説明

インクジェット記録方法及び印刷物

【課題】メタリック感(光輝性)に優れ、かつ、擦過性に優れた画像が得られるインクジェット記録方法を提供すること。更に、前記の方法により得られた印刷物を提供すること。
【解決手段】被記録媒体上に効果顔料インクを吐出して画像形成を行う画像形成工程、被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程、及び、被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させる硬化工程をこの順で有し、前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が85%以下であり、前記透明インクは、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、かつ、実質的に顔料を含有せず、前記効果顔料インクは、効果顔料、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
インク吐出口からインク組成物を液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、被記録媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンタに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインク組成物の沸騰現象を利用しインク組成物を液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
【0003】
最近では、家庭用又はオフィス用の写真印刷や文書印刷に留まらず、インクジェットプリンタを用いた商業用印刷機器や産業用印刷機器の開発が行われるようになってきた。特に、ショーウィンドウ、駅通路、更に、ビルなどの壁に貼り付ける大判の広告の印刷に適したワイドフォーマットインクジェットプリンタの需要が急速に伸びつつある。
従来の家庭用又はオフィス用のインクジェットインクに対して、ワイドフォーマットインクジェットプリンタに使用されるインクには、プラスチックなどの非浸透性の記録媒体にも密着性を有すること、折り曲げや切り出しなどの加工時に印刷物が割れや剥がれなどの故障が発生しないことが強く要求される。また、印刷物が屋外に設置されることがあるため、使用する顔料には耐候性に優れていることが要求される。更に、従来の写真印刷や文書印刷に広く用いられている小型のインクジェットプリンタと比較して、ワイドフォーマットインクジェットプリンタは、広告やディスプレイ用途に用いられることが多く、広く色再現性や特徴的な色特性が求められる。例えば、メタリックやパール効果の印刷が可能なインクジェットプリンタが注目を集めている。
【0004】
一方、インクに光沢性を付与する技術が提案されている。特許文献1には、金属顔料を含むメタリックインク組成物と、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、白色インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種以上の光硬化型インク組成物と、を備えたインクセットが開示されている。また、特許文献2には、光が照射されると硬化する液体であって、金属顔料を含む液体を媒体に噴射することでドットを形成することと、前記ドットに電場を作用させることと、前記電場を作用させたドットに光を照射することと、を有する液体噴射記録方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−239951号公報
【特許文献2】特開2010−214804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、メタリック感(光輝性)に優れ、かつ、擦過性に優れた画像が得られるインクジェット記録方法を提供することである。更に、本発明の他の目的は、前記の方法により得られた印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の<1>及び<19>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<18>とともに以下に記載する。
<1> 被記録媒体上に効果顔料インクを吐出して画像形成を行う画像形成工程、被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程、及び、被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させる硬化工程をこの順で有し、前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が85%以下であり、前記透明インクは、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、かつ、実質的に顔料を含有せず、前記効果顔料インクは、効果顔料、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法、
<2> 前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が60%以下である、<1>に記載のインクジェット記録方法、
<3> 前記透明インク付与工程において、透明インクは、被記録媒体上に付与された効果顔料インクと重なりを有して付与される、<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法、
<4> 前記透明インク付与工程において、透明インクは、被記録媒体上の効果顔料インクが付与された領域を覆うように付与される、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<5> 前記効果顔料が平板状粒子であり、効果顔料の形状が下記式(1)及び式(2)を満たす、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
0.5μm≦R50≦5μm (1)
50/d>5 (2)
(式(1)及び式(2)中、R50は粒子の平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径であり、dは平板厚みである。)
<6> 前記効果顔料が金属顔料又はパール顔料である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<7> 前記効果顔料が、薄層の多重層から形成された平板状粒子である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<8> 前記効果顔料の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<9> 前記効果顔料インクの表面張力をγkとし、前記透明インクの表面張力をγsとしたとき、下記式(3)を満たす、<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
−10mN/m≦γs−γk≦5mN/m (3)
<10> 前記効果顔料インクの表面張力をγkとし、前記透明インクの表面張力をγsとしたとき、下記式(4)を満たす、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
30mN/m≦γs<γk≦40mN/m (4)
<11> 前記効果顔料インクが、下記グループ1よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の40重量%以上含有する、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
(グループ1)
N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、テトラヒドロフルフリルアクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
<12> 前記効果顔料インクが、下記グループ2よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の45重量%以上含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
(グループ2)
N−ビニルカプロラクタム、2−フェノキシエチルアクリレート
<13> 前記透明インクが、下記グループ3よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の60重量%以上含有する、<1>〜<12>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
(グループ3)
オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
<14> 前記透明インクが、下記グループ4よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の60重量%以上含有する、<1>〜<13>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
(グループ4)
イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート
<15> 前記透明インクが、界面活性剤を更に含有する、<1>〜<14>のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法、
<16> 前記界面活性剤が、非イオン系の界面活性剤である、<15>に記載のインクジェット記録方法、
<17> 前記界面活性剤が、ポリ(メタ)アクリレート骨格を有する重合体である、<15>又は<16>に記載のインクジェット記録方法、
<18> 前記透明インクは、効果顔料インクの上層に設けられ、効果顔料インク中の重合性化合物の一部が透明インク中に拡散することによって、効果顔料インクの初期状態よりも効果顔料を高濃度状態に保持する機能を有する、<1>〜<17>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<19> <1>〜<18>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メタリック感(光輝性)に優れ、かつ、擦過性に優れた画像が得られるインクジェット記録方法を提供することができた。更に、前記の方法により得られた印刷物を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】透明インクが硬化顔料インクと重なりを有して吐出された際の上面図及び断面図の模式図である。
【図2】シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタの概略構成図である。
【図3】インクジェット記録用ヘッドユニット部の概略構成斜視図である。
【図4】シングルパス型インクジェット記録用プリンタの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体上に効果顔料インクを吐出して画像形成を行う画像形成工程、被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程、及び、被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させる硬化工程をこの順で有し、前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が85%以下であり、前記透明インクは、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、かつ、実質的に顔料を含有せず、
前記効果顔料インクは、効果顔料、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有することを特徴とする。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」(但し、A<B)の記載は、A以上B以下を表し、「X〜Y」(但し、X>Y)の記載は、X以下Y以上を表す。すなわち、端点を含む数値範囲を表す。
また、本発明において、単に「インク」と記載した場合には、透明インク、効果顔料インク、及び、必要に応じて着色インクを含む意である。
【0011】
1.インクジェット記録方法
本発明のインクジェット記録方法は、(1)効果顔料インクを吐出して画像形成を行う画像形成工程、(2)被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程、及び、(3)被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させる硬化工程をこの順で有する。なお、前記(1)〜(3)の工程を複数繰り返してもよい。
従来の溶剤型の効果顔料を含むインクを使用した場合には、メタリック感やパール感(光沢感)は得られるものの、耐擦過性の点で十分ではなかった、一方、従来の紫外線効果型のインク組成物では、耐擦過性は得られるものの、メタリック感やパール感(光沢感)が十分ではなかった。
作用機序は明確ではないが、効果顔料インクを吐出して画像形成した後に、透明インクを付与することによって、効果顔料インク中の効果顔料の配向性が高まり、メタリック感やパール感(光沢感)と耐擦過性に優れた画像が得られることを見いだしたものである。
推定される作用機序としては、効果顔料インクの上層に設けられた透明インク層により、効果顔料インク中の重合性化合物の一部が透明インク中に拡散し、効果顔料インクの初期状態よりも効果顔料を高濃度状態に保持することができ、効果顔料の配列状態が向上し、光沢感を良好にすることができるものと考えられる。
【0012】
本発明において、透明インクは、被記録媒体上に吐出された効果顔料インクと重なりを有して付与されることが好ましい。
図1は、透明インクが効果顔料インクと重なりを有して付与された際の上面図及び断面図の模式図である。
図1(A)では、透明インク液滴Sは、効果顔料インク液滴Kを完全に被覆しており、効果顔料インク液滴Kは完全に透明インク液滴Sの内部に存在している。
一方、図1(B)及び(C)では、効果顔料インク液滴Kと、透明インク液滴Sに重なりを有している部分があるものの、効果顔料インク液滴Kの一部が、透明インク液滴Sに覆われず、効果顔料インクの一部が露出している。
効果顔料インク液滴Kと、透明インク液滴Sとが重なりを有している部分が、光学的効果(光沢性)の向上に優れているため、図1(A)に示すように、完全に効果顔料インク液滴Kが透明インク液滴Sに包含されるように、被記録媒体上に効果顔料インク及び透明インクを付与することが好ましい。すなわち、透明インクは、被記録媒体上の効果顔料インクが付与された領域を覆うように付与されることが好ましい。
【0013】
図1(A)に示すような液滴の重なり方とするために、効果顔料インク及び透明インクの吐出液滴量を適宜調整したり、吐出液滴数を変化させる等の方法が選択される。また、効果顔料インクの吐出された被記録媒体上の液滴中心と、透明インクの吐出された被記録媒体上の液滴中心が同位置となるように、調整することも有効である。
また、効果顔料インクを吐出した後、透明インクの塗布層を設ける方法も好ましい。
【0014】
本発明において、効果顔料インク及び透明インクが、お互いに流動性を有する状態で重なり合うことが必要である。流動性を有する状態で重なり合うことによって、メタリック感やパール感等の光学的効果に優れる画像が得られる。
従って、画像形成工程と、透明インク付与工程との間には、効果顔料インクの硬化工程(例えば、紫外線照射工程等)を有しないことが好ましい。また、効果顔料インクの硬化工程を有する場合であっても、効果顔料インクの硬化率は85%以下であり、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。硬化率を下げ、より未硬化の状態とすることによって、効果顔料インクの流動性が保持され、効果顔料の配列までの時間を短くすることができ、印刷速度を向上させることができる。また、得られる画像は、光学的効果に優れるので好ましい。
ここで、硬化率は、非浸透性の記録媒体上に効果顔料インクを吐出し、透明インク付与工程の直前に転写試験を実施して、以下のようにして求めることができる。
硬化率=透明インク付与工程直前の被記録媒体に残留した重さ/画像形成工程直後の記録媒体上の重さ×100
なお、転写試験は、普通紙を被記録媒体上の効果顔料インク上に5〜10秒間、A4サイズ当たり5kgの力を与えて押しつけ、その普通紙を剥がすことによって行う。
【0015】
以下、それぞれの工程について説明する。
【0016】
(1)画像形成工程
本発明において、効果顔料インクは、0.1pL(ピコリットル;以下同様)以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されることが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高鮮鋭度の画像を高い濃度で描写でき、高い光学特性が得られる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
また、被記録媒体上に付与する効果顔料インクの最大液量は、光沢性、硬化性、画像表面の平滑性等の観点から、0.01g/cm2以上0.200g/cm2以下が好ましく、0.02g/cm2以上0.150g/cm2以下が好ましく、0.03g/cm2以上0.100g/cm2以下が特に好ましい。
【0017】
画像形成工程に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の画像形成工程における被記録媒体への効果顔料インクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pL、より好ましくは3〜42pL、更に好ましくは8〜30pLのマルチサイズドットを、好ましくは300×300〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0018】
本発明において、吐出されるインクを一定温度にすることが好ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる画像形成装置が好ましく使用される。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インクの流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0019】
本発明のインクのような放射線硬化型インクは、概して通常インクジェット記録用インクとして使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。よって、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃であることが好ましく、設定温度の±2℃であることがより好ましく、設定温度の±1℃であることが更に好ましい。
【0020】
効果顔料インクを吐出する手段としては、インクジェットヘッドを用いることが好ましい。インクジェットヘッドとしては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変え、インクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のヘッドが好適である。
【0021】
(2)透明インク付与工程
透明インク付与工程において、透明インクは、効果顔料インクの液滴の吐出によって形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与することが好ましい。
また、透明インクの付与量(単位面積あたりの重量比)としては、効果顔料インクの最大付与量を1とした場合に0.05以上5以下の範囲内であることが好ましく、0.07以上4以下の範囲内がより好ましく、0.1以上3以下の範囲内が特に好ましい。
なお、「被記録媒体上」とは、被記録媒体の上部であればよく、必ずしも被記録媒体に接している必要はない。
効果顔料インクの液滴の打滴後、透明インクの付与までの間隔としては、5μ秒以上10秒以下の範囲内であることが好ましい。透明インクの付与までの間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。透明インクの付与までの間隔は、より好ましくは10μ秒以上5秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上5秒以下である。
【0022】
本発明のインクジェット記録方法においては、被記録媒体上に透明インクを付与する手段としては、塗布装置又はインクジェットノズル等を用いることができる。
前記塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
中でも、装置コストの点で、透明インクの被記録媒体上への付与は、比較的安価なバーコーター又はスピンコーターを用いた塗布、あるいはインクジェット法による付与が好ましい。
【0023】
(3)硬化工程
硬化工程において、活性エネルギー線又は熱の付与により被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させることが好ましい。
なお、前述のように、画像形成工程後にも硬化工程を有していてもよいが、効果顔料インクの流動性を保持するためには、画像形成工程後の硬化工程を有していないことが好ましく、画像形成工程及び透明インク付与工程の後に、効果顔料インク及び透明インクを一括で硬化させる硬化工程を有することが好ましい。
【0024】
硬化手段には、活性エネルギー線を照射する光源、電気ヒータやオーブン等の加熱器などを目的等に応じて選択することができる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線のほか、例えば可視光線、α線、γ線、X線、電子線などが使用可能である。これらのうち、活性エネルギー線としては、コスト及び安全性の点で、電子線、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
硬化反応に必要なエネルギー量は、組成、特に重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には100mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下程度であることが好ましい。
活性エネルギー線を照射する好適な装置としては、メタルハライドランプ、水銀灯、LED光源等が挙げられる。
【0025】
透明インク及び効果顔料インクに加えて、着色インクを使用する場合、着色インクは所望とする画像に応じて、効果顔料インクによる画像形成工程前に被記録媒体上に付与してもよく、また、透明インク付与工程後に着色インクを被記録媒体上に付与してもよい。これらの中でも、効果顔料インクによる画像形成工程前、又は、透明インク付与工程後に着色インクによる画像形成工程を有することが好ましい。これらの中でも、透明インク付与工程後に着色インクを吐出することが好ましい。
透明インク付与工程後に着色インクを吐出する場合には、効果顔料インクによる画像形成工程及び透明インク付与工程の後に、着色インクによる画像形成工程を有する。透明インク付与工程の後に、効果顔料インク及び透明インクの硬化工程を行い、その後、着色インクによる画像形成工程及び着色インクの硬化工程を行ってもよく、また、着色インクによる画像形成の後に、効果顔料インク、透明インク及び着色インクを一括で硬化させることもできる。また、透明インク及び効果顔料インクの硬化率を10〜80%となるようにすることも好ましい。また、複数の着色インクを使用する場合には、一色毎に硬化させてもよく、全色が吐出された後に硬化させてもよい。
【0026】
なお、着色インクを使用する場合には、複数の着色インクを使用することが好ましく、例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の着色インク、更にホワイトインクを含む5色の着色インクからなる着色インクセットを使用することもできる。吐出する着色インクの順番は特に限定されるわけではないが、明度の低い着色インクから被記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色を使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えた5色の着色インクを使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
フルカラー画像を得るためには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの着色インク又はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトの5つの着色インクを使用することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、ブラック、ホワイト、イエローの8つの着色インクを使用することもできる。
【0027】
<被記録媒体>
本発明において、被記録媒体に用いる材料としては、特に限定されずいずれの材料を使用してもよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。本発明において、被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用される。
【0028】
2.インクジェット記録用インクセット
以下、本発明のインクジェット記録方法に使用されるインクセット(本発明のインクセットともいう。)について説明する。前記インクセットは、少なくとも、透明インク及び効果顔料インクから構成される。また、インクセットは、更に、着色インクを有していてもよく、着色インクとしては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、ホワイト等の各色のインクが例示される。また、着色インクは前記の各色には限定されず、ライトシアン、ライトマゼンタ等の淡色インクであってもよい。
【0029】
(1)透明インク
本発明において、透明インクは、重合開始剤及び重合性化合物を含有し、かつ、実質的に顔料を含有しない。
ここで、前記「実質的に顔料を含有しない」とは、無色透明の顔料の含有や、視認できない程度のごく微量の含有をも除外するものではない。その許容量としては、透明インク全重量に対して1重量%以下であることが好ましく、含有しないことが特に好ましい。
また、後述するように、透明インクは、増感剤を含有することが好ましく、特に、後述する式(I)で表される増感剤を含有することが好ましい。また、透明インクは、界面活性剤を含有することが好ましい。
【0030】
(2)効果顔料インク
本発明において、効果顔料インクは、効果顔料、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有する。
【0031】
(3)着色インク
本発明のインクジェット記録方法において、前記透明インク及び効果顔料インクに加えて、必要に応じて、着色インクを使用してもよい。
着色インクは、着色剤、重合性化合物、及び、重合性化合物を含有する。なお、前記着色剤は、効果顔料を除く着色剤を意味する。
【0032】
(透明インクと効果顔料インクの表面張力の関係)
効果顔料インクの表面張力を、透明インクの表面張力よりも低くし過ぎると、光学的効果が小さくなるため、効果顔料インクの表面張力は、高めに設定することが好ましい。効果顔料インクの表面張力が透明インクの表面張力より低い場合、その差は5mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは、効果顔料インクの表面張力が透明インクの表面張力より高いことである。
すなわち、透明インクの25℃における表面張力をγs、効果顔料インクの25℃における表面張力をγkとしたとき、γs−γk≦5mN/mであることが好ましく、γs−γk<0であることがより好ましい。
なお、γs−γkの下限は特に限定されないが、−10mN/m以上であることが好ましく、−8mN/m以上であることがより好ましく、−5mN/m以上であることが更に好ましい。
前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定される値である。
【0033】
透明インクの25℃における表面張力(γs)は、効果顔料インク上に透明インクで均一な膜を形成する観点等から、30〜40mN/mであることが好ましく、30〜38mN/mであることがより好ましく、30〜36mN/mであることが更に好ましい。
効果顔料インクの25℃における表面張力(γk)は、被記録媒体上でのはじきを防ぐ点、及び、透明インクとの表面張力を適切に保つ点などの観点から、30〜40mN/mであることが好ましく、32〜40mN/mであることがより好ましく、32〜38mN/mであることが更に好ましい。
使用する重合性化合物の選択や、界面活性剤の添加等により、所望の表面張力となるように適宜調整することが好ましい。
【0034】
(インクの物性)
本発明のインク、特に、効果顔料インク及び着色インクは、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、7〜30mPa・sであることが更に好ましい。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインクは、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となるので好ましい。更に、インク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
【0035】
以下、透明インク、効果顔料インク及び着色インクが含有する成分について説明する。
(重合性化合物)
本発明において、インク(透明インク、効果顔料インク及び着色インク)が含有する重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物が好ましい。
効果顔料インクにラジカル重合性化合物が好適に用いられる理由は、(1)被記録媒体上に効果顔料インクを吐出する画像形成工程、及び、(2)被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程の間に、効果顔料インクを硬化させる工程を設けた場合、ラジカル重合に特有の酸素重合阻害によって、効果顔料インクの硬化率を85%以下の流動性を保持した状態を保つことが容易であるためである。
一方、透明インクにラジカル重合性化合物が好適に用いられる理由は、ラジカル重合性化合物を用いた場合に、透明インクの保存安定性がカチオン重合性化合物などの比較して良好であるためである。
ラジカル重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与によりラジカル重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述するラジカル重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知のラジカル重合性のモノマーを使用することができる。また、ラジカル重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
【0036】
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、N−ビニル化合物等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0037】
本発明におけるラジカル重合性化合物としては、硬化性、粘度の点から、(メタ)アクリレート類であることが好ましい。特に、粘度の点から、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることより好ましい。
【0038】
以下、本発明に適用しうるラジカル重合性化合物について詳細に説明する。
本発明に用いられる(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソフォリル(メタ)アクリレート(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート)、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0039】
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロオロエチル(メタ)アクリレート、パーフロオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0040】
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性(例えば、EO変性、PO変性)トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0042】
本発明に用いられる(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
【0043】
本発明に用いられる芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロルスチレン、ブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0044】
本発明に用いられるN−ビニル化合物の具体例としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルバレロラクタム、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
【0045】
更に、本発明におけるラジカル重合性モノマーとしてはビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
【0046】
この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。
【0047】
効果顔料インクに好適に使用される重合性化合物としては、以下のグループ1が例示できる。効果顔料インクは、上述したように、透明インクと比べて、相対的に表面張力を高く設定することが好ましい。グループ1に示した重合性化合物は表面張力が比較的高く、また、これを使用した効果顔料インクは硬化性に優れ、更に、得られる硬化膜の特性に優れる。
(グループ1)
N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、テトラヒドロフルフリルアクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
これらの中でも、以下のグループ1’がより好ましく、グループ2が更に好ましい。
(グループ1’)
N−ビニルカプロラクタム、2−フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート及びサイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート
(グループ2)
N−ビニルカプロラクタム及び2−フェノキシエチルアクリレート
グループ1、グループ1’及びグループ2に例示された重合性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
効果顔料インクは、前記グループ1よりなる群から選択された重合性化合物を、重合性化合物全体の20重量%以上含有することが好ましく、30重量%以上含有することがより好ましく、40重量%以上含有することが更に好ましい。
また、前記グループ2よりなる群から選択された重合性化合物を、重合性化合物全体の25重量%以上含有することが好ましく、35重量%含有することがより好ましく、45重量%以上含有することが更に好ましい。
効果顔料インク中の重合性化合物の含有量は、効果顔料インク全体の50〜99重量%であることが好ましく、60〜98重量%であることがより好ましく、70〜97重量%であることが更に好ましい。
前記グループ1、グループ1’及びグループ2以外の重合性化合物としては、特に限定されず、上述の単官能モノマー、多官能モノマー及び下記のグループ1に例示されたモノマーから適宜選択すればよい。
【0049】
透明インクに好適に使用される重合性化合物としては、以下のグループ3が例示できる。透明インクは、上述したように、効果顔料インクと比べて、相対的に表面張力を低く設定することが好ましい。グループ3に示した重合性化合物は表面張力が比較的低く、また、これを使用した透明インクは硬化性に優れ、更に、得られる硬化膜の特性に優れる。
(グループ3)
オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びPO変性トリメチロールプロパントリアクリレート
グループ1に例示された重合性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、以下のグループ4よりなる群から選択される重合性化合物がより好ましい。
(グループ4)
イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート
【0050】
透明インクは、前記グループ3よりなる群から選択された重合性化合物を、重合性化合物全体の40重量%以上含有することが好ましく、50重量%以上含有することがより好ましく、60重量%以上含有することが更に好ましい。
また、透明インクは、前記グループ4よりなる群から選択された重合性化合物を、重合性化合物全体の40重量%以上含有することが好ましく、50重量%以上含有することがより好ましく、60重量%以上含有することが更に好ましい。
【0051】
透明インク中の重合性化合物の含有量は、透明インク全体の20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがより好ましく、40〜60重量%であることが更に好ましい。
前記グループ3及び4以外の重合性化合物としては、特に限定されず、上述の単官能モノマー、多官能モノマー及び後述するグループ2に例示されたモノマーから適宜選択すればよい。
【0052】
着色インクの重合性化合物としては、上述した(メタ)アクリレートモノマーが好ましいが、これらに限定されるものではなく、上述のグループ1〜グループ4に例示されたモノマーを使用してもよく、特に限定されない。
着色インク中の重合性化合物の含有量は、着色インク全体の50〜95重量%であることが好ましく、60〜90重量%であることがより好ましく、70〜85重量%であることが更に好ましい。
【0053】
(重合開始剤)
本発明のインク(透明インク、効果顔料インク及び着色インク)は、重合開始剤を含有する。
重合開始剤は、前記活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく挙げられ、光ラジカル重合開始剤がより好ましく挙げられ、α−アミノアセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、及び、炭素ハロゲン結合を有する化合物等が更に好ましく挙げられる。これらの重合開始剤の具体例としては、特開2008−208190号公報、特開2010−013574号公報に記載のラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0054】
透明インクの重合開始剤としては、硬化性及び着色の観点から、α−アミノアセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物がより好ましく挙げられる。また、後述する式(I)で表される化合物を添加する場合には、重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド化合物及び/又はα−アミノアセトフェノン化合物を使用することが好ましく、少なくとも1種のアシルホスフィンオキサイド化合物及び少なくとも1種のα−アミノアセトフェノン化合物を併用することがより好ましい。
透明インク中の重合開始剤の総含有量は、硬化性、均一な硬化性の観点から、透明インク全体の15〜2重量%であることが好ましく、12〜4重量%であることがより好ましく、10〜5重量%であることが更に好ましい。重合開始剤は1種単独でしてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
効果顔料インクの重合開始剤としては、硬化性、均一な硬化性の観点から、α−アミノアセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物がより好ましく挙げられる。また、アシルホスフィンオキサイド化合物と後述する式(I)で表される化合物もしくはチオキサントン類化合物を併用することが更に好ましい。
効果顔料インク中の重合開始剤の総含有量は、硬化性、硬化の均一性の観点から、効果顔料インク全体の20〜4重量%であることが好ましく、18〜5重量%であることがより好ましく、16〜6重量%であることが更に好ましい。重合開始剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
着色インクの重合開始剤としては、使用する重合性化合物等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
着色インクの重合開始剤の総含有量は、硬化性の観点から、着色インク全体の20〜4重量%であることが好ましく、18〜5重量%であることがより好ましく、16〜6重量%であることが更に好ましい。重合開始剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
なお、増感剤を用いる場合、重合開始剤の総含有量は、増感剤の含有量に対して、重合開始剤:増感剤の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、更に好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
増感剤を用いる場合、インクにおける増感剤の含有量は、インクの着色性の観点から、インクの全重量に対して、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%が更に好ましい。
【0058】
(増感剤)
本発明において、透明インクは、増感剤として、下記式(I)で表される化合物を含有することが好ましい。式(I)で表される化合物を含有することにより、感度が向上し、また、重合開始剤等に由来する着色を抑制することができるので好ましい。
なお、効果顔料インク及び/又は着色インクが、下記式(I)で表される化合物を含有することを排除するものではない。
【0059】
【化1】

【0060】
前記式(I)において、Xは、O、S又はNRを表す。Rは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、アルキル基又はアシル基であることが好ましい。
前記式(I)において、nは、0又は1を表す。
Xとしては、O又はSであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
なお、nが0の場合、R7及びR8と結合した炭素原子は存在せず、ヘテロ原子を含むXと、R5及びR6と結合した炭素原子と、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
【0061】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8における一価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基などが挙げられる。中でも、アルキル基又はハロゲン原子であることが好ましい。
【0062】
式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものがより好ましい。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0063】
1、R2、R3及びR4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結(例えば縮合)して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。更にこれらの環構造は、前記式(I)において、R1乃至R8が一価の置換基を表す場合に例示した置換基を更に有していてもよい。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
【0064】
n=1の場合、R5又はR6と、R7又はR8は互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。脂肪族環は、3〜6員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
【0065】
前記式(I)で表される化合物は、下記式(I−A)で表される化合物であることが好ましい。
【0066】
【化2】

【0067】
前記式(I−A)において、XはO又はSを表し、nは0又は1を表し、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。R1A、R2A、R3A及びR4Aは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5A又はR6Aと、R7A又はR8Aは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
更にこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基を更に有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
【0068】
また、前記式(I)で表される化合物は、下記式(I−B)で表される化合物であることがより好ましい。
【0069】
【化3】

【0070】
前記式(I−B)において、XはO又はSを表し、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。また、R1B、R2B、R3B及びR4Bは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5B又はR6Bと、R7B又はR8Bは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
更にこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基を更に有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
【0071】
更に、前記式(I)で表される化合物は、下記式(I−C)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0072】
【化4】

【0073】
前記式(I−C)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
1C、R2C、R3C及びR4Cは、それぞれ隣接する2つが互いに縮合して5又は6員環の脂肪族環、芳香族環を形成していてもよく、これらの環は、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。R5C又はR6Cと、R7C又はR8Cは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
更にこれらの環構造は、前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合に例示した各置換基を更に有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O及びSを挙げることができる。
【0074】
また、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cのうちの少なくとも1つはハロゲン原子であることが好ましい。好ましい置換位置としてはR1C、R2C、R3C、R4Cが挙げられ、R2Cが最も好ましい。R1C〜R8Cにおけるハロゲン原子の数としては、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
【0075】
2Cは、水素以外の置換基であることが好ましく、中でも、光源とのマッチングがよく高感度であるため、アルキル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基又はアルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基又はハロゲン原子がより好ましい。
【0076】
7C及びR8Cのいずれかは、水素以外の置換基であることが好ましく、両方とも水素以外の置換基であることが更に好ましい。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられ、中でもアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0077】
アルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数が1〜4個のものがより好ましい。
【0078】
アシルオキシ基としては炭素数2〜10個の脂肪族アシルオキシ基が好ましく、炭素数が2〜5個の脂肪族アシルオキシ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜10個の脂肪族アルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数が2〜5個のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
【0079】
本発明に好適に用いることのできる式(I)で表される化合物の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−133)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明における化学式の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。また、下記具体例において、Meはメチル基を表し、Butはt−ブチル基を表し、Priはイソプロピル基を表す。
【0080】
【化5】

【0081】
【化6】

【0082】
【化7】

【0083】
【化8】

【0084】
【化9】

【0085】
【化10】

【0086】
【化11】

【0087】
【化12】

【0088】
【化13】

【0089】
これらの中でも、例示化合物(I−2)、(I−4)、(I−5)、(I−14)及び(I−15)が好ましく、例示化合物(I−14)が特に好ましい。
【0090】
式(I)で表される化合物の合成方法としては、例えば、特開2004−189695号公報、Tetrahedron,第49巻,p939(1993年)、Journal of Organic Chemistry,p893(1945年)、及び、Journal of Organic Chemistry,p4939(1965年)などに記載の公知の方法によって合成することができる。
【0091】
式(I)で表される化合物は、硬化性と非硬化性成分である該化合物の硬化膜からの泣き出し防止の両立の観点から、インクへの添加濃度として、インクの総重量に対して、0.5重量%以上25.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上20.0重量%以下であることがより好ましく、1.0重量%以上15.0重量%以下であることが特に好ましい。
なお、式(I)で表される化合物は、可視光領域における吸収が殆どないため、増感剤としての効果を発現しうる量を添加してもインクの色相に影響を与える懸念がないという利点をも有するものである。特に、透明インクの場合、増感剤を使用すると、インクの色相が変化しやすいという問題があるが、上記式(I)で表される化合物は、このような色相の変化を生じることなく透明インクに高い硬化性を(高感度性)を付与することができる。
【0092】
<その他の増感剤>
本発明のインク(透明インク、効果顔料インク及び着色インク)には、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、その他の増感剤を含有してもよい。
その他の増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)、チオキサントン類(例えば、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等)等が挙げられる。
これらの中でも、チオキサントン類が好ましく例示できる。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
(効果顔料)
本発明において、効果顔料とは、薄板状構造を有し、表面被覆に特別な装飾的色効果を提供する全ての顔料を意味する。効果顔料としては、例えば、アルミニウム、鉄、又は、銅のような純粋な金属顔料、二酸化チタンでコートされた雲母、酸化鉄でコートされた雲母、混合酸化物でコートされた雲母(例えば、二酸化チタンとFe23とで、又は、二酸化チタンとCr23とでコートされたもの)、金属酸化物でコートされたアルミニウムのような干渉顔料又は液晶顔料が挙げられる。
これらの中でも、効果顔料としては、金属顔料又はパール顔料であることが好ましい。
【0094】
金属顔料としては、特に、アルミニウム材料が好ましく、アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、及び、アルミニウムフレーク等が例示される。上記アルミニウム粉末は、溶剤成分を含まないメタリック顔料であり、アルミニウム粒子にアクリル系樹脂などの樹脂をコーティングしたタイプの材料も含まれる。また、前記アルミニウムペーストは、アルミニウムの鱗片状微細粒子を表面処理し、有機溶剤等でペースト状にした材料である。更に、前記アルミニウムフレークの一例として、アルミニウム蒸着膜を顔料化したタイプの材料が例示できる。
【0095】
前記パール顔料としては、雲母を微粉末化して表面処理を施したホワイトパールが例示できる。
【0096】
本発明において、効果顔料が平板状粒子であり、効果顔料の形状が、下記式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
0.5μm≦R50≦5μm (1)
50/d>5 (2)
(式(1)及び式(2)中、R50は粒子の平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径であり、dは平板厚みである。)
【0097】
平板状粒子とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。ここで、平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義する。
平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、R50は該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径である。
円相当径は、平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円と想定したときの、当該円の直径である。平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、その平板状粒子の円相当径であるという。
【0098】
効果顔料のR50は光沢性、及び、吐出安定性等の観点から、0.5μm〜5μmであることが好ましく、0.7〜4μmであることがより好ましく、1〜3μmであることが更に好ましい。
【0099】
また、平板状粒子のR50と、厚みdとの関係は、高い光沢性を確保する観点から、R50/d>5であることが好ましい。R50/dは、6以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。
【0100】
前記R50は、粒子像分析装置を用いて測定することができ、例えば、シスメックス(株)製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−300、FPIA−3000S等が例示できる。
また、厚みdは、SEM画像によって測定することができる。
【0101】
本発明において、効果顔料は前記式(1)及び式(2)を満たす平板状粒子であることが好ましく、式(1)及び式(2)を満たす金属顔料又はパール顔料であることがより好ましい。
平板状粒子であるパール顔料としては、雲母、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、セピオライト、バミキュライト、モンモリロナイト、セリサイトなどの層状の構造を有する粘土鉱物が例示できる。また、平板状に加工した材料、例えば、平板状に加工した雲母を、二酸化チタンや酸化鉄で被覆することにより、薄膜の多重層から形成されたものとすることで、よりパール光沢を向上させた平板状顔料も好適に使用される。
【0102】
平板状粒子である金属顔料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を使用する場合、アルミニウムに添加される他の金族元素又は非金族元素としては、金属光沢を有するものであれば特に限定されず、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金、及び、これらの混合物よりなる群から選択された1つ以上を使用することができる。
【0103】
前記平板状粒子である効果顔料の作製方法は特に限定されないが、(1)シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は金属化合物層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の前記金属又は金属化合物層と前記剥離用樹脂層との界面を境界として、金属又は金属化合物層を前記シート状基材より剥離し、粉砕して微細化して平板状粒子を得る方法、(2)アルミニウムを溶融させてから噴霧(アトマイズ)し、得られた球状の粒子をパールミル、ボールミル等を用いて磨砕する方法等が挙げられ、特開2008−239951号公報、特表2010−533747号公報等が参照できる。
なお、前記(1)の方法では、金属又は金属合金の層を複数積層することもできる。また、前記(1)及び(2)の方法では、金属又は金属合金の層に他の層を積層することもでき、他の層としては保護層が例示できる。保護層としては、酸化ケイ素、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、及び/又は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体等の有機ポリマーから形成される層が例示できる。
【0104】
本発明において、効果顔料は薄層の多重層から形成された平板状粒子であることが好ましく、例えば、前記の方法により得られた効果顔料が例示できる。効果顔料が薄層の多重層から形成されていると、顕著な光学特性が得られる点で好ましい。
また、効果顔料は、入手容易性及び光輝性の観点から、その材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
【0105】
(界面活性剤)
本発明において、透明インク、効果顔料インク及び着色インクは、界面活性剤を含有してもよい。特に透明インクは、効果顔料インクに対して相対的に低い表面張力を有することが好ましいことから、透明インクは界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に使用される界面活性剤としては、下記の界面活性剤が例示できる。例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤として、有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8から17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
特に本発明において使用される界面活性剤は、上記界面活性剤に限定されることはなく、添加濃度に対して効率的に表面張力を低下させる能力のある添加剤であればよい。
【0106】
本発明において、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等のイオン系界面活性剤を使用すると、透明インク及び効果顔料インクの安定性が低下する場合がある。そのため、非イオン性である界面活性剤が好ましく、非イオン性の炭化水素系界面活性剤を使用することが好ましい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、長鎖アルキルアクリレート重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、カルボン酸アルカノールアミド等が例示でき、重合性モノマーとの相溶性に優れる観点から、長鎖アルキルアクリレート重合体が好ましく使用される。
【0107】
界面活性剤の添加量は特に限定されないが、安定した吐出性及び表面張力を所望の範囲にする観点から、インク全体の2.0〜0.01重量%であることが好ましく、0.5〜0.05重量%であることがより好ましく、0.2〜0.05重量%であることが特に好ましい。
【0108】
(着色剤)
本発明においては、着色インクは、少なくとも着色剤を含有する。
本発明において用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色インクに含まれる着色剤としては、特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。なお、着色インクが含有する着色剤は、効果顔料以外の着色剤を意味する。
【0109】
本発明において、着色剤に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。更に、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W. Herbst, K. Hunger, Industrial Organic Pigments、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0110】
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー200(Novoperm Yellow 2HG)の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0111】
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン、CINQUASIA Magenta RT−355T;チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0112】
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャリティケミカルズ社製)(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
【0113】
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしてはSPECIAL BLACK 250(デグサ社製)が例示できる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。従って、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0114】
着色剤の分散には、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
着色剤の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、着色剤を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種着色剤に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、着色剤100重量部に対し、1重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。
【0115】
着色インクにおいて着色剤などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶剤で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、着色インクは、活性エネルギー線硬化型の液体であることが好ましく、着色インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化された着色インクから形成された画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性やインクのハンドリング性向上の観点から好ましい。
【0116】
ここで用いる着色剤の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるため、0.01μm以上0.4μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.02μm以上0.2μm以下の範囲である。最大粒径は3μm以下、好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、着色インクの保存安定性、着色インクの透明性及び硬化感度を維持することができる。
着色インク中における着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
【0117】
(分散剤)
本発明において、インク、特に、効果顔料インク及び着色インクは、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
【0118】
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
効果顔料の分散剤としては、酸性分散剤及び塩基性分散剤を好ましく用いることができるが、より好ましくは用いる効果顔料の表面の酸及び塩基価によって使い分けることが好ましい。すなわち、表面酸価が比較的に高い場合は塩基性分散剤が特に好ましく用いられ、表面塩基価が比較的に高い場合は酸性分散剤が特に好ましく用いることができる。
本発明において、インク中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク全体の重量に対し、0.05〜15重量%であることが好ましい。
【0119】
(その他添加剤)
本発明におけるインクには、前記重合性化合物、重合開始剤など加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、耐候性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。また、安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。
更に、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、吐出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、インクと被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
【実施例】
【0120】
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、「部」及び「%」は、特に断りの無い限り、「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0121】
(アルミ顔料分散体の作製)
表1に記載の液体AをSILVERSON社製ミキサーで3分間撹拌し(1,000〜1,500rpm)、均一な予備分散液を得た。その後、EIGER社製の循環型ビーズミル装置(Laboratory Mini Mill)を用いて分散を実施した。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを100cc充填し、周速を9m/sとし、分散時間は、5時間で行った。
【0122】
【表1】

【0123】
なお、表1中アルミ顔料溶剤分散体A及び酸性分散剤Aは、以下の通りである。
・アルミ顔料溶剤分散体A:アルミ顔料20wt%IPA(イソプロピルアルコール)分散体、METALURE W−52012 IL(ECKART社製)
・酸性分散剤A:Solsperse36000(Luburizol社製)
分散後の分散物をIPAに希釈して、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−950)にて測定し、R50=3.5μm、であることを確認した。一方、セトンを用いて洗浄してから、乾燥させたサンプルを走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEOL6500)で観察し、d=56nmであることを確認した。
【0124】
分散処理を施した液体A100gに対し、PEA(2−フェノキシエチルアクリレート、SR339C;Sartomer社製)30gを添加し、SILVERSON社製ミキサーで3分間撹拌し(1,000〜1,500rpm)、均一な液体を得た。この液体にエバポレーター処理を施して、イソプロパノールを除去した。液体の総重量が50gになるまでこの処理を行い、アルミ顔料分散体Aを得た。処理後のアルミ顔料分散体A中のイソプロパノールの含有率は2wt%以下であった。
【0125】
(メタリックインク及び透明インクの作製)
表2に記載の組成をSILVERSON社製ミキサーで15分間撹拌し(1,000〜1,500rpm)、均一な効果顔料インク(メタリックインク)を得た。表面張力を測定した結果を表2に示す。
また、表3に記載の組成をSILVERSON社製ミキサーで10分間撹拌し(1,000〜1,500rpm)、均一な透明インクを得た。表面張力を測定した結果を表3に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
表2及び表3で使用した各成分は以下の通りである。
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(SR238、SARTMER社製)
・3MPDDA:3メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(SR341、SARTMER社製)
・DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(ST508、SARTMER社製)
・(PO)TMPTA:PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR492、SARTMER社製)
・EOEOEA:2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(SR256、SARTMER社製)
・PEA:2−フェノキシエチルアクリレート(SR339、SARTMER社製)
・IBOA:イソボルニルアクリレート(SR506、SARTMER社製)
・ODA:オクチル/デシルアクリレート(SR484、SARTMER社製)
・NVC:N−ビニルカプロラクタム(NVC、BASF社製)
・THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート(SR506、SARTMER社製)
・CTFA:サイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(SR531、SARTMER社製)
・TEGDA:トリエチレングリコールジアクリレート(SR268、SARTMER社製)
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351、SARTMER社製)
・(EO)TMPTA:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR454、SARTMER社製)
・TPO:Lucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)
・Irg819:Irgacure 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)
・Irg184:Irgacure 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製)
・Irg907:Irgacure 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASF社製)
・ITX:2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンの混合物(Lambson社製、商品名:Speedcure ITX)
・Cl−チオクロマノン:下記化合物A
・M−チオクロマノン:下記化合物B
・アクリル重合体A:ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、MW=96,000
・ST−1:FIRSTCURE ST−1(Albemarle社製、重合禁止剤)
・BYK307:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BY307、ビックケミー社製)
【0129】
【化14】

【0130】
(画像記録装置(シャトルスキャン型))
印刷に使用したシャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1の概略構成図を図2に示す。また、図3には、インクジェット記録用ヘッドユニット部2の概略構成斜視図を示す。
上記インクをインクタンク8に収容した。インクタンク8から、インク供給用チューブ(不図示)を通して、インクジェット記録用ヘッドユニット部2にインクを供給した。
該インクジェット記録用ヘッドユニット部2は、長軸の金属軸からなる固定軸5で固定し、往復運動が可能な動力部4によって、可変スピードで往復運動を行う。なお、往復運動が可能な動力部4には、インク供給用チューブ(不図示)とヘッド制御用の電気配線(不図示)が内蔵されている。
該インクジェット記録用ヘッドユニット部2の固定軸5の両端には、ヘッドのメンテナンス及びクリーニングを実施するためのメンテナンス部3を具備する。更にこれらの外側には、インクジェット記録用プリンタをコントロールするための制御部6(例えば、パーソナルコンピュータ)、及び、インクタンク8を配置した。
インクジェット記録用ヘッドユニット部2は、市販ヘッド(東芝テック(株)製ヘッドCA4)を1色当たり2つ配列して300npiにしたヘッドセットを7組(図3中、21〜27)と、市販の紫外線硬化型ランプ(メタルハライドランプ)2基(図3中、28及び29)で構成した。なお、ヘッドセットは、透明インク用インクジェットヘッド21と27、シアンインク用インクジェットヘッド22、マゼンタインク用インクジェットヘッド23、イエローインク用インクジェットヘッド24、ブラックインク用インクジェットヘッド25、メタリックインク(効果顔料インク)用インクジェットヘッド26の順で配置した。
メタリックインク(効果顔料インク)用インクジェットヘッドに使用する市販ヘッド(東芝テック(株)製ヘッドCA4)には備付のメッシュフィルターを取り外し、ディスクフィルター30(Pall社製LastChanceFilterAcro37(LCF−23100))をヘッドとタンク間に設置した。
【0131】
ヘッドの直下には、被記録媒体を吸引固定可能な被記録媒体吸引ステージ7を配置した。被記録媒体9は、複数本の被記録媒体搬送用ローラー10と被記録媒体巻取用ローラー11によって、ヘッドの往復運動とは垂直方向に搬送する機構となっている。
ヘッドの吐出周波数とヘッド往復運動のスピードを制御し、1回のスキャンで常に300×600dpiの打滴密度で画像を印刷するように設定した。また、メタルハライドランプからの照射強度は、被記録媒体上で、スリット開口時が約1,000mW/cm2、スリット閉口時が約0mW/cm2、である。
【0132】
(画像記録装置(シングルパス型))
印刷に使用したシングルパス型インクジェット記録用プリンタの概略構成図を図4に示す。
33、35、37、39、40のインクジェット記録用ヘッドユニット部は、市販ヘッド(東芝テック(株)製ヘッドCA4)を1色当たり2つ配列して600npiフルライン配列したヘッドセットで構成した。メタリックインク用インクジェットヘッド33に使用する市販ヘッド(東芝テック(株)製ヘッドCA4)には備付のメッシュフィルターを取り外し、ディスクフィルター(Pall社製LastChanceFilterAcro37(LCF−23100))をヘッドとタンク間に設置した。
ヘッドユニット部は記録媒体搬送方向上流からメタリックインク用33、シアン用35、マゼンタ用37、イエロー用39、ブラック用40という順で機体に固定して、メタリックインク用ヘッドユニット部33の上流に透明インク用ロールコーター31を設置した。ヘッドの直下を被記録媒体44が移動可能な構造に構成すると共に、各ヘッドに対して被記録媒体の進行方向にそれぞれ光源32,34,36,38(365nm紫外線LED)を配置し、ブラックインクヘッド下流にはメタルハライドランプ41(光強度3,000mW/cm2)を設置した。
被記録媒体の搬送はロール搬送とし、送り出し機42及び巻取機43で搬送している。記録媒体上には600dpi×600dpiの画像を形成した。
【0133】
(実施例1)
シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1に表4に記載の組み合わせのインクセットをそれぞれメタリックインク用インクジェットヘッドMe、透明インク用インクジェットヘッドT1、T2に充填し、下記手順で印刷を実施した。なお、被記録媒体としてはPET(ビューフル、(株)きもと製)及びコート紙(OKトップコート、王子製紙(株)製)を用いた。
1)1回目の送りスキャン:図中の矢印A方向にヘッドが移動する。最初に、メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。続いて、透明インク用インクジェットヘッドT2から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。
その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。
なお、インクジェットヘッドMeからのドットとインクジェットヘッドT2からのドットとの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。
2)1回目の戻りスキャン:図中の矢印B方向にヘッドが移動する。メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。続いて、透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。その直後に、UV1紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。
なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。
3)被記録媒体のフィード:ヘッドの幅(53.6mm)の分から、1cm少ない52.6mmだけ被記録媒体をフィードした。
4)上記手順の1)〜3)を繰り返し、約30cm×約30cmの面積の印刷物を作成した。
5)印刷後、メタリック感、被覆、及び擦過性を下記評価基準にて評価した。
【0134】
(メタリック感)
20度、60度、85度の光沢度を測定(光沢度計:Tri−Glossmaster u(Sheen社))することによってメタリック感の有無を表現することができる。
◎:光沢値(60度)>光沢値(20度)>光沢値(85度)、かつ、
光沢値(60度)>100を満たす
○:光沢値(60度)>光沢値(20度)>光沢値(85度)、かつ、
光沢値(60度)>80を満たす
△:光沢値(60度)>光沢値(20度)>光沢値(85度)、かつ、
光沢値(60度)>80を満たす
×:上記を満たさない
【0135】
(均一性)
目視で評価し、メタリック感が得られる部分が均一かどうか確認した。この場合は、均一であることが好ましい。
【0136】
(擦過性)
キムワイプで10往復表面を擦り、表面が剥がれ落ちないものは○、剥がれ落ちたものは×とした。
【0137】
【表4】

【0138】
(比較例1)
シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1にメタリックインクDをメタリックインク用インクジェットヘッドMeに充填し、下記手順で印刷を実施した。なお、被記録媒体としては、PET(ビューフル、(株)きもと製)及びコート紙(OKトップコート、王子製紙(株)製)を用いた。
1)1回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。最初に、メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。
その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。
2)1回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。その直後に、UV1紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。
3)被記録媒体のフィード:ヘッドの幅(53.6mm)の分から、1cm少ない52.6mmだけ被記録媒体をフィードした。
4)上記手順の1)〜3)を繰り返し、約30cm×約30cmの面積の印刷物を作成した。
5)印刷後、メタリック感、均一性、及び擦過性を前記評価基準にて評価した。
【0139】
(比較例2)
シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1にメタリックインクD及び透明インクFを充填し、下記手順で印刷を実施した。なお、被記録媒体としてはPET(ビューフル、(株)きもと製)を用いた。
1)1回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。最初に、メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は85%超になるように、スリットの開口幅を設定した。
2)1回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
3)2回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は85%超になるように、スリットの開口幅を設定した。
4)2回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
5)被記録媒体のフィード:ヘッドの幅(53.6mm)の分から、1cm少ない52.6mmだけ被記録媒体をフィードした。
6)上記手順の1)〜5)を繰り返し、約30cm×約30cmの面積の印刷物を作成した。
7)印刷後、メタリック感、均一性、及び擦過性を前記評価基準にて評価した。
【0140】
(実施例2)
シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1にメタリックインクD及び透明インクFを充填し、下記手順で印刷を実施した。なお、被記録媒体としてはPET(ビューフル、(株)きもと製)を用いた。
1)1回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。最初に、メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は80〜85%になるように、スリットの開口幅を狭く設定した。
2)1回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
3)2回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は80〜85%になるように、スリットの開口幅を狭く設定した。
4)2回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
5)被記録媒体のフィード:ヘッドの幅(53.6mm)の分から、1cm少ない52.6mmだけ被記録媒体をフィードした。
6)上記手順の1)〜5)を繰り返し、約30cm×約30cmの面積の印刷物を作成した。
7)印刷後、メタリック感、均一性、及び擦過性を前記評価基準にて評価した。
【0141】
(実施例3)
シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ1にメタリックインクD及び透明インクFを充填し、下記手順で印刷を実施した。なお、被記録媒体としてはPET(ビューフル、(株)きもと製)を用いた。
1)1回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。最初に、メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は50〜60%になるように、スリットの開口幅を更に狭く設定した。
2)1回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
3)2回目の送りスキャン:図3中の矢印A方向にヘッドが移動する。メタリックインク用インクジェットヘッドMeから300dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率は50〜60%になるように、スリットの開口幅を更に狭く設定した。
4)2回目の戻りスキャン:図3中の矢印B方向にヘッドが移動する。透明インク用インクジェットヘッドT1から300dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は42pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、インクジェットヘッドT1からのドットとインクジェットヘッドMeからのドットの中心点が一致するように、副走査方向のノズル位置と角度、及び、吐出時間を調整してある。その直後に、UV2紫外線照射用ランプにて紫外線を被記録媒体に向けて照射した。なお、この時の硬化率が90%以上になるように、スリットの開口幅を広く設定した。
5)被記録媒体のフィード:ヘッドの幅(53.6mm)の分から、1cm少ない52.6mmだけ被記録媒体をフィードした。
6)上記手順の1)〜5)を繰り返し、約30cm×約30cmの面積の印刷物を作成した。
7)印刷後、メタリック感、均一性、及び擦過性を前記評価基準にて評価した。
【0142】
(実施例4)
図4に示すシングルパス型プリンタにメタリックインクD及び透明インクFを充填し、下記手順で印刷を実施した。ここでは、透明インクFは、40のブラックインク用ヘッドに充填した。被記録媒体としてはPET(ビューフル、(株)きもと製)を用いた。
また、シアン用35、マゼンタ用37、イエロー用39、には、FUJIFILM Speciality Ink Systems社製UVJetシリーズの、シアンKO215、マゼンタKO867、イエローKI052をそれぞれ充填した。
1)図4中の矢印方向に送り出し機42と巻取機43が回転することによって、被記録媒体が搬送される。
2)メタリックインク用インクジェットヘッドユニット部33から600dpi×1,200dpiの打滴密度でメタリックインクDを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は21pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。
3)透明インクFが充填してあるブラックインク用インクジェットヘッドユニット部40から600dpi×1,200dpiの打滴密度で透明インクFを被記録媒体上に吐出した(1つのノズルからの吐出量は21pLとなるように電圧とパルス数を調整してある。)。なお、メタリックインクのドットと透明インクのドットの中心が重なるようにノズル配列方向の位置と角度、打滴タイミングを調整してある。
4)メタルハライドランプ41で照射して、メタリックインク/透明インク層を硬化した。
5)上記手順にて、約10cm×30cmの面積の印刷物を作成した。
6)印刷後、メタリック感、均一性、及び擦過性を前記評価基準にて評価した。
なお、上記工程3)と工程4)の間に、シアン用35、マゼンタ用37、イエロー用39、のヘッドユニット部から600dpi×1,200dpiの打滴密度でシアン、マゼンタ、イエローインクを被記録媒体上に、メタリックインクを吐出した領域と一部の重なりを有するようにそれぞれ吐出した。
【0143】
(比較例3)
実施例5の手順の中で、透明インクの付与を省略して印刷を実施した。
【0144】
【表5】

【符号の説明】
【0145】
1 シャトルスキャン型インクジェット記録用プリンタ、2 インクジェット記録用ヘッドユニット部、3 メンテナンス部、4 動力部、5 固定軸、6 制御部、7 被記録媒体吸引ステージ、8 インクタンク、9 被記録媒体、10 被記録媒体搬送用ローラー、11 被記録媒体巻取用ローラー、21〜27 ヘッドセット、28,29 紫外線硬化型ランプ、30 ディスクフィルター、31 透明インク用ロールコーター、32,34,36,38 光源、33,35,37,39,40 ヘッドユニット部、41 メタルハライドランプ、42 送り出し機、43 巻取機、44 被記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体上に効果顔料インクを吐出して画像形成を行う画像形成工程、
被記録媒体上に透明インクを付与する透明インク付与工程、及び、
被記録媒体上の効果顔料インク及び透明インクを硬化させる硬化工程をこの順で有し、
前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が85%以下であり、
前記透明インクは、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、かつ、実質的に顔料を含有せず、
前記効果顔料インクは、効果顔料、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有することを特徴とする
インクジェット記録方法。
【請求項2】
前記画像形成工程と前記透明インク付与工程との間に、効果顔料インクを硬化する工程を有しないか、又は、有する場合には、効果顔料インクの硬化率が60%以下である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記透明インク付与工程において、透明インクは、被記録媒体上に付与された効果顔料インクと重なりを有して付与される、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記透明インク付与工程において、透明インクは、被記録媒体上の効果顔料インクが付与された領域を覆うように付与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記効果顔料が平板状粒子であり、効果顔料の形状が下記式(1)及び式(2)を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
0.5μm≦R50≦5μm (1)
50/d>5 (2)
(式(1)及び式(2)中、R50は粒子の平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径であり、dは平板厚みである。)
【請求項6】
前記効果顔料が金属顔料又はパール顔料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記効果顔料が、薄層の多重層から形成された平板状粒子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記効果顔料の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】
前記効果顔料インクの表面張力をγkとし、前記透明インクの表面張力をγsとしたとき、下記式(3)を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
−10mN/m≦γs−γk≦5mN/m (3)
【請求項10】
前記効果顔料インクの表面張力をγkとし、前記透明インクの表面張力をγsとしたとき、下記式(4)を満たす、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
30mN/m≦γs<γk≦40mN/m (4)
【請求項11】
前記効果顔料インクが、下記グループ1よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の40重量%以上含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(グループ1)
N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、テトラヒドロフルフリルアクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
【請求項12】
前記効果顔料インクが、下記グループ2よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の45重量%以上含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(グループ2)
N−ビニルカプロラクタム、2−フェノキシエチルアクリレート
【請求項13】
前記透明インクが、下記グループ3よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の60重量%以上含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(グループ3)
オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
【請求項14】
前記透明インクが、下記グループ4よりなる群から選択される重合性化合物を、重合性化合物全体の60重量%以上含有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(グループ4)
イソボルニルアクリレート、イソフォリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート
【請求項15】
前記透明インクが、界面活性剤を更に含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項16】
前記界面活性剤が、非イオン系の界面活性剤である、請求項15に記載のインクジェット記録方法。
【請求項17】
前記界面活性剤が、ポリ(メタ)アクリレート骨格を有する重合体である、請求項15又は16に記載のインクジェット記録方法。
【請求項18】
前記透明インクは、効果顔料インクの上層に設けられ、効果顔料インク中の重合性化合物の一部が透明インク中に拡散することによって、効果顔料インクの初期状態よりも効果顔料を高濃度状態に保持する機能を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項19】
請求項1〜18いずれか1項に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−210764(P2012−210764A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77800(P2011−77800)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】