説明

インスリン様成長因子結合タンパク質−4及びポリ(エチレングリコール)の接合体

インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP−4)、及び約30〜約40kDaの全分子量を有する、1又は2個のポリ(エチレングリコール)基から成る接合体が開示される。この接合体は、癌の処理のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン様成長因子結合タンパク質−4(IGFBP-4)とポリ(エチレングリコール)(PEG)との接合体、そのような接合体を含む医薬組成物、及びそのような接合体の生成方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリン様成長因子(IGF)は、細胞増殖、分化及びアポプトシスの調節において中核的な役割を演じるマイトジェンである。6種のIGF−結合タンパク質(IGFBP)が、IGFの使用に影響を及ぼす(Yu, H. , and Rohan, T. , J. Natl. Cancer Inst. 92 (2000) 1472-1489)。
【0003】
成熟ヒトIGFBP-4は、24kDaのモノマータンパク質として文献に記載されており、そして237個のアミノ酸から成る。アミノ酸配列から計算されるタンパク質の分子量は、26kDaである。その生物学的役割は、IGFBP-4のプロテアーゼ耐性変異体を記載する、Yu, H. , and Rohan, T. , J. Natl. Cancer Inst. 92 (2000) 1472-1489に再考されている。Conover, C. A. , など. , J. Biol. Chem. 270 (1995) 4395-4400は、IGFBP-4のプロテアーゼ−耐性変異体を記載する。Met135−Lys136での推定上の切断部位近くでのすべての4種のIGFBP-4変異体及び野生型タンパク質は、同等の親和性を用いてIGFを接合する。
【0004】
タンパク質分解に対するIGFBP-4の耐性はまた、Miyakoshi, N. , など. in Endocrinology 142 (2001) 2641-2648により記載されるように、アミノ酸121−141の欠失により達成される。Byun, D. , など. , in J. Endocrinology 169 (2001) 135-143は、IGFBP-4によりIGF結合に包含されるいくつかの領域を決定した。セグメントLeu72-Ser 91又はLeu72-His74の欠失は、IGF結合の損失をもたらす。また、N及びC−末端ドメインにおける一定のシステイン残基の突然変異が、IGFの結合を有意に減じる。
【0005】
IGFBP-4は、ヒト骨肉種TE-89細胞により条件づけされた培地から最初に単離された(Mohan, S. , など. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 8338-8342)。IGFBP-4は、24kDaの見掛け分子量を有するグリコシル化されていない形として、又は28kDaの分子量のグリコシル化された形で、天然において存在することが知られている。組換えIGFBP-4は、いくつかの真核及び原核系における発現により生成された。ヒトIGFBP-4は、グルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合タンパク質((Honda, Y. , など. , J. Clin. Endocrinol. Metab. 81 (1996) 1389-1396)、又はヘキサヒスチジン標識との融合タンパク質(Qin, X. ,など. , J. Biol. Chem. 273 (1998) 23509-23516)としてのE.コリにおける発現により、又はユビキチン融合タンパク質(Kiefer, M. C. , など., J. Biol. Chem. 267 (1992) 12692-12699)としての酵母における発現により生成された。
【0006】
ヒトIGFBP-4の配列は、SwissProt Database (http://www. expasy. ch)に詳細に記載されており、そして受託番号P22692号により同定される。次に記載されるアミノ酸位置は、IGFBP-4の成熟形の配列(シグナルペプチドの除去の後の配列は位置1でのアミノ酸により開始する)を言及するか、又は引用される引例に使用される番号付けを言及する。
【0007】
IGFBP-4は、インビトロIGF−刺激された骨細胞増殖(Mohan, S. , など. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 8338-8342)、ニワトリ軟骨のIGF−介在性増殖(Schiltz, P. M. , など. , J. Bone Mineral Res. 8 (1993) 391-396)及びHT-29細胞の増殖(Culouscou, J. M. , and Shoyab, M. , Cancer Res. 51 (1991) 2813-2819)を阻害する。悪性M12前立腺上皮細胞系におけるIGFBP-4の過剰発現は、細胞のIGF−誘発された増殖を低め、軟質寒天におけるコロニー形質を阻害し、6−ヒドロキシウレアに応答してのアポプトシスを高め、そして形質転換された細胞による腫瘍の形成を遅延する(Damon, S. E. , など., Endocrinology 139 (1998) 3456-3464)。ヒト結腸直腸癌細胞におけるIGFBP-4の過剰発現は、それらの細胞の増殖を低め、そしてコロニー形成を抑制する(Diehl, D. , など. , J. Cancer Res. Clinical Oncol. 127, Suppl. l (2001) S54)。
【0008】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)によるタンパク質の共有修飾は、身体におけるタンパク質の循環性半減期を拡張するのに有用な方法であることがわかっている(Hershfield, M. S. , など., New England Journal of Medicine 316 (1987) 589-596; 及び Meyers, F. J., など. , Clin. Pharmacol. Ther. 49 (1991) 307-313)。PEG化の他の利点は、溶解性の上昇及びタンパク質免疫原生の低下である(Katre, N. V. , J. Immunol. 144 (1990) 209-213)。タンパク質のPEG化のための通常の方法は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)のようなアミノ反応性試薬により活性化されるポリ(エチレングリコール)の使用である。
【0009】
そのような試薬により、ポリ(エチレングリコール)は、遊離第1アミノ基、例えばリシン残基のN−末端α−アミノ基及びε−アミノ基でタンパク質に結合される。しかしながら、このアプローチの主要制限は、タンパク質が典型的には、相当量のリシン残基を含み、そして従って、ポリ(エチレングリコール)基がすべての遊離ε−アミノ基で非特異的態様でタンパク質に結合され、ランダムにPEG化されたタンパク質の異種生成物混合物がもたらされることである。従って、多くのNHS−PEG化されたタンパク質は、低い比活性のために、商業的使用のために不適切である。不活性化は、生物学的活性のために必要とされる1又は複数のリシン残基又はN−末端アミノ残基の共有修飾に、又はタンパク質の活性部位近く又はその部位でのポリ(エチレングリコール)残基の共有結合に起因する。
【0010】
例えば、NHS−PEG化試験を用いてのヒト成長ホルモンの修飾がタンパク質の生物学的活性を10倍以上、低めることが見出された(Clark, R. , など. , J. Biol. Chem. 271 (1996) 21969-21977)。ヒト成長ホルモンは、N−末端アミノ酸の他に9個のリシンを含む。それらのリシンのいくつかは、受容体結合のために決定的であることが知られているタンパク質の領域に位置する(Cunningham, B. C. , など., Science 254 (1991) 821-825)。さらに、アミノ−反応性ポリ(エチレングリコール)の使用によるエリトロポイエチンの修飾は、生物学的活性のほぼ完全な損失をもたらす(Wojchowski, D. M. , など. , Biochim. Biophys. Acta 910 (1987) 224-232)。
【0011】
アミノ−反応性PEG化試薬によるインターフェロン−α2の共有修飾は、生活性の40〜75%の損失をもたらす(アメリカ特許第5,382,657号)。G-CSFの類似する修飾は、活性の60%以上の損失をもたらし(Tanaka, H. , など., Cancer Res. 51 (1991) 3710-3714)、そしてインターロイキン−2の類似する修飾は活性性の生活性の90%以上の損失をもたらす(Goodson, R. J. , and Katre, N. V. , BioTechnology 8 (1990) 343-346)。
【0012】
Van den Berg, C. L. , など. (Europ. J. Cancer 33 (1997) 1108-1113; 及び WO 94/22466号は、IGFBP-4にシステイン−反応性ポリ(エチレングリコール)(20kDa)を共有結合し、13.6時間の延長された血清半減期を導く。WO94/22466号に記載されるように、IGFBP-1の中央ドメインにおけるアミノ酸は、IGF結合及び阻害を妨げないで、特定のPEG化のためにシステインにより置換され得ると思われる。位置98及び101でのアミノ酸は、セリン101がタンパク質表面上に暴露され、そしてIGFへの結合に関与されない天然の主要リン酸化部位であるので、システインに対して交換された。20kDaのモノPEG化されたIGFBP-1は、腫瘍細胞増殖の阻害に関して、野生型IGFBP−1に対する、比較できるが、しかし改良されていないインビトロ活性を示す。van den Berg, C. L. , など. , Europ. J. Cancer 33 (1997) 1108-1113によれば、それらのPEG化されたIGFBP-1はインビボで、腫瘍細胞に対して直接的にIGF作用を阻害できない。
【0013】
好ましくは、週当たり少数のボーラス適用として投与され得、そして腫瘍増殖、脈管形成及び/又は転移を抑制できる、腫瘍増殖に対する阻害効能及びインビボでの延長された半減期を有する改良されたIGFBP誘導体を提供することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0014】
30kDa〜40kDaのPEG化された(30〜40kDaのPEG化されたIGFBP-4)、好ましくはモノPEG化された本発明のIGFBP-4が、IGFBP-4単独で又は低分子量のPEG化されたIGFBP-4に関しては見出され得ない、腫瘍処理、例えば腫瘍増殖、脈管形成及び/又はインビボでの転移の抑制における医療適用性に関して卓越した性質を有することが、驚くべきことには見出された。さらに、本発明の接合体は、インビボでの所望しない副作用、例えば低分子量のPEG化されたIGFBP-4に関して見出される正常な腎細胞の変更を回避する。
【0015】
本発明は、インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP−4)、及び約30〜約40kDaの全分子量を有する、1又は2個のポリ(エチレングリコール)基から成る接合体を提供する。好ましくは、ポリ(エチレングリコール)基は、第1アミノ基を通してIGFBP-4に接合される(アミノ−反応性PEG化)。好ましくは、モノPEG-IGFBP-4接合体である。特に好ましくは、接合体は、IGFBP-4のN−末端アミノ基を通して結合されるモノN−末端PEG-IGFBP-4接合体である。
【0016】
枝分かれ鎖のPEGを含む接合体がまた好ましい。
本発明はさらに、本発明の接合体の生成方法を含んで成る。
本発明はさらに、本発明の接合体を含む医薬組成物を含んで成る。
本発明はさらに、本発明の接合体を含む医薬組成物の生成方法を含んで成る。
本発明はさらに、癌、好ましくは膵臓癌の処理のための薬剤の調製への本発明の化合物の使用を含んで成る。
本発明はさらに、医薬的有効量の30〜40kDaのPEG化されたIGFBP-4がそのような処理の必要な患者に、好ましくは週当たり1〜7回のボーラス適用で投与されることを特徴とする、ヒト癌(例えば、乳、肺、前立腺又は結腸癌)の処理方法も包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書に使用される“アミノ−反応性のPEG化されたIGFBP-4”又は“アミノ−反応性のPEG化”とは、IGFBP-4が、IGFBP-4分子へのアミノ−反応性カップリングにより、1,2又は3個のポリ(エチレングリコール)基に共有結合されることを意味する。PEG基は、第1アミノ基であるIGFBP-4分子の異なった部位で、好ましくは最も反応性の部位、例えばリシン側鎖のε−アミノ基又はN−末端α−アミノ基で結合され得る。使用される合成方法により、PEG化されたIGFBP-4は、モノ−及び/又はジPEG化されたIGFBP-4の混合物から成り、それにより、PEG化の部位は、異なった分子において異なるか、又は分子当たりのポリ(エチレングリコール)側鎖の量及び/又は分子におけるPEG化の部位に関して、実質的に同種であり得る。
【0018】
本明細書において使用されるようなアミノ−反応性PEG化は、反応性(活性化された)ポリ(エチレングリコール)の使用による、好ましくは、メトキシポリ(エチレングリコール)のN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルの使用による、標的タンパク質IGFBP-4の第1アミノ基へのポリ(エチレングリコール)鎖のランダム結合を意味する。カップリング反応は、反応性第1アミノ基、例えばリシン残基のε−アミノ基又はIGFBP-4のN−末端アミノ酸のα−アミノ基にポリ(エチレングリコール)を選択的に結合する。タンパク質へのPEGのそのようなアミノ基接合は当業界において良く知られている。例えば、そのような方法の再考は、Veronese, F. M. , Biomaterials 22 (2001) 405-417により与えられている。Veroneseによれば、タンパク質の第1アミノ基へのPEGの接合は、前記第1アミノ基のアルキル化を行う、活性化されたPEGを用いることにより行われ得る。
【0019】
そのような反応に関しては、活性化されたアルキル化PEG、例えばPEGアルデヒド、PEG−トレシルクロリド又はPEGエポキシドが使用され得る。さらに有用な試薬は、アシル化PEG、例えばカルボキシル化されたPEG、又は末端ヒドロキシ基がクロロホルメート又はカルボニルイミダゾールにより活性化されているPEGのヒドロキシスクシンイミジルエステルである。さらに有用なPEG試薬は、アミノ酸アームを有するPEGである。そのような試薬は、いわゆる枝分かれ鎖のPEGを含むことができ、それにより、少なくとも2つの同一の又は異なったPEG分子が、ペプチドスペーサー(好ましくは、リシン)により一緒に連結され、そして例えば、リシンスペーサーの活性化されたカルボキシレートとしてIGFBP-4に結合される。モノ−N−末端カップリングはまた、Kinstler, O., など. , Adv. Drug Deliv. Rev. 54 (2002) 477-485により記載される。
【0020】
下記議論及び例においては、アミノ−反応性のPEG化されたIGFBP-4の生成のためのいくつかの好ましい試薬が記載されている。例えば、Veronese, F.M., Biomaterials 22 (2201) 405-417により記載される方法に基づいての修飾は、その工程が本発明の接合体をもたらす限り、その方法により行われ得ることが理解される。
【0021】
標的タンパク質におけるいくつかの可能性ある反応第1アミノ基の発生(IGFBP-4に関しては、12個のリシン+1つの末端アミノ酸が存在する)は、ポリ(エチレングリコール)鎖の結合の点で異なる一連のPEG化されたIGFBP-4異性体を導き、そしてその後、“位置異性体”として言及されるであろう。単一のIGFBP-4分子における結合部位は明確には予測されず、そしてこの理由のために、“ランダム”として言及される。それらの12個のリシンのうち9個のリシン(Lys 67, Lys 124, Lys 134, Lys 136, Lys 192, Lys 204, Lys 210, Lys 215 及びLys 223)は、IGFとの複合体形成のために必要とされることが報告されている領域に位置する(Qin, X. , など. , J. Biol. Chem. 273 (1998) 23509-23516)。従って、IGFへの親和性の強い低下が、ランダムにPEG化されたIGFBP-4について予測される。驚くべきことには、これは、本発明の接合体についての問題ではなかった。
【0022】
チオール−反応性PEG化を通してPEG基をIGFBP-4に結合することがまた好ましい。本明細書に使用されるようなチオール−反応性PEG化は、活性化されたチオール−反応性ポリ(エチレングリコール)の使用により、好ましくはメトキシポリ(エチレングリコール)のN−マレイミドエステルの使用により、標的タンパク質(IGFBP-4変異体)にポリ(エチレングリコール)を結合する方法を意味する。カップリング反応は、ポリ(エチレングリコール)をCys110及び/又はCys117に選択的に結合する。
【0023】
タンパク質へのPEGのそのようなスルフヒドリル接合は、当業界において広く知られている。そのような方法の再考は、例えばVeronese, F.M., Biomaterials 22 (2001) 405-417により与えられる。Veroneseによれば、タンパク質のチオール基へのPEGの接合は、チオール−活性化されたPEGを用いることにより行われ得る。そのような反応に関しては、活性化されたチオール−反応性PEG、例えばPEG−オルトピリジル−ジスルフィド、PEG−マレイミド、PEG−ビニルスルホン及びPEG−ヨードアセトアミドが使用され得る。
【0024】
本発明は、改良された性質を有するIGFBP-4のPEG化された形を提供する。そのようなPEG化されたIGFBP-4接合体は、直鎖又は枝分かれ鎖の及びそれにランダムに結合された1又は2個のPEG基を含み、それにより、接合体におけるすべてのPEG基の全分子量は約30〜40kDaである。この分子量範囲からの少々の偏りは、PEG化されたIGFBP-4が、PEG20-IGFBP-4について例15に記載されるように、正常な腎細胞に対するそのような負の影響を示さない限り、可能である。また、40kDa以上の分子量を有するPEGによるIGFBP-4のPEG化は、抗腫瘍活性をもたらす。しかしながら、そのような活性は、低められた腫瘍侵入のために、分子量が上昇するにつれて低下すると思われる。従って、PEGの分子の分子量について30〜40kDaの範囲が、癌性疾患を有する患者の効果的処理のために有用なPEG及びIGFBP-4の接合体のための最適化された範囲として理解されるべきである。
【0025】
本明細書において使用される場合、“分子量”とは、PEGの平均分子量を意味する。表示される分子量の前の用語“約”とは、前記PEG調製において、いくつかの分子が言及された分子量よりも多いか又は少ない重量であることを意味する。
IGFBP-4の次のPEG化された形は、本発明の接合体の企画された態様の例である:
−モノPEG化されたIGFBP-4(前記PEG基は30又は40kDaの分子量を有する);
−ジPEG化されたIGFBP-4(前記PEG基はそれぞれ約20kDaの分子量を有する);及び
それらの混合物。
【0026】
本発明の“PEG又はPEG基”は、必要部分としてポリ(エチレングリコール)を含む残基を意味する。そのようなPEGは、結合反応のために必要であり;分子の化学合成に起因し;又はお互いからの分子の一部の最適距離のためのスペーサーである追加の化学基を含むことができる。さらに、そのようなPEGは、一緒に結合される1又は複数のPEG側鎖から成ることができる。1よりも多くのPEG鎖を有するPEG基は、多アームの又は枝分かれ鎖のPEGと呼ばれる。
【0027】
枝分かれ鎖のPEGは、例えばポリ酸化エチレンの添加により、種々のポリオール、例えばグリセロール、ペンタエリトリオール及びソルビトールに調製され得る。例えば、4個のアームの枝分かれ鎖PEGは、ペンタエリトリオール及び酸化エチレンから調製され得る。枝分かれ鎖のPEGは通常、2〜8個のアームを有し、そして例えばEP-A0473084号及びアメリカ特許第5,932,462号に記載されている。リシンの第1アミノ基を通して連結される2個のPEG側鎖(PEG2)を有するPEGが特に好ましい(Monfardini, C. , など. , Bioconjug. Chem. 6 (1995) 62-69)。
【0028】
“実質的に均質”とは、本明細書において使用される場合、生成されるか、含まれるか又は使用される唯一のPEG化されたIGFBP-4分子が結合される1又は2つのPEG基を有するそれらの分子であることを意味する。ペプチドマッピング及びN−末端配列決定により確められるように、下記1つの例は、少なくとも90%のPEG-IGFBP-4接合体(好ましくは、モノPEG化された)及び多くとも5%の末反応タンパク質である調製物を提供する。PEG化されたIGFBP-4のそのような均質調製物の単離及び精製は、通常の精製方法、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーにより行われ得る。
【0029】
本明細書において使用されるような“モノPEG化された”とは、IGFBP-4がIGFBP-4分子当たりわずか1つのアミノ基でPEG化され、それにより、わずか1つのPEG基がこの部位で共有結合され、そしてその結合部位がモノPEG化された種内で変化できることを意味する。モノPEG化されたIGFBP-4は調製物の少なくとも90%を占め、そして最も好ましくは、モノPEG化されたIGFBP-4は調製物の92%又はそれ以上を占め、残りは未反応(PEGかであるされていない)IGFBP-4である。従って、本発明のモノPEG化されたIGFBP-4調製物は、例えば医薬適用における均質調製物の利点を示すのみ十分に均質である。同じことが、ジPEG化された種に適用される。
【0030】
“活性化されたPEG又は活性化されたPEG試薬”は、当業界において良く知られている。好ましくは、求電子的に活性化されたPEG、例えばポリ(エチレングリコール)のアルコキシ酪酸スクシンイミジルエステル(“低級アルコキシ−PEG−SBA”)又はポリ(エチレングリコール)のアルコキシプロピオン酸スクシンイミジルエステル(“低級アルコキシ−PEG−SPA”)又はN−ヒドロキシスクシンイミド活性化されたPEGが使用される。アミドを形成するためにアミンと活性化されたエステルとを反応せしめるいずれか従来の方法が、使用され得る。IGFBP-4と活性化されたPEGとの反応においては、例示されるスクシンイミジルエステルは、アミド形成を引き起こす脱離基である。タンパク質との接合体を生成するためへのスクシンイミジルエステルの使用は、アメリカ特許第5,672,622号に開示される。
【0031】
PEG化試薬がIGFBP-4と組み合わされる場合、約7.0のpH、約1:3のタンパク質:PEG比、及び20〜25℃の反応温度で、モノ−、ジ−及び微量のトリ−PEG化された種の混合物が生成されることが見出される。タンパク質:PEG比が約1:1である場合、主に、モノPEG化された種が生成される。反応条件(例えば、試薬の割合、pH温度、タンパク質濃度、反応の時間、等)を操作することにより、異なったPEG化された種の相関量のは変更され得る。
【0032】
モノPEG化されたIGFBP-4はまた、WO94/01451号に記載される方法に従って生成され得る。WO94/01451号は、修飾された末端アミノ酸のα−炭素反応基を有する組換えポリペプチドを調製するための方法を記載する。前記方法の段階は、組み換えポリペプチドの形成、及びN−末端α−アミン及びC−末端α−カルボキシルでの1又は複数の生物学的に付加される保護基によるその保護を包含する。次に、ポリペプチドが、化学的保護剤と反応せしめられ、反応性側鎖基が選択的に保護され、そしてそれにより、側鎖基の修飾を妨げる。
【0033】
次に、ポリペプチドが、生物学的保護基に対して特異的な分解試薬により分解され、保護されていない末端アミノ酸α−炭素反応基が形成される。保護されていない末端アミノ酸α−炭素反応基は、活性化されたPEG試薬により修飾される。次に、側鎖保護された、末端修飾された単一コピーのポリペプチドが、側鎖基で保護解除され、末端修飾された単一コピーポリペプチドが形成される。前記方法における段階の数及び順序は、選択的修飾を達成するために変更され得る。
【0034】
本発明のIGFBP-4接合体は、アミド結合を有する中間体を形成するために、二官能価試薬とIGFBP-4タンパク質の第1アミノ基とを共有反応せしめ、そしてIGFBP-4タンパク質接合体を形成するために、活性化されたポリ(エチレングリコール)誘導体とアミド結合を有する中間体とを共有反応せしめることにより調製され得る。前述の抗体においては、二官能価試薬は好ましくは、N−スクシンイミジル−S−アセチルチオプロピオネート又はN−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテートであり、そして前記活性化されたポリ(エチレングリコール)誘導体は好ましくは、ヨード−アセチル−メトキシ−PEG、メトキシ−PEG−ビニルスルホン及びメトキシ−PEG−マレイミドから成る群から選択される。
【0035】
IGFBP-4接合体は、IGFBP-4へのチオール基のアミノ反応性共存結合(“活性化”)、及びポリ(エチレングリコール)(PEG)誘導体による、前記活性化されたIGFBP-4のカップリングにより調製され得る。第1段階は、IGFBP-4のNH2−基を通してのチオール基の共有結合を含んで成る。IGFBP-4のこの活性化は、保護されたチオール基、及び追加の反応性基、例えば活性エステル(例えば、スクシンイミジルエステル)、無水物、スルホン酸のエステル、カルボン酸のハロゲニド及びスルホン酸をそれぞれ担持する二官能価試薬により行われる。チオール基は、当業界において知られている基、例えばアセチル基により保護される。
【0036】
それらの二官能価試薬は、アミド結合を形成することにより、リシンアミノ酸のε−アミノ基と反応することができる。二官能価試薬の調製は、当業界において知られている。二官能価NHSエステルの前駆体は、DE3924705号に記載されており、そしてアセチル化合物の誘導体化は、March, J. , Advanced Organic Chemistry (1977) 375-376により記載される。二官能価試薬SATAは、市販されており(Molecular Probes, Eugene, OR, USA and Pierce, Rockford, IL)、そしてDuncan, R. J., Anal. Biochem. 132 (1983) 68-73に記載されている。
【0037】
IGFBP-4分子に付加されるべきチオール基の数は、反応パラメーター、すなわちタンパク質(IGFBP-4)濃度及びタンパク質/二官能試薬の比を調節することにより選択され得る。好ましくは、IGFBP-4は、IGFBP-4分子当たり1〜5個のチオール基、より好ましくは前記分子当たり1.5〜3個のチオール基を共有結合することにより活性化される。それらの範囲は、IGFBP-4タンパク質集団に対するチオール基の統計学的分布を言及する。
【0038】
反応は例えば、緩衝水溶液(pH6.5−8.0)、例えば10mMのリン酸カリウム、300mMのNaCl(pH7.3)において行われる。二官能価試薬は、DMSOにおいて添加され得る。反応の完結の後、好ましくは30分後、反応は、リシンの添加により停止される。過剰の二官能価試薬は、当業界において知られている方法、例えば透析又はカラム濾過により分離され得る。IGFBP-4に添加されるチオール基の平均数は、Grasetti, D. R,. and Murray, J. F. in J. Appl. Biochem. Biotechnol. 119 (1967) 41-49に記載される光度方法により決定され得る。
【0039】
上記反応に続いて、活性化されたポリ(エチレングリコール)(PEG)誘導体の共有カップリングが存在する。適切なPEG誘導体は、モノ−又はジPEG化された生成物が所望されるかどうかに依存して、約15〜約40kDaの平均分子量を有する活性化されたPEG分子である。
【0040】
活性化されたPEG誘導体は、当業界において知られており、そしてPEG−ビニルスルホンについて、Morpurgo, M. , など. J. Bioconjug. Chem. 7 (1996) 363-368に記載されている。線状鎖及び枝分かれ鎖のPEG種は、式Iの化合物の調製のために適切である。反応性PEG試薬の例は、ヨード−アセチル−メトキシ−PEG及びメトキシ−PEG−ビニルスルホンである。それらのヨード−活性化された物質の使用は、当業界において知られており、そして例えばHermanson, G. T. , in Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego (1996) p. 147-148により記載されている。
【0041】
本明細書において使用されるようなシステイン特異的PEG化のための好ましい方法は、タンパク質のポリペプチド鎖の還元されたスルフヒドリル基への20kDaのメトキシ−ポリ(エチレングリコール)−マレイミド又は枝分かれ鎖の40KDaのPEG2-マレイミド(=PEG−マレイミド)(Shearwater Polymers, Inc; Huntsville, Alabama)の使用により、標的ポリペプチド(IGFBP-4)にポリ(エチレングリコール)鎖を結合するための方法を示す。生来のIGFBP-4は、すべてのシステインはジスルフィド結合の形成に包含されるので、遊離システインを有さない。低濃度の還元剤、例えばβ−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール又はTCEPの存在下での生来のIGFBP-4の還元は、ジスルフィド結合の選択的開放、及びPEG−マレイミドにより特異的に修飾され得る還元されたスルフヒドリル基の暴露をもたらす。
【0042】
IGFBP-4の中間ドメインにおけるジスルフィド結合は還元に対して非常に敏感であり、そして従ってシステイン110又はシステイン117でシステイン−特異的PEG化を可能にすると思われる。IGFBP-4のシステイン110及び117についてのカップリングの特異性は、単離されたモノPEG化されたIGFBP-4のペプチドマッピング及びLC−MS質量分光計及びペプチドピークの配列決定によるペプチドの同定により確められた。IGFBP-4のPEG化された形は、2個のシステインを含むペプチドの還元されたピーク領域を示した。
【0043】
最も好ましくは、PEG種は、(アルコキシ−PEG−マレイミド)、例えばメトキシ−PEG−マレイミド(MW 15,000 〜40,000 ; Shearwater Polymers, Inc.)を用いて、マレイミドにより活性化される。アルコキシ−PEG−マレイミドとのカップリング反応は、緩衝水溶液、例えば10mMのリン酸カリウム、300mMのNaCl、2mMのEDTA(pH6.2)におけるチオール保護基の現場分解の後に生じる。保護基の分解は、例えば、DMSO中、ヒドロキシルアミンにより、25℃及び6.2のpHで約90分間、行われ得る。PEG修飾に関しては、活性化されたIGFBP-4/アルコキシ−PEG−マレイミドのモル比は、約1:1〜約1:6であるべきである。
【0044】
反応は、システインの添加により、及びN−メチルマレイミド、又はジスルフィドを形成できる他の適切な化合物との残るチオール(-SH)基の反応により停止され得る。保護基、例えばN−メチルマレイミド又は他の適切な保護基といずれかの残る活性チオール基との反応のために、本発明の接合体におけるIGFBP-4タンパク質はそのような保護基を含むことができる。一般的に、本明細書に記載される方法は、PEG−マレイミドに接合されなかった、タンパク質上の活性化されたチオール基の数に依存して、種々の数の保護基により保護された種々の数のチオールを有する分子の混合物を生成するであろう。
【0045】
N−メチルマレイミドは、PEG化されたタンパク質上の残るチオール基をブロックするために使用される場合、同じタイプの共有結合を形成するが、ジスルフィド化合物は、分子間スルフィド/ジスルフィド交換反応において、ブロッキング試薬のジスルフィド架橋されたカップリングに導くであろう。このタイプのブロッキング反応のための好ましいブロッキング試薬は、酸化されたグルタチオン(GSSG)、システイン及びシスタミンである。システインに関して、追加の実効電荷はPEG化されたタンパク質中に導入されないが、ブロッキング試薬GSSG又はシスタミンの使用は追加の負又は正の電荷をもたらす。
【0046】
IGFBP-4変異体のチオール反応性PEG化は、当業界において知られている方法に従って行われ得る(例えば、WO 94/22466, 及び Veronese, F. M. , Biomaterials 22 (2001) 405-417を参照のこと)。さらに、活性化されたPEG誘導体は、当業界において知られており、そして例えば、PEG−ビニルスルホンについて、Morpurgo, M. , など. J. Bioconjug. Chem. 7 (1996) 363-368に記載される。線状鎖及び枝分かれ鎖のPEG種は、式Iの化合物の調製のために適切である。反応性PEG試薬の例は、ヨード−アセチル−メトキシ−PEG及びメトキシ−PEG−ビニルスルホンである。それらのヨード活性化された物質の使用は、当業界に知られており、そしてHermanson, G. T. , in Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego (1996) p. 147-148により記載されている。
【0047】
より高くPEG化された形からのモノ−及び/又はジPEG化されたIGFBP-4種の分離を包含する、本発明の化合物のさらなる精製は、当業界において知られている方法、例えばカラムクロマトグラフィーにより行われ得る。
【0048】
モノ−PEG接合体の%、及びモノ−及びジ−PEG種の割合は、組成物におけるモノ−PEGの%を低めるために溶出ピーク近くの広い画分、又は組成物におけるモノ−PEGの%を高めるためにより狭い画分をプールすることによって調節され得る。約90%のモノ−PEG接合体が収率及び活性の良好なバランスである。時々、例えば少なくとも92%又は少なくとも96%の接合体がモノ−PEG種(n−は1に等しい)である組成物が所望される。本発明の態様においては、nが1である接合体の%は、90%〜96%である。
【0049】
医薬製剤
PEG化されたIGFBP-4は、混合物として、又はイオン交換クロマトグラフィー又はサイズ排除クロマトグラフィーにより分離された異なったPEG化された種として投与され得る。本発明の化合物は、当業者に知られている医薬組成物の調製方法に従って配合され得る。そのような組成物の生成に関しては、本発明のPEG化されたIGFBPが、好ましくは医薬組成物の所望する成分を含む水溶液に対する透析により、医薬的に許容できるキャリヤーと共に混合して組み合わされる。そのような許容できるキャリヤーは、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18 edition, 1990, Mack Publishing Company, edited by Oslo など. (例えば pp. 1435-1712)に記載されている。典型的な組成物は、有効量、例えば約0.1〜100mg/mlの本発明の物質、及び適切な量のキャリヤーを含む。組成物は、非経口的に投与され得る。
【0050】
本発明の医薬製剤は、当業界において知られている方法により調製され得る。通常、PEG化されたIGFBP-4の溶液が、医薬組成物に使用されることが意図された緩衝液に対して透析され、そして所望する最終タンパク質濃度が濃縮又は希釈により調節される。
そのような医薬組成物は、注射又は注入についての投与のために使用され、そして有効量のモノPEG化されたIGFBP-4、並びに医薬的に許容できる希釈剤、保存剤、溶解剤、乳化剤、アジュバント及び/又はキャリヤーを含む。
【0051】
そのような組成物は、種々の緩衝液含有物(例えば、アルギニン、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、添加剤、例えば界面活性剤及び溶解剤(例えば、TweenTM 80/ポリソルベート、PluronicTM F68)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム)、保存剤(TimersolTM, ベンジルアルコール)及び増量物質(例えば、サッカロース、マンニトール)を含み、ポリマー化合物、例えばポリ酢酸、ポリグリコール酸、等の粒状調製物、又はリポソームに組込まれる。そのような組成物は、本発明のモノPEG化されたIGFBP-4の開放及びクリアランスの物理的状態安定速度に影響を及ぼすことができる。
【0052】
投与量及び薬剤濃度
典型的には、標準の癌処理レジメにおいては、患者は、一定の期間、例えば1日〜約30日又はそれ以上の期間、0.01〜3mgのPEG化されたIGFBP-4/kg・日の範囲での用量により処理される。薬物は、1ml当たり0.1〜100mgのPEG化されたIGFBP-4を含む医薬製剤の1日1回の皮下又はi.v.又はi.p. (腹腔内)ボーラス注射又は注入として適用される。この処理は、いずれかの標準(例えば、化学療法)処理と共に、その処理の前、その間又はその後、PEG化されたIGFBP-4の適用により組み合わされ得る。この結果は、標準処理のみに比較して、改良された結果をもたらす。
【0053】
次の例及び参考文献は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の範囲を制限するものではない。修飾は、本発明の範囲内に行われ得ることが理解される。
【実施例】
【0054】
例1IGFBP-4の発酵、復元及び精製
E. コリ又は酵母における組換え野生型IGFBP-4の生成は、例えばMiyakoshi, N. , など. , Endocrinology 142 (2001) 2641-2648, 及び Kiefer, M. C. , など., J. Biol. Chem. 267 (1992) 12692-12699により記載されている。ヒト組換えIGFBP-4はさらに市販されている(例えば、GroPep Ltd.; Adelaide, Australiaから)。
【0055】
発酵条件
種子培養を、37℃での振盪インキュベーター上で、100mgの培養物を含む500mlの三角フラスコにおいて7時間、行った。主要培養を、8Lの初期体積を含む10Lの供給バッチ発酵において行った。培養培地(Springer-酵母 50g/l, K2HPO4*3H203 g/l, MgSO4*7H2O 0.74g/l, グルコース 4.0 g/l, アンピシリン 100mg/l, カナマイシンスルフェート 50mg/1)のpHを、塩基としてのアンモニア溶液(12%w/v)及び酸及び炭素源としてのグルコース一水和物溶液(75%w/v)の添加により、pH6.8+0.3で維持した。溶解された酸素レベルを、1.0vvmの速度で空気を供給し、そして攪拌速度(500rpm−1000rpm)を変更することにより、20%で、又は約20%で維持した。
【0056】
培養が10の光学密度(OD)(UV−可視分光計により580nmで測定される)に達した後、Springer−酵母溶液(500g/L)の供給を開始した。タンパク質発現の誘発を、1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)により、15のODで行った。不溶性IGFBP-4が、優先的に封入体として発現される(約80%)。
培養を、35のODまで12時間、続き、そして次に、細胞を、遠心分離(13,000rpmで30分間)により収穫した。
【0057】
封入体の単離及び精製
細胞ペレットを、1mMのMgSO4を含む0.1Mのトリス−HCl緩衝液(pH7.0)に懸濁した。100gの乾燥細胞重量当たり0.3gのリゾチーム及び1gの乾燥細胞重量当たり30Uのベンゾナーゼの添加の後、細胞懸濁液を、破壊するためにFrenchプレス(14,500psi, 1サイクル)にゆだねた。破壊の後、懸濁液を、Brij−緩衝液(200ml/LのBrij30%、1.5MのNaCl、0.1MのEDTA、pH7.0)により1:2に希釈し、そしてさらに、室温で30分間、攪拌した。封入体を単離するために、懸濁液を13,000rpmで30分間、遠心分離した。得られるペレットを、5mMのEDTAを含む0.1Mのトリス−HCl緩衝液(pH6.5)により再懸濁し、そして13,000rpmで30分間、再び遠心分離した。精製された封入体を含むペレットを、IGFBP-4のさらなる精製まで、−20℃で貯蔵した。
【0058】
溶解、成熟及び精製
20gの封入体を、8Mの塩化グラニジニウム、100mMのトリス、5mMのEDTA及び100mMのEDTE(pH8.5)を含む緩衝液に溶解した。溶解の後、HClによりpHを2.5に調節し、そして溶解物を、6Mの塩化グアニジニウム、5mMのEDTA(pH2.5)に対して透析した。タンパク質含有率を、UV吸収により分析した。成熟を室温で行った。変性されたタンパク質を、0.5mg/mlの最終タンパク質濃度に、4500ml(0.6Mのアルギニン、1mMのEDTA、3mMのGSH、1mMのGSSG(pH8.5))の体積においてml当たり0.25gのタンパク質の2パルス(5時間の間隔)で希釈した。成熟を一晩にわたって完結した。
【0059】
成熟サンプルを、25% (NH4)2SO4まで貯蔵し、そして遠心分離した。上清液を、50mMのクエン酸ナトリウム、100mMのNaCl(pH4.5)に対して透析し、そして0.8Mの (NH4)2SO4及び0.2Mのアルギニンにした(個体 (NH4)2SO4の添加及び1Mアルギニン/HCl原液の希釈により)。NaOHによりpHを8.5に調節した後、サンプルを、フェニルセファロースカラム(フェニルセファロースファーストフロー(Pharmacia);20mMのリン酸ナトリウム、100mMのNaCl、1Mの (NH4)2SO4 (pH7.5)により平衡化された)に適用した。カラムを、(NH4)2SO4を含まない平衡化緩衝液により洗浄した。IGFBP-4の溶出を、20mMのリン酸ナトリウム〜50%エチレングリコールにより補充された20mMのリン酸ナトリウムのグラジエントにより達成し、そして20mMのリン酸ナトリウム、100mMのNaCl、50%エチレングリコール(pH7.5)により後−溶出洗浄を行った。
【0060】
溶出物を、SDS−PAGEに従ってプールし、50mMのクエン酸塩(pH4.2)により1:2に希釈し、そしてS−セファロースカラム(Pharmacia)上に適用した。カラムを、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)により洗浄し、そして溶出を、20mMのリン酸ナトリウム〜600mMのNaClのグラジエントにより行った。IGFBP-4を最終的に、SDS−PAGEに基づいてプールした。
【0061】
例2IGFBP-4の40kDa PEG化(ランダムアミノ−反応性PEG化)
40kDaのPEG化を、IGFBP-4とmPEG2−NHSエステル、2つの20kDaのPEG鎖を担持するリシン誘導体、及び単一の反応性N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルとの反応により達成する(Shearwater Polymers, Inc.; Huntsville, Alabama, USA;この後、40kDaのmPEG2と称する)。
【0062】
IGFBP-4を、PBS中、濃縮されたIGFBP-4溶液への40kDaのmPEG2の水溶液の添加によりPEG化する。40kDaのmPEG2を、1分子のIGFBP-4当たり2分子のPEGのモル比で添加した。反応を、室温で30分間、進行せしめそして最終的に、1Mのアルギニン溶液(HClによりpH8.0に緩衝された)を添加し、100mMの最終濃度にすることにより停止した。
PEG化反応の結果を、タンパク質及びPEG濃度を注意して滴定することにより、mPEG2-NHS試薬の同時最少消費によるモノPEG化されたIGFBP-4の最大生成のために最適化した。IGFBP-4に関して、モノPEG化されたイソフォームの収率は、高めたれたタンパク質濃度(c=5mg/ml又はそれ以上)及び2倍モル過剰のPEG化試薬で最良である。
【0063】
例3IGFBP−4のN−末端PEG化
N−末端特異的PEG化は、本明細書において使用される場合、還元条件下で酸性pHでのポリ(エチレングリコール)アルデヒドの使用により標的ポリペプチド(IGFBP-4)へのポリ(エチレングリコール)鎖の結合方法を示す。カップリング反応は、リシンのε−アミノ基を包含する副作用をほとんど伴わないか又はまったく伴わないで、ポリペプチド鎖のN−末端アミノ基にPEG−アルデヒドを選択的に結合する。
【0064】
ヒトIGFBP-4を、20mMの酢酸緩衝液(pH4.5)に対して透析し、そして40kDa又は20kDaのPEG−アルデヒド(Shearwater Polymers, Inc.; Huntsville, Alabama)の酢溶液の添加によりPEG化した。PEG−アルデヒドを、1分子IGFBP-4当たり2分子のPEGのモル比で添加した。PEG−アルデヒドは、N−末端アミノ基を有するシェフ塩基を形成し、続いて(すなわち、1時間のインキュベーションの後)、シアノ硼水素化ナトリウムの添加により、20mMの最終濃度に低められる。反応を室温で一晩、進行せしめる。
【0065】
PEG化反応の結果を、タンパク質及びPEG濃度を注意して滴定することにより、PEG-アルデヒド試薬の同時最少消費によるN-末端モノPEG化されたIGFBP-4の最大生成のために最適化した。IGFBP-4に関して、N-末端モノPEG化されたイソフォームの収率は、高めたれたタンパク質濃度(c=1mg/ml又はそれ以上)及び1.5倍モル過剰のPEG化試薬で最良である。モノPEG化されたIGFBP-4の精製を、ランダムPEG化されたタンパク質について記載されるようにして行った。タンパク質のN−末端についてのカップリング反応の特異性を、エンドプロティナーゼLys C (配列グレード;Roche Diagnostics GmbH; Germany)の使用、及びLC-MS質量分光計によるペプチドの同定による単離されたモノPEG化されたIGFBP-4のN−末端配列決定及びペプチドマッピングにより確めた。
【0066】
例4野生型IGFBP-4のシステイン特異的PEG化
システイン特異的PEG化とは、本明細書において使用される場合、タンパク質のポリペプチド鎖の還元されたスルヒドリル基への20kDaのメトキシ−ポリ(エチレングリコール)−マレイミド又は枝分かれ鎖の40kDaのPEG2−マレイミド(=PEG−マレイミド)(Shearwater Polymers, Inc.; Huntsville, Alabama)の使用により、標的ポリペプチド(IGFBP-4)にポリ(エチレングリコール)鎖を結合する方法を示す。生来のIGFBP-4は、すべてのシステインがジスルフィド結合の形成に関与されるので、遊離システインを有さない。低濃度の還元剤、例えばβ−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール又はTCEPの存在下での生来のIGFBP-4の還元は、ジスルフィド結合の選択的開放、及びPEG−マレイミドにより特異的に修飾され得る還元されたスルフヒドリル基の暴露をもたらす。
【0067】
IGFBP-4を、20mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH7.2)及びDTTに対して、0.75mg/mlの濃度で透析し、そしてβ−メルカプトエタノールを添加し、30〜1000μMの濃度にした。その混合物を、4時間インキュベートし、そして次に、20kDaのPEG−マレイミドの水溶液を添加し、1.6mg/mlの濃度にした。反応を停止し、そして1時間後、SDS−PAGEにより分析した。モノPEG化されたIGFBP-4を、ランダムPEG化されたIGFBP-4について記載される方法により、最高割合のこのPEG化された誘導体を含むサンプルから単離した。
【0068】
IGFBP-4の中間ドメインにおけるジスルフィド結合は還元に対して非常に敏感であり、そして従って、システイン110又はシステイン117でシステイン−特異的PEG化を可能にする。IGFBP-4のシステイン110及び117についてのカップリング反応の特異性を、単離されたモノPEG化されたIGFBP-4のペプチドマッピング、及びLC-MS質量分光計によるペプチドの同定及びペプチドピークの配列決定により確めた。IGFBP-4のPEG化された形を、2個のシステインを含むペプチドの低められたピーク領域を示した。
【0069】
例540kDa-PEG-IGFBP-4異性体の精製
生化学及び生物学的分析のためのPEG化生成物の予備分離を、500mMの塩化ナトリウムにより補充された、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)から成る緩衝液を用いてのセファクリルS400カラム(Pharmacia)上でのサイズ排除クロマトグラフィーにより達成する。
40kDa PEG-IGFBP-4異性体は、修飾されていない形に比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいて早く溶出する。これは、分子の高められた流体力学的半径のためである。
【0070】
溶出画分をさらに、SDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGEにおいて、タンパク質を、それらの分子量に従って分離した。IGFBP-4のPEG化された形は、野生型タンパク質よりもゆっくりと移動する。移動の速度は、タンパク質に結合されるPEGの量と逆比例して相互関係する。分離を、MOPS SDS緩衝液システムにおけるNOVEX 4-12% NuPageゲル上で行った。
生成物を、次の通りに示される3種のプールに組合した:
−ポリ40kDa-PEG-IGFBP-4:複数の40kDaのmPEG2残基を担持する90%以上のIGFBP-4から成る混合された集団のPEG化イソフォーム。ポリ40kDa-PEG-IGFBP-4の理論的分子量は86kDa又はそれ以上である。明らかに、それらは、SDS-PAGEにおいて200kDa以上で走行する。
【0071】
−モノ40kDa-PEG-IGFBP-4:1つの分子IGFBP-4に結合される1つの分子40kDaのmPEG2を有するPEG化されたIGFBP-4の90%以上の均質プール、たぶん、このプールは、PEG鎖が個々のタンパク質分子における異なったアミノ酸残基に結合されることを意味する、位置異性体の混合物から成る。モノ40kDa-PEG-IGFBP-4の理論的分子量は、約66kDaである。明らかに、モノ40kDa-PEG-IGFBP-4は、SDS-PEGEにおいて120kDaで走行する。
−PEG化されていないIGFBP-4:PEG試薬と反応せず、そして再循環のために回収されるIGFBP-4の均質プール。
【0072】
例6
a)ランダムPEG化されたIGFBP-4(20kDa)の生成:
野生型ヒト組換えIGFBP-4を、メトキシポリ(エチレングリコール)プロピオン酸のN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルの水溶液の添加によりランダムにPEG化された(MW 20,000 (Shearwater Polymers, Inc.; Huntsville, Alabama;この後、20kDaのmPEG-SPAと称する)。20kDaのmPEG-SPAを、1分子のIGFBP-4当たり3分子のPEGのモル比で添加した。反応を、室温で30分間、進行せしめ、そして最終的に、1Mのアルギニン溶液(HClによりpH8.0に緩衝された)を添加し、100mMの最終濃度にすることにより停止した。
【0073】
PEG化反応の結果を、タンパク質及びPEG濃度を注意して滴定することにより、mPEG-SPA試薬の同時最少消費によるモノPEG化されたIGFBP-4の最大生成のために最適化した。IGFBP-4に関して、モノPEG化されたイソフォームの収率は、高めたれたタンパク質濃度(c=5mg/ml又はそれ以上)及び1.5倍モル過剰のPEG化試薬で最良である。
【0074】
b)20kDa-PEG-IGFBP-4異性体の精製:
生化学及び生物学的分析のためのPEG化生成物の予備分離を、500mMの塩化ナトリウムにより補充された、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)から成る緩衝液を用いてのセファクリルS300カラム(Pharmacia)上でのサイズ排除クロマトグラフィーにより達成する。20kDaのPEG化された種は、修飾されていない形に比較して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)において早く溶出する。これは、分子の高められた流体力学的半径のためである。
【0075】
溶出画分をさらに、SDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGEにおいて、タンパク質を、それらの分子量に従って分離した。IGFBP-4のPEG化された形は、野生型タンパク質よりもゆっくりと移動する。移動の速度は、タンパク質に結合されるPEGの量と逆比例して相互関係する。分離を、MOPS SDS緩衝液システムにおけるNOVEX 4-12% NuPageゲル上で行った。
【0076】
例7イオン交換クロマトグラフィーによる40kDaのmPEG2又は20kDaのmPEG-SPAの除去
IGFBP-4と反応しなかった残留PEG化試薬を、SPセファロース(Pharmacia)を用いて、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)により除去した。サンプルを、カラム上への負荷の前、20mMのリン酸ナトリウム(pH5.5)に対して透析し、塩化ナトリウムの濃度を低め、そして酸性pHに調節した。それらの条件下で、遊離PEGはカラム樹脂に結合せず、そしてNag, A. , など., Anal. Biochem. 237 (1996) 224-231により記載されるように、熱量アッセイによりカラム流れにおいて検出された。結合されたタンパク質の溶出を、20mMのリン酸ナトリウム(pH5.5)中、300mMの塩化ナトリウムにより、単一段階で行った。サンプルを、貯蔵又はさらなる分析の前、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)、150mMの塩化ナトリウムに対して透析した。
【0077】
例8サイズ排除クロマトグラフィーによる結合活性の決定
IGFBP-4の明確な量(25μg又は等量のIGFBP-4のPEG化されたイソフォーム)を、既知量(それぞれ、3,6及び9μg)のIGF-Iに対して滴定した。残留遊離IGF-Iを、HRP75カラム(Pharmacia, 500mMの塩化ナトリウムにより補充された、20mMのリン酸ナトリウム(pH7.5)から成るランニング緩衝液;1ml/分の流速)上でのサイズ排除のクロマトグラフィーによりIGF-I/IGFBP-4複合体からそれを分離した後、ピーク統合により定量化された。
このアッセイにおいては、PEG化されていないモノ20kDa-PEG-IGFBP-4、ポリ20kDa-PEG-IBFBP-4及びモノ40kDa-PEG-IGFBP-4は、IGF-Iの同一の結合を示した。例えば、96nモルのモノ20kDa-PEG-IGFBP-4は、70nモルのIGF-Iを結合した。
【0078】
例9FCSによる結合パラメーターの決定
TAMRA(テトラメチルローダミン)によりラベルされたIGF-Iと複合体を形成するIGFBP-4の能力を、蛍光相関分光計(FCS)により測定した。アッセイ原理は、結合パートナーの不在下で、蛍光ラベルされた遊離IGF-Iが明確な速度で拡散することである。IGFBP-4又はPEG化されたイソフォームの添加は、ラベルされたIGF-Iとの複合体形成及びその拡散速度の同時変化を導く。異なった拡散挙動性のために、FCSは、結合されたIGF-Iと遊離IGF-Iとを識別し、そしてそれを定量化することができる。いくつかの濃度のIGFBP-4についての結合されたIGF-Iの量の決定は、結合曲線の設定及び曲線適合によるkDa値の決定を可能にする。
【0079】
すべての測定は、100mM HEPES (pH 7.6), 120mM NaCl, 5mM KCI, 1. 2mM Mg2SO4 ; 1mM EDTA, lOmM D (+) グルコース, 15mM の酢酸ナトリウム, 1% の透析されたウシ血清アルブミンから成る緩衝液において、543nmの波長でConfocor I (Zeiss, Jena)上で行われた。
IGF-I結合はいくつかのIGFBP-4バッチについて区別できないと思われ;モノ20kDa-PEG-IGFBP-4, ポリ20kDa-PEG-IGFBP-4, モノ40kDa-PEG-IGFBP- 4 及び 野生型 IGFBP-4は、複合体形成及び結合定数(0.34±0.08nM)に関して、比較できる挙動性を示した。
【0080】
例10結合パラメーターの決定
野生型IGFBP-4及びいくつかのPEG化されたイソフォームについての阻害定数(IC50)を、Biacore実験(http://www. biacore. com)において決定した。手短には、野生型IGFBP-4を、当業界において知られているようなNHS-EDCカップリング化学によりBiacore CM5チップ表面上に固定した(http://www. biacore. com)。すべてのIGF-I結合実験を、市販の緩衝液(Biacore HBP-EP; 0. 01M Hepes pH 7.4 ; 0.15M NaCl ; 3mM EDTA; 0.005% ポリソルベート 20 (v/v))において行った。
【0081】
IC50値を決定するために、10nMのIGF-Iを、0.5〜1000nMの野生型IGFBP-4(又はモノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又は モノ40kDa-PEG-IGFBP-4)と共に混合し、そして固定されたIGFBP-4と共にチップ上に適用した。阻害を、IGFBP-4の不在下での10nMの純粋なIGF-Iのサンプルに比較して、応答単位の低下として測定した。モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 及びモノ40kDa-PEG-IGFBP-4は、約4±2nMのIC50値を有する野生型対照IGFBP-4と同じように、IGF-I結合を効果的に阻害した。
【0082】
例11IGF-1の阻害はPEG化されたIGFBP-4イソフォームによりIGF-I−受容体リン酸化を誘発した
3.5cmの皿においてヒトIGF-IRを安定して発現する、集密的単層のNIH3T3細胞を、0.5%の透析されたウシ胎児血清を含むDMEMにおいて飢餓せしめた。48時間後、細胞を、いずれのホルモンも伴わないで又は5×10-9MのIGF-Iと共にインキュベートし;個々のサンプルを、上昇する濃度のIGF−結合タンパク質又はそのPEG化されたイソフォームと共に、室温で1時間プレインキュベートした。37℃での10分間の刺激の後、培地を除去し、そして細胞を、250μlの溶解緩衝液(20 mM ヘルペス, pH 7.5, 150 mM NaCl, 10% グリセロール, 1% Nonidet P40,1. 5 mM MgCl2, 1 mM EGTA (1, 2-ビス(2-アミノエトキシエトナ)N, N, N, N'四酢酸, Aldrich, USA), 10 mM オルトバナジン酸ナトリウム, 及びプロテアーゼ インヒビター カクテル Complete (Roche Diagnostics GmbH, DE))により、氷上で10分間、溶解した。
【0083】
続いて、細胞をプレートから剥ぎ取り、そして不溶性材料を、4℃での20分間の遠心分離により分離した。上清液のタンパク質濃度を、ビシンコニン酸を用いて決定した(Pierce, Rockford, USA; Shihabi, Z. K., and Dyer, R. D. , Ann. Clin. Lab. Sci. 18 (1988) 235-239)。等濃度のタンパク質を、SDSサンプル緩衝液(63 mM トリス-HCI, pH 6.8, 3% SDS, 10% グリセロール, 0.05% ブロモフェノールブルー, 100 mM DTT)と共にインキュベートし、5分間、煮沸し、そして7.5%SDSポリアクリルアミドゲル上に負荷した。
【0084】
電気泳動の後、タンパク質を、ニトロセルロース膜上に移し、まず、3%BSA含有PBST(リン酸緩衝化された塩溶液−Tween)により1時間ブロックし、次に、3%BSAを含むPBST中、1μg/mlのモノクローナル抗−ホスホチロシン抗体(Roche Diagnostics GmbH, DE)と共に一晩インキュベートした。結合されなかった抗体を、集中的な洗浄により除去した。次に、ブロットを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Roche Diagnostics GmbH, DE)により接合された、1:10000に希釈された抗−マウスIgG−特異的抗体と共にインキュベートし、そして展開した。
【0085】
IGFBP-4, モノ20kDa-PEG-IGFBP-4, ポリ20kDa-PEG-IGFBP-4 及び モノ40kDaPEG-IFGBP-4はそれぞれ、同等に良好な阻害能力を示した。3倍モル過剰(測定される最低の用量)のイソフォームは、2nMのIGF-Iにより誘発された受容体リン酸化を完全にブロックした。
【0086】
例12IGFBP-4誘導体による腫瘍細胞系の増殖の阻害
ヒト腫瘍細胞系PC-3、MDA-MB231、DU-145、HT29、AsPC-1及びPancTu-1(ATCC, American type culture Collection, Rockville, Maryland, U. S. A. からの)を用いて、腫瘍細胞増殖に対するIGFBP-4誘導体の阻害効果を調べた。4000のAsPC−1細胞又は1000の他の細胞型の細胞を、10%FBS(ウシ胎児血清)及び1%グルタミンを含むRPMI培地100μlに接種した。細胞を、修飾されていないIGFBP-4又はモノ20kDa-PEG-IGFBP-4の不在又は存在下で5日間培養し、そして細胞増殖を、増殖培地に添加されるテトラゾリウム塩の分解を検出することにより定量化した。テトラゾリウム塩は、生存細胞におけるミトコンドリアデヒドロゲナーゼにより分解される(WST-1アッセイ, PanVera, USA)。細胞系PC-3、MDA-MB231、DU-145の増殖は、IGFBP-4誘導体により有意に阻害されなかったが、しかし細胞系HT29、AsPC-1及びPancTu-1の増殖は、IGFBP-4により55%まで阻害された。PEG化されたIGFBP-4は、修飾されていないIGFBP-4よりも有能である。
【0087】
【表1】

【0088】
例13IGFBP-4誘導体の血清動態
SCIDマウスを、PBS中、1mg/200μlのモノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又は モノ40kDa-PEG-IGFBP-4 又はPEG化されていない IGFBP- 4の1回の用量により皮下注射した。血清サンプルを、注射の0.5〜120時間、集め、そして親和性精製の後、抗−IGFBP-4抗体によるウェスターンブロット(United Biomedical Inc., USA)により、又はELISAにより、モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又はモノ40kDa-PEGIGFBP-4 又はPEG化されていない IGFBP-4について分析した。
【0089】
親和性精製を、ストレプタビジン被覆された磁気ビーズ(Roche Diagnostics GmbH, DE)にビオチニル化されたIGF-Iをカップリングし、そして磁気分離により、それぞれの血清サンプルからIGFBP-4誘導体を沈殿せしめることにより行った。結合されたタンパク質を、SDSサンプル緩衝液において過熱することにより溶出し、そしてSDS PAGEにより分離した。タンパク質を、PVDF−膜に移し、そしてIGFB-4特異的抗体により検出した。IGFBP-4誘導体に対応するバンドの定量化を、Lumiimager装置(Roche)により行った。
【0090】
ELISA試験を、ストレプタビジンにより被覆されたマイクロタイタープレートに結合されるPEG(Cheng T. など. , Bioconjugate Chem. 10 (1999) 520-528)に対するビオチニル化されたモノクローナル抗体により、PEG化されたタンパク質を捕獲し、そしてウサギから生成されたポリクローナルIGFBP-4抗血清(ペルオキシダーゼによりラベルされた)により特異的に検出することにより行った。
【0091】
モノ40kDa-PEG-IGFBP-4の血清レベルは、24時間後、ピークに達し(>75μg/ml)、そして120時間までの間、上昇し続けた。対照的に、PEG化されていないか又はモノPEG20-IGFBP-4は、実質的に低いピークレベル(それぞれ、12又は35μg/ml)及びより早いクリアランスを示した。PEG化されていないIGFBP-4のレベルは、2時間後、基線まで戻った。AUCは、PEG化により有意に高められ、そして40kDaのPEGによるPEG化は、IGFBP-4の20kDa PEG誘導体について観察されるよりも長い時間、有意に高い血清レベルをもたらす。
【0092】
モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又はモノ40kDa-PEG-IGFBP-4 又は PEG化されていない IGFBP-4の毎日の適用は、処理されたマウスの血清におけるモノ40kDa-PEG-IGFBP-4のみの蓄積を導いた。300μg/ml以上の血清レベルが、3週間の研究の最後で達成された。
【0093】
例14PancTu-1正常位膵臓癌モデルにおけるIGFBP-4誘導体の抗腫瘍形成効果
インビトロで拡張されたPancTu-1腫瘍細胞を、培養フラスコから除去し(0.05%トリプシン−EDTA)、そして注射の日で50mlの培養培地(RPMI1640)中に移し、1度洗浄し(300×g、10分)、PBSに再懸濁し、さらにPBSにより洗浄し、そして濾過した。細胞濃度及び細胞サイズを決定し、そして細胞の濃度を、6.6×107/mlの細胞力価にPBSにより調節した。
15μlの体積(=1.0×106個の細胞)の腫瘍細胞を、少なくとも約20gの体重を有する、生後8〜10週の雌のSCIDマウス(C.B-17)の膵臓組織の方に漿膜を通して膵臓の十二指腸葉中に可視制御下で注入した。その後、膵臓を、腹膜に軽く移動し、そして腹膜切開を、連続した縫合(4−0ビクリル)を用いて閉じた。皮膚を合わせ、そして3〜4個の創傷クリップで閉じた。
【0094】
腫瘍細胞による接種の7日後に出発して、グループ当たり8匹の動物から成る2つのグループを、モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又は モノ40kDa-PEG-IGFBP-4のいずれかにより処理した。0.2mlのPBS中、1mgのタンパク質のi.p.投与される毎日の用量を、280nmでのタンパク質成分の吸収率の決定によりサンプルのタンパク質含有率を標準化した。8匹の動物第3グループを、PBSのみにより処理した。処理の21日後、血液サンプルを、個々の動物から採取し、そして個々の動物の一次腫瘍体積及び腫瘍重量を決定した。膵臓腫瘍マーカーCA19.9、すなわち高分子量ムチン(MUC1)上に発現される炭水化物抗原性決定因子が、EIA (ADI, Alpha Diagnostics, Texas, U. S. A. )により検出され、そしてCyfra 21.1が、ElecsyslO10 (Roche Diagnostics GmbH, Germany)に基づいて決定された。
【0095】
両腫瘍マーカーは、モノPEG40- IGFBP-4による処理により有意に低められたがしかしモノPEG20-IGFBP-4による処理によっては低められなかった。
モノPEG20-IGFBP-4の長期にわたる投与は、腫瘍増殖を阻害しなかった。終結での平均腫瘍体積は287mm3であり、そしてPBSのみを受ける対照グループに非常に類似する(226mm3)。対照的に、モノPEG40- IGFBP-4による処理は、腫瘍増殖を低めた。平均腫瘍体積は163mm3であった。
【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
例15正常腎臓細胞/腎臓器官に対するPEG化されたIGFBP-4の影響
一次腫瘍及び腎臓器官を一部切除し、そしてホルマリンに固定した。腫瘍を2つの部分に中間で分析、そして両者を、パラプラストの1つのブロックに包埋した。両腎臓器官を処理し(縦及び垂直切開)、そして包埋した。ヘマトキシリン及びエオシンによる通常の組織学的染色を、パラフィン上で行った。
s.c.又はi.p.適用されるモノ20kDa-PEG-IGFBP-4による長期にわたる処理は、中位〜重度の腎臓組織の組織病理学的変更を誘発した。近位細管に属する細胞は、炎症及び壊死の徴候を伴わないで空胞化された。それらの発見は、モノ40kDa-PEG- IGFBP-4のs.c.又はi.p.適用の後、観察されなかった。
【0099】
引例の列挙
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【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、40kDaのPEGによるIGFBP-4のPEG化及びそのPEG化された生成物のSECによる分離を示す。 A) 開始材料のクーマシー染色されたSDS−PEGE及び40kDaのPEG化反応の結果。Std=Mark12分子量標準(Invitrogen);1=IGFBP-4野生型(出発材料);2=40kDaのmPEG2によるPEG化の後のIGFBP-4。 B) サイズ排除クロマトグラフィー(“SEC”)によるPEG化された生成物の分離。ランダム40kDaのPEG化された2GFBP-4のSECを、20mMのリン酸(pH7.5)、500mMのNaClにおいてSuperose 6 (Pharmacia) 上で行った(0.5ml/分の流速) C) SDS PAGEによるPEG化された生成物の分析。Std=Mark12分子量標準(Invirogen);3=ポリPEG40-IGFBP-4;4=PEG化されていないIGFBP-4;5=モノPEG40−IGFBP-4。
【図2】図2は、モノ0kDa-PEG-IGFBP-4 及び PEG化されていないIGFBP-4に比較してのもの40kDa-PEG-IGFBP-4の血清動態を示す。SCIDマウスを、PBS中、1mg/200μlのモノ40kDa-PEG-IGFBP-4 又は モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又は PEG化されていないIGFBP-4の単一用量により皮下注射した。血清サンプルを、示されるように、注射の0.5〜120時間後、集め、そして親和性精製の後、抗−IGFBP-4抗体(UBI)によるウェスターンブロットにより、又はELISAによりモノ40kDa-PEG-IGFBP-4 又は モノ20kDa-PEG-IGFBP-4 又は PEG化されていないIGFBP-4について分析した。
【図3】図3は、IGF-I受容体のIGF-I介在性リン酸化のIGFBP-4誘導体による阻害を示す。 A)IGFBP-4誘導体の不在及び存在下でのIGF-IによるIGF-IRリン酸化のウェスターンブロット分析。IGF-I受容体を過剰発現するNIH3T3細胞を、限界過剰のIGFBP-4の存在又は不在下で2nMのIGF-Iにより刺激した。10分後、細胞を溶解し、そして溶解物を、チロシンリン酸化されたIGF-I受容体を検出するために抗−ホスホチロシン抗体を伴ってのウェルターンブロット方法にゆだねた。モノ20kDa-PEG-IGFBP-4及びモノ40kDa-PEG-IGFBP-4は、6nMの濃度で受容体刺激を完全に阻害した。IGF-I誘発されたIGF-I受容体リン酸化に関しては、IGFBP-4のPEG化された両形は、野生型IGFBP-4と同じほど効果的であることがわかっている。 B) IGFBP-4誘導体によるIGF-I受容体のIGF-I介在性リン酸化の滴定。IGF-I受容体を過剰発現するNIH3T3細胞を、種々の濃度のIGFBP-4誘導体の存在又は不在下で3.3nMのIGF-Iにより刺激した。10分後、細胞を溶解し、そして溶解物を、リン酸化されたIGF-I受容体のELISAに基づく測定にゆだねた。モノPEG化された IGFBP-4 (20 又は40kDa) 及び 野生系IGFBP-4は、3nMのIC50を伴って、受容体刺激を阻害した。
【図4】図4は、サイズ排除のクロマトグラフィーにより決定されたモノPEG20-IGFBP-4のIGF−結合を示す。IGFBP-4又はそのPEG化されたイソフォームの結合能力を、サイズ排除クロマトグラフィーに基づくアッセイにより決定した。70nモル(6μg)のIGF-Iを、プレインキュベーション(室温で30分)の後、単独で、又は96nモルのモノ20kDa-PEG-IGFBP-4(25μgの野生型IBFBP-4に等しい)と一緒に、カラム(HRP75, Pharmacia;走行条件:20mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、500mMのNaCl、1ml/分)上に注入する。遊離IGF-Iを、クロマトグラム(Chromeleon, Dionex)のIGF-Iピークを統合することによって定量化する。ピーク領域は、IGFBP-4の結合能力と負に相互関係する。示される実験においては、90%以上のIGF-Iがモノ20kDa-PEG-IGFBP-4により結合される。類似す結果が、モノ40kDa-PEG-IGFBP-4により得られた。
【図5】図5は、固定された野生型IGFBP-4に属するIGF-Iの野生型、モノ−及びポリ−20kDaランダムPEG化されたIGFBP-4による阻害、野生型、モノPEG-IGFBP-4 及びポリPEG-IGFBP-4のIC50の決定を示す。IC50値の測定のために、野生型IGFBP-4を、センサーチップ表面上に固定した。固定されたIGFBP-4へのIGF-I(10nM)の結合を、チップの接触の前、上昇する濃度のIGFBP-4, モノPEG20-IGFBP-4 及び ポリPEG20-IGFBP-4の添加により攻撃した。モノ−又はポリ−PEG化されたIGFBP-4と固定されたIGFBP-4に属するIGF-Iとの競争は、野生型IGFBPと同じほど効果的であることが見出された。類似する結果が、40kDa-PEG-IGFBP-4により得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP−4)、及び約30〜約40kDaの全分子量を有する、1又は2個のポリ(エチレングリコール)基から成る接合体。
【請求項2】
前記ポリ(エチレングリコール)基が、枝分かれ鎖のポリ(エチレングリコール)基である請求項1記載の接合体。
【請求項3】
前記接合体が、IGFBP−4の第1アミノ基を通して接合される請求項1又は2記載の接合体。
【請求項4】
前記接合体が、IGFBP−4のシステイン110及び/又はシステイン117を通して接合される請求項1記載の接合体。
【請求項5】
1つのポリ(エチレングリコール)基を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の接合体。
【請求項6】
インスリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP−4)、及び約30〜約40kDaの全分子量を有する、1又は2個のポリ(エチレングリコール)基から成る接合体の調製方法であって、前記IGFBP-4と活性化された(ポリエチレン)グリコールとを、前記(ポリエチレン)グリコールがIGFBP-4の第1アミノ基又はチオール基を通して前記IGFBP-4に化学的に結合される条件下で反応せしめることを含んで成る方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項記載の接合体、及び医薬的に許容できるキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
【請求項8】
癌の処理のための薬剤の調製のためへの請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
治療的有効量の請求項1〜4のいずれか1項記載の接合体を、その必要な患者に投与することを含んで成る癌の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−503843(P2006−503843A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539015(P2004−539015)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010658
【国際公開番号】WO2004/028568
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】