説明

イオン源、システムおよび方法

イオン源およびシステムおよび方法が開示されている。幾つかの実施形態では、イオン源、システムおよび方法は、不都合な振動を比較的わずかにしか示さず、および/または不都合な振動を十分に減衰することができる。これにより、性能を向上させることができる(例えば、確実性、安定性などを増大することができる)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン源、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン源およびシステムは、サンプルを検査および/または変更するために使用するイオンビームを生成することができる。
【発明の概要】
【0003】
幾つかの実施形態では、イオン源、システムおよび方法は、不都合な振動を比較的わずかにしか示さず、および/または不都合な振動を十分に減衰することができる。これにより、性能を向上させることができる(例えば、確実性、安定性などを増大することができる)。
【0004】
一態様では、開示内容は、(a)環境温度で支持構造部に取り付けた外部構造部と、(b)外部構造部に取り付けた中間構造部と、(c)中間構造部に取り付けた内部構造部と、(d)内部構造部に取り付けた荷電粒子放出器と、(e)中間構造部に熱接続された冷却装置とを含む電界放出型荷電粒子源を特徴とする。外部構造部は、冷却温度で内部構造部の材料より低い熱伝導率を有する材料により形成されている。
【0005】
別の態様では、開示内容は、(a)環境温度で支持構造部に取り付けた外部構造部と、(b)外部構造部に取り付けた中間構造部と、(c)中間構造部に取り付けた内部構造部と、(d)内部構造部に取り付けた電界放出器と、(e)中間構造部に熱接続された冷却装置とを含む電界放出型荷電粒子源を特徴とする。中間構造部は、外部構造部の熱伝導率よりも1.5倍大きい熱容量を有している。
【0006】
別の態様では、開示内容は、(a)主伝搬方向に荷電粒子ビームを生成する電界放出源と、(b)電界放出器または電界放出器を取り付けた構造部に熱接続された冷却装置と、(c)電界放出源によって生成されたビームを主伝搬方向に対して垂直方向に偏向することができる走査システムと、(d)電界放出システムを操作するための少なくとも第1および第2操作モードを提供する制御システムとを含むガス電界放出型ビームシステムを特徴とする。第1操作モードでは、冷却装置は電界放出器を冷却するように作動され、第2操作モードでは、冷却装置はスイッチオフされ、操作システムは、ビームを偏向し、サンプルをスキャンするように作動される。
【0007】
別の態様では、開示内容は、(a)主伝搬方向に荷電粒子ビームを生成する電界放出源と、(b)電界放出器または電界放出器を取り付けた構造部に熱接続された冷却装置と、(c)電界放出源によって生成されたビームを主伝搬方向に対して垂直方向に偏向する走査システムと、(d)電界放出システムを走査するための少なくとも第1および第2操作モードを提供する制御システムとを含むガス電界放出型ビームシステムを特徴とする。第1操作モードでは、冷却装置は電界放出器を冷却するように作動され、第2操作モードでは、冷却装置はスイッチオフされ、走査システムは、ビームを偏向し、サンプルをスキャンするように作動される。
【0008】
別の態様では、開示内容は、荷電粒子システムの先端部によって生成された荷電粒子ビームによりサンプルを露光するステップを含む方法を特徴とし、サンプルの露光時に、先端部の振動変位関数と、サンプルにおける荷電粒子ビームの露光パターンの対応部分との間に一定の位相が保持される。
【0009】
別の態様では、開示内容は、ガス粒子のイオン化を誘起し、イオンビームを生成するように構成され、支持構造部に取り付けられた先端部、ならびに、支持構造部および冷却装置に接続され、支持構造部に接続された第1の複数の弾性部材と、冷却装置に接続された第2の複数の弾性部材と、第1の複数の弾性部材および第2の複数の弾性部材の間に配置された中実部材とを含む振動減衰器を含むシステムを特徴とする。
【0010】
別の態様では、開示内容は、第1湾曲表面を備える第1部材と、先端部に接続され、第1湾曲表面に対して相補的な第2湾曲表面を備える第2部材とを含み、第1部材と第2部材との間の相対移動を可能とするように構成されたイオン顕微鏡システムを特徴とし、第2湾曲表面は、複数の環状突起を含み、第1部材と第2部材とが相互に引き寄せられた場合に、少なくとも幾つかの環状突起が第1湾曲表面に接触し、第1表面と第2表面との間に環状の接触部分を形成する。
【0011】
実施形態は、次の特徴を1つ以上含んでいてもよい。外部構造部は、第1壁厚さを有し、内部構造部は第2壁厚さを有していてもよく、第1壁厚さは第2壁厚さよりも小さい。内部構造部は銅により形成し、外部構造部はステンレス鋼により形成してもよい。
【0012】
外部構造部は、第1直径を有する円筒形状を有し、内部構造部は第2直径を有する円筒形状を有していてもよく、第2直径は第1直径よりも小さい。
【0013】
冷却装置は、熱伝導性弾性ワイヤの第1の束に沿って中間構造部に熱接続してもよい。冷却装置は、弾性ワイヤの第2の束および中間構造部に1本以上の堅固なロッドに沿って接続してもよい。1本以上の堅固なロッドは熱伝導性弾性ワイヤの第1および第2の束の間に直列に配置されている。弾性ワイヤの第1および/または第2の束は銅により形成してもよい。弾性ワイヤの第1および/または第2の束は、炭化ピッチ材料により形成してもよい。堅固なロッドは銅を含んでいてもよい。
【0014】
荷電粒子源は、電界放出器から電気絶縁された抽出電極を含んでいてもよい。作動時に高電圧が電界放出器と抽出電極との間に印可される。
【0015】
電界放出器は、外部構造部の材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により内部構造部に取り付けてもよい。
【0016】
電界放出荷電粒子源は、内部構造部内の領域にガスを供給するための導管を含んでいてもよい。ガス導管は、外部構造部と内部構造部との間の中間領域で終了し、内部構造部は、中間領域から、内部構造部に包囲された領域にガス流を供給するための孔を備える。
【0017】
電界放出荷電粒子源は、所定時間にわたって冷却装置をスイッチオフできる制御部を含んでいてもよい。
【0018】
冷却装置は、等熱的に、中間構造部に熱接続してもよい。
【0019】
内部構造部は円筒体であってもよい。中間構造部はリングの形状を有し、冷却装置は、中間構造部に沿って配置された一連の接続領域に沿って中間構造部に熱接続されている。
【0020】
外部構造部は、冷却温度で内部構造部の材料よりも低い熱伝導率を有する材料により形成してもよい。
【0021】
1つ以上の実施形態の詳細を添付の図面に示し、以下の発明を実施するための形態に説明する。他の特徴および利点が発明を実施するための形態、図面および特許請求の範囲に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】イオン顕微鏡システムを示す概略図である。
【図2】ガス電界電離イオン源を示す概略図である。
【図3】振動減衰器を含むイオン顕微鏡システムの一部を示す概略図である。
【図4】振動減衰器の別の実施形態を示す概略図である。
【図5】図5Aおよび図5Bは、サンプル表面における材料の線の画像を示す概略図である。
【図6A】先端部の振幅を示す概略図である。
【図6B】サンプル画像を示す概略図である。
【図7】先端部の振動変位関数に対する画像走査シーケンスの位相ロックを示す概略図である。
【図8】先端マニピュレータの一部を示す概略図である。
【図9】先端マニピュレータの一部を示す別の概略図である。
【図10】先端マニピュレータの一部を示す別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
異なる図面における同様の参照符号は同様の素子を示す。
【0024】
導入
様々なサンプルの特性を検査するために使用する場合、イオンビームは、原子分解能に対して精密で正確な質的および/または量的測定を提供することができる。イオンビームによって測定したサンプル像(例えば、二次電子および/または散乱イオンおよび/または散乱中性原子の測定により得られた画像)は、極めて高い解像度を有することができ、他の結像技術を用いて観察することが困難なサンプルの特徴を露呈する。随意に、イオンビームを用いてサンプルについての質的および/または量的な材料組成情報を提供することもできる。
【0025】
サンプルの例は半導体素子である。半導体の加工は、概して、集積電子回路、集積回路素子および/または異なる微小電子装置を形成するために、連続的に被覆し、処理した多層材料を含む素子(半導体素子)の準備を伴う。このような素子は、概して、様々な特徴部分(例えば、導電性材料により形成された回路線、非導電性材料を充填したウェル、電気的に半導体の材料により形成された部分)を含み、これらは相互に正確に(例えば、概して数ナノメートル以内の規模で)位置決めされている。所定の特徴部分の位置、寸法(長さ、幅、深さ)、組成(化学組成)および関連特性(導電性、結晶配向、磁気特性)は素子の性能に重要な影響を及ぼす場合がある。例えば、幾つかの例では1つ以上のパラメータが適切な範囲外である場合、素子は望ましい機能を示さない恐れがあるので除外してもよい。したがって、半導体の加工時にそれぞれのステップで極めて良好な制御を行うことが概して望ましい。また製造プロセスのそれぞれのステップで半導体素子の加工を監視することができる手段を設け、これにより、半導体加工プロセスの様々な段階で1つ以上の特徴部分の位置、寸法、組成および関連した特性を検査することが有利である。本明細書では、「半導体素子」という用語は、集積電子回路、集積回路素子、微小電子装置または集積電子回路の加工プロセスで形成された素子を指す。幾つかの実施形態では、半導体素子は、フラットパネルディスプレイまたは太陽電池の一部であってもよい。半導体素子の部分は、異なる種類の材料(導電性、非導電性、電気的に半導体の材料)によって構成してもよい。例示的な導電性材料は、アルミニウム、クロム、ニッケル、タンタル、チタン、タングステンおよびこれらの金属を1つ以上含む合金(例えば、銅−アルミニウム合金など)などの金属を含む。金属シリサイド(例えば、ニッケルシリサイド、タンタルシリサイド)も導電性となり得る。例示的な非導電性材料は、1つ以上の金属のホウ化物、窒化物、酸化物、リン化物、硫化物(例えば、タンタルホウ化物、タンタルゲルマニウム、タンタル窒化物、タンタル窒化ケイ素およびタンタル窒化物)を含む。例示的な導電性材料は、ケイ素、ゲルマニウムおよびガリウムヒ素を含む。随意に、電気的に半導体の材料は、材料の電気伝導性を向上させるためにドーピング(p型ドーピング、n型ドーピング)してもよい。材料の所定層の蒸着/処理における一般的なステップは、(例えば、所望の特徴が配置されるべき場所を決定するために)素子を結像するステップ、適宜な材料(例えば、導電性材料、電気的に半導体の材料、非導電性材料)を蒸着するステップ、および素子の所定箇所から不要な材料を除去するためにエッチング処理するステップを含む。しばしば、フォトレジスト、例えばポリマーのフォトレジストが適宜な光線に対して蒸着/露光され、所定の特徴部分における所定箇所および寸法の制御を支援するために選択的にエッチング処理される。一般に、フォトレジストは1つ以上の後続の処理ステップで除去され、概して、最後の半導体素子は、好ましくは相当量のフォトレジストを含まない。
【0026】
図1は、ガス電界電離型イオン顕微鏡システム100の概略図を示す。システム100は、ガス源110、ガス電界電離型イオン源120、イオン光学系130、サンプルマニピュレータ140、前面検出器150、後面検出器160、および電子制御システム170(例えば、コンピュータなどの電子プロセッサ)を含み、電子制御システム170は、通信ライン172a〜172fによってシステム100の様々な素子に電気接続されている。サンプル180は、イオン光学系130と検出器150,160との間のサンプルマニピュレータ140の内部またはサンプルマニピュレータ140の上部に位置決めされている。使用時に、イオンビーム192がイオン光学系130を介してサンプル180の表面181に向けられ、イオンビーム192とサンプル180との相互作用によって生じた粒子194が検出器150および/または検出器160によって測定される。
【0027】
図2に示すように、ガス源110は、1種以上のガス182をガス電界電離型イオン源120に供給するように構成されている。ガス源110は、様々な純度、流量、圧力および温度でガスを供給するように構成してもよい。概して、ガス源110によって供給される少なくとも1種のガスは、希ガス(ヘリウムHe、ネオンNe、アルゴンAr、クリプトンKr、キセノンXe)であり、希ガスのイオンは、好ましくはイオンビーム192における主成分である。概して、サンプル180の表面181で測定した場合、イオンビーム192におけるイオンの電流は、システム100における希ガスの圧力の上昇に伴い単調に増大する。幾つかの実施形態では、この関係は、所定範囲の希ガス圧について、電流が概してガス圧に比例して増大する「べき法則」によって記述することができる。
【0028】
随意に、ガス源110は、希ガスに付加的に1種以上のガスを供給することができる。このようなガスの例は窒素である。一般に、付加的なガスは希ガスの不純度を超えた度合いで存在していてもよい。付加的なガスは、ガス源110によって導入された全般的なガス混合物の小数成分を構成する。
【0029】
ガス電界電離型イオン源120は、ガス源110から1種以上のガス182を受け取り、ガス182からガスイオンを生成するように構成されている。ガス電界電離型イオン源120は、先端部頂部187を有する導電性先端部186と、抽出装置190と、随意に抑制器188とを含む。
【0030】
導電性先端部186は、様々な材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、先端部186は金属(例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Rh)、ニオブ(Nb)、プラチナ(Pt)、モリブデン(Mo))から形成される。幾つかの実施形態では、導電性先端部186は、合金により形成してもよい。幾つかの実施形態では、導電性先端部186は、異なる材料(例えば、カーボン(C))から形成してもよい。
【0031】
使用時に、先端部186は抽出装置190に対して正に(例えば、約20kVなど)バイアスをかけられ、抽出装置190は外部接地に対して負または正に(例えば、−20kV〜+50kV)バイアスをかけられ、随意の抑制器188は、先端部186に対して正または負に(例えば、−5kV〜+5kV)にバイアスをかけられる。先端部186は、導電性材料によって形成されているので、先端部186の電界は先端部頂部187で先端部頂部187の表面から外方に向けられる。先端部186の形状により、電界は、先端部頂部187の近傍で最強となる。先端部186の電界強度は、例えば、先端部186に印可される正電圧を変更することにより調整することができる。このような構成により、ガス源110によって供給されたイオン化していないガス原子182は、先端部頂部187の近傍でイオン化され、正電荷を持つイオンとなる。正電荷を持つイオンは、正電荷を持つ先端部186と同時に反発し合い、負電荷を持つ抽出装置190に引きつけられ、正電荷を持つイオンは、イオンビーム192として先端部186からイオン光学系192に向けられる。抑制器188は、先端部186と抽出装置190との間の全般的な電界、ひいては先端部186からイオン光学系130への正電荷を持つイオンの軌道の制御を支援する。概して、先端部186と抽出装置190との間の全般的な電界を調整し、先端部頂部187で生成される正電荷イオンの割合、および正電荷イオンを先端部186からイオン光学系130に搬送する効率を制御することができる。
【0032】
概して、イオン光学系130は、イオンビーム192をサンプル180の表面181に向けるように構成されている。イオン光学系130は、例えば、ビーム192のイオンを集束、コリメート、偏向、加速および/または減速することができる。イオン光学系130は、イオンビーム192のイオンの一部のみがイオン光学系130を通過することを可能にする。概して、イオン光学系130は、所望のように構成された様々な静電型イオン光学素子および他のイオン光学素子を含む。イオン光学系130の1つ以上の素子(例えば、静電型偏光器)の電界強度を操作することによって、サンプル180の表面181を横断してHeイオンビーム192を走査することができる。例えば、イオン光学系130は直交する2方向にイオンビーム192を偏向する2つの偏光器を含んでいてもよい。偏光器は、表面181の一部を横断してイオンビーム192が走査されるように、変化する電界強度を有していてもよい。
【0033】
イオンビーム192がサンプル180に入射した場合、様々に異なる種類の粒子194が生成され得る。これらの粒子は、例えば、二次電子、オージェ電子、二次イオン、二次中性粒子、一次中性粒子、散乱イオン、光子(例えば、X線光子、IR光子、可視光子、UV光子など)を含む。検出器150および160は、Heイオンビーム192とサンプル180との間の相互作用により生じる1つ以上の異なる種類の粒子を測定するようにそれぞれ位置決めおよび構成されている。図1に示すように、検出器150は、サンプル180の表面181から一次的に生じる粒子194を検出するように位置決めされており、検出器160は、サンプル180の表面183から一次的に生じる粒子194(例えば透過粒子)を検出するように位置決めされている。以下により詳細に示すように、概して、本明細書に開示した顕微鏡システムでは検出器は幾つ用いてもよいし、どのような構成としてもよい。幾つかの実施形態では、複数の検出器が用いられ、これらのうち幾つかの検出器は、異なる種類の粒子を測定するように構成されている。幾つかの実施形態では、検出器は、同じ種類の粒子に関する異なる情報(例えば、粒子のエネルギー、所定粒子の角度分布、所定粒子の総量など)を提供するように構成されている。
【0034】
概して、検出器によって測定した情報は、サンプル180に関する情報を決定するために用いられる。一般に、この情報は、サンプル180の1つ以上の画像によって決定される。表面181を横断してイオンビーム192を走査することによって、個別のステップでサンプル180に関する画素毎の情報を得ることができる。検出器150および/検出器160は、それぞれの画素で1つ以上の異なる種類の粒子194を検出するように構成してもよい。
【0035】
顕微鏡システム100の操作は、一般に電子制御システム170によって制御される。例えば、電子制御システム170は、ガス源110によって供給されたガス、先端部186の温度、先端部186の電位、抽出装置190の電位、抑制器188の電位、イオン光学系130の構成素子の設定、サンプルマニピュレータ140の位置および/または検出器150,160の設定を制御するように構成してもよい。随意に、これらのパラメータのうち1つ以上を手動で(例えば、電子制御システム170と一体的なユーザインタフェースによって)制御してもよい。付加的または代替的に、電子制御システム170を使用して検出器150および160によって収集した情報を分析し、サンプル180に関する情報(例えばトポグラフィ情報、材料組成情報、結晶情報、電圧コントラスト情報、光学特性情報、磁気情報など)を提供することもでき、これらの情報は、随意に画像、グラフ、表、スプレッドシートなどの形態であってもよい。概して、電子制御システム170は、ディスプレイまたは他の種類の出力装置、入力装置、および記憶媒体などのユーザインタフェースを含む。
【0036】
幾つかの実施形態では、電子制御システム170は、イオンビーム192の様々な特徴を制御するように構成してもよい。例えば、制御システム170は、ガス電界電離型イオン源120へのガスの流量を制御することによってイオンビーム192の組成を制御することもできる。イオン源120およびイオン光学系130の様々な電位を調整することにより、制御システム170は、ビーム192の他の特性、例えば、サンプル180におけるビームの位置および入射イオンの平均エネルギーなどを制御することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、電子制御システム170は、1つ以上の付加的な粒子ビームを制御するように構成してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、1つ以上の種類のイオンビーム源および/または電子ビーム源を設けてもよい。制御システム170は、それぞれの粒子ビーム源および関連した光学素子および電子素子を制御してもよい。
【0038】
検出器150および160は図1に概略的に示されており、検出器150は、サンプル180の表面181(イオンビームが入射する表面)からの粒子を検出するように位置決めされており、検出器160は、サンプル180の表面183からの粒子を検出するように位置決めされている。概して、顕微鏡システム200では、種々の異なる粒子を検出するために多様な検出器を使用することができ、一般に顕微鏡システム200は所望の数の検出器を含んでいてよい。様々な検出器の構成は、測定すべき粒子および測定条件に応じて選択することができる。幾つかの実施形態では、スペクトル解像型検出器を用いてもよい。このような検出器は、異なったエネルギーおよび/または波長の粒子を検出し、それぞれの検出粒子のエネルギーおよび/または波長に基づいて粒子を解像することができる。
【0039】
検出システムおよび方法は一般に開示されており、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示されており、その全開示内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0040】
イオンビーム測定
概して、ビーム測定の精度は、部分的には、測定時のイオンビームの安定性に関係している。例えば、測定時のサンプルの表面におけるイオンビームの位置変動は、空間解像式の測定時に誤差をもたらす場合がある。このような誤差があまりに大きい場合、所定の用途のためのイオンビームの適合性が著しく制限されることもある。(例えば、真空ポンプによって)システム内で生成され、または外部要因(例えば、床の振動)によりシステム内に伝達され得るイオン顕微鏡システムの振動は先端部を振動させ、サンプル表面におけるイオンビームの位置変動を生じる場合がある。したがって、本明細書に記載のイオンビームシステムは、少なくとも部分的に、このような振動の作用を低減させる特徴を含む。
【0041】
図3は、イオン顕微鏡システムの一部を示す概略的な拡大図を示す。システムは、外部構造部500(例えば、真空チャンバ)と、外部構造部500に接触する内部構造部510とを含む。内部構造部510には、先端部186を支持する支持部530が取り付けられている。上述のように、操作時にガス粒子(例えば、ヘリウムガス粒子または他の希ガスの粒子)が先端部186の近傍でイオン化され、新たに生成されたイオンは、外部構造部500の中心軸線に対してほぼ平行に伝搬する。新たに生成されたイオンが外部構造部500の軸線に沿って配向される精度を改善するために、抽出機550が先端部186に隣接して位置決めされる。上述のように、抽出機550は、先端部186の近傍で生成されたイオンから、顕微鏡のイオンビームを形成する所定のイオン部分を選択する。さらにシステムは光線シールド540を含み、これにより、漂遊イオンが大きい角度ずれで外部構造部500の内部を伝搬することを防止する。
【0042】
システムは、内部構造部510および外部構造部500の双方に接触する中間構造部520を含む。システム(特に先端部186)を冷却するために、中間構造部520は、熱接触装置560を介して冷却装置600に接触する。
【0043】
概して、中間構造部520は外部構造部500と内部構造部510に接触するので、双方の構造部を冷却することができる。しかしながら、先端部186が好ましくは外部構造部500に対して冷却されることがより重要である。なぜなら、先端部186を極めて低い温度に冷却することは、電界電離イオン顕微鏡の操作において重要なステップとなり得るからである。
【0044】
先端部186は一般にセラミック材料などの材料から形成された支持部530に取り付けられる。支持部530(外部構造部500よりも大きい熱伝導率を有している場合もある)は、内部構造部510に熱的に接触し、これにより、冷却装置600は、支持部530、内部構造部510、中間構造部520および熱接触装置560を介して排熱することによって先端部186を冷却することができる。
【0045】
概して、内部構造部510および外部構造部500は、熱流が外部構造部500と冷却装置600との間においてよりも内部構造部510と中間構造部520との間に(そして、究極的には冷却装置600に対して)より生じやすいように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、内部構造部510は、外部構造部500を形成するステンレス鋼よりも高い熱伝導率を有する材料(例えば、銅、酸素を含まない高伝導性の銅)により形成されている。内部構造部510の熱伝導率は、1.1倍以上(例えば、1.3倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上、2.0倍以上、2.5倍以上、3.0倍以上、3.5倍以上、4.0倍以上、5.0倍以上、10.0倍以上、100倍以上、1000倍以上など)、外部構造部500の熱伝導率よりも大きくてもよい。内部構造部510の熱伝導率は、室温および/または室温よりも低い温度(液体窒素温度および/または液体ヘリウム温度を含む)における外部構造部500の熱伝導率よりも大きくてもよい。
【0046】
図3に示した実施形態では、外部構造部500は中心軸線620を備える円筒形状を有している。内部構造部510は同様の円筒形状を有し、共通の中心軸線を有する。概して、内部構造部510および外部構造部500の形状は、特定の用途に合わせて、異なる形状の先端部を収容するために望ましい形で選択される。
【0047】
外部構造部500および内部構造部510のそれぞれの厚さは、図3の軸線620に対して水平方向に沿って測定される。概して、これらの構造部の厚さは、内部構造部510の熱容量が外部構造部500の熱容量よりも確実に大きくなるように選択することができる。したがって、幾つかの実施形態では、内部構造部510の厚さは、外部構造部500の厚さよりも1.1倍以上(例えば、1.2倍以上、1.3倍以上、1.5倍以上、2.0倍以上、2.5倍以上、3.0倍以上、3.5倍以上、4.0倍以上、4.5倍以上、5.0倍以上、6.0倍以上、7.0倍以上、8.0倍以上、10倍以上など)大きくてもよい。
【0048】
一般に、作動時に先端部186により生成されるイオンは、サンプルに入射するように方向付けられ、入射イオンに反応してサンプルを離れる粒子がサンプルの特性を決定するために(例えば、サンプルの1つ以上の画像を取得するために)測定される。このプロセスの間に、冷却装置600によってシステム内に導入される振動が測定結果に誤差をもたらす場合がある。冷却装置600によりシステムに導入される振幅を低減するために、先端部186により生成されるイオンビームによりサンプルが露光される間、冷却装置600をスイッチオフすることができる。例えば、幾つかの実施形態では、冷却装置600は、特定の作動温度で先端部186を冷却するように操作することができ、次いで冷却装置600は、1分以上(例えば2分以上、3分以上、5分以上、7分以上、9分以上、11分以上、13分以上、15分以上、20分以上など)の時間にわたってスイッチオフすることもでき、その間にサンプルはイオンビームにより露光され、サンプルを離れる粒子が測定される。中間構造部520は、一般に銅などの高い熱伝導率を有する材料により形成され、一種の「熱電池」を形成し、これにより、中間構造部520は、冷却装置600がスイッチオフされている場合に冷却リザーバとしての役割を果たす。このように、幾つかの実施形態では、冷却装置600がスイッチオフされている場合に先端部186の温度上昇を数度K未満まで制限することができる。
【0049】
図3に示すように、システムは熱接触装置560を含む。熱接触装置560は、一方では中間支持部520に接続され、他方では中央部材580に接続された第1の複数の弾性的な接触部材570を含む。第2の複数の弾性的な接触部材590は、中央部材580を冷却装置600に接触させる。図3には1つの中央部材580が示されているが、概して、任意の数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、またはそれよりも多く)の中心部材580を使用してもよい。
【0050】
熱接触装置560は、冷却装置600と中間構造部520との間の熱伝達のための導管を備える。このように、接触部材570,590および中央部材580は、概して比較的高い熱伝導率を有する1つ以上の材料、例えば銅などから形成されている。接触部材570,590および中央部材580の幾つかまたは全てを形成することもできる他の材料は、炭素質ピッチなどの炭素ベースの材料、銀および/または金を含む。幾つかの実施形態では、例えば弾性的な接触部材570および/または590は、接触部材570および/または590に対応したロープ状の編組の形に織り込み、および/または相互に巻き付けた1つ以上の熱伝導性材料、例えば銅などの小径の弾性的なストランドをから形成してもよい。
【0051】
熱接触装置560は、構造部500,510および520(また支持部530および先端部186)に伝達される振幅を減じる振動減衰装置としての役割を果たす。接触部材570および590を弾性材料から形成することにより、材料を介した振動伝達は、より堅固な材料を介した振動伝達に比べて減衰される。さらに、中央部材は、ポンプ600から弾性的な接触部材590に接続される振動に反作用する一種の振り子の役割を果たす。
【0052】
概して、弾性的な接触部材570および590の幾何学特性は、冷却装置600の振動特性に反作用するように選択される。特に、接触部材570および590および/または中央部材580の幾何学特性を選択および/または偏向することにより、熱接触装置560の振動減衰能力を冷却装置600の共振周波数(または振動減衰能力のより高調波に)に合わせて調整してもよい。一般に、例えば冷却装置600は約46Hzの高調波共振周波数を有し、熱接触装置560はこの共振周波数の高調波における高周波数振動を減衰するように調整してもよい(例えば、第2次高調波以上、第3次高調波以上、第4次高調波以上、第6次高調波以上、第8次高調波以上、第10次高調波以上など)。
【0053】
熱接触装置560の振動減衰能力は幾つかの方法で調整することができる。一般に、熱接触装置560は、部分的に中央部材580の重量および接触部材570の有効高調波ばね定数に応じた中心振動減衰周波数を含む振動減衰周波数の有効帯域を有している。幾つかの実施形態では、熱接触装置560の中心振動減衰周波数を調整するために、接触部材570に対する中央部材580の位置を選択および/または変更してもよい(例えば接触部材570の長さを変更するなど)。接触部材570の長さを変更することにより、これらの部材のばね定数を変更し、装置560の中心振動減衰周波数を変更する。一般に、接触部材570の長さ短縮は、装置560の中心振動減衰周波数を増大させるので部材にとって不利である。反対に、接触部材570の長さを増大することにより、装置560の中心振動減衰周波数が減少する。
【0054】
幾つかの実施形態では、中央部材580は、中実円筒体として実施されており、接触部材570および590に対する中央部材560の位置変化は、装置560の製造時における接触部材570の短縮または伸張に対応する。幾つかの実施形態では、中央部材580は、接触部材570および590(例えば、接触部材570および590は連続した部材)に沿ってスライドする中空円筒体として実施されており、接触部材570は、連続する部材に沿って部材580をスライドさせることによって短縮または伸張することができ、(例えば、ねじなどの固定装置によって)部材580の位置を確保する。
【0055】
幾つかの実施形態では、中央部材580の質量を調整することによって、装置560の中央振動減衰周波数を変更することができる。概して、中央部材580の質量の増大によって、装置560の中央振動減衰周波数は減衰され、中央部材580の質量の減少によって、装置560の中央振動減衰周波数は増大される。中央部材580の質量は装置560の製造時に選択することができ、これにより、冷却装置600の振動周波数(および/または高調波)の既知の振動周波数を補償するか、および/または中央部材580の質量を、製造に続いて(例えば、図3に示していない、中央部材580と同心的な環状の材料ストリップを追加または除去することによって)調整し、装置560の中心周波数を調整することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、接触部材570および590のいずれか、または双方をこれらの部材によって振動伝達を減衰するように形成してもよい。例えば、接触部材570および590のいずれか、または双方は、中央部材580と中間構造部520または冷却装置600の間にU字形の湾曲部をそれぞれ含んでいてもよい。U字形の湾曲部は、接触部材570および590の長さに沿った効率的な振幅伝達防止を支援する。それぞれの部材570および/または590は所望の複数のU字形湾曲部を含んでいてよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、部材570および/または590に軸回転を加えることにより装置560の中心振動緩衝周波数を変更することができる。例えば、中間支持部520に部材570を取り付ける前に、部材をねじるために部材570にねじり力を加え、これにより、装置560が構造部520と冷却装置600との間に取り付けられた後に部材570に残留ねじり力が生じる。残留ねじり力は、部材570の有効ばね定数を増大し、装置560の中心振動減衰周波数を増大する。
【0058】
図3に示すように、接触部材570は中間構造部520の一方側にのみ取り付けられる。一般に、接触部材570は、接触部材570と構造部520および/または中央部材580の嵌合面の間隙を満たし、これら面の間の熱接触を改善するインジウム膜のような変形可能な熱伝導率の材料を用いて構造部520に(幾つかの実施形態では、中央部材580に)取り付けることができる。同様に、幾つかの実施形態では、接触部材590は、インジウム膜などの変形可能材料によって中央部材580および/または冷却部600に取り付けることもできる。
【0059】
構造部520の周囲に沿って比較的一様な温度分布を達成するために、構造部520は、比較的高い熱伝導率を有する材料により形成される。図3に示すように、接触部材570は構造部520の一方側にのみ取り付けられ、構造部520の熱伝導率が十分に大きくない場合には、構造部520の周囲に沿って熱勾配が形成される。幾つかの実施形態では、このような熱勾配が形成される可能性を減じるために、構造部520に沿って様々な点に接触部材570を取り付けてもよい。
【0060】
図4は、中間構造部520に沿って間隔をおいて接触部材570を配置した実施形態を示す(明確化のために図3の他の部分は示していない)。接触部材570は、図3の中央部材580と同様に効果的に機能する環状部材630にも接続されている。環状部材630は、例えば、接触部材590によって冷却装置600に接続されている。中間構造部520に沿って間隔をおいて接触部材570を配置することにより、中間構造部520に形成される熱勾配の大きさを減じることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、中央部材580を支持構造部に取り付けることができる。例えば、支持構造部(例えば、ワイヤ)によって中央部材580を外部構造部500、または別の外部構造部(例えば、冷却装置600から振動分離されるように振動減衰基盤に位置決めされた外部構造部)に接続することもできる。
【0062】
先端部186によって生成されたイオンビームによりサンプルを露光し、入射イオンとしてサンプルを離れた粒子を検出することによってサンプルを結像した場合、先端部186の機械的振動は結像誤差をもたらす。図5Aは、サンプル表面における材料650の線を含むサンプル180を示す。線650は直線状の平行した側部を有する。しかしながら、(例えば、冷却装置600および/または他の源から先端部186に伝達された振動による)先端部186の振動時にサンプル180が結像された場合、線650は図5Bに示すように、波状の不規則な側部を有する線として生じる場合がある。
【0063】
図6Aは、時間tの関数として先端部186の機械的振動600の振幅Aを示す。図6Bは、先端部186によって形成されたイオンビームにより露光されたサンプルの像663を示す。4つの画素661a〜dが図6bに示されている。図6Aを参照すると、画素661aがイオンビームに露光された場合、先端部186は平行した位置から振動により変位されない。振幅はゼロ(位置662a)である。したがって、先端部186の振動は、画素661aの位置測定に対する誤差には関係しない。画素661bがビームに露光された場合、先端部186は、位置662bで平衡した位置から振動により変位される。このように、画素661bは、正しい位置で測定されず、像の位置664aで測定される。画素661cがイオンビームに露光された場合、先端部186は位置662cで平衡した位置から振動により変位され、したがって画素661cは、画像において正しい位置に現れず、(例えば、負に変位された)位置664cに現れる。画素661dがイオンビームに露光された場合、先端部186は平衡した位置から再び正に変位される。図6Bの画素664a〜dを接続することにより、線640の波形および不規則性がどのようにして生じるかが明らかである。
【0064】
上述した結像の不規則性は、部分的には、画像の画素データを取得するランダム位相から先端部186の振動に対して生じる。このような不規則性を低減するために、サンプルにおけるイオンビームの画素走査パターンを先端部186の機械的振動に位相ロックすることができる。例えば、図7に示すように、サンプルの表面にわたってイオンビームを走査するために印可された走査電圧670に機械的振幅関数660を位相ロックすることができる。位相ロックの作用は、平衡位置から先端部186のランダム振動変位で画像の画素661a〜dを露光するのではなく、それぞれの画素661a〜dが平衡からのほぼ同じ振動変位で(例えば、振幅関数660の点671a〜dで)先端部186によって露光される。位相ロックの結果、所定の画素の走査と先端部186の振幅との間の位相変動から生じる動的な結像誤差を大幅に低減および/または除去することができる。
【0065】
異なる画素(例えば、共通の水平線に沿って異なる画素)が先端部186の異なる振動変位で採取されることにより画像がまだ静的誤差を含んでいる場合がある。幾つかの実施形態では、(例えば取得後にそれぞれの画素位置における平行位置からの先端部186の振動変位の知識および/または推定から導いた画素に関係したずれを適用することにより)画素を補正することができる。画素走査パターンと先端部の振動変位との間の位相ロックにより、画素位置測定誤差の大部分は、位相に関係したランダムな誤差というよりもむしろ位置に関係した体系的な誤差から生じ、その結果、補正は極めて容易になる。
【0066】
幾つかの実施形態では、画像における位相に関係した(例えば、動的)誤差と静的誤差の双方を除去するために、それぞれの画素を共通の振動変位で先端部186によって露光することができる。例えば、図7を参照して、サンプルの画素におけるそれぞれの画素を、先端部186が位置671aに対応した位置にある場合に露光してもよい。すなわち、先端部186が平衡位置から一方向に最大限に変位された場合に、それぞれの画素を露光することができる。それぞれの画素(例えば、それぞれの列の第1画素のみではなく)と先端部186の振動変位との間の相対位相は同じなので、それぞれの画素は、平衡位置からの先端部186の共通の振動変位に対応する。その結果、結像時の先端部186の振動による画素における動的および静的誤差の両方を著しく低減することができる。
【0067】
サンプル表面におけるイオンビームの単純な線形走査を上述したが、一般に任意の走査パターンを使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、碁盤状の走査パターンを使用し、走査パターンを平衡位置から先端部186の振動変位に位相ロックしてもよい。さらに洗練された走査パターンを本明細書に記載のように平衡位置からの先端部186の振動変位に位相ロックすることもできる。
【0068】
イオン顕微鏡システムにおける振動による不安定性の他の潜在的な原因は先端部マニピュレータである。先端部マニピュレータは、ドーム形の可動面と、先端部186に接続された並進装置とを含み、並進装置の係合面は、可動面に沿って移動できるように形成されている。先端部マニピュレータは、x−y平面における先端部186の並進およびイオン光学系130の軸線1132に対する先端部186の傾動の両方を可能にする。図8は、先端部186、支持アセンブリ1520および先端部マニピュレータの一実施形態を含むイオン顕微鏡システムの一部の断面図である。先端部マニピュレータは、シャフト1602、ドーム1504、ショルダ1510および並進装置1514を含む。並進装置1514はシャフト1502に接続されており、シャフト1502は、ショルダ1510に設けた開口部1516に嵌入するように寸法決めされている。さらにシャフト1502はベース1508に接続されており、ベース1508はアセンブリ1520に接続されている。ショルダ1510は表面1512および1513の間の静的摩擦力によってドーム1504に対して固定位置に位置している。
【0069】
先端部マニピュレータは、x−y平面における先端部186の並進を提供する。先端部186を並進させるために、高圧ガスがインレット1503に導入される。インレット1503に導入される高圧ガスは、例えば室内空気などのガスであってもよい。概して、ガスは50ポンド・平方インチ(psi)以上(例えば、75psi以上、100psi以上または125psi以上など)の圧力で導入してもよい。高圧ガスを導入した結果、ショルダ1510から離れるz方向に並進装置1514に力が加えられる。加えられた力は表面1518および1519の間の摩擦力を減衰し(しかしながら、ゼロには減衰しない)、x−y平面で横方向の力を加えることによってショルダ1510に対して並進装置1514の再位置決めを可能にする。先端部186は、並進装置1514が再位置決めされた場合にx−y平面で並進される。先端部186が新たな位置に位置すると、高圧ガスの供給が停止され、1つ以上の真空ポンプを用いて先端部マニピュレータの内部を排気することによって表面1518および1519の間に強い静的摩擦力が再形成される。先端部186は、再形成された強い摩擦力の結果、所定位置に堅固に固定される。
【0070】
先端部マニピュレータは、イオン光学系130の軸線1132に対して先端部186の傾動も提供する。先端部186を傾斜させるために、インレット1505に高圧ガスが導入される。インレット1505に導入される高圧ガスは、例えば、室内空気などのガスであってもよい。インレット1503に導入される高圧ガスは、例えば室内空気などのガスであってもよい。概して、ガスは50ポンド・平方インチ(psi)以上(例えば、75psi以上、100psi以上または125psi以上など)の圧力で導入してもよい。高圧ガスを導入した結果、力がドームから離れるz方向にショルダ1510に加えられる。加えられた力は表面1512および1513の間の摩擦力を減衰する(しかしながら、ゼロには減衰しない)。次いで、矢印1506で示した方向にショルダ1510を並進させる横方向の力を加えることによって、ドーム1504に対してショルダ1510を再位置決めすることができる。ショルダ1510の並進は、ドーム1504の湾曲した表面に沿った相対移動に対応する。この移動の結果、軸線1132および1207の間の角度(先端部186の傾斜角に対応する)が変化する。先端部186の傾斜の調節が完了すると、高圧ガスの供給は停止され、先端部マニピュレータの内部を排気することによって表面1512および1513の間に強い静的摩擦力が再形成される。先端部186は、再形成された強い摩擦力の結果、所定位置に堅固に固定される。
【0071】
係合面1512および1513がいずれもあまり平滑ではない場合、いずれかの表面の小さい突起が表面1512および1513の間の接触面に接点を形成する恐れがある。換言すれば、図9に示すように、表面1512および1513の間の接触面に全体的な環状接触部の代わりに、幾つかの接点1512aおよび1512bが表面間に生じる。その結果、先端部186を所定位置に保持する摩擦力は著しく低減され、外部振動が先端部186の不都合な移動をもたらす恐れがある。
【0072】
小さい突起のような表面不規則性が生じている状態で表面1512および1513の間の接触面を増大させるために、表面1512は、図10に示すように、連続的な係合面の代わりに、2つ以上の環状突起を含んでいてもよい。環状突起1515aおよび1515bは表面1512に形成されており、表面の間には凹部1517が設けられている。それぞれの突起1515aおよび1515bは、突起の表面に対して垂直方向に測定した厚さtpを有する。
【0073】
一般に、厚さtpは1mm未満(例えば800ミクロン未満、600ミクロン未満、500ミクロン未満、400ミクロン未満、300ミクロン未満、200ミクロン未満、100ミクロン未満、50ミクロン未満、25ミクロン未満または10ミクロン未満など)である。突起1515aおよび1515bの比較的小さい厚さにより、先端部マニピュレータの内部が排気された場合、ショルダ1510とドーム1504との間のクランプ力により、それぞれの突起1515aおよび1515bを変形させ、表面1513との2つの密な接触部を形成する。これらの部分は環状であり、ドーム1504の湾曲した表面周囲に延在している。ショルダ1510とドーム1504との間が環状に接触した結果、先端部186を所定位置に保持する摩擦力は、表面1512および1513の間に比較的小さい接点のみが存在する図9に示した状態よりも大きい。したがって、先端部186の安定性は改善し、先端部186の振動の幅を低減することができる。
【0074】
上記実施形態では、表面1512は2つの突起1515aおよび1515bを含み、凹部1517が突起の間に設けられている。概して、表面1512は突起を幾つ含んでいてもよい(例えば、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、8個以上、10個以上またはこれよりも多くてもよい)。先端部マニピュレータの内部が排気された場合に突起の変形を可能にするように突起の間に凹部を位置決めしてもよい。
【0075】
幾つかの実施形態では、例えば、イオンビーム電流を増大するためにガス利用(例えば、ヘリウムなどのビーム形成ガスの利用)を改善することが望ましい場合もある。イオンビームによって得られるサンプル測定時の低い信号対雑音比は、所定の測定用途についてイオンビームの適合性を制限する。例えば、低い信号対雑音比は、測定精度に誤差をもたらし、こうした測定の信頼性を低下させる場合がある。イオンビームを使用してサンプルの画像を獲得する場合、サンプル表面の詳細が取得した画像のノイズによってわかりにくくなる場合もある。測定した画像における信号対雑音比を改善するための1つの方法は、イオンビーム電流を増大させることである。イオンビーム電流は、わずかに大きい曲率半径を有する先端部186を用いて増大させることができる。ガスのイオン化は、先端部頂部の近傍で生じる。わずかに大きい曲率半径を有する先端部186を用いることにより、ガス粒子のイオン化をもたらすことのできる先端部186を包囲する空間部分が大きくなる。結果として、イオンビームにおけるイオン電流を増大させることができる。
【0076】
一般に、大きい曲率半径を有する先端部を形成するためには、先端部はまず製造プロセスで形成される(適宜な製造プロセスが、例えば米国特許出願公開第2007/0158558号公報に記載されている)。製造プロセスは、先端部の先鋭化を防止するために酸素ガスなしに実施することができる。製造プロセスにより、先端部186は、一般に30°〜45°の完全な円錐角を有している。
【0077】
先端部186の曲率半径は、一般に100nm以上(例えば120nm以上、140nm以上、160nm以上、180nm以上または200nm以上など)である。ガス(例えば、ヘリウムガス)は、チューブを介して内部構造部510の冷却通路610に導入され、ここであらかじめ冷却されてから、支持部530を通ってイオン顕微鏡システムに進入する。ガスのイオン化は先端部186の近傍で生じ、イオンビームが生成され、このイオンビームは、抽出器550(より一般的には、イオン光学系140)によって方向付けられ、主方向に沿って(例えば、図3の軸線620に沿って)伝搬し、サンプルに入射する。
【0078】
他の実施形態
ガス電界電離型イオン源を使用する実施形態を例として説明したが、他の種類のイオン源を使用してもよい。幾つかの実施形態では、液体金属イオン源を使用することもできる。液体金属イオン源の例は、Gaイオン源(例えば、Ga集束イオンビームカラム)である。
【0079】
イオン源を使用する実施形態を例として説明したが、一般に任意の荷電粒子源を使用することができる。幾つかの実施形態では、電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)などの電子源を使用することもできる。
【0080】
サンプルが半導体素子である実施形態を例として説明したが、幾つかの実施形態では、他の種類のサンプルを使用することもできる。例は、生体学的サンプル(例えば、組織、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質および細胞膜)、薬学的サンプル(例えば、小分子薬剤)、凍結水(例えば、氷)、磁気記憶装置で使用される読取り/書込みヘッドならびに金属および合金サンプルを含む。例示的なサンプルは、例えば、米国特許出願公開第2007−0158558号公報に開示されている。
【0081】
代替的または付加的にサンプルを検査する実施形態を付加的な例として説明したが、サンプルを変更(例えば、修繕)するために(例えば、断面図で露出される素子部分または素子部分の近傍素子の一部を修繕するために)システムおよび方法を使用することもできる。このような変更は、サンプルに材料を付加するためおよび/またはサンプルから材料(例えば、サンプルの所定層)を除去するために用いることができるガスアシスト化学を含んでいてもよい。例として、半導体素子に不正確に加工された回路または損傷された回路を修繕する半導体回路編集のためにガスアシスト化学を用いることもできる。一般に、回路編集は、(例えば、開いた回路を閉じるために)材料を回路に付加するステップおよび/または(例えば閉じた回路を開くために)材料を回路から除去するステップを含む。ガスアシスト化学は、フォトリソグラフィにおけるマスク修繕に用いることもできる。マスク欠陥は、一般に材料が不要なマスク部分におけるマスク材料の余剰および/または材料が設けられているべき場所におけるマスク材料の欠如を含む。このように、ガスアシスト化学は、適宜なガス(例えば、CI、O、I、XeF、F、CF、HO,XeF、F、CF、WF)と相互作用する荷電粒子ビーム(例えば、イオンビーム、電子ビームまたはこれら両方)の使用を含む。別の例として、サンプルの変更はスパッタリングを含む。幾つかの例では、素子を加工する場合に、所定のステップ(例えば回路を編集するために回路から所望の材料を除去するステップ、マスクを修繕するステップなど)で材料を取り除くことが望ましい場合もある。このためにイオンビームによりサンプルから材料をスパッタする場合にイオンビームを使用することもできる。特に、ガス原子と本明細書に記載のガス電界電離イオン源との相互作用によって発生するイオンビームは、サンプルをスパッタ処理するために使用することができる。Heガスイオンを使用してもよいが、より重いイオン(例えば、Neガスイオン、Arガスイオン、Krガスイオン、Xeガスイオン)を使用して材料を取り除くことが一般に好ましい。材料を除去する場合に、除去すべき材料が位置するサンプル部分にイオンビームを集束する。このような検査の例は、例えば米国特許出願公開第2007−0158558号公報に開示されている。
【0082】
様々な実施形態で様々な特徴の組合せを使用することができる。他の実施形態が特許請求の範囲に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境温度で支持構造部に取り付けた外部構造部と、
該外部構造部に取り付けた中間構造部と、
該中間構造部に取り付けた内部構造部と、
該内部構造部に取り付けた荷電粒子放出器と、
前記中間構造部に熱接続された冷却装置と
を備える電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が、冷却温度で前記内部構造部の材料より低い熱伝導率を有する材料により形成されていることを特徴とする電界放出型荷電粒子源。
【請求項2】
請求項1に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が第1壁厚さを有し、前記内部構造部が第2壁厚さを有し、前記第1壁厚さが前記第2壁厚さよりも小さい電界放出型荷電粒子源。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記内部構造部が銅により形成されており、前記外部構造部がステンレス鋼により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が、第1直径を有する円筒形状を有し、前記内部構造部が、第2直径を有する円筒形状を有し、前記第2直径が前記第1直径よりも小さい電界放出型荷電粒子源。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が、熱伝導性弾性ワイヤの第1の束に沿って前記中間構造部に熱接続されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項6】
請求項5に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が、弾性ワイヤの第2の束および1本以上の堅固なロッドに沿って前記中間構造部に接続されており、前記1本以上の堅固なロッドが、熱伝導性弾性ワイヤの前記第1および前記第2の束の間に直列に配置されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が銅により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項8】
請求項5または6に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が炭化ピッチ材料により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記堅固なロッドが銅を含む電界放出型荷電粒子源。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
電界放出器から電気絶縁された抽出電極をさらに備え、作動時に高電圧が電界放出器と抽出電極との間に印可される電界放出型荷電粒子源。
【請求項11】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記電界放出器が、前記外部構造部の材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により内部構造部に取り付けられている電界放出型荷電粒子源。
【請求項12】
請求項3または4に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記内部構造部内の領域にガスを供給するためのガス導管をさらに備え、該ガス導管が、前記外部構造部と前記内部構造部との間の中間領域で終了し、前記内部構造部が、中間領域から、前記内部構造部に包囲された領域にガス流を供給するための孔を備える電界放出型荷電粒子源。
【請求項13】
電界放出型荷電粒子源において、
環境温度で支持構造部に取り付けた、熱伝導率を有する外部構造部と、
該外部構造部に取り付けた中間構造部と、
該中間構造部に取り付けた内部構造部と、
該内部構造部に取り付けた電界放出器と、
前記中間構造部に熱接続された冷却装置と
を備える電界放出型荷電粒子源において、
前記中間構造部が、外部構造部の熱伝導率よりも1.5倍大きい熱容量を有していることを特徴とする電界放出型荷電粒子源。
【請求項14】
請求項13に記載の電界放出型荷電粒子源において、
所定時間にわたって前記冷却装置をスイッチオフできる制御部をさらに備える電界放出型荷電粒子源。
【請求項15】
請求項13に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が、等熱的に、前記中間構造部に熱接続されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項16】
請求項15に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記内部構造部が円筒体であり、前記中間構造部がリングの形状を有し、前記冷却装置が、前記中間構造部に沿って配置された一連の接続領域に沿って中間構造部に熱接続されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項17】
請求項13から16までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が、冷却温度で前記内部構造部の材料よりも低い熱伝導率を有する材料により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項18】
請求項13から17までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が第1壁厚さを有し、前記内部構造部が第2壁厚さを有し、前記第1壁厚さが第2壁厚さよりも小さい電界放出型荷電粒子源。
【請求項19】
請求項13から18までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記内部構造部が銅により形成されており、前記外部構造部がステンレス鋼により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項20】
請求項13から19までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記外部構造部が、第1直径を有する中空円筒形状を有し、前記内部構造部が、第2直径を有する中空円筒形状を有し、前記第2直径が前記第1直径よりも小さい電界放出型荷電粒子源。
【請求項21】
請求項13から20までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が、熱伝導性弾性ワイヤの第1の束に沿って前記中間構造部に熱接続されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項22】
請求項21に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が、弾性ワイヤの第2の束および1本以上の堅固なロッドに沿って前記中間構造部に接続されており、前記1本以上の堅固なロッドが、前記第1の束および前記第2の束の熱伝導性弾性ワイヤの間に直列に配置されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項23】
請求項21または22に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が銅により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項24】
請求項21または22に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が炭化ピッチ材料により形成されている電界放出型荷電粒子源。
【請求項25】
請求項21から24までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記堅固なロッドが銅を含む電界放出型荷電粒子源。
【請求項26】
請求項13から25までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
電界放出器から電気絶縁された抽出電極をさらに備え、作動時に高電圧が電界放出器と抽出電極との間に印可される電界放出型荷電粒子源。
【請求項27】
請求項13から26までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記電界放出器が、前記外部構造部の材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により内部構造部に取り付けられている電界放出型荷電粒子源。
【請求項28】
請求項13から27までのいずれか一項に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記内部構造部内の領域にガスを供給するためのガス導管をさらに備え、該ガス導管が、前記外部構造部と前記内部構造部との間の中間領域で終了し、前記内部構造部が、中間領域から、前記内部構造部に包囲された領域にガス流を供給するための孔を備える電界放出型荷電粒子源。
【請求項29】
主伝搬方向に荷電粒子ビームを生成する電界放出源と、
電界放出器または電界放出器を取り付けた構造部に熱接続された冷却装置と、
前記電界放出源によって生成されたビームを前記主伝搬方向に対して垂直方向に偏向することができる走査システムと、
電界放出システムを操作するための少なくとも第1および第2操作モードを提供する制御システムと
を備えるガス電界電離型ビームシステムにおいて、
第1操作モードでは、冷却装置が電界放出器を冷却するように作動され、第2操作モードでは、冷却装置がスイッチオフされ、操作システムが、ビームを偏向しサンプルをスキャンするように作動されることを特徴とするガス電界電離型ビームシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のガス電界放出型ビームシステムにおいて、
イオン源が、
環境温度で支持構造部に取り付けた、熱伝導率を有する外部構造部と、
該外部構造部に取り付けた中間構造部と、
該中間構造部に取り付けた内部構造部と、
該内部構造部に取り付けた電界放出器と
をさらに備える電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が前記中間構造部に熱接続されており、
前記中間構造部が、外部構造部の熱伝導率よりも1.5倍大きい熱容量を有しているガス電界放出型ビームシステム。
【請求項31】
請求項30に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、等熱的に、中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項32】
請求項31に記載の電界放出源において、
前記内部構造部が円筒体であり、前記中間構造部がリングの形状を有し、前記冷却装置が、前記中間構造部に沿って配置された一連の接続領域に沿って中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項33】
請求項30から32のいずれか一項に記載の電界放出イオン源において、
前記外部構造部が、冷却温度で前記内部構造部の材料よりも低い熱伝導率を有する材料により形成されている電界放出イオン源。
【請求項34】
請求項30から33のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記外部構造部が第1壁厚さを有し、前記内部構造部が第2壁厚さを有し、前記第1壁厚さが第2壁厚さよりも小さい電界放出源。
【請求項35】
請求項30から34のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記内部構造部が銅により形成されており、前記外部構造部がステンレス鋼により形成されている電界放出源。
【請求項36】
請求項30から35のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記外部構造部が、第1直径を有する中空円筒形状を有し、前記内部構造部が、第2直径を有する中空円筒形状を有し、前記第2直径が前記第1直径よりも小さい電界放出源。
【請求項37】
請求項30から36のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、熱伝導性弾性ワイヤの第1の束に沿って前記中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項38】
請求項37に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、弾性ワイヤの第2の束および1本以上の堅固なロッドに沿って前記中間構造部に接続されており、前記1本以上の堅固なロッドが、前記第1および前記第2の束の熱伝導性弾性ワイヤの間に直列に配置されている電界放出源。
【請求項39】
請求項37または38に記載の電界放出源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が銅により形成されている電界放出源。
【請求項40】
請求項37または38に記載の電界放出源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が炭化ピッチ材料により形成されている電界放出源。
【請求項41】
請求項38から40までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記堅固なロッドが銅を含む電界放出源。
【請求項42】
請求項30から41までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
電界放出器から電気絶縁された抽出電極をさらに備え、作動時に高電圧が電界放出器と抽出電極との間に印可される電界放出源。
【請求項43】
請求項30から42までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記電界放出器が、前記外部構造部の材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により内部構造部に取り付けられている電界放出源。
【請求項44】
請求項30から43までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記内部構造部内の領域にガスを供給するためのガス導管をさらに備え、該ガス導管が、前記外部構造部と前記内部構造部との間の中間領域で終了し、前記内部構造部が、中間領域から、前記内部構造部に包囲された領域にガス流を供給するための孔を備える電界放出源。
【請求項45】
主伝搬方向に荷電粒子ビームを生成する電界放出源と、
電界放出器または電界放出器を取り付けた構造部に熱接続された冷却装置と、
前記電界放出源によって生成されたビームを前記主伝搬方向に対して垂直方向に偏向することができる走査システムと、
電界放出システムを操作するための少なくとも第1および第2操作モードを提供する制御システムと
を備えるガス電界電離型ビームシステムにおいて、
第1操作モードでは、冷却装置が電界放出器を冷却するように作動され、
第2操作モードでは、冷却装置がスイッチオフされ、操作システムが、ビームを偏向しサンプルをスキャンするように作動されることを特徴とするガス電界電離型ビームシステム。
【請求項46】
請求項29に記載のガス電界放出型ビームシステムにおいて、
イオン源が、
環境温度で支持構造部に取り付けた、熱伝導率を有する外部構造部と、
該外部構造部に取り付けた中間構造部と、
該中間構造部に取り付けた内部構造部と、
該内部構造部に取り付けた電界放出器と
をさらに備える電界放出型荷電粒子源において、
前記冷却装置が前記中間構造部に熱接続されており、
前記中間構造部が、外部構造部の熱伝導率よりも1.5倍大きい熱容量を有しているガス電界放出型ビームシステム。
【請求項47】
請求項30に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、等熱的に、中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項48】
請求項31に記載の電界放出源において、
前記内部構造部が円筒体であり、前記中間構造部がリングの形状を有し、前記冷却装置が、前記中間構造部に沿って配置された一連の接続領域に沿って中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項49】
請求項30から32のいずれか一項に記載の電界放出イオン源において、
前記外部構造部が、冷却温度で前記内部構造部の材料よりも低い熱伝導率を有する材料により形成されている電界放出イオン源。
【請求項50】
請求項30から33のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記外部構造部が第1壁厚さを有し、前記内部構造部が第2壁厚さを有し、前記第1壁厚さが第2壁厚さよりも小さい電界放出源。
【請求項51】
請求項30から34のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記内部構造部が銅により形成されており、前記外部構造部がステンレス鋼により形成されている電界放出源。
【請求項52】
請求項30から35のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記外部構造部が、第1直径を有する中空円筒形状を有し、前記内部構造部が、第2直径を有する中空円筒形状を有し、前記第2直径が前記第1直径よりも小さい電界放出源。
【請求項53】
請求項30から36のいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、熱伝導性弾性ワイヤの第1の束に沿って前記中間構造部に熱接続されている電界放出源。
【請求項54】
請求項37に記載の電界放出源において、
前記冷却装置が、弾性ワイヤの第2の束および1本以上の堅固なロッドに沿って前記中間構造部に接続されており、前記1本以上の堅固なロッドが、熱伝導性弾性ワイヤの前記第1および前記第2の束の間に直列に配置されている電界放出源。
【請求項55】
請求項37または38に記載の電界放出源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が銅により形成されている電界放出源。
【請求項56】
請求項37または38に記載の電界放出型荷電粒子源において、
前記弾性ワイヤの前記第1および/または前記第2の束が炭化ピッチ材料により形成されている電界放出源。
【請求項57】
請求項38から40までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記堅固なロッドが銅を含む電界放出源。
【請求項58】
請求項30から41までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
電界放出器から電気絶縁された抽出電極をさらに備え、作動時に高電圧が電界放出器と抽出電極との間に印可される電界放出源。
【請求項59】
請求項30から42までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記電界放出器が、前記外部構造部の材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により内部構造部に取り付けられている電界放出源。
【請求項60】
請求項30から43までのいずれか一項に記載の電界放出源において、
前記内部構造部内の領域にガスを供給するためのガス導管をさらに備え、該ガス導管が、前記外部構造部と前記内部構造部との間の中間領域で終了し、前記内部構造部が、中間領域から、前記内部構造部に包囲された領域にガス流を供給するための孔を備える電界放出源。
【請求項61】
荷電粒子システムの先端部によって生成された荷電粒子ビームによりサンプルを露光するステップを含む方法において、
サンプルの露光時に、先端部の振動変位関数と、サンプルにおける荷電粒子ビームの露光パターンの対応部分との間に一定の位相を保持することを特徴とする方法。
【請求項62】
ガス粒子のイオン化を誘起し、イオンビームを生成するように構成され、支持構造部に取り付けられた先端部と、
支持構造部および冷却装置に接続された振動減衰器と
を備え、
該振動減衰器が、前記支持構造部に接続された第1の複数の弾性部材と、前記冷却装置に接続された第2の複数の弾性部材と、前記第1の複数の弾性部材および前記第2の複数の弾性部材の間に配置された中実部材とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項63】
第1湾曲表面を備える第1部材と、
先端部に接続され、第1湾曲表面に対して相補的な第2湾曲表面を備える第2部材とを備え、第1部材と第2部材との間の相対移動を可能とするように構成されたイオン顕微鏡システムにおいて、
第2湾曲表面が複数の環状突起を備え、前記第1部材と第2部材とが相互に引き寄せられた場合に、少なくとも幾つかの環状突起が前記第1湾曲表面に接触し、前記第1表面と第2表面との間に環状の接触部分を形成することを特徴とするイオン顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−525037(P2011−525037A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514559(P2011−514559)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067718
【国際公開番号】WO2009/154631
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】