インクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法
【課題】記録される画像の濃度ムラを低減して印字品質の低下を防止することのできるインクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法を提供する
【解決手段】各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によってノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータ(21)と、各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部(24)と、補正データに基づいて、複数の駆動信号の中から1つの駆動信号(26)を選択する選択部(23)と、選択された駆動信号を所定のタイミングでアクチュエータに出力する駆動部(22)とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応してインクジェットヘッドのノズルを複数のグループに分類し、補正データは、分類されたノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【解決手段】各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によってノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータ(21)と、各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部(24)と、補正データに基づいて、複数の駆動信号の中から1つの駆動信号(26)を選択する選択部(23)と、選択された駆動信号を所定のタイミングでアクチュエータに出力する駆動部(22)とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応してインクジェットヘッドのノズルを複数のグループに分類し、補正データは、分類されたノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドを制御する技術に関し、多数のノズルを備えるインクジェットヘッドにおいて、それぞれのノズルの吐出液滴量のばらつきを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドを備えている。インクジェットヘッドは、インクタンクから供給されたインクを複数の圧力室に分配し、各圧力室に選択的に圧力を発生させ、各圧力室に通じるノズルよりインク滴を吐出するようになされている。インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドと記録媒体を相対的に駆動し、インクジェットヘッドからインク滴を吐出して、記録媒体上に画像を記録する。
【0003】
インクジェットヘッドは、そのインク滴の吐出方法によって、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が知られている。
【0004】
近年、複数のノズルをライン状に設けたインクジェットヘッドを備えたプリンタが開発されている。このようなプリンタは、高速印字ができるという利点を有している。一方で、インクジェットヘッドの長尺化は、製造上、又は材料の特性の理由から、各液滴の吐出特性である液適量を均一に保つことが難しい。このため、記録される画像に濃度むらが発生して画質が劣化し易いという問題点がある。
【0005】
上述の問題を解決するため種々の技術が提案されている。
【0006】
複数のノズルに対応して配置されたアクチュエータ素子をそれぞれ個別に駆動するスイッチング素子を備える。アクチュエータ素子に供給する電圧波形を調整することで、アクチュエータ素子のばらつきを解消して、各ノズルについて吐出インク滴の体積を均一化する(特許文献1参照)。
【0007】
印刷データに基づいて画像を形成するインクジェット記録装置において、インクを吐出する吐出パターンを複数の波形パターンから選択して印字する(特許文献2参照)。
【0008】
各ノズル毎のばらつき補正の有無、複数の液滴吐出特性を複数個の群に分割したときの各群毎の平均吐出特性のばらつき補正の有無、階調印字の有無を含む印字条件を予め定める。更に、該印字条件に応じて駆動素子の各々を駆動するための駆動波形を複数個定める。そして、波形印加手段が、該印字条件に応じて駆動波形を選択して前記駆動素子に印加する。これにより、液滴ノズルの吐出特性のばらつきによる画質の低下を防止する(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−170588号公報
【特許文献2】特開2005−153378号公報
【特許文献3】特開2006−198902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、ノズル毎にデータに応じて調整するためと出されるインク滴のばらつきは抑えることができる。しかし、ばらつきを調整するためには印加する電圧波形を精度良く揃えることが必要となり、それを実現する手段は高価な構成となる。
特許文献2記載の技術では、印字データパターンに応じたばらつきの補正は考慮されるが、ノズルの補正については考慮されていない。
特許文献3に記載の技術では、補正に用いられる駆動波形には精度が必要であるため装置が高価なものとなる。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、記録される画像の濃度ムラを低減して印字品質の低下を防止することのできるインクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【0012】
また本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、前記インクジェットヘッドを分割した複数のブロック毎にノズル駆動装置を備え、前記ノズル駆動装置は、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するためのブロック毎の補正データを記憶する記憶部と、前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応して前記ブロック内の前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【0013】
また本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドと、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッド駆動装置のインクジェットヘッド駆動方法であって、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを前記ノズルの複数のグループ毎に定め、
前記補正データを記憶し、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択し、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力するインクジェットヘッド駆動方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録される画像の濃度ムラを低減して印字品質の低下を防止することのできるインクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
図面を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、ラインインクジェットヘッドを備えた印刷装置を示す。
【0017】
印刷装置は、排出部10、インクジェットヘッド11、印字制御部12、インク供給系13、搬送ベルト14、駆動ローラ15、帯電ローラ17、給紙部18及び給紙ローラ19を備えている。
【0018】
印字制御部12は、インクジェットヘッド11の印字動作を制御する。帯電ローラ17は、搬送ベルト14に記録媒体16を吸着させるために、搬送ベルト14を帯電させる。給紙ローラ19は、給紙部18から記録媒体16を送り出す。
【0019】
記録媒体16は給紙部18の給紙ローラ19で取り出され、搬送ベルト14に吸着された後、搬送ベルト14によって搬送される。この際、あらかじめ作成した印字データがインクジェットヘッド11に転送されている。インクジェットヘッド11は、印字データに基づいて印字動作を制御して、記録媒体16に画像を記録する。記録された記録媒体16は、排出部10に排出される。
【0020】
図2は、印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0021】
インクジェットヘッド11は、アクチュエータ21を備えている。このアクチュエータ21は、インクジェットヘッド11のそれぞれのノズルに対応して設けられ、ノズル数Nと同じ個数Nである。このアクチュエータ21を駆動することで、ノズルから吐出する液滴量が制御される。
【0022】
印字制御部12には、駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24が設けられている。駆動回路22は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。補正データ記憶部24は、補正データDを各アクチュエータ分記憶する。
【0023】
印字制御部12の各部には、印字を制御するための種々の信号が入力される。駆動電圧26は、選択回路23に入力される。印刷データ25及び印刷パルス信号27は、駆動回路22に入力される。
【0024】
駆動電圧26は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するためのm種類(V1−Vm)の駆動電圧である。印刷データ25は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させてインクを吐出させるためのデータである。印刷パルス信号27は、印字タイミングを調整するための信号であり、この印刷パルス信号27に従ってインクジェットヘッド11のアクチュエータ21が駆動される。
補正データ記憶部24に記憶されているインクジェットヘッド11のそれぞれのアクチュエータ21に対応した補正データDが読み出されて、選択回路23に供給される。選択回路23ではアクチュエータ21それぞれの補正データDにしたがって、駆動電圧26のV1−Vmの電圧の内1つの駆動電圧26が選択される。選択された駆動電圧は、印刷パルス信号27のタイミングでアクチュエータ21に供給される。
【0025】
図3は、インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。アクチュエータ21,駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24はアクチュエータ数n用意されている。図3では1つのアクチュエータについての回路部分を示している。
【0026】
補正データ記憶部24にはアクチュエータ21の補正データDが、例えば2bitの情報で記憶されている。その2bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されて選択回路23に供給されて、デコーダに入る。補正データDにしたがってデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14の1つだけが”H”となる。
【0027】
外部からシリアルに送信されてきた印刷データ25は、駆動回路22のシフトレジスタ(不図示)によって各アクチュエータ21毎の印刷データに分解される。印刷パルス信号27と各アクチュエータ21毎のデータに分解された印刷データ25とは駆動回路22内のAND回路を介して駆動パルスP1を生成する。駆動パルスP1と選択信号S11−S14とは選択回路23のAND回路を介してスイッチング素子と接続されている。このスイッチング素子は、選択回路23の外部から供給される駆動電圧(V1−V4)28のいずれか1つを選択するように接続されている。
【0028】
この結果、補正データDによりデコーダで選択された駆動電圧26が駆動パルスP1のタイミングで駆動回路22に供給される。供給された電圧は直接アクチュエータ21に供給されると同時に放電回路にも供給される。このようにして、本インクジェットヘッド駆動回路によれば、補正データDに従って、選択的に電圧を変更することができる。
【0029】
なお、印刷パルス信号27のパルス幅は、インクを吐出させたとき最も大きいインク液滴量が吐出されるように設定すればよい。
【0030】
次に補正データDの作成方法を説明する。
【0031】
補正データDは、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させたときのインク吐出量に対応して求める。インクの吐出量を求める方法には、記録媒体16に単独ドットで画像を形成したときの印字ドット径、記録媒体16とインクジェットヘッド11を相対的に走査させて連続ドットで画像を形成したときの画像の線幅、インクジェットヘッド11から吐出されたインク液滴の撮像・画像処理による体積計算等を用いる方法がある。以下には、ドット径に従って補正量を求める方法を例として説明する。
【0032】
図4は、印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す。駆動電圧が高くなるにしたがって吐出されるインク液滴量は大きくなり、結果として印字ドット径は大きくなる。
【0033】
図5はヘッドのノズル位置を示している。図ではN個のノズルが設けられている。そのノズル位置は♯1、・・・、♯Nで表されている。
【0034】
図6(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0035】
次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitの例であるので、4分割とする例について説明する。
【0036】
図6(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図6(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。(VH−VL)の電圧を4等分して、4つのグループに分割する。それぞれのグループの中心電圧を低いほうからV1,V2,V3,V4と設定する。
【0037】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V1−V4の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V4にする。図6(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。
【0038】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータは駆動される。
【0039】
なお、他の方法として、全アクチュエータ数を複数に分割し、この分割された範囲内で補正データDを作成する方法も容易に考えられる。この方法は比較的なだらかなインク液適量のばらつきを持つインクジェットヘッド11には対応できるが、変化が急な場合には補正精度が悪くなる。図7は、なだらかにインク液滴量がばらつく場合の補正データを示し、図8は、急激にインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す。
【0040】
さらに他の方法を説明する。上記説明においては、アクチュエータ駆動電圧V1−V4の分割は、印字ドット最大となる部分の電圧と印字ドット最小となる部分の電圧を4等分することで補正データDを作成した。図9は、他の方法を説明する図である。
【0041】
図9(A)は、図6(A)と同じであるため説明を省略する。次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitの例であるので、4分割とする例について説明する。
【0042】
図9(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図9(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。
【0043】
印字ドット径の最大径と最小径の範囲を4等分して4グループに分割する。そして各グループの中心電圧を低いほうからV1,V2,V3,V4と設定する。
【0044】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V1−V4の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V4にする。図9(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。
【0045】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータは駆動される。
【0046】
なお、上記の説明における分割数は図3の補正データDが2bitなので4分割としたが、補正データDが3bitであれば8分割すればよい。しかし、分割数を大きくすると補正データD量もそれに伴って増大するため、2bit、3bit程度が望ましい。
【0047】
また、上記の説明において、インク液滴量のばらつきは印字ドット径を用いて補正する例を説明した。しかしこの例に限られず、各アクチュエータから吐出された連続的なインク液滴によって形成された直線の線幅を測定することで同様に行うことができる。
【0048】
さらに、インクジェットヘッド11から直接吐出されるインク液滴をストロボ撮影してインク液滴量体積を求め、この測定に基づいてインク液滴量のばらつきを得ても良い。
【0049】
さらに、印刷されるドットを測定しながら補正データDを調整することも可能である。
【0050】
図10は印刷結果をCCDカメラで撮影して、そのドット径を測定する印刷装置を示す。CCDで読み込んだ画像は、画像処理部に供給される。画像処理部はシェーディング補正などの補正を行い、2値化する。そして、この画像処理結果に基づいて、画像処理部は各アクチュエータから吐出されるインク液滴によって形成されるドット径を測定する。その測定結果のドット径は印字制御部12に供給される。印字制御部12は、補正データDを作成してアクチュエータ駆動電圧を調整する。
【0051】
図11(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果を示す。
【0052】
測定結果の曲線には、2種類のばらつきが存在する。第1のばらつきは、ラインヘッドのノズル配列方向にわたって発生している周波数成分の比較的低いばらつきである。第2のばらつきは、隣接するアクチュエータのばらつきに起因する周波数成分の比較的高いばらつきがある。
【0053】
第2のばらつきが原因となって、アクチュエータごとに補正を行うと吐出体積のむらが逆に目立ってしまう場合がある。図11(B)は、図11(A)の一部、即ち、○で囲んだ部分を拡大して示す。グルーピングした際の境界部分では隣接するアクチュエータを駆動する電圧が交互に切り替わる。この部分が画像形成すると目立つ結果となる。そこで、印字ドット径をノズル位置方向に移動平均し、この結果に基づいて補正データDの作成を行う。このように処理することで図11(C)に示すように曲線が平滑化され、画像のむらを目立たなくすることができる。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0055】
図12は、第2の実施の形態に係る印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0056】
第2の実施の形態では、印字制御部12がD/A変換器71を更に備えている点で第1の実施の形態と異なっている。その他の部位の構成は、図2と同じであるためその詳細の説明は省略する。
【0057】
D/A変換器71は、複数種類のアクチュエータ駆動電圧V1−Vmを生成する。D/A変換器71が生成するアクチュエータ駆動電圧の種別は、補正データ記憶部24から出力される。
【0058】
図13は、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。補正データ記憶部24とD/A変換器71との間には、生成されるアクチュエータ駆動電圧の種類を指定するための3bitの指定線が設けられている。
【0059】
補正データ記憶部24にはD/A変換器71への指定データSが3bitの情報で記憶されている。その3bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されてD/A変換器71に供給される。指定データSにしたがってD/A変換器71は、3bitで指定される駆動電圧を発生させる。このD/A変換器71は、4種のアクチュエータ駆動電圧を発生させる。そして補正データDで選択されたアクチュエータ駆動電圧群を選択し、選択したアクチュエータ駆動電圧群を選択回路23に供給する。
【0060】
なお、他の回路の動作は第1の実施の形態と同様であるため詳細の説明は省略する。
【0061】
図14は、第2の実施の形態の、補正データの作成方法を説明する図である。図14(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。なお、2台のヘッドについて測定した結果を、第1のヘッドについては破線で表し、第2のヘッドについては実線で表している。上述のように、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループ分割する。このときのグループ分割数は、図3で説明した補正データDが2bitなので、4分割する。
【0062】
図14(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図14(A)の横に並べて対応つけたものである。
【0063】
印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。図14(A)に記載されているように、破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)が異なるためそれぞれのVLとVHは同じではない。
【0064】
破線(第1のヘッド)について、印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VH1、印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VL1とする。実線(第2のヘッド)について、印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VH2、印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VL2とする。
【0065】
破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)のそれぞれについて、電圧を4等分して4グループに分ける。破線(第1のヘッド)のグループの中心電圧を低いほうからV11,V12,V13,V14とする。実線(第2のヘッド)のグループの中心電圧を低いほうからV21,V22,V23,V24とする。
【0066】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V11−V14、V21−V24の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。破線(第1のヘッド)で印字ドット径が大きかった部分はアクチュエータ駆動電圧V11、印字ドット径が小さかった部分はアクチュエータ駆動電圧V14にする。実線(第2のヘッド)で印字ドット径が大きかった部分はアクチュエータ駆動電圧V21、印字ドット径が小さかった部分はアクチュエータ駆動電圧V24にする。
【0067】
図14(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す。破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)で示されるアクチュエータ駆動電圧で、アクチュエータを駆動することになる。このときのそれぞれ異なったアクチュエータ駆動電圧V11−V14及びV21−V24はD/A変換器71にそれぞれ記憶される。補正を行う際は、このアクチュエータ駆動電圧に対応した指定データSをD/A変換器71に設定し、V11−V14、V21−V24を生成する。なお、各アクチュエータの補正は、図5で説明した場合と同様に補正データ記憶部24より読み出されてアクチュエータ駆動電圧にしたがって駆動される。
【0068】
以上のようにD/A変換器71を持ちヘッドの特性に合わせてアクチュエータ駆動電圧を調整することが可能となるため、ヘッドごとにアクチュエータ駆動電圧が異なっても調整できる。
【0069】
なお、 本説明では、アクチュエータ駆動電圧を分割する例で説明したが、印字ドット径を分割する方式でも良い。
【0070】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態では、補正データDの作成方法が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0071】
第1の実施の形態では、補正データDは印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLとから決められていた。しかし、インクジェットヘッドのばらつきによっては補正精度が異なる。
【0072】
図15は、補正データDの作成方法を説明する図である。
【0073】
図15(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0074】
図15(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図15(A)の横に並べて対応つけたものである。あらかじめアクチュエータ駆動電圧を等分割する。そして、各アクチュエータ21のインク液滴量のばらつきに対応してアクチュエータ駆動電圧を選択する。図3で説明した補正データDが2bitなので、予めアクチュエータ駆動電圧を4以上に分割する。例えば、6つに分割し、分割されたそれぞれの基準電圧をV1a〜V6aとする。このV1a〜V6aの中からアクチュエータ駆動電圧V1−V4を選択する。
【0075】
図15(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。アクチュエータ駆動電圧は、印字ドット径実測結果に応じて、あらかじめ分割されている電圧から選択される。この図から、V1はV2a、V2はV3a、V3はV4a、V4はV5aが選択される。補正を行う際は、このアクチュエータ駆動電圧に対応した選択データDをD/A変換器71に設定し、V1−V4(V2a一V5a)を生成する。
【0076】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶される。そして、この補正データDにしたがってアクチュエータが駆動される。
【0077】
図16は、吐出したインク液滴量のばらつきが小さい場合の補正データDを示す。この場合では、アクチュエータ駆動電圧は一種類となり、補正しても改善はされない。したがってこの場合は補正を行わない。
【0078】
なお、上述の説明では、アクチュエータ駆動電圧を分割する方式を説明したが、この形態に限定されず、印字ドット径を分割する方式でも良い。
【0079】
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態では、第一の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0080】
第1の実施の形態で示した方法で、補正データDに従って各アクチュエータ駆動電圧を調整してインク液滴量を補正したとき、記録媒体16の同一位置に連続して印刷がされると、その部分のアクチュエータが発熱しインク液適量が大きくなる。その結果補正したインク液適量に局部的なムラが生ずる。第4の実施の形態ではこのような発熱により発生した局部的なムラを補正する方法を説明する。
【0081】
そこで局部的な発熱部分を検出し、当該部分に対応して補正データDを書き換える。局部的な発熱部分を検出する方法として、たとえば画像形成する際に、連続してインクを吐出するように駆動されるアクチュエータの部分を検出すればよい。
【0082】
図17は、局部的な発熱を検出する方法を説明する図である。
【0083】
印字制御部12には、新たにラインメモリが設けられている。印刷データ25は、駆動回路22に入力されると共にラインメモリにも入力される。ラインメモリには、過去nライン分の印刷データ25が格納される。nライン分の印刷データ25について、各アクチュエータ位置に対応したn個のデータをAND演算する。演算した結果を温度による影響を補正するための温度補正信号とする。この温度補正信号に基づき各アクチュエータの補正データDを調整する。例えば、温度補正信号がONとなったときは連続してnライン印字を行っているため、補正データDが1つ低電圧になるように調整する。
【0084】
上述の説明では、画像データの連続する部分を検出し、その部分の補正電圧を調整したが、本発明は、この実施例に限定されない。図10に示すように印刷装置に取り付けてあるCCDカメラで撮像された画像から温度上昇によるインク液滴の増加を検出しても良い。
【0085】
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0086】
第1の実施の形態で示したような方法で、補正データDに従って各アクチュエータ駆動電圧を調整することでインク液滴量を補正したとき、補正されたアクチュエータ駆動電圧の切り替え部分では微小な濃度差が発生する。
【0087】
図18は、微小な濃度差の発生を説明する図である。図18(A)、図18(B)、図18(C)は図5と同じなので説明を省略する。
【0088】
図18(D)は、図18(C)のアクチュエータ駆動電圧V1−V4を使用してインク液滴を飛翔させて画像形成した結果、印刷された印字ドット径を示している。図18(A)と比較すると、ヘッド全体については、ノズルのばらつきを小さく抑えることができる。しかし、電圧切り替え部分では、インク液滴補正が十分でなく、段差(濃度差)が生じている。図19は図18(D)の丸の部分を拡大して示す。
【0089】
図19は、アクチュエータ駆動電圧の切り替え部分に発生する微小な濃度差を解消する方法を説明する図である。
【0090】
境界部分のアクチュエータが連続して同じ補正電圧で補正することが無いよう、即ち、境界部分が連続しないように、アクチュエータの境界位置を左右に移動させる。このように、補正データDを1ライン印字するごとに切り替えて、アクチュエータ駆動電圧が切り替わる境界部分での連続性をなくすことで、濃度差が目立たなくなり補正精度を向上することができる。
【0091】
なお、画像のエッジ部分においては、アクチュエータ駆動電圧の切り替えが原因ではなく、クロストークが発生することによりその端部が濃くなる現象が発生する。この場合であってもエッジ部分を左右に移動させることで、濃度差を目立たなくできる。
【0092】
またこの方式によれば、たとえばマルチドロップ方式を使用した階調印字が可能なインクジェットヘッド11から吐出されるインク液滴量の補正を同様に行うことができる。
【0093】
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0094】
第6の実施の形態では、長尺のインクジェットヘッドの駆動方法について説明する。長尺のインクジェットヘッド全体に渡って第1の実施の形態で説明した方法で補正を行う場合、その吐出ばらつきの補正精度が低下する。これは、長尺のインクジェットヘッド11では、その加工精度だけでなく、材料自身のばらつき変動も無視できなくなり、たとえば吐出されるインク液滴量の最大値と最小値のばらつきが、短いヘッドに比べて大きくなるためである。
【0095】
図20は、長尺のインクジェットヘッドを駆動する方法を説明する図である。
【0096】
長尺のインクジェットヘッドの駆動範囲を複数に分割し、分割されたそれぞれの範囲内においてインク液滴量が一定になるように補正する。この場合、第2の実施の形態のD/A変換器71を持つ方法と組合わせても良く、第3の実施の形態の、駆動範囲をグルーピングする際、グルーピング数より広い範囲で調整できるようにする方法と組合わせても良い。長尺のインクジェットヘッドにこれらの方法を組合わせて用いることで高精度の補正が可能となる。なお、補正の詳細は既に、第2の実施の形態及び第3の実施の形態で説明しているため、再度の説明は省略する。
【0097】
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0098】
第7の実施の形態では、インクジェットヘッド11に補正データDを記憶しておく。そして、補正データDをインクジェットヘッド11から読み出して補正データ記憶部24に記憶する。
【0099】
図21は、第7の実施の形態に係る印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0100】
インクジェットヘッド11は破線部分がコネクタとなっており、取り外しが可能である。インクジェットヘッド11には補正データDが書き込まれている。たとえばPROM(Programmable Read-Only Memory)を使用し、製造した時点で補正データが書き込まれる。補正データDの作成は、第1の実施の形態で説明した方法を用いる。また、補正データ記憶部24はRAM(Random Access Memory)で構成されている。
【0101】
補正データDの読み出し動作について説明する。図22は、読み出しタイミングを示す図である。電源投入時に補正データ読み出し信号が立ち上がり、読み出しモードとなる。次にクロックに同期してPROMから補正データDが読み出され、そのまま補正データ記憶部24に書き込まれる。なお、補正データDには上述の各実施の形態に対応して必要なデータが含まれる。例えば、第2の実施の形態のD/A変換器71を使用する場合は、指定データSが補正データDに含まれる。
【0102】
〔第8の実施の形態〕
第8の実施の形態では、駆動パルス幅によってインク液滴量を制御する点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第8の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0103】
図23は、印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0104】
インクジェットヘッド11は、アクチュエータ21を備えている。このアクチュエータ21は、インクジェットヘッド11のそれぞれのノズルに対応して設けられ、ノズル数Nと同じ個数Nである。このアクチュエータ21を駆動することで、ノズルから吐出する液滴量が制御される。
【0105】
印字制御部12には、駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24が設けられている。駆動回路22は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。補正データ記憶部24は、補正データDを各アクチュエータ分記憶する。
【0106】
印字制御部12の各部には、印字を制御するための種々の信号が入力される。駆動電圧28及び駆動電圧パルス29は、選択回路23に入力される。印刷データ25は、駆動回路22に入力される。
【0107】
駆動電圧28は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するための電圧である。駆動電圧パルス29は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するためのm種類(P1−Pm)のパルス信号である。この駆動パルス幅をもつ駆動電圧28でインクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。印刷データ25は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させてインクを吐出させるためのデータである。
【0108】
補正データ記憶部24に記憶されているインクジェットヘッド11のそれぞれのアクチュエータ21に対応した補正データDが読み出されて、選択回路23に供給される。選択回路23ではアクチュエータ21それぞれの補正データDにしたがって、駆動パルス29のP1−Pmの内1つのパルス信号が選択される。選択されたパルス信号は、印刷パルス信号27のタイミングでアクチュエータ21に供給される。
【0109】
図24は、インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。アクチュエータ21,駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24はアクチュエータ数n用意されている。図24では1つのアクチュエータについての回路部分を示している。
【0110】
補正データ記憶部24にはアクチュエータ21の補正データDが2bitの情報で記憶されている。その2bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されて選択回路23に供給されて、デコーダに入る。補正データDにしたがってデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14の1つだけが”H”となる。
【0111】
アクチュエータ駆動パルス29とデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14とはAND回路に入力している。そのため、アクチュエータ駆動パルス29はこの中から1つのパルス幅のみ選択される。
【0112】
外部からシリアルに送信されてきた印刷データ25は、駆動回路22のシフトレジスタ(不図示)によって各アクチュエータ21毎の印刷データに分解される。選択された駆動パルス29と各アクチュエータ21毎のデータに分解された印刷データ26とは選択回路23内のAND回路を介してスイッチング素子と接続されている。このスイッチング素子は、選択回路23の外部から供給される駆動電圧26を選択するように接続されている。
【0113】
この結果、駆動電圧28が補正データDによりデコーダで選択された駆動パルスの幅で駆動回路22に供給される。供給された電圧は直接アクチュエータ21に供給されると同時に放電回路にも供給される。このようにして、本インクジェットヘッド駆動回路によれば、補正データDに従って、選択的に駆動パルス幅を変更することができる。
【0114】
次に補正データDの作成方法を説明する。
【0115】
補正データDは、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させたときのインク吐出量に対応して求める。インクの吐出量を求める方法には、記録媒体16に単独ドットで画像を形成したときの印字ドット径、記録媒体16とインクジェットヘッド11を相対的に走査させて連続ドットで画像を形成したときの画像の線幅、インクジェットヘッド11から吐出されたインク液滴の撮像・画像処理による体積計算等を用いる方法がある。以下には、ドット径に従って補正量を求める方法を例として説明する。
【0116】
図25は、印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示す。パルス幅が広くなるに従って吐出されるインク液滴量は大きくなり、結果として印字ドット径は大きくなる。
【0117】
図26(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0118】
次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitであるので、4分割する。
【0119】
図26(B)は、図25で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を、図26(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動パルス幅PHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動パルス幅PLを求める。(PH−PL)の範囲を4等分して、4つのグループに分割する。それぞれのグループの中心パルス幅を低いほうからP1,P2,P3,P4と設定する。
【0120】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化されたパルス幅P1−P4の中からアクチュエータ駆動パルス幅を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動パルス幅P1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動パルス幅P4にする。図26(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示したものである。
【0121】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動パルス幅がP1であれば”00”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP2であれば”01”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP3であれば”10”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータ21は駆動される。
【0122】
〔第9の実施の形態〕
第9の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0123】
図27は、印刷結果の画像をスキャナーで取り込み、そのドット径を測定する印刷装置を示す。印刷装置には、画像を読み込むための読取装置が設けられている。
【0124】
ユーザは、補正データDを生成させるための所定のパターンを記録媒体16に記録させる。そして、記録された記録媒体16を、読取装置にセットし、スキャナーによって印刷されたパターンを読み込む操作を行う。読取装置で読み込まれた画像は、画像処理部に供給される。画像処理部はシェーディング補正などの補正を行い、画像を2値化する。そして、この画像処理結果に基づいて、画像処理部は各アクチュエータから吐出されるインク液滴によって形成されるドット径を測定する。その測定結果のドット径は印字制御部12に供給される。印字制御部12は、補正データDを作成してアクチュエータ駆動電圧を調整する。
【0125】
なお、印刷する所定のパターンは、ドット径を表すものに限られず、直線の線幅を表すものであっても良く、これらを組合わせたものであっても良い。
【0126】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、インクジェットヘッドの形式は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式の何れであっても良い。
【0127】
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0128】
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
【0129】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】ラインインクジェットヘッドを備えた印刷装置を示す図。
【図2】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図3】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図4】印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す図。
【図5】ヘッドのノズル位置を示す図。
【図6】補正データの作成方法を説明する図。
【図7】なだらかにインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す図。
【図8】急激にインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す図。
【図9】補正データの作成方法を説明する図。
【図10】印刷結果をCCDカメラで撮影して、そのドット径を測定する印刷装置を示す図。
【図11】補正データの作成方法を説明する図。
【図12】印字制御部のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図13】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図14】補正データの作成方法を説明する図。
【図15】補正データの作成方法を説明する図。
【図16】吐出したインク液滴量のばらつきが小さい場合の補正データDを示す図。
【図17】局部的な発熱を検出する方法を説明する図。
【図18】微小な濃度差の発生を説明する図。
【図19】アクチュエータ駆動電圧の切り替え部分に発生する微小な濃度差を解消する方法を説明する図。
【図20】長尺のインクジェットヘッドを駆動する方法を説明する図。
【図21】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図22】読み出しタイミングを示す図
【図23】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図24】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図25】印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示す図。
【図26】補正データの作成方法を説明する図。
【図27】印刷結果の画像をスキャナーで取り込み、そのドット径を測定する印刷装置を示す図。
【符号の説明】
【0131】
11…インクジェットヘッド、12…印字制御部、21…アクチュエータ、22…駆動回路、23…選択回路、24…補正データ記憶部、25…印刷データ、26…駆動電圧、27…印刷パルス信号、28…駆動電圧、29…駆動パルス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドを制御する技術に関し、多数のノズルを備えるインクジェットヘッドにおいて、それぞれのノズルの吐出液滴量のばらつきを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドを備えている。インクジェットヘッドは、インクタンクから供給されたインクを複数の圧力室に分配し、各圧力室に選択的に圧力を発生させ、各圧力室に通じるノズルよりインク滴を吐出するようになされている。インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドと記録媒体を相対的に駆動し、インクジェットヘッドからインク滴を吐出して、記録媒体上に画像を記録する。
【0003】
インクジェットヘッドは、そのインク滴の吐出方法によって、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が知られている。
【0004】
近年、複数のノズルをライン状に設けたインクジェットヘッドを備えたプリンタが開発されている。このようなプリンタは、高速印字ができるという利点を有している。一方で、インクジェットヘッドの長尺化は、製造上、又は材料の特性の理由から、各液滴の吐出特性である液適量を均一に保つことが難しい。このため、記録される画像に濃度むらが発生して画質が劣化し易いという問題点がある。
【0005】
上述の問題を解決するため種々の技術が提案されている。
【0006】
複数のノズルに対応して配置されたアクチュエータ素子をそれぞれ個別に駆動するスイッチング素子を備える。アクチュエータ素子に供給する電圧波形を調整することで、アクチュエータ素子のばらつきを解消して、各ノズルについて吐出インク滴の体積を均一化する(特許文献1参照)。
【0007】
印刷データに基づいて画像を形成するインクジェット記録装置において、インクを吐出する吐出パターンを複数の波形パターンから選択して印字する(特許文献2参照)。
【0008】
各ノズル毎のばらつき補正の有無、複数の液滴吐出特性を複数個の群に分割したときの各群毎の平均吐出特性のばらつき補正の有無、階調印字の有無を含む印字条件を予め定める。更に、該印字条件に応じて駆動素子の各々を駆動するための駆動波形を複数個定める。そして、波形印加手段が、該印字条件に応じて駆動波形を選択して前記駆動素子に印加する。これにより、液滴ノズルの吐出特性のばらつきによる画質の低下を防止する(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−170588号公報
【特許文献2】特開2005−153378号公報
【特許文献3】特開2006−198902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、ノズル毎にデータに応じて調整するためと出されるインク滴のばらつきは抑えることができる。しかし、ばらつきを調整するためには印加する電圧波形を精度良く揃えることが必要となり、それを実現する手段は高価な構成となる。
特許文献2記載の技術では、印字データパターンに応じたばらつきの補正は考慮されるが、ノズルの補正については考慮されていない。
特許文献3に記載の技術では、補正に用いられる駆動波形には精度が必要であるため装置が高価なものとなる。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、記録される画像の濃度ムラを低減して印字品質の低下を防止することのできるインクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【0012】
また本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、前記インクジェットヘッドを分割した複数のブロック毎にノズル駆動装置を備え、前記ノズル駆動装置は、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するためのブロック毎の補正データを記憶する記憶部と、前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、ノズルのインク吐出量特性に対応して前記ブロック内の前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められるインクジェットヘッド駆動装置である。
【0013】
また本発明は、供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドと、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッド駆動装置のインクジェットヘッド駆動方法であって、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを前記ノズルの複数のグループ毎に定め、
前記補正データを記憶し、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択し、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力するインクジェットヘッド駆動方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録される画像の濃度ムラを低減して印字品質の低下を防止することのできるインクジェットヘッド駆動装置及びインクジェットヘッド駆動方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
図面を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、ラインインクジェットヘッドを備えた印刷装置を示す。
【0017】
印刷装置は、排出部10、インクジェットヘッド11、印字制御部12、インク供給系13、搬送ベルト14、駆動ローラ15、帯電ローラ17、給紙部18及び給紙ローラ19を備えている。
【0018】
印字制御部12は、インクジェットヘッド11の印字動作を制御する。帯電ローラ17は、搬送ベルト14に記録媒体16を吸着させるために、搬送ベルト14を帯電させる。給紙ローラ19は、給紙部18から記録媒体16を送り出す。
【0019】
記録媒体16は給紙部18の給紙ローラ19で取り出され、搬送ベルト14に吸着された後、搬送ベルト14によって搬送される。この際、あらかじめ作成した印字データがインクジェットヘッド11に転送されている。インクジェットヘッド11は、印字データに基づいて印字動作を制御して、記録媒体16に画像を記録する。記録された記録媒体16は、排出部10に排出される。
【0020】
図2は、印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0021】
インクジェットヘッド11は、アクチュエータ21を備えている。このアクチュエータ21は、インクジェットヘッド11のそれぞれのノズルに対応して設けられ、ノズル数Nと同じ個数Nである。このアクチュエータ21を駆動することで、ノズルから吐出する液滴量が制御される。
【0022】
印字制御部12には、駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24が設けられている。駆動回路22は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。補正データ記憶部24は、補正データDを各アクチュエータ分記憶する。
【0023】
印字制御部12の各部には、印字を制御するための種々の信号が入力される。駆動電圧26は、選択回路23に入力される。印刷データ25及び印刷パルス信号27は、駆動回路22に入力される。
【0024】
駆動電圧26は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するためのm種類(V1−Vm)の駆動電圧である。印刷データ25は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させてインクを吐出させるためのデータである。印刷パルス信号27は、印字タイミングを調整するための信号であり、この印刷パルス信号27に従ってインクジェットヘッド11のアクチュエータ21が駆動される。
補正データ記憶部24に記憶されているインクジェットヘッド11のそれぞれのアクチュエータ21に対応した補正データDが読み出されて、選択回路23に供給される。選択回路23ではアクチュエータ21それぞれの補正データDにしたがって、駆動電圧26のV1−Vmの電圧の内1つの駆動電圧26が選択される。選択された駆動電圧は、印刷パルス信号27のタイミングでアクチュエータ21に供給される。
【0025】
図3は、インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。アクチュエータ21,駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24はアクチュエータ数n用意されている。図3では1つのアクチュエータについての回路部分を示している。
【0026】
補正データ記憶部24にはアクチュエータ21の補正データDが、例えば2bitの情報で記憶されている。その2bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されて選択回路23に供給されて、デコーダに入る。補正データDにしたがってデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14の1つだけが”H”となる。
【0027】
外部からシリアルに送信されてきた印刷データ25は、駆動回路22のシフトレジスタ(不図示)によって各アクチュエータ21毎の印刷データに分解される。印刷パルス信号27と各アクチュエータ21毎のデータに分解された印刷データ25とは駆動回路22内のAND回路を介して駆動パルスP1を生成する。駆動パルスP1と選択信号S11−S14とは選択回路23のAND回路を介してスイッチング素子と接続されている。このスイッチング素子は、選択回路23の外部から供給される駆動電圧(V1−V4)28のいずれか1つを選択するように接続されている。
【0028】
この結果、補正データDによりデコーダで選択された駆動電圧26が駆動パルスP1のタイミングで駆動回路22に供給される。供給された電圧は直接アクチュエータ21に供給されると同時に放電回路にも供給される。このようにして、本インクジェットヘッド駆動回路によれば、補正データDに従って、選択的に電圧を変更することができる。
【0029】
なお、印刷パルス信号27のパルス幅は、インクを吐出させたとき最も大きいインク液滴量が吐出されるように設定すればよい。
【0030】
次に補正データDの作成方法を説明する。
【0031】
補正データDは、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させたときのインク吐出量に対応して求める。インクの吐出量を求める方法には、記録媒体16に単独ドットで画像を形成したときの印字ドット径、記録媒体16とインクジェットヘッド11を相対的に走査させて連続ドットで画像を形成したときの画像の線幅、インクジェットヘッド11から吐出されたインク液滴の撮像・画像処理による体積計算等を用いる方法がある。以下には、ドット径に従って補正量を求める方法を例として説明する。
【0032】
図4は、印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す。駆動電圧が高くなるにしたがって吐出されるインク液滴量は大きくなり、結果として印字ドット径は大きくなる。
【0033】
図5はヘッドのノズル位置を示している。図ではN個のノズルが設けられている。そのノズル位置は♯1、・・・、♯Nで表されている。
【0034】
図6(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0035】
次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitの例であるので、4分割とする例について説明する。
【0036】
図6(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図6(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。(VH−VL)の電圧を4等分して、4つのグループに分割する。それぞれのグループの中心電圧を低いほうからV1,V2,V3,V4と設定する。
【0037】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V1−V4の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V4にする。図6(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。
【0038】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータは駆動される。
【0039】
なお、他の方法として、全アクチュエータ数を複数に分割し、この分割された範囲内で補正データDを作成する方法も容易に考えられる。この方法は比較的なだらかなインク液適量のばらつきを持つインクジェットヘッド11には対応できるが、変化が急な場合には補正精度が悪くなる。図7は、なだらかにインク液滴量がばらつく場合の補正データを示し、図8は、急激にインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す。
【0040】
さらに他の方法を説明する。上記説明においては、アクチュエータ駆動電圧V1−V4の分割は、印字ドット最大となる部分の電圧と印字ドット最小となる部分の電圧を4等分することで補正データDを作成した。図9は、他の方法を説明する図である。
【0041】
図9(A)は、図6(A)と同じであるため説明を省略する。次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitの例であるので、4分割とする例について説明する。
【0042】
図9(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図9(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。
【0043】
印字ドット径の最大径と最小径の範囲を4等分して4グループに分割する。そして各グループの中心電圧を低いほうからV1,V2,V3,V4と設定する。
【0044】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V1−V4の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動電圧V4にする。図9(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。
【0045】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータは駆動される。
【0046】
なお、上記の説明における分割数は図3の補正データDが2bitなので4分割としたが、補正データDが3bitであれば8分割すればよい。しかし、分割数を大きくすると補正データD量もそれに伴って増大するため、2bit、3bit程度が望ましい。
【0047】
また、上記の説明において、インク液滴量のばらつきは印字ドット径を用いて補正する例を説明した。しかしこの例に限られず、各アクチュエータから吐出された連続的なインク液滴によって形成された直線の線幅を測定することで同様に行うことができる。
【0048】
さらに、インクジェットヘッド11から直接吐出されるインク液滴をストロボ撮影してインク液滴量体積を求め、この測定に基づいてインク液滴量のばらつきを得ても良い。
【0049】
さらに、印刷されるドットを測定しながら補正データDを調整することも可能である。
【0050】
図10は印刷結果をCCDカメラで撮影して、そのドット径を測定する印刷装置を示す。CCDで読み込んだ画像は、画像処理部に供給される。画像処理部はシェーディング補正などの補正を行い、2値化する。そして、この画像処理結果に基づいて、画像処理部は各アクチュエータから吐出されるインク液滴によって形成されるドット径を測定する。その測定結果のドット径は印字制御部12に供給される。印字制御部12は、補正データDを作成してアクチュエータ駆動電圧を調整する。
【0051】
図11(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果を示す。
【0052】
測定結果の曲線には、2種類のばらつきが存在する。第1のばらつきは、ラインヘッドのノズル配列方向にわたって発生している周波数成分の比較的低いばらつきである。第2のばらつきは、隣接するアクチュエータのばらつきに起因する周波数成分の比較的高いばらつきがある。
【0053】
第2のばらつきが原因となって、アクチュエータごとに補正を行うと吐出体積のむらが逆に目立ってしまう場合がある。図11(B)は、図11(A)の一部、即ち、○で囲んだ部分を拡大して示す。グルーピングした際の境界部分では隣接するアクチュエータを駆動する電圧が交互に切り替わる。この部分が画像形成すると目立つ結果となる。そこで、印字ドット径をノズル位置方向に移動平均し、この結果に基づいて補正データDの作成を行う。このように処理することで図11(C)に示すように曲線が平滑化され、画像のむらを目立たなくすることができる。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0055】
図12は、第2の実施の形態に係る印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0056】
第2の実施の形態では、印字制御部12がD/A変換器71を更に備えている点で第1の実施の形態と異なっている。その他の部位の構成は、図2と同じであるためその詳細の説明は省略する。
【0057】
D/A変換器71は、複数種類のアクチュエータ駆動電圧V1−Vmを生成する。D/A変換器71が生成するアクチュエータ駆動電圧の種別は、補正データ記憶部24から出力される。
【0058】
図13は、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。補正データ記憶部24とD/A変換器71との間には、生成されるアクチュエータ駆動電圧の種類を指定するための3bitの指定線が設けられている。
【0059】
補正データ記憶部24にはD/A変換器71への指定データSが3bitの情報で記憶されている。その3bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されてD/A変換器71に供給される。指定データSにしたがってD/A変換器71は、3bitで指定される駆動電圧を発生させる。このD/A変換器71は、4種のアクチュエータ駆動電圧を発生させる。そして補正データDで選択されたアクチュエータ駆動電圧群を選択し、選択したアクチュエータ駆動電圧群を選択回路23に供給する。
【0060】
なお、他の回路の動作は第1の実施の形態と同様であるため詳細の説明は省略する。
【0061】
図14は、第2の実施の形態の、補正データの作成方法を説明する図である。図14(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。なお、2台のヘッドについて測定した結果を、第1のヘッドについては破線で表し、第2のヘッドについては実線で表している。上述のように、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループ分割する。このときのグループ分割数は、図3で説明した補正データDが2bitなので、4分割する。
【0062】
図14(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図14(A)の横に並べて対応つけたものである。
【0063】
印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLを求める。図14(A)に記載されているように、破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)が異なるためそれぞれのVLとVHは同じではない。
【0064】
破線(第1のヘッド)について、印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VH1、印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VL1とする。実線(第2のヘッド)について、印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VH2、印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VL2とする。
【0065】
破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)のそれぞれについて、電圧を4等分して4グループに分ける。破線(第1のヘッド)のグループの中心電圧を低いほうからV11,V12,V13,V14とする。実線(第2のヘッド)のグループの中心電圧を低いほうからV21,V22,V23,V24とする。
【0066】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化された電圧V11−V14、V21−V24の中からアクチュエータ駆動電圧を決定する。破線(第1のヘッド)で印字ドット径が大きかった部分はアクチュエータ駆動電圧V11、印字ドット径が小さかった部分はアクチュエータ駆動電圧V14にする。実線(第2のヘッド)で印字ドット径が大きかった部分はアクチュエータ駆動電圧V21、印字ドット径が小さかった部分はアクチュエータ駆動電圧V24にする。
【0067】
図14(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す。破線(第1のヘッド)と実線(第2のヘッド)で示されるアクチュエータ駆動電圧で、アクチュエータを駆動することになる。このときのそれぞれ異なったアクチュエータ駆動電圧V11−V14及びV21−V24はD/A変換器71にそれぞれ記憶される。補正を行う際は、このアクチュエータ駆動電圧に対応した指定データSをD/A変換器71に設定し、V11−V14、V21−V24を生成する。なお、各アクチュエータの補正は、図5で説明した場合と同様に補正データ記憶部24より読み出されてアクチュエータ駆動電圧にしたがって駆動される。
【0068】
以上のようにD/A変換器71を持ちヘッドの特性に合わせてアクチュエータ駆動電圧を調整することが可能となるため、ヘッドごとにアクチュエータ駆動電圧が異なっても調整できる。
【0069】
なお、 本説明では、アクチュエータ駆動電圧を分割する例で説明したが、印字ドット径を分割する方式でも良い。
【0070】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態では、補正データDの作成方法が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0071】
第1の実施の形態では、補正データDは印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動電圧VLとから決められていた。しかし、インクジェットヘッドのばらつきによっては補正精度が異なる。
【0072】
図15は、補正データDの作成方法を説明する図である。
【0073】
図15(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0074】
図15(B)は、図4で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を、図15(A)の横に並べて対応つけたものである。あらかじめアクチュエータ駆動電圧を等分割する。そして、各アクチュエータ21のインク液滴量のばらつきに対応してアクチュエータ駆動電圧を選択する。図3で説明した補正データDが2bitなので、予めアクチュエータ駆動電圧を4以上に分割する。例えば、6つに分割し、分割されたそれぞれの基準電圧をV1a〜V6aとする。このV1a〜V6aの中からアクチュエータ駆動電圧V1−V4を選択する。
【0075】
図15(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動電圧の関係を示したものである。アクチュエータ駆動電圧は、印字ドット径実測結果に応じて、あらかじめ分割されている電圧から選択される。この図から、V1はV2a、V2はV3a、V3はV4a、V4はV5aが選択される。補正を行う際は、このアクチュエータ駆動電圧に対応した選択データDをD/A変換器71に設定し、V1−V4(V2a一V5a)を生成する。
【0076】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動電圧がV1であれば”00”B、アクチュエータ駆動電圧がV2であれば”01”B、アクチュエータ駆動電圧がV3であれば”10”B、アクチュエータ駆動電圧がV4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶される。そして、この補正データDにしたがってアクチュエータが駆動される。
【0077】
図16は、吐出したインク液滴量のばらつきが小さい場合の補正データDを示す。この場合では、アクチュエータ駆動電圧は一種類となり、補正しても改善はされない。したがってこの場合は補正を行わない。
【0078】
なお、上述の説明では、アクチュエータ駆動電圧を分割する方式を説明したが、この形態に限定されず、印字ドット径を分割する方式でも良い。
【0079】
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態では、第一の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0080】
第1の実施の形態で示した方法で、補正データDに従って各アクチュエータ駆動電圧を調整してインク液滴量を補正したとき、記録媒体16の同一位置に連続して印刷がされると、その部分のアクチュエータが発熱しインク液適量が大きくなる。その結果補正したインク液適量に局部的なムラが生ずる。第4の実施の形態ではこのような発熱により発生した局部的なムラを補正する方法を説明する。
【0081】
そこで局部的な発熱部分を検出し、当該部分に対応して補正データDを書き換える。局部的な発熱部分を検出する方法として、たとえば画像形成する際に、連続してインクを吐出するように駆動されるアクチュエータの部分を検出すればよい。
【0082】
図17は、局部的な発熱を検出する方法を説明する図である。
【0083】
印字制御部12には、新たにラインメモリが設けられている。印刷データ25は、駆動回路22に入力されると共にラインメモリにも入力される。ラインメモリには、過去nライン分の印刷データ25が格納される。nライン分の印刷データ25について、各アクチュエータ位置に対応したn個のデータをAND演算する。演算した結果を温度による影響を補正するための温度補正信号とする。この温度補正信号に基づき各アクチュエータの補正データDを調整する。例えば、温度補正信号がONとなったときは連続してnライン印字を行っているため、補正データDが1つ低電圧になるように調整する。
【0084】
上述の説明では、画像データの連続する部分を検出し、その部分の補正電圧を調整したが、本発明は、この実施例に限定されない。図10に示すように印刷装置に取り付けてあるCCDカメラで撮像された画像から温度上昇によるインク液滴の増加を検出しても良い。
【0085】
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0086】
第1の実施の形態で示したような方法で、補正データDに従って各アクチュエータ駆動電圧を調整することでインク液滴量を補正したとき、補正されたアクチュエータ駆動電圧の切り替え部分では微小な濃度差が発生する。
【0087】
図18は、微小な濃度差の発生を説明する図である。図18(A)、図18(B)、図18(C)は図5と同じなので説明を省略する。
【0088】
図18(D)は、図18(C)のアクチュエータ駆動電圧V1−V4を使用してインク液滴を飛翔させて画像形成した結果、印刷された印字ドット径を示している。図18(A)と比較すると、ヘッド全体については、ノズルのばらつきを小さく抑えることができる。しかし、電圧切り替え部分では、インク液滴補正が十分でなく、段差(濃度差)が生じている。図19は図18(D)の丸の部分を拡大して示す。
【0089】
図19は、アクチュエータ駆動電圧の切り替え部分に発生する微小な濃度差を解消する方法を説明する図である。
【0090】
境界部分のアクチュエータが連続して同じ補正電圧で補正することが無いよう、即ち、境界部分が連続しないように、アクチュエータの境界位置を左右に移動させる。このように、補正データDを1ライン印字するごとに切り替えて、アクチュエータ駆動電圧が切り替わる境界部分での連続性をなくすことで、濃度差が目立たなくなり補正精度を向上することができる。
【0091】
なお、画像のエッジ部分においては、アクチュエータ駆動電圧の切り替えが原因ではなく、クロストークが発生することによりその端部が濃くなる現象が発生する。この場合であってもエッジ部分を左右に移動させることで、濃度差を目立たなくできる。
【0092】
またこの方式によれば、たとえばマルチドロップ方式を使用した階調印字が可能なインクジェットヘッド11から吐出されるインク液滴量の補正を同様に行うことができる。
【0093】
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0094】
第6の実施の形態では、長尺のインクジェットヘッドの駆動方法について説明する。長尺のインクジェットヘッド全体に渡って第1の実施の形態で説明した方法で補正を行う場合、その吐出ばらつきの補正精度が低下する。これは、長尺のインクジェットヘッド11では、その加工精度だけでなく、材料自身のばらつき変動も無視できなくなり、たとえば吐出されるインク液滴量の最大値と最小値のばらつきが、短いヘッドに比べて大きくなるためである。
【0095】
図20は、長尺のインクジェットヘッドを駆動する方法を説明する図である。
【0096】
長尺のインクジェットヘッドの駆動範囲を複数に分割し、分割されたそれぞれの範囲内においてインク液滴量が一定になるように補正する。この場合、第2の実施の形態のD/A変換器71を持つ方法と組合わせても良く、第3の実施の形態の、駆動範囲をグルーピングする際、グルーピング数より広い範囲で調整できるようにする方法と組合わせても良い。長尺のインクジェットヘッドにこれらの方法を組合わせて用いることで高精度の補正が可能となる。なお、補正の詳細は既に、第2の実施の形態及び第3の実施の形態で説明しているため、再度の説明は省略する。
【0097】
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0098】
第7の実施の形態では、インクジェットヘッド11に補正データDを記憶しておく。そして、補正データDをインクジェットヘッド11から読み出して補正データ記憶部24に記憶する。
【0099】
図21は、第7の実施の形態に係る印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0100】
インクジェットヘッド11は破線部分がコネクタとなっており、取り外しが可能である。インクジェットヘッド11には補正データDが書き込まれている。たとえばPROM(Programmable Read-Only Memory)を使用し、製造した時点で補正データが書き込まれる。補正データDの作成は、第1の実施の形態で説明した方法を用いる。また、補正データ記憶部24はRAM(Random Access Memory)で構成されている。
【0101】
補正データDの読み出し動作について説明する。図22は、読み出しタイミングを示す図である。電源投入時に補正データ読み出し信号が立ち上がり、読み出しモードとなる。次にクロックに同期してPROMから補正データDが読み出され、そのまま補正データ記憶部24に書き込まれる。なお、補正データDには上述の各実施の形態に対応して必要なデータが含まれる。例えば、第2の実施の形態のD/A変換器71を使用する場合は、指定データSが補正データDに含まれる。
【0102】
〔第8の実施の形態〕
第8の実施の形態では、駆動パルス幅によってインク液滴量を制御する点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第8の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0103】
図23は、印字制御部12のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図である。
【0104】
インクジェットヘッド11は、アクチュエータ21を備えている。このアクチュエータ21は、インクジェットヘッド11のそれぞれのノズルに対応して設けられ、ノズル数Nと同じ個数Nである。このアクチュエータ21を駆動することで、ノズルから吐出する液滴量が制御される。
【0105】
印字制御部12には、駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24が設けられている。駆動回路22は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。補正データ記憶部24は、補正データDを各アクチュエータ分記憶する。
【0106】
印字制御部12の各部には、印字を制御するための種々の信号が入力される。駆動電圧28及び駆動電圧パルス29は、選択回路23に入力される。印刷データ25は、駆動回路22に入力される。
【0107】
駆動電圧28は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するための電圧である。駆動電圧パルス29は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動するためのm種類(P1−Pm)のパルス信号である。この駆動パルス幅をもつ駆動電圧28でインクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動する。印刷データ25は、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させてインクを吐出させるためのデータである。
【0108】
補正データ記憶部24に記憶されているインクジェットヘッド11のそれぞれのアクチュエータ21に対応した補正データDが読み出されて、選択回路23に供給される。選択回路23ではアクチュエータ21それぞれの補正データDにしたがって、駆動パルス29のP1−Pmの内1つのパルス信号が選択される。選択されたパルス信号は、印刷パルス信号27のタイミングでアクチュエータ21に供給される。
【0109】
図24は、インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す。アクチュエータ21,駆動回路22、選択回路23、補正データ記憶部24はアクチュエータ数n用意されている。図24では1つのアクチュエータについての回路部分を示している。
【0110】
補正データ記憶部24にはアクチュエータ21の補正データDが2bitの情報で記憶されている。その2bitの情報は補正データ記憶部24より読み出されて選択回路23に供給されて、デコーダに入る。補正データDにしたがってデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14の1つだけが”H”となる。
【0111】
アクチュエータ駆動パルス29とデコーダから出力される4本の選択信号S11−S14とはAND回路に入力している。そのため、アクチュエータ駆動パルス29はこの中から1つのパルス幅のみ選択される。
【0112】
外部からシリアルに送信されてきた印刷データ25は、駆動回路22のシフトレジスタ(不図示)によって各アクチュエータ21毎の印刷データに分解される。選択された駆動パルス29と各アクチュエータ21毎のデータに分解された印刷データ26とは選択回路23内のAND回路を介してスイッチング素子と接続されている。このスイッチング素子は、選択回路23の外部から供給される駆動電圧26を選択するように接続されている。
【0113】
この結果、駆動電圧28が補正データDによりデコーダで選択された駆動パルスの幅で駆動回路22に供給される。供給された電圧は直接アクチュエータ21に供給されると同時に放電回路にも供給される。このようにして、本インクジェットヘッド駆動回路によれば、補正データDに従って、選択的に駆動パルス幅を変更することができる。
【0114】
次に補正データDの作成方法を説明する。
【0115】
補正データDは、インクジェットヘッド11のアクチュエータ21を駆動させたときのインク吐出量に対応して求める。インクの吐出量を求める方法には、記録媒体16に単独ドットで画像を形成したときの印字ドット径、記録媒体16とインクジェットヘッド11を相対的に走査させて連続ドットで画像を形成したときの画像の線幅、インクジェットヘッド11から吐出されたインク液滴の撮像・画像処理による体積計算等を用いる方法がある。以下には、ドット径に従って補正量を求める方法を例として説明する。
【0116】
図25は、印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示す。パルス幅が広くなるに従って吐出されるインク液滴量は大きくなり、結果として印字ドット径は大きくなる。
【0117】
図26(A)は、インクジェットヘッド11のノズル位置に対応した印字ドット径の測定結果である。この図は、インクジェットヘッド11の全アクチュエータ21を駆動させ、画像を形成してドット径を測定した一例である。
【0118】
次に、ドット径実測結果の最大値と最小値を求めそれをグループに分割する。このときの分割グループ数は、図3で説明した補正データDが2bitであるので、4分割する。
【0119】
図26(B)は、図25で説明した印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を、図26(A)の横に並べて対応つけたものである。印字ドット径が最大値になる部分のアクチュエータ駆動パルス幅PHと印字ドット径が最小値になる部分のアクチュエータ駆動パルス幅PLを求める。(PH−PL)の範囲を4等分して、4つのグループに分割する。それぞれのグループの中心パルス幅を低いほうからP1,P2,P3,P4と設定する。
【0120】
そして印字ドット径の測定結果に基づき、グループ化されたパルス幅P1−P4の中からアクチュエータ駆動パルス幅を決定する。印字ドット径が大きいグループに属する部分はアクチュエータ駆動パルス幅P1、印字ドット径が小さいグループに属する部分はアクチュエータ駆動パルス幅P4にする。図26(C)はノズル位置とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示したものである。
【0121】
この結果、補正データDはアクチュエータ駆動パルス幅がP1であれば”00”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP2であれば”01”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP3であれば”10”B、アクチュエータ駆動パルス幅がP4であれば”11”Bのように補正データ記憶部24に記憶され、これにしたがってアクチュエータ21は駆動される。
【0122】
〔第9の実施の形態〕
第9の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0123】
図27は、印刷結果の画像をスキャナーで取り込み、そのドット径を測定する印刷装置を示す。印刷装置には、画像を読み込むための読取装置が設けられている。
【0124】
ユーザは、補正データDを生成させるための所定のパターンを記録媒体16に記録させる。そして、記録された記録媒体16を、読取装置にセットし、スキャナーによって印刷されたパターンを読み込む操作を行う。読取装置で読み込まれた画像は、画像処理部に供給される。画像処理部はシェーディング補正などの補正を行い、画像を2値化する。そして、この画像処理結果に基づいて、画像処理部は各アクチュエータから吐出されるインク液滴によって形成されるドット径を測定する。その測定結果のドット径は印字制御部12に供給される。印字制御部12は、補正データDを作成してアクチュエータ駆動電圧を調整する。
【0125】
なお、印刷する所定のパターンは、ドット径を表すものに限られず、直線の線幅を表すものであっても良く、これらを組合わせたものであっても良い。
【0126】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、インクジェットヘッドの形式は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式の何れであっても良い。
【0127】
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0128】
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
【0129】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】ラインインクジェットヘッドを備えた印刷装置を示す図。
【図2】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図3】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図4】印字ドット径とアクチュエータ駆動電圧の関係を示す図。
【図5】ヘッドのノズル位置を示す図。
【図6】補正データの作成方法を説明する図。
【図7】なだらかにインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す図。
【図8】急激にインク液滴量がばらつく場合の補正データを示す図。
【図9】補正データの作成方法を説明する図。
【図10】印刷結果をCCDカメラで撮影して、そのドット径を測定する印刷装置を示す図。
【図11】補正データの作成方法を説明する図。
【図12】印字制御部のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図13】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図14】補正データの作成方法を説明する図。
【図15】補正データの作成方法を説明する図。
【図16】吐出したインク液滴量のばらつきが小さい場合の補正データDを示す図。
【図17】局部的な発熱を検出する方法を説明する図。
【図18】微小な濃度差の発生を説明する図。
【図19】アクチュエータ駆動電圧の切り替え部分に発生する微小な濃度差を解消する方法を説明する図。
【図20】長尺のインクジェットヘッドを駆動する方法を説明する図。
【図21】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図22】読み出しタイミングを示す図
【図23】インクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図。
【図24】インクジェットヘッド駆動回路の詳細の構成を示す図。
【図25】印字ドット径とアクチュエータ駆動パルス幅の関係を示す図。
【図26】補正データの作成方法を説明する図。
【図27】印刷結果の画像をスキャナーで取り込み、そのドット径を測定する印刷装置を示す図。
【符号の説明】
【0131】
11…インクジェットヘッド、12…印字制御部、21…アクチュエータ、22…駆動回路、23…選択回路、24…補正データ記憶部、25…印刷データ、26…駆動電圧、27…印刷パルス信号、28…駆動電圧、29…駆動パルス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、
前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められることを特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項2】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量に対応する駆動信号を求め、
前記補正データは、多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように定められることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項3】
前記駆動信号は、電圧を可変とする信号、もしくはパルス幅を可変とする信号であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項4】
前記インク吐出量は、記録媒体上に記録された画像を処理して求めることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項5】
前記アクチュエータが過去所定ライン連続して動作した場合は、当該アクチュエータのインク吐出量が少なくなるように対応する補正データを変更する補正データ変更部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項6】
前記グループの境界位置にあるアクチュエータを少なくとも1ライン印刷する毎にライン方向に変更するグループ境界位置変更部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項7】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項8】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値を与える前記駆動信号の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項9】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、
前記インクジェットヘッドを分割した複数のブロック毎にノズル駆動装置を備え、
前記ノズル駆動装置は、
前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するためのブロック毎の補正データを記憶する記憶部と、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記ブロック内の前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項10】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量と対応する駆動信号を求め、
前記補正データは、多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように定められることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項11】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドと、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッド駆動装置のインクジェットヘッド駆動方法であって、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを前記ノズルの複数のグループ毎に定め、
前記補正データを記憶し、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択し、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力すること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項12】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量に対応する駆動信号を求め、
多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように前記補正データを定めることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項13】
前記駆動信号は、電圧を可変とする信号、もしくはパルス幅を可変とする信号であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項14】
前記インク吐出量は、記録媒体上に記録された画像を処理して求めることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項15】
前記アクチュエータが過去所定ライン連続して動作した場合は、当該アクチュエータのインク吐出量が少なくなるように対応する補正データを変更することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項16】
前記グループの境界位置にあるアクチュエータを少なくとも1ライン印刷する毎にライン方向に変更することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項17】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項18】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値を与える前記駆動信号の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項1】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、
前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められることを特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項2】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量に対応する駆動信号を求め、
前記補正データは、多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように定められることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項3】
前記駆動信号は、電圧を可変とする信号、もしくはパルス幅を可変とする信号であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項4】
前記インク吐出量は、記録媒体上に記録された画像を処理して求めることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項5】
前記アクチュエータが過去所定ライン連続して動作した場合は、当該アクチュエータのインク吐出量が少なくなるように対応する補正データを変更する補正データ変更部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項6】
前記グループの境界位置にあるアクチュエータを少なくとも1ライン印刷する毎にライン方向に変更するグループ境界位置変更部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項7】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項8】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値を与える前記駆動信号の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項9】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェットヘッド駆動装置であって、
前記インクジェットヘッドを分割した複数のブロック毎にノズル駆動装置を備え、
前記ノズル駆動装置は、
前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータと、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するためのブロック毎の補正データを記憶する記憶部と、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力する駆動部とを備え、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記ブロック内の前記ノズルを複数のグループに分類し、前記補正データは、分類された前記ノズルの複数のグループ毎に定められること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項10】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量と対応する駆動信号を求め、
前記補正データは、多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように定められることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド駆動装置。
【請求項11】
供給されたインクを吐出するノズルを複数有するインクジェットヘッドと、前記各ノズルに対応して設けられ、駆動信号によって前記ノズルから対応する量のインクを吐出させるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッド駆動装置のインクジェットヘッド駆動方法であって、
ノズルのインク吐出量特性に対応して前記インクジェットヘッドの前記ノズルを複数のグループに分類し、
前記各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを前記ノズルの複数のグループ毎に定め、
前記補正データを記憶し、
前記補正データに基づいて、複数の前記駆動信号の中から1つの駆動信号を選択し、
選択された駆動信号を所定のタイミングで前記アクチュエータに出力すること
を特徴とするインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項12】
前記ノズルのインク吐出量の最大値と最小値の範囲を複数のグループに分割して各グループ毎のインク吐出量に対応する駆動信号を求め、
多いインク吐出量を与えるグループには、少ないインク吐出量を生ずる駆動信号が設定され、少ないインク吐出量を与えるグループには、多いインク吐出量を生ずる駆動信号が設定されるように前記補正データを定めることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項13】
前記駆動信号は、電圧を可変とする信号、もしくはパルス幅を可変とする信号であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項14】
前記インク吐出量は、記録媒体上に記録された画像を処理して求めることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項15】
前記アクチュエータが過去所定ライン連続して動作した場合は、当該アクチュエータのインク吐出量が少なくなるように対応する補正データを変更することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項16】
前記グループの境界位置にあるアクチュエータを少なくとも1ライン印刷する毎にライン方向に変更することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項17】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【請求項18】
前記複数のグループは、前記インク吐出量の最大値と最小値を与える前記駆動信号の範囲を均等に分割することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッド駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−162261(P2008−162261A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238394(P2007−238394)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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