説明

インクジェットヘッドアセンブリ

【課題】印刷作業時、インクの揺動による圧力変化を最小化して、優秀な印刷品質を有するインクジェットヘッドアセンブリの提供。
【解決手段】インクジェットヘッドアセンブリは、インクジェットヘッド20にインクを供給するインクタンク10を第1貯蔵部及11び第2貯蔵部13に区分けしてインクを収容し、インクジェットヘッド20と直接的に連結される第2貯蔵部13はインクの満水位を維持する。これによって、インクジェットヘッドアセンブリが移動する際、インクの揺動によって発生する圧力変化を第2貯蔵部13が減衰させることで、印刷品質低下を最小化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドアセンブリに関し、特に、移送動作システムで発生するインクの揺動による圧力変化を最小化して、優秀な印刷品質を有するインクジェットヘッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像信号に応じて用紙のような記録媒体上に白黒画像やカラー画像を現像する装置である。かかる画像形成装置としては、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、複写機、複合機、ファクシミリなどがある。このような各種の画像形成装置の画像形成方式としては、代表的に、感光体にビームを走査して静電潜像を形成し、その上に現像剤を付着させて記録媒体に転写する転写写真方式と、画像信号に応じて記録媒体の表面に液状インクを噴射するインクジェット方式とがある。
【0003】
インクジェット画像形成装置は、画像信号に応じてインクを噴射するインクジェットヘッドを備える。インクジェットヘッドは、画像信号に応じて記録媒体上にインク液滴(droplet)を放出して、記録媒体上に文字や画像を印刷する。インクジェット画像形成装置は、印刷中に比較的低い騷音を発生させ、小さな液滴を高密度に形成することができるので、印刷作業に広く使用される。
【0004】
インクジェット画像形成装置は、一例として、一体または分離可能に付着したインクタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを所定方向に記録媒体に対して走査させるキャリッジと、所定方向に対して直交する方向(副走査方向)にインクジェットヘッドを移送する移送手段とを有する。インクジェット画像形成装置は、インクジェットヘッドの走査中にインクを吐出することで、画像を形成する。
【0005】
インクジェット画像形成装置のインクジェットヘッドとしては、移送される記録媒体の表面から一定間隔離れた状態で、記録媒体の移送方向と直交する方向(記録媒体の幅方向)に往復走行しながらインクを吐出するシャトル方式プリントヘッドと、記録媒体の幅に該当する長さで形成され、ライン印刷が可能ないわゆるアレイインクジェットヘッドとがある。アレイインクジェットヘッドでは、一度に一ラインずつ印刷が可能で、高速印刷が可能である。
【0006】
このようなシャトル方式インクジェットヘッドやアレイインクジェットヘッドには、インクを貯蔵するインクタンクからインクが供給される。しかし、印刷作業時、インクジェットヘッドが移送手段によって移送される過程で、インクタンク内に貯蔵されたインクの揺動によって、圧力変化が発生するおそれがある。これによって、吐出される液滴の速度及び体積に影響を与えて、印刷品質が低下するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、印刷作業時、インクの揺動による圧力変化を最小化して、優秀な印刷品質を有するインクジェットヘッドアセンブリを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一実施形態は、インクを収容する第1貯蔵部及び前記第1貯蔵部と少なくとも一つ以上の連通孔を介して連結され、前記第1貯蔵部から供給されるインクの満水位を維持する第2貯蔵部を有するインクタンクと、前記第2貯蔵部とインク供給流路を介して連結され、前記第2貯蔵部から供給されるインクを吐出するインクジェットヘッドと、を含むインクジェットヘッドアセンブリを提供する。
【0009】
前記連通孔の直径は1mm〜10mmであっても良く、前記第2貯蔵部の体積は10cc以上であっても良い。
【0010】
前記インク供給流路にフィルタが形成されることができる。
【0011】
前記インクジェットヘッドは、第2貯蔵部から供給されたインクを一時収容するインクチャンバを含むことができる。
【0012】
また、前記インクジェットヘッドは、第2貯蔵部から供給されたインクを排出するインク排出流路を備えることができる。
【0013】
前記第1貯蔵部は空圧ポートを備えても良く、インク注入ポートを備えても良い。
【0014】
前記第1貯蔵部には、インクの水位を測定するセンサが装着されても良く、前記センサは、第1貯蔵部の上部または側部に装着されることができる。
【0015】
前記センサは、第1貯蔵部に収容されるインクの下限水位を測定する第1センサ及びインクの上限水位を測定する第2センサで構成されることをができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるインクジェットヘッドアセンブリは、インクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクを第1貯蔵部及び第2貯蔵部に区分けしてインクを収容し、インクジェットヘッドと直接的に連結される第2貯蔵部はインクの満水位を維持する。これによって、インクジェットヘッドアセンブリが移動する際、インクの揺動によって発生する圧力変化を第2貯蔵部が減衰させることで、印刷品質低下を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドアセンブリを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0019】
但し、本発明の実施形態は他の様々な形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明される実施形態に限定されるのではない。また、本発明の実施形態は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張される場合があり、図面上において同じ符号で表示される要素は同じ要素である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドアセンブリを概略的に示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態によるインクジェットヘッドアセンブリは、インクを収容するインクタンク10及び前記インクタンク10から供給されるインクを記録媒体に吐出して画像を形成するインクジェットヘッド20を含む。
【0022】
本発明の明細書において、「記録媒体」は紙だけでなく、布地、プラスチックフィルム、金属シート、ガラス、セラミック、木材及び皮革のようなインクを収容することができる様々なものを意味する。
【0023】
インクタンク10は、インクを収容する第1貯蔵部11と、前記第1貯蔵部と少なくとも一つ以上の連通孔12を介して連結された第2貯蔵部13とを含む。第2貯蔵部13は、第1貯蔵部11から供給されるインクをインクジェットヘッド20に供給する。第2貯蔵部13は、インクの満水位を維持し、満水位を維持した状態でインクジェットヘッド20にインクを供給するようになる。
【0024】
インクタンク10の第1貯蔵部11及び第2貯蔵部13は、少なくとも一つ以上の連通孔12を介して相互連結される。ここで、前記連通孔12の直径は特に限定されないが、例えば1mm〜10mmに形成することができる。
【0025】
インクジェットヘッド20は、インク供給流路21を介して第2貯蔵部13と連結され、前記第2貯蔵部13から供給されるインクを吐出する。前記インク供給流路21にはフィルタ(図示せず)が形成されることができる。インクタンク10からインクジェットヘッド20に供給されるインクは、塵埃のような異物を含まない、きれいな状態に維持されることが好ましい。塵埃のような異物が入り込めば、インクジェットヘッド20内のノズルが詰まり、これによって、インク吐出作動が適切に行われないおそれがある。
【0026】
インクジェットヘッド20の上面には、第2貯蔵部13から供給されるインクを一時収容するインクチャンバ22が形成されており、下面にはインクを吐出するための多数のノズル23が形成されている。
【0027】
また、前記インクジェットヘッド20は、インクチャンバ22からインクを外部へ排出するために、インクジェットヘッド20の一側に連結されたインク排出流路24を備えている。
【0028】
インクジェットヘッドアセンブリでは、印刷作業の際に移送手段(図示せず)によって移送される過程で、インクタンク10内に貯蔵されたインクの揺動によって圧力変化が発生する。これにより、インクジェットヘッド20によって吐出される液滴の速度及び体積に影響を与えて、印刷品質が低下するおそれがある。しかし、本発明によれば、インクジェットヘッド20にインクを供給するインクタンク10を第1貯蔵部11及び第2貯蔵部13に区分けし、インクジェットヘッド20と直接的に連結される第2貯蔵部13はインクの満水位を維持しながら作動する。すなわち、インクジェットヘッドアセンブリが移動する際、第1貯蔵部11でインクの揺動によって発生する圧力変化を第2貯蔵部13で減衰させることで、印刷品質低下を最小化することができる。
【0029】
第2貯蔵部13の体積は特に限定されない。但し、第2貯蔵部13の体積が小さすぎると、第1貯蔵部11の圧力変化に対する減衰効果が十分でない可能性があるので、10cc以上であることが好ましい。
【0030】
インクジェットヘッド20にはインクタンク10からインクが供給されるが、印刷時に過量のインクが供給されたり、印刷が行われない際にインクが供給されたりすると、印刷作業にかかわらずインクがインクジェットヘッド20の表面から漏れるウェッティング(wetting)現象が発生する可能性がある。これを防止するために、インクジェットヘッド20とインクタンク10との間に負圧(negative pressure)を生成させて、インクジェットヘッド20からインクが噴射される時のみにインクタンク10とインクジェットヘッド20との間にインクの流動を発生させることが必要である。
【0031】
したがって、前記第1貯蔵部11には、インクジェットヘッド20とインクタンク10との間に負圧を生成させる空圧ポート1が形成されることが好ましい。
【0032】
また、画像形成過程で、第1貯蔵部11に収容されるインクの水位が一定下限水位以下になればインク貯蔵室からインクを注入できるように、第1貯蔵部11にはインク注入ポート2が形成されることができる。
【0033】
以下、前記インクジェットヘッドアセンブリの動作過程を説明する。
【0034】
一般的に、インクジェットヘッドアセンブリは、インクタンクとインクジェットヘッドが一体または分離可能な形態に形成される。分離可能な形態のインクジェットヘッドアセンブリは、記録媒体に移送できる移送システム(図示せず)に装着されるが、先にインクタンクを移送システムに装着した後、インクジェットヘッドをインクタンクに結合させる。
【0035】
インクジェットヘッドアセンブリは、移送システム(図示せず)に装着され、記録媒体の印刷面に沿って移動しながら、ノズル23からインクを吐出して画像を形成するようになる。
【0036】
この時、インクタンク10からインクジェットヘッド20にインクが供給される際、バブルが含まれた状態のインクが供給されることを防止するために、インクが供給される初期段階では、インクジェットヘッド20に供給されたインクをインク排出流路24を介して一定時間排出することが好ましい。
【0037】
上述したように、インクタンク10は第1貯蔵部11及び第2貯蔵部13で構成され、インクジェットヘッド20と直接的に連結される第2貯蔵部13は、インクの満水位を維持した状態でインクジェットヘッド20にインクを供給する。これにより、印刷作業の際にインクジェットヘッドアセンブリが移送される過程で、インクの揺動によって圧力変化が発生しないので、優秀な印刷品質が得られる。
【0038】
前記画像形成過程で、第1貯蔵部11に収容されるインクの水位が一定下限水位以下になれば、インク貯蔵室から第1貯蔵部11に形成されたインク注入ポート2を介してインクを注入することができる。
【0039】
上記のように、印刷中インクが消耗されて第1貯蔵部及び第2貯蔵部にインクが供給されても、これによる圧力変化を効果的に減衰させることができる。
【0040】
本実施形態において、第1貯蔵部11は、インクの水位を測定するセンサ30を含むことができる。第1貯蔵部11からインクが供給される第2貯蔵部13に収容されるインクの満水位を維持するためには、第1貯蔵部11内のインクの水位を一定のレベル以上に維持することが重要である。すなわち、第1貯蔵部11のインクの水位が第2貯蔵部13まで下がらないように、第1貯蔵部11に装着されたセンサ30によりインクの水位を測定し、これによってインク貯蔵室からインクの注入量を調節する。
【0041】
インクの水位を測定するセンサ30の位置は特に限定されず、例えば、第1貯蔵部11の上部に装着されることができる。前記センサ30は、第1貯蔵部11に収容されるインクの下限水位を測定する第1センサ31及びインクの上限水位を測定する第2センサ32で構成されることができる。
【0042】
第1貯蔵部11に収容されるインクが一定下限水位以下になれば、これを感知してインク注入ポートを介してインクが供給されるようにする。一方、インクの水位が一定上限水位以上になれば、これを感知してインクの供給を止めるようにする。
【0043】
また、図示されていないが、前記インクの水位を測定するセンサ30は、第1貯蔵部11の側部に形成されることができる。
【0044】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されず、添付の請求の範囲によって限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野における通常の知識を有する者であれば、様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0045】
10:インクタンク
11:第1貯蔵部
12:連通孔
13:第2貯蔵部
20:インクジェットヘッド
21:インク供給流路
22:インクチャンバ
23:ノズル
24:インク排出流路
30:センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容する第1貯蔵部及び前記第1貯蔵部と少なくとも一つ以上の連通孔を介して連結され、前記第1貯蔵部から供給されるインクの満水位を維持する第2貯蔵部を有するインクタンクと、
前記第2貯蔵部とインク供給流路を介して連結され、前記第2貯蔵部から供給されるインクを吐出するインクジェットヘッドと、を含むことを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記連通孔の直径は1mm〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記第2貯蔵部の体積は10cc以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記インク供給流路にフィルタが形成されたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドは、前記第2貯蔵部から供給されたインクを一時収容するインクチャンバを含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記インクジェットヘッドは、前記第2貯蔵部から供給されたインクを排出するインク排出流路を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記第1貯蔵部は空圧ポートを備えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記第1貯蔵部はインク注入ポートを備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記第1貯蔵部には、インクの水位を測定するセンサが装着されたことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記センサは、前記第1貯蔵部の上部または側部に装着されることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記センサは、前記第1貯蔵部に収容されるインクの下限水位を測定する第1センサ及びインクの上限水位を測定する第2センサで構成されることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェットヘッドアセンブリ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−260335(P2010−260335A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193314(P2009−193314)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】