説明

インクジェット記録装置

【課題】キャリッジの停止動作の不必要なリトライを極力減らして、記録速度の向上を図ること。
【解決手段】プリンタの記録制御部は、キャリッジ2の1回のパス毎に、記録用紙100の画像記録領域101に対応したインクジェットヘッドの噴射終了位置P2を設定する噴射終了位置決定部と、1回のパス毎に、噴射終了位置P2に到達した後のキャリッジ2の目標停止位置Psを噴射終了位置P2に応じて設定する目標停止位置設定部と、同じく1回のパス毎に、目標停止位置Psを含むキャリッジ2の停止許容範囲Aを設定する停止許容範囲設定部を備えている。さらに、停止許容範囲設定部は、噴射終了位置P2に応じて設定された目標停止位置Psがキャリッジ2の移動方向上流側にあるほど、停止許容範囲をキャリッジ2の移動方向下流側に広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被記録媒体に対して所定の走査方向に往復移動するキャリッジと、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドとを有し、キャリッジの1回の走査(往動又は復動:以下、パスともいう)の間にインクジェットヘッドから被記録媒体に向けてインクを噴射させて、被記録媒体に画像を記録する、いわゆる、シリアルタイプのインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
上記のインクジェット記録装置において、キャリッジは、往復動反転時、即ち、一方向へのパスを終えて逆方向のパスを開始する前に一旦停止することになるが、その際には、キャリッジは予め設定された目標停止位置に停止するように制御される。
【0004】
ここで、キャリッジの位置制御の誤差等によって、キャリッジの停止位置を目標停止位置に一致させることは困難であるが、実際の停止位置が目標停止位置から大きくずれてしまうと、次のような不具合が発生する虞がある。目標停止位置に対して外側(キャリッジの移動方向下流側)に実際の停止位置がずれたときには、記録時におけるキャリッジ移動範囲よりも外側に位置する、記録装置の他の部材や機構と干渉して損傷する、あるいは、それら他の部材や機構の作動を妨げてしまう虞がある。また、内側(キャリッジの移動方向上流側)に停止位置がずれたときには、停止位置から次のパスでの加速距離(助走距離)を十分に確保できなくなる。特に、往動と復動の2方向のパスにおいてそれぞれインクを噴射させて画像を記録する、いわゆる両方向印字を行う際には、前記次のパスにおいて噴射開始位置に到達するまでに所定速度まで加速できないと、加速不十分のままインクの噴射が開始されることになり、着弾位置ずれが生じるなど印字品質が低下する虞がある。そこで、通常は、目標停止位置を含むような所定幅の停止許容範囲が上述した不具合が発生しないような範囲で設定された上で、目標停止位置で停止するように制御されたものの、万が一、前記停止許容範囲内に収まらなかった場合には停止動作を再試行する(リトライ)。即ち、停止したキャリッジを少し動かしてから、改めて停止許容範囲内に停止させる。
【0005】
これに関連して、特許文献1には、両方向印字が可能なインクジェット記録装置において、各パスの目標停止位置を、その次のパスの最初のドット形成位置(噴射開始位置)から、次パスでの必要加速距離と停止位置制御の誤差に相当するオフセット値とを加算した距離だけずらした位置に設定することが開示されている。即ち、理論上は、次パスでの必要加速距離だけずらした位置を目標停止位置に設定すればよいところを、キャリッジ停止位置制御の誤差分だけ、さらに目標停止位置をずらしている。言い換えれば、キャリッジの目標停止位置に対して、停止位置制御の誤差に相当する停止許容範囲を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−169973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、各パスにおける、インクジェットヘッドのキャリッジ移動方向におけるインク噴射範囲(画像記録領域)は、被記録媒体のサイズ(幅)や、被記録媒体に記録する画像の大きさや位置によって定まる。例えば、被記録媒体の中央部にのみ画像等を形成する場合(即ち、余白が多い場合)や、サイズ(幅)の小さい被記録媒体に記録する場合には、各パスにおけるインクの噴射が、インクジェットヘッドの走査方向における最大画像記録範囲に対してかなり内側(キャリッジ移動方向上流側)で終了する。この場合、各パスにおいて噴射終了後速やかにキャリッジを減速させることで、かなり手前側でキャリッジを停止させることができることから、上述したように、キャリッジ移動範囲の外側に位置する他部材等と干渉するという問題はまず生じない。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来のキャリッジ停止位置制御においては、目標停止位置を含む上述した停止許容範囲は、予め定められた所定幅(制御誤差に相当する幅)に固定されており、何らかの要因によって前記所定幅の停止許容範囲を越えて停止したときには、上述した他部材等との干渉といった不具合が生じるか否かにかかわらず、常に停止動作の再試行(リトライ)が行われていた。つまり、不必要にリトライが行われることによって次パスの開始が遅れ、その結果、記録速度が低くなるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、キャリッジの停止動作の不必要なリトライを極力減らして、記録速度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明のインクジェット記録装置は、所定の走査方向に往復移動するキャリッジと、前記走査方向と交差する搬送方向に被記録媒体を搬送する搬送手段と、前記キャリッジに搭載され、前記キャリッジとともに前記走査方向に往復移動しつつ前記被記録媒体にインクを噴射するインクジェットヘッドと、前記キャリッジの前記走査方向における位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段で検出された位置情報に基づいて前記キャリッジの往復移動を制御するとともに、前記キャリッジの往動時と復動時の少なくとも一方において前記インクジェットヘッドからインクを噴射させて前記被記録媒体に画像を記録させる、記録制御手段を備え、
前記記録制御手段は、前記インクジェットヘッドからインクを噴射させる、前記キャリッジの往動又は復動の1回のパス毎に、前記被記録媒体の画像記録領域に対応した前記インクジェットヘッドの噴射終了位置を設定する噴射終了位置決定手段と、前記1回のパス毎に、前記噴射終了位置に到達した後の前記キャリッジの目標停止位置を、前記噴射終了位置に応じて設定する目標停止位置設定手段と、同じく前記1回のパス毎に、前記目標停止位置を含む前記キャリッジの停止許容範囲を設定する停止許容範囲設定手段を備え、
さらに、前記停止許容範囲設定手段は、前記噴射終了位置に応じた前記目標停止位置が前記キャリッジの移動方向上流側にあるほど、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることを特徴とするものである。
【0011】
各パスの噴射終了位置に応じて設定されるキャリッジの目標停止位置が、キャリッジの移動方向上流側にあるほど、この目標停止位置から、キャリッジ移動方向下流側に位置する他部材等までの距離(余裕)が大きくなることから、目標停止位置に対して設定される停止許容範囲を、キャリッジの移動方向下流側に広げる。これにより、キャリッジが停止許容範囲を越えて停止する頻度が減り、不必要な停止動作のリトライが少なくなる。
【0012】
第2の発明のインクジェット記録装置は、前記第1の発明において、前記目標停止位置設定手段は、前記走査方向における最大画像記録範囲に対応した、前記キャリッジの移動方向下流側に最も遠い前記目標停止位置である、限界停止位置を記憶しており、
前記停止許容範囲設定手段は、1回のパス毎に、前記目標停止位置設定手段で決定された前記目標停止位置と前記限界停止位置との間の距離である余裕長さを算出し、前記余裕長さ分だけ、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることを特徴とするものである。
【0013】
本発明におけるキャリッジの限界停止位置とは、インクジェットヘッドが最大画像記録範囲で記録するときの、その噴射終了位置が最もキャリッジ移動方向下流側の位置となる場合に対応した、最遠の目標停止位置である。そして、本発明では、各パスにおけるキャリッジの目標停止位置が、上記限界停止位置からどのくらい離れているか(余裕長さ)を算出し、この余裕長さ分だけ停止許容範囲をそのまま下流側に広げる。即ち、他部材との干渉を生じさせない範囲で停止許容範囲を最大限広げることになり、不必要なリトライを一層減らすことができる。
【0014】
第3の発明のインクジェット記録装置は、前記第1又は第2の発明において、前記記録制御手段は、前記キャリッジの往動時と復動時の両方において前記インクジェットヘッドを制御してインクを噴射させ、また、前記記録制御手段は、前記キャリッジの往動又は復動の1回のパス毎に、前記被記録媒体の画像記録領域に対応した前記インクジェットヘッドの噴射開始位置を設定する噴射開始位置決定手段をさらに備え、
前記目標停止位置設定手段は、1回のパス毎に、そのパスの前記噴射終了位置とその次のパスの前記噴射開始位置に基づいて、前記目標停止位置を決定することを特徴とするものである。
【0015】
キャリッジの往動と復動の両方においてインクを噴射させる、いわゆる、両方向印字を行う場合において、各パスの噴射終了位置から決定された目標停止位置が次のパスの噴射開始位置に近いと、次のパスにおける加速距離(助走距離)を一定以上に確保できなくなる虞がある。そこで、本発明では、各パスの目標停止位置を、次のパスの噴射開始位置をも考慮して決定することで、次のパスの加速距離を一定以上に確保する。
【0016】
第4の発明のインクジェット記録装置は、前記第3の発明において、前記停止許容範囲設定手段が、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることに対応して、前記目標停止位置設定手段が前記キャリッジの目標停止位置を前記キャリッジの移動方向下流側に変更することを特徴とするものである。
【0017】
キャリッジの停止位置が目標停止位置に対してずれる場合に、その移動方向上流側と下流側とで、ずれる頻度(確率)はそう変わらないと考えられる。従って、停止許容範囲を下流側に広げたときに、それに応じて、目標停止位置を下流側に変更して、目標停止位置よりも上流側の許容範囲を大きくすることで、実際の停止位置が目標停止位置から内側にずれた場合のリトライを減らすことができる。
【0018】
第5の発明のインクジェット記録装置は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記記録制御手段は、前記キャリッジが停止したときの前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記キャリッジが前記停止許容範囲内で停止したか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記判定手段により、前記キャリッジが前記停止許容範囲内で停止しなかったと判定されたときには、前記キャリッジを再び動かして前記停止許容範囲内に停止させることを特徴とするものである。
【0019】
各パスにおいて、キャリッジが停止許容範囲内で停止しなかったときに、キャリッジを動かして停止許容範囲内に停止させてから(リトライ)、次のパスを開始する場合、上記リトライを行うことによって次のパスの開始が遅れることから、リトライ回数が増えるほど記録速度が低くなる。この場合に、本発明を適用して、他部材等との干渉といった不具合が生じない範囲で停止許容範囲を広げることで、リトライ回数を少なくすることには大きな意義がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャリッジの目標停止位置がその移動方向上流側に設定されるほど、この目標停止位置に対して設定される停止許容範囲を、キャリッジの移動方向下流側に広げることにより、キャリッジが停止許容範囲を越えて停止する頻度が減り、不必要な停止動作のリトライが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】インクジェットプリンタの制御系を示すブロック図である。
【図3】画像記録時におけるキャリッジの移動(パス)を示す図である。
【図4】キャリッジ停止の基本制御を説明する図である。
【図5】画像記録領域に応じた停止許容範囲の変更を説明する図である。
【図6】記録モードに応じた停止許容範囲の変更を説明する図である。
【図7】記録画像幅がパス間で異なる場合の目標停止位置の決定手法を説明する図である。
【図8】変更形態に係る、画像記録領域に応じた停止許容範囲の変更を説明する図である。
【図9】別の変更形態に係る、記録用紙のサイズに基づく目標停止位置の決定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、記録用紙100に対してインクの液滴を噴射するインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
【0023】
まず、本実施形態のインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ1の概略平面図である。また、図2は、インクジェットプリンタ1の制御系を示すブロック図である。
【0024】
図1、図2に示すように、プリンタ1は、所定の走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3と、被記録媒体である記録用紙100を、走査方向と交差(ここでは直交)する搬送方向に搬送する搬送機構4(搬送手段)と、インクジェットヘッド3のメンテナンスを行うメンテナンスユニット5と、プリンタ1の全体制御を司る制御装置6等を備えている。
【0025】
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。尚、プリンタ1には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ10が設けられている。一方、キャリッジ2には、発光素子と受光素子とを有する透過型のフォトセンサ11(位置検出手段)が設けられている。そして、プリンタ1は、キャリッジ2の移動中にフォトセンサ11が検出したリニアエンコーダ10の透光部の計数値(検出回数)から、キャリッジ2の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっている。
【0026】
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3が搭載されている。インクジェットヘッド3は、その下面(図1の紙面向こう側の面:以下、インク噴射面ともいう)に多数のノズル30を備えている。尚、図1では、図面上でわかりやすくするためにノズル30をかなり大きく示しており、また、示されているノズル30の数も少なくなっているが、実際には、非常に小さな開口を有する多数のノズル30が形成されている。このインクジェットヘッド3は、搬送機構4により図1の下方(搬送方向)に搬送される記録用紙100に対して、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを多数のノズル30から噴射するように構成されている。
【0027】
搬送機構4は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向上流側に配置された搬送ローラ12と、インクジェットヘッド3よりも搬送方向下流側に配置された排紙ローラ13とを有する。搬送ローラ12と排紙ローラ13は、搬送モータ14によって同期して回転駆動される。そして、搬送機構4は、搬送ローラ12により、記録用紙100を図1の上方からインクジェットヘッド3へ所定の送り量で搬送するとともに、排紙ローラ13により、インクジェットヘッド3によって画像や文字等が記録された記録用紙100を図1の下方へ排出する。
【0028】
メンテナンスユニット5は、記録用紙100の搬送領域よりも走査方向一方側(図1の右側)に離れた位置(メンテナンス位置)に配置されている。このメンテナンスユニット5は、インクジェットヘッド3の下面(ノズル30が開口したインク噴射面)に接触して複数のノズル30を覆う吸引キャップ20と、吸引キャップ20に接続された吸引ポンプ21と、インクジェットヘッド3のインク噴射面に付着したインクを拭き取るワイパー22等を備えている。
【0029】
そして、メンテナンスユニット5は、吸引キャップ20をインクジェットヘッド3のインク噴射面に密着させて、ノズル30が吸引キャップ20で覆われた状態で吸引ポンプ21を作動させ、インクジェットヘッド3のノズル30等のインク流路内に存在する塵や気泡、増粘インク等を、インクとともにノズル30の開口から吸引排出する(吸引パージ)。また、吸引パージ後にはインク噴射面に付着した排インクをワイパー22で拭き取る。
【0030】
図2に示される制御装置6は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータを備え、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより、以下に説明するような種々の制御を行う。あるいは、制御装置6は、演算回路を含む各種回路が組み合わされたハードウェア的なものであってもよい。
【0031】
この制御装置6は、インクジェットヘッド3のインク噴射動作を制御するヘッド制御部42と、キャリッジ2を走査方向に駆動するキャリッジ駆動モータ19を制御するキャリッジ制御部43と、搬送ローラ12や排紙ローラ13を駆動する搬送モータ14を制御する搬送制御部44とを含む、記録制御部40(記録制御手段)を有する。記録制御部40は、外部装置であるPC50から入力された画像データに基づき、インクジェットヘッド3、キャリッジ駆動モータ19、及び、搬送機構4の搬送モータ14をそれぞれ制御して、記録用紙100への記録を行わせる。より具体的には、搬送ローラ12による所定の送り量での記録用紙100の搬送と、インクジェットヘッド3を搭載したキャリッジ2の走査方向の1回の移動(往動又は復動:パスともいう)とを交互に行わせるとともに、1回のパスの間でインクジェットヘッド3のノズル30から記録用紙100に向けてインクを噴射させることで、記録用紙100に画像を記録する。また、搬送機構4による記録用紙100の1回の搬送動作を挟んで行われる、キャリッジ2の往動と復動の両方においてインクジェットヘッド3からインクを噴射させる、いわゆる、両方向印字が可能である。
【0032】
また、本実施形態では、記録制御部40は、PC50から入力されるモード選択信号に応じて、解像度の異なる2つの記録モード(高解像度記録モードと低解像度記録モード)を選択的に実行可能となっている。より詳細には、記録制御部40は、高解像度記録モード選択時には、低解像度記録モード選択時よりも、搬送ローラ12による1回の送り量を小さくするとともに、1回のパスにおけるキャリッジ2の移動速度を遅くする。これにより、搬送方向及び走査方向のそれぞれにおいてドット間隔が狭められ、高い解像度での画像記録が行われる。
【0033】
さらに、制御装置6は、メンテナンスユニット5の吸引ポンプ21や吸引キャップ20の昇降機構等を制御して、吸引パージを含む、メンテナンスユニット5の一連のメンテナンス動作を制御するメンテナンス制御部41を備えている。
【0034】
次に、ヘッド制御部42とキャリッジ制御部43による、インクジェットヘッド3とキャリッジ2の制御についてより詳細に説明する。図3は、画像記録時におけるキャリッジ2の移動(パス)を示す図である。尚、以下の説明において、適宜、1回のパスにおけるキャリッジ2の移動方向の上流側及び下流側を、それぞれ内側及び外側と記載する。
【0035】
予め、図3に示すように、キャリッジ2に搭載されるインクジェットヘッド3が、インクを噴射する最大範囲である、最大画像記録範囲が設定されている。この最大画像記録範囲は、プリンタ1が使用可能な記録用紙100のうちの最大サイズの用紙(例えば、A4とA3の両方を使用可能な場合には、幅の大きいA3用紙)の幅に応じて決定され、制御装置6のROMなどの記憶部に予め記憶されている。また、図3には、記録用紙100の用紙幅全域に画像を記録する、いわゆる縁無し印字が可能なプリンタにおける例が示されており、用紙全幅にインクを着弾させるために、最大画像記録範囲は、用紙幅よりも走査方向両側に少し広がった範囲に設定され、縁無し印字の実行時に記録用紙100の縁を越えて外側にまでインクを噴射するようになっている。尚、縁無し印字を行わないプリンタである場合には、記録用紙100の用紙幅と同じ範囲、もしくは、それよりも一定の余白分だけ狭い範囲が最大画像記録範囲として設定される。
【0036】
図2に示すように、ヘッド制御部42は、噴射開始位置決定部45と噴射終了位置決定部46を備えている。噴射開始位置決定部45と噴射終了位置決定部46は、PC50から入力された画像データに基づいて、1回のパス毎に画像記録領域に対応したインクジェットヘッド3の噴射開始位置P1と噴射終了位置P2をそれぞれ決定する。例えば、記録用紙100に図3に示すような矩形形状の画像を形成する場合における、図中右方へのパスの噴射開始位置P1は、画像記録領域101の左端となり、噴射終了位置P2は画像記録領域101の右端となる。
【0037】
キャリッジ制御部43は、フォトセンサ11(位置検出手段)で検出されたキャリッジ2の位置情報に基づいてキャリッジ駆動モータ19を制御し、1回のパス毎に、開始時の加速、インク噴射中(記録中)の一定速度での走行、及び、終了時(反転前)の減速及び停止をキャリッジ2に行わせる。
【0038】
ここで、キャリッジ制御部43によって行われるキャリッジ2の制御のうち、特に、往復動反転時における停止制御について詳細に説明する。図4は、キャリッジ停止の基本制御を説明する図である。図2に示すように、キャリッジ制御部43は、往復動反転時におけるキャリッジ2の目標停止位置(図4のPs)を決定する目標停止位置設定部47を有し、決定された目標停止位置Psにキャリッジ2が停止するようにキャリッジ駆動モータ19を制御する。
【0039】
また、本実施形態では、キャリッジ2が、前述した噴射終了位置P2に到達したときに速やかにキャリッジ2を減速させて停止させる。即ち、キャリッジ2の目標停止位置Psは噴射終了位置P2に応じて決定される。例えば、最大画像記録範囲全域で画像の記録を行う場合には、目標停止位置はPs0に設定されて、最大画像記録範囲の右端から目標停止位置Ps0まで、図中破線で示す減速プロファイル60に従ってキャリッジ2が減速される。一方、図4のように、最大画像記録範囲の全域に画像を記録するのではなく、画像記録領域101が記録用紙100の幅方向中央にある場合には、噴射終了位置P2が最大画像記録範囲の端よりも、距離Bだけ内側(キャリッジ2の移動方向上流側)にある。このときの目標停止位置Psは、噴射終了位置P2から、前記減速プロファイルとほぼ平行な、図中実線で示す減速プロファイル61に従って減速させたときの停止位置Ps1となる。即ち、図4の画像記録領域に対応する目標停止位置Ps1は、最大画像記録範囲に対応した目標停止位置Ps0よりも、距離Bだけ内側に設定される。
【0040】
尚、最大画像記録領域に対応した目標停止位置Ps0は、目標停止位置設定部47が決定する目標停止位置の中で、キャリッジ2の外側に最も遠く離れた位置(限界停止位置)となる。また、この限界停止位置Ps0は、プリンタ1で使用される用紙種類や縁無し印字機能の有無等から事前に設定され、目標停止位置設定部47は限界停止位置Ps0を記憶(保持)している。
【0041】
ところで、キャリッジ制御部43によってキャリッジ2は、前記目標停止位置設定部47によって決定された目標停止位置Psに停止するように制御されるわけであるが、実際の停止位置を目標停止位置Psに完全に一致させることは困難である。しかし、目標停止位置Psに対して外側に大きくずれて停止すると、記録時におけるキャリッジ2の通常移動範囲よりも外側に設定された他の部材や機構と干渉する虞がある。例えば、本実施形態では、記録用紙100と対向する領域よりも外側にメンテナンスユニット5が配置されているが、キャリッジ2が目標停止位置Psよりも外側に移動してしまったときに、前記メンテナンスユニット5を作動させるための部材や機構と接触して、メンテナンスユニット5が誤作動を起こしてしまう虞がある。また、目標停止位置Psに対して内側に大きくずれて停止すると、その実際の停止位置から次のパスの噴射開始位置P1までの距離が短くなり、この次のパスにおける加速距離を確保できなくなる虞がある。
【0042】
そこで、キャリッジ制御部43は、1回のパス毎に、前述した目標停止位置Psを含むキャリッジ2の停止許容範囲(図4の範囲A)を設定する停止許容範囲設定部48と、キャリッジ2の走査方向位置を検出するフォトセンサ11の信号(検出結果)に基づいて、キャリッジ2が前記停止許容範囲内に停止したか否かを判定する判定部49とを有する。そして、判定部49により、キャリッジ2が停止許容範囲内で停止した場合には、キャリッジ制御部43は速やかに次のパスを開始させる。一方、判定部49により、キャリッジ2が停止許容範囲内で停止しなかったと判定されたときには、キャリッジ制御部43はキャリッジ2を少し動かして前記停止許容範囲内に停止させてから(停止動作のリトライ)、次のパスを開始させる。
【0043】
ここで、上記停止許容範囲は、ある特定の条件下では、厳しく(狭く)設定しないと、上述した他部材との干渉や加速距離不足といった問題が生じるが、それ以外の条件においては、特段厳しく設定する必要がない場合がある。そのような条件においても停止許容範囲を狭く設定していると、停止動作のリトライが不必要に行われてしまうことになる。そこで、このような場合には停止許容範囲を図4に示す範囲Aよりも広げて停止制御の精度を緩め、不必要なリトライを減らすことが望ましい。以下、停止許容範囲の変更について2つの具体例を挙げて説明する。
【0044】
(1)画像記録領域に応じた停止許容範囲の変更
図5は、画像記録領域101に応じた停止許容範囲の変更を説明する図である。この図5に示すように、記録用紙100の中央に画像を記録する(画像記録領域101が設定されている)場合には、噴射終了位置P2が最大画像記録範囲の端よりも内側に位置することになり、この噴射終了位置P2に応じて設定される目標停止位置Ps1も、最大画像記録範囲に対応した限界停止位置Ps0よりも内側に設定される。その分、記録時におけるキャリッジ2の移動範囲よりも外側に配置されている他部材等までの距離(余裕)が大きくなることから、停止許容範囲を外側に広げても特に問題は生じない。
【0045】
そこで、停止許容範囲設定部48は、各パスの噴射終了位置P2に応じた目標停止位置Psが内側にあって、限界停止位置Ps0までの距離(余裕長さ)が大きいほど、停止許容範囲を外側に大きく広げる。より具体的には、図5のように、噴射終了位置P2が最大画像記録範囲の端から距離Bだけ内側にある場合には、目標停止位置設定部47によって設定される目標停止位置Ps1と、最大画像記録範囲に対応する限界停止位置Ps0との余裕長さも距離Bとなる。そして、停止許容範囲設定部48は、目標停止位置Ps1を含む停止許容範囲を、当初のAの範囲から前記余裕長さBだけ外側に広げ、A+Bの幅に変更する。
【0046】
これにより、キャリッジ2が停止許容範囲を越えて停止する頻度が減るため、停止動作のリトライ回数が少なくなる。また、各パスにおけるキャリッジ2の目標停止位置Psが、上記限界停止位置Ps0からどのくらい離れているか(余裕長さB)を算出し、この余裕長さBだけ停止許容範囲をそのまま下流側に広げることで、他部材との干渉を生じさせない範囲で停止許容範囲を最大限広げることになり、リトライ回数を一層少なくすることができる。
【0047】
尚、停止許容範囲を外側に広げることで、キャリッジ2が目標停止位置Psに対して外側にずれて停止する場合のリトライ回数は減るものの、目標停止位置Psに対して内側にずれて停止する場合のリトライ回数は変わらない。その一方で、キャリッジ2が目標停止位置Psで停止するように制御されたときの、実際の停止位置の目標停止位置Psに対するずれについては、その内側と外側とで、発生頻度(確率)はそう変わらないと考えられる。そこで、停止許容範囲設定部48は、停止許容範囲を外側に広げることに対応して、さらに、目標停止位置Psを、当初設定されたPs1よりも外側のPs2に変更して目標停止位置よりも内側の停止許容範囲を大きくし、図5の太線で示す減速プロファイル62で減速させる。これにより、目標停止位置Psから内側にずれた場合のリトライの回数も減らすことができる。
【0048】
尚、先にも述べたように、キャリッジ2は、目標停止位置Psに対して内側と外側で同じ確率でずれると考えられることから、図5に示すように、変更後の目標停止位置Ps2は、外側に広がった停止許容範囲(A+B)の中央位置に設定し、停止許容範囲の、目標停止位置Ps2に対して内側の範囲と外側の範囲とで幅を等しくしておくことが好ましい。これにより、リトライ回数を一層減らすことができる。
【0049】
(2)記録モードに応じた停止許容範囲の変更
停止許容範囲のうちの、目標停止位置Psよりも内側(キャリッジ2の移動方向上流側)の範囲については、上述したように、反転後のパスの加速距離と密接な関連があり、この範囲よりもさらに内側に停止位置がずれると、加速不足に起因する着弾位置ずれが生じて印字品質が低下する虞がある。
【0050】
しかし、この印字品質低下は、高解像度記録モードでは非常に問題となるものの、本来、それほど高い印字品質を要求されない低解像度記録モードでは、よほど着弾位置ずれが大きくない限り、それほど大きな問題とならない。そこで、記録モードの解像度に応じて、停止許容範囲の、目標停止位置Psよりも内側の範囲を変更する。
【0051】
図6は、記録モードに応じた停止許容範囲の変更を説明する図である。高解像度記録モード選択時には、停止許容範囲設定部48は、反転後のパスでの加速不足が起こらないように当初設定された図6の停止許容範囲Aを変更せず、停止許容範囲の、目標停止位置Psよりも内側の範囲を小さめに維持しておく。これにより、常に、目標停止位置Ps付近に停止した状態から次のパスが開始され、加速距離が一定以上に確保されるため、加速不足に起因する印字品質低下を防止できる。
【0052】
一方、低解像度記録モード選択時には、多少の印字品質低下はそれほど大きな問題にはならないことから、図6に示すように、高解像度記録モードと比べて、停止許容範囲のうちの、目標停止位置Psよりも内側の範囲を、所定距離Cだけさらに内側に広げ、停止精度を緩める。これにより、キャリッジ2が停止許容範囲を越えて停止する頻度が減り、不必要なリトライが少なくなる。ここで、この所定距離Cが大きすぎると反転後のパスにおける加速距離が不足して、低解像度記録モードの選択時であっても問題となるほど、大きな着弾位置ずれが発生する虞があることから、前記所定距離Cは、低解像度記録モードの選択時に着弾位置ずれが問題とならない範囲内で決定される。
【0053】
尚、停止許容範囲のうちの、目標停止位置Psよりも外側に許容範囲が設けられる主な目的は、先に述べているように、外側(キャリッジ移動方向下流側)に設置されている他部材等との干渉防止であり、記録モードに関係なく防止すべき事項であるから、両記録モードでこの外側の許容範囲の幅については等しくする。
【0054】
また、上記(1)のように(図5参照)、画像記録範囲101に応じて停止許容範囲を外側に広げる場合には、停止許容範囲の内側の限界許容位置も下流側にずらす、即ち、目標停止位置Psを含む停止許容範囲全体を外側にずらすようにしてもよい。これにより、目標停止位置Psよりも内側の範囲をある程度大きくして不必要なリトライを減らしつつ、着弾位置ずれによる印字品質低下もより高いレベルで防止できる。
【0055】
次に、目標停止位置設定部47による目標停止位置Psの決定について少し補足する。図3〜図6に示されているように、画像記録領域101の幅が変わらない場合には、反転前のパスの噴射終了位置P2と反転後のパスの噴射開始位置P1とが同じ位置となる。そして、反転前のパスで必要とされる停止までの減速距離と、反転後のパスで必要とされる一定速度に達するまでの加速距離が等しいとすれば、目標停止位置Psは、反転前のパスの噴射終了位置P2のみを考慮して決定すればよい。
【0056】
しかし、実際には、反転前のパスと反転後のパスで画像記録領域101の幅が異なっている場合もあり、例えば、図7のように、反転後のパスの噴射開始位置P1が、反転前のパスの噴射終了位置P2よりも外側に位置することもある。この場合、目標停止位置Psは、反転後のパスの加速距離を一定以上に確保するために、この反転後のパスの噴射開始位置P1に対応して、反転前のパスの噴射終了位置P2に対応した停止位置Ps’よりも、さらに外側の位置Ps’’に設定される必要がある。この場合、キャリッジ2は、図7に示す減速プロファイル63で減速する。このように、各パスの目標停止位置Psは、当該パスの噴射終了位置P2だけでなく、その次のパスの噴射開始位置P1にも基づいて決定することが好ましい。
【0057】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0058】
1]前記実施形態の(1)で説明した、画像記録領域に応じた停止許容範囲の変更(図5参照)は、キャリッジ2の往動と復動の両方においてインクを噴射する、いわゆる、両方向印字に適用したものであったが、一方向のパスではインクを噴射する一方で、これと逆方向のパスではキャリッジ2が移動する(リターン)だけでインクを噴射しない、いわゆる、片方向印字であっても適用できる。
【0059】
片方向印字の場合において、インクを噴射したパスの次の、反転後のパスではキャリッジ2がリターンするだけであり、当該インクを噴射したパスにおいて、実際の停止位置が目標停止位置Psに対して内側にずれても特に問題は生じない。従って、前記実施形態の図5とは違って、図8に示すように、インクを噴射するパスについて目標停止位置Psよりも内側に停止許容範囲が設けられる必要は全くなく、外側にのみ設けられればよい(図中A’で示す範囲)。この場合、停止許容範囲を外側に余裕長さBだけ広げることによって、停止許容範囲はA’+Bの範囲に変更される。
【0060】
また、インクを噴射しないパス(リターンパス)においては、目標停止位置Psは、その次のパスの噴射開始位置P1に応じて決定される。このとき、その目標停止位置Psから限界停止位置Ps0までの余裕長さ分だけ、停止許容範囲を外側に広げることで、リターンパスにおいてキャリッジ2を高速で移動させても、停止許容範囲内に停止させることが容易となり、記録速度が高くなる。
【0061】
2]幅の異なる複数種類の記録用紙(例えば、A3用紙とA4用紙)を使用可能なプリンタにおいて、記録用紙100の種類のみに応じて各パスの噴射開始位置P1や噴射終了位置P2を便宜的に決定してもよい。例えば、図9に示すように、サイズの大きな記録用紙100Aの幅に応じて最大画像記録領域や限界停止位置Ps0を設定する一方で、サイズの小さな記録用紙100Bを使用する場合には、PC50から入力される画像データを参照することなく、記録用紙100Bの幅方向全域に縁無し印刷が行われると仮定して画像記録領域101を図中の範囲Dに一律設定し、この範囲Dから噴射開始位置P1、噴射終了位置P2、及び、目標停止位置Psを決定する
【0062】
つまり、複数種類の記録用紙100のそれぞれに対して、実際の画像記録領域に関係なく目標停止位置Psが1つずつ設定され、それに応じて限界停止位置Ps0までの余裕長さBが算出される。これによれば、目標停止位置Psや余裕長さBの決定が簡易なものとなり、停止制御を簡素化しつつ、リトライ回数を減らすことができる。
【0063】
3]前記実施形態では、停止許容範囲を外側に広げたときに、それに応じて目標停止位置Psも外側に変更しているが、この目標停止位置Psの変更は必須ではない。停止許容範囲を外側に広げるだけでも、キャリッジ2の実際の停止位置が停止許容範囲から外側へずれる頻度が少なくなるため、リトライ回数の減少につながる。
【0064】
4]前記実施形態では、図5のように、限界停止位置Ps0から目標停止位置Psまでの余裕長さBだけ、停止許容範囲を外側に広げているが、停止許容範囲を広げる量を必ずしも余裕長さBとする必要はなく、余裕長さBより少なくてもよい。
【0065】
5]停止許容範囲の目標停止位置Psよりも外側の範囲を設定する上で考慮される、キャリッジ2と干渉する虞のある他部材等とは、前記実施形態で例示したメンテナンスユニット5に関連する部材には限られない。即ち、キャリッジ2が画像記録中に通常の範囲内で往復動作を行っている場合には干渉しないが、万が一、停止許容範囲を越えて外側に停止した場合には干渉する虞のある部材であれば、どのような部材も適用されうる。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェットプリンタ
2 キャリッジ
3 インクジェットヘッド
4 搬送機構
11 フォトセンサ
40 記録制御部
45 噴射開始位置決定部
46 噴射終了位置決定部
47 目標停止位置設定部
48 停止許容範囲設定部
49 判定部
100 記録用紙
101 画像記録領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走査方向に往復移動するキャリッジと、
前記走査方向と交差する搬送方向に被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記キャリッジに搭載され、前記キャリッジとともに前記走査方向に往復移動しつつ前記被記録媒体にインクを噴射するインクジェットヘッドと、
前記キャリッジの前記走査方向における位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段で検出された位置情報に基づいて前記キャリッジの往復移動を制御するとともに、前記キャリッジの往動時と復動時の少なくとも一方において前記インクジェットヘッドからインクを噴射させて前記被記録媒体に画像を記録させる、記録制御手段を備え、
前記記録制御手段は、
前記インクジェットヘッドからインクを噴射させる、前記キャリッジの往動又は復動の1回のパス毎に、前記被記録媒体の画像記録領域に対応した前記インクジェットヘッドの噴射終了位置を設定する噴射終了位置決定手段と、
前記1回のパス毎に、前記噴射終了位置に到達した後の前記キャリッジの目標停止位置を、前記噴射終了位置に応じて設定する目標停止位置設定手段と、
同じく前記1回のパス毎に、前記目標停止位置を含む前記キャリッジの停止許容範囲を設定する停止許容範囲設定手段を備え、
さらに、前記停止許容範囲設定手段は、前記噴射終了位置に応じた前記目標停止位置が前記キャリッジの移動方向上流側にあるほど、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記目標停止位置設定手段は、前記走査方向における最大画像記録範囲に対応した、前記キャリッジの移動方向下流側に最も遠い前記目標停止位置である、限界停止位置を記憶しており、
前記停止許容範囲設定手段は、1回のパス毎に、前記目標停止位置設定手段で決定された前記目標停止位置と前記限界停止位置との間の距離である余裕長さを算出し、前記余裕長さ分だけ、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録制御手段は、前記キャリッジの往動時と復動時の両方において前記インクジェットヘッドを制御してインクを噴射させ、
また、前記記録制御手段は、前記キャリッジの往動又は復動の1回のパス毎に、前記被記録媒体の画像記録領域に対応した前記インクジェットヘッドの噴射開始位置を設定する噴射開始位置決定手段をさらに備え、
前記目標停止位置設定手段は、1回のパス毎に、そのパスの前記噴射終了位置とその次のパスの前記噴射開始位置に基づいて、前記目標停止位置を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記停止許容範囲設定手段が、前記停止許容範囲を前記キャリッジの移動方向下流側に広げることに対応して、前記目標停止位置設定手段が、先に設定した前記キャリッジの前記目標停止位置を前記キャリッジの移動方向下流側に変更することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録制御手段は、
前記キャリッジが停止したときの前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記キャリッジが前記停止許容範囲内で停止したか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記判定手段により、前記キャリッジが前記停止許容範囲内で停止しなかったと判定されたときには、前記キャリッジを再び動かして前記停止許容範囲内に停止させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−131156(P2012−131156A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286102(P2010−286102)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】