説明

インターホンシステム

【課題】親機に接続される子機と携行端末との間で当該携行端末を携行する人体を経由して高周波信号を送受信して人体通信を行うにあたり、その施工性を高めるとともにコストを低減させ、かつ当該人体通信の送受信動作の安定化を図る。
【解決手段】親機4に接続される子機1とセキュリティ操作を行う居住者により携行される携行端末5との間で高周波信号を送受信させるにあたって、この送受信の動作を行う子機の部位として、呼出ボタン100aに備えられるアンテナ100c及び当該アンテナに接続される送受信部103を使用し、親機の親機制御部406による電源部405からの電源供給でそれぞれ駆動させ、セキュリティ動作を実行するとき、親機における呼出報知の動作を停止する。また、高周波信号の情報を時系列で親機の記憶部403に保存する。さらに、送受信の動作を暗号化するための暗号化符号を子機の子機制御部106に備え、この暗号化符号を親機制御部にて管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機に接続される子機との間で通信が可能な携行端末を有するインターホンシステムに係り、特に、携行端末を携行する人体の部位を経由した人体通信を行うことができるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、玄関の電気錠の解錠操作を行う帰宅時の居住者が非接触型の識別カードを所持し、電気錠付扉もしくはその近傍に設置した読取り装置が識別カードを識別して電気錠を自動的に解錠させ、キーを用いることなく電気錠付扉を開閉できるようにした電気錠付扉のキーレスシステムが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この電気錠付扉のキーレスシステムによれば、電気錠や識別カードに手を触れることなく、電気錠付扉を外部から開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−129145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に記載した特許文献1の電気錠付扉のキーレスシステムによれば、非接触型の識別カードとの間で電波又は電磁波の送受波を行うにあたって、読み取り装置に接続されるアンテナが必要され、このアンテナは電気錠付扉に取り付けられるものであり、その動作電源を確保するためには、住戸外に新規な電源ラインを導入・敷設することが必要とされ、施工性が低下するばかりでなく、コストも増大となる虞があった。
【0006】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、親機に接続される子機と携行端末との間で当該携行端末を携行する人体を経由して高周波信号を送受信して人体通信を行うにあたり、その施工性を高めるとともにコストを低減させ、かつ当該人体通信の送受信動作の安定化が図られたインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、玄関に設置され呼出ボタンの呼出操作をもとに呼出信号を生成するための子機と、住戸内に設置されラインを経由して接続される子機からの呼出信号を検出して呼出報知を行い、当該子機との間で音声信号を送受信して通話を成立させるための親機と、玄関の電気錠の解錠操作や防犯設定の解除操作等のセキュリティ操作を行う居住者により携行される携行端末とを設けている。呼出ボタンには、高誘電率の誘電体及び高透磁率の磁性体のうち何れか1つを用いるアンテナが備えられている。アンテナには、呼出ボタンに触れる人体の部位を経由して携行端末との間で高周波信号を送受信するための送受信部が接続されている。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様において、アンテナ及び送受信部はそれぞれ、親機の親機制御部の制御により電源部からラインを経由して供給される電源で駆動されるものである。
【0009】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、親機制御部は、子機の送受信部にて受信される携行端末からの高周波信号と呼出信号とをそれぞれ検出したとき、電気錠の解錠動作や防犯設定の解除等のセキュリティ動作を実行するとともに呼出報知の動作を停止するものである。
【0010】
また、本発明の第4の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様乃至第3の態様において、親機には、子機の送受信部にて受信される携行端末からの高周波信号の情報を時系列で保存するための記憶部を備えている。親機制御部は、記憶部に保存された情報を参照し、子機の送受信部にて行う高周波信号の送受信動作を有効又は無効に制御するものである。
【0011】
また、本発明の第5の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様乃至第4の態様において、子機には、送受信部にて行う携行端末との送受信動作を暗号化するために必要とされる暗号化符号を有する子機制御部を備えている。子機制御部は、携行端末からの高周波信号に付加される暗号化符号との照合を行い、送受信動作を有効又は無効に制御し、親機制御部は、暗号化符号を管理するものである。
【0012】
また、本発明の第6の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様乃至第5の態様において、子機には、送受信部にて受信される携行端末からの高周波信号を減衰するためのフィルタ部を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のインターホンシステムによれば、親機に接続される子機と電気錠の解錠動作や防犯設定の解除等のセキュリティ操作を行う居住者により携行される携行端末との間で高周波信号を送受信させるにあたり、この送受信動作を行う子機の部位として、呼出ボタンに備えられるアンテナ及び当該アンテナに接続される送受信部を使用し、親機の親機制御部による電源部からの電源供給でそれぞれ駆動させることによって、住戸外における子機とは別途の(屋外用の)アンテナや新規な電源ラインの導入・敷設が不要とされ、その施工性が高められるばかりでなく、コストも低減することができる。
【0014】
また、本発明のインターホンシステムによれば、携行端末を携行した居住者がセキュリティ操作を行い、電気錠の解錠動作や防犯設定の解除等のセキュリティ動作を実行するにあたって、不要とされる親機における呼出報知の動作を停止することができる。
【0015】
また、本発明のインターホンシステムによれば、携行端末を携行した居住者の動向を容易に把握することができるばかりでなく、高周波信号の送受信の動作に暗号化符号を適用し、この暗号化符号を親機にて管理することで、送受信動作を容易に有効又は無効にすることができる。
【0016】
さらに、本発明のインターホンシステムによれば、子機の送受信部にて受信される携行端末からの高周波信号を減衰することにより、この高周波信号による影響、例えば、親機にて行われる各種動作への影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示すブロック図である。このインターホンシステムは、住戸外の玄関に設置される子機1と、玄関(玄関扉)を施解錠するための電気錠2と、住戸内にて発生するセキュリティ異常、例えば、火災やガス漏れの発生、泥棒等の不審者による住戸内への侵入を検出するための防犯センサ3と、住戸内に設置され、子機/親機ラインL1を経由して接続される子機1からの呼び出しに応答して通話を成立させるともに、電気錠/親機ラインL2を経由して接続される電気錠2、センサ/親機ラインL3を経由して接続される防犯センサ3をそれぞれ制御するための親機4と、電気錠2の解錠操作や防犯センサ3の設定解除等のセキュリティ操作を行うにあたって、例えば、外出中の居住者により携行される携行端末5とが設けられている。
【0020】
次に、前述の構成各部のうち、ここでは、電気錠2及び防犯センサ3を除く各部について具体的な構成を説明するにあたり、子機1には、子機操作部100、映像撮像部101、子機通話部102、子機送受信部103、フィルタ部104、子機電源部105、子機制御部106及び子機インターフェース部(以下、同様なインターフェース部を「I/F」という。)107が備えられている。
【0021】
この子機1において、子機操作部100は、子機制御部106により呼出操作が検出されるものであって、住戸内に居る人物、例えば、居住者を呼び出す来訪者が押下操作を行うための呼出ボタン100aと、呼出ボタン100aの押下操作の有無に連動してオン/オフが切り換わるスイッチ100bと、呼出ボタン100aに備えられ高誘電率の高誘電体及び高透磁率の磁性体のうち何れか1つを用いる子機アンテナ100cとを有している。具体的な構成として、呼出ボタン100aが押下操作されると、スイッチ100bがオフ状態からオン状態に切り換えられ、当該押下操作されたことを子機制御部106が呼出検出して呼出信号を生成するものである。また、子機アンテナ100cは、子機電源部105からの電源供給が動作電源となるものである。
【0022】
映像撮像部101は、子機制御部106により制御されるものであって、来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像媒体や映像処理回路で構成されている。
【0023】
子機通話部102は、子機制御部106により制御されるものであって、来訪者が居住者との間で通話を成立させるために、音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するためのものであり、例えば、マイク、スピーカ及び音声処理回路で構成されている。
【0024】
子機送受信部103は、子機制御部106により制御され、前述の子機アンテナ100cと同様、子機電源部105からの電源供給が動作電源となるものであって、子機操作部100を構成する呼出ボタン101aに備えられる子機アンテナ100c及び携行端末5の後述するアンテナ501の間で呼出ボタン100aに触れた人体の部位を経由して高周波信号を送受信するためのものである。
【0025】
フィルタ部104は、子機制御部106により制御されるものであって、子機送受信部103にて受信される携行端末5からの高周波信号を減衰するためのものである。
【0026】
子機電源部105は、子機制御部106により制御されるものであって、親機4の後述する子機用電源供給部405から供給される直流電源を受電し、当該子機の構成各部に電源供給するためのものである。
【0027】
子機制御部106は、当該子機の構成各部を制御するためのものである。また、子機I/F107は、フィルタ部104及び子機/親機ラインL1の間の信号伝送路、子機/親機ラインL1から子機電源部105への電源供給路をそれぞれ形成するためのものである。
【0028】
また、親機4には、親機操作部400、映像出画部401、親機通話部402、記憶部403、親機電源部404、子機用電源供給部405、親機制御部406及び子機側親機I/F407、電気錠側親機I/F408及びセンサ側親機I/F409が備えられている。
【0029】
この親機4において、親機操作部400は、親機制御部406によりその操作が検出されるものであって、来訪者による子機1からの呼び出しがあることを確認した居住者が応答して通話を成立させるための応答操作、成立中の通話を終了させるための終話操作、電気錠2の解錠操作や防犯センサ3の設定解除等のセキュリティ操作を行うためのものであり、例えば、前述の各種操作に対応させた押圧ボタンや映像出画部401(のモニタ)の前面に配置されるタッチパネルで構成されている。
【0030】
映像出画部401は、親機制御部406により制御されるものであって、子機1の映像撮像部101にて撮像された映像を出画するとともに、子機1からの呼び出し、電気錠2の施解錠状態、防犯センサ3にて検知されたセキュリティ異常を示す文字メッセージや絵データを表示することができるものであり、例えば、LCD、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体や映像処理回路で構成されている。
【0031】
親機通話部402は、親機制御部406により制御されるものであって、居住者が来訪者との間で通話を成立させるために、音声(送話音声、受話音声)信号を入出力するためのものであり、例えば、マイク、スピーカ及び音声処理回路で構成されている。このスピーカは、子機1からの呼び出しを示す呼出音や音声メッセージ、電気錠2の施解錠状態を示す報知音や音声メッセージ、防犯センサ3にて検知されたセキュリティ異常を発報する警報音や音声メッセージを出力することもできる。
【0032】
記憶部403は、親機制御部406により制御されるものであって、子機1の子機送受信部103にて受信される携行端末5からの高周波信号の情報を時系列で保存するためのものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体で構成されている。
【0033】
親機電源部404は、親機制御部406により制御されるものであって、例えば、AC100Vの商用電源を整流・平滑させた直流電源を生成し、当該親機の構成各部に電源供給するためのものである。また、子機用電源供給部405は、親機制御部406により制御されるものであって、親機電源部404にて生成された直流電源を、子機1を動作させる所定の電圧レベルに処理した後、子機用電源として子機1に電源供給するためのものである。
【0034】
親機制御部406は、当該親機の構成各部を制御するためのものである。また、子機側親機I/F407は、子機/親機ラインL1から映像出画部401への信号伝送路、親機通話部402及び子機/親機ラインL1の間の信号伝送路、子機用電源供給部405から子機/親機ラインL1への電源供給路、親機制御部406及び子機/親機ラインL1の間の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。また、電気錠側親機I/F408は、親機制御部406及び電気錠/親機ラインL2の間の信号伝送路を形成するためのものである。さらに、センサ側親機I/F409は、親機制御部406及びセンサ/親機ラインL3の間の信号伝送路を形成するためのものである。
【0035】
さらに、携行端末5には、端末操作部500、端末アンテナ501、端末送受信部502、端末電源部503及び端末制御部504が備えられている。
【0036】
この携行端末5において、端末操作部500は、端末制御部504によりその操作が検出されるものであって、電気錠2の解錠操作や防犯センサ3の設定解除等のセキュリティ操作を行うためのものであり、例えば、前述の各種操作に対応させた押圧ボタンで構成されている。
【0037】
端末送受信部502は、端末制御部504により制御されるものであって、端末アンテナ501及び子機1の子機操作部100を構成する呼出ボタン101aに備えられる子機アンテナ100cの間で呼出ボタン100aに触れた人体の部位を経由して高周波信号を送受信するためのものである。
【0038】
端末電源部503は、例えば、二次電池等の蓄電池で構成され、当該携行端末の構成各部に動作電源を電源供給するためのものである。また、端末制御部504は、当該端末の構成各部を制御するためのものである。
【0039】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。
【0040】
最初に、図1に示す子機1及び親機4が待受状態、すなわち、来訪者による子機1から親機4への呼び出しがなく通話も成立していない状態であるとき、親機4の親機電源部404は、親機制御部406の制御により例えば、AC100Vの商用電源を整流・平滑して所定の電圧レベルである待受用の直流電源を生成し、当該親機の構成各部に電源供給しているとともに、この直流電源を待受用の子機用電源として、子機用電源供給部405から子機側親機I/F407、子機/親機ラインL1、子機1の子機I/F107、子機電源部105を経由して当該子機の構成各部に電源供給している。
【0041】
次に、前述の待受状態における第1の動作として、携行端末5を携行していない来訪者が居住者を呼び出すにあたり、子機1の子機操作部100を構成する呼出ボタン100aを押下操作すると、スイッチ100bがオフ状態からオン状態に切り換えられる一方、前述の電源供給に基づき子機制御部106の制御によって駆動される子機送受信部103では、子機アンテナ100cを経由した(来訪者の人体からの)高周波信号の受信動作が行われないため、これを検出した子機制御部106は、呼出信号のみを生成し、フィルタ部104、子機I/F107、子機/親機ラインL1、親機4の子機側親機I/F407を経由して親機制御部406に送出する。
【0042】
親機4の親機制御部406は、子機1の子機制御部106からの呼出信号を受信すると、来訪者による呼び出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージを親機通話部402(のスピーカ)から出力させて呼出報知を行うことができ、必要に応じて、その旨の文字メッセージや絵データを映像出画部401に表示させることもできる。また、親機制御部406は、親機電源部404を制御して前述の待受時よりも高い電圧レベルの動作時用の直流電源を生成させ、当該親機の構成各部に電源供給するとともに、この直流電源を動作時用の子機用電源として、子機用電源供給部405から子機側親機I/F407、子機/親機ラインL1、子機1の子機I/F107、子機電源部105を経由して当該子機の構成各部に電源供給する。
【0043】
ここで、子機1の映像撮像部101は、子機電源部105からの動作時用の子機用電源に基づき子機制御部106の制御によって駆動され、来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像の撮像を開始する。この映像撮像部101にて撮像された映像信号は、フィルタ部104、子機I/F107、子機/親機ラインL1、子機側親機I/F407を経由して映像出画部401に送出され出画することができる。
【0044】
この後、住戸内に在室中の居住者が親機4の親機操作部400を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機制御部406及び子機制御部106の制御(詳述せず。)により、居住者が使用する親機通話部402(のマイク及びスピーカ)と、子機側親機I/F407、子機/親機ラインL1、子機I/F107、フィルタ部104を経由して来訪者が使用する子機通話部102(のマイク及びスピーカ)との間の信号伝送路、すなわち、通話路が形成され、音声(送話音声、受話音声)信号を送受信させることによって通話が成立する。
【0045】
なお、前述の呼出・映像出画時時及び通話成立時において、子機1のフィルタ部104は、送受信される信号(呼出信号、映像信号、音声信号)の減衰動作を行うことなく、当該信号の通過動作のみを行っている。
【0046】
次に、前述の待受状態における第2の動作として、例えば、(端末電源部503からの電源供給で駆動される)携行端末5を携行する居住者は、外出前に親機4の親機操作400を使用して所定のセキュリティ設定操作を行い、この操作を検出した親機制御部406の制御により防犯センサ3を非監視状態から監視状態に移行させた後、玄関(玄関扉)の電気錠2を施錠させて外出先に向かうことができる。
【0047】
この居住者は、帰宅するにあたって、子機1の子機操作部100を構成する呼出ボタン100aを押下操作すると、スイッチ100bがオフ状態からオン状態に切り換えられるとともに、前述の電源供給に基づき子機制御部106の制御によって駆動される子機送受信部103では、子機アンテナ100cを経由した居住者の人体の部位からの高周波信号の受信動作が開始される。この制御によって、端末操作部500の使用による所定のセキュリティ操作を検出した端末制御部502にて生成される高周波信号が、端末送受信部502、端末アンテナ501、居住者の人体の部位、子機アンテナ100c、子機送受信部103を経由して子機制御部106に送出されることになる。
【0048】
ここで、子機1の子機アンテナ100c及び子機送受信部103はそれぞれ、前述のように、子機電源部105からの電源供給である親機4の親機制御部406の制御による子機用電源供給部405からの電源供給で駆動されているため、住戸外における子機1とは別途の(屋外用の)アンテナや新規な電源ラインの導入・敷設が不要とされ、その施工性が高められるばかりでなく、コストも低減することができる。
【0049】
また、子機1の子機制御部106は、携行端末5の端末制御部504からの高周波信号を受信すると、この高周波信号をフィルタ部104にて減衰させた後、前述の呼出時と同様に生成した呼出信号とともに、子機I/F107、子機/親機ラインL1、親機4の子機側親機I/F407を経由して親機制御部406に送出する。
【0050】
親機4の親機制御部406は、子機1の子機制御部106からの呼出信号及び減衰された高周波信号をそれぞれ受信すると、携行端末5を携行した居住者によるセキュリティ操作が行われたことを検出し、前述の来訪者による呼出時のような呼出音や音声メッセージの親機通話部402(のスピーカ)からの出力による呼出報知は行わずに、電気錠2を解錠させるとともに防犯センサ3を監視状態から非監視状態に制御することにより、携行端末5を携行した居住者は、電気錠2が解錠された玄関(玄関扉)を経由して住戸内に帰宅することができ、このとき、防犯設定は解除されているため、誤った警報発報も防止される。
【0051】
なお、親機4の親機制御部406にて受信される高周波信号は、その伝送過程で減衰されているため、この高周波信号による影響、例えば、親機制御部406によって制御される映像出画部401、親機通話部402等の動作への影響を防止することができる。
【0052】
また、親機4の親機制御部406は、子機1の子機制御部106からの減衰された高周波信号を受信すると、例えば、受信日時や受信時において映像撮像部101で撮像した映像信号を確認し、その情報を時系列で記憶部403に保存することができる。ここで、記憶部403に保存された情報は、例えば、親機操作部400の使用による読出操作を検出した親機制御部406の制御によって、映像出画部401に表示させることができる。この制御によって、住戸内に在室中の居住者にとっては、携行端末5を携行した居住者の動向を容易に把握することでき、必要に応じて、子機1の子機送受信部103にて行われる高周波信号の送受信動作を有効又は無効に設定することも可能となるため、携行端末5を携行した居住者による住宅内への帰宅を急遽禁止する、すなわち、門前払いにすることができる。
【0053】
また、子機1の子機制御部106は、子機送受信部104にて行われる携行端末5との送受信動作を暗号化するために必要とされる暗号化符号を有しており、この暗号化符号を携行端末5の端末制御部504に予め登録させておくことによって、携行端末5からの高周波信号に暗号化符号を付加させ、受信時において照合を行うことにより、送受信動作を有効又は無効にすることができる。なお、暗号化符号は、親機4の親機制御部406の制御により、例えば、記憶部403に保存するように管理できる。この制御によって、携行端末5の端末情報や親機4の記憶部403に記憶された情報の外部への漏洩が防止され、防犯性が高められることになる。
【0054】
さらに、親機4の記憶部403に保存・管理される暗号化符号は、必要に応じて、親機操作部400の使用による操作で書き換えることもできる。この制御によって、携行端末5を携行した居住者による住宅内への帰宅を急遽禁止する、すなわち、門前払いにすることができる。
【0055】
最後に、本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0056】
例えば、前述までの実施例によれば、子機1及び親機4の構成として、映像撮像部101を備える当該子機及び映像出画部401を備える当該親機を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、映像撮像部101及び映像出画部401が不備とされる当該子機及び当該親機を適用することもできる。
【0057】
また、前述までの説明によれば、子機1の子機送受信部103にて受信される携行端末5からの高周波信号の情報を時系列で保存するための記憶部403を、親機制御部406とは別途に独立して設けたが、この態様に限定されるものではない。例えば、記憶部403は、親機制御部406に内蔵することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1……子機
100a……呼出ボタン
100c……子機アンテナ(アンテナ)
103……子機送受信部(送受信部)
104……フィルタ部
106……子機制御部
2……電気錠
4……親機
400……親機操作部
403……記憶部
405……子機用電源供給部(電源部)
406……親機制御部
5……携行端末
L1……子機/親機ライン(ライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関に設置され呼出ボタン(100a)の呼出操作をもとに呼出信号を生成するための子機(1)と、住戸内に設置されライン(L1)を経由して接続される前記子機からの前記呼出信号を検出して呼出報知を行い、当該子機との間で音声信号を送受信して通話を成立させるための親機(4)と、前記玄関の電気錠(2)の解錠操作や防犯設定の解除操作等のセキュリティ操作を行う居住者により携行される携行端末(5)とを設け、
前記呼出ボタンには、高誘電率の誘電体及び高透磁率の磁性体のうち何れか1つを用いるアンテナ(100c)が備えられ、
前記アンテナには、前記呼出ボタンに触れる人体の部位を経由して前記携行端末との間で高周波信号を送受信するための送受信部(103)が接続されることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記アンテナ及び前記送受信部はそれぞれ、前記親機の親機制御部(406)の制御により電源部(405)から前記ラインを経由して供給される電源で駆動されることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記親機制御部は、前記子機の前記送受信部にて受信される前記携行端末からの高周波信号と前記呼出信号とをそれぞれ検出したとき、前記電気錠の解錠動作や前記防犯設定の解除等のセキュリティ動作を実行するとともに前記呼出報知の動作を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記親機には、前記子機の前記送受信部にて受信される前記携行端末からの高周波信号の情報を時系列で保存するための記憶部(403)を備え、
前記親機制御部は、前記記憶部に保存された情報を参照し、前記子機の前記送受信部にて行う前記高周波信号の送受信動作を有効又は無効に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記子機には、前記送受信部にて行う前記携行端末との送受信動作を暗号化するために必要とされる暗号化符号を有する子機制御部(106)を備え、
前記子機制御部は、前記携行端末からの高周波信号に付加される暗号化符号との照合を行い、前記送受信動作を有効又は無効に制御し、
前記親機制御部は、前記暗号化符号を管理することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記子機には、前記送受信部にて受信される前記携行端末からの高周波信号を減衰するためのフィルタ部(104)を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1項記載のインターホンシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−200162(P2010−200162A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44668(P2009−44668)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】