説明

インクジェットヘッド及びその製造方法

【課題】インクジェットヘッドの駆動部を薄膜型に実現でき、これによりインクジェットヘッドの電気的特性を改善できる、インクジェットヘッド及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】インクが収容されるチャンバ114と、チャンバ114の一側に形成され、一面に収容溝210が形成されるメンブレイン212と、収容溝210の内面に形成される下部電極221と、収容溝210に収容される圧電体300と、を備えるインクジェットヘッド及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、電気的信号を物理的な力に変換して、ノズルを介してインク液滴を吐出することにより印刷が行われる装置である。インクジェットヘッドは、チャンバ、リストリクタ、ノズルなどの多様な部品をそれぞれの層に加工し、これらを互いに接合する方式で作製することができる。
【0003】
チャンバの一側には駆動部が結合されており、インクジェットヘッドはチャンバ内に収容されるインクに圧力を加えてインクを吐出することになる。ここで、駆動部には、圧電体と、圧電体に電気的に接続する上部電極及び下部電極とが含まれる。
【0004】
近年、インクジェットヘッド技術は、紙や繊維に印刷する従来のグラフィックインクジェットの産業分野だけではなく、プリント基板、LCDパネルなどの電子部品製作においても用いられるなど、その適用が拡大されている。
【0005】
このような状況において、駆動部分はインクの吐出特性を決定する重要な構成要素であり、振動変位が大きくて駆動電圧が低いほど駆動回路の作製が容易となるため、圧電体の薄膜化が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、より薄型化された駆動部を備えたインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、インクが収容されるチャンバと、チャンバの一側に形成され、一面に収容溝が形成されるメンブレインと、収容溝の内面に形成される下部電極と、収容溝に収容される圧電体と、を備えるインクジェットヘッドが提供される。
【0008】
ここで、圧電体は下部電極の一側が露出するように収容溝に収容されてもよい。また、インクジェットヘッドは、一端がメンブレインの形成されたインクジェットヘッドの一面まで延長され、他端が下部電極の一側に結合される連結部をさらに備えることができ、圧電体は下部電極の両側が露出するように収容溝に収容され、連結部の他端は下部電極の両側にそれぞれ結合されることができる。
【0009】
そして、圧電体の上面及び連結部の一端は、メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面と同一平面上に形成でき、インクジェットヘッドは、圧電体上の上部電極と、連結部の一端に結合されるようにメンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に形成される接地部と、をさらに備えることができる。
【0010】
また、本発明の他の実施形態によれば、インクが収容されるチャンバの一側にメンブレインが形成されるインクジェットヘッドを製造する方法であって、メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に収容溝を形成する工程と、収容溝の内面に下部電極を形成する工程と、収容溝に圧電体を載置する工程と、を含むインクジェットヘッドの製造方法が提供される。
【0011】
ここで、圧電体を載置する工程は、下部電極の一側が露出するように行われ、インクジェットヘッドの製造方法は、圧電体を載置する工程の後に、下部電極の一側に電気メッキを行って連結部を形成する工程をさらに含むことができる。
【0012】
そして、下部電極を形成する工程は、メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に導電性物質を蒸着して行われ、インクジェットヘッドの製造方法は、連結部を形成する工程の後に、連結部の一端が露出するように、圧電体の一面とメンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面を研磨する工程をさらに含むことができる。
【0013】
また、インクジェットヘッドの製造方法は、研磨工程の後に、圧電体上に上部電極を形成する工程と、連結部の一端に結合されるようにメンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に接地部を形成する工程をさらに含むことができる。
【0014】
ここで、研磨工程は、圧電体の一面、連結部の一端、及びメンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面が同一平面上に形成されるように行われる。一方、収容溝を形成する工程は、インクジェットヘッドの一面をエッチングして行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、インクジェットヘッドの駆動部を薄膜型に実現することができ、これによりインクジェットヘッドの電気的特性を改善することができる。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドを示す側断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドを示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッドを示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの製造方法の順序を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドを示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの収容溝を示す正断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの収容溝を示す側断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの収容溝を示す平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの下部電極層を示す側断面図である。
【図10】図10は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの下部電極層を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの圧電体を示す側断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの圧電体を示す平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの連結部層を示す側断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの連結部層を示す平面図である。
【図15】図15は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの研磨された圧電体を示す側断面図である。
【図16】図16は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの研磨された圧電体を示す平面図である。
【図17】図17は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの上部電極及び接地部を示す側断面図である。
【図18】図18は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッドの上部電極及び接地部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、本願では特定の実施形態のみを図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0019】
以下、本発明によるインクジェットヘッド及びその製造方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッド100を示す側断面図であり、図2は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッド100を示す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッド100を示す平面図である。
【0021】
図1から図3に示すように、本発明の一実施形態によるインクジェットヘッド100は、インクが収容されるチャンバ114と、チャンバ114の一側に形成され、一面に収容溝210が形成されるメンブレイン212と、収容溝210の内面に形成される下部電極221と、収容溝210に収容される圧電体300と、を備えることにより、インクジェットヘッド100の駆動部600を薄膜型に実現することができ、これによりインクジェットヘッド100の電気的特性を改善することができる。
【0022】
図1に示すように、チャンバ114はインクジェットヘッド100の内部に形成され、インクが収容される空間を提供する。チャンバ114の下側にはノズル112が形成され、チャンバ114に収容されているインクは、ノズル112を介してインクジェットヘッド100の外部に吐出される。
【0023】
チャンバ114は、リストリクタ116を介してインクが貯留されるリザーバ118に連結され、リザーバ118からインクの供給を受ける。図2に示すように、チャンバ114は複数形成でき、リザーバ118は複数のチャンバ114に連結されて、それぞれのチャンバ114にインクを供給することができる。
【0024】
リザーバ118の一側にはインクジェットヘッド100の外部からインクの供給を受ける流入口(図示せず)が形成できる。リストリクタ116は、チャンバ114とリザーバ118との間に介在し、リザーバ118内のインクがチャンバ114に供給される通路を提供する。
【0025】
チャンバ114におけるノズル112と対向する側にはメンブレイン212が形成される。メンブレイン212は、駆動部600によって発生した振動をチャンバ114に伝達する振動板としての役割を果たす。
【0026】
駆動部600は、圧電体300と、圧電体300に電気的に接続して圧電体300の下面に結合される下部電極221と、圧電体300の上面に結合される上部電極510と、を含むことができる。
【0027】
駆動部600が動作すると、メンブレイン212の形態が変化してチャンバ114内部の容積が変化し、これによりチャンバ114に収容されているインクがノズル112を介して吐出される。
【0028】
メンブレイン212の上面には、収容溝210が形成される。収容溝210は、後述する圧電体300及び下部電極221を収容できる空間を提供する。収容溝210はメンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面に、圧電体300を収容できる構造に形成されており、インクジェットヘッド100の一面と圧電体300を共に研磨することにより圧電体300の厚さを調節できる構造を有する。
【0029】
したがって、より薄型化された圧電体300を備えたインクジェットヘッド100の実現が容易となり、図2に示すように、圧電体300の両側を支持しているため、圧電体300とインクジェットヘッド100の一面を研磨する工程において、圧電体300とインクジェットヘッド100との位置合わせがなされる。
【0030】
下部電極221は、収容溝210の内面に形成される。下部電極221は、図2に示すように、互いに分離される複数の圧電体300に共通に電気的に接続させることもできる。下部電極221は収容溝210の底面及び側面に沿って形成され、圧電体300の底面と接している。
【0031】
図3に示すように、収容溝210は全体的にインクジェットヘッド100の両側に延長される形態を有する。収容溝210の両端は、下部電極221の両側、すなわち収容溝210の前後方向に延長されるように形成され、この中、後方に延長される部分(図1及び図3のA部分)により下部電極221の一側が露出する空間が提供される。
【0032】
連結部401は、下部電極221と接地部520との間を電気的に接続するように、その一端はメンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面まで延長され、他端は下部電極221のうちの圧電体300でカバーされない下部電極221の一側に結合される。
【0033】
連結部401は、収容溝210の両端の前後方向に延長される部分に収容溝210の内壁に沿って形成されてもよい。連結部401は導電性金属からなり、下部電極221との電気的な接続は、インクジェットヘッド100の一面上に形成される接地部520により可能となる。
【0034】
接地部520は、下部電極221と電気的に接続し、圧電体300と外部接地電極とを電気的に接続可能とする部分である。すなわち、接地部520は、収容溝210に収容される圧電体300と下部電極221との電気的な接続を形成する方法を提供する。そして、圧電体300の上面の高さとメンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面の高さとが同じであれば、それぞれの圧電体300に電気的な接続を提供するようにそれぞれの圧電体300上に形成される上部電極510と接地部520とを同時に形成できるので、製造工程の短縮及び収率向上を図ることができる。
【0035】
また、上部電極510を厚膜形態で形成すると、それぞれの上部電極510にワイヤを用いて電気的に接続させる場合、上部電極510の全てに亘って温度を均一に上昇させることができるため、ワイヤと上部電極510との間の構造的な結合力を向上させて、それらの間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0036】
図4は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の製造方法の順序を示すフローチャートである。図4に示すように、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の製造方法は、インクジェットヘッド100の一面に圧電体300が収容される構造を形成して、より薄型化された駆動部600を備えたインクジェットヘッド100の製造方法を提供することができる。
【0037】
図5は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100を示す断面図である。図5に示すように、先ず、駆動部600が形成されていないインクジェットヘッド100を用意する。
【0038】
インクジェットヘッド100の内部にはインクを収容するチャンバ114が形成され、チャンバ114の下側にはインクを吐出するノズル112が形成される。ノズル112の他側、すなわちインクジェットヘッド100の一面は、後にメンブレイン212が形成される部分であって、シリコンウェハ200が形成される。
【0039】
図6は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の収容溝210を示す断面図であり、図7は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の収容溝210を示す側断面図であり、図8は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の収容溝210を示す平面図である。
【0040】
メンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面をエッチングしてインクジェットヘッド100の一面に収容溝210を形成する(図4のステップS100)。図6に示すように、インクジェットヘッド100には複数のチャンバ114を並べて形成でき、収容溝210は複数のチャンバ114を並べて配置される方向に延長することができる。
【0041】
収容溝210は、インクジェットヘッド100の一面を形成するシリコンウェハ200を湿式エッチングすることで形成することができる。収容溝210の両端には、インクジェットヘッド100の前後方向に拡張する部分が形成されてもよく、この部分は図7に示すように、収容溝210の側壁が傾斜するように形成されてもよい。
【0042】
収容溝210の底面はチャンバ114をカバーしており、収容溝210の底面は圧電体300により発生した振動をチャンバ114に伝達するメンブレイン212としての機能を果たすことができる。収容溝210の形成工程において、エッチングされるシリコンウェハ200の厚さを調節することにより、メンブレイン212の厚さを決定することができる。
【0043】
図9は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の下部電極層220を示す側断面図であり、図10は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の下部電極層220を示す平面図である。
【0044】
図9及び図10に示すように、メンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面に導電性物質を蒸着して収容溝210の内面に下部電極層220を形成することができる(図4のステップS200)。
【0045】
下部電極層220はインクジェットヘッド100の一面の全体に亘って形成でき、収容溝210の底面及び側面にも形成できる。下部電極層220は、例えば白金(Pt)とチタニウム(Ti)を含んで形成される。
【0046】
図11は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の圧電体300を示す側断面図であり、図12は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の圧電体300を示す平面図である。
【0047】
図11及び図12に示すように、下部電極221の一側222が露出するように収容溝210に圧電体300を載置する(図4のステップS300)。圧電体300は、圧電物質がバインダと共に焼結されたバルク形態であってもよい。
【0048】
圧電体300の両端の、インクジェットヘッド100の前後方向に拡張される部分から、収容溝210の底面に形成される下部電極層220の一側222が露出することになる。圧電体300を収容溝210の底面に載置する際に、圧電体300と収容溝210の底面との間に接着層を介在してもよい。
【0049】
一方、収容溝210の内壁は、メンブレイン212上に結合される圧電体300の配置がずれない範囲内で圧電体300の外壁との間に間隔を有することができ、これにより、圧電体300の外壁を支持して圧電体300とメンブレイン212との間の位置合わせを改善させることができる。
【0050】
図13は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の連結部層400を示す側断面図であり、図14は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の連結部層400を示す平面図である。
【0051】
図13及び図14に示すように、下部電極221の一側に電気メッキを行って連結部層400を形成する(図4のステップS400)。インクジェットヘッド100の一面には、圧電体300が載置された部分を除き、下部電極層220が形成されており、この下部電極層220をシード層にしてインクジェットヘッド100の一面に電気メッキを行うことができる。
【0052】
このとき、収容溝210の内部に形成される連結部層400の厚さと、後の工程で研磨された圧電体300が有する厚さとが同じになるように電気メッキを行うことができる。これにより、収容溝210の両端の、インクジェットヘッドの前後方向に拡張された部分を導電性物質で充填することができる。
【0053】
図15は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の研磨された圧電体300を示す側断面図であり、図16は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の研磨された圧電体300を示す平面図である。
【0054】
図15及び図16に示すように、圧電体300の一面、連結部401の一端、及びメンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面が同一平面をなすように、圧電体300の一面、連結部401の一端、及びメンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面を研磨する(図4のステップS500)。
【0055】
研磨工程は、圧電体300の最終厚さを形成するために行われ、このとき、インクジェットヘッド100の一面に形成されている下部電極層220と連結部層400は、収容溝210内に形成された部分を除き、除去できる。
【0056】
したがって、収容溝210の内部に残存する下部電極層220は、圧電体300に電気的な接続を形成するように圧電体300の底面に結合される下部電極221を形成することができる。
【0057】
そして、収容溝210の内部に残存する連結部層400は、下部電極層220と電気的に接続するように、下部電極221の一側に結合される連結部401を形成することができる。連結部401はインクジェットヘッド100の一面に露出するように形成される。
【0058】
結果的に、連結部401は収容溝210に収容される圧電体300と下部電極221との電気的接続をインクジェットヘッド100の一面に延長させる媒介となる。そして圧電体300の研磨工程において、収容溝210の内壁が圧電体300の外壁を支持しているため、研磨工程中に発生し得る圧電体300の外壁崩壊を防止することができる。
【0059】
一方、研磨工程により、圧電体300の厚さを必要な厚さに調節できるため、より薄型化された圧電体300を備えた駆動部600を有するインクジェットヘッド100を製造することができる。
【0060】
図17は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の上部電極510及び接地部520を示す側断面図であり、図18は、本発明の他の一実施形態によるインクジェットヘッド100の上部電極510及び接地部520を示す平面図である。
【0061】
図17及び図18に示すように、圧電体300上に上部電極510を形成し(図4のステップS600)、連結部401の一端に結合されるように、メンブレイン212が形成されるインクジェットヘッド100の一面に接地部520を形成する(図4のステップS700)。
【0062】
上部電極510は、圧電体300を電気的に接続させるために圧電体300の上面に結合することができ、例えば、圧電体300上に導電性物質をパターニングまたは蒸着することで、上部電極510を形成可能であり、厚膜形態で形成してもよい。
【0063】
厚膜形態の上部電極510は、上部電極510の電気的接続によって上部電極510の全てにわたって均一に温度を上昇させることができ、これにより、上部電極510上にワイヤを結合する工程において、鉛のワイヤ先端の拡散性を向上させて、ワイヤと上部電極510との間の構造的結合力を向上させることで、さらに電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0064】
接地部520は、連結部401により下部電極221に電気的な接続を提供でき、インクジェットヘッド100が外部接地電極と接続できる部分である。接地部520は、上部電極510と同様に、導電性物質をパターニングまたは蒸着することで形成できる。
【0065】
また、圧電体300の上面、連結部401の一端、及びインクジェットヘッド100の一面が同一平面上に形成されるため、上部電極510を形成する工程(図4中のステップS600)と接地部520を形成する工程(図4中のステップS700)とが一つの工程で同時に行われることができる。したがって、全体の工程数を短縮させ、製造工程の収率を向上させることができる。
【0066】
その後、図2及び図3に示すように、圧電体300と上部電極510はそれぞれのチャンバ114の位置に応じて切断され、それぞれのチャンバ114に対応する駆動部600を形成することができる。
【0067】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。実施形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。その様な変更または改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0068】
100 インクジェットヘッド
114 チャンバ
200 シリコンウェハ
210 収容溝
212 メンブレイン
221 下部電極
401 連結部
520 接地部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが収容されるチャンバと、
前記チャンバの一側に形成され、一面に収容溝が形成されるメンブレインと、
前記収容溝の内面に形成される下部電極と、
前記収容溝に収容される圧電体と、
を備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記圧電体は、前記下部電極の一側が露出するように前記収容溝に収容されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
一端が前記メンブレインの形成されるインクジェットヘッドの一面まで延長されていて、他端が前記下部電極の一側に結合されている連結部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記圧電体は、前記下部電極の両側が露出するように前記収容溝に収容され、
前記連結部の他端は、前記下部電極の両側にそれぞれ結合されることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記圧電体の上面及び前記連結部の一端は、前記メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面と同一平面上に形成されることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記圧電体上に結合される上部電極と、
前記連結部の一端に結合されるように前記メンブレインが形成されたインクジェットヘッドの一面に形成される接地部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
インクが収容されるチャンバの一側にメンブレインが形成されるインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に収容溝を形成する工程と、
前記収容溝の内面に下部電極を形成する工程と、
前記収容溝に圧電体を載置する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記圧電体を載置する工程は、前記下部電極の一側が露出するように行われ、
前記圧電体を載置する工程の後に、前記下部電極の一側に電気メッキを行って連結部を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記下部電極を形成する工程は、前記メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面に導電性物質を蒸着して行われ、
前記連結部を形成する工程の後に、前記連結部の一端が露出するように、前記圧電体の一面と前記メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面を研磨する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記研磨する工程の後に、
前記圧電体上に上部電極を形成する工程と、
前記連結部の一端に結合されるように前記メンブレインが形成されたインクジェットヘッドの一面に接地部を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記研磨する工程は、前記圧電体の一面、前記連結部の一端、及び前記メンブレインが形成されるインクジェットヘッドの一面が同一平面上に形成されるように行われることを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記収容溝を形成する工程が、前記インクジェットヘッドの一面をエッチングして行われることを特徴とする請求項7から11の何れか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−201914(P2010−201914A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173256(P2009−173256)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】