説明

イミダゾ[2,1−b]チアゾール類および薬剤としてのそれらの使用

本発明は、R、R1〜R3およびnが特許請求の範囲に示された意味を有し、内皮型一酸化窒素(NO)シンターゼの転写を調節する、式(I)のイミダゾ[2,1−b]チアゾールの誘導体で、価値ある薬理学的に活性な化合物に関する。
特に、式(I)の化合物は、酵素内皮型NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、上記酵素の発現の増加またはNOレベルの増加または減少したNOレベルの正常化が望まれる状態において適用され得る。本発明はさらに、式(I)の化合物の製造方法、該化合物を含有する医薬組成物、および内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するため、またはアテローム性動脈硬化症、血栓症、冠状動脈疾患、高血圧および心不全のような心臓血管障害を含む種々の疾患の処置のための式Iの化合物の使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内皮型一酸化窒素(NO)シンターゼの転写を調節し、価値ある薬理学的に活性な化合物である式I:
【化1】

(式中、R、R1〜R3およびnは、以下に示す意味を有する)
のイミダゾ[2,1−b]チアゾールの誘導体に関する。特に、式Iの化合物は、酵素、内皮型NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、該酵素の発現の増加またはNOレベルの増加または低下したNOレベルの正常化が望まれる状態に適用され得る。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法、それらを含む医薬組成物、および内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するための、または例えばアテローム性動脈硬化症、血栓症、冠状動脈疾患、高血圧および心機能不全(cardiac insufficiency)のような心臓血管障害を含む種々の疾患を処置するための、式Iの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
内皮型NOシンターゼ(eNOS、NOS−III)は、アルギニンの酸化によって酸化窒素(一酸化窒素、NO)を産生する3つのイソ酵素の一群に属する。内皮に放出されるNOは、多数の重要な心臓血管機構の中心的重要性を有する。それは血管拡張作用を有し、そして血小板の凝集、内皮への白血球の接着および内膜平滑筋細胞の増殖を阻害する。
【0003】
内皮型NOシンターゼは、転写および転写後のレベルの両方で生理学的調節および病態生理学的調節の対象となる。すでに内皮に存在する酵素は、特異的なアミノ酸のリン酸化を通してだけでなく、特異的タンパク質との直接的相互作用によっても、カルシウム依存性およびカルシウム非依存性の活性化を受け得る。この通常一時的なNO放出の刺激因子は、細胞外アルギニン、17β−エストロゲン、および血流によって内皮の内腔表面に及ぼされる機械的刺激(ずり応力)である。さらに、後者は転写レベルでeNOSの調節をもたらす。それ故、例えばSessaらは、運動トレーニングおよびそれに伴うずり応力の増加によってeNOSの著しい増加を得ることができた(非特許文献1)。
【0004】
転写後のレベルでの調節がインビボで関係があるかどうかは明白には証明されていない。従って、例えば冠動脈性心疾患患者における高アルギニン用量を投与しても、続いて一時的な内皮依存性血管弛緩の改善しか生じない。
【0005】
他方、eNOSタンパクのアップレギュレーションの意義は科学的に受け入れられている。従って、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤シンバスタチンの保護特性は、インビボで、脂質低下効果に加え、一部eNOS発現の増加に起因している可能性があることを示す所見が存在する(非特許文献2)。さらに、eNOS遺伝子(「eNOSプロモータ」)の5’−フランキング領域における単一の点突然変異、およびそれと関連したeNOS遺伝子転写速度の低下が、日本人集団において、冠状動脈痙攣のリスクの増加と関連していることが知られている(非特許文献3)。
【0006】
従って現在の仮定は、eNOS調節の転写および転写後のメカニズムが、多数の障害、特に心血管障害において著しく妨げられているということである。多種多様な心血管障害において非常に初期の段階でさえ、血管内側を覆う内皮のこのタイプの機能不全が生理活性NOの欠乏をもたらす可能性があり、それは、測定可能な病態生理学的および形態的変化の形で、障害の進行につれて現われる。このように、初期アテローム発生の決定的に重要な段階が、例えば低密度リポタンパクの酸化、血管内膜における単核細胞のリクルートメントおよび沈着ならびに内膜細胞の増殖のような、内皮NO放出の減少によって促進される。アテローム発生の帰結は血管の内側でのプラーク発生であり、これは次に、ずり応力の減少を通して、内皮NO放出のさらなる減少および病理のさらなる悪化につながる。内皮NOはまた血管拡張因子であるので、その減少はしばしば高血圧をもたらし、それは独立危険因子としてさらなる器官損傷を引き起こし得る。
【0007】
従って、これらの障害の処置に対する治療的アプローチの目標は、内皮NO発現を増加させることによって事象のこの連鎖を中断することでなければならない。事実、インビトロで予め損傷した血管においてNOシンターゼの過剰発現をもたらす遺伝子導入実験が、説明したプロセスに拮抗し得るものであり、従って、このアプローチの正しさの証拠である(非特許文献4)。
【0008】
細胞培養において、eNOS転写および発現に対して直接的効果をもたらし得るいくつかの低分子量化合物が、文献に記載されている。スタチンについては、すでに言及されているように、これまでのところ副作用としてインビボでeNOSの増加を示すことが可能である。しかし、この種類の物質の公知の範囲の副作用を考慮しても、どの程度までのこの作用の使用が、毒物学的に問題のない用量でなされ得るかは不明である。Liaoらは、特許文献1および特許文献2において、内皮細胞においてeNOSを増加させるため、および例えば発作(stroke)または肺高血圧のような種々の障害を治療する(しかしながら、これを達成する具体的な方法は示していない)ための、rhoGTPアーゼ阻害剤およびアクチン細胞骨格の構築に影響する薬剤の使用を特許請求している。内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションする特定のアミド誘導体、特にシクロアルキル環がベンゼン環または芳香族複素環に縮合しているN−シクロアルキルアミドが、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9に記載されている。内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションする特定のトリアザ−アントラセンジオン誘導体およびテトラアザ−アントラセンジオン誘導体は、特許文献10に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO99/47153
【特許文献2】WO00/03746
【特許文献3】WO02/064146
【特許文献4】WO02/064545
【特許文献5】WO02/064546
【特許文献6】WO02/064565
【特許文献7】WO2004/014369
【特許文献8】WO2004/014372
【特許文献9】WO2004/014842
【特許文献10】WO2004/094425
【特許文献11】WO2006/008556
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Circ.Research 74(1994)349−353
【非特許文献2】Endresら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1998)8880−8885
【非特許文献3】Nakayamaら、Circulation 99(1999)2864−2870
【非特許文献4】Varenneら、Hum.Gene Ther.11(2000)1329−1339
【非特許文献5】Matsukawaら、Yakugaku Zasshi 71(1951),756−759
【非特許文献6】Pylら、Liebigs Ann.Chem.657(1962),113−120
【非特許文献7】Abeら、Chemistry Letters(1980),223−224
【非特許文献8】Abeら、Bull.Chem.Soc.Japan 53(1980),3308−3312
【非特許文献9】Abeら、Bull.Chem.Soc.Japan 55(1982),200−203
【非特許文献10】Abeら、J.Chem.Research,Synopses(1999),322−323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
内皮型NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、有利な特性プロフィルを有し、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患または心機能不全(cardiac insufficiency)のような種々の疾患の処置のための薬剤として有用であるさらなる化合物に対する必要性が未だなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚いたことに、今や式Iの化合物が内皮型NOシンターゼの転写のモジュレーターであり、特にeNOSの発現を刺激またはアップレギュレーションし、かつ上述の心臓血管障害のような種々の疾患の処置に有用であることを発見した。
【0013】
R3が(C1−C6)−アルコキシカルボニルまたはCOOHとして定義される式Iに含まれる特定の化合物は、以下を含む多くの文書に記載されている:特許文献11、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9および非特許文献10。eNOSの転写または発現に対する式Iのこれらの既知の化合物の刺激効果およびそのような効果に基づく疾患の処置におけるこれらの使用は未だ開示されていない。
【0014】
本発明の主題は、内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するため、およびそのような刺激またはNOレベルの増加が望まれる疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患もしくは心不全のような心臓血管障害または本明細書中の上述もしくは以下に述べる任意の他の疾患を処置するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の、式I
【化2】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、−C(=NR4)−NHR5、COOHおよび−C(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニル−オキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
またはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
R6およびR7は、独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(CH2o−(C6−C14)−アリールおよび−(CH2p−ヘテロアリールから選択され、ここでアリール残基およびヘテロアリール残基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
または、R6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつR6とR7とを接続する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和、部分的に不飽和または芳香族の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
oおよびpは、独立して0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩の使用である。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するため、およびそのような刺激またはNOレベルの増加が望まれる疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患もしくは心不全のような心臓血管障害または本明細書中の上述もしくは以下に述べる任意の他の疾患を処置するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の、式I
[式中、
Rは、ハロゲン、(C1−C6)−アルキルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、−C(=NR4)−NHR5、COOHおよびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
R6は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R7は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニルおよび−(CH2p−チアゾールイルから選択されるか;
またはR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の飽和複素環式環を形成し;
nは、0および1から選択され;
pは、0および1から選択される]
の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩の使用に関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するため、およびそのような刺激またはNOレベルの増加が望まれる疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患もしくは心不全のような心臓血管障害または本明細書中の上述もしくは以下に述べる任意の他の疾患を処置するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Iの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩の使用であって、ここで式Iの化合物が以下:
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−フェニル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸tert−ブチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸フェニルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
から選択される使用に関する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するため、およびそのような刺激またはNOレベルの増加が望まれる疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患もしくは心不全のような心臓血管障害または本明細書中の上述もしくは以下に述べる任意の他の疾患を処置するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Iの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩の使用であって、ここで式Iの化合物は以下に定義する式Iaまたは式Ibの化合物である、使用に関する。
【0018】
本発明の別の主題は、薬剤として使用するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の、式Ia;
【化3】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1
−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、−C(=NR4)−NHR5およびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニル−オキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
または、R4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
R6およびR7は、独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(CH2o−(C6−C14)−アリールおよび−(CH2p−ヘテロアリールから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリール残基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
または、R6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつR6とR7とを接続する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和、部分的に不飽和または芳香族の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
oおよびpは、独立して0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、薬剤として使用するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の、式Iaの化合物であって、ここで、
Rは、ハロゲンから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、−C(=NR4)−NHR5およびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
R6は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R7は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニルおよび−(CH2p−チアゾリルから選択されるか;
またはR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の飽和複素環式環を形成し;
nは、1であり;
pは、0および1から選択される;
化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、薬剤として使用するための、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Iの化合物であって、ここで式Iの化合物が以下:
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸tert−ブチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸フェニルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
から選択される化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、医薬品として使用するためのあらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Iaの化合物であって、ここで式Iaの化合物が以下に定義されるような式Ibの化合物である、式Iaの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0022】
本発明の別の主題は、
あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Ib;
【化4】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニル−オキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
または、R4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0023】
本発明の実施形態は、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の、式Ibの化合物であって、ここで、
Rは、ハロゲンから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
nは、1である
化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0024】
本発明の別の実施形態は、あらゆる立体異性体の形態または任意の比率の立体異性体の形態の混合物の式Iの化合物であって、ここで式Iの化合物が以下:
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
から選択される化合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0025】
式I、IaおよびIbの化合物において、例えばR、R1、アルキル基などのような任意の基、置換基、環員、数または他の特徴が何回も出現する場合、それらは全て互いに独立して、示されたいずれかの意味を有し得、そしてそれぞれ個々の場合において互いに同一でも異なっていてもよい。たとえば、ジアルキルアミノ基において、これらのアルキル基は同一でも異なっていてもよい。式Iaの化合物は、式Ibの化合物を包含する。式Iの化合物は、式Ibの化合物および式Iaの化合物を包含する。
【0026】
アルキル残基は、線形、すなわち直鎖または分枝鎖の非環式、または環式であり得る。これはまた、それらが他の基、例えばアルキルオキシ基(=アルコキシ基、すなわちアルキル−O−基)、アルキルカルボニル基もしくはアルキル−置換アミノ基の一部である場合、またはそれらが置換されている場合にも当てはまる。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、これらの基のn−異性体、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルまたは3,3−ジメチルブチルである。本発明の1つの実施形態において、(C1−C18)−アルキル基は、(C1−C6)−アルキル基である。置換アルキル基は、任意の所望の位置に存在し得る1つまたはそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)の同一かまたは異なる置換基(例えばF)によって置換されてよい。適用可能である限り、アルキル基に関する前述の説明は、2価のアルキル基、すなわちアルカンジイル基およびメチレン基のようなアルキレン基に対して同様に適用される。
【0027】
シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。置換シクロアルキル基は、任意の所望の位置に存在し得る1つまたはそれ以上、例えば1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一であるかまたは異なる置換基によって置換され得る。
【0028】
(C6−C14)−アリール残基の例は、フェニルおよびナフチルである。非置換であるかまたは置換された(C6−C14)−アリール残基(例えば、フェニルまたはナフチル)が1つまたはそれ以上の置換基によって置換される場合、一般的にはそれは1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一または異なる置換基(例えば、1つまたは2つの置換基)を保持し得る。この置換基は、任意の所望の位置に存在し得る。これは同様に、例えば、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニルまたは(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニルのような基における(C6−C14)−アリール残基に適用される。一置換フェニル基において、その置換基は2位、3位または4位に位置することができる。二置換フェニル基において、それらの置換基は2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位または3,5位に位置することができる。三置換フェニル残基において、それらの置換基は2,3,4位、2,3,5位、2,3,6位、2,4,5位、2,4,6位または3,4,5位に位置することができる。ナフタレニル(=ナフチル)は、ナフタレン−1−イル(=1−ナフチル)またはナフタレン−2−イル(=2−ナフチル)であり得る。一置換ナフタレン−1−イル基において、置換基は、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位に位置することができ、一置換ナフタレン−2−イル基において、置換基は、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位に位置することができる。同様に、二置換ナフタレニル基において、それらの置換基は、ナフタレニル基がそれを経て結合される環の、および/またはもう一方の環の任意の所望の位置に存在し得る。
【0029】
ヘテロアリール基は、好ましくは5員もしくは6員の単環式芳香族複素環式基であるか、または9員もしくは10員の二環式芳香族複素環式基であって、ここでこの二環式基は、5員環に縮合した6員環または2つの縮合した6員環を含む。二環式ヘテロアリール基において、1つまたは両方の環が、芳香族環であってもよく、かつ1つまたは両方の環が、ヘテロ環員を含んでもよい。好ましくは、ヘテロアリール基は、1つ、2つまたは3つ、たとえば、1つまたは2つの同一であるかまたは異なるヘテロ環員を含む。このヘテロアリール基中の環ヘテロ原子は、一般的にはN、OおよびSから選択され、ここで、Nは、ピロール、ピラゾールもしくはイミダゾールのような5員芳香族ヘテロ環の事例のように、水素原子または任意の置換基を保持する環窒素原子を含む。ヘテロアリール基中のヘテロ環員は、任意の所望の位置に配置されてよいが、ただし、結果として生ずるヘテロ環式系がこの分野において知られており、かつ原薬におけるサブグループとして安定であり、適していることを条件とする。ヘテロアリール基および他のヘテロ環式基の親複素環の例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサゾール(=1,3−オキサゾール)、イソオキサゾール(=1,2−オキサゾール)、チアゾール(=1,3−チアゾール)、イソチアゾール(=1,2−チアゾール)、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、1,3−ベンゾジオキソール(=1,2−メチレンジオキシベンゼン)、1,3−ベンゾオキサゾール、1,3−ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロマン、イソクロマン、1,4−ベンゾジオキサン(=1,2−エチレンジオキシベンゼン)、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、チエノチオフェン、1,8−ナフチリジンである。ヘテロアリール基の好ましい例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾールおよびチアゾール、特にチアゾールである。
【0030】
R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、4員、5員、6員または7員であり得、かつ部分的に不飽和であるかまたは芳香族、特に部分的に不飽和であり、例えば1つ、2つ、または3つの二重結合をその環内に含み得るが、ただしそのそれぞれの環系は、その技術分野において、原薬におけるサブグループとして安定であり、かつ適していることが知られていることを条件とする。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員(例えば−C(=O)−および−O−)を含むが、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず、そしてそのそれぞれの環系は、その技術分野において、原薬におけるサブグループとして安定であり、かつ適していることが知られていることを条件とする。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されてよい。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成される複素環式環の残基の例としては以下が挙げられる:イミダゾール、ジヒドロ−イミダゾール、ピリミジン、ジヒドロ−ピリミジン、テトラヒドロ−ピリミジン、ジアゼピン、ジヒドロ−ジアゼピン、テトラヒドロ−ジアゼピン、ジアゼト−オン、オキサジアゾール、ジヒドロ−オキサジアゾール、オキサジアゾール−オン、チアジアゾール、ジヒドロ−チアジアゾール、チアジアゾール−オン、トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール−オン、ジヒドロ−ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−オキソ−チアジアゾール、ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−テトラゾール、テトラゾール、テトラヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−トリアジン、トリアジン、テトラヒドロ−テトラジン、ジヒドロ−テトラジン、テトラジン、ジヒドロ−オキサジアジン、ジオキサジアジン、オキサジアジン、ジヒドロ−チアジアジン、ジチアジアジン、チアジアジン、ジヒドロ−オキサジアジン−オン、オキサジアジン−オン、ピリミジン−ジオン、テトラヒドロ−オキサジアゼピン、ジヒドロ−オキサジアゼピン、オキサジアゼピン、テトラヒドロ−チアジアゼピン、ジヒドロ−チアジアゼピン、チアジアゼピン、テトラヒドロ−トリアゼピン、ジヒドロ−トリアゼピンまたはトリアゼピンの残基。
【0031】
R6およびR7がそれらを保持する窒素原子と一緒になって形成され得る複素環式環は、4員、5員、6員または7員であり得、かつ飽和、部分的に不飽和、または芳香族、特に飽和であり、例えば1つ、2つ、または3つの二重結合をその環内に含み得るが、ただしそのそれぞれの環系は、その技術分野において、原薬におけるサブグループとして安定であり、かつ適していることが知られていることを条件とする。R6およびR7が、それらを保持する窒素原子と一緒になって形成され得る複素環式環は、R6とR7とを接続する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員(例えば−C(=O)−および−O−)を含んでいてよいが、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず、そしてそのそれぞれの環系は、その技術分野において、原薬におけるサブグループとして安定であり、かつ適していることが知られていることを条件とする。R6およびR7が、それらを保持する窒素原子と一緒になって形成され得る複素環式環は、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換され得る。R6およびR7が、それらを保持する窒素原子と一緒になって形成され得る複素環式環の残基の例としては以下が挙げられる:アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ジヒドロ−アゼト、アゼト、ジヒドロ−ピロール、ピロール、テトラヒドロ−ピリジン、ジヒドロ−ピリジン、ピリジン、テトラヒドロ−アゼピン、ジヒドロ−アゼピン、アゼピン、イミダゾリン、ヘキサヒドロ−ピリミジン、ピペラジン、ジアゼパン、ジヒドロ−イミダゾール、テトラヒドロ−ピリミジン、テトラヒドロ−ジアゼピン、イミダゾール、ジヒドロ−ピリミジン、ピリミジン、テトラヒドロ−ピラジン、ジヒドロ−ピラジン、ピラジン、ジヒドロ−ジアゼピン、ジアゼピン、オキサゾリジン、モルホリン、オキサジナン、オキサゼパン、オキサゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアジナン、チオモルホリン、オキサゼピン、チアゼピン、チアゼパン、1,1−ジオキソ−チアゾリジン、1,1−ジオキソ−チアジナン、1,1−ジオキソ−チオモルホリン、1,1−ジオキソ−チアゼパン、ピロリジノン、ピペリジノンまたはアゼパノン、好ましくは、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼパンの残基である。
【0032】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素であり、より好ましくはフッ素または塩素であり、例えばフッ素である。
【0033】
オキソ基は、炭素原子に結合した場合、親系の炭素原子上の2つの水素原子と置き換わる。従って、CH2基がオキソによって(すなわち二重結合した酸素原子によって)置換される場合、C(=O)基となる。明らかに、オキソ基は、芳香族環中の炭素原子上の置換基としては出現し得ない。
【0034】
本発明は、式I、IaおよびIbの化合物ならびにそれらの塩の全ての立体異性形を含む。各キラル中心に関しては、その他のキラル中心と独立して、式I、IaおよびIbの化合物は、S配置もしくは実質的にS配置で存在し得るかまたは、R配置もしくは実質的にR配置で存在し得るか、または任意の比率でのS異性体とR異性体との混合物として存在し得る。本発明は、全ての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーならびに2つまたはそれ以上の立体異性体の混合物、例えば全ての比率におけるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を含む。従って、エナンチオマーとして存在することができる本発明の化合物は、左旋性鏡像異性体および右旋性鏡像異性体として両方とも鏡像異性的に純粋な形態で、ならびに全ての比率の2つのエナンチオマーのラセミ化合物を含む混合物形態で、存在し得る。E/Z異性またはシス/トランス異性の場合(例えば、二重結合または環上)、本発明は全ての比率のこれらの形態の混合物に加え、E形およびZ形の両方かまたはシス形およびトランス形の両方を含む。個々の立体異性体の製造は、例えば従来の方法による異性体混合物の分離によるか、例えばクロマトグラフィーもしくは結晶化によるか、合成における立体化学的に同じ出発物質の使用によるか、または立体選択的合成によって行なうことができる。場合により、誘導体化は立体異性体の分離の前に行ない得る。立体異性体の混合物の分離は、式I、IaもしくはIbの化合物の段階で、または合成の間の出発物質もしくは中間体の段階で行ない得る。
【0035】
本発明はまた、式I、IaおよびIbの化合物およびそれらの塩の全ての互変異性型を含む。例えば、本発明は、C(=NR4)−NHR5基の互変異性体を含む:
【化5】

【0036】
式I、IaおよびIbの化合物が1つまたはそれ以上の酸性基および/もしくは塩基性基(すなわち塩形成基)を含む場合に、本発明はまた、それらの対応する生理学的または毒物学的に受容可能な塩(すなわち、非毒性塩)、特にそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。従って、酸性基を含む式I、IaおよびIbの化合物はこのようなグループ上にあり得、そして本発明に従って、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として用いられ得る。このような塩のより詳細な例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩のような第四級アンモニウム塩、またはアンモニアもしくは有機アミン(例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンまたはアミノ酸)との酸の付加塩を含む。塩基性基(すなわち陽子を加えることができる基)を含む式I、IaおよびIbの化合物はこのようなグループ上にあり得、そして例えば、無機酸または有機酸との付加塩の形で本発明に従って使用され得る。適切な酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸および当業者に公知の他の酸を含む。式I、IaおよびIbの化合物が同時に分子内に酸性基および塩基性基を含む場合、本発明はまた、上述の塩形態に加えて、内部塩またはベタインまたは双性イオンを含む。式I、IaおよびIbの化合物の塩は、当業者にとって公知の従来の方法、例えば溶媒もしくは希釈剤中で式I、IaおよびIbの化合物を有機もしくは無機の酸もしくは塩基と接触させることによって、または別の塩からの陰イオン交換もしくは陽イオン交換によって、得ることができる。本発明はまた、低い生理学的適合性のために、薬剤における使用には直接に適していないが、例えば化学反応のためまたは生理学的に受容可能な塩の製造のための中間体として使用できる式I、IaおよびIbの化合物の全ての塩を含む。
【0037】
本発明はさらに、式I、IaおよびIbの化合物の全ての溶媒和化合物、例えば水和物またはアルコール付加物、式I、IaおよびIbの化合物の活性代謝物、ならびにインビトロでは必ずしも薬理学的活性を示さないが、生体内で薬理学的に活性な化合物に転換される式I、IaおよびIbの化合物のプロドラッグおよび誘導体(例えばカルボン酸基のエステルまたはアミド)を含む。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物中のR基は、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子によって置換され得る(C1−C6)−アルキル、1つまたはそれ以上のフッ素原子によって置換され得る(C1−C6)−アルコキシ、およびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノから選択され、後者の基はまた、ジ−(C2−C12)−アルキルアミノとして示され得る。式Iの化合物において、Rは、好ましくはハロゲン(例えばFおよびCl)、(C1−C6)−アルキル(例えば、メチル)およびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ(例えば、ジエチルアミノ)から選択される。式IaおよびIbの化合物において、Rは好ましくはハロゲンから選択され、例えばFであり得る。式I、IaおよびIbの化合物中の数nが0(ゼロ)である場合、R基を保持しているフェニル基は、5つの水素原子を保持するので未置換のフェニル基である。この数nが0とは異なる、つまりフェニル基は1つまたはそれ以上のR基によって置換されている場合、R基を保持していないフェニル基の全ての位置が水素原子を保持する。例えば、nが1の場合、このフェニル基は1つのR基に加えて4つの水素原子を保持する。数nの定義で、0とは異なる意味に加えて意味0を含め、かつR基の定義で水素と異なる意味のみを含めるかわりに、数nの定義で0とは異なる意味のみを含め、かつR基の定義で水素と異なる意味に加えて水素の意味を含めることによって、式I、IaおよびIbの化合物を同様に定義することができる。
【0039】
1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物中のR1は、水素、およびメチルから選択され、好ましくは水素である。
【0040】
1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物中のR2は、水素、メチル、およびエチルから選択され、好ましくは水素およびメチルから選択される。
【0041】
1つの実施形態において、式Iの化合物中のR3の(C1−C6)−アルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルから選択される。式Iの化合物において、R3は、好ましくはBr、シアノ、−C(=NR4)−NHR5およびC(=O)−NR6R7から選択され、より好ましくはBr、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択される。本発明の1つの実施形態において、式Iaの化合物中のR3は、Br、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択される。本発明の別の実施形態において、式Iaの化合物中のR3は、−C(=O)−NR6R7から選択される。本発明の1つの実施形態において、式Ibの化合物中のR3は、Brおよびシアノから選択される。本発明の別の実施形態において、式Ibの化合物中のR3は、−C(=NR4)−NHR5から選択される。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物において、R3がBrと定義される場合R2は水素と定義される。
【0043】
別の実施形態において、式Iの化合物においてR3がCOOHと定義される場合、R2は水素またはメチルと定義される。
【0044】
別の実施形態において、式Iの化合物において、R3がシアノ、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、−C(=NR4)−NHR5またはC(=O)−NR6R7と定義される場合、R2はメチルと定義される。
【0045】
別の実施形態において、式Iaの化合物においてR3がシアノ、−C(=NR4)−NHR5またはC(=O)−NR6R7と定義される場合、R2はメチルと定義される。
【0046】
別の実施形態において、式Ibの化合物においてR3がシアノまたは−C(=NR4)−NHR5と定義される場合R2はメチルと定義される。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物においてR4は水素または(C1−C6)−アルキルと定義され、好ましくは水素である。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物においてR5は水素またはヒドロキシと定義され、好ましくはヒドロキシである。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物中のR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含んでいてよい、4員〜7員、例えば、5員または6員の飽和または部分的に不飽和の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ない。例えば、式I、IaおよびIbの化合物中のR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって以下から選択される環の残基を形成する:イミダゾール、ジヒドロ−イミダゾール、ピリミジン、ジヒドロ−ピリミジン、テトラヒドロ−ピリミジン、ジアゼピン、ジヒドロ−ジアゼピン、テトラヒドロ−ジアゼピン、ジアゼト−オン、オキサジアゾール、ジヒドロ−オキサジアゾール、オキサジアゾール−オン、チアジアゾール、ジヒドロ−チアジアゾール、チアジアゾール−オン、トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール−オン、ジヒドロ−ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−オキソ−チアジアゾール、ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−テトラゾール、テトラゾール、テトラヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−トリアジン、トリアジン、テトラヒドロ−テトラジン、ジヒドロ−テトラジン、テトラジン、ジヒドロ−オキサジアジン、ジオキサジアジン、オキサジアジン、ジヒドロ−チアジアジン、ジチアジアジン、チアジアジン、ジヒドロ−オキサジアジン−オン、オキサジアジン−オン、ピリミジン−ジオン、テトラヒドロ−オキサジアゼピン、ジヒドロ−オキサジアゼピン、オキサジアゼピン、テトラヒドロ−チアジアゼピン、ジヒドロ−チアジアゼピン、チアジアゼピン、テトラヒドロ−トリアゼピン、ジヒドロ−トリアゼピンおよびトリアゼピン。
【0050】
1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物中のR6は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され、好ましくは水素、メチル、エチルおよびイソプロピルから選択される。
【0051】
1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物中のR7は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(CH2o−アリールおよび−(CH2p−ヘテロアリールから選択され、ここでアリール残基およびヘテロアリール残基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されてもよい。好ましくは、式IおよびIaの化合物において、R7は、水素、(C1−C6)−アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチル)、(C3−C7)−シクロアルキル、(例えば、シクロプロピル、フェニル)または−(CH2p−チアゾリル(例えば、チアゾリルまたはチアゾリルメチル)と定義される。
【0052】
本発明の1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物中のR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつR6とR7とを連結する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含み得る、4員〜7員の飽和、部分的に不飽和または芳香族の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず、そして例えば、式IおよびIaの化合物中のR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ジヒドロ−アゼト、アゼト、ジヒドロ−ピロール、ピロール、テトラヒドロ−ピリジン、ジヒドロ−ピリジン、ピリジン、テトラヒドロ−アゼピン、ジヒドロ−アゼピン、アゼピン、イミダゾリン、ヘキサヒドロ−ピリミジン、ピペラジン、ジアゼパン、ジヒドロ−イミダゾール、テトラヒドロ−ピリミジン、テトラヒドロ−ジアゼピン、イミダゾール、ジヒドロ−ピリミジン、ピリミジン、テトラヒドロ−ピラジン、ジヒドロ−ピラジン、ピラジン、ジヒドロ−ジアゼピン、ジアゼピン、オキサゾリジン、モルホリン、オキサジナン、オキサゼパン、オキサゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアジナン、チオモルホリン、オキサゼピン、チアゼピン、チアゼパン、1,1−ジオキソ−チアゾリジン、1,1−ジオキソ−チアジナン、1,1−ジオキソ−チオモルホリン、1,1−ジオキソ−チアゼパン、ピロリジノン、ピペリジンノンおよびアゼパノンから、好ましくは、ピロリジン、ピペリジンおよびアゼパンから選択される環の残基を形成する。本発明の1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物中のR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の飽和、部分的に不飽和または芳香族の複素環式環、特に飽和または部分的に不飽和の環を形成し、好ましくはR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって4員〜7員の飽和複素環式環、例えばピロリジン、ピペリジンまたはアゼパンの残基を形成する。
【0053】
1つの実施形態において、式I、IaおよびIbの化合物において数nは0、1および2から、好ましくは、0および1から選択される。別の実施形態において、nは1である。
【0054】
1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物において数oは0および1から選択され、好ましくは0である。
【0055】
1つの実施形態において、式IおよびIaの化合物において数pは0、1および2から、好ましくは0および1から選択される。
【0056】
式I、IaおよびIbの化合物およびそれらの前駆体は、それぞれ、文献にて公表されている方法または同様の方法に従って製造され得る。たとえば、式Iの化合物(IaおよびIbの化合物を含む)は、式IIの化合物と式IIIの化合物とを反応させることによって製造され得る。
【化6】

【0057】
式IIおよびIIIの化合物において、可変部R、R1、R2、R3、およびnは、式Iの化合物と同じように定義され、かつXは、ハロゲン(特にBr)のような脱離基である。式IIとIIIの化合物の反応は、不活性溶媒中で行なうことができ、それは、プロトン性または非プロトン性であってよく、かつ水性または非水性であり得、例えばヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(=THF)またはジオキサン)、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(=DMF))、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、水もしくはアセトニトリル、または水と水に混和性もしくは不混和性の有機溶媒との混合物を含む2種類もしくはそれ以上の溶媒の混合物である。あるいは、この反応は溶媒なしの条件下で行なわれ得る。この反応はルイス酸の存在下またはマイクロ波照射を用いて行なうこともできる。式IIと式IIIの化合物の反応は、広範囲の温度域で行なわれ得る。通常、その反応を行なうには約−20℃から用いる溶媒のおおよそ沸点まで、好ましくは約0℃〜約140℃、より好ましくは溶媒のおおよそ沸点で行うのが有利である。従来どおり、溶媒、塩基の添加、温度、添加順序、モル比および他のパラメーターを含む特定の製造の詳細な条件は、出発化合物および目標化合物の特徴を考慮して、当業者によって型どおりに選択される。適切な方法は、例えば、Pylら、Liebigs Ann.Chem.643(1961),145−153;Pylら、Liebigs Ann.Chem.657(1962),108−113;Pylら、Liebigs Ann.Chem.657(1962),113−120;Sayedら,Synth.Commun.32(2002),481−495.に公表されている。
【0058】
式Iの化合物の上記合成に用いられる全ての反応は、それ自体当業者によく知られており、そして文献、例えばHouben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry),Thieme−Verlag,Stuttgart,or Organic Reactions,John Wiley&Sons,New Yorkに記載される手順に従うかまたは同様の標準条件下で行なわれ得る。個々の場合の状況の如何により、化合物の合成の際の不必要な反応過程または副反応を避けるために、保護基を導入することにより一時的に官能基をブロックすること、およびその合成の後の段階でそれらを脱保護するか、または後の反応工程において所望の官能基に変換される前駆基の形態の官能基を導入することが、一般的に必要であるかまたは有利であり得る。保護基の例としては、tert−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルのようなアミノ保護基、ならびにtert−ブチルエステル(これはトリフルオロ酢酸での処理で脱保護され得る)、またはベンジルエステル(これは接触水素化によって脱保護され得る)のようなエステルとして保護され得るカルボン酸基の保護基が挙げられる。前駆基の例としては、還元(例えば接触水素化)によってアミノ基に変換され得るニトロ基を挙げることができる。このような合成戦略ならびに特定のケースにおいて適している保護基および前駆基は、当業者に公知である。別の型の変換は、R3がカルボン酸エステル基である式Iの化合物から出発する。文献に記載される標準的な手順によって、このエステル基をアンモニアもしくはアミンとの直接反応によって、またはエステル基のけん化および遊離カルボン酸とアンモニアもしくはアミンとの反応によって非直接的に、アミド基に移すことができる。アンモニアで得られた第1級アミドを脱水し、対応するニトリルを得ることができる。このようなタイプの反応を行なうための多くの手順が文献に記載されている(例えば、D.S.Boseら、Synthesis(1999)、64−65)。ニトリルは、アミンまたはヒドロキシルアミンのような窒素含有化合物を付加させることによってアミジンまたはヒドロキシ−アミジンのような付加物に容易に変換される。多くのこのような手順が文献に記載されている(例えば、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry)volume XI/2,pp.39−,Thieme−Verlag,Stuttgart;G.Wagnerら、Pharmazie 29(1974),12−15;Z.Liら,J.Med.Chem.48(2005),6169−6173;M.D.Bjorklundら,J.heterocycl.Chem.17(1980),819−821)。
【0059】
所望ならば、得られた式Iの化合物および任意の中間化合物は、従来の精製手順、例えば再結晶またはクロマトグラフィーによって精製できる。式Iの化合物の製造のための式IIおよび式IIIの出発化合物は、市販されているかまたは文献の手順もしくはそれと同様の方法によって製造され得る。
【0060】
式I、IaおよびIbの化合物は、内皮型NOシンターゼの発現を調節する、より詳細には内皮型NOシンターゼの発現または転写をアップレギュレーションまたは刺激し、種々の疾患の処置のための薬剤または薬剤の活性成分として使用され得る、価値ある薬理学的に活性な化合物または薬学的に活性な化合物である。本発明との関係において、処置は、当然ながら、疾患および疾患症状の緩和および治癒を含む治療、ならびに例えば喘息疾患症状の出現(appearance)の予防または心筋梗塞もしくは罹患患者の心筋再梗塞の予防のような疾患および疾患症状の防止または予防、の両方を含む。疾患または疾患症状は、急性または慢性であり得る。式I、IaおよびIbの化合物によって処置することができる疾患としては、例えば、安定および不安定狭心症のような心臓血管疾患、冠動脈性心疾患、冠状動脈疾患、プリンズメタル型狭心症(痙攣)、急性冠症候群、心機能不全(cardiac insufficiency)、心不全(heart failure)、心筋梗塞、発作(stroke)、血栓症、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化、再狭窄、PTCA(=経皮的経管的冠動脈形成術)後の内皮障害、本態性高血圧、肺高血圧および二次性高血圧(腎血管性高血圧、慢性糸球体腎炎)を含む高血圧、勃起障害および心室不整脈が挙げられる。さらに、式I、IaおよびIbの化合物は、閉経後の女性のまたは避妊剤摂取後の心血管系リスクを低下させる。式I、IaおよびIbの化合物はさらに、糖尿病および糖尿病合併症(腎症または網膜症など)、新脈管形成、気管支喘息、慢性腎不全、肝硬変、骨粗鬆症、制限された記憶能力または制限された学習能力の治療および予防を含む処置において使用され得る。好ましい効能は、安定狭心症、冠動脈性心疾患、高血圧、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化および糖尿病合併症である。
【0061】
式I、IaおよびIbの化合物は、他の薬学的に活性な化合物または薬剤、好ましくは式I、IaおよびIbの化合物の作用を増強することができる化合物と組み合わせて使用することができる。そのような他の化合物の例は以下を含む:スタチン;ACE阻害剤;AT1アンタゴニスト;アルギニナーゼ(argininase)阻害剤;PDE V阻害剤;カルシウムアンタゴニスト;α遮断薬;β遮断薬;メチマゾールおよび類似化合物;アルギニン;テトラヒドロビオプテリン;ビタミン、特にビタミンCおよびビタミンB6;ナイアシン。
【0062】
式I、IaおよびIbの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、場合により他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、動物に、好ましくは哺乳動物に、そして特にヒトに、単独での薬剤として、互いの混合物の薬剤として、または薬剤組成物の形態で、投与され得る。従って、本発明のさらなる主題はまた、薬剤として使用するための式IaおよびIbの化合物およびその薬学的に受容可能な塩、調節剤として、特に例えば患者において内皮型NOシンターゼの発現の増加またはNOレベルの増加または減少したNOレベルの正常化が望まれる状態における、内皮型NOシンターゼの発現または転写の刺激剤またはアップレギュレーション剤としての式I、IaおよびIbの化合物およびその薬学的に受容可能な塩の使用、および特に上述の疾患または症候群の治療および予防を含む処置におけるそれらの使用、ならびにこれらの目的の薬剤を調製または製造するためのそれらの使用である。さらに、本発明の主題は、有効用量の少なくとも1つの式IaおよびIbの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能な担体、すなわち1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な担体物質および/または添加物を含有する薬剤組成物(または薬学製剤)である。
【0063】
本発明による薬剤は、例えば丸剤、錠剤、ラッカー掛け錠剤(lacquered tablets)、糖衣錠、顆粒剤、ハードおよびソフトゼラチンカプセル剤、水性、アルコール性もしくは油性の液剤、シロップ剤、乳剤、もしくは懸濁剤の形態で経口投与されるか、または例えば坐剤の形態で直腸投与され得る。投与はまた、非経口的に、例えば皮下に、筋肉内にまたは静脈内に、例えば、注射または注入のための液剤の形態で行われ得る。他の適切な投与形態は、例えば軟膏剤、チンキ剤、スプレー剤もしくは経皮治療システムの形態で、例えば経皮投与もしくは局所投与であるか、もしくは鼻スプレー剤もしくはエアゾール混合物の形態での吸入投与であるか、または例えばマイクロカプセル剤、インプラントもしくはロッドである。特に好ましい投与形態は、治療しようとする疾患およびその重症度に依存する。
【0064】
薬剤組成物中の式I、IaおよびIbの化合物および/または薬学的に受容可能な塩の量は、一用量あたり通常、約0.2mg〜約800mg、好ましくは約0.5mg〜約500mg、特に約1mg〜約200mgの範囲であるが、薬剤組成物の種類の如何によってそれはより高用量もあり得る。薬剤は、通常、式I、IaもしくはIbの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を約0.5質量%〜約90質量%含有する。薬剤組成物の製造は、それ自体公知の方法で行われ得る。このために、1つもしくはそれ以上の、式I、IaまたはIbの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を、1つまたはそれ以上の固体または液体の薬剤担体物質(ビヒクル)および/または添加物(または助剤物質)、および組み合わせ薬剤が望まれる場合、治療的または予防的作用を有する他の薬学的に活性な化合物と共に、ヒトまたは獣医学における薬剤として使われ得る適切な投与形態または投薬形態にする。
【0065】
丸剤、錠剤、糖衣錠およびハードゼラチンカプセル剤の製造のために、例えば、ラクトース、デンプン(例えば、メイズスターチ)、デンプン誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩等を使用することができる。ソフトゼラチンカプセル剤および坐剤は例えば脂肪、ワックス、半固体および液体のポリオール、天然油もしくは硬化油等を含み得る。液剤(例えば注射用液剤)、または乳剤もしくはシロップ剤の調製に適した担体物質は、例えば水、生理食塩水溶液、エタノールのようなアルコール、グリセリン、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、マンニトール、植物油等である。式I、IaおよびIbの化合物およびその薬学的に受容可能な塩を凍結乾燥すること、および例えば注射または注入用の組成物を調製するためにその得られた凍結乾燥物を使用することもまた可能である。マイクロカプセル剤、インプラントまたはロッドのための適切な担体は、例えばグリコール酸と乳酸のコポリマーである。本発明の一つまたは複数の化合物および担体物質に加えて、薬剤組成物はまた、添加物、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、着香料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤または抗酸化剤もまた含むことができる。
【0066】
投与される式I、IaおよびIbの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投薬量は、個体の症例の如何により、そして慣例的であるように、最適効果を達成するために個体の状況に適合されなければならない。従ってそれは、処置しようとする障害の性質および重症度、ならびにまた処置しようとするヒトまたは動物の性別、年齢、体重および個体の反応性、使用される化合物の作用の効能および持続時間、その使用が急性もしくは慢性的疾患の治療もしくは予防のためかどうか、または他の活性な化合物が式IまたはIa、Ibの化合物に加えて投与されるかどうかの如何による。一般に、所望の結果を得るために一日量、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約10mg/kg、特に約0.3mg/kg〜約5mg/kg(いずれの場合においても体重1kgあたりのmg)が、約75kgの成人に投与するのに適している。一日量は、単回で投与することができ、または特に多量に投与する場合は数回、例えば2回、3回または4回の個々の投与量に分割して投与することができる。場合によっては個体の応答に応じて、所定の一日用量から上方または下方に逸脱させることが必要であり得る。
【0067】
式I、IaおよびIbの化合物はまた、上記に示す目的以外の目的に使われ得る。その非限定的な例としては、診断目的、例えば生物学的サンプル中の内皮型NOシンターゼの活性を測定するための方法における使用、生化学ツールとしての使用およびさらなる化合物、例えばさらなる薬学的に活性な化合物の製造するための中間体としての使用が含まれる。
【0068】
略語のリスト:
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
RP 逆相
RT 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TOTU O−[(シアノ(エトキシカルボニル)メチレン)アミノ]−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩
【実施例】
【0069】
実施例1:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化7】

2−ブロモ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エタノン(200mg、0.92mmol)および2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(186.2mg、0.92mmol)を5mlのエタノール中で95℃で5時間加熱した。80mgの2−ブロモ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エタノンを加えた後、さらに95℃で9時間加熱し、その混合物を蒸発させた。硫酸水素カリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水 0.1%TFA)によって精製し、81mg(32%)の所望生成物を得た。MS(質量スペクトル):M+H+=305.07。
【0070】
実施例2:6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化8】

この化合物を、2−ブロモ−1−(3−クロロ−フェニル)−エタノンを用いて実施例1と同じように合成した。収率:30%。MS:M+H+=321.01。
【0071】
実施例3:3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化9】

この化合物を、2−ブロモ−1−p−トリル−エタノンを用いて実施例1と同じように合成した。収率:26%。MS:M+H+=301.02。
【0072】
実施例4:3−メチル−6−フェニル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化10】

この化合物を、2−ブロモ−1−フェニル−エタノンを用いて実施例1と同じように合成した。収率:36%。MS:M+H+=287.23。
【0073】
実施例5:6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル
【化11】

この化合物を、2−ブロモ−1−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−エタノンを用いて実施例1と同じように合成した。収率:85%.MS:M+H+=358.18。
【0074】
実施例6:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド
【化12】

6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(実施例7、50mg、0.18mmol)、N−メチル−フェニル−アミン(29.15mg、0.27mmol)、TOTU(63.32mg、0.2mmol)およびトリエチルアミン(100.6μl、0.72mmol)を、3ml DMF中で室温にて8時間攪拌した。その混合物を蒸発させた。酢酸エチルおよび水を加え、有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。この粗生成物を分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水 0.1% TFA)によって精製して、9mg(14%)の所望生成物を得た(MS:M+H+=365.94)。
【0075】
実施例7:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
【化13】

エタノール100mlおよび水100ml中の水酸化リチウム(184.4mg、7.7mmol)に、6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル(実施例1、2.13g、7mmol)を加えた。室温にて24時間攪拌後、この混合物を濾過し、その濾液を部分的に蒸発させた。この水溶液を、塩酸を用いてpH4に酸性化し、分離した生成物を濾過し、乾燥した。収率:1.11g(57%)。MS:M+H+=277.01。
【0076】
実施例8:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド
【化14】

6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(実施例7、50mg、0.18mmol)、塩化アンモニウム(19.4mg、0.36mmol)、TOTU(63.32mg、0.2mmol)およびトリエチルアミン(100.6μl、0.72mmol)を、3ml DMF中で室温にて8時間攪拌した。その混合物を蒸発させた。酢酸エチルおよび水を加え、その有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。この粗生成物を分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水0.1% TFA)によって精製して14mg(28%)の所望生成物を得た。MS:M+H+=276.03。
【0077】
実施例9:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド
【化15】

この化合物を、塩酸ジメチルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:46%。MS:M+H+=304.05。
【0078】
実施例10:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸tert−ブチルアミド
【化16】

この化合物を、tert−ブチルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:48%。MS:M+H+=332.05。
【0079】
実施例11:アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン
【化17】

この化合物を、アゼチジンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:22%。MS:M+H+=315.96。
【0080】
実施例12:[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン
【化18】

この化合物を、ピペリジンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:27%。MS:M+H+=343.97。
【0081】
実施例13:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド
【化19】

この化合物を、塩酸ジエチルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:39%。MS:M+H+=332.07。
【0082】
実施例14:[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン
【化20】

この化合物を、ピロリジンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:22%。MS:M+H+=329.96。
【0083】
実施例15:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド
【化21】

この化合物を、チアゾール−2−イルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:12%。MS:M+H+=358.90。
【0084】
実施例16:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド
【化22】

この化合物を、シクロプロピルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:16%。MS:M+H+=315.98。
【0085】
実施例17:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]
チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド
【化23】

この化合物を、ジイソプロピルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:11%。MS:M+H+=360.09。
【0086】
実施例18:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸フェニルアミド
【化24】

この化合物を、フェニルアミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:11%。MS:M+H+=351.96。
【0087】
実施例19:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド
【化25】

この化合物を、(チアゾール−2−イルメチル)−アミンを用いて実施例8と同じようにして合成した。収率:18%。MS:M+H+=372.91。
【0088】
実施例20:6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル
【化26】

6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド(実施例8、190mg、0.69mmol)を、ジクロロメタン10mlに溶解した。この溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン(191.8μl、1.38mmol)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(214mg、0.76mmol)を滴下して加えた。この混合物を室温まで温まるにまかせた。3当量を超えるトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加え、この混合物を各々の添加後1時間攪拌した。この反応物を水を添加することによってクエンチし、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機相を、食塩水および希塩酸で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。収率:85%。MS:M+H+=258.04。
【0089】
実施例21:6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン
【化27】

6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル(実施例20、140mg、0.54mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(226.9mg、3.26mmol)およびトリエチルアミン(529μl、3.8mmol)を10mlのイソプロパノール中で90℃で2時間攪拌した。溶媒を真空で除去し、水を加えた。固形物を濾過し、希塩酸および水で洗浄し、乾燥させた。収率:63%。MS:M+H+=291.15。
【0090】
実施例22:2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール
【化28】

100mlのエタノール中の2−ブロモ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エタノン(2g、9.215mmol)の溶液に5−ブロモ−チアゾール−2−イルアミン臭化水素酸塩(2.396g、9.215mmol)およびエチル−ジイソプロピルアミン(1.19g、9.215mmol)を加えた。この混合物を還流下で8時間攪拌し蒸発させた。その残留物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水0.1% TFA)によって精製し、532mg(20%)の所望生成物を得た。MS:M+H+=296.96。
【0091】
実施例23:6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
【化29】

5ml THF中の2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール(実施例22、100mg、0.336mmol)の溶液に、ヘキサン中のブチルリチウム(2.5M)200μlを−60℃で加えた。この混合物を10分間攪拌し、固体二酸化炭素を加え、その混合物を室温で温まるにまかせた。この溶液をメタノールおよび水でクエンチし、酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水0.1% TFA)で精製し、9mg(10%)の所望生成物を得た。MS:M+H+=263.03。
【0092】
生物活性の測定
A)eNOS転写の活性化
eNOS転写の活性化を、Liら「Activation of protein kinase C alpha and/or epsilon enhances transcription of the human endothelial nitric oxide synthase gene」,Mol.Pharmacol.1998;53:630〜637に詳細に記載されているとおりに測定した。簡潔に云えば、eNOS遺伝子の出発コドンの3.5kB長の5’フラグメントをクローン化し、配列決定し、そしてホタルのルシフェラーゼ発現プラスミド中にクローン化して、レポーター遺伝子活性によってeNOSプロモーターの活性化をモニターした。このプロモーター−レポーター構築物を安定にトランスフェクションしかつこれを発現しているヒト内皮細胞株を、化合物試験に使用した。細胞を、この化合物とともに18時間インキュベートした。
【0093】
全ての化合物を、滅菌ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。完全培地中のDMSOの最終濃度を0.5%にした。これらの細胞におけるレポーター遺伝子発現の誘導を、製造業者の指示に従って標準的なルシフェラーゼアッセイシステム(Promega,Cat.NoE150)を使用して測定した。化合物とともにインキュベートした細胞におけるルシフェラーゼ誘導を、溶媒単独でインキュベートしたものと比較した。両方の活性の比(転写誘導比、TIR)を、化合物濃度の関数としてプロットした。典型的には、TIR値は、化合物の効果を示さない、1の比の低濃度で始り、そしてeNOS転写の増加を示す最大TIR値(TIR(max))まで達した。化合物濃度の関数としての転写誘導比のEC50値を、グラフで決定した。
【0094】
本発明の多数の化合物を、上記アッセイによって試験し、タンパク質転写を増加させることを見出した。一般的には、試験した化合物は、約50μMより小さいEC50値を示した。好ましい化合物は、約5μM〜約0.5μMのEC50値を示した。より好ましい化合物(例えば、実施例1、2、3、10および22の化合物)は、0.5μMよりも小さいEC50値を示した。
【0095】
eNOS−転写への化合物の効果を、eNOSタンパク質検出に基づく二次アッセイにおいて確認した。一次ヒト臍帯静脈コード内皮細胞(HUVEC)を、標準的な手順に従って単離し、そして培養した。コンフルエント細胞を、化合物とともに18時間インキュベートし、そしてeNOSタンパク質発現に対する効果を、定量的なウェスタンブロッティング手順によって測定した。化合物のインキュベーション後、HUVECを、10mMのトリス−HCl(pH8.0、1% SDS)およびプロテアーゼインヒビターを含む氷冷溶解バッファー中に溶解させた。このライゼートを、標準的な変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、そしてニトロセルロース膜にブロットした。特異的一次モノクローナル抗体(Transduction Laboratories、UK)およびアルカリホスファターゼ標識された二次抗体(Jackson Labs)を使用して、特異的なeNOSタンパク質のバンドを可視化し、そして化学蛍光検出方法に基づいて定量した。
【0096】
式I、IaおよびIbの化合物の効果はまた、以下の動物モデルで調べることができる(動物実験は、ドイツ動物保護法、ならびに米国の国立衛生研究所の「実験動物の管理および使用のためのガイド」に定められた実験動物の使用のためのガイドラインに従って行なわれる)。
【0097】
動物および処置(実験B〜E)
ApoEおよびeNOS欠損マウス(C57BL/6J バックグラウンド、Jackson Laboratory,Bar Harbor,Me)を使用する。全ての動物は、10〜12週齢であり、体重が22〜28gである。手術3日前にマウスを4群に分け(apoEコントロール、n=10〜12;試験化合物を用いたapoE、n=10〜12;eNOSコントロール、n=10〜12;試験化合物を用いたeNOS、n=10〜12)、そしてこれらのマウスに、標準的なげっ歯類の餌(4%脂肪および0.001%コレステロールを含む;以下でプラセボ群として示される)または標準的なげっ歯類の餌プラス試験化合物(10または30mg/kg/日 p.o.)のいずれかを摂餌させる。
【0098】
B)ApoEノックアウトマウスにおける抗高血圧効果
テイル−カフ・コンピューター・システム系(Visitech Systems,Apex,Nc)を使用して、意識のあるマウスの血圧を測定する。試験化合物によるApoE欠損マウスおよびeNOS欠損マウスの処置後、それらの血圧を、プラセボ処理により得られた結果と比較する。
【0099】
C)新生内膜(neointima)形成およびアテローム形成の阻害(大腿動脈カフ)
それぞれの化合物(10mg/kg/日(餌の中に詰める))を用いたApoE欠損マウスの処置の3日後、ペントバルビタール(60mg/kg)の腹膜内注射に続き、キシラジン(2mg/kg)の筋肉内注射により動物に麻酔して、Moroiら(J.Clin.Invest.101(1998)1225)に記載されているように、大腿動脈のまわりにカフを取り付ける。簡単には、左大腿動を切開する。PE50チュービング(内径0.56mm、外径0.965mm、Becton Dickinson,Mountain View,Ca)からなる非閉塞性の2.0mmポリエチレンカフを、その動脈のまわりに取り付け、2つの7−0縫合糸で所定の位置に結ぶ。右大腿動脈を周囲の組織から単離するが、カフは取り付けない。それぞれの化合物を用いた処置を、手術後14日間続ける。次いで、この動物を犠牲にする。定量的ウェスタンブロッティングによる血管eNOS発現の測定のために、動脈を採取する。大腿動脈の両方を採取し、ホルマリン中に固定し、そしてパラフィンに包埋する。20個の横断切片(10μm)を、左大腿動脈のカフ部分および右動脈の対応するセグメントから切り出す。標準的なヘマトキシリンおよびエオシン染色に切片を供する。形態計測分析を、画像分析コンピュータプログラム(LeicaQWin,Leica Imaging Systems,Cambridge,GB)を用いて行なう。各横断切片について、内腔、新生内膜および中膜の面積を測定する。この目的を達成するために、新生内膜を、内腔と内部弾性膜との間の面積として規定し、そして中膜を、内部弾性膜と外部弾性膜との間の面積として規定する。新生内膜の面積と中膜の面積との間の比を、新生内膜/中膜の比として表す。この化合物群で得られた結果を、プラセボ群で得られたものと比較する。
【0100】
D)慢性処置のアテロームプラーク形成の予防
ApoE欠損マウスを、餌に圧入した(pressed in)それぞれの化合物を用いて16週間処理し、最後に犠牲にする。大動脈を各マウスから取り出し、ホルマリン中に固定し、そしてパラフィンに包埋する。プラーク形成を、大動脈中の脂質病変形成を介して測定し(大動脈弓〜横隔膜)、オイルレッドO染色により分析する。血管eNOS発現に対するそれぞれの化合物の効果を定量するために、大腿動脈をこの実験に使用する。この化合物群で得られた結果を、プラセボ群で得られた結果と比較する。
【0101】
E)罹患したApoE欠損マウスにおける冠動脈機能の改善
老いた雄の野生型C57BL/6Jマウス(Charles River Wiga GmbH,Sulzfeld)、および6ヶ月齢で体重が28〜36gのapoE欠損マウス(C57BL/6J バックグラウンド、Jackson Laboratory,Bar Harbor,Me)を実験に使用する。マウスを3群に分け(C57BL/6、n=8;apoEコントロール、n=8;それぞれの化合物を用いたapoE、n=8)、そして標準的なげっ歯類の餌(4%脂肪および0.001%コレステロールを含む)または標準的なげっ歯類の餌とそれぞれの化合物(30mg/kg/d p.o.)のいずれかを8週間摂餌させる。ペントバルビトンナトリウム(100mg/kg i.p.)でマウスを麻酔し、心臓を急いで切開し、そして氷冷灌流バッファー中に置いた。大動脈にカニューレを挿入し、そして灌流装置に接続する(Hugo Sachs Electronics,Freiburg,Germany)(この装置を、60mmHgの一定の灌流圧で直ちに起動させる)。改変クレブスビカルボネートバッファーを用いて、逆行様式で心臓を灌流し、95% O2および5% CO2で平衡化し、そして37.5℃に維持する。斜端(beveled)小チューブ(PE50)を肺静脈から左心室に通し、心室壁を通して引き出し、溝付きの末端により先端部に固定し、そしてチップ−ミクロマノメーター(Millar 1.4 French)につなぐ。左心房に同じ肺静脈を通じてカニューレを挿入し、そして心臓を一定のプレロード圧力(10mmHg)およびアフターロード圧力(60mmHg)による作業モードに切り換える。大動脈の流出量および心房の流入量を、超音波フロープローブ(HSE/Transonic Systems Inc.)を使用して継続的に測定する。冠動脈フローを、心房フローと大動脈フローとの間の差として計算する。全ての血流力学データを、1000Hzのサンプリング速度でデジタル化し、そして専門のソフトウェア(HEM,Notocord)を使用してPCで記録する。
【0102】
心臓を30分間安定化させる。全ての関数的血流力学的データを、定常状態の間ならびに容積負荷および圧力負荷の間で測定する。左心室の関数曲線を、プレロード圧力を変化させることにより構築する。プレロード曲線を得るために、アフターロードを60mmHgにセットし、そしてプレロードを5〜25mmHgの範囲にわたって5mmHg段階で調整する。心臓を圧力負荷と容積負荷との間のベースライン状態で安定化させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内皮型NOシンターゼの発現を刺激する薬剤を製造するための、式I;
【化1】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)−アルキルアミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、−C(=NR4)−NHR5、COOHおよび−C(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
またはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接位置に存在し得ず;
R6およびR7は、独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(CH2o−(C6−C14)−アリールおよび−(CH2p−ヘテロアリールから選択され、ここでアリール残基およびヘテロアリール残基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
または、R6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつR6とR7とを連結する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和、部分的に不飽和または芳香族の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
oおよびpは、独立して0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物またはその生理学的に受容可能な塩の使用。
【請求項2】
心臓血管疾患、安定狭心症もしくは不安定狭心症、冠動脈性心疾患、冠状動脈疾患、プリンズメタル型狭心症、急性冠症候群、心機能不全、心不全、心筋梗塞、発作、血栓症、末梢動脈閉塞疾患、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化、再狭窄、PTCA後の内皮障害、高血圧、本態性高血圧、肺高血圧、二次性高血圧、腎血管性高血圧、慢性糸球体腎炎、勃起障害、心室不整脈、糖尿病、糖尿病合併症、腎症、網膜症、新脈管形成、気管支喘息、慢性腎不全、肝硬変、骨粗しょう症、制限された記憶能力もしくは制限された学習能力を処置する、または閉経後の女性のもしくは避妊剤摂取後の心血管系リスクを低下させる、薬剤を製造するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
慢性心不全、安定狭心症、冠動脈性心疾患、高血圧、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化または糖尿病合併症を処置する薬剤を製造するための、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式Iの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩において、
Rは、ハロゲン、(C1−C6)−アルキルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、−C(=NR4)−NHR5、COOHおよびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
R6は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R7は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニルおよび−(CH2p−チアゾリルから選択されるか;
またはR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の飽和複素環式環を形成し;
nは、0および1から選択され;
pは、0および1から選択される;
請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式Iの化合物が、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−フェニル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸tert−ブチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸フェニルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
から選択される、またはその生理学的に受容可能な塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
薬剤として使用するための、式Ia;
【化2】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、−C(=NR4)−NHR5およびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニル−オキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
または、R4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
R6およびR7は、独立して水素ならびに(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(CH2o−(C6−C14)−アリールおよび−(CH2p−ヘテロアリールから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリール残基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
または、R6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつR6とR7とを連結する窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つまたは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和、部分的に不飽和または芳香族の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
oおよびpは、独立して0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項7】
薬剤として使用するための、
Rは、ハロゲンから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノ、−C(=NR4)−NHR5およびC(=O)−NR6R7から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
R6は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R7は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニルおよび−(CH2p−チアゾリルから選択されるか;
またはR6およびR7は、それらを保持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の飽和複素環式環を形成し;
nは、1であり;
pは、0および1から選択される;
請求項6で定義された式Iaの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項8】
式Iの化合物が、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸tert−ブチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸フェニルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
から選択される、薬剤として使用するための請求項1で定義された式Iの化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項9】
有効用量の請求項6〜8のいずれか一項で定義された少なくとも1つの化合物またはその生理学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
式Iの化合物が、請求項6および7で定義された式Iaの化合物またはその生理学的に受容可能な塩である、請求項1〜3のいずれ一項に記載の使用。
【請求項11】
式Ib;
【化3】

[式中、
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C2−C6)−アルキルアミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R2は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択され;
R4は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニル−オキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、ここで全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14
−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
または、R4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含んでいてよい、飽和または部分的に不飽和の4員〜7員の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、環の隣接する位置に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択される]
の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項12】
Rは、ハロゲンから選択され;
R1は、水素であり;
R2は、(C1−C6)−アルキルから選択され;
R3は、Br、シアノおよび−C(=NR4)−NHR5から選択され;
R4は、水素であり;
R5は、ヒドロキシであり;
nは、1である;
請求項11に記載の式Ibの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項13】
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(3−クロロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
3−メチル−6−p−トリル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸エチルエステル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
アゼチジン−1−イル−[6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル]−メタノン、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジエチルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド、
6−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボニトリル、
6−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3−メチル−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボキサミジン、
2−ブロモ−6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール、および
6−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−カルボン酸
から選択される、請求項1で定義された式Iの化合物、またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項14】
薬剤として使用するための請求項11〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
有効用量の請求項11〜13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物またはその生理学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
式Iの化合物が、請求項11および12に記載の式Ibの化合物またはその生理学的に受容可能な塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2010−510182(P2010−510182A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536629(P2009−536629)
【出願日】平成19年11月3日(2007.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009539
【国際公開番号】WO2008/058641
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】