インターフェロン−タウを含む薬剤組成物
インターフェロン−タウ(IFNτ)を投与することにより被験者のサイトカインレベルを調節する方法が説明されている。より具体的には、IFNτを投与することにより自己免疫疾患、ウイルス感染、又は細胞増殖の疾患などの、血中インターロイキン10(IL−10)レベルの増加をもたらすことにより治療に応答する疾患を患っている患者のIL−10レベルをアップレギュレーションする方法が説明されている。また、IFNτを投与することによりインターロイキン−12(IL−12)及びインターフェロン−γ(IFNγ)の血中レベルを調節する方法も説明されている。様々な実施形態において、IFNτは、単独で、又は第2の治療薬と組み合わせて投与される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェロン−タウ(IFNτ)を含む薬剤組成物及びその使用の方法に関する。より具体的には、本発明は、IFNτを単独で又は1種若しくは複数の治療薬と併用して投与することにより哺乳類のインターロイキン10(IL−10)療法に応答性のある疾病又は疾患を治療する方法に関する。本発明は、さらに、IL−10の生産を刺激し、及び/又はインターロイキン12(IL−12)産生の減少を引き起こすことにより、IL−10及び/又はIL−2の血中レベル(level)を調節する方法にも関する。本発明は、さらに、インターフェロンガンマ(IFN−γ)の血中レベルの上昇を防ぐ方法にも関する。本発明は、さらに、インターフェロン−タウ及び1種又は複数の追加の薬剤を使用する併用療法にも関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン−タウ(これ以降「IFNτ」又は「インターフェロン−τ」)は、元々、反芻動物受胎産物の栄養外胚葉により生産される妊娠認識ホルモンとして発見された(Imakawa、K.ら、Natures、330:377−379、(1987)、Bazer、F.W.、及びJohnson、H.M.、Am.J.Repro.Immunol.、26:19−22、(1991))。IFNτ遺伝子の分布は、ウシ、ヒツジ、及びヤギを含む反芻動物に限られる(Alexenko、A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、19:1335−1341、(1999))が、ヒト及びマウスを含む他の種に属す細胞においても活性を有することが証明されている(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991)、Alexenko、A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、20:817−822、(2000))。例えば、IFNτは、抗ウイルス性(Pontzer、C.H.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、152:801−807、(1988))、抗増殖性(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991))、及び免疫調節作用(Assal−Meliani、A.、Am.J.Repro.Immunol.、33:267−275(1995))を有することを実証されている。
【0003】
IFNτは、インターフェロン−α及びインターフェロン−βなどのI型インターフェロンと古典的に関連する活性の多くを示すが、IFNτと他のI型インターフェロンとの間にはかなりの相違が存在する。最も顕著な違いは、反芻動物種の妊娠に対するIFNτの役割である。他のインターフェロンは、妊娠認識において類似活性をいっさい有しない。また、ウイルス誘導も異なる。IFNτを除くすべてのI型インターフェロンは、ウイルス及びdsRNAにより容易に誘導される(Robertsら、Endocrine Reviews、13:432(1992))。誘導されたIFN−α及びIFN−βは、一時的であり、約数時間続く。対照的に、IFNτ合成は、いったん誘導されると、数日間にわたって維持される(Godkinら、J Reprod.Fert.、65:141(1982))。1つ1つの細胞について、他のI型インターフェロンよりも300倍以上多いIFN−τが生産される(Cross、J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3817−3821(1991))。
【0004】
IFNτ及び他のI型インターフェロンのアミノ酸配列にもう1つ違いがある。インターフェロンα2b、β1、ω1、及びτの間のアミノ酸配列類似率を以下の表にまとめた。
【0005】
【表1】
【0006】
組換え型ヒツジIFNτは、IFNα2bに48.8パーセント相同性を有し、IFNβ1に33.8パーセント相同性を有する。IFNτとIFNαとの間、及びIFNτとIFNβとの間にこのような相同性があるため、対象に投与されたときにIFNτがIFNα又はIFNβと同じように挙動するかどうかを予測することはできない。IFNτは、また、ヒト細胞のI型受容体について低い受容体結合親和性を有すると報告されている(Brod、S.、J.Interferon and Cytokine Res.、18:841(1999)、Alexenko、A.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、17:769(1997))。さらに、IFNτが非内因性ヒトタンパク質であるという事実から、IFNτが人体に注射されたときに全身性中和抗体形成の潜在性が生じる(Brod、S.、J.Interferon and Cytokine Res.、18:841(1999))。IFNτと他のインターフェロンとの間にこのような違いがあるため、IFNτがヒトに投与されたときに治療的有用性をもたらすかどうかを予測することは困難である。
【0007】
IFNτだけでなく、一般にタンパク質及びポリペプチドを使用するうえでの1つの制限因子は、非経口で与えられたときに血漿タンパク質及び血液細胞とのタンパク質相互作用の影響を受ける生体内分布に関係する。経口投与経路は、酸性条件により意図された標的に到達する前に分子を破壊する可能性のある、胃におけるタンパク質分解のせいでなおいっそう問題がある。例えば、胃及び膵酵素の作用により生成される、ポリペプチド及びタンパク質断片は、腸刷子縁膜内のエクソペプチダーゼ及びエンドペプチダーゼにより切断され、ジペプチド及びトリペプチドを生み出す。膵酵素によるタンパク質分解が避けられた場合、ポリペプチドは、刷子縁ペプチダーゼによる分解を受ける。胃通過を生き延びた可能性のあるポリペプチド又はタンパク質は、貫通障壁が細胞内への進入を防ぐ腸粘膜内の代謝作用を受ける。このような理由から、研究は、一定時間口腔内に保持されるトローチ剤又は溶液の形態でタンパク質を経口咽頭部に送達することに主に集中した。
【0008】
サイトカインは、免疫細胞の生存、増殖、分化、及びエフェクター機能を制御する分泌調節タンパク質である。サイトカインは、増殖因子、コロニー刺激因子、インターロイキン、リンフォカイン、モノカイン、及びインターフェロンと様々に知られているこれら一群の調節因子を包含する。これらは、特定の標的細胞と相互作用し動物の状態に関する情報を伝達する細胞外培地内に見られる分子であり、標的組織内に適切な生物学的反応を生じさせる。
【0009】
サイトカインは、ヘルパーT(Th)細胞を含む様々な細胞により産生される。Th細胞は、Th1とTh2の2つの機能的部分集合に分けられ、これらは、分泌するサイトカインのパターンにより区別することができる。Th1細胞は、とりわけ、インターロイキン−2、インターフェロン−ガンマ、THFアルファ及びベータ、並びにリンホトキシンを分泌し、細胞性免疫反応を引き起こす役割を有する。この反応は、特定の細菌及びウイルスなどの細胞内病原体を適切に除去するために重要である。Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−10、及びIL−13を分泌し、B細胞による高レベルのIgG1、IgA、及びIgE生産を引き起こす、また好酸球などのエフェクター細胞を活性化する役割を有する。
【0010】
Th1又はTh2のいずれかの細胞となりうる、方向付けられていない前駆細胞を代表する活性化T細胞の比較的大きな母集団が存在することが多い。Th1又はTh2表現型への方向付けは、抗原刺激の直後に発生するように見え、特定の細胞表面マーカー及び細胞シグナリング成分の発現の変化により特徴付けられる。サイトカインは、Th1及びTh2分化に関与するように思われ、存在するサイトカイン環境はTh1又はTh2増殖に影響を及ぼす可能性がある。したがって、Th1又はTh2細胞集団を調節する方法、特にTh1細胞を減らしてTh1産生サイトカインを減少させ、Th2細胞を増やしてTh2産生サイトカインを増加する方法が求められる。
【0011】
分極又は偏向されたTh2応答を発生するこのような方法は、Th2細胞産生サイトカインが存在することで、疾病の発症及び重症度と相関することが実証されている。例えば、IL−10療法が効く、又は他の何らかの形で、IL−10と特定の疾病又は疾患との間のある連関を示すことが証明又は示唆されている疾病は、肝線維症(Nelson、D.R.ら、Hepatology 38(4):859−868(2003)、Louis、H.、Acta Gastr.Belg.66(1):7−14(2003))、肺線維症(Aral、T.ら、Am.J.Physiol.Lung.Cell.Mall Physiol.278:L914−L922(2000))、アルツハイマー病(De Luigi、A.ら、Mech.Age.Dev.(16):1985−1995(2001)、Remarzue、E.J.、及びBollen、E.L.、Exp.Gerontol.36(1):171−176(2001)、Town、T.ら、J.Neuroimmunol.132(1−2):49−59(2002))、卒中(Frenkel、D.ら、J.Immunol.171(12):6549−6555(2003))、抗リン脂質症候群(Krause、Iら、Eur.J.Immunol.32(12):3414−3424(2002))、アテローム性動脈硬化症(Ohashi R.ら、Med Sal Monit 10(11):RA255−60(2004)、Zimmerman MAら、J Surg Res 121(2):206−13(2004)、Fichtlscherer Sら、J Am Coll CardioI 44(1):44−9(2004)、Potteauz Sら、Arterioscler Thromb Vasc Biol 24(8):1474−8(2004))、臓器移植の拒絶反応(Zheng HXら、J Heart Lung Transplant 23:541−6(2004)、Fischer S.ら、J Thora Cardiovas Surg 126:1174−80(2003)、Sembeil Rら、Transpl Immunol 13(1):1−8(2004))、自閉症(Jyonouchi、H.ら、J.Neuroimmun.120:170−179(2001))、慢性閉塞性肺疾患(Takanashi、S.ら、Eur.Respir.J.14:309−314(1999))、I型真性糖尿病(Slavin AJら、Int Immunol 13(6):825−33(20010、Zhang ZLら、Acta Pharmacol Sin 24(8):751−6(2003))を含む様々な自己免疫疾患、関節リュウマチ(Tanaka Yら、Inflamm Res 45(6):253−8(1996)、Detanico Tら、Clin Exp Immunol 135(2):336−42(2004)、Driessler Fら、Clin Exp Immunol 135(1):64−73(2004))、乾癬(Asadullah Kら、Pharmacol Rev 55(2):241−69(2003)、Asadullah Kら、Curr Drug Targets Inflamm Allergy 3(2):185−92(2004))、多発性硬化症(Soosら、J Neuroimmunol 75:43−50(1997))を含む関節炎、ブドウ膜炎(Kezuka、T.ら、J.Immunol.173(2):1454−1462(2004)、Sun,B.ら、Exp.Eye Res.70:493−502(2000))、アレルギー(Zuany−Amorim、C.ら、J.Clin.Invest.95:2644−2651(1995)、Borish、L.ら、J.Allergy Clin.Immunol 97:1288−1296(1996))、炎症性大腸炎(Li MC及びHe SH、World J Gastroenterol 10(5):620−5(2004)、Braat Hら、Expert Opin Biol Ther 3(5):725−31(2003))、並びに視神経炎(Navikas、V.ら、Scand.J.Immunol.41(2):171−178(1995))である。
【0012】
また、インターロイキン−12(IL−12)のダウンレギュレーションは、多発性硬化症の患者の治療に役立つ可能性があると報告されている(Tuohy、V.ら、J.Neuroimmunol.、111(1−2):55(2000))。インターフェロン−ガンマと多発性硬化症との連関も、文献に報告されている(Moldovan、l.R.ら、J.Neuroimmunol.、141(1−2):55(2000))。
【0013】
これらの疾病又は疾患の多くは、様々な方法及び組成物で改善又は他の何らかの手段により治療することができるが、そのような方法及び組成物の多くは、いくつかの欠点を有し、そのような疾病又は疾患を治療するために安全で効果的な方法及び組成物が引き続き必要である。本発明は、この要求条件を満たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
インターロイキン10は、非常に広い範囲にわたる病態に関連していることが判明した。そこで、哺乳類のIL−10療法に対し応答性のある疾病又は疾患を治療する組成物及び方法が提供される。
【0015】
より一般的には、IL−10を含む、Th2細胞産生サイトカインの産生増大のために動物のTh2細胞の産生へ免疫システムを偏向させる方法である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、哺乳類のIL−10療法に応答性のある疾病又は疾患を治療する方法は、約5×108単位を超えるIFNτの1日用量を哺乳類に経口投与することを含む。
【0017】
他の態様では、対象の自己免疫状態を治療する方法は、症状を和らげ、疾患の進行を抑制し、及び/又は疾患を解消しやすくするような方法で、対象の血中サイトカインレベルを調節することを含む。
【0018】
他の態様では、対象の肝炎ウイルス感染以外、より具体的にはC型肝炎ウイルス感染以外のウイルス感染を治療する方法は、症状を和らげ、感染の進行を抑制し、及び/又は感染を解消しやすくするような方法で、対象の血清サイトカインレベルを調節することを含む。
【0019】
他の態様では、対象の細胞増殖に関連する疾患を治療する方法は、症状を和らげ、連続する細胞増殖を抑制し、及び/又は増殖の問題を解消しやすくするような方法で、対象の血清サイトカインレベルを調節することを含む。
【0020】
血中IL−10のアップレギュレーションに応答する疾病又は疾患の持続的な進行を患っている、又はその危険性のある患者に、その患者又はモデル患者母集団の基準治療前血清サイトカインレベルに対して、選択された血清サイトカインレベルを調節するのに十分なIFNτの用量を与える。
【0021】
他の態様では、血中インターロイキン−10(IL−10)レベルの増加、及び適宜、血中インターロイキン−12(IL−12)レベルの減少に応答性のある疾患を治療する薬剤の調製で使用する組成物であって、INFτの経口投与製剤からなる組成物が提供される。薬剤は、好ましくは、約5×108単位を超える1日用量であるのが好ましい。
【0022】
他の態様では、被験者の血中IL−10レベルのアップレギュレーションの方法は、5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合の対象における血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことを含む。IFNτの対象への経口投与は、所望の臨床的終点に達するまで対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数時間定期的に継続する。
【0023】
他の態様では、C型肝炎感染以外の、自己免疫状態又はウイルス感染を患っている対象のIL−10/IFN−γ比を高める方法は、(i)IFNτ投与が行われない場合にIFN−γレベルに関する対象の血中IFN−γレベルに実質的な変化がなく、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合に対象の血中IL−10レベルに比して、対象血中L−10レベルの初期の測定可能な増加、又は(ii)IFNτ投与が行われない場合にIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルの減少をもたらすことと、所望の臨床的終点に達するまで、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的にIFNτを対象に経口投与し続けることとを含む。
【0024】
他の態様では、(i)治療薬の投与又は(ii)疾病状態のせいでIFN−γ血中レベルが増加する危険のある対象のIFN−γの血中レベルの増加を防ぐ方法が提供される。この方法は、好ましくは約5×108単位を超える服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させることを含む。この方法は、自己免疫状態によりIFN−γレベルが増加した対象に使用された場合に、対象の症状の期間中にIFNτを経口投与することを伴う。この方法は、IFN−α又はIFN−βによる治療によりIFN−γレベルが増加した対象の治療の場合、対象の症状の期間中にIFNτを投与することを伴う。
【0025】
他の態様では、自己免疫疾患を患っている対象のIL−10/IL−12血中比を増加させる方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらすことと、所望の臨床的終点に達するまで、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることを含む。
【0026】
一実施形態では、IFNτは、ヒツジIFNτ又はウシIFNτである。例示的なヒツジIFNτ配列は、配列番号2又は配列番号3として識別される。
【0027】
他の実施形態では、IFNτは、対象の腸管に経口投与される。
【0028】
自己免疫状態を患っている被験者を治療する場合、一実施形態では、所望の臨床的終点は被験者の症状の緩和である。例示的な自己免疫状態は、多発性硬化症、I型真性糖尿病、関節リウマチ、紅斑性狼瘡、乾癬、重症筋無力症、グレーブス病、橋本慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患を含む。
【0029】
他の実施形態では、IFNτは、ウイルス感染がC型肝炎感染でないことを条件として、ウイルス感染を患っている被験者に経口投与される。IFNτは、ウイルス感染に関連する症状の軽減又は血中ウイルス価の低減などの、臨床的終点に到達するまで投与される。ウイルス感染は、DNAウイルス又はRNAウイルスに由来する場合がある。例示的なウイルス感染は、エプスタインバールウィルス感染、HIV感染、ヘルペスウイルス(EB、CML、単純ヘルペス)、乳頭腫、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、アデノウイルス、ライノウィルス、HTLV I、HTLV II、及びヒトロタウイルスを含む。
【0030】
他の実施形態では、IFNτは、細胞増殖を特徴とする病気の治療のため経口投与される。IFNτは、その病気に関連する症状の軽減又は血中ウイルス価の低減などの、臨床的終点に到達するまで投与される。例示的な細胞増殖疾患は、ヒト肺大細胞癌、ヒト結腸腺癌、ヒト悪性黒色腫、ヒト腎臓腺癌、ヒト前骨髄球性白血病、ヒトT細胞リンパ腫、ヒト皮膚T細胞リンパ腫、ヒト乳腺腺癌、及びステロイド感受性のある腫瘍を含む。
【0031】
他の実施形態では、IFNτの投与は、同時に、又は順次的に、第2の治療薬の投与と併用される。例示的な第2の治療薬は、抗ウイルス薬、抗癌剤、及び自己免疫疾患の治療に適している薬剤を含む。
【0032】
他の態様では、対象の多発性硬化症の進行を遅くする方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことと、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることを含む。
【0033】
さらに他の態様では、多発性硬化症を患っている対象の病気再発のリスクを低減する方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことと、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることとを含む。
【0034】
さらに他の態様では、乾癬を患っている患者を治療する方法は、1回分のIFNτを定期的に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合の被験者の血中IL−10レベルに比して、血清IL−10レベルを高めることを含む。治療は、臨床的に適当な評価スコアが減少するまで続けられる。この減少は、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは約70%、なおいっそう好ましくは少なくとも約80%である。例えば、Physician’s Static Global Assessmentスコアの少なくとも約70%の減少が得られるが、それとは別に、落屑スコア、プラークスコア、又は紅斑スコアの少なくとも約50%の減少が得られる。乾癬を患っている人の乾癬評価スコアを減少し、乾癬の再発と再発との間の時間を短縮する方法が考察される。
【0035】
さらに他の態様では、被験者の自己免疫疾患を治療する方法が提供される。この方法は、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分な量のIFNτを対象に投与することと、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルが高いままである選択された期間についてIFNτの投与を中止することと、IFNτの投与を再開することとを含む。
【0036】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、付属の図面を参照しつつ本発明の以下の詳細な説明を読むとより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ヒツジインターフェロン−τ(IFNτ)をコードする合成遺伝子のヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号2は、成熟したウシのインターフェロン−τ(IFNτ、oTP−1、GenBank Accession No.Y00287、PID g1358)のアミノ酸配列に対応する。
【0039】
配列番号3は、成熟したヒツジのIFNτのアミノ酸配列に対応し、配列の位置5及び6にあるアミノ酸残基は配列番号2の配列に対して修飾されている。
【0040】
配列番号4は、配列番号3のタンパク質を符号化する合成ヌクレオチド配列である。
【0041】
配列番号5は、ヒトミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質のアミノ酸配列に対応する(GenBank Accession No.BC035938)。
【0042】
配列番号6は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列に対応する(GenBank Accession No.NM 002385)。
【0043】
I.定義
インターフェロンτは、IFNτ又はインターフェロン−τと略記されるが、これは、特性(i)(a)抗黄体退行特性、(b)抗ウイルス特性、又は(c)抗細胞増殖特性及び(ii)α−インターフェロンとの約45から68%のアミノ酸相同性又は知られているIFNτ配列に対する約70%を超えるアミノ酸相同性の2つの群のそれぞれからの少なくとも1つの特性を有する一群のインターフェロンタンパク質の1つを指す(例えば、Ottら、J.Interferon Res.、11:357(1991)、Helmerら、J.Reprod.Fert.、79:83(1987)、Imakawaら、Mol.Endocrinol、3:127(1989)、Whaleyら、J.Biol.Chem.、269:10846(1994)、Bazerら、WO94/10313(1994))。アミノ酸相同性又は配列の「同一性」は、配列ギャップを最小にしつつ、重複及び同一性を最大にするように整列させたときにタンパク質のアミノ酸配列を比較することにより決定される。2つのアミノ酸又は2つの核酸配列の同一性の割合は、目視検査及び/又は数学的計算により決定することができるか、又はより好ましくは、利用可能な多数のコンピュータプログラムのうちの1つを使用して配列情報を比較することにより比較を実施する。IFNτ配列は、限定はしないが、乳牛(ウシ種、Helmer S.D.、J.Reprod.Fert.、79:83(1987)、Imakawa、K.、Mol.Endocrinol.、119:532(1988))、ヒツジ(ヒツジ種)、ジャコウウシ(ジャコウウシ種)、キリン(キリン種、GenBank Accession no.U55050)、ウマ(ウマ)、シマウマ(サバンナシマウマ、GenBank Accession no.NC005027)、カバ(ヒポパタマス種)、ゾウ(アフリカ象種)、ラマ(ラマ)、ヤギ(ヤギ種、GenBank Accession nos.AY357336、AY357335、AY347334、AY357333、AY357332、AY357331、AY357330、AY357329、AY357328、AY357327)、及びシカ(シカ種)を含む、様々な反芻動物種において識別されている。これらの種の多くに対するIFNτのヌクレオチド配列は、公開データベース及び/又は文献(例えば、Roberts、R.M.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、18:805(1998)、Leaman D.W.ら、J.Interferon Res.、12:1(1993)、Ryan、A.M.ら、Anim.Genet.、34:9(1996))で報告されている。IFNτは、上記の特徴の2つの群のそれぞれからの少なくとも1つの特徴を有する、上で引用されているものを例とする、反芻動物種からのIFNτタンパク質を包含することが意図している。
【0044】
ヒツジIFNτ(OvIFNτ)は、本明細書で配列番号2と識別されているようなアミノ酸配列を有するタンパク質、及び本明細書で配列番号3と識別されているIFNτタンパク質などの、タンパク質の活性に著しい影響を及ぼさない中性のアミノ酸置換などのアミノ酸置換及び変更を有するタンパク質を指す。ヒツジIFNτタンパク質は、配列番号2と識別されている配列に対しより一般的には約80%、より好ましくは90%の配列相同性を有するものである。配列相同性は、例えば、厳密なアミノ酸比較により、又は多数の市販されているプログラムのうちの1つを使用して決定される。
【0045】
疾患を治療することは、疾患の症状を軽減する、及び/又は疾患の重症度を低減するのに有効な治療物質を投与することを指す。
【0046】
経口は、口による投与、また胃内投与を含む胃又は腸への直接投与を伴う経路を指す。
【0047】
腸は、小腸(十二指腸、空腸、及び回腸)及び大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、及び直腸)からなる、胃の下部開口部から肛門に至るまでの消化管の部分を指す。
【0048】
「血中IL−10レベルの測定可能な増加」は、同一の条件の下で測定された前処理レベルを超える、IL−10の血中(血清及び/又は血液細胞)内の統計的に意味のある増加、典型的には少なくとも20%の増加、より好ましくは少なくとも25%の増加を指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のIL−10レベルを測定する方法について説明する。増加倍数は、時刻xでの値をスクリーニング又は基礎値で除算することにより決定される。増加率は、時刻xでの値とスクリーニング又は基礎値との差を求め、この差をスクリーニング又は基礎値で除算し、その商に100を掛けることにより決定される。
【0049】
「血中IL−12レベルの測定可能な減少」は、同一の条件の下で測定された前処理レベルを超える、インターロイキン−12の血中(血清及び/又は血液細胞)内の統計的に意味のある増加、典型的には少なくとも20%の増加、より好ましくは少なくとも25%の増加を指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のIL−12レベルを測定する方法について説明する。増加倍数は、時刻xでの値をスクリーニング又は基礎値で除算することにより決定される。増加率は、時刻xでの値とスクリーニング又は基礎値との差を求め、この差をスクリーニング又は基礎値で除算し、その商に100を掛けることにより決定される。
【0050】
「インターフェロン−ガンマ血中レベルを維持する」又は「インターフェロン血中レベルの実質的減少がない」は、インターフェロン−ガンマの血中(血清及び/又は血液細胞)レベルの統計的に意味のある変化がないことを指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のインターフェロン−ガンマレベルを測定する方法について説明する。
【0051】
「5×108単位を超える1日容量」は、約5×108単位を超える抗ウイルスタンパク質を供給するのに十分なIFNτの量を指し、IFNτの抗ウイルス活性は、以下の「方法」の節で説明されているような標準細胞変性効果阻害アッセイを使用して測定される。5×108単位を超える1日用量を供給するタンパク質の量(つまり、mg)は、タンパク質の特異抗ウイルス活性に応じて異なることは理解されるであろう。
【0052】
II.インターフェロン−τ組成及び治療方法
A.インターフェロン−τ
同定すべき第1のIFNτは、18−19kDaタンパク質として、ヒツジIFNτ(IFNτ)であった。受胎産物(胚及び周辺膜)ホモジネート中で、複数のイソ型が同定された(Martal、J.ら、J.Reprod.Fertil.56:63−73(1979))。その後、受胎産物培養基中に放出された低分子量タンパク質が、精製され、熱に対して不安定であり、且つプロテアーゼの影響を受けやすいことが示された(Godkin、J.D.ら、J.Reprod.Fertil.65:141−150(1982))。IFNτは、元々、ヒツジトロホブラストタンパク質−1(oTP−1)と呼ばれていたが、それは、ヒツジの母体認識の臨界期にヒツジ受胎産物の栄養外胚葉により最初に産生される一次分泌タンパク質であるからである。その後の実験において、IFNτは、ヒツジ及び乳牛などの反芻動物の妊娠に対する生理学的反応の確定に欠かせない妊娠認識ホルモンであると決定された(Bazer、F.W.、及びJohnson、H.M.、Am.J.Reprod.Immunol 26:19−22(1991))。
【0053】
N末端アミノ酸配列を表す合成オリゴヌクレオチドでヒツジ胚盤胞ライブラリーを探索することにより得られたIFNτ cDNA(Imakawa、K.ら、Nature、330:377−379、(1987))は、ヒト、マウス、ラット、及びブタからのIFN−αsと45〜55%の相同性を有し、IFN−Ωと現在呼ばれている、ウシIFN−αIIと70%の相同性を有する予測アミノ酸配列を持つ。異なるイソ型を表すことができる複数のcDNA配列が報告されている(Stewart、H.J.ら、Mol.Endocrinol.2:65(1989)、Klemann、S.W.ら、Nuc.Acids Res.18:6724(1990)、及びCharlier、M.ら、Mol.Cell Endocrinol.76:161−171(1991))。すべて、23アミノ酸リーダー配列及び172アミノ酸成熟タンパク質についてコードする585塩基読み取り枠を有する、約1kbである。加えてアミノ及びカルボキシル末端を持つ4ヘリックス束としてのIFNτの予測構造は、さらに、I型IFNとしての分類を支持する(Jarpe、M.A.ら、Protein Engineering 7:863−867(1994))。
【0054】
【表2】
【0055】
IFNτは、I型インターフェロン(上の表を参照)と古典的に関連する活性の一部を示すが、上述のようにそれと他のI型インターフェロンとの間にはかなりの相違が存在する。これらの相違は、生物活性、ウイルスによる誘発、誘発後の発現期間、他のI型インターフェロンとの相同性などを含む。他の相違は、IFNτ遺伝子の調節因子領域内に存在しうる。例えば、ウシIFNτに対する遺伝子とのヒトトロホブラスト細胞系JARのトランスフェクションの結果、抗ウイルス活性が得られたが、ウシIFN−Ω遺伝子とのトランスフェクションはそうでなかった。これは、IFNτ遺伝子発現に関与する一意的な相互作用因子を意味する。このことと、IFNτの近位プロモーター領域(126から転写開始部位までの)はIFN−α及びIFN−βのそれとの相同性が高いが、−126から−450までの領域は、相同性がなく、IFNτ発現のみを高める(Cross、J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:3817−3821(1991))。したがって、他のI型インターフェロンと比べて、異なる調節因子がIFNτ発現に関与しているように見える。
【0056】
ヒツジIFNτの172アミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,958,402号で記載されており、その相同性のあるウシIFNτ配列は、例えば、Helmerら、J.Reprod.Fert.、79:83−91(1987)及びImakawa、K.ら、Mol.Endocrinol.、3:127(1989)で説明されている。これらの引用文献からのヒツジIFNτ及びウシIFNτの配列は、したがって、参照により組み込まれる。ヒツジIFNτの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2又は配列番号3としてここでは示されている。
【0057】
1.IFNτの分離
Godkin、J.D.ら、J.Reprod.Fertil.65:141−150(1982)及びVallet、J.L.ら、Biol.Reprod.37:1307(1987)で説明されているように、IFNτは、妊娠しているヒツジから回収され、改変最小必須培地でin vitroで培養された受胎産物から分離することができる。IFNτは、イオン交換クロマトグラフィ及びゲルろ過により受胎産物培地から精製することができる。分離されたIFNτの相同性は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(Maniatis、T.ら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1982)、Ausubel、F.M.ら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley & Sons,Inc.、Media、PA(1988))により評価することができ、精製されたIFNτ試料のタンパク質濃度の判定は、ビシンコニン(BCA)アッセイ(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL、Smith、P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985))を使用して実施することができる。
【0058】
2.IFNτの組換え型生産
組換え型IFNτタンパク質は、細菌又は酵母細胞などの適当な発現系を使用して、選択されたIFNτポリヌクレオチド断片から生産することができる。IFNτヌクレオチド及びポリペプチド配列の分離は、本明細書に参照により組み込まれる、PCT公開WO/94/10313において説明されている。
【0059】
IFNτ発現ベクターを作るために、IFNτコード配列(例えば、配列番号1又は4)を発現ベクター、例えば、細菌発現ベクター内に入れ、標準的方法に従って発現させる。適当なベクターの実施例は、ラムダgt11(Promega、ウィスコンシン州マジソン)、pGEX(Smith、P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985))、pGEMEX(Promega)、及びpBS(Strategene、カリフォルニア州ラホーヤ)ベクターを含む。T7 RNAポリメラーゼプロモーター又はtacプロモーターなどの適当なプロモーターを含む他の細菌発現ベクターも使用することができる。修飾pIN III omp−A発現ベクターの中へのIFNτ合成ポリヌクレオチドのクローニングについて、以下の「方法」の節で説明する。
【0060】
本明細書で説明されている研究に関して、配列番号4内に存在するIFNτコード配列は、メタノール調節アルコール酸化酵素(AOX)プロモーター及びPho1シグナル配列を含む、酵母細胞の転換に適した、ベクターにクローニングされた。このベクターを使用して、ピキアパストリス(P.pastoris)宿主細胞を転換し、形質転換された細胞を使用して、メーカーの取扱説明書に従ってタンパク質を発現させた(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)。
【0061】
本発明の方法と併用するIFNτを発現させるのに適している他の酵母ベクターは、2ミクロンのプラスミドベクター(Ludwig、D.L.ら、Gene、132:33(1993))、酵母組み込みプラスミド(Shaw、K.J.ら、DNA 7:117(1988))、YEPベクター(Shen、L.P.ら、Sci.Sin.、29:856(1986))、酵母動原体プラスミド(YCps)、及び発現が調節可能な他のベクター(Hitzeman、R.A.ら、米国特許第4,775,622号、Rutter、W.J.ら、米国特許第4,769,238号、Oeda、K.ら、米国特許第4,766,068号)を含む。好ましくは、これらのベクターは、MFα1プロモーター(Bayne、M.L.ら、Gene 66:235−244(1988))、GADPHプロモーター(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、Wu、D.A.ら、DNA、10:201(1991))、又はガラクトース誘導GAL10プロモーター(Ludwig、D.L.ら、Gene、132:33(1993)、Feher、Z.ら、Curr.Genet.、16:461(1989)、Shen、L.P.ら、Sci.Sin.、29:856(1986))などの有効な酵母プロモーターを含む発現カセットを含む。酵母形質転換宿主は、典型的には、サッカロマイセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)であるが、但し、形質転換に適した他の酵母も使用可能である(例えば、シゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)など)。
【0062】
さらに、INFτポリペプチドを符号化するDNAを多数の市販のベクター内にクローニングし、適切な宿主系内にポリペプチドの発現を生成することができる。これらの系は、上述の細菌及び酵母発現系、さらに、バキュロウイルス発現(Reilly、P.R.ら「バキュロウイルス発現ベクター:実験マニュアル(BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL)」(1992)、Beamesら、Biotechniques、11:378(1991)、Clontech、カリフォルニア州パロアルト)、植物細胞発現、トランスジェニック植物発現、及び哺乳類細胞における発現(Clontech、カリフォルニア州パロアルト、Gibco−BRL、メリーランド州ゲイザースバーグ)を含む。組換え型ポリペプチドは、融合タンパク質又は天然タンパク質として発現することができる。培養基内への発現配列の分泌を促進するリーダー配列などの発現ベクター内に、設計により多数の特徴を組み込むことができる。組換え技術により生産されるポリペプチドは、典型的には、溶解細胞又は培養基から分離される。精製は、塩類分留、イオン交換クロマトグラフィ、及び親和性クロマトグラフィを含む当業で知られている方法により実施できる。IFNτポリペプチドに基づいて生成された抗体を使用する、免疫親和性クロマトグラフィを上述のように採用することができる。
【0063】
組換え型方法に加えて、IFNτタンパク質又はポリペプチドは、適切な抗体を使用するなど、親和性に基づく方法により選択された細胞から分離することができる。さらに、IFNτペプチド(例えば、配列番号2又は3)は、当業者に知られている方法を使用して化学合成することができる。
【0064】
B.IFNτの投与
本発明を裏付けるため実施された研究において、IL−10療法に応答する疾患を患っている患者にIFNτを投与した。特に、ある研究では、多発性硬化症と診断された患者は、IFNτで治療された。他の研究では、ウイルス感染を患っている患者は、IFNτで治療された。これらの研究において、それぞれの患者のサイトカインIL−10、IFN−γ、及びIL−12の血清レベルが監視された。次にこれらの研究について説明する。
【0065】
1.多発性硬化症を患っているヒトへのIFNτの投与
多発性硬化症を患っているヒトは、IFNτによる治療の臨床試験に登録された。実施例1で説明されているように、15人の患者は、無作為に3治療群に分けられ、これは表1にまとめた。
【0066】
【表3】
【0067】
治療前に、基準血清サイトカインレベルを判定するために、それぞれの被験者から血液試料を採取した。1日目の採血の後、それぞれの患者は、適切な服用量のIFNτを経口摂取することにより治療を開始した。治療は、28日間続け、研究の1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目にそれぞれの患者から血液試料を採取した。IFN−γ及びIL−10濃度について試料を分析した。
【0068】
I群、II群、III群の患者のIL−10レベルは、それぞれ、図1A〜1Cに示されている。図1Aは、I群の5人の患者の血清IL−10レベル(pm/mL)を示している。患者番号103、104、及び105の3人の患者は、4日目にIL−10レベルの増加を示したが、これらの患者の8日目の読み取りでは、IL−10レベルが減少した。患者番号103及び104の8日目及び15日目のIL−10レベルは、4日目のレベルからあまり大きくは変化していなかった。図1B及び1Cは、それぞれ、試験群II及びIIIの患者の結果を示している。IFNτの投与後、特にIII群の患者では、血清IL−10レベルのわずかな増加が示唆されている。
【0069】
図1Dは、I群、II群、及びIII群に対する平均IL−10血清レベルを示している。2日目と28日目の間の、IFNτ投薬期間の試験群のIL−10にわずかなアップグレーションがあったが、実施例1に述べられている統計的分析に基づいて、このわずかなアップレギュレーションは、統計的に有意でなかった。IFNτの投薬後一定期間経ってからI群及びII群で続いていたIL−10血中レベルのわずかな増加は、28日目に停止した。IFNτを最後に投薬してから34日経った57日目のIL−10血清レベルは、0日目と1日目に測定された基準レベルを超えたままであった。そこで、本発明では、IFNτの投与が行われない場合の被験者の血中IL−10レベルに比して、被験者の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらす十分な量のIFNτが投与される、被験者の自己免疫疾患を治療する方法を検討する。次いで、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルが高いままである選択された期間についてIFNτの投与が中止される。次いで、必要ならばIFNτの投与を再開できる。
【0070】
この研究では、IFN−γの血中レベルも監視された。IFN−γは、炎症性サイトカインであり、IFN−γのアップレギュレーションは、多発性硬化症及び関節炎などの、自己免疫疾患を患っている患者の不快症状の高まりと相関する。インターフェロン−ベータ(IFN−β)で多発性硬化症を治療するときに、IFN−β治療の最初の2カ月間に細胞のIFN−γ−分泌の頻度が増加し、IFN−γ血清レベルのこのような増加は、IFN−βによる治療時に患者が経験する顕著な「インフルエンザに似た」症状に寄与する可能性のあることが報告されている。そのため、IL−10レベルがIFN−γの同伴するアップレギュレーションなしで有利にアップレギュレーションされる自己免疫疾患を治療する方法が有益であろう。
【0071】
図2A〜2Dは、多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療されている、I群、II群、及びIII群の患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。図2Aは、0.2mgのIFNτで治療される、I群の患者の血清レベルを示している。101番、102番、104番、105番の患者はそれぞれ、治療過程においてIFN−γ血中レベルの減少を示した。血清レベルは、28日目の治療中止後に増加した。103番の患者のIFN−γ血清レベルは、増加せず、本質的に変化はなかった。
【0072】
図2Bは、II群に属し、0.6mgのIFNτで毎日治療されている、患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。図2Cは、III群に属し、1.8mgのIFNτで毎日治療されている、患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。上述のように、IFNτの初回分は、1日目の採血後に摂取され、最終回分は、28日目に摂取された。したがって、1日目のデータ点及び「スクリーン」は、個々の患者の基準レベルである。II群及びIII群のすべての患者は、IFN−γによる治療時に、IFN−γ血清レベルの減少を経験するか、又はIFN−γ血清レベルの意味のある変化を受けなかった。
【0073】
図2Dは、試験群I、II、及びIIIのそれぞれの患者に対する、IFN−γの平均血中レベル(pg/mL)をまとめたものである。IFN−γ血中レベルの減少傾向は、特に、IFNτの投与量が多い場合(III群)に明らかである。
【0074】
図3A〜3Eは、治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。図3Aは、治療群Iに属す101番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。血中IL−10レベル(菱形)は、治療期間中に統計的に見て増加しない。IFN−γ血中レベルは、経口投与されたIFNτによる治療時に減少する。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、15.8pg/mL及び14.5pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.1を与える。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、約2.2に増加したが、これは、IFN−γ血中レベルの減少によるものである。IL−10/IFN−γ比は、治療が終了してから約1カ月後の57日目に約1.1の基準比に戻った。そのため、IFNτによる治療期間中に、IL−10/IFN−γ比は、約100%増加した。
【0075】
図3Bは、治療群Iに属す105番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、6.6pg/mL及び49.2pg/mLの平均であり、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.13を与える。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、約0.2〜0.3に増加したが、これは、IFN−γ血中レベルの減少によるものである。IL−10/IFN−γ比は、治療が終了してから約1カ月後の57日目に約0.12の基準比に戻った。したがって、IFNτによる治療は、IL−10/IFN−γ比を調節する効果を有し、この比を50%超、より好ましくは80%超増加させた。
【0076】
図3Cは、治療群IIIに属す302番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、5.8pg/mL及び4.0pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.45を与えた。IFNτによる治療時に、平均IL−10血中レベル(4日目、8日目、15日目のIL−10レベルの平均)は7.7pg/mLであり、これは、基準IL−10レベル(スクリーン及び1日目のIL−10血中レベルの平均)と統計的に異なっていなかった。IFN−γレベルは、治療期間にわたって実質的に変化がなかった。この患者のIL−10/IFN−γ比は、本質的に変化しなかった。
【0077】
図3Dは、治療群IIIに属す303番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、4.4pg/mL及び3.6pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.2を与えた。IFNτによる治療時に、IFN−γ血中レベルの減少により、IL−10/IFN−γ比は8日目に約11にまで増加し、29日目に基準比に戻った。
【0078】
図3Eは、治療群IIIに属す305番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、4.3pg/mL及び34.8pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.1を与えた。IFNτによる治療中、IL−10血中レベルは本質的に一定であり、IFN−γ血中レベルはわずかに減少し、これにより、8日目にIL−10/IFN−γ比は約14%だけ増加し、0.14になった。
【0079】
そこで、一態様において、自己免疫疾患又はウイルス感染を患っている被験者のIL−10/IFN−γ比を増加させる方法である。この方法は、(i)IFNτ投与が行われない場合のIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルに実質的な変化がないか、又は(ii)IFNτ投与が行われない場合のIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルの減少があるときに、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することを含む。IL−10/IFN−γ比は、少なくとも約10%、好ましくは約25%、より好ましくは約40%、さらに好ましくは少なくとも約50%だけ増加する。一実施形態では、IFNτは、ヒツジ又はウシIFNτである。他の実施形態では、約5×108抗ウイルス単位(U)を超える服用量、より好ましくは0.5×109U以上の用量、さらに好ましくは1×109U以上の用量のIFNτが投与される。
【0080】
2.ウイルス感染を患っているヒトへの投与
他の研究では、C型肝炎ウイルスに感染した患者を募集した。患者は、経口IFNτ(配列番号3)による治療のため4つの試験群に分けられた。実施例2で説明されているように、試験群に属すそれぞれの被験者は、IFNτの1mg/mL溶液の制御された量を毎日3回自己投与した。試験群I、II、及びIIIに属す患者は、毎日の合計用量として、1mg IFNτ、3mg IFNτ、又は9mg IFNτをそれぞれ受けた(1mg IFNτは約1×108抗ウイルス単位である)。治療期間は84日間に及び、定められた間隔で患者は試験診療室に戻り、IL−10及びIFN−γのレベルの分析のため血液試料を供給した。監視は、169日間、IFNτによる治療が終わってから85日間続いた。
【0081】
図4A〜4Cは、試験群I、II、及びIIIのそれぞれにおける6人の患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。図4Aは、合計1日用量1mg(1×108U)について、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療される試験群Iの6人の患者のIL−10レベルを示している。すべての患者のデータは、IL−10レベル増加への統計的に有意ではないけれどもわずかな傾向を示している。
【0082】
図4Bは、84日目まで毎日3回0.33mgのIFNτ(3×108U/日)でそれぞれ毎日治療される試験群IIの6人の患者のデータを示している。すべての患者のデータは、治療期間(第1日〜第84日)にわたるIL−10レベル増加への統計的に有意ではないけれどもより明確な傾向を示している。IFNτ投薬を中止した後、85日目〜169日目までの継続的監視期間に、IL−10血中レベルはゆっくりと基準レベルに近づいた。
【0083】
図4Cは、1日目から84日目まで毎日3回3mgのIFNτ(9×108U/日)で毎日治療される試験群IIIの6人の患者のIL−10血清レベルを示している。すべての患者の血清IL−10レベルは、IFNτの投薬に応答して統計的に増加した。IFNτ投薬の終了後、IL−10血中レベルは、ほぼ3カ月間高いままであった。
【0084】
図4Dは、図4A〜4Cの試験群I、II、及びIIIに対するIL−10血清レベルの要約グラフを示している。図4Dは、血清IL−10レベルの増加率を試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(正方形、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す。用量の関数としての血清IL−10レベルの増加率は、図面から明白であり、最高用量9mg(毎日3回3mg、9×108U/日)で、治療の最初の15日以内に100%を超えるIL−10のアップレギュレーションを誘発する。毎日3mg投薬すると(試験群II、正方形)、IL−10の生産が生じ、試験15日目までに約150%の増加を引き起こした。84日の試験期間に150%の増加を維持するために毎日3mg投薬すれば十分であった。
【0085】
図4Dは、さらに、IFNτの投薬が停止したときに、85日目〜169日目までの期間に、基準、治療前レベルに関して継続的上昇を示している。試験群III(毎日9mg IFNτ)では、IL−10レベルは、169日目までに基準レベルに戻らなかった。したがって、自己免疫疾患、特に多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、及びアレルギーを治療する方法であって、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分な量のIFNτを対象に投与し、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して被験者の血中IL−10レベルが増加したままの選択された期間にIFNτの投与を中止し、必要ならば、症状が悪化したときなどにIFNτの投与を再開することによる方法が検討される。血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分なIFNτの量は、約5×108U/日を超え、より好ましくは0.5×109U/日以上、さらに好ましくは1×109U/日以上である。IFNτの投与が中止される期間は、疾病状態により変わる可能性があるが、その疾病状態を患っている患者のIL−10レベルがIFNτによる治療期間中とIFNτによる治療の終了後に監視される研究から容易に決定される。このような研究からの結果を、一般的に、他の患者に適用し、推奨投薬パターンを得ることができる。それとは別に、IFNτの投与が中止される期間は、治療を再開すべきか決定するための非治療期間において、定期的に、例えば、毎週又は週2回、IL−10血中レベルを実際に監視することにより、又は症状の患者認知の主観的指示により、個々の患者について追跡することができる。治療は、IL−10レベルがその特定の患者の、又はモデル患者分布の治療前レベルに近づくとき、又は治療されている特定の患者の症状が悪化したときに再開する。
【0086】
図5A〜5Cは、この研究の患者に対する、IFN−γ血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。図5Aは、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療されている、試験群Iに属す6人の患者のIFN−γレベルを示している。IFN−γレベルを基準レベルに維持し、わずかに減少するIFN−γレベルに向かう全体的傾向があるのは明らかである。
【0087】
図5Bは、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療されている、試験群IIに属す6人の患者のIFN−γレベルを示している。ほぼ3日目から15日目までの間の初期治療におけるIFN−γレベルの減少は明白である。その後、レベルは、基準レベルに戻り、試験期間の残りの期間においてほぼ投薬前レベルに維持された。
【0088】
図5Cは、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療されている、試験群IIIIに属す6人の患者のIFN−γ血清レベルを示している。一部の患者はIFN−γレベルの明確な減少を経験したが、治療群全体では、治療期間にわたってレベルの変化はほとんどないように見えた。投薬中止後のIFN−γレベルの増加は、85日目〜169日目までの間に見られる。これは、IFNτの投与によりレベル減少がある程度達成されたことを示唆している。
【0089】
図5Dは、平均血清IFN−γレベルを試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(円、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図5A〜5Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。IFNτの投与は、(1)レベルが本質的にスクリーンの投薬前レベルのままで、IFN−γレベルの有意な変化を引き起こさなかったか、又は(2)基準の投薬前レベルからのIFNτレベルの減少を引き起こしたことが明らかである。
【0090】
そのため、他の態様では、対象のIFN−γの血中レベルを下げる方法は、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させるのに有効な量のIFNτを対象に投与することを含む。この方法は、特に、高いIFN−γレベルを引き起こす薬剤を摂取している患者、又はIFN−γレベルを高める疾患を患っている患者にとって有用である。そこで、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させるのに有効な量のIFNτを対象に投与することにより、(i)治療薬の投与、又は(ii)疾病状態による、IFN−γ血中レベル上昇の危険性のある対象のIFN−γ血中レベルの増加を防ぐ方法も検討される。上述のように、IFN−βによる多発性硬化症の治療では、患者のIFN−γのレベルの増加が引き起こされる。IFNτの同時投与(同時又は順次投与)により、IFN−γレベルを治療前のレベルに維持しやすくなる。典型的には、対象のIFN−γ血中レベルのそのような減少をもたらすのに十分なIFNτの量は、約5×108U/日を超え、より好ましくは0.5×109U/日以上、さらに好ましくは1×109U/日以上である。
【0091】
図6A〜6Fは、図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。
【0092】
図6Aは、IFNτ 1mgの毎日用量について、毎日3回0.33mgのIFNτで治療される、試験群Iに属す101番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、5.2pg/mL及び3.9pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.3を与えた。IFNτによる治療中に、IL−10/IFN−γ比は、22日目に1.6に増加し、それ以降基準比に戻り、その後84日目に投薬を中止した。
【0093】
図6Bは、IFNτ 3mgの毎日用量について、毎日3回1.0mgのIFNτで治療される、試験群IIに属す205番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、3.8pg/mL及び5.2pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.73を与えた。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、1に近づき、15日目に1に到達した。したがって、IFNτによる治療の結果として、比を約25%に増やすことによりIL−10/IFN−γ比の調節を行った。
【0094】
図6Cは、IFNτ 9mg(9×108U)の毎日用量について、毎日3回3.0mgのIFNτで治療される、試験群IIIに属す301番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、4.4pg/mL及び3.9pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比約1.0を与えた。IFNτにより治療時に、IL−10レベルは実質的増加である4〜5倍に増加したが、IFN−γレベルは、4〜5pg/mLの初期レベル程度に維持された。そのため、IL−10/IFN−γは、IFNτの投薬後、約1.0から約4.0に増加し、4倍の増加となった。
【0095】
図6D〜6Fは、IFNτ 9mgの毎日用量について、毎日3回3.0mgのIFNτで治療される、試験群IIIに属す、303番、304番、及び305番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10/IFN−γ比の分析は、図6Cで説明されているように、301番の患者のものと類似している。特に、図6Dは、303番の患者のデータを示している。この患者では、IL−10血中濃度は、試験43日目までに基準レベルから約4倍増加し、試験71日目までに6倍以上に増加した。IFN−γ血中レベルは、実質的に一定のままであった。そのため、IL−10/IFN−γ血液比は、約0.6の基準値から約3を超えて増加し、5倍の増加(500%増加)となった。
【0096】
図6Eは、III群の304番の患者のデータを示している。患者のIL−10血中レベルは、IFNτによる治療時に4〜5倍増加したが、IFN−γレベルは本質的に変化しなかった。そのため、IL−10/IFN−γ比は、71日目に初期値0.6から2.6に増加し、400%を超える増加となった。
【0097】
図6Fは、III群の305番の患者のデータを示している。治療期間中のIL−10血中レベルの増加は明白であり、43日目までに0.7pg/mLから9pg/mL超まで増大した。IFN−γレベルは、本質的に変化がなく、その結果、IL−10/IFN−γ比は10倍増加した。
【0098】
要約すると、III群に属す患者について提示されているデータは、IFNτの投与はIL−10/IFN−γ比を増加させる効果があったことを示している。特に、IL−10血中レベルは、IFNτの経口投与により測定可能な形で増加したが、これは、IL−10血中濃度の統計的増加により明らかである。IL−10血中レベルは、25%を超えて増加し、この患者母集団では、IL−10血中濃度の増加は、かなり大きかった。
【0099】
他の研究では、ウイルス感染を患っている5人の患者が、IFNτによる治療のため募集された。実施例3に示されている、この研究では、患者は、毎日用量15mgのIFNτ(1.5×109抗ウイルス単位)として、毎日2回7.5mgのIFNτで治療された。第1の投薬は、午前中の朝食前に摂取され、第2の投薬は、夕食後少なくとも3時間してから摂取された。113日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料が採取され、試験の84日目にIFNτの投薬が終了した。それらの試料は、市販の方法を使用して血清中のIL−10、IL−12、及びIFN−γレベルについて分析された。
【0100】
図7A〜7Bは、単位をpg/mLとして、5人の患者のIL−10血清レベル(図7A)及びIFN−γ血清レベル(図7B)を日数の関数で示すグラフである。図7Aに示されているように、これらの患者のうち3人(三角形、菱形、及びxで表されている患者)は、1日目から84日目までの間、IFNτ投薬の期間にわたって、IL−10レベルの増加を示した。図7Bは、1日目から84日目までの間の投薬期間に、5人の患者全員のIFN−γ血中レベルが減少したことを示している。投薬が終わると、IFN−γレベルは、85日目から113日目までの期間に見られるように、増大している。
【0101】
この研究の患者から採血した血液試料は、さらに、IL−12レベルについても分析した。IL−12は、炎症性サイトカインであり、多発性硬化症の発症の一因である。文献では、(1)IL−12の生産増加が、多発性硬化症の発症の鍵となるメカニズムであり(Filsonら、Clin.Immunol.、106(2):127(2003))、(2)MS患者は、典型的に、IL−10レベルの減少及びIL−12レベルの増加を示し、これらのサイトカインのレベルは、疾病段階と相関している(van Boxel−Dezaireら、Ann.Neurot 45:695(1999))ことが報告されている。ウイルス感染に関して、IL−12レベルが高いと、百日咳菌(B.pertussis)の細菌定着を悪化させることも示されている(Carterら、Clin.Exp.Immunol.、135(2):233(2004))。したがって、この研究に登録されている患者のIL−12レベルを監視することが望ましかった。
【0102】
図8A〜8Dは、この研究(実施例3)の6人の患者に対する、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)の血清レベル(pg/mL)を示す。実際のIL−12濃度は、図8A〜8Dに示されている値の10倍である(実際の値は、1つのグラフ内にすべてのデータを示せるように10で除算した)。
【0103】
図8Aは、401番の患者のデータを示している。図からわかるように、IL−10レベルは、IFNτが投与された治療期間に増加し、IFN−γは変化なしか、又はわずかに減少し、IL−12は最初は変動し、その後、約29日目以降にダウンレギュレーションされた。0.08のIL−10/IL−12比について、初期IL−10レベルは、53.1pg/mLであり、初期基準IL−12は、696pg/mLであった。治療期間には、この比は、約0.12〜0.18の間で増加し、570〜1200%の増加となった。この患者のIL−10レベルは、53.1pg/mLの基準値から140pg/mLを超えるまで増加し、160%(2.6倍)を超える増加となった。
【0104】
図8Bは、402番の患者のデータを示し、図8Cは、403番の患者のデータを示している。402番の患者の初期基準IL−10血中レベルは42.7pg/mLであった(スクリーン及び1日目の平均血中濃度)。IL−10血中レベルは、濃度が67pg/mLに到達した43日目にピークに達し、56%の増加となった。IFN−γ血中濃度は、基準レベルを中心として変動した。治療前のIL−12血中レベルは、0.046の初期IL−10/IL−12比に対して、934pg/mLであった。43日目に、IL−10/IL−12比は、0.088となり、基準比から90%の増加であった。
【0105】
図8Cでは、患者の初期IL−10/IL−12比は0.10であった(IL−10=118.5pg/mL、IL−12=1227 pg/mL)。この比は、治療期間中に増加し、比の値は43日目に0.22となり、IL−10/IL−12比は2.2倍であった。患者のIL−10血中レベルは、43日目に、基準レベルよりも63%高い値でピークに達した。
【0106】
図8Dは、404番の患者のデータを示している。0.045の初期IL−10/IL−12比について、この患者の初期IL−10レベルは、69.6pg/mLであり、初期IL−12は、1552pg/mLであった。1.5×109U/日の用量のIFNτによる治療時に、IL−10血中レベルは、43日目に113pg/mLに上昇し、約60%の増加となった。43日目のIL−12は、900pg/mLに減少し、43日目のIL−10/IL−12比は0.12となった。
【0107】
この研究の405番の患者の初期IL−10血中濃度は、34.9pg/mLであり、初期IL−12血中濃度は、976pg/mLであった(IL−10/IL−12比0.036)(データは図に示されていない)。1.5×109U/日の用量のIFNτの投与は、治療期間の71日目にIL−10/IL−12比を0.058に高める効果があり、これは60%の増加であった。IL−10血中濃度は、初期治療前レベルから71日目のレベルまで20%増加した。
【0108】
したがって、自己免疫疾患を患っている対象のIL−10/IL−12血液比を高める方法は、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することを含む。さらに、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することにより、対象の自己免疫疾患の進行を抑制する方法も検討される。特に、約5×108Uを超えるIFNτで治療された患者のIL−10血中レベルは25%を超えて増加し、多くの場合、50%であった。同じ患者について、IFN−γ血中濃度は、本質的に変化ないか、又は減少し、IL−12レベルは、一般に、減少した。
【0109】
要約すると、本発明は、治療を要する患者にIFNτを経口投与することを考えたものであり、その際に、IFNτの初期用量は、その特定の患者に対する血中IL−10レベルの増加、及び/又はIFN−γレベルの減少又は無変化、及び/又はIL−12レベルの減少が得られるように選択される。IFNτは、口腔ではなく、患者の腸管を標的とする形態で投与されるのが好ましい。用量の選択は、例えば、血中IL−10レベルを、例えば、治療前及び治療開始後に監視することにより、行うこと、又は確認することができる。それとは別に、有効用量は、異なる疾病状態の下で与えられた用量に対するモデル患者応答からあらかじめ決定することができる。例えば、与えられ年齢範囲内の、指定された疾患、例えば、ウイルス感染又は自己免疫疾患を有する患者を、異なる初期IFNτレベルに応答する血中IL−10の変化について監視して、その年齢/疾病プロファイルを持つ患者に適した用量をあらかじめ決定しておくことができ、そのような投薬指針を治療医師に提供することができる。本発明の一態様は、腸管へのタンパク質を標的とするのに適した経口送達形態、例えばIFN−タウの腸溶コーティング形態でIFNτを含み、異なる患者疾患の下で有効用量、つまりIL−10血中レベルの測定可能な増加をもたらすのに有効な用量の指針となる生成物文献又は挿入物を含むIFNτ治療キットを含む。好ましくは、挿入物は、用量の範囲及びIL−10応答の予測される初期変化を与える。
【0110】
初回投与後、又は血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらす用量(有効用量)に到達したときに、有効用量IFNτの投与を、長い治療期間にわたって、好ましくは毎日又は毎週複数回ベースで継続する。長い間投与される有効用量は、有効用量が初回有効用量と同じ又は異なるかどうかに関係なく、長い治療期間にわたって実際の血中IL−10レベルの挙動と独立して、血中IL−10の初回の測定可能な増加をもたらす効果のあるものである。したがって、治療期間中、血中IL−10レベルは、患者が血中IL−10レベルの初回の測定可能な増加をもたらす効果のあるIFNτ用量を受け続けるとしても、高水準で一定のままであり、増大し続けるか、又はさらには減少し続けることができる(例えば、感染ウイルスのレベルの減少に応じて)。この有効用量は、典型的には、約5×108単位/日を超え、最大約1012単位/日までの範囲であり、より具体的には、用量は、約5×108単位/日よりも多く、より好ましくは約5×109単位/日以上、さらに好ましくは約1×109単位/日以上である。用量は、血中IL−10の所望の初期増加、1.5から4倍の通常の未治療レベルの範囲となるように調整することができる。
【0111】
一部の患者及び一部の疾患について、IFNτを他の治療剤と併用して投与することが検討されることが理解されるであろうし、また以下で詳細に説明する。例えば、IFNτと抗ウイルス薬との組合せは、一部の患者に有益と思われる。同様に、IFNτと自己免疫疾患の治療に使用される薬剤との組合せは、その疾患を治療するのに有益である。細胞増殖を患っている患者では、IFNτと化学療法薬との組合せも考えられる。より一般的に、IFNτと知られている薬剤との組合せが考えられ、例示的な併用療法計画が以下に示されている。IFNτと第2の薬剤との「組合せ」は、2つの薬剤の順次又は同時投与を意図し、順次投与は、即時又は非即時とすることができる。
【0112】
III.使用法
上述のデータにより例示されているように、IFNτの投与は、被験者においてIL−10のアップレギュレーションに応答する疾病又は疾患を治療する方法となる。「IL−10療法に応答性のある」疾病又は疾患は、疾病又は疾患の存在、進行、又は症状がIL−10、又は結果として血中IL−10レベルの増大を引き起こす薬剤の投与後、変化するものである。上のデータは、さらに、IFNτの投与はインターフェロン療法に応答性のある疾病又は疾患を有する被験者を治療する際に有用であることを例示している。「インターフェロン療法に応答性のある」疾患は、疾患の存在、進行、又は症状がインターフェロン、特にI型インターフェロン、及びより具体的にはIFNτの投与後に変化するものである。IFNα又はIFNβによる治療に応答性のある疾患は、さらに、IFNτによる治療にも応答しうる。本明細書で説明されている方法は、例えば、類似の状況に置かれている患者又は治療される特定の個人患者に関する研究から決定された血中IL−10レベルの増加により明らかなように、療法に有効な量だけ、好ましくは胃及び/又は腸へ投与するための経口投与可能な投薬形態のIFNτを与えることを含む。血中IL−10レベルを増加させるのに十分なIFNτの用量は、さらに、IFN−γレベルが減少するか、又はまったく変化がない状態で、IL−12血中レベルの減少を引き起こす効果をもたらしうる。
【0113】
治療される疾病又は疾患は、典型的には、IL−10療法などのサイトカイン療法に対し応答性のあるものである。様々な疾病又は疾患が、IL−10療法に応答する可能性があり、したがって、単独でも、他の治療薬との併用でも、IFNτによる治療の影響を受けやすい。例えば、本発明の方法は、アルツハイマー病及び自閉症を含む神経疾患、肺線維症及び肝線維症を含む線維症、I型尿崩症などの、抗リン脂質症候群、関節炎、アレルギー、糖尿病を含む自己免疫疾患、クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む炎症性腸疾患、乾癬、多発性硬化症、ブドウ膜炎、慢性気管支炎及び肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患、脳卒中を含む、細胞、組織、又は臓器への血流及び/又は酸素の減少による細胞、組織、又は臓器障害若しくは死を特徴とする疾病又は疾患、アテローム性動脈硬化症、及び臓器移植の拒絶反応を治療するために使用することができて都合がよい。
【0114】
A.免疫系障害の治療
本発明の方法は、免疫系過敏性に関係する疾患を治療するのに有利である。免疫系過敏性は4種類ある(Clayman、C.B.、Ed.、AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION ENCYCLOPEDIA OF MEDICINE、Random House、ニューヨーク州ニューヨーク(1991))。I型、つまり即時型/アナフィラキシー性過敏性は、アレルゲン(例えば、花粉)に応答するマスト細胞脱顆粒により発生し、これは、喘息、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、じんま疹(じんましん)、アナフィラキシーショック、及びアレルギー性の他の病気を含む。II型、つまり自己免疫過敏性は、身体の自細胞上の認知された抗原に立ち向かう抗体によるものである。III型過敏性は、様々な組織にとどまり、他の免疫応答を活性化する抗原/抗体免疫複合体の形成によるものであり、血清病、アレルギー性肺胞炎、及びときにブースターワクチン接種後に形成される大きな腫れなどの疾患に関与する。IV型過敏性は、感作T細胞からのリンフォカインの放出によるものであり、その結果炎症反応が生じる。実施例は、接触性皮膚炎、はしかの頻発、及びある種の薬物に対する「アレルギー」反応を含む。
【0115】
特定の状態がある一部の個人に過敏性を引き起こす可能性のあるメカニズムは、一般的にはよく理解されていないが、遺伝因子と外因子の両方を伴うことがある。例えば、細菌、ウイルス、又は薬物は、自己免疫疾患に対し遺伝子的疾病素質をすでに持っている個人の自己免疫反応の引き金となる役割を果たしうる。ある種の過敏性の出現は、他の種類の過敏性と相関する可能性があることが示唆されている。例えば、あるいくつかのありふれたアレルギーが自己免疫疾患の影響を受けやすいという考えが提案されている。
【0116】
自己免疫疾患は、特定の器官又は組織に主に制限されている疾患及び全身に影響を及ぼす疾患に大きく分けることができる。器官特的疾患(器官が影響を受ける)は、多発性硬化症(神経突起上のミエリンコーティング)、I型糖尿病(膵臓)、橋本慢性甲状腺炎(甲状腺)、悪性貧血(胃)、アジソン病(副腎)、重症筋無力症(神経筋接合部のアセチルコリン受容体)、関節リウマチ(継ぎ目)、ブドウ膜炎(目)、乾癬(皮膚)、ギランバレー症候群(神経細胞)、及びグレーブス病(甲状腺)を含む。全身性自己免疫疾患は、全身性紅斑性狼瘡及び皮膚筋炎を含む。他の自己免疫疾患は、白血球が水分分泌腺を攻撃するシェーグレン症候群である。シェーグレン症候群の顕著な特徴症状は、ドライアイと口内乾燥であるが、全身性疾患であり、多くの器官に影響を与える。
【0117】
過敏性疾患の他の例は、喘息、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、他の湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、鼻炎、扁平苔癬、ペンプルグス(Pemplugus)、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、ユリトカリス(uritcaris)、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増多症、円形脱毛症、アテローム性動脈硬化症、原発性胆汁性肝硬変症、及びネフローゼ症候群を含む。関連する疾病は、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、炎症性腸疾患、クローン病、及び潰瘍性結腸炎、さらに、食品関連のアレルギーなどの腸の炎症を含む。強直性脊椎炎は、自己免疫炎症疾患のもう1つの例であり、脊椎の関節及び骨の一部又は全部が癒着する。
【0118】
本発明の方法を使用する治療に特に適合する、自己免疫疾患は、多発性硬化症、I型(インスリン依存性)真性糖尿病、紅斑性狼瘡、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、リウマチ関節炎、口内炎、喘息、ブドウ膜炎、アレルギー、乾癬、強直性脊椎炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、及び炎症性腸疾患を含む。
【0119】
本発明の方法は、上述のような自己免疫疾患を薬物療法により治療し、それにより緩和するために使用される。自己免疫疾患の治療は、EAE、多発性硬化症の動物モデルの治療に関して本明細書では例示されている。自己免疫疾患を治療するために使用される場合、IFNτ投与の初期段階にIL−10の測定可能な増加をもたらすのに十分な用量のIFNτが投与される。所望の有効用量が達成されると、患者は、IL−10血中レベルがさらに変化しても関係なく、有効IFNτ投薬で長期間にわたり治療される。治療期間は、少なくとも患者が症状を示す期間に延長される。自己免疫疾患に関連する症状が止んだ後、用量を下方調整するか、又は治療を止めることができる。患者は、知られている抗炎症性又は免疫抑制性薬剤などの多の薬剤とのIFNτ治療の治療期間に同時治療されることができる。
【0120】
一実施形態では、IFNτを投与することにより乾癬を患っている患者を治療する方法が提示される。乾癬は、大きく分けて、尋常性乾癬(プラーク乾癬)と膿疱性乾癬(膿疱性乾癬)の2種類がある。異なる種類の乾癬は、重症度、持続期間、身体上の位置、及び病巣の外観に応じて亜群に分けることができる。プラーク乾癬を患っている人にIFNτを投与することについては、実施例4で説明されており、その結果、IL−10血清レベルが増加し、肥厚した皮膚のパッチの重症度が低減される。皮膚損傷の重症度は、文献に記載されている様々なスコア検定、例えば、Physician’s Static Global Assessmentスコア、落屑スコア、プラークスコア、又は紅斑スコアを使用して評価することができる。IFNτによる治療は、臨床的に適当な評価スコアが減少するまで続けられる。この減少は、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは約70%、なおいっそう好ましくは少なくとも約80%である。例えば、治療前のスコアに関して、Physician’s Static Global Assessmentスコアの少なくとも約70%の減少が達成されると、患者は、IFNτによる治療を中止するか、又は異なる、典型的にはそれよりも低い用量のIFNτによる治療を続ける。例えば、所望の評価スコア減少が達成されるまで、約5×108単位/日を超える用量を与えることができ、その後、2〜3×108単位/日以下などの少ない5×108単位/日の維持量を与える。こうして、本発明は、乾癬を患っている人の乾癬評価スコアを低減する方法を提供する。
【0121】
治療方法は、さらに、乾癬の発病から次の発病までの時間を延ばすためにも使用できる。乾癬は、様々な重症度の発病で再発する傾向があり、情動ストレス、皮膚損傷、及び身体的疾患などの多くの要因がきっかけで発病する。IFNτの経口投与による乾癬発病の治療は、皮膚損傷の数と重症度を改善し、また、その後の発病の再発までの期間を延ばす。特に、発生から発生までの間のIFNτの維持量で治療され、維持期間中にIL−10血中レベルが上昇した患者の場合である。
【0122】
さらに、被験者のIL−10レベルを上昇させる用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患の進行を防ぐ方法も考えられる。さらに、好ましくはIFN−γレベルの変化がないか、又は少ないまま、IL−10血清レベルを増加する効果のある用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患の発現を抑制する方法も考えられる。さらに、IL−10/IL−12血清比を高める効果のある用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患を治療する方法も考えられる。上述のように、IFNτの投薬は、経口形態で与えるのが好ましく、典型的には、約5×108単位/日よりも多い。
【0123】
B.ウイルス感染の治療
本発明の方法は、さらに、ウイルス感染に関連する疾患を治療するためにも使用される。IFNτの抗ウイルス活性は、IFNαsに通常関連している毒作用を持たず、広範な治療用途がありIFNτは、細胞に悪影響を及ぼすことなく治療活性を発揮する。IFNτの細胞毒性が相対的に欠如していることにより、生体内治療薬としてきわめて高い価値を有し、IFNτは、大半の他の知られている抗ウイルス薬及び他の知られているインターフェロンから際だったものとなっている。
【0124】
ウイルス複製を阻害するために、IFNτを含む製剤を経口投与することができる。ウイルス感染の治療で使用するために、患者の血中IL−10の測定可能な増加を十分達成できる用量のタンパク質が投与される。これ以降、血中IL−10レベルのさらなる変化、例えば、ウイルス量の減少によるIL−10血中レベルの低下とは無関係に、有効用量で治療が続けられる。IFNτの投与は、例えば血液ウイルス価又はウイルス感染に関連する症状の臨床的観察から測定されるように、ウイルス感染のレベルが減少するまで続けられる。
【0125】
ウイルス感染は、RNAウイルス又はDNAウイルスによるものとしてよい。経口投与されたIFNτにより治療することができる特異的ウイルス性疾患の例は、限定はしないが、A型肝炎、B型肝炎、非A、非B、非C型肝炎、エプスタインバールウィルス感染、HIV感染、ヘルペスウイルス(EB、CML、単純ヘルペス)、乳頭腫、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、アデノウイルス、ライノウィルス、HTLV I、HTLV II、及びヒトロタウイルスを含む。患者は、第2の抗ウイルス剤でIFNτ治療期間に同時治療することができ、例示的な薬剤を以下に示す。
【0126】
C.細胞増殖の疾患の治療方法
他の実施形態では、過剰増殖を特徴とする疾患の治療が行われる。IFNτは、強力な抗細胞増殖活性(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991))を示し、したがって、経口投与した場合に無制御の細胞増殖を抑制、予防、又は遅延する作用をする。
【0127】
経口投与されたIFNτにより治療することができるヒトの細胞増殖疾患の例は、限定はしないが、肺大細胞癌、結腸腺癌、皮膚癌(基底細胞癌及び悪性黒色腫)、腎臓腺癌、前骨髄球性白血病、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、乳腺腺癌、ステロイド感受性のある腫瘍、ヘアリー細胞白血病、カポジ肉腫、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、表在性膀胱癌、卵巣癌、及び神経膠腫を含む。
【0128】
細胞増殖疾患の治療で使用するために、患者の血中IL−10の初期の測定可能な増加を十分達成できる用量のIFNτが投与される。これ以降、血中IL−10レベルのさらなる変化、例えば、人体の癌細胞の減少によるIL−10血中レベルの低下とは無関係に、有効用量で治療が続けられる。有効用量のIFNτの投与は、例えば特定の組織内の癌細胞の腫瘍サイズ又は範囲による測定に従って、所望のレベルの回帰が観察されるまで続けられる。
【0129】
患者は、第2の抗癌剤、例えば、シスプラチン、ドキソルビシン、又はタクソール、及び以下に示す他の薬剤で、IFNτ治療期間に同時治療することができる。
【0130】
D.治療計画の組合せ
IFNτと1つ又は複数の他の薬剤との組合せも考察される。(i)第2の治療薬、(ii)経口投与後IFNτを安定化するか、又は活性の喪失からIFNτを保護する効果のある薬剤、及び(iii)第2の治療薬及び安定化剤と併用するIFNτの経口投与を含む、様々な併用治療計画が考察される。これらの様々な治療方法について以下で説明する。
【0131】
一実施形態では、IFNτの経口投与は、第2の治療薬の投与と併用される。この実施形態では、IFNτは、約5×108Uを超える1日用量で投与され、第2の薬剤は、通常薬剤の推奨投薬スケジュールに従って担当医により処方されたとおりに投与される。特定の疾病又は疾患に基づいて選択された、第2の薬剤は、IFNτの経口投与の前に、又はそれと同時に、又はその後に、適当な投与経路により投与することができる。
【0132】
自己免疫疾患の治療は、好ましい治療方法であり、例示的な併用計画は、自己免疫応答が指向される抗原の投与と併用するIFNτの経口投与を含む。実施例は、多発性硬化症を治療するミエリン塩基性タンパク質とIFNτ、関節リウマチを治療するコラーゲンとIFNτ、及び重症筋無力症を治療するアセチルコリン受容体ポリペプチドとIFNτの同時投与を含む。
【0133】
さらに、IFNτは、ステロイドなどの知られている免疫抑制剤とともに経口投与し、多発性硬化症などの自己免疫疾患を治療することができる。免疫抑制剤は、IFNτと相乗的に作用することができ、その結果、IFNτの等価用量又は免疫抑制剤単独により、さらに有効な治療効果が得られる。より一般的に、自己免疫疾患の治療のため薬物、つまり、治療薬と併用してIFNτを投与することが考えられ、その場合、代表的薬物は、限定はしないが、アザチオプリン、シクロホスファミド、コルチコステロイド(プレドニゾン、プレドニゾロン、その他)、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、抗胸腺細胞グロブリン、ムロモナブ−CD3モノクローナル抗体、メルカプトプリン、ミトキサントロン、酢酸グラチラマー(Copaxone)、インターフェロン−ベータ(Avonex(TM)、Betaseron(TM)、Ribif(TM))、ダクリズマブ、メトトレキサート、シロリムス、タクロリムスなどを含む。
【0134】
一実施形態では、IFNτ及び選択的接着分子阻害剤、特に、インテグリン拮抗薬が、例えば、クローン病又は多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療のため併用投与される。インテグリンは、細胞−細胞及び細胞−細胞外マトリックス相互作用を媒介する細胞表面接着分子の一群である。これらは、ヘテロ二量体として関連し機能分子を形成する膜貫通α及びβサブユニットからなる。今のところ、18個のαサブユニット及び8個のβサブユニットが特定されており、24個を超える異なるインテグリン受容体を形成する(Sandborn、W.J.ら、Am.J Gastroenterol.、98(11):2372(2003))。アルファ−4インテグリン(α4インテグリン)は、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基性球、並びに低レベルでは、好中球上に発現する。α4インテグリンは、2つのβサブユニット、β1及びβ7のいずれかと対にすることができる。α4β1インテグリンは、最晩期抗原4(VLA−4)と呼ばれ、血液脳関門内皮細胞上に存在する血管細胞接着分子−1(VCAM−1)又はフィブロネクチンを含む結合セグメント−1(CS−1)のいずれかに結合する。α4β1インテグリンは、細胞接着及び経内皮移動の重要な媒介であるとともに、炎症組織内の免疫細胞活性の調節因子でもある。α4β7は、粘膜固有層関連分子−1(LPAM−1)とも呼ばれ、腸管関連リンパ組織上に発現する粘膜血管アドレシン細胞接着分子−1に結合する。
【0135】
ナタリズマブ(Antegren(登録商標)、Elan Pharmaceuticals and Biogen)は、α4β1インテグリン拮抗薬としての活性を有するヒト化モノクローナル抗体である(Elices、M.J.、Curr.Opin.Investig.Drugs、4(11):1354(2003)、WO95/19790)。抗体は、細胞表面上のα4インテグリンサブユニットに結合し、白血球のα4インテグリン媒介接着及び移行を阻害する。ナタリズマブは、炎症性腸疾患及び多発性硬化症の患者が関わる臨床試験において評価された(Sandborn、W.J.ら、Am.J.Gastroenterol.、98(11):2372(2003)、Miller、D.H.ら、New Engl.J.Med.、348(1):15(2003)、Elices、M.J.、Curr.Opin.Investig.Drugs、4(11):1354(2003))。再発寛解型及び二次性進行型多発性硬化症の患者にナタリズマブによる短期治療を施すと、磁気共鳴映像法により評価されているように、新しい活動性病変の数が減少した(上記、Sandbornら参照)。再発性多発性硬化症の患者に関して、6カ月間に炎症性脳障害の減少及び再発の減少が観察された(上記Millerら参照)。
【0136】
したがって、自己免疫疾患を患っている患者にIFNτを経口投与すること、及びナタリズマブを追加投与することを含む併用治療計画が、実施例5に示されているように、考えられる。投薬計画は、他の要因とともに、患者、状態、及び重症度により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの毎日の経口投与、及び約3mg/kgの用量のナタリズマブの月1回(28日毎)の静脈内投与を含む。自己免疫疾患を治療する際のIFNτ及びナタリズマブの作用の異なるメカニズムのおかげで、治療結果がいっそう高められることが予想される。
【0137】
他の実施形態では、IFNτ及び乾癬を治療するのに有用な第2の薬剤が投与される、乾癬の治療計画が提示される。乾癬のIFNτ治療と併用できる治療薬は、局所薬剤又は全身性薬剤を含むことができる。好適な治療薬は、TNF−アルファ因子に対抗するモノクローナル抗体、すでに本明細書で説明されているスタチン及び酢酸グラチラマー、コラーゲン、レチノイドアントラリン、カルポトリエン、コールタール、サリチル酸、プロピオン酸クロベタゾール、アレファセプト、ヒドロキシウレア、及びエタナーセプトを含む、免疫抑制剤を含む。
【0138】
他の実施形態では、IFNτ及びスタチンは、例えば、多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療のため併用投与される。スタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル酵素−CoA還元酵素阻害剤(Hmg−CoA還元酵素阻害剤、HRI、及びメバロン酸生合成阻害剤)である薬理作用のある物質の一群である。スタチンは、コレステロールを生産する肝臓内の酵素をブロックすることにより血清脂質(コレステロール)レベルを変化させる。動脈壁の炎症は、アテローム性動脈硬化症にも関与し、またスタチンは、炎症軽減にも関与している。
【0139】
ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン(Zocor(登録商標)、ベロスタチン)、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、及びセリバスタチン(Baycol(登録商標))を含む、処方に使用可能な複数のスタチンがある。これらの薬物は、典型的には、約5〜40mgの範囲で1日用量を経口で与えられる。他のスタチンは、イタバスタチン、メバスタチンなどを含む。
【0140】
関節リウマチ又は多発性硬化症などの炎症により引き起こされる疾患を患っている患者にIFNτを経口投与すること、及びスタチンを追加投与することを含む併用治療計画が考えられる。投薬計画は、他の要因とともに、患者、状態、及び重症度により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの経口投与、及び約5〜50mgのスタチンの一般に経口で与えられる毎日の投薬を含む。
【0141】
他の実施形態では、臓器拒絶反応のリスクを低減し、及び/又は予防するために、IFNτ及び免疫抑制剤ミコフェノール酸モフェチル(Celloept(登録商標)、Hoffman−La Roche AG、ドイツ、グレンザッハ)が併用投与される。この実施形態は、実施例6で例示されている。ミコフェノール酸モフェチルは、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤であり、特にT細胞及びB細胞におけるプリン合成を阻害する(Groetzner J.ら、Transplantation 77(4):568(2004))。この化合物は、動物モデル(腎臓、心臓、肝臓、腸、肢、小腸、膵臓ランゲルハンス島、骨髄など)における同種異系移植の生存を延長することが証明されている。この薬物は、さらに、イヌの腎臓及びラットの心臓同種移植片モデルにおける進行中急性拒絶を逆転し、ラットの大動脈及び心臓同種移植片及び霊長類の心臓異種移植片の増殖動脈疾患を抑制することが示されている。ミコフェノール酸モフェチルは、経口投与後に吸収され、その活性代謝産物であるミコフェノール酸に加水分解される。ミコフェノール酸は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの強力で、選択的で、競合しない、可逆阻害剤であり、DNAに組み込まれることなくグアノシンヌクレオチド合成のデノボ経路を阻害する。これは、Tリンパ球及びBリンパ球に対する強力な細胞静止作用を持ち、これは、プリンのデノボ合成での増殖に依存する。
【0142】
ミコフェノール酸モフェチルは、カプセル、錠剤の形態で、及び経口懸濁又は静脈内注射用のパワーとして経口投与に使用可能である。腎移植患者での使用には、日に2回1グラムの用量(1日用量2g)を経口又は経静脈投与するのが推奨される。心臓移植患者の場合、日に2回1.5グラムの用量を経静脈又は経口投与することが推奨される。
【0143】
臓器移植患者にIFNτを経口投与し、ミコフェノール酸モフェチルを投与して、臓器拒絶のリスクを低減し、及び/又は臓器拒絶を予防する併用治療計画が考えられる。ミコフェノール酸モフェチルは、遊離塩基又は塩の形態とすることができることは理解されるであろう。投薬計画は、他の要因とともに、患者、臓器移植の種類により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの毎日の経口投与、及び1日約3mgまでの用量のミコフェノール酸モフェチルの一般に経口又は経静脈で与えられる毎日の投薬を含む。
【0144】
C型肝炎以外の癌又はウイルス性疾患を治療する際に、IFNτは、例えば、治療効果のある量の1つ又は複数の化学療法薬剤と併用投与することができる。細胞増殖疾患の治療用の例示的な薬剤の種類は、限定はしないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似物質、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、生物反応修飾物質(例えば、サイトカイン)、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、プロゲスチン、エストロゲン薬、抗エストロゲン剤、男性ホルモン、抗男性ホルモン、及びホルモン類似物質を放出するゴナドトロピンを含む。代表的な薬物は、限定はしないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アスパラギナーゼ、インターフェロンアルファ、シスプラチン、カルボプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグリエチミド、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニールエストラディオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリド、ジドブジン(AZT)、ロイコボリン、メルファラン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ジピリダモールなどを含む。
【0145】
ウイルス感染の治療のためIFNτと同時投与するための例示的な薬剤は、限定はしないが、抗ヘルペスウイルス剤、抗レトロウイルス薬、及び抗ウイルス薬を含む。代表的な薬物は、アシクロビル、ファムシクロビル、フォスカネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、ディダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アマンタジン、インターフェロン−アルファ、リバビリン、リマンタジン、ラミブジン、プロテアーゼ阻害剤、非環状ヌクレオシドホスホン酸などを含む。
【0146】
アルツハイマー病は、IFNτを神経伝達増強薬であるアミロイドベータと併用投与すると有益である場合があり、これは、例えばタクリン、ドネペジル、リバスティグミン、メトリホナート、エパスチグミン、ニコチン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、塩化アンベノミウム、及びイチョウなどの抗コリンエステラーゼ阻害剤、セレギリン及びビタミンEを含む、脳内カテコールアミンを増加させ、及び/又はニューロンへの酸化的損傷を低減する物質、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、及びセリバスタチンなどのスタチン(スタチンは免疫抑制特性も有する)を含む、抗炎症特性を有する非ステロイド系薬物、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸及びトルフェナム酸などのアミノアリールカルボン酸誘導体、アセクロフェナク、アセメタシン、プロンフェナク、クロピラク、エトドラク、フェンチアザク、インドメタシン、オキサメタシン、及びトロペシンなどのアリール酢酸誘導体、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、及びキセンブシンなどのアリール酪酸誘導体、クリダナク、ケトロラク、及びチノリジンなどのアリールカルボン酸誘導体、アルミノプロフェン、カルプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピルプロフェン、及びザルトプロフェンなどのアリールプロピオン酸誘導体、ジフェナミゾール及びエピリゾールなどのピラゾール、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、オキシフェンブタゾン、ピペブゾン、ラミフェナゾン、及びチアゾリノブタゾンなどのピラゾロン、アセトアミノサロール、アスピリン、バルサラジド、ジフルニサル、ゲンチシン酸、サリチル酸イミダゾール、オルサラジン、パルサルミド、サリチル硫酸、サリチル酸ナトリウム、及びスルファサラジンなどのサリチル酸誘導体、及びアンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、及びテノキシカムなどのチアジンカルボキシアミド、及びキサノメリン、ミラメリン、AF 1028、又はメムリックを含むコリン作動薬を含む。実施例7では、アルツハイマー病のネズミモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療されるアルツハイマー病を患っている患者の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0147】
肝線維症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、線維症の原因に基づいて選択することができる。例えば、肝線維症がC型肝炎感染などの肝炎ウイルス感染を原因とする場合、様々な抗ウイルス薬を使用することができ、そのような抗ウイルス薬としては、パリビズマブなどのモノクローナル抗体、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、及びサクイナビルなどのペプチド模倣薬、アンプリゲン及びホミビルセンなどのポリヌクレオチド、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、シドホビル、シタラビン、ディダノシン、ジデオキシアデノシン、エドクスジン、エムトリシタビン、ファムシクロビル、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスウリジン、イノシンプラノベクス、ラミブジン、MADU、ペンシクロビル、ソリブジン、スタブジン、テノフォビル、トリフルリジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン、及びジドブジンなどのプリン/ピリミドン、及びオセルタミビル及びザナミビルなどのシアル酸類似物、並びにインターフェロン−アルファ、インターフェロン−β、及びインターフェロン−ガンマがある。実施例8では、肝線維症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される肝線維症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0148】
肝線維症が癌に次いで発生する場合、各種の抗細胞増殖剤を使用することができ、これは、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似物質、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、生物反応修飾物質(例えば、サイトカイン)、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、男性ホルモン、抗男性ホルモン、及びホルモン類似物質を放出するゴナドトロピンを含む。代表的な薬物は、限定はしないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アスパラギナーゼ、インターフェロンアルファ、シスプラチン、カルボプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグリエチミド、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニールエストラディオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリド、ジドブジン(AZT)、ロイコボリン、メルファラン、ダカルバジン、ジピリダモールなどを含む。当業者であれば、肝線維症が他の何らかの疾病又は疾患に次いで発生する場合に他の適切な治療薬を選択できる。
【0149】
肺線維症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、アレムツズマブ、アザチオプリン、バシリキシマブ、ブレキナル、シクロホスファミド、コルチコステロイド(プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、デキサメタゾンなど)、シクロスポリン、グスペリムス、6−メルカプトプリン、ミゾリビン、ピメクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、抗胸腺細胞グロブリン、ムロモナブ−CD3モノクローナル抗体、メルカプトプリン、ミトキサントロン、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、インターフェロン−ガンマ、インターフェロン−ベータ(Avonex(商標)、Betaseron(商標)、Ribif(商標))、ダクリズマブ、メトトレキサート、シロリムス、タクロリムスなどの免疫抑制剤を含む。酢酸グラチラマーは、チロシン、グルタミン酸塩、アラニン及びリシンからなる合成塩基性ランダム共重合体であり、例えば、抗炎症特性を有する。IFNτとともに投与した場合、酢酸グラチラマーは、より高いレベルのIL−10及びTGF−ベータ(Soos、J.M.ら、J.Immunol.、169:2231(2002))を含みうる。関節リウマチ、及び結核などの、肺線維症の原因となった基礎疾患が知られている特定の場合において、そのような疾病又は疾患を治療することが知られている治療薬を使用することができる。例えば、抗生物質による治療を、結核で使用することができ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ及びエレコキシブを含むCox−2阻害剤、さらには、例えば免疫抑制特性を利用するメトトレキサートすでに説明してある免疫抑制剤を含む以前に説明した非ステロイド系抗炎症薬を含む抗炎症薬を、関節リウマチで使用することができる。実施例9では、肺線維症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される肺線維症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0150】
抗リン脂質症候群のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、未分画ヘパリン、ロブノックス、アセチルサリチル酸、及びクマディンなどの抗血液凝固剤、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、プリマキン、プログアニル、及びドキシサイクリンを含む抗マラリア薬、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、及びデキサメタゾンを含むコルチコステロイド、及び静脈内免疫グロブリンを含む免疫調節薬を含む。実施例10では、抗リン脂質症候群のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される抗リン脂質症候群を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0151】
脳卒中のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、ベンシクラン、シクロニカート、シンナリジンシクランデレート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジルフルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、ペンチフィリン、ビンカミン、ビンポセチン、及びビキジルなどの脳血管拡張薬、アモトリフェン、ベンフロジルヘミスクシナート、ベンジオダロン、クロラシジン、クロモナル、クロベンフロールクロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、エタフェノン、フェンジリン、ヘキソベンジン、六硝酸マンニトール、ニトログリセリン、ペントリニトロール、ペルヘキシリンプロパチルニトラート、トラピジル、トリメタジジン、及びビスナジンなどの冠拡張薬、及び組織プラスミノゲン活性化因子を含む。他の適当な薬剤は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)又はそのペプチド、スタチン、及び酢酸グラチラマーなどの自己抗原を含む。MOGは、ヒトMOGなどの哺乳類MOGであるのが好ましい。ヒトMOGのヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号5)は、当業で知られており、例えば、アクセッション番号BC035938としてNIH Genbankデータベースで見つけることができる。好適なMOGペプチドは、長さが約10から約150個のアミノ酸、典型的には約30から約100個のアミノ酸を含み、さらに、長さが約10から50個のアミノ酸でもよく、脳卒中患者の治療に有効である。一実施例として、MOGのアミノ酸35からアミノ酸55までのペプチドを使用することができる。他の実施例として、アミノ酸37からアミノ酸46までのMOGのペプチドを使用することができる。脳卒中の治療で機能する、例えば、ヒツジ、ウシ、及びブタを含む、他の哺乳類種からのMOG及びそのペプチドは、本明細書の方法で使用することができる。したがって、適用可能なMOGは、ヒトMOGのアミノ酸配列と少なくとも約70%の同一性、さらに少なくとも約80%の同一性、さらに少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するものを含む。同一性の割合は、米国立衛生研究所から入手可能な、例えば、バージョン2.2.9を含む、上級BLASTコンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することにより、決定することができるか、又は他の類似のコンピュータプログラムを使用して決定することができる。BLASTプログラムは、KarlinとAltschulの整列法に基づく。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268(1990)を参照、またAltschulら、J.Mol.Biol 215:403−410(1990)、Karlin And Altschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877(1993)、Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997)で説明されているとおりである。したがって、上記の治療薬の1つ又は複数とのIFNτの併用投与は、本発明の方法の範囲に含まれる。実施例11では、脳卒中のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するために、脳卒中を患い、IFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0152】
視神経炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、スタチン、並びにスタチン、コルチコステロイド、及び酢酸グラチラマーを含む、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤を含む。実施例12では、視神経炎のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される視神経炎を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0153】
慢性閉塞性肺疾患のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、気管支拡張剤及びコルチコステロイドを含む。好適な気管支拡張薬は、例えば、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ジオキセテドリン、エフェドリン、フェノテロール、イソエタリン、マブテロール、ピルブテロール、プロトキロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、及びツロブテロールなどのエフェドリン誘導体、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、及び臭化チトロピウムなどの第4アンモニウム化合物、及びアセフィリン、アンブフィリン、アミノフィリン、バミフィリン、ドキソフィリイン、エトフィリン、グアチリン、テオブロミン、及びテオフィリンなどのキサンチン誘導体を含む。他の好適な薬剤は、すでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む。実施例13では、慢性閉塞性肺疾患のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される慢性閉塞性肺疾患を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0154】
自閉症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、フェモキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、インダルピン、塩酸インデロキサジン、ミルナシプラン、パロキセチン、セルトラリン、及びジメルジンを含むセロトニン取り込み阻害薬、アミスルプリド、ネモナプリド、レモキシプリド、スルピリド、及びスルトプリドなどの、ベンズアミドを含む、抗精神病薬、イロペリドン及びリスペリドンなどのベンズイソオキサゾール、ベンペリドール、ブロムペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、ハロペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、スピペロン、チミペロン、及びトリフルペリドールなどのブチロフェノン、アセトフェナジン、ブタペラジン、カルフェナジン、クロルプロマジン、クロスピラジン、シアメマジン、ジキシラジン、フルフェナジン、メパジン、及びメソリダジンなどのフェノチアジン、及びクロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、及びチオチキセンなどのチオキサンテン、並びに本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む抗炎症特性を有する薬物を含む。実施例14では、自閉症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される自閉症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0155】
糖尿病のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、インスリン、ベータ細胞関連自己抗原、及び例えば、熱ショックタンパク質10、22、27、60、65、70、及び90を含む熱ショックタンパク質を含む。熱ショックタンパク質は、ヒト熱ショックタンパク質などの哺乳類の熱ショックタンパク質であるのが好ましく、その多くは、市販品を購入するか、又は他の何らかの形で、当業者に知られている方法により取得することができる。
【0156】
アテローム性動脈硬化症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤、例えば、熱ショックタンパク質10、22、27、60、65、70、及び90を含む熱ショックタンパク質を含む。熱ショックタンパク質は、ヒト熱ショックタンパク質などの哺乳類の熱ショックタンパク質であるのが好ましい。他の好適な治療薬は、例えば、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン、及びスルフィンピラゾンなどの抗血小板薬、塩酸コレスチポール、及びコレスチラミン樹脂を含む胆汁酸抑制剤、ゲンフィブロジル、フェノフィブラート、及びクロフィブラートを含むフィブリン酸塩(フィブリン酸誘導体)、ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン(Zocor(登録商標)、ベロスタチン)、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、及びセリバスタチン(Baycol(登録商標))などの3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、クロルメロドリン、メラルリド、メルカプトメリンナトリウム、及びメルサリルを含む、有機水銀などの、利尿薬を含む、高血圧を伴う場合の抗高血圧薬、パマブロム、プロテオブロミン、及びテオブロミンを含む、プリン、カンレノン、オレアンドリン、及びスピロノラクトンなどのステロイド、アセタゾラミド、アンブシド、アゾセミド、ブメタニド、ブタゾラミド、クロフェナミド、クロパミド、ジスルファミド、フロセミド、及びトルセミドなどのスルホンアミド誘導体、及びアルチジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、及びテクロチアジドなどのチアジド、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、リシノプリル、モベルチプリル、キナプリル、ラミプリル、及びテモカプリルなどのアンジオテンシン転換酵素阻害剤、アドラフィニル、アドレナロン、アミドフリン、アプラクロニジン、ブルドララジン、クロニジン、シクロペンタミン、エフェドリン、フェノキサゾリン、マタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、モダフィニル、オクトドリン、オキシメタゾリン、フォレドリン、リルメニジン、及びチラミンなどのアルファアドレナリン作動薬、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ブニトロロール、塩酸ブチドリン、カラゾロール、カルテオロール、ジレベアロール、インデノロール、メピンドロール、モプロロール、ナドキソロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、スルフィナロール、テルタトロール、及びキシベノロールなどのベータアドレナリン遮断薬、ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニラミン、セモチアジル、テロジリン、及びベラパミルなどのアリールアルキルアミンを含む、カルシウムチャンネル遮断薬、アムロジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、マニジピン、ニルバジピン、及びニトレンジピンなどのジヒドロピリジン誘導体、シンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジン、及びロメリジンなどのピペラジン誘導体、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む、抗炎症特性を有する、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤及び薬物を含む。実施例15では、アテローム性動脈硬化症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療されるアテローム性動脈硬化症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0157】
アレルギーのIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、花粉、オブアルブミン、ミルク、小麦、ウシ、ブタ、又はヒツジ由来の肉を含む動物肉などの食品成分、ニンジン、及びブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、及びカブなどのアブラナ科の野菜を含む野菜、ピーナッツ、ピスタチオ、カシューを含む木の実、及びダニ、Der1(例えば、サッカロマイセスセレヴィシエからのもの、クローニングの配列は、Knop、M.ら、Embo J.15(4)753−763(1996)で説明されている)を含む小胞体分解剤、酢酸グラチラマー、及び本明細書ですでに説明されているスタチンとコルチコステロイドを含む、アレルギー誘発剤を含む。さらに、他の種からの当業で知られているDer1タンパク質は、当業で知られているDer1に似たタンパク質と同様に、使用することができる。
【0158】
炎症性大腸炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、インフリキシマブ(腫瘍壊死−α因子、TNF−アルファ因子に対抗するモノクローナル抗体)、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、アセチルタンニン酸、アルコファノン、次サリチル酸ビスマス、カテキン、ジフェノキシン、ジフェノキシレート、リダミジン、ロペラミド、ラセカドトリル、エンレイソウ、ウザリン、及びザルダリドなどの下痢止め薬、並びにベラドンナ、ヒヨスチアミン、臭化クリジニウム、グリコピロレート、塩酸ジシクロミン、メベベリン、臭化オチロニウム、及びシメトロピウムを含む鎮痙薬を含む。
【0159】
関節炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、連鎖球菌細胞壁などの抗原、熱ショックタンパク質60などの本明細書ですでに説明されているものを含む熱ショックタンパク質、II型コラーゲンを含むコラーゲン、本明細書ですでに説明されている非ステロイド性抗炎症薬、TNF−アルファ因子、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、メトトレキサート、及び本明細書ですでに説明されているCOX−2特異的阻害剤に対するモノクローナル抗体を含む。実施例16では、関節炎のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される関節炎を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0160】
多発性硬化症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、ミエリン塩基性タンパク質及びそのペプチド、すでに本明細書で説明されているミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質及びそのペプチド、本明細書ですでに説明されているTNF−アルファ因子に対するモノクローナル抗体、酢酸グラチラマー、及びすでに説明されているコルチコステロイドとスタチンを含む。ミエリン塩基性タンパク質は、ヒトミエリン塩基性タンパク質などの哺乳類ミエリン塩基性タンパク質であるのが好ましい。ヒトミエリン塩基性タンパク質のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号6)は、例えば、アクセッション番号NM 002385としてNIH Genbankデータベースで見つけることができる。ミエリン塩基性タンパク質の好適なペプチドは、約5から30個までの長さのアミノ酸に由来するものを含む。好適なペプチドは、アミノ酸1からアミノ酸11までの断片を含み、これは、アセチル基などの、5’末端での修飾を含むことができる。多発性硬化症の治療で機能する、例えば、ヒツジ、ウシ、及びブタを含む、他の哺乳類種からのミエリン塩基性タンパク質及びそのペプチドは、本明細書の方法で使用することができる。したがって、適用可能なミエリン塩基性タンパク質は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも約70%の同一性、さらに少なくとも約80%の同一性、さらに少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するものを含む。
【0161】
ブドウ膜炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、コルチコステロイドを含む、また全身に、又は目に投与する液滴の形態で投与することができる、スタチン、酢酸グラチラマー、及び本明細書ですでに説明されている他の免疫抑制剤、レチナールS抗原(ヒトレチナールS抗原は、例えば、Beneski、D.A.ら、Inves.Opth.Vis.Sci.25:686−690(1984)で説明されているように入手できる)、及び間質レチナール結合タンパク質(IRBP、ヒト配列はLiou、G.I.ら、J.Biol.Chem.264(14):8200−8206(1989)に記載されている)を含むブドウ膜炎誘発剤、並びに当業で知られており、例えば、PCT国際出願番号PCT/US02/24311及びPCT/GB98/03686、Braud、V.M.ら、Nature 391:795−799(1998)で説明されているHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、及びHLA−Gに由来するものを含むヒト白血球抗原(HLA)−結合ペプチドを含む。
【0162】
臓器移植拒絶反応のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、例えばスタチン、酢酸グラチラマー、アザチオプリン、コルチコステロイド、又はシクロホスファミドなどの、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤を含む。実施例17では、臓器移植拒絶反応モデルについて説明しており、治療の有効性を判定するために、臓器移植を受け、IFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0163】
これらの併用治療計画では、第2の治療薬は、IFNτを経口投与する前に、又は同時に、又はその後に投与することができることは理解されるであろう。IFNτ及び第2の薬剤の投与のタイミングだけでなく、第2の薬剤の投与の好適な経路の選択は、当業者であれば容易に行える。第2の薬剤は、担当の薬品供給者が決定した、好適な経路により投与することができる。
【0164】
他の併用治療計画は、経口投与後、並びに特に、胃及び/又は腸管を通して輸送するときに、IFNτを保護し、及び/又は安定化させる効果のある薬剤と組み合わせたIFNτの投与に関係する。安定剤は、胃及び/又は腸内を通してIFNτの治療活性が失われる、つまり胃及び/又は腸内で変性するのを防ぐために使用される。使用する安定剤の例は、緩衝液、胃酸の分泌の拮抗薬、グリシン及びリシンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、乳糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マンニトールなどの炭水化物類、タンパク質分解酵素阻害剤などを含む。
【0165】
好ましい一実施形態では、安定剤は、有機酸カルボン酸塩、例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムなどのクエン酸の塩、又は無機塩などの制酸薬である。例示的な無機塩は、限定はしないが、水酸化アルミニウム(AI(OH)3)又はリン酸塩、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、及びこれらの組合せを含む。市販の制酸薬Mylanta(商標)は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムを含み、経口投与可能な制酸薬として好適である。制酸薬は、典型的には、水に不溶であり、経口懸濁液として与えられる。
【0166】
制酸薬がIFNτと組み合わせて与えられる治療計画では、IFNτの経口投与の前に、又はそれと同時に制酸薬を経口投与することを伴うことが好ましい。例えば、患者は、IFNτの5〜30分前に制酸薬を摂取する。制酸薬は、IFNτが胃の中、より好ましくは腸管内で変性及び/又は分解するのを防ぎ、それにより、治療効果を達成するために必要なIFNτの用量を削減することができる。上述のように、患者の血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらすために5×108単位を超える程度のIFNτの用量が必要である。IL−10レベルの同じ増加は、IFNτが制酸薬の投与と同時に、又は投与後に投与される場合にIFNτの用量を減らしても達成できる。
【0167】
プロトンポンプ阻害薬として知られている化合物のクラスも、経口投与後にIFNτを保護及び/又は安定化する安定剤として投与することができる。プロトンポンプ阻害薬は、胃及び腸内の酸の放出を防ぎ、多くの場合、潰瘍、酸の逆流、又は胃酸過多を治療するために使用される。一般に、プロトンポンプ阻害薬は、置換ベンゾオキサゾールであり、ラベプラゾール(Aciphex(登録商標))、ランソプラゾール(Prevacid(登録商標))、オメプラゾール(Prilosec(登録商標))、及びパントプラゾール(Protonix(登録商標))を含む。プロトンポンプ阻害薬は、IFNτの前又は同時に投与され、IFNτが胃の中、より好ましくは腸管内で変性及び/又は分解するのを防ぎ、それにより、治療効果を達成するために必要なIFNτの用量を削減する効果を有する。上述のように、患者の血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらすために、プロトンポンプ阻害薬又は制酸薬がない場合に、5×108単位を超える程度のIFNτの用量が必要である。IL−10レベルの同じ増加は、IFNτがプロトンポンプ阻害薬の投与と同時に、又は投与後に投与される場合にIFNτの用量を減らしても達成できる。
【0168】
また、制酸薬及び上述の薬剤などの第2の治療薬と組み合わせてIFNτを経口投与することにより患者を治療することも考えられる。この実施形態では、所望の臨床的終点に到達するために必要なIFNτの用量は、制酸薬がない場合に必要な用量よりも少ない。第2の治療薬の用量は、必要ならば、制酸薬の存在及び/又はIFNτとの相乗効果に基づいて調整することができる。
【0169】
同じ又は別のパッケージングの収めた、治療上効果のある用量のIFNτ及び疾患を治療するか、又は疾患の症状を少なくとも部分的に緩和する活性を有する第2の治療薬、及びその使用説明書からなる、ウイルス感染、自己免疫疾患、又は細胞増殖を特徴とする疾患を持つ患者を治療するためのキットも考えられる。
【0170】
一実施形態では、キットは、(i)毎日の全用量が5×108単位を超える1つ又は複数の単位用量のIFNτ、(ii)多発性硬化症のための1つ又は複数の単位用量の第2の治療薬、及び(iii)使用説明書からなる。第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0171】
他の実施形態では、キットは、(i)単位用量のIFNτであって、単位用量は5×108単位を超える推奨1日用量の1/3から1/2であり、前記単位用量は経口投与に好適な形態である単位用量のIFNτ、(ii)多発性硬化症のための単位用量の第2の治療薬であって、第2の治療薬について医師が処方する1日用量の1/3から1/2である単位用量の第2の治療薬、及び(iii)使用説明書からなる。医療担当者は、キットが1日用量の1/2である単位用量を含む場合に、毎日2つのキットの内容物を投与し、キットが1日用量の1/3である単位用量を含む場合に、毎日3つのキットの内容物を投与するように患者に処方する。第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0172】
他の実施形態では、キットは、(i)抗酸剤、(ii)経口投与に好適な形態のIFNτ,(iii)第2の治療薬、及び(iv)使用説明書からなる。抗酸剤は、上述の制酸剤のうちの1つとすることができ、第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0173】
特定の例示的なキットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のスタチン、治療用量よりも少ないIFNτ、及び制酸薬、並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のスタチン及び治療用量のIFNτ並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のナタリズマブ及びIFNτ、並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のナタリズマブ、治療用量よりも少ないIFNτ、及び制酸薬、並びに使用説明書を含み、患者は、IFNτの経口投与の少なくとも5〜30分前に制酸薬を摂取するよう指示される。当業者であれば、これらのキットは、考案された様々な組合せ及び投薬計画の単なる例であることを理解できるであろう。
【0174】
E.製剤及び用量
IFNτを含む経口製剤は、薬剤組成物を調合するための知られている方法に従って配合することができる。一般に、IFNτ治療組成物は、有効な量のIFNτが好適な添加剤、担体、及び/又は賦形剤と組み合わされ、組成物の効果的な経口投与を行いやすくなるように配合される。例えば、IFNτを含む錠剤及びカプセルは、IFNτ(例えば、凍結乾燥IFNτタンパク質)を薬剤として許容される担体(例えば、乳糖、コーンスターチ、微結晶性セルロース、ショ糖)、結合剤(例えば、アルファデンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、界面活性剤(例えば、Tween 80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、抗酸化剤(例えば、L−シスチン、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)などの添加剤と組み合わせることにより製造することができる。
【0175】
さらに、本発明のIFNτポリペプチドは、固体、粉体、又は他の担体、例えば、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、じゃがいもデンプン、コーンスターチ、ミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンなどのデンプンと混ぜることができ、また、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、又は錠剤形成に合わせて圧縮されたポリエチレングリコールワックスを含むこともできる。複数の層の担体又は希釈剤を使用することにより、徐放で動作する錠剤を製造することができる。
【0176】
経口投与用の液体製剤は、エリキシル剤、シロップ、又は懸濁液、例えば、IFNτ、砂糖、並びにエタノール、水、グリセロール、プロピレン、グリコール、及び場合によっては従来の性質の添加剤混合物の約0.1重量%から約30重量%を含有する溶液の形態で製造することができる。
【0177】
他の好適な製剤は、腸管粘膜により吸収されるまで胃及び腸内に存続するようにタンパク質を保護する保護投薬形態である。タンパク質用の保護投薬形態は、当業で知られており、腸溶コーティング及び/又は粘膜接着ポリマーコーティングを含む。例示的な粘膜接着ポリマー製剤は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Eudragit(登録商標)、カルボキシビニルポリマー、カルボマーなどを含む。活性形態のIFNτを腸管に、特に小腸に送達するために摂取を介して胃に投与するように設計された投薬形態が考えられる。それとは別に、IFNτは、プロテアーゼ阻害剤と同時投与するか、又はポリマー材料で安定化させるか、又は脂質若しくはポリマー粒子でカプセル化して胃及び/又は腸環境から何らかの保護を行うようにすることができる。
【0178】
経口活性IFNτ薬剤組成物は、治療を必要とする個人に治療上有効な量だけ投与される。用量は、かなり異なる場合があり、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者が摂取している可能性のある他の医薬品などの因子に依存する。この量又は用量は、典型的に、担当医師又は他の熟練者により決定される。用量は、典型的には、約6×108から5×1012単位/日、より好ましくは0.5×109から1×1012単位/日、さらに好ましくは約1×109から1×1012単位/日の範囲内である。特定の一実施形態では、約5×108単位/日を超える用量、より好ましくは0.5×109単位/日以上の用量、さらに好ましくは1×109単位/日以上の用量のIFNτが経口投与される。
【0179】
血漿中で常時高いレベルのIFNτを必要とする疾患では、約2から4時間の頻度の投与だと都合がよく、多発性硬化症などの他の疾患では、低頻度の間隔、例えば1日1回又は48時間毎に1回、治療上有効な用量を投与することにより効果的に治療することができる。個々の用量の投与速度は、典型的には、治療される疾病の重症度を緩和しつつ最低限の総用量を投与することができるように担当医師により調整される。上述のように、この方法では、治療を必要とする患者に初回用量でIFNτを経口投与し、生物学的マーカーを監視して初回用量レベルへの個々の患者の応答を測定する。監視は、例えば、ELISA又はラジオイムノアッセイキットを使用して、採血、及び血中のIL−10などのマーカーの分析を介して容易に行うことができる。したがって、他の態様では、IFNτ療法又はIL−10療法に応答する疾患を患っている人の治療に使用するキットが考えられる。このキットは、IFNτの経口投与用に設計された1つ又は複数の投薬形態単位を含む容器からなる第1の部分、及び血中IL−10レベルを分析するために必要な構成要素などのIFNτのバイオマーカーを監視するために必要な構成要素からなる第2の部分を含む。
【0180】
IFNτの投与は、一般に、臨床的終点に到達するまで継続する。その臨床的終点は、治療される疾患、疾患の重症度、及び患者の個々の特徴(年齢、体重、健康状態)により異なる。臨床的終点は、担当医師又は看護師により容易に決定され、症状の一時的又は永続的中止から疾患の解消まで様々である。
【0181】
例えば、乾癬などの自己免疫疾患を患っている患者では、IFNτによる治療は、乾癬が解消するか、評価スコアの望ましい低下が達成されるまで続けることができる。
【0182】
多発性硬化症の患者であれば、好適な臨床的終点は、症状の重症度の減少であろう。
【0183】
ウイルス感染を患っている人では、好適な臨床的終点は、ウイルス価の低下又はウイルス感染に関連する症状(熱、発疹、倦怠感など)の減衰である。
【0184】
細胞増殖を特徴とする疾患を患っている患者では、IFNτの投与を中止する臨床的終点は、腫瘍サイズの退縮により測定されるような細胞増殖率の退縮、又は腫瘍成長速度の減少により測定されるような細胞増殖の速度低下とすることが可能である。
【0185】
例えば、アルツハイマー病を患っている患者では、そのような患者の脳内の内因性アミロイド斑及び/又は神経原線維のもつれの減少が観察されうる。物忘れ、言語機能低下、錯乱、情動不安、及び躁鬱の減少、並びに標準的方法により測定される視覚情報知的操作能力の向上も観察されうる。
【0186】
肺線維症を患っている個人では、好適な臨床的終点は、呼吸能力の改善、肺の線維組織の量の減少からわかる疾病の進行速度の低下、及び/又は肺炎症の減少を含む。治療前と比較した治療後の呼吸能力を含む、肺機能の低下を改善するIFNτの効果は、当業者に知られている方法により測定することができ、これは、例えば、Pellegrino、R.ら、Eur.Respir.J.、10:543−549(1997)で説明されているような強制的呼気量の測定を含む。肺の中の線維性瘢痕組織の増加の減少は、実施例9で説明されているように、肺組織ヒドロキシプロリン含有量の測定、又は当業で知られている他の類似の手順を含む当業者に知られている方法により測定することができる。肺炎症の減少は、実施例9で説明されているものを含む、当業で知られている方法により観察することができる。
【0187】
肝線維症の個人において、例えば、Desmet、V.J.ら、Hepatology.、19:1513−1520(1994)又はChevallier、M.ら、Hepatology、20:349−355(1994)で説明されているスコアリング法による肝組織試料の組織学的試験を含む、当業者に知られている方法により測定された肝臓の線維性瘢痕組織の増加の減少を含む。当業で知られている、ここで実施例8において説明されている方法により得られる血清ヒアルロン酸レベル及び肝臓ヒドロキシプロリン含有量の減少も観察できる。さらに、当業で知られている標準的な方法により測定されるような、アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)を含む、様々な肝臓酵素の血清レベルの減少も、監視することができる。
【0188】
脳卒中を経験した個人においては、好適な臨床的終点は、当業で知られているようなコンピュータ断層撮像法により決定され、例えば、Nabavi、D.G.ら、Radiology、213:141−149(1999)で説明されているような、罹患した血管内の血流の増加を含む。他の臨床的終点は、顔、腕、若しくは脚のしびれ感の減少、又は脳卒中に関連する頭痛の激しさの減少を含む。さらに他の臨床的終点は、脳卒中による細胞、組織、又は臓器の損傷又は死の減少を含む。細胞又は組織の損傷のこのような減少は、コンピュータ断層撮影(CAT)走査、磁気共鳴映像法、又は当業で知られている類似の方法を含む、脳撮像技術により評価することができる。
【0189】
視神経炎を経験した個人では、好適な臨床的終点は、視力の改善、視力の安定化(つまり、視力がそれ以上低下しない)、又は視力の低下速度の減少を含む。このような臨床的終点は、当業で知られているように当業者側で決定することができる。
【0190】
慢性閉塞性肺疾患の個人では、好適な臨床的終点は、肺機能の改善又は閉塞の程度の他の何らかの形の減少を含む。これらの臨床的終点は、例えば、肺機能試験により決定することができる。ある種の肺機能試験では、患者は、患者が空気を吸って吐き出すときの肺のサイズの変化を時間の関数として記録する機械的デバイスである肺活量計に息を吹き込む。
【0191】
自閉症の個人では、臨床的終点は、患者に関連する特定の症状に依存する。症状は、社会的技能、発語、コミュニケーション、及び反復挙動と日常作業の異常を含む。例えば、自閉症者は、無発話、非発話発声、反響言語、「I(私)」と「You(あなた)」の代名詞の混同、アイコンタクトの欠如、人への反応の欠如、及びつま先歩きを示すことがある。このような異常は、当業者に知られている方法により評価することができる。
【0192】
糖尿病、アレルギー、炎症性腸疾患、乾癬、関節炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、及び抗リン脂質症候群を含む、様々な自己免疫疾患を持つ個人では、臨床的終点は、特定の疾病又は疾患に依存する。例えば、抗リン脂質症候群を患っている個人では、好適な臨床的終点は、膜陰イオンリン脂質(例えば、抗カルジオリピン、抗ホスファチジルセリン)又はその関連する血漿タンパク質(例えば、β−2−糖タンパク質)に向かう抗体のレベルの減少を含む。そのような抗体及び/又は血漿タンパク質の定量は、例えば、Pierangeli、S.S.ら、Thromb.Haemost.74:1361−1367(1995)で説明されているような、酵素免疫測定法(ELISA)を含む、当業で知られている決まり切った方法により遂行することができる。
【0193】
抗リン脂質症候群の個人のさらに他の臨床的終点は、広範にわたる組織及び/又は臓器内に発生しうる、血管内血栓の減少を含む。血管内血栓の減少は、例えば、Nabavi、D.G.ら、Radiology 213:141−149(1999)で説明されているようなコンピュータ断層撮像法により罹患組織又は臓器内の血流を測定することにより観察することができる。血管内血栓の減少は、組織学的に検出することも可能である。皮膚又は他の関係のある組織を分析することができる。例えば、罹患腎臓からのバイオプシーは、糸球体及び/又は小動脈微小血栓の減少を示すことができる。さらに、Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996)及び本明細書で説明されている実施例10でさらに詳しく説明されているように、血栓のサイズだけでなく、消失速度も、光を静脈に透過させるために使用される光ファイバデバイス及び閉回路ビデオシステム、モニタ、及びレコーダを備える3室立体手術用顕微鏡で観察することができる。
【0194】
糖尿病の好適な臨床的終点は、インスリンなしで、又はインスリンの量を減らして、血糖値を制御できることを含む。
【0195】
様々なアレルギーに対する好適な臨床的終点は、アレルギー状態に関連する喘鳴、アレルギー性のくしゃみ、涙目、悪心、嘔吐、又は下痢の量の減少を含む、アレルギーの様々な症状の減少を含む。
【0196】
クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む、炎症性腸疾患の好適な臨床的終点は、下痢の程度の減少、腹痛及び/又は筋けいれんの減少、大便中の血液量の減少、食欲増加、及び疾病に関連する発熱からの体温低下などの、この疾病の様々な症状の減少を含む。
【0197】
乾癬に関する好適な臨床的終点は、特徴的乾燥の量の減少、銀色の鱗屑で覆われた皮膚の赤色斑、又は患部関節の腫れ又は凝りの減少を含む。
【0198】
関節リウマチに見られるような関節炎の好適な臨床的終点は、患部関節の痛み及び腫れの量の減少、患者の運動範囲の拡大、並びに患部関節に付随する筋肉の強さの増大を含む。
【0199】
多発性硬化症の好適な臨床的終点は、発作の減少及び脳障害数の減少を含む。
【0200】
前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、及びびまん性ブドウ膜炎を含む、ブドウ膜炎の好適な臨床的終点は、視力がそれ以上低下しないこと、及び飛蚊症の程度の減少を含む視力の改善を含む。痛み、赤み、及び羞明の減少も、前部ブドウ膜炎により観察されうる。
【0201】
アレルギーの好適な臨床的終点は、粘膜組織の腫れなどのアレルギー性反応の減少、患部組織の炎症の減少、及び全体的なIgEレベルの減少を含む。
【0202】
臓器移植の好適な臨床的終点は、例えば、移植臓器の生着率の増加を含む。
【0203】
アテローム性動脈硬化症の好適な臨床的終点は、患者が示す特定の症状に依存する。例えば、患者は、1つ又は複数の血管内の血流の減少を示す場合がある。したがって、好適な臨床的終点は、選択された血管内の血流の増加を含む。血流速度は、レーザードップラー流量測定(LDF)、磁気共鳴映像法(MRI)、陽電子放出型断層撮影法(PET)、及び単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)を含むコンピュータ断層(CT)撮像法を含む、当業者に知られている方法により測定することができる(Leenders、K.L.ら、Brain 113:27−47(1990)、Sakai、F.ら、J.Cereb.Blood Flow Metab.5:207−213(1988)、Rempp、K.A.ら、Radiology 193:637−641(1994)、Baird、A.E.及びWarach、S.、J.Cereb.Blood Flow Metab.18:583−609(1998)、Danus、G.ら、Radiology 213:141−149(1999)、Calamante、F.ら、J.Cereb.Blood Flow Metab.19:701−735(1999)、Ginsberg、M.D.ら、J.Cereb Blood Flow Metab.2(1):89−98(1982)、Fukuda、0.、Neurosurgery 36(2):358−364(1995)、Perez−Pinzonら、J.Neurolog.Sci.153(1):25−31(1997)、Borlonganら、Brain Res.1010(1−2):108−116(2004))。患者がアテローム性動脈硬化症に由来する狭心症の症状を示す場合、この疾患に関連する痛みの減少が観察されうる。患者がアテローム性動脈硬化症に由来する末梢血管障害の症状を示す場合、間欠性跛行の減少及びインポテンスの減少が観察されうる。他の好適な臨床的終点は、当業者に知られている。
【0204】
所望の臨床的終点に達したら、IFNτによる毎日の治療を中止できるが、望むならば、又は必要に応じて、維持量を投与することができる。その後、症状に応じて、用量又は投与頻度、又はその両方を、臨床的終点が維持されるか、又は改善された状態が保持されるレベルにまで減らすことができる。
【0205】
IV.実施例
以下の実施例では、さらに、本明細書で説明されている発明を例示するが、いかなる形であっても、本発明の範囲を制限することは意図されていない。
【0206】
方法
A.IFNτの生産
一実施形態では、合成IFNτ遺伝子は、IFNτアミノ酸配列を符号化するDNA配列の連続的部分を含むオリゴヌクレオチドを連結反応することにより標準的分子法(上記Ausubelら、1988)を使用して生成された。使用されるDNA配列は、配列番号1又は配列番号4のいずれかとするか、又はImakawa、K.ら、Nature、330:377−379(1987)に示されているような配列とすることができる。その結果得られるIFNτポリヌクレオチドコーディング配列は、位置16から531にまたがる、つまり172個のアミノ酸のコーディング配列である。
【0207】
一実施形態では、完全な長さの合成遺伝子Stul/SStl断片(540bp)を、修飾pIN Ill omp−A発現ベクターにクローニングし、大腸菌のコンピテントSB221菌株に形質転換することができる。IFNτタンパク質の発現について、発現ベクターを運ぶ細胞を、0.1−1のOD(550nm)のアンピシリンを含むL−培養液中で増殖させ、IPTG(イソプロピル−1−チオ−b−D−ガラクトシド)で3時間かけて誘導し、遠心分離機で回収した。可溶性の組換え型IFNτは、超音波処理又は浸透圧分留により細胞から遊離させることができる。
【0208】
酵母の発現については、それぞれ5’及び3’末端にStul及びSacl制限酵素認識部位を含むPCR用プライマーとともにポリメラーゼ連鎖反応(PCR、Mullis、K.B.、米国特許第4,683,202号、Mullis、K.B.ら、米国特許第4,683,195号)を使用してIFNτ遺伝子を増幅することができる。増幅された断片は、Stul及びSacllで消化され、pBLUESCRIPT+(KS)のSaclI及びSmaI部位に連結され、pBSY−IFNτを生成した。プラスミドpBSY−IFNτは、Sacll及びEcoRVにより消化され、合成IFNτ遺伝子を含む断片が分離された。酵母発現ベクターpBS24Ub(Ecker、D.J.ら、J.Biol.Chem.264:7715−7719(1989))は、SaIlより消化された。平滑末端は、T4 DNAポリメラーゼを使用して生成された。ベクターDNAは、フェノール及びエタノール沈殿により抽出された(Sambrook、J.ら、「分子クローニング:実験マニュアル(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL)」、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989))。回収されたプラスミドは、Sacllにより消化され、アガロースゲル電気泳動法により精製され、pBSY−IFNτから分離されたSacll−EcoRV断片に連結された。その結果得られた組換え型プラスミドは、pBS24Ub−IFNτと指定された。
【0209】
組換え型プラスミドpBS24Ub−IFNτは、大腸菌に形質転換された。IFNτ刺入を含む組換え型クローンが分離され、制限酵素分析により同定された。IFNτコーディング配列は、pBS24Ub−IFNτから分離され、アルコール酸化酵素(AOX1)プロモーター(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)を含むピキアパストリスベクターにクローニングされた。次いで、このベクターを使用して、ピキアパストリスGS115 His宿主細胞を形質転換し、メーカーの取扱説明書に従ってタンパク質を発現させた。SDS−PAGE及び銀染色法による決定に従い、タンパク質は、培養基内に分泌され、連続DEAE−セルロース及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィにより電気泳動的に均一に精製された。
【0210】
B.特異的抗ウイルス活性を決定する抗ウイルスアッセイ
抗ウイルス活性は、標準細胞変性効果アッセイを使用して評価された(Familletti、P.C.ら、Methods in Enzymology、78:387−394(1981)、Rubinstein、S.ら、J.Virol.、37:755−758(1981))。簡単に言うと、IFNτの希釈は、Madin−Darbyウシ腎臓(MDBK)細胞で16〜18時間かけて37℃でインキュベートされた。インキュベートに続いて、チャレンジとして水疱性口内炎ウイルスを使用する細胞変性効果アッセイでウイルス複製の阻害が決定された。1抗ウイルス単位(U)で、単層の破壊が50%減少した。本明細書で説明されている研究に関して、特に断りのない限り、IFNτの比活性度は約1×108抗ウイルス単位/mgタンパク質であった。
【実施例1】
【0211】
多発性硬化症患者へのIFNτの投与
多発性硬化症を患っているヒトは、IFNτによる治療の臨床試験に登録された。15人の患者を3つの治療群に無作為に分け、I群の患者には、0.2mg/日(2×107U/日)の用量のIFNτを経口で与え、II群の患者には、0.8mg/日(8×107U/日)の用量のIFNτを経口で与え、III群の患者には、1.8mg/日(1.8×108U/日)の用量のIFNτを経口で与えた。
【0212】
IFNτによる治療前、スクリーニング日及び1日目に、基準血清サイトカイン濃度を判定するために、それぞれの被験者から血液試料を採取した。治療は、1日目の採血に続いてそれぞれの患者にIFNτを経口投与することにより開始された。投与の前に、IFNτ(配列番号3)のバイアル及び注射器を冷蔵庫に保管し、2から8℃に維持した。薬剤の自己投与の前に、患者は、1つのバイアル及び1つの注射器を冷蔵庫から取り出した。注射器の先端からキャップを取り外し、注射器の先端を薬剤のビンの中に入れ、1日目の診療で指示されたとおりに適切な量を注射器内に引き抜いた。注射器の先端を口に入れ、プランジャーを押して注射器内容物を口の中に空けた。次いで、患者は、嚥下し、望むならば、コップ1杯の水を飲むことが許された。患者は、自分のダイアリーカードに、投薬の投与日時を記録した。
【0213】
研究の1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目にそれぞれの患者から血液試料を採取した。市販のELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して、IL−10濃度及びIFN−γ濃度について試料を分析した。これらの結果は、図1A〜1D(IL−10)及び図2A〜2D(IFN−γ)、さらに、図3A〜3E(IL−10及びIFN−γ)に示されている。
【0214】
A.結果の統計的分析
再発寛解型多発性硬化症の15人の患者を、4週間にわたり1日1回3種類の用量(0.2mg、0.6mg、及び1.8mg)のうちの1つの用量のIFNτを使用し経口により治療した。血清試料は、スクリーニングと1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目に取得され、IL−10及びIFN−ガンマレベル(pg/ml)について評価された。3つの群の結果について、反復測定分散分析統計を使用して時間経過による評価を行った。90個のデータ点(1日目〜57日目)のうち、前値を繰り越すことにより9つの欠測値点に対する値を補完した。
【0215】
IL−10:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=2.92、P=0.0927)、時間の有意な影響もなく(F=0.70、P=0.6285)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=0.74、P=0.6803)。これは、28日の投薬期間と28日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIL−10レベルに変化がなかったことを示唆している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から29日目までの平均的変化は、それぞれ7%、3%、及び−25%であった。3つの投薬群に対する57日目までの平均的変化は、それぞれ10%、−10%、及び−39%であった。すべての場合において、3つの群すべてのデータは、変化が大きかった。
【0216】
IFN−γ:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=1.06、P>0.3769)、時間の有意な影響もなく(F=1.86、P=0.1140)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=1.45、P=0.1820)。これは、24日の投薬期間と28日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIFN−γレベルに変化がなかったことを示唆している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から29日目までの平均的変化は、それぞれ−63%、−14%、及び35%であった。3つの投薬群に対する57日目までの平均的変化は、それぞれ−27%、−46%、及び22%であった。IL−10の分析と同様に、3つの群すべてのデータは、変化が大きかった。
【実施例2】
【0217】
C型肝炎に感染している患者へのIFNτの1日3回投与
A.IFNτの調製
1日目に、1ビンのIFNτ(配列番号3)を冷蔵庫から取り出し、患者は、表2に従って適切な量の試験物質を自己投与した。IFNτ(配列番号2)も、同様に、用意し、投与することができる。
【0218】
【表4】
【0219】
B.患者服用指示
試験物質のすべてのバイアル及び注射器は、冷蔵庫に保管し、2から8℃に維持した。薬剤の自己投与の前に、患者は、1つのバイアル及び1つの注射器を冷蔵庫から取り出した。注射器の先端からキャップを取り外し、注射器の先端を薬剤のビンの中に入れ、1日目の診療で指示されたとおりに適切な量を注射器内に引き抜いた。
【0220】
注射器の先端を口に入れ、プランジャーを押して注射器内容物を口の中に空けた。次いで、患者は、試験物質を嚥下した。必要ならは、患者は、コップ1杯の水を飲むことが許された。患者は、自分のダイアリーカードに、試験物質投薬の投与日時を記録した。
【0221】
上記のステップを、朝1回、昼1回、夕方1回というように、約8時間間隔で1日に3回繰り返した。
【0222】
C.結果
169日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料を採取した。ELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用し、メーカーの取扱説明書に従って、血清中のIL−10レベル及びIFN−γレベルについて試料を分析した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使用したC型肝炎のウイルス価、2’、5’−オリゴアデニル酸シンセターゼ(OAS)、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清濃度も、決定され、ここに報告された。
【0223】
それぞれの被験者の結果は、図4A〜4D(IL−10レベル)及び図5A〜5D(IFN−γレベル)、及び図6A〜6F(IL−10及びIFN−γ)に示されている。
【0224】
D.結果の統計的分析
3つの群の結果について、反復測定分散分析統計を使用して時間経過による評価を行った。II群の1人の患者に対するデータは、欠測基準血清試料であるため使用されなかった。204個のデータ点(1日目〜169日目)のうち、前値を繰り越すことにより両方の測定に対する7つの欠測値点に対する値を補完した。
【0225】
IL−10:分析を行ったところ、3つの群の間に統計的有意な差があり(F=12.08、P=0.0009)、時間の有意な影響があり(F=11.20、P=0.0001)、有意な時刻別群相互作用もあった(F=7.88、P=0.001)。後者の所見は、3つの投薬群の間の時間によるIL−10応答率の差からはっきりわかる。最低投薬群(I群、0.33mg TID)では、1日目から43日目までの間にIL−10レベルが22%増加したが、II群(1mg TID)では、29日目にピーク応答が114%になった。対照的に、III群(3mg TID)では、43日目に387%増加し、71日目までにピークは484%であった。
【0226】
有意な相互作用項は、さらに、84日目に投薬が終了した後IL−10レベルの投薬群間の差の減少により裏付けられ、I群は、85日目の11%利得から169日目の4%に減少し、II群は、同じ期間に95%から0.5%に減少した。したがって、2つの最低投薬群は、投薬終了後に基準6カ月に戻った。しかし、最高投薬群(III群、3mg TID)は169日目までに453%から194%に減少し、そのため、まだ、投薬が停止してから基準6カ月にわたって実質的な増加を示していた。
【0227】
IFN−γ:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=1.13、P>0.3499)、時間の有意な影響もなく(F=1.55、P=0.1187)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=1.39、P=0.1275)。これは、84日の投薬期間と84日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIFN−γレベルに有意な変化がなかったことを示している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から85日目までの平均的変化は、それぞれ−6%、8%、及び7%であった。興味深いことに、3つの投薬群に対する169日目までの平均的変化は、それぞれ4%、21%、及び31%であり、投薬終了後に投薬応答のあることが示唆されている。
【実施例3】
【0228】
C型肝炎に感染している患者へのIFNτの1日2回投与
C型肝炎に感染している5人の患者を研究のため募集した。患者は、実施例2の方法に従ってIFNτで治療され、それぞれの患者は、1日に2回、7.5mg、合計1日用量15mg(1.5×109U)を受け取った。初回投薬は、朝、食事前に摂取された。第2回投薬は、夕食から少なくとも3時間後に摂取された。
【0229】
113日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料を採取した。それらの試料は、市販のELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して血清中のIL−10、IL−12、及びIFN−γレベルについて分析された。結果は、患者のうち4人ついて、図7A(IL−10)、図7B(IFN−γ)、及び図8A〜8D(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)に示されている。
【実施例4】
【0230】
乾癬の治療のためのIFNτの投与
頭皮を除く体表面の少なくとも10%を覆う慢性尋常性乾癬(尋常性乾癬)の臨床診断のあった45人の患者を3つの治療群に無作為に分けた。I群は、IFNτの1日用量を3mgとして1日3回1mgのIFNτを経口投与して治療された。II群は、IFNτの1日用量を9mgとして1日3回3mgのIFNτを経口投与して治療された。III群は、プラセボで治療された。IFNτの抗ウイルス活性は、約5×108抗ウイルス単位/mgタンパク質と判定され、3mg用量は1.5×109単位/日に対応し、9mg用量は、4.5×109単位/日に対応する。IFNτは、薬剤として許容される賦形剤で液体として与えられ、それぞれの患者に即座に嚥下され、消化される。投薬は、84日間続く。
【0231】
治療の14日前に始まり、治療の最初の日の後、それぞれの患者は、Physician’s Static Global Assessment(PSGA)を使用して毎日評価される。0、1、2、3、4、又は5のPSGAスコアが、以下の基準に基づいてそれぞれの患者に割り当てられる。
0=残留変色を除き明瞭、
1=病変の大半は、平均すると1になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
2=病変の大半は、平均すると2になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
3=病変の大半は、平均すると3になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
4=病変の大半は、平均すると4になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
5=病変の大半は、平均すると5になる硬結、紅斑、及び落屑を有する。
【0232】
硬結スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=プラーク増大の証拠はない、
1=最小のプラーク増大、約0.5mm、
2=軽度のプラーク増大、約1mm、
3=中程度のプラーク増大、約1.5mm、
4=際だったプラーク増大、約2mm、
5=重度のプラーク増大、約2.5mm以上。
【0233】
落屑スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=落屑の証拠はない、
1=最小、病変の5%未満にときおり細かな鱗屑がある、
2=軽度、細かな鱗屑がたくさんある、
3=中程度、粗い鱗屑がたくさんある、
4=顕著、厚いが、ねばり強くない鱗屑がたくさんある、
5=重度、非常に厚く、ねばり強い鱗屑がたくさんある。
【0234】
紅斑スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=紅斑の証拠はない、色素沈着過度が存在しうる、
1=かすかな紅斑、
2=薄赤み、
3=中程度の赤み、
4=真っ赤、
5=ほの暗い赤から深紅まで。
【0235】
それぞれの患者は、さらに、治療前に乾癬面積と重症度指数(PASI)評価を与えられる(Fredrikkson、T.ら、Dermatologica、157:238(1978))。PASIスコアは、Fredrikksonら(上記)に従って、患者の頭部、胴体、上肢、及び下肢の病変の範囲及び重症度の評価から計算される。
【0236】
84日の投薬期間に、それぞれの患者は、1日目、8日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、及び85日目に評価され、PASIスコア及びPSGAスコアを与えられる。研究後に、それぞれの患者は、再び、113日目と169日目に評価される。
【0237】
患者は、0、1、又は2のPSGA、及び/又はPASIスコアで75%の改善を達成する。
【実施例5】
【0238】
第2の薬剤と組み合わせたIFNτの投与
多発性硬化症を患っている患者は、IFN−τにより治療され、1日2回、合計用量5.5×108Uを経口投与される。28日毎に1回、患者は、3mg/kgの用量のナタリズマブの静脈内注射により治療される。患者は、この計画に従って6カ月間治療され、その後、非造影プロトン密度T2強調MRI及びガドリニウム造影T1強調MRI走査を使用して脳障害について評価される。治療中、サイトカイン(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)レベルの分析のため血液試料が採取される。
【実施例6】
【0239】
第2の薬剤と組み合わせたIFNτの投与
心臓移植患者は、1日2回、合計用量5.5×108UのIFN−τを経口投与し、ミコフェノール酸モフェチルを500mg/日の用量で経口投与することにより治療される。治療中、サイトカイン(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)レベルの分析のため血液試料が定期的に採取される。治療は、患者の生存期間中続く。
【実施例7】
【0240】
アルツハイマー病に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがアルツハイマー病の治療にどのように好都合であるかを示す。アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルが使用される。マウスの一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、何も受けない。IFNτによるトランスジェニックマウスの治療は、プラークの負担の減少、アミロイドベータペプチドの脳中レベルの減少、及びミクログリアと星状細胞の活性化の減少を示すことが予想される。
【0241】
APPV717F突然変異を持つ90日齢のヘテロ接合オスPDAPPトランスジェニックマウス(つまり、Murrell、J.ら、Science 254(5028):97−99(1991)で説明されているように、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の膜貫通領域内でValをPheに置き換える)をTaconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から購入し、「NIH実験動物世話利用ガイド(NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)」に従い標準実験条件の下で飼うことができる。マウスは、12時間明るくし、12時間暗くするサイクルで保持することができる。マウスが動物用のえさと生水に自由に接近することを許すことができる。
【0242】
プラークの負担を調べるためのマウスの脳の免疫組織化学的及び組織学的染色は、例えば、Weiner、H.L.ら、Ann.Neurol.48:567−579(2000)で説明されているように実施できる。簡単に言うと、ホルマリンで固定された脳組織をトリス緩衝食塩水で洗浄し、脱水し、パラフィン内に埋め込むことができる。脳組織の矢状断面(例えば、10マイクロメートルの断面)を空気乾燥させ、1時間かけて58℃で焼くことができる。断面をHistoclear(National Diagnostics、ジョージア州アトランタ)で脱パラフィン処理し、エタノールから水に徐々に変えることで再水和することができる。
【0243】
様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。
【実施例8】
【0244】
肝線維症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτ治療が肝線維症の治療にどのように好都合であるかを示す。四塩化炭素処理により実験動物に肝線維症を誘発させる。四塩化炭素処理された動物からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。四塩化炭素処理されたラットは、IFNτで治療されたときに疾病の進行の低下を示すことが予想される。
【0245】
実施例7で説明されているように、体重200から250グラムのSprague−Dawleyラットを、Taconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から購入して飼うことができる。
【0246】
Zhang、L.J.ら、World J.Gastroenterol.10(1):77−81(2004)で説明されているように、四塩化炭素を腹腔内投与することにより肝線維症を誘発することができる。簡単に言うと、ラットは、週2回2ml/kgの用量で50%四塩化炭素塩水の腹腔内投与を受ける。
【0247】
肝臓組織をホルマリンで固定し、パラフィンに埋め込むことができる(Zhang、L.J.ら、World J.Gastroenterol.10(1):77−81(2004))。断面を、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色し、光学顕微鏡の下で調べることができる。線維症の段階は、Desmet、V.J.ら、Hepatology 19:1513−1520(1994)又はChevallier、M.ら、Hepatology 20:349−355(1994)で述べられている基準に従って評価することができる。
【0248】
肝臓内のヒドロキシプロリン含有量を決定するために、肝臓をまず均質化して粉末にし、6Mの塩酸で加水分解することができる。(Weng、H.L.ら、World J.Gastroenterol.7(1):42−48(2001))ヒドロキシルプロリン含有量は、Kivirikko、K.L.ら、Anal.Biochem 19:249−255(1967)で説明されているように測定することができる。
【0249】
ラットは、四塩化炭素の投与前、投与中、又は投与後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例9】
【0250】
肺線維症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτ治療が肺線維症の治療にどのように好都合であるかを示す。ブレオマイシン処理により実験動物に肺線維症を誘発させる。ブレオマイシン処理された群からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。気管支肺胞洗浄及び血清TNF−アルファのミエロペルオキシダーゼ活性などの炎症の指標を監視する。組織ヒドロキシプロリン含有量を測定することで、線維症の程度を監視する。ブレオマイシン処理されたマウスをIFNτで治療すると、ヒドロキシプロリン含有量を測定することで決定されるとおり、線維症の程度が減少することが予想される。また、IFNτは、治療マウスと対照マウスの炎症マーカー(TNF−アルファmRNAにより決定される、ミエロペルオキシダーゼ活性及びTNF−アルファの量)を減少させることが予想される。
【0251】
8週齢のオスC57BL/6マウスをHarlan(インディアナ州インディアナポリス)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0252】
肺線維症を誘発させるために、マウスに、気管内ブレオマイシンを1回服用させることができる(0.8mg/kg)(Arai、T.ら、Am J.Physio.Lung Cell.Mol.Physio.278:L914−L922(2000))。対照マウスを賦形剤で治療する。マウスは、セボフルランの吸入により、7日後に(炎症指標を調べるために)、又は21日後に(繊維化指標を調べるに)屠殺することができる。その後、肺を摘出し、右心室から血液を取り出すことができる。1mlの等張食塩水を吹き込んで気管支肺胞洗浄を実施し、気管内カニューレで肺から引き抜くことができる。
【0253】
気管支肺胞洗浄のミエロペルオキシダーゼ活性は、当業で知られているように決定することができる(Arai、T.ら、Am J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.278:L914−L922(2000))。簡単に言うと、気管支肺胞洗浄は、5分間、400gで遠心分離機にかけることができる。細胞ペレットを0.1M K2HPO4緩衝液中に再懸濁させ、90秒間、超音波処理することができる。0.25%ウシ血清アルブミンを含むHanks’ BSS 0.3ml、0.1 MK2HP04(pH7.0)0.05ml、1.25mg/mlのo−ジアニシジン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)0.05ml、及び0.05% H2O2 0.05mlを使用して、12,000gで10分間遠心分離機にかけた後、浮遊物を混合し、10分間、25℃でインキュベートすることができる。反応は1% NaN3 0.5ml加えることにより終了させ、吸収率は460nmで測定することができる。
【0254】
ブレオマイシン処理されたマウスは、ブレオマイシンが導入されるのと同時に、又は投与の前、又は投与の後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群の中のブレオマイシン処理マウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例10】
【0255】
抗リン脂質症候群(APS)に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがAPSの治療にどのように好都合であるかを示す。APSは、ヒト免疫グロブリンG(IgG)抗カルジオリピン抗体の注射により実験動物において誘発される。抗体処理された群からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。1本の大腿静脈を傷つけて血栓を誘発させ、対照及びIFNτ治療動物における、形成する血栓のサイズとともに、血栓の形成及び消失の時期を、治療の有効性の指標として使用する。IFNτで抗体処理マウスを治療すると、形成する初期血栓のサイズが減少し、血栓が形成するのに要する時間が延び、血栓が消失する時間が短縮することが予想される。
【0256】
T細胞欠損の、一連の交配及び戻し戻し交配を通じてヌード遺伝子をCD−1マウスに移すことで開発された通常のオスCD−1(登録商標)Nude Mice(Crl:CD−1(登録商標)−nuBR、非近交系)を、Charles River Laboratories(マサチューセッツ州ウィルミントン)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0257】
IgGは、タンパク質GセハロースクロマトグラフィによりAPSを持つ患者の血清から分離することができる。(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。IgGの純度は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により、150kDの単一帯域を観察することにより決定することができる。タンパク質濃度は、ローリー法により決定することができる。タンパク質濃度を無菌食塩水で調節した後、溶液をろ過して殺菌してから動物に注射することができる。
【0258】
1日目、7日目、14日目、及び21日目に、アジュバント(Adju−Prime、Pierce Chemical Co.)の150μgのIgG−APSを皮下注射することによりマウスを免疫することができる(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。1週間間隔で血液標本をそれぞれの動物から採取し、マウス抗カルジオリピン抗体が存在しているかどうかを試験することができる。マウス抗カルジオリピン抗体(IgG及びIgM)は、当業で知られているように、例えば、Pierangeli、S.S.ら、Thromb.Haemost.74:1361−1367(1995)で説明されているように、酵素免疫測定法(ELISA)により決定することができる。アルカリ性ホスファターゼ抗マウスIgG及び抗マウスIgMをELISAプロトコルにおいて二次抗体として使用することができる。呈色反応は、陽性の対照(例えば、約100Gのリン脂質単位)が1.0D単位に到達したときに(典型的には、約20又は30分以内)停止されうる。
【0259】
マウスが比較的高いレベルの抗カルジオリピン抗体(例えば、約0.8OD、典型的には免疫してから約2週間後に出現)を産生することがわかった後、Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996)で詳しく説明されているように、傷つまみにより血栓が誘発される。簡単に言うと、膝にまで及ぶマウス右鼠径部縦切開を行う前に、麻酔薬(ペントバルビタールナトリウム、腹腔内に60nmg/kg)で処理することができる。右大腿静脈を切開して遊離させ、ピンセットをくっつけて平坦な円形対向面(直径約0.1mmとしてよい)が合わさりつまみ傷ができるようにすることにより、標準化血栓形成損傷を静脈内に作ることができる。
【0260】
光ファイバデバイスを使用して、静脈に光を透過させ、閉回路ビデオシステム(NEC−NC−A/CCD Camera、NEC,USA,Inc.)、Panasonic 12インチカラーモニタ、及びU−Matic V−5800レコーダ(Sony Corp.)を備える3室立体手術用顕微鏡(ERNST、Leitz GMBH、Wetzlar)を使用して、血栓のサイズ及び出現と消失の測度を視覚化し、測定することができる(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。
【0261】
APS患者からの抗体を注射した後、IFNτでマウスを治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例11】
【0262】
脳卒中に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが脳卒中の治療にどのように好都合であるかを示す。脳卒中を、実験動物に対し中大脳動脈を管腔内縫合で閉塞することにより誘発させる。脳卒中誘発群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、脳梗塞サイズの決定、脳内のアポトーシスを起こした細胞核の測定、当業で知られている尺度を使用した挙動の評価により評価することができる。脳卒中を起こし、IFNτで治療されたマウスは、対照マウスと比較したときに、脳梗塞サイズの減少、脳のアポトーシスを起こした核の減少、及び神経機能の改善を示すことが予想される。
【0263】
オスのSprague Dawley新生児ラット(9から11日齢)を、Taconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から入手することができる。マウスは、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0264】
Maier、C.M.ら、J.Neurosurg 94:90−96(2001)及びBright、R.ら、J.Neurosci.24(31):6880−6888(2004)で説明されているように、閉塞管腔内縫合を使用してSprague Dawleyラットに脳虚血を誘発させることができる。簡単に言うと、動物にイソフルレンの麻酔を掛けた後、3−0ナイロン縫合糸のコーティングしていない30mm長のセグメントの先端を火炎で丸める。縫合糸を外頸動脈の切り株部に挿入し、内頸動脈内の二股から約19から約20mmのところまで進め、中大脳動脈の口を閉塞する。虚血してから2時間後に、縫合糸を取り除き、動物を回復させることができる。
【0265】
挙動は、Bright、R.ら、J.Neurosci.、24(31):6880−6888(2004)で説明されている1〜4の尺度を使用して、再灌流してから24時間後に評価することができ、この尺度は、グレード1:通常の姿勢、任意の方向への自発運動、グレード2:尾を持ち上げられたときに一方向に前足を伸ばす、グレード3:同時歩行するときに両前足を伸ばし、旋回パターンを取る、グレード4:異常姿勢、前足を伸ばし、旋回パターンを取り、自発歩行できない、というものである。
【0266】
アポトーシスを起こした細胞核は、Bright、R.ら、J.Neurosci.24(31):6880−6888(2004)で説明されているように、末端デオキシヌクレオチド転移酵素仲介性ビオチンUTPニック末端標識(TUNEL)により測定することができる。簡単に言うと、2時間中大脳動脈閉塞を受けた動物を、再灌流から72時間後に屠殺し、通常の塩水で、続いて4%のパラホルムアルデヒドで心臓灌流させることができる。脳を分離し、4%のパラホルムアルデヒドで一晩固定し、約2から約3日間30%のショ糖に浸け、OCT抗凍結剤(Tissue−Tek、Miles、Eklkart、IN)で急速凍結することができる。
【0267】
それぞれの脳の同等の中脳領域から、それぞれの切片が少なくとも48μm隔てられた冠状切片(16μm)を取り出すことができる。スライドを染色し、それぞれの切片の同側皮質内の4つの定められた領域を撮像することができる。
【0268】
ラットは、虚血の誘発前、誘発中、又は誘発後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例12】
【0269】
視神経炎に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが視神経炎の治療にどのように好都合であるかを示す。実験的アレルギー脳炎(EAE)、視神経炎の動物モデルを試験動物に誘発させる。EAE誘発群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、軸索脱髄の程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されたEAE誘発マウスは、対照マウスと比較すると、軸索脱髄の減少を示すことが予想される。
【0270】
SJL/JマウスをJackson Laboratory(メイン州バーハーバー)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0271】
EAEは、例えば、Guy、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:13847−13852(1998)で説明されているように、項部内に皮下注入できる完全フロインドアジュバントの相同脊髄乳濁液で感作化することにより試験マウス内に誘発することができる。
【0272】
脱髄の程度は、Guy、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:13847−13852(1998)で説明されているように、視神経の軸索伝達電子顕微鏡写真から導かれたミエリン鞘の測定閾値により定量することができる。
【0273】
簡単に言うと、マウスは、0.1M PBS緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドからなる固定剤による心臓破裂で犠牲にし、灌流させることができる。付着する視神経のある目を解剖することができ、組織標本を、5%のアクロレイン、0.1M カコジル酸ナトリウム−HCL緩衝液(pH7.4)、及び7%のショ糖中で後固定し、エタノール系に通して脱水し、50℃で一晩重合させることができるLR Whiteに埋め込む。超薄切片(例えば約90mm)を免疫細胞化学用のニッケルグリッド上に置くことができる。30分間Tween 20とともに0.01M TBS(pH7.2)中の2%の硬骨魚ゼラチン及び2%の脱脂粉乳上に浮かばせることにより、抗体の非特異的結合を阻止することができる。次いで、グリッドをウサギ抗アルブミン抗体と反応させ、洗浄し、その後、室温で約1時間10nmの金に結合された二次ヤギ抗ウサギIgG抗体と反応させることができる。次に、グリッドを脱イオン水ですすぐことができる。事後染色せずに、透過電子顕微鏡により免疫標識標本の写真を撮ることができる。
【0274】
脊髄乳濁液を注入する前、又は脊髄乳濁液を注入下後、又は視神経炎が誘発された後、マウスをIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例13】
【0275】
慢性閉塞性肺疾患に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが慢性閉塞性肺疾患の治療にどのように好都合であるかを示す。慢性気管支炎及び肺気腫を含む、慢性閉塞性肺疾患と診断された患者は、IFNτで治療される。IFNτ治療の保護効果は、肺機能の改善を決定することにより評価することができる。IFNτで治療される患者は、肺機能の改善を示すことが予想される。
【0276】
慢性閉塞性肺疾患と診断された被験者は、0.5×109抗ウイルス単位を超えるIFNτを毎日使って治療することができる。肺機能の改善は、当業で知られているような肺活量計で評価することができる。
【実施例14】
【0277】
自閉症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが自閉症の治療にどのように好都合であるかを示す。自閉症と診断された患者は、IFNτで治療される。IFNτ治療の有利な効果は、患者の以前の挙動の変化を判定することにより評価することができる。IFNτで治療された患者は、挙動の好ましい変化を示すことが予想される。
【0278】
自閉症と診断された被験者は、0.5×109抗ウイルス単位を超えるIFNτを毎日使って治療することができる。社会的技能、発話、コミュニケーション、及び/又は反復挙動と日常作業の改善を含む、挙動の変化は、当業者に知られている方法により評価することができる。
【実施例15】
【0279】
アテローム性動脈硬化症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがアテローム性動脈硬化症の治療にどのように好都合であるかを示す。アテローム性動脈硬化症は、低密度受容体(LDL)−欠損マウスにおいて、高コレステロールの食べ物を与えることにより誘発される。マウスの一群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、マウスに発生する動脈硬化性プラークの程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されたマウスは、対照マウスと比較すると、動脈硬化性プラークの減少を示すことが予想される。
【0280】
LDL受容体欠損マウスをJackson Laboratoryから購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0281】
アテローム性動脈硬化症は、Lichtman、A.H.ら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.19:1938−1934(1999)で説明されているように、高脂肪、高コレステロールの食事を与えることによりマウスに誘発させることができる。
【0282】
アテローム性動脈硬化症で塞がれている大動脈の表面積は、見開きのオイルレッドO染色により定量することができ、これについては、Lichtman、A.H.ら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.19:1938−1934(1999)で詳述されている。簡単に言うと、マウスは、特定の食事で12週経過した後にエーテル吸入で犠牲にできる。左心室及び動脈樹をPBSで灌流した後、心臓に結合している大動脈全体を解剖し、一晩ホルムアルデヒドに浸けておくことができる。次いで、大動脈をオイルレッドOで染色し、外膜脂肪を除去し、大動脈を縦に開き、黒色のシリコーンで覆われた皿上に見開きでピン留めし、PBSに浸けたまま写真に撮ることができる。次いで、スライドを走査してコンピュータに取り込み、オイルレッドO染色病変で塞がっている表面積の割合を画像解析ソフトウェア(NIH Image)を使用することにより決定することができる。
【0283】
マウスは、コレステロールを多く含む食事にありついているときにIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群のマウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例16】
【0284】
自己免疫疾患に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがマウスのコラーゲン誘発関節炎(CIA)の治療及び/又は予防にどのように好都合であるかを示す。CIAは、II型コラーゲンの注入によりBalb Cマウスに誘発される。誘発の前に、マウスは、IFNτ治療を受ける。IFNτ治療の有利な効果は、マウスのCIAの発生の程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されるマウスは、疾病の発生の減少を示すことが予想される。
【0285】
Balb CマウスのCIAの発生の抑制は、CIAの誘発のためチキンII型コラーゲンで免疫付与した日にBalb Cマウスに単一の用量のIFNτを注射することにより実施できる。コラーゲンをH37Raとともに完全フロインドアジュバント中で乳濁化し、尾の根元のいずれかの側に注射することができる。免疫付与した日に、48時間経ってから、百日咳毒素も注射することができる。
【0286】
組換え型ヒツジIFNτは、合成遺伝子構造物を使用してピキアパストリス内に発現できる。SDS−PAGE及び銀染色法による決定に従い、タンパク質は、培養基内に分泌され、連続DEAE−セルロース及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィにより電気泳動的に均一に精製されるようにできる。
【0287】
マウスは、CIAの標識について毎日調べることができる。疾病の重症度は、1.一方のつま先の赤み、2.一方のつま先の赤み及び腫れ、3.一方のつま先の変形、4.それぞれの追加のつま先について、指数が指数に加えられる、という4つの尺度に基づいて関節炎指数として等級分けすることができる。
【0288】
マウスは、移植手術後、IFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群のマウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例17】
【0289】
臓器移植拒絶反応に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが臓器移植拒絶反応を予防又は他の何らかの形で寛解するのにどのように好都合であるかを示す。ラットモデルにおける腎臓移植が実施される。ラットの一群は、IFNτを受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。腎臓同種移植生存及び選択された免疫系細胞の存在により測定されるような、同種移植拒絶反応におけるIFNτの効果が調べられる。IFNτによる治療は、腎臓同種移植生存率を高め、移植片内の選択された免疫系細胞の存在を減少させることが予想される。
【0290】
Inbred Fisher 344(F344)及びLewisラットをCharles River Italia(イタリア、カルコ)から購入することができる。Lewisラットを臓器被提供者とし、Fisherラットを臓器提供者とすることができる。これらの動物は、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0291】
腎臓移植は、Noris、M.ら、J.Am.Soc.Nephrol.、12:1937−1946(2001)で説明されているように行うことができる。簡単に言うと、左提供者腎臓を取り除き、腎血管がすでに分離され、固定されている、また左自然腎が取り除かれている被提供者の中の同じ位置に配置することができる。腎動脈、静脈、及び尿管の端々吻合術は、10−O Prolen縫合糸を使用して実施することができる。右自然腎は、手術後11日目に取り除くことができる。動物は移植された腎機能に依存するため、完全同種移植障害は、動物の死亡として定義することができる。
【0292】
選択された免疫系細胞の免疫組織化学分析は、Noris、M.ら、J.Am.Soc.Nephrol.、12:1937−1946(2001)で説明されているように行うことができる。簡単に言うと、マウスのモノクローナル抗体は、1)ED1抗原、2)ラットMHCクラスII抗原単源性決定因子、3)CD4細胞表面糖タンパク質、4)ラットCD8細胞表面糖タンパク質、5)ラット樹状細胞制約抗原の検出に使用することができる。すべての抗原は、間接的免疫蛍光技術により分析することができる。
【0293】
ラットは、移植手術後、IFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群のラットは、賦形剤のみを受ける。
【0294】
本発明は、特定の実施形態に関して説明されているが、これは、本発明から逸脱することなく、様々な変更及び修正を加えられることは当業者には明白なことであろう。
【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1A】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで0.2mgのIFNτ(図1A)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1B】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで0.6mgのIFNτ(図1B)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1C】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで1.8mgのIFNτ(図1C)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1D】1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(菱形、群I)、0.6mgのlFNτ(正方形、群II)、及び1.8mgのIFNτ(三角形、群III)で毎日治療される試験群I、II、及びIIIのそれぞれに属す患者に対する平均IL−10血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。
【図2A】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(図2A)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2B】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、0.6mgのIFNτ(図2B)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2C】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、1.8mgのIFNτ(図2C)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2D】1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(菱形、群I)、0.6mgのlFNτ(正方形、群II)、及び1.8mgのIFNτ(三角形、群III)で毎日治療される試験群I、II、及びIIIのそれぞれに属す患者に対する平均IFN−γ血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。
【図3A】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3B】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3C】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3D】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3E】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図4A】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群Iに属す6人の患者(図4A)について日数の関数として示すグラフである。
【図4B】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIに属す6人の患者(図4B)について日数の関数として示すグラフである。
【図4C】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIIに属す6人の患者(図4C)について日数の関数として示すグラフである。
【図4D】血清IL−10レベルの増加率を試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(正方形、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図4A〜4Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。
【図5A】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群Iに属す6人の患者(図5A)について日数の関数として示すグラフである。
【図5B】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIに属す6人の患者(図5B)について日数の関数として示すグラフである。
【図5C】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIIに属す6人の患者(図5C)について日数の関数として示すグラフである。
【図5D】平均血清IFN−γレベルを試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(円、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図5A〜5Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。
【図6A】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6B】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6C】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6D】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6E】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6F】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図7A】IFNτ 7.5mgを毎日2回空腹時に投薬した場合の、C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受けている患者のIL−10血清レベル(図7A)を日数の関数として示すグラフである。
【図7B】IFNτ 7.5mgを毎日2回空腹時に投薬した場合の、C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受けている患者のIFN−γ血清レベル(図7B)を日数の関数として示すグラフである。
【図8A】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8B】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8C】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8D】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェロン−タウ(IFNτ)を含む薬剤組成物及びその使用の方法に関する。より具体的には、本発明は、IFNτを単独で又は1種若しくは複数の治療薬と併用して投与することにより哺乳類のインターロイキン10(IL−10)療法に応答性のある疾病又は疾患を治療する方法に関する。本発明は、さらに、IL−10の生産を刺激し、及び/又はインターロイキン12(IL−12)産生の減少を引き起こすことにより、IL−10及び/又はIL−2の血中レベル(level)を調節する方法にも関する。本発明は、さらに、インターフェロンガンマ(IFN−γ)の血中レベルの上昇を防ぐ方法にも関する。本発明は、さらに、インターフェロン−タウ及び1種又は複数の追加の薬剤を使用する併用療法にも関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン−タウ(これ以降「IFNτ」又は「インターフェロン−τ」)は、元々、反芻動物受胎産物の栄養外胚葉により生産される妊娠認識ホルモンとして発見された(Imakawa、K.ら、Natures、330:377−379、(1987)、Bazer、F.W.、及びJohnson、H.M.、Am.J.Repro.Immunol.、26:19−22、(1991))。IFNτ遺伝子の分布は、ウシ、ヒツジ、及びヤギを含む反芻動物に限られる(Alexenko、A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、19:1335−1341、(1999))が、ヒト及びマウスを含む他の種に属す細胞においても活性を有することが証明されている(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991)、Alexenko、A.P.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、20:817−822、(2000))。例えば、IFNτは、抗ウイルス性(Pontzer、C.H.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、152:801−807、(1988))、抗増殖性(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991))、及び免疫調節作用(Assal−Meliani、A.、Am.J.Repro.Immunol.、33:267−275(1995))を有することを実証されている。
【0003】
IFNτは、インターフェロン−α及びインターフェロン−βなどのI型インターフェロンと古典的に関連する活性の多くを示すが、IFNτと他のI型インターフェロンとの間にはかなりの相違が存在する。最も顕著な違いは、反芻動物種の妊娠に対するIFNτの役割である。他のインターフェロンは、妊娠認識において類似活性をいっさい有しない。また、ウイルス誘導も異なる。IFNτを除くすべてのI型インターフェロンは、ウイルス及びdsRNAにより容易に誘導される(Robertsら、Endocrine Reviews、13:432(1992))。誘導されたIFN−α及びIFN−βは、一時的であり、約数時間続く。対照的に、IFNτ合成は、いったん誘導されると、数日間にわたって維持される(Godkinら、J Reprod.Fert.、65:141(1982))。1つ1つの細胞について、他のI型インターフェロンよりも300倍以上多いIFN−τが生産される(Cross、J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3817−3821(1991))。
【0004】
IFNτ及び他のI型インターフェロンのアミノ酸配列にもう1つ違いがある。インターフェロンα2b、β1、ω1、及びτの間のアミノ酸配列類似率を以下の表にまとめた。
【0005】
【表1】
【0006】
組換え型ヒツジIFNτは、IFNα2bに48.8パーセント相同性を有し、IFNβ1に33.8パーセント相同性を有する。IFNτとIFNαとの間、及びIFNτとIFNβとの間にこのような相同性があるため、対象に投与されたときにIFNτがIFNα又はIFNβと同じように挙動するかどうかを予測することはできない。IFNτは、また、ヒト細胞のI型受容体について低い受容体結合親和性を有すると報告されている(Brod、S.、J.Interferon and Cytokine Res.、18:841(1999)、Alexenko、A.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、17:769(1997))。さらに、IFNτが非内因性ヒトタンパク質であるという事実から、IFNτが人体に注射されたときに全身性中和抗体形成の潜在性が生じる(Brod、S.、J.Interferon and Cytokine Res.、18:841(1999))。IFNτと他のインターフェロンとの間にこのような違いがあるため、IFNτがヒトに投与されたときに治療的有用性をもたらすかどうかを予測することは困難である。
【0007】
IFNτだけでなく、一般にタンパク質及びポリペプチドを使用するうえでの1つの制限因子は、非経口で与えられたときに血漿タンパク質及び血液細胞とのタンパク質相互作用の影響を受ける生体内分布に関係する。経口投与経路は、酸性条件により意図された標的に到達する前に分子を破壊する可能性のある、胃におけるタンパク質分解のせいでなおいっそう問題がある。例えば、胃及び膵酵素の作用により生成される、ポリペプチド及びタンパク質断片は、腸刷子縁膜内のエクソペプチダーゼ及びエンドペプチダーゼにより切断され、ジペプチド及びトリペプチドを生み出す。膵酵素によるタンパク質分解が避けられた場合、ポリペプチドは、刷子縁ペプチダーゼによる分解を受ける。胃通過を生き延びた可能性のあるポリペプチド又はタンパク質は、貫通障壁が細胞内への進入を防ぐ腸粘膜内の代謝作用を受ける。このような理由から、研究は、一定時間口腔内に保持されるトローチ剤又は溶液の形態でタンパク質を経口咽頭部に送達することに主に集中した。
【0008】
サイトカインは、免疫細胞の生存、増殖、分化、及びエフェクター機能を制御する分泌調節タンパク質である。サイトカインは、増殖因子、コロニー刺激因子、インターロイキン、リンフォカイン、モノカイン、及びインターフェロンと様々に知られているこれら一群の調節因子を包含する。これらは、特定の標的細胞と相互作用し動物の状態に関する情報を伝達する細胞外培地内に見られる分子であり、標的組織内に適切な生物学的反応を生じさせる。
【0009】
サイトカインは、ヘルパーT(Th)細胞を含む様々な細胞により産生される。Th細胞は、Th1とTh2の2つの機能的部分集合に分けられ、これらは、分泌するサイトカインのパターンにより区別することができる。Th1細胞は、とりわけ、インターロイキン−2、インターフェロン−ガンマ、THFアルファ及びベータ、並びにリンホトキシンを分泌し、細胞性免疫反応を引き起こす役割を有する。この反応は、特定の細菌及びウイルスなどの細胞内病原体を適切に除去するために重要である。Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−10、及びIL−13を分泌し、B細胞による高レベルのIgG1、IgA、及びIgE生産を引き起こす、また好酸球などのエフェクター細胞を活性化する役割を有する。
【0010】
Th1又はTh2のいずれかの細胞となりうる、方向付けられていない前駆細胞を代表する活性化T細胞の比較的大きな母集団が存在することが多い。Th1又はTh2表現型への方向付けは、抗原刺激の直後に発生するように見え、特定の細胞表面マーカー及び細胞シグナリング成分の発現の変化により特徴付けられる。サイトカインは、Th1及びTh2分化に関与するように思われ、存在するサイトカイン環境はTh1又はTh2増殖に影響を及ぼす可能性がある。したがって、Th1又はTh2細胞集団を調節する方法、特にTh1細胞を減らしてTh1産生サイトカインを減少させ、Th2細胞を増やしてTh2産生サイトカインを増加する方法が求められる。
【0011】
分極又は偏向されたTh2応答を発生するこのような方法は、Th2細胞産生サイトカインが存在することで、疾病の発症及び重症度と相関することが実証されている。例えば、IL−10療法が効く、又は他の何らかの形で、IL−10と特定の疾病又は疾患との間のある連関を示すことが証明又は示唆されている疾病は、肝線維症(Nelson、D.R.ら、Hepatology 38(4):859−868(2003)、Louis、H.、Acta Gastr.Belg.66(1):7−14(2003))、肺線維症(Aral、T.ら、Am.J.Physiol.Lung.Cell.Mall Physiol.278:L914−L922(2000))、アルツハイマー病(De Luigi、A.ら、Mech.Age.Dev.(16):1985−1995(2001)、Remarzue、E.J.、及びBollen、E.L.、Exp.Gerontol.36(1):171−176(2001)、Town、T.ら、J.Neuroimmunol.132(1−2):49−59(2002))、卒中(Frenkel、D.ら、J.Immunol.171(12):6549−6555(2003))、抗リン脂質症候群(Krause、Iら、Eur.J.Immunol.32(12):3414−3424(2002))、アテローム性動脈硬化症(Ohashi R.ら、Med Sal Monit 10(11):RA255−60(2004)、Zimmerman MAら、J Surg Res 121(2):206−13(2004)、Fichtlscherer Sら、J Am Coll CardioI 44(1):44−9(2004)、Potteauz Sら、Arterioscler Thromb Vasc Biol 24(8):1474−8(2004))、臓器移植の拒絶反応(Zheng HXら、J Heart Lung Transplant 23:541−6(2004)、Fischer S.ら、J Thora Cardiovas Surg 126:1174−80(2003)、Sembeil Rら、Transpl Immunol 13(1):1−8(2004))、自閉症(Jyonouchi、H.ら、J.Neuroimmun.120:170−179(2001))、慢性閉塞性肺疾患(Takanashi、S.ら、Eur.Respir.J.14:309−314(1999))、I型真性糖尿病(Slavin AJら、Int Immunol 13(6):825−33(20010、Zhang ZLら、Acta Pharmacol Sin 24(8):751−6(2003))を含む様々な自己免疫疾患、関節リュウマチ(Tanaka Yら、Inflamm Res 45(6):253−8(1996)、Detanico Tら、Clin Exp Immunol 135(2):336−42(2004)、Driessler Fら、Clin Exp Immunol 135(1):64−73(2004))、乾癬(Asadullah Kら、Pharmacol Rev 55(2):241−69(2003)、Asadullah Kら、Curr Drug Targets Inflamm Allergy 3(2):185−92(2004))、多発性硬化症(Soosら、J Neuroimmunol 75:43−50(1997))を含む関節炎、ブドウ膜炎(Kezuka、T.ら、J.Immunol.173(2):1454−1462(2004)、Sun,B.ら、Exp.Eye Res.70:493−502(2000))、アレルギー(Zuany−Amorim、C.ら、J.Clin.Invest.95:2644−2651(1995)、Borish、L.ら、J.Allergy Clin.Immunol 97:1288−1296(1996))、炎症性大腸炎(Li MC及びHe SH、World J Gastroenterol 10(5):620−5(2004)、Braat Hら、Expert Opin Biol Ther 3(5):725−31(2003))、並びに視神経炎(Navikas、V.ら、Scand.J.Immunol.41(2):171−178(1995))である。
【0012】
また、インターロイキン−12(IL−12)のダウンレギュレーションは、多発性硬化症の患者の治療に役立つ可能性があると報告されている(Tuohy、V.ら、J.Neuroimmunol.、111(1−2):55(2000))。インターフェロン−ガンマと多発性硬化症との連関も、文献に報告されている(Moldovan、l.R.ら、J.Neuroimmunol.、141(1−2):55(2000))。
【0013】
これらの疾病又は疾患の多くは、様々な方法及び組成物で改善又は他の何らかの手段により治療することができるが、そのような方法及び組成物の多くは、いくつかの欠点を有し、そのような疾病又は疾患を治療するために安全で効果的な方法及び組成物が引き続き必要である。本発明は、この要求条件を満たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
インターロイキン10は、非常に広い範囲にわたる病態に関連していることが判明した。そこで、哺乳類のIL−10療法に対し応答性のある疾病又は疾患を治療する組成物及び方法が提供される。
【0015】
より一般的には、IL−10を含む、Th2細胞産生サイトカインの産生増大のために動物のTh2細胞の産生へ免疫システムを偏向させる方法である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、哺乳類のIL−10療法に応答性のある疾病又は疾患を治療する方法は、約5×108単位を超えるIFNτの1日用量を哺乳類に経口投与することを含む。
【0017】
他の態様では、対象の自己免疫状態を治療する方法は、症状を和らげ、疾患の進行を抑制し、及び/又は疾患を解消しやすくするような方法で、対象の血中サイトカインレベルを調節することを含む。
【0018】
他の態様では、対象の肝炎ウイルス感染以外、より具体的にはC型肝炎ウイルス感染以外のウイルス感染を治療する方法は、症状を和らげ、感染の進行を抑制し、及び/又は感染を解消しやすくするような方法で、対象の血清サイトカインレベルを調節することを含む。
【0019】
他の態様では、対象の細胞増殖に関連する疾患を治療する方法は、症状を和らげ、連続する細胞増殖を抑制し、及び/又は増殖の問題を解消しやすくするような方法で、対象の血清サイトカインレベルを調節することを含む。
【0020】
血中IL−10のアップレギュレーションに応答する疾病又は疾患の持続的な進行を患っている、又はその危険性のある患者に、その患者又はモデル患者母集団の基準治療前血清サイトカインレベルに対して、選択された血清サイトカインレベルを調節するのに十分なIFNτの用量を与える。
【0021】
他の態様では、血中インターロイキン−10(IL−10)レベルの増加、及び適宜、血中インターロイキン−12(IL−12)レベルの減少に応答性のある疾患を治療する薬剤の調製で使用する組成物であって、INFτの経口投与製剤からなる組成物が提供される。薬剤は、好ましくは、約5×108単位を超える1日用量であるのが好ましい。
【0022】
他の態様では、被験者の血中IL−10レベルのアップレギュレーションの方法は、5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合の対象における血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことを含む。IFNτの対象への経口投与は、所望の臨床的終点に達するまで対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数時間定期的に継続する。
【0023】
他の態様では、C型肝炎感染以外の、自己免疫状態又はウイルス感染を患っている対象のIL−10/IFN−γ比を高める方法は、(i)IFNτ投与が行われない場合にIFN−γレベルに関する対象の血中IFN−γレベルに実質的な変化がなく、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合に対象の血中IL−10レベルに比して、対象血中L−10レベルの初期の測定可能な増加、又は(ii)IFNτ投与が行われない場合にIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルの減少をもたらすことと、所望の臨床的終点に達するまで、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的にIFNτを対象に経口投与し続けることとを含む。
【0024】
他の態様では、(i)治療薬の投与又は(ii)疾病状態のせいでIFN−γ血中レベルが増加する危険のある対象のIFN−γの血中レベルの増加を防ぐ方法が提供される。この方法は、好ましくは約5×108単位を超える服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させることを含む。この方法は、自己免疫状態によりIFN−γレベルが増加した対象に使用された場合に、対象の症状の期間中にIFNτを経口投与することを伴う。この方法は、IFN−α又はIFN−βによる治療によりIFN−γレベルが増加した対象の治療の場合、対象の症状の期間中にIFNτを投与することを伴う。
【0025】
他の態様では、自己免疫疾患を患っている対象のIL−10/IL−12血中比を増加させる方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらすことと、所望の臨床的終点に達するまで、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることを含む。
【0026】
一実施形態では、IFNτは、ヒツジIFNτ又はウシIFNτである。例示的なヒツジIFNτ配列は、配列番号2又は配列番号3として識別される。
【0027】
他の実施形態では、IFNτは、対象の腸管に経口投与される。
【0028】
自己免疫状態を患っている被験者を治療する場合、一実施形態では、所望の臨床的終点は被験者の症状の緩和である。例示的な自己免疫状態は、多発性硬化症、I型真性糖尿病、関節リウマチ、紅斑性狼瘡、乾癬、重症筋無力症、グレーブス病、橋本慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患を含む。
【0029】
他の実施形態では、IFNτは、ウイルス感染がC型肝炎感染でないことを条件として、ウイルス感染を患っている被験者に経口投与される。IFNτは、ウイルス感染に関連する症状の軽減又は血中ウイルス価の低減などの、臨床的終点に到達するまで投与される。ウイルス感染は、DNAウイルス又はRNAウイルスに由来する場合がある。例示的なウイルス感染は、エプスタインバールウィルス感染、HIV感染、ヘルペスウイルス(EB、CML、単純ヘルペス)、乳頭腫、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、アデノウイルス、ライノウィルス、HTLV I、HTLV II、及びヒトロタウイルスを含む。
【0030】
他の実施形態では、IFNτは、細胞増殖を特徴とする病気の治療のため経口投与される。IFNτは、その病気に関連する症状の軽減又は血中ウイルス価の低減などの、臨床的終点に到達するまで投与される。例示的な細胞増殖疾患は、ヒト肺大細胞癌、ヒト結腸腺癌、ヒト悪性黒色腫、ヒト腎臓腺癌、ヒト前骨髄球性白血病、ヒトT細胞リンパ腫、ヒト皮膚T細胞リンパ腫、ヒト乳腺腺癌、及びステロイド感受性のある腫瘍を含む。
【0031】
他の実施形態では、IFNτの投与は、同時に、又は順次的に、第2の治療薬の投与と併用される。例示的な第2の治療薬は、抗ウイルス薬、抗癌剤、及び自己免疫疾患の治療に適している薬剤を含む。
【0032】
他の態様では、対象の多発性硬化症の進行を遅くする方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことと、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることを含む。
【0033】
さらに他の態様では、多発性硬化症を患っている対象の病気再発のリスクを低減する方法は、約5×108単位を超える1日服用量のIFNτを対象に経口投与し、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすことと、対象の血中IL−10レベルの変化に関係なく、毎週少なくとも数回定期的に対象にIFNτを経口投与し続けることとを含む。
【0034】
さらに他の態様では、乾癬を患っている患者を治療する方法は、1回分のIFNτを定期的に経口投与し、IFNτ投与が行われない場合の被験者の血中IL−10レベルに比して、血清IL−10レベルを高めることを含む。治療は、臨床的に適当な評価スコアが減少するまで続けられる。この減少は、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは約70%、なおいっそう好ましくは少なくとも約80%である。例えば、Physician’s Static Global Assessmentスコアの少なくとも約70%の減少が得られるが、それとは別に、落屑スコア、プラークスコア、又は紅斑スコアの少なくとも約50%の減少が得られる。乾癬を患っている人の乾癬評価スコアを減少し、乾癬の再発と再発との間の時間を短縮する方法が考察される。
【0035】
さらに他の態様では、被験者の自己免疫疾患を治療する方法が提供される。この方法は、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分な量のIFNτを対象に投与することと、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルが高いままである選択された期間についてIFNτの投与を中止することと、IFNτの投与を再開することとを含む。
【0036】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、付属の図面を参照しつつ本発明の以下の詳細な説明を読むとより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ヒツジインターフェロン−τ(IFNτ)をコードする合成遺伝子のヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号2は、成熟したウシのインターフェロン−τ(IFNτ、oTP−1、GenBank Accession No.Y00287、PID g1358)のアミノ酸配列に対応する。
【0039】
配列番号3は、成熟したヒツジのIFNτのアミノ酸配列に対応し、配列の位置5及び6にあるアミノ酸残基は配列番号2の配列に対して修飾されている。
【0040】
配列番号4は、配列番号3のタンパク質を符号化する合成ヌクレオチド配列である。
【0041】
配列番号5は、ヒトミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質のアミノ酸配列に対応する(GenBank Accession No.BC035938)。
【0042】
配列番号6は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列に対応する(GenBank Accession No.NM 002385)。
【0043】
I.定義
インターフェロンτは、IFNτ又はインターフェロン−τと略記されるが、これは、特性(i)(a)抗黄体退行特性、(b)抗ウイルス特性、又は(c)抗細胞増殖特性及び(ii)α−インターフェロンとの約45から68%のアミノ酸相同性又は知られているIFNτ配列に対する約70%を超えるアミノ酸相同性の2つの群のそれぞれからの少なくとも1つの特性を有する一群のインターフェロンタンパク質の1つを指す(例えば、Ottら、J.Interferon Res.、11:357(1991)、Helmerら、J.Reprod.Fert.、79:83(1987)、Imakawaら、Mol.Endocrinol、3:127(1989)、Whaleyら、J.Biol.Chem.、269:10846(1994)、Bazerら、WO94/10313(1994))。アミノ酸相同性又は配列の「同一性」は、配列ギャップを最小にしつつ、重複及び同一性を最大にするように整列させたときにタンパク質のアミノ酸配列を比較することにより決定される。2つのアミノ酸又は2つの核酸配列の同一性の割合は、目視検査及び/又は数学的計算により決定することができるか、又はより好ましくは、利用可能な多数のコンピュータプログラムのうちの1つを使用して配列情報を比較することにより比較を実施する。IFNτ配列は、限定はしないが、乳牛(ウシ種、Helmer S.D.、J.Reprod.Fert.、79:83(1987)、Imakawa、K.、Mol.Endocrinol.、119:532(1988))、ヒツジ(ヒツジ種)、ジャコウウシ(ジャコウウシ種)、キリン(キリン種、GenBank Accession no.U55050)、ウマ(ウマ)、シマウマ(サバンナシマウマ、GenBank Accession no.NC005027)、カバ(ヒポパタマス種)、ゾウ(アフリカ象種)、ラマ(ラマ)、ヤギ(ヤギ種、GenBank Accession nos.AY357336、AY357335、AY347334、AY357333、AY357332、AY357331、AY357330、AY357329、AY357328、AY357327)、及びシカ(シカ種)を含む、様々な反芻動物種において識別されている。これらの種の多くに対するIFNτのヌクレオチド配列は、公開データベース及び/又は文献(例えば、Roberts、R.M.ら、J.Interferon and Cytokine Res.、18:805(1998)、Leaman D.W.ら、J.Interferon Res.、12:1(1993)、Ryan、A.M.ら、Anim.Genet.、34:9(1996))で報告されている。IFNτは、上記の特徴の2つの群のそれぞれからの少なくとも1つの特徴を有する、上で引用されているものを例とする、反芻動物種からのIFNτタンパク質を包含することが意図している。
【0044】
ヒツジIFNτ(OvIFNτ)は、本明細書で配列番号2と識別されているようなアミノ酸配列を有するタンパク質、及び本明細書で配列番号3と識別されているIFNτタンパク質などの、タンパク質の活性に著しい影響を及ぼさない中性のアミノ酸置換などのアミノ酸置換及び変更を有するタンパク質を指す。ヒツジIFNτタンパク質は、配列番号2と識別されている配列に対しより一般的には約80%、より好ましくは90%の配列相同性を有するものである。配列相同性は、例えば、厳密なアミノ酸比較により、又は多数の市販されているプログラムのうちの1つを使用して決定される。
【0045】
疾患を治療することは、疾患の症状を軽減する、及び/又は疾患の重症度を低減するのに有効な治療物質を投与することを指す。
【0046】
経口は、口による投与、また胃内投与を含む胃又は腸への直接投与を伴う経路を指す。
【0047】
腸は、小腸(十二指腸、空腸、及び回腸)及び大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、及び直腸)からなる、胃の下部開口部から肛門に至るまでの消化管の部分を指す。
【0048】
「血中IL−10レベルの測定可能な増加」は、同一の条件の下で測定された前処理レベルを超える、IL−10の血中(血清及び/又は血液細胞)内の統計的に意味のある増加、典型的には少なくとも20%の増加、より好ましくは少なくとも25%の増加を指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のIL−10レベルを測定する方法について説明する。増加倍数は、時刻xでの値をスクリーニング又は基礎値で除算することにより決定される。増加率は、時刻xでの値とスクリーニング又は基礎値との差を求め、この差をスクリーニング又は基礎値で除算し、その商に100を掛けることにより決定される。
【0049】
「血中IL−12レベルの測定可能な減少」は、同一の条件の下で測定された前処理レベルを超える、インターロイキン−12の血中(血清及び/又は血液細胞)内の統計的に意味のある増加、典型的には少なくとも20%の増加、より好ましくは少なくとも25%の増加を指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のIL−12レベルを測定する方法について説明する。増加倍数は、時刻xでの値をスクリーニング又は基礎値で除算することにより決定される。増加率は、時刻xでの値とスクリーニング又は基礎値との差を求め、この差をスクリーニング又は基礎値で除算し、その商に100を掛けることにより決定される。
【0050】
「インターフェロン−ガンマ血中レベルを維持する」又は「インターフェロン血中レベルの実質的減少がない」は、インターフェロン−ガンマの血中(血清及び/又は血液細胞)レベルの統計的に意味のある変化がないことを指す。ここでは、市販の酵素免疫測定(ELISA)キットを使用して血液中のインターフェロン−ガンマレベルを測定する方法について説明する。
【0051】
「5×108単位を超える1日容量」は、約5×108単位を超える抗ウイルスタンパク質を供給するのに十分なIFNτの量を指し、IFNτの抗ウイルス活性は、以下の「方法」の節で説明されているような標準細胞変性効果阻害アッセイを使用して測定される。5×108単位を超える1日用量を供給するタンパク質の量(つまり、mg)は、タンパク質の特異抗ウイルス活性に応じて異なることは理解されるであろう。
【0052】
II.インターフェロン−τ組成及び治療方法
A.インターフェロン−τ
同定すべき第1のIFNτは、18−19kDaタンパク質として、ヒツジIFNτ(IFNτ)であった。受胎産物(胚及び周辺膜)ホモジネート中で、複数のイソ型が同定された(Martal、J.ら、J.Reprod.Fertil.56:63−73(1979))。その後、受胎産物培養基中に放出された低分子量タンパク質が、精製され、熱に対して不安定であり、且つプロテアーゼの影響を受けやすいことが示された(Godkin、J.D.ら、J.Reprod.Fertil.65:141−150(1982))。IFNτは、元々、ヒツジトロホブラストタンパク質−1(oTP−1)と呼ばれていたが、それは、ヒツジの母体認識の臨界期にヒツジ受胎産物の栄養外胚葉により最初に産生される一次分泌タンパク質であるからである。その後の実験において、IFNτは、ヒツジ及び乳牛などの反芻動物の妊娠に対する生理学的反応の確定に欠かせない妊娠認識ホルモンであると決定された(Bazer、F.W.、及びJohnson、H.M.、Am.J.Reprod.Immunol 26:19−22(1991))。
【0053】
N末端アミノ酸配列を表す合成オリゴヌクレオチドでヒツジ胚盤胞ライブラリーを探索することにより得られたIFNτ cDNA(Imakawa、K.ら、Nature、330:377−379、(1987))は、ヒト、マウス、ラット、及びブタからのIFN−αsと45〜55%の相同性を有し、IFN−Ωと現在呼ばれている、ウシIFN−αIIと70%の相同性を有する予測アミノ酸配列を持つ。異なるイソ型を表すことができる複数のcDNA配列が報告されている(Stewart、H.J.ら、Mol.Endocrinol.2:65(1989)、Klemann、S.W.ら、Nuc.Acids Res.18:6724(1990)、及びCharlier、M.ら、Mol.Cell Endocrinol.76:161−171(1991))。すべて、23アミノ酸リーダー配列及び172アミノ酸成熟タンパク質についてコードする585塩基読み取り枠を有する、約1kbである。加えてアミノ及びカルボキシル末端を持つ4ヘリックス束としてのIFNτの予測構造は、さらに、I型IFNとしての分類を支持する(Jarpe、M.A.ら、Protein Engineering 7:863−867(1994))。
【0054】
【表2】
【0055】
IFNτは、I型インターフェロン(上の表を参照)と古典的に関連する活性の一部を示すが、上述のようにそれと他のI型インターフェロンとの間にはかなりの相違が存在する。これらの相違は、生物活性、ウイルスによる誘発、誘発後の発現期間、他のI型インターフェロンとの相同性などを含む。他の相違は、IFNτ遺伝子の調節因子領域内に存在しうる。例えば、ウシIFNτに対する遺伝子とのヒトトロホブラスト細胞系JARのトランスフェクションの結果、抗ウイルス活性が得られたが、ウシIFN−Ω遺伝子とのトランスフェクションはそうでなかった。これは、IFNτ遺伝子発現に関与する一意的な相互作用因子を意味する。このことと、IFNτの近位プロモーター領域(126から転写開始部位までの)はIFN−α及びIFN−βのそれとの相同性が高いが、−126から−450までの領域は、相同性がなく、IFNτ発現のみを高める(Cross、J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:3817−3821(1991))。したがって、他のI型インターフェロンと比べて、異なる調節因子がIFNτ発現に関与しているように見える。
【0056】
ヒツジIFNτの172アミノ酸配列は、例えば、米国特許第5,958,402号で記載されており、その相同性のあるウシIFNτ配列は、例えば、Helmerら、J.Reprod.Fert.、79:83−91(1987)及びImakawa、K.ら、Mol.Endocrinol.、3:127(1989)で説明されている。これらの引用文献からのヒツジIFNτ及びウシIFNτの配列は、したがって、参照により組み込まれる。ヒツジIFNτの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2又は配列番号3としてここでは示されている。
【0057】
1.IFNτの分離
Godkin、J.D.ら、J.Reprod.Fertil.65:141−150(1982)及びVallet、J.L.ら、Biol.Reprod.37:1307(1987)で説明されているように、IFNτは、妊娠しているヒツジから回収され、改変最小必須培地でin vitroで培養された受胎産物から分離することができる。IFNτは、イオン交換クロマトグラフィ及びゲルろ過により受胎産物培地から精製することができる。分離されたIFNτの相同性は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(Maniatis、T.ら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1982)、Ausubel、F.M.ら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley & Sons,Inc.、Media、PA(1988))により評価することができ、精製されたIFNτ試料のタンパク質濃度の判定は、ビシンコニン(BCA)アッセイ(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL、Smith、P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985))を使用して実施することができる。
【0058】
2.IFNτの組換え型生産
組換え型IFNτタンパク質は、細菌又は酵母細胞などの適当な発現系を使用して、選択されたIFNτポリヌクレオチド断片から生産することができる。IFNτヌクレオチド及びポリペプチド配列の分離は、本明細書に参照により組み込まれる、PCT公開WO/94/10313において説明されている。
【0059】
IFNτ発現ベクターを作るために、IFNτコード配列(例えば、配列番号1又は4)を発現ベクター、例えば、細菌発現ベクター内に入れ、標準的方法に従って発現させる。適当なベクターの実施例は、ラムダgt11(Promega、ウィスコンシン州マジソン)、pGEX(Smith、P.K.ら、Anal.Biochem.150:76(1985))、pGEMEX(Promega)、及びpBS(Strategene、カリフォルニア州ラホーヤ)ベクターを含む。T7 RNAポリメラーゼプロモーター又はtacプロモーターなどの適当なプロモーターを含む他の細菌発現ベクターも使用することができる。修飾pIN III omp−A発現ベクターの中へのIFNτ合成ポリヌクレオチドのクローニングについて、以下の「方法」の節で説明する。
【0060】
本明細書で説明されている研究に関して、配列番号4内に存在するIFNτコード配列は、メタノール調節アルコール酸化酵素(AOX)プロモーター及びPho1シグナル配列を含む、酵母細胞の転換に適した、ベクターにクローニングされた。このベクターを使用して、ピキアパストリス(P.pastoris)宿主細胞を転換し、形質転換された細胞を使用して、メーカーの取扱説明書に従ってタンパク質を発現させた(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)。
【0061】
本発明の方法と併用するIFNτを発現させるのに適している他の酵母ベクターは、2ミクロンのプラスミドベクター(Ludwig、D.L.ら、Gene、132:33(1993))、酵母組み込みプラスミド(Shaw、K.J.ら、DNA 7:117(1988))、YEPベクター(Shen、L.P.ら、Sci.Sin.、29:856(1986))、酵母動原体プラスミド(YCps)、及び発現が調節可能な他のベクター(Hitzeman、R.A.ら、米国特許第4,775,622号、Rutter、W.J.ら、米国特許第4,769,238号、Oeda、K.ら、米国特許第4,766,068号)を含む。好ましくは、これらのベクターは、MFα1プロモーター(Bayne、M.L.ら、Gene 66:235−244(1988))、GADPHプロモーター(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、Wu、D.A.ら、DNA、10:201(1991))、又はガラクトース誘導GAL10プロモーター(Ludwig、D.L.ら、Gene、132:33(1993)、Feher、Z.ら、Curr.Genet.、16:461(1989)、Shen、L.P.ら、Sci.Sin.、29:856(1986))などの有効な酵母プロモーターを含む発現カセットを含む。酵母形質転換宿主は、典型的には、サッカロマイセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)であるが、但し、形質転換に適した他の酵母も使用可能である(例えば、シゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)など)。
【0062】
さらに、INFτポリペプチドを符号化するDNAを多数の市販のベクター内にクローニングし、適切な宿主系内にポリペプチドの発現を生成することができる。これらの系は、上述の細菌及び酵母発現系、さらに、バキュロウイルス発現(Reilly、P.R.ら「バキュロウイルス発現ベクター:実験マニュアル(BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL)」(1992)、Beamesら、Biotechniques、11:378(1991)、Clontech、カリフォルニア州パロアルト)、植物細胞発現、トランスジェニック植物発現、及び哺乳類細胞における発現(Clontech、カリフォルニア州パロアルト、Gibco−BRL、メリーランド州ゲイザースバーグ)を含む。組換え型ポリペプチドは、融合タンパク質又は天然タンパク質として発現することができる。培養基内への発現配列の分泌を促進するリーダー配列などの発現ベクター内に、設計により多数の特徴を組み込むことができる。組換え技術により生産されるポリペプチドは、典型的には、溶解細胞又は培養基から分離される。精製は、塩類分留、イオン交換クロマトグラフィ、及び親和性クロマトグラフィを含む当業で知られている方法により実施できる。IFNτポリペプチドに基づいて生成された抗体を使用する、免疫親和性クロマトグラフィを上述のように採用することができる。
【0063】
組換え型方法に加えて、IFNτタンパク質又はポリペプチドは、適切な抗体を使用するなど、親和性に基づく方法により選択された細胞から分離することができる。さらに、IFNτペプチド(例えば、配列番号2又は3)は、当業者に知られている方法を使用して化学合成することができる。
【0064】
B.IFNτの投与
本発明を裏付けるため実施された研究において、IL−10療法に応答する疾患を患っている患者にIFNτを投与した。特に、ある研究では、多発性硬化症と診断された患者は、IFNτで治療された。他の研究では、ウイルス感染を患っている患者は、IFNτで治療された。これらの研究において、それぞれの患者のサイトカインIL−10、IFN−γ、及びIL−12の血清レベルが監視された。次にこれらの研究について説明する。
【0065】
1.多発性硬化症を患っているヒトへのIFNτの投与
多発性硬化症を患っているヒトは、IFNτによる治療の臨床試験に登録された。実施例1で説明されているように、15人の患者は、無作為に3治療群に分けられ、これは表1にまとめた。
【0066】
【表3】
【0067】
治療前に、基準血清サイトカインレベルを判定するために、それぞれの被験者から血液試料を採取した。1日目の採血の後、それぞれの患者は、適切な服用量のIFNτを経口摂取することにより治療を開始した。治療は、28日間続け、研究の1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目にそれぞれの患者から血液試料を採取した。IFN−γ及びIL−10濃度について試料を分析した。
【0068】
I群、II群、III群の患者のIL−10レベルは、それぞれ、図1A〜1Cに示されている。図1Aは、I群の5人の患者の血清IL−10レベル(pm/mL)を示している。患者番号103、104、及び105の3人の患者は、4日目にIL−10レベルの増加を示したが、これらの患者の8日目の読み取りでは、IL−10レベルが減少した。患者番号103及び104の8日目及び15日目のIL−10レベルは、4日目のレベルからあまり大きくは変化していなかった。図1B及び1Cは、それぞれ、試験群II及びIIIの患者の結果を示している。IFNτの投与後、特にIII群の患者では、血清IL−10レベルのわずかな増加が示唆されている。
【0069】
図1Dは、I群、II群、及びIII群に対する平均IL−10血清レベルを示している。2日目と28日目の間の、IFNτ投薬期間の試験群のIL−10にわずかなアップグレーションがあったが、実施例1に述べられている統計的分析に基づいて、このわずかなアップレギュレーションは、統計的に有意でなかった。IFNτの投薬後一定期間経ってからI群及びII群で続いていたIL−10血中レベルのわずかな増加は、28日目に停止した。IFNτを最後に投薬してから34日経った57日目のIL−10血清レベルは、0日目と1日目に測定された基準レベルを超えたままであった。そこで、本発明では、IFNτの投与が行われない場合の被験者の血中IL−10レベルに比して、被験者の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらす十分な量のIFNτが投与される、被験者の自己免疫疾患を治療する方法を検討する。次いで、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルが高いままである選択された期間についてIFNτの投与が中止される。次いで、必要ならばIFNτの投与を再開できる。
【0070】
この研究では、IFN−γの血中レベルも監視された。IFN−γは、炎症性サイトカインであり、IFN−γのアップレギュレーションは、多発性硬化症及び関節炎などの、自己免疫疾患を患っている患者の不快症状の高まりと相関する。インターフェロン−ベータ(IFN−β)で多発性硬化症を治療するときに、IFN−β治療の最初の2カ月間に細胞のIFN−γ−分泌の頻度が増加し、IFN−γ血清レベルのこのような増加は、IFN−βによる治療時に患者が経験する顕著な「インフルエンザに似た」症状に寄与する可能性のあることが報告されている。そのため、IL−10レベルがIFN−γの同伴するアップレギュレーションなしで有利にアップレギュレーションされる自己免疫疾患を治療する方法が有益であろう。
【0071】
図2A〜2Dは、多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療されている、I群、II群、及びIII群の患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。図2Aは、0.2mgのIFNτで治療される、I群の患者の血清レベルを示している。101番、102番、104番、105番の患者はそれぞれ、治療過程においてIFN−γ血中レベルの減少を示した。血清レベルは、28日目の治療中止後に増加した。103番の患者のIFN−γ血清レベルは、増加せず、本質的に変化はなかった。
【0072】
図2Bは、II群に属し、0.6mgのIFNτで毎日治療されている、患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。図2Cは、III群に属し、1.8mgのIFNτで毎日治療されている、患者のIFN−γ血中レベル(pg/mL)を示している。上述のように、IFNτの初回分は、1日目の採血後に摂取され、最終回分は、28日目に摂取された。したがって、1日目のデータ点及び「スクリーン」は、個々の患者の基準レベルである。II群及びIII群のすべての患者は、IFN−γによる治療時に、IFN−γ血清レベルの減少を経験するか、又はIFN−γ血清レベルの意味のある変化を受けなかった。
【0073】
図2Dは、試験群I、II、及びIIIのそれぞれの患者に対する、IFN−γの平均血中レベル(pg/mL)をまとめたものである。IFN−γ血中レベルの減少傾向は、特に、IFNτの投与量が多い場合(III群)に明らかである。
【0074】
図3A〜3Eは、治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。図3Aは、治療群Iに属す101番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。血中IL−10レベル(菱形)は、治療期間中に統計的に見て増加しない。IFN−γ血中レベルは、経口投与されたIFNτによる治療時に減少する。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、15.8pg/mL及び14.5pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.1を与える。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、約2.2に増加したが、これは、IFN−γ血中レベルの減少によるものである。IL−10/IFN−γ比は、治療が終了してから約1カ月後の57日目に約1.1の基準比に戻った。そのため、IFNτによる治療期間中に、IL−10/IFN−γ比は、約100%増加した。
【0075】
図3Bは、治療群Iに属す105番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、6.6pg/mL及び49.2pg/mLの平均であり、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.13を与える。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、約0.2〜0.3に増加したが、これは、IFN−γ血中レベルの減少によるものである。IL−10/IFN−γ比は、治療が終了してから約1カ月後の57日目に約0.12の基準比に戻った。したがって、IFNτによる治療は、IL−10/IFN−γ比を調節する効果を有し、この比を50%超、より好ましくは80%超増加させた。
【0076】
図3Cは、治療群IIIに属す302番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、5.8pg/mL及び4.0pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.45を与えた。IFNτによる治療時に、平均IL−10血中レベル(4日目、8日目、15日目のIL−10レベルの平均)は7.7pg/mLであり、これは、基準IL−10レベル(スクリーン及び1日目のIL−10血中レベルの平均)と統計的に異なっていなかった。IFN−γレベルは、治療期間にわたって実質的に変化がなかった。この患者のIL−10/IFN−γ比は、本質的に変化しなかった。
【0077】
図3Dは、治療群IIIに属す303番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、4.4pg/mL及び3.6pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.2を与えた。IFNτによる治療時に、IFN−γ血中レベルの減少により、IL−10/IFN−γ比は8日目に約11にまで増加し、29日目に基準比に戻った。
【0078】
図3Eは、治療群IIIに属す305番の患者に対するサイトカイン生産速度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベル(スクリーン及び1日目の平均として取った)は、それぞれ、4.3pg/mL及び34.8pg/mLであり、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.1を与えた。IFNτによる治療中、IL−10血中レベルは本質的に一定であり、IFN−γ血中レベルはわずかに減少し、これにより、8日目にIL−10/IFN−γ比は約14%だけ増加し、0.14になった。
【0079】
そこで、一態様において、自己免疫疾患又はウイルス感染を患っている被験者のIL−10/IFN−γ比を増加させる方法である。この方法は、(i)IFNτ投与が行われない場合のIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルに実質的な変化がないか、又は(ii)IFNτ投与が行われない場合のIFN−γレベルに比して、対象の血中IFN−γレベルの減少があるときに、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することを含む。IL−10/IFN−γ比は、少なくとも約10%、好ましくは約25%、より好ましくは約40%、さらに好ましくは少なくとも約50%だけ増加する。一実施形態では、IFNτは、ヒツジ又はウシIFNτである。他の実施形態では、約5×108抗ウイルス単位(U)を超える服用量、より好ましくは0.5×109U以上の用量、さらに好ましくは1×109U以上の用量のIFNτが投与される。
【0080】
2.ウイルス感染を患っているヒトへの投与
他の研究では、C型肝炎ウイルスに感染した患者を募集した。患者は、経口IFNτ(配列番号3)による治療のため4つの試験群に分けられた。実施例2で説明されているように、試験群に属すそれぞれの被験者は、IFNτの1mg/mL溶液の制御された量を毎日3回自己投与した。試験群I、II、及びIIIに属す患者は、毎日の合計用量として、1mg IFNτ、3mg IFNτ、又は9mg IFNτをそれぞれ受けた(1mg IFNτは約1×108抗ウイルス単位である)。治療期間は84日間に及び、定められた間隔で患者は試験診療室に戻り、IL−10及びIFN−γのレベルの分析のため血液試料を供給した。監視は、169日間、IFNτによる治療が終わってから85日間続いた。
【0081】
図4A〜4Cは、試験群I、II、及びIIIのそれぞれにおける6人の患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。図4Aは、合計1日用量1mg(1×108U)について、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療される試験群Iの6人の患者のIL−10レベルを示している。すべての患者のデータは、IL−10レベル増加への統計的に有意ではないけれどもわずかな傾向を示している。
【0082】
図4Bは、84日目まで毎日3回0.33mgのIFNτ(3×108U/日)でそれぞれ毎日治療される試験群IIの6人の患者のデータを示している。すべての患者のデータは、治療期間(第1日〜第84日)にわたるIL−10レベル増加への統計的に有意ではないけれどもより明確な傾向を示している。IFNτ投薬を中止した後、85日目〜169日目までの継続的監視期間に、IL−10血中レベルはゆっくりと基準レベルに近づいた。
【0083】
図4Cは、1日目から84日目まで毎日3回3mgのIFNτ(9×108U/日)で毎日治療される試験群IIIの6人の患者のIL−10血清レベルを示している。すべての患者の血清IL−10レベルは、IFNτの投薬に応答して統計的に増加した。IFNτ投薬の終了後、IL−10血中レベルは、ほぼ3カ月間高いままであった。
【0084】
図4Dは、図4A〜4Cの試験群I、II、及びIIIに対するIL−10血清レベルの要約グラフを示している。図4Dは、血清IL−10レベルの増加率を試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(正方形、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す。用量の関数としての血清IL−10レベルの増加率は、図面から明白であり、最高用量9mg(毎日3回3mg、9×108U/日)で、治療の最初の15日以内に100%を超えるIL−10のアップレギュレーションを誘発する。毎日3mg投薬すると(試験群II、正方形)、IL−10の生産が生じ、試験15日目までに約150%の増加を引き起こした。84日の試験期間に150%の増加を維持するために毎日3mg投薬すれば十分であった。
【0085】
図4Dは、さらに、IFNτの投薬が停止したときに、85日目〜169日目までの期間に、基準、治療前レベルに関して継続的上昇を示している。試験群III(毎日9mg IFNτ)では、IL−10レベルは、169日目までに基準レベルに戻らなかった。したがって、自己免疫疾患、特に多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、及びアレルギーを治療する方法であって、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分な量のIFNτを対象に投与し、IFNτ投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して被験者の血中IL−10レベルが増加したままの選択された期間にIFNτの投与を中止し、必要ならば、症状が悪化したときなどにIFNτの投与を再開することによる方法が検討される。血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加をもたらすのに十分なIFNτの量は、約5×108U/日を超え、より好ましくは0.5×109U/日以上、さらに好ましくは1×109U/日以上である。IFNτの投与が中止される期間は、疾病状態により変わる可能性があるが、その疾病状態を患っている患者のIL−10レベルがIFNτによる治療期間中とIFNτによる治療の終了後に監視される研究から容易に決定される。このような研究からの結果を、一般的に、他の患者に適用し、推奨投薬パターンを得ることができる。それとは別に、IFNτの投与が中止される期間は、治療を再開すべきか決定するための非治療期間において、定期的に、例えば、毎週又は週2回、IL−10血中レベルを実際に監視することにより、又は症状の患者認知の主観的指示により、個々の患者について追跡することができる。治療は、IL−10レベルがその特定の患者の、又はモデル患者分布の治療前レベルに近づくとき、又は治療されている特定の患者の症状が悪化したときに再開する。
【0086】
図5A〜5Cは、この研究の患者に対する、IFN−γ血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。図5Aは、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療されている、試験群Iに属す6人の患者のIFN−γレベルを示している。IFN−γレベルを基準レベルに維持し、わずかに減少するIFN−γレベルに向かう全体的傾向があるのは明らかである。
【0087】
図5Bは、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療されている、試験群IIに属す6人の患者のIFN−γレベルを示している。ほぼ3日目から15日目までの間の初期治療におけるIFN−γレベルの減少は明白である。その後、レベルは、基準レベルに戻り、試験期間の残りの期間においてほぼ投薬前レベルに維持された。
【0088】
図5Cは、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療されている、試験群IIIIに属す6人の患者のIFN−γ血清レベルを示している。一部の患者はIFN−γレベルの明確な減少を経験したが、治療群全体では、治療期間にわたってレベルの変化はほとんどないように見えた。投薬中止後のIFN−γレベルの増加は、85日目〜169日目までの間に見られる。これは、IFNτの投与によりレベル減少がある程度達成されたことを示唆している。
【0089】
図5Dは、平均血清IFN−γレベルを試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(円、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図5A〜5Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。IFNτの投与は、(1)レベルが本質的にスクリーンの投薬前レベルのままで、IFN−γレベルの有意な変化を引き起こさなかったか、又は(2)基準の投薬前レベルからのIFNτレベルの減少を引き起こしたことが明らかである。
【0090】
そのため、他の態様では、対象のIFN−γの血中レベルを下げる方法は、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させるのに有効な量のIFNτを対象に投与することを含む。この方法は、特に、高いIFN−γレベルを引き起こす薬剤を摂取している患者、又はIFN−γレベルを高める疾患を患っている患者にとって有用である。そこで、IFNτ投与が行われない場合のIFN−γ血中レベルに比して、対象のIFN−γ血中レベルを減少させるのに有効な量のIFNτを対象に投与することにより、(i)治療薬の投与、又は(ii)疾病状態による、IFN−γ血中レベル上昇の危険性のある対象のIFN−γ血中レベルの増加を防ぐ方法も検討される。上述のように、IFN−βによる多発性硬化症の治療では、患者のIFN−γのレベルの増加が引き起こされる。IFNτの同時投与(同時又は順次投与)により、IFN−γレベルを治療前のレベルに維持しやすくなる。典型的には、対象のIFN−γ血中レベルのそのような減少をもたらすのに十分なIFNτの量は、約5×108U/日を超え、より好ましくは0.5×109U/日以上、さらに好ましくは1×109U/日以上である。
【0091】
図6A〜6Fは、図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。
【0092】
図6Aは、IFNτ 1mgの毎日用量について、毎日3回0.33mgのIFNτで治療される、試験群Iに属す101番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、5.2pg/mL及び3.9pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比1.3を与えた。IFNτによる治療中に、IL−10/IFN−γ比は、22日目に1.6に増加し、それ以降基準比に戻り、その後84日目に投薬を中止した。
【0093】
図6Bは、IFNτ 3mgの毎日用量について、毎日3回1.0mgのIFNτで治療される、試験群IIに属す205番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、3.8pg/mL及び5.2pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比0.73を与えた。IFNτによる治療時に、IL−10/IFN−γ比は、1に近づき、15日目に1に到達した。したがって、IFNτによる治療の結果として、比を約25%に増やすことによりIL−10/IFN−γ比の調節を行った。
【0094】
図6Cは、IFNτ 9mg(9×108U)の毎日用量について、毎日3回3.0mgのIFNτで治療される、試験群IIIに属す301番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10及びIFN−γの基準レベルは、それぞれ、平均で、4.4pg/mL及び3.9pg/mLであり(スクリーン及び第1日目の値の平均)、これは、初期IL−10/IFN−γ比約1.0を与えた。IFNτにより治療時に、IL−10レベルは実質的増加である4〜5倍に増加したが、IFN−γレベルは、4〜5pg/mLの初期レベル程度に維持された。そのため、IL−10/IFN−γは、IFNτの投薬後、約1.0から約4.0に増加し、4倍の増加となった。
【0095】
図6D〜6Fは、IFNτ 9mgの毎日用量について、毎日3回3.0mgのIFNτで治療される、試験群IIIに属す、303番、304番、及び305番の患者のIL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す。IL−10/IFN−γ比の分析は、図6Cで説明されているように、301番の患者のものと類似している。特に、図6Dは、303番の患者のデータを示している。この患者では、IL−10血中濃度は、試験43日目までに基準レベルから約4倍増加し、試験71日目までに6倍以上に増加した。IFN−γ血中レベルは、実質的に一定のままであった。そのため、IL−10/IFN−γ血液比は、約0.6の基準値から約3を超えて増加し、5倍の増加(500%増加)となった。
【0096】
図6Eは、III群の304番の患者のデータを示している。患者のIL−10血中レベルは、IFNτによる治療時に4〜5倍増加したが、IFN−γレベルは本質的に変化しなかった。そのため、IL−10/IFN−γ比は、71日目に初期値0.6から2.6に増加し、400%を超える増加となった。
【0097】
図6Fは、III群の305番の患者のデータを示している。治療期間中のIL−10血中レベルの増加は明白であり、43日目までに0.7pg/mLから9pg/mL超まで増大した。IFN−γレベルは、本質的に変化がなく、その結果、IL−10/IFN−γ比は10倍増加した。
【0098】
要約すると、III群に属す患者について提示されているデータは、IFNτの投与はIL−10/IFN−γ比を増加させる効果があったことを示している。特に、IL−10血中レベルは、IFNτの経口投与により測定可能な形で増加したが、これは、IL−10血中濃度の統計的増加により明らかである。IL−10血中レベルは、25%を超えて増加し、この患者母集団では、IL−10血中濃度の増加は、かなり大きかった。
【0099】
他の研究では、ウイルス感染を患っている5人の患者が、IFNτによる治療のため募集された。実施例3に示されている、この研究では、患者は、毎日用量15mgのIFNτ(1.5×109抗ウイルス単位)として、毎日2回7.5mgのIFNτで治療された。第1の投薬は、午前中の朝食前に摂取され、第2の投薬は、夕食後少なくとも3時間してから摂取された。113日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料が採取され、試験の84日目にIFNτの投薬が終了した。それらの試料は、市販の方法を使用して血清中のIL−10、IL−12、及びIFN−γレベルについて分析された。
【0100】
図7A〜7Bは、単位をpg/mLとして、5人の患者のIL−10血清レベル(図7A)及びIFN−γ血清レベル(図7B)を日数の関数で示すグラフである。図7Aに示されているように、これらの患者のうち3人(三角形、菱形、及びxで表されている患者)は、1日目から84日目までの間、IFNτ投薬の期間にわたって、IL−10レベルの増加を示した。図7Bは、1日目から84日目までの間の投薬期間に、5人の患者全員のIFN−γ血中レベルが減少したことを示している。投薬が終わると、IFN−γレベルは、85日目から113日目までの期間に見られるように、増大している。
【0101】
この研究の患者から採血した血液試料は、さらに、IL−12レベルについても分析した。IL−12は、炎症性サイトカインであり、多発性硬化症の発症の一因である。文献では、(1)IL−12の生産増加が、多発性硬化症の発症の鍵となるメカニズムであり(Filsonら、Clin.Immunol.、106(2):127(2003))、(2)MS患者は、典型的に、IL−10レベルの減少及びIL−12レベルの増加を示し、これらのサイトカインのレベルは、疾病段階と相関している(van Boxel−Dezaireら、Ann.Neurot 45:695(1999))ことが報告されている。ウイルス感染に関して、IL−12レベルが高いと、百日咳菌(B.pertussis)の細菌定着を悪化させることも示されている(Carterら、Clin.Exp.Immunol.、135(2):233(2004))。したがって、この研究に登録されている患者のIL−12レベルを監視することが望ましかった。
【0102】
図8A〜8Dは、この研究(実施例3)の6人の患者に対する、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)の血清レベル(pg/mL)を示す。実際のIL−12濃度は、図8A〜8Dに示されている値の10倍である(実際の値は、1つのグラフ内にすべてのデータを示せるように10で除算した)。
【0103】
図8Aは、401番の患者のデータを示している。図からわかるように、IL−10レベルは、IFNτが投与された治療期間に増加し、IFN−γは変化なしか、又はわずかに減少し、IL−12は最初は変動し、その後、約29日目以降にダウンレギュレーションされた。0.08のIL−10/IL−12比について、初期IL−10レベルは、53.1pg/mLであり、初期基準IL−12は、696pg/mLであった。治療期間には、この比は、約0.12〜0.18の間で増加し、570〜1200%の増加となった。この患者のIL−10レベルは、53.1pg/mLの基準値から140pg/mLを超えるまで増加し、160%(2.6倍)を超える増加となった。
【0104】
図8Bは、402番の患者のデータを示し、図8Cは、403番の患者のデータを示している。402番の患者の初期基準IL−10血中レベルは42.7pg/mLであった(スクリーン及び1日目の平均血中濃度)。IL−10血中レベルは、濃度が67pg/mLに到達した43日目にピークに達し、56%の増加となった。IFN−γ血中濃度は、基準レベルを中心として変動した。治療前のIL−12血中レベルは、0.046の初期IL−10/IL−12比に対して、934pg/mLであった。43日目に、IL−10/IL−12比は、0.088となり、基準比から90%の増加であった。
【0105】
図8Cでは、患者の初期IL−10/IL−12比は0.10であった(IL−10=118.5pg/mL、IL−12=1227 pg/mL)。この比は、治療期間中に増加し、比の値は43日目に0.22となり、IL−10/IL−12比は2.2倍であった。患者のIL−10血中レベルは、43日目に、基準レベルよりも63%高い値でピークに達した。
【0106】
図8Dは、404番の患者のデータを示している。0.045の初期IL−10/IL−12比について、この患者の初期IL−10レベルは、69.6pg/mLであり、初期IL−12は、1552pg/mLであった。1.5×109U/日の用量のIFNτによる治療時に、IL−10血中レベルは、43日目に113pg/mLに上昇し、約60%の増加となった。43日目のIL−12は、900pg/mLに減少し、43日目のIL−10/IL−12比は0.12となった。
【0107】
この研究の405番の患者の初期IL−10血中濃度は、34.9pg/mLであり、初期IL−12血中濃度は、976pg/mLであった(IL−10/IL−12比0.036)(データは図に示されていない)。1.5×109U/日の用量のIFNτの投与は、治療期間の71日目にIL−10/IL−12比を0.058に高める効果があり、これは60%の増加であった。IL−10血中濃度は、初期治療前レベルから71日目のレベルまで20%増加した。
【0108】
したがって、自己免疫疾患を患っている対象のIL−10/IL−12血液比を高める方法は、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することを含む。さらに、IFNτの投与が行われない場合の対象の血中IL−10レベルに比して、対象の血中IL−10レベルの初期の測定可能な増加、及びIFNτの投与が行われない場合のIL−12レベルに比して、対象のIL−12血中レベルの減少をもたらす効果のある量のIFNτを対象に投与することにより、対象の自己免疫疾患の進行を抑制する方法も検討される。特に、約5×108Uを超えるIFNτで治療された患者のIL−10血中レベルは25%を超えて増加し、多くの場合、50%であった。同じ患者について、IFN−γ血中濃度は、本質的に変化ないか、又は減少し、IL−12レベルは、一般に、減少した。
【0109】
要約すると、本発明は、治療を要する患者にIFNτを経口投与することを考えたものであり、その際に、IFNτの初期用量は、その特定の患者に対する血中IL−10レベルの増加、及び/又はIFN−γレベルの減少又は無変化、及び/又はIL−12レベルの減少が得られるように選択される。IFNτは、口腔ではなく、患者の腸管を標的とする形態で投与されるのが好ましい。用量の選択は、例えば、血中IL−10レベルを、例えば、治療前及び治療開始後に監視することにより、行うこと、又は確認することができる。それとは別に、有効用量は、異なる疾病状態の下で与えられた用量に対するモデル患者応答からあらかじめ決定することができる。例えば、与えられ年齢範囲内の、指定された疾患、例えば、ウイルス感染又は自己免疫疾患を有する患者を、異なる初期IFNτレベルに応答する血中IL−10の変化について監視して、その年齢/疾病プロファイルを持つ患者に適した用量をあらかじめ決定しておくことができ、そのような投薬指針を治療医師に提供することができる。本発明の一態様は、腸管へのタンパク質を標的とするのに適した経口送達形態、例えばIFN−タウの腸溶コーティング形態でIFNτを含み、異なる患者疾患の下で有効用量、つまりIL−10血中レベルの測定可能な増加をもたらすのに有効な用量の指針となる生成物文献又は挿入物を含むIFNτ治療キットを含む。好ましくは、挿入物は、用量の範囲及びIL−10応答の予測される初期変化を与える。
【0110】
初回投与後、又は血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらす用量(有効用量)に到達したときに、有効用量IFNτの投与を、長い治療期間にわたって、好ましくは毎日又は毎週複数回ベースで継続する。長い間投与される有効用量は、有効用量が初回有効用量と同じ又は異なるかどうかに関係なく、長い治療期間にわたって実際の血中IL−10レベルの挙動と独立して、血中IL−10の初回の測定可能な増加をもたらす効果のあるものである。したがって、治療期間中、血中IL−10レベルは、患者が血中IL−10レベルの初回の測定可能な増加をもたらす効果のあるIFNτ用量を受け続けるとしても、高水準で一定のままであり、増大し続けるか、又はさらには減少し続けることができる(例えば、感染ウイルスのレベルの減少に応じて)。この有効用量は、典型的には、約5×108単位/日を超え、最大約1012単位/日までの範囲であり、より具体的には、用量は、約5×108単位/日よりも多く、より好ましくは約5×109単位/日以上、さらに好ましくは約1×109単位/日以上である。用量は、血中IL−10の所望の初期増加、1.5から4倍の通常の未治療レベルの範囲となるように調整することができる。
【0111】
一部の患者及び一部の疾患について、IFNτを他の治療剤と併用して投与することが検討されることが理解されるであろうし、また以下で詳細に説明する。例えば、IFNτと抗ウイルス薬との組合せは、一部の患者に有益と思われる。同様に、IFNτと自己免疫疾患の治療に使用される薬剤との組合せは、その疾患を治療するのに有益である。細胞増殖を患っている患者では、IFNτと化学療法薬との組合せも考えられる。より一般的に、IFNτと知られている薬剤との組合せが考えられ、例示的な併用療法計画が以下に示されている。IFNτと第2の薬剤との「組合せ」は、2つの薬剤の順次又は同時投与を意図し、順次投与は、即時又は非即時とすることができる。
【0112】
III.使用法
上述のデータにより例示されているように、IFNτの投与は、被験者においてIL−10のアップレギュレーションに応答する疾病又は疾患を治療する方法となる。「IL−10療法に応答性のある」疾病又は疾患は、疾病又は疾患の存在、進行、又は症状がIL−10、又は結果として血中IL−10レベルの増大を引き起こす薬剤の投与後、変化するものである。上のデータは、さらに、IFNτの投与はインターフェロン療法に応答性のある疾病又は疾患を有する被験者を治療する際に有用であることを例示している。「インターフェロン療法に応答性のある」疾患は、疾患の存在、進行、又は症状がインターフェロン、特にI型インターフェロン、及びより具体的にはIFNτの投与後に変化するものである。IFNα又はIFNβによる治療に応答性のある疾患は、さらに、IFNτによる治療にも応答しうる。本明細書で説明されている方法は、例えば、類似の状況に置かれている患者又は治療される特定の個人患者に関する研究から決定された血中IL−10レベルの増加により明らかなように、療法に有効な量だけ、好ましくは胃及び/又は腸へ投与するための経口投与可能な投薬形態のIFNτを与えることを含む。血中IL−10レベルを増加させるのに十分なIFNτの用量は、さらに、IFN−γレベルが減少するか、又はまったく変化がない状態で、IL−12血中レベルの減少を引き起こす効果をもたらしうる。
【0113】
治療される疾病又は疾患は、典型的には、IL−10療法などのサイトカイン療法に対し応答性のあるものである。様々な疾病又は疾患が、IL−10療法に応答する可能性があり、したがって、単独でも、他の治療薬との併用でも、IFNτによる治療の影響を受けやすい。例えば、本発明の方法は、アルツハイマー病及び自閉症を含む神経疾患、肺線維症及び肝線維症を含む線維症、I型尿崩症などの、抗リン脂質症候群、関節炎、アレルギー、糖尿病を含む自己免疫疾患、クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む炎症性腸疾患、乾癬、多発性硬化症、ブドウ膜炎、慢性気管支炎及び肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患、脳卒中を含む、細胞、組織、又は臓器への血流及び/又は酸素の減少による細胞、組織、又は臓器障害若しくは死を特徴とする疾病又は疾患、アテローム性動脈硬化症、及び臓器移植の拒絶反応を治療するために使用することができて都合がよい。
【0114】
A.免疫系障害の治療
本発明の方法は、免疫系過敏性に関係する疾患を治療するのに有利である。免疫系過敏性は4種類ある(Clayman、C.B.、Ed.、AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION ENCYCLOPEDIA OF MEDICINE、Random House、ニューヨーク州ニューヨーク(1991))。I型、つまり即時型/アナフィラキシー性過敏性は、アレルゲン(例えば、花粉)に応答するマスト細胞脱顆粒により発生し、これは、喘息、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、じんま疹(じんましん)、アナフィラキシーショック、及びアレルギー性の他の病気を含む。II型、つまり自己免疫過敏性は、身体の自細胞上の認知された抗原に立ち向かう抗体によるものである。III型過敏性は、様々な組織にとどまり、他の免疫応答を活性化する抗原/抗体免疫複合体の形成によるものであり、血清病、アレルギー性肺胞炎、及びときにブースターワクチン接種後に形成される大きな腫れなどの疾患に関与する。IV型過敏性は、感作T細胞からのリンフォカインの放出によるものであり、その結果炎症反応が生じる。実施例は、接触性皮膚炎、はしかの頻発、及びある種の薬物に対する「アレルギー」反応を含む。
【0115】
特定の状態がある一部の個人に過敏性を引き起こす可能性のあるメカニズムは、一般的にはよく理解されていないが、遺伝因子と外因子の両方を伴うことがある。例えば、細菌、ウイルス、又は薬物は、自己免疫疾患に対し遺伝子的疾病素質をすでに持っている個人の自己免疫反応の引き金となる役割を果たしうる。ある種の過敏性の出現は、他の種類の過敏性と相関する可能性があることが示唆されている。例えば、あるいくつかのありふれたアレルギーが自己免疫疾患の影響を受けやすいという考えが提案されている。
【0116】
自己免疫疾患は、特定の器官又は組織に主に制限されている疾患及び全身に影響を及ぼす疾患に大きく分けることができる。器官特的疾患(器官が影響を受ける)は、多発性硬化症(神経突起上のミエリンコーティング)、I型糖尿病(膵臓)、橋本慢性甲状腺炎(甲状腺)、悪性貧血(胃)、アジソン病(副腎)、重症筋無力症(神経筋接合部のアセチルコリン受容体)、関節リウマチ(継ぎ目)、ブドウ膜炎(目)、乾癬(皮膚)、ギランバレー症候群(神経細胞)、及びグレーブス病(甲状腺)を含む。全身性自己免疫疾患は、全身性紅斑性狼瘡及び皮膚筋炎を含む。他の自己免疫疾患は、白血球が水分分泌腺を攻撃するシェーグレン症候群である。シェーグレン症候群の顕著な特徴症状は、ドライアイと口内乾燥であるが、全身性疾患であり、多くの器官に影響を与える。
【0117】
過敏性疾患の他の例は、喘息、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、他の湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、鼻炎、扁平苔癬、ペンプルグス(Pemplugus)、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、ユリトカリス(uritcaris)、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増多症、円形脱毛症、アテローム性動脈硬化症、原発性胆汁性肝硬変症、及びネフローゼ症候群を含む。関連する疾病は、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、炎症性腸疾患、クローン病、及び潰瘍性結腸炎、さらに、食品関連のアレルギーなどの腸の炎症を含む。強直性脊椎炎は、自己免疫炎症疾患のもう1つの例であり、脊椎の関節及び骨の一部又は全部が癒着する。
【0118】
本発明の方法を使用する治療に特に適合する、自己免疫疾患は、多発性硬化症、I型(インスリン依存性)真性糖尿病、紅斑性狼瘡、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、リウマチ関節炎、口内炎、喘息、ブドウ膜炎、アレルギー、乾癬、強直性脊椎炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本慢性甲状腺炎、シェーグレン症候群、及び炎症性腸疾患を含む。
【0119】
本発明の方法は、上述のような自己免疫疾患を薬物療法により治療し、それにより緩和するために使用される。自己免疫疾患の治療は、EAE、多発性硬化症の動物モデルの治療に関して本明細書では例示されている。自己免疫疾患を治療するために使用される場合、IFNτ投与の初期段階にIL−10の測定可能な増加をもたらすのに十分な用量のIFNτが投与される。所望の有効用量が達成されると、患者は、IL−10血中レベルがさらに変化しても関係なく、有効IFNτ投薬で長期間にわたり治療される。治療期間は、少なくとも患者が症状を示す期間に延長される。自己免疫疾患に関連する症状が止んだ後、用量を下方調整するか、又は治療を止めることができる。患者は、知られている抗炎症性又は免疫抑制性薬剤などの多の薬剤とのIFNτ治療の治療期間に同時治療されることができる。
【0120】
一実施形態では、IFNτを投与することにより乾癬を患っている患者を治療する方法が提示される。乾癬は、大きく分けて、尋常性乾癬(プラーク乾癬)と膿疱性乾癬(膿疱性乾癬)の2種類がある。異なる種類の乾癬は、重症度、持続期間、身体上の位置、及び病巣の外観に応じて亜群に分けることができる。プラーク乾癬を患っている人にIFNτを投与することについては、実施例4で説明されており、その結果、IL−10血清レベルが増加し、肥厚した皮膚のパッチの重症度が低減される。皮膚損傷の重症度は、文献に記載されている様々なスコア検定、例えば、Physician’s Static Global Assessmentスコア、落屑スコア、プラークスコア、又は紅斑スコアを使用して評価することができる。IFNτによる治療は、臨床的に適当な評価スコアが減少するまで続けられる。この減少は、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは約70%、なおいっそう好ましくは少なくとも約80%である。例えば、治療前のスコアに関して、Physician’s Static Global Assessmentスコアの少なくとも約70%の減少が達成されると、患者は、IFNτによる治療を中止するか、又は異なる、典型的にはそれよりも低い用量のIFNτによる治療を続ける。例えば、所望の評価スコア減少が達成されるまで、約5×108単位/日を超える用量を与えることができ、その後、2〜3×108単位/日以下などの少ない5×108単位/日の維持量を与える。こうして、本発明は、乾癬を患っている人の乾癬評価スコアを低減する方法を提供する。
【0121】
治療方法は、さらに、乾癬の発病から次の発病までの時間を延ばすためにも使用できる。乾癬は、様々な重症度の発病で再発する傾向があり、情動ストレス、皮膚損傷、及び身体的疾患などの多くの要因がきっかけで発病する。IFNτの経口投与による乾癬発病の治療は、皮膚損傷の数と重症度を改善し、また、その後の発病の再発までの期間を延ばす。特に、発生から発生までの間のIFNτの維持量で治療され、維持期間中にIL−10血中レベルが上昇した患者の場合である。
【0122】
さらに、被験者のIL−10レベルを上昇させる用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患の進行を防ぐ方法も考えられる。さらに、好ましくはIFN−γレベルの変化がないか、又は少ないまま、IL−10血清レベルを増加する効果のある用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患の発現を抑制する方法も考えられる。さらに、IL−10/IL−12血清比を高める効果のある用量のIFNτを投与することにより、自己免疫疾患を治療する方法も考えられる。上述のように、IFNτの投薬は、経口形態で与えるのが好ましく、典型的には、約5×108単位/日よりも多い。
【0123】
B.ウイルス感染の治療
本発明の方法は、さらに、ウイルス感染に関連する疾患を治療するためにも使用される。IFNτの抗ウイルス活性は、IFNαsに通常関連している毒作用を持たず、広範な治療用途がありIFNτは、細胞に悪影響を及ぼすことなく治療活性を発揮する。IFNτの細胞毒性が相対的に欠如していることにより、生体内治療薬としてきわめて高い価値を有し、IFNτは、大半の他の知られている抗ウイルス薬及び他の知られているインターフェロンから際だったものとなっている。
【0124】
ウイルス複製を阻害するために、IFNτを含む製剤を経口投与することができる。ウイルス感染の治療で使用するために、患者の血中IL−10の測定可能な増加を十分達成できる用量のタンパク質が投与される。これ以降、血中IL−10レベルのさらなる変化、例えば、ウイルス量の減少によるIL−10血中レベルの低下とは無関係に、有効用量で治療が続けられる。IFNτの投与は、例えば血液ウイルス価又はウイルス感染に関連する症状の臨床的観察から測定されるように、ウイルス感染のレベルが減少するまで続けられる。
【0125】
ウイルス感染は、RNAウイルス又はDNAウイルスによるものとしてよい。経口投与されたIFNτにより治療することができる特異的ウイルス性疾患の例は、限定はしないが、A型肝炎、B型肝炎、非A、非B、非C型肝炎、エプスタインバールウィルス感染、HIV感染、ヘルペスウイルス(EB、CML、単純ヘルペス)、乳頭腫、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、アデノウイルス、ライノウィルス、HTLV I、HTLV II、及びヒトロタウイルスを含む。患者は、第2の抗ウイルス剤でIFNτ治療期間に同時治療することができ、例示的な薬剤を以下に示す。
【0126】
C.細胞増殖の疾患の治療方法
他の実施形態では、過剰増殖を特徴とする疾患の治療が行われる。IFNτは、強力な抗細胞増殖活性(Pontzer、C.H.ら、Cancer Res.、51:5304−5307、(1991))を示し、したがって、経口投与した場合に無制御の細胞増殖を抑制、予防、又は遅延する作用をする。
【0127】
経口投与されたIFNτにより治療することができるヒトの細胞増殖疾患の例は、限定はしないが、肺大細胞癌、結腸腺癌、皮膚癌(基底細胞癌及び悪性黒色腫)、腎臓腺癌、前骨髄球性白血病、T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、乳腺腺癌、ステロイド感受性のある腫瘍、ヘアリー細胞白血病、カポジ肉腫、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、表在性膀胱癌、卵巣癌、及び神経膠腫を含む。
【0128】
細胞増殖疾患の治療で使用するために、患者の血中IL−10の初期の測定可能な増加を十分達成できる用量のIFNτが投与される。これ以降、血中IL−10レベルのさらなる変化、例えば、人体の癌細胞の減少によるIL−10血中レベルの低下とは無関係に、有効用量で治療が続けられる。有効用量のIFNτの投与は、例えば特定の組織内の癌細胞の腫瘍サイズ又は範囲による測定に従って、所望のレベルの回帰が観察されるまで続けられる。
【0129】
患者は、第2の抗癌剤、例えば、シスプラチン、ドキソルビシン、又はタクソール、及び以下に示す他の薬剤で、IFNτ治療期間に同時治療することができる。
【0130】
D.治療計画の組合せ
IFNτと1つ又は複数の他の薬剤との組合せも考察される。(i)第2の治療薬、(ii)経口投与後IFNτを安定化するか、又は活性の喪失からIFNτを保護する効果のある薬剤、及び(iii)第2の治療薬及び安定化剤と併用するIFNτの経口投与を含む、様々な併用治療計画が考察される。これらの様々な治療方法について以下で説明する。
【0131】
一実施形態では、IFNτの経口投与は、第2の治療薬の投与と併用される。この実施形態では、IFNτは、約5×108Uを超える1日用量で投与され、第2の薬剤は、通常薬剤の推奨投薬スケジュールに従って担当医により処方されたとおりに投与される。特定の疾病又は疾患に基づいて選択された、第2の薬剤は、IFNτの経口投与の前に、又はそれと同時に、又はその後に、適当な投与経路により投与することができる。
【0132】
自己免疫疾患の治療は、好ましい治療方法であり、例示的な併用計画は、自己免疫応答が指向される抗原の投与と併用するIFNτの経口投与を含む。実施例は、多発性硬化症を治療するミエリン塩基性タンパク質とIFNτ、関節リウマチを治療するコラーゲンとIFNτ、及び重症筋無力症を治療するアセチルコリン受容体ポリペプチドとIFNτの同時投与を含む。
【0133】
さらに、IFNτは、ステロイドなどの知られている免疫抑制剤とともに経口投与し、多発性硬化症などの自己免疫疾患を治療することができる。免疫抑制剤は、IFNτと相乗的に作用することができ、その結果、IFNτの等価用量又は免疫抑制剤単独により、さらに有効な治療効果が得られる。より一般的に、自己免疫疾患の治療のため薬物、つまり、治療薬と併用してIFNτを投与することが考えられ、その場合、代表的薬物は、限定はしないが、アザチオプリン、シクロホスファミド、コルチコステロイド(プレドニゾン、プレドニゾロン、その他)、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、抗胸腺細胞グロブリン、ムロモナブ−CD3モノクローナル抗体、メルカプトプリン、ミトキサントロン、酢酸グラチラマー(Copaxone)、インターフェロン−ベータ(Avonex(TM)、Betaseron(TM)、Ribif(TM))、ダクリズマブ、メトトレキサート、シロリムス、タクロリムスなどを含む。
【0134】
一実施形態では、IFNτ及び選択的接着分子阻害剤、特に、インテグリン拮抗薬が、例えば、クローン病又は多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療のため併用投与される。インテグリンは、細胞−細胞及び細胞−細胞外マトリックス相互作用を媒介する細胞表面接着分子の一群である。これらは、ヘテロ二量体として関連し機能分子を形成する膜貫通α及びβサブユニットからなる。今のところ、18個のαサブユニット及び8個のβサブユニットが特定されており、24個を超える異なるインテグリン受容体を形成する(Sandborn、W.J.ら、Am.J Gastroenterol.、98(11):2372(2003))。アルファ−4インテグリン(α4インテグリン)は、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基性球、並びに低レベルでは、好中球上に発現する。α4インテグリンは、2つのβサブユニット、β1及びβ7のいずれかと対にすることができる。α4β1インテグリンは、最晩期抗原4(VLA−4)と呼ばれ、血液脳関門内皮細胞上に存在する血管細胞接着分子−1(VCAM−1)又はフィブロネクチンを含む結合セグメント−1(CS−1)のいずれかに結合する。α4β1インテグリンは、細胞接着及び経内皮移動の重要な媒介であるとともに、炎症組織内の免疫細胞活性の調節因子でもある。α4β7は、粘膜固有層関連分子−1(LPAM−1)とも呼ばれ、腸管関連リンパ組織上に発現する粘膜血管アドレシン細胞接着分子−1に結合する。
【0135】
ナタリズマブ(Antegren(登録商標)、Elan Pharmaceuticals and Biogen)は、α4β1インテグリン拮抗薬としての活性を有するヒト化モノクローナル抗体である(Elices、M.J.、Curr.Opin.Investig.Drugs、4(11):1354(2003)、WO95/19790)。抗体は、細胞表面上のα4インテグリンサブユニットに結合し、白血球のα4インテグリン媒介接着及び移行を阻害する。ナタリズマブは、炎症性腸疾患及び多発性硬化症の患者が関わる臨床試験において評価された(Sandborn、W.J.ら、Am.J.Gastroenterol.、98(11):2372(2003)、Miller、D.H.ら、New Engl.J.Med.、348(1):15(2003)、Elices、M.J.、Curr.Opin.Investig.Drugs、4(11):1354(2003))。再発寛解型及び二次性進行型多発性硬化症の患者にナタリズマブによる短期治療を施すと、磁気共鳴映像法により評価されているように、新しい活動性病変の数が減少した(上記、Sandbornら参照)。再発性多発性硬化症の患者に関して、6カ月間に炎症性脳障害の減少及び再発の減少が観察された(上記Millerら参照)。
【0136】
したがって、自己免疫疾患を患っている患者にIFNτを経口投与すること、及びナタリズマブを追加投与することを含む併用治療計画が、実施例5に示されているように、考えられる。投薬計画は、他の要因とともに、患者、状態、及び重症度により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの毎日の経口投与、及び約3mg/kgの用量のナタリズマブの月1回(28日毎)の静脈内投与を含む。自己免疫疾患を治療する際のIFNτ及びナタリズマブの作用の異なるメカニズムのおかげで、治療結果がいっそう高められることが予想される。
【0137】
他の実施形態では、IFNτ及び乾癬を治療するのに有用な第2の薬剤が投与される、乾癬の治療計画が提示される。乾癬のIFNτ治療と併用できる治療薬は、局所薬剤又は全身性薬剤を含むことができる。好適な治療薬は、TNF−アルファ因子に対抗するモノクローナル抗体、すでに本明細書で説明されているスタチン及び酢酸グラチラマー、コラーゲン、レチノイドアントラリン、カルポトリエン、コールタール、サリチル酸、プロピオン酸クロベタゾール、アレファセプト、ヒドロキシウレア、及びエタナーセプトを含む、免疫抑制剤を含む。
【0138】
他の実施形態では、IFNτ及びスタチンは、例えば、多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療のため併用投与される。スタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル酵素−CoA還元酵素阻害剤(Hmg−CoA還元酵素阻害剤、HRI、及びメバロン酸生合成阻害剤)である薬理作用のある物質の一群である。スタチンは、コレステロールを生産する肝臓内の酵素をブロックすることにより血清脂質(コレステロール)レベルを変化させる。動脈壁の炎症は、アテローム性動脈硬化症にも関与し、またスタチンは、炎症軽減にも関与している。
【0139】
ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン(Zocor(登録商標)、ベロスタチン)、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、及びセリバスタチン(Baycol(登録商標))を含む、処方に使用可能な複数のスタチンがある。これらの薬物は、典型的には、約5〜40mgの範囲で1日用量を経口で与えられる。他のスタチンは、イタバスタチン、メバスタチンなどを含む。
【0140】
関節リウマチ又は多発性硬化症などの炎症により引き起こされる疾患を患っている患者にIFNτを経口投与すること、及びスタチンを追加投与することを含む併用治療計画が考えられる。投薬計画は、他の要因とともに、患者、状態、及び重症度により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの経口投与、及び約5〜50mgのスタチンの一般に経口で与えられる毎日の投薬を含む。
【0141】
他の実施形態では、臓器拒絶反応のリスクを低減し、及び/又は予防するために、IFNτ及び免疫抑制剤ミコフェノール酸モフェチル(Celloept(登録商標)、Hoffman−La Roche AG、ドイツ、グレンザッハ)が併用投与される。この実施形態は、実施例6で例示されている。ミコフェノール酸モフェチルは、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤であり、特にT細胞及びB細胞におけるプリン合成を阻害する(Groetzner J.ら、Transplantation 77(4):568(2004))。この化合物は、動物モデル(腎臓、心臓、肝臓、腸、肢、小腸、膵臓ランゲルハンス島、骨髄など)における同種異系移植の生存を延長することが証明されている。この薬物は、さらに、イヌの腎臓及びラットの心臓同種移植片モデルにおける進行中急性拒絶を逆転し、ラットの大動脈及び心臓同種移植片及び霊長類の心臓異種移植片の増殖動脈疾患を抑制することが示されている。ミコフェノール酸モフェチルは、経口投与後に吸収され、その活性代謝産物であるミコフェノール酸に加水分解される。ミコフェノール酸は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの強力で、選択的で、競合しない、可逆阻害剤であり、DNAに組み込まれることなくグアノシンヌクレオチド合成のデノボ経路を阻害する。これは、Tリンパ球及びBリンパ球に対する強力な細胞静止作用を持ち、これは、プリンのデノボ合成での増殖に依存する。
【0142】
ミコフェノール酸モフェチルは、カプセル、錠剤の形態で、及び経口懸濁又は静脈内注射用のパワーとして経口投与に使用可能である。腎移植患者での使用には、日に2回1グラムの用量(1日用量2g)を経口又は経静脈投与するのが推奨される。心臓移植患者の場合、日に2回1.5グラムの用量を経静脈又は経口投与することが推奨される。
【0143】
臓器移植患者にIFNτを経口投与し、ミコフェノール酸モフェチルを投与して、臓器拒絶のリスクを低減し、及び/又は臓器拒絶を予防する併用治療計画が考えられる。ミコフェノール酸モフェチルは、遊離塩基又は塩の形態とすることができることは理解されるであろう。投薬計画は、他の要因とともに、患者、臓器移植の種類により異なる。例示的な投薬計画は、約5×108Uを超える1日用量のIFNτの毎日の経口投与、及び1日約3mgまでの用量のミコフェノール酸モフェチルの一般に経口又は経静脈で与えられる毎日の投薬を含む。
【0144】
C型肝炎以外の癌又はウイルス性疾患を治療する際に、IFNτは、例えば、治療効果のある量の1つ又は複数の化学療法薬剤と併用投与することができる。細胞増殖疾患の治療用の例示的な薬剤の種類は、限定はしないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似物質、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、生物反応修飾物質(例えば、サイトカイン)、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、プロゲスチン、エストロゲン薬、抗エストロゲン剤、男性ホルモン、抗男性ホルモン、及びホルモン類似物質を放出するゴナドトロピンを含む。代表的な薬物は、限定はしないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アスパラギナーゼ、インターフェロンアルファ、シスプラチン、カルボプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグリエチミド、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニールエストラディオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリド、ジドブジン(AZT)、ロイコボリン、メルファラン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ジピリダモールなどを含む。
【0145】
ウイルス感染の治療のためIFNτと同時投与するための例示的な薬剤は、限定はしないが、抗ヘルペスウイルス剤、抗レトロウイルス薬、及び抗ウイルス薬を含む。代表的な薬物は、アシクロビル、ファムシクロビル、フォスカネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、ディダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アマンタジン、インターフェロン−アルファ、リバビリン、リマンタジン、ラミブジン、プロテアーゼ阻害剤、非環状ヌクレオシドホスホン酸などを含む。
【0146】
アルツハイマー病は、IFNτを神経伝達増強薬であるアミロイドベータと併用投与すると有益である場合があり、これは、例えばタクリン、ドネペジル、リバスティグミン、メトリホナート、エパスチグミン、ニコチン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、塩化アンベノミウム、及びイチョウなどの抗コリンエステラーゼ阻害剤、セレギリン及びビタミンEを含む、脳内カテコールアミンを増加させ、及び/又はニューロンへの酸化的損傷を低減する物質、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、及びセリバスタチンなどのスタチン(スタチンは免疫抑制特性も有する)を含む、抗炎症特性を有する非ステロイド系薬物、エンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸及びトルフェナム酸などのアミノアリールカルボン酸誘導体、アセクロフェナク、アセメタシン、プロンフェナク、クロピラク、エトドラク、フェンチアザク、インドメタシン、オキサメタシン、及びトロペシンなどのアリール酢酸誘導体、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、及びキセンブシンなどのアリール酪酸誘導体、クリダナク、ケトロラク、及びチノリジンなどのアリールカルボン酸誘導体、アルミノプロフェン、カルプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピルプロフェン、及びザルトプロフェンなどのアリールプロピオン酸誘導体、ジフェナミゾール及びエピリゾールなどのピラゾール、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、オキシフェンブタゾン、ピペブゾン、ラミフェナゾン、及びチアゾリノブタゾンなどのピラゾロン、アセトアミノサロール、アスピリン、バルサラジド、ジフルニサル、ゲンチシン酸、サリチル酸イミダゾール、オルサラジン、パルサルミド、サリチル硫酸、サリチル酸ナトリウム、及びスルファサラジンなどのサリチル酸誘導体、及びアンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、及びテノキシカムなどのチアジンカルボキシアミド、及びキサノメリン、ミラメリン、AF 1028、又はメムリックを含むコリン作動薬を含む。実施例7では、アルツハイマー病のネズミモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療されるアルツハイマー病を患っている患者の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0147】
肝線維症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、線維症の原因に基づいて選択することができる。例えば、肝線維症がC型肝炎感染などの肝炎ウイルス感染を原因とする場合、様々な抗ウイルス薬を使用することができ、そのような抗ウイルス薬としては、パリビズマブなどのモノクローナル抗体、アンプレナビル、インディナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、及びサクイナビルなどのペプチド模倣薬、アンプリゲン及びホミビルセンなどのポリヌクレオチド、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、シドホビル、シタラビン、ディダノシン、ジデオキシアデノシン、エドクスジン、エムトリシタビン、ファムシクロビル、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスウリジン、イノシンプラノベクス、ラミブジン、MADU、ペンシクロビル、ソリブジン、スタブジン、テノフォビル、トリフルリジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン、及びジドブジンなどのプリン/ピリミドン、及びオセルタミビル及びザナミビルなどのシアル酸類似物、並びにインターフェロン−アルファ、インターフェロン−β、及びインターフェロン−ガンマがある。実施例8では、肝線維症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される肝線維症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0148】
肝線維症が癌に次いで発生する場合、各種の抗細胞増殖剤を使用することができ、これは、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似物質、ピリミジン類似物質、プリン類似物質、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、生物反応修飾物質(例えば、サイトカイン)、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、男性ホルモン、抗男性ホルモン、及びホルモン類似物質を放出するゴナドトロピンを含む。代表的な薬物は、限定はしないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、アスパラギナーゼ、インターフェロンアルファ、シスプラチン、カルボプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、アミノグリエチミド、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニールエストラディオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリド、ジドブジン(AZT)、ロイコボリン、メルファラン、ダカルバジン、ジピリダモールなどを含む。当業者であれば、肝線維症が他の何らかの疾病又は疾患に次いで発生する場合に他の適切な治療薬を選択できる。
【0149】
肺線維症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、アレムツズマブ、アザチオプリン、バシリキシマブ、ブレキナル、シクロホスファミド、コルチコステロイド(プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、デキサメタゾンなど)、シクロスポリン、グスペリムス、6−メルカプトプリン、ミゾリビン、ピメクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、抗胸腺細胞グロブリン、ムロモナブ−CD3モノクローナル抗体、メルカプトプリン、ミトキサントロン、酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))、インターフェロン−ガンマ、インターフェロン−ベータ(Avonex(商標)、Betaseron(商標)、Ribif(商標))、ダクリズマブ、メトトレキサート、シロリムス、タクロリムスなどの免疫抑制剤を含む。酢酸グラチラマーは、チロシン、グルタミン酸塩、アラニン及びリシンからなる合成塩基性ランダム共重合体であり、例えば、抗炎症特性を有する。IFNτとともに投与した場合、酢酸グラチラマーは、より高いレベルのIL−10及びTGF−ベータ(Soos、J.M.ら、J.Immunol.、169:2231(2002))を含みうる。関節リウマチ、及び結核などの、肺線維症の原因となった基礎疾患が知られている特定の場合において、そのような疾病又は疾患を治療することが知られている治療薬を使用することができる。例えば、抗生物質による治療を、結核で使用することができ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ及びエレコキシブを含むCox−2阻害剤、さらには、例えば免疫抑制特性を利用するメトトレキサートすでに説明してある免疫抑制剤を含む以前に説明した非ステロイド系抗炎症薬を含む抗炎症薬を、関節リウマチで使用することができる。実施例9では、肺線維症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される肺線維症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0150】
抗リン脂質症候群のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、未分画ヘパリン、ロブノックス、アセチルサリチル酸、及びクマディンなどの抗血液凝固剤、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、プリマキン、プログアニル、及びドキシサイクリンを含む抗マラリア薬、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、及びデキサメタゾンを含むコルチコステロイド、及び静脈内免疫グロブリンを含む免疫調節薬を含む。実施例10では、抗リン脂質症候群のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される抗リン脂質症候群を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0151】
脳卒中のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、ベンシクラン、シクロニカート、シンナリジンシクランデレート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、エブルナモニン、ファスジル、フェノキセジルフルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロニル、ニカメタート、ニセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、ペンチフィリン、ビンカミン、ビンポセチン、及びビキジルなどの脳血管拡張薬、アモトリフェン、ベンフロジルヘミスクシナート、ベンジオダロン、クロラシジン、クロモナル、クロベンフロールクロニトラート、クロリクロメン、ジラゼプ、エタフェノン、フェンジリン、ヘキソベンジン、六硝酸マンニトール、ニトログリセリン、ペントリニトロール、ペルヘキシリンプロパチルニトラート、トラピジル、トリメタジジン、及びビスナジンなどの冠拡張薬、及び組織プラスミノゲン活性化因子を含む。他の適当な薬剤は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)又はそのペプチド、スタチン、及び酢酸グラチラマーなどの自己抗原を含む。MOGは、ヒトMOGなどの哺乳類MOGであるのが好ましい。ヒトMOGのヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号5)は、当業で知られており、例えば、アクセッション番号BC035938としてNIH Genbankデータベースで見つけることができる。好適なMOGペプチドは、長さが約10から約150個のアミノ酸、典型的には約30から約100個のアミノ酸を含み、さらに、長さが約10から50個のアミノ酸でもよく、脳卒中患者の治療に有効である。一実施例として、MOGのアミノ酸35からアミノ酸55までのペプチドを使用することができる。他の実施例として、アミノ酸37からアミノ酸46までのMOGのペプチドを使用することができる。脳卒中の治療で機能する、例えば、ヒツジ、ウシ、及びブタを含む、他の哺乳類種からのMOG及びそのペプチドは、本明細書の方法で使用することができる。したがって、適用可能なMOGは、ヒトMOGのアミノ酸配列と少なくとも約70%の同一性、さらに少なくとも約80%の同一性、さらに少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するものを含む。同一性の割合は、米国立衛生研究所から入手可能な、例えば、バージョン2.2.9を含む、上級BLASTコンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することにより、決定することができるか、又は他の類似のコンピュータプログラムを使用して決定することができる。BLASTプログラムは、KarlinとAltschulの整列法に基づく。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268(1990)を参照、またAltschulら、J.Mol.Biol 215:403−410(1990)、Karlin And Altschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877(1993)、Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997)で説明されているとおりである。したがって、上記の治療薬の1つ又は複数とのIFNτの併用投与は、本発明の方法の範囲に含まれる。実施例11では、脳卒中のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するために、脳卒中を患い、IFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0152】
視神経炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、スタチン、並びにスタチン、コルチコステロイド、及び酢酸グラチラマーを含む、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤を含む。実施例12では、視神経炎のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される視神経炎を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0153】
慢性閉塞性肺疾患のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、気管支拡張剤及びコルチコステロイドを含む。好適な気管支拡張薬は、例えば、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ジオキセテドリン、エフェドリン、フェノテロール、イソエタリン、マブテロール、ピルブテロール、プロトキロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、及びツロブテロールなどのエフェドリン誘導体、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、及び臭化チトロピウムなどの第4アンモニウム化合物、及びアセフィリン、アンブフィリン、アミノフィリン、バミフィリン、ドキソフィリイン、エトフィリン、グアチリン、テオブロミン、及びテオフィリンなどのキサンチン誘導体を含む。他の好適な薬剤は、すでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む。実施例13では、慢性閉塞性肺疾患のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される慢性閉塞性肺疾患を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0154】
自閉症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、フェモキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、インダルピン、塩酸インデロキサジン、ミルナシプラン、パロキセチン、セルトラリン、及びジメルジンを含むセロトニン取り込み阻害薬、アミスルプリド、ネモナプリド、レモキシプリド、スルピリド、及びスルトプリドなどの、ベンズアミドを含む、抗精神病薬、イロペリドン及びリスペリドンなどのベンズイソオキサゾール、ベンペリドール、ブロムペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、ハロペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、スピペロン、チミペロン、及びトリフルペリドールなどのブチロフェノン、アセトフェナジン、ブタペラジン、カルフェナジン、クロルプロマジン、クロスピラジン、シアメマジン、ジキシラジン、フルフェナジン、メパジン、及びメソリダジンなどのフェノチアジン、及びクロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、及びチオチキセンなどのチオキサンテン、並びに本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む抗炎症特性を有する薬物を含む。実施例14では、自閉症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される自閉症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0155】
糖尿病のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、インスリン、ベータ細胞関連自己抗原、及び例えば、熱ショックタンパク質10、22、27、60、65、70、及び90を含む熱ショックタンパク質を含む。熱ショックタンパク質は、ヒト熱ショックタンパク質などの哺乳類の熱ショックタンパク質であるのが好ましく、その多くは、市販品を購入するか、又は他の何らかの形で、当業者に知られている方法により取得することができる。
【0156】
アテローム性動脈硬化症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤、例えば、熱ショックタンパク質10、22、27、60、65、70、及び90を含む熱ショックタンパク質を含む。熱ショックタンパク質は、ヒト熱ショックタンパク質などの哺乳類の熱ショックタンパク質であるのが好ましい。他の好適な治療薬は、例えば、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン、及びスルフィンピラゾンなどの抗血小板薬、塩酸コレスチポール、及びコレスチラミン樹脂を含む胆汁酸抑制剤、ゲンフィブロジル、フェノフィブラート、及びクロフィブラートを含むフィブリン酸塩(フィブリン酸誘導体)、ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン(Zocor(登録商標)、ベロスタチン)、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、及びセリバスタチン(Baycol(登録商標))などの3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、クロルメロドリン、メラルリド、メルカプトメリンナトリウム、及びメルサリルを含む、有機水銀などの、利尿薬を含む、高血圧を伴う場合の抗高血圧薬、パマブロム、プロテオブロミン、及びテオブロミンを含む、プリン、カンレノン、オレアンドリン、及びスピロノラクトンなどのステロイド、アセタゾラミド、アンブシド、アゾセミド、ブメタニド、ブタゾラミド、クロフェナミド、クロパミド、ジスルファミド、フロセミド、及びトルセミドなどのスルホンアミド誘導体、及びアルチジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、及びテクロチアジドなどのチアジド、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、リシノプリル、モベルチプリル、キナプリル、ラミプリル、及びテモカプリルなどのアンジオテンシン転換酵素阻害剤、アドラフィニル、アドレナロン、アミドフリン、アプラクロニジン、ブルドララジン、クロニジン、シクロペンタミン、エフェドリン、フェノキサゾリン、マタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、モダフィニル、オクトドリン、オキシメタゾリン、フォレドリン、リルメニジン、及びチラミンなどのアルファアドレナリン作動薬、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ブニトロロール、塩酸ブチドリン、カラゾロール、カルテオロール、ジレベアロール、インデノロール、メピンドロール、モプロロール、ナドキソロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、スルフィナロール、テルタトロール、及びキシベノロールなどのベータアドレナリン遮断薬、ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニラミン、セモチアジル、テロジリン、及びベラパミルなどのアリールアルキルアミンを含む、カルシウムチャンネル遮断薬、アムロジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、マニジピン、ニルバジピン、及びニトレンジピンなどのジヒドロピリジン誘導体、シンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジン、及びロメリジンなどのピペラジン誘導体、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、及びコルチコステロイドを含む、抗炎症特性を有する、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤及び薬物を含む。実施例15では、アテローム性動脈硬化症のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療されるアテローム性動脈硬化症を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0157】
アレルギーのIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、花粉、オブアルブミン、ミルク、小麦、ウシ、ブタ、又はヒツジ由来の肉を含む動物肉などの食品成分、ニンジン、及びブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、及びカブなどのアブラナ科の野菜を含む野菜、ピーナッツ、ピスタチオ、カシューを含む木の実、及びダニ、Der1(例えば、サッカロマイセスセレヴィシエからのもの、クローニングの配列は、Knop、M.ら、Embo J.15(4)753−763(1996)で説明されている)を含む小胞体分解剤、酢酸グラチラマー、及び本明細書ですでに説明されているスタチンとコルチコステロイドを含む、アレルギー誘発剤を含む。さらに、他の種からの当業で知られているDer1タンパク質は、当業で知られているDer1に似たタンパク質と同様に、使用することができる。
【0158】
炎症性大腸炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、インフリキシマブ(腫瘍壊死−α因子、TNF−アルファ因子に対抗するモノクローナル抗体)、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、アセチルタンニン酸、アルコファノン、次サリチル酸ビスマス、カテキン、ジフェノキシン、ジフェノキシレート、リダミジン、ロペラミド、ラセカドトリル、エンレイソウ、ウザリン、及びザルダリドなどの下痢止め薬、並びにベラドンナ、ヒヨスチアミン、臭化クリジニウム、グリコピロレート、塩酸ジシクロミン、メベベリン、臭化オチロニウム、及びシメトロピウムを含む鎮痙薬を含む。
【0159】
関節炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、連鎖球菌細胞壁などの抗原、熱ショックタンパク質60などの本明細書ですでに説明されているものを含む熱ショックタンパク質、II型コラーゲンを含むコラーゲン、本明細書ですでに説明されている非ステロイド性抗炎症薬、TNF−アルファ因子、本明細書ですでに説明されているスタチン、酢酸グラチラマー、メトトレキサート、及び本明細書ですでに説明されているCOX−2特異的阻害剤に対するモノクローナル抗体を含む。実施例16では、関節炎のモデルについて説明しており、治療の有効性を判定するためにIFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される関節炎を患っている人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0160】
多発性硬化症のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、ミエリン塩基性タンパク質及びそのペプチド、すでに本明細書で説明されているミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質及びそのペプチド、本明細書ですでに説明されているTNF−アルファ因子に対するモノクローナル抗体、酢酸グラチラマー、及びすでに説明されているコルチコステロイドとスタチンを含む。ミエリン塩基性タンパク質は、ヒトミエリン塩基性タンパク質などの哺乳類ミエリン塩基性タンパク質であるのが好ましい。ヒトミエリン塩基性タンパク質のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号6)は、例えば、アクセッション番号NM 002385としてNIH Genbankデータベースで見つけることができる。ミエリン塩基性タンパク質の好適なペプチドは、約5から30個までの長さのアミノ酸に由来するものを含む。好適なペプチドは、アミノ酸1からアミノ酸11までの断片を含み、これは、アセチル基などの、5’末端での修飾を含むことができる。多発性硬化症の治療で機能する、例えば、ヒツジ、ウシ、及びブタを含む、他の哺乳類種からのミエリン塩基性タンパク質及びそのペプチドは、本明細書の方法で使用することができる。したがって、適用可能なミエリン塩基性タンパク質は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも約70%の同一性、さらに少なくとも約80%の同一性、さらに少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有するものを含む。
【0161】
ブドウ膜炎のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、コルチコステロイドを含む、また全身に、又は目に投与する液滴の形態で投与することができる、スタチン、酢酸グラチラマー、及び本明細書ですでに説明されている他の免疫抑制剤、レチナールS抗原(ヒトレチナールS抗原は、例えば、Beneski、D.A.ら、Inves.Opth.Vis.Sci.25:686−690(1984)で説明されているように入手できる)、及び間質レチナール結合タンパク質(IRBP、ヒト配列はLiou、G.I.ら、J.Biol.Chem.264(14):8200−8206(1989)に記載されている)を含むブドウ膜炎誘発剤、並びに当業で知られており、例えば、PCT国際出願番号PCT/US02/24311及びPCT/GB98/03686、Braud、V.M.ら、Nature 391:795−799(1998)で説明されているHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、及びHLA−Gに由来するものを含むヒト白血球抗原(HLA)−結合ペプチドを含む。
【0162】
臓器移植拒絶反応のIFNτ治療と組み合わせることができる治療薬は、例えばスタチン、酢酸グラチラマー、アザチオプリン、コルチコステロイド、又はシクロホスファミドなどの、本明細書ですでに説明されている免疫抑制剤を含む。実施例17では、臓器移植拒絶反応モデルについて説明しており、治療の有効性を判定するために、臓器移植を受け、IFNτ単独で、又は1つ若しくは複数の第2の治療薬と併用して治療される人の治療をどのように評価できるかを例示している。
【0163】
これらの併用治療計画では、第2の治療薬は、IFNτを経口投与する前に、又は同時に、又はその後に投与することができることは理解されるであろう。IFNτ及び第2の薬剤の投与のタイミングだけでなく、第2の薬剤の投与の好適な経路の選択は、当業者であれば容易に行える。第2の薬剤は、担当の薬品供給者が決定した、好適な経路により投与することができる。
【0164】
他の併用治療計画は、経口投与後、並びに特に、胃及び/又は腸管を通して輸送するときに、IFNτを保護し、及び/又は安定化させる効果のある薬剤と組み合わせたIFNτの投与に関係する。安定剤は、胃及び/又は腸内を通してIFNτの治療活性が失われる、つまり胃及び/又は腸内で変性するのを防ぐために使用される。使用する安定剤の例は、緩衝液、胃酸の分泌の拮抗薬、グリシン及びリシンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、乳糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マンニトールなどの炭水化物類、タンパク質分解酵素阻害剤などを含む。
【0165】
好ましい一実施形態では、安定剤は、有機酸カルボン酸塩、例えば、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムなどのクエン酸の塩、又は無機塩などの制酸薬である。例示的な無機塩は、限定はしないが、水酸化アルミニウム(AI(OH)3)又はリン酸塩、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、及びこれらの組合せを含む。市販の制酸薬Mylanta(商標)は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムを含み、経口投与可能な制酸薬として好適である。制酸薬は、典型的には、水に不溶であり、経口懸濁液として与えられる。
【0166】
制酸薬がIFNτと組み合わせて与えられる治療計画では、IFNτの経口投与の前に、又はそれと同時に制酸薬を経口投与することを伴うことが好ましい。例えば、患者は、IFNτの5〜30分前に制酸薬を摂取する。制酸薬は、IFNτが胃の中、より好ましくは腸管内で変性及び/又は分解するのを防ぎ、それにより、治療効果を達成するために必要なIFNτの用量を削減することができる。上述のように、患者の血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらすために5×108単位を超える程度のIFNτの用量が必要である。IL−10レベルの同じ増加は、IFNτが制酸薬の投与と同時に、又は投与後に投与される場合にIFNτの用量を減らしても達成できる。
【0167】
プロトンポンプ阻害薬として知られている化合物のクラスも、経口投与後にIFNτを保護及び/又は安定化する安定剤として投与することができる。プロトンポンプ阻害薬は、胃及び腸内の酸の放出を防ぎ、多くの場合、潰瘍、酸の逆流、又は胃酸過多を治療するために使用される。一般に、プロトンポンプ阻害薬は、置換ベンゾオキサゾールであり、ラベプラゾール(Aciphex(登録商標))、ランソプラゾール(Prevacid(登録商標))、オメプラゾール(Prilosec(登録商標))、及びパントプラゾール(Protonix(登録商標))を含む。プロトンポンプ阻害薬は、IFNτの前又は同時に投与され、IFNτが胃の中、より好ましくは腸管内で変性及び/又は分解するのを防ぎ、それにより、治療効果を達成するために必要なIFNτの用量を削減する効果を有する。上述のように、患者の血中IL−10レベルの測定可能な増加をもたらすために、プロトンポンプ阻害薬又は制酸薬がない場合に、5×108単位を超える程度のIFNτの用量が必要である。IL−10レベルの同じ増加は、IFNτがプロトンポンプ阻害薬の投与と同時に、又は投与後に投与される場合にIFNτの用量を減らしても達成できる。
【0168】
また、制酸薬及び上述の薬剤などの第2の治療薬と組み合わせてIFNτを経口投与することにより患者を治療することも考えられる。この実施形態では、所望の臨床的終点に到達するために必要なIFNτの用量は、制酸薬がない場合に必要な用量よりも少ない。第2の治療薬の用量は、必要ならば、制酸薬の存在及び/又はIFNτとの相乗効果に基づいて調整することができる。
【0169】
同じ又は別のパッケージングの収めた、治療上効果のある用量のIFNτ及び疾患を治療するか、又は疾患の症状を少なくとも部分的に緩和する活性を有する第2の治療薬、及びその使用説明書からなる、ウイルス感染、自己免疫疾患、又は細胞増殖を特徴とする疾患を持つ患者を治療するためのキットも考えられる。
【0170】
一実施形態では、キットは、(i)毎日の全用量が5×108単位を超える1つ又は複数の単位用量のIFNτ、(ii)多発性硬化症のための1つ又は複数の単位用量の第2の治療薬、及び(iii)使用説明書からなる。第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0171】
他の実施形態では、キットは、(i)単位用量のIFNτであって、単位用量は5×108単位を超える推奨1日用量の1/3から1/2であり、前記単位用量は経口投与に好適な形態である単位用量のIFNτ、(ii)多発性硬化症のための単位用量の第2の治療薬であって、第2の治療薬について医師が処方する1日用量の1/3から1/2である単位用量の第2の治療薬、及び(iii)使用説明書からなる。医療担当者は、キットが1日用量の1/2である単位用量を含む場合に、毎日2つのキットの内容物を投与し、キットが1日用量の1/3である単位用量を含む場合に、毎日3つのキットの内容物を投与するように患者に処方する。第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0172】
他の実施形態では、キットは、(i)抗酸剤、(ii)経口投与に好適な形態のIFNτ,(iii)第2の治療薬、及び(iv)使用説明書からなる。抗酸剤は、上述の制酸剤のうちの1つとすることができ、第2の治療薬は、好ましい実施形態では、ナタリズマブ、スタチン、又はミコフェノール酸モフェチルである。
【0173】
特定の例示的なキットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のスタチン、治療用量よりも少ないIFNτ、及び制酸薬、並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のスタチン及び治療用量のIFNτ並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のナタリズマブ及びIFNτ、並びに使用説明書を含む。他の実施形態では、キットは、多発性硬化症治療を必要とする患者を治療するための治療用量のナタリズマブ、治療用量よりも少ないIFNτ、及び制酸薬、並びに使用説明書を含み、患者は、IFNτの経口投与の少なくとも5〜30分前に制酸薬を摂取するよう指示される。当業者であれば、これらのキットは、考案された様々な組合せ及び投薬計画の単なる例であることを理解できるであろう。
【0174】
E.製剤及び用量
IFNτを含む経口製剤は、薬剤組成物を調合するための知られている方法に従って配合することができる。一般に、IFNτ治療組成物は、有効な量のIFNτが好適な添加剤、担体、及び/又は賦形剤と組み合わされ、組成物の効果的な経口投与を行いやすくなるように配合される。例えば、IFNτを含む錠剤及びカプセルは、IFNτ(例えば、凍結乾燥IFNτタンパク質)を薬剤として許容される担体(例えば、乳糖、コーンスターチ、微結晶性セルロース、ショ糖)、結合剤(例えば、アルファデンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、界面活性剤(例えば、Tween 80、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、抗酸化剤(例えば、L−シスチン、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)などの添加剤と組み合わせることにより製造することができる。
【0175】
さらに、本発明のIFNτポリペプチドは、固体、粉体、又は他の担体、例えば、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、じゃがいもデンプン、コーンスターチ、ミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンなどのデンプンと混ぜることができ、また、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、又は錠剤形成に合わせて圧縮されたポリエチレングリコールワックスを含むこともできる。複数の層の担体又は希釈剤を使用することにより、徐放で動作する錠剤を製造することができる。
【0176】
経口投与用の液体製剤は、エリキシル剤、シロップ、又は懸濁液、例えば、IFNτ、砂糖、並びにエタノール、水、グリセロール、プロピレン、グリコール、及び場合によっては従来の性質の添加剤混合物の約0.1重量%から約30重量%を含有する溶液の形態で製造することができる。
【0177】
他の好適な製剤は、腸管粘膜により吸収されるまで胃及び腸内に存続するようにタンパク質を保護する保護投薬形態である。タンパク質用の保護投薬形態は、当業で知られており、腸溶コーティング及び/又は粘膜接着ポリマーコーティングを含む。例示的な粘膜接着ポリマー製剤は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Eudragit(登録商標)、カルボキシビニルポリマー、カルボマーなどを含む。活性形態のIFNτを腸管に、特に小腸に送達するために摂取を介して胃に投与するように設計された投薬形態が考えられる。それとは別に、IFNτは、プロテアーゼ阻害剤と同時投与するか、又はポリマー材料で安定化させるか、又は脂質若しくはポリマー粒子でカプセル化して胃及び/又は腸環境から何らかの保護を行うようにすることができる。
【0178】
経口活性IFNτ薬剤組成物は、治療を必要とする個人に治療上有効な量だけ投与される。用量は、かなり異なる場合があり、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者が摂取している可能性のある他の医薬品などの因子に依存する。この量又は用量は、典型的に、担当医師又は他の熟練者により決定される。用量は、典型的には、約6×108から5×1012単位/日、より好ましくは0.5×109から1×1012単位/日、さらに好ましくは約1×109から1×1012単位/日の範囲内である。特定の一実施形態では、約5×108単位/日を超える用量、より好ましくは0.5×109単位/日以上の用量、さらに好ましくは1×109単位/日以上の用量のIFNτが経口投与される。
【0179】
血漿中で常時高いレベルのIFNτを必要とする疾患では、約2から4時間の頻度の投与だと都合がよく、多発性硬化症などの他の疾患では、低頻度の間隔、例えば1日1回又は48時間毎に1回、治療上有効な用量を投与することにより効果的に治療することができる。個々の用量の投与速度は、典型的には、治療される疾病の重症度を緩和しつつ最低限の総用量を投与することができるように担当医師により調整される。上述のように、この方法では、治療を必要とする患者に初回用量でIFNτを経口投与し、生物学的マーカーを監視して初回用量レベルへの個々の患者の応答を測定する。監視は、例えば、ELISA又はラジオイムノアッセイキットを使用して、採血、及び血中のIL−10などのマーカーの分析を介して容易に行うことができる。したがって、他の態様では、IFNτ療法又はIL−10療法に応答する疾患を患っている人の治療に使用するキットが考えられる。このキットは、IFNτの経口投与用に設計された1つ又は複数の投薬形態単位を含む容器からなる第1の部分、及び血中IL−10レベルを分析するために必要な構成要素などのIFNτのバイオマーカーを監視するために必要な構成要素からなる第2の部分を含む。
【0180】
IFNτの投与は、一般に、臨床的終点に到達するまで継続する。その臨床的終点は、治療される疾患、疾患の重症度、及び患者の個々の特徴(年齢、体重、健康状態)により異なる。臨床的終点は、担当医師又は看護師により容易に決定され、症状の一時的又は永続的中止から疾患の解消まで様々である。
【0181】
例えば、乾癬などの自己免疫疾患を患っている患者では、IFNτによる治療は、乾癬が解消するか、評価スコアの望ましい低下が達成されるまで続けることができる。
【0182】
多発性硬化症の患者であれば、好適な臨床的終点は、症状の重症度の減少であろう。
【0183】
ウイルス感染を患っている人では、好適な臨床的終点は、ウイルス価の低下又はウイルス感染に関連する症状(熱、発疹、倦怠感など)の減衰である。
【0184】
細胞増殖を特徴とする疾患を患っている患者では、IFNτの投与を中止する臨床的終点は、腫瘍サイズの退縮により測定されるような細胞増殖率の退縮、又は腫瘍成長速度の減少により測定されるような細胞増殖の速度低下とすることが可能である。
【0185】
例えば、アルツハイマー病を患っている患者では、そのような患者の脳内の内因性アミロイド斑及び/又は神経原線維のもつれの減少が観察されうる。物忘れ、言語機能低下、錯乱、情動不安、及び躁鬱の減少、並びに標準的方法により測定される視覚情報知的操作能力の向上も観察されうる。
【0186】
肺線維症を患っている個人では、好適な臨床的終点は、呼吸能力の改善、肺の線維組織の量の減少からわかる疾病の進行速度の低下、及び/又は肺炎症の減少を含む。治療前と比較した治療後の呼吸能力を含む、肺機能の低下を改善するIFNτの効果は、当業者に知られている方法により測定することができ、これは、例えば、Pellegrino、R.ら、Eur.Respir.J.、10:543−549(1997)で説明されているような強制的呼気量の測定を含む。肺の中の線維性瘢痕組織の増加の減少は、実施例9で説明されているように、肺組織ヒドロキシプロリン含有量の測定、又は当業で知られている他の類似の手順を含む当業者に知られている方法により測定することができる。肺炎症の減少は、実施例9で説明されているものを含む、当業で知られている方法により観察することができる。
【0187】
肝線維症の個人において、例えば、Desmet、V.J.ら、Hepatology.、19:1513−1520(1994)又はChevallier、M.ら、Hepatology、20:349−355(1994)で説明されているスコアリング法による肝組織試料の組織学的試験を含む、当業者に知られている方法により測定された肝臓の線維性瘢痕組織の増加の減少を含む。当業で知られている、ここで実施例8において説明されている方法により得られる血清ヒアルロン酸レベル及び肝臓ヒドロキシプロリン含有量の減少も観察できる。さらに、当業で知られている標準的な方法により測定されるような、アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)を含む、様々な肝臓酵素の血清レベルの減少も、監視することができる。
【0188】
脳卒中を経験した個人においては、好適な臨床的終点は、当業で知られているようなコンピュータ断層撮像法により決定され、例えば、Nabavi、D.G.ら、Radiology、213:141−149(1999)で説明されているような、罹患した血管内の血流の増加を含む。他の臨床的終点は、顔、腕、若しくは脚のしびれ感の減少、又は脳卒中に関連する頭痛の激しさの減少を含む。さらに他の臨床的終点は、脳卒中による細胞、組織、又は臓器の損傷又は死の減少を含む。細胞又は組織の損傷のこのような減少は、コンピュータ断層撮影(CAT)走査、磁気共鳴映像法、又は当業で知られている類似の方法を含む、脳撮像技術により評価することができる。
【0189】
視神経炎を経験した個人では、好適な臨床的終点は、視力の改善、視力の安定化(つまり、視力がそれ以上低下しない)、又は視力の低下速度の減少を含む。このような臨床的終点は、当業で知られているように当業者側で決定することができる。
【0190】
慢性閉塞性肺疾患の個人では、好適な臨床的終点は、肺機能の改善又は閉塞の程度の他の何らかの形の減少を含む。これらの臨床的終点は、例えば、肺機能試験により決定することができる。ある種の肺機能試験では、患者は、患者が空気を吸って吐き出すときの肺のサイズの変化を時間の関数として記録する機械的デバイスである肺活量計に息を吹き込む。
【0191】
自閉症の個人では、臨床的終点は、患者に関連する特定の症状に依存する。症状は、社会的技能、発語、コミュニケーション、及び反復挙動と日常作業の異常を含む。例えば、自閉症者は、無発話、非発話発声、反響言語、「I(私)」と「You(あなた)」の代名詞の混同、アイコンタクトの欠如、人への反応の欠如、及びつま先歩きを示すことがある。このような異常は、当業者に知られている方法により評価することができる。
【0192】
糖尿病、アレルギー、炎症性腸疾患、乾癬、関節炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、及び抗リン脂質症候群を含む、様々な自己免疫疾患を持つ個人では、臨床的終点は、特定の疾病又は疾患に依存する。例えば、抗リン脂質症候群を患っている個人では、好適な臨床的終点は、膜陰イオンリン脂質(例えば、抗カルジオリピン、抗ホスファチジルセリン)又はその関連する血漿タンパク質(例えば、β−2−糖タンパク質)に向かう抗体のレベルの減少を含む。そのような抗体及び/又は血漿タンパク質の定量は、例えば、Pierangeli、S.S.ら、Thromb.Haemost.74:1361−1367(1995)で説明されているような、酵素免疫測定法(ELISA)を含む、当業で知られている決まり切った方法により遂行することができる。
【0193】
抗リン脂質症候群の個人のさらに他の臨床的終点は、広範にわたる組織及び/又は臓器内に発生しうる、血管内血栓の減少を含む。血管内血栓の減少は、例えば、Nabavi、D.G.ら、Radiology 213:141−149(1999)で説明されているようなコンピュータ断層撮像法により罹患組織又は臓器内の血流を測定することにより観察することができる。血管内血栓の減少は、組織学的に検出することも可能である。皮膚又は他の関係のある組織を分析することができる。例えば、罹患腎臓からのバイオプシーは、糸球体及び/又は小動脈微小血栓の減少を示すことができる。さらに、Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996)及び本明細書で説明されている実施例10でさらに詳しく説明されているように、血栓のサイズだけでなく、消失速度も、光を静脈に透過させるために使用される光ファイバデバイス及び閉回路ビデオシステム、モニタ、及びレコーダを備える3室立体手術用顕微鏡で観察することができる。
【0194】
糖尿病の好適な臨床的終点は、インスリンなしで、又はインスリンの量を減らして、血糖値を制御できることを含む。
【0195】
様々なアレルギーに対する好適な臨床的終点は、アレルギー状態に関連する喘鳴、アレルギー性のくしゃみ、涙目、悪心、嘔吐、又は下痢の量の減少を含む、アレルギーの様々な症状の減少を含む。
【0196】
クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む、炎症性腸疾患の好適な臨床的終点は、下痢の程度の減少、腹痛及び/又は筋けいれんの減少、大便中の血液量の減少、食欲増加、及び疾病に関連する発熱からの体温低下などの、この疾病の様々な症状の減少を含む。
【0197】
乾癬に関する好適な臨床的終点は、特徴的乾燥の量の減少、銀色の鱗屑で覆われた皮膚の赤色斑、又は患部関節の腫れ又は凝りの減少を含む。
【0198】
関節リウマチに見られるような関節炎の好適な臨床的終点は、患部関節の痛み及び腫れの量の減少、患者の運動範囲の拡大、並びに患部関節に付随する筋肉の強さの増大を含む。
【0199】
多発性硬化症の好適な臨床的終点は、発作の減少及び脳障害数の減少を含む。
【0200】
前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、及びびまん性ブドウ膜炎を含む、ブドウ膜炎の好適な臨床的終点は、視力がそれ以上低下しないこと、及び飛蚊症の程度の減少を含む視力の改善を含む。痛み、赤み、及び羞明の減少も、前部ブドウ膜炎により観察されうる。
【0201】
アレルギーの好適な臨床的終点は、粘膜組織の腫れなどのアレルギー性反応の減少、患部組織の炎症の減少、及び全体的なIgEレベルの減少を含む。
【0202】
臓器移植の好適な臨床的終点は、例えば、移植臓器の生着率の増加を含む。
【0203】
アテローム性動脈硬化症の好適な臨床的終点は、患者が示す特定の症状に依存する。例えば、患者は、1つ又は複数の血管内の血流の減少を示す場合がある。したがって、好適な臨床的終点は、選択された血管内の血流の増加を含む。血流速度は、レーザードップラー流量測定(LDF)、磁気共鳴映像法(MRI)、陽電子放出型断層撮影法(PET)、及び単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)を含むコンピュータ断層(CT)撮像法を含む、当業者に知られている方法により測定することができる(Leenders、K.L.ら、Brain 113:27−47(1990)、Sakai、F.ら、J.Cereb.Blood Flow Metab.5:207−213(1988)、Rempp、K.A.ら、Radiology 193:637−641(1994)、Baird、A.E.及びWarach、S.、J.Cereb.Blood Flow Metab.18:583−609(1998)、Danus、G.ら、Radiology 213:141−149(1999)、Calamante、F.ら、J.Cereb.Blood Flow Metab.19:701−735(1999)、Ginsberg、M.D.ら、J.Cereb Blood Flow Metab.2(1):89−98(1982)、Fukuda、0.、Neurosurgery 36(2):358−364(1995)、Perez−Pinzonら、J.Neurolog.Sci.153(1):25−31(1997)、Borlonganら、Brain Res.1010(1−2):108−116(2004))。患者がアテローム性動脈硬化症に由来する狭心症の症状を示す場合、この疾患に関連する痛みの減少が観察されうる。患者がアテローム性動脈硬化症に由来する末梢血管障害の症状を示す場合、間欠性跛行の減少及びインポテンスの減少が観察されうる。他の好適な臨床的終点は、当業者に知られている。
【0204】
所望の臨床的終点に達したら、IFNτによる毎日の治療を中止できるが、望むならば、又は必要に応じて、維持量を投与することができる。その後、症状に応じて、用量又は投与頻度、又はその両方を、臨床的終点が維持されるか、又は改善された状態が保持されるレベルにまで減らすことができる。
【0205】
IV.実施例
以下の実施例では、さらに、本明細書で説明されている発明を例示するが、いかなる形であっても、本発明の範囲を制限することは意図されていない。
【0206】
方法
A.IFNτの生産
一実施形態では、合成IFNτ遺伝子は、IFNτアミノ酸配列を符号化するDNA配列の連続的部分を含むオリゴヌクレオチドを連結反応することにより標準的分子法(上記Ausubelら、1988)を使用して生成された。使用されるDNA配列は、配列番号1又は配列番号4のいずれかとするか、又はImakawa、K.ら、Nature、330:377−379(1987)に示されているような配列とすることができる。その結果得られるIFNτポリヌクレオチドコーディング配列は、位置16から531にまたがる、つまり172個のアミノ酸のコーディング配列である。
【0207】
一実施形態では、完全な長さの合成遺伝子Stul/SStl断片(540bp)を、修飾pIN Ill omp−A発現ベクターにクローニングし、大腸菌のコンピテントSB221菌株に形質転換することができる。IFNτタンパク質の発現について、発現ベクターを運ぶ細胞を、0.1−1のOD(550nm)のアンピシリンを含むL−培養液中で増殖させ、IPTG(イソプロピル−1−チオ−b−D−ガラクトシド)で3時間かけて誘導し、遠心分離機で回収した。可溶性の組換え型IFNτは、超音波処理又は浸透圧分留により細胞から遊離させることができる。
【0208】
酵母の発現については、それぞれ5’及び3’末端にStul及びSacl制限酵素認識部位を含むPCR用プライマーとともにポリメラーゼ連鎖反応(PCR、Mullis、K.B.、米国特許第4,683,202号、Mullis、K.B.ら、米国特許第4,683,195号)を使用してIFNτ遺伝子を増幅することができる。増幅された断片は、Stul及びSacllで消化され、pBLUESCRIPT+(KS)のSaclI及びSmaI部位に連結され、pBSY−IFNτを生成した。プラスミドpBSY−IFNτは、Sacll及びEcoRVにより消化され、合成IFNτ遺伝子を含む断片が分離された。酵母発現ベクターpBS24Ub(Ecker、D.J.ら、J.Biol.Chem.264:7715−7719(1989))は、SaIlより消化された。平滑末端は、T4 DNAポリメラーゼを使用して生成された。ベクターDNAは、フェノール及びエタノール沈殿により抽出された(Sambrook、J.ら、「分子クローニング:実験マニュアル(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL)」、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989))。回収されたプラスミドは、Sacllにより消化され、アガロースゲル電気泳動法により精製され、pBSY−IFNτから分離されたSacll−EcoRV断片に連結された。その結果得られた組換え型プラスミドは、pBS24Ub−IFNτと指定された。
【0209】
組換え型プラスミドpBS24Ub−IFNτは、大腸菌に形質転換された。IFNτ刺入を含む組換え型クローンが分離され、制限酵素分析により同定された。IFNτコーディング配列は、pBS24Ub−IFNτから分離され、アルコール酸化酵素(AOX1)プロモーター(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)を含むピキアパストリスベクターにクローニングされた。次いで、このベクターを使用して、ピキアパストリスGS115 His宿主細胞を形質転換し、メーカーの取扱説明書に従ってタンパク質を発現させた。SDS−PAGE及び銀染色法による決定に従い、タンパク質は、培養基内に分泌され、連続DEAE−セルロース及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィにより電気泳動的に均一に精製された。
【0210】
B.特異的抗ウイルス活性を決定する抗ウイルスアッセイ
抗ウイルス活性は、標準細胞変性効果アッセイを使用して評価された(Familletti、P.C.ら、Methods in Enzymology、78:387−394(1981)、Rubinstein、S.ら、J.Virol.、37:755−758(1981))。簡単に言うと、IFNτの希釈は、Madin−Darbyウシ腎臓(MDBK)細胞で16〜18時間かけて37℃でインキュベートされた。インキュベートに続いて、チャレンジとして水疱性口内炎ウイルスを使用する細胞変性効果アッセイでウイルス複製の阻害が決定された。1抗ウイルス単位(U)で、単層の破壊が50%減少した。本明細書で説明されている研究に関して、特に断りのない限り、IFNτの比活性度は約1×108抗ウイルス単位/mgタンパク質であった。
【実施例1】
【0211】
多発性硬化症患者へのIFNτの投与
多発性硬化症を患っているヒトは、IFNτによる治療の臨床試験に登録された。15人の患者を3つの治療群に無作為に分け、I群の患者には、0.2mg/日(2×107U/日)の用量のIFNτを経口で与え、II群の患者には、0.8mg/日(8×107U/日)の用量のIFNτを経口で与え、III群の患者には、1.8mg/日(1.8×108U/日)の用量のIFNτを経口で与えた。
【0212】
IFNτによる治療前、スクリーニング日及び1日目に、基準血清サイトカイン濃度を判定するために、それぞれの被験者から血液試料を採取した。治療は、1日目の採血に続いてそれぞれの患者にIFNτを経口投与することにより開始された。投与の前に、IFNτ(配列番号3)のバイアル及び注射器を冷蔵庫に保管し、2から8℃に維持した。薬剤の自己投与の前に、患者は、1つのバイアル及び1つの注射器を冷蔵庫から取り出した。注射器の先端からキャップを取り外し、注射器の先端を薬剤のビンの中に入れ、1日目の診療で指示されたとおりに適切な量を注射器内に引き抜いた。注射器の先端を口に入れ、プランジャーを押して注射器内容物を口の中に空けた。次いで、患者は、嚥下し、望むならば、コップ1杯の水を飲むことが許された。患者は、自分のダイアリーカードに、投薬の投与日時を記録した。
【0213】
研究の1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目にそれぞれの患者から血液試料を採取した。市販のELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して、IL−10濃度及びIFN−γ濃度について試料を分析した。これらの結果は、図1A〜1D(IL−10)及び図2A〜2D(IFN−γ)、さらに、図3A〜3E(IL−10及びIFN−γ)に示されている。
【0214】
A.結果の統計的分析
再発寛解型多発性硬化症の15人の患者を、4週間にわたり1日1回3種類の用量(0.2mg、0.6mg、及び1.8mg)のうちの1つの用量のIFNτを使用し経口により治療した。血清試料は、スクリーニングと1日目、4日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目に取得され、IL−10及びIFN−ガンマレベル(pg/ml)について評価された。3つの群の結果について、反復測定分散分析統計を使用して時間経過による評価を行った。90個のデータ点(1日目〜57日目)のうち、前値を繰り越すことにより9つの欠測値点に対する値を補完した。
【0215】
IL−10:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=2.92、P=0.0927)、時間の有意な影響もなく(F=0.70、P=0.6285)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=0.74、P=0.6803)。これは、28日の投薬期間と28日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIL−10レベルに変化がなかったことを示唆している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から29日目までの平均的変化は、それぞれ7%、3%、及び−25%であった。3つの投薬群に対する57日目までの平均的変化は、それぞれ10%、−10%、及び−39%であった。すべての場合において、3つの群すべてのデータは、変化が大きかった。
【0216】
IFN−γ:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=1.06、P>0.3769)、時間の有意な影響もなく(F=1.86、P=0.1140)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=1.45、P=0.1820)。これは、24日の投薬期間と28日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIFN−γレベルに変化がなかったことを示唆している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から29日目までの平均的変化は、それぞれ−63%、−14%、及び35%であった。3つの投薬群に対する57日目までの平均的変化は、それぞれ−27%、−46%、及び22%であった。IL−10の分析と同様に、3つの群すべてのデータは、変化が大きかった。
【実施例2】
【0217】
C型肝炎に感染している患者へのIFNτの1日3回投与
A.IFNτの調製
1日目に、1ビンのIFNτ(配列番号3)を冷蔵庫から取り出し、患者は、表2に従って適切な量の試験物質を自己投与した。IFNτ(配列番号2)も、同様に、用意し、投与することができる。
【0218】
【表4】
【0219】
B.患者服用指示
試験物質のすべてのバイアル及び注射器は、冷蔵庫に保管し、2から8℃に維持した。薬剤の自己投与の前に、患者は、1つのバイアル及び1つの注射器を冷蔵庫から取り出した。注射器の先端からキャップを取り外し、注射器の先端を薬剤のビンの中に入れ、1日目の診療で指示されたとおりに適切な量を注射器内に引き抜いた。
【0220】
注射器の先端を口に入れ、プランジャーを押して注射器内容物を口の中に空けた。次いで、患者は、試験物質を嚥下した。必要ならは、患者は、コップ1杯の水を飲むことが許された。患者は、自分のダイアリーカードに、試験物質投薬の投与日時を記録した。
【0221】
上記のステップを、朝1回、昼1回、夕方1回というように、約8時間間隔で1日に3回繰り返した。
【0222】
C.結果
169日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料を採取した。ELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用し、メーカーの取扱説明書に従って、血清中のIL−10レベル及びIFN−γレベルについて試料を分析した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使用したC型肝炎のウイルス価、2’、5’−オリゴアデニル酸シンセターゼ(OAS)、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清濃度も、決定され、ここに報告された。
【0223】
それぞれの被験者の結果は、図4A〜4D(IL−10レベル)及び図5A〜5D(IFN−γレベル)、及び図6A〜6F(IL−10及びIFN−γ)に示されている。
【0224】
D.結果の統計的分析
3つの群の結果について、反復測定分散分析統計を使用して時間経過による評価を行った。II群の1人の患者に対するデータは、欠測基準血清試料であるため使用されなかった。204個のデータ点(1日目〜169日目)のうち、前値を繰り越すことにより両方の測定に対する7つの欠測値点に対する値を補完した。
【0225】
IL−10:分析を行ったところ、3つの群の間に統計的有意な差があり(F=12.08、P=0.0009)、時間の有意な影響があり(F=11.20、P=0.0001)、有意な時刻別群相互作用もあった(F=7.88、P=0.001)。後者の所見は、3つの投薬群の間の時間によるIL−10応答率の差からはっきりわかる。最低投薬群(I群、0.33mg TID)では、1日目から43日目までの間にIL−10レベルが22%増加したが、II群(1mg TID)では、29日目にピーク応答が114%になった。対照的に、III群(3mg TID)では、43日目に387%増加し、71日目までにピークは484%であった。
【0226】
有意な相互作用項は、さらに、84日目に投薬が終了した後IL−10レベルの投薬群間の差の減少により裏付けられ、I群は、85日目の11%利得から169日目の4%に減少し、II群は、同じ期間に95%から0.5%に減少した。したがって、2つの最低投薬群は、投薬終了後に基準6カ月に戻った。しかし、最高投薬群(III群、3mg TID)は169日目までに453%から194%に減少し、そのため、まだ、投薬が停止してから基準6カ月にわたって実質的な増加を示していた。
【0227】
IFN−γ:分析を行ったが、3つの投薬群の間に有意な差はなく(F=1.13、P>0.3499)、時間の有意な影響もなく(F=1.55、P=0.1187)、有意な時刻別群相互作用もなかった(F=1.39、P=0.1275)。これは、84日の投薬期間と84日のフォローアップ期間にわたって3つのすべての群のIFNτの投与後にIFN−γレベルに有意な変化がなかったことを示している。最低から最高までの投薬群に対する投薬の1日目から85日目までの平均的変化は、それぞれ−6%、8%、及び7%であった。興味深いことに、3つの投薬群に対する169日目までの平均的変化は、それぞれ4%、21%、及び31%であり、投薬終了後に投薬応答のあることが示唆されている。
【実施例3】
【0228】
C型肝炎に感染している患者へのIFNτの1日2回投与
C型肝炎に感染している5人の患者を研究のため募集した。患者は、実施例2の方法に従ってIFNτで治療され、それぞれの患者は、1日に2回、7.5mg、合計1日用量15mg(1.5×109U)を受け取った。初回投薬は、朝、食事前に摂取された。第2回投薬は、夕食から少なくとも3時間後に摂取された。
【0229】
113日の試験期間にわたって定められた間隔で血液試料を採取した。それらの試料は、市販のELISAキット(Genzyme、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して血清中のIL−10、IL−12、及びIFN−γレベルについて分析された。結果は、患者のうち4人ついて、図7A(IL−10)、図7B(IFN−γ)、及び図8A〜8D(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)に示されている。
【実施例4】
【0230】
乾癬の治療のためのIFNτの投与
頭皮を除く体表面の少なくとも10%を覆う慢性尋常性乾癬(尋常性乾癬)の臨床診断のあった45人の患者を3つの治療群に無作為に分けた。I群は、IFNτの1日用量を3mgとして1日3回1mgのIFNτを経口投与して治療された。II群は、IFNτの1日用量を9mgとして1日3回3mgのIFNτを経口投与して治療された。III群は、プラセボで治療された。IFNτの抗ウイルス活性は、約5×108抗ウイルス単位/mgタンパク質と判定され、3mg用量は1.5×109単位/日に対応し、9mg用量は、4.5×109単位/日に対応する。IFNτは、薬剤として許容される賦形剤で液体として与えられ、それぞれの患者に即座に嚥下され、消化される。投薬は、84日間続く。
【0231】
治療の14日前に始まり、治療の最初の日の後、それぞれの患者は、Physician’s Static Global Assessment(PSGA)を使用して毎日評価される。0、1、2、3、4、又は5のPSGAスコアが、以下の基準に基づいてそれぞれの患者に割り当てられる。
0=残留変色を除き明瞭、
1=病変の大半は、平均すると1になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
2=病変の大半は、平均すると2になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
3=病変の大半は、平均すると3になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
4=病変の大半は、平均すると4になる硬結、紅斑、及び落屑を有する、
5=病変の大半は、平均すると5になる硬結、紅斑、及び落屑を有する。
【0232】
硬結スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=プラーク増大の証拠はない、
1=最小のプラーク増大、約0.5mm、
2=軽度のプラーク増大、約1mm、
3=中程度のプラーク増大、約1.5mm、
4=際だったプラーク増大、約2mm、
5=重度のプラーク増大、約2.5mm以上。
【0233】
落屑スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=落屑の証拠はない、
1=最小、病変の5%未満にときおり細かな鱗屑がある、
2=軽度、細かな鱗屑がたくさんある、
3=中程度、粗い鱗屑がたくさんある、
4=顕著、厚いが、ねばり強くない鱗屑がたくさんある、
5=重度、非常に厚く、ねばり強い鱗屑がたくさんある。
【0234】
紅斑スコアは、以下の基準に従って0、1、2、3、4、又は5の値に割り当てられる。
0=紅斑の証拠はない、色素沈着過度が存在しうる、
1=かすかな紅斑、
2=薄赤み、
3=中程度の赤み、
4=真っ赤、
5=ほの暗い赤から深紅まで。
【0235】
それぞれの患者は、さらに、治療前に乾癬面積と重症度指数(PASI)評価を与えられる(Fredrikkson、T.ら、Dermatologica、157:238(1978))。PASIスコアは、Fredrikksonら(上記)に従って、患者の頭部、胴体、上肢、及び下肢の病変の範囲及び重症度の評価から計算される。
【0236】
84日の投薬期間に、それぞれの患者は、1日目、8日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、及び85日目に評価され、PASIスコア及びPSGAスコアを与えられる。研究後に、それぞれの患者は、再び、113日目と169日目に評価される。
【0237】
患者は、0、1、又は2のPSGA、及び/又はPASIスコアで75%の改善を達成する。
【実施例5】
【0238】
第2の薬剤と組み合わせたIFNτの投与
多発性硬化症を患っている患者は、IFN−τにより治療され、1日2回、合計用量5.5×108Uを経口投与される。28日毎に1回、患者は、3mg/kgの用量のナタリズマブの静脈内注射により治療される。患者は、この計画に従って6カ月間治療され、その後、非造影プロトン密度T2強調MRI及びガドリニウム造影T1強調MRI走査を使用して脳障害について評価される。治療中、サイトカイン(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)レベルの分析のため血液試料が採取される。
【実施例6】
【0239】
第2の薬剤と組み合わせたIFNτの投与
心臓移植患者は、1日2回、合計用量5.5×108UのIFN−τを経口投与し、ミコフェノール酸モフェチルを500mg/日の用量で経口投与することにより治療される。治療中、サイトカイン(IL−10、IL−12、及びIFN−γ)レベルの分析のため血液試料が定期的に採取される。治療は、患者の生存期間中続く。
【実施例7】
【0240】
アルツハイマー病に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがアルツハイマー病の治療にどのように好都合であるかを示す。アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルが使用される。マウスの一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、何も受けない。IFNτによるトランスジェニックマウスの治療は、プラークの負担の減少、アミロイドベータペプチドの脳中レベルの減少、及びミクログリアと星状細胞の活性化の減少を示すことが予想される。
【0241】
APPV717F突然変異を持つ90日齢のヘテロ接合オスPDAPPトランスジェニックマウス(つまり、Murrell、J.ら、Science 254(5028):97−99(1991)で説明されているように、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の膜貫通領域内でValをPheに置き換える)をTaconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から購入し、「NIH実験動物世話利用ガイド(NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)」に従い標準実験条件の下で飼うことができる。マウスは、12時間明るくし、12時間暗くするサイクルで保持することができる。マウスが動物用のえさと生水に自由に接近することを許すことができる。
【0242】
プラークの負担を調べるためのマウスの脳の免疫組織化学的及び組織学的染色は、例えば、Weiner、H.L.ら、Ann.Neurol.48:567−579(2000)で説明されているように実施できる。簡単に言うと、ホルマリンで固定された脳組織をトリス緩衝食塩水で洗浄し、脱水し、パラフィン内に埋め込むことができる。脳組織の矢状断面(例えば、10マイクロメートルの断面)を空気乾燥させ、1時間かけて58℃で焼くことができる。断面をHistoclear(National Diagnostics、ジョージア州アトランタ)で脱パラフィン処理し、エタノールから水に徐々に変えることで再水和することができる。
【0243】
様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。
【実施例8】
【0244】
肝線維症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτ治療が肝線維症の治療にどのように好都合であるかを示す。四塩化炭素処理により実験動物に肝線維症を誘発させる。四塩化炭素処理された動物からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。四塩化炭素処理されたラットは、IFNτで治療されたときに疾病の進行の低下を示すことが予想される。
【0245】
実施例7で説明されているように、体重200から250グラムのSprague−Dawleyラットを、Taconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から購入して飼うことができる。
【0246】
Zhang、L.J.ら、World J.Gastroenterol.10(1):77−81(2004)で説明されているように、四塩化炭素を腹腔内投与することにより肝線維症を誘発することができる。簡単に言うと、ラットは、週2回2ml/kgの用量で50%四塩化炭素塩水の腹腔内投与を受ける。
【0247】
肝臓組織をホルマリンで固定し、パラフィンに埋め込むことができる(Zhang、L.J.ら、World J.Gastroenterol.10(1):77−81(2004))。断面を、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色し、光学顕微鏡の下で調べることができる。線維症の段階は、Desmet、V.J.ら、Hepatology 19:1513−1520(1994)又はChevallier、M.ら、Hepatology 20:349−355(1994)で述べられている基準に従って評価することができる。
【0248】
肝臓内のヒドロキシプロリン含有量を決定するために、肝臓をまず均質化して粉末にし、6Mの塩酸で加水分解することができる。(Weng、H.L.ら、World J.Gastroenterol.7(1):42−48(2001))ヒドロキシルプロリン含有量は、Kivirikko、K.L.ら、Anal.Biochem 19:249−255(1967)で説明されているように測定することができる。
【0249】
ラットは、四塩化炭素の投与前、投与中、又は投与後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例9】
【0250】
肺線維症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτ治療が肺線維症の治療にどのように好都合であるかを示す。ブレオマイシン処理により実験動物に肺線維症を誘発させる。ブレオマイシン処理された群からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。気管支肺胞洗浄及び血清TNF−アルファのミエロペルオキシダーゼ活性などの炎症の指標を監視する。組織ヒドロキシプロリン含有量を測定することで、線維症の程度を監視する。ブレオマイシン処理されたマウスをIFNτで治療すると、ヒドロキシプロリン含有量を測定することで決定されるとおり、線維症の程度が減少することが予想される。また、IFNτは、治療マウスと対照マウスの炎症マーカー(TNF−アルファmRNAにより決定される、ミエロペルオキシダーゼ活性及びTNF−アルファの量)を減少させることが予想される。
【0251】
8週齢のオスC57BL/6マウスをHarlan(インディアナ州インディアナポリス)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0252】
肺線維症を誘発させるために、マウスに、気管内ブレオマイシンを1回服用させることができる(0.8mg/kg)(Arai、T.ら、Am J.Physio.Lung Cell.Mol.Physio.278:L914−L922(2000))。対照マウスを賦形剤で治療する。マウスは、セボフルランの吸入により、7日後に(炎症指標を調べるために)、又は21日後に(繊維化指標を調べるに)屠殺することができる。その後、肺を摘出し、右心室から血液を取り出すことができる。1mlの等張食塩水を吹き込んで気管支肺胞洗浄を実施し、気管内カニューレで肺から引き抜くことができる。
【0253】
気管支肺胞洗浄のミエロペルオキシダーゼ活性は、当業で知られているように決定することができる(Arai、T.ら、Am J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.278:L914−L922(2000))。簡単に言うと、気管支肺胞洗浄は、5分間、400gで遠心分離機にかけることができる。細胞ペレットを0.1M K2HPO4緩衝液中に再懸濁させ、90秒間、超音波処理することができる。0.25%ウシ血清アルブミンを含むHanks’ BSS 0.3ml、0.1 MK2HP04(pH7.0)0.05ml、1.25mg/mlのo−ジアニシジン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)0.05ml、及び0.05% H2O2 0.05mlを使用して、12,000gで10分間遠心分離機にかけた後、浮遊物を混合し、10分間、25℃でインキュベートすることができる。反応は1% NaN3 0.5ml加えることにより終了させ、吸収率は460nmで測定することができる。
【0254】
ブレオマイシン処理されたマウスは、ブレオマイシンが導入されるのと同時に、又は投与の前、又は投与の後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群の中のブレオマイシン処理マウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例10】
【0255】
抗リン脂質症候群(APS)に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがAPSの治療にどのように好都合であるかを示す。APSは、ヒト免疫グロブリンG(IgG)抗カルジオリピン抗体の注射により実験動物において誘発される。抗体処理された群からなる一方の群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。1本の大腿静脈を傷つけて血栓を誘発させ、対照及びIFNτ治療動物における、形成する血栓のサイズとともに、血栓の形成及び消失の時期を、治療の有効性の指標として使用する。IFNτで抗体処理マウスを治療すると、形成する初期血栓のサイズが減少し、血栓が形成するのに要する時間が延び、血栓が消失する時間が短縮することが予想される。
【0256】
T細胞欠損の、一連の交配及び戻し戻し交配を通じてヌード遺伝子をCD−1マウスに移すことで開発された通常のオスCD−1(登録商標)Nude Mice(Crl:CD−1(登録商標)−nuBR、非近交系)を、Charles River Laboratories(マサチューセッツ州ウィルミントン)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0257】
IgGは、タンパク質GセハロースクロマトグラフィによりAPSを持つ患者の血清から分離することができる。(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。IgGの純度は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により、150kDの単一帯域を観察することにより決定することができる。タンパク質濃度は、ローリー法により決定することができる。タンパク質濃度を無菌食塩水で調節した後、溶液をろ過して殺菌してから動物に注射することができる。
【0258】
1日目、7日目、14日目、及び21日目に、アジュバント(Adju−Prime、Pierce Chemical Co.)の150μgのIgG−APSを皮下注射することによりマウスを免疫することができる(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。1週間間隔で血液標本をそれぞれの動物から採取し、マウス抗カルジオリピン抗体が存在しているかどうかを試験することができる。マウス抗カルジオリピン抗体(IgG及びIgM)は、当業で知られているように、例えば、Pierangeli、S.S.ら、Thromb.Haemost.74:1361−1367(1995)で説明されているように、酵素免疫測定法(ELISA)により決定することができる。アルカリ性ホスファターゼ抗マウスIgG及び抗マウスIgMをELISAプロトコルにおいて二次抗体として使用することができる。呈色反応は、陽性の対照(例えば、約100Gのリン脂質単位)が1.0D単位に到達したときに(典型的には、約20又は30分以内)停止されうる。
【0259】
マウスが比較的高いレベルの抗カルジオリピン抗体(例えば、約0.8OD、典型的には免疫してから約2週間後に出現)を産生することがわかった後、Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996)で詳しく説明されているように、傷つまみにより血栓が誘発される。簡単に言うと、膝にまで及ぶマウス右鼠径部縦切開を行う前に、麻酔薬(ペントバルビタールナトリウム、腹腔内に60nmg/kg)で処理することができる。右大腿静脈を切開して遊離させ、ピンセットをくっつけて平坦な円形対向面(直径約0.1mmとしてよい)が合わさりつまみ傷ができるようにすることにより、標準化血栓形成損傷を静脈内に作ることができる。
【0260】
光ファイバデバイスを使用して、静脈に光を透過させ、閉回路ビデオシステム(NEC−NC−A/CCD Camera、NEC,USA,Inc.)、Panasonic 12インチカラーモニタ、及びU−Matic V−5800レコーダ(Sony Corp.)を備える3室立体手術用顕微鏡(ERNST、Leitz GMBH、Wetzlar)を使用して、血栓のサイズ及び出現と消失の測度を視覚化し、測定することができる(Pierangeli、S.S.ら、Circulation 94:1746−1751(1996))。
【0261】
APS患者からの抗体を注射した後、IFNτでマウスを治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例11】
【0262】
脳卒中に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが脳卒中の治療にどのように好都合であるかを示す。脳卒中を、実験動物に対し中大脳動脈を管腔内縫合で閉塞することにより誘発させる。脳卒中誘発群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、脳梗塞サイズの決定、脳内のアポトーシスを起こした細胞核の測定、当業で知られている尺度を使用した挙動の評価により評価することができる。脳卒中を起こし、IFNτで治療されたマウスは、対照マウスと比較したときに、脳梗塞サイズの減少、脳のアポトーシスを起こした核の減少、及び神経機能の改善を示すことが予想される。
【0263】
オスのSprague Dawley新生児ラット(9から11日齢)を、Taconic Farms(ニューヨーク州ジャーマンタウン)から入手することができる。マウスは、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0264】
Maier、C.M.ら、J.Neurosurg 94:90−96(2001)及びBright、R.ら、J.Neurosci.24(31):6880−6888(2004)で説明されているように、閉塞管腔内縫合を使用してSprague Dawleyラットに脳虚血を誘発させることができる。簡単に言うと、動物にイソフルレンの麻酔を掛けた後、3−0ナイロン縫合糸のコーティングしていない30mm長のセグメントの先端を火炎で丸める。縫合糸を外頸動脈の切り株部に挿入し、内頸動脈内の二股から約19から約20mmのところまで進め、中大脳動脈の口を閉塞する。虚血してから2時間後に、縫合糸を取り除き、動物を回復させることができる。
【0265】
挙動は、Bright、R.ら、J.Neurosci.、24(31):6880−6888(2004)で説明されている1〜4の尺度を使用して、再灌流してから24時間後に評価することができ、この尺度は、グレード1:通常の姿勢、任意の方向への自発運動、グレード2:尾を持ち上げられたときに一方向に前足を伸ばす、グレード3:同時歩行するときに両前足を伸ばし、旋回パターンを取る、グレード4:異常姿勢、前足を伸ばし、旋回パターンを取り、自発歩行できない、というものである。
【0266】
アポトーシスを起こした細胞核は、Bright、R.ら、J.Neurosci.24(31):6880−6888(2004)で説明されているように、末端デオキシヌクレオチド転移酵素仲介性ビオチンUTPニック末端標識(TUNEL)により測定することができる。簡単に言うと、2時間中大脳動脈閉塞を受けた動物を、再灌流から72時間後に屠殺し、通常の塩水で、続いて4%のパラホルムアルデヒドで心臓灌流させることができる。脳を分離し、4%のパラホルムアルデヒドで一晩固定し、約2から約3日間30%のショ糖に浸け、OCT抗凍結剤(Tissue−Tek、Miles、Eklkart、IN)で急速凍結することができる。
【0267】
それぞれの脳の同等の中脳領域から、それぞれの切片が少なくとも48μm隔てられた冠状切片(16μm)を取り出すことができる。スライドを染色し、それぞれの切片の同側皮質内の4つの定められた領域を撮像することができる。
【0268】
ラットは、虚血の誘発前、誘発中、又は誘発後にIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例12】
【0269】
視神経炎に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが視神経炎の治療にどのように好都合であるかを示す。実験的アレルギー脳炎(EAE)、視神経炎の動物モデルを試験動物に誘発させる。EAE誘発群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、軸索脱髄の程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されたEAE誘発マウスは、対照マウスと比較すると、軸索脱髄の減少を示すことが予想される。
【0270】
SJL/JマウスをJackson Laboratory(メイン州バーハーバー)から購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0271】
EAEは、例えば、Guy、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:13847−13852(1998)で説明されているように、項部内に皮下注入できる完全フロインドアジュバントの相同脊髄乳濁液で感作化することにより試験マウス内に誘発することができる。
【0272】
脱髄の程度は、Guy、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:13847−13852(1998)で説明されているように、視神経の軸索伝達電子顕微鏡写真から導かれたミエリン鞘の測定閾値により定量することができる。
【0273】
簡単に言うと、マウスは、0.1M PBS緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドからなる固定剤による心臓破裂で犠牲にし、灌流させることができる。付着する視神経のある目を解剖することができ、組織標本を、5%のアクロレイン、0.1M カコジル酸ナトリウム−HCL緩衝液(pH7.4)、及び7%のショ糖中で後固定し、エタノール系に通して脱水し、50℃で一晩重合させることができるLR Whiteに埋め込む。超薄切片(例えば約90mm)を免疫細胞化学用のニッケルグリッド上に置くことができる。30分間Tween 20とともに0.01M TBS(pH7.2)中の2%の硬骨魚ゼラチン及び2%の脱脂粉乳上に浮かばせることにより、抗体の非特異的結合を阻止することができる。次いで、グリッドをウサギ抗アルブミン抗体と反応させ、洗浄し、その後、室温で約1時間10nmの金に結合された二次ヤギ抗ウサギIgG抗体と反応させることができる。次に、グリッドを脱イオン水ですすぐことができる。事後染色せずに、透過電子顕微鏡により免疫標識標本の写真を撮ることができる。
【0274】
脊髄乳濁液を注入する前、又は脊髄乳濁液を注入下後、又は視神経炎が誘発された後、マウスをIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群は、賦形剤のみを受ける。
【実施例13】
【0275】
慢性閉塞性肺疾患に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが慢性閉塞性肺疾患の治療にどのように好都合であるかを示す。慢性気管支炎及び肺気腫を含む、慢性閉塞性肺疾患と診断された患者は、IFNτで治療される。IFNτ治療の保護効果は、肺機能の改善を決定することにより評価することができる。IFNτで治療される患者は、肺機能の改善を示すことが予想される。
【0276】
慢性閉塞性肺疾患と診断された被験者は、0.5×109抗ウイルス単位を超えるIFNτを毎日使って治療することができる。肺機能の改善は、当業で知られているような肺活量計で評価することができる。
【実施例14】
【0277】
自閉症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが自閉症の治療にどのように好都合であるかを示す。自閉症と診断された患者は、IFNτで治療される。IFNτ治療の有利な効果は、患者の以前の挙動の変化を判定することにより評価することができる。IFNτで治療された患者は、挙動の好ましい変化を示すことが予想される。
【0278】
自閉症と診断された被験者は、0.5×109抗ウイルス単位を超えるIFNτを毎日使って治療することができる。社会的技能、発話、コミュニケーション、及び/又は反復挙動と日常作業の改善を含む、挙動の変化は、当業者に知られている方法により評価することができる。
【実施例15】
【0279】
アテローム性動脈硬化症に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがアテローム性動脈硬化症の治療にどのように好都合であるかを示す。アテローム性動脈硬化症は、低密度受容体(LDL)−欠損マウスにおいて、高コレステロールの食べ物を与えることにより誘発される。マウスの一群は、IFNτ治療を受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。IFNτ治療の保護効果は、マウスに発生する動脈硬化性プラークの程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されたマウスは、対照マウスと比較すると、動脈硬化性プラークの減少を示すことが予想される。
【0280】
LDL受容体欠損マウスをJackson Laboratoryから購入し、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0281】
アテローム性動脈硬化症は、Lichtman、A.H.ら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.19:1938−1934(1999)で説明されているように、高脂肪、高コレステロールの食事を与えることによりマウスに誘発させることができる。
【0282】
アテローム性動脈硬化症で塞がれている大動脈の表面積は、見開きのオイルレッドO染色により定量することができ、これについては、Lichtman、A.H.ら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.19:1938−1934(1999)で詳述されている。簡単に言うと、マウスは、特定の食事で12週経過した後にエーテル吸入で犠牲にできる。左心室及び動脈樹をPBSで灌流した後、心臓に結合している大動脈全体を解剖し、一晩ホルムアルデヒドに浸けておくことができる。次いで、大動脈をオイルレッドOで染色し、外膜脂肪を除去し、大動脈を縦に開き、黒色のシリコーンで覆われた皿上に見開きでピン留めし、PBSに浸けたまま写真に撮ることができる。次いで、スライドを走査してコンピュータに取り込み、オイルレッドO染色病変で塞がっている表面積の割合を画像解析ソフトウェア(NIH Image)を使用することにより決定することができる。
【0283】
マウスは、コレステロールを多く含む食事にありついているときにIFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群のマウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例16】
【0284】
自己免疫疾患に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτがマウスのコラーゲン誘発関節炎(CIA)の治療及び/又は予防にどのように好都合であるかを示す。CIAは、II型コラーゲンの注入によりBalb Cマウスに誘発される。誘発の前に、マウスは、IFNτ治療を受ける。IFNτ治療の有利な効果は、マウスのCIAの発生の程度を決定することにより評価することができる。IFNτで治療されるマウスは、疾病の発生の減少を示すことが予想される。
【0285】
Balb CマウスのCIAの発生の抑制は、CIAの誘発のためチキンII型コラーゲンで免疫付与した日にBalb Cマウスに単一の用量のIFNτを注射することにより実施できる。コラーゲンをH37Raとともに完全フロインドアジュバント中で乳濁化し、尾の根元のいずれかの側に注射することができる。免疫付与した日に、48時間経ってから、百日咳毒素も注射することができる。
【0286】
組換え型ヒツジIFNτは、合成遺伝子構造物を使用してピキアパストリス内に発現できる。SDS−PAGE及び銀染色法による決定に従い、タンパク質は、培養基内に分泌され、連続DEAE−セルロース及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィにより電気泳動的に均一に精製されるようにできる。
【0287】
マウスは、CIAの標識について毎日調べることができる。疾病の重症度は、1.一方のつま先の赤み、2.一方のつま先の赤み及び腫れ、3.一方のつま先の変形、4.それぞれの追加のつま先について、指数が指数に加えられる、という4つの尺度に基づいて関節炎指数として等級分けすることができる。
【0288】
マウスは、移植手術後、IFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりマウスを治療することができる。対照群のマウスは、賦形剤のみを受ける。
【実施例17】
【0289】
臓器移植拒絶反応に対するIFNτ治療の効果
この実施例は、IFNτが臓器移植拒絶反応を予防又は他の何らかの形で寛解するのにどのように好都合であるかを示す。ラットモデルにおける腎臓移植が実施される。ラットの一群は、IFNτを受け、対照群は、賦形剤のみを受ける。腎臓同種移植生存及び選択された免疫系細胞の存在により測定されるような、同種移植拒絶反応におけるIFNτの効果が調べられる。IFNτによる治療は、腎臓同種移植生存率を高め、移植片内の選択された免疫系細胞の存在を減少させることが予想される。
【0290】
Inbred Fisher 344(F344)及びLewisラットをCharles River Italia(イタリア、カルコ)から購入することができる。Lewisラットを臓器被提供者とし、Fisherラットを臓器提供者とすることができる。これらの動物は、実施例7で説明されているように保持することができる。
【0291】
腎臓移植は、Noris、M.ら、J.Am.Soc.Nephrol.、12:1937−1946(2001)で説明されているように行うことができる。簡単に言うと、左提供者腎臓を取り除き、腎血管がすでに分離され、固定されている、また左自然腎が取り除かれている被提供者の中の同じ位置に配置することができる。腎動脈、静脈、及び尿管の端々吻合術は、10−O Prolen縫合糸を使用して実施することができる。右自然腎は、手術後11日目に取り除くことができる。動物は移植された腎機能に依存するため、完全同種移植障害は、動物の死亡として定義することができる。
【0292】
選択された免疫系細胞の免疫組織化学分析は、Noris、M.ら、J.Am.Soc.Nephrol.、12:1937−1946(2001)で説明されているように行うことができる。簡単に言うと、マウスのモノクローナル抗体は、1)ED1抗原、2)ラットMHCクラスII抗原単源性決定因子、3)CD4細胞表面糖タンパク質、4)ラットCD8細胞表面糖タンパク質、5)ラット樹状細胞制約抗原の検出に使用することができる。すべての抗原は、間接的免疫蛍光技術により分析することができる。
【0293】
ラットは、移植手術後、IFNτで治療することができる。様々な用量のIFNτ(例えば、約1×105U/日から約5×1012U/日)を経口(経胃)投与することによりラットを治療することができる。対照群のラットは、賦形剤のみを受ける。
【0294】
本発明は、特定の実施形態に関して説明されているが、これは、本発明から逸脱することなく、様々な変更及び修正を加えられることは当業者には明白なことであろう。
【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1A】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで0.2mgのIFNτ(図1A)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1B】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで0.6mgのIFNτ(図1B)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1C】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで1.8mgのIFNτ(図1C)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図1D】1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(菱形、群I)、0.6mgのlFNτ(正方形、群II)、及び1.8mgのIFNτ(三角形、群III)で毎日治療される試験群I、II、及びIIIのそれぞれに属す患者に対する平均IL−10血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。
【図2A】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(図2A)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2B】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、0.6mgのIFNτ(図2B)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2C】多発性硬化症を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、1〜29日まで、1.8mgのIFNτ(図2C)で毎日治療される患者群I、II、及びIIIについて、日数の関数として示すグラフである。
【図2D】1〜29日まで、0.2mgのIFNτ(菱形、群I)、0.6mgのlFNτ(正方形、群II)、及び1.8mgのIFNτ(三角形、群III)で毎日治療される試験群I、II、及びIIIのそれぞれに属す患者に対する平均IFN−γ血清レベル(pg/mL)を示すグラフである。
【図3A】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3B】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3C】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3D】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図3E】図1〜2に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図4A】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群Iに属す6人の患者(図4A)について日数の関数として示すグラフである。
【図4B】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIに属す6人の患者(図4B)について日数の関数として示すグラフである。
【図4C】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIL−10血清レベル(pg/mL)を、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIIに属す6人の患者(図4C)について日数の関数として示すグラフである。
【図4D】血清IL−10レベルの増加率を試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(正方形、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図4A〜4Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。
【図5A】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回0.33mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群Iに属す6人の患者(図5A)について日数の関数として示すグラフである。
【図5B】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回1.0mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIに属す6人の患者(図5B)について日数の関数として示すグラフである。
【図5C】C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受ける患者のIFN−γ血清レベル(pg/mL)を、毎日3回3mgのIFNτで毎日治療を受ける試験群IIIに属す6人の患者(図5C)について日数の関数として示すグラフである。
【図5D】平均血清IFN−γレベルを試験群I(菱形、毎日3回0.33mg)、試験群II(円、毎日3回1mg)、及び試験群III(三角形、毎日3回3mg)について時間の関数として示す、図5A〜5Cの試験群I、II、及びIIIの要約プロットである。
【図6A】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6B】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6C】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6D】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6E】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図6F】図4〜5に関して説明されている治療群I、II、及びIIIから選択された個々の患者に対する、両方ともpg/mLを単位とする、IL−10(菱形)及びIFN−γ(正方形)血清濃度を示す図である。
【図7A】IFNτ 7.5mgを毎日2回空腹時に投薬した場合の、C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受けている患者のIL−10血清レベル(図7A)を日数の関数として示すグラフである。
【図7B】IFNτ 7.5mgを毎日2回空腹時に投薬した場合の、C型肝炎を患い、IFNτで経口治療を受けている患者のIFN−γ血清レベル(図7B)を日数の関数として示すグラフである。
【図8A】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8B】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8C】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【図8D】IL−12値が0.1×測定されたIL−12血清レベルとして表される、図7A〜7Bに関して説明されているような治療を受けている患者について、pg/mLを単位として、IL−10(菱形)、IFN−γ(正方形)、及びIL−12(三角形)血清レベルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中インターロイキン−10(IL−10)レベルの増加に応答する疾患を治療するための薬剤の製造で使用する組成物であって、前記組成物はインターフェロン−タウ(IFN−τ)の経口投与可能な製剤からなり、前記薬剤は5×108単位を超える1日用量で供給され、但し、疾患はC型肝炎ではない、組成物。
【請求項2】
前記IFNτは、ヒツジIFNτとウシIFNτとから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ヒツジIFNτは、配列番号2又は配列番号3として同定される配列を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記経口投与可能な製剤は、腸管への投与を実現する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記疾患は、自己免疫疾患又は細胞増殖を特徴とする疾患である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
乾癬又は多発性硬化症の治療のための請求項5記載の組成物。
【請求項7】
第2の治療薬と組み合わせて供給される請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の治療薬は、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗炎症薬、及び自己免疫疾患の治療に好適な薬剤からなる群から選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の治療薬は、IFNτを前記経口投与する前に、又は投与するのと同時に、又は投与した後に投与される、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
第2の治療薬を投与することは、ナタリズマブ、スタチン、ミコフェノール酸モフェチル、及びコパクソンからなる群から選択された第2の治療薬を投与することからなる、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
前記第2の治療薬はミコフェノール酸モフェチルである、臓器移植拒絶反応を治療又は予防するための、請求項7記載の組成物。
【請求項12】
前記第2の治療薬はスタチンである、患者の炎症疾患を治療するための、請求項7記載の組成物。
【請求項13】
前記第2の治療薬は、コラーゲン、レチノイド、アントラリン、カルポトリエン、コールタール、サリチル酸、及び免疫抑制剤から選択される、患者の乾癬を治療するための、請求項7記載の組成物。
【請求項14】
患者の多発性硬化症の進行を遅らせるのに使用する、又は多発性硬化症に罹患している患者の再発のリスクを低減する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
乾癬患者を治療するのに使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
(i)治療薬の投与又は(ii)疾病状態のためIFN−γが増加する危険のある患者のIFN−γの血中レベルの増加を防ぐのに使用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記患者は、IFN−α又はIFN−βを用いた治療によりIFN−γレベルが増加しており、前記投与は、患者の症状が続く期間中継続している、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記患者は、多発性硬化症に罹患しており、そしてIFN−βを用いた治療を受けている、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
前記患者は、ウイルス感染に罹患しており、そしてIFN−αを用いた治療を受けている、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
患者のインターロイキン−12の血中レベルを減少させるのに使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項1】
血中インターロイキン−10(IL−10)レベルの増加に応答する疾患を治療するための薬剤の製造で使用する組成物であって、前記組成物はインターフェロン−タウ(IFN−τ)の経口投与可能な製剤からなり、前記薬剤は5×108単位を超える1日用量で供給され、但し、疾患はC型肝炎ではない、組成物。
【請求項2】
前記IFNτは、ヒツジIFNτとウシIFNτとから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ヒツジIFNτは、配列番号2又は配列番号3として同定される配列を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記経口投与可能な製剤は、腸管への投与を実現する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記疾患は、自己免疫疾患又は細胞増殖を特徴とする疾患である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
乾癬又は多発性硬化症の治療のための請求項5記載の組成物。
【請求項7】
第2の治療薬と組み合わせて供給される請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の治療薬は、抗ウイルス薬、抗癌剤、抗炎症薬、及び自己免疫疾患の治療に好適な薬剤からなる群から選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の治療薬は、IFNτを前記経口投与する前に、又は投与するのと同時に、又は投与した後に投与される、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
第2の治療薬を投与することは、ナタリズマブ、スタチン、ミコフェノール酸モフェチル、及びコパクソンからなる群から選択された第2の治療薬を投与することからなる、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
前記第2の治療薬はミコフェノール酸モフェチルである、臓器移植拒絶反応を治療又は予防するための、請求項7記載の組成物。
【請求項12】
前記第2の治療薬はスタチンである、患者の炎症疾患を治療するための、請求項7記載の組成物。
【請求項13】
前記第2の治療薬は、コラーゲン、レチノイド、アントラリン、カルポトリエン、コールタール、サリチル酸、及び免疫抑制剤から選択される、患者の乾癬を治療するための、請求項7記載の組成物。
【請求項14】
患者の多発性硬化症の進行を遅らせるのに使用する、又は多発性硬化症に罹患している患者の再発のリスクを低減する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
乾癬患者を治療するのに使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
(i)治療薬の投与又は(ii)疾病状態のためIFN−γが増加する危険のある患者のIFN−γの血中レベルの増加を防ぐのに使用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記患者は、IFN−α又はIFN−βを用いた治療によりIFN−γレベルが増加しており、前記投与は、患者の症状が続く期間中継続している、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記患者は、多発性硬化症に罹患しており、そしてIFN−βを用いた治療を受けている、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
前記患者は、ウイルス感染に罹患しており、そしてIFN−αを用いた治療を受けている、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
患者のインターロイキン−12の血中レベルを減少させるのに使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公表番号】特表2007−528407(P2007−528407A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502983(P2007−502983)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007887
【国際公開番号】WO2005/087254
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504265086)ペプジェン コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007887
【国際公開番号】WO2005/087254
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504265086)ペプジェン コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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