説明

インターネットプロトコルテレビ(IPTV)のダウンストリームユーザのための制御可能なマルチキャスト管理方法

本発明は、IPTVダウンストリームユーザのための制御可能なマルチキャスト管理方法を提供することにより、ネットワークにアクセスするユーザの静的管理に基づくものである現在のマルチキャストサービス制御管理に伴う主要な欠点を実質的に解決する。本発明の方法は以下を含む。ユーザによって開始されるDHCP要求がSTB端末によって受け取られ、ユーザ情報が、第1の関連情報の組として識別され、挿入される。DSLAMが、挿入された第1の関連情報の組を抽出し、次いでこれを、第2の関連情報の組と一緒にOSSに送る。OSSは、第3の関連情報の組が、システムの現在の情報とマッチするかどうか判定する。マッチは、ユーザが、元のアカウント開始ノードにおいて正常にアクセスしていることを示す。マッチしない場合、ユーザがローミングユーザであるかどうか判定される。ローミングユーザである場合、ユーザの情報リストが更新される。ローミングユーザでない場合、ユーザは、拒絶される。ユーザリストが更新され、マルチキャスト許可制御リストが更新される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPTV(IPベースのテレビ)、広帯域ベアラネットワーク領域、特に、PC(パーソナルコンピュータ)、STB(セットトップボックス)、ブラウザユーザ、および順序付きテレビチャネルに関する構築方法のためのものである。
【背景技術】
【0002】
IPTVサービスが台頭するにつれて、ネットワーク運用者およびコンテンツ提供者らは、IPネットワークでサポートされ、有効性の高いマルチキャスト伝送と公正なマルチキャストアドレス分配を実行するロバストなマルチキャスト関連の定義を必要とすることに加え、効果的なユーザ管理制御機能のみならずマルチキャストサービスも開発し、運用しなければならない。それらは、例えば、どのようにしてマルチキャストサービスを生成するか、どのようにしてマルチキャストデータソースの配信およびユーザエントリを制御するか、どの方法を用いてそれらを検証するか、どのようにしてユーザに課金するか、誰がユーザのサインオンを検証するか、どのようにして料金を計算するか、使用されるべきプランが簡単、確実、かつ公正であることをどのようにして保証するか、ネットワークが安全かつスムーズであるようにするためにマルチキャストサービスフローをどのようにして監視し、制御するか、どのようにしてユーザがアプリケーションを終了するか、サービス割り込みとリソース回復などである。
【0003】
現在のネットワークは、マルチキャストサービスの開始後に有効なマルチキャストサービスの管理と監視が行われなければ、非常に影響を受けやすいものとなり得る。また、ハッカーもこれを利用して攻撃を行い、運用者はユーザに期待されるマルチキャストサービス品質を提供することができなくなる。以上の理由で、運用者も設備製造者も、マルチキャスト運用モデル、要件、および主要設備の状況などの情報をはっきりと認識する必要がある。
【0004】
現在のマルチキャストサービスの制御管理は、主に、ユーザのネットワークへのアクセスの静的管理に基づくものである。例えば、番号を割り振るときには、ユーザ名とADSLポートおよびPVC(専用仮想チャネル)との静的バインディングが実行される。この方法により、ユーザのマルチキャスト許可の程度を制御することができるが、常に固定されたネットワーク位置にあるユーザ端末に基づくものであるため、同時に、ローミングサービスの起動をある一定の限度に制限する。このユーザがローミングすると、すべての制御管理情報が有効でなくなる。
【0005】
以下の図1において、ユーザローミングなしの、現在のマルチキャストユーザ制御プロセスを考察する。
【0006】
図1には、運用者の元の97/2000システム(統合サービス処理システム)、IPTVシステムオペレーティングシステムサポート(OSS)、IP通信システムネットワーク管理システム(NMS)、IPコアネットワーク、メディア局、広帯域アクセスサーバ(BRAS/L3)、広帯域アクセス設備(DSLAM/L2)、および端末装置(STB、TV、またはPC)が含まれる。
【0007】
IPTVシステムSTBユーザのための制御可能なマルチキャストサービスフローパスは、以下の通りである。
【0008】
ステップ1−STBユーザがアカウントを開くプロセスの間に、97/2000システムは、ユーザのUSERID(ユーザ識別番号)、DSLAM IDENTIFY、ADSL PORTおよびPVC情報をバインドしてNMSに送り、ユーザ情報の特定の伝送フォーマットが、運用者の運用保守システムの状況に基づいて設定され得る。IPTVと97/2000システムの間に、さしあたり特定のインターフェースがない場合には、情報バインディングとNMSへの送信は、IPTV OSSを介して行われ得る。
【0009】
ステップ2−STBユーザが、OSS上で必要とするチャネルの組を発注する。
【0010】
ステップ3−OSSが、認証や料金徴収といったサービス発注操作を実行する。
【0011】
ステップ4−ユーザが要求しているチャネルに基づき、OSSが、デバイス間プロトコルを介してNMSに、USER NAMEと、対応するマルチキャストグループの対応するマルチキャストグループ情報を送る(注:チャネルとマルチキャストグループが事前に照合され、対応付けられる場合には、これらは、システムCHANNEL LISTに統合され、記載される)。
【0012】
ステップ5−NMSサーバは、事前構成されるユーザ情報リストに基づいて、リスト上のマルチキャストグループ許可情報を更新し、同時に、マルチキャストグループ番号、ADSL PORT、およびPVC情報を、対応するDSLAMに渡す。
【0013】
ステップ6−DSLAMは、リアルタイムで、マルチキャスト許可制御リストを更新し、操作結果をNMSシステムに返す。
【0014】
ステップ7−OSSは、NMSシステムフィードバックを正常に受け取ると、ユーザサービス注文がOKであることを指示し、CHANNEL LISTがSTBに送られる。
【0015】
ステップ8−STBがCHANNEL LISTを受け取った後、ローカルLISTが更新され、ユーザが放送LISTからCHANNELを選択するのを待つ間に、STBは、対応するマルチキャストグループへの参加を求める要求を開始する。すなわち、要求マルチキャストグループのIGMP REPORTテキスト(ここでは一例としてチャネル2が使用されている)が送られる。
【0016】
ステップ9−DSLAMは、IGMP REPORTテキストを、ADSL PORTおよびPVCと照合し、ユーザが要求されたマルチキャストグループに合法的に参加することができるかどうか判定するために、制御可能なマルチキャストリストで照会を実行する。参加できない場合には、DSLAMは、ユーザ要求テキストに影響を及ぼさない。
【0017】
情報がマッチする場合、DSLAMは、要求を受け入れ、ユーザのエントリを処理する間に、このマルチキャストグループ内にこのユーザと同じユーザがいるかどうか判定する。同じユーザがいる場合、マルチキャストグループ番号とDSLAMポートが、マルチキャスト送信リストに加えられ、その後のマルチキャストテキストが、この対応するリストを介して直接送信される。
【0018】
マッチしない場合、DSLAMは、新しいマルチキャストグループに問い合わせる。
【0019】
ステップ10−STBユーザが正常に参加した後、IPTVによって送られているチャネル2マルチキャストフローは、DSLAMによってポート1と3に直接コピーされてよく、このグループ内のSTBユーザは、チャネル2の番組を正常に受信することができ、ポート2ユーザは、チャネル2を受信することができない。
【0020】
前述のプログラムでは、アカウントが開かれた後、ユーザのマルチキャスト制御情報が静的にバインドされることが分かる。このモデルは、STBとPCが移動され得ないサービス運用モデルに基づくものである。しかしながら、IPTVサービス開発の動向は、STBを、家庭電化製品と同様に店舗で自由に購入することができるというものである。ユーザは、ただ運用者にスマートカードを申し込み、IPTVサービスを楽しむためにSTBを挿入するだけでよい。ユーザは、当然ながら、このカードを、友人宅に行くときに、または旅行時に携帯し、IPTVサービスを楽しむこともできる。この種のユーザがローミングを行うときには、ユーザ情報の静的バインディングは、明らかに、要件を満たすことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、前述の問題を解決するために、ローミングIPTVユーザの制御可能なマルチキャスト管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従来の制御可能なマルチキャスト方法と比べて、本発明は、ローミングユーザの制御可能なマルチキャスト管理を、ユーザ情報をSTBによって開始されるDHCP要求テキストで搬送し、次いで、これをDSLAMが抽出し、OSSに送り、OSSと照合することによって実現する。具体的には、図2に示すように、以下の3つのステップが加えられている。
【0023】
ステップ1−STBユーザがDHCP(これは業界で知られており、説明を要さない)要求を開始するときに、STB端末ソフトウェアが発見テキストにUSERID情報を挿入する。
【0024】
ステップ2−DSLAMがDHCPディスカバリテキストを抽出し、USERID情報を取得し、次いで、その報告を、ユーザのADSL PORTおよびPVCと一緒にOSSに送る。
【0025】
ステップ3−OSSは、ユーザの広帯域アクセス情報がシステムの現在の情報とマッチするかどうか判定する(広帯域アクセス情報にはDSLAM IDENTIFY、ADSL PORT、およびPVCIDが含まれる。これは、ユーザがアカウントを開いたときに、運用者によって事前構成される情報である)。
【0026】
マッチは、ユーザが、元のアカウント開始ノードにおいて正常にアクセスしていることを示す。
【0027】
マッチしない場合には、ユーザがローミングユーザであるかどうか判定される。
【0028】
ローミングユーザである場合、NMSに、ユーザの情報リストを更新するよう通知される。
【0029】
ローミングユーザでない場合、これは、非ローミングユーザが、無許可の領域からアクセスしていること、またはユーザがシステムに不正にアクセスしようとしていることを意味する。システムはこのユーザにタグ付けし、ユーザは、パスワード検証を開始すると拒絶される。
【0030】
ステップ4−NMSは、ユーザリストを更新し、DSLAMに、マルチキャスト許可制御リストを更新するよう通知する。
【0031】
ステップ5−ユーザは、サービスを正常に使用し、ローミングの場所において新しいサービスを発注することができる。
【0032】
この方法は、余分なハードウェアの追加を不要にし、IPシステムにとっての運用保守およびサービスをより容易にするため、STBユーザのローミングサービスをはるかに使い易いものにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、制御可能なマルチキャストをサポートするのみならず、ローミングユーザのための制御可能なマルチキャストもサポートし、運用サービスを拡張し、カード型分離式STBモデルなどの互換性のあるアフターマーケット機器を追加することを容易にする。具体的な伝送プロセスについては、図3と以下の詳細な説明を参照されたい。
【0034】
IPTVシステムSTBローミングの制御可能なマルチキャスト:
図3には、本発明に関与する装置間のインターフェースフローパスが示されており、IPTVローミングユーザの検証プロセス全体と、配信および処理での主要パラメータが提示されている。この図には、以下が含まれる。
【0035】
1. 97/2000がOSSに、すべてのユーザがローミング許可を有するかどうか通知する。
【0036】
2. STBが、DHCP要求を開始し、OPTION60でUserIDを取得する。
【0037】
3. DSLAMが要求を代行受信して取り込み、OSSにユーザポート情報を送る。
【0038】
4. OSSは、ユーザがローミングユーザであるかどうか判定し、ローミングユーザである場合、ユーザのマルチキャスト許可情報をNMSに送る。
【0039】
5. NMSは、DSLAM/L2にマルチキャスト許可情報を送ると同時に、マルチキャスト許可制御リストを更新する。
【0040】
6. STBがマルチキャストグループへの参加を求める要求を開始する。
【0041】
7. STBがストリーミングメディアデータを正常に受信する。
【0042】
上記のプロセスでは、ステップ2、3および4が、以前の制御可能なマルチキャストとは異なる本発明の部分である。これら3つの新しいステップを加えることによって、上記プロセスは、IPTVローミングユーザ情報がリアルタイムでサブミットされ、決定され、ローミングユーザ許可の通知がリアルタイムで送信される機能を実現している。このようにして、ローミングユーザマルチキャスト許可制御の目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】現在のマルチキャストユーザ制御フローパスを示す図である。
【図2】本発明におけるマルチキャストユーザ制御を示すブロック図である。
【図3】本発明におけるマルチキャストユーザ制御を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPTVローミングユーザの制御可能なマルチキャスト管理方法であって、
1.前記ユーザによって開始されるDHCP要求がSTB端末によって受け取られ、ユーザ情報が、第1の関連情報の組として識別され、挿入されるステップ、
2.DSLAMが挿入された前記第1の関連情報の組を抽出し、次いで、前記第1の関連情報の組を、第2の関連情報の組と一緒にOSSに送るステップ、
3.前記OSSが、第3の関連情報の組が、システムの現在の情報とマッチするかどうか判定し、
マッチは、前記ユーザが、元のアカウント開始ノードにおいて正常にアクセスしていることを示し、
マッチしない場合、前記ユーザがローミングユーザであるかどうか判定され、
ローミングユーザでない場合、前記ユーザが拒絶され、
ローミングユーザである場合、前記ユーザの情報リストが更新されるステップ、および
4.マルチキャスト許可制御リストが更新されるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の関連情報の組がディスカバリテキストである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の関連情報の組が、ユーザの対応するADSL PORTとPVCを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の関連情報の組が広帯域アクセス情報を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記広帯域アクセス情報が、DSLAM IDENTIFY、ADSL,およびPVCIDを含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザがローミングユーザであるかどうか判定されるときに前記ユーザ情報リストが更新されるステップが、前記NMSに、前記ユーザの情報リストを更新するよう通知するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザの情報リストが更新されるステップが、前記NMS上の前記ユーザリストを更新するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マルチキャスト許可制御リストが更新されるステップが、DSLAM上のマルチキャスト許可制御リストを更新するステップを含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508365(P2009−508365A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515368(P2008−515368)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051833
【国際公開番号】WO2006/131898
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506117817)ユーティースターコム・テレコム・カンパニー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】