説明

インクジェット用白色インク組成物及びインクジェット記録方法

【課題】インクとして長期間にわたり保存した後でも、形成した硬化膜の経時劣化や黄変を抑制でき、かつ出射安定性に優れた活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物と、それを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】白色顔料として酸化チタン顔料と、重合性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物において、該酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであり、かつピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットインクとしては、水系インクジェットインク、溶剤系インクジェットインク、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクなどが知られている。溶媒を含まない活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、インクジェット記録時に水または有機溶剤の乾燥が必要ないことから、その速乾性が特徴である。また、インク吸収層のない基材に対しても、形成した画像が比較的密着しやすい特徴を有しており、硬質プラスチックや金属、セラミックなど、主にリジッドな基材へ印刷を行う分野で実用化されている。
【0003】
近年、サイン&ディスプレイ用途では、透明基材、カラー基材、金属基材などの各種基材に対し多彩な表現を可能にするため、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの色インクに加えてホワイトインク(白色インク)が使われている。ホワイトインクは、単に白色以外の基材で白を表現するだけでなく、色インクの下地として白ベタ画像を印刷しておくことにより、その上に印刷される色インク自体の発色性を高める効果も有している。
【0004】
ホワイトインク用の色材としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、あるいは中空ポリマー微粒子などの有機白色顔料が挙げられるが、白色度、隠蔽性、コストの点から酸化チタン顔料が一般的に用いられている。例えば、酸化チタン等の白色顔料を用いたカチオン重合系の紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、インク中の重合性化合物が活性エネルギー線によって重合することにより硬化膜を形成する。形成された硬化膜は、紫外線、熱、水分、空気中の酸素や大気汚染物質により徐々に劣化し、ひび割れ、チョーキング(表面が粉状になること)、変褪色、基材からの剥離が発生する。通常の色材に比べて、酸化チタン顔料を含有する活性エネルギー線硬化型のホワイトインクは、耐候性が劣位であり、特にチョーキングが顕著に発生する。これは、白色顔料として使用している酸化チタンが光触媒としても機能し、発生する活性酸素またはOHラジカルが硬化膜成分(樹脂成分)を分解すると考えられている。白色顔料として用いられる酸化チタンは、光化学活性の高いアナターゼ型に対し、活性の低いルチル型を用い、さらに表面をアルミナやシリカで被覆処理して活性を抑えているが、顔料濃度の高いインクでは、その抑制効果は不十分であった。
【0005】
ポリマーの経時による劣化を防ぐ技術としては、安定剤(酸化防止剤)を添加する方法が知られている。しかしながら、一般的なフェノール系の酸化防止剤は、酸化チタンとの共存により、経時で黄変を生じるという課題を抱えている。とりわけ、ホワイトインクは、色インクに比べて黄変が視覚的に目立ちやすいため問題となる。また、長期に保存されたホワイトインクを用いて画像形成した場合には、形成された硬化膜の耐候性も不十分であった。
【0006】
一方、少なくとも光ラジカル重合開始剤と、活性水素を含む官能基を有する化合物と、ヒンダードアミン系化合物とを含有する光硬化型インクジェットインク組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ヒンダードアミン系化合物は、ラジカル重合系の紫外線硬化型インクジェットインクで重合禁止剤として機能するため、インクの保存安定性向上に効果があることが記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の実施例では、アナターゼ型二酸化チタンを白色顔料として使用しており、また、形成した硬化膜の耐候性に関しては、何ら示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−59627号公報
【特許文献2】特開2009−132864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクとして長期間にわたり保存した後でも、形成した硬化膜の経時劣化や黄変を抑制でき、かつ出射安定性に優れた活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物と、それを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
1.白色顔料として酸化チタン顔料と、重合性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物において、該酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであり、かつピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。
【0011】
2.前記ヒンダードアミン系化合物が、フリーラジカルになっていないピペリジン構造を有することを特徴とする前記1に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0012】
3.前記ヒンダードアミン系化合物が、置換または未置換のアルコキシ基で窒素原子を置換されたピペリジン構造を有することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0013】
4.前記ヒンダードアミン系化合物が、ピペリジン構造の4位に置換基を有し、かつ該置換基がエステル基、エーテル基またはアミノ基を含むことを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0014】
5.紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0015】
6.前記紫外線吸収剤が、トリアジン系化合物であることを特徴とする前記5に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0016】
7.ナトリウムイオン濃度が、200ppm以下であることを特徴とする前記1から6のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【0017】
8.前記1から7のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
9.前記1から7のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより形成された画像上に、少なくとも色材と重合性化合物を含有するインクジェット用色インク組成物を更に付与することを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、インクとして長期間にわたり保存した後でも、形成した硬化膜の経時劣化や黄変を抑制でき、かつ出射安定性に優れた活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物と、それを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、白色顔料として酸化チタン顔料と、重合性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物において、該酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであり、かつピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とするインクジェット用白色インク組成物により、インクとして長期間にわたり保存した後でも、形成した硬化膜の経時劣化や黄変を抑制でき、かつ出射安定性に優れた活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物を実現することができることを見出し、本発明を完成するに至った次第である。
【0023】
すなわち、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物は、ルチル型二酸化チタン顔料との組み合わせにおいて、重合性化合物を含有するインク中でも長期わたり安定に存在し、硬化膜形成後に紫外線、熱、水分、酸素等の影響により酸化チタン顔料から活性酸素またはOHラジカルが発生しても、継続的にこれをトラップして硬化膜の劣化を防ぐことができるものと考えられる。特にフリーラジカルとなっていないヒンダードアミン化合物を添加することで、インク中ではより安定に存在でき、かつ硬化膜形成後はより長期間に渡ってラジカルトラップ機能を発現し、本発明の効果がより顕著であると考えられる。
【0024】
《インクジェット用白色インク組成物》
以下、本発明のインクジェット用白色インク組成物について、その詳細を説明する。
【0025】
本発明のインクジェット用白色インク組成物(以下、白色インクあるいはホワイトインクともいう)は、含有する酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであり、重合性化合物と、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする。
【0026】
〔白色顔料〕
本発明の白色インクにおいては、白色顔料として酸化チタン顔料を含有し、該酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであることを特徴とし、好ましくは、酸化チタン顔料の80質量%以上がルチル型二酸化チタンとする構成である。本発明に適用可能な酸化チタン顔料は、アルミナ、シリカ、亜鉛、ジルコニア、有機物等により表面処理されていることが好ましい。
【0027】
表面処理された酸化チタン顔料はナトリウムイオンを含むことがあり、本発明の白色インクにおいては、白色インク中におけるナトリウムイオン濃度を200ppm以下に調整することが好ましく、より好ましくは0ppmを含む50ppm以下である。
【0028】
本発明において、白色インク中におけるナトリウムイオン濃度を上記で規定する範囲に調整する手段としては、表面処理に用いるナトリウム塩の量を減らす方法、あるいは酸化チタン顔料を公知の方法で洗浄する方法等を挙げることができる。
【0029】
本発明に係る酸化チタン顔料の平均粒径としては、50〜500nmであることが好ましく、100〜300nmであることがより好ましい。酸化チタン顔料の平均粒径を上記で規定する範囲に調整することで、本発明の効果が顕著に発現され、かつインクジェットヘッドでのノズル詰まりの抑制、インクジェット用白色インク組成物の保存安定性(特に、沈降の抑止)、プリント基材に対する隠蔽性を十分に発揮することができる点で好ましい。
【0030】
本発明に適用可能な酸化チタン顔料は、市販品としても入手することが可能であり、例えば、石原産業社製のCR−50、CR−57、CR−58、CR−67、CR−Super−70、CR−80、CR−90、CR−90−2、CR−93、CR−95、CR−EL、R−550、R−580、R−630、R−670、R−680、R−780、R−820、R−830、R−850、R−930、R−980、PF−736、PF−737、PF−742、堺化学工業社製のSR−41、R−5N、R−7E、R−11P、R−21、R−25、R−32、R−42、R−44、R−45M、R−62N、R−310、R−650、TCR−52、GTR−100、D−918、FTR−700などが挙げられる。
【0031】
本発明の白色インクにおける酸化チタンの添加量としては、インク全質量に対し5.0質量%〜35質量%の範囲が好ましく、10質量%〜20質量%の範囲がより好ましい。本発明の白色インクにおける酸化チタンの添加量を上記で規定する範囲に調整することにより、インクジェット用白色インク組成物の保存安定性(特に沈降の抑制)とプリント基材に対する遮蔽性の両立に効果を発現させることができる。
【0032】
本発明の白色インクには、必要に応じて本発明に係る酸化チタン以外の公知の白色顔料を併用してもよい。本発明に適用可能な他の白色顔料としては、例えば、無機白色顔料や有機白色顔料、白色の中空ポリマー微粒子を用いることができる。
【0033】
無機白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。
【0034】
有機白色顔料としては、特開平11−129613号公報に示される有機化合物塩や特開平11−140365号公報、特開2001−234093号公報に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。
【0035】
上記白色顔料の具体的な市販品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。
【0036】
白色の中空ポリマー微粒子としては、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている、実質的に有機重合体で作られた熱可塑性を示す微粒子などが挙げられる。白色顔料は単独で用いても良いし、併用しても良い。
【0037】
また、本発明のインクジェット用白色インク組成物の色調を調整するため、他の有色色材(例えば、染料、顔料等)を、必要に応じて微量添加することもできる。
【0038】
本発明に係る白色顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
【0039】
また、白色顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。更には、下記のものが挙げられる。
【0040】
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
【0041】
具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン)」が挙げられる。
【0042】
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
【0043】
更には、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000」;日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
【0044】
これらの顔料分散剤は、白色インク中に0.1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。また、分散助剤として、各種白色顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、白色顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明の白色インクでは、印字後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0045】
〔ヒンダードアミン系化合物〕
本発明のインクジェット用白色インク組成物は、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする。
【0046】
更には、ヒンダードアミン系化合物が、フリーラジカルになっていないピペリジン構造を有することが好ましい。本発明でいうフリーラジカルになっていないピペリジン構造とは、ピペリジンに含まれる窒素原子および窒素原子に直接結合した原子がラジカル構造を採っていないことを意味する。
【0047】
また、本発明においては、本発明に係るヒンダードアミン系化合物が3級アミンのピペリジン構造を有することが好ましい。更には、ヒンダードアミン系化合物が、置換または未置換のアルコキシ基で窒素原子を置換されたピペリジン構造を有することが好ましい態様である。
【0048】
本発明に係るピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物としては、特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるピペリジン構造を有する化合物であることが好ましい。
【0049】
【化1】

【0050】
上記一般式(1)において、Zは、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基またはO・(酸素原子ラジカル)を表す。R、R10は、各々炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rは各々水素原子または置換基を表す。
【0051】
上記一般式(1)において、Zとしては置換されてもよいアルキル基またはアルコキシ基が好ましく、特に、N置換基が置換または未置換のアルコキシ基であることが好ましい。なお、Zで表されるアルキル基、アルコキシ基においては、それぞれ環状構造も含む。
【0052】
前記一般式(1)において、R、R10は各々炭素数1〜4のアルキル基を、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表すが、R、R、R、R10はメチル基が好ましい。
【0053】
本発明に係るヒンダードアミン系化合物は、ピペリジン構造の4位に置換基を有し、かつ該置換基がエステル基、エーテル基またはアミノ基を有することが好ましい。具体的には、下記一般式(2)〜一般式(5)で表わされる化合物が挙げられる。
【0054】
【化2】

【0055】
式中、R11が炭素原子数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基またはアルケニル基を表し、Zは前記一般式(1)におけるZと同義である。
【0056】
【化3】

【0057】
式中、R12は炭素原子数1〜30の2価の連結基を表し、Zは前記一般式(1)におけるZと同義である。
【0058】
【化4】

【0059】
式中、R31〜R34は各々炭素原子数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基または下記一般式(6)で表される基を表し、R31〜R34の少なくとも一つは一般式(6)で表される基である。
【0060】
【化5】

【0061】
Zは前記一般式(1)におけるZと同義である。
【0062】
【化6】

【0063】
式中、R41は前記一般式(6)の部分構造を持つ置換基を表す。R42、R43は水素原子または置換基を表し、該置換基は一般式(6)の部分構造を含んでもよい。
【0064】
前記一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
【0065】
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなど。
【0066】
また、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物は市販されており、例えば、ADEKA社製のLA−77、LA−57、LA−67、あるいはBASFジャパン社製のTINUVIN 111 FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN292、TINUVIN 765、TINUVIN 770 DFなどが挙げられる。
【0067】
下記に、市販されている代表的なピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物の構造の一例を示す。
【0068】
【化7】

【0069】
【化8】

【0070】
前記一般式(1)で表される化合物の添加量としては、本発明の白色インク全質量に対し0.1質量%以上、4.0質量%以下が好ましい。0.1質量%以上とすることにより耐候性改良効果が大きく、4.0質量%以下とすることにより実用的な硬化性を得ることができる。特に好ましくは0.2質量%以上、3.0質量%以下である。
【0071】
〔重合性化合物〕
本発明の白色インクにおいては、酸化チタン顔料及びピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物と共に、活性エネルギー線の照射により硬化する特性を備えた重合性化合物を含有することを特徴とする。
【0072】
以下、本発明に適用可能な活性エネルギー線により硬化する光重合性化合物について説明する。
【0073】
本発明でいう活性エネルギー線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線または電子線が好ましい。本発明では、特に、紫外線を用いることが好ましい。
【0074】
本発明において、活性エネルギー線の照射により架橋または重合する光重合性化合物としては、特に制限なく用いることができるが、その中でも、カチオン重合性化合物またはラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
【0075】
(カチオン重合性化合物)
本発明に適用可能なカチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0076】
本発明においては、白色インクの硬化の際、基材(以下、基材ともいう)の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
【0077】
〈エポキシ化合物〉
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0078】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することにより得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0079】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0080】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0081】
〈ビニルエーテル化合物〉
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0082】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0083】
〈オキセタン化合物〉
本発明でいうオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報に記載されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0084】
本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、インク組成物の粘度および硬化組成物の柔軟性、基材密着性の観点から、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0085】
本発明で好ましく用いることのできるオキセタン環を有する化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0089)に記載されている、一般式(1)で表される化合物、同じく同号公報の段落番号(0092)に記載されている、一般式(2)、段落番号(0107)の一般式(7)、段落番号(0109)の一般式(8)、段落番号(0166)の一般式(9)等で表される化合物を挙げることができる。
【0086】
具体的には、同号公報の段落番号(0104)〜(0119)に記載されている例示化合物1〜6及び段落番号(0121)に記載されている化合物を挙げることができる。
【0087】
(ラジカル重合性化合物)
次いで、ラジカル重合性化合物について説明する。
【0088】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0089】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0090】
本発明に適用可能なラジカル重合性化合物としては、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマー及び/またはオリゴマーを挙げることができる。本発明でいう「および/または」は、モノマーであっても、オリゴマーであっても良く、更に両方を含んでも良いことを意味する。また、以下に述べる事項に関しても同様である。
【0091】
(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマー、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上の多官能モノマーが挙げられる。この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(185年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79ページ、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマーオリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0092】
なお、感作性、皮膚刺激性、眼刺激性、変異原性、毒性などの観点から、上記モノマーの中でも、特に、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ラクトン変性可とう性アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
【0093】
更に、これらの中でも、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましい。
【0094】
上記ラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは、白色インク全質量の1.0〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0095】
この他に、特許第3353020号、特開平11−124403号、特開2003−213171号等の各公報に記載の電子受容基をもつ重合性化合物(例えば、マレイミド誘導体)と電子供与基をもつ重合性化合物(例えば、ビニルエーテル誘導体)とを組み合わせて用いる、電荷移動錯体重合系化合物を用いてもよい。
【0096】
電子受容基を有する重合性化合物としては、例えば、ビニレンジカルボン酸無水物、ビニレンイミド化合物、ビニレンジカルボン酸、ビニレンジカルボン酸エステル、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸エステル、ビニレンジカルボン酸アミド、ビニレン骨格両端にニトリル基が置換したビニレンニトリル化合物、ビニレン骨格両端にハロゲン基が置換したハロゲン化ビニル化合物、ビニレン骨格両端にカルボニルが置換したビニレンジケトン化合物、ビニレンジチオカルボン酸無水物、ビニレンチオイミド化合物、ビニレンジチオカルボン酸、ビニレンジチオカルボン酸エステル、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸エステル、ビニレンジチオカルボン酸アミド、ビニレン骨格両端にピリジル基が置換した化合物、ビニレン骨格両端にピリミジル基が置換した化合物構造などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中で好ましいのは、ビニレンジカルボン酸無水物、マレイミド、シトラコンイミドなどのビニレンイミド、マレイン酸、フマル酸などのビニレンジカルボン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステルなどのビニレンジカルボン酸エステル等が挙げられる。
【0097】
電子供与基を有する重合性化合物としては、例えば、ビニルエーテル、プロペニルエーテル等のアルケニルエーテル類、ビニルチオエーテル、プロペニルチオエーテル等のアルケニルチオエーテル、ビニルスルホキシド、プロペニルスルホキシド等のアルケニルスルホキシド類、カルボン酸エステルの酸素原子にビニル基が結合したビニルエステル類、アミノ基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミン類、アミド基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミド類、イミダゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルイミダゾール、カルバゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルカルバゾール、ビニレン骨格と酸素原子を環内に含む環状5員環、環状6員環化合物等が挙げられる。
【0098】
ビニルエーテルの具体例としては、前記カチオン重合性化合物で説明したビニルエーテル化合物として列挙した化合物等が挙げられる。
【0099】
〔光重合開始剤群〕
本発明に係る光重合開始剤群を構成する添加剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、開始助剤、増感剤等が包含される。これらの光重合開始剤群のインク中への添加量はインク全体の0.5〜10質量部が好ましい。
【0100】
本発明にかかる光重合開始剤群は公知の様々な化合物を使用することができるが、上記重合性化合物に溶解するものから選択する。
【0101】
(光重合開始剤)
〈ラジカル重合開始剤〉
本発明のインク組成物に適用可能な光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。具体例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルスルフィド、メタロセンタイプの重合開始剤であるビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オキシムエステルタイプの重合開始剤である、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノン,1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)−,1−(O−アセチルオキシム)等も使用できる。更に、特開2008−208321号公報記載のα−アミノアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物等が挙げられる。
【0102】
また、上記光ラジカル重合開始剤に対し、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のラジカル重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0103】
これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で含有されるのが好ましい。
【0104】
〈カチオン重合開始剤〉
本発明に係る光硬化性インクにおいては、カチオン重合性化合物と共に、光重合開始剤としてカチオン重合開始剤を含有することが好ましい。
【0105】
カチオン重合開始剤としては、具体的には光酸発生剤等を挙げることができ、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0106】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF、AsF、SbF、CFSO塩を挙げることができる。
【0107】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0132)に記載されている化合物を挙げることができる。
【0108】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物の具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0136)に記載されている化合物を挙げることができる。
【0109】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、その具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0138)に記載されている化合物を挙げることができる。
【0110】
第4に、特開2005−255821号公報の段落番号(0140)に記載されている鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0111】
(増感剤)
本発明の白色インクにおいては、300nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤を用いることができ、例えば、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体等を挙げることができる。
【0112】
本発明で用いることのできる多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。
【0113】
本発明に用いることのできるこれらの増感剤を例示すると、カルバゾール誘導体、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体等を挙げることができる。これら誘導体の中でも、特に、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0114】
また、チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
【0115】
(開始助剤)
開始助剤とは、光照射により、電子供与、電子吸引、熱の発生等により開始剤にエネルギーを供与して、開始剤のラジカルまたは酸の発生効率を向上させる増感色素として作用する物質であり、開始剤と組み合わせて適用される。
【0116】
開始助剤としては、例えば、キサンテン、チオキサントン色素、ケトクマリン、チオキサンテン色素、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が適用できる。
【0117】
また、開始助剤としては、上述の化合物の他、「高分子添加剤の開発技術」(シーエムシー出版、大勝靖一監修)等の文献で増感色素として作用することが周知になっている物質を適用することとしてもよい。なお、開始助剤は光重合開始剤の一部をなす構成要素とみなすこともできる。
【0118】
ラジカル重合性化合物に適用されるラジカル重合開始剤と開始助剤との組み合わせの例としては、ラジカル重合開始剤である過酸エステルと開始助剤であるキサンテン、チオキサントン色素、ケトクマリン、チオピリリウム塩との組み合わせ、カチオン重合開始剤であるジフェニルヨードニウム塩等のオニウム塩と開始助剤であるチオキサンテン色素との組み合わせ等が周知となっている。
【0119】
〔紫外線吸収剤〕
本発明の白色インクにおいては、本発明で規定する構成に加えて、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、更に好ましくは、紫外線吸収剤がトリアジン系化合物である。
【0120】
本発明に適用可能な紫外線吸収剤としては、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、特開平9−157560号公報、同9−279075号公報、特開2001−181528号公報等に記載の酸化セリウムなどの無機紫外線吸収剤や、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報等に記載されたベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系紫外線吸収剤等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
【0121】
〈無機紫外線吸収剤〉
本発明に係る無機紫外線吸収剤とは、主には金属酸化物顔料であり、UV−B域(290−320nm)域における光線透過率を10%以下にする機能を備えた化合物である。本発明に適用可能な無機紫外線吸収剤としては、特に、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウムまたはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0122】
また、本発明に係る無機紫外線吸収剤は、表面被覆した平均粒径が、10nm以上、100nm以下の無機紫外線吸収剤微粒子であることが好ましい。ここでいう表面被覆された無機紫外線吸収剤とは、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩またはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタンまたはアルミニウムの)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物あるいはヘキサメタリン酸ナトリウムのような化合物により、化学的、電子工学的、メカノケミストリー的または機械的な特質の1つまたは複数の手段により表面処理を受けた無機紫外線吸収剤である。
【0123】
〈有機紫外線吸収剤〉
本発明の白色インクにおいては、紫外線吸収剤としては、特に、有機紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0124】
本発明に適用可能な有機紫外線吸収剤としては、前記のようなベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
【0125】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0126】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0127】
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0128】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0129】
本発明においては、上記紫外線吸収剤の中でも、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましく用いられる。トリアジン系の紫外線吸収剤は市販されており、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479、TINUVIN 1577 FFなどが挙げられる。
【0130】
〔その他の添加剤〕
本発明の白色インクには、上記説明した以外に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが挙げられる。
【0131】
《インクジェット用色インク組成物》
本発明のインクジェット記録方法においては、上記説明した本発明のインクジェット用白色インク組成物(白色インク)を基材上に付与し、このインクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより画像形成することを特徴とする。更には、基材に白色画像を形成した後、この白色画像上に少なくとも色材と重合性化合物を含有するインクジェット用色インク組成物を更に付与して画像形成することによって、色材を含むインクによって形成された画像の耐候性にも効果があり好ましい。
【0132】
本発明に係るインクジェット用色インク組成物(以下、有色インクともいう)の基本的な構成は、上記説明した本発明のインクジェット用白色インク組成物(白色インク)と、使用する色材の種類を除いては、ほぼ同一の構成をとることができる。
【0133】
〔色材〕
色材としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の有色顔料や染料を用いることができるが、有色インク成分に対し良好な分散安定性を有し、かつ耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。
【0134】
(顔料)
顔料としては、特に限定されるわけではないが、本発明には、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
【0135】
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、150、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0136】
具体的に商品名を示すと、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレットRE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製)、Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
【0137】
上記各顔料の分散方法あるいは適用可能な分散剤等に関しては、前述の本発明の白色インクにおける白色顔料の調製で用いる方法や分散剤を同様に適用することができる。
【0138】
(染料)
また、本発明に係る有色インクにおいては、従来公知の染料、好ましくは油溶性染料を用いることができる。本発明で用いることのできる油溶性染料として、以下にその具体例を挙げるが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
【0139】
〈マゼンタ染料〉
MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)。
【0140】
〈シアン染料〉
MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)。
【0141】
〈イエロー染料〉
MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)。
【0142】
〈ブラック染料〉
MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等である。
【0143】
顔料あるいは油溶性染料の添加量は、有色インク全質量の0.1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.4〜10質量%である。0.1質量%以上であれば、良好な画像品質を得ることができ、20質量%以下であれば、インク出射における適正なインク粘度を得ることができる。又、色の調整等で2種類以上の色材を適時混合して使用できる。
【0144】
《基材》
本発明のインクジェット記録方法に適用可能な基材としては、特に制限はなく、普通紙、コート紙、インクジェット専用紙、布帛等のインク吸収能の高い基材の他に、インク吸収能が低いあるいはインク吸収能を有さない非吸収性基材を挙げることができるが、本発明のインクジェット記録方法においては、特に、基材が、インク吸収能が低いあるいはインク吸収能を有さない非吸収性基材である場合により有効である。
【0145】
これらの非吸収性基材とは、表面が樹脂成分で構成された基材、具体的には、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂プレートやプラスチックフィルム、合成紙、あるいはこれらプラスチックフィルムを紙などの基材表面に張り付けたものなどをいい、記録する表面が、水を浸透しにくい基材である。これら表面が樹脂成分で構成された基材やコート紙は、インク吸収性に乏しく、また基材の表面エネルギーが低いため、水系のインクジェットインクで印字してもインクの吸収が起こらず、インクがはじいて画像が乱れ、乾燥性に乏しく、インクの接着性も低いため、画像耐久性に乏しいものであるが、本発明のインクジェット記録方法を適用することにより、これらの基材であっても、画像均一性、白抜け耐性及び耐擦性に優れた画像を得ることができる。さらには、金属やセラミックなどの基材にも適用できる。
【0146】
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット記録方法では、本発明のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより画像形成することを特徴とする。更には、本発明のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより形成された画像上に、少なくとも色材と重合性化合物を含有するインクジェット用色インク組成物を更に付与することが好ましい。
【0147】
以下、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
【0148】
本発明のインクジェット記録方法において、本発明のインクジェット用白色インク組成物あるいは本発明に係るインクジェット用色インク組成物を基材上に吐出して画像形成を行う際に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
【0149】
(白色インク及び有色インクの吐出条件)
本発明の白色インク及び本発明に係る有色インク(以下、総称して単に「各インク」ともいう)の吐出条件としては、記録ヘッド及び各インクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。各インク組成物は温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま飛翔させるインク液滴サイズ、インク液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、各インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。各インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0150】
(各インクの基材に着弾した後の光照射条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性エネルギー線の照射条件として、各インクが基材上に着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングを出来るだけ早くすることが特に重要となる。
【0151】
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に活性エネルギー線照射光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと活性エネルギー線照射光源を走査する。照射は各インクが基材上に着弾した後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させることもできる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、画像形成部へ紫外光を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
【0152】
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、第1段階として、各インクが基材上に着弾した後、0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、第2段階として、全印字終了後に、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることにより、インク硬化の際に起こる基材の収縮を抑えることが可能となる。
【0153】
従来、UVインクジェット方式では、基材上にインクが着弾した後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどへの印字では、基材の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。
【0154】
本発明では、1時間あたりの消費電力が1kW以下の光源を用いても、高精細な画像を形成でき、かつ基材の収縮も実用上許容レベル内に収められる。1時間あたりの消費電力が1kW未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、LEDなどがあるが、これらに限定されない。
【0155】
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明のインクジェット記録方法では、基材上に各インクが着弾し、活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが、基材のカール、皺、基材の質感変化、などの面から好ましい。
【0156】
尚、ここでいう「総インク膜厚」とは、基材に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
【0157】
(インクの吐出条件)
ノズルより吐出する各インクの液滴量としては、記録速度、画質の面から2〜50plであることが好ましい。なお、白インクの場合、ベタ印字が主となるため、階調を表現する色インクより多い吐出量が好ましい。
【0158】
(インクジェット記録装置)
次いで、本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について、図面を適宜参照しながら説明する。
【0159】
図1は、インクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図である。
【0160】
記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。
【0161】
この記録装置1は、基材Pの下にプラテン部5が設置されている。
【0162】
プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、基材Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
【0163】
基材Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行う。
【0164】
ヘッドキャリッジ2は基材Pの上側に設置され、基材P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。
【0165】
ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
【0166】
尚、図1ではヘッドキャリッジ2が、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行っているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。上記記録ヘッドにおいて、ホワイト(W)より本発明の白色インクを吐出する。記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された各インクを、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から基材Pに向けて吐出する。
【0167】
本発明のインクジェット記録方法においては、第1段階として、記録ヘッド3を基材Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に基材Pの他端まで移動し、この走査の間に、基材Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、記録ヘッドであるホワイト(W)より白色インクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。次いで、基材上に着弾した白色インク液滴に対し、照射手段4より活性エネルギー線を照射して硬化させる。
【0168】
照射手段4は、例えば、特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプおよび特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、殺菌灯、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、殺菌灯、水銀ランプもしくはLEDが好ましい。特に、LEDは小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されており、350〜420nmにピーク波長を有するLEDを用いることが好ましい。
【0169】
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によって各インクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
【0170】
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、基材Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
【0171】
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と基材Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と基材Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。
【0172】
又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にするとさらに好ましい。
【0173】
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプまたはフィルターを交換することで適宜変更することができる。
【0174】
次いで、本発明のインクジェット記録方法の第2段階として、基材上に白色インクを吐出し、硬化させた後、上記と同様にして走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)の各記録ヘッドより、色インクの吐出を行う。透明基材の場合は、先に色インクを吐出し、硬化させた後で白インクを吐出してもよい。上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段および搬送手段と連動して記録ヘッド3から各色インクを吐出した後、上記と同様にして照射手段4より活性エネルギー線を照射することにより、基材P上に所望の画像が形成される。
【0175】
なお、各々の記録ヘッドは、色によって基材Pの搬送方向(図1の紙面に対し手前から奥への方向)に対し、ずらして配列することもできる(いわゆるスタガ配列)。特に、ホワイト(W)の記録ヘッドを他色の記録ヘッドと基材Pの搬送方向に対してずらして配置することで、ヘッドキャリッジ2の1回の走査で白インクと色インクを基材Pの異なる領域に着弾させることができ、白インクで形成した画像上に色インクを効率よく着弾させることができる。
【0176】
図2は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
【0177】
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、基材Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
【0178】
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側、すなわち、基材Pが搬送される方向のヘッドキャリッジ2の後部には、同じく基材Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。
【0179】
照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
【0180】
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2および照射手段4は固定され、基材Pのみが、搬送されて、インク出射および硬化を行って画像形成を行う。
【実施例】
【0181】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0182】
実施例1
《ホワイト顔料分散液の調製》
〔ホワイト顔料分散液1の調製〕
下記の各添加剤を混合した後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したアイメックス社製のサンドグラインダーを用いて分散し、酸化チタン含有量が25質量%のホワイト顔料分散液1を調製した。
【0183】
酸化チタン顔料1:ルチル型二酸化チタン、平均粒径:250nm、TiO含有量:95質量%、TiO粒子表面をAl処理 25質量部
顔料分散剤:PB824(アジスパーPB824、高分子顔料分散剤、味の素ファインテクノ社製) 5.0質量部
分散媒:OX221(オキセタン221、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、東亞合成社製) 70質量部
〔ホワイト顔料分散液2〜6の調製〕
上記ホワイト顔料分散液1の調製において、酸化チタン顔料の種類及び分散媒の種類を、表1に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、ホワイト顔料分散液2〜6を調製した。
【0184】
【表1】

【0185】
なお、表1に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0186】
〈酸化チタン顔料〉
ルチル型:ルチル型二酸化チタン、平均粒径:250nm、TiO含有量:95質量%、TiO粒子表面をAl処理
アナターゼ型:アナターゼ型二酸化チタン、平均粒径:160nm、TiO粒子表面をAl処理
〈顔料分散剤〉
PB824:アジスパーPB824、高分子顔料分散剤、味の素ファインテクノ社製
〈分散媒〉
OX221:オキセタン221、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、東亞合成社製
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
TeEGDA=テトラエチレングリコールジアクリレート
《ホワイトインクの調製》
〔ホワイトインク1−1の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液1(ルチル型二酸化チタン)の48.0部を攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が100質量%であるカチオン重合性のホワイトインク1−1を調製した。このホワイトインク1−1中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0187】
ホワイト顔料分散液1(ルチル型二酸化チタン) 48.0質量部
オキセタン化合物(東亞合成社製、OXT−221) 14.0質量部
1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.0質量部
3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート 20.0質量部
プロピレンカーボネート 1.5質量部
光重合開始剤:ジ(4−メトキシフェニル)モノ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.5質量部
増感剤:9,10−ジエトキシアントラセン 2.5質量部
添加剤A:ヒンダードアミン系化合物、TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製) 1.0質量部
【0188】
【化9】

【0189】
〔ホワイトインク1−2の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液1(ルチル型二酸化チタン)の38.4部とホワイト顔料分散液2(アナターゼ型二酸化チタン)の9.6部とを攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が80質量%、アナターゼ型二酸化チタンの比率が20質量%であるカチオン重合性のホワイトインク1−2を調製した。このホワイトインク1−2中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0190】
ホワイト顔料分散液1(ルチル型二酸化チタン) 38.4質量部
ホワイト顔料分散液2(アナターゼ型二酸化チタン) 9.6質量部
オキセタン化合物(東亞合成社製、OXT−221) 14.0質量部
1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.0質量部
3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート 20.0質量部
プロピレンカーボネート 1.5質量部
光重合開始剤:ジ(4−メトキシフェニル)モノ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.5質量部
増感剤:9,10−ジエトキシアントラセン 2.5質量部
添加剤A:ヒンダードアミン系化合物、TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製、前出構造式参照)
1.0質量部
〔ホワイトインク1−3〜1−5の調製〕
ホワイトインク1−2の調製において、酸化チタン顔料(全量:48.0質量部)におけるルチル型二酸化チタンとアナターゼ型二酸化チタンとの質量比率を、それぞれ50:50、40:60、30:70(質量比)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−3〜1−5を調製した。
【0191】
〔ホワイトインク1−6〜1−8の調製〕
上記ホワイトインク1−1、1−3、1−5の調製において、添加剤Aとして、ヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のTINUVIN152(BASFジャパン社製、前出構造式参照)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−6〜1−8を調製した。
【0192】
〔ホワイトインク1−9〜1−11の調製〕
上記ホワイトインク1−1、1−3、1−5の調製において、添加剤Aとして、ヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のTINUVIN292(BASFジャパン社製、前出構造式参照)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−9〜1−11を調製した。
【0193】
〔ホワイトインク1−12の調製〕
上記ホワイトインク1−1の調製において、添加剤Aとしてヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量の下記化合物HA−1に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−12を調製した。
【0194】
【化10】

【0195】
〔ホワイトインク1−13の調製〕
上記ホワイトインク1−1の調製において、添加剤Aとしてヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のIRGASTAB UV10(BASFジャパン社製、*1)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−13を調製した。
【0196】
*1:IRGASTAB UV10(フリーラジカル含有、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基を有するヒンダードアミン化合物)
〔ホワイトインク1−14の調製〕
上記ホワイトインク1−1の調製において、添加剤Aとしてヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIRGANOX1076(BASFジャパン社製、*2)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−14を調製した。
【0197】
*2:IRGANOX1076(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
〔ホワイトインク1−15の調製〕
上記ホワイトインク1−1の調製において、ヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を除いた以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−15を調製した。
【0198】
〔ホワイトインク1−16の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液3(ルチル型二酸化チタン)の48.0部を攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が100質量%であるカチオン重合性のホワイトインク1−16を調製した。このホワイトインク1−16中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0199】
ホワイト顔料分散液1(ルチル型二酸化チタン) 48.0質量部
トリエチレングリコールジビニルエーテル 12.5質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 15.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
10.0質量部
プロピレンカーボネート 3.0質量部
光重合開始剤:(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.5質量部
増感剤:9,10−ジエトキシアントラセン 2.5質量部
ヒンダードアミン系化合物:TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製、前出構造式参照)
1.0質量部
〔ホワイトインク1−17の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液3(ルチル型二酸化チタン)の24.0部とホワイト顔料分散液4(アナターゼ型二酸化チタン)の24.0部とを攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が50質量%、アナターゼ型二酸化チタンの比率が50質量%であるカチオン重合性のホワイトインク1−17を調製した。このホワイトインク1−17中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0200】
ホワイト顔料分散液3(ルチル型二酸化チタン) 24.0質量部
ホワイト顔料分散液4(アナターゼ型二酸化チタン) 24.0質量部
トリエチレングリコールジビニルエーテル 12.5質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 15.0質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
10.0質量部
プロピレンカーボネート 3.0質量部
光重合開始剤:(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.5質量部
増感剤:9,10−ジエトキシアントラセン 2.5質量部
ヒンダードアミン系化合物:TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製、前出構造式参照)
1.0質量部
〔ホワイトインク1−18の調製〕
ホワイトインク1−17の調製において、酸化チタン顔料(全量:48.0質量部)におけるルチル型二酸化チタン(ホワイト顔料分散液3)とアナターゼ型二酸化チタン(ホワイト顔料分散液4)との質量比率を、30:70(質量比)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−18を調製した。
【0201】
〔ホワイトインク1−19の調製〕
上記ホワイトインク1−16の調製において、添加剤Aとしてヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のTINUVIN292(BASFジャパン社製、前出構造式参照)に変更した以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−19を調製した。
【0202】
〔ホワイトインク1−20の調製〕
上記ホワイトインク1−16の調製において、ヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を除いた以外は同様にして、カチオン重合性のホワイトインク1−20を調製した。
【0203】
〔ホワイトインク1−21の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液5(ルチル型二酸化チタン)の48.0部を攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が100質量%であるラジカル重合性のホワイトインク1−21を調製した。このホワイトインク1−21中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0204】
ホワイト顔料分散液5(ルチル型二酸化チタン) 48.0質量部
テトラエチレングリコールジアクリレート 13.4質量部
ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.0質量部
フェノキシエチルメタクリレート 25.0質量部
重合禁止剤:Irganox1076(BASFジャパン社製) 0.1質量部
光重合開始剤:Speedcure TPO(LAMBSON社製) 6.0質量部
増感剤:Speedcure ITX(LAMBSON社製) 1.0質量部
ヒンダードアミン系化合物:TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製、前出構造式参照)
1.0質量部
〔ホワイトインク1−22の調製〕
上記調製したホワイト顔料分散液5(ルチル型二酸化チタン)の24.0部とホワイト顔料分散液6(アナターゼ型二酸化チタン)の24.0部とを攪拌しながら、下記の各添加剤を順次添加して、全量が100部のホワイトインクを調製した。次いで、0.8μmフィルターにより濾過して、酸化チタン顔料全質量に対するルチル型二酸化チタンの比率が50質量%、アナターゼ型二酸化チタンの比率が50質量%であるラジカル重合性のホワイトインク1−22を調製した。このホワイトインク1−22中のナトリウムイオン含有量は、50ppm以下であった。
【0205】
ホワイト顔料分散液5(ルチル型二酸化チタン) 24.0質量部
ホワイト顔料分散液6(アナターゼ型二酸化チタン) 24.0質量部
テトラエチレングリコールジアクリレート 13.4質量部
ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5.0質量部
フェノキシエチルメタクリレート 25.0質量部
重合禁止剤:Irganox1076(BASFジャパン社製) 0.1質量部
光重合開始剤:Speedcure TPO(LAMBSON社製) 6.0質量部
増感剤:Speedcure ITX(LAMBSON社製) 1.0質量部
ヒンダードアミン系化合物:TINUVIN123(BASFジャパン社製、前出構造式参照) 0.5質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN479(BASFジャパン社製、前出構造式参照)
1.0質量部
〔ホワイトインク1−23の調製〕
ホワイトインク1−22の調製において、酸化チタン顔料(全量:48.0質量部)におけるルチル型二酸化チタン(ホワイト顔料分散液5)とアナターゼ型二酸化チタン(ホワイト顔料分散液6)との質量比率を、30:70(質量比)に変更した以外は同様にして、ラジカル重合性のホワイトインク1−23を調製した。
【0206】
〔ホワイトインク1−24の調製〕
上記ホワイトインク1−22の調製において、添加剤Aとしてヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を、同量のTINUVIN292(BASFジャパン社製、前出構造式参照)に変更した以外は同様にして、ラジカル重合性のホワイトインク1−24を調製した。
【0207】
〔ホワイトインク1−25の調製〕
上記ホワイトインク1−22の調製において、ヒンダードアミン系化合物であるTINUVIN123(BASFジャパン社製)を除いた以外は同様にして、ラジカル重合性のホワイトインク1−25を調製した。
【0208】
なお、表2に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0209】
〈添加剤A〉
TI−123:TINUVIN123(BASFジャパン社製)
TI−152:TINUVIN152(BASFジャパン社製)
TI−292:TINUVIN292(BASFジャパン社製)
TI−144:TINUVIN144(BASFジャパン社製)
UV10:IRGASTAB UV10(BASFジャパン社製)
Irg1076:IRGANOX1076(BASFジャパン社製)
《ホワイトインクの評価》
上記調製した各ホワイトインクについて、下記の各評価を行った。
【0210】
〔チョーキング耐性の評価〕
調製した各ホワイトインクを遮光したガラス製のサンプル瓶に充填して密閉した後、このサンプル瓶を70℃で1週間保存した。
【0211】
次いで、透明アクリル基材上にワイヤーバー#3で保存後のホワイトインクを塗布し、LED−UV光(主波長:385nm、照射光量:200mJ/cm)を照射することで硬化させた。次いで、ホワイトインクの塗布と硬化を3回繰り返して硬化した白色ベタ画像を得た。この白色ベタ画像に対し、各環境条件下でキセノンフェードメーター(試験条件は下記に記載)によるキセノン光照射(サイクル処理)を計600時間行った後、取り出した白色ベタ画像の表面を指でこすって、粉の発生程度を目視観察し、下記の評価ランクに従ってチョーキング耐性の評価を行った。
【0212】
〈キセノンフェードメーターによる照射条件〉
ランプ:キセノンアーク 52W/cm(300−400nm)
照射サイクル (1)60℃、55%RHの高温条件で、光照射8時間
(2)降雨条件で光照射10分間
(3)50℃、95%RHの高温高湿条件で光照射50分間
上記照射サイクル(1)〜(3)について、下記の組み合わせを1サイクル(12時間)とし、計600時間(50サイクル)のサイクル処理を行った。
【0213】
1サイクル=(1)+〔(2)+(3)〕×4回=12時間
〈評価ランク〉
◎:白色ベタ画像表面を擦っても、指に全く白粉が付着しない
○:白色ベタ画像表面を擦ると、指に僅かに白粉が付着する
△:白色ベタ画像表面を擦ると、指にかなりの白粉が付着する
×:白色ベタ画像表面を擦ると、アクリル基材から塗膜が剥離する
〔着色耐性の評価〕
上記チョーキング耐性の評価で作製したキセノン光照射を計600時間行った白色ベタ画像の着色の程度を目視観察し、下記の基準に従って着色耐性を評価した。
【0214】
○:白色ベタ画像に、ほとんど着色は認められない
△:白色ベタ画像に、多少の着色(特に、黄変)が認められる
×:白色ベタ画像に、明らかな着色(特に、黄変)が認められる
〔出射安定性の評価〕
調製した各ホワイトインクを遮光したガラス製のサンプル瓶に密閉し、70℃で1週間保存した。次いで、保存処理を施した各ホワイトインクを、ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェットヘッド(ノズル数:512、インク液滴量:42pl)を搭載したインクジェットプリント装置に装填した。インクジェットヘッドのノズル面にUV光源の漏れ光が長期間あたることを想定して、ヘッド部分に対する照度が0.01mW/cmとなる条件で、波長385nmのLED−UV光を照射しながら1時間の連続出射を行い、各ノズルにおけるノズル欠やインクの出射曲がりの発生具合を目視観察し、以下の基準で評価した。
【0215】
◎:1時間の連続出射後に、ノズル欠の発生はなく、インクの曲がり出射は認められない
○:1時間の連続出射後に、ノズル欠の発生数は2ノズル以内であり、かつ目立ったインクの曲がり出射の発生は認められない
△:1時間の連続出射後に、3〜10ノズルでノズル欠が発生し、複数のノズルでインクの曲がり出射の発生が認められる
×:連続出射が30分以内で、3〜10ノズルのノズル欠が発生し、かつ複数のノズルでインクの曲がり出射が認められる
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0216】
【表2】

【0217】
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるホワイトインクは、比較例に対し、チョーキング耐性、着色耐性(黄変耐性)及び出射安定性に優れていることがわかる。
【0218】
実施例2
《ホワイトインクの調製》
〔ホワイトインク2−1〜2−3の調製〕
実施例1に記載のホワイトインク1−1の調製において、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤であるTINUVIN479(BASFジャパン社製)に代えて、同量のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN400(BASFジャパン社製)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「TINUVIN384−2」(BASFジャパン社製)、同「TINUVIN928」(BASFジャパン社製)に変更した以外は同様にして、ホワイトインク2−1〜2−3を調製した。
【0219】
【化11】

【0220】
〔ホワイトインク2−4の調製〕
実施例1に記載のホワイトインク1−1の調製において、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤であるTINUVIN479(BASFジャパン社製)を除いた以外は同様にして、ホワイトインク2−4を調製した。
【0221】
《ホワイトインクの評価》
上記調製したホワイトインク2−1〜2−4と、実施例1で調製したホワイトインク1−1について、実施例1に記載の方法と同様にして、チョーキング耐性、着色耐性及び出射安定性の評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0222】
【表3】

【0223】
表3に記載の結果より明らかなように、本発明のホワイトインクにおいて、紫外線吸収剤を添加すること、その中でも特にトリアジン系紫外線吸収剤を含有することにより、本発明の目的効果がより顕著に発現されていることが分かる。
【0224】
実施例3
《ホワイト顔料分散液3−1〜3−5の調製》
酸化チタン顔料(ルチル型二酸化チタン、平均粒径:250nm、TiO含有量:95質量%、TiO粒子表面をAl処理)の洗浄方法を適宜調整して、ナトリウムイオン含有量が、それぞれ1830ppm、1590ppm、820ppm、390ppm、120ppmの酸化チタン顔料3−1〜3−5を調製した。
【0225】
次いで、実施例1に記載のホワイト顔料分散液1の調製において、酸化チタン顔料1に代えて、上記のナトリウムイオン含有量が異なる酸化チタン顔料3−1〜3−5を用いた以外は同様にして、ホワイト顔料分散液3−1〜3−5を調製した。
【0226】
《ホワイトインク3−1〜3−5の調製》
実施例1に記載のホワイトインク1−1の調製において、ホワイト顔料分散液1に代えて、上記調製したホワイト顔料分散液3−1〜3−5を用いた以外は同様にして、ナトリウムイオン含有量がそれぞれ220ppm、190ppm、98ppm、47ppm、14ppmであるホワイトインク3−1〜3−5を調製した。
【0227】
《ホワイトインクの評価》
上記調製したホワイトインク3−1〜3−5について、実施例1に記載の方法と同様にして、チョーキング耐性、着色耐性及び出射安定性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
【0228】
【表4】

【0229】
表4に記載の結果より明らかなように、インク中のナトリウムイオン含有量が200ppm以下である本発明のホワイトインクにおいて、本発明の目的効果がより顕著に発現されていることが分かる。
【0230】
実施例4
《インクジェット用色インク組成物:イエローインクの調製》
〔イエロー顔料分散液1の調製〕
下記の各添加剤を混合した後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したアイメックス社製のサンドグラインダーを用いて分散し、イエロー顔料分散液1を調製した。
【0231】
顔料:C.I.Pigment Yellow 150 20.0質量部
分散剤:アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製) 7.0質量部
分散媒:オキセタン化合物(東亞合成社製OXT−221) 73.0質量部
〔イエローインク1の調製〕
以下の組成からなるカチオン重合性のイエローインク1を調製した。
【0232】
イエロー顔料分散液1 17.5質量部
オキセタン化合物(東亞合成社製OXT−221、前出) 46.0質量部
1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.0質量部
3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート 20.0質量部
プロピレンカーボネート 1.5質量部
光重合開始剤:ジ(4−メトキシフェニル)モノ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.5質量部
増感剤:9,10−ジエトキシアントラセン 2.5質量部
《評価方法》
実施例1で調製したホワイトインク1−1(本発明)、ホワイトインク1−15(比較例)を、それぞれ遮光したガラス製のサンプル瓶に充填して密閉した後、このサンプル瓶を70℃で1週間保存した。
【0233】
ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェットヘッド(ノズル数:512、インク液滴量:42pl)を搭載したインクジェットプリント装置に、上記保存したホワイトインク1−1、1−15及び上記で調製したイエローインク1を装填した。次いで、透明アクリル基材に、それぞれのホワイトインクを付与してベタ画像を形成し、LED−UV光(主波長:385nm、照射光量:200mJ/cm)で硬化させて白色ベタ画像を形成した後、その白色ベタ画像上に、イエローインク1を付与して、イエローベタ画像を形成した後、LED−UV光(同上)で硬化させて、積層ベタ画像1、2を作成した。
【0234】
以上により形成した白色画像上にイエロー画像を積層した各積層ベタ画像に、キセノンフェードメーター(照射条件は、実施例1に記載の評価条件と同一)を用いて、キセノン光を600時間照射した後、取り出した積層ベタ画像表面のチョーキング耐性を実施例1に記載の方法と同様の基準で評価し、得られた結果を表5に示す。
【0235】
【表5】

【0236】
表5に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるホワイトインクにより形成された白色画像上に、イエロー色材を含む重合性のイエローインクを付与して形成した積層ベタ画像においても、画像保存後のチョーキング耐性に優れた効果を発現することが分かる。
【符号の説明】
【0237】
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
31 インク吐出口
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 照射光源
P 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料として酸化チタン顔料と、重合性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化型のインクジェット用白色インク組成物において、該酸化チタン顔料の50質量%以上がルチル型二酸化チタンであり、かつピペリジン構造を有するヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とするインクジェット用白色インク組成物。
【請求項2】
前記ヒンダードアミン系化合物が、フリーラジカルになっていないピペリジン構造を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項3】
前記ヒンダードアミン系化合物が、置換または未置換のアルコキシ基で窒素原子を置換されたピペリジン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項4】
前記ヒンダードアミン系化合物が、ピペリジン構造の4位に置換基を有し、かつ該置換基がエステル基、エーテル基またはアミノ基を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項5】
紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤が、トリアジン系化合物であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項7】
ナトリウムイオン濃度が、200ppm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット用白色インク組成物を基材上に付与し、該インクジェット用白色インク組成物に活性エネルギー線を照射することにより形成された画像上に、少なくとも色材と重合性化合物を含有するインクジェット用色インク組成物を更に付与することを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−219203(P2012−219203A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87038(P2011−87038)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】