説明

インクジェットヘッドおよびそれを用いた記録装置

【課題】加熱部の形成容易に行えると共に共通流路内のインクを効率的に加熱するインクジェットヘッドおよびそれを用いた記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくともインクを吐出するノズルと、ノズルからインクを吐出する圧力を発生する圧力室と、圧力室に繋がり圧力室にインクを供給する共通流路10A、10Bと、圧力室のノズルとは反対側の開口部を覆うように形成された下部電極と、下部電極に積層された圧電体13と、下部電極および圧電体13を挟んで圧力室に対向するように圧電体13に積層された上部電極11と、共通流路10A、10Bを加熱するように上部電極11と同一の層として同一の材料により設けられた加熱部2A、2Bと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度インクを吐出するインクジェットヘッドおよびそれを用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピエゾ(圧電)方式のインクジェット記録は機械的な強い力でインクを吐出させるため、インクの選択肢が広く産業用に広く利用されている。しかしながらUVインク等の粘度の高いインクを使用するためには、インクを加熱し粘度を下げる必要がある。
【0003】
この目的を達成するため、加圧室上に設けられた圧電素子に電圧を印加することにより、加圧室の一方に設けられ加圧室に連通ずるノズルからインク滴を噴出し、加圧室の反射端からインクを供給するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッドにおいて、インク通路となる流路パターンを形成したシートに、発熱体とサーミスタを取り付けたシートを積層した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、電極とは別の材料を用い、発熱体を形成する工程を設けることに対し、インクジェットヘッドのピエゾ素子駆動用ベース電極膜を発熱体とし、発熱体を新たに形成する工程を設けなくとも、ピエゾ素子駆動用ベース電極膜に周囲温度に応じた電流を流してヘッド内のインクを加熱することにより、インクの粘度を一定に保ち印字画質を向上させる提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平1−229639号公報
【特許文献2】特開昭56−105970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のインク通路となる流路パターンを形成したシートに、発熱体とサーミスタを取り付けたシートを積層する従来の技術においては、以下のような問題が生ずる。即ち、発熱体を形成するために電極とは異なる発熱体材料を用い、これをシート状に加工・形成する工程が新たに必要になる。
【0006】
更に、上述のピエゾ素子駆動用ベース電極膜を発熱体とする技術においては、以下のような問題が生ずる。即ちピエゾ素子駆動用ベース電極膜を発熱体とすると、吐出動作時はピエゾ素子駆動用ベース電極膜を発熱体として機能させることができない。更に、ピエゾ素子駆動用ベース電極膜の一端をアース電位としてピエゾ素子駆動電圧パルスを印加するためピエゾ素子の位置とピエゾ素子駆動用ベース電極膜のアース電位部間の距離がピエゾ素子毎に異なる。
【0007】
即ち、従来の技術はインク通路を過熱するために電極とは異なる材料の高抵抗部材を用いるため、電極を形成する工程と高抵抗部材を設ける工程を別々に行わなければならないという問題が生じる。
【0008】
また、発熱体とピエゾ素子駆動用ベース電極を同一部材で兼用するためインクジェットヘッドの吐出動作時には加熱動作を行えないという問題が生じる。
【0009】
また、発熱体を効率良く形成するには発熱体の断面積を小さく(細く)、長さを長くすることが有効であるが、ピエゾ素子駆動用ベース電極を発熱体とするとため発熱体が広い面積となり、ピエゾ素子駆動用ベース電極の比抵抗値を高くする必要が生じ、ピエゾ素子を効率良く駆動できない可能性がある。更に、ピエゾ素子駆動用ベース電極膜は抵抗体として機能させるため一端でアース電位に繋がれており、ピエゾ素子とピエゾ素子駆動用ベース電極膜のアース電位部間の距離がピエゾ素子毎に異なるためピエゾ素子に印加される電圧に差を生じ、複数のピエゾ素子を動作させる場合均一な駆動ができないという新しい問題が生じる。
【0010】
本発明は、係る問題点に鑑みて為されたものであり、加熱部の形成が電極の形成と同時に容易に行え、共通流路、圧力室内のインクを効率良く暖めることが可能で、薄型化、小型化が容易な、しかも、インクジェットヘッドを水滴から保護することが可能なインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくともインクを吐出するノズルと、ノズルからインクを吐出する圧力を発生する圧力室と、圧力室に繋がり圧力室にインクを供給する共通流路と、圧力室のノズルとは反対側の開口部を覆うように形成された下部電極と、下部電極に積層された圧電体と、下部電極および圧電体を挟んで圧力室に対向するように圧電体に積層された上部電極と、共通流路を加熱するように上部電極と同一の層として同一の材料により設けられた加熱部と、を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るインクジェットヘッドによれば、加熱部の形成が電極の形成と同時に容易に行え、共通流路、圧力室内のインクを効率よく暖めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の態様に係るインクジェットヘッドは、少なくともインクを吐出するノズルと、ノズルからインクを吐出する圧力を発生する圧力室と、圧力室に繋がり圧力室にインクを供給する共通流路と、圧力室のノズルとは反対側の開口部を覆うように形成された下部電極と、下部電極に積層された圧電体と、下部電極およびおよび圧電体を挟んで圧力室に対向するように圧電体に積層された上部電極と、共通流路を加熱するように上部電極と同一の層として同一の材料により設けられた加熱部と、を備えたものである。
【0014】
これによれば、上部電極と加熱部が同一の材料で同一の層として成膜するので、上部電極をエッチングでパターン形成するのと同時に、同じマスクパターン上に加熱部のエッチングパターンを加えてパターン形成することができるので、新たに加熱部を形成する工程を設けないで製作することができ、しかもエッチングを用いるため高密度で共通流路の近傍に設けることが可能となる。
【0015】
更に、上部電極と加熱部はそれぞれ独立した機能を持つためインクジェットヘッドの吐出動作中であっても、圧力室を加熱すると共に共通流路を加熱して圧力室に供給されるインクを効率良く加熱することができる。
【0016】
本発明の第2の態様に係るインクジェットヘッドは、圧力室が所定の方向にひとつまたは複数の列をなして設けられ、ひとつまたは複数の列のそれぞれに沿って共通流路が設けられたものである。
【0017】
これによれば、共通流路が複数設けられるインクジェットヘッドにおいても、それぞれの共通流路に加熱部を設けて加熱することが可能となり、効率良く短時間でインクジェットヘッドの共通流路内にある全インクを加熱できる。
【0018】
本発明の第3の態様に係るインクジェットヘッドは、圧電体が圧力室および共通流路の一部または全部を覆うように設けられ、加熱部が圧電体上に設けられたものである。
【0019】
これによれば、加熱部が圧電体上に形成されるため、上部電極と同じ材料で同時に形成する場合に、同一の層として容易に成膜することが可能になり、インクジェットヘッドの製造コストをアップさせることなく加熱部を設けることができる。
【0020】
本発明の第4の態様に係るインクジェットヘッドは、加熱部が非直線部または曲線部を備えているものである。
【0021】
これによれば、加熱部を細くして狭い領域に折り返し形状として高密度に形成することができインクジェットヘッド上部の圧力室近傍および共通流路上部の狭い領域を効率良く加熱できる。
【0022】
本発明の第5の態様に係るインクジェットヘッドは、加熱部の長さが共通流路の長さよりも長いものである。
【0023】
これによれば、加熱部で共通流路長の全体を加熱できると共に加熱部を長くすることにより加熱部の総発熱量を多くして効率良く共通流路を加熱できる。
【0024】
本発明の第6の態様に係るインクジェットヘッドは、加熱部が発熱量の異なる複数の加熱部からなるものである。
【0025】
これによれば、加熱部を複数設け、インクジェットヘッドの温度に応じて発熱量の異なる加熱部を選択的に動作させ、共通流路を効率良く、高精度に加熱することができる。
【0026】
本発明の第7の態様に係るインクジェットヘッドは、発熱量の異なる複数の加熱部の幅または長さが異なるものである。
【0027】
これによれば、加熱部を形成するパターンの幅および長さを変えることにより発熱量の異なる加熱部を複数形成でき、容易に上部電極と同一の材料で上部電極と同時に発熱量の異なる加熱部を形成することができる。
【0028】
本発明の第8の態様に係るインクジェットヘッドは、上部電極および加熱部が白金族の金属を含む材料であるものである。
【0029】
これによれば、白金族または白金族を含む材料は、結晶に格子定数が圧電体層の格子定数に近く圧電体層の形成が容易であり、また化学的に安定であり、融点が高いと共に、比抵抗が高く容易に微細なパターンで加熱部を形成することができる。
【0030】
本発明の第9の態様に係るインクジェットヘッドは、白金族が白金またはイリジウムである。
【0031】
これによれば、上部電極として白金またはイリジウムを用いると上部電極上に形成される圧電体の圧電特性がより高くなり、更に、比抵抗が温度係数をもち電気抵抗が温度により変化するため、加熱部の抵抗値を検出して温度を測定することができ、新たに温度検出センサを設ける必要を無くすことができる。
【0032】
本発明の第10の態様に係るインクジェットヘッドは、白金族を含む材料が白金族とチタンの合金であるものである。
【0033】
これによれば、上部電極および加熱部を白金族とチタンの合金とするので、チタンを含む合金とすることにより耐腐食性が向上し、長期間にわたり安定した動作を保障することができる。
【0034】
本発明の第11の態様に係るインクジェットヘッドは、白金族とチタン合金が白金‐チタンまたはイリジウム‐チタンを含むものである。
【0035】
これによれば、上部電極および加熱部を白金‐チタンまたはイリジウム‐チタンを含むものとするので、シリコン(Si)を成膜用基板とした場合に上部電極および加熱部を形成する膜を成膜する時にチタンが膜界面に析出するため密着性が向上し、新たに密着層を用いないで上部電極層を成膜することができる。
【0036】
本発明の第12の態様に係るインクジェットヘッドは、少なくとも共通流路、加熱部を取り囲むヘッドケースを備え、電気的絶縁性を有する流体が加熱部を覆うようにヘッドケース内に注入されているものである。
【0037】
これによれば、加熱部を含むインクジェットヘッド上面をヘッドケースに入れられた電気的絶縁性を有する流体が覆うので、加熱部で加熱された絶縁性液体が対流等で均一になり、絶縁性液体が触れるインクジェットヘッドの上面を隈なく加温し、共通流路の上部全体を均一に加熱すると共に共通流路以外のインクジェットヘッド内に存在するインクも過熱でき良好なインク吐出を実現することができる。
【0038】
本発明の第13の態様に係るインクジェットヘッドは、電気的絶縁性を有する流体が乾燥空気と共に前記ヘッドケースに密閉されているものである。
【0039】
これによれば、インクジェットヘッド上面を電気的絶縁性を有する流体が覆い、更に電気的絶縁性を有する流体の上部に形成される区間を乾燥空気が占めるため、インクジェットヘッド上部に水滴が進入することを防止できる。
【0040】
本発明の第14の態様に係るインクジェットヘッドは、電気的絶縁性を有する流体がフッ素系不活性液体であるものである。
【0041】
これによれば、インクジェットヘッドの上面を覆う電気的絶縁性を有する流体がフッ素系不活性液体であるので、絶縁性に優れ熱伝導性が良く、短時間でインクジェット上面を均一な温度に加温することができる。
【0042】
本発明の第15の態様に係るインクジェットヘッドは、電気的絶縁性を有する流体の比重が水の比重よりも大きいものである。
【0043】
これによれば、電気的絶縁性を有する流体の比重が水よりも大きいため、仮に水滴がインクジェットヘッド上面に混入しても電気的絶縁性を有する液体が水の下部に沈むため、インクジェットヘッド上面に水が達することを防止することができる。
【0044】
本発明の第16の態様に係る記録装置は請求項1から請求項15のいずれかに記載のひとつまたは複数のインクジェットヘッドと、画像が形成される記録媒体と、ひとつまたは複数のインクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させる搬送手段と、ひとつまたは複数のインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給手段と、ひとつまたは複数のインクジェットヘッドを駆動する駆動手段と、ひとつまたはインクジェットヘッドの温度を検出しインクを過熱する加熱部の発熱を制御する温度制御手段と、を備えたものである。
【0045】
これによれば、インクジェットヘッドの温度を検出し加熱部の発熱を制御することでインクジェットヘッドに供給されるインクを吐出に最適な粘性になるように加熱することができ、高粘度のインクを用いて安定して記録することができる。
【0046】
本発明の第17の態様に係る記録装置はひとつまたは複数のインクジェットヘッドのそれぞれに異なる色のインクが供給されるものである。
【0047】
これによれば、複数の色が供給されたインクジェットヘッドで一度に異なる色のインクにより画像を形成することができる。
【0048】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの構成を示す平面図、図2は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのA−A’断面図である。図1、図2において1はインクジェットヘッド、2a、2bは白金(Pt)等の抵抗発熱体からなる加熱部、3は図示されていないインクタンクからインクを供給するパイプが接続されるパイプ接合部、4はインク中の凝集物等を除去するフィルタ、5a、5bは温度検出を行うサーミスタ、6は圧力室、7はインク流路、8はノズル、9はインク供給口、10a、10bはインクが供給される共通流路、11は上部電極、12aは図示しない駆動回路に繋がれ駆動電圧を受け取るパッド部、12bは上部電極11とパッド部12aをつなぐリード、13は圧電体、14は絶縁層、15は下部電極、16は振動板、17は中間層、18は接着剤、19は圧力室7が形成されている圧力室部材、20はインク流路7、インク供給口9および共通流路10a、10bが形成されているインク流路部材、21はノズル9が形成されているノズル板、22(図1において点線で囲まれた部分)は上部電極11、圧電体13、下部電極15、振動板16が積層され湾曲することによりインクを吐出する圧力を発生するアクチュエータである。
【0050】
以上のように構成されたインクジェットヘッド1は平板状の圧力室部材19の内部に圧力室部材19の長辺方向に沿って2列に千鳥状に所定の間隔で配列された長方形の圧力室6が設けられている。インク流路部材20にはインク流路7およびインクが供給されている共通流路10a、10bが設けけられており、圧力室部材19の各圧力室6と共通流路10a、10bは圧力室部材19に設けられたインク供給口9で繋がっている。
【0051】
更に、圧力室部材19には各圧力室6を覆うように(或いは塞ぐように)振動板16が設けられ、更に、振動板16上には下部電極15および圧電体13が順に積層され、更に、圧電体13上に各圧力室6の開口部に対応するように上部電極11が設けられ、上部電極11からはリード12bが延伸されパッド部12aに繋がっており、更に、圧電体13には共通流路10a、10bの上方に加熱部2a、2bが積層されている。また、圧力室部材19の下部電極15が設けられる面と反対側の面には、後述するように、ノズル8が設けられたノズル板21が設けられ、ノズル8はインク流路7で圧力室6に連通している。
【0052】
次に、インクジェットヘッド1の要部および動作を説明する。
【0053】
図3は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの要部の拡大図である。図3において、13aはアクチュエータ22を構成する圧電体13の圧力室6の上方部分に対応する圧電体能動部である。この圧電体能動部13aを覆うように上部電極11が形成されている。23は圧電体13を圧力室6の上方開口縁部とオーバーラップするように、所定幅で下部電極15の深さまで、即ち下部電極15の表面に到達する深さまでエッチング等により除去した溝部である。
【0054】
この溝部23は、図1からわかるようにリード12bの取り出し部を避け上部電極11の周囲を取り囲むように設けられている。即ちこの溝部23によって、圧電体13は上部電極11と下部電極15を備える圧電体能動部13aと、下部電極15は備えるが、上部電極11が設けられない部分に分断され、圧力室6上部の平面領域内にアクチュエータ22として機能する長方形の圧電体能動部13aを形成する。
【0055】
但し、溝部23は圧力室6における上方開口部の縁部の全領域にわたって設けられているわけではない。即ち、上部電極11から延伸するリード12bが配置された領域には溝部23は設けられていない。圧電体13の溝部23が設けられていない領域は、実質的に圧電体素子として機能しない非能動領域である。
【0056】
また、溝部23の深さは、少なくとも、下部電極15の表面に到達する深さに設けられていれば良く、また下部電極15の内部にまで及ぶ深さであってもよい。また、振動板16によって、上部電極11側へのインクの浸透等を防ぐことが可能であれば、溝部23は下部電極15を越えて圧電体13を除去しても支障は起こらない。即ち、このとき溝部23は下電極15を貫通し、振動板16に到達する深さに構成されている。
【0057】
なお、下部電極15と振動板16はひとつの導電性部材(例えばCrをスパッタリング法により形成する)によって兼用することができる。この場合、上述した溝部23は、開口部の縁部とオーバーラップする領域に、この導電性部材の表面まで到達する深さで設けられることとなる。
【0058】
このように、圧電体13に溝部23を設けることにより圧電体能動部13aは上部電極11と下部電極15間に電界が与えられた場合に周囲に束縛されることなく自由に歪むことができ効率良くアクチュエータ22が動作できる。
【0059】
なお、図3では説明を簡単にするため絶縁層15、中間層18、接着剤19は省略してある。また、上述の上部電極11、圧電体13、下部電極15は後述するようにスパッタリング法によって積層体として形成される。
【0060】
次に、本発明のインクジェットヘッド1の製造方法を図4から図9で説明する。
【0061】
図4は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのアクチュエータ部材を示す図、図5は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの圧力室部材を示す図、図6は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのインク流路部材を示す図、図7は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのノズル板を示す図、図8は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのアクチュエータ部材と圧力室部材の接着工程を示す説明図、図9は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの上部電極および加熱部の形成工程およびインク流路部材とノズル板の接着工程を示す説明図である。
【0062】
図4から図7において24は上部電極11、圧電体13、下部電極15、振動板16からなるアクチュエータ22および加熱部2a、2bが形成されたアクチュエータ部材、図5は圧力室6が形成された圧力室部材19、図6はインク流路7、インク供給口9、共通流路10a、10bが形成されたインク流路部材20、図7はノズル7が形成されたノズル板21を示し、インクジェットヘッド1はアクチュエータ部材24、圧力室部材19、インク流路部材20、ノズル板21を順次積層することにより行われる。
【0063】
更に、詳しく、図8、図9を参照して、インクジェットヘッド1の製造方法を説明する。
【0064】
図8(a)〜(c)は、本発明のインクジェットヘッド1のアクチュエータ部材24の積層工程を示す説明図、図8(d)、(e)は、本発明のインクジェットヘッド1のアクチュエータ部材24と圧力室部材19の接着工程を示す説明図、図9(a)、(b)は上部電極11および加熱部2a、2bの形成工程を示す説明図である。図9(c)〜(e)はインク流路部材20とノズル板21の接着工程を示す説明図である。
【0065】
図4に示したアクチュエータ部材24を作製するために、図8(a)に示すように、成膜用基板101(図3または図4に示すアクチュエータ22が形成された後に除去される)上に順に、密着層102(成膜用基板101同様アクチュエータ22が形成された後に除去される)、上部電極層103(図2における上部電極11と加熱部2a、2bを形成する層)、圧電体層104(図2における圧電体13に相当)、絶縁体層105を順に積層形成する。この説明において積層順が理解しやすいように、図2に示すインクジェットヘッド1の積層順とは上下が逆になっている。
【0066】
成膜用基板101は、シリコン(Si)基板であるが、この成膜用基板101は、Si基板に限られるものではなく、ガラス基板、金属基板またはセラミックス基板を用いてもよい。
【0067】
密着層102は、チタン(Ti)ターゲットを用い、成膜用基板101を400℃に加熱しながら100Wの高周波電力を印加し、1Paのアルゴンガス中で1分間成膜することにより得られる。
【0068】
この条件において、密着層102の膜厚は0.02μmとなる。なお、密着層102の素材は、Tiに限られず、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)またはクロム(Cr)、もしくは、それら(Tiを含む)の化合物であってもよい。
【0069】
また、膜厚は、0.005μm〜0.2μmの範囲であればよい。密着層102は、成膜用基板101と上部電極層103との密着性を高めるために、成膜用基板101と上部電極層103との間に形成するものであり、これらの間の密着性が高いのであれば必ずしも密着層102を形成する必要はない。密着層102は、後述するように、成膜用基板101と同様に除去される。
【0070】
上部電極層103は、白金(Pt)ターゲットを用い、成膜用基板101を600℃に加熱しながら、1Paのアルゴンガス中で、200Wの高周波電力で12分間成膜することにより得られる。この条件において、上部電極層103の膜厚は0.2μmとなり、結晶方位の面指数(111)面に配向する。なお、上部電極層103の素材は、Pt(白金)、イリジウム(Ir)、パラジウムおよびルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種の貴金属、もしくは、それらの化合物であってもよい。
【0071】
更に、チタン(Ti)等を混ぜて合金を成膜しても良い。また、膜厚は、0.05μm〜2μmの範囲であればよい。このように上部電極層103の素材はPt、Ir、パラジウムおよびルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種の貴金属、もしくは、それらの化合物を用いることにより、結晶の格子定数が後述する圧電体層104の格子定数に近く、圧電体層104が結晶成長するための下地的な役割を果たすことができる。
【0072】
更に、上部電極層103をPt、Ir、パラジウムおよびルテニウムの群から選ばれた少なくとも1種の貴金属、もしくは、それらの化合物で形成することにより、後の工程でこの上部電極層103からエッチングにより形成される加熱部2a、2bの比抵抗が高くなり、またこれらの材料は熱に対して酸化・還元が起りにくく安定しているため、ヒーター材料として適している。
【0073】
圧電体層104は、多元スパッタリング装置を用いてジルコンチタン酸鉛(PZT)等の圧電性セラミックにより形成する。例えばターゲットには、化学量論組成よりPb量の多いPZT(Zr/Ti=53/47、Pbが20モル%過剰)の焼結体ターゲットを用いる。真空中で予めヒーターにより成膜用基板101の加熱を行い、成膜用基板101の温度580℃で、アルゴンと酸素の混合雰囲気中(ガス体積比Ar:O2=15:5)において、真空度0.3Pa、高周波電力250Wの条件で180分間成膜することにより、3μmの膜厚を堆積させる。
【0074】
なお、圧電体層104のZr/Ti組成は、Zr/Ti=30/70〜70/30であれば良く、膜厚は、1〜5μmの範囲であればよい。また、圧電体の素材としては、PZTにLa、Sr、Nb、Al等の添加物を添加したもの等、PZTを主成分とする圧電材料を用いても良く、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)やマグネシウムチタン酸鉛(PZN)であってもよい。
【0075】
圧電体層104は、上述したスパッタリング条件で作成したものを、断面SEM観察を行うと、結晶粒が柱状構造を有しており、その柱状粒子径は、0.2μmであった。
【0076】
なお、圧電体層104が形成される上部電極層103の素材は、PtまたはIrを用いれば圧電体層104の結晶性が特に良くなり、圧電特性が高くなる効果がある。
【0077】
更に、圧電体層104上には絶縁層105(図2の絶縁層14に相当)が形成される。絶縁層105は、上部電極103a、パッド部103c(図1のパッド部12aに相当)、リード103d(図1のリード12bに相当)と圧電体層104の絶縁を確実にするためのもので、感光性ポリイミド樹脂をスピンコート法により塗布し、成膜後図8(b)に示すように上部電極103a、パッド部103c、リード103dを覆うようにマスクパターンを作成し露光後不要部を除去して所定形状にパターン化した後、所定温度により焼成、硬化させる。他の方法として、SiO2等の無機材料をスパッタリング法により成膜後パターン化することも可能である。
【0078】
次に、図8(c)に示すように絶縁層105上に、下部電極層106(図2の下部電極15に相当)、振動板107(図2の振動板16に相当)をスパッタリング法により成膜し順次積層する。
【0079】
下部電極層106は、Ptターゲットを用い、室温において1Paのアルゴンガス中、200Wの高周波電力で10分間成膜することにより得られる。
【0080】
この条件において、下部電極層106の膜厚は、0.2μmとなる。なお、層状の下部電極層106の素材は、Ptに限られず、導電性素材であれば良く、膜厚は、0.1μm〜0.4μmの範囲であればよい。
【0081】
振動板107の素材はCrであり、Crターゲットを用い、室温において1Paのアルゴンガス中、200Wの高周波電力で6時間成膜することにより得られる。
【0082】
この条件において、振動板107の膜厚は3.0μmとなる。振動板107の素材は、Crに限られず、Ni、Al、Ta、タングステン(W)、Siもしくはこれらの酸化物または窒化物(例えば、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化シリコン)等であってもよい。また、振動板107の膜厚は、1μm〜10μmであればよい。
【0083】
なお、上述したスパッタリング条件により、振動板107は圧縮応力を付与した状態で形成される。振動板107上には次に中間層108が成膜される。
【0084】
次に、図8(d)に示す圧力室部材109(図2の圧力室部材19に相当)を形成する。具体的には、Si基板を用いてまず、Si基板に対し、千鳥状に配列された複数の圧力室110(図2の圧力室6に相当)に対応する形状をパターンニングする。次に、パターンニングされたSi基板を、ケミカルエッチングまたはドライエッチング等でエッチング加工し、長手方向に複数の圧力室110を千鳥状に配列した圧力室部材109が得られる。
【0085】
次に、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109とを接着剤を用いて接着するために、圧力室部材109に対する接着面としての圧力室110の区画壁および周壁の上面に、接着剤111を電着により付着させる。
【0086】
具体的には、図示はしないが、圧力室110の区画壁および周壁の上面に、下地電極膜として、光が透過する程度に薄い数百ÅのNi薄膜をスパッタリング法により形成し、次に、このNi薄膜上に、パターンニングされた樹脂接着層を形成する。電着液としては、アクリル樹脂系水分散液に0〜50重量部の純水を加えて良く攪拌混合した溶液を用いる。Ni薄膜の膜厚を光が透過するほど薄くするのは、Si基板(圧力室部材109)に樹脂接着剤が完全に付着したことを容易に視認できるようにするためである。実験によれば電着条件は、液温約25℃、直流電圧30V、通電時間60秒が好適であり、この条件下で約3〜10μmのアクリル樹脂を、Si基板(圧力室部材109)のNi薄膜上に電着させることができた。
【0087】
図8(e)は、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109との接着工程を示す説明図である。
【0088】
図8(e)に示すように、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109とを、圧力室部材109に電着された接着剤111と成膜用基板101に成膜された中間層108を接着面として接着する。成膜後の成膜用基板101を貼り付けた後、圧力室部材109を成膜用基板101側に押圧して密着させ、接着部の液密性を高める。
【0089】
更に、接着した成膜用基板101および圧力室部材109を加熱炉内で徐々に加熱昇温し、接着剤110を完全に硬化させる。硬化後、プラズマ処理を行い、接着部からはみ出た接着剤を除去する。
【0090】
なお、上記では、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109とを接着したが、圧力室110を形成する前の段階で、Si基板(圧力室部材用)を成膜後の成膜用基板101に接着し、その後圧力室を形成するようにしてもよい。
【0091】
また、成膜用基板101に対し順に、上部電極層103以下の膜を積層し、積層後、成膜用の基板を除去し、圧力室部材109と接着したが、圧力室部材109の上に振動板107を形成し、順に、下部電極層106、絶縁体層105、圧電体層104、上部電極層103を成膜してもよい。また、絶縁体層105は、圧電体層104と上部電極層103の間に形成してもよい。更に、既に述べたように振動板107を導電性材料で形成することにより振動板107と下部電極層106を1枚の部材で形成することも可能である。
【0092】
図9(a)は、圧力室110を形成する縦壁の形成工程および成膜用基板101と密着層の除去工程を示す説明図である。図9(a)に示すように、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109が接着された状態で、圧力室部材109の各区画壁および周壁(圧力室110の周辺部材)をマスクとして、成膜後の成膜用基板101側の中間層108をエッチングし、各区画壁および周壁に連続する縦壁形状に仕上げる。
【0093】
図9(b)は、成膜後の成膜用基板101と圧力室部材109を接着した後、成膜用基板101と密着層102を除去し、上部電極層103を上部電極103a(図2の上部電極11)と加熱部103b(図2の加熱部2a、2b)に個別化し、圧電体層104を図2の圧電体能動部13aに対応させて個別化する工程を示す図である。最初に、成膜用基板101および密着層102をエッチングにより全面的に除去する。
【0094】
次に、上部電極層103を上部電極103a、加熱部103b、パッド部103cおよびリード103dに成型するため、上部電極層103を上部電極103a、加熱部103b、パッド部103cおよびリード103dの形状になるように、感光性樹脂を塗布し、不要部を除去してパターンニングした後エッチングし、後述する圧力室部材109の各圧力室110の上方に形成される各圧電体能動部13aに対応するように個別化された上部電極103aを形成すると同時に、各上部電極103aから延長されるリード103d、パッド部103cおよび加熱部103bを上部電極層103から所定形状に形成する。
【0095】
即ち加熱部103bは上部電極103aと同じ材料、同じ層から形成されるが、パターン幅を狭くしパターン長を長くすることにより発熱体として形成される。加熱部103bの形状は必要とする発熱量と印加電圧から材料の比抵抗と断面積および長さにより任意に決められるものである。但し、本願のインクジェットヘッド1の場合には最も多量のインクが滞留している共通流路114a、114bを集中的に加熱すると効果的であるため、共通流路114a、114b直上の狭い範囲に細いパターンを高密度で設けることが効率的である。
【0096】
続いて、圧電体層104の個別化工程を行う。圧電体層104が圧力室110と対応した複数の圧電体能動部13aの形状になるように、感光性樹脂を塗布、不要部を除去してパターンニングし、ドライエッチングにより溝部112(図3における溝部23に相当)を設ける。既に説明したように、溝部112は下部電極層106に到達する深さまで形成される。圧電体能動部13aは、圧力室の平面領域内に形成され、各上部電極103aおよび各圧電体能動部13aの中心が、対応する各圧力室の中心に高精度で一致するように形成される。
【0097】
なお、エッチングによる溝部112の断面形状は、上部電極103a側の開口部が広く、下部電極層106側に向かってわずかに狭くなる略台形状となっている。また、エッチングは、ドライエッチングとしたが、ウェットエッチングでもよい。以上のようにして、上部電極および圧電体を圧力室毎に個別化してアクチュエータ部材24を形成する。なお、上記方法では、接着により圧力室部材109を形成したが、振動板107形成後に、Niメッキ等により、振動板107上に直接、圧力室部材109を形成してもよい。
【0098】
図9(c)、(d)は、共通流路114a、114b(図2の共通流路10a、10bに相当)、インク供給口115(図2のインク供給口9に相当)、インク流路116(図2のインク流路7に相当)が形成されたインク流路部材113(図2におけるインク流路部材20に相当)およびノズル118(図2のノズル8に相当)が形成されたノズル板117(図2におけるノズル板21に相当)を示す図、図9(e)は、本発明のインクジェットヘッド1の完成した状態を示す図である。
【0099】
インク流路部材113には、図9(c)に示すように、共通流路114、インク供給口115およびインク流路116を積層或いは研削等の既存の技術で形成すると共に、ノズル板117には図9(c)に示すようにレーザー加工等で精密な形状で縁部が精度良く加工されたノズル118を形成する。
【0100】
次に、インク流路部材113とノズル板117とをインク流路部材113のインク流路116とノズル板117のノズル118のアライメント調整を行って接着剤により接着する。最後に、各種成膜部材が接着された圧力室部材109の下面またはインク流路部材113の上面に接着剤(図示せず)を転写し、圧力室部材109とインク流路部材113とのアライメント調整を行い、両者を接着剤により接着する。
【0101】
最後に共通流路114のおおむね上方で共通流路114長の中間近傍に温度検出用のサーミスタ6a、6b(図1に図示しているが図9には図示せず)を設ける。但し、加熱部103a、103bの材料として白金等の抵抗値が温度特性を持つ材料を用いた場合には加熱部103a、103bに印加する電圧と流れる電流を検出して抵抗値を算出することにより共通流路114近傍の温度を検出して温度制御を行うことができ、サーミスタ6a、6bを無くすことができる。
【0102】
上述の工程を行うことにより、図9(e)に示すように、圧力室部材109、アクチュエータ22、インク流路部材113およびノズル板117を備え、共通流路114および近傍に充填されているインクを効率良く加熱できるインクジェットヘッド1が完成する。
【0103】
以上のようにして製造されたインクジェットヘッド1の動作を図1から図3により説明する。インクジェットヘッド1はパイプ接続部3、フィルタ4を通じて図1、図2に図示していないインクタンクからパイプ等によりインクが供給される。インクジェットヘッド1に供給されたインクは供給流路10a、10bに流入し、インク供給口9を通って圧力室6、インク流路7を満たす。このとき圧力室6、インク流路7内のインクに気泡の混入が生じないよう注意深く行われると共に、図示していないクリーニング装置でノズル8、インク流路7を介してインクの吸引が行われ、圧力室6、インク流路7内に誤って混入した気泡は除去される。
【0104】
更に、ノズル8の周辺に付着するゴミ等を除去するために前述の図示していないクリーニング装置でノズル8およびノズル板21の表面を拭取る等の動作でクリーニングする。更に、インク吐出動作を開始する前に、圧力室6、共通流路10a、10bに流入したインクを吐出に最適な粘度に加熱するため、インクジェットヘッド1に設けられた加熱部2a、2bを図示していない駆動回路により通電する。通電により発熱した加熱部2a、2bの熱は熱伝導により加熱部2a、2bの下部に位置する共通流路10a、10bを加熱し、共通流路10a、10b内のインクが加熱されインクの粘度が低下する。
【0105】
更に、加熱部2a、2bの熱は熱伝導により圧力室6内のインクも加熱しインクの粘度を低下させ最適な粘度にする。共通流路10a、10b内と圧力室6内のインクが吐出に最適な温度(つまり最適な粘度)になるサーミスタ5a、5bの検出温度は予め求められており、サーミスタ5a、5bの検出温度に従って共通流路10a、10b内と圧力室6内のインクが吐出に最適な温度になるように加熱部2a、2bの駆動回路をオン/オフ制御する。 共通流路10a、10b内と圧力室6内のインクが吐出に最適な温度になると、インクジェットヘッド1はインク吐出動作を開始する。
【0106】
インク吐出動作が始まるとアクチュエータ22は下部電極15と上部電極11間にパッド部12aおよびリード12bを通じて図示していない回路および配線により駆動電圧パルスが印加され、下部電極15と上部電極11間に挟まれた圧電体13に圧電効果により歪みを生じる。このとき圧電体13には溝部23があるため圧電体13の圧電体能動部13aは周囲の圧電体13の影響を受けることなく効率良く歪み、この歪みにより圧電体能動部13aに接着されている下部電極15および振動板16(下部電極15に接着されている)を圧力室6側に湾曲させる。下部電極15および振動板16の湾曲により圧力室6内の体積が減少し、圧力室6内のインクは流路抵抗の小さいインク流路7を通ってノズル8(図2参照)から吐出する。
【0107】
なお、アクチュエータ22を構成する上部電極11と加熱部2a、2bは同一の層として同一の材料から形成されているがそれぞれ独立に駆動回路に接続されているため、インクの吐出動作中も、連続して加熱部2a、2bを制御して、インクの吐出が行われるため、インクの吐出に伴い新たに共通流路10a、10bに流入してくる温度の低いインクを最適な温度(つまり最適な粘度)に制御し、安定した記録動作が可能となる。
【0108】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図10を参照して詳細に説明する。
【0109】
図10の実施の形態2が図1の実施の形態1と異なるのは図1では加熱部2a、2bがそれぞれ共通流路10a、10bに沿ってそれぞれ一個設けられているのに対して、図10では共通流路10a、10bに沿って加熱部2a、2bに加えて発熱容量の異なる加熱部25a、25bが設けられている点である。具体的には加熱部25a、25bは直線状にして比較した長さが加熱部2a、2bよりも短く、そのため発熱容量が加熱部2a、2bより少ない。更に、加熱部25a、25bは共通流路10a、10bも直情から少し離れた位置に設けられている。
【0110】
インクジェットヘッド1の動作開始時或いは周囲温度が低い場合のように短時間で共通流路10a、10b内のインクを加熱する必要があるときには加熱部2a、2bおよび加熱部25a、25bを同時に作動させる。そうして共通流路10a、10b内のインクが所定の温度に加熱されるとそれ以後共通流路10a、10b内のインクの温度が一定範囲内に制御されるようにサーミスタ5a、5bで共通流路10a、10b近傍の温度を監視し、加熱部2a、2bおよび加熱部25a、25bをサーミスタ5a、5bで検出される温度変化の程度に応じて選択的に作動させ共通流路10a、10b内のインクの温度変化ができるだけ小さくなるように制御する。
【0111】
例えば周囲温度が高く共通流路10a、10b内に流入してくるインクの温度が高くサーミスタ5a、5bで検出される温度変化が小さい場合は発熱量の小さな加熱部25a、25bを断続的に作動させ、周囲温度が低く共通流路10a、10b内に流入してくるインクの温度が低くサーミスタ5a、5bで検出される温度変化が大きい場合には発熱量の大きな加熱部2a、2bを断続的に作動させる等の周囲環境に合わせた効果的な加熱を行う。
【0112】
なお、図10では加熱部25a、25bが共通流路10a、10bから少し離れた位置に設けられているが、共通流路10a、10bの直上であっても良く、熱伝導で共通流路10a、10b近傍を過熱できる位置であればどこでも良くまた形状についても直線、曲線いずれでも良い。
【0113】
(実施の形態3)
更に、本発明の実施の形態3について、図面を参照して詳細に説明する。
【0114】
図11、図12はインクジェットヘッド1のインクの温度制御をより効率良く均一に行うものである。図11、図12において1は実施の形態1または実施の形態2で説明したインクジェットヘッド(細部の形状は省略してある)、121は底部にインクジェットヘッド1が固定されたヘッドケース、122はケース上板、123は電気的絶縁性を有する液体(以後、絶縁性液体と称する)、124はヘッドケース121に絶縁性液体123を注入する注入口である。ヘッドケース121の底部にはインクジェットヘッド1が底部を密閉する形で固定されている。
【0115】
更に、ヘッドケース121の上部には注入口124を備えたケース上板122が同じく密閉するように取り付けられている。そしてヘッドケース121のインクジェットヘッド1とケース上板122間の空間に注入口124から絶縁性液体123が注入され、インクジェットヘッド1の上面を覆っている。
【0116】
従って、絶縁性液体123はインクジェット1の上面に設けられた加熱部2a、2b或いは加熱部25a、25bに直接接するが絶縁性の液体であるためショート等の電気的トラブルを起さず、加熱部2a、2b或いは加熱部25a、25bにより加熱される。そして絶縁性液体123の温度は対流等により均一になり、絶縁性液体123によりインクジェット1上面全面に亘り均一な温度に温められる。
【0117】
こうすることによりインクジェットヘッド1は加熱部2a、2b或いは加熱部25a、25bにより共通流路10a、10bのインクだけでなくインクジェットヘッド1全体が温められ、共通流路10a、10b近傍のインクだけでなくインクジェットヘッド1の内部にある全インクが効率良く均一な温度となる。更に、加熱部2a、2b、および加熱部25a、25bを覆うようにヘッドケース121内に絶縁性液体123を注入することにより、加熱部2a、2b、および加熱部25a、25bを共通流路10a、10bから離れた位置に設けても、対流および熱伝導で効率的に共通流路10a、10bを加熱することが可能となり、加熱部2a、2b、および加熱部25a、25bを設ける位置に対する制約が少なくなる。
【0118】
なお、本実施の形態3ではヘッドケース121はインクジェットヘッド1全体を覆う形状であるが、インクジェットヘッド1の上部のみを覆う形状であっても良い。つまりインクジェットヘッド1の上面に位置する加熱部2a、2b、および加熱部25a、25bと共通流路10a、10bの直上部を囲む形状であってもよい。
【0119】
但し、この場合ヘッドケース121は加熱部2a、2b、および加熱部25a、25bを覆い、注入されている絶縁性液体123の熱伝導で共通流路10a、10b近傍の部材を加熱できる構造でなければならない。
【0120】
ここでヘッドケース121の注入口124は絶縁性液体123が注入された後密閉されても良い。またヘッドケース121のインクジェットヘッド1とケース上板122間の空間を絶縁性液体123で完全に満たした状態で密閉しても良いし、一部に空気が存在しても良い。ヘッドケース121のインクジェットヘッド1とケース上板122間の空間に空気が存在する場合には乾燥空気を入れて密閉すると、インクジェットヘッド1の温度変化により空間に存在する空気が冷やされ、空気中の水分が結露することにより発生する電気的トラブルを防止できる。
【0121】
一方、ヘッドケース121の注入口124を開放して使用する場合には絶縁性液体123の表面とケース上板122間の空間に温度変化による水分の付着(結露等)が発生する可能性がある。この場合絶縁性液体123の比重を水よりも比重が大きくしておくと、仮に水滴が発生しても絶縁性液体123より下に沈むことがなくインクジェットヘッド1の上面は絶縁性液体123でシールされた状態になり、水分がインクジェットヘッド1の上面に触れないようにできる。
【0122】
なお、ヘッドケース121の注入口124を密閉して使用する場合であっても絶縁性液体123の比重が水より大きくても問題はなく、万が一水分が混入しても電気的ショート等のトラブルを防止できる。このような比重が水よりも大きな絶縁性液体の例としては、住友スリーエム社製、商品名「フロリナート」型名「FC−40」(比重1.85:25℃)、同「FC−48」(比重1.86:25℃)、同{FC−72}(比重1.68:25℃)が挙げられる。
【0123】
最後に本発明の(実施の形態1)または(実施の形態2)で説明したインクジェットヘッドを用いた記録装置について説明する。
【0124】
図13は本発明の(実施の形態1)または(実施の形態2)で説明したインクジェットヘッドを搭載したユニットの概略構成図である。
【0125】
図13において、1は(実施の形態1)または(実施の形態2)で説明したインクジェットヘッド、121はインクジェットヘッド1が数収納されている(実施の形態3)で説明したヘッドケース、125はヘッドケース121が複数配列されたヘッドユニットである。
【0126】
ヘッドユニット125では各ヘッドケース121に取り付けられたインクジェットヘッド1のノズルが補完しあって全記録幅にわたりインクを吐出するノズルが整列されるように、各インクジェットヘッド1はノズルのピッチと記録すべき画像の解像度、記録媒体の搬送速度から、記録媒体の搬送方向に対しで所定の角度で取り付けられている。
【0127】
図14には図13に示したヘッドユニット125を複数用いた記録装置の概略図を示す。
【0128】
図14において、125a、125b、125c、125dはそれぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクが供給されるヘッドユニット、126a、126b、126c、126dはそれぞれブラック、シアン、マゼンタイエローのインクが収納されているインクタンク、127a、127b、127c、127dはそれぞれヘッドユニット125a、125b、125c、125dを駆動するヘッド駆動回路、128は記録媒体、129a、129bは記録媒体128をヘッドユニット125a、125b、125c、125dの下部を通して搬送する搬送ローラA、および搬送ローラB、130a、130bは搬送ローラA129a、搬送ローラB129bを駆動する搬送モータAおよび搬送モータB、131はヘッド駆動回路127a、127b、127c、127dおよび搬送モータA130aおよび搬送モータB130bを制御し画像を形成する制御回路である。
【0129】
更に、図13にはヘッドユニット125a(ヘッドユニット125a、125b、125c、125dは共通の構造をしている)の概略図を示す。
【0130】
以上のように構成された記録装置は記録媒体128への画像形成に先立ちブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクが供給されているヘッドユニット125a、125b、125c、125dの内部に設けた加熱部を制御回路131により制御してヘッドユニット125a、125b、125c、125dに供給されているブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクを吐出に最適な温度に加熱制御する。
【0131】
更に、ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの下部に記録媒体128が供給されていない状態で、各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの下部に設けられた図示していないクリーニングユニットでノズルの詰まり、気泡の除去およびノズルに付着するゴミの除去が行われる。
【0132】
各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dが記録可能な状態になると制御回路131の制御により駆動モータA130a、駆動モータB130bが始動し図示していない駆動ベルト等の伝達手段により駆動ローラA129a、駆動ローラB129bが回転する。駆動ローラA129a、駆動ローラB129bが回転して当初駆動ローラA129aに挟持されていた記録媒体128が各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの下部を通過し駆動ローラB129bに達し、記録動作の準備が終わる。
【0133】
記録媒体128への画像形成は制御回路131の制御により駆動モータA130a、駆動モータB130bが始動し駆動ローラA129a、駆動ローラB129bが回転し、記録媒体128の搬送が開始されると記録がスタートする。各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの各ノズルからブラック、シアン、マゼンタ、イエローに色分解された画像に対応してインクの吐出が行われる。
【0134】
各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの各ノズルからのインク吐出は記録する画素の記録媒体128上の位置と吐出タイミングに合わせて再配列されたデータに基づいて行われる。画像の記録に際してはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各画像の位置合わせを行うため、必要に応じて公知の各種位置合わせ技術を組合せて行うことができる。
【0135】
画像記録を連続して行うことにより各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dにはインクタンク、127a、127b、127c、127dから順次新しいインクが供給され各ヘッドユニット125a、125b、125c、125dの温度が変動するがインクジェットヘッド1に設けられた加熱部2a、2b(図1参照)が上部電極12(図1参照)とは独立に形成されているため、ヘッドユニット125a、125b、125c、125dが吐出動作中でもヘッドユニット125a、125b、125c、125dの温度調整を常時行い、吐出の安定した記録動作を続けることが可能である。
【0136】
なお、本実施の形態3では記録媒体128の全幅にわたりノズルが配列され、ヘッドユニット125a、125b、125c、125dを固定して画像を形成する例を説明したが、狭い幅のヘッドユニットを記録媒体128の搬送方向と直行する方向に往復して移動させる既知のキャリッジ機構と組合せて画像を記録する構成も可能である。
【0137】
更に、本実施の形態3ではヘッドユニットを複数設けてそれぞれ異なる色のインクを供給しカラー画像を形成するようにしたが、単色のインクのみを供給する構成も可能であることは言うまでもない。
【0138】
また、インクジェットヘッドに供給される液体はインクに限らず高粘度の液体で加熱により粘度が低下しインクジェットヘッドでの吐出が可能なものであれば金属微粒子を含む液体、高分子化合物等も用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明に係るインクジェットヘッドおよびそれを用いた記録装置によれば、加熱部の形成が電極の形成と同時に容易に行え、共通流路、圧力室内のインクを効率良く暖めることができ、インクジェットヘッドの製造工程を少なくして安価に製造できると共に、高粘度のインクによる記録が可能となりインクジェット記録技術による産業分野の製造技術にも応用できる等の点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの構成を示す平面図
【図2】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのA−A’断面図
【図3】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの要部の拡大図
【図4】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのアクチュエータ部材を示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの圧力室部材を示す図
【図6】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのインク流路部材を示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのノズル板を示す図
【図8】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのアクチュエータ部材と圧力室部材の接着工程を示す説明図
【図9】本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの上部電極および加熱部の形成工程およびインク流路部材とノズル板の接着工程を示す説明図
【図10】本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッドの構成を示す図
【図11】本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッドの構成を示す図
【図12】本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッドの構成を示す断面図
【図13】本発明のインクジェットヘッドを用いたヘッドユニットの概略図
【図14】本発明のインクジェットヘッドを用いた記録装置の概略図
【符号の説明】
【0141】
1 インクジェットヘッド
2a、2b 加熱部
3 パイプ接続部
4 フィルタ
5a、5b サーミスタ
6 圧力室
7 インク流路
8 ノズル
9 インク供給口
10a、10b 共通流路
11 上部電極
12a パッド部
12b リード
13 圧電体
13a 圧電体能動部
14 絶縁層
15 下部電極
16 振動板
17 中間層
18 接着層
19 圧力室部材
20 インク流路部材
21 ノズル板
22 アクチュエータ
23 溝部
24 アクチュエータ部材
25a、25b 加熱部
101 成膜用基板
102 密着層
103 上部電極層
103a 上部電極
103b 加熱部
103c リード
103d パッド部
104 圧電体層
105 絶縁層
106 下部電極層
107 振動板
108 中間層
109 圧力室部材
110 圧力室
111 接着剤
112 溝部
113 インク流路部材
114 共通流路
115 インク供給口
116 インク流路
117 ノズル板
118 ノズル
121 ヘッドケース
122 ケース上板
123 絶縁性液体
124 注入口
125a、125b、125c、125d ヘッドユニット
126a、126b、126c、126d インクタンク
127a、127b、127c、127d ヘッド駆動回路
128 記録媒体
129a 搬送ローラA
129b 搬送ローラB
130a 搬送モータA
130b 搬送モータB
131 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともインクを吐出するノズルと、
該ノズルからインクを吐出する圧力を発生する圧力室と、
該圧力室に繋がり前記圧力室にインクを供給する共通流路と、
前記圧力室の前記ノズルとは反対側の開口部を覆うように形成された下部電極と、
該下部電極に積層された圧電体と、
前記下部電極および前記圧電体を挟んで前記圧力室に対向するように前記圧電体に積層された上部電極と、
前記共通流路を加熱するように前記上部電極と同一の層として同一の材料により設けられた加熱部と、を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記圧力室が所定の方向にひとつまたは複数の列をなして設けられ、該ひとつまたは複数の列のそれぞれに沿って前記共通流路が設けられたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記圧電体が前記圧力室および共通流路の一部または全部を覆うように設けられ、前記加熱部が前記圧電体上に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記加熱部が非直線部または曲線部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記加熱部の長さが前記共通流路の長さよりも長いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記加熱部が発熱量の異なる複数の加熱部からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記発熱量の異なる複数の加熱部の幅または長さが異なることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記上部電極および前記加熱部が白金族の金属を含む材料であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記白金族が白金またはイリジウムであることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記白金族を含む材料が白金族とチタンの合金であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
前記白金族とチタンの合金が白金−チタンまたはイリジウム−チタンを含むことを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッド。
【請求項12】
少なくとも前記共通流路、前記加熱部を取り囲むヘッドケースを備え、
電気的絶縁性を有する流体が前記加熱部を覆うように前記ヘッドケース内に注入されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項13】
前記電気的絶縁性を有する流体が乾燥空気と共に前記ヘッドケースに密閉されていることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド。
【請求項14】
前記電気的絶縁性を有する流体がフッ素系不活性液体であることを特徴とする請求項12または請求項13のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項15】
前記電気的絶縁性を有する流体の比重が水の比重よりも大きいことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載のひとつまたは複数のインクジェットヘッドと、
画像が形成される記録媒体と、
前記ひとつまたは複数のインクジェットヘッドと前記記録媒体を相対的に移動させる搬送手段と、
前記ひとつまたは複数のインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給手段と、
前記ひとつまたは複数のインクジェットヘッドを駆動する駆動手段と、
前記ひとつまたは複数のインクジェットヘッドの温度を検出し前記インクを過熱する前記加熱部の発熱を制御する温度制御手段と、を備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項17】
前記ひとつまたは複数のインクジェットヘッドのそれぞれに異なる色のインクが供給されることを特徴とする請求項16に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−69756(P2010−69756A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240502(P2008−240502)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】