説明

イメージスキャナ装置

【課題】紙面の余白部分の明るさが一定に維持された画像データを生成するイメージスキャナ装置を提供する。
【解決手段】イメージスキャナ装置である通帳取扱装置1では、記憶手段80が、リニアイメージセンサ23から出力される複数のラインイメージデータを記憶する。さらに、画像処理手段90が、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素の階調値が互いに一致するように、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータに基づいて、記憶手段80に記憶された複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する。補正された複数のラインイメージデータは記憶手段80に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リニアイメージセンサを有する業務用のイメージスキャナ装置の読取方式の一つとして、読取対象である媒体の余白部分の明るさを一定に保ちながら媒体を画像化する方式が知られている。そのような読取方式(以降、白基準追従方式と記す。)は、例えば、特許文献1で開示されていて、OCRなどの分野で広く利用されている。
【0003】
白基準追従方式を採用するイメージスキャナ装置は、リニアイメージセンサから出力される媒体のラインイメージデータをフィードバックしてセンサの出力を随時調整することにより、各ラインイメージデータに含まれる余白の明るさを一定に維持することができる。
【0004】
このような白基準追従方式は、通帳を読取対象とする自動取引装置や通帳記帳機でも、採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−178105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図1に例示されるように、通帳100などの冊子媒体は、紙面に生じるシワ101などに加えて、綴じ部分(以降、センタフォールドと記す。)102が存在する点で、他の媒体と異なっている。
【0007】
このセンタフォールド102は、ラインイメージデータに含まれる余白の明るさに大きな影響を及ぼす。具体的には、センタフォールド102は、図2に例示されるように、その裾野付近102Aでは、曲率半径が大きいため、余白の明るさを比較的緩やかに変化させるのに対して、その中心付近102Bでは、曲率半径が小さいため、余白の明るさを急激に変化させることになる。フィードバック制御で算出される単純な移動平均によるセンサ出力の調整では、このような急激な明るさの変化に追従することは難しい。
【0008】
このため、イメージスキャナ装置である自動取引装置や通帳記帳機では、予め行った試験等を通じて得られた副走査位置に応じた明るさの調整係数(以降、単に、調整係数と記す。)をフィードバック制御に利用することで、通帳のセンタフォールドにより生じる急激な明るさの変化に追従して余白の明るさを一定に維持する方法が採用されている。
【0009】
しかしながら、このような試験等を通じて算出された調整係数は、機器の構成に強く依存する。このため、異なる構成の装置が新たに設計された場合には、新たに試験等を行って、調整係数を算出し直す必要がある。
【0010】
また、調整係数は、個体差を考慮して調整されるべきものであり、同一機種の機器であってもすべての機器に等しく当てはまるものではない。このため、試験等により得られた調整係数を利用した場合であっても、同一機種のすべての機器で余白の明るさが常に一定に維持できるとは限らない。
【0011】
また、調整係数は、機器に依存するだけではなく、読取対象である通帳にも依存する。通帳は、使用や経年変化によりセンタフォールドの形状などが日々変化する。このため、機器の個体差まで考慮した調整係数を利用した場合であっても、常に余白の明るさが一定に維持できるとは限らない。
【0012】
なお、以上では、通帳などの冊子媒体を例に、明るさが急激に変化する媒体における余白部分の明るさの維持の困難さについて説明したが、冊子媒体以外の媒体でも、折れ目等により明るさが急激に変化する場合には、同様に余白部分の明るさを維持することが困難である。
【0013】
このような実情を踏まえ、本発明は、紙面の余白部分の明るさが一定に維持された画像データを生成するイメージスキャナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、対象物の光学像を読み取るイメージスキャナ装置であって、直線状に配列された複数の光電変換素子を含み、前記対象物のラインイメージデータを出力するリニアイメージセンサと、前記リニアイメージセンサの主走査方向と直交する副走査方向に、前記対象物を搬送する搬送手段と、各々が前記対象物が副走査方向に搬送された各位置において前記リニアイメージセンサから出力される、複数の前記ラインイメージデータを記憶する記憶手段と、前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素の階調値が互いに一致するように、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータに基づいて、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する画像処理手段と、を含むイメージスキャナ装置を提供する。
【0015】
本発明の他の一態様は、対象物の光学像を読み取るイメージスキャナ装置であって、直線状に配列された複数の光電変換素子を含み、前記対象物のラインイメージデータを出力するリニアイメージセンサと、前記リニアイメージセンサの主走査方向と直交する副走査方向に、前記対象物を搬送する搬送手段と、前記対象物が副走査方向に搬送された各位置において前記リニアイメージセンサから出力された前記ラインイメージデータに、白基準ラインマスタデータに基づいて、シェーディング補正を施す主走査方向補正手段と、前記白基準ラインマスタデータと前記主走査方向補正手段から出力される複数の前記ラインイメージデータとを記憶する記憶手段と、前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素の階調値が互いに一致するように、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータに基づいて、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する画像処理手段と、を含むイメージスキャナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紙面の余白部分の明るさが一定に維持された画像データを生成するイメージスキャナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通帳の形状を示す図である。
【図2】通帳のセンタフォールドについて説明するための図である。
【図3】本実施例に係る通帳取扱装置の概略構成図である。
【図4】本実施例に係る通帳取扱装置の機能ブロック図である。
【図5】通帳の紙面の状態について例示した図である。
【図6】本実施例に係る通帳取扱装置で用いられる白基準ラインマスタデータの階調分布とリニアイメージセンサから出力された図5で例示されるラインLのラインイメージデータの階調分布とを例示した図である。
【図7】図4に例示される主走査方向補正手段から出力される複数のラインイメージデータから得られる階調分布を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図3は、本実施例に係る通帳取扱装置の概略構成図である。図4は、本実施例に係る通帳取扱装置の機能ブロック図である。図3及び図4に例示される通帳取扱装置1は、現金処理や通帳記帳処理を行う装置であるとともに、通帳100の紙面の光学像を読み取るイメージスキャナ装置である。
【0019】
図3に例示されるように、通帳取扱装置1は、通帳100が搬送される搬送路2に、通帳100を搬送する搬送手段である複数の搬送ローラ(搬送ローラ2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b)と、通帳100の磁気ストライプを読取る磁気ストライプ読取部10と、通帳100の紙面をスキャンしてライン毎のイメージデータ(ラインイメージデータ)を出力するスキャナ部20と、通帳100の紙面に取引情報を印字する印字部30と、通帳100の頁を捲る頁捲り部40と、通帳100を反転させるターン部50と、エラー発生時などに通帳100を回収するための取込部60と、を備えている。通帳取扱装置1は、さらに、A/Dコンバータ70と、記憶手段80と、画像処理手段90とを備えている。
【0020】
スキャナ部20は、一定の出力で照明光を射出する光源21と、ミラー22を含む光学系と、直線状に配列された複数の光電変換素子を含むリニアイメージセンサ23と、を備えている。リニアイメージセンサ23の光電変換素子の配列方向である主走査方向は、通帳100の搬送方向と直交している。つまり、通帳取扱装置1では、複数の搬送ローラからなる搬送手段は、主走査方向と直交する方向(副走査方向)に通帳100を搬送するように構成されている。
【0021】
通帳取扱装置1に挿入された通帳100は、複数の搬送ローラにより搬送され、磁気ストライプ読取部10で磁気ストライプから情報が読取られてから、スキャナ部20の下方を通過する。その際、スキャナ部20は、光源21から射出される照明光を通帳100に照射し、その反射光をミラー22などの光学系を介してリニアイメージセンサ23で検出する。これを各搬送位置(副走査位置)で行うことにより、各搬送位置(副走査位置)における通帳100のラインイメージデータがリニアイメージセンサ23から出力され、結果として、通帳100のラインイメージデータのすべてが出力される。
【0022】
スキャナ部20から出力されたラインイメージデータは、A/Dコンバータ70でデジタル信号に変換されてから記憶手段80に記録される。画像処理手段90は、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータに基づいて、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータの各々を補正する。より具体的には、画像処理手段90は、複数のラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素、つまり、余白部分に相当する画素、の階調値が互いに一致するように、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータに基づいて、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータの各々を補正する。これにより、余白部分の明るさが一定に維持された通帳100の紙面全体の画像データが生成される。
【0023】
画像処理手段90で生成された、明るさが補正された画像データは、通帳100に対する各種チェック処理などに利用される。チェックの結果が正常であると判断された場合には、取引が継続されて印字部30による印字処理等が行われる一方で、チェックの結果が異常であると判断された場合には、通帳100の返却や取込部60への通帳100の回収などにより取引が終了する。
【0024】
次に、リニアイメージセンサ23からラインイメージデータが出力されてから画像処理手段90により画像データが生成されるまでの処理について、詳細に説明する。
通帳取扱装置1の記憶手段80は、図4に例示されるように、メモリ81と、メモリ81からデータを読取るためのメモリリードコントローラ82と、メモリ81へデータを書き込むためのメモリライトコントローラ83を備えている。
【0025】
メモリ81には、リニアイメージセンサ23から出力されたラインイメージデータや画像処理手段90により生成される明るさ補正後の画像データが記憶される。また、メモリ81には、後述する白基準ラインマスタデータが予め記憶されている。
【0026】
通帳取扱装置1の画像処理手段90は、図4に例示されるように、記憶手段80に記憶された複数のラインイメージデータの各々に、シェーディング補正を施す主走査方向補正手段91と、主走査方向補正手段91により補正された複数のラインイメージデータから白基準階調値を算出する白基準算出手段92と、複数のラインイメージデータの各々の余白部分の階調値が白基準算出手段92により算出された白基準階調値に一致するように、主走査方向補正手段91により補正された複数のラインイメージデータの各々を補正する副走査方向補正手段95と、を備えている。白基準算出手段92は、さらに、ラインピーク抽出手段93と、白基準決定手段94と、を備えている。
【0027】
リニアイメージセンサ23から出力されたラインイメージデータは、A/Dコンバータ70によりデジタル信号に変換された後に、メモリライトコントローラ83を介してメモリ81に記憶される。通帳100がスキャナ部20を通過して、通帳100のすべてのラインイメージデータがメモリ81に記憶されると、メモリリードコントローラ82は、メモリ81に記憶された複数のラインイメージデータを順番に読み出して、主走査方向補正手段91へ送信する。
【0028】
通帳取扱装置1では、例えば、全体が白色の紙をスキャナ部20で読取った場合であっても、照明の不均一や光学系内でのケラレ等によって、リニアイメージセンサ23の各光電変換素子に入射する光量は必ずしも一定とはならない。従って、白の明るさの基準を画素によらず一定に設定すると、実際の紙面の明るさを正しく評価することができない。
【0029】
このため、通帳取扱装置1では、主走査方向補正手段91が、メモリリードコントローラ82を介して受信したラインイメージデータにシェーディング補正を施す。シェーディング補正には、予めメモリ81に記憶されている白基準ラインマスタデータが利用される。白基準ラインマスタデータとは、事前に行なわれた試験等により得られたデータであり、主走査方向の画素毎の白の明るさの基準となる階調値を示すデータである。
【0030】
図5は、通帳の紙面の状態について例示した図である。図5に例示される通帳100のラインLを読取った場合を例に、主走査方向補正手段91によるシェーディング補正について簡単に説明する。
【0031】
図6には、本実施例に係る通帳取扱装置で用いられる白基準ラインマスタデータの階調分布とリニアイメージセンサから出力された図5で例示されるラインLのラインイメージデータの階調分布とが例示されている。
【0032】
図6に例示される白基準ラインマスタデータの階調分布(実線)は、両端部分の階調が中心部分の階調に比べて低い凹形状を有している。白基準ラインマスタデータの階調分布が凹形状となる主要な要因としては、光源21の形状がリニアイメージセンサ23と同様に直線状であるため、両端部の照度が不足しやすいことが挙げられる。一方、図6に例示されるラインイメージデータの階調分布(破線)は、白基準ラインマスタデータとおよそ同様な形状を示しているが、位置P3と位置P4で示される2箇所にピークが生じている。これらのピークは、図5に例示される通帳100のラインL上の2箇所の印字部分(印字部分103、印字部分104)に対応している。つまり、位置P3に生じるピークは印字部分103に、位置P4に生じるピークは印字部分104に対応している。
【0033】
主走査方向補正手段91によるシェーディング補正は、白基準ラインマスタデータに基づいて、ラインイメージデータの各画素の階調値を、下記の計算式で得られた階調値に変換することにより行われる。ここで、[]はガウス記号を示す。
補正後の階調値=[(階調数)×(補正前の階調値/白ラインマスタデータの階調値)]
【0034】
通帳取扱装置1で生成される画像データの階調数を255とすると、ラインイメージデータの位置P1、P2、P3、P4の画素の主走査方向補正手段91による補正後の階調値は、それぞれ以下のようになる。
位置P1の画素の補正後の階調値 234 = [255×80/87]
位置P2の画素の補正後の階調値 216 = [255×97/114]
位置P3の画素の補正後の階調値 52 = [255×23/112]
位置P4の画素の補正後の階調値 39 = [255×19/124]
【0035】
このようにして白ラインマスタデータを用いて階調値を補正することで、照明の不均一や光学系内でのケラレ等の影響が抑制されたラインイメージデータを得ることができる。なお、主走査方向補正手段91から出力されたラインイメージデータは、ライン間の明るさについては調整されていない。このため、図7に例示されるように、シワ101やセンタフォールド102など主に通帳100側が原因となって生じる明るさの不均一は解消されていない。図7は、主走査方向補正手段91から出力される複数のラインイメージデータから得られる階調分布を概略的に示した図である。図7では、主走査方向の階調分布については、図示を簡略化するために、一定の階調の分布として描いている。
【0036】
主走査方向補正手段91で補正されたラインイメージデータは、図4に示されるように、ラインピーク抽出手段93と、副走査方向補正手段95とに送信される。
ラインピーク抽出手段93は、主走査方向補正手段91から出力されたラインイメージデータを受信する毎に、主走査方向補正手段91により補正されたそのラインイメージデータに含まれる最も明るい画素をラインピーク画素として抽出して白基準決定手段94へ出力する。なお、ここで抽出されるラインピーク画素は、各ラインイメージデータの余白部分の画素に相当する。
【0037】
白基準決定手段94は、ラインピーク抽出手段93から全ラインのラインピーク画素の情報を受信すると、それらのラインピーク画素のうち最も明るい画素の階調値を白基準階調値として決定して、副走査方向補正手段95へ出力する。
【0038】
副走査方向補正手段95は、白基準決定手段94から白基準階調値を受信すると、主走査方向補正手段91から出力されたラインイメージデータの各々を、そのラインピーク画素の階調値が白基準階調値に一致するように補正する。より具体的には、ラインイメージデータの各画素の階調値に、ラインピーク画素の階調値に対する白基準階調値の比率(白基準階調値/ラインピーク画素の階調値)を乗じることにより、ラインイメージデータを正規化する。例えば、白基準決定手段94により算出された白基準階調値が250である場合であれば、ラインピーク画素の階調値が200のラインイメージデータは、副走査方向補正手段95により各画素の階調値が1.25(=250/200)倍の階調値に変換される。
【0039】
このようにして、副走査方向補正手段95が、白基準階調値に基づいて全ラインのラインイメージデータを補正することにより、全ラインのラインイメージデータのラインピーク画素の階調値を白基準階調値に一致させることが可能である。その結果として、全ラインのラインイメージデータの余白部分が白基準階調値に一致した画像データを生成することができる。
副走査方向補正手段95で補正されたラインイメージデータは、メモリリードコントローラ82を介してメモリ81に記憶される。
【0040】
以上、本実施例に係る通帳取扱装置1によれば、全ラインのラインイメージデータの余白部分を白基準階調値に一致させることができるため、紙面の余白部分の明るさが一定に維持された画像データを生成することができる。これにより、通帳のセンタフォールドやシワなどが生じた領域であっても明瞭に観察することができる。
【0041】
また、本実施例に係る通帳取扱装置1では、少なくとも一ライン分の白基準ラインマスタデータを事前に準備する必要があるが、副走査位置毎にデータを準備する必要はない。このため、事前準備にかかる負担を最小限に抑えることができる。
【0042】
さらに、本実施例に係る通帳取扱装置1では、媒体に依存するパラメータを用いることなく明るさを補正することができる。このため、媒体の劣化の程度や形状等によらず、常に媒体の紙面の余白部分の明るさが一定の画像データを生成することができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々変形して実施することができる。
例えば、本実施例に係る通帳取扱装置1では、白基階調値を全ラインのラインピーク画素のうち最も明るい画素の階調値に決定する例を示したが、白基準階調値は、最も明るいラインピーク画素に限られない。
【0044】
また、本実施例では、図4に例示されるように、主走査方向補正手段91によるシェーディング補正は、一旦メモリ81に記憶されたラインイメージデータに対して行われるが、A/Dコンバータ70によるデジタル信号へ変換直後に行われても良い。つまり、メモリ81には、シェーディング補正後のラインイメージデータが記憶されても良い。
【0045】
また、本実施例では、図4に例示されるように、記憶手段80にメモリ81が含まれる例を示したが、記憶手段80の構成は、特にこの構成に限られない。例えば、記憶手段80は、複数のメモリを含んでもよく、そのうちの揮発性メモリがラインイメージデータを記憶し、不揮発メモリが画像データや白基準ラインマスタデータを記憶しても良い。また、記憶手段80は、メモリの代わりに、または、メモリに加えて、ハードディスク装置を含んでもよい。
【0046】
また、本実施例では、説明の簡略化のために、リニアイメージセンサ23から出力される通帳100のすべてのラインイメージデータがメモリ81に記憶されてから、画像処理手段90により画像処理が開始される例を説明している。しかし、画像処理手段90による処理の開始は、すべてのラインイメージデータの記憶後に限られない。画像生成処理の時間を短縮するために、メモリ81がすべてのラインイメージデータを記憶し終わる前に、画像処理手段90による処理が開始されても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 通帳取扱装置
2 搬送路
2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b 搬送ローラ
10 磁気ストライプ読取部
20 スキャナ部
21 光源
22 ミラー
23 リニアイメージセンサ
30 印字部
40 頁捲り部
50 ターン部
60 取込部
70 A/Dコンバータ
80 記憶手段
81 メモリ
82 メモリリードコントローラ
83 メモリライトコントローラ
90 画像処理手段
91 主走査方向補正手段
92 白基準算出手段
93 ラインピーク抽出手段
94 白基準決定手段
95 副走査方向補正手段
100 通帳
101 シワ
102 センタフォールド
102A 裾野付近
102B 中心付近
103、104 印字部分
L ライン
P1、P2、P3、P4 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の光学像を読み取るイメージスキャナ装置であって、
直線状に配列された複数の光電変換素子を含み、前記対象物のラインイメージデータを出力するリニアイメージセンサと、
前記リニアイメージセンサの主走査方向と直交する副走査方向に、前記対象物を搬送する搬送手段と、
各々が前記対象物が副走査方向に搬送された各位置において前記リニアイメージセンサから出力される、複数の前記ラインイメージデータを記憶する記憶手段と、
前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素の階調値が互いに一致するように、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータに基づいて、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する画像処理手段と、を含む
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のイメージスキャナ装置において、
前記画像処理手段は、
前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータの各々に、予め前記記憶手段に記憶されている白基準ラインマスタデータに基づいて、シェーディング補正を施す主走査方向補正手段と、
前記主走査方向補正手段により補正された前記複数の前記ラインイメージデータから白基準階調値を算出する白基準算出手段と、
前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るいラインピーク画素の階調値が前記白基準算出手段により算出された前記白基準階調値に一致するように、前記主走査方向補正手段により補正された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する副走査方向補正手段と、を含む
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のイメージスキャナ装置において、
前記白基準算出手段は、
前記主走査方向補正手段により補正された前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素をラインピーク画素として抽出するラインピーク抽出手段と、
前記ピーク抽出手段により抽出された前記複数の前記ラインピーク画素のうち最も明るい画素の階調値を白基準階調値に決定する白基準決定手段と、を含む
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のイメージスキャナ装置において、
副走査方向補正手段は、前記主走査方向補正手段により補正された前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる前記ラインピーク画素の階調値が前記白基準算出手段により算出された前記白基準階調値に一致するように、前記主走査方向補正手段により補正された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を正規化する
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。
【請求項5】
対象物の光学像を読み取るイメージスキャナ装置であって、
直線状に配列された複数の光電変換素子を含み、前記対象物のラインイメージデータを出力するリニアイメージセンサと、
前記リニアイメージセンサの主走査方向と直交する副走査方向に、前記対象物を搬送する搬送手段と、
前記対象物が副走査方向に搬送された各位置において前記リニアイメージセンサから出力された前記ラインイメージデータに、白基準ラインマスタデータに基づいて、シェーディング補正を施す主走査方向補正手段と、
前記白基準ラインマスタデータと、前記主走査方向補正手段から出力される複数の前記ラインイメージデータと、を記憶する記憶手段と、
前記複数の前記ラインイメージデータの各々に含まれる最も明るい画素の階調値が互いに一致するように、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータに基づいて、前記記憶手段に記憶された前記複数の前記ラインイメージデータの各々を補正する画像処理手段と、を含む
ことを特徴とするイメージスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−204990(P2012−204990A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66270(P2011−66270)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】