説明

イメージセンサユニット、及び、画像読取装置

【課題】導光体カバー等の追加部品を用いることなく漏れ光を防止することで、均一な照度分布を得るイメージセンサユニット、及び、画像読取装置を提供する。
【解決手段】光電変換素子13が複数実装されたセンサ基板14と、発光素子を有する原稿照明用の光源10と、光源10からの光を長手方向の一端面から導光して原稿をライン状に照明する導光体11と、センサ基板14に原稿からの反射光を結像するロッドレンズアレイ12と、これらを夫々取り付けるフレーム15とを備えたメージセンサユニット4において、フレーム15は、光源10の近傍に設けられた第1のスペーサ16aと導光体11の長手方向の他の一端面の近傍に設けられた第2のスペーサ16bとを着脱自在に備えると共に、第1のスペーサ16aは、光源10、及び、導光体11の端部を覆うように延設された遮光屋根20を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密着型イメージセンサユニット、及び、密着型イメージセンサユニットを用いた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源を導光体の長手方向(主走査方向)側端面近傍に設置するイメージセンサユニットにおいては、光源と導光体との間隙から漏れ光が生じるため、主走査方向において照度分布を均一に保てないものであった。
【0003】
そこで、特許文献1記載のイメージセンサが本出願人より提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/013234号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のイメージセンサは、導光体カバーの一部を延設することにより導光体端部、及び、発光素子を覆うことから、導光体カバーを用いないイメージセンサの場合、追加部品が必要となり、コストが増大する問題があった。
また、導光体カバーが導光体端部を覆う構造であることから、組み立て時に導光体をスライドして取り付ける必要があり、導光体に傷等が発生する虞があるばかりでなく、雰囲気温度の変動等による導光体の膨張、及び/又は、収縮時に傷等が発生する虞があった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、導光体カバー等の追加部品を用いることなく漏れ光を防止することで、均一な照度分布を得ると共に、小型化を計れるイメージセンサユニット、及び、画像読取装置を提供することを目的とする。
また、導光体、及び、プラテンガラスに生じる傷や磨耗等を防止できるイメージセンサユニット、及び、画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のイメージセンサユニットは、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、発光素子を有する原稿照明用の光源と、前記光源からの光を長手方向の一端面から導光して原稿を照明する導光体と、前記センサ基板に原稿からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたイメージセンサユニットにおいて、前記支持体は、前記光源の近傍に設けられた第1の摺動部材と前記導光体の長手方向の他の一端面の近傍に設けられた第2の摺動部材とを着脱自在に備えると共に、前記第1の摺動部材は、前記光源、及び、前記導光体の端部を覆うように延設された遮光部を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項8記載の画像読取装置は、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、発光素子を有する原稿照明用の光源と、前記光源からの光を長手方向の一端面から導光して原稿を照明する導光体と、前記センサ基板に原稿からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたイメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、前記支持体は、前記光源の近傍に設けられた第1の摺動部材と前記導光体の長手方向の他の一端面の近傍に設けられた第2の摺動部材とを着脱自在に備えると共に、前記第1の摺動部材は、前記光源、及び、前記導光体の端部を覆うように延設された遮光部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、支持体に第1の摺動部材、及び、第2の摺動部材を着脱自在に備えると共に、第1の摺動部材は光源、及び、導光体の端部を覆うように延設された遮光部を備えたことにより、新たな部品を追加することなく光源と導光体との間隙からの漏れ光を遮光でき、光源近傍の照度分布を安定できる。このため、主走査方向の全域に亘って照度分布を略一定に保つことが可能となり、安定した画像品質が得られるばかりでなく、導光体端部から光電変換素子までの区間の短縮が可能となり、イメージセンサユニットの全長を短縮できるものである。
【0010】
また、第1の摺動部材、及び、第2の摺動部材を着脱自在とすることにより、導光体をスライドして取り付ける必要が無く、はめ込みによって取り付けることが可能となる。このため、導光体の取り付け作業が容易となると共に、導光体の取り付け時に導光体と支持体との間に生じる摩擦範囲を低減でき、導光体に生じる傷や磨耗等を防止できるものである。
【0011】
さらには、第1の摺動部材は光源、及び、導光体の端部を覆うように延設された遮光部を設けた構造であるため、光源にコスト的にも安価な市販品を用いることが可能となり、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明を適用できるイメージスキャナーの構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、イメージセンサユニット4を示す概略図である。
【図3】図3は、導光体11の副捜査方向における断面図である。
【図4】図4は、本発明を適用できるスペーサ16の斜視図である。
【図5】図5は、イメージセンサユニット4の構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、スペーサ16の詳細な形状を示す斜視図である。
【図7】図7は、イメージセンサユニット4の構造を示す主走査方向における断面図である。
【図8】図8は、Rの発光波長を持つ発光素子10rを発光させた際の照度分布を示す図である。
【図9】図9は、Bの発光波長を持つ発光素子10bを発光させた際の照度分布を示す図である。
【図10】図10は、Gの発光波長を持つ発光素子10gを発光させた際の照度分布を示す図である。
【図11】図11は、Rの発光波長を持つ発光素子10rを発光させた際の照度分布を示す一部拡大図である。
【図12】図12は、Bの発光波長を持つ発光素子10bを発光させた際の照度分布を示す一部拡大図である。
【図13】図13は、Gの発光波長を持つ発光素子10gを発光させた際の照度分布を示す一部拡大図である。
【図14】図14は、RGB夫々の単独発光時の1PIXの位置における測定結果を示す図である。
【図15】図15は、遮光屋根20を用いない状態における反射光の状態を示す模式図である。
【図16】図16は、裏面を吸収面とした遮光屋根20を備えた状態における反射光の状態を示す模式図である。
【図17】図17は、裏面を反射面とした遮光屋根20を備えた状態における反射光の状態を示す模式図である。
【図18】図18は、導光体11と発光素子10r、10b、10gとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明を適用できるフラットベッド方式のスキャナ(画像読取装置)の構造を示す斜視図である。
1は筐体であり、この筐体1には原稿載置部としてのガラス製の透明板からなるプラテンガラス2と、このプラテンガラス2上に載置された図示しない原稿を覆うように開閉自在設けられたプラテンカバー3とが設けられている。
【0014】
また、筐体1の内部には、イメージセンサユニット4が収納されており、イメージセンサユニット4は、例えば、密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)ユニットである。5はイメージセンサユニット4をプラテンガラス2に沿って移動可能に設けられたスライドシャフト、6は駆動モータ、7はワイヤである。8はフレキシブルケーブル等の電気配線であり、電気配線8によってイメージセンサユニット4と信号処理部9とを電気的に接続するものである。
【0015】
この構成により、駆動モータ6を駆動してイメージセンサユニット4に取り付けられたワイヤ7を機械的に動かすことにより、イメージセンサユニット4をスライドシャフト5に沿って読取方向(副走査方向)に移動するものである。
【0016】
図2はイメージセンサユニット4の構造を示す概略図である。
10は原稿照明用の光源であり、この光源10には赤緑青(以下、RGBと略す)3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子10r、10g、10bが備えられており、これらの発光素子10r、10g、10bを順次点灯駆動することにより光を照射する構成である。
尚、光源10は白色光源であっても構わない。
【0017】
11は光源10からの照射光を原稿へと導く長尺状の導光体であり、この導光体11の長手方向の一方の端面の近傍に間隙Aを介して光源10が配置されている。
12は結像素子としてのロッドレンズアレイであり、このロッドレンズアレイ12は、正立等倍結像型レンズ素子が複数配列された構成である。
13はロッドレンズアレイ12にて結像された反射光(原稿画像)を電気信号に変換する光電変換素子であり、14は光電変換素子13(kは1から11の自然数)が実装されたセンサ基板である。
尚、本実施形態では、光電変換素子13の数は11個であるが、光電変換素子13の数は特に限定されない。
【0018】
以上の構成により、イメージセンサユニット4はプラテンガラス2の直下の読取位置において、光源10に設けられた発光素子10r、10g、10bを順次点灯駆動することにより光を照射する。光源10からの照射光は導光体11を通して斜め上方に照射されることにより、原稿の表面を主走査方向においてライン状に略均一に照明する。光源10からの照射光は原稿によって反射され、この反射光はロッドレンズアレイ12により、センサ基板14上に設けられた光電変換素子13上に集束結像する。反射光は光電変換素子13により電気信号に変換され、信号処理部9により処理される。
【0019】
このようにRGB全ての反射光を1走査ライン分読み取ることで、原稿の主走査方向における1走査ラインの読取動作を終了するものである。
【0020】
1走査ラインの読取動作終了後、イメージセンサユニット4はさらに1走査ライン分副走査方向へ移動しつつ、原稿に照射光を照射しながら同様に1走査ラインの読取動作を行う。この読取動作を繰り返すことで原稿の全面を走査するものである。
【0021】
図3は導光体11の構造を示す側面図である。
導光体11は、例えば、アクリル等の透明な合成樹脂から成形されるものである。
101は長手方向(主走査方向)の一方の側端面に設けられた入光面であり、この入光面101の近傍に間隙Aを介して光源10が配置されることにより、光源10からの照射光が入光するものである。
【0022】
102は導光体11の長手方向に沿って設けられた出射面であり、導光体11内で反射・拡散された光源10からの照射光を原稿の方向へ出射するものである。出射面102は集光効果のため凸状に形成されている。
103は出射面102と対向する面に設けられた反射面であり、この反射面103には、例えば、シルク印刷等による光反射性の塗料からなる図示しない光拡散パターンが形成されている。この光拡散パターンの分布密度は、光源10からの距離に応じて、光源10に近い部分は低密度に、遠方では高密度に配置された構成である。
また、他の面は夫々図示しない反射面である。
【0023】
この構成により、導光体11に設けられた入光面101より導光体11内に入光した光源10からの照射光は、導光体11内にて反射面103、及び、図示しない反射面により全反射しながら導光体内を伝搬しつつ、出射面102より出射する。同時に、導光体11内にて反射面103に設けられた光拡散パターンにより拡散しつつ、出射面102より出射することで、原稿に対し主走査方向においてライン状に略均一に照射するものである。
【0024】
この時、光源10からの照射光は、導光体11に設けられた入光面101より導光体11内に入光する光と、導光体11内に入光することなく間隙Aを通って原稿の方向に直接照射する光とで構成される。
このため、導光体11内に入光することなく原稿方向に直接照射する光が漏れ光となるものである。
【0025】
図4は本発明を適用できるスペーサ16の斜視図、図5はイメージセンサユニット4の構造を示す斜視図であり、図6はスペーサ16の詳細な形状を示す斜視図である。
15は構成部材を支持する支持体としてフレームであり、このフレーム15に、光源10、導光体11、ロッドレンズアレイ12、光電変換素子13の実装されたセンサ基板14等の構成部材が所定の位置関係で夫々取り付け支持された構成である。
16は、スペーサであり、全体として略コ字形状に形成されている。このスペーサ16は、後述する第1のスペーサ16a、及び、第2のスペーサ16bとして、イメージセンサユニット4の長手方向における両端部を覆う位置に夫々設けられるものである。
【0026】
スペーサ16の両端には夫々支持部17が設けられており、支持部17には鉤状の係止部18が夫々設けられている。
係止部18は互いに対向して設けられており、フレーム15に設けられた夫々の被係止部19と捩じるようにして係止することでフレーム15上に取り付けられるものである。 また、支持部17はフレーム15に設けられた被係止部19と係止される際、係止状態を保つためにある程度の弾性力を持つように構成されている。
支持部17の先端は、スペーサ16をフレーム15に取り付けた際にフレーム15の下面より突出する長さであり、支持部17の先端はイメージセンサユニット4を筐体1に取り付けた際に筐体1内の底面近くに位置するものである。
【0027】
これにより、イメージセンサユニット4の移動の際において、イメージセンサユニット4両端部から突出する夫々の支持部17の先端が電気配線8のストッパーとして作用するため、電気配線8の主走査方向への移動範囲を規制できるものである。このため、イメージセンサユニット4の幅内に電気配線8を安定して位置させることができ、イメージセンサユニット4と他部品との間に挟み込まれること等により生じる電気配線8への負荷を低減できる。
【0028】
20はスペーサ16に延設された遮光部としての遮光屋根であり、この遮光屋根20はイメージセンサユニット4への組み付けた際、光源10の上部(、及び、導光体11の端部)を覆うような形状に形成されている。
21は突起であり、スペーサ16の上面に2ヶ所設けられている。
【0029】
スペーサ16は、自己潤滑性を有する合成樹脂から形成されており、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等から形成されるものである。或いは、自己潤滑性を有する固体潤滑剤を含んだ合成樹脂から形成されており、例えば、フッ素樹脂、二硫化モリブデン等をコーティングした合成樹脂から形成されるものである。
ここで自己潤滑性とは、自身が潤滑性を有することで、他の潤滑剤等を使用することなく摩擦・摩耗を低減できる性質を言うものである。
【0030】
この構成において、スペーサ16は、イメージセンサユニット4(フレーム15)の長手方向における両端部を覆う位置に夫々設けられている。即ち、第1の摺動部材としての第1のスペーサ16aを一方の端部に、第2の摺動部材としての第2のスペーサ16bを他方の端部に、夫々着脱自在に組み付けられる構成である。
このため、イメージセンサユニット4を筐体1に収納した場合、第1のスペーサ16a、及び、第2のスペーサ16bはプラテンガラス2とイメージセンサユニット4との間に夫々間挿されることになる。
この時、イメージセンサユニット4はその上面の両端部において、第1のスペーサ16a、及び、第2のスペーサ16bに設けられた突起21を介してプラテンガラス2の下面に当接するものである。
【0031】
尚、本実施の形態では第1のスペーサ16a、及び、第2のスペーサ16bは、同一形状のものを反転させて用いることで共通化を計っているが、異なる形状であっても構わない。
また、突起21の数・形状は本実施の形態に限定されるものではない。
【0032】
図7はイメージセンサユニット4の構造を示す主走査方向における断面図である。
光源10と導光体11との間には間隙Aが設けられ、第1のスペーサ16aに設けられた遮光屋根20と導光体11の端部との間には空気層Bが設けられている。
図8、乃至、図10は本実施の形態によるイメージセンサユニット4の読み取り範囲における照度分布を測定した図であり、遮光屋根20の有無、及び、遮光屋根20裏面の反射率の違いにおいて、RGB夫々の単独発光時における照度分布を示している。また、図11、乃至、図13は、図8、乃至、図10における一部拡大図である。
【0033】
即ち、図8、及び、図11はRの発光波長を持つ発光素子10rを発光させた際の照度分布を示す図である。図中、200は遮光屋根20を用いない状態における照度分布を示す線であり、201は裏面を吸収面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布、202は裏面を反射面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布である。
また、図9、及び、図12はBの発光波長を持つ発光素子10bを発光させた際の照度分布を示す図である。図中、300は遮光屋根20を用いない状態における照度分布を示す線であり、301は裏面を吸収面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布、302は裏面を反射面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布である。
また、図10、及び、図13はGの発光波長を持つ発光素子10gを発光させた際の照度分布を示す図である。図中、400は遮光屋根20を用いない状態における照度分布を示す線であり、401は裏面を吸収面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布、402は裏面を反射面とした遮光屋根20を備えた状態における照度分布である。
【0034】
尚、吸収面とは遮光屋根20裏面に、例えば、光の反射率の低い黒色の顔料を練り込んだ合成樹脂を用いたこと、及び/又は、艶消し状の黒色塗装等の光を吸収するための表面処理を施したことを示している。また、反射面とは遮光屋根20裏面に、例えば、光の反射率の高いコーティングを施した金属光沢を有する面(鏡面)としたことを示している。
【0035】
図14は遮光屋根20の有無、及び、遮光屋根20裏面の反射率の違いにおいて、RGB夫々の単独発光時の1PIXの位置における測定結果を示す図である。
図15は遮光屋根20を用いない状態における反射光の状態を示す模式図、図16は裏面を吸収面とした遮光屋根20を備えた状態における反射光の状態を示す模式図、図17は裏面を反射面とした遮光屋根20を備えた状態における反射光の状態を示す模式図である。
【0036】
図中に示すように、RGBを単独発光させた場合、遮光屋根20の裏面を吸収面とすることで、遮光屋根20を用いない状態と比較して29.4〜31.9%の低下率が確認できた。同様に、遮光屋根20の裏面を反射面とすることで、4.5〜8.9%の低下率が確認できた。
【0037】
これにより、遮光屋根20裏面の表面処理は、反射率の低い状態において低下率が高く、例えば、低い反射率を示す艶消し状の黒色が適していることを示している。これにより、遮光屋根20裏面を吸収面とし、漏れ光を吸収することで効果的な遮光が可能となる。
【0038】
尚、1PIXの位置におけるRGBに生じる照度差は、発光素子10r、10g、10bの取付位置の違いによるものである。
即ち、発光素子10r、10b、10gと原稿の読取位置との間において、発光素子10r、10b、10gから出射面102までの距離を夫々C、D、Eとすると、「C<D<E」となる。この時、間隙Aは一定であることから、距離が短いほど発光素子10r、10b、10g側からの間隙Aに対する開口角が大きくなる。このため、発光素子10r、10b、10gから出射面102までの距離が短いほど漏れ光が増加するためである。 加えて、発光素子10r、10b、10gと原稿の読取位置との間において、出射面102から原稿の読取位置までの距離を夫々F、G、Hとすると、「(C+F)<(D+G)<(E+H)」となる。照度は発光素子10r、10b、10gからの距離の二乗に反比例することから、発光素子10r、10b、10gから原稿読取位置までの距離が短いほど漏れ光の照度が増加するためである。(図18参照)
本実施の形態では、イメージセンサユニット4(フレーム15)上面に第1のスペーサ16a、及び、第2のスペーサ16bを着脱自在に備えると共に、第1のスペーサ16aは光源10、及び、導光体11の端部を覆うように延設された遮光屋根20を備えたものである。
これにより、新たな部品を追加することなく間隙Aからの漏れ光を遮光でき、入光面101近傍の照度分布を安定できることから、主走査方向の全域に亘って照度分布を略一定に保つことが可能となり、安定した画像品質が得られるものである。
【0039】
加えて、入光面101から光電変換素子13までの区間の短縮が可能となり、イメージセンサユニット4の全長を短縮できるものである。
【0040】
また、スペーサ16を着脱自在とすることにより、導光体11をスライドして取り付ける必要が無く、はめ込みによって取り付けることが可能となる。このため、導光体11の取り付け作業が容易となると共に、導光体11の取り付け時に導光体11とフレーム15との間に生じる摩擦範囲を低減でき、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できるものである。
【0041】
また、スペーサ16は光源10、及び、導光体11の端部を覆うように延設された遮光屋根20を設けた構造であるため、光源10に用いるLEDにコスト的にも安価な市販品を用いることが可能となり、コスト低減を図ることができる。
【0042】
また、スペーサ16の上面に突起21を設けたことにより、プラテンガラス2の下面との接触面積を低減することにより、摩擦抵抗を低減できると共に、接触位置を固定できる。これにより、イメージセンサユニット4の動作を安定できるばかりでなく、プラテンガラス2の下面とイメージセンサユニット4との距離を一定にできる。
【0043】
また、遮光屋根20と導光体11の端部との間に空気層Bを設けたことにより、導光体11が熱膨張・吸湿等により膨張した場合においても直接接触することがなく、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できるものである。
【0044】
また、遮光屋根20裏面に光を吸収するための表面処理を施すことにより、漏れ光を吸収することで効果的な遮光が可能となる。
【0045】
加えて、遮光屋根20と導光体11の間に空気層Bを設けたことにより、遮光屋根20に覆われた導光体11の端部における出射面102を反射面として用いることができる。このため、遮光屋根20裏面に光を吸収するための表面処理を施した場合においても、遮光屋根20と導光体11とを密着した場合に生じる密着面での光の吸収がなくなり、導光体11内部において光を反射できるため、光源10からの光を効率よく導光できる。
【0046】
さらには、スペーサ16を、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等の自己潤滑性を有する合成樹脂から形成することにより、一体成型される突起21がプラテンガラス2の裏面との摩擦・磨耗を低減できるものである。これにより、プラテンガラス2の下面に生じる傷や磨耗等を防止できる。
【0047】
また、スペーサ16を、例えば、フッ素樹脂、二硫化モリブデン等をコートすることによる固体潤滑剤を含んだ合成樹脂から形成することにより、コストを押さえつつ、プラテンガラス2の下面に生じる傷や磨耗等を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明はイメージスキャナー、ファクシミリ、複写機等の画像読取装置として有効な技術である。
【符号の説明】
【0049】
2 プラテンガラス
4 イメージセンサユニット
10 光源
11 導光体
12 ロッドレンズアレイ
13 光電変換素子
14 センサ基板
16 スペーサ
16a 第1のスペーサ
16b 第2のスペーサ
20 遮光屋根
21 突起
A 間隙
B 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
発光素子を有する原稿照明用の光源と、
前記光源からの光を長手方向の一端面から導光して原稿を照明する導光体と、
前記センサ基板に原稿からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたイメージセンサユニットにおいて、
前記支持体は、前記光源の近傍に設けられた第1の摺動部材と前記導光体の長手方向の他の一端面の近傍に設けられた第2の摺動部材とを着脱自在に備えると共に、
前記第1の摺動部材は、前記光源、及び、前記導光体の端部を覆うように延設された遮光部を備えた
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記発光素子は複数の発光ダイオードを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記遮光部と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項1、又は、2に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記スペーサ上に突起を備えた
ことを特徴とする請求項1、乃至、3のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記遮光部の裏面は、光を吸収するための表面処理が施されている
ことを特徴とする請求項1、乃至、4のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記第1の摺動部材、及び、前記第2の摺動部材は、自己潤滑性を有する合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項1、乃至、5のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
前記第1の摺動部材、及び、前記第2の摺動部材は、固体潤滑剤を含んだ合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項1、乃至、5のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項8】
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
発光素子を有する原稿照明用の光源と、
前記光源からの光を長手方向の一端面から導光して原稿を照明する導光体と、
前記センサ基板に原稿からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたイメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、
前記支持体は、前記光源の近傍に設けられた第1の摺動部材と前記導光体の長手方向の他の一端面の近傍に設けられた第2の摺動部材とを着脱自在に備えると共に、
前記第1の摺動部材は、前記光源、及び、前記導光体の端部を覆うように延設された遮光部を備えた
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
前記発光素子は複数の発光ダイオードを含む
ことを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記遮光部と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項8、又は、9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記スペーサ上に突起を備えた
ことを特徴とする請求項8、乃至、10のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記遮光部の裏面は、光を吸収するための表面処理が施されている
ことを特徴とする請求項8、乃至、11のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1の摺動部材、及び、前記第2の摺動部材は、自己潤滑性を有する合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項8、乃至、12のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記第1の摺動部材、及び、前記第2の摺動部材は、固体潤滑剤を含んだ合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項8、乃至、12のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−124836(P2012−124836A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275892(P2010−275892)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】