説明

インクジェットプリンタにおける両面媒体シートのための、高生産性の塗布/転写システム

【課題】加圧ローラ上の離型剤がシートの印字面に移動することによる画像の欠陥を防止したインクジェットプリンタの提供。
【解決手段】離型剤168を載せた加圧ローラ136の領域の位置を監視し、媒体搬送部を連動させて、媒体シートの先端157がニップ134に入るとき、加圧ローラの上の離型剤168がニップ134から出るよう、媒体シートを加圧ローラで形成されたニップ134に通す。加圧ローラ136の外周は、媒体シートとドキュメント間の間隙を合わせた長さの整数倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットプリンタに関し、より詳細には、これらのプリンタ内で媒体にインク画像を転写することに関する。
【背景技術】
【0002】
直接プリントシステム及び間接プリントシステムの両方のシステムでは、離型剤によりインクの媒体への適切な付着、即ち転写が妨げられる可能性があるため、画像形成の前に著しく高いレベルの油が媒体上に付着することは好ましくない。したがって、第1の面の画像を印刷中に、離型剤がシートに移動することを防止することが望まれる。現在のプリントシステムにおいては、両面モードでは、印刷速度を落とし特定な手順に従って、表の面の印刷中に、リリースがシートの裏の面に移動することを防止しなければならない。媒体シートがニップを通る際、それらのシートがニップ、又はシートとシートの間に到達する前に、直接プリンタ内の塗布ローラと加圧ローラが互いに接触した場合、塗布ローラから加圧ローラに離型剤が移動する。間接プリンタでは、媒体シートがニップを通るとき、それらのシートが転写ニップ、又はシートとシートの間に到着する前に、転写ローラと中間部も互いに接触し、中間部から転写ローラに離型剤が移動する。
【0003】
媒体シートの第1の面に画像が定着される間に、加圧ローラの上の離型剤の量が許容限度を超え、加圧ローラから媒体シートの第2の面に離型剤が移動し始めるレベルに到達する可能性ある。両面印刷に関しては、過剰な量の離型剤が媒体シートの第2の面に移動することで、インク画像が媒体シートの第2の面に印刷されることが妨げられる可能性がある。直接プリントシステムでは、射出されたインクとシートとの間に離型剤が存在することで、第2の画像が媒体シートに定着される間に、多少のインクが媒体シートから塗布ローラに移動しまう。間接プリントシステムでは、媒体上に離型剤が存在することで、多少のインクが媒体に転写されることなく中間部に残ってしまう。どちらの場合においても、インクが失われることにより部分的な画素、又は失われた画素の画像が形成されてしまう。部分的な画素、又は失われた画素は、人間の目により識別できると、画像の欠落として周知の現象となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
離型剤が加圧ローラ上に蓄積されることを防止する一つの方法としては、媒体シートが定着行程に供給されるまで2つのローラを互いに離しておくことがある。つまり、一方のローラを、他方のローラに対して選択的に位置させることが可能である。このように、媒体シートがローラに近づいたときに可動式ローラがもう一方のローラに接触した場合、塗布ローラから加圧ローラに離型剤が殆んど、又は全く移動することはない。しかし、このような動作の連動は、高度な制御技術が必要であり、高速の両面印刷の間に、一方のローラを移動させることで制御が手に負えなくなる、又はプリンタの処理能力が制限される可能性がある。したがって、直接プリンタ及び間接プリンタが、このような制限に対処する、改良された動作を実行することが、処理能力を増やすために有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
別の実施形態では、インクジェットプリンタが開発される。このプリンタは、移動する表面上の所定のサイズを有する領域にインク滴を射出して第1のインク画像を形成するように設定されたプリントヘッドと、離型剤を有する第1のローラの表面の部分の回転位置を識別する信号を生成するように設定されたセンサと、制御装置とを含む。この制御装置は、離型剤を有する第1のローラの表面の部分の識別された回転位置がニップを出るとき、媒体搬送部を操作して、媒体シートの先端が第1のローラで形成されたニップに入れるよう設定される。第1のローラの外周は、所定のサイズを有する領域の長さより長い。
【0006】
上記の態様、及び媒体シートと係合するローラ間での離型剤の移動を制御する、プリンタ内の媒体経路のその他の特徴を、添付図面と関連付けて、以下の記載で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、画像を媒体シートの上に直接印刷するように設定されたインクジェットプリンタの概略図である。
【図2A】図2Aは、図1に示すインクジェットプリンタ内の、印刷されたインク画像を第1のサイズの媒体シートの上に定着させるために用いられる塗布ローラ及び加圧ローラの概略図である。
【図2B】図2Bは、インク画像を第2のサイズを有する媒体シートの上に定着させるモードで動作する、図2Aの2つのローラの概略図である。
【図3】図3は、回転する画像受取部の上に画像を印刷し、その画像を媒体シートに転写するように設定されたインクジェットプリンタの概略図である。
【図4A】図4Aは、図3に示すプリンタ内の、第1のサイズを有する媒体シートの上にインク潜像を転写する画像作成ドラム及び転写ローラの概略図である。
【図4B】図4Bは、第2のサイズを有する媒体シートの上にインク画像を定着させるモードで動作する図4Aの画像作成ドラム及び転写ローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1には、直接インクジェットプリンタ100が示され、この直接インクジェットプリンタ100は両面モードで印刷中、離型剤が2つのローラ132とローラ136の間で移動することを制御する。このプリンタ100は、媒体供給装置104及び108、媒体経路112、印刷領域120、媒体シートコンベヤ114、塗布ローラ132、加圧ローラ136、媒体排出トレイ110、及び制御装置190を含む。
【0009】
媒体供給装置104及び108は、それぞれ複数の媒体シートを保持し、それらの媒体シートを、印刷するために、媒体経路112を介してプリンタに供給するよう設定されている。プリンタ100の実施形態では、媒体供給装置104及び108は、異なるサイズの媒体シートを保持することができる。したがって、媒体シートの処理方向の「長さ」は媒体シートのサイズを記載するための一般的に用いられる長さ又は幅の寸法でよい。
【0010】
印刷作業中、媒体供給装置104及び108のうちの1方、又は両方から供給される媒体シートは媒体経路112に沿って移動する。媒体経路112は媒体搬送手段であり、ガイドローラ116等の複数のガイドローラを含み、これらのガイドローラが、各媒体シートと係合し、プリンタ100内を通じて媒体シートを移動させる。図1では、各媒体シートの第1の面の上で画像作成工程を行うために、各媒体シートが、媒体経路112により印刷領域120内を処理方向に誘導される。媒体経路112’の一部で、媒体シートの方向が反転され、直接媒体シートは再度印刷領域120内を処理方向に誘導されて、インク画像が、印刷領域120により各媒体シートの第2の面での画像作成工程の間に印刷できるようにする。以下により詳細に説明するが、印刷領域120と、ローラ132及びローラ136と、の間の媒体経路112の部分には、一連の変速コンベヤ114が含まれる。
【0011】
印刷領域120には、クロス処理方向に各媒体シートの幅を横切って配列した複数のプリントヘッドが含まれる。図1では、印刷領域120に、全部で8個のマーキングステーションが含まれ、これらはシアン、マゼンダ、イエロー、及びブラック(CMYK)のインクの組合せを用いてカラー画像を印刷するよう設定されている。印刷領域120では、マーキングステーション122A及び122Bが、マゼンダのインクを印刷し、マーキングステーション124A及び124Bが、シアンのインクを印刷し、マーキングステーション126A及び126Bがイエローのインクを印刷し、マーキングステーション128A及び128Bがブラックのインクを印刷する。その他の多様な構成では、単色のインクで印刷を行う、又はスポットカラーを含む異なるインクの色を含む。各マーキングステーション122A〜128Bは複数のプリントヘッドを含み、これらのインクヘッドはそれぞれ複数のインクジェット装置を含む。
【0012】
印刷領域120では、各マーキングステーションのプリントヘッドが、相転移インクの液滴を印刷する。一実施形態では、インクは一連の固形インクスティックとして各マーキングステーション122A〜128Bに供給される。各マーキングステーションに配置されたヒータにより、インクが少しずつ溶解して、液化したインクが対応するプリントヘッドアレイに供給される。図1に示す通り、各マーキングステーションは、一連のサポート用電子回路123を含む。電子回路123には、駆動電子回路が含まれ、この駆動電子回路によりマーキングステーション122A内のプリントヘッドを操作する信号が生成される。プリントヘッドは、また供給部からインクを供給される。ある代替の構成では、単色のインクを印刷する2つのマーキングステーションは、溶解した固形インクが、単一の供給部から供給される。別の代替の構成では、インクスティックの形態の代わりに複数の粒状の錠剤の形態で相転移インクが供給される。
【0013】
媒体シートは、印刷領域120の中を移動してインク画像を受け取り、媒体経路112が進め媒体シートを処理方向に印刷領域120から排出させる。媒体シートが印刷領域の中を移動してその媒体シートの上にインク画像を形成するとき、マーキングステーション122A〜128B内のプリントヘッドは、媒体シートの面の所定の領域の上にインク滴を印刷する。印刷領域120の後に位置する媒体経路112のセクションには、1つ以上のコンベヤ114が含まれる。このコンベヤ114は、媒体シートが塗布ローラ132と加圧ローラ136の間に形成されたニップ134に近づくと、媒体シートの処理方向への移動速度を制御するよう設定されている。以下により詳細に説明するが、プリンタ100は、ローラ132及びローラ136の回転と、コンベヤ114上の媒体シートの動きとを制御して、両面印刷の行程の間に媒体シートの非画像面に離型剤が移動することなく各媒体シートがニップ134を通過できるようにする。
【0014】
図2A及び図2Bには、プリンタ100内のローラ132及びローラ136が示されている。媒体シートは、ローラ132とローラ136の間に形成されたニップ134を通る。プリンタ100の実施形態では、媒体シートがニップ134を通るとき、塗布ローラ132及び加圧ローラ136の両方で媒体シートに圧力をかける。塗布ローラ132は、印刷領域内のシートの上に形成されたインク滴を載せた媒体シートの面と係合し、媒体シートにかかる圧力により、インクを拡散させ媒体シートに定着させる。アクチュエータ133が塗布ローラ132を回転させて、処理方向に媒体シート進ませる。ローラ間の摩擦により加圧ローラ136が反対に回転する。別の実施形態では、ニップが分離、即ち開いている間、独自の駆動モータが加圧ローラ136を回転させて、加圧ローラ136の位置決めを正確に行う。印刷領域120内で印刷されたインク画像を保持する各媒体シートの面は、塗布ローラ132に接触し、媒体シートの裏面は加圧ローラ136と接触する。媒体シートがニップ134を通るとき、ローラ132及びローラ136は媒体シートに圧力をかけ、随意的に熱も加える。この圧力と熱により、媒体シートの上に形成された個々のインク滴が平たくになり、これにより媒体シートの上に形成されたインク画像はシートに恒久的に「定着」する。離型剤152は塗布ローラ132の表面を覆い、この表面が各媒体シートの上のインク画像と接触する。一般に離型剤152は、シリコーン油等の油であり、塗布ローラ132の表面にインクが付着することを防止する。ドラム保守ユニット140には、離型剤を保持する容器が含まれる。図2Aの構成では、2つの塗布器ローラ144及び148により塗布ローラ132の周りに形成された被膜152に離型剤が塗布されるが、別の実施形態では、異なる機構を用いて離型剤が被膜152に塗布される。
【0015】
動作中、加圧ローラ136の回転位置は、光学エンコーダディスク160及びセンサ164を含む回転センサにより監視される。光学エンコーダディスクは加圧ローラ136に軸方向に取り付けられ、加圧ローラ136と共に回転する。光学エンコーダディスク160が回転すると、センサ164により生成された光線が、このエンコーダにより遮断される。センサ164は、光線の遮断に対応する信号を生成する。このセンサ164により生成された信号により、加圧ローラ136の回転速度及び加圧ローラ136の回転位置を識別することができる。別の実施形態では、光学エンコーダディスクは所定のパターンの明暗の部分を含み、光学エンコーダが回転するとき、光学ディスクの表面からセンサ164への光の反射が、このパターンにより変更される。さらに別の実施形態では、加圧ローラ136はホール効果センサを用いて設定されている。
【0016】
印刷作業中、一連の媒体シートがニップ134を通り、ローラ132の上の離型剤152の一部がローラ136に移動する。連続する媒体シートが分離される間隙で、回転するローラが互いに接触するとき、塗布ローラ132からローラ136に離型剤が移動する。図2Aでは、媒体シート156と別の媒体シート156との間で加圧ローラ136が塗布ローラ132と接触するとき、加圧ローラ136の表面の2つの部分の上に、離型剤による2つのパッチ168及び172が形成される。本明細書で使用される用語「離型剤のパッチ」及び「離型剤を含むローラの表面の部分」は両方とも、そのローラの別の部分よりも著しく多い量の離型剤を含むローラの上の領域のことを指す。ローラの外周全体には、いくらか少量の離型剤が含まれ得る。
【0017】
図2Aの構成では、加圧ローラ136は各媒体シート156の長さよりも処理方向に2倍以上長い外周を含み、この加圧ローラ136は、「2ピッチ」の構成で、各回転の間に2枚の異なる媒体シート係合する。本明細書で使用される、用語「ピッチ」とは、ローラが1回転する間、媒体シートと、ある媒体シートと次の媒体シートとの間の間隙に係合する、ローラの表面の一部のことを指す。ピッチという用語は、たいてい数字表示で参照される。例えば、1ピッチの構成では、ローラは、1回転の間に1枚媒体シートと係合する。ローラは処理方向にシートの長さよりも長い外周を有するため、1ピッチのセクションは媒体シートと係合しない。以下に説明するが、媒体シートと係合しないピッチのセクションは、別のローラと接触し離型剤のパッチが蓄積する可能性がある。
【0018】
分数でなく整数の数のピッチを有するローラは、1回転する間に整数の数の媒体シートの全長と係合する。2ピッチの実施形態では、加圧ローラは、ローラ回転の方向にレターサイズの媒体シートの長さの2倍より長い外周を含む。2ピッチのローラは、1回転する間、ローラの上の2枚の媒体シートを隔てる間隙と共に2枚の媒体シートと係合する。異なる外周及び異なる媒体シートのサイズを有するローラは、3つ以上のピッチに対応することもできる。単一のローラは、1ピッチのローラとして、又は異なる媒体シートのサイズ、及び媒体シート間の間隙に関しては、複数のピッチのローラとして、様々な印刷モードで動作することができる。プリンタ100の一印刷モードでは、媒体の搬送は2ピッチの構成で動作して、離型剤のパッチを含む加圧ローラの表面の識別された部分がニップから出るとき、次のレターサイズ媒体シートの先端がニップに入る。
【0019】
プリンタ100は、離型剤を載せた加圧ローラ136の一部分がニップ134から出るとき、ローラ132及びローラ136の回転と、媒体経路112内の媒体シート156の速度とを制御して、ニップ内で各媒体シートの先端の位置決めを行う。例えば、図2Aでは、離型剤のパッチ168がニップを出たとき、先端157はニップ134に入る。媒体シート156は、離型剤のパッチ168と離型剤のパッチ172との間の加圧ローラ136の一部分にのみ接触する。両面印刷モードでは、媒体シート156の第1の印刷された面は、塗布ローラ132により定着し、媒体シート156の第2の面が加圧ローラ136から離型剤を受けることなくニップ134から出る。離型剤のパッチ172がニップ134から出るとき、次の媒体シート158がニップ134に入る。したがって、印刷領域120は、各媒体シートの第2の面の離型剤の汚れにより画像が欠落すること、又はその他、画質が劣化することなく、両面モードで媒体シートの第2の面の上のインク画像を印刷する。
【0020】
いくつかの複数のピッチの構成では、プリンタは、両面印刷モードで、一連の媒体シートを交互にニップへ送って、加圧ローラ136又は転写ローラ319等のローラへの離型剤の移動をさらに制御する。図2A及び図4Aを参照すると、媒体シートは、交互の順番でニップを通る。つまり1枚のシートが第1の面の画像作成工程でニップを通り、次の媒体シートが第2の面の画像作成工程でこのニップを通る。印刷作業中、第1の面の媒体シートと、第2の面の媒体シートとが交互に連続し続ける。例えば、図2Aでは、媒体シート156がニップ134を通るとき、媒体シート156の上に形成された第1の面の画像がシートに定着する。次の媒体シート158は、前に第1の面の画像作成が行われており、第2の媒体シート158がニップ134を通るとき、第2の面の画像が第2のシート158に定着する。図4Aでは、媒体シート440が転写ニップ318を通るとき、インク画像420は媒体シート440の第1の面443に転写され、インク画像424は次の媒体シート446の第2の面448に転写される。単一のパス構成で動作する直接プリンタ100及び間接プリンタ300の様々な構成により、一連の媒体シートが第1の面と第2の面が交互の順になるよう並べられる。印刷作業を開始してしばらくの間、第1の面の画像を有する、十分な数の媒体シートが印刷されて、プリンタが第1の面の媒体シートと第2の面の媒体シートとを交互に並べてニップへ供給できるまで、第1の数の媒体シート分だけ、プリンタは処理能力を落とした印刷モードで動作する。
【0021】
媒体シートを交互に並べることで、両面印刷工程の間に蓄積された離型剤が加圧ローラかた媒体シートの印刷されていない面に移動することを防止する。第2の面の印刷中、前に印刷された媒体シートの第1の面は、ローラ136等の加圧ローラ、又は転写ローラ319と接触する。第1の面の画像作成中に媒体シートに移動した離型剤は、媒体シートが再度ニップを通過するときにローラへと移動する。ローラに移動する離型剤の量は一般にローラの上の離型剤のパッチ内の離型剤の量よりも少ないが、それでもなお離型剤は、第2の面が印刷される前に、媒体シートの第2の面に移動する可能性がある。媒体シートを交互に並べることで、両面印刷媒体シートの第1の面から離型剤が蓄積された加圧ローラのセクションが、両面印刷媒体シートの前に印刷済みの面にのみ接触し、加圧ローラの分離したセクションが、第1の面の印刷中に離型剤が付着していない媒体シートの空白の面にのみに接触することを確実にする。
【0022】
図2Bの構成では、より大きなサイズの媒体シート176がニップ134を通り、加圧ローラ136の外周は、処理方向に媒体シート176のうちの1枚のシートの長さよりも長い。加圧ローラ136は、1ピッチの構成では、1回転毎に媒体シート176のうちの1枚と係合し、離型剤のパッチ180は加圧ローラ136の表面の単一部分に移動する。プリンタ100は、ローラ132及びローラ136と、媒体経路112内の媒体シート176の移動速度と、を制御して、離型剤のパッチ180がニップ134から出るときに、媒体シート176がニップ134に入るようにする。1ピッチ構成では、印刷作業中、離型剤のパッチ180がニップ134から出るとき、各媒体シートがニップ134に入り、各媒体シートの第2の面には両面印刷を行うために離型剤が付着しない。
【0023】
印刷作業中は、加圧ローラ136は塗布ローラ132と接触し、複数の媒体シートがニップ134を通るとローラ132と接触したままとなる。印刷作業と印刷作業との間、及びプリンタ100内の保守作業中は、アクチュエータ138により、加圧ローラ136はローラ132との接触から外される。加圧ローラ136が塗布ローラ132との接触から外されたとき、清掃工程により離型剤及びその他の汚れが加圧ローラ136から取り除かれる。アクチュエータ138は、印刷作業の開始時に加圧ローラ136を動かしてローラ132に係合させる。加圧ローラ136への離型剤の移動が最小になるように、この係合を素早く行うことが可能である。
【0024】
プリンタ100内では、制御装置及びユーザインターフェース190が種々の構成部品及びサブシステムと接続し、これらの構成部品には、媒体経路112,印刷領域120、アクチュエータ133及び138、及びセンサ164が含まれ、このセンサ164は加圧ローラ136の回転を検知する。制御装置190は、印刷作業データを受信し処理する。この印刷作業データには、画像データ及び印刷作業パラメータが含まれる。典型的な印刷作業パラメータには、生成される画像データの複写数、印刷画像の画質及び色品質レベル、及びプリンタが媒体ページを片面印刷モードで印刷すべきか、又は両面印刷モードで印刷すべきかが含まれる。いくつかの構成では、制御装置190はネットワーク・インターフェース・モジュール196を通して印刷作業データを受信し、複写機等の別の構成では、光学式スキャナが1枚以上のページに対応する画像データを生成する。1つ以上の印刷作業パラメータをユーザの入力制御192を介して入力することができ、視覚表示装置194により、印刷作業の状態、インク及び印刷媒体の供給レベル、及びエラー又はプリンタ100の状態に関連するその他の診断情報に関する情報が表示される。
【0025】
制御装置190は、汎用又は専用のプログラマブルプロセッサで実装することができ、これらのプロセッサにより、プリントヘッドの操作等のプログラム命令が実行される。プログラムされた機能を実行するために必要な命令、及びデータを、プロセッサ又は制御装置に関連するメモリ内に格納することができる。制御装置は、プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路で構成されて、下記により詳細に説明する処理を実行し、この処理により、プリンタ100は、両面印刷中に離型剤の移動を制御することができる。これらの構成部品は、プリント基板カードに設けられる、又は特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路として設けられる。各回路を独自のプロセッサに実装することができる、又は複数の回路を同じプロセッサに実装することができる。あるいは、これらの回路を個別の構成部品、又はVLSI回路内に設けられた回路に実装することもできる。また、本明細書に記載する回路を、プロセッサの組合せ、ASIC、個別の構成部品、又はVLSI回路に実装することができる。
【0026】
動作中、媒体シートが印刷領域120の中を移動するとき、制御装置190は電子発射信号を生成して、各マーキングステーション122A〜128Bのプリントヘッド内の個々のインクジェット装置を操作する。マーキングステーション122A〜128B内のインクジェット装置は、各発射信号に応じて個々のインク滴を射出して、各媒体シートの上にインク画像を形成する。カラー画像を生成するために、プリンタ100は異なる色のインク滴を互いに接近させて媒体シートの上に射出して、人間の目には広い色域として知覚される、「ディザ」パターンを形成する。
【0027】
図3には、間接相転移インクジェットプリンタ300の一実施形態が示され、このインクジェットプリンタ300は、多色プリントヘッド組立体332及び多色プリントヘッド組立体334、回転画像作成ドラム312、転写ローラ319、光学エンコーダディスク335、及び制御装置380を含む。図示する通り、プリンタ300はフレーム311を含み、このフレーム311には、下記に説明する動作サブシステムや構成部品が直接的又は間接的に取り付けられる。間接相転移インクジェットプリンタ300は中間画像受取部312を含む。この中間画像受取部312は画像作成ドラムの形態で示されているが、別の実施形態では、支持されたエンドレスベルトの形態をとる。画像作成ドラム312は、画像受取面314を含み、この画像受取面314は、316の方向に移動可能であり、その上には相転移インク画像が形成される。ドラム保守ユニット394は、離型剤の供給部と、ローラ及び調量ブレードを含む塗布器と、を含み、これらのローラ及び調量ブレードにより画像作成ドラム312の表面に離型剤の薄い層を塗布する。転写アクチュエータ341は、転写ローラ319を動かして画像作成ドラム312と係合及び分離させる。転写ローラ319を、ドラム312の表面314に対して取り付けて、転写ニップ318を形成すると、転写ローラ319は317の方向に回転し、この転写ニップ318内で表面314上に形成されたインク画像は、転写ニップ318を通過中の媒体シート349の上に転写される。
【0028】
動作中、転写ローラ319の回転位置は、光学エンコーダディスク335及びセンサ337を含む回転センサにより監視される。光学エンコーダディスクは、転写ローラ319の軸に取り付けられ、転写ローラ319と共に回転する。光学エンコーダディスク335及び光学センサ337は、図2に示された光学エンコーダディスク160及びセンサ164として、同様に動作する。さらに別の実施形態では、転写ローラ319はホール効果センサで設定される。制御装置380は、光学センサ337により生成された信号を参照して、転写ローラ319の回転位置及び回転速度を識別する。
【0029】
媒体搬送部は、媒体経路350として図示され、複数のローラ及び媒体ガイドを含み、これらのローラ及び媒体ガイドにより、362の処理方向で転写ニップ318を通る媒体シート349等の媒体シートの動きが制御される。媒体経路350は両面処理方向362’も含む。両面印刷モードでは、プリンタ300は、媒体シートの第1の面にインク画像を転写し、媒体シートは媒体経路350を通り362’の両面処理方向に移動する。媒体シートは、転写ニップ318を再度通り、プリンタ300は媒体シートの第2の面に第2のインク画像を転写する。
【0030】
プリンタ300内の媒体経路350と、プリントヘッド組立体332及び334と、を含む種々のサブシステム、構成部品及び機能の操作及び制御は、制御装置、即ち電子サブシステム(ESS)380を用いて行われる。ESS、即ち制御装置380は、例えば、メモリ383を有する中央プロセッサユニット(CPU)382、及び表示装置即ちユーザインターフェース(UI)386を含む内蔵型専用コンピュータである。ESS、即ち制御装置380は、例えば、センサ入力制御回路388、及びインク滴配置制御回路389を含む。さらに、CPU382は、走査システム376、又はオンライン、又はワークステーション接続部390等の画像入力供給源から受信した、印刷作業に関連する画像データフローを読み取り、取得し、用意し、管理する、そしてプリントヘッド組立体332及び334を制御する。したがって、
ESS、即ち制御装置380はメインマルチタスクプロセッサであり、その他のプリンタサブシステム及び機能を全て操作、制御する。
【0031】
制御装置380は、汎用又は専用プログラマブルプロセッサで実装することができ、このプログラマブルプロセッサにより、プリントヘッドの操作等のプログラム命令が実行される。プログラムされた機能を実行するために必要な命令及びデータを、プロセッサ、即ち制御装置に関連するメモリ383内に格納することができる。メモリ383には、1つ以上のデジタルデータ記憶装置が含まれ、それらには、スタティック及びダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、磁気及び光ディスク記憶装置、リード・オンリー・メモリ(ROM)、及びNAND型フラッシュデータ記憶装置を含むソリッドステートデータ記憶装置が含まれるがこれらには限定されない。制御装置は、プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路で構成されて、下記により詳細に説明する処理を実行する、これにより離型剤の媒体シートへの移動を制御しつつ、画像作成ドラム312,転写ローラ319、光学センサ337、及び両面印刷を可能にするための媒体経路350の動作が可能となる。これらの構成部品を、プリント基板カード上に設けることができる、又は特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路として設けることができる。CPU382は、専用のVLSI回路として実装することができる、又は汎用のマイクロ制御装置、又はプロセッサでよく、これにはx86及びARMファミリのプロセッサが含まれる。各回路を独自のプロセッサに実装することができる、又は複数の回路を同じプロセッサに実装することができる。あるいは、この回路を個別の構成部品又はVLSI回路内に設けられた回路に実装することができる。また、本明細書に記載する回路を、プロセッサの組合せ、ASIC、個別の構成部品、又はVLSI回路に実装することもできる。
【0032】
相転移インクプリンタ300は、相転移インク供給サブシステム320も含み、このインク供給サブシステム320は、固体の形態をとる異なる色の相転移インクの供給源を複数有する。相転移インクプリンタ300は多色プリンタのため、インク供給サブシステム320は、(4)個の供給源322、324、326、328を含み、それぞれ相転移インクの(4)色の異なる色CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、及びブラック)を描写する。相転移インク供給サブシステムは、また溶解制御装置(図示せず)を含み、この装置が相転移インクの固体の形態を溶解、即ち相転移させて液体の形態にする。各インク供給源322、324、326、及び328は、溶解したインクをプリントヘッドシステム330に供給するために用いる容器を含む。図3の実施例では、インク供給源322、324、326、及び328は、シアン、マゼンダ、イエロー、及びブラックのインクを、それぞれ多色プリントヘッド組立体332及び334に供給する。いくつかの構成では、プリントヘッド組立体332及び334が、多重パス印刷の構成で、画像作成ドラム312の上にインク画像を形成するとき、画像作成ドラム312は2回以上回転する。別の実施形態では、システムは異なる媒体経路の構成、及び画像受取部の1回転のパスで、全ページの画像を印刷するシステムを含む。
【0033】
相転移インクプリンタ300は、下地供給処理サブシステム340を含む。下地供給処理サブシステム340は、例えば、シート即ち下地の供給源342、344、348を含み、そのうちの供給源348は、例えば、大容量の用紙供給源、即ち給紙装置であり、カットシート349等の形態をとる、画像を受け取る下地を格納し供給する。ある構成では、供給源342〜348は、レター、A4、リーガル、タブロイド判サイズ等の異なるサイズの媒体シートを格納する。プリンタ300は、種々の媒体シートサイズを規定する印刷作業を実行し、媒体供給経路350は、各印刷作業で規定された媒体サイズに応じて、媒体供給源342〜348のうちの1つから媒体シートを取り出す。下地供給処理サブシステム340は、また下地媒体経路350を含み、この下地媒体経路350は下地ヒータ、即ちプレヒータ組立体352を含む。図示する通り、相転移インクプリンタ300はまた、原稿給紙装置370を含み、この原稿給紙装置はドキュメント保持トレイ372、ドキュメントシート給紙・取出し装置374、及びドキュメント照射・走査サブシステム376を含む。
【0034】
操作中、プリンタ300は、1つ以上の画像に関する画像データを含む印刷作業を、走査サブシステム376、若しくはオンライン又はワークステーション接続部390経由のうちのどちらか一方から受け取る。また、制御装置は、例えば、ユーザインターフェース386を介した操作者による入力情報から、関連サブシステムと、構成部品の制御と、を決定及び/又は承認し、それに応じてこれらの制御を実行する。印刷作業の最初の暖機運転中、制御装置380は、インク供給サブシステム320内の1つ以上のヒータと、プリントヘッド組立体332及び334と、を起動させて、溶解したインクをプリンタ300内のプリントヘッド及びインクジェットにそれぞれ供給する。プリンタ300は、停止状態又は省電力モードから復帰した後、印刷作業を開始する前に暖機運転を行う。
【0035】
プリントヘッド組立体332及び334は起動すると、画像受取面314の選択された位置の上にインク滴を射出して、画像データに対応するインク画像を形成する。媒体供給源342、344、及び348は、画像を受け取る下地を供給し、この下地が下地媒体経路350を通って画像受取部312と、転写ローラ319との間に形成された転写ニップ318に到着し、画像受取面314の上に形成されたインク画像とタイミングを合わせて位置合わせを行う。インク画像と媒体がニップ318を通るとき、インク画像は転写ニップ318内で表面314から画像下地に転写され、固定的に結合する。画像作成工程及び転写行程の間、制御装置380は、光学センサ337により生成される、光学エンコーダディスク335の回転に応じた信号を参照して転写ローラ319の回転位置を識別する。制御装置380は、光学センサ337を用いて1か所以上の離型剤を載せた転写ローラ319のセクションを識別し、制御装置380は、媒体経路350を調整して、転写ローラ319上の離型剤のパッチが転写ニップ318から出るときに、媒体シートを転写ニップ318に供給する。
【0036】
図4A及び図4Bには、図3の画像作成ドラム312及び転写ローラ319が示されている。図4Aには、転写ローラ319が回転する間に、プリンタ300がインク画像を、2枚の媒体シートに転写する2ピッチの印刷モードが示されている。図4Aの例示の実施形態では、プリンタ300は、画像作成ドラム312の表面を覆う離型剤432の薄い層の上に、2つのインク潜像420及び424を形成する。転写ローラ319は、画像作成ドラム312と係合して、インク画像420とインク画像424との間に形成されたドキュメン間の間隙433で、転写ローラが画像作成ドラム312に係合したままで、転写ニップ318を形成する。本明細書で使用される、用語「ドキュメント間の間隙」とは、印刷作業で異なる2枚のページに対応する2つのインク画像の間に位置する画像受取部の表面の部分、又は画像受取部の上に1つのインク画像が形成されたときの、1つのインク画像の2つの端の間に位置する画像受取部の表面の部分のことを指す。
【0037】
第1の媒体シート440が、転写ニップ318に近づくとき、画像作成ドラム312は316の方向に回転し、転写ローラ319は317の方向に回転する。転写ローラ319が、ドキュメント間の間隙433を通って回転するとき、離型剤434のパッチは、画像作成ドラム312から転写ローラ319に移動する。離型剤のパッチ434を載せた転写ローラ319の部分がニップから出るとき、第1の媒体シート440の先端444は、転写ニップ318に入る。画像作成ドラム312及び転写ローラ319が回転して、インク画像420を媒体シート440の第1の面443に転写させる。
【0038】
単一パスの印刷構成では、転写ローラ319は、第2のドキュメント間の間隙435を通じて、画像作成ドラム312と接触したままであり、第2のドキュメント間の間隙435は、転写ローラ319上に形成された第2の離型剤のパッチ436の位置で、転写ローラ319と接触する。第2の離型剤のパッチ436が、転写ニップ318から出るとき、第2の媒体シート446は、転写ニップ318に入り、画像作成ドラム312及び転写ローラ319が、第2のインク画像424を媒体シート446の第1の面448に転写させる。
【0039】
マルチパスの構成では、転写ローラ319はドキュメント間の第2の間隙435の部分を通じて、画像作成ドラム312と接触したままであり、転写アクチュエータ341がその後に、転写ローラ319を画像作成ドラム312から分離させる。画像作成ドラム312が2回以上の回転を完了するとき、プリントヘッド組立体332及び334は、画像受取面314の1か所以上の規定された領域の上にインク画像を形成する。画像作成ドラム312の画像受取面314の各領域上に画像が形成された後、転写アクチュエータ341は、画像作成ドラム312の上のドキュメント間の間隙内で、転写ローラ319を画像作成ドラム312に再係合させる。マルチパスのプリンタの構成には、転写ローラのアクチュエータを含むものもあり、この転写ローラのアクチュエータは、インク画像が画像作成ドラム312の上に形成された後、転写ローラ319を回転させて、転写ローラ319上の離型剤のパッチを、画像作成ドラム312に係合させるよう設定されている。
【0040】
図4Bには、転写ローラ319が1回転する間に、単一のインク潜像460が転写される、1ピッチの転写動作が示されている。図4Bでは、インク画像460及びそれに対応する媒体シート450は、転写ローラ319の外周の2分の1より長い。より長い媒体シート450に対応するために、プリンタ300は媒体経路350を操作して、転写ローラ319が、1ピッチ構成で転写ニップ318を通る媒体シートごとに1回転するようにシートを並べる。1ピッチモードでは、離型剤の単一のパッチ458が、転写ローラ319の1つの部分に移動する。図4A及び図4Bの実施形態では、画像作成ドラム312は、転写ローラ319と殆んど同じ長さの外周を有する。しかし別の実施形態では、サイズの広い範囲を有する画像作成ドラムが含まれ、この画像作成ドラムは、転写ローラと同じサイズである、又は画像作成ドラムの外周の周りに整数個の画像を形成できるように、そのサイズを決める。転写ローラ319は、ドキュメント間の間隙457内で画像作成ドラムと係合する。画像作成ドラム312と、転写ローラ319と、が互いに接触して回転するとき、画像作成ドラム312の上の離型剤432の部分は、転写ローラ319に移動して離型剤のパッチ458を形成する。プリンタ300は、画像作成ドラム312の回転、及び媒体シート450の動きを制御して、パッチ458が転写ニップ318から出ときに、媒体シート454の先端454を転写ニップ318に通過させる。媒体シート450が、転写ニップ318を通過するとき、画像作成ドラム312の上に形成されたインク画像460が、媒体シート450の一方の面452に転写される。
【0041】
図4Aは、最小量の離型剤を有する2つの領域が転写ローラ319上に形成される2ピッチ構成と呼ばれ、図4Bは、1ピッチ構成と呼ばれる。その上、転写ローラの周囲に3つ以上のピッチを設けることで、別の転写ローラ及び媒体シートのサイズを動作させることもできる。以下により詳細に説明するが、制御装置380は、光学センサ337を用いて、転写ローラ319の回転位置を識別し、図4Aの離型剤のパッチ434及び436、又は図4Bの離型剤のパッチ458を載せた転写ローラ319の部分を識別する。制御装置380は、離型剤の対応するパッチがニップ318から出るときに、各媒体シートの先端が、ニップ318を通るように画像作成ドラム312の回転、及び媒体経路350のタイミングを調整する。したがって、両面画像作成工程の前では、各媒体シート440、446、及び450の第2の面には、離型剤が殆んど付着していない。プリンタ300では、転写アクチュエータ341が転写ローラ319を画像作成ドラム312との係合から外す。転写ローラのアクチュエータ339は、転写ローラ319の上に形成された離型剤のパッチが、次の転写動作の最初に画像作成ドラム312の上のドキュメント間の間隙と接することができる回転位置へ転写ローラ319を回転させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する表面上の所定のサイズを有する領域にインク滴を射出して、第1のインク画像を形成するように設定されたプリントヘッドと、
離型剤を有する第1のローラの表面の部分の回転位置を識別する信号を生成するように設定されたセンサと、
離型剤を有する前記第1のローラの表面の前記部分の前記識別された回転位置が、前記ニップから出るとき、媒体搬送部を操作して、媒体シートの先端を前記第1のローラで形成されたニップに入れるように設定され、前記第1のローラの外周は、前記所定のサイズを有する前記領域の長さより長い、制御装置と、を含むプリンタ。
【請求項2】
前記所定のサイズを有する前記領域内に前記第1のインク画像を載せた回転する画像受取部を含み、
前記制御装置は、前記第1のローラを動かし前記回転する画像受取部に係合させて、前記ニップを形成し、前記所定のサイズを有する前記領域が前記ニップに入るとき、前記媒体搬送部を操作して、前記媒体シートの前記先端を前記ニップに入れるようにさらに設定された、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記所定のサイズを有する前記領域内に前記第1のインク画像を載せた媒体シートと、
第2の回転するローラと、
前記第2の回転するローラに離型剤を塗布するように設定された離型剤塗布器と、を含み、
前記制御装置は、前記第1のローラを動かし前記第2の回転するローラに係合させて、前記ニップ形成するようにさらに設定された、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1のローラを選択的に動かし前記第2のローラに係合、分離させて、前記ニップ形成するようにさらに設定された、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記センサから受信した前記信号により示された離型剤を有する前記第1のローラの前記部分の前記位置を参照して、前記第1のローラの角回転速度を識別するようにさらに設定された、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
レターサイズの媒体シートの長さの2倍より長い前記第1のローラの前記外周により、前記プリンタが少なくとも1枚のレターサイズの媒体シートを印刷するとき、前記第1のローラの前記表面の2か所の別々の部分は、前記離型剤を有することができ、前記制御装置は、前記第1のローラの前記表面の前記2か所の部分のうちの1方が前記ニップから出るとき、前記媒体搬送部を操作して、レターサイズの媒体シートの前記先端を前記ニップに入れるようにさらに設定された、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記制御装置は、前記媒体搬送部を操作して交互に並べられた媒体シートを前記ニップに通すようにさらに設定され、前記交互に並べられた媒体シートには、交互に並べられた両面印刷モードで第1の面に画像作成工程を受ける媒体シート及び前記両面印刷モードで第2の面に画像作成工程を受ける媒体シートが含まれる、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記第1のローラの前記表面は、記第1のローラの前記外周の周りに分数ではない数のピッチをさらに含み、各ピッチは媒体シートの長さより処理方向に長い長さを有し、各ピッチの第1の部分は、前記ニップ内で媒体シートだけに係合するように設定され、各ピッチの第2の部分は、前記ニップ内で前記離型剤を載せた表面だけに係合するように設定され、前記ローラの上の第1の各ピッチの前記第1の部分は、前記第1のローラが1回転する間、1枚の媒体シートの前記処理方向の全長に係合するように設定される、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記制御装置は、前記媒体搬送部を操作して、前記第1のローラの前記外周の2分の1より長い処理長さを有する媒体シートを前記ニップに通すようにさらに設定され、前記第1のローラの上の1ピッチの前記第2の部分が前記ニップから出るとき、各媒体シートの先端が前記ニップに入り、前記第1のローラは、1回転する間、前記ニップ内で1枚の媒体シートに係合するように設定された、請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記制御装置は、前記媒体搬送部を操作して、前記第1のローラの前記外周の2分の1より短い処理方向の長さを有する媒体シートを前記ニップに通すようにさらに設定され、前記第1のローラの上の2つのピッチのうちの1方の前記第2の部分が前記ニップから出るとき、各媒体シートの先端が前記ニップに入り、前記第1のローラは、1回転する間、前記ニップ内で2枚の媒体シートに係合するよう設定された、請求項8に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2013−78948(P2013−78948A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209097(P2012−209097)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】