説明

イメージセンサ

【課題】 ホログラムなどの光学的変化パターンが被照射物に圧着や印刷されている領域で、反射された光を受光することにより、被照射物に対する真偽判別可能なイメージセンサを提供する。
【解決手段】 照射部に光を照射する複数の光学波長を有する一方の導光体光源と、一方の導光体光源と異なる照射角度から照射部に光を照射する他方の導光体光源と、他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、他方の導光体光源を介して照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載したLEDアレイ光源とを具備し、一方の導光体光源、他方の導光体光源及びLEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙幣等のような被照射物のホログラム部分を読み取るイメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージセンサなどの読取装置として、例えば、特開2000−293105号公報図1(特許文献1)に記載のラベル識別装置があった。この特許文献1には、光識別ラベル1の反射体の受光面に、1つの光源10からビーム光が照射され、反射体の受光面は、ビーム光を2つの反射光に転換し、第1光成分Aは第1センサ11に向けて送られ、第2光成分Bは、第2センサ12に向けて送られる。また、特開2006−39996号公報図1(特許文献2)に記載の紙葉類の認識装置には、照明装置10から出射され、紙葉類20を透過した光をレンズアレイ11により受光素子12へ導く構成ものが開示されている。
【0003】
また、特開2007−249475号公報図1(特許文献3参照)には、ホログラム領域を有する被照射物1を搬送方向に搬送する搬送手段と、ホログラム領域における照射部3aに光を照射する第1光源4と、第1光源4と搬送方向に沿って離隔して設けられ、ホログラム領域が所定距離だけ搬送されたときのホログラム領域における照射部3bに光を照射する第2光源6とを備え、第1光源4の光を照射部3aに照射する照射角度を、ホログラム領域が所定距離だけ搬送されたときの第2光源6の光を照射部3bに光を照射する照射角度と異なるように構成し、ホログラム領域による反射光をそれぞれ受光し、被照射物1のホログラム領域に関する電気信号を検出するものが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−293105号公報(第1図)
【0005】
【特許文献2】特開2006−39996号公報(第1図)
【0006】
【特許文献3】特開2007−249475号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたラベル識別装置は、光源からの光をラベルの反射体の受光面に対して照射し、受光面で反射された2種の光成分を設置角度の異なる2種のセンサで検出するものであるが、光を集束させるレンズなどが無いため識別すべき画像の読み取り位置や焦点位置が定まらず、マクロ的なラベルの真正品か否かを識別することは可能であるものの緻密な画素レベルにおけるラベルの識別には不十分であると言う問題点があった。また、特許文献2に記載された認識装置は、紙葉類の形状を認識することは可能なものの紙葉類で透過されない部分の読み取りは原理的に不可能であると言う問題点もあった。
【0008】
また、特許文献3に記載された画像読取装置は、ホログラム領域の画像を白色光源などで読み取り、被照射物に対する真偽判別するものの光源部分の詳しい記載はない。
【0009】
この発明は、波長の異なる多数の光源を用いてホログラムなどの光学的変化パターンが被照射物に圧着や印刷されている領域で、反射された光を受光することにより、被照射物に対する真偽判別可能なイメージセンサを提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明は、被照射物の搬送経路に沿って設けられた照射部にそれぞれ異なる角度からホログラム部分(領域)に波長の異なる多数の光源を照射することにより、ホログラム領域で発生した反射光のスペクトルの差異を検出することにより、さらに高精度な真偽判別が可能なイメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係るイメージセンサは、被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有する一方の導光体光源と、この一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有する他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載したLEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源及び前記LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するものである。
【0012】
請求項2に係るイメージセンサは、アレイ状に配置する前記LEDアレイ光源のLEDチップの配列間隔が照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項1に記載のものである。
【0013】
請求項3に係るイメージセンサは、アレイ状に配置する前記LEDアレイ光源のLEDチップを覆う透過性樹脂が照射領域中央部に漸近するに連れ、厚くなることを特徴とする請求項1に記載のものである。
【0014】
請求項4に係るイメージセンサは、被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有する一方の導光体光源と、この一方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記一方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載した第1LEDアレイ光源と、前記一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有する他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載した第2LEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記第1LEDアレイ光源、前記第2LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記第1LEDアレイ光源及び前記第2LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するものである。
【0015】
請求項5に係るイメージセンサは、アレイ状に配置する前記第1LEDアレイ光源及び第2LEDアレイ光源のLEDチップの配列間隔が照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項4に記載のものである。
【0016】
請求項6に係るイメージセンサは、アレイ状に配置する前記第1LEDアレイ光源及び第2LEDアレイ光源のLEDチップを覆う透過性樹脂が照射領域中央部に漸近するに連れ、厚くなることを特徴とする請求項4に記載のものである。
【0017】
請求項7に係るイメージセンサは、被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有し、光散乱層を前記照射部に沿って設置した一方の導光体光源と、この一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有し、光散乱層を前記照射部に沿って設置した他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載したLEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源及び前記LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するものである。
【0018】
請求項8に係るイメージセンサは、前記一方の導光体光源及び前記他方の導光体光源の光散乱層のパターン間隔が、照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項7に記載のものである。
【0019】
請求項9に係るイメージセンサは、前記一方の導光体光源及び前記他方の導光体光源の光散乱層のパターンが、照射領域中央部に漸近するに連れ、幅広となると共に抜きパターンを有することを特徴とする請求項7に記載のものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、複数のスペクトルを含む光を被照射物に照射し、被照射物からの反射光を照射角度毎に選択的に受光するのでホログラムの色彩に応じた出力を画像情報として得ることが可能である。
【0021】
また、照射角度の異なる導光体光源とLEDアレイ光源とを同一のイメージセンサ内に搭載しているので、高輝度を必要とする光源に対してはLEDアレイ光源側に多数のLEDチップを載置することにより、短時間で被照射物に対する真偽判別に必要な画像出力を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るイメージセンサの断面構成図である。図1において、1は、紙幣、原稿、有価証券又は小切手等の被照射物であって、好ましくは透過性を有する基材にホログラム処理(ホログラフィー)を施した熱圧着部分、印刷部分、シール貼り付け部分及びその他見る角度により色彩が変化する部分等で、光が比較的透過しにくい領域を有するものである。
【0023】
2は、被照射物1(紙幣1)を搬送する搬送ローラ(搬送手段)であり、2aは給紙側搬送ローラ、2bは排紙側搬送ローラ、2cは紙幣1の位置を決める位置決めローラである。3は紙幣1の搬送経路にある照射部、4は導光体であり、4aは照射部3を一方から広角で照射する第1導光体、4bは照射部3を一方から狭角で照射する第2導光体、4cは照射部3を他方から狭角で照射する第3導光体、4dは照射部3を他方から広角で照射する第4導光体、5はLEDアレイ光源であり、5aは照射部3を一方から広角で照射する第1LEDアレイ光源、5bは照射部3を他方から広角で照射する第2LEDアレイ光源、6は紙幣1に照射された光の反射光を収束するレンズアレイ(ロッドレンズアレイ)、7はレンズアレイ6で収束された光を受光し、光電変換する複数の半導体チップを直線状に配列して構成したセンサ(受光部)であり、各画素毎の光電変換部(光電変換回路)とそれらの駆動回路等を組み込んだセンサICよりなる。
【0024】
8はセンサ7を載置するセンサ基板、9はセンサ7で光電変換されたアナログ信号をA/D変換し、各画素毎に信号処理を行い、紙幣1からのイメージ情報を演算・加工処理する信号処理IC(ASIC)である。
【0025】
10は電子部品を搭載するプリント配線板等により構成した信号処理基板(基板)、11はコンデンサなどの電子部品であり、基板10に搭載される。12は搬送経路に沿って設けられたプラスチック材又はガラス材で構成した透過体、13は導光体4、LEDアレイ光源5、レンズアレイ6、センサ基板8、基板10などを収納又は保持する筐体、14は導光体4をそれぞれの所定位置に載置する導光体サポーター、15は基板10を着脱可能にするネジ(基板取付部)である。図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0026】
図2は、実施の形態1に係るイメージセンサの光源配置を説明する断面図である。図2において、導光体4a〜4dは端面に4個(abcdで表記)のLEDチップを配置する。導光体4aは紙幣1の搬送方向垂直面を軸として60°の広角で照射部3に光が照射される。導光体4bは紙幣1の搬送方向垂直面を軸として30°の狭角で照射部3に光が照射される。導光体4cは紙幣1の搬送方向垂直面を軸として30°の狭角で照射部3に光が照射される。導光体4dは紙幣1の搬送方向垂直面を軸として60°の広角で照射部3に光が照射される。
【0027】
LEDアレイ光源5aは、導光体4aを介して紙幣1の搬送方向垂直面を軸として60°の広角で照射部3に光が照射される。LEDアレイ光源5bは、導光体4dを介して紙幣1の搬送方向垂直面を軸として60°の広角で照射部3に光が照射される。図2中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0028】
図3は、実施の形態1に係るイメージセンサの搭載部品展開図である。図3において、16は導光体4の両側側面端部を保持する中空部を有するホルダー、17はホルダー16の中空部にLEDチップを挿入し、パターン配線されたLED基板(フレキシブルケーブル基板)、18は基板10に支持された外部コネクタであり、システム信号(SCLK)、スタート信号(SI)、クロック信号(CLK)及び電源等の入力信号や光源等に電力を供給し、その他制御信号を入出力し、さらに画像信号(SIG)等を外部に出力する役割を持つ。なお、導光体4及びLED基板17とを合わせて導光体光源と呼ぶ。図3中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0029】
次にホログラム読み取りの構成について説明する。図4は、紙幣1の搬送方向に沿って並列に2台のイメージセンサ(CISと呼称)を配置した図である。図4において、3aは第1照射部、3bは第2照射部である。21はイメージセンサであり、21aは第1イメージセンサ(CIS)、21bは第2イメージセンサ(CIS)である。これらは搬送方向に一定の距離を離間して設置する。また、図5に示すように金融端末分野などで使用する紙幣判別機(紙葉類判別装置)に搭載されるイメージセンサなどの読取装置においては、紙幣1の表裏画像を1回の搬送で同時に画像を読み取る場合がある。図5において21cは紙幣1の裏面読み取り用の第3イメージセンサ(CIS)、21dは紙幣1の裏面読み取り用の第4イメージセンサ(CIS)であり、これら裏面読み取り用のCISも搬送方向に一定の距離を離間して設置する。図4、図5中、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0030】
紙幣1の表裏同時読み取る場合には、CIS21a及びCIS21bが紙幣1の搬送経路一方の面に配置されるのに対してCIS21c及びCIS21dは、CIS21a及びCIS21bとは上下反転させて他方の面に配置される。従って、紙幣1の搬送方向に直交する主走査方向(読み取り幅方向)においては、CIS21a及びCIS21bは走査方向は同一で左端から右端に向かって走査され、CIS21c及びCIS21dは走査方向は同一であるが右端から左端に向かって走査される。また、照射部3aと照射部3c及び照射部3bと照射部3dは搬送経路において光源の干渉を防止するため少し離間させて設置する。なお、図中、図4と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0031】
次にホログラム読み取りの動作について図4を用いて説明する。紙幣1のホログラム領域の画像を読み取る場合には、光源の照射角度を変更して読み取った画像を信号処理する。従って、まず、搬送ローラ2aで搬送されてきた紙幣1の画像をCIS21aの照射部3aにおいて導光体4a、4dから照射された光を取り込み信号処理する。次に搬送ローラ2bで引き続き搬送されてきた紙幣1の画像をCIS21bの照射部3bにおいて導光体4b、4cから照射された光を取り込み信号処理する。
【0032】
信号処理は、CIS21aのホログラム領域で得た画像とCIS21bのホログラム領域で得た画像を差分処理してホログラムの真偽判別を行う。また、ホログラム画像は照射する光の波長によっても異なる画像となるので適宜光源色を変更することで精度の高い真偽判別が可能となる。また、簡易的な真偽判別の場合には、1台のCISを用いて狭角照射と広角照射を1ラインの読み取り区間内に交互に点灯させても良い。
【0033】
また、紙幣1で蛍光発光された画像を読み取る場合には、紫外線(UV光)などの比較的光学波長の短い照明光を照射することにより読み取りを行う。
【0034】
次に導光体4やLEDアレイ光源5を用いた照明装置について説明する。図6は実施の形態1に係るイメージセンサの導光体断面図である。図6において、40は導光体4の長手方向(主走査方向)底面に白色シルク材料で印刷した光散乱層である。図7は光散乱層の各種パターンであり、図7(a)は導光体4の長手方向に幅やパターン間隔が変化する線状パターン、図7(b)は導光体4の長手方向に幅やパターン間隔が変化する線状及び島状パターン、図7(c)は中抜きの菱形パターンである。図7において、41は照射領域端部から離間した中央部付近に設けた島状の光散乱層パターン、42は照射領域中央部に漸近して幅広とし、その内部に中抜きパターンを設けた光散乱層パターンである。
【0035】
本実施の形態1では、導光体4は両側にLED基板17に搭載したLEDチップを設置しているので図7(a)に示すように導光体4の長手方向中央部ほど光散乱領域が多いように設計される。一方で導光体4の光散乱層のパターン間隔が照射領域中央部に漸近するに連れて狭くすると共に図7(b)に示すように中央部付近のパターンを線状から島状とし、導光体4を介して設けるLEDアレイ光源5の透過光量の透過率を向上させても良い。さらに別の手段として、導光体4の光散乱層のパターンが、照射領域中央部に漸近するに連れ幅広とすると共に図7(c)に示すように幅広領域には抜きパターンを設けることにより、導光体4を介して設けるLEDアレイ光源5の透過光量の透過率を向上させても良い。
【0036】
なお、光散乱層40、41、42は本実施の形態1では印刷パターンを用いて説明したが、導光体4の照射方向の底面側表面粗度を粗くして光散乱層としても良い。
【0037】
図8は実施の形態1に係るイメージセンサのLEDアレイ光源の平面図であり、50は紫外線(UV)光源である。図8において、UV光源は、紙幣1に照射することにより、紙幣1で発した蛍光を読み取るものである。UV光源50を搭載したLEDアレイ光源5は、導光体4で設置した光散乱層で遮光された光量を補うようにLEDアレイ光源5の長手方向中央部を密な発光領域とするため、配置するピッチを中央部ほど短く(C<B<Aで示す)する。
【0038】
図9は実施の形態1に係るイメージセンサのLEDアレイ光源を説明する図であり、図9(a)は等ピッチ配列したLEDアレイ光源の平面図、図9(b)はその側面図であり、51はUV光源50を保護する樹脂コーティング層である。図9において、UV光源50の配列ピッチを等ピッチとした場合でも、導光体4で設置した光散乱層で遮光された光量を補うようにLEDアレイ光源5の長手方向中央部を密な発光領域とするため樹脂コーティング層51を中央部ほど厚く(h3>h2>h1で示す)することにより、樹脂コーティング層51が厚いほど樹脂によるレンズ効果による集光性が大きくなり、中央部の照射光量が増大する。
【0039】
なお、図8、図9ではLEDチップの光源をUV光源50としたが、青色発光光源でも良く、紙幣1の蛍光発光を受光する用途以外では、導光体4に搭載した波長の異なる多数のLEDチップ光源同様LEDアレイ光源5の基材表面にアレイ状に波長の異なる多数のLEDチップを搭載し、照射光量増加の目的としてLEDアレイ光源5を使用しても良い。
【0040】
図10は、実施の形態1に係るイメージセンサの導光体の端部に搭載するLED基板の平面図である。図10において、60はLEDチップであり、60aは緑色発光光源(G光源)、60bは赤外線(IR)光源である。70はLED基板17のパターンであり、70aは共通電極パターン(VLED)、70bはG光源60aの個別パターン(C1)、70cはIR光源60bの個別パターン、70dはダミーパターン、80は間隙(スリット)パターンである。90はLEDチップ60のアノードとカソードとをLED基板17のパターンに接続する金線やアルミ線を用いたワイヤである。
【0041】
図11は、図10に示すLED基板17の配線図である。LED基板17の端子から供給されたLED駆動電流は共通電極パターン70aに流れ、C1(70b)、C2(70b)からLED基板17の端子に帰還する。
【0042】
なお図2においては、第1導光体4aを介してLEDアレイ光源5aからの光を照射部3aに照射し、第4導光体4dを介してLEDアレイ光源5bからの光を照射部3aに照射するようにしたが、導光体4b及び導光体4cを介してLEDアレイ光源を設けても良い。また、全ての導光体4a〜4dを介してLEDアレイ光源を設けても良い。
【0043】
また、本実施の形態1では、照射部3に対して紙幣1の搬送方向両側から照射したが、搬送される紙幣1に皺が無い場合や搬送による浮きが無い場合には、片側方向から照射するようにしても良い。
【0044】
以上から照射角度の異なる導光体光源とLEDアレイ光源とを同一のイメージセンサ内に搭載したので、高輝度を必要とする光源に対してはLEDアレイ光源側に多数のLEDチップを載置することにより、短時間で被照射物に対するホログラムの真偽判別に必要な画像出力を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサ断面構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサの光源配置を説明する断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサの搭載部品展開図である。
【図4】紙幣の搬送方向に沿って並列に2台のイメージセンサを配置した説明図である。
【図5】紙幣の表裏画像を1回の搬送で同時に画像を読み取るイメージセンサを配置した説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサの導光体断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサの光散乱層のパターン図であり、図7(a)は線状のパターン図、図7(b)は線状・島状パターン図、図7(c)は中央部に漸近して幅広の中抜きパターン図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサのLEDアレイ光源の平面図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサの等ピッチ配列したLEDアレイ光源を説明する図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は側面図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサLED基板の平面図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るイメージセンサのLED基板の配線図である。
【符号の説明】
【0046】
1・・被照射物(紙幣) 2・・搬送手段(搬送ローラ) 2a・・給紙側搬送ローラ 2b・・排紙側搬送ローラ 2c・・位置決めローラ 3・・照射部
3a・・第1照射部 3b・・第2照射部 3c・・第3照射部 3d・・第4照射部
4・・導光体
4a・・第1導光体 4b・・第2導光体 4c・・第3導光体 4d・・第4導光体
5・・LEDアレイ光源 5a・・第1LEDアレイ光源
5b・・第2LEDアレイ光源 6・・レンズアレイ(ロッドレンズアレイ)
7・・センサ(受光部) 8・・センサ基板 9・・信号処理IC(ASIC)
10・・信号処理基板(基板) 11・・電子部品 12・・透過体
13・・筐体 14・・導光体サポーター 15・・ネジ(基板取付け部)
16・・ホルダー 17・・LED基板(フレキシブルケーブル基板)
18・・外部コネクタ
21・・イメージセンサ(CIS)
21a・・第1イメージセンサ(CIS) 21b・・第2イメージセンサ(CIS)
21c・・第3イメージセンサ(CIS) 21d・・第4イメージセンサ(CIS)
40・・光散乱層 41・・照射領域中央部を島状とした光散乱層パターン
42・・照射領域中央部を幅広とし、中抜きした光散乱層パターン
50・・紫外線(UV)光源 51・・樹脂コーティング層
60・・LEDチップ 60a・・緑色発光光源(G光源)
60b・・赤外線(IR)光源 70・・LED基板パターン
70a・・共通電極パターン(VLED)
70b・・G光源の個別パターン(C1)
70c・・IR光源の個別パターン
70d・・ダミーパターン 80・・間隙(スリット)パターン
90・・ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有する一方の導光体光源と、この一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有する他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載したLEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源及び前記LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するイメージセンサ。
【請求項2】
アレイ状に配置する前記LEDアレイ光源のLEDチップの配列間隔が照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
アレイ状に配置する前記LEDアレイ光源のLEDチップを覆う透過性樹脂が照射領域中央部に漸近するに連れ、厚くなることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有する一方の導光体光源と、この一方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記一方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載した第1LEDアレイ光源と、前記一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有する他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載した第2LEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記第1LEDアレイ光源、前記第2LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記第1LEDアレイ光源及び前記第2LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するイメージセンサ。
【請求項5】
アレイ状に配置する前記第1LEDアレイ光源及び第2LEDアレイ光源のLEDチップの配列間隔が照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項4に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
アレイ状に配置する前記第1LEDアレイ光源及び第2LEDアレイ光源のLEDチップを覆う透過性樹脂が照射領域中央部に漸近するに連れ、厚くなることを特徴とする請求項4に記載のイメージセンサ。
【請求項7】
被照射物のホログラム領域における照射部に光を照射する複数の光学波長を有し、光散乱層を前記照射部に沿って設置した一方の導光体光源と、この一方の導光体光源と異なる照射角度から前記照射部に光を照射する複数の光学波長を有し、光散乱層を前記照射部に沿って設置した他方の導光体光源と、この他方の導光体光源の照射角度領域に沿って設けられ、前記他方の導光体光源を介して前記照射部に光を照射するアレイ状にLEDチップを搭載したLEDアレイ光源と、前記照射部で反射され、その反射光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光する受光部と、この受光部を載置するセンサ基板と、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源、前記LEDアレイ光源、前記レンズアレイ及び前記センサ基板を収納又は保持する筐体とを備え、前記一方の導光体光源、前記他方の導光体光源及び前記LEDアレイ光源を選択的に点灯制御することにより、異なる角度から照射した光を受光し、被照射物のホログラム領域の電気信号を検出するイメージセンサ。
【請求項8】
前記一方の導光体光源及び前記他方の導光体光源の光散乱層のパターン間隔が、照射領域中央部に漸近するに連れ、狭くなることを特徴とする請求項7に記載のイメージセンサ。
【請求項9】
前記一方の導光体光源及び前記他方の導光体光源の光散乱層のパターンが、照射領域中央部に漸近するに連れ、幅広となると共に抜きパターンを有することを特徴とする請求項7に記載のイメージセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−181403(P2009−181403A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20661(P2008−20661)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】