説明

インスリン様成長因子−1受容体キナーゼ阻害剤に対する抗癌反応を予測する生物学的マーカー

本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤での癌患者の治療の有効性を予測するための診断及び予後診断法を提供する。上皮及び/又は間葉バイオマーカーの発現レベルを測定することによって腫瘍細胞が上皮間葉移行(EMT)を起こしているか否かを評価することを含む(EMTを起こしている腫瘍細胞は実質的にIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して感受性が低い。)、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して腫瘍細胞増殖の感受性を予測するための方法が提供される。上記方法を組み込むIGF−1Rキナーゼ阻害剤により癌患者を治療するための改良法も提供される。さらに、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の反応性を予測する新しいバイオマーカーの同定のための方法が提供される。さらに、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する、EMTを起こしている腫瘍細胞の感受性を回復させる薬剤の同定のための方法も提供される。pErk、HER3及びpHERもまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性を予測するための有効なバイオマーカーであることが示される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価すること;及び
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測すること、を含み、腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現の高レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する、
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法。
【請求項2】
腫瘍細胞がNSCL、結腸、乳房、卵巣、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現の高レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。)、及びIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法。
【請求項4】
腫瘍細胞がNSCL、結腸、乳房、卵巣、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1以上のさらなる抗癌剤がIGF−1Rキナーゼ阻害剤と同時に又は逐次的に併用投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3又はpHER3のレベルを評価すること;及び
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3又はpHER3発現の高レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法。
【請求項7】
腫瘍細胞がNSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
HER3が評価されるバイオマーカーである場合に、腫瘍細胞によって発現されるHER3のレベルがHER3mRNA転写物のレベルを測定することによって評価される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
HER3が評価されるバイオマーカーである場合に、腫瘍細胞によって発現されるHER3のレベルがHER3タンパク質のレベルを測定することによって評価される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3又はpHER3のレベルを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3又はpHER3発現の高レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。)、及びIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法。
【請求項11】
腫瘍細胞がNSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1以上のさらなる抗癌剤がIGF−1Rキナーゼ阻害剤と同時に又は逐次的に併用投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現の低レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)、及び腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーを評価することによって腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価し(上皮バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、及び間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。);及びバイオマーカー評価の何れかによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法
【請求項14】
上皮バイオマーカーが評価される場合に、バイオマーカーがE−カドヘリンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
間葉バイオマーカーが評価される場合に、バイオマーカーがCDH1プロモーターのメチル化、ビメンチン、フィブロネクチン、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
患者の腫瘍細胞により発現されるHER3及びpHER3から選択されるバイオマーカーのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3及びpHER3発現の高レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)、及び腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーを評価することによって腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価し(上皮バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、及び間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。);及びバイオマーカー評価の何れかによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法。
【請求項17】
上皮バイオマーカーが評価される場合に、バイオマーカーがE−カドヘリンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
間葉バイオマーカーが評価される場合に、バイオマーカーがCDH1プロモーターのメチル化、ビメンチン、フィブロネクチン、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
患者の腫瘍細胞により発現されるHER3及びpHER3から選択されるバイオマーカーのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3又はpHER3の高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);及び患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現の低レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);及び何れか又は両方のバイオマーカー評価によりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法。
【請求項20】
pErk、HER3及びpHER3から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し;患者の腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2のレベルを評価し;並びに患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性がある可能性があると診断され、及び腫瘍がIGF−1及び/又はIGF−2を有すると判定された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法。
【請求項21】
投与されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906である、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
投与されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906である、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
投与されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤がOSI−906である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図7−C】
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【図7−D】
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【図7−E】
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【図7−F】
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【図7−G】
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【図7−H】
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【図7−I】
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【図7−J】
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【図7−K】
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【図7−L】
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【図7−M】
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【図7−N】
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【図7−O】
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【図7−P】
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【図7−Q】
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【図7−R】
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【図7−S】
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【図7−T】
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【図7−U】
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【図7−V】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−540960(P2010−540960A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527956(P2010−527956)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/011252
【国際公開番号】WO2009/045361
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506330575)オーエスアイ・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッド (25)
【Fターム(参考)】