説明

イミダゾ[1,2‐α]ピリジニルビスホスホネート

新規のイミダゾ[1,2‐α]ピリジニルビスホスホネート化合物、さらには、該化合物を合成する方法、該化合物を含有する医薬組成物、ならびに、骨および関節の疾患ならびにその他の障害を含む、カルシウムおよびリン酸の代謝異常を治療する方法における該化合物の投与、を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年9月22日出願、発明の名称が「イミダゾ[1,2‐α]ピリジニルビスホスホネート」である米国特許仮出願第61/098,981号の優先権を主張するものであり、当該仮出願の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
新規なビスホスホネート化合物を開示し、さらには、該化合物の吸収抑制剤としての活性、ならびに、骨代謝に関連する障害、カルシウムおよびリン酸の代謝異常、ならびにその他の障害の治療と予防のための該化合物の活性を開示する。この新規なビスホスホネート化合物を合成するためのプロセス、さらにはそれを用いる方法、およびそれを含有する医薬組成物も開示する。
【背景技術】
【0003】
ビスホスホネートは、最初、硬水中のカルシウムと複合体を形成して洗浄性能を向上させることを目的として開発された。それ以来、ビスホスホネートは、カルシウムおよびリン酸の代謝異常を特徴とする疾患または状態の治療、ならびに予防に有用であることが明らかにされてきた。そのような状態は、大きく2つに分類することができる。1つは、カルシウムおよびリン酸の異常動員を特徴として、全体的もしくは特異的な骨減少、または体液中のカルシウムおよびリン酸のレベルの過剰亢進につながる状態である。当該状態は、病理学的硬組織脱ミネラル化(pathological hard tissue demineralization)と称される場合がある。もう1つは、体内におけるカルシウムおよびリン酸の異常な沈着を引き起こすかまたはそれに起因する状態である。後者の状態は、病理学的石灰化(pathological calcifications)と称される場合がある。
【0004】
前記第一の分類には、骨硬組織が新しい硬組織の発生と不均衡に喪失し、最終的には骨折をもたらす状態である骨粗しょう症が含まれる。本質的な量の海綿骨および皮質骨が失われ、骨髄腔および骨小腔が拡大した結果、骨の強度が低下する。骨密度も低下し、骨はもろくなる。骨粗しょう症は、遺伝性、老年性、薬物誘発性(例:アドレノコルチコイド、ステロイド療法で起こり得る)、疾患誘発性(例:関節炎および腫瘍)などにサブ分類することができるが、その症状は類似している。第一の分類に含まれる別の状態は、パジェット病(変形性骨炎)である。この疾患では、正常な骨の溶解が発生し、続いてこれが軟質で石灰化の不十分な組織と無作為に置換され、それにより、特に脛骨および大腿骨において体重を支える圧力によって骨が変形してしまう。副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、および溶骨性骨転移もこの第一の分類に含まれる状態である。
【0005】
カルシウムおよびリン酸の異常沈着の症状を示す状態を含む前記第二の分類には、進行性骨化性筋炎、汎発性石灰沈着症(calcinosis universalis)、ならびに関節炎、神経炎、滑液包炎、腱炎、および関与する組織にリン酸カルシウム沈着を起こしやすくするその他の炎症状態などの疾患が含まれる。
【0006】
カルシウムおよびリン酸の代謝異常が関与する状態の治療および予防には、種々のポリホスホン酸誘導体の使用が提案されている。例えば、エタン‐1‐ヒドロキシ‐1,1‐ジホスホン酸(EHDP)、プロパン‐3‐アミノ‐1‐ヒドロキシ‐1,1‐ジホスホン酸(APD)、およびジクロロメタンジホスホン酸(ClMDP)などのジホスホネートが、この分野における多くの研究の取り組み対象となっている。パジェット病および異所性骨化症はEHDPで治療されている。同様に、リセドロネートおよびアレンドロネートが骨障害の治療に用いられており、特許文献1は、ヘテロ環式ビスホスホン酸誘導体および骨吸収抑制剤としてのその使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,990,503号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ビスホスホネートは、骨組織の吸収を阻害する傾向にあり、これは過剰な骨減少に罹患する患者にとって有益である。しかし、EHDP、APD、およびClMDPなどの初期のビスホスホネートの多くは、高用量であると骨石灰化を阻害する傾向が強く、この現象は、長期間にわたる治療の過程で特に問題となる。骨石灰化は、骨粗しょう症などの障害の治療に不可欠である。適切に石灰化されていない骨組織は、軟質で曲がりやすく、骨の強度または骨格の支持に寄与しない。従って、長期間にわたる石灰化の阻害は、骨折リスクの増加、小児におけるクル病、および成人における骨軟化症などの有害な副作用をもたらし得る。より少ない用量での投与を可能とする効力を高めたビスホスホネートの開発をもってしても、骨石灰化不良の可能性は依然として存在する。
【0009】
ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)は、メバロン酸経路における重要な調節酵素である。哺乳類細胞に広範に存在するこの経路は、コレステロールおよびイソプレノイドなどの必須脂質分子を提供し、後者は、低分子GTPアーゼの翻訳後プレニル化に必要である。この経路の阻害は、広く臨床的な用途が見出されてきた考え方であり、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼを阻害してコレステロールの生合成を抑制する薬物としてのスタチン、およびFPPSを標的とし、タンパク質のプレニル化を阻害する骨粗しょう症治療のための薬物としての窒素含有ビスホスホネート(N‐BPs)がある。N‐BPsの場合、これらの化合物に特有の骨を標的とする薬物動態特性が、FPPSの選択的な阻害、および破骨細胞におけるタンパク質のプレニル化の低下を引き起こし、それによってこのような細胞の骨破壊機能を抑制する。
【0010】
本明細書で述べるイミダゾ[1,2‐α]ピリジニルビスホスホネート誘導体は、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性関節症、パジェット病、歯周疾患を伴うことが多い歯槽骨喪失、および骨関連癌治療などの骨ならびに関節の疾患を含む、カルシウムおよびリン酸代謝異常に関連する障害の治療ならびに/または予防に有用である。本明細書で述べる化合物は、骨組織の吸収を抑制する能力を有し、ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)の阻害剤である。さらに、このような化合物は、それに対応して、整形外科的用途(骨折修復およびインプラント固定;ならびに、プロステーシスの緩みおよび種々の骨の骨壊死の予防、が挙げられるが、これらに限定されない)を有する。その他の用途としては、免疫調節および抗炎症効果、ならびに種々の寄生虫障害(例:マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ病、エントアメーバ感染症、ジアルジア感染症、およびクリプトスポリジウム感染症)における使用が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある態様は、従って、一般式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を包含する。
【0012】
【化1】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;および、Rは、F、Cl、または水素である。
【0013】
本開示の本態様の実施形態では、RおよびRは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFであってよい。
【0014】
本開示のある実施形態では、Rは、水素、または低級アルキルであってよく;および、Rは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。
【0015】
本開示の本態様の他の実施形態では、Rは、水素、エチル、またはt‐ブチルであってよく、およびRは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。ある実施形態では、Rは、水素またはFであってよい。
【0016】
本開示の本態様のある実施形態では、Rは、水素であってよく、Rは、水素またはメチルであってよく、およびRは、水素またはFであってよい。
【0017】
本開示の本態様のある他の実施形態では、Rは、エチルまたはt‐ブチルであり、Rは、水素であり、およびRは、水素またはFである。
【0018】
本開示の本態様の実施形態は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0019】
本開示の本態様のある実施形態では、化合物は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩である。
【0020】
本開示の別の態様は、式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を包含し、
【0021】
【化2】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;および、Rは、F、Cl、または水素である。
【0022】
本開示の本態様の実施形態では、RおよびRは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFであってよい。
【0023】
本開示のある実施形態では、Rは、水素、または低級アルキルであってよく;および、Rは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。
【0024】
本開示の本態様の他の実施形態では、Rは、水素、エチル、またはt‐ブチルであってよく、およびRは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。ある実施形態では、Rは、水素またはFであってよい。
【0025】
本開示の本態様のある実施形態では、Rは、水素であってよく、Rは、水素またはメチルであってよく、およびRは、水素またはFであってよい。
【0026】
本開示の本態様のある他の実施形態では、Rは、エチルまたはt‐ブチルであり、Rは、水素であり、およびRは、水素またはFである。
【0027】
本開示の本態様の実施形態は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0028】
本開示の本態様のある実施形態では、本組成物は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容されるキャリアを含む。
【0029】
本開示のさらに別の態様は、対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝を調節する方法を包含し、この方法は、その対象である動物もしくはヒトに、式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の効果量を投与することを含む。これによって、対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝が改変される。
【0030】
【化3】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;および、Rは、F、Cl、または水素である。
【0031】
本開示の本態様の方法の実施形態では、化合物を投与する前の対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝は、異常であり、骨格障害に伴うものであってよい。本開示の本態様のある実施形態では、骨格障害は、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性関節症、パジェット病、歯槽骨減少、骨関連癌、および整形外科的障害から成る群より選択されるものであってよいが、これらに限定されない。
【0032】
他の実施形態では、障害は骨格以外の障害であってよく、骨癌以外の癌、免疫調節障害、炎症性障害、または寄生虫障害などであり得るが、これらに限定されない。これらの実施形態では、寄生虫障害は、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ病、エントアメーバ感染症、ジアルジア感染症、およびクリプトスポリジウム感染症であってよいが、これらに限定されない。
【0033】
本開示の本態様の方法の実施形態では、対象である動物またはヒトに投与される化合物は、対象である動物またはヒトのファルネシルピロリン酸シンターゼの活性を改変することができる。
【0034】
本開示の本態様の方法の実施形態では、化合物またはその薬理学的に許容される塩は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される。
【0035】
本開示のさらなる態様は、以下に述べるその種々の実施形態の詳細な説明を、添付の図面と合わせて参照することでより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】式Iの化合物を作製するためのプロセスとしてのスキーム1を概略的に示す図である。
【図2】式Iの化合物の合成に用いられる、化合物Iを作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図3】1‐フルオロ‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図4】2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図5】[2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ビスホスホン酸(34)を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図6】2‐(8‐(ベンジルオキシ)イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン‐ビスホスホン酸(36)を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図7】[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸(40)を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図8】[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸(75)を作製するためのプロセスを概略的に示す図である。
【図9】距骨吸収スコアの結果を示すグラフである。足首における骨吸収は、用量依存的な減少を示した。この減少は、最も高い2つの用量レベルにおいて(156.9μg/kgおよび523.0μg/kg)、ビヒクルに対して統計的な有意差を有していた(p=0.05)。
【図10】膝骨の吸収スコアの結果を示すグラフである。骨吸収は、用量依存的な減少を示した。この減少は、最も高い3つの用量レベルにおいて(15.69μg/kg、156.9μg/kg、および523.0μg/kg)、ビヒクルに対して統計的な有意差を有していた(p=0.05)。
【0037】
図面は、以下の説明および実施例においてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示の方法およびシステムの代表的な実施形態のいくつかについて、その詳細を以下の説明に示す。本開示のその他の特徴、目的、および利点は、当業者であれば、以下の説明、図面、実施例、および請求項を考察することで明らかとなるであろう。そのような追加的なシステム、方法、特徴、および利点はすべて本説明に含まれ、本開示の範囲内であり、および添付の請求項によって保護されることを意図している。
【0039】
本開示をより詳細に説明する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、従って、当然、様々に変化し得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定されることから、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するだけの目的であり、限定されることを意図するものではないことも理解されたい。
【0040】
数値の範囲が提供される場合、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限りは下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間にある各値、およびその示された範囲内のいずれかのその他の示された値または間にある値が、本開示の範囲内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、このより小さい範囲に含まれていてよく、これらも本開示の範囲内に包含されるが、示された範囲のいずれかの限度値が特に除外される場合もある。示された範囲が一方または両方の限度値を含む場合、これらの含まれる限度値の一方または両方を除く範囲もまた、本開示に含まれる。
【0041】
特に定義されない限りにおいて、本明細書で用いる技術的および科学的用語はすべて、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で述べるものと類似または同等であるいずれの方法および物質も、本開示の実施または試験に用いてよいが、好ましい方法および物質をここで説明する。
【0042】
本明細書で引用する刊行物および特許はすべて、各刊行物または特許が参照することで組み入れられると具体的に独立して示されているかのごとく、参照により本明細書に組み入れられ、ならびに、刊行物の引用に関連する方法および/または物質を開示し説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。いずれの刊行物の引用も、出願日以前の開示事項に対するものであり、本開示が事前開示の理由でそのような刊行物に先行する権利を有さないことを承認するものとして解釈してはならない。さらに、提供される公開日時は、別に確認する必要があり得る実際の公開日時とは異なる場合がある。
【0043】
本開示を読むことで当業者には明らかであるように、本明細書で説明され示される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなくその他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離するか組み合わせることができる個別の成分および特徴を有する。列挙される方法はいずれも、列挙される事象の順序で実施してよく、または論理的に可能であるその他のいずれの順序で実施してもよい。
【0044】
本開示の実施形態は、特に断りのない限り、医学、有機化学、生化学、分子生物学、および薬学などの技術を用い、これらは当業者の範囲内である。そのような技術は、文献に十分に説明されている。
【0045】
明細書および添付の請求項に用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限りにおいて、複数の指示内容を含む。従って、例えば、「1つの支持体」という指示内容は、複数の支持体を含む。本明細書およびそれに続く請求項では、それに反する意図が明らかでない限りにおいて、以下の意味を有することを定義する必要のある数多くの用語が引用される。
【0046】
本明細書で用いられる以下の用語は、特に断りのない限り、それらに割り当てられる意味を有する。本開示において、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している(containing)」、および「有している(having)」などは、米国特許法でこれらに割り当てられる意味を有し得るものであり、「含む(includes)」および「含んでいる(including)」などを意味し得るものであり;「本質的に成っている(consisting essentially of)」または「本質的に成る(consists essentially)」などは、本開示によって包含される方法および組成物に適用される場合、本明細書で開示される組成物などを意味するが、追加の構造基、組成物成分、または方法工程(または、上記で考察するように、これらの類似物もしくは誘導体)を含んでよい。しかし、そのような追加の構造基、組成物成分、または方法工程などは、本明細書で開示する対応する組成物または方法と比較して、組成物または方法の一つもしくは複数の基本的な新規の特徴に実質的に影響を与えない。「本質的に成っている」または「本質的に成る」などは、本開示によって包含される方法および組成物に適用される場合、米国特許法で割り当てられる意味を有し、この用語に制限はなく、列挙されたものの基本的なまたは新規な特徴が列挙されたものを超えるものの存在によって変化しない限りにおいて、列挙されたものを超えるものが存在可能であるが、先行技術の実施形態は除く。
【0047】
種々の実施形態を説明する前に、以下の定義を提供し、特に断りのない限りこれらが用いられるべきである。
【0048】
略語
EHDP、エタン‐1‐ヒドロキシ‐1,1‐ジホスホン酸;APD、プロパン‐3‐アミノ‐1‐ヒドロキシ‐1,1‐ジホスホン酸;ClMDP ジクロロメタンジホスホン酸;FPPS、ファルネシルピロリン酸シンターゼ;N‐BP、窒素含有ビスホスホネート。
【0049】
定義
本明細書で用いる「低級アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素を意味する。代表的な(C‐C)‐アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec‐ブチル、およびtert‐ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、本明細書で用いる「(C‐C)‐アルキル」は、所望される場合は上述のように置換されていてもよい、1から4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素を意味する。本明細書で用いる炭素数は、炭素バックボーンおよび炭素分岐鎖を意味するが、アルコキシ置換などの置換基の炭素原子は含まない。
【0050】
本明細書で用いる「投与する」、「投与している」、または「投与」という用語は、化合物もしくは化合物の薬理学的に許容される塩、または組成物を動物へ直接投与すること、または、動物の体内で化合物の同等量を形成することができる、化合物もしくは化合物の薬理学的に許容される塩のプロドラッグ誘導体、もしくは類似体、または組成物を、動物へ投与することを意味する。
【0051】
本明細書で用いる「対象」という用語は、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ、またはアカゲザルを含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、動物は哺乳類である。
【0052】
本明細書で用いる「有効な条件」という用語は、合成有機化学の分野の当業者に明らかである合成反応条件を意味する。
【0053】
本明細書で用いる「効果量」という用語は、動物に投与された場合、動物が罹患しているかまたは罹患している疑いのある状態の予防、少なくとも部分的な寛解、または治癒に効果的である、化合物または化合物の薬理学的に許容される塩の量を意味する。
【0054】
本明細書で用いる「薬理学的に許容される塩」という用語は、本明細書で述べる化合物の有機および無機酸から誘導される塩を意味する。代表的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、塩酸塩、臭化物、臭化水素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、リンゴ酸塩、フタル酸塩、およびパモ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いる「薬理学的に許容される塩」という用語はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する本明細書で述べる化合物と塩基との塩も意味する。代表的な塩基としては、ナトリウム、カリウム、およびリチウムを含むアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などのその他の金属の水酸化物;アンモニア、無置換もしくはヒドロキシル置換のモノ‐、ジ‐、またはトリ‐アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N‐メチル、N‐エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;N,N‐ジメチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)アミンもしくはトリ‐(2‐ヒドロキシエチル)アミンなどのモノ‐、ビス‐、またはトリス‐(2‐OH‐(C‐C)‐アルキルアミン);N‐メチル‐D‐グルカミン;モルホリン;チオモルホリン;ピペリジン;ピロリジン;ならびに、アルギニンおよびリジンなどのアミノ酸、が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容される塩」という用語はまた、本明細書で述べる化合物の水和物も含む。
【0055】
本明細書で用いる「薬理学的に許容されるキャリア」という用語は、開示のヘテロ二量体プローブと共に投与され、連邦もしくは州政府の監督機関によって承認されているか、または動物、およびより特にはヒトに対する使用に関して米国薬局方もしくはその他の一般的に認識されている薬局方に記載されている、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを意味する。そのような医薬キャリアは、水、および石油、動物、植物、もしくは合成由来のものを含み、落花生油、大豆油、鉱油、およびゴマ油などの油類、などの液体であってよい。医薬キャリアは、生理食塩水、アラビアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、および尿素などであってよい。患者に投与される場合、好ましくは、ヘテロ二量体プローブおよび薬理学的に許容されるキャリアは無菌であるべきである。ヘテロ二量体プローブを静脈内投与する場合は、水が有用なキャリアである。生理食塩水溶液、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液もまた、特に注射液用の液体キャリアとして用いてよい。適切な医薬キャリアとしては、また、グルコース、ラクトース、スクロース、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールなどの賦形剤も挙げられる。本組成物はまた、所望される場合、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を少量含有していてもよい。本組成物の形態は、溶液、エマルジョン、徐放製剤、またはその他の使用に適するいずれの形態であってもよいことが有利である。
【0056】
本明細書で用いる「生理学的に許容される」という用語は、自然源から単離された細胞もしくは培養細胞、またはホストの組織と接触した際に、その細胞または組織に有害な影響を及ぼさない組成物を意味する。
【0057】
化合物
本明細書で述べる化合物は、骨粗しょう症およびその他の骨障害の治療に現在使用されている多くの公知のビスホスホネート化合物(例:ミノドロン酸塩、リセドロン酸塩、アレンドロン酸塩、ゾレドロン酸塩、イバンドロン酸塩)と比較して、ミネラル親和性(mineral affinity)が低い。ホスホネートを持つ炭素原子上でのフッ素、塩素、または水素の存在により(すなわち、本明細書で述べる化合物中のR)、ミネラル親和性が低下されると考えられる。公知のビスホスホネート化合物では、この炭素原子はヒドロキシル部分を持っており、これが、2つのホスホネート部分と一緒になって、骨ミネラルに対する高い親和性を作り出す手助けになっていると考えられる。過去の研究では、ピリジルアルキルビスホスホネートおよびビスホスホネートのジェムホスホノカルボキシレート類似体などの他の種類のビスホスホネートにおいて、ヒドロキシル部分をそのような部分で置換することで、骨ミネラルへの親和性が低下し、FPPS酵素標的部位(例:ハロゲンまたは水素)に対する親和性を低下させ得、かつ細胞の能力が大きく低下することが示された(Marma et al., J. Med. Chem., 50: 5967-5975)。
【0058】
しかし、本明細書で述べるピリジルイミダゾイルアルキルビスホスホネート化合物は、ホスホネート基に隣接する炭素原子における置換にもかかわらず、高い度合いの細胞の能力、およびそれに付随するミネラル親和性の低下を示すものである。ミネラル親和性の低下がインビボでの能力の著しい低下に繋がると考えられるため、この結果は予想外のものである。さらに、細胞能力(FPPS酵素阻害)がより高いことにより、これまでの多くのビスホスホネート化合物よりも強力な吸収抑制効果が得られる。
【0059】
本明細書で述べるビスホスホネート化合物はミネラル親和性が低くなっていることから、化合物の骨代謝への影響が、より高いミネラル親和性を有する従来のビスホスホネート化合物よりも速く消失するため、投与の制御が行ないやすくなる。またミネラル親和性が低くなっていることで、骨からの放出も速くなるため、若年患者、妊娠可能年齢の患者、および他の骨治療薬の組み合わせによるまたは連続する投与を必要とする場合のある患者にとって、特に骨障害の治療への使用が現在認可されている公知のビスホスホネート化合物と比較して、より高い有用性をもたらすことができる。このようにミネラル親和特性が低下したことにより、骨格中の複数の骨の種類および部位にわたってより均一に分配することも可能となると考えられる。また一方、このような特徴は、親和性の高い類似体では到達性の低い近傍の細胞における効果を向上させることもできる。
【0060】
投与後に骨からの放出が速いことは、本技術分野で公知のビスホスホネート化合物と比較して、本明細書で述べるビスホスホネート化合物のより柔軟な使用を可能とする。例えば、ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、禁忌活性のために、または別の選択肢としての薬物もしくは追加の薬物の続いての使用のために治療を中断することが可能となる、定められた期間の使用が可能である。例えば、骨代謝回転が減少した場合に活性が低下する場合のあるタンパク質同化治療である。同様に、本明細書で述べる化合物の骨への親和性がより低いことから、骨格の取り込み全体の低下、全体としての骨代謝回転減少の低減、および骨格モデリング/リモデリングへの影響の低下がもたらされ、従って、骨の再生プロセスがより正常に機能するようになる。このことにより、ビスホスホネート薬に典型的である骨折抑制効果が得られると同時に、より正常な骨代謝回転が維持されることから、骨の質をより良好なものとすることができる。その結果、長期間にわたる従来のビスホスホネートによる影響(例:骨代謝回転の減少および付随する有害な影響)を避けたいと考える可能性のある若年患者を治療することができる。さらに、本明細書で述べる化合物は、骨の質をより良好なものに維持すると同時に、吸収抑制または骨折抑制の効果を提供することが考えられ、生理学性の低い極端な骨代謝回転の減少を誘発する高ミネラル親和性類似体とは対照的である。
【0061】
本明細書で述べる化合物のミネラル親和性が低くなっていることのその他の利点としては、骨組織内の奥深くで相互作用を起こす傾向が高く、それによって骨の奥深くの骨細胞へビスホスホネートの有益な効果がもたらされることが挙げられる。さらに、低ミネラル親和性化合物は、ビスホスホネート化合物の滑液中の濃度、ならびに細胞外レベル(例:破骨細胞、マクロファージ、軟骨細胞、および腫瘍細胞の周囲)を上昇させる可能性がより高く、これによって毎日、週1回、または月1回のより効果的な投与が容易なものとなる。本明細書で述べる化合物は、全体としての骨格代謝回転減少を低減すると同時に、治療終了後の放出がより速い結果として治療をより明確なものとする。この特徴は、従って、関節炎に伴う骨侵食、および骨転移に伴う腫瘍の発生と成長などの骨減少に伴う複数の状態の治療の過程で、追加的な恩恵をもたらすことができる。
【0062】
ある実施形態では、本明細書で述べるビスホスホネート化合物は、1もしくは2つ以上の抗炎症化合物または免疫調節化合物と共にアジュバントとして投与される。本技術分野で公知の高親和性ビスホスホネート化合物を抗炎症化合物と共に使用することは、これらの化合物の組み合わせに関連する毒性の問題によって限定されている。特に、公知のビスホスホネート化合物と共投与される場合、骨の保護のために抗炎症化合物の用量を高くする必要がある。しかし、用量が高くなるために副作用およびその他の毒性に関連する影響がすぐに観察され、共投与は中止しなければならない。しかし、本明細書で述べる化合物は、骨に対する親和性が低いことから、毒作用を引き起こさない十分に低い用量レベルでの抗炎症剤または免疫調節剤と組み合わせて用いて、骨を効果的に保護することができる。従って、本明細書で述べる化合物は、骨侵食に対する保護を改善し、同時に関節の維持を改善し、従来のビスホスホネートと比較した全体としての骨格代謝回転減少の低減を誘発する。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、骨侵食の抑制に有用である。別の実施形態では、本明細書で述べる化合物は、炎症と骨侵食の両方の抑制に有用である。例えば、そのような抗炎症、免疫調節、および抗侵食の特性は、ある実施形態において、本明細書で述べるビスホスホネート化合物を抗炎症剤または免疫調節剤と共に共投与した場合に得られる。これらの実施形態では、抗炎症剤または免疫調節剤は、それを単独で投与した場合よりも低い用量で投与することができる。従って、ある実施形態では、ビスホスホネート化合物は、1もしくは2つ以上の抗炎症または免疫調節化合物と組み合わせて、または順番に投与される。抗炎症または免疫調節化合物の例としては、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、NSAID、グルココルチコイド、およびメトトレキサートなどの生物学的抗炎症または免疫調節化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で述べるビスホスホネート化合物間の相乗効果はまた、変形性関節症の治療にも有益である。変形性関節症では、罹患した関節の骨代謝回転が昂進することが知られている。本明細書で述べるビスホスホネート化合物の1もしくは2つ以上と抗炎症または免疫調節化合物との組み合わせによる治療は、残りの骨格で過剰な骨代謝回転を起こすことなく、これらの部位での代謝回転を正常化することができる。さらに、共投与を行うことにより、この関節部へ送達される軟骨細胞に対しての、これらの低親和性ビスホスホネート類似体による、考え得るいずれの抗アポトーシス効果も最大化される。本明細書で述べる化合物は、関節機能の改善に有用である。
【0064】
同様に、本明細書で述べる化合物はまた、タンパク質同化化合物と共投与してもよい。本技術分野で公知のビスホスホネート化合物では、副甲状腺ホルモンおよびプロスタグランジンなどのタンパク質同化化合物をこれまでに投与されたことのある患者を治療する場合、休薬期間が必要である。しかし、本明細書で述べる化合物の低骨親和性は、これらのタンパク質同化剤への干渉を低減する結果をもたらす。従って、本明細書で述べる化合物は、休薬期間をほとんどまたはまったく設けずに、タンパク質同化剤で治療された患者へ投与することができる。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、1もしくは2つ以上のタンパク質同化化合物と共投与される。1つの代表的なタンパク質同化化合物は、PTH 1‐34(FORTEO(登録商標))など、副甲状腺ホルモン(PTH)を主体とする化合物である。タンパク質同化治療は、非常に重度の骨粗しょう症性疾患の患者、および/またはビスホスホネート治療に反応しない患者に処方されることが多い。従って、本明細書で述べるビスホスホネート化合物は、骨粗しょう症性疾患の治療におけるとともに、ビスホスホネート治療に対する反応が良くない対象に対しても有用である。
【0065】
合成手順
本明細書で述べる化合物および薬理学的に許容される塩は、市販の化合物、公知の化合物、または公知の方法で合成された化合物を出発物質とする種々の方法を用いて合成することができる。本明細書で述べる化合物の多くへの一般的な合成経路は、以下のスキームに含まれる。当業者であれば、これらの合成にはスキームに示されない保護および脱保護の工程を必要とする場合があること、および標的分子の官能性を考慮して工程の順序が変更される場合があること、が理解されている。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択については、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Greene and Wuts, Protecting Groups in Organic Synthesis, Second Edition, John Wiley & Sons (1991)、に記載されている。
【0066】
本明細書で述べるスキームにおいて、適切な極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノール、およびエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。適切な酸結合剤としては、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7(DBU)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などの有機三級塩基;ならびに、例えば炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切な還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
図1に示すスキーム1は、式Iの化合物を作製するための1つのプロセスを示すものであり、R、R、およびRは本明細書で定める通りである。スキーム1に示すように、式Iの化合物を合成するためには、ヨウ素などの脱離基を持つ化合物1を、化合物3の生成に有効である条件下にてビニルホスホネート2と反応させる。例えば、ある実施形態では、n‐BuLiの存在下、低温、例えば−78℃、にて反応を実施する。Rが水素以外(すなわち、FまたはCl)である場合、化合物3を、SELECTFLUOR(登録商標)(エアープロダクツ(Air Products, Inc.))を例とするハロゲン化化合物、次亜塩素酸ナトリウム(遊離の酸と反応)と、触媒条件下、例えば、18‐クラウン‐6を例とする触媒試薬の適切量の存在下にて反応させ、化合物4を生成させる。この反応は、水素化カリウムおよびテトラヒドロフランを例とする適切な溶媒中、低温、例えば0℃、にて実施される。Rの種類に応じて、化合物3(Rが水素)または化合物4(Rが水素以外)を、エトキシ基をヒドロキシ基へ変換するのに有効である条件下で反応させ、それによって式Iの化合物を生成させる。本開示の化合物のある実施形態では、Rが−OHではない場合もあることもさらに意図している。
【0068】
ある実施形態では、この反応は臭化トリメチルシリルの存在下にて実施される。
【0069】
図2に示すスキーム2は、スキーム1のための出発物質の1つ、化合物1を作製するための1つのプロセスを示すものである。Rが水素以外である場合、アミノピリジン化合物(化合物6)を、ピリジルイミダゾイル化合物8の生成に有効である条件下にてハロゲン化ケトン化合物(化合物7)と反応させる。ある実施形態では、この反応は、70℃を例とする高温にて、炭酸ナトリウムおよびエタノールの存在下にて実施される。式Iの化合物の生成に有効である条件下にて化合物8(またはRが水素である化合物5)を反応させることにより、化合物1、またはRが水素である場合は化合物1aを生成させる。ある実施形態では、この反応は、N‐ヨードスクシミド(N-iodosuccimide)およびアセトニトリルの存在下にて実施される。
【0070】
本明細書で述べる化合物および化合物の薬理学的に許容される塩はまた、哺乳類におけるカルシウムおよびリン酸の代謝異常に伴う障害を治療または予防するための医薬の製造にも有用である。
【0071】
医薬組成物
本明細書で述べる治療化合物は、医薬組成物中に組み込んでよい。そのような組成物は、通常、活性成分および薬理学的に許容されるキャリアを含有する。本明細書で用いる「薬理学的に許容されるキャリア」という言葉は、医薬投与に適合する、生理食塩水、溶媒、分散ビヒクル、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤などを含む。追加の活性化合物も、この組成物に組み込んでよい。
【0072】
医薬組成物は、意図される投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例としては、静脈内を例とする非経口、皮内、皮下、経口(例:吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸内投与が挙げられる。非経口、皮内、もしくは皮下投与に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分:注射用の水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調節剤、を含有していてよい。pHは、塩酸もしくは水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節してよい。非経口製剤は、ガラス製もしくはプラスチック製の、アンプル、使い捨てシリンジ、またはマルチドーズバイアルに封入されていてよい。
【0073】
注射剤用途に適する医薬組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射用水溶液または分散液の即時製剤用の滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与の場合、適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を挙げることができるが、これらに限定されない。すべての場合において、組成物は滅菌状態でなければならず、容易に注射可能である程度の液体であるべきである。組成物は、製造および保存の条件下にて安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む溶媒、または分散ビヒクルであってよい。適切な流動性の保持は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤の使用によって行ってよい。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールなどの種々の抗菌剤ならびに抗真菌剤で達成することができる。多くの場合、糖、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを例とする等張剤を組成物中に含有することが好ましい。注射剤組成物の長期間にわたる吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを例とする吸収を遅延させる剤を組成物中に含有させることで得ることができる。
【0074】
滅菌注射剤溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて、上記で挙げた成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に混合し、続いて滅菌ろ過を行うことによって作製することができる。一般に、分散液は、基本となる分散ビヒクルおよび上記で挙げたものの中から必要とされるその他の成分を含有する滅菌ビヒクル中へ活性化合物を混合することによって作製される。滅菌注射剤溶液の作製のための滅菌粉末の場合、好ましい作製方法は、活性成分プラス追加の所望される成分すべての粉末が、滅菌ろ過を既に行ったその溶液から得られる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0075】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用キャリアを含有する。経口治療用投与の目的で、活性化合物を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ剤、またはゼラチンカプセル剤を例とするカプセル剤の形態で用いてよい。経口組成物は、口腔洗浄剤として用いるために、液体キャリアを用いて作製してもよい。薬理学的に適合される結合剤、および/またはアジュバント剤を、組成物の一部として含有してよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、およびトローチ剤などは、以下の成分または類似の性質を有する化合物のいずれを含有していてもよい:微結晶セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤(disintegrating agent);ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤(glidant);スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;または、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味料などの香味剤。
【0076】
吸入による投与の場合、化合物は、二酸化炭素などのガスを例とする適切な噴射剤を含有する加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からの、エアロゾルスプレーの形態で送達してよい。このような方法としては、米国特許第6,468,798号に記載のものが挙げられる。吸入用組成物は、例えば分散、流動、および生体利用度を改善するために、噴射剤、界面活性剤、およびその他の添加剤を含有していてもよい。
【0077】
全身投与は、経粘膜または経皮の手段で行なってもよい。経粘膜または経皮投与の場合、透過すべきバリアに対して適切である浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は、本技術分野において一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻噴霧薬または坐薬の使用によって行うことができる。経皮投与の場合、活性化合物は、本技術分野で一般的に公知のように、軟膏(ointments)、膏薬(salves)、ジェル、またはクリームに製剤される。
【0078】
本開示の薬理学的に許容される組成物は、従って、薬理学的に許容される賦形剤を含んでいてよい。本明細書で用いる「薬理学的に許容される賦形剤」という用語は、当業者に公知の生理学的に不活性であり薬理学的活性を持たないいずれの物質をも意味し、これは本明細書の異性体の物理的および化学的特性と適合するものである。薬理学的に許容される賦形剤としては、ポリマー、樹脂、可塑剤、充填剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、共溶媒、界面活性剤、保存剤、甘味剤、香味剤、医薬グレードの染料または顔料、および増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明で有用であるものの中でも香味剤および染料および顔料は、Handbook of Pharmaceutical Excipients(4th ed., Pharmaceutical Press 2003)に記載のものが挙げられる。
【0080】
適切な共溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、およびアセトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、Tween80(登録商標)、ならびにラノリンエステルおよびエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
適切な保存剤としては、フェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸およびその塩、ホウ酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀、ニトロメルソール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム(cetylypridinium chloride)、メチルパラベン、ならびにプロピルパラベンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
適切な充填剤としては、デンプン、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、および微結晶セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
適切な可塑剤としては、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、およびトリアセチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
適切なポリマーとしては、エチルセルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
適切な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
ある実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物は、所望される場合、キレート化剤を含んでいてよい。本明細書で用いる「キレート化剤」という用語は、単一の金属イオンに対して配位結合を形成することができる2もしくは3つ以上の電子供与原子を有する分子を意味する。「キレート化剤」という用語は、キレート化剤ならびにその塩を含むと理解される。例えば、「キレート化剤」という用語は、クエン酸ならびにその塩の形態も含む。
【0088】
最も一般的で広く用いられているキレート化剤は、酸素もしくは窒素供与原子、またはその両方を介して、金属原子と配位する。これらよりも一般的でないその他のキレート化剤は、−SH(チオールまたはメルカプト)基の形態の硫黄を介して配位する。最初の配位結合が形成された後、続いて結合する供与原子の各々が金属原子を含む環を形成する。キレート化剤は、それの持つ金属原子と結合する能力を有する供与原子の数が、2、3、4、または5つ以上であるかどうかに応じて、二座、三座、四座などとなり得る。Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (4th ed. 2001)、を参照されたい。
【0089】
本明細書で述べる組成物での使用に適するキレート化剤としては、薬理学的に許容されるいずれのキレート化剤も挙げられる。本開示での使用に適するキレート化剤の例としては、EDTA、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
単座錯化剤を多座キレート化剤の代わりに用いてもよい。適切な単座錯化剤としては、リン酸塩(例:リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムアルミニウム、酸性リン酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二ナトリウム、一塩基)、およびカルボン酸(例:フマル酸、酢酸)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、単座錯化剤は酢酸である。
【0091】
本開示の経口剤形中に存在するキレート化剤の量は、選択された特定のキレート化剤、および経口剤形中に存在するビスホスホネート化合物の量に依存する。一般的に、本開示の経口剤形は、所望されるキレート化効果を得るために適する安全で効果的な量のキレート化剤を含有する。ある実施形態では、経口剤形は、単位用量あたり約10mgから約1000mgのキレート化剤を含有する。別の実施形態では、経口剤形は、単位用量あたり約10mgから約500mgのキレート化剤を含有する。キレート化剤がEDTAである場合、好ましい範囲は、単位用量あたり約10mgから約500mg、好ましくは約25mgから約250mgである。キレート化剤がクエン酸、またはその他のいずれかのキレート化剤である場合、好ましい範囲は、単位用量あたり約25mgから約1000mg、好ましくは約50mgから約500mgである。
【0092】
そのような医薬組成物の作製は、例えば、化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩と薬理学的に許容される賦形剤とを混合することを含む方法を用いて行われる。混合は、化合物または化合物の薬理学的に許容される塩と生理学的に許容される賦形剤との混合のための公知の方法を用いて行われる。そのような賦形剤の例は当業者に公知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th edition, ed. Alfonoso R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, PA (1985)、に記載のものなど、許容される医薬的手順に従って作製される。薬理学的に許容される賦形剤は、製剤中の他の成分と適合し、生物学的に許容されるものが含まれる。
【0093】
本組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、徐放製剤、坐薬、エマルジョン、エアロゾル、噴霧剤、懸濁液、またはその他の使用に適するいずれの形態を取ってもよい。ある実施形態では、本組成物は、カプセルの形態である。
【0094】
本明細書で述べる化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩は、経口または非経口で投与を行ってよく、純粋な形で、または上述のような従来の医薬キャリアと組み合わせて投与を行ってよい。本明細書で述べる化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩はまた、経口、注入もしくはボーラス注入、上皮もしくは粘膜皮膚層(例:口、直腸、膣、および腸管の粘膜など)を通しての吸収を例とするいずれの便利な経路で投与してもよく、別の治療薬と一緒に投与してもよい。
【0095】
これらの化合物の投与の用量、レジメン、および方法は、治療される疾患および個体に応じて様々であり、関与する医師の判断によって決定される。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩の1もしくは2つ以上の投与は、低い用量から開始し、所望される効果が得られるまで増加させる。
【0096】
送達される化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩の量は、骨代謝異常の治療または予防に効果的な量である。さらに、所望される場合はインビトロまたはインビボアッセイを行って、最適用量範囲の識別の手助けとしてもよい。用いられる厳密な用量は、投与経路、状態、治療される状態の重症度、ならびに治療される個体に関連する種々の身体的要因にも依存し、医師の判断に従って決定されるべきである。全治療期間に対応する投与の回数および頻度は、医師の判断に従って決定される。
【0097】
骨障害の治療もしくは予防に効果的である化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩の量は、通常、一日あたり体重に対して約0.01mg/kgから約1g/kgの範囲であり、ある実施形態では、一日あたり体重に対して約1mg/kgから約600mg/kgの範囲であり、ある実施形態では、一日あたり体重に対して約1mg/kgから約250mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約10mg/kgから約400mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約10mg/kgから約200mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約10mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、ある実施形態では、一日あたり体重に対して約10mg/kgから約25mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約1mg/kgから約10mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約0.001mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、別の実施形態では、一日あたり体重に対して約0.001mg/kgから約10mg/kgの範囲であり、および別の実施形態では、一日あたり体重に対して約0.001mg/kgから約1mg/kgの範囲である。
【0098】
本開示に従う医薬組成物は、単位剤形の形態であってよい。そのような剤形では、組成物は、化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩の適切な量を含有する単位用量に細分され;単位剤形は、パケット入り粉末(packeted powder)、バイアル、アンプル、プレフィルシリンジ、または液体含有サッシェを例とする容器入り組成物であってよい。単位剤形は、例えば、カプセルまたは錠剤自体であってよく、または、適切な数のそのような容器入り形態のいずれかの組成物であってもよい。そのような単位剤形は、約0.01mg/kgから約250mg/kg、ある実施形態では、約1mg/kgから約250mg/kg、別の実施形態では、約10mg/kgから約25mg/kgを含有していてよく、および、1回の用量で、または2もしくは3回以上に分けた用量で投与してよい。用量は、種、治療される患者の体重および状態、ならびに医薬に対する個々の患者の反応に応じて必然的に変化することになる。
【0099】
ある実施形態では、単位剤形は、約0.01から約1000mgである。別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約500mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約250mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約100mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約50mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約25mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約10mgであり;別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約5mgであり;および別の実施形態では、単位剤形は、約0.01から約10mgである。
【0100】
5.5未満のpH(すなわち、口、咽頭、食道、および胃で一般的に見られるpH)では不溶性であるが、5.5かそれより高いpH(小腸および大腸のpH)では可溶性となる腸溶コーティングを、本開示を実施する際に用いてよい。従って、ビスホスホネートおよびキレート化剤を小腸へ送達することが望まれる場合、5.5未満のpHでは完全にまたは部分的に不溶性であり、5.5かそれより高いpHでは可溶性であるいかなる腸溶コーティングも適切である。
【0101】
腸溶コーティングは、圧縮錠剤、カプセル剤(例:ゼラチン、デンプン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、および/または活性剤のビーズ、粒子、もしくは顆粒に対して、コーティング全体がpH5.5未満の胃腸管液中では溶解しないが、pH5.5もしくはそれより上では溶解するように、十分な厚みで適用する必要がある。賦形剤コーティングの溶解または崩壊は、一般的に、コーティングした剤形が小腸へ到達するまで起こらない。
【0102】
必要とされるpH依存溶解性プロファイルを示すいずれのアニオン性ポリマーも、本開示を実施して下部消化管へビスホスホネートおよびキレート化剤を送達する際の腸溶コーティングとして用いることができると考えられる。選択されるコーティングは、選択された特定のビスホスホネート活性成分と適合するものである必要がある。本開示で用いられる好ましいポリマーは、アニオン性カルボキシルポリマーである。ポリマーはアクリルポリマーであることが特に好ましく、より好ましくは部分メチルエステル化メタクリル酸ポリマーであり、ここで、遊離アニオン性カルボキシル基のエステル基に対する比は約1:1である。
【0103】
コーティングは、可塑剤、ならびに場合によっては、着色剤、界面活性剤、タルク、および/またはステアリン酸マグネシウムなど、その多くがコーティングの技術分野で公知であるその他のコーティング賦形剤を含有していてよく、通常は含有している。特に、アニオン性カルボキシルアクリルポリマーは、通常、10〜25重量%の可塑剤を含有し、これは特に、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、プロピレングリコール、およびトリアセチンである。流動床またはパンコーティングなどの従来のコーティング技術を用いてコーティングが適用される。コーティング厚さは、経口剤形が下部消化管の所望される送達部位へ到達するまで実質的に無傷な状態が確実に維持されるのに十分なものでなければならない。
【0104】
固体経口剤形は、ビスホスホネート活性成分およびキレート化剤の粒子もしくは顆粒を含有するコーティング圧縮錠剤、または、それ自体が腸溶コーティングされたビスホスホネート活性成分およびキレート化剤のビーズもしくは粒子を含有する、コーティングもしくは非コーティングである軟質または硬質カプセル剤(例:ゼラチン、デンプン、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)の形態であってよい。
【0105】
ビスホスホネートおよびキレート化剤の放出制御の場合、剤形からのビスホスホネートおよびキレート化剤の溶解速度を制御するために徐放性ポリマーが必要である。ビスホスホネートおよびキレート化剤が共に可溶性である場合(水への溶解度が33mg/ml以上と定義される)、高いレベルの徐放性ポリマーが必要である。徐放性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボマー(Carbomer)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
使用方法
本開示はさらに、カルシウムおよびリン酸の代謝異常を特徴とするものなどの骨代謝の障害を治療、予防、または寛解する方法にも関する。これらの方法は、それを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に対して、本明細書で述べる経口剤形を介して前記ヒトまたはその他の哺乳類へ送達される医薬組成物の安全な効果量を投与する工程を含む。
【0107】
カルシウムおよびリン酸の代謝異常を特徴とする疾患としては、骨粗しょう症、二次性骨粗しょう症、骨粗しょう症に起因する二次性骨粗しょう症、変形性関節症、パジェット病(変形性骨炎)、副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、溶骨性骨転移、進行性骨化性筋炎、汎発性石灰沈着症、ならびに関節炎、神経炎、滑液包炎、腱炎、骨痛、および関与する組織にリン酸カルシウムの減少または沈着を起こしやすくするその他の炎症状態などの疾患が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で述べる化合物はまた、骨折修復、プロステーシス一体化(prosthesis integration)、および骨壊死(例:臀部または膝)などのその他の骨の障害および状態にも有用であるが、これらに限定されない。本明細書で述べる化合物はまた、転移、腫瘍成長、骨痛、骨折、および関節炎などの疾患(骨疾患、および変形性関節症における関節機能を含む)など、癌に伴う骨格関連事象の予防および治療にも有用である。さらに、本明細書で述べる化合物はまた、ホルモン除去療法、アロマターゼ阻害薬療法、およびアンドロゲン除去療法など、特に乳癌または前立腺癌に罹患する患者における癌の治療の過程で誘発されるさらなる骨格関連事象の治療および予防にも有用である。
【0108】
本明細書で述べる化合物はまた、マラリアおよびシャーガス病などの寄生虫障害、ならびに腸管寄生虫などの胃腸管の障害、ならびに過敏性腸疾患の予防ならびに治療にも有用である。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、ある実施形態では、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ病、エントアメーバ感染症、ジアルジア感染症、およびクリプトスポリジウム感染症を含む原虫感染症および疾患などの寄生虫感染症の阻止または治療に有用である。
【0109】
ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、炎症性障害の治療または予防に有用である。そのような障害としては、関節リウマチおよび過敏性腸疾患が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、炎症性障害の治療または予防に用いられる場合、本明細書で述べる化合物は、1つもしくは2つ以上の抗炎症化合物と組み合わせて用いてよい。
【0110】
ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、歯科障害の治療、予防、または寛解に有用である。代表的な障害としては、虫歯および歯周病が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、歯のインプラント術など歯科手術による処置に関連する治療に有用である。
【0111】
ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、人工関節の固定の改善、または移植関節の緩みの予防を例とする、整形外科的関節インプラントに関連する治療に有用である。さらなる実施形態では、本明細書で述べる化合物は、単独の治療法として、またはその他の医薬的もしくは非医薬的整形外科治療と組み合わせて用いる場合、骨折修復および骨再生の促進または向上など、整形外科的用途を有する。
【0112】
さらなる実施形態では、本明細書で述べる化合物は、小児および成人のいずれの集団においても、腰、膝、またはその他の骨格部位の予後において整形外科的に有用である。
【0113】
本明細書で述べる経口剤形は、そのような治療を必要とする小児または成人患者への投与に適する。
【0114】
ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、例えば乳癌または前立腺癌に罹患する患者における、ホルモン除去療法の一部として有用である。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、例えば癌に罹患する患者における、アロマターゼ阻害薬療法の一部として有用である。ある実施形態では、本明細書で述べる化合物は、例えば前立腺癌またはその他の疾患に罹患する患者における、アンドロゲン除去療法の一部として有用である。
【0115】
本開示の経口剤形は、毎日、週1回、月3回、月2回、および月1回の連続する投与間隔に従って患者へ投与するのに適している。
【0116】
特定の疾患状態もしくは障害の治療または阻止のために投与される場合、効果用量は、用いられる特定の化合物またはその化合物の薬理学的に許容される塩、投与の方法、状態、および治療される状態の重症度、ならびに治療される個体に関連する種々の身体的要因に応じて異なる場合があることが理解されている。治療的な適用の場合、本明細書で述べる化合物およびその化合物の薬理学的に許容される塩は、すでに疾患に罹患している患者に対して、その疾患およびその合併症の症状を治癒するかまたは少なくとも部分的に寛解するのに十分な量で与えられる。これを達成するのに適切な量は、「治療効果量」として定義される。具体的なケースの治療に用いられる用量は、主治医が主観的に決定する必要がある。関与する変数としては、具体的な状態、ならびに患者のサイズ、年齢、および反応パターンが挙げられる。
【0117】
本明細書で述べる化合物およびその化合物の薬理学的に許容される塩はまた、哺乳類における骨代謝障害を治療するための医薬の製造にも有用である。同様に、本明細書で述べる化合物およびその化合物の薬理学的に許容される塩はまた、骨代謝障害を治療するための医薬の製造にも有用である。
【0118】
本開示のある態様は、従って、式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を包含する。
【0119】
【化4】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;および、Rは、F、Cl、または水素である。
【0120】
本開示の本態様の実施形態では、RおよびRは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFであってよい。
【0121】
本開示のある実施形態では、Rは、水素、または低級アルキルであってよく;かつ、Rは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。
【0122】
本開示の本態様の他の実施形態では、Rは、水素、エチル、またはt‐ブチルであってよく、Rは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。ある実施形態では、Rは、水素またはFであってよい。
【0123】
本開示の本態様のある実施形態では、Rは、水素であってよく、Rは、水素またはメチルであってよく、Rは、水素またはFであってよい。
【0124】
本開示の本態様のある他の実施形態では、Rは、エチルまたはt‐ブチルであり、Rは、水素であり、Rは、水素またはFである。
【0125】
本開示の本態様の実施形態は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0126】
本開示の本態様のある実施形態では、化合物は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩である。
【0127】
本開示の別の態様は、式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を包含する。
【0128】
【化5】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;Rは、F、Cl、または水素である。
【0129】
本開示の本態様の実施形態では、RおよびRは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFであってよい。
【0130】
本開示のある実施形態では、Rは、水素、または低級アルキルであってよく;Rは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。
【0131】
本開示の本態様の他の実施形態では、Rは、水素、エチル、またはt‐ブチルであってよく、およびRは、水素、ヒドロキシル、メチル、またはFであってよい。ある実施形態では、Rは、水素またはFであってよい。
【0132】
本開示の本態様のある実施形態では、Rは、水素であってよく、Rは、水素またはメチルであってよく、およびRは、水素またはFであってよい。
【0133】
本開示の本態様のある他の実施形態では、Rは、エチルまたはt‐ブチルであり、Rは、水素であり、およびRは、水素またはFである。
【0134】
本開示の本態様の実施形態は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される化合物、またはその薬理学的に許容される塩であってよいが、これらに限定されない。
【0135】
本開示の本態様のある実施形態では、本組成物は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容されるキャリアを含む。
【0136】
本開示の本態様の他の実施形態では、本組成物は、ビスホスホン酸以外の少なくとも1つの薬理活性成分、またはその薬理学的に許容される塩をさらに含んでいてよい。これらの実施形態では、この少なくとも1つの薬理活性成分は、抗炎症剤、免疫調節剤、キレート剤、筋骨格タンパク質同化剤(musculoskeletal anabolic agent)、およびこれらの組み合わせから成る群より選択することができるが、これらに限定されない。
【0137】
本開示のさらに別の態様は、対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝を調節する方法を包含し、この方法は、その対象である動物もしくはヒトに、式Iに従う構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩の効果量を投与することを含み、これによって、対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝が改変される。
【0138】
【化6】


式中、Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり;Rは、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり;Rは、F、Cl、または水素である。
【0139】
本開示の本態様の方法の実施形態では、化合物を投与する前の対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝は、異常であり、骨格障害に伴うものであってよい。本開示の本態様のある実施形態では、骨格障害は、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性関節症、パジェット病、歯槽骨減少、骨関連癌、および整形外科的障害から成る群より選択されるものであってよいが、これらに限定されない。
【0140】
他の実施形態では、障害は骨格以外の障害であってよく、骨癌以外の癌、炎症性障害もしくは免疫調節障害、および寄生虫障害などであるが、これらに限定されない。これらの実施形態では、寄生虫障害は、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ病、エントアメーバ感染症、ジアルジア感染症、およびクリプトスポリジウム感染症であってよいが、これらに限定されない。
【0141】
本開示の本態様の方法の実施形態では、対象である動物またはヒトに投与される化合物は、対象である動物またはヒトのファルネシルピロリン酸シンターゼの活性を改変することができる。
【0142】
本開示の本態様の方法の実施形態では、化合物またはその薬理学的に許容される塩は、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、から成る群より選択される。
【0143】
比、濃度、量、およびその他の数値データは、本明細書にて範囲形式で示される場合があることに留意されたい。そのような範囲形式は、便宜上、簡略化のために用いられるものであり、従って、範囲の限界値として明白に列挙される数値だけでなく、その範囲内に包含される個々の数値またはサブ範囲も、各数値およびサブ範囲が明白に列挙されているかのごとく含む形で柔軟に解釈されるべきであることは理解されたい。例えば、「約0.1%から約5%」という濃度範囲は、明白に列挙される約0.1重量%から約5重量%の濃度だけでなく、その示された範囲内の個々の濃度(例:1%、2%、3%、および4%)およびサブ範囲(例:0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約」という用語は、修飾される1もしくは複数の数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、もしくは±10%、またはそれを超える範囲を含み得る。
【実施例】
【0144】
以下の実施例は、本明細書で述べる代表的な化合物の合成を例示するものである。
【0145】
実施例1
3‐ヨード‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン
アセトニトリル100mL中イミダゾピリジン11.61g(98.27mmol)の溶液を、マグネティックスターラー、熱電対、窒素排出部(nitrogen bleed)、および冷却用氷浴を備えた250mL三つ口丸底フラスコに投入した。合計で24.32g(108.1mmol、1.1当量)の固体N‐ヨードスクシンイミドを、少しずつこのフラスコへ0℃にて添加し、得られた黄色懸濁液を一晩室温まで加温させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、暗色固体を得た(39.2g)。この残渣を0.5Lのジクロロメタンへ再度溶解し、10%KOH(2×250mL)で洗浄した。有機相を分離し、水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、残った暗色物質を、沸騰酢酸エチルからこれにヘキサンを添加することで再結晶した。析出した固体をろ取し、40mLのヘキサンで洗浄し、重量が一定となるまで窒素気流下で乾燥した。R=0.42(EtOAc/ヘキサン=1:1にて)の白色固体が得られ、収率は20.8g(86%)であった。
【0146】
NMR(CDCl),δ:8.12(d,1H,J=6.8Hz),7.69(s,1H),7.62(d,1H,J=6.8Hz),7.24(t,1H,J=6.8Hz),6.94(t,1H,J=6.8Hz)
【0147】
13C NMR(CDCl),δ:147.52,140.02,126.08,125.23,117.76,113.43,60.91
【0148】
Iに対するLC‐MS(ESI) m/z 245[M+H]
【0149】
実施例2
テトラエチル‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネート
THF200mL中3‐ヨード‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン(実施例1)6.67g(27.31 mmol)の溶液を、マグネティックスターラー、熱電対、窒素排出部、および冷却用ドライアイス/アセトン浴を備えた0.5L三つ口丸底フラスコに投入した。溶液をドライアイス/アセトン浴中で冷却し、白色懸濁液(3‐ヨード‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジンの低温での溶解度の低さによって得られた)へn‐BuLi(2.5M/へキサン、22mL、2当量)を−74℃にて少しずつ添加した。n‐BuLiの添加の過程で、多少の粘性白色物質がフラスコ壁上に析出し、これによって攪拌が妨げられた。20分後、20mLのTHF中の合計で8.15g(27.14mmol)のビニルホスホネート、テトラエチルエテン‐1,1‐ビスホスホネート(文献の手順に従って合成、J. Org. Chem., 51: 3488-3490 (1986))を−75℃にてフラスコ中に導入した。粘性の半固体が徐々に溶解し、反応混合物の色がほとんど黒色となった。−75℃にて30分間攪拌した後、反応物を徐々に−40℃まで加温し、次に200mLの飽和NHClをゆっくり添加することで反応停止した。得られた混合物を周囲温度まで加温し、有機層を分離し、水相を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。1つにまとめた有機相を鹹水(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮して8.1gの暗色オイルを得た。このオイルを、CombiFlashによりシリカゲル上で精製し、純粋画分の濃縮後(純度は31P NMRで確認)、合計で1.7g(収率15%)の純粋なテトラエチル‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネートを、EtOAc/MeOH=8:2中のR=0.18の暗色オイルとして単離した。
【0150】
H NMR(CDCl),δ:8.23(d,1H,J=7.2Hz),7.60 (d,1H,J=9.2Hz),7.53(s,1H),7.16(dd,1H,J=9.2,J=7.2Hz),6.84(t,1H,J=6.8Hz),4.11(m,8H),3.57(td,2H,HH=6.2,PH=15.6Hz),2.63(tt,1H,HH=6.2,PH=23.6Hz),1.27(q,12H,HH=7.2Hz)
【0151】
13C NMR(CDCl),δ:145.3,133.0,123.55,123.52,121.3(t,CP=8.0Hz),117.9,112.1,62.9(d,COP=6.6Hz),62.7(d,COP=6.6Hz),36.1(t,JCP=132.8Hz),20.0(t,CP=4.8Hz),16.3,16.2
【0152】
31P NMR(CDCl),δ:22.2。 C1728に対するLC‐MS(ESI) m/z 419[M+H]
【0153】
実施例3
テトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネート
パラフィンオイル中の30%KH懸濁液(0.9965g、7.45mmol、1.83当量)を、マグネティックスターラー、熱電対、窒素ライン、および冷却浴を備えた50mL三つ口丸底フラスコに投入した。フラスコに無水THF(15mL)を添加し、得られた懸濁液を0℃まで冷却した。15mLのTHF中のテトラエチル‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネート(実施例2)(1.6955g、4.05mmol)の溶液を、KHの懸濁液へゆっくり添加し、得られた褐色溶液を30分間で周囲温度まで持っていった。触媒量の18‐クラウン‐6(0.3275g、1.23mmol、30モル%)を反応物へ添加し、5分間攪拌した後、この混合物を0℃まで冷却した。合計で3.0785g(8.68mmol、2.1当量)のSELECTFLUOR(登録商標)を0℃にて少しずつ添加し、すべての出発物質が消費されるまでこの温度にて混合物を攪拌した(約3〜5時間)。反応をTLC(EtOAc/MeOH=8:2)でモニタリングし、反応の完了後、氷冷した飽和NaHCO溶液(50mL)で反応停止した。生成物を酢酸エチルで抽出し(3×50mL)、1つにまとめた有機相を鹹水(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥した。減圧濃縮後、合計で1.92gの暗色オイルを得た。この粗物質を、溶離液として酢酸エチルおよび酢酸エチル/MeOH=9:1の混合物を用いてシリカゲル上で精製し、1.164gの透明琥珀色オイルを得た。31P NMRによると、このオイルは、所望の生成物であるテトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネートと実質的に同じR値を持つ脱離生成物(elimination product)を不純物として含有していた。従って、分取用HPLCでさらに精製した(合計6回の処理を行った)。「良好」な画分の濃縮および凍結乾燥の後、合計で0.6791g(収率38%)の純粋なテトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネートを単離した。
【0154】
実施例4
1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸(23)
無水クロロホルム10mL中のテトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネートの溶液(0.6465g、1.48mmol)を、マグネティックスターラー、熱電対、冷却管、マントルヒーター、および窒素排出部を備えた50mL三つ口丸底フラスコに投入した。純粋なTMSBr(2.0973g、13.69mmol、およそ9当量)をこの溶液へ室温にて添加し、ネガティブモードのLC‐MSで質量M−1=323のみが検出されるようになるまで、得られた溶液を50℃で攪拌した(通常、脱保護の完了には20〜24時間を要する)。この反応混合物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、0.6887gの黄色オイルを得た。このオイルを5mLの無水クロロホルムに溶解し、0.45μPTFE膜フィルターでろ過して透明黄色溶液を得た。合計で5mLのDI水をゆっくりこの溶液へ添加し、続いて、結晶化が起こるまでアセトニトリル(約15mL)をゆっくり添加した。得られた懸濁液を室温にて30分間攪拌し、次に微細焼結グラスフィルターでろ過した。単離した固体を水(2×3mL)、続いてメタノール(2×3mL)および無水エーテル(2×5mL)で洗浄した。吸引および窒素雰囲気下での乾燥後、白色固体を五酸化リン上、真空下(1.5mmHg)40℃にて、乾燥器内でさらに一晩乾燥した。白色固体としての23の収率は240mg(50%)であり、以下の構造を有していた。
【0155】
【化7】

【0156】
11FN・0.5HO(333.15)に対する元素分析(%):計算値 C 32.45,H 3.63,N 8.41、実測値 C 32.39,H 3.54,N 8.23
【0157】
H NMR(300MHz,DO+KOD,ppm):3.76(tt,2H,J=21.6,11.7),6.92(t,1H,J=6.6Hz),7.28(m,1H),7.59‐7.47(m,2H)
【0158】
13C NMR(75MHz,DO+KOD,ppm):28.64(d,J=18.8),87.63,99.43,100.0,101.23,101.81,103.60,111.88,115.22,123.15,123.23,124.98,126.25,126.31,132.07,144.92
【0159】
31P NMR(121MHz,DO+KOD,ppm):13.57(d,J=66Hz)
【0160】
19F NMR(282MHz,DO+KOD,ppm):−182.36(m,J=67Hz,21Hz)
【0161】
MS(ESI)323(M−1)
【0162】
実施例5
2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸(80)
無水クロロホルム中(35mL)のテトラエチル‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネート(実施例2)(3.15g、7.5mmol)の溶液へ、臭化トリメチルシリル(TMSBr、9.7mL、75.1mmol)を添加し、反応混合物を不活性雰囲気下、40℃にて一晩攪拌した。溶媒および過剰のTMSBrを除去し、得られた黄褐色残渣を水(50mL)へ溶解した。この水溶液を室温にて5時間攪拌し、一晩冷蔵保存した。白色の析出物をろ取し、メタノール/水(1:1)、アセトニトリル、ジクロロメタンで順に洗浄し、高真空下にて乾燥した。白色粉末としての目的とする1の収率は1.85g(80%)であった。
【0163】
H NMR(DO),δ:8.53(d,1H,J=6.8Hz),7.56(d,1H,J=9.2Hz),7.53(s,1H),7.36(dd,1H,J=9.2,J=6.8Hz),7.03(t,1H,J=6.8Hz),3.35(td,2H,HH=5.6,PH=14.5Hz),2.23(tt,1H,HH=5.6,PH=21 .6HZ)
【0164】
13C NMR(DO),δ:144.93,129.51,127.37(t,CP=8.0Hz),125.06,125.02,115.57,112.30,38.97(t,JCP=128.0Hz),22.77
【0165】
31P NMR(DO),δ:19.87。 C12に対するLC‐MS(ESI) m/z 305[M−H]、 C12・0.1CFCOHに対する計算値(%): C 34.80,H 3.84,N 8.82;実測値(%): C 34.74,H 3.84,N 8.95
【0166】
実施例6
3‐ヨード‐6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン
3‐ヨード‐6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジンは、6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジンを出発物質として用い、実施例1および5の手順に従って合成した。収率82%、白色固体。
【0167】
NMR(CDCl),δ:7.88(s,1H),7.62(s,1H),7.51(d,1H,J=9.3Hz),7.08(d,1H,J=8.7Hz),2.38(s,3H)
【0168】
実施例7
テトラエチル‐2‐(6‐メチルイミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネート
テトラエチル‐2‐(6‐メチルイミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホネートは、実施例2の手順に従って合成した。収率36%、黄色オイル。
【0169】
H NMR(CDCl),δ:7.97(s,1H),7.53(d,1H,J=9.0Hz),7.45(s,1H),7.30(d,1H,J=9.0Hz),4.10(m,8H),3.51(td,2H,HH=6.0,PH=15.6Hz),2.60(tt,1H,HH=6.0,PH=23.5Hz),2.33(s,3H),1.24(m,12H)
【0170】
31P NMR(CDCl),δ:23.06、C1830に対するFI‐MS(ESI) m/z 433[M+H]
【0171】
実施例8
2‐(6‐メチルイミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸(81)
2‐(6‐メチルイミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸は、実施例5の手順に従って合成した。生成物は水溶液から析出し、白色析出物をろ取し、水、メタノール、エーテルで順に洗浄し、高真空下で乾燥した。白色結晶としての2‐(6‐メチルイミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸の収率は74%。
【0172】
H NMR(DO),δ:8.22(s,1H),7.38(s,1H),7.37(d,1H,J=9.3Hz),7.13(d,1H,J=9.3 Hz),3.20(td,2H,HH=5.5,PH=13.8Hz),2.28(s,3H),2.14(tt,1H,HH=5.5,PH=21.9Hz)
【0173】
31P NMR(DO),δ:20.08。 C1014に対するLC‐MS(ESI) m/z 319[M−H]。 C1014に対する計算値(%):C 37.51,H 4.41,N 8.75;実測値(%):C 37.27,H 4.21,N 8.57
【0174】
実施例9
テトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(9)
テトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネートは、実施例1および2で述べたプロセスに従って合成した。
【0175】
H NMR(CDCl),δ:8.11(d,1H,J=7.0Hz),7.42(s,1H),7.41(d,1H,J=8.7Hz),6.69(d,1H,J=7.0Hz),4.10(m,8H),3.51(td,2H,HH=6.3,PH=15.8Hz),2.57(tt,1H,HH=6.3,PH=23.4Hz),2.38(s,3H),1.25(m,12H)
【0176】
31P NMR(CDCl),δ:23.3。 C1830に対するFI‐MS(ESI) m/z 433[M+H]
【0177】
実施例10
テトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(10)
図3に概略を示すように、パラフィンオイル中の30%KH懸濁液(0.2957g、2.21mmol、1.85当量)を、マグネティックスターラー、熱電対、窒素ライン、および冷却浴を備えた50mL三つ口丸底フラスコに投入した。フラスコに無水THF(16mL)を添加し、得られた懸濁液を0℃まで冷却した。6mLのTHF中のテトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(9)(実施例9)(0.5155g、1.192mmol)の溶液を、KHの懸濁液へゆっくり添加し、得られた褐色溶液を30分間で周囲温度まで持っていった。触媒量の18‐クラウン‐6(0.082g、0.31mmol、26モル%)を反応物へ添加し、5分間攪拌した後、この混合物を0℃まで冷却した。合計で0.8453g(2.386mmol、2.0当量)のSELECTFLUOR(登録商標)を0℃にて少しずつ添加し、すべての出発物質が消費されるまでこの温度にて混合物を攪拌した(一晩)。反応をTLCでモニタリングし、反応の完了後、氷冷した飽和NaHCO溶液(50mL)で反応停止した。混合物のpHを固体NaCOで9に調節し、生成物を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。1つにまとめた有機相を鹹水(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、減圧濃縮後、合計で0.8586gの暗色オイルを得た。この粗物質を、溶離液として酢酸エチルおよび酢酸エチル/MeOH=9:1の混合物を用いてシリカゲル上で精製し、0.2725g(収率50.8%)の透明黄色オイルを得た。
【0178】
実施例11
1‐フルオロ‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸(11)
図3に概略を示すように、無水クロロホルム5mL中のテトラエチル‐1‐フルオロ‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(10)(実施例10)の溶液(0.2725g、0.605mmol)を、マグネティックスターラー、熱電対、冷却管、マントルヒーター、および窒素排出部を備えた25mL三つ口丸底フラスコに投入した。純粋なTMSBr(0.6191g、3.922mmol、およそ6.5当量)をこの溶液へ室温にて添加し、ネガティブモードのLC‐MSで質量M−1=337のみが検出されるようになるまで、得られた溶液を50℃で攪拌した(約2日間を要した)。この反応混合物を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。合計で4mLの水を残渣に添加し、得られた濁った溶液をシリンジに取り付けた0.45ミクロン膜フィルターを用いて素早くろ過した。この水溶液をアセトニトリル(およそ20mL)で希釈し、0℃にて一晩攪拌した。ゆっくり形成された析出物をろ取し、水(2×5mL)、メタノール(2×5mL)、最後にエーテルで洗浄した。残渣を吸引下で、および次に高真空下にて40℃で一晩乾燥し、76mg(収率38%)の1‐フルオロ‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸を白色固体として得た。
【0179】
1013FN・0.5HO(347.18)に対する元素分析(%):計算値 C 34.60,H 4.06,N 8.07;実測値:C 34.63,H 4.09,N 8.05.
【0180】
H NMR(300MHz,DO+KOD,ppm): 2.32(s,3H),3.68(m,2H,J=21.6Hz,10.8Hz),6.75(d,1H,J=6.3Hz),7.22(s,1H),7.38(s,1H),8.47(d,1H,J=7.2Hz)
【0181】
13C NMR(75MHz,DO+KOD,ppm):20.21,20.47,28.73,113.45,113.71,114.45,114.71,122.84,125.48,125.74,131.50,131.74,136.55,136.81,145.68
【0182】
31P NMR(121MHz,DO+KOD,ppm):13.82(d,J=66Hz)
【0183】
19F NMR(282MHz,DO+KOD,ppm):−182.39(m J=64.5Hz,24Hz)
【0184】
MS(ESI) 337(M−1)
【0185】
実施例12
3‐ヨード‐7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン(13)
図4に示すように、3‐ヨード‐7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン(13)は、7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン(12)を出発物質として用いて実施例1および5の手順に従って合成した。
【0186】
NMR(CDCl),δ:7.96(d,1H,J=7.2Hz),7.61(s,1H),7.35(s,1H),6.72(d,1H,J=7.2Hz),2.41(s,3H)
【0187】
13C NMR(CDCl),δ:147.90,139.81,135.82,124.97,116.10,115.72,59.47,21.08
【0188】
実施例13
テトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(14)
図4に示すように、テトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネート(14)は、実施例2と同様にして合成したが、生成物のクロマトグラフィによる精製の後、出発物質3‐ヨード‐7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン(実施例12)の40%が回収された。収率46%、黄色オイル。
【0189】
H NMR(CDCl),δ:8.11(d,1H,J=7.0Hz),7.42(s,1H),7.41(d,1H,J=8.7Hz),6.69(d,1H,J=7.0Hz),4.10(m,8H),3.51(td,2H,HH=6.3,PH=15.8Hz),2.57(tt,1H,HH=6.3,PH=23.4Hz),2.38(s,3H),1.25(m,12H)
【0190】
31P NMR(CDCl),δ:23.3
【0191】
1830に対するFI‐MS(ESI) m/z 433[M+H]
【0192】
実施例14
2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸(15)
図4に示すように、2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸(15)は、テトラエチル‐2‐(7‐メチル)‐イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホネートを出発物質として用いて実施例4の手順に従って合成した。収率87%、白色粉末。
【0193】
H NMR(DO),δ:8.39(d,1H,J=6.9Hz),7.40(s,1H),7.31(s,1H),6.87(d,1H,J=7.2Hz),3.29(td,2H,HH=5.4,PH=15.2Hz),2.40(s,3H),2.19(tt,1H,HH=5.4,PH=21.6Hz)
【0194】
31P NMR(DO),δ:20.04
【0195】
1014に対するFI‐MS(ESI) m/z 319[M−H]
【0196】
10140.5CFCOH 0.8HOに対する計算値(%):C 33.74,H 4.14,N 7.15、実測値(%):C 33.67,H 4.14,N 7.04
【0197】
実施例15
6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(26)
6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(26)の合成を図5に概略的に示す。濃HCl(34mL、345mmol)を、2‐ブロモ‐1,1‐ジエトキシエタン 17(26.37g、133.8mmol)へ、250mL三つ口丸底フラスコ中、室温にて滴下した。次に、この混合物を55℃にて30分間加熱した。次に、この淡黄色混合物を0℃まで冷却し、過剰の無水NaSO(64g)を添加し、反応物を1.0時間攪拌した。この時点で粗ブロモアセトアルデヒド 18を含有しているこの反応混合物を1000mL三つ口丸底フラスコ中へろ過し、ケーキをエタノール(100mL)で洗浄した。次にこのフラスコを0℃まで冷却し、2‐アミノ‐5‐フルオロピリジン(10.0g、50mmol)を少しずつ添加し、続いてNaHCO(42g、500mmol)を添加した。気体が発生した。泡立ちが収まった後、この混合物を70℃にて1.0時間還流させた。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣にCHClを0℃で添加し、40%NaOH(30mL)を添加してpH10とした。次に、この混合物を水(100mL)で希釈し、有機相を分離し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。シリカゲル上での精製により(CombiFlash、ヘプタン/EtOAcによる溶離)、褐色固体として6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 26を得た。収率5.52g、85%。
【0198】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ 7.06(m,1H),7.56(m,3H),8.04(m,1H)
【0199】
19F NMR(282.2MHz,CDCl,297K) δ:21.61
【0200】
FNに対するESI MS(MeOH) 計算値 136.13、実測値 m/z(M+1) 137
【0201】
実施例16
6‐フルオロ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(29)
図5に示すように、6‐フルオロ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(29)を、文献の手順に従って合成した(その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Enguehard et al., J. Org. Chem. 65: 6572-6575 (2000))。N‐ヨードスクシンイミド(9.2g、40.8mmol)を、乾燥アセトニトリル(100mL)中の6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 26(実施例15)(7.6g、40.8mmol)の溶液へ0℃にて添加した。この反応物を室温まで加温し、次に12時間攪拌した。この混合物をろ過し、ケーキをアセトニトリルおよび水で洗浄し、高真空下で乾燥し、オフホワイト色の6‐フルオロ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 29を得た。収率8.5g、88%。
【0202】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ 7.14(td,J=2.1,7.8Hz,1H),7.59(dd,J=5.1,9.9Hz,1H),7.72(s,1H),8.07(distorted t,J=3.0Hz,1H)
【0203】
FINに対するESI MS(MeOH) 計算値 262.03、実測値 m/z(M+1) 263
【0204】
実施例17
[1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル(33)
図5に示すように、[1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステルを、適合させた文献の手順に従って合成した(Inoue et al., Synthesis 13:1971-1976 (2003))。無水THF(200mL)中の6‐フルオロ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 29(実施例16)(8.0g、30.5mmol)を、アルゴン雰囲気下、−78℃で攪拌し、次に、ヘキサン中のn‐BuLi(2.5M、24.4mL、61mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。得られた混合物を10分間攪拌し、次に、無水THF(25mL)中のテトラエチルエタン‐1,1‐ビスホスホネート 3(9.16g、30.5mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。この反応混合物をさらに10分間攪拌し、室温まで冷却し、次に飽和NHCl(100mL)で反応停止した。次にこの混合物をCHCl(200mL×3)で抽出し、有機相を水で洗浄した(200mL×2)。次に、得られた有機相をNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、シリカゲル上で精製して(CombiFlash、EtOAc/MeOHによる溶離)、黄色オイルとして[1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 33を得た。収率1.0g、8%。
【0205】
H NMR(300MHz,CDCl3,297K) δ 1.03(m,12H),2.36(tt,J=6.0,17.7Hz,1H,PCHP),3.33(dt,J=9.9,15.6Hz,2H,CH2),4.00(m,8H),6.84(t,J=7.5Hz,1H),7.30(m,2H),7.99(s,1H)
【0206】
13C NMR(75.5MHz,CDCl3,297K) δ: 16.14(d,J=6.04Hz),20.02(t,J=4.9Hz),35.86(t,J=132.12Hz),62.82(dd,J=6.72,17.06Hz),110,110.52,118.1(d,J=9.13Hz),122.74,134.37,142.91,151.63,154.77
【0207】
19F NMR(282.2MHz,CDCl3,297K) δ: −140.77
【0208】
31P(121.5MHz,CDCl3,297K) δ 22.79
【0209】
C17H27FN2O6P2に対するESI MS(MeOH) 計算値 436.36、実測値 m/z(M++1) 437
【0210】
実施例18
[2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ビスホスホン酸(34)
(34)の完全な合成を図5に概略的に示す。乾燥CHCl(10mL)中の[1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 33(実施例17)(1.0g、2.2mmol)のアルゴン雰囲気下での攪拌溶液に、ブロモトリメチルシラン(3.4mL、26.4mol)を添加し、この混合物を室温にて24時間攪拌した。この反応混合物を減圧濃縮し、残渣をCHCl(10mL)へ溶解し、次にHO(8.0mL)を添加した。水層を分離し、HPLCで精製して、無色固体として[2‐(6‐フルオロ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル]‐ビスホスホン酸 34を得た。収率500mg、70%。
【0211】
H NMR(300MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 2.19(tt,J=7.1,22.8Hz,1H,CH),3.45(dt,J=7.4,17.2Hz,2H,CH),7.21(m,1H),7.5(m,2H),8.5(s,1H)
【0212】
31P(121.5MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 19.68
【0213】
11FPに対するESI MS(DO) 計算値 324.14、実測値 m/z(M−1) 323
【0214】
実施例19
8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(24)
図6に示すように、濃HCl(34mL、345mmol)を、2‐ブロモ‐1,1‐ジエトキシエタン 17(29.56、150mmol)へ、250mL三つ口丸底フラスコ中、室温にて滴下した。次に、この混合物を55℃にて30分間加熱した。次に、この淡黄色混合物を0℃まで冷却し、無水NaSO(64g)を添加し、反応物を1.0時間攪拌した。この時点で粗ブロモアセトアルデヒド 18を含有しているこの反応混合物を1000mL三つ口丸底フラスコ中へろ過し、ケーキをエタノール(100mL)で洗浄した。次にこのフラスコを0℃まで冷却し、2‐アミノ‐3‐ベンジルオキシピリジン 19(10.0g、50mmol)を少しずつ添加し、続いてNaHCO(42g、500mmol)を添加した。気体が発生した。泡立ちが収まった後、この混合物を70℃にて1.0時間還流させた。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣にCHClを0℃で添加し、40%NaOH(30mL)を添加してpH10とした。次に、この混合物を水(100mL)で希釈し、有機相を分離し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。シリカゲル上での精製により(CombiFlash、ヘプタン/EtOAcによる溶離)、無色針状物として8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 24を得た。収率7.2g、64%。
【0215】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ 5.09(s,2H),6.22(d,J=7.8Hz,1H),6.37(t,J=6.9Hz,1H),7.14(m,3H),7.29(m,3H),7.37(s,1H),7.51(d,J=6.6Hz,1H)
【0216】
13C NMR(75.5MHz,CDCl,297K) δ:70.62,102.45,112.12,113.34,118.89,127.42,128.05,128.60,132.73,136.26,148.20
【0217】
1412Oに対するESI MS(MeOH) 計算値 224.26、実測値 m/z(M+1) 225
【0218】
実施例20
8‐ベンジルオキシ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(31)
図6に示すように、N‐ヨードスクシンイミド(7.0g、31.2mmol)を、乾燥アセトニトリル(100mL)中の8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(実施例19)24(7.0g、31.2mmol)の溶液へ0℃にて添加した。この反応物を室温まで加温し、次に12時間攪拌した。この混合物をろ過し、ケーキをアセトニトリルおよび水で洗浄し、高真空下で乾燥し、無色固体として8‐ベンジルオキシ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 31を得た。収率9.0g、83%。
【0219】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ 5.11(s,2H),6.33(d,J=7.5Hz,1H),6.55(t,J=7.35Hz,1H),7.13(m,3H),7.28(d,J=6.9Hz,2H),7.45(s,1H),7.54(d,J=6.6Hz,1H)
【0220】
13C NMR(75.5MHz,CDCl,297K) δ:70.89,103.23,112.95,119.15,127.44,128.18,128.67,135.98,139.41,142.16,147.84
【0221】
1411INOに対するESI MS(MeOH) 計算値 350.16、実測値 m/z(M+1) 351
【0222】
実施例21
[2‐(8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル(35)
図6に示すように、無水THF(200mL)中の8‐ベンジルオキシ‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 31(実施例20)(7.0g、20mmol)を、アルゴン雰囲気下、−78℃で攪拌し、次に、ヘキサン中のn‐BuLi(2.5M、16.0mL、40mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。得られた混合物を10分間攪拌し、次に、無水THF(20mL)中のテトラエチルエテン‐1,1‐ビスホスホネート 3(6.0g、20.0mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。この反応混合物をさらに10分間攪拌し、室温まで冷却し、次に飽和NHCl(100mL)で反応停止した。次にこの混合物をCHCl(200mL×3)で抽出し、有機相を水で洗浄した(200mL×2)。次に、得られた有機相をNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、シリカゲル上で精製して(CombiFlash、EtOAc/MeOHによる溶離)、黄味がかった褐色オイルとして[2‐(8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 35を得た。収率7.18g、69%。
【0223】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ:1.04(m,12H,OCHCH),2.41(tt,J=6.0,17.4Hz,1H,PCHP),2.30(dt,J=9.6,15.6Hz,2H,PCHCH),3.89(m,8H,OCHCH),5.08(s,2H,PhCHAr)6.24(d,J=7.5Hz,1H),6.45(t,J=7.05Hz,1H),7.13(m,3H),7.25(m,3H),7.62(d,J=6.9Hz,1H)
【0224】
13C NMR(75.5MHz,CDCl,297K) δ:16.30(d,J=6.12Hz),20.28(t,J=4.79Hz),36.05(t,J=132.50Hz,PCP),62.85(dd,J=6.78,17.14Hz),70.57,102.10,112.08,116.67,122.32(t,J=8.00Hz),127.35,127.99,128.55,132.20,136.27,139.89,148.12
【0225】
31P(121.5MHz,CDCl,297K) δ:23.06
【0226】
2434に対するESI MS(MeOH) 計算値 524.50、実測値 m/z(M+1) 525.Hz),122.74,134.37,142.91,151.63,154.77
【0227】
19F NMR(282.2MHz,CDCl,297K) δ:−140.77
【0228】
31P(121.5MHz,CDCl,297K) δ 22.79
【0229】
1727FNに対するESI MS(MeOH) 計算値 436.36、実測値 m/z(M+1) 437
【0230】
実施例22
2‐(8‐(ベンジルオキシ)イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン‐ビスホスホン酸(36)
2‐(8‐(ベンジルオキシ)イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン‐ビスホスホン酸(36)の完全な合成を図6に概略的に示す。乾燥CHCl(10mL)中の[2‐(8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 35(実施例21)(1.0g、1.9mmol)のアルゴン雰囲気下での攪拌溶液に、ブロモトリメチルシラン(2.9mL、22.8mol)を添加し、この混合物を室温にて24時間攪拌した。この反応混合物を減圧濃縮し、残渣をCHCl(10mL)へ溶解し、次にHO(8.0mL)を添加した。水層を分離し、HPLCで精製して、淡黄色固体として[2‐(8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ビスホスホン酸 36を、収率470mg、60%で得た。
【0231】
H NMR(300MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 2.15(tt,J=7.5,22.4Hz,1H,CH),3.25(dt,J=9.6,19.5Hz,2H,CH),5.27(s,2H,CH) 6.69(d,J=7.5Hz,1H),6.80(t,J=7.5Hz,1H),7.40(m,6H),8.08(d,J=6.9Hz,1H)
【0232】
13C NMR(75.5MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 23.16,38.97(t,118.3Hz),70.18,103.68,112.05,118.31,127.63,128.29,128.55,128.66,128.73,128.81,136.28,139.08,148.12
【0233】
31P(121.5MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 20.00
【0234】
1618に対するESI MS(DO) 計算値 412.28、実測値 m/z(M+1) 413
【0235】
実施例23
[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル(39)
図7に示すように、[2‐(8‐ベンジルオキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 35(実施例21)(1.5g、2.86mmol)およびエタノール(30mL)を、250mL丸底フラスコ中で混合し、5分間窒素によるパージを行った。炭素上パラジウム(10%、50%湿潤、1.5g)を次に添加し、この系をさらに10分間パージした。次に、バルーンに水素を封入して反応フラスコに取り付け、反応を12時間進行させた。次に反応混合物をセライトでろ過し、減圧濃縮して39を得た。収率860mg、72%。暗黄色オイル。
【0236】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ:1.27(m,12H,OCHCH),2.63(tt,J=6.6,23.4Hz,1H,PCHP),3.54(dt,J=9.6,15.3Hz,2H,PCHCH),4.15(m,8H,OCHCH),6.96(d,J=4.5Hz,1H),7.04(t,J=7.05Hz,1H),7.71(s,1H),7.89(d,J=6.9Hz,1H)
【0237】
31P(121.5 MHz,CDCl,297K) δ:22.42
【0238】
1728に対するESI MS(MeOH) 計算値 434.37、実測値 m/z(M+1) 435
【0239】
実施例24
[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸(40)
[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸(40)の合成を図7に概略的に示す。乾燥CHCl(10mL)中の39(860mg、2mmol)のアルゴン雰囲気下での攪拌溶液に、ブロモトリメチルシラン(3.1mL、24.0mol)を添加し、この混合物を室温にて24時間攪拌した。この反応混合物を減圧濃縮し、残渣をCHCl(10mL)へ溶解し、次にHO(8.0mL)を添加した。水層を分離し、HPLCで精製して、[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐(ジエトキシ‐ホスホリル)‐エチル]‐ビスホスホン酸 40を得た。収率300mg、47%。淡黄色固体。
【0240】
H NMR(300MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 2.05(tt,J=4.2,17.4Hz,1H,CH),3.04(dt,J=6.5,11.1Hz,2H,CH),6.07(d,J=7.8Hz,1H),6.60(t,J=6.9Hz,1H),7.14(s,1H),7.50(d,J=6.3Hz,1H)
【0241】
31P(121.5MHz,DO + KOD1滴,297K) δ 20.30
【0242】
12に対するESI MS(DO) 計算値 322.15、実測値 m/z(M−1) 321
【0243】
実施例25
2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(70)
図8に示すように、1‐ブロモ‐2‐ブタノン 68(15.0g、99.33mmol)およびエタノール(100mL)を、500mL三つ口丸底フラスコへ添加し、激しく攪拌した。次に、2‐アミノピリジン 67(7.19g、76.41mmol)を少しずつ添加し、続いてNaHCO(32.1g、382mmol)を添加した。気体が発生した。泡立ちが収まった後、この混合物を70℃にて1.5時間還流させた。生成物と出発物質はTLC上でのRが同じであったが、生成物は発光していた。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣に塩化メチレンを0℃で添加し、10%NaOHをpHが10となるまで添加した。次に、この混合物を水(100mL)で希釈し、有機相を分離し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。シリカゲル上での精製により(CombiFlash、ヘプタン/EtOAcによる溶離)、暗褐色オイルとして2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 70を得た。収率8.37g、75%。
【0244】
H NMR(300MHz,CDCl,297K) δ 1.26(t,3H,CHCH) 2.73(q,2H,CHCH),6.62(t,J=6.8Hz,1H),7.02(m,1H),7.25(s,1H),7.43(d,J=10Hz,1H) 7.95(d,J=6.4Hz,1H)
【0245】
10に対するESI MS(MeOH) 計算値 146.19、実測値 m/z(M+1) 147
【0246】
実施例26
2‐エチル‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン(72)
図8に示すように、N‐ヨードスクシンイミド(8.37g、57.25mmol)を、乾燥アセトニトリル(100mL)中の2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 70(実施例27)(12.88g、57.25mmol)の溶液へ0℃にて添加した。この反応物を室温まで加温し、次に12時間攪拌した。次に、この混合物を濃縮し、シリカゲル上での精製により(CombiFlash、ヘプタン/EtOAcによる溶離)、感光性黄色結晶として2‐エチル‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 72を収率5.6g、35%で得た。
【0247】
H NMR(400MHz,CDCl,297K) δ 1.27(t,3H,CHCH) 2.75(q,2H,CHCH),6.79(t,J=6.7Hz,1H),7.12(m,1H),7.44(d,J=8.3Hz,1H) 8.01(d,J=6.7Hz,1H)
【0248】
INに対するESI MS(MeOH) 計算値 272.09、実測値 m/z(M+1) 273
【0249】
実施例27
[(ジエトキシ‐ホスホリル)‐(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル(74)
図8に示すように、無水THF(80mL)中の2‐エチル‐3‐ヨード‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン 72(実施例28)(5.0g、18.34mmol)を、アルゴン雰囲気下、−78℃で攪拌し、次に、ヘキサン中のn‐BuLi(2.5M、14.7mL、36.76mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。得られた混合物を10分間攪拌し、次に、無水THF(20mL)中のテトラエチルエテン‐1,1‐ビスホスホネート 3(5.52g、18.38mmol)をゆっくり添加し、温度は−70℃未満に維持した。この反応混合物をさらに10分間攪拌し、室温まで冷却し、次に飽和NHCl(100mL)で反応停止した。次にこの混合物をCHCl(200mL×3)で抽出し、有機相を水で洗浄した(200mL×2)。次に、得られた有機相を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮し、シリカゲル上(CombiFlash、EtOAc/MeOHによる溶離)およびHPLCで精製して、淡黄色オイルとして[(ジエトキシ‐ホスホリル)‐(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 74を収率900mg、11%で得た。
【0250】
H NMR(400MHz,CDCl,297K) δ 1.19(m,12H,OCHCH),1.32(t,3H,CHCH) 2.84(tt,J=5.5,16.9Hz,1H,PCHP),2.88(q,2H,CHCH),3.57(dt,J=8.5,15.8Hz,2H,CH),4.10(m,8H),7.32(t,J=6.8Hz,1H),7.71(t,J=7.6Hz,1H),7.97(d,J=9.2Hz,1H),8.47(d,J=6.8Hz,1H)
【0251】
31P(162MHz,CDCl,297K) δ:20.67
【0252】
1932に対するESI MS(MeOH) 計算値 446.42、実測値 m/z(M+1) 447
【0253】
実施例28
[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸(75)
[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸(75)の合成を図8に概略的に示す。[(ジエトキシ‐ホスホリル)‐(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ホスホン酸ジエチルエステル 74(実施例29)(860mg、1.93mmol)を、無水ジクロロメタン(20mL)に溶解し、TMSBr(2.5mL、19.3mmol)を添加し、この混合物を室温にて48時間攪拌した。次に反応を停止して過剰のTMSBrを減圧留去し、次に残渣をジクロロメタン(20mL)に溶解して水(10mL)を添加した。この混合物を30秒間攪拌し、次に水層を分離し、ろ過し、HPLC上で精製した。純粋画分を1つにまとめ、減圧下で減容し、得られた水溶液を凍結乾燥して、[(ジエトキシ‐ホスホリル)‐(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸 75を得た。収率370mg、57%。無色固体。
【0254】
H NMR(400MHz,DO+KOD1滴,297K) δ 1.19(t,3H),2.05(tt,J=6.0,15.2Hz,1H,CH),2.80(q,2H),3.33(dt,J=7.6,14.4Hz,2H,CH),6.86(t,J=6.8Hz,1H),7.20(t,J=8.8Hz,1H),7.35(d,J=9.2Hz,1H),8.61(d,J=6.8Hz,1H)
【0255】
31P (162MHz,DO+KOD1滴,297K) δ 21.35
【0256】
1116に対するESI MS(DO) 計算値 334.21、実測値 m/z(M−1) 333
【0257】
実施例29
ヒドロキシアパタイト(HAP)親和性
ヒドロキシアパタイトに対するミネラル親和性を、新規なビスホスホネート化合物のクロマトグラフィによるプロファイリングで評価した。ヒドロキシアパタイト(HAP)セラミック球(直径20mm、バイオラッド(BioRad))を0.66×6.5cmガラスカラム(Omnifit(登録商標))中に充填した。このHAPカラムを、pH6.8の1mM KPOのランニングバッファーによるWaters 650E Advanced Protein Purification System(FPLC)(ミリポア)に取り付けた。各化合物をpH6.8の1mM KPOバッファー中で調製し、400μモルをFPLCシステムへ注入した。ビスホスホネート化合物の溶離は、1mMから1000mMまで濃度が上昇する勾配リン酸バッファーで行い、検出は、Waters 484 UV吸収検出器(ミリポア)により最適波長にて行った。表1は、各化合物のHAP保持プロファイルを示す(統計解析のための3つの反復サンプルにより決定)。長い保持時間(分)は、HAP球への親和性が高いこと、従って、ミネラル親和性が高いことに対応している。
【0258】
【表1】

【0259】
実施例30
FPPS阻害
窒素含有ビスホスホネート化合物の主たる分子標的であるヒトファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)のインビトロでの阻害について、化合物の評価を行った。インビボでは、FPPSの阻害は、骨吸収の抑制と相関する。従って、FPPS阻害は、ビスホスホネート化合物の効力の指標である。この方法の一般的な原理は、Dunford et al., J. Med. Chem., 51: 2187-2195 (2008)、およびDunford et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 296: 235-242 (2001)、に開示されており、その開示事項はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0260】
組換えヒトFPPSは、Dunford et al., J. Med. Chem., 51: 2187-2195 (2008)、に記載のようにして発現、精製を行った。動態解析については、40ng(1pmol)の純粋FPPシンターゼを、50mM Tris pH7.7、2mM MgCl2、0.5mM TCEP、および20μg/mL BSAを含有するバッファーの最終体積100μL中で分析した。標準反応物中における基質、GPPおよびIPP(14C‐IPP、400KBq/μmol)の濃度は各々10μMであった。反応物は適切な濃度の適切なビスホスホネート化合物も含有していた。反応は酵素希釈バッファー中(10mM HEPES pH7.5、500mM NaCl、5%グリセロール、2mM TCEP、20μg/mL BSA)の2μg/mLの酵素を添加することで開始し、37℃にて適切な時間進行させた。次にこの反応混合物を0.4mLのリグロインで抽出して、使用されなかった基質から反応生成物を分離し、十分に混合した後、リグロイン上側相の0.2mLを4mLの汎用シンチラント(scintillant)と合わせた。
【0261】
表2に示す最終的な阻害定数(K)およびIC50値は、文献の記載に従って算出した。これらのデータは、本明細書に記載のビスホスホネート化合物が、骨ミネラル親和性が低下しているにも関わらず、その酵素阻害活性が、公知の有効なビスホスホネート化合物の阻害活性と一致していることを示している。
【0262】
【表2】

【0263】
実施例31
シェンクモデル(Schenk Model)
骨代謝の分野においてシェンクモデルとして知られる動物モデル系により、インビボでの骨吸収抑制およびミネラル化抑制について化合物の評価を行った。このモデル系の一般原理は、Shinoda et al., Calcif. Tissue Int., 35: 87-99(1983);およびSchenk et al., Calcif. Tissue Res. 11, 196-214(1973)、に開示されており、これらの開示内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0264】
動物: およそ6週齢で体重が120から150グラムの範囲である離乳したオスのスプラーグドーリーラット(チャールズリバーブリーディングラボラトリーズ(Charles River Breeding Laboratories),ローリー,ノースカロライナ州)を体重に基づいてグループ分けし、各グループに動物6体とした。すべてのグループは、皮下注射(SQ)による処理を1日1回(QD)7日間受けた。
【0265】
投与溶液および投与手順: 第0日に、pH7.4に調節した通常の生理食塩水中の3%キシレノールオレンジ(90mg/kg;シグマ)をすべての動物に注射した。第4日に、0.9%NaCl溶液中の1%カルセイン(10mg/kg;シグマ)の皮下注射をすべての動物に施し、骨格の標識を行った。最初の処理が第0日であり、最後の処理が第6日、そして第7日に動物を安楽死させた。濃度は、体重に対して0.2ml/100gの投与量に基づいた。化合物の投与は、7日間、片対数投与量にて、0.0001から1mgP/kg/日の範囲の投与量で行った。投与量範囲はFPPS阻害アッセイにおけるIC50、およびヒドロキシアパタイトへの親和性(HAP親和性)に基づいた。3から7種類の投与量を各試験化合物に対して選択した。体重の変化に基づく投与量の調節を毎日行った。
【0266】
解剖、組織処理、および組織形態計測: 投与開始後の第7日に、ガス麻酔下での失血および/またはCOによる安楽死をすべての動物に施した。右脛骨および大腿骨を切除して取り出し、70%エチルアルコール中へ配置した。右脛骨の近位骨幹端を、二重エネルギーX線分析(DXA)を用いて分析した。これにより、皮質骨および海綿骨密度の両方における変化に関する情報が得られる。本実験の主たるエンドポイントは、Hologics QDR‐4500デンシトメーター(ホロジクス(Hologics, Inc))を用いて測定した脛骨の骨ミネラル密度であった。データの統計評価は、パラメトリックおよび非パラメトリック分散分析およびウィルコクソン順位和検定を用いて行い、コントロール動物と比較した統計的に有意な効果を判定した。
【0267】
シェンクモデルにより化合物によるインビボでの骨吸収抑制に関するデータが得られ、これについては表3を参照されたい。骨ミネラル密度(BMD)は、脛骨近位骨幹端の領域について、Hologics 4500Aを用いて評価した。各ビスホスホネートの効力は、ビヒクルコントロール群からの変化をパーセンテージで表示した。コントロールよりも骨ミネラル密度(BMD)を20%増加させた用量は、ロジスティック用量反応関係(SAS)から決定され、これは、本実験のすべての動物を用いて効力値を算出するものであり、実験間でのビスホスホネートの比較のためにD20として識別された(Lundy et al., J. Bone Min. Res. 22 (Suppl 1): S443, (2007))。複数の実験で用いられた化合物からのデータは平均値を算出した。
【0268】
【表3】

【0269】
実施例34
CIAラットモデル
コラーゲン誘発関節炎(CIA)ラットモデルは、炎症の抑制ならびに骨侵食の抑制を評価するインビボモデルである。実験は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるBendele et al., Arthritis & Rheumatism, 43: 2648-2659 (2000)、の方法に従って実施したが、ただし、メス動物ではなくオス動物を用いた。
【0270】
第0日および6日にコラーゲンを注射することでラットに関節炎を誘発した。実施例4のビスホスホネート化合物(1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ‐[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸)を、第0日に4種類の異なる用量で皮下注射により投与し(1.57μg/kg、15.69μg/kg、156.9μg/kg、および523.0μg/kg;n=10/グループ)、ビヒクルコントロール(n=10)と比較した。追加のグループに対して、第9、12、および15日に10mg/kgのEnbrel(登録商標)(n=10)を投与し、ポジティブコントロールとした。実験は第17日に終了し、炎症の指標である足首太さおよび足重量について動物の評価を行った。足首および膝は1つの試験片として除去してホルマリン中に配置し、脱灰および組織分析のための処理を行った。切片をトルイジンブルーで染色し、炎症、パンヌス、および軟骨分解について0(正常)から5(重症)のスコアで等級分けを行った。足首および膝の骨侵食についても0〜5のスコア付けを行った。
【0271】
分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性に対して本明細書にて範囲が用いられる場合、その特定の実施形態の範囲の全組み合わせおよびサブ組み合わせが含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩:
【化1】


式中、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり、
は、F、Cl、または水素である。
【請求項2】
およびRが、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素または低級アルキルであり、Rが水素、ヒドロキシル、メチル、またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素、エチル、またはt‐ブチルであり、Rが水素、ヒドロキシル、メチル、またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が水素またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素であり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がエチルまたはt‐ブチルであり、Rが水素であり、Rが水素またはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸から成る群より選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物が、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式Iで表される構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩と、
薬理学的に許容されるキャリアと、
を含む医薬組成物:
【化2】


式中、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり、
は、F、Cl、または水素である、
【請求項11】
およびRが、各々独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、t‐ブチル、またはFである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
が水素またはFである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
が水素であり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素またはFである、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
がエチルまたはt‐ブチルであり、Rが水素であり、Rが水素またはFである、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記化合物が、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸から成る群より選択される化合物、またはその薬理学的に許容される塩である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物が、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ジイルジホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容されるキャリアを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物が、ビスホスホン酸以外の少なくとも1つの薬理活性成分、またはその薬理学的に許容される塩をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの薬理活性成分が、抗炎症剤、免疫調節剤、キレート剤、筋骨格タンパク質同化剤(musculoskeletal anabolic agent)、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝を調節する方法であって、前記対象である動物もしくはヒトに、式Iで表される構造を有する化合物またはその薬理学的に許容される塩を効果量投与することを含み、これによって、前記対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝が改変される、前記方法:
【化3】


式中、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、メトキシ、またはFであり、
は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、またはFであり、
は、F、Cl、または水素である。
【請求項20】
前記化合物を投与する前の前記対象である動物もしくはヒトにおけるカルシウムまたはリン酸の代謝が異常であり、前記カルシウムまたはリン酸の代謝の異常レベルが骨格障害に伴うものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記骨格障害が、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性関節症、パジェット病、歯槽骨減少、骨関連癌、および整形外科的障害から成る群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象である動物またはヒトに投与される前記化合物が、前記対象である動物またはヒトのファルネシルピロリン酸シンターゼの活性を改変するものである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記障害が、骨癌以外の癌、炎症性障害、免疫調節障害、および寄生虫障害から成る群より選択される、骨格以外の障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記寄生虫障害が、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ病、エントアメーバ感染症、ジアルジア感染症、およびクリプトスポリジウム感染症から成る群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物またはその薬理学的に許容される塩が、1‐フルオロ‐2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;2‐(6‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[(2‐エチル‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐メチル]‐ビスホスホン酸;2‐(2‐t‐ブチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)エタン‐1,1‐ビスホスホン酸;2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;[2‐(8‐ヒドロキシ‐イミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐1‐エタン]‐ビスホスホン酸;2‐(6‐フルオロイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸;および、1‐フルオロ‐2‐(7‐メチルイミダゾ[1,2‐α]ピリジン‐3‐イル)‐エチル‐ビスホスホン酸、またはその薬理学的に許容される塩から成る群より選択される、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−503022(P2012−503022A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528063(P2011−528063)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/057817
【国際公開番号】WO2010/033978
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511073227)アイシス イノベイション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】