説明

イソキノリノンカリウムチャネル阻害剤

本発明は、心不整脈などを治療するカリウムチャネル阻害剤として有用な、構造式(I)
【化1】


を有する化合物に関連する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、カリウムチャネル阻害剤として有用な化合物に広く関係する。このクラスの化合物は、心不整脈等の治療と予防に用いられるKv1.5アンタゴニストとして、また免疫抑制疾患や自己免疫疾患等の治療に用いられるKv1.3阻害剤として有用である可能性がある。
【0002】
電位依存性カリウムチャネル(Kv)は、4つのαサブユニットによって構成される多量体膜タンパク質であり、しばしばアクセサリーβサブユニットを伴う。典型的にKvチャネルは、膜電位が静止中は閉ざされているが、膜の脱分極があると開かれる。それらは活動電位の再分極に関係しており、したがって神経及び筋肉繊維の電気興奮性に関係する。カリウムチャネルのKv1クラスには少なくとも7つの同族Kv1が含まれ、それらはKv1.1、Kv1.3、Kv1.5などである。機能的電位依存性Kチャネルは、同一のサブユニットから成るホモオリゴマーか、若しくは異なるサブユニット組成のヘテロオリゴマーとして存在し得る。この現象は、Kチャネルの広範な多様性によるものと考えられている。しかし、本来のKチャネルのサブユニット組成と、それら特定のチャネルが果たす生理的な役割は、ほとんどの場合まだ明らかにされていない。
【0003】
Kv1.3電位依存性カリウムチャネルは、ニューロン、血球、破骨細胞及びTリンパ球の中に存在する。Kv1.3阻害による膜の脱分極は、T細胞増殖を防ぐ効果的な方法であることが示されたため、多くの自己免疫病状への適用が可能である。人のTリンパ球の細胞膜におけるKチャネルの阻害は、T細胞の活性化において重要とされる細胞内Ca++ホメオスタシスを調整することによって免疫抑制反応を引き起こす上で、何らかの役割を果たしているものと考えられている。Kv1.3チャネルの遮断は、免疫抑制反応を引き起こすための新規メカニズムとして、すでに提案されている(Chandyら、J.Exp.Med.160:369,1984;Decourseyら、Nature,307:465,1984)。しかし、これら初期の研究で採用されたKチャネル遮断剤(ブロッカー)は非選択性であった。のちの研究で、T細胞においてKv1.3のみを遮断するマルガトキシンが、in vitro及びin vivoモデルにおいて免疫抑制活性を示した(Linら、J.Exp.Med,177:637,1993)。しかし、この化合物の治療上の有用性は、その強力な毒性により制限される。最近になり、1つの化合物群が、上述の薬物に代わる魅力的な代替候補として報告されている(米国特許第5,670,504号、第5,631,282号、第5,696,156号、第5,679,705号、及び第5,696,156号)。これらの化合物は従来の薬物が持つ活性/毒性の問題にある程度対処するが、分子量が高く、一般に単離が面倒であり、労力のかかる天然物の合成操作により調製される。
【0004】
心房細動(AF)は、臨床において最も一般的な心不整脈であり、人口の老齢化によって今後ますます増えるものと見込まれる。少なめに見積もっても、200万人を超すアメリカ人が患っており、AFは心臓血管系疾患による入院患者全体の5%以上にあたり、また、AFは卒中の危険を3倍から5倍増すと見込まれている(Kannelら、Am.J.Cardiol.,82:2N−9N,1998)。AFによって死に至ることは稀だが、心機能を損ない、鬱血心不全、血栓塞栓症、心室細動などの合併症に至ることがある。
【0005】
再入励起(リエントリー)は、ヒトの上室性不整脈の原因となる重要なメカニズムであることが示されている(Nattel,S.,Nature,415:219−226,2002)。再入励起は、複数のリエントリー回路の開始と維持が同時に存在し、AFを維持するため、遅い伝導速度と十分に短い不応期との微妙なバランスが必要である。活動電位持続期間(APD)を長引かせることによる心筋の不応期の増加は、再入性不整脈を予防及び/または終結できる。活動電位持続期間は、再分極するカリウム電流IKr、IKs、IKurと、一過性外向き電流Itoの貢献度によって決まる。したがって、これらの電流のいずれかに作用する遮断剤は、APDを増し、抗不整脈効果をもたらすことが期待される。
【0006】
現在利用できる抗不整脈剤は、心室不整脈及び心房または上室性不整脈の治療薬として開発されたものである。悪性心室不整脈は直ちに生命を脅かすものであり、緊急治療が必要である。心室不整脈の薬剤治療には、クラスIa(例えばプロカインアミド、キニジン)、クラスIc(例えばフレカイニド、プロパフェノン)、クラスIII(アミオダロン)の薬剤が含まれるが、前記薬剤は重大な催不整脈作用の危険を呈する。これらのクラスI及びIIIの薬剤はAFを洞律動に変換してAFの再発を予防することが示されているが(Mounsey,JP,DiMarco,JP,Circulation,102:2665−2670)、致死の可能性を持つ心室性催不整脈という容認できない危険を呈し、したがって死亡率を増す可能性がある(Pratt,CM,Moye,LA,Am.J.Cardiol.,65:20B−29B,1990;Waldoら、Lancet,348:7−12,1996;Torp−Pedersenら、Expert Opin.Invest.Drugs,9:2695−2704,2000)。これらの所見は、より安全でより効能の優れた心房不整脈治療薬の開発という、いまだに満たされていない医療上の必要が明らかに存在することを示している。
【0007】
クラスIIIの抗不整脈剤は、心伝導または収縮機能の有意な低下を伴わずにAPDを選択的に延長する作用を持つ。唯一承認されている選択性クラスIII心房細動薬はドフェチリドであり、前記薬剤は、ヒトの心房及び心室に存在するIの急速な活性化成分であるIKrを遮断することによって抗不整脈効果を与える(Mounsey,JP,DiMarco,JP,Circulation,102:2665−2670)。IKr遮断剤は、伝導そのものに影響を与えずに心房と心室の両方でAPDと不応期を増すため、理論的には、AFのような不整脈の治療に有用な薬剤となる可能性を示す(Torp−Pedersenら、Expert Opin.Invest.Drugs,9:2695−2704,2000)。しかし、これらの薬剤は遅い心拍数での催不整脈作用の危険を高める主な原因となる。例えば、これらの化合物を利用した場合に、多形性心室性頻拍(トルサード・ト・ポワント)が見られた(Roden,D.M.”クラスIII抗不整脈薬治療の現状”,Am.J.Cardiol.,72:44B−49B,1993)。遅い心拍数でのこの過度の影響は「逆頻度依存」と呼ばれ、非頻度依存または前方頻度依存作用と対照的である(Hondeghem,L.M.”Development of Class III Antiarrhythmic Agents”J.Cardiovasc.Cardiol.,20(Suppl.2):S17−S22)。
【0008】
アミオダロンは、興味深いクラスIII特性を有することが示されている(Singh B.N.,Vaughan WilliamsE.M.”抗不整脈作用の第三のクラス:心房及び心室の細胞内電位ならびに心筋に対する他の他の薬理学的作用に対するMJ1999及びAH3747の作用”Br.J.Pharmacol.,39:675−689,1970;Singh B.N.,Vaughan Williams E.M,”新しい抗狭心薬、アミオダロンの心筋に対する作用”,Br. J. Pharmacol.,39:657−667,1970)。ただし、アミオダロンは複数のイオンチャネルに影響するため、選択性なクラスIII薬剤ではない。また、その副作用プロフィールのため、アミオダロンの使用は厳しく制限されている(Nademanee,K.”アミオダロンへの道のり”.J.Am.Coll.Cardiol.,20:1063−1065,1992;Fusterら、Circulation,104:2118−2150,2001;Bril,A.Curr.Opin.Pharmacol.2:154−159,2002)。したがって、アミオダロンやクラスIII薬剤など現在利用できる薬剤は、致死の可能性を持つ心室性催不整脈作用の出現を含む、重大な副作用の危険を呈する。
【0009】
超急速活性化遅延整流K電流、すなわちIKurは、ヒトの心室にはなく、心房に特異的に見られた。ヒトの心房におけるIKurの分子相関は、Kv1.5と名付けられたカリウムチャネルである。Kv1.5 mRNA(Bertaso,Sharpe,Hendry,and James,Basic Res.Cardiol.,97:424−433,2002)及びタンパク質(Mays,Foose,Philipson及びTamkun,J.Clin.Invest.,96:282−292,1995)が、ヒト心房組織で検出されている。無傷のヒト心房筋細胞で、持続性外向き電流、すなわちIsusまたはIsoとしても知られる超急速活性化遅延整流K電流(IKur)が同定されており、この電流はヒトKチャネルクローン(hKv1.5、HK2)[Wang,Fermini and Nattel,Circ.Res.,73:1061−1076,1993;Fedidaら、Circ.Res.73:210−216,1993;Snyders,Tamkun and Bennett,J.Gen.Physiol.,101:513−543,1993]及びラットの脳からの類似したクローン(Swansonら、Neuron,4:929−939,1990)によって発現されるものと同一の特性及び動態を有する。更に、IKurはその急速な活性と、限定された遅い不活性化により、ヒト心房における再分極に大きく寄与するものと考えられている。結果的に、特定のIKur遮断剤、すなわちKv1.5を遮断する化合物は、現在のクラスIII薬剤での治療中に見られる脱分極後の後天性長い不整脈惹起性のQT症候群の原因となる他の化合物の欠点を、心室再分極の遅延を来たさずに心室における不応期を延長することなく、ヒトの心房における不応性を延長することによって克服する。これらの特性を示すKv1.5遮断剤については、記載されている(Peukertら、J.Med.Chem.,46:486−498,2003;Knoblochら、Naunyn−Schmedieberg’s Arch.Pharmacol.366:482−287,2002;Merck&Co.,Inc.WO0224655,2002)。
【0010】
本発明において説明される化合物は、Kv1.5アンタゴニストの新規構造のクラスである。
(発明の要約)
本発明は、一般構造式Iで表されるカリウムチャンネル阻害剤に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
本発明の化合物は、心不整脈等の治療と予防に有用である。また、式Iの化合物及び医薬担体を包含する医薬製剤も本発明の範囲に含まれる。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、式I
【0014】
【化2】

の化合物若しくは医薬的に許容される塩、結晶形、または水和物であり、式中、
Aは、
a)アリール環であり、前記アリール環において安定したアリール環原子は、独立して、未置換であるか、以下によって置換され、
1) ハロゲン、
2) NO
3) CN、
4) CR46=C(R4748
5)
【0015】
【化3】

6) (CROR46
7) (CRN(R4647)、
8) (CRC(O)R46
9) (CRC(O)OR46
10) (CR46
11) (CRS(O)0−261
12) (CRS(O)0−2N(R4647)、
13) OS(O)0−261
14) N(R46)C(O)R47
15) N(R46)S(O)0−2R61
16) (CRN(R46)R61
17) (CRN(R46)R61OR47
18) (CRN(R46)(CRC(O)N(R4748)、
19) N(R46)(CR61
20) N(R46)(CRN(R4748)、
21) (CRC(O)N(R4748)、または、
22) オキソ、或いは、
b)ヘテロアリール環であり、
N、OまたはSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和5員環、
N、O及びSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和6員環、及び
N、OまたはSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和9員または10員二環、からなる一群から選択され、
前記環において、安定なSヘテロアリール環原子は、未置換であるか、オキソで単置換または二置換され、安定なCまたはNヘテロアリール環原子は、独立して、未置換であるか、以下によって置換され
1) ハロゲン、
2) NO
3) CN、
4) CR46=C(R4748
5)
【0016】
【化4】

6) (CROR46
7) (CRN(R4647)、
8) (CRC(O)R46
9) (CRC(O)OR46
10) (CR46
11) (CRS(O)0−261
12) (CRS(O)0−2N(R4647)、
13) OS(O)0−261
14) N(R46)C(O)R47
15) N(R46)S(O)0−261
16) (CRN(R46)R61
17) (CRN(R46)R61OR47
18) (CRN(R46)(CR)sC(O)N(R4748)、
19) N(R46)(CR61
20) N(R46)(CRN(R4748)、
21) (CRC(O)N(R4748)、または、
22) オキソ、
は、
1) 水素、
2) (CR40
3) (CROR40
4) (CRN(R4041)、
5) (CRN(R40)C(O)OR41
6) (CRN(R40)(CRN(R41)C(O)R49
7) C3−8 シクロアルキル、
8) (CRC(O)OR40
9) (CRN(R40)(CR1−341
10) (CRS(O)0−2
11) (CRS(O)0−2N(R4041)、
12) (CRN(R40)ROR41
13) (CRN(R40)(CR0−6C(O)N(R4142)、からなる一群から選択され、
は、(CH22またはR85であり、
、R、R及びR10は、独立して、
1) 水素、
2) ハロゲン、
3) NO
4) CN、
5) CR43=C(R4445)、
6)
【0017】
【化5】

7) (CROR43
8) (CRN(R4344)、
9) (CRC(O)R43
10) (CRC(O)OR43
11) (CR43
12) (CRS(O)0−260
13) (CRS(O)0−2N(R4344)、
14) OS(O)0−260
15) N(R43)C(O)R44
16) N(R43)S(O)0−260
17) (CRN(R43)R60
18) (CRN(R43)R60OR44
19) (CRN(R43)(CRC(O)N(R4445)、
20) N(R43)(CR60
21) N(R43)(CRN(R4445)、及び、
22) (CRC(O)N(R4344)、から選択されるか、または、
及びRは、独立して、上記に定義したものであり、R及びR10は、それらが結合する原子とともに環
【0018】
【化6】

を形成し、ここで、Rは、C1−6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、独立して、
1) 水素、
2) C−Cアルキル、
3) ハロゲン、
4) アリール、
5) R80
6) C−C10シクロアルキル、及び
7) OR、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、Rで単置換されるか、R及びR15で二置換されるか、R、R15及びR16で三置換されるか、またはR、R15、R16及びR17で四置換され、
、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R51、R52、R53及びR54は、独立して、
1) 水素、
2) C−Cアルキル、
3) C−C10シクロアルキル、
4) アリール、
5) R81
6) CF
7) C−Cアルケニル、及び
8) C−Cアルキニル、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、R18で単置換されるか、R18及びR19で二置換されるか、R18、R19及びR20で三置換されるか、またはR18、R19、R20及びR21で四置換され、
、R60、R61及びR63は、独立して
1) C−Cアルキル、
2) アリール、
3) R83、及び、
4) C−C10シクロアルキル、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、R26で単置換されるか、R26及びR27で二置換されるか、R26、R27及びR28で三置換されるか、またはR26、R27、R28及びR29で四置換され、
、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R26、R27、R28及びR29は、独立して
1) C−Cアルキル、
2) ハロゲン、
3) OR51
4) CF
5) アリール、
6) C−C10シクロアルキル、
7) R84
8) S(O)0−2N(R5152)、
9) C(O)OR51
10) C(O)R51
11) CN、
12) C(O)N(R5152)、
13) N(R51)C(O)R52
14) S(O)0−263
15) NO2、
16) N(R5152)、及び、
17) R82、からなる一群から選択され、
22は、
1) NHC(O)R88、及び、
2) N(R5354)、からなる一群から選択され、
88は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、
80、R81、R82、R83、R84及びR85は、独立して、N、O及びSから成る一群から選択される1つ、2つ、または3つの環上へテロ原子を有する不飽和または飽和3員〜6員環、及びN、OまたはSから成る一群から選択される1つ、2つ、3つまたは4つの環上へテロ原子を有する不飽和または飽和9員または10員二環、から成る未置換または置換のへテロ環の一群より選択され、
n、p、q、r及びsは、独立して0、1、2、3、4、5または6である。
【0019】
本発明の化合物若しくは医薬的に許容されるその塩の1クラスとして、
Aは、未置換であるか若しくは上記に定義した置換基を有するフェニルから選択されるアリール環であるか、またはピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、インドール、ピロロピリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾキサジアゾールから成る一群から選択される、未置換であるか若しくは上記に定義した置換基を有するヘテロアリール環であり、
、R、R及びR10は、独立して、
1) 水素、
2) ハロゲン、
3) OR43、及び
4) (CR43、からなる一群から選択されるか、若しくは、
及びRは、独立して、上記に定義したものであり、R及びR10は、それらが結合する原子とともに環
【0020】
【化7】

を形成し、ここでRはC1−6アルキルであり、
は、
1) 水素、
2) (CR1−240
3) (CR1−2OR40
4) (CR1−2N(R4041)、
5) (CR1−2N(R40)C(O)OR41
6) (CR1−2N(R40)(CRN(R41)C(O)R49
7) (CR1−2C(O)OR40
8) (CR1−2N(R40)(CR1−341、及び
9) シクロプロピル、からなる一群から選択される。
【0021】
当該クラスの化合物若しくは医薬的に許容されるその塩の1のサブクラスにおいて、R、R、R及びR10は、独立して、水素及び(CROR43から成る一群から選択される。
【0022】
当該サブクラスの化合物若しくは医薬的に許容されるその塩の1のグループにおいて、Rは、(CR40またはC−C10シクロアルキルである。
【0023】
当該グループの化合物若しくは医薬的に許容されるその塩の1のサブグループにおいて、Aは、未置換アリール環である。
【0024】
当該サブグループの化合物若しくは医薬的に許容されるその塩の1のファミリーにおいて、Rは、以下の一群から選択される。
【0025】
【化8】

【0026】
好ましい実施形態は、以下の一群から選択される化合物である。
3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アセトアミド、
6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−(2−ピペリジン−1−イルエチル)イソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−(2−モルフォリン−4−イルエチル)−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキサミド、
1−シアノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)アセトアミド
1−(2、4−ジクロロフェニル)−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド、
Tert−ブチル 1−({[[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピルカルバメート、
1−アミノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
4−メトキシ−N−[1−({[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピル]ベンズアミド、
(±)−ベンジル3−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート、
(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−3−(1−アセチルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−3−イル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−3−(1−ベンゾイルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−(ピリド−2−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、及び
3−(チアゾール−2−イル)−6−メトキシ−2−シクロプロピル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、または医薬的に許容されるその塩。
【0027】
上記の化合物は、下記に説明するKv1.5のアッセイにおいて1つ以上の活性がある。
【0028】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物におけるある病状を治療または予防する方法であり、前記病状の治療または予防はKv1.5の阻害によって有効または可能となり、前記方法は、Kv1.5の阻害に有効な量の式Iの化合物を投与する過程を包含する。
【0029】
1つの好ましい実施形態は、例えば哺乳動物の心房細動、心房粗動、心房不整脈及び上室性頻拍症等、心不整脈の治療または予防の方法であり、前記方法は式Iの化合物を治療有効量投与する過程を包含する。
【0030】
別の好ましい実施形態は、卒中など血栓塞栓症を予防する方法である。
【0031】
別の好ましい実施形態は、鬱血心不全を予防する方法である。
【0032】
別の好ましい実施形態は、エイズ、癌、老年性痴呆症、外傷(傷の治癒、手術、ショックを含む)、慢性細菌感染症、中枢神経系疾患及び臓器または組織移植に対する抵抗、骨髄移植により発症する移植片対宿主疾患を含む病状など、免疫抑制が関係する免疫不全または免疫抑制を治療または予防する方法である。
【0033】
この実施形態には、本発明の化合物を免疫抑制剤(immunosuppresant)とともに投与することによって免疫抑制(immunodepression)を治療または予防するための方法が含まれる。
【0034】
別の好ましい実施形態は、悪性度の低いグリオーマから高いものまで含むグリオーマの治療と予防の方法であり、好ましくは悪性度の高いものである。
【0035】
別の好ましい実施形態は、心房細動を患う患者に正常な洞律動状態を誘発するための方法であり、前記方法において誘発された律動は、類似した体格と年齢的特徴を有する個人にとり正常なものと考えられ、前記方法は前記患者を本発明の化合物で治療する過程を包含する。
【0036】
別の好ましい実施形態は、患者の頻拍症(すなわち、例えば毎分100回のように急速な心拍数)を治療する方法であり、前記方法は、該患者を抗頻拍装置(例えば心臓細動除去器またはペースメーカー)と請求項1の化合物とを組み合わせて治療する過程を包含する。
【0037】
また、本発明には、医薬的に許容される担体と、式Iの化合物若しくは医薬的に許容される結晶形または水和物とを含む医薬製剤も含まれる。
【0038】
1つの好ましい実施形態は、式Iの化合物の医薬的組成物であり、この組成にはさらに2つ目の作用物質が含まれる。
【0039】
本発明の化合物は非対称中心または非対称軸を有する場合があり、本発明にはすべての光学異性体とそれらの混合物が含まれる。特に言及しない限り、1つの異性体に関する説明は両方の異性体に適用する。
【0040】
加えて、炭素−炭素二重結合を伴う化合物はZ−及びE−型を生ずる可能性があり、これらのすべての異性体形が本発明に含まれる。
【0041】
特に注記しない限り、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を持つすべての異性体を含む分岐鎖及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含む。本明細書全般にわたり、アルキル基に一般に用いられる略語が使われており、例えばメチルを「Me」またはCHとし、エチルを「Et」またはCHCHとし、プロピルを「Pr」またはCHCHCHとし、ブチルを「Bu」またはCHCHCHCHとするなどである。例えば、「C1−6アルキル」(またはC−Cアルキル)は直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、特定の数の炭素原子を持つ全ての異性体を含む。C1−6アルキルは、すべてのヘキシルアルキル及びペンチルアルキルの異性体を含み、また、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルを含む。「C1−4アルキル」とはn−、イソ、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルを表す。
【0042】
「アルコキシ」とは、指示された炭素原子数が酸素橋を介して結合している直鎖または分岐鎖アルキル基を表す。
【0043】
「アルケニル」という用語の意味は、二重結合によって結合された炭素原子を少なくとも2つ含む分岐鎖及び直鎖不飽和炭化水素基を含む。アルケンエチレンは、例えば「CHCH」または「HC=CH」として表される。例えば「C2−5アルケニル」(または「C−Cアルケニル」)は、2つから5つの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基を示し、すべてのペンテニル異性体と、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びエテニル(またはエチレニル)を含む。「Cアルケニル」など類似した用語は、類似した意味を持つ。
【0044】
「アルキニル」という用語は、三重結合によって結合された炭素原子を少なくとも2つ含む分岐鎖及び直鎖不飽和炭化水素基を含む。アルキンアセチレンは、例えば「CHCH」または
【0045】
【化9】

として表される。例えば「C2−5アルキニル」(または「C−Cアルキニル」)は、2つから5つの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基を示し、すべてのペンチニル異性体と、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−プロピニル、2−プロピニル及びエチニル(またはアセチレニル)を含む。「C2−3アルキニル」など類似した用語は、類似した意味を持つ。
【0046】
特に注記しない限り、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、未置換であるか、またはハロ、C−C20アルキル、CF、NH、N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ハロアリール、ハロアラルキル、ハロへテロ環、ハロへテロ環アルキル、シアノアリール、シアノアラルキル、シアノへテロ環及びシアノへテロ環アルキルにより各炭素原子上で1つから3つの置換基で置換されている。
【0047】
「C0−6アルキル」などの表現で使われる「C」という用語は、直接共有結合を表す。同様に、ある基における一定の原子数の存在を定義する整数がゼロに等しいということは、そこに隣接する原子が結合によって直接に結合していることを示す。例えば、構造式
【0048】
【化10】

において、wはゼロ、1または2に等しい整数を表し、wがゼロであるとき、構造は
【0049】
【化11】

となる。
【0050】
「C3−8シクロアルキル」(またはC−C「シクロアルキル」)という用語は、合計3つから8つの炭素原子を有するアルカン環を表す(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)。「C3−7シクロアルキル」、「C3−6シクロアルキル」、「C5−7シクロアルキル」という用語などは、類似した意味を持つ。
【0051】
「ハロゲン」(または「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素(若しくはフルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)及びヨード(I)とも表される)を示す。
【0052】
「C1−6ハロアルキル」(若しくは「C−Cハロアルキル」または「ハロゲン化C−Cアルキル」とも表される)という用語は、上記において定義したように、ハロゲン置換基を1つ以上有するCからCの直鎖または分岐鎖アルキル基を表す。「C1−4ハロアルキル」という用語は、類似した意味を持つ。「C1−6フルオロアルキル」という用語は類似した意味を持つが、そのハロゲン置換基がフッ素(フルオロ)に限られる点で異なる。適したフルオロアルキルとして、(CH0−4CF系(すなわちトリフルオロメチル、2、2、2−トリフルオロエチル、3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル等)が含まれる。
【0053】
本書において用いられる「炭素環」(及び「carbocyclic」または「carbocyclyl」など、そのバリエーション)は、特に言及しない限り、(i)C〜C単環式飽和または不飽和環、または(ii)C〜C12二環式飽和または不飽和環の系を表す。(ii)の各環は、もう一方の環から独立しているか、縮合し、各環は飽和または不飽和である。前記炭素環は、任意の炭素原子で残りの分子と結合することができ、それにより安定な化合物となる。前記縮合二環式炭素環は、前記炭素環のサブセットであり、すなわち、「縮合二環式炭素環」という用語は、一般にC〜C10二環式環系を示し、前記系において、各環は飽和または不飽和であり、前記環系の各環は2つの隣接する炭素原子を共有する。1つの環が飽和でありもう一方も飽和である縮合二環式炭素環は、飽和二環式環系である。1つの環がベンゼンでありもう一方が飽和である縮合二環式炭素環は、不飽和二環式環系である。1つの環がベンゼンでありもう一方が不飽和である縮合二環式炭素環は、不飽和環系である。飽和炭素環は、シクロアルキル環とも呼ばれ、例えばシクロプロピル、シクロブチルなどである。特に注記しない限り、炭素環は未置換であるか、またはC1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、アリール、ハロゲン、NHまたはOHで置換される。前記縮合二環式不飽和炭素環の1つのサブセットは、1つの環がベンゼンでありもう一方の環が飽和または不飽和であり、任意の炭素原子を介した結合によって安定な化合物がもたらされる二環式炭素環である。このサブセットの代表例として、以下が含まれる。
【0054】
【化12】

【0055】
「アリール」という用語は、芳香族単式及び複数炭素環系を示し、前記アリールにおいて、多環系の個々の炭素環は縮合しているか、単結合を介して互いに結合している。適したアリール基として、フェニル、ナフチル及びビフェニレニルが含まれる。
【0056】
「ヘテロ環」(及び「heterocyclic」または「heterocyclyl」など、そのバリエーション)という用語は、広く(i)安定な4員〜8員の飽和または不飽和の単環か、(ii)安定な7員〜12員の二環式環系を示し、(ii)の各環はその他の1つ以上の環から独立しているか、またはそれらと縮合しており、各環は飽和または不飽和であり、前記単環式または二環式環系は、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子(例えば1つから6つのヘテロ原子または1つから4つのヘテロ原子)と炭素の残りの原子を含み(前記単環は典型的に少なくとも1つの炭素原子を含み、前記環系は典型的に少なくとも2つの炭素原子を含む)、前記ヘテロ環において任意の1つ以上の窒素または硫黄のヘテロ原子は場合により酸化され、任意の1つ以上の窒素へテロ原子は場合により四級化される。前記ヘテロ環は、その結合によって安定な構造が生成される限り、いずれのヘテロ原子または炭素原子と結合することもできる。前記ヘテロ環が置換基を有する場合、結果的に安定な化学構造が生成される限り、それら置換基は、ヘテロ原子であれ炭素原子であれ、前記環のどの原子とも結合し得るものと理解される。
【0057】
本書において用いられるシクロアルキル、アリール及びヘテロ環という用語は、特に注記しない限り、未置換及び置換部分を示す。例えば置換C〜Cシクロアルキル、置換シクロアルキル、置換アリール及び置換ヘテロ環などは、前記化合物の残りの部分との結合点に加え、1つから3つの置換基を有する環基を含むものと意図される。好ましくは、前記置換基は以下の一群から選択されるが、これらに限定されない。ハロ、C−C20アルキル、CF、NH、N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、アリール、アリール−C(O)−、アリール−C(O)NH−、シアノ、アミノ、−NHC(O)O−C−Cアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、ハロアリール、ハロアラルキル、ハロヘテロ環、ハロへテロ環アルキル、シアノアリール、シアノアラルキル、シアノヘテロ環及びシアノへテロ環アルキル。
【0058】
飽和ヘテロ環は、ヘテロ環のサブセットを成し、すなわち「飽和ヘテロ環」という用語は、一般に上記に定義したヘテロ環を示し、前記ヘテロ環において、その環系全体が(単環であるか多環であるかに関わらず)飽和されている。「飽和ヘテロ環」という用語は、4員〜8員の単環式飽和環または安定な7員〜12員の二環式環系を示し、前記飽和へテロ環は炭素原子と、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子とを含む。代表例として、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル及びテトラヒドロフリル(またはテトラヒドロフラニル)が含まれる。
【0059】
ヘテロ芳香族は、ヘテロ環の別のサブセットを成し、すなわち「ヘテロ芳香族」(若しくは「ヘテロアリール」)という用語は、一般に上記に定義したヘテロ環を示し、前記ヘテロ環において、その環系全体が(単環であるか多環であるかに関わらず)芳香族環系である。「ヘテロ芳香族環」という用語は、5員〜6員の単環式芳香族環または7員〜12員の二環を示し、炭素原子と、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子とを含む。ヘテロ芳香族環の代表例として、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル(またはチオフェニル)、チアゾリル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル及びチアジアゾリルが含まれる。
【0060】
二環式ヘテロ環の代表例として、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、2、3ジヒドロベンゾフラニル、2、3−ジヒドロベンゾ−1、4−ジオキシニル(すなわち、
【0061】
【化13】

)、イミダゾ(2、1−b)(1、3)チアゾール、(すなわち、
【0062】
【化14】

)、及びベンゾ−1、3−ジオキソリル(すなわち、
【0063】
【化15】

)が挙げられる。
【0064】
本書の一部の文脈において、
【0065】
【化16】

は、その代わりに隣接する2つの炭素原子に結合したメチレンジオキシを置換基として有するフェニルとも表現されている。
【0066】
特に明確に否定しない限り、「不飽和」環は、部分的または完全に不飽和な環である。例えば、「不飽和単環式C炭素環」は、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン及びベンゼンを示す。
【0067】
特に明確に否定しない限り、本書において表される範囲は、その範囲内のものをすべて含む。例えば、「1つから4つのヘテロ原子」を含むヘテロ環という場合、そのヘテロ環は、1つ、2つ、3つまたは4つのヘテロ原子を含むことができることを示す。
【0068】
本発明の化合物を表し説明するいずれかの化学式かいずれかの構成要素において1回を越す変化が発生する場合は、各発生におけるその定義は、その他すべての発生でのその定義に依存しない。また、置換基及び/または変数の組み合わせは、その組み合わせの結果として安定な化合物が与えられる場合のみ許可される。
【0069】
(例えば、「場合により1つ以上の置換基で置換されたアリール」という表現での)「置換された」という用語は、命名済みの置換基による単置換及び複数置換から、化学的に許容される単置換及び複数置換(同一位置における複数の置換を含め)までを含む。
【0070】
ピリジル N−オキシド部分を有する本発明の化合物においては、前記ピリジルN−オキシド部分の構造は、次のような従来の表記を用いて表され、
【0071】
【化17】

これらは同等の意味を持つ。
【0072】
繰り返される用語を含む可変定義の場合、例えば(CRにおいて、rは整数2、Rは定義された変数、Rは定義された変数であり、Rの値はそれを含む各事例により異なる場合があり、Rの値はそれを含む各事例により異なる場合がある。例えば、R及びRは、独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルから成る一群から選択される場合、(CRは、次のようになり得る。
【0073】
【化18】

【0074】
医薬的に許容される塩は、金属(無機)塩と有機塩の両方を含む。それら塩の一覧は、『Remington’s Pharmaceutical Sciences』第17版、1418頁(1985)に記載されている。当業者であれば、物理・化学的安定性、流動性、含水性、溶解性に基づき適切な塩が選択されることがよく理解される。当業者であれば、医薬的に許容される塩として、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、若しくはリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩またはパルモエート、サリチル酸塩及びステアリン酸塩などの有機酸塩が含まれることが理解され、これらに限定されない。
【0075】
同様に、医薬的に許容されるカチオンとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウム(特に第二級アミンを有するアンモニウム塩)が含まれるが、これらに限定されない。上述の理由により、本発明にとって好ましい塩として、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩が含まれる。また、式Iの化合物の結晶形、水和物、溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0076】
本発明の化合物を調製する方法を以下のスキームに示し、これらにおいて、変数R及びRは上記で定義されたものであり、RはC1−6アルキル、アリールまたはC1−6アルキルアリールである。当業者にとり、その他の合成プロトコールは明白である。
【0077】
【化19】

【0078】
【化20】

【実施例】
【0079】
以下の実施例は式Iの化合物の調製を示すものであるが、これらの例はここに添付した請求項にて説明される本発明を限定するものではない。
【0080】
実施例1
3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン塩酸塩
【0081】
【化21】

【0082】
ステップA:3−(ブロモメチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
表題化合物は、WO02/24655号にて報告済みの合成手順を用いて調製された。
ステップB:3−(シアノメチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
3−(ブロモメチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン(6.82g、19.0mmol)の100mLイソプロパノール溶液に、シアン化カリウム(2.48g、38.1mmol)の10mL水溶液を加えた。この混合液を80℃で加熱した。1時間後、更にシアン化カリウム溶液(5mL水溶液中に300mg)を加え、更に1時間、攪拌して反応させた。前記溶液を室温まで冷却し、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム溶液層に分配した。その水層を酢酸エチルで二度抽出し、それらの有機層を組み合わせ、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した後、真空濃縮した。得られた未精製の固形物質を酢酸エチル/エーテルを用いて粉砕し、表題の生成物(5.01g、収率86%)を得た。
HRMS (ES) 精密質量計算値 C1916 (M+H): 305.1285、測定値305.1269
【0083】
ステップC:3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン塩酸塩
Parrフラスコ内で、3−(シアノメチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン(2.00g、6.57mmol)の水酸化アンモニウム15%を含むメタノール溶液150mLに、ラネーニッケル(50%スラリー約5g)を加えた。混合液を室温で2時間、60psi水素圧下で振盪させ、セライトパッドでろ過しメタノールで洗浄した。得られた溶液を真空濃縮した後、残留アンモニア及び水を除去するためにトルエンにより共沸した。得られた残留物をジクロロメタン−メタノール溶液中に溶解し、ろ過後、真空濃縮した。生成物を最小限の量のジクロロメタンに溶解し、多量の塩化水素エーテル溶液で処置してろ過し、そしてジクロロメタン−エーテル溶液を用いて粉砕し、表題の塩酸塩を得た。 H−NMR(500MHz、CDCl)δ 8.39(d、J=8.8Hz、1H)、7.48(m、2H)、7.43(m、1H)、7.25(m、2H)、7.00(dd、J=8.8、2.5Hz、1H)、6.25(d、J=2.5Hz、1H)、3.71(s、3H)、3.66(s、3H)、2.85(brt、J=7Hz、2H)、2.68(brt、J=7Hz、2H)、1.65(brs、2H)ppm。
HRMS (ES) 精密質量計算値 C1921(M+H): 309.1589、測定値 309.1598
【0084】
実施例2
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アセトアミド
【0085】
【化22】

3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン塩酸塩(75mg、0.22mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液に、トリエチルアミン(0.076mL、0.54mmol)を加え、続いて塩化アセチル(0.017mL、0.24mmol)を加えた。45分後に、混合液を酢酸エチルと10%クエン酸溶液層に分配し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗残留物を分取逆相HPLCで精製し、表題生成物を無色オイルとして得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS (ES) 精密質量計算値 C2122 (M+H):351.1703、測定値351.1681
【0086】
実施例3
6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−(2−ピペリジン−1−イルエチル)イソキノリン−1(2H)−オン塩酸塩
【0087】
【化23】

圧力管内で、3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン塩酸塩(100mg、0.290mmol)の 2−メチル−2−プロパノール(15mL)溶液に、トリエチルアミン(0.142mL、1.02mmol)を加え、続いて1、5−ジブロモペンタン(0.047mL、0.348mmol)を加えた。混合液を150℃で一晩加熱した。1、5−ジブロモペンタン(0.023mL)を更に加え、更に24時間加熱した。室温まで冷却後、混合液を真空濃縮した。得られた粗残留物を分取逆相HPLCで精製した。得られた純粋な画分を真空濃縮し、酢酸エチルに溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥したのち、ろ過し、真空濃縮した。得られた生成物をジクロロメタンに溶かし、多量の塩化水素エーテル溶液で処置したのち、真空濃縮して塩酸塩を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
ESI+ MS: 377.19 [M+H]
【0088】
実施例4
6−メトキシ−2−メチル−3−[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
【0089】
【化24】

3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン 塩酸塩(125mg、0.362mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、トリエチルアミン(0.202mL、1.45mmol)を加え、続いて塩化4−クロロブタノイル(0.045mL、0.40mmol)を加えた。45分後、混合液を真空濃縮した。テトラヒドロフラン(15mL)を加えたのち、前記溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(58mg、鉱物油中60%分散液、1.45mmol)を加えた。反応混合液を0℃で30分間攪拌したのち、室温で16時間攪拌し、更に50℃で2時間攪拌した。溶液を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム溶液層に分配し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗残留物を分取逆相HPLCで精製し、表題の生成物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
ESI+ MS: 377.27 [M+H]
【0090】
実施例5
6−メトキシ−2−メチル−3−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン 塩酸塩
【0091】
【化25】

実施例3で記載した手順に従い、1、5−ジブロモペンタンの代わりにジ−(2−ブロモエチル)エーテルを用いて表題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。H−NMR(500MHz、d−DMSO)δ 10.69(brs、1H)、8.23(d、J=9.0Hz、1H)、7.57(m、2H)、7.52(m、1H)、7.35(brd、J=7Hz、2H)、7.13(dd、J=9.0、2.4Hz、1H)、6.16(d、J=2.4Hz、1H)、3.90(m、2H)、3.67(s、3H)、3.65(m、2H)、3.63(s、3H)、3.23(m、4H)、2.98(m、2H)、2.88(m、2H)ppm。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2327 (M+H): 379.2016、測定値379.2018
【0092】
実施例6
3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン トリフルオロ酢酸塩
【0093】
【化26】

3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン 塩酸塩(100mg、0.290mmol)の1、2−ジクロロエタン(3mL)溶液に、アセトアルデヒド(0.017mL、0.29mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(92mg、0.43mmol)及び粉末4Aモレキュラーシーブ100mgを加えた。2時間後、アセトアルデヒド(0.017mL、0.29mmol)とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(92mg、0.43mmol)を更に追加し、反応液を3日間攪拌した。混合液を酢酸エチルと10%クエン酸溶液層に分配し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗残留物を分取逆相HPLCで精製し、表題の生成物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
ESI+ MS: 365.21 [M+H]
【0094】
実施例7
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
【0095】
【化27】

3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン 塩酸塩(70mg、0.20mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸(0.39mg、0.20mmol)、トリエチルアミン(0.085mL、0.61mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(37mg、0.24mmol)及び1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(47mg、0.24mmol)を加えた。3時間後に混合液を酢酸エチルと水層に分配し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗残留物をエーテル−ヘキサン溶液を用いて粉砕し、表題の生成物を得た。
HRMS (ES) 精密質量計算値C3030 (M+H):483.2258、測定値483.2279
【0096】
実施例8
1−シアノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0097】
【化28】

実施例7で記載した手順に従い、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸の代わりに1−シアノ−1−シクロプロパンカルボン酸を用いて表題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2423 (M+H):402.1812、測定値402.1803
【0098】
実施例9
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)アセトアミド
【0099】
【化29】

実施例7で記載した手順に従い、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸の代わりに1−(4−メトキシフェニル)酢酸を用い、分取逆相HPLCによる精製後、表題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2828 (M+H):457.2122、測定値457.2112
【0100】
実施例10
1−(2、4−ジクロロフェニル)−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0101】
【化30】

実施例7で記載した手順に従い、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸の代わりに1−(2、4−ジクロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸を用い、分取逆相HPLCによる精製後、表題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2926Cl (M+H):521.1393、測定値521.1379
【0102】
実施例11
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド
【0103】
【化31】

実施例7で記載した手順に従い、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸の代わりに1−フェニルシクロプロパン−1−カルボン酸を用い、分取逆相HPLCによる精製後、表題化合物を得た。H−NMR (500MHz、CDCl)δ 8.39(d、J=8.8Hz、1H)、7.38−7.45(m、3H)、7.25−7.30(m、5H)、7.11(m、2H)、7.00(dd、J=8.8、2.5Hz、1H)、6.17(d、J=2.5Hz、1H)、5.34(m、1H)、3.80(s、3H)、3.65(s、3H)、3.21(m、2H)、2.68(m、2H)、1.57(m、2H)、1.02(dd、J=6.8、3.7Hz、2H)ppm。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2928 (M+H): 453.2173、測定値453.2158
【0104】
実施例12
tert−ブチル 1−({[[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピル カルバメート
【0105】
【化32】

実施例7で記載した手順に従い、1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸の代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸を用いて表題化合物を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS(ES) 精密質量計算値C2833(M+H):492.2493、測定値492.2481
【0106】
実施例13
1−アミノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド塩酸塩
【0107】
【化33】

0℃でtert−ブチル 1−({[[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピル カルバメート(約100mg)の酢酸エチル(10mL)溶液に、無水HClガスを3分間通した。溶液を1時間攪拌したのち、真空濃縮して表題の塩を得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
HRMS (ES) 精密質量計算値C2325 (M+H):392.1969、測定値392.1960
【0108】
実施例14
4−メトキシ−N−[1−({[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピル]ベンズアミド
【0109】
【化34】

1−アミノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド 塩酸塩(30mg、0.117mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、トリエチルアミン(0.049mL、0.35mmol)を加え、続いて塩化4−(メトキシ)ベンゾイル(24mg、0.14mmol)を加えた。3日後、混合液を真空濃縮した。分取逆相HPLCによる精製により表題化合物を得た。
ESI+ MS:526.0[M+H]
【0110】
実施例15
(±)−ベンジル3−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0111】
【化35】

ステップA:(±)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]ピペリジン−3−カルボン酸
ニペコチン酸(10.0g、77.5mmol)、水酸化ナトリウム(3.4g、85mmol)、及びテトラヒドロフラン(50mL)の氷冷した水(100mL)の溶液に、クロロギ酸ベンジル(13.3mL、93mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液と水酸化ナトリウム(3.4g、85mmol)の水(50ml)溶液を同時に滴下した。徐々に室温まで昇温した。24時間後、テトラヒドロフランを減圧下留去し得られた水性混合液を3N塩酸で酸性化し、ジクロロメタン(3回)で抽出した。有機層を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ液を真空蒸発させて、表題化合物を得た。HNMR (CHCl、300MHz)7.45−7.20(m、5H);5.14(m、2H);4.21(brs、1H);3.96(m、1H)、3.15(brs、1H);2.93(m、1H);2.51(m、1H);2.09(m、1H);1.80−1.60(m、2H);1.50(m、1H)ppm。
【0112】
ステップB:(±)−ベンジル−3−(クロロカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
窒素下で氷冷した1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]ピペリジン−3−カルボキシレート(512mg、1.95mmol)の塩化メチレン溶液に、塩化オキサリル(0.185mL、1.95mmol)と数滴のN、N−ジメチルホルムアミドを加えた。その反応フラスコを徐々に室温まで昇温し、2時間後に溶媒を減圧下留去した。トルエンを加えたのち、真空除去(2回)して、表題化合物を得た。
【0113】
ステップC:4−メトキシ−N−メチル−2−(フェニルメチル)ベンズアミド
本名称の化合物は、WO02/24655号にて報告済みの合成手順を用いて調製された。
【0114】
ステップD:(±)−ベンジル 3−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
4−メトキシ−N−メチル−2−(フェニルメチル)ベンズアミド(500mg、1.96mmol)のテトラヒドロフラン(90mL)溶液をイソプロパノール/ドライアイスで冷却し、sec−ブチルリチウム(3.09mL、4.02mmol)の1.3M溶液を滴加した。15分後、(±)−ベンジル−3−(クロロカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(550mg、1.96mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を加えた。0.5時間後、その反応フラスコの内容物をまず室温まで昇温し、溶媒を減圧下留去した。得られた混合液を1M塩酸で処置し、酢酸エチルで抽出(3回)した。合わせた有機層抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過したのち、真空蒸発させた。トリフルオロ酢酸(1mL)を加えて得られた溶液を10分間攪拌した。得られた反応液を水でクエンチし、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性にした。酢酸エチルで抽出(3回)し、合わせた有機層抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して白色の泡状物質を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)により、表題化合物を白色の泡状物質として得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
ESI+MS:483.3[M+H]
【0115】
実施例16
(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン
【0116】
【化36】

Parrの水素化ジャー内で、(±)−ベンジル 3−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(201mg、0.417mmol)のエタノール(15mL)溶液に、10%パラジウム炭素触媒(50mg)を加えた。このジャーの内容物を60psiで4時間水素化した。セライトでろ過して得たろ過液を真空蒸発させて、表題化合物を白色の泡状物質として得た。生成物のプロトンNMRは、表題化合物と一致した。
ESI+MS:349.2[M+H]
【0117】
実施例17
(±)−3−(1−アセチルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
【0118】
【化37】

(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン(30mg、0.086mmol)とN、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.017mL、0.095mmol)のジクロロメタン(0.100mL)溶液に、塩化アセチル(0.007mL、0.095mmol)を加えた。24時間後、飽和炭酸水素ナトリウムと追加量のジクロロメタンとを加えた。それらの層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空蒸発させ、エーテル−酢酸エチルを用いて粉砕して白色の固形物を得、それを真空ろ過により単離して表題生成物を得た。
ESI+MS:391.3[M+H]
【0119】
実施例18
(±)−6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−3−イル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
【0120】
【化38】

(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン(30mg、0.086mmol)とN、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.017mL、0.095mmol)の塩化メチレン(0.100mL)溶液に、塩化メタンスルホニル(0.007mL、0.095mmol)を加えた。24時間後、飽和炭酸水素ナトリウムと追加量の塩化メチレンとを加えた。それらの層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空蒸発させ、エーテル−酢酸エチルを用いて粉砕して白色の固形物を得、それを真空ろ過により単離して表題生成物を得た。
ESI+MS:427.1[M+H]
【0121】
実施例19
(±)−3−(1−ベンゾイルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
【0122】
【化39】

(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン(30mg、0.086mmol)とN、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.017mL、0.095mmol)のジクロロメタン(0.100mL)溶液に、塩化ベンゾイル(0.011mL、0.095mmol)を加えた。24時間後、飽和炭酸水素ナトリウムと追加量のジクロロメタンとを加えた。それらの層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空蒸発させ、エーテル−酢酸エチルを用いて粉砕して白色の固形物を得、それを真空ろ過により単離して表題の生成物を得た。
ESI+MS:453.3[M+H]
【0123】
実施例20
【0124】
【化40】

3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン
ステップA:
イソプロパノール−ドライアイスで冷却した4−メトキシ−N−メチル−2−(フェニルメチル)ベンズアミド(250mg、0.980mmol)のTHF(50mL)溶液に、アルゴン下、sec−ブチルリチウム(1.3M、1.55mL、2.00mmol)溶液を滴下した。10分後、反応液にベンジル−4−(クロロカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(275mg、980mmol)のTHF(10mL)溶液をすばやく加えた。10分後に反応を水でクエンチしたのち、室温まで昇温した。飽和炭酸水素ナトリウムを加えて得られた混合液を酢酸エチルで抽出(3回)し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を真空蒸発させて粗生成物を得、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50)によって、ベンジル−4−(3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2、3、4−テトラ−ヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを白色の泡状物質として得た(242mg、0.484mmol、49%)。
MS[M+H] 501.2
【0125】
ステップB:
室温にてトリフルオロ酢酸(1mL)にベンジル−4−(3−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2、3、4−テトラ−ヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(215mg、0.443mmol)を攪拌しながら加えた。10分後、反応混合物を2N水酸化ナトリウムで塩基性にし、塩化メチレンで抽出(3回)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を真空蒸発させて固形物を得、それをヘキサン−酢酸エチルを用いて粉砕し、ベンジル−4−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを固形物として得た(141mg、0.292mmol、66%).)。
MS[M+H] 483.2
【0126】
ステップC:
Parrの瓶内で、ベンジル−4−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(120mg、0.249mmol)のエタノール溶液に、10%パラジウム炭素触媒(30mg)を加えた。Parrの瓶の内容物を60psiで3時間水素化した。反応混合液をセライトでろ過し、溶媒を真空蒸発させ、更にエーテルを用いて粉砕し、6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イルイソキノリン−1(2H)−オンを固形物として得た(60mg、0.172mmol、69%))。
MS [M+H] 349.1
【0127】
ステップD:
アルゴン下で、6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イルイソキノリン−1(2H)−オン(20mg、0.057mmol)とN、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.011mL、0.063mmol)の塩化メチレン(0.300mL)溶液に、攪拌下、塩化アセチル(0.005mL、0.063mmol)を加えた。24時間後、飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、有機層を分離して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過ののち、溶媒を減圧下留去し、得られた固形物をエーテル−酢酸エチルを用いて粉砕し、表題化合物を固形物として得た。
MS [M+H] 391.1
【0128】
実施例21
【0129】
【化41】

6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]−4−フェニル−イソキノリン−1(2H)−オン
6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イルイソキノリン−1(2H)−オン(20mg、0.057mmol)とN、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.011mL、0.063mmol)の塩化メチレン(0.300mL)溶液に、アルゴン下、攪拌中、塩化メタンスルホニル(0.005mL、0.063mmol)を加えた。24時間後、飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、有機層を分離して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧下留去して得た固形物を、エーテル−酢酸エチルを用いて粉砕し、表題化合物を固形物として得た。
MS [M+H] 427.1
【0130】
以下に説明する方法を用い、本発明を代表する化合物を評価したところ、Kv1.5アッセイにおける活性が示されたことから、Kv1.5阻害剤及び抗不整脈剤としての本発明化合物の有用性が示され、確認された。このタイプの化合物は前方頻度(フォワードレート)依存性を示す可能性があり、より速い脱分極または心拍数でより強くまたは優先的に外向きK電流を遮断する。以下に説明する電気生理学的検査によって、前述の化合物を同定することができる。例えば、1Hzと3Hzの周波数で送られる一連(トレイン)脱分極の間、3Hzでの一連10秒間に観察される遮断量が1Hzでの一連10秒間での遮断量よりも大きいならば、その遮断は「頻度依存性」である。Kv1.5遮断剤は、使用依存性を示す可能性もあり、その間、外向きK電流の遮断は、使用とともに若しくは心臓細胞脱分極の繰り返しの間、増す。遮断の使用依存性は、それぞれの連続的な一連の脱分極とともに、または一定の頻度(レート)または周波数でのそれぞれの連続的なパルス系列または脱分極系列とともに、より強く発生する。例えば、1Hzの周波数での10回の連続脱分極の間、その連続の最初のパルスの遮断量よりも10回目のパルスの遮断量が大きいならば、その遮断は「使用依存性」である。Kv1.5遮断剤は、使用依存性と頻度依存性の両方を示す可能性がある。
【0131】
様々な種からの心筋細胞または他の組織を用いたネイティブIKurの電気生理学的検査によってKv1.5遮断剤を同定することもでき、前記の種として、ヒト、ラット、マウス、犬、サル、フェレット、ウサギ、モルモット、ヤギなどが含まれるが、これらに限定されない。ネイティブ組織においてKv1.5はホモオリゴマーとして、若しくは他のKv同族類とともにヘテロオリゴマーとして存在することがあり、また、βサブユニットを持つ複合体中に存在することもある。本発明の化合物はKv1.5ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーまたはβサブユニットを持つ複合体中のKv1.5を遮断することもある。
【0132】
Kv1.5アッセイ
ハイスループットのKv1.5プラナーパッチクランプアッセイは、系統的一次スクリーニング法である。このアッセイにより活性を確認でき、Kv1.5カリウムチャネルに特異的に作用する薬剤の効能の機能的測定ができる。Kissら(Assay and Drug Dev.Tech.,1(1−2):127−135,2003)及びSchroederら(J.ofBiomol.Screen.,8(1);50−64,2003)は、Kv1.5及び他の電位依存性イオンチャネルに用いる方法としてこのアッセイを説明している。
【0133】
ヒトの心臓からクローンした、ヒトKv1.5カリウムチャネルのαサブユニットを安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を、FBS10%、ペニシリン100U/mL、ストレプトマイシン100μg/mL、G−418硫酸塩1,000μg/mLを追加したハムのF12培地で90〜100%コンフルエンスに培養する。細胞をVerseneで処置して継代培養したのち、リン酸緩衝食塩水(PBS)に懸濁して遠心分離する。その細胞ペレットをPBSに再懸濁して得た懸濁液をIonWorksTMHT装置の細胞リザバーに配置する。
【0134】
以下(各単位mM)を含む細胞内溶液を用いて電気生理学的記録を取る。グルコン酸カリウム塩 100、KCl 40、MgCl 3.2、EGTA 3、pH7.3に調整したN−2−ヒドロキシルエチルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸(HEPES) 5。アンフォテリシン(シグマ)を30mg/mL原液として調製し、内部緩衝液中へ最終使用濃度0.1mg/mLに希釈する。外部溶液はダルベッコのPBS(Invitrogen)であり、CaCl 0.90、KCl 2.67、KPO 1.47、MgCl 0.50、NaCl 138、NaPO 8.10(各単位mM)を含み、pH7.4である。すべての化合物は10mMの原液としてDMSOで調製される。実験中、化合物を外部緩衝液へ希釈したのち、薬剤プレートからパッチプレートに移す(最終DMSO濃度<0.66%(体積百分率))。
【0135】
Kv1.5イオン電流を室温で記録する。膜電流を増幅(RMS約10pA)して10kHzでサンプル採集する。試験パルスの適用以前に160ms過分極化(10mV)前置パルス200msを適用することにより、すべての実験においてリーク減算を行い、リーク伝導性を測定する。パッチクランプ刺激プロトコルは、以下のとおり。
1. パッチプレートウェルに外部緩衝液3.5μLを載せる。
2. 各ホールに10mVの電位差を160msで適用することによって、プラナー マイクロピペットホール抵抗(Rp)を求める(ホール試験)。
3. ピペットを用いてパッチプレートに細胞を播種し、各パッチプレートウェルの底部に1〜2μmの穴を持つ高抵抗のシールを形成する。シール試験スキャンを実行し、シールを形成した細胞を有するパッチプレートウェルの数を求める。
4. それらの細胞への電気的アクセスを得るために、アンフォテリシンを含む細胞内溶液を、パッチプレートの底部に4分間循環させる。
5. 化合物適用前の追加試験パルスをパッチプレートの各ウェルに適用する。プロトコルは以下のとおり。電位−80mVの膜で15秒間、細胞電圧固定法を行う。そののち、5Hzの連続刺激(+40mVまで、150msの脱分極を27回)を適用する。前記膜の電位が+40mVになり、外向き(陽)イオン電流を起こす。
6. パッチプレートの各ウェルに化合物を追加する。化合物を5分間インキュベートする。
7. 化合物適用後の添加試験パルスを適用する。プロトコルは以下のとおり。−80mVの膜保持電圧で15秒間、細胞電圧固定法を行う。そののち、一連の5Hz刺激(+40mVまで、150msの脱分極を27回)を適用する。
【0136】
データ解析はオフラインで行う。薬剤添加前と薬剤添加後の一対比較法を用いて、各化合物の阻害効果を測定する。27回目の脱分極の間の+40mV(一連の5Hzにおいて)へのピーク対照電流の阻害率(%)を、アンタゴニスト濃度の関数としてプロットする。前記濃度反応データにHill等式を適合することにより、電流を50%阻害するために必要な薬物濃度(IC50)を求める。
対照の%=100X(1+([薬剤]/IC50−1
【0137】
各細胞につき、4つの計算測定値を得る。
1. シール抵抗
2. ベースライン測定値(+40mVへの最初の脱分極前5〜45msの70 mV での平均電流)
3. 電流上昇測定値(+40mVへの最初の脱分極中の化合物添加前平均電流振幅から、+40mVへの27回目の脱分極中の化合物添加前平均電流振幅を差し引いたもの)
4. ピーク電流(一連の5Hz中の+40mVへの27回目の脱分極中の最大電流振幅)
【0138】
測定値はすべて、化合物添加前及び化合物添加後のトレース中に入手される。次の条件を満たす場合、細胞はその後の解析から外される。
1. シール抵抗が<50MΩである。
2. 化合物添加前において、ベースライン測定値が>±100pAである。
3. 電流上昇測定値が>−0.2nAである。
4. 読み取り前のピーク測定値が<400pAである。
【0139】
上記の化合物は、上述のハイスループットKv1.5プラナーパッチクランプアッセイにおいて、33μM以下の濃度で阻害率20%である。
【0140】
原子吸光分光分析プロトコル
このアッセイは、フレーム原子吸光分光法(FAAS)を用いてRb流出を測定し、CHO細胞において非相同発現されるヒトKv1.5K+チャネルを特異的に遮断する薬剤を同定する。FAASを用いたイオンチャネル活性の測定については、Terstappenら(Anal.Biochem.,272:149−155,1999)の方法を適用した。
【0141】
上述の方法でヒトKv1.5を発現するCHO細胞を培養し、トリプシン−EDTAで採集し、培養液で洗浄する。
【0142】
1. 96個のウェルのある細胞培養プレート(アッセイプレート)に、ウェル当たり40,000細胞を播種し、37℃で48時間培養する。
2. 前記培養液を除去し、5%CO下、37℃でRb Load Buffer(Aurora Biomed製、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市(カナダ))200μLを3時間加えた状態にする。
3. 前記細胞をHank’s Balanced Salt Solution (略称:HBSS、ハンクス液)200μLで5回洗浄したのち、試験化合物または0.5%DMSOを含むHBSS100μLを加える。
4. 10分後、140mMのKClを含むHEPES緩衝食塩水100μLを加え、プレートをゆるやかに振とうしながら室温で5分間インキュベートする。
5. その後直ちに、上清150μLを新しい96個ウェルプレートに移し、残りの上清を吸引する。
6. 前記アッセイプレートにCell Lysis Buffer (Aurora Biomed製、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市(カナダ))(細胞溶解緩衝液)120μLを加え、10分間振とう後、解析を行う。
7. ICR−8000 自動AAS装置(Aurora Biomed製、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市(カナダ))を用いて上清(SUP)と溶解物(LYS)のサンプルにおいてRb含有量を測定する。
【0143】
% FLUX(フラックス)=100%*(SUP/(LYS+SUP))。
%INH=100%*(1−(A−B)/(C−B))であり、前記式においてAは被験化合物存在下での%FLUXであり、Bは10mM(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)−N、N−塩化ジメチルメタンアミニウム)存在下での%FLUXであり、Cは0.25%DMSO存在下での%FLUXである。
【0144】
上記の化合物は、上述のAASアッセイにおいて、25μM以下の濃度で阻害率25%である。
【0145】
本発明に従い、温血動物の体内の作用位置と当該有効成分化合物との接触を可能にするあらゆる手段で、苦悩、病気、疾病の治療と予防のために本発明の化合物を投与することができる。例えば、経口及び局所投与が可能であり、経皮、点眼、経口腔、経鼻腔、吸入、経膣、経直腸、槽内、非経口による投与を含む。本書における「非経口」とは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内注射または注入、胸骨内及び腹腔内投与を含む投与形態を示す。
【0146】
当該化合物は、医薬品との併用により利用可能なあらゆる従来手法によって、個別の治療薬として、若しくは治療薬の組み合わせとして投与することが可能であり、当該化合物は単独投与もできるが、一般には、選択された投与経路と標準的な医薬実務に基づき医薬担体とともに投与される。
【0147】
本発明の開示の目的において、温血動物とは、恒常性(ホメオスタティック)維持機構を有する動物界に属し、哺乳類及び鳥類を含む。
【0148】
投与量は、被投与者の年齢、健康状態、体重、病状、併用療法がある場合はその種類、治療頻度、望まれる効果によって異なる。通常、活性成分化合物の1日の投与量は約1〜500ミリグラムとなるであろう。通常は、1日に10〜100ミリグラムの1回以上の投与が、望ましい結果を得るために有効である。これらの投与量は上述の苦悩、病気と疾病、すなわち例えば心房細動、心房粗動、心房不整脈など心不整脈、上室性頻拍症、卒中及び鬱血心不全など血栓塞栓症、免疫抑制の治療と予防の有効量である。
【0149】
その有効成分は、カプセル、錠剤、トローチ、糖剤、顆粒、粉末など固形剤型にて経口投与することもでき、エリキシル、シロップ、乳濁液、分散液及び懸濁液など液体剤型にて投与することもできる。前記有効成分は、分散液、懸濁液または溶液などの滅菌液体剤型にて非経口投与することもできる。前記有効成分の投与に用いることのできる他の剤型として、局所投与のための軟膏、クリーム、ドロップ(滴剤)、経皮パッチまたは粉末、若しくは点眼投与のための点眼液または点眼懸濁液(すなわち点眼薬)、若しくは吸入または経鼻腔投与のためのエアゾールスプレーまたは粉末組成、若しくは経直腸または経膣投与のためのクリーム、軟膏、スプレーまたは坐薬が挙げられる。
【0150】
ゼラチンカプセルは、前記有効成分と、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの粉末担体とを含む。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を作ることもできる。錠剤もカプセルも、何時間かにわたり薬剤を持続放出するよう、徐放性製剤として製造することができる。不快な味を隠し、空気との接触から錠剤を保護するために、圧縮錠剤を砂糖またはフィルムでコーティングすること、若しくは胃腸管で選択的に溶解するように腸溶性コーティングを圧縮錠剤に適用することができる。
【0151】
患者が薬剤を受け入れやすくなるよう、経口投与のための液体剤型に着色料及び香味料を含んでもよい。
【0152】
一般に、水、適切なオイル、食塩水、水性ブドウ糖(グルコース)、及び関連する砂糖溶液、及びプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールが非経口溶液の担体として適している。好ましくは、非経口投与の溶液は、前記有効成分の水溶性塩と適切な分解防止剤とを含み、必要に応じて緩衝用物質を含む。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような酸化防止剤の単独または組み合わせは、好ましい安定剤である。また、クエン酸及びその塩、EDTAナトリウムも用いられる。更に、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン及びクロロブタノールのような保存剤を含んでもよい。
【0153】
適切な医薬品担体については、当該分野で標準参考文献とされている『Remington’s Pharmaceutical Sciences』(A. Osol)に説明されている。
【0154】
吸入投与の場合、便利な加圧パックまたは医用吸入器(ネビュライザー)を利用したエアゾールスプレーの形で本発明の化合物を提供することができる。前記化合物はまた、製剤可能な粉末として提供することもでき、前記粉末組成は吹送粉末吸入装置を利用して吸入することができる。吸入投与のための好ましい伝達系は定量噴霧吸入器(MDI)エアゾールであり、フッ化炭素や炭化水素のような適切な噴射剤を使い、式Iの化合物の懸濁液または溶液として製剤することができる。
【0155】
点眼投与については、眼の角膜と内部領域に前記化合物が浸透するために十分な時間にかけて前記化合物と眼の表面との接触状態が維持されるよう、適切な点眼担体を使い、式Iの化合物の適切な重量百分率の溶液または懸濁液で点眼用製剤を調製することができる。
【0156】
本発明の化合物の投与に有用な医薬剤型として、硬ゼラチン及び軟ゼラチンカプセル、錠剤、非経口注射剤及び経口懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。
【0157】
多数のユニットカプセルは、粉末有効成分100ミリグラム、ラクトース150ミリグラム、セルロース50ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム6ミリグラムを含む標準的な2片式硬ゼラチンカプセルを充填して調製される。
【0158】
大豆オイル、綿実油またはオリーブオイルのような可消化オイル中に有効成分混合物を調製し、容積移送式ポンプを用いてゼラチンに注入することにより、前記有効成分を100ミリグラム含む軟ゼラチンカプセルを形成する。そして該カプセルを、洗浄及び乾燥する。
【0159】
多数の錠剤は、投与単位として有効成分100ミリグラム、コロイド性二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶性セルロース275ミリグラム、デンプン11ミリグラム、ラクトース98.8ミリグラムを含む従来の手順で調製される。し好性の改善または吸収の遅延のために、適切なコーティングを適用することができる。
【0160】
注入投与に適した非経口組成物は、10%(体積百分率)のプロピレングリコール中で1.5%(重量百分率)の有効成分になるように攪拌して調製される。注入投与のために前記溶液に水を加え容積を調整し、滅菌する。
【0161】
経口投与のための水性懸濁液は、5ミリリットルにつき、微細分割した有効成分100ミリグラム、カルボキシメチルセルロースナトリウム100ミリグラム、安息香酸ナトリウム5ミリグラム、米国薬局方ソルビトール溶液1.0グラム、ヴァニリン0.025ミリリットルを含むように調製される。
【0162】
本発明の化合物を段階投与する場合も、若しくは別の治療薬と併せて投与する場合も、一般にこれと同じ形式を用いることができる。物理的組み合わせで薬剤を投与する場合、その剤型と投与経路は、組み合わされた薬剤の適合性に基づいて選択されるべきである。したがって、併用という用語は、2つの薬剤の同時または連続投与、若しくは2つの有効成分の固定投与量の組み合わせとしての投与を含むものと理解される。
【0163】
本発明の化合物は、単独有効成分としても、第2の有効成分との組合せとしても投与可能であり、前記第2有効成分として、キニジン、プロパフェノン、アンバシリド、アミオダロン、フレカイニド、ソタロール、ブレチリウム、ドフェチリド、アルモカラント、ベプリジル、クロフィリウムなどKv1.5遮断活性を有する他の抗不整脈剤、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ブピヴァカイン、エリスロマイシン、ヴェラパミール、ニフェジピン、ザテブラジン、ビスインドリルマレイミドなどKv1.5遮断活性を有する他の化合物、または他の心臓血管系薬剤として、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリルなどACE阻害剤、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、ヴァルサルタンなどアンギオテンシンIIアンタゴニスト、ジゴキシンなど強心配糖体、L型カルシウムチャネル遮断剤、T型カルシウムチャネル遮断剤、選択性及び非選択性β遮断剤、免疫抑制化合物、エンドセリン アンタゴニスト、トロンビン阻害剤、アスピリン、ナプロキセンなどアスピリン以外の非選択性NSAID、ワルファリン、Xa因子阻害剤、低分子量ヘパリン、非分画ヘパリン、クロピドグレル、チクロピジン、チロフィバンなどIIb/IIIa 受容体アンタゴニスト、5HT受容体アンタゴニスト、インテグリン受容体アンタゴニスト、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、TAFI阻害剤、P2T受容体アンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。また、本発明の化合物を単独有効成分として投与することも、ペースメーカーまたは心臓細動除去器との組み合わせにおいて投与することもできる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
【化1】

の化合物若しくは医薬的に許容される塩、結晶形、または水和物であり、
式中、Aは、
a)アリール環であり、前記アリール環において安定したアリール環原子は、独立して、未置換であるか、以下によって置換され、
1) ハロゲン、
2) NO
3) CN、
4) CR46=C(R4748
5)
【化2】

6) (CROR46
7) (CRN(R4647)、
8) (CRC(O)R46
9) (CRC(O)OR46
10) (CR46
11) (CRS(O)0−261
12) (CRS(O)0−2N(R4647)、
13) OS(O)0−261
14) N(R46)C(O)R47
15) N(R46)S(O)0−261
16) (CRN(R46)R61
17) (CRN(R46)R61OR47
18) (CRN(R46)(CRC(O)N(R4748)、
19) N(R46)(CR61
20) N(R6)(CRN(R4748)、
21) (CRC(O)N(R4748)、または
22) オキソ、或いは、
b)ヘテロアリール環であり、
N、OまたはSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和5員環、
N、O及びSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和6員環、及び、
N、OまたはSから成る一群から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの環上へテロ原子を有する不飽和9員または10員二環、からなる一群から選択され、
前記環において、安定なSヘテロアリール環原子は未置換であるか、オキソで単置換または二置換され、安定なCまたはNヘテロアリール環原子は、独立して、未置換であるか、以下によって置換され、
1) ハロゲン、
2) NO
3) CN、
4) CR46=C(R4748
5)
【化3】

6) (CROR46
7) (CRN(R4647)、
8) (CRC(O)R46
9) (CRC(O)OR46
10) (CR46
11) (CRS(O)0−261
12) (CRS(O)0−2N(R4647)、
13) OS(O)0−261
14) N(R46)C(O)R47
15) N(R46)S(O)0−261
16) (CRN(R46)R61
17) (CRN(R46)R61OR47
18) (CRN(R46)(CRC(O)N(R7R48)、
19) N(R46)(CR61
20) N(R46)(CRN(R4748)、
21) (CRC(O)N(R4748)、または、
22) オキソ、
は、
1) 水素、
2) (CR40
3) (CROR40
4) (CRN(R4041)、
5) (CRN(R40)C(O)OR41
6) (CRN(R40)(CRN(R41)C(O)R49
7) C3−8シクロアルキル、
8) (CRC(O)OR40
9) (CRN(R40)(CR1−341
10) (CRS(O)0−2
11) (CRS(O)0−2N(R4041)、
12) (CRN(R40)ROR41
13) (CRN(R40)(CR0−6C(O)N(R4142)、からなる一群から選択され、
は、(CH22またはR85であり、
、R、R及びR10は、独立して、
1) 水素、
2) ハロゲン、
3) NO
4) CN、
5) CR43=C(R4445)、
6)
【化4】

7) (CROR43
8) (CRN(R4344)、
9) (CRC(O)R43
10) (CRC(O)OR43
11) (CR43
12) (CRS(O)0−260
13) (CRS(O)0−2N(R4344)、
14) OS(O)0−260
15) N(R43)C(O)R44
16) N(R43)S(O)0−260
17) (CRN(R43)R60
18) (CRN(R43)R60OR44
19) (CRN(R43)(CRC(O)N(R4445)、
20) N(R43)(CR60
21) N(R43)(CRN(R4445)、及び、
22) (CRC(O)N(R4344)、から選択されるか、
または、R及びRは、独立して、上記に定義したものであり、R及びR10は、それらが結合する原子とともに環
【化5】

を形成し、ここで、Rは、C1−6アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、独立して、
1) 水素、
2) C−Cアルキル、
3) ハロゲン、
4) アリール、
5) R80
6) C−C10シクロアルキル、及び
7) OR、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、Rで単置換されるか、R及びR15で二置換されるか、R、R15及びR16で三置換されるか、またはR、R15、R16及びR17で四置換され、
、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R51、R52、R53及びR54は、独立して、
1) 水素、
2) C−Cアルキル、
3) C−C10シクロアルキル、
4) アリール、
5) R81
6) CF
7) C−Cアルケニル、及び、
8) C−Cアルキニル、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、R18で単置換されるか、R18及びR19で二置換されるか、R18、R19及びR20で三置換されるか、またはR18、R19、R20及びR21で四置換され、
、R60、R61及びR63は、独立して、
1) C−Cアルキル、
2) アリール、
3) R83、及び、
4) C−C10シクロアルキル、からなる一群から選択され、
前記のアルキル、アリール及びシクロアルキルは、未置換であるか、R26で単置換されるか、R26及びR27で二置換されるか、R26、R27及びR28で三置換されるか、またはR26、R27、R28及びR29で四置換され、
、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R26、R27、R28及びR29は、独立して、
1) C−Cアルキル、
2) ハロゲン、
3) OR51
4) CF
5) アリール、
6) C−C10シクロアルキル、
7) R84
8) S(O)0−2N(R5152)、
9) C(O)OR51
10) C(O)R51
11) CN、
12) C(O)N(R5152)、
13) N(R51)C(O)R52
14) S(O)0−263
15) NO
16) N(R5152)、及び、
17) R82、からなる一群から選択され
22は、
1) NHC(O)R88、及び、
2) N(R5354)、からなる一群から選択され、
88は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、
80、R81、R82、R83、R84及びR85は、独立して、N、O及びSから成る一群から選択される1つ、2つ、または3つの環上へテロ原子を有する不飽和または飽和3員〜6員環、及びN、OまたはSから成る一群から選択される1つ、2つ、3つまたは4つの環上へテロ原子を有する不飽和または飽和9員または10員二環、から成る未置換または置換のへテロ環の一群より選択され、
n、p、q、r及びsは、独立して、0、1、2、3、4、5または6である。
【請求項2】
Aが、未置換であるか若しくは請求項1に定義した置換基を有するフェニルから選択されるアリール環であるか、またはピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、インドール、ピロロピリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾキサジアゾールから成る一群から選択される、未置換であるか若しくは請求項1に定義した置換基を有するヘテロアリール環であり、
、R、R及びR10は、独立して、
1) 水素、
2) ハロゲン、
3) OR43、及び
4) (CR43、からなる一群から選択されるか、若しくは、
及びRは、独立して、上記に定義したものであり、R及びR10は、それらが結合する原子とともに環
【化6】

を形成し、ここでRはC1−6アルキルであり、
は、
1) 水素、
2) (CR1−240
3) (CR)1−2OR40
4) (CR1−2N(R4041)、
5) (CR1−2N(R40)C(O)OR41
6) (CR1−2N(R40)(CRN(R41)C(O)R49
7) (CR1−2C(O)OR40
8) (CR1−2N(R40)(CR1−341、及び
9) シクロプロピル、からなる一群から選択される、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
、R、R及びR10が、独立して、水素及び(CR)pOR43から成る一群から選択される、請求項2に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項4】
が、(CR40またはC−C10シクロアルキルである、請求項3に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項5】
Aが、未置換アリール環である、請求項4に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項6】
が、
【化7】

からなる一群から選択される、請求項5に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項7】
3−(2−アミノエチル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アセトアミド、
6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−(2−ピペリジン−1−イルエチル)イソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−[2−(2−オキソピロリジン−1−イル)エチル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−(2−モルホリン−4−イルエチル)−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキサミド、
1−シアノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−(4−メトキシフェニル)アセトアミド、
1−(2、4−ジクロロフェニル)−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]−1−フェニルシクロプロパンカルボキサミド、
Tert−ブチル 1−({[[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピルカルバメート、
1−アミノ−N−[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]シクロプロパンカルボキサミド、
4−メトキシ−N−[1−({[2−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)エチル]アミノ}カルボニル)シクロプロピル]ベンズアミド、
(±)−ベンジル 3−(6−メトキシ−2−メチル−1−オキソ−4−フェニル−1、2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート、
(±)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−3−ピペリジン−3−イルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−3−(1−アセチルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−6−メトキシ−2−メチル−3−[1−(メチルスルホニル)ピペリジン−3−イル]−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
(±)−3−(1−ベンゾイルピペリジン−3−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、
3−(ピリド−2−イル)−6−メトキシ−2−メチル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、及び、
3−(チアゾール−2−イル)−6−メトキシ−2−シクロプロピル−4−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン、からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項8】
哺乳動物におけるある病状を治療する方法であって、前記病状の治療はKv1.5 の阻害によって有効または可能となり、前記方法は、Kv1.5の阻害に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与する過程を包含する方法。
【請求項9】
その病状が心不整脈である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
その心不整脈が心房細動である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
その心不整脈が心房粗動、心房不整脈及び上室性頻拍症から成る一群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
哺乳動物におけるある病状を予防する方法であって、前記病状の予防はKv1.5の阻害によって有効または可能となり、前記方法は、Kv1.5の阻害に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与する過程を包含する方法。
【請求項13】
その病状が心不整脈である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
その心不整脈が心房細動である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
その心不整脈が心房粗動、心房不整脈及び上室性頻拍症から成る一群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
その病状が血栓塞栓症である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
その血栓塞栓症が卒中である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
その病状が鬱血心不全である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
医薬的に許容される担体と、請求項1に記載の化合物若しくは医薬的に許容されるその結晶形または水和物を含有する医薬製剤。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容される担体とを組み合わせて調製される医薬組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物と、Kv1.5遮断活性を有する抗不整脈剤、ACE阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、強心配糖体、L型カルシウムチャネル遮断剤、T型カルシウムチャネル遮断剤、選択性及び非選択性ベータ遮断剤、エンドセリンアンタゴニスト、トロンビン阻害剤、アスピリン、非選択性NSAID、ワルファリン、第Xa因子阻害剤、低分子量ヘパリン、非分画ヘパリン、クロピドグレル、チクロピジン、IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、5HT受容体アンタゴニスト、インテグリン受容体アンタゴニスト、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、TAFI阻害剤、及びP2T受容体アンタゴニストから成る化合物クラスの1つから選択される化合物、とを投与する過程を包含する心不整脈の治療方法。
【請求項22】
心房細動を患う患者に正常な洞律動状態を誘発する方法であって、請求項1に記載の化合物で心房細動を患う患者を治療する過程を包含する方法。
【請求項23】
患者において頻拍症を治療する方法であって、該患者を抗頻拍症装置と請求項1に記載の化合物とを組み合わせて治療する過程を包含する方法。


【公表番号】特表2007−506679(P2007−506679A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527053(P2006−527053)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030484
【国際公開番号】WO2005/030726
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】