説明

インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェットヘッド用クリーニング装置

【課題】インクを無駄にすることなく、ノズル面を良好にクリーニングできるようにする。
【解決手段】ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列を有し、このノズル列からインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドのノズル面に対向し、前記ノズル列に沿って移動するクリーニング部材と、このクリーニング部材の移動時に該クリーニング部材が対向するエリアに位置するノズルから部分的にインクを排出させる制御手段と、前記クリーニング部材とこれに対向するインクジェットヘッドのノズル面との間にインクを保持するインク保持部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出するが、このインクの吐出が継続されると、ノズルの吐出側に設けられるノズル面にインクが付着して汚れが生じる。ノズル面が汚れると、吐出しようとするインクが引き寄せられて曲がったり、ノズル面に濡れ広がって用紙に着弾しなかったり、用紙を汚したりといった問題を起こす。
【0003】
そこで、インクジェットヘッドのノズル面は定期的にクリーニングされるようになっている。このクリーニング時には、ノズル面を一旦インクで濡らし、この濡らしたインクとともに、汚れをクリーニング部材によって移動させる。
【0004】
ノズル面をインクで濡らす方法としては、インクに正圧を供給してインク供給側からインクを溢れさせるか、又はノズル面を密閉して負圧を供給することにより、インクを吸い出してノズル面に付着させるかの何れかがある。
【0005】
しかしながら、従来においては、ノズル面の全面を同時にインクで濡らしてからクリーニングを開始していたため、クリーニング部材がノズル面に沿って移動し終わらないうちにインクがノズル面から滴下してしまう。このため、インクが無駄になるとともに、周囲をインクで汚す、或いはノズル面を濡らすインクの量を適切に制御できずクリーニング性能が低下する等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−28675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、インクを無駄にすることなく、ノズル面を良好にクリーニングできるようにしたインクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェットヘッド用クリーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するため、実施形態は、ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列を有し、このノズル列からインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドのノズル面に対向し、前記ノズル列に沿って移動するクリーニング部材と、このクリーニング部材の移動時に該クリーニング部材が対向するエリアに位置するノズルから部分的にインクを排出させる制御手段と、前記クリーニング部材とこれに対向するインクジェットヘッドのノズル面との間にインクを保持するインク保持部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態であるインクジェット記録装置を示す構成図。
【図2】図1の吸引ノズルを示すもので、(a)はインクジェットヘッドのノズル側から見た平面図、(b)はその斜視図、(c)はその変形例を示す斜視図。
【図3】図1のインクジェットヘッドを示す斜視図。
【図4】図1のインクジェットヘッドのノズル面と吸引ノズル、インク保持部、親インク部エッジ及びメニスカスを説明する断面図。
【図5】図1のインクジェットヘッドのノズル面とワイパーブレード、インク保持部、親インク部エッジ及びメニスカスを説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施の形態であるインク循環式のインクジェット記録装置を示すものである。
【0012】
図中1は、大気開放される上流側サブタンクで、この上流側サブタンク1には上流側流路2を介してインクジェットヘッド3が接続されている。
【0013】
インクジェットヘッド3には、下流側流路6を介して下流側サブタンク7が接続され、この下流側サブタンク7は大気開放されている。下流側サブタンク7の流入口には減速瓶8が設けられている。
【0014】
インクジェットヘッド3の内部には図示しないノズル分岐点があってこの点で上流側流路2、下流側流路6と、ノズルへ連通する流路とが接続されている。
【0015】
減速瓶8は下流側サブタンク7に流入するインクの流速を低下させるとともに、その方向を上向きにし、仮にインク中に空気が混入したとしても下流サブタンク液面から大気に開放させるものである。
【0016】
下流側サブタンク7は、戻し流路10を介して上流側サブタンク1に接続されている。戻し流路10の中途部には、インクの流れ方向に沿って順次、第1のポンプ11、フィルタ12が配設されている。上記した上流側サブタンク1、上流側流路2、インクジェットヘッド3、下流側流路6、下流側サブタンク7、及び戻し流路10によって循環路13が構成されている。
【0017】
第1のポンプ11の流入側には、大気開放されるメインタンク14がインク量調整流路15を介して接続されている。インク量調整流路15の中途部には第2のポンプ16が設けられている。
【0018】
上記した第1のポンプ11は循環ポンプで、上流側サブタンク1のインク液面が上部側水位センサ20によって下がったことが検出されると、下流側サブタンク7のインクを上流側サブタンク1へ戻すものである。第2のポンプ16は、インク量調整用ポンプで、下流側サブタンク7の液面が下部側水位センサ21によって下がったことが検出されると、メインタンク14から循環路13へインクを補給する。
【0019】
なお、重力方向において、上流側サブタンク1は第1の位置に設けられ、インクジェットヘッド3は第1の位置よりも低い第2の位置に設けられ、下流側サブタンク17は第2の位置よりも低い第3の位置に設けられている。
【0020】
図3は、上記したインクジェットヘッド3を示す斜視図である。
【0021】
インクジェットヘッド3は、下面側にノズル面3aを有し、このノズル面3aに複数個のノズル3cを配設している。複数個のノズル3cは、所定間隔を存して一方向に沿って配列されてノズル列3dを構成している。
【0022】
上記した構成において、第1及び第2のポンプ11,16が動作されることにより、インクが循環され。これにより、インクジェットヘッド3にインクが供給されるとともに、ヘッド駆動信号24に基づいてインクジェットヘッド3からインクが吐出されることになる。
【0023】
インクの密度をρ(kg/m)、重力加速度をg(m/s)、上流側サブタンク1のインク液面とインクジェットヘッド3のノズル面3aの高低差をP1/ρg(m)、インクジェットヘッド3のノズル面3aと下流側サブタンク7のインク液面の高低差を−P2/ρg(m)とする。
【0024】
このとき、上流側サブタンク1内のインクは、ノズル面3aの高さの大気圧のインクを基準にして、単位体積当たりエネルギー、P1(Pa)を持っている。下流側サブタンク7内のインクは、同じ基準で単位体積当たりエネルギー、P2(Pa)を持っている。
【0025】
ここでPa(パスカル)は「単位体積当たりエネルギー」の単位で、圧力の単位と等しい。
【0026】
図の構成の場合、上流側サブタンク1のインク液面はノズル面3aよりも高く、下流側サブタンク7のインク液面はノズル面3aよりも低いので、P1は正の値、P2は負の値であるが、これに限らない。
【0027】
上流側サブタンク1からインクジェットヘッド3内のノズル分岐点までの上流側流路2の流路抵抗をR1(Pa・sec/m)、インクジェットヘッド3内のノズル分岐点から下流側サブタンク17までの下流側流路6の流路抵抗をR2(Pa・sec/m)とすれば、循環路13には、
Q(m/sec)=(P1−P2)/(R1+R2)の流量でインクが流れる。
【0028】
ノズル圧力Pnは、Pn=P2+(P1−P2)・(R2/(R1+R2))となる。
【0029】
良好な印字を行う為に、Pnは−1000Pa程度の負圧とする。
【0030】
ところで、上記したインクジェットヘッド3の下面側にはスライダ23が設けられている。スライダ23上には吸引ノズル28が設けられ、矢印方向に沿って左右に移動するようになっている。
【0031】
インクジェットヘッド3には、ヘッド駆動信号路24を介してメンテナス制御装置25が接続され、このメンテナス制御装置25には、スライダ駆動信号路26を介して上記スライダ23が接続されている。
【0032】
吸引ノズル28には、回収路29を介して減圧瓶30が接続されている。減圧瓶30には吸引路32を介して第3のポンプ33が接続されている。
【0033】
吸引ノズル28、スライダ23、減圧瓶30、及び第3のポンプ33は、インクジェットヘッド3のノズル面3aをクリーニングする為の吸引機構35を構成している。減圧瓶30と第3のポンプ33は吸引ノズル28からインクを吸引する為の負圧を与えるものである。
【0034】
吸引ノズル28はスライダ23によってヘッド3のノズル3cの並び方向に移動できるようになっており、インクジェットヘッド3のノズル面3aから0.1mmのギャップを持ってノズル面3aに沿って移動される。
【0035】
メンテナンス制御装置25は吸引開始信号(番号未定)を介して第3のポンプ33を起動可能に構成されている。第3のポンプ33を起動すれば吸引路32を介して減圧瓶30が減圧されるとともに、回収路29を介して吸引ノズル28とインクジェットヘッド3のノズル面3aとの間の0.1mmのギャップが減圧される。
【0036】
メンテナンス制御装置25はまた、インクジェットヘッド3の複数のノズルのうち任意のノズル3cに対応する図示しないアクチュエータを駆動して当該ノズルからインクを吐出する為のヘッド駆動信号と、吸引ノズル28を走査する為のスライダ駆動信号を発生可能になっている。メンテナンス制御装置25はスライダ駆動信号を発生して吸引ノズル28を走査するとともに、ヘッド駆動信号を発生して吸引ノズル28の吸引面に対向するエリアのノズル3cだけからインクを吐出するように制御するようになっている。
【0037】
メンテナンス制御装置25はまた、図示しない印刷制御装置から通常印刷のためのヘッド駆動信号を受け取ってそれをそのままヘッド駆動信号24へ流すよう切り替えることも可能に構成されている。
【0038】
スライダ23はまた、通常印刷を行う場合には、吸引ノズル28を印刷の邪魔にならない場所へ退避させることが可能に構成されている。
【0039】
図2(a)は、上記した吸引ノズル28の吸引面を図1の上方から見た平面図である。
【0040】
吸引ノズル28の吸引面にはその両側部、及び一端部に沿って撥インク部38が形成されているとともに、撥インク部38に囲まれるエリアには親インク部39が形成されている。親インク部39はノズルから排出されたインクを蓄え、この範囲内で後述するようにクリーニングが行なわれるようになっている。
【0041】
また、親インク部39には一対の吸引口36が穿設され、これら吸引口36は図3に示すノズル列3dに対向しないように配置されている。すなわち、吸引ノズル28がノズル面3aに沿って走査する際に、一対の吸引口36の中間にノズル列3dが対向する位置関係となっている。ノズルから吐出されたインクを直接、減圧瓶30へ送らず、親インク部39に一旦インクを蓄える目的でこのような配置としている。
【0042】
図2(b)は、上記吸引ノズル28の斜視図である。上記吸引ノズル28の周囲壁は吸引面と直角のエッジを成し、周囲壁へインクが回り込むことを防いでいる。エッジ付近の周囲壁は撥インク処理されている。
【0043】
吸引ノズル28の吸引面のうち少なくとも親インク部39の幅、即ちクリーニング幅の部分はノズル面3aから0.1mmのギャップを持ってノズル面3aに沿って移動されるが、撥インク部38のうちクリーニング幅Hの外側部分はノズル3c近傍に対向しないので、ノズル面3aに直接接触する構造であっても良い。即ち例えば図2(c)のようにしてこの部分の撥インク処理層に0.1mmの厚みhを持たせ、この厚みhによってノズル面3aと親インク部39との間に0.1mmのギャップを確保する構造であっても良い。
【0044】
次に、インクジェットヘッド3のノズル面3aのクリーニング方法について説明する。
【0045】
図4は、クリーニング中の吸引ノズル28、親インク部39、親インク部エッジ28d、ノズル面3aの関係を説明する断面図である。
【0046】
まず、メンテナンス制御装置25は、吸引開始信号(番号未定)を介して第3のポンプ33を起動し、減圧瓶30を減圧する。次にメンテナンス制御装置25からスライダ駆動信号、及びアクチュエータを駆動するヘッド駆動信号が発生される。これにより、吸引ノズル28がインクジェットヘッド3のノズル面3aに沿って移動されるとともに、この移動する吸引ノズル28に対向するエリアのノズル3bだけからインクが吐出される。
【0047】
これによって吸引ノズル28の親インク部28dとインクジェットヘッド3のノズル面3aとの間の0.1mmのギャップ、即ちインク保持部40にインクジェットヘッド3のノズル3bから吐出されたインクが満たされて吸引ノズル28とともに進行方向に進む。
【0048】
インク保持部40に溜めたインク41は親インク部エッジ28dとノズル面3aとの間にメニスカス42を形成する。このメニスカス42は吸引ノズル28とともにノズル面3aに沿って走査される。ノズル面3a上に付着したインクミストや汚れはインク保持部40に溜めたインク41が親インク部エッジ28dのメニスカス42とともに進行方向に移動し、ノズル面3a上のインクミストや汚れが除去される。
【0049】
インク保持部40に保持されるインクの量は、減圧瓶30に与える圧力と、ノズル3bから吐出するインクの量の何れか又は両方を調節することにより調節できる。このインクの量は、親インク部エッジ28dに均一なメニスカス42が形成されるよう調節する。
【0050】
クリーニングに使われた余剰のインクは、減圧瓶30へ吸引され、当該範囲のヘッドノズル面3aが効果的にクリーニングされる。
【0051】
なお、このクリーニング時には、吸引ノズル28の吸引中心から、図の矢印方向、即ちスライダ23による進行方向の範囲を、図の矢印の反対方向、即ち進行方向の反対側の範囲より多くインクを吐出させるか、若しくは吸引中心から図の矢印方向の範囲のみからインクを吐出させると良い。吸引ノズル28の吸引中心よりも矢印の反対方向範囲であまり多くのインクを吐出すると吸引によって除去しきれなくなる虞れがあるからである。
【0052】
また、吸引ノズル28の面積を広く設定する等して吸引ノズル28とインクジェットヘッド3のノズル3dとの間のギャップ部分から大気圧に至る流路抵抗を大きく取れば、吸引によってこのギャップ部分の圧力が減圧されることによってノズル3dからインクが排出され、インクを吐出しなくても親インク部39を濡らすことができ、アクチュエータを駆動してインクの吐出を行うことを省略することが可能となる。
【0053】
上記したように、この実施の形態によれば、インクジェットヘッド3のノズル面3aに沿って移動する吸引ノズル28に対向するノズル3bからのみインクを排出させていくため、排出されたインクは、確実に吸引ノズル28とノズル面3aとの間のギャップに満たされる。
【0054】
従って、従来のように、インクジェットヘッドのノズル面の全てのノズルから同時にインクを吐出させる場合のようにインクを無駄に滴下させてしまうことがなく、効率よく、クリーニングすることが可能となる。
【0055】
なお、上記した実施の形態では、吸引ノズル28を用いたが、これに限られることなく、吸引機能の無い板状のワイパーブレードを用いても良い。
【0056】
図5は、図4における吸引ノズル28を、ワイパーブレード45に置き換えている。ワイパーブレード45は全体が親インク性である。図5ではワイパーブレード45とノズルプレートとの間に僅かな隙間を設けているが、ワイパーブレード45がノズル面3aに傷をつけるおそれのない柔らかい材料で形成されている場合には直接インクジェットヘッド3のノズル面3aに接触させて走査の最後に余剰インクを掻き落とすようにしてもよい。
【0057】
ワイパーブレード45をノズル並び方向に移動させ、この移動に同期してワイパーブレード近傍でかつワイパーブレード45よりも進行方向側のヘッドノズルに対応するアクチュエータを順次駆動して、当該のノズル3bからインクを吐出させる。ワイパーブレード45の先端部周辺にはインク41が溜まり、インク保持部40が形成されるとともに、ワイパーブレード45の先端部の図5左側、即ち進行方向の反対側部分の、ワイパーブレード45とノズル面3aとの間には、メニスカス42が形成される。
【0058】
前記アクチュエータの駆動は、頻度が高すぎるとインク保持部40が膨らんで過剰なインクが周囲を汚してしまうので、少量とするか、又は間欠的に行うと良い。
【0059】
このようにインク保持部40のインク41及びメニスカス42を一緒に移動させることにより、良好なクリーニング効果が得られる。
【0060】
なお、上記したクリーニング方法は、ノズルの背面、或いは圧力室をインクが循環するタイプのインクジェットヘッドに用いられる場合が特に有効である。以下にその理由を説明する。
【0061】
ノズルの背面、或いは圧力室のインクがノズルの方向にだけ流れ、これとは異なる向きの流れの経路、即ちインクの循環路を持たないエンドシュータタイプのインクジェットヘッドでは、不吐出が生じるとノズルの背面、或いは圧力室に気泡が生じることがある。この気泡はインクの圧力上昇を阻害する。この場合、表面をクリーニングするだけでは不吐出を回復できず、気泡を取り除く為の操作が別に必要となる。さらに、圧力上昇が阻害されている状態では、インクジェットヘッドのアクチュエータを駆動したとしてもインクジェットヘッドのノズルからインクを出すことができない。即ち、このようなヘッドの場合にアクチュエータを駆動してインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出させ、このインクを用いてクリーニングすることが可能であるのは、ノズル背面、或いは圧力室に気泡が生じていないケースに限られ、即ち、本発明に記載された機構を用いてノズル面をクリーニングするだけで不吐出が回復できる場合は限定されている。
【0062】
これに対して、ノズルの背面、或いは圧力室のインクを循環流によって押し流すことができる循環式のインクジェットヘッドでは、気泡がノズルの背面、或いは圧力室にとどまるということが起きない。仮に不吐出によってノズルの背面、或いは圧力室に気泡が生じたとしても次の瞬間には気泡は下流側に押し流される。従ってアクチュエータを動かせばインクはいつでも吐出させることができる。このため循環式のインクジェットヘッドでは本発明に記載された機構を用いてノズル面をクリーニングするだけで、殆どの不吐出が回復できる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
3…インクジェットヘッド、3a…ノズル面、3d…ノズル列、25…メンテナンス制御装置(制御手段)、28…吸引ノズル(クリーニング部材)、29…回収路、30…減圧瓶、33…吸引ポンプ、36…吸引口、39…親インクエリア、40…インク保持部、45…ワイパブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列を有し、このノズル列からインクを吐出するインクジェットヘッドと、
このインクジェットヘッドのノズル面に対向し、前記ノズル列に沿って移動するクリーニング部材と、
このクリーニング部材の移動時に該クリーニング部材が対向するエリアに位置するノズルから部分的にインクを排出させる制御手段と、
前記クリーニング部材とこれに対向するインクジェットヘッドのノズル面との間にインクを保持するインク保持部と
を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記クリーニング部材は、ワイパーブレードであり、前記制御手段は、前記インクジェットヘッドに駆動信号を与えてインクを吐出させるように制御することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記クリーニング部材は、前記ノズル面のインクを吸引する吸引ノズルであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記インクジェットヘッドに駆動信号を与えてインクを吐出させるように制御することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記吸引ノズルの吸引中心から進行方向側のエリアに反進行方向側のエリアよりも多くインクを吐出させるようにインクジェットヘッドに駆動信号を与えて制御することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記吸引ノズルの吸引中心から進行方向側のエリアのみにインクを吐出させるようにインクジェットヘッドに駆動信号を与えて制御することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記吸引ノズルに負圧を与えて前記吸引ノズルと前記ヘッドノズル列との間のエアーギャップを減圧し、前記ヘッドノズル列からインクを吸い出すように制御することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記吸引ノズルは、前記ノズル面に対向する面に親インクエリアを有し、この親インクエリア内に前記ヘッドノズルから吐出されたインクを蓄えることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記吸引ノズルは、前記親インクエリアに吸引口を有し、この吸引口は前記ヘッドノズルと対向しない部位に配設されることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記インクジェットヘッドはノズル背面のインクが循環することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列を有し、このノズル列からインクを吐出するインクジェットヘッドと、
このインクジェットヘッドのノズル面に対向するクリーニング部材と、
このクリーニング部材を搭載し、前記クリーニング部材を前記ノズル列に沿って移動させるスライダと、
このクリーニング部材の移動時に前記インクジェットヘッドに駆動信号を与えて該クリーニング部材が対向するエリアに位置するノズルから部分的にインクを吐出させる制御手段と、
前記クリーニング部材によってクリーニングされたインクを回収する回収手段と
を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記クリーニング部材は、前記ノズル面のインクを吸引する吸引ノズルであることを特徴とする請求項11記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記回収手段は、前記スライダに回収路を介して接続され、前記吸引ノズルによって吸引されたインクを回収する回収容器を備えることを特徴とする請求項12記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記回収容器に吸引路を介して接続される吸引ポンプを備えることを特徴とする請求項13記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列からインクを吐出するインクジェットヘッドの前記ノズル面にクリーニング部材を対向させることと、
前記クリーニング部材を前記ノズル列に沿って移動させて前記ノズル面をクリーニングすることと、
前記クリーニング部材の移動時にインクジェットヘッドに駆動信号を与えて該クリーニング部材が対向するエリアに位置するノズルから部分的にインクを吐出させることと
を具備することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項16】
前記クリーニング部材は、クリーニング時には、前記ノズル面のインクを吸引することを特徴とする請求項15記載のインクジェット記録方法。
【請求項17】
ノズル面に所定方向に沿って配列されるノズル列を有し、このノズル列からインクを吐出可能なインクジェットヘッドのノズル面の一部に対向する親インク部分を有し、ノズル面と親インク部分の間の隙間を所定に維持しつつ前記ノズル列に沿って移動可能なクリーニング部材と、
前記インクジェットヘッドのノズルから、前記ノズル面と前記クリーニング部材との間の隙間にインクを排出してインク保持部を形成するとともに、前記クリーニング部材の縁にメニスカスを形成しつつ、前記クリーニング部材を前記ノズル面に沿って移動させる制御手段と
を具備することを特徴とするインクジェットヘッド用クリーニング装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記インクジェットヘッドにヘッド駆動信号を与えることを特徴とする請求項17記載のインクジェットヘッド用クリーニング装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記ノズル面と親インク部分との間の隙間を減圧して親インク部分に対向する前記インクジェットヘッドのノズルからインクを吸い出すことを特徴とする請求項17記載のインクジェットヘッド用クリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−71582(P2012−71582A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167579(P2011−167579)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】