
から選択される少なくとも1つの状態または疾患の治療での使用のための薬剤の製造における、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害できる化合物の使用。
【請求項14】
前記化合物がスルファメート基を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
化合物が式(A)
【化1】

(式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基であり、Xは、O、NR、およびCR1011より選択され、Rは、Hおよびヒドロカルビルより選択され、R10およびR11は、H、ハロ、ヒドロキシおよびヒドロカルビルより独立して選択される)の化合物である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
〜Rの2つ以上が共に結合されて、追加の環式構造を形成する、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
XがOである、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
〜RがH、アルキルおよびハロアルキルより独立して選択される、請求項15、16または17に記載の使用。
【請求項19】
〜RがH、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルより独立して選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
〜RがH、C1−3アルキルおよびC1−3ハロアルキルより独立して選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
〜RがH、メチルおよびハロメチルより独立して選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項22】
前記化合物が式(C)
【化2】

(式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基であり、ここでnは3〜14である)の化合物である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
nが3〜10である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
nが5である、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
がスルファメート基である、請求項15〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記化合物が式
【化3】

【化4】

(式中、R〜Rは、H、ハロ、ヒドロキシ、スルファメート、アルキルおよびその置換改変体または塩より独立して選択されるが;ここでR〜Rの少なくとも1つはスルファメート基である)
の化合物より選択される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
スルファメート基が式:
【化5】

(RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アシルおよびアリール、またはその組合せより独立して選択されるか、あるいは共にアルキレンを表し、ここで該アルキルまたは各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルは、1個以上のヘテロ原子または基を必要に応じて含む)
を有する、請求項14〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
およびRの少なくとも1つがHである、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
およびRのそれぞれがHである、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
化合物が式
【化6】

【化7】

より選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
化合物が
【化8】

である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
実施例を参照して実質的に本明細書中に記載されている、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−542346(P2008−542346A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514184(P2008−514184)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001967
【国際公開番号】WO2006/129076
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500232695)ステリックス リミテッド (13)
【Fターム(参考)】