説明

インターポーザー及びそれを用いた実装構造体

【課題】 本発明は、電気的信頼性を向上させる要求に応えるインターポーザーおよびそれを用いた実装構造体を提供するものである。
【解決手段】本発明の一形態にかかるインターポーザー4は、厚み方向に沿った複数の貫通孔Pが形成された無機絶縁層17と、該貫通孔Pに配された貫通導体16とを備え、無機絶縁層17は、互いに結合した、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する第1無機絶縁粒子17aと、第1無機絶縁粒子17aを介して互いに接着された、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する、第1無機絶縁粒子17aよりも粒径が大きい第2無機絶縁粒子17bとを有しており、無機絶縁層17には、第1無機絶縁粒子17aおよび第2無機絶縁粒子mに取り囲まれた複数の空隙Vが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器(たとえば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ機器及びその周辺機器)等に使用されるインターポーザー及びそれを用いた実装構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器における実装構造体としては、配線基板に電子部品を実装したものが使用されている。
【0003】
特許文献1には、配線基板と、配線基板上にフリップチップ実装されたベアチップと、を備えた実装構造体が記載されている。
【0004】
このように、配線基板上にベアチップがフリップチップ実装されていると、ベアチップの実装時や作動時等において実装構造体に熱が印加された場合に、配線基板とベアチップとの熱膨張率の差に起因して、配線基板とベアチップとの接続部に熱応力が発生し、耐久性の低いベアチップの電極に該熱応力が印加されて破壊されることがあり、ひいては実装構造体の電気的信頼性が低下しやすくなる。
【0005】
一方、特許文献2には、配線基板と、該配線基板に搭載された電子素子と、前記配線基板と前記電子素子との間に介挿されたインターポーザーと、を備え、該インターポーザーは、半導体材料又はガラスからなる基体と、基体を貫通するとともに貫通部に導体が充填されている導体埋め込みスルーホールと、を有する実装構造体が記載されている。
【0006】
このように基体が半導体材料又はガラスからなるインターポーザーは、配線基板と比較して、電子素子との熱膨張率の差が小さく、インターポーザーと電子素子との接続部に生じる熱応力を低減し、ひいては電子素子の電極に印加される熱応力を低減することができる。
【0007】
しかしながら、このような半導体材料又はガラスからなる基体の熱膨張率は、導体埋め込みスルーホールの熱膨張率よりも小さいことから、電子素子の実装時や作動時にインターポーザーに熱が印加された場合、導体埋め込みスルーホールが基体よりも大きく熱膨張することによって、貫通部の内壁に応力が印加され、ひいては貫通部の内壁から基体内部に向ってクラックが生じやすくなる。その結果、導体埋め込みスルーホールの導電材料が該クラック内に侵入することによって、導体埋め込みスルーホール同士が短絡しやすくなり、ひいてはインターポーザーの電気的信頼性が低下しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−214449号公報
【特許文献2】特開2004−311574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電気的信頼性を向上させる要求に応えるインターポーザーおよびそれを用いた実装構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態にかかるインターポーザーは、厚み方向に沿った複数の貫通孔が形成された無機絶縁層と、該貫通孔に配された貫通導体とを備え、前記無機絶縁層は、互いに結合した、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する第1無機絶縁粒子と、該第1無機絶縁粒子を介して互いに接着された、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する、前記第1無機絶縁粒子よりも粒径が大きい第2無機絶縁粒子とを有しており、前記無機絶縁層には、前記第1無機絶縁粒子および前記第2無機絶縁粒子に取り囲まれた複数の空隙が形成されている。
【0011】
本発明の一形態にかかる実装構造体は、配線基板と、該配線基板上に搭載された請求項1に記載のインターポーザーと、該インターポーザー上に実装された電子部品とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一形態にかかるインターポーザーによれば、無機絶縁層の弾性率を低減することにより、無機絶縁層に応力が印加された場合に、無機絶縁層のクラックを低減し、ひいては電気的信頼性に優れたインターポーザーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、本発明の第1実施形態にかかる実装構造体を厚み方向に切断した断面図であり、図1(b)は、図1のR1部分を拡大して示した断面図であり、図1(c)は、2つの第1無機絶縁粒子が結合した様子を模式的に現したものである。
【図2】図2(a)乃至(d)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図であり、図2(e)は、図2(d)のR2部分を拡大して示した断面図である。
【図3】図3(a)、(c)及び(d)は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図であり、図3(b)は、図3(a)のR3部分を拡大して示した断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態にかかる実装構造体を厚み方向に切断した断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態にかかる実装構造体を厚み方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態に係るインターポーザーを含む実装構造体を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置又はその周辺機器などの電子機器に使用されるものであり、例えばマザーボード等の外部回路に電気的に接続される。この実装構造体1は、電子部品2と、電子部品2が実装された配線基板3と、電子部品2及び配線基板3の間に介在されたインターポーザー4と、インターポーザー4と電子部品2とを電気的に接続する第1バンプ5aと、インターポーザー4と配線基板3とを電気的に接続する第2バンプ5bと、配線基板3と外部回路とを電気的に接続する第3バンプ5cとを含んでいる。
【0016】
電子部品2は、インターポーザー4を介して配線基板3に実装されており、例えばLSI又はIC等の半導体素子である。この半導体素子は、CPU若しくはMPU等のロジック系又はメモリ系の半導体素子を用いることができ、母材が例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム又は炭化珪素等の半導体材料を含んでいる。この電子部品2は、厚みが例えば0.05mm以上0.8mm以下に設定され、
各方向への熱膨張率が例えば3ppm/℃以上5ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば100GPa以上150GPa以下に設定されている。
【0017】
ここで、本実施形態の実装構造体1において、電子部品2は、ロジック系の半導体素子を用いることが望ましい。このロジック系の半導体素子は、メモリ系の半導体素子と比較して、端子数が多く回路が微細配線化されており、応力が印加されると回路に断線が生じやすいため、配線基板3との電気的接続信頼性が低下しやすい。したがって、この電子部品2と配線基板3との間にインターポーザー4を介在させることにより、電子部品2の回路に印加される応力を緩和し、電子部品2と配線基板3との電気的接続信頼性を高めることができる。
【0018】
なお、電子部品2の厚みは、電子部品2を厚み方向(Z方向)に沿って切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察し、厚み方向(Z方向)に沿った長さの平均値を算出することにより測定される。また、電子部品2の熱膨張率は、市販のTMA装置を用いて、JISK7197‐1991に準じた測定方法により測定される。また、電子部品2のヤング率は、MTSシステムズ社製Nano Indentor XP/DCMを用いて測定される。以下、各部材の厚み、熱膨張率及びヤング率は、上述した電子部品2と同様に測定する。
【0019】
配線基板3は、樹脂製のビルドアップ基板であり、コア基板6とコア基板6の上下に形成された一対のビルドアップ部7とを含んでいる。この配線基板3は、厚みが例えば0.3mm以上1.8mm以下に設定され、厚みが電子部品2の例えば2倍以上20倍以下に設定され、平面方向(XY平面方向)への熱膨張率が例えば13ppm/℃以上30ppm/℃以下に設定され、平面方向への熱膨張率が電子部品2の例えば3倍以上8倍以下に設定され、ヤング率が5GPa以上40GPa以下に設定されている。
【0020】
コア基板6は、配線基板3の剛性を高めるものであり、厚み方向に貫通するスルーホールが形成された樹脂基板8、該スルーホールの内壁に沿って円筒状に形成されたスルーホール導体9、及び該スルーホール導体9の内部に柱状に形成された絶縁体10を含んでいる。
【0021】
樹脂基板8は、コア基板6の剛性を高めるものであり、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料を含んでいる。また、繊維からなる基材又は無機絶縁フィラーを含んでも構わない。
【0022】
スルーホール導体9は、コア基板6の上下のビルドアップ部7を電気的に接続するものであり、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の導電材料を含んでいる。
【0023】
絶縁体10は、後述するビア導体13の支持面を形成するものであり、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又はビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料を含んでいる。
【0024】
一方、ビルドアップ部7は、厚み方向に貫通するビア孔が形成され、コア基板6上に配された絶縁層11、コア基板6上又は絶縁層11上に配された配線層12、ビア孔に柱状に形成され、配線層12に電気的に接続されたビア導体13を含んでいる。配線層12及びビア導体13は、互いに電気的に接続されており、接地用配線、電力供給用配線又は信
号用配線を含む配線部を構成している。
【0025】
絶縁層11は、配線層12の支持部材としての機能、及び配線層12同士の短絡を抑制する絶縁部材としての機能を有し、この絶縁層11は、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料を含んでいる。
【0026】
配線層12は、絶縁層11を介して厚み方向に互いに離間しており、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の導電材料を含んでいる。
【0027】
ビア導体13は、厚み方向に互いに離間した配線層12同士を相互に接続するものであり、平面方向への断面積がコア基板6に向って小さくなる柱状(テーパー状)に形成されており、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロムの導電材料を含んでいる。
【0028】
一方、インターポーザー4は、電子部品2及び配線基板3の接続部材として機能するものであり、厚み方向に沿って貫通孔Pが形成された基体14と、基体14の一主面に当接された導電層15と、該貫通孔Pに配され、一端部が導電層15に電気的に接続された貫通導体16と、を含んでいる。
【0029】
基体14は、インターポーザー4の支持部材及び絶縁部材として機能するものであり、無機絶縁層17と、該無機絶縁層17の一主面に当接され、該無機絶縁層17よりも厚みが小さい樹脂層18と、からなる。この基体14は、厚みが例えば30μm以上200μm以下に設定され、厚みが電子部品2の例えば0.2倍以上0.8倍以下に設定され、厚みが配線基板3の例えば0.015倍以上0.5倍以下に設定され、各方向への熱膨張率が例えば3ppm/℃以上7ppm/℃以下に設定され、平面方向への熱膨張率が電子部品2の例えば0.75倍以上1.25倍以下に設定され、平面方向への熱膨張率が配線基板3の例えば0.2倍以上0.4倍以下に設定され、ヤング率が例えば10GPa以上45GPa以下に設定され、ヤング率が電子部品2の例えば0.08倍以上0.35倍以下に設定されている。
【0030】
無機絶縁層17は、基体14の主要部を成すものであり、基体14を低熱膨張率のものとする機能を有しており、厚みが例えば30μm以上200μm以下に設定され、各方向への熱膨張率が0ppm/℃以上7ppm/℃以下に設定され、平面方向への熱膨張率が電子部品2の0.1倍以上2倍以下に設定され、平面方向への熱膨張率が配線基板3の0.2倍以上0.4倍以下に設定され、ヤング率が例えば10GPa以上45GPa以下に設定され、ヤング率が電子部品2の例えば0.08倍以上0.35倍以下に設定され、誘電正接が例えば0.0001以上0.01以下に設定されている。なお、無機絶縁層17の誘電正接は、JISR1627‐1996に準じた共振器法により測定される。以下、各部材の誘電正接は、無機絶縁層17と同様に測定される。
【0031】
この無機絶縁層17は、図1(b)に示すように、粒径が3nm以上110nm以下に設定され、互いに結合された第1無機絶縁粒子17aと、該第1無機絶縁粒子17aよりも粒径が大きく、粒径が0.5μm以上5μm以下に設定され、第1無機絶縁粒子17aを介して互いに接着された第2無機絶縁粒子17bと、を含んでいる。この第1無機絶縁粒子17aは、図1(c)に示すように境界面17a1を介して互いに結合している。
【0032】
なお、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bは、無機絶縁層17の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察することにより確認され、第1無機絶縁
粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの粒径は、無機絶縁層17の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより測定される。
【0033】
この第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bは、酸化ケイ素を含有している。その結果、無機絶縁層17の各方向への熱膨張率を低減することによって、インターポーザー4の平面方向への熱膨張率を電子部品2の平面方向への熱膨張率に近づけることができ、ひいてはインターポーザー4及び電子部品2に熱が印加された場合に、インターポーザー4と電子部品2との接続信頼性を高めることができる。
【0034】
この第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bとしては、酸化ケイ素のみからなるものを用いても構わないし、酸化ケイ素の他に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は炭酸カルシウム等の無機絶縁材料を含有するものを用いても構わない。なお、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bは、酸化ケイ素を65重量%以上100重量%以下含有することが望ましい。
【0035】
また、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bを構成する酸化ケイ素は、アモルファス(非晶質)状態であることが望ましい。その結果、無機絶縁層17の結晶構造に起因した熱膨張率の異方性を低減することができるため、実装構造体1に熱が印加された場合に、加熱後の冷却の際に無機絶縁層17の収縮を各方向にてより均一にすることができ、ひいてはインターポーザー4と電子部品2との電気的接続信頼性を高めることができる。
【0036】
このアモルファス状態である酸化ケイ素は、結晶相の領域が例えば10体積%未満に設定されており、なかでも5体積%未満に設定されていることが望ましい。なお、無機絶縁材料における結晶相領域の体積比は、以下のように測定される。まず、100%結晶化した試料粉末と非晶質粉末とを異なる比率で含む複数の比較試料を作製し、該比較試料をX
線回折法で測定することにより、該測定値と結晶相領域の体積比との相対的関係を示す検量線を作成する。次に、測定対象である調査試料をX線回折法で測定し、該測定値と検量
線とを比較して、該測定値から結晶相領域の体積比を算出することにより、調査資料の結晶相領域の体積比が測定される。
【0037】
また、第1無機絶縁粒子17aは、球状であることが望ましい。その結果、第1無機絶縁粒子17aの充填密度を高め、第1無機絶縁粒子17a同士をより強固に結合させることができ、無機絶縁層17の剛性を高めることができる。また、第2無機絶縁粒子17bは、球状であることが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子17bの表面における応力を分散させることができ、第2無機絶縁粒子17bの表面を起点とした無機絶縁層17におけるクラックの発生を低減することができる。
【0038】
一方、樹脂層18は、無機絶縁層17と導電層15との間に介されており、樹脂材料を含んでいる。この樹脂層18は、厚みが例えば0.5μm以上3μm以下に設定され、厚みが無機絶縁層17の例えば0.002倍以上0.1倍以下に設定され、平面方向及び厚み方向への熱膨張率が50ppm/℃以上120ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば0.05GPa以上5GPa以下に設定され、ヤング率が無機絶縁層17の例えば0.001倍以上0.2倍以下に設定され、ヤング率が導電層15の例えば0.0002倍以上0.05倍以下に設定されている。
【0039】
樹脂層18を構成する樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シ
アネート樹脂又はポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。また、樹脂層18は、難燃性を高めるために、酸化ケイ素等の無機絶縁材料からなる無機絶縁フィラーを含んでいても構わない。この無機絶縁フィラーは、粒径が例えば0.01μm以上0.5μm以下に設定されており、樹脂材料内における含有量が例えば0.3体積%以上10体積%以下に設定されている。
【0040】
なお、無機絶縁フィラーの粒径は、樹脂層18の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより測定される。また、樹脂層18における無機絶縁フィラーの含有量(体積%)は、樹脂層18の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、樹脂層18に占める無機絶縁フィラーの面積比率(面積%)の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
【0041】
導電層15は、基体14の一主面(電子部品2側の主面)に配されており、電子部品2との接続パッドとしての機能や配線としての機能を有している。その結果、導電層15によって、貫通導体16の一端部と電子部品2の電極との接続信頼性を高めることができる。この導電層15は、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の導電材料を含んでいる。また、導電層15は、各方向への熱膨張率が12ppm/℃以上20ppm/℃以下に設定され、各方向への熱膨張率が無機絶縁層17の3倍以上7倍以下に設定され、ヤング率が80GPa以上200GPa以下に設定されている。
【0042】
貫通導体16は、電子部品2及び配線基板3を電気的に接続するものであり、平面方向への断面積が電子部品2に向って小さくなる柱状(テーパー状)に形成されており、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロムの導電材料を含んでいる。この貫通導体16は、平面方向への断面積が例えば0.0001mm以上0.01mm以下に設定され、各方向への熱膨張率が12ppm/℃以上20ppm/℃以下に設定され、各方向への熱膨張率が電子部品2の3倍以上7倍以下に設定され、各方向への熱膨張率が無機絶縁層17の3倍以上7倍以下に設定され、ヤング率が80GPa以上200GPa以下に設定されている。
【0043】
また、貫通導体16は、貫通孔Pに充填されている。その結果、貫通孔Pの直径をより小さくし微細化した場合においても、貫通導体16における断線を低減することにより、配線基板3と電子部品2との電気的接続信頼性を高めることができる。
【0044】
第1バンプ5aは、電子部品2及びインターポーザー4の電気的接続部材として機能するものであり、電子部品2とインターポーザー4の導電層15との間に介在されており、例えば鉛、錫、銀、金、銅、亜鉛、ビスマス、インジウム又はアルミニウム等を含む半田等の導電材料により構成されている。
【0045】
また、第2バンプ5bは、インターポーザー4及び配線基板3の電気的接続部材として機能するものであり、インターポーザー4の貫通導体16と配線基板3の最上層の配線層12との間に介在されており、第1バンプ5aと同様の導電材料により構成されている。
【0046】
また、第3バンプ5cは、配線基板3及び外部回路の電気的接続部材として機能するものであり、配線基板3の最下層の配線層12の主面に形成されており、第1バンプ5aと同様の導電材料により構成されている。
【0047】
ところで、貫通導体16の各方向への熱膨張率は、無機絶縁層17及び電子部品2よりも大きい。したがって、各方向への熱膨張率が小さい酸化ケイ素を含有する無機絶縁層1
7を用いた場合、無機絶縁層17と電子部品2との平面方向における熱膨張率の差は低減しやすいが、無機絶縁層17と貫通導体16との平面方向における熱膨張率の差は大きくなりやすい。
【0048】
一方、本実施形態のインターポーザー4においては、無機絶縁層17が、互いに結合された第1無機絶縁粒子17aを含んでいる。ここで、無機絶縁層17は、シリコン(ヤング率130GPa程度)やシリカガラス(ヤング率75GPa程度)等と比較して、ヤング率が小さく、弾性変形しやすい。これは、粒径が例えば3nm以上110nm以下と超微小である第1無機絶縁粒子17a同士が互いに結合していることから、第1無機絶縁粒子17a同士の間に超微細な隙間が形成されやすくなることに起因すると推測される。また、粒径が例えば3nm以上110nm以下と超微小である第1無機絶縁粒子17aは、後述するように、シリカガラスと比較して、低温条件下で作製されるため、第1無機絶縁粒子17aに含有された酸化ケイ素の結晶構造において、3員環構造が少なく5員環以上の多員環構造が多くなりやすいことから、第1無機絶縁粒子17a自体のヤング率が小さくなりやすいことに起因すると推測される。
【0049】
したがって、無機絶縁層17は、ヤング率が小さく、弾性変形しやすくなることから、インターポーザー4に熱が印加された場合に、無機絶縁層17と貫通導体16との熱膨張率の差に起因して無機絶縁層17に印加される熱応力が弾性変形によって緩和される。したがって、該熱応力に起因した貫通孔Pの内壁から無機絶縁層14の内部へ向かうクラックの発生を低減することができ、ひいては隣接する貫通導体16同士の短絡を低減することができる。
【0050】
また、無機絶縁層17が、第1無機絶縁粒子17aよりも粒径が大きく、第1無機絶縁粒子17aを介して互いに接着された第2無機絶縁粒子17bを含んでいる。それ故、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層14の内部に向ってクラックが伸長した場合、表面積の大きい第2無機絶縁粒子17bにクラックが達すると、クラックの応力が第2無機絶縁粒子17bの表面で分散されるため、クラックの伸長を抑制することができ、ひいては隣接する貫通導体16同士の短絡を低減することができる。
【0051】
さらに、無機絶縁層17には、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bに取り囲まれた複数の空隙Vが形成されている。それ故、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層14の内部に向ってクラックが伸長した場合、該クラックが空隙Vに達すると伸長方向が変わるため、クラックが隣接する貫通導体16に達するまでの距離が長くなり、クラック伸長に要するエネルギーが消費されやすくなる。したがって、該クラックが隣接する貫通導体16に達する可能性を低減し、ひいては隣接する貫通導体16同士の短絡を低減することができる。
【0052】
以上のようにして、本実施形態のインターポーザー4においては、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層17の内部に向うクラックの発生、伸長及び隣接する貫通導体16に達する可能性を低減することができるため、隣接する貫通導体16同士の短絡を低減することができ、ひいては電気的信頼性に優れたインターポーザー4を得ることができる。
【0053】
また、上述したように、無機絶縁層17のヤング率が小さくなって弾性変形しやすいため、無機絶縁層17の厚み方向に沿ったクラックを低減することができ、ひいては該クラックに起因した導電層15の断線を低減することができる。
【0054】
無機絶縁層17に形成された空隙Vには、大気が充填されている。それ故、空隙Vによって無機絶縁層17の誘電正接を高めることができ、ひいては導電層15及び貫通導体16の信号伝送特性を高めることができる。
【0055】
無機絶縁層17全体の体積(第1無機絶縁粒子17a、第2無機絶縁粒子17b及び空隙Vの体積の合計値)に対する、空隙Vの体積の割合は、例えば2体積%以上12体積%以下に設定されている。なお、無機絶縁層17全体の体積に対する、空隙Vの体積の割合(体積%)は、無機絶縁層17の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、無機絶縁層17全体に占める空隙Vの面積比率(面積%)の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
【0056】
また、空隙Vは、第1空隙V1と、無機絶縁層17の厚み方向に沿った断面において、第1空隙V1よりもアスペクト比の大きい細長形状である第2空隙V2とを有しており、該第2空隙V2は、無機絶縁層17の厚み方向に沿った断面において、無機絶縁層17の厚み方向および無機絶縁層17の面方向(平面方向)の双方と交わる長手方向を有する。それ故、アスペクト比の小さい第1空隙V1によって効率良く空隙Vの体積を増加させ、無機絶縁層17の誘電正接を高めるとともに、アスペクト比の大きい第2空隙V2によって、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層17の内部にむかうクラックの伸長方向を効率良く変えることができる。
【0057】
この第1空隙V1は、アスペクト比が例えば1以上4以下に設定され、無機絶縁層17全体に対する体積の割合が例えば1体積%以上10体積%以下に設定されている。また、第2空隙V2は、アスペクト比が例えば5以上20以下に設定され、アスペクト比が第1空隙V1の例えば1.2倍以上20倍以下に設定され、無機絶縁層17全体に対する体積の割合が例えば1体積%以上10体積%以下に設定されている。
【0058】
なお、第1空隙V1及び第2空隙V2のアスペクト比は、無機絶縁層17の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて測定される。
【0059】
また、第1空隙V1は、無機絶縁層17の厚み方向に沿った断面において、多角形状であることが望ましい。また、第1空隙V1には、第2無機絶縁粒子17bの一部が突出していることが望ましい。
【0060】
また、第2空隙V2は、蛇行しつつ伸長した波形であることが望ましい。その結果、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層17の内部にむかうクラックの伸長方向を効率良く変えることができる。また、第2空隙V2同士は、長手方向が互いに異なることが望ましい。その結果、貫通孔Pの内壁から無機絶縁層17の内部にむかうクラックの伸長方向を効率良く変えることができる。
【0061】
ところで、無機絶縁層17及び導電層15は平面方向の熱膨張率が異なるため、インターポーザー4に熱が印加された場合、無機絶縁層17及び導電層15との間に応力が印加されやすい。
【0062】
一方、本実施形態のインターポーザー4においては、無機絶縁層17より厚みの小さい樹脂層18が、無機絶縁層17と導電層15との間に介在されている。ここで、樹脂層18は、樹脂材料を含むことから無機絶縁層17よりもヤング率が小さい。それ故、厚みが小さく且つヤング率が小さい該樹脂層18を無機絶縁層17と導電層15との間に介在させたことから、薄く弾性変形しやすい樹脂層18が変形することにより、無機絶縁層17及び導電層15との熱膨張率の違いに起因した応力を緩和し、無機絶縁層17及び導電層15の剥離を低減することができる。また、樹脂材料を含むことから無機絶縁層17よりも熱膨張率が大きい樹脂層18の厚みを小さくすることにより、基体14の熱膨張率に対する樹脂層18の寄与を小さくし、基体14の熱膨張率を低減することができる。なお、樹脂層18は、厚み及びヤング率が導電層15よりも小さく設定されていることが望まし
い。
【0063】
また、貫通導体16は、無機絶縁層17及び樹脂層18を厚み方向に貫通し、一端部が導電層15と電気的に接続されている。それ故、無機絶縁層17よりもヤング率の小さい樹脂層18が、応力の集中しやすい貫通導体16と導電層15との接続部に当接しているため、該接続部に印加される応力を樹脂層18によって緩和することができ、ひいては貫通導体16と導電層15との断線を低減することができる。
【0064】
また、貫通導体16は、貫通方向に沿った断面において、一端部の幅が他端部よりも小さい。したがって、幅が小さい貫通導体16の一端部を導電層15に接続させることにより、電子部品2と電気的に接続される導電層15をより微細化することができる。また、貫通導体16の一端部の幅を小さくすると、導電層15との接続信頼性が低下しやすいが、本実施形態のインターポーザー4においては、上述したように、貫通導体16と導電層15との接続部に樹脂層18を当接させているため、貫通導体16の一端部と導電層15との断線を良好に低減することができる。
【0065】
また、貫通導体16は、樹脂層18内において、その上方及び下方よりも幅が大きい幅広部を有する。その結果、貫通導体16と導電層15との接続部における応力を緩和することができる。
【0066】
また、貫通導体16の他端部は、端面が無機絶縁層17から露出しており、接続端子として第2バンプ5bと直接接続される。ここで、貫通導体16は、貫通方向に沿った断面において、他端部の幅が一端部よりも大きいため、第2バンプ5bとの接着強度を高めることができる。
【0067】
また、無機絶縁層16の他主面は露出されている。すなわち、無機絶縁層16の他主面には、樹脂層18が形成されていない。その結果、基体14の熱膨張率を低減することができる。
【0068】
また、貫通導体16の他端部は、無機絶縁層17の他主面から突出している。ここで、インターポーザー4及び配線基板3に熱が印加された場合、インターポーザー4と配線基板3との平面方向における熱膨張率の違いに起因して、無機絶縁層17の平面方向に沿った応力が貫通導体16の他端部と第2バンプ5bとの接続部に印加される際に、該応力を該突出部によって分散させることができるため、貫通導体16の他端部と第2バンプ5bとの接続信頼性を高めることができる。また、該突出部が第2バンプ5b内に埋入されるため、アンカー効果によって、貫通導体16の他端部と第2バンプ5bとの接着強度を高めることができる。
【0069】
ところで、貫通導体16及び無機絶縁層17は、厚み方向への熱膨張率が異なるため、インターポーザー4に熱が印加された場合に、貫通孔Pの内壁において、貫通導体16と無機絶縁層17との間に応力が印加されやすい。
【0070】
一方、本実施形態のインターポーザー4において、無機絶縁層17は、貫通孔Pの内壁に、第2無機絶縁粒子17bの一部からなる凸部17bpを有し、該凸部17bpは、貫通導体16に被覆されている。このように第2無機絶縁粒子17bの一部が貫通導体16に埋入しているため、アンカー効果によって、貫通導体16と無機絶縁層17との接着強度を高めることができる。したがって、貫通孔Pの内壁において、貫通導体16及び無機絶縁層17の間の剥離を低減し、ひいては貫通導体16又は導電層15の断線を低減することができる。
【0071】
また、無機絶縁層17には、第1無機絶縁粒子17aおよび第2無機絶縁粒子17bに部分的に取り囲まれているとともに貫通孔Pの内壁に開口を有する凹部Cが形成されており、該凹部Cには、貫通導体16の一部が充填されている。その結果、アンカー効果によって、貫通導体16と無機絶縁層17との接着強度を高めることができる。この凹部Cは、球状である曲面に部分的に取り囲まれた第1凹部C1と、多面体状である複数の平面に部分的に取り囲まれた第2凹部C2を有しており、無機絶縁層17の厚み方向に沿った断面において、第1凹部C1は円形状であり、第2凹部C2は多角形状である。
【0072】
かくして、上述した実装構造体1は、配線基板3からインターポーザー4を介して供給される電源や信号に基づいて電子部品2を駆動若しくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
【0073】
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図2及び図3に基づいて説明する。
【0074】
(配線基板の作製)
(1)図2(a)に示すように、コア基板6を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
【0075】
まず、例えば未硬化樹脂と基材とを含む複数の樹脂シートを積層し、加熱加圧して未硬化樹脂を硬化させることにより、樹脂基板8を作製する。なお、未硬化は、ISO472:1999に準ずるA‐ステージ又はB‐ステージの状態である。次に、例えばドリル加工やレーザー加工等により、樹脂基板8を厚み方向に貫通したスルーホールを形成する。次に、例えば無電解めっき法、電気めっき法、蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等により、スルーホールの内壁に導電材料を被着させて、円筒状のスルーホール導体9を形成する。また、樹脂基板8の上面及び下面に導電材料を被着させて、導電材料層を形成する。次に、円筒状のスルーホール導体9の内部に、樹脂材料等を充填し、絶縁体10を形成する。次に、導電材料を絶縁体10の露出部に被着させた後、従来周知のフォトリソグラフィー技術、エッチング等により、導電層材料層をパターニングして配線層12を形成する。
【0076】
以上のようにして、コア基板6を作製することができる。
【0077】
(2)図2(b)に示すように、コア基板6の両側に一対のビルドアップ部7を形成し、配線基板5を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
【0078】
まず、未硬化の樹脂を配線層12上に配置し、樹脂を加熱して流動密着させつつ、更に加熱して樹脂を硬化させることにより、配線層12上に絶縁層11を形成する。次に、例えばYAGレーザー装置又は炭酸ガスレーザー装置により、絶縁層11にビア孔を形成し、ビア孔内に配線層12の少なくとも一部を露出させる。次に、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法又はフルアディティブ法等を用いて、ビア孔にビア導体13を形成するとともに絶縁層11の上面に配線層12を形成すことにより、ビルドアップ部7を形成する。なお、かかる工程を繰り返すことにより、絶縁層11が多層化したビルドアップ部7を形成することができる。
【0079】
以上のようにして、配線基板3を作製することができる。
【0080】
(インターポーザーの作製)
(3)図2(c)乃至(e)に示すように、樹脂層18が当接した銅箔15xを準備し、樹脂層18上に無機絶縁層17を形成することにより、基体14を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
【0081】
まず、図2(c)に示すように、銅箔15xの一主面にバーコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いて樹脂ワニスを塗布して乾燥させることにより、銅箔15x上に樹脂層18を形成する。なお、本工程にて形成された樹脂層18は、例えばBステージ又はCステージであり、加熱により所望の硬化状態とされている。次に、第1無機絶縁粒子17a、第2無機絶縁粒子17b及び溶剤を含む無機絶縁ゾルを準備し、樹脂層18の一主面に無機絶縁ゾルを塗布する。次に、図2(d)及び(e)に示すように、無機絶縁ゾルを乾燥させて溶剤を蒸発させた後、無機絶縁ゾルの固形分を加熱し、第1無機絶縁粒子17a同士を結合させるとともに、第1無機絶縁粒子17aと第2無機絶縁粒子17bとを結合させることにより、樹脂層18上に無機絶縁層17を形成する。
【0082】
ここで、無機絶縁ゾルを乾燥させて溶剤を蒸発させる際に、粒径の小さい第1無機絶縁粒子17aが流動することにより、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bが最密充填されるため、無機絶縁層17の平坦性を高めることができる。
【0083】
また、粒径の大きい第2無機絶縁粒子17b同士の隙間において溶剤が蒸発するため、該隙間内において溶剤が蒸発した分、空隙が形成されることにより、第2無機絶縁粒子17b同士の間に第1空隙V1が形成される。
【0084】
また、溶剤は第2無機絶縁粒子17bと濡れ性が良いことから、第2無機絶縁粒子17b同士の近接点に残留しやすい。その結果、該近接点への溶剤の移動に伴って、第1無機絶縁粒子17aが該近接点へ移動するため、第2無機絶縁粒子17b間の該近接点以外の領域に第1空隙V1を大きく形成することができる。また、このように第1空隙V1を形成することにより、該近接点以外の領域にて、形成途中の空隙同士が結合した大きな第1空隙V1を形成することができる。また、該近接点に第1無機絶縁粒子17aを移動させることにより、第2無機絶縁粒子17b同士の間に第1無機絶縁粒子17aを介在させることができる。
【0085】
また、無機絶縁ゾルの固形分を加熱する際に、粒径が小さく結合しやすい第1無機絶縁粒子17a同士が互いに結合するとともに、第1無機絶縁粒子17aと第2無機絶縁粒子17bとが結合するため、粒径が大きく結合しにくい第2無機絶縁粒子17b同士を、第1無機絶縁粒子17aを介して互いに接着させることができ、無機絶縁層17を形成することができる。
【0086】
また、第1無機絶縁粒子17a同士が互いに結合することによって無機絶縁層17が収縮するため、該収縮に伴って細長形状の第2空隙V2が形成される。
【0087】
無機絶縁ゾルは、固形分と溶剤とを含む。無機絶縁ゾルは、固形分を5%体積以上50体積%以下含み、溶剤を50体積%以上95体積%以下含むことが望ましい。その結果、溶剤を無機絶縁ゾルの50体積%以上含むことにより、無機絶縁ゾルの粘度を低減し、無機絶縁層17の上面の平坦性を向上させることができる。また、溶剤を無機絶縁ゾルの95体積%以下含むことにより、無機絶縁ゾルの固形物成分量を増加させることにより、無機絶縁層17の生産性を向上させることができる。また、該固形分は、第1無機絶縁粒子17aを20体積%以上50体積%以下含み、第2無機絶縁粒子17bを50体積%以上80体積%以下含むことが望ましい。
【0088】
粒径の小さい第1無機絶縁粒子17aは、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物等のケイ酸化合物を精製し、加水分解等の方法で化学的に酸化珪素を析出させることにより作製することができる。また、このように作製することにより、第1無機絶縁粒子17aの結晶化を抑制し、アモルファス状態を維持することができる。また、このよ
うに作製することにより、第1無機絶縁粒子17aのヤング率を低減することができる。これは、低温条件下で第1無機絶縁粒子17aを作製することにより、第1無機絶縁粒子17aに含有された酸化ケイ素の結晶構造において、3員環構造が少なく5員環以上の多員環構造が多くなりやすいことに起因すると推測される。なお、このように作製した場合、第1無機絶縁粒子17aは、酸化ナトリウム等の不純物を1ppm以上5000ppm以下含んでいても構わない。
【0089】
また、第1無機絶縁粒子17aの粒径は、3nm以上に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁ゾルの粘度を低減し、無機絶縁層17の上面の平坦性を向上させることができる。
【0090】
粒径の大きい第2無機絶縁粒子17bは、例えばケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物を精製し、化学的に酸化珪素を析出させた溶液を火炎中に噴霧し、凝集物の形成を抑制しつつ800℃以上1500℃以下に加熱することにより、作製することができる。ここで、第2無機絶縁粒子17bは、第1無機絶縁粒子17aと比較して、凝集体の形成を低減しつつ、高温の加熱で作製することが容易であるため、第2無機絶縁粒子17bを高温の加熱で作製することによって、第2無機絶縁粒子17bのヤング率を第1無機絶縁粒子17aよりも容易に高めることができる。このようにヤング率の異なる第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bを用いて、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの体積比率を調整することにより、無機絶縁層17のヤング率を調整することができる。
【0091】
なお、第2無機絶縁粒子17bを作製する際の加熱時間は、1秒以上180秒以下に設定されていることが望ましい。その結果、該加熱時間を短縮することにより、800℃以上1500℃以下に加熱した場合においても、第2無機絶縁粒子17bの結晶化を抑制し、アモルファス状態を維持することができる。
【0092】
溶剤としては、例えばメタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジメチルアセトアミド等の有機溶剤を含むものを使用することができる。なかでも、メタノール、イソプロパノール又はプロピレングリコールモノメチルエーテルを含むものを使用することが望ましい。その結果、無機絶縁ゾルを均一に塗布することができ、且つ、溶剤を効率良く蒸発させることができる。
【0093】
無機絶縁ゾルの塗布は、例えば、ディスペンサー、バーコーター、ダイコーター又はスクリーン印刷を用いて行うことができる。
【0094】
無機絶縁ゾルの乾燥は、例えば加熱及び風乾により行われ、温度が20℃以上溶剤の沸点(二種類以上の溶剤を混合している場合には、最も沸点の低い溶剤の沸点)未満に設定され、乾燥時間が20秒以上30分以下に設定されていることが望ましい。その結果、溶剤の沸騰を低減することにより、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの充填密度を高め、無機絶縁層17の平坦性を高めることができる。
【0095】
無機絶縁ゾルの加熱温度は、溶剤の沸点以上第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの結晶化開始温度以下に設定されていることが望ましい。その結果、該加熱温度が溶剤の沸点以上であることにより、残存した溶剤を効率良く蒸発させることができる。また、該加熱温度が、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの結晶化開始温度未満であることにより、第1無機絶縁粒子17a及び第2無機絶縁粒子17bの結晶化を低減することができるため、アモルファス状態の割合を高めるとともに、無機絶縁
層17にて結晶化に伴う相転移によって生じるクラックを低減できる。また、該加熱温度が低温であることから、第1無機絶縁粒子17aのヤング率の増加を抑制できる。なお、結晶化開始温度は、非晶質の無機絶縁材料が結晶化を開始する温度、すなわち、結晶相領域の体積が増加する温度である。また、例えば酸化ケイ素の結晶化開始温度は1300℃程度である。
【0096】
また、無機絶縁ゾルの加熱温度は、樹脂層18の熱分解温度未満に設定されていることが望ましい。その結果、樹脂層18の損傷を抑制しつつ、無機絶縁層17を形成することができる。なお、熱分解温度は、ISO11358:1997に準ずる熱重量測定において、樹脂の質量が5%減少する温度である。また、樹脂層18の熱分解温度は例えば300℃程度である。
【0097】
なお、無機絶縁ゾルの加熱温度は、100度以上600度未満に設定され、なかでも100度以上300度未満に設定されていることが望ましい。また、無機絶縁ゾルの加熱時間は、例えば0.5時間以上24時間以下に設定されていることが望ましい。また、無機絶縁ゾルの加熱は、例えば大気雰囲気中で行うことができる。また、温度を150℃以上に上げる場合、銅箔15xの酸化を抑制するため、無機絶縁ゾルの加熱は、真空、アルゴン等の不活性雰囲気又は窒素雰囲気にて行われることが望ましい。
【0098】
ここで、第1無機絶縁粒子17aの粒径は、110nm以下に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁ゾルの加熱温度が、第1無機絶縁粒子17aの結晶化開始温度未満及び樹脂層18の熱分解温度未満と低温であっても、第1無機絶縁粒子17a同士を強固に結合させることができる。
【0099】
これは、第1無機絶縁粒子17aの粒径が110nm以下と超微小に設定されているため、第1無機絶縁粒子17aの原子、特に表面の原子が活発に運動するため、かかる低温でも第1無機絶縁粒子17a同士が強固に結合すると推測される。
【0100】
なお、第1無機絶縁粒子17aの粒径をより小さく設定することによって、より低温にて第1無機絶縁粒子17a同士を強固に結合させることができる。第1無機絶縁粒子17a同士を強固に結合させることができる温度は、例えば、かかる粒径を110nm以下に設定した場合は250℃程度であり、かかる粒径を50nm以下に設定した場合は150℃程度である。
【0101】
また、第2無機絶縁粒子17bの粒径は、0.5μm以上に設定されていることが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子17bの粒径が0.5μm以上と大きいため、第2無機絶縁粒子17b間に溶剤及び第1無機絶縁粒子17aが配される隙間を効率良く形成することができ、該隙間にて溶剤を蒸発させることにより、第1空隙V1を効率良く形成することができる。
【0102】
また、無機絶縁ゾルの固形分は、第1無機絶縁粒子17aを20体積%以上含むことが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子17b同士の近接点に介在される第1無機絶縁粒子17aの量を確保し、第2無機絶縁粒子17b同士が接触する領域を低減することで、無機絶縁層17の剛性を高めることができる。
【0103】
また、無機絶縁ゾルの固形分は、第2無機絶縁粒子17bを50体積%以上含むことが望ましい。その結果、第2無機絶縁粒子17bの数が多くなり、乾燥前の段階から第2無機絶縁粒子17bが互いに接近しているため、骨格(スケルトン)を形成しやすくなる。このため、該骨格の間に第1空隙V1の形成領域を増加させることができる。
【0104】
なお、空隙Vの形状は、第1無機絶縁粒子17a若しくは第2無機絶縁粒子17bの粒径若しくは含有量、無機絶縁ゾルの溶剤の種類若しくは量、乾燥時間、乾燥温度、乾燥時の風量若しくは風速、又は、乾燥後の加熱温度若しくは加熱時間を適宜調整することにより、空隙Vを所望の形状に形成することができる。
【0105】
以上のようにして、基体14を作製することができる。
【0106】
(4)図3(a)及び(b)に示すように、基体14を厚み方向に貫通する貫通導体16を形成し、基体14の一主面に導電層15を形成することにより、インターポーザー4を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
【0107】
まず、図3(a)に示すように、基体14の他主面(導電層15が形成されていない主面)に、炭酸ガスレーザー又はYAGレーザー等のレーザー光を照射することにより、基体14を厚み方向に貫通する貫通孔Pを形成し、基体14の一主面に配された銅箔15xの一部を貫通孔P内に露出させる。次に、図3(b)に示すように、電気めっき法を用いて、該銅箔15xの露出面に導電材料を被着させて、該導電材料を貫通孔P内に充填することにより、貫通導体16を形成する。次に、図3(c)に示すようにフォトリソグラフィー技術、エッチング等を用いて、銅箔15xから導電層15を形成する。
【0108】
ここで、貫通孔Pを形成する際に、基体14の他主面にレーザー光を照射しているため、基体14の他主面から一主面に向って幅の狭い貫通孔Pを形成することができる。また、上述した空隙Vの一部が貫通孔P内に開口するため、第1凹部C1が形成される。また、第2無機絶縁粒子17bが貫通孔Pの内壁から剥離することによって、第2凹部C1が形成される。一方、貫通孔Pの内壁に残存した第2無機絶縁粒子17bの一部が貫通孔Pの内壁から貫通孔P内に向って突出するため、凸部17bpが形成される。
【0109】
また、レーザー光照射の後、貫通孔P内にデスミア処理を行うと、樹脂層18において貫通孔Pの内壁がエッチングされるため、樹脂層18において貫通孔Pに幅広部を形成することができる。このように幅広部を形成した場合、導電材料を貫通孔P内に充填する際に、貫通孔P内においてめっき液の対流が起きやすくなり、貫通孔P内に導電材料を良好に充填することができる。
【0110】
また、導電材料を貫通孔P内に充填する際に、該導電材料が基体14の他主面から突出するように充填することにより、貫通導体16の突出部16pを形成することができる。また、第1凹部C1及び第2凹部C2に貫通導体16の一部が充填され、凸部17bpは貫通導体16に被覆される。
【0111】
以上のようにして、インターポーザー4を作製することができる。
【0112】
(実装構造体1の作製)
(5)第2バンプ5bを介して配線基板3にインターポーザー4を実装し、第1バンプ5aを介してインターポーザー4に電子部品2を実装することにより、図1(a)に示した実装構造体1を作製することができる。
【0113】
なお、上述した第1実施形態は、配線基板として樹脂製のビルドアップ基板を用いた構成を例に説明したが、配線基板は、例えばセラミック製の基板や樹脂とセラミックスの複合基板でも構わないし、樹脂製のコアレス基板や単層のプリント板でも構わない。
【0114】
また、上述した第1実施形態は、配線基板のビルドアップ部の絶縁層が1層である構成を例に説明したが、ビルドアップ部の絶縁層を何層形成されていても構わない。
【0115】
また、上述した第1実施形態は、(4)の工程にて、電気めっき法を用いて、貫通孔内に露出した銅箔に導電材料を被着させて、貫通孔内に導電材料を充填する製造方法を例に説明したが、例えば、無電解めっき法、スパッタ法又は蒸着法等を用いて、導電材料を貫通孔内壁に被着させて下地層を形成した後、電気めっき法を用いて、該下地層に導電材料を被着させて貫通孔内に導電材料を充填しても構わない。
【0116】
また、上述した第1実施形態は、貫通導体が導電層を介して第1バンプに電気的に接続された構成を例に説明したが、貫通導体の一端部が直接第1バンプに接続されていても構わない。
【0117】
また、上述した第1実施形態は、貫通導体の他端部が無機絶縁層の他主面から突出した構成を例に説明したが、貫通導体の他端部の端面は、無機絶縁層の他主面と同一平面をなしていても構わないし、貫通導体の他端部の端面は、無機絶縁層の他主面から貫通孔内に窪んでいても構わない。
【0118】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るインターポーザーを含む実装構造体を、図4に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成に関しては、記載を省略する。
【0119】
第2実施形態は第1実施形態と異なり、インターポーザー4Aは、配線基板と電子部品との間に介在されておらず、厚み方向に互いに離間した電子部品2A同士の間に介在されており、電子部品2Aとインターポーザー4Aとが厚み方向に沿って交互に積層されることにより、実装構造体1Aを構成している。それ故、電子部品2Aの3次元実装を可能とすることにより、実装構造体1Aを小型化することともに信号伝送特性を高めることができる。
【0120】
この実装構造体1Aは、インターポーザー4Aが基体14Aの両主面それぞれに導電層15Aを有しており、この導電層15Aを介して、厚み方向に沿って交互に積層されたインターポーザー4Aと電子部品2Aとが電気的に接続されている。また、最下層に位置するインターポーザー4Aは、基体14Aの下面に形成された導電層15Aに接続された第3バンプ5cAを介して、マザーボード等の外部回路に電気的に接続される。
【0121】
また、この実装構造体1Aにおいて、厚み方向に交互に積層された電子部品2A及びインターポーザー4Aは、以下のようにして、互いに電気的に接続されている。
【0122】
ここで、便宜上、厚み方向に隣接するインターポーザー4Aの内、上方に配されたものを第1インターポーザー4aAとし、下方に配されたものを第2インターポーザー4bAとする。また、電子部品2Aの内、第1インターポーザー4aA上に実装されたものを第1電子部品2aAとし、第2インターポーザー4bA上に実装されたものを第2電子部品2bAとする。また、導電層15Aの内、基体14の一主面に形成されたものを第1導電層15aAとし、基体14の他主面に形成されたものを第2導電層15bAとする。
【0123】
まず、第1インターポーザー4aAは、第1実施形態と同様に、貫通導体16A上端に接続された導電層15Aが、その上面に接続された第1バンプ5aAを介して第1電子部品2aAに電気的に接続されている。一方、第1インターポーザー4aAは、第1実施形態と異なり、貫通導体16下端に接続された第2導電層15bAが、貫通導体16A直下領域から第1電子部品2aA搭載領域外に引き回されており、第1電子部品2aA搭載領域外において、第2導電層15bAが、その下面に接続された第4バンプ5dAを介して
第2インターポーザー4bAの第3導電層15cAと第2電子部品2bA搭載領域外電気的に接続されている。そして、第2インターポーザー4bAは、第3導電層15cAが、第4バンプ5dAが接続されている第2電子部品2bA搭載領域外から第2電子部品2bA搭載領域内へ引き回されており、第2電子部品2bA搭載領域内において、第3導電層15cAが、その上面に接続された第5バンプ5eAを介して第2電子部品2bAに電気的に接続されている。さらに、第2インターポーザー4bAは、貫通導体16A上端に接続された導電層15Aが、その上面に接続された第1バンプ5aAを介して第2電子部品2bAに電気的に接続されている。
【0124】
以上のようにして、厚み方向に交互に積層された電子部品2A及びインターポーザー4Aは、互いに電気的に接続されている。
【0125】
なお、第4バンプdA及び第5バンプ5eAは、他のバンプと同様の導電材料により形成されたものを使用することができ、第3導電層15cAは、他の導電層と同様の導電材料により形成されたものを使用することができる。
【0126】
一方、第2実施形態は第1実施形態と異なり、電子部品2Aは、メモリ系の半導体素子であることが望ましい。メモリ系の半導体素子は、ロジック系の半導体素子と比較して、パッド数が少なく回路の微細化が緩和されているため、電気的接続信頼性を維持しつつ3次元実装することができる。
【0127】
一方、第2実施形態は第1実施形態と異なり、基体14Aが無機絶縁層17Aの両主面それぞれに樹脂層18Aを有する。ここで便宜上、樹脂層18Aの内、無機絶縁層17Aの一主面に形成されたものを第1樹脂層18aAとし、無機絶縁層17Aの他主面に形成されたものを第2樹脂層18bAとすると、第1樹脂層18aAは無機絶縁層17Aと第1導電層15aAとの間に介されており、第2樹脂層18bAは無機絶縁層17Aと第2導電層15bAとの間に介されている。その結果、第1樹脂層18aAによって無機絶縁層17Aと第1導電層15aAとの剥離を低減するとともに、第2樹脂層18bAによって無機絶縁層17Aと第2導電層15bAとの剥離を低減することができる。
【0128】
この基体14A及び導電層15Aは、例えば以下のようにして作製することができる。
【0129】
まず、上述した第1実施形態の(3)の工程において、第1樹脂層18aAが当接した第1銅箔を準備し、第1樹脂層18aA上に無機絶縁層17を形成した後、該無機絶縁層17Aの他主面に、第2樹脂層18bAを介して第2銅箔を当接させる。次に、上述した第1実施形態の(4)の工程において、第1樹脂層18aA上に第1導電層15aAを形成するとともに、第1導電層15aAと同様に、第2樹脂層18bA上に第2導電層15bAを形成することにより、基体14Aを作製することができる。
【0130】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るインターポーザーを含む実装構造体を、図5に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1及び第2実施形態と同様の構成に関しては、記載を省略する。
【0131】
第3実施形態は、第2実施形態と同様に、電子部品2Bとインターポーザー4Bとが厚み方向に沿って交互に積層されることにより、実装構造体1Bを構成しているが、交互に積層された電子部品2Bとインターポーザー4Bとの電気的接続態様が第2実施形態と異なる。
【0132】
以下に、交互に積層された電子部品2Bとインターポーザー4Bとの電気的接続態様を
具体的に説明する。
【0133】
第1インターポーザー4aBは、第2実施形態と同様に、貫通導体16B上端に接続された導電層15Bが、その上面に接続された第1バンプ5aBを介して第1電子部品2aBに電気的に接続されている。ここで、本実施形態の実装構造体1Bは、第2実施形態と異なり、電子部品2Bは、厚み方向に貫通する導電性の貫通ビア導体19Bを有している。これにより、第1インターポーザー4aBは、貫通導体16下端に接続された第2導電層15bBが、その上面に接続された第1バンプ5aBを介して第2電子部品2bBの貫通ビア導体19B上端と電気的に接続されている。そして、第2インターポーザー4bBは、貫通導体16B上端に接続された導電層15Bが、その上面に接続された第1バンプ5aBを介して第2電子部品2bBの貫通ビア導体19B下端に電気的に接続されている。
【0134】
以上のようにして、厚み方向に交互に積層された電子部品2B及びインターポーザー4Bは、互いに電気的に接続することにより、インターポーザー4Bは、第2導電層15bBを電子部品2B搭載領域内から電子部品2B搭載領域外へ引きまわす必要が無く、インターポーザー4Bを小型化するとともに、配線長を短くすることにより信号伝送特性を高めることができる。
【0135】
上述した貫通ビア導体19Bは、電子部品2Bを厚み方向に貫通する貫通ビアに導電材料が充填されてなり、該導電材料としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル等を使用することができる。
【0136】
一方、第3実施形態は第1及び第2実施形態と異なり、基体14Bが樹脂層18Bを有しておらず、導電層15Bが無機絶縁層17Bに直接当接している。その結果、誘電正接の低い無機絶縁層17Bによって、導電層15Bの信号伝送特性を高めることができる。
【0137】
この基体14B及び導電層15Bは、例えば以下のようにして形成することができる。
【0138】
まず、上述した第1実施形態の(3)の工程において、樹脂層を形成することなく、銅箔の一主面に無機絶縁層17Bを直接形成する。次に、上述した第1実施形態の(4)の工程において、第1導電層15aBを形成するとともに、無機絶縁層17Bの他主面に第2導電層15bAを形成する。ここで、第2導電層15bBは、無電解めっき法、スパッタ法又は蒸着法等を用いて、導電材料を無機絶縁層17Bの他主面に被着させて下地層を形成した後、電気めっき法を用いて、該下地層に導電材料を被着させることにより、形成することができる。
【0139】
ここで、銅箔は、例えば一主面が蟻酸等の有機酸を主成分とするエッチング液により粗化されており、凹凸が形成されていることが望ましい。その結果、該凹凸に沿って無機絶縁層17Bが形成されため、該凹凸のアンカー効果によって無機絶縁層17Bと銅箔との接着強度を高めることができるとともに、無機絶縁層17Bの表面に凹凸を形成することができ、ひいては無機絶縁層17Bと第1導電層15aBとの接着強度を高めることができる。
【0140】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。例えば、各実施形態の実装構造体において、インターポーザーを置き換えても構わないし、インターポーザーに含まれる基体、貫通導体又は導電層等の各部材を置き換えても構わない。
【符号の説明】
【0141】
1 実装構造体
2 電子部品
3 配線基板
4 インターポーザー
5a 第1バンプ
5b 第1バンプ
5c 第1バンプ
6 コア基板
7 ビルドアップ部
8 樹脂基板
9 スルーホール導体
10 絶縁体
11 絶縁層
12 配線層
13 ビア導体
14 基体
15 導電層
16 貫通導体
17 無機絶縁層
18 樹脂層
V 空隙
C 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に沿った複数の貫通孔が形成された無機絶縁層と、該貫通孔に配された貫通導体とを備え、
前記無機絶縁層は、互いに結合した、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する第1無機絶縁粒子と、該第1無機絶縁粒子を介して互いに接着された、アモルファス状態の酸化ケイ素を含有する、前記第1無機絶縁粒子よりも粒径が大きい第2無機絶縁粒子とを有しており、
前記無機絶縁層には、前記第1無機絶縁粒子および前記第2無機絶縁粒子に取り囲まれた複数の空隙が形成されていることを特徴とするインターポーザー。
【請求項2】
請求項1に記載のインターポーザーにおいて、
前記第1無機絶縁粒子は、粒径が3nm以上110nm以下であり、
前記第2無機絶縁粒子は、粒径が0.5μm以上5μm以下であることを特徴とするインターポーザー。
【請求項3】
請求項1に記載のインターポーザーにおいて、
前記複数の空隙は、第1空隙と、前記無機絶縁層の厚み方向に沿った断面において、前記第1空隙よりもアスペクト比の大きい細長形状である第2空隙とを有しており、
該第2空隙は、前記無機絶縁層の厚み方向に沿った断面において、前記無機絶縁層の厚み方向および前記無機絶縁層の面方向の双方と交わる長手方向を有することを特徴とするインターポーザー。
【請求項4】
請求項1に記載のインターポーザーにおいて、
前記無機絶縁層上に形成された導電層と、
前記無機絶縁層と前記導電層との間に介在した、前記無機絶縁層よりも厚みが小さい樹脂層をさらに備えたことを特徴とするインターポーザー。
【請求項5】
請求項4に記載のインターポーザーにおいて、
前記貫通導体は、前記無機絶縁層および前記樹脂層を厚み方向に貫通し、一端部が前記導電層と電気的に接続されていることを特徴とするインターポーザー。
【請求項6】
請求項5に記載のインターポーザーにおいて、
前記貫通導体は、貫通方向に沿った断面において、前記一端部の幅が他端部よりも小さいことを特徴とするインターポーザー。
【請求項7】
請求項6に記載のインターポーザーにおいて、
前記貫通導体の他端部は、端面が前記無機絶縁層から露出していることを特徴とするインターポーザー。
【請求項8】
請求項7に記載のインターポーザーにおいて、
前記無機絶縁層の他主面は露出しており、
前記貫通導体の前記他端部は、前記無機絶縁層の前記他主面から突出していることを特徴とするインターポーザー。
【請求項9】
請求項8に記載のインターポーザーにおいて、
前記貫通導体の前記一端部は、前記導電層を介して電子部品と電気的に接続されるためのものであり、
前記貫通導体の前記他端部は、配線基板と電気的に接続されるためのものであることを特徴とするインターポーザー。
【請求項10】
請求項4に記載のインターポーザーにおいて、
前記無機絶縁層の厚みは、30μm以上200μm以下であり、
前記樹脂層の厚みは、0.5μm以上3μm以下であることを特徴とするインターポーザー。
【請求項11】
請求項1に記載のインターポーザーにおいて、
前記無機絶縁層は、前記貫通孔の内壁に、前記第2無機絶縁粒子の一部からなる凸部を有し、該凸部は、前記貫通導体に被覆されていることを特徴とするインターポーザー。
【請求項12】
請求項11に記載のインターポーザーにおいて、
前記無機絶縁層には、前記第1無機絶縁粒子および前記第2無機絶縁粒子に部分的に取り囲まれているとともに前記貫通孔の内壁に開口を有する凹部が形成されており、該凹部には、前記貫通導体の一部が充填されていることを特徴とするインターポーザー。
【請求項13】
配線基板と、該配線基板上に搭載された請求項1に記載のインターポーザーと、該インターポーザー上に実装された電子部品とを備えたことを特徴とする実装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−249661(P2011−249661A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122949(P2010−122949)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】