インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法
【課題】接着剤によって圧電素子にノズルプレートを接着したとき、この接着剤が圧力室内に、想定以上にはみ出さないインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに圧力室を加圧してノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、圧電素子が接着される基板と、圧電素子を囲むように基板に載置される枠体と、を具備し、圧電素子の一端面側には溝部が形成され、ノズルプレートは、側壁の上端部に塗布するとともに溝部に充填させた接着剤で圧電素子に接着されたインクジェットヘッド。
【解決手段】複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに圧力室を加圧してノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、圧電素子が接着される基板と、圧電素子を囲むように基板に載置される枠体と、を具備し、圧電素子の一端面側には溝部が形成され、ノズルプレートは、側壁の上端部に塗布するとともに溝部に充填させた接着剤で圧電素子に接着されたインクジェットヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、ベース基板と、このベース基板の上に載置される、溝を刻みこんだ圧電素子と、ベース基板の上に圧電素子を囲むように載置される枠体と、圧電素子の溝の側壁の上端に接着剤により接着される、ノズル穴を有するノズルプレートと、を有する。
【0003】
インクジェットプリンタヘッドは、圧電素子が変形することにより溝の内部にインクを吸い込み、圧電素子が他の方向に変形することにより溝の内部のインクをノズル穴から吐出する。
【0004】
従来のインクジェットヘッドは、圧電素子の溝の側壁の上端部に塗布される接着剤が多いと、圧力室である溝の内部に接着剤が多量にはみ出す。接着剤が想定以上にはみ出すと、圧力室の容積が小さくなり、規定のインク量を吐出することができなくなり、インク着弾精度が大幅に低下する。
【0005】
また、ノズル穴はノズルプレートを圧電素子に接着した後に鑽孔される。接着剤がノズル穴の鑽孔位置にまで達していると、ノズル穴は円をなさず変形した形に鑽孔される。または、ノズル孔が予め鑽孔されたノズルプレートを圧電素子に接着する場合、接着剤がノズル穴の鑽孔位置にまで達するとノズル穴は円をなさず変形した形になってしまう。ノズル穴が変形していると、印字品質に悪影響が出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−69800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、接着剤によって圧電素子にノズルプレートを接着したとき、この接着剤が圧力室内に、想定以上にはみ出さないインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のインクジェットヘッドは、複数のノズルを有するノズルプレートと、前記ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに前記圧力室を加圧して前記ノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、前記圧電素子が接着される基板と、前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、を具備し、前記圧電素子の一端面側には溝部が形成され、前記ノズルプレートは、前記側壁の上端部に塗布するとともに前記溝部に充填させた接着剤で前記圧電素子に接着されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクジェットヘッドの構成を表す図である。
【図2】インクジェットヘッドの図1におけるAA線断面図である。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図4】第1の実施形態のインクジェットヘッドの図3における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図5】第2の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図6】第2の実施形態のインクジェットヘッドの図5における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図7】第3の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図8】第3の実施形態のインクジェットヘッドの図7における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図9】第4の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図10】第4の実施形態のインクジェットヘッドの図9における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図11】第5の実施形態のインクジェットヘッドの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の構成を表す図である。図2は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面図である。図3は、第1の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。図1乃至図3に示すように、インクジェットヘッド100は、ヘッド構成部材である基板11と、この基板11の上に載置され、圧力室30が刻み込まれ、この圧力室30の側壁31の上端部に溝部22を有する圧電素子12と、この圧電素子12を囲むように基板11に載置される枠体13と、圧電素子12の側壁31の上端部に接着され、ノズル穴15を有するノズルプレート14と、を備える。
【0012】
インクジェットヘッド100は、基板11、枠体13およびノズルプレート14で囲まれた空間に、共通液室10を有している。共通液室10は、圧力室30に連通している。
【0013】
基板11は、アルミナ誘電体により方形板状に形成される。基板11には、複数のインク吸入孔17と、複数のインク排出孔16とが、基板11を貫通して形成されている。複数のインク排出孔16は、基板11の長手方向に沿ってエッジ寄りに並べて形成されている。複数のインク吸入孔17は、基板11の長手方向に沿って略中央に並べて形成されている。基板11上には、複数の電気配線が設けられている。
【0014】
他の基板11の材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などのセラミックスを用いることも可能である。
【0015】
ノズルプレート14は、ポリイミド製の樹脂により形成される。ノズルプレート14は、圧力室30の上部に一対のノズル列9を有する。各ノズル列9は、複数のノズル穴15を含んでいる。ノズル穴15は、インク滴の吐出孔として機能するもので、等間隔で形成されている。ノズルプレート14は、他の樹脂フィルムで形成してもよく、例えばレーザーを用いてノズル穴15を形成容易な材料であればよい。ノズルプレート14のインク滴吐出側の表面には、例えばフッ素樹脂などにより撥水膜が形成されている。
【0016】
他のノズルプレート14材料として、ニッケルプレートやシリコンプレートを用いることができる。ニッケルノズルプレートは電鋳法によってノズルを有するニッケルプレートを形成し、インク吐出側の表面に撥水膜が形成されたものである。シリコンプレートは単結晶シリコン板を異方性エッチングによって形成し、インク吐出側の表面に撥水膜が形成されたものである。
【0017】
インクジェットヘッド100は、圧電素子12を基板11の上に2列有している。圧電素子12は、インクをノズルから吐出させる圧力を発生させる。図3に示すように、圧電素子12は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いている。PZT製の板状の第1の圧電素子12Bおよび第2の圧電素子12Aを互いの分極方向を対向させるように貼り合わせて形成される。圧電素子12は、断面が台形形状で、主走査方向に延びた棒状に形成されている。圧電素子12は、長手方向(主走査方向)と交差する方向(副走査方向)に延びた複数の溝部がその表面に形成されている。さらに、各溝部の両側部に設けられる駆動素子である側壁31および溝部の底面に形成される電極19を有している。このような構造において、側壁31の内面33、溝部の底面、およびノズルプレート14に囲まれた部位が、主走査方向に並んだ複数の圧力室30を形成している。
【0018】
PZTの代わりに、PTO(PbTiO3:チタン酸鉛)PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)、PZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)、ZnOなどを用いることも可能である。
【0019】
圧電素子12は、ノズルプレート14上のノズル列9に対応するように、基板11上に接着される。圧力室30および側壁31は、それぞれノズル穴15に対応するように、ノズル穴15と同じピッチで形成されている。
【0020】
ノズルプレート14の周縁部が、枠体13に接着され、基板11、枠体13、およびノズルプレート14によって囲まれたインク室8が形成される。
【0021】
インクジェットヘッド100は、枠体13の外側に圧電素子12を駆動させるドライバIC18を有しており、ドライバIC18と圧電素子12は、電極19と接続している。さらに、基板11上の電気配線の一端は電極19に接続されるとともに、電気配線の他端は、ドライバIC18に接続されている。
【0022】
上記のように構成したインクジェットヘッド100をプリンタに搭載し、印刷を行うには、プリンタのインクタンクから、インクジェットヘッド100にインクを供給する。インクタンクから供給されたインクは、インク吸入孔17、インク共通液室10およびインク室8を経由して、圧力室30内に満たされる。圧力室30内で使用されなかったインクは、インク排出孔16を経由して、インクタンクに回収される。
【0023】
また、この状態で、ユーザがプリンタに対して印刷を指示すると、プリンタの制御部は、印字信号をドライバIC18に出力する。印字信号を受けたドライバIC18は、電気配線を介して、駆動パルス電圧を電極19に印加する。これにより、インク滴を吐出させることが選択された圧力室30の両側にある、左右一対の側壁31は、シェアーモード変形をして湾曲するように離反する。そして、この変形を初期位置に復帰させて、当該圧力室30内の圧力を高くして、対向するノズル穴15からインク滴が吐出される。
【0024】
図3に示すように、インクジェットヘッド100は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。
【0025】
図4は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図3における一点鎖線20の部分の拡大図である。図4に示すように、インクジェットヘッド100は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの一端面側である第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部22を有する。
【0026】
溝部22の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0027】
溝部22の深さH1は、0.5μm以上10μm以下が望ましい。0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、10μmを超えると側壁31の強度が弱くなりすぎる。
【0028】
(第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0029】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0030】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0031】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0032】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0033】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0034】
次に、圧力室30の側壁31の上端部の導電体21を化学的エッチングまたは機械的に除去する。さらに、圧電素子12の斜面50および基板11上の導電体21については、レーザーを照射して不要部分を除去し、電極19を形成する。
【0035】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面を覆うように、感光性レジスト層を形成する。感光性レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法を用いて形成することができる。
【0036】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部22にあたる部分の感光性レジスト層を除去する。
【0037】
次に、感光性レジスト層が除去された部分の第2の圧電素子12Aを0.5μm以上10μm以下の厚み分だけエッチングする。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0038】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0039】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0040】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14にレーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0041】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0042】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0043】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0044】
第1の実施形態によれば、接着剤によって圧電素子12にノズルプレート14を接着する際に、余分な接着剤が溝部22に入り込み、圧力室30へはみ出すのを抑制することができる。特に、ノズル周辺の接着剤の付着が抑制され、インクの着弾精度を低下させることがない。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態におけるインクジェットヘッド110の図1におけるAA線断面の構成は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0046】
図5は、第2の実施形態のインクジェットヘッド110の図1におけるBB線断面図である。図5に示すように、インクジェットヘッド110は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0047】
図6は、第2の実施形態のインクジェットヘッド110の図5における一点鎖線35の部分の拡大図である。図6に示すように、インクジェットヘッド110は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。側壁31および圧電素子12の一端面側は導電体21で被覆され、溝部32は、導電体21の一部を欠いて形成されている。
【0048】
溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0049】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。深さH2が0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2が10μmを超える深さにするには、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0050】
(第2の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0051】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0052】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0053】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0054】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0055】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0056】
次に、導電体21の表面に、感光性レジスト層を形成する。感光性レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0057】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0058】
次に、側壁31の上部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0059】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0060】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0061】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0062】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0063】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0064】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0065】
第2の実施形態によれば、溝部32をインクジェットヘッドの必須の構成要素である電極19を利用して形成することができる。さらに、溝部32は、電極19および電気配線が形成される工程で作成することができる。したがって、新たな材料や工程を追加せずに形成できるので、製作工程は、複雑にならずコストも抑えられる。
【0066】
(第3の実施形態)
第3の実施形態におけるインクジェットヘッド120は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0067】
図7は、第3の実施形態のインクジェットヘッド120の図1におけるBB線断面図である。図7に示すように、インクジェットヘッド120は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0068】
図8は、第3の実施形態のインクジェットヘッド120の図7における一点鎖線40の部分の拡大図である。図8に示すように、インクジェットヘッド120は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0069】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。深さH2が0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2が10μmを超える深さにしようとすると、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0070】
さらに、インクジェットヘッド120は、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備える。導電体21、圧電素子12の一端面側および溝部32が保護膜41で被覆されている。
【0071】
保護膜41の厚みは2μm以上10μm以下である。従って、保護膜41の側壁31の上端部には凹部42が形成される。凹部42の深さH3は2μm以上10μm以下である。凹部42の幅は溝部32の幅W1より保護膜41の厚みの2倍分だけ狭くなる。
【0072】
(第3の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0073】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0074】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0075】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0076】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0077】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0078】
次に、導電体21の表面に、感性光レジスト層を形成する。感性光レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0079】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0080】
次に、側壁31の上端部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0081】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0082】
次に、絶縁体による保護膜41を導電体21及び側壁31の上端部を覆うように形成する。保護膜41の形成には、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法などを用いることができる。
【0083】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0084】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0085】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0086】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0087】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0088】
第3の実施形態によれば、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備えので、導電体21の腐蝕を防止することができる、という効果がある。
【0089】
(第4の実施形態)
第4の実施形態におけるインクジェットヘッド130は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0090】
図9は、第4の実施形態のインクジェットヘッド130の図1におけるBB線断面図である。図9に示すように、インクジェットヘッド130は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0091】
図10は、第4の実施形態のインクジェットヘッド130の図9における一点鎖線61の部分の拡大図である。図10に示すように、インクジェットヘッド130は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。溝部32は、導電体21の一部および圧電素子12の一端面側において、保護膜41の一部を欠くことによって形成されている。
【0092】
溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部32の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0093】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。
【0094】
さらに、インクジェットヘッド130は、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備える。保護膜41の厚みは2μm以上10μm以下である。この保護膜41は溝部32を覆う部分が除去されている。
【0095】
深さH2+H3が0.5μm未満であると、溝部32から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2+H3が10μmを超える深さにしようとすると、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0096】
(第4の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0097】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0098】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0099】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0100】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0101】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0102】
次に、導電体21の表面に、感性光レジスト層を形成する。感性光レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0103】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0104】
次に、側壁31の上端部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0105】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0106】
次に、絶縁体による保護膜41を導電体21及び側壁31の上端部を覆うように形成する。保護膜41の形成には、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法などを用いることができる。
【0107】
次に、保護膜41の表面を覆うように感光性レジスト層を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて溝部32の部分の感光性レジスト層を除去する。
【0108】
次に、感光性レジスト層が除去された部分の保護膜41を、ドライエッチング法又はイオンミリング法などによりエッチングする。
【0109】
次に、感光性レジスト層をすべて除去する。
【0110】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0111】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0112】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0113】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0114】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0115】
第4の実施形態によれば、導電体21及び側壁31の上端部を覆い、溝部32を覆わない保護膜41を備えるので、導電体21の腐蝕を防止するとともに、接着剤のはみ出しをさらに確実に防止することができる、という効果がある。
【0116】
(第5の実施形態)
第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0117】
第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130のいずれかを用いることができる。
【0118】
図11は第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140の圧電素子12の上端部付近を示す図である。第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130の側壁31の上端部と連続して形成された斜面50上に、溝部22または溝部32と連続する斜面溝部51をさらに有する。
【0119】
(第5の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
溝部22または溝部32と、斜面溝部51の製法について、説明する。
【0120】
[1]圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に感光性レジスト層を形成する。
[2]フォトリソグラフィ法を用いて、側壁31の上端部の、溝部22または溝部32にあたる部分、および斜面50の斜面溝部51とする部分の感光性レジスト層を除去する。
[3]感光性レジスト層が除去された部分の圧電素子12A、導電体21、または保護膜41を、ウェットエッチング法、ドライエッチング法又はイオンミリング法などによりエッチングする。
[4]感光性レジスト層をすべて除去する。
【0121】
上記[1]乃至[4]の工程により、溝部22または溝部32と斜面溝部51とを、一括して形成する。
【0122】
(第5の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態のインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130の側壁31の上端部と連続して形成された斜面50上に、溝部22または溝部32と連続する斜面溝部51をさらに有する。
【0123】
従って、本実施形態のインクジェットヘッド140は、側壁31の上端部とノズルプレート14とを接着する際に使用する接着剤の量が多い場合、過剰の接着剤は斜面50の方向にはみ出し、ノズル穴15の方向にははみ出しづらくなる。斜面溝部51が、図2に示す圧力室30のインク流入口72またはインク流出口71方向への、接着剤のはみ出しを抑える。
【0124】
よって、インク流入口72やインク流出口71部分でインクの流れが阻害されず、各圧力室へ均一にインクが供給されるという効果がある。さらに、溝部22または32と斜面溝部51が連続して作られているので、接着剤のはみ出しを想定内に抑え込むことが容易となるという効果がある。
【0125】
さらに、溝部22または溝部32と、斜面溝部51と、を同時に形成できることから、最小限の工程により設けることができる、という効果がある。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
11・・・基板、
12・・・圧電素子、
13・・・枠体、
14・・・ノズルプレート、
21・・・導電体、
22・・・溝部、
30・・・圧力室。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、ベース基板と、このベース基板の上に載置される、溝を刻みこんだ圧電素子と、ベース基板の上に圧電素子を囲むように載置される枠体と、圧電素子の溝の側壁の上端に接着剤により接着される、ノズル穴を有するノズルプレートと、を有する。
【0003】
インクジェットプリンタヘッドは、圧電素子が変形することにより溝の内部にインクを吸い込み、圧電素子が他の方向に変形することにより溝の内部のインクをノズル穴から吐出する。
【0004】
従来のインクジェットヘッドは、圧電素子の溝の側壁の上端部に塗布される接着剤が多いと、圧力室である溝の内部に接着剤が多量にはみ出す。接着剤が想定以上にはみ出すと、圧力室の容積が小さくなり、規定のインク量を吐出することができなくなり、インク着弾精度が大幅に低下する。
【0005】
また、ノズル穴はノズルプレートを圧電素子に接着した後に鑽孔される。接着剤がノズル穴の鑽孔位置にまで達していると、ノズル穴は円をなさず変形した形に鑽孔される。または、ノズル孔が予め鑽孔されたノズルプレートを圧電素子に接着する場合、接着剤がノズル穴の鑽孔位置にまで達するとノズル穴は円をなさず変形した形になってしまう。ノズル穴が変形していると、印字品質に悪影響が出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−69800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、接着剤によって圧電素子にノズルプレートを接着したとき、この接着剤が圧力室内に、想定以上にはみ出さないインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のインクジェットヘッドは、複数のノズルを有するノズルプレートと、前記ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに前記圧力室を加圧して前記ノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、前記圧電素子が接着される基板と、前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、を具備し、前記圧電素子の一端面側には溝部が形成され、前記ノズルプレートは、前記側壁の上端部に塗布するとともに前記溝部に充填させた接着剤で前記圧電素子に接着されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクジェットヘッドの構成を表す図である。
【図2】インクジェットヘッドの図1におけるAA線断面図である。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図4】第1の実施形態のインクジェットヘッドの図3における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図5】第2の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図6】第2の実施形態のインクジェットヘッドの図5における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図7】第3の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図8】第3の実施形態のインクジェットヘッドの図7における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図9】第4の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。
【図10】第4の実施形態のインクジェットヘッドの図9における一点鎖線の部分の拡大図である。
【図11】第5の実施形態のインクジェットヘッドの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の構成を表す図である。図2は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面図である。図3は、第1の実施形態のインクジェットヘッドの図1におけるBB線断面図である。図1乃至図3に示すように、インクジェットヘッド100は、ヘッド構成部材である基板11と、この基板11の上に載置され、圧力室30が刻み込まれ、この圧力室30の側壁31の上端部に溝部22を有する圧電素子12と、この圧電素子12を囲むように基板11に載置される枠体13と、圧電素子12の側壁31の上端部に接着され、ノズル穴15を有するノズルプレート14と、を備える。
【0012】
インクジェットヘッド100は、基板11、枠体13およびノズルプレート14で囲まれた空間に、共通液室10を有している。共通液室10は、圧力室30に連通している。
【0013】
基板11は、アルミナ誘電体により方形板状に形成される。基板11には、複数のインク吸入孔17と、複数のインク排出孔16とが、基板11を貫通して形成されている。複数のインク排出孔16は、基板11の長手方向に沿ってエッジ寄りに並べて形成されている。複数のインク吸入孔17は、基板11の長手方向に沿って略中央に並べて形成されている。基板11上には、複数の電気配線が設けられている。
【0014】
他の基板11の材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などのセラミックスを用いることも可能である。
【0015】
ノズルプレート14は、ポリイミド製の樹脂により形成される。ノズルプレート14は、圧力室30の上部に一対のノズル列9を有する。各ノズル列9は、複数のノズル穴15を含んでいる。ノズル穴15は、インク滴の吐出孔として機能するもので、等間隔で形成されている。ノズルプレート14は、他の樹脂フィルムで形成してもよく、例えばレーザーを用いてノズル穴15を形成容易な材料であればよい。ノズルプレート14のインク滴吐出側の表面には、例えばフッ素樹脂などにより撥水膜が形成されている。
【0016】
他のノズルプレート14材料として、ニッケルプレートやシリコンプレートを用いることができる。ニッケルノズルプレートは電鋳法によってノズルを有するニッケルプレートを形成し、インク吐出側の表面に撥水膜が形成されたものである。シリコンプレートは単結晶シリコン板を異方性エッチングによって形成し、インク吐出側の表面に撥水膜が形成されたものである。
【0017】
インクジェットヘッド100は、圧電素子12を基板11の上に2列有している。圧電素子12は、インクをノズルから吐出させる圧力を発生させる。図3に示すように、圧電素子12は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いている。PZT製の板状の第1の圧電素子12Bおよび第2の圧電素子12Aを互いの分極方向を対向させるように貼り合わせて形成される。圧電素子12は、断面が台形形状で、主走査方向に延びた棒状に形成されている。圧電素子12は、長手方向(主走査方向)と交差する方向(副走査方向)に延びた複数の溝部がその表面に形成されている。さらに、各溝部の両側部に設けられる駆動素子である側壁31および溝部の底面に形成される電極19を有している。このような構造において、側壁31の内面33、溝部の底面、およびノズルプレート14に囲まれた部位が、主走査方向に並んだ複数の圧力室30を形成している。
【0018】
PZTの代わりに、PTO(PbTiO3:チタン酸鉛)PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)、PZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3)、ZnOなどを用いることも可能である。
【0019】
圧電素子12は、ノズルプレート14上のノズル列9に対応するように、基板11上に接着される。圧力室30および側壁31は、それぞれノズル穴15に対応するように、ノズル穴15と同じピッチで形成されている。
【0020】
ノズルプレート14の周縁部が、枠体13に接着され、基板11、枠体13、およびノズルプレート14によって囲まれたインク室8が形成される。
【0021】
インクジェットヘッド100は、枠体13の外側に圧電素子12を駆動させるドライバIC18を有しており、ドライバIC18と圧電素子12は、電極19と接続している。さらに、基板11上の電気配線の一端は電極19に接続されるとともに、電気配線の他端は、ドライバIC18に接続されている。
【0022】
上記のように構成したインクジェットヘッド100をプリンタに搭載し、印刷を行うには、プリンタのインクタンクから、インクジェットヘッド100にインクを供給する。インクタンクから供給されたインクは、インク吸入孔17、インク共通液室10およびインク室8を経由して、圧力室30内に満たされる。圧力室30内で使用されなかったインクは、インク排出孔16を経由して、インクタンクに回収される。
【0023】
また、この状態で、ユーザがプリンタに対して印刷を指示すると、プリンタの制御部は、印字信号をドライバIC18に出力する。印字信号を受けたドライバIC18は、電気配線を介して、駆動パルス電圧を電極19に印加する。これにより、インク滴を吐出させることが選択された圧力室30の両側にある、左右一対の側壁31は、シェアーモード変形をして湾曲するように離反する。そして、この変形を初期位置に復帰させて、当該圧力室30内の圧力を高くして、対向するノズル穴15からインク滴が吐出される。
【0024】
図3に示すように、インクジェットヘッド100は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。
【0025】
図4は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図3における一点鎖線20の部分の拡大図である。図4に示すように、インクジェットヘッド100は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの一端面側である第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部22を有する。
【0026】
溝部22の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0027】
溝部22の深さH1は、0.5μm以上10μm以下が望ましい。0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、10μmを超えると側壁31の強度が弱くなりすぎる。
【0028】
(第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0029】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0030】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0031】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0032】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0033】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0034】
次に、圧力室30の側壁31の上端部の導電体21を化学的エッチングまたは機械的に除去する。さらに、圧電素子12の斜面50および基板11上の導電体21については、レーザーを照射して不要部分を除去し、電極19を形成する。
【0035】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面を覆うように、感光性レジスト層を形成する。感光性レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法を用いて形成することができる。
【0036】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部22にあたる部分の感光性レジスト層を除去する。
【0037】
次に、感光性レジスト層が除去された部分の第2の圧電素子12Aを0.5μm以上10μm以下の厚み分だけエッチングする。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0038】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0039】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0040】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14にレーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0041】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0042】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0043】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0044】
第1の実施形態によれば、接着剤によって圧電素子12にノズルプレート14を接着する際に、余分な接着剤が溝部22に入り込み、圧力室30へはみ出すのを抑制することができる。特に、ノズル周辺の接着剤の付着が抑制され、インクの着弾精度を低下させることがない。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態におけるインクジェットヘッド110の図1におけるAA線断面の構成は、第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0046】
図5は、第2の実施形態のインクジェットヘッド110の図1におけるBB線断面図である。図5に示すように、インクジェットヘッド110は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0047】
図6は、第2の実施形態のインクジェットヘッド110の図5における一点鎖線35の部分の拡大図である。図6に示すように、インクジェットヘッド110は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。側壁31および圧電素子12の一端面側は導電体21で被覆され、溝部32は、導電体21の一部を欠いて形成されている。
【0048】
溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0049】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。深さH2が0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2が10μmを超える深さにするには、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0050】
(第2の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0051】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0052】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0053】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0054】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0055】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0056】
次に、導電体21の表面に、感光性レジスト層を形成する。感光性レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0057】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0058】
次に、側壁31の上部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0059】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0060】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0061】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0062】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0063】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0064】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0065】
第2の実施形態によれば、溝部32をインクジェットヘッドの必須の構成要素である電極19を利用して形成することができる。さらに、溝部32は、電極19および電気配線が形成される工程で作成することができる。したがって、新たな材料や工程を追加せずに形成できるので、製作工程は、複雑にならずコストも抑えられる。
【0066】
(第3の実施形態)
第3の実施形態におけるインクジェットヘッド120は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0067】
図7は、第3の実施形態のインクジェットヘッド120の図1におけるBB線断面図である。図7に示すように、インクジェットヘッド120は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0068】
図8は、第3の実施形態のインクジェットヘッド120の図7における一点鎖線40の部分の拡大図である。図8に示すように、インクジェットヘッド120は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部22の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0069】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。深さH2が0.5μm未満であると、溝部22から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2が10μmを超える深さにしようとすると、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0070】
さらに、インクジェットヘッド120は、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備える。導電体21、圧電素子12の一端面側および溝部32が保護膜41で被覆されている。
【0071】
保護膜41の厚みは2μm以上10μm以下である。従って、保護膜41の側壁31の上端部には凹部42が形成される。凹部42の深さH3は2μm以上10μm以下である。凹部42の幅は溝部32の幅W1より保護膜41の厚みの2倍分だけ狭くなる。
【0072】
(第3の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0073】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0074】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0075】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0076】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0077】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0078】
次に、導電体21の表面に、感性光レジスト層を形成する。感性光レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0079】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上端部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0080】
次に、側壁31の上端部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0081】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0082】
次に、絶縁体による保護膜41を導電体21及び側壁31の上端部を覆うように形成する。保護膜41の形成には、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法などを用いることができる。
【0083】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0084】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0085】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0086】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0087】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0088】
第3の実施形態によれば、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備えので、導電体21の腐蝕を防止することができる、という効果がある。
【0089】
(第4の実施形態)
第4の実施形態におけるインクジェットヘッド130は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0090】
図9は、第4の実施形態のインクジェットヘッド130の図1におけるBB線断面図である。図9に示すように、インクジェットヘッド130は、基板11の上に第1の圧電素子12Bを凹凸が連続するくしの歯状に有し、この第1の圧電素子12Bの凸部の上端に、第1の圧電素子12Bとは極性が逆となる第2の圧電素子12Aと、圧力室30の側壁31を断面コの字状に覆う導電体21と、を有する。導電体21の厚みは、0.5μm以上10μm以下である。
【0091】
図10は、第4の実施形態のインクジェットヘッド130の図9における一点鎖線61の部分の拡大図である。図10に示すように、インクジェットヘッド130は、圧電素子12の側壁31の上端、すなわち第2の圧電素子12Aの第1の圧電素子12Bと対向する面に溝部32を有する。溝部32は、導電体21の一部および圧電素子12の一端面側において、保護膜41の一部を欠くことによって形成されている。
【0092】
溝部32の両側の凸部の幅W2が10μm以上30μm以下であるとき、溝部32の幅W1は30μm以上70μm以下である。すなわち、W2:W1=1:7から1:1である。
【0093】
溝部32の深さH2は、導電体21の厚みと等しい厚さである。すなわち、深さH2は、0.5μm以上10μm以下である。
【0094】
さらに、インクジェットヘッド130は、導電体21及び側壁31の上端部を覆う保護膜41を備える。保護膜41の厚みは2μm以上10μm以下である。この保護膜41は溝部32を覆う部分が除去されている。
【0095】
深さH2+H3が0.5μm未満であると、溝部32から接着剤23が想定以上にはみ出しやすくなり、深さH2+H3が10μmを超える深さにしようとすると、第2の圧電素子12Aを穿つための工程を設ける必要がある。
【0096】
(第4の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
まず、焼成前のセラミックシートで構成される基板11に対して、プレス成形によって、インク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。或いは、矩形板状の基板11を用意して、機械加工によってインク吸入孔17とインク排出孔16を形成する。
【0097】
インク吸入孔17とインク排出孔16とを有する基板11の上に、一対の第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aとを分極方向が逆向きなるように接着剤で貼り合わせたものを接着する。第1の圧電素子12Bと第2の圧電素子12Aを貼り合わせる接着剤、および圧電素子12を基板11に貼り合わせる接着剤は、例えば加熱により硬化するエポキシ系の接着剤が好適である。
【0098】
次に、接着した圧電素子12を、長手方向に沿った両側面を斜めにし、断面が台形となるように切削加工する。
【0099】
次に、ダイシングソーのダイアモンドホイールなどを用いて、圧電素子12の基板11から離間した上方から、複数の溝部(圧力室30)を切削加工する。複数の圧力室30は、圧電素子12の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室30の間には、それぞれ側壁31が形成される。
【0100】
次に、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に導電体21を形成する。導電体21は、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって形成される。
【0101】
より具体的には、圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面上に無電解メッキ法によりNiの層を形成し、次に電解メッキ法によりAu層を形成する。
【0102】
次に、導電体21の表面に、感性光レジスト層を形成する。感性光レジスト層は、スプレー法、スピンナー法、電着法、を用いて形成することができる。
【0103】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて側壁31の上部の溝部32にあたる部分の感光性レジスト層、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の導電体21の不要部の感光性レジスト層を除去する。
【0104】
次に、側壁31の上端部の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21、および、圧電素子12の斜面50上と基板11上の感光性レジスト層が除去された部分の導電体21を、その厚み分だけエッチングし除去する。導電体21の厚みは0.5μm以上10μm以下である。エッチングにはウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法などを用いることができる。
【0105】
次に、感性光レジスト層を全て剥離する。剥離には、ウェット法、ドライ法を用いることができる。
【0106】
次に、絶縁体による保護膜41を導電体21及び側壁31の上端部を覆うように形成する。保護膜41の形成には、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法などを用いることができる。
【0107】
次に、保護膜41の表面を覆うように感光性レジスト層を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて溝部32の部分の感光性レジスト層を除去する。
【0108】
次に、感光性レジスト層が除去された部分の保護膜41を、ドライエッチング法又はイオンミリング法などによりエッチングする。
【0109】
次に、感光性レジスト層をすべて除去する。
【0110】
次に、基板11に枠体13を接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0111】
次に、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上部に、接着剤を用いてノズルプレート14を接着し、ノズルプレート14に、レーザーを照射してノズル穴15を鑽孔する。
【0112】
または、あらかじめ、ノズル穴15が鑽孔されたノズルプレート14を、枠体13、及び圧電素子12の側壁31の上端部に、接着剤を用いて接着する。接着剤は、例えば、熱硬化型のエポキシ系接着剤が、好適である。
【0113】
次に、基板11上の電極19にドライバIC18を接続する。
【0114】
次に、基板11に対して図示しないインクケースを接着する。
【0115】
第4の実施形態によれば、導電体21及び側壁31の上端部を覆い、溝部32を覆わない保護膜41を備えるので、導電体21の腐蝕を防止するとともに、接着剤のはみ出しをさらに確実に防止することができる、という効果がある。
【0116】
(第5の実施形態)
第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、図1におけるAA線断面の構成は第1の実施形態のインクジェットヘッド100の図1におけるAA線断面の構成と同様である。
【0117】
第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130のいずれかを用いることができる。
【0118】
図11は第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140の圧電素子12の上端部付近を示す図である。第5の実施形態におけるインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130の側壁31の上端部と連続して形成された斜面50上に、溝部22または溝部32と連続する斜面溝部51をさらに有する。
【0119】
(第5の実施形態のインクジェットヘッドの製造方法)
溝部22または溝部32と、斜面溝部51の製法について、説明する。
【0120】
[1]圧力室30の側壁31、圧電素子12の斜面50、および基板11の表面に感光性レジスト層を形成する。
[2]フォトリソグラフィ法を用いて、側壁31の上端部の、溝部22または溝部32にあたる部分、および斜面50の斜面溝部51とする部分の感光性レジスト層を除去する。
[3]感光性レジスト層が除去された部分の圧電素子12A、導電体21、または保護膜41を、ウェットエッチング法、ドライエッチング法又はイオンミリング法などによりエッチングする。
[4]感光性レジスト層をすべて除去する。
【0121】
上記[1]乃至[4]の工程により、溝部22または溝部32と斜面溝部51とを、一括して形成する。
【0122】
(第5の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態のインクジェットヘッド140は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のインクジェットヘッド100、110、120、130の側壁31の上端部と連続して形成された斜面50上に、溝部22または溝部32と連続する斜面溝部51をさらに有する。
【0123】
従って、本実施形態のインクジェットヘッド140は、側壁31の上端部とノズルプレート14とを接着する際に使用する接着剤の量が多い場合、過剰の接着剤は斜面50の方向にはみ出し、ノズル穴15の方向にははみ出しづらくなる。斜面溝部51が、図2に示す圧力室30のインク流入口72またはインク流出口71方向への、接着剤のはみ出しを抑える。
【0124】
よって、インク流入口72やインク流出口71部分でインクの流れが阻害されず、各圧力室へ均一にインクが供給されるという効果がある。さらに、溝部22または32と斜面溝部51が連続して作られているので、接着剤のはみ出しを想定内に抑え込むことが容易となるという効果がある。
【0125】
さらに、溝部22または溝部32と、斜面溝部51と、を同時に形成できることから、最小限の工程により設けることができる、という効果がある。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
11・・・基板、
12・・・圧電素子、
13・・・枠体、
14・・・ノズルプレート、
21・・・導電体、
22・・・溝部、
30・・・圧力室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有するノズルプレートと、
前記ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに前記圧力室を加圧して前記ノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、
前記圧電素子が接着される基板と、
前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、
を具備し、
前記圧電素子の一端面側には溝部が形成され、
前記ノズルプレートは、前記側壁の上端部に塗布するとともに前記溝部に充填させた接着剤で前記圧電素子に接着されたインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記側壁および前記圧電素子の一端面側は導電体で被覆され、前記溝部は、前記導電体の一部を欠いて形成された請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記導電体、前記圧電素子の一端面側および前記溝部が保護膜で被覆された請求項2記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記溝部は、前記導電体の一部および前記圧電素子の一端面側において、前記保護膜の一部を欠くことによって形成された請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記溝部の深さは、0.5μm以上10μm以下である請求項5記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記溝部の深さは、前記導電体の厚さと等しく、0.5μm以上10μm以下である請求項2記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記保護膜は、厚みが2μm以上10μm以下である請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項4記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記圧電素子は、
前記圧電素子の上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面と、
前記斜面の上に、前記圧力室の側壁の上端部の前記溝部と連続した斜面溝部と、
を備える請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
誘電体により形成される基板と、
前記基板の上に載置され、内部に空間及び導電体を有する圧力室を具備し、前記圧力室の側壁の上端部に溝部を有する圧電素子と、
前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、
前記側壁の上端部に接着され、ノズル穴を有するノズルプレートと、
を備えるインクジェットヘッド。
【請求項12】
前記側壁および前記圧電素子の一端面側は導電体で被覆され、前記溝部は、前記導電体の一部を欠いて形成された請求項11記載のインクジェットヘッド。
【請求項13】
前記導電体、前記圧電素子の一端面側および前記溝部が保護膜で被覆された請求項12記載のインクジェットヘッド。
【請求項14】
前記溝部は、前記導電体の一部および前記圧電素子の一端面側において、前記保護膜の一部を欠くことによって形成された請求項13記載のインクジェットヘッド。
【請求項15】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項11記載のインクジェットヘッド。
【請求項16】
前記圧電素子は、
前記圧電素子の上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面と、
前記斜面の上に、前記圧力室の側壁の上端部の前記溝部と連続した斜面溝部と、
を備える請求項11乃至請求項15のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項17】
複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに圧力室を加圧してノズルからインクを吐出させ駆動素子と成る側壁とを有する圧電素子と、圧電素子が接着される基板を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子に前記圧力室を形成する工程と、
前記圧力室の側壁の上端に溝部を形成する工程と、
前記上端部に、接着剤を塗布して前記ノズルプレートを接着する工程と、
を含むインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記圧電素子は、
その上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面を備え、
前記側壁の上端部の前記溝部と連続する、前記斜面形成された斜面溝部を形成する工程をさらに有する請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記圧力室の導電体を覆う保護膜を設ける工程をさらに含む請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記圧力室の導電体を覆う保護膜を設ける工程をさらに含む請求項18記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項1】
複数のノズルを有するノズルプレートと、
前記ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに前記圧力室を加圧して前記ノズルから液を吐出させる駆動素子と成る側壁と、を有する圧電素子と、
前記圧電素子が接着される基板と、
前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、
を具備し、
前記圧電素子の一端面側には溝部が形成され、
前記ノズルプレートは、前記側壁の上端部に塗布するとともに前記溝部に充填させた接着剤で前記圧電素子に接着されたインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記側壁および前記圧電素子の一端面側は導電体で被覆され、前記溝部は、前記導電体の一部を欠いて形成された請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記導電体、前記圧電素子の一端面側および前記溝部が保護膜で被覆された請求項2記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記溝部は、前記導電体の一部および前記圧電素子の一端面側において、前記保護膜の一部を欠くことによって形成された請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記溝部の深さは、0.5μm以上10μm以下である請求項5記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記溝部の深さは、前記導電体の厚さと等しく、0.5μm以上10μm以下である請求項2記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記保護膜は、厚みが2μm以上10μm以下である請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項4記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記圧電素子は、
前記圧電素子の上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面と、
前記斜面の上に、前記圧力室の側壁の上端部の前記溝部と連続した斜面溝部と、
を備える請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
誘電体により形成される基板と、
前記基板の上に載置され、内部に空間及び導電体を有する圧力室を具備し、前記圧力室の側壁の上端部に溝部を有する圧電素子と、
前記圧電素子を囲むように前記基板に載置される枠体と、
前記側壁の上端部に接着され、ノズル穴を有するノズルプレートと、
を備えるインクジェットヘッド。
【請求項12】
前記側壁および前記圧電素子の一端面側は導電体で被覆され、前記溝部は、前記導電体の一部を欠いて形成された請求項11記載のインクジェットヘッド。
【請求項13】
前記導電体、前記圧電素子の一端面側および前記溝部が保護膜で被覆された請求項12記載のインクジェットヘッド。
【請求項14】
前記溝部は、前記導電体の一部および前記圧電素子の一端面側において、前記保護膜の一部を欠くことによって形成された請求項13記載のインクジェットヘッド。
【請求項15】
前記溝部の凸部の幅が5μm以上であるとき、前記溝部の凹部の幅との比率はW2:W1=1:1から1:7である請求項11記載のインクジェットヘッド。
【請求項16】
前記圧電素子は、
前記圧電素子の上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面と、
前記斜面の上に、前記圧力室の側壁の上端部の前記溝部と連続した斜面溝部と、
を備える請求項11乃至請求項15のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項17】
複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに対応する複数の圧力室と、この圧力室に隣接して設けられるとともに圧力室を加圧してノズルからインクを吐出させ駆動素子と成る側壁とを有する圧電素子と、圧電素子が接着される基板を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記圧電素子に前記圧力室を形成する工程と、
前記圧力室の側壁の上端に溝部を形成する工程と、
前記上端部に、接着剤を塗布して前記ノズルプレートを接着する工程と、
を含むインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記圧電素子は、
その上端部と連続し、かつ前記ノズルプレートと接しない斜面を備え、
前記側壁の上端部の前記溝部と連続する、前記斜面形成された斜面溝部を形成する工程をさらに有する請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記圧力室の導電体を覆う保護膜を設ける工程をさらに含む請求項17記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記圧力室の導電体を覆う保護膜を設ける工程をさらに含む請求項18記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−96525(P2012−96525A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103548(P2011−103548)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]