説明

インターロイキン−1β変換酵素のインヒビター

【課題】IL−1が媒介する慢性および急性疾患、アポトーシスが媒介する疾患、ならびに炎症性疾患、自己免疫性疾患、骨破壊性疾患、増殖性障害、感染症、退行性疾患または壊死性疾患を予防し処置する薬剤を提供する。
【解決手段】以下の式αにより表される化合物:nは1〜2、R11は式a,bである。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、インターロイキン−1β変換酵素(「ICE」)のインヒビターである新規
な種類の化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を含有する薬学的組成物に関す
る。本発明の化合物および薬学的組成物は、ICE活性を阻害するのに特に十分適合し、
結果として、インターロイキン−1(「IL−1」)、およびアポトーシスが媒介する疾
患(炎症性疾患、自己免疫性疾患、増殖性障害、感染症および退行性疾患を含めて)に対
する薬剤として有利に利用され得る。本発明はまた、ICE活性を阻害する方法、ならび
に本発明の化合物および組成物を用いて、インターロイキン−1、およびアポトーシスが
媒介する疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
インターロイキン−1(「IL−1」)は、線維芽細胞の分化および増殖、滑膜細胞お
よび軟骨細胞によるプロスタグランジン、コラゲナーゼおよびホスホリパーゼの産生、好
塩基球および好酸球の脱顆粒ならびに好中球の活性化を刺激する主要な前炎症性(pro
inflammatory)タンパク質および免疫調節タンパク質である。Oppenh
eim, J.H.ら、Immunology Today, 7, 45〜56頁 (
1986)。このように、インターロイキン−1は、慢性および急性の炎症性および自己
免疫性疾患の病因に関与する。例えば、慢性関節リウマチにおいて、IL−1は、炎症性
症候の媒介体および侵された関節における軟骨プロテオグリカンの破壊の媒介体の両方で
ある。IL−1はまた、高い可能性を有する骨吸収因子である。これは、骨関節症および
多発性骨髄腫のような骨破壊疾患において「破骨細胞活性因子」とも呼ばれる。Bata
ille, R.ら、Int. J. Clin. Lab. Res. 21, 28
3頁(1992)。急性骨髄性白血病および多発性骨髄腫のような、特定の増殖性障害に
おいて、IL−1は、腫瘍細胞増殖および粘着を促進し得る。これらの疾患において、I
L−1はまた、他のサイトカイン(例えば、腫瘍発達を調節し得るIL−6)の産生を刺
激する(Tartourら、Cancer Res, 54, 6243 (1994)
)。
【0003】
炎症応答の一部としてIL−1は末梢血液単球により主に生産され、そして2つの異な
るアゴニスト形態(IL−1αおよびIL−1β)で存在する。Mosely, B.S
.ら、Proc. Nat. Acad. Sci., 84, 4572−4576頁
(1987); Lonnemann, G.ら、Eur. J. Immunol.
19,1531−1536頁(1989)。
【0004】
IL−1βは、生物学的に不活性な前駆体であるpIL−1βとして合成される。pI
L−1βは、従来のリーダー配列を有さず、そしてシグナルペプチダーゼによりプロセシ
ングされない。March, C.J., Nature, 315, 641−647
頁(1985)。その代わり、pIL−1βは、Asp−116とAla−117との間
でインターロイキン−1β変換酵素(「ICE」)により切断され、ヒト血清および滑液
中に見出される生物学的に活性なC末端フラグメントを産生する。Sleath, P.
R.ら、J. Biol. Chem., 265, 14526−14528頁(19
92); A.D. Howardら、J. Immunol., 147, 2964
−2969頁(1991)。
【0005】
ICEは、主に単球に局在するシステインプロテアーゼである。これは、前駆体IL−
1βを成熟形態に変換する。Black, R.A.ら、FEBS Lett., 24
7, 386−390頁(1989); Kostura, M.J.ら、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 86, 5227−5231頁(198
9)。ICEによるプロセシングはまた、細胞膜を通しての成熟IL−1βの輸送に必要
である。ICEまたはそのホモログはまた、細胞死またはアポトーシスの調節に関与する
ようである。Yuan, Jら、Cell, 75,641−652頁(1993);
Miura, Mら、Cell, 75, 653−660頁(1993); Nett
−Fiordalisi, M.A.ら、J. Cell Biochem., 17B
, 117頁(1993)。特に、ICEまたはICEホモログは、アルツハイマー病お
よびパーキンソン病のような神経発生性(neurogenerative)疾患におけ
るアポトーシスの調節に関連すると考えられる。Marx, J.およびM. Bari
nga, Science, 259, 760−762頁(1993); Gagli
ardini, V.ら、Science, 263, 826−828頁(1994)

【0006】
ICEは、特定の組織型においてアポトーシス(プログラムされた細胞死)を媒介する
ことが実証されている。Steller, H., Science, 267, 14
45頁(1995); Whyte, M.およびEvan, G., Nature
376, 17頁(1995); Martin, S.J.およびGreen, D
.R., Cell, 82, 349頁(1995); Alnemri, E.S.
ら、J. Biol. Chem., 270, 4312頁(1995); Yuan
J. Curr. Opin. Cell Biol., 7, 211頁(199
5)。アポトーシスの阻害のための治療的適応は、アルツハイマー病、パーキンソン病、
脳卒中、心筋(mycardial)梗塞、脊椎萎縮、および老化を含み得る。ICE遺
伝子を破壊されたトランスジェニックマウスは、Fas媒介されたアポトーシスにおいて
欠陥がある(Kuida, K.ら(1995))。ICEのこの活性は、プロIL−1
βについてのプロセシング酵素としてのその役割と区別される。これは、特定の組織型に
おいて、ICEの阻害は成熟IL−1βの分泌に影響し得ないが、しかしアポトーシスを
阻害し得ると考えられる。
【0007】
ICEは、2つのサブユニットp20およびp10(それぞれ、分子量20kDaおよ
び10kDa)からなるヘテロダイマーとして以前に記載されている。これらのサブユニ
ットは、自触反応性である活性化機構を介してp30形態を経由し、45kDaのプロ酵
素(p45)から得られる。Thornberry,N.A.ら、Nature、356
、768〜774頁 (1992)。ICEプロ酵素はいくつかの機能的ドメインに分け
られている:プロドメイン(p14)、p22/20サブユニット、ポリペプチドリンカ
ーおよびp10サブユニットである。Thornberryら、前出;Casanoら、
Genomics、20、474〜481頁 (1994)。
【0008】
全長p45はそのcDNAおよびアミノ酸配列により特徴付けられている。PCT特許
出願第WO 91/15577号および同第WO 94/00154号。p20およびp
10のcDNAおよびアミノ酸配列もまた、公知である。Thornberryら、前出
。マウスICEおよびラットICEもまた、配列決定され、クローン化されている。これ
らは、ヒトICEに対して高いアミノ酸配列相同性および核酸配列相同性を有する。Mi
ller,D.K.ら、Ann. N. Y. Acad. Sci.、696、133
〜148頁 (1993);Molineaux,S.M.ら、Proc. Nat.
Acad. Sci.、90、1809〜1813頁 (1993)。ICEの3次元構
造は、X線結晶学により原子的解像度で決定された。Wilson, K.P.ら、Na
ture, 370, 270−275頁(1994)。活性酵素は、2つのp20およ
び2つのp10サブユニットの4量体として存在する。
【0009】
さらに、酵素の活性部位において配列類似性を有するICEのヒトホモログが存在する
。そのようなホモログは、TX(またはICErel−IIもしくはICH−2)(Fa
ucheuら、EMBO J., 14, 1914頁(1995); Kamens
J.ら、J. Biol. Chem., 270, 15250頁; Nichols
onら、J. Biol. Chem., 270, 15870頁 (1995))、
TY(またはICErel−III)(Nicholsonら、J. Biol. Ch
em., 270, 15870頁 (1995))、ICH−1(またはNedd−2
)(Wang, Lら、Cell, 78, 739頁(1994))、MCH−2(F
ernandes−Alnemri, T. ら、Cancer Res., 55,
2737頁(1995)、CPP32(またはYAMAもしくはアポペイン)(Fern
andes−Alnemri, T. ら、J. Biol. Chem., 269,
30761頁(1994); Nicholson, D.W.ら、Nature,
376,37頁(1995))、およびCMH−1(またはMCH−3)(Lippke
ら、J. Biol. Chem., (1996); Fernandes−Alne
mri, T. ら、Cancer Res.,(1995))を含む。これらICEホ
モログの各々、ならびにICE自体は、トランスフェクトされる細胞株において過剰発現
される場合アポトーシスを引き起こし得る。ペプチジルICEインヒビターTyr−Va
l−Ala−Asp−クロロメチルケトンでのこれらのホモログの1つ以上の阻害は、一
次細胞または細胞株におけるアポトーシスの阻害を生じる。Lazebnikら、Nat
ure, 371, 346頁(1994)。本明細書中に記載される化合物はまた、一
つ以上のICEのホモログを阻害し得る(実施例を参照のこと)。従って、これらの化合
物を、ICEホモログを含むが、活性ICEを含まないまたは成熟IL−1βを産生しな
い組織型におけるアポトーシスの阻害のための使用を予測し得る。
【0010】
ICEインヒビターは、炎症またはアポトーシスあるいはその両方の制御に有用なクラ
スの化合物を表す。ICEのペプチドインヒビターまたはペプチジルインヒビターが記載
されている。PCT特許出願第WO 91/15577号;同第WO 93/05071
号;同第WO 93/09135号;同第WO 93/14777号および同第WO 9
3/16710号;および欧州特許出願第0 547 699号。そのようなICEのペ
プチジルインヒビターは、炎症のマウスモデル(Kuら、または下出)において成熟IL
−1βの産生をブロックすること、およびインビトロにおいて白血病細胞の増殖を抑制す
ることが観察されている(Estrovら、Blood 84, 380a (1994
))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、IL−1が媒介する慢性および急性疾患、アポトーシスが媒介する疾患、なら
びに炎症性疾患、自己免疫性疾患、骨破壊性疾患、増殖性障害、感染症、退行性疾患また
は壊死性疾患を予防し処置する薬剤として使用するためには、インビボでのICEの作用
を効果的に阻害し得る化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)以下の式により表される化合物:
【0013】
【化3】


ここで:
nは0、1、または2であり;
11は以下であり:
【0014】
【化4】


mは1または2であり;
12およびR13は、独立して、−R、−C(O)−R、および−C(O)−N
(H)−Rからなる群から選択されるか、またはR12とR13とは一緒になって4〜
8員飽和環式基を形成し;
は、−H、または必要に応じてAr、−OH、−OR、−C(O)−OH、C(
O)−NH、または−ORで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル基であり

は、−Ar、必要に応じて−Arで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル
基、必要に応じてArで置換された−C1−6直鎖または分岐アルケニル基、および必要
に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルキニル基を含む群から選択され

は、以下からなる群から選択され:
−C(O)−R
−C(O)−OR
−C(O)−N(R)(R10)、
−S(O)−R
−C(O)C(O)−R
−R、および
−H;
各Arは、独立して、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニ
ル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択される環式基、および2−フ
リル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピ
リジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、2−ピラ
ゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソトリアゾリル、1,2,3−オキサジ
アゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピ
リミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、イン
ドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[
b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、
ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テト
ラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニ
ル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジ
ニル、ペリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、お
よびフェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環式芳香族基であり、そしてこの
芳香族基は、必要に応じて−F、−Cl、−Br、−I、−OR14、−NO、−S(
O)−N(R)(R10)、−C(O)−N(R)(R10)、−N(H)−C(
O)−N(R)(R10)、−N(R)(R10)、−C(O)−OR、−CF
、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN
、または−N(H)C(NR)N(R)(R10)で単一または複数置換されており

各R14は、−HまたはC1−6直鎖または分岐アルキル基であり;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れたC1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択され;
各Rは、必要に応じて−Arまたは−Wで置換された−C1−5直鎖または分岐アル
キル基であり;
Wは、−OR、−SR、−N(H)C(NR)N(R)(R10)、−C(O
)−OR、または−N(R)(R10)であり;
は、−CHArまたは1と3の間の環を含む5〜15員非芳香族環式基であり、
そしてそれは必要に応じて0と2の間の環内の酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含
み、そしてこの環式基は必要に応じてArと縮合されており;
但し、−Arが一つ以上のさらなる−Ar基を含むRまたはR10を含む基で置換さ
れる場合、−Ar基はRまたはR10を含む基で置換されない。
【0015】
(2)項目1に記載の化合物であって、ここで:
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
各Rは、必要に応じてArで置換されたC1−5直鎖または分岐アルキル基であり;
mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0016】
【化5】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される、化合物。
【0017】
(3)以下の式により表される化合物:
【0018】
【化6】


ここで:
mは1または2であり;
nは0、1、または2であり;
は、以下からなる群から選択され:
−CN、
−C(O)−H、
−C(O)−CHXR
−C(O)−CHF、
−C=N−O−R、および
−C(O)−R
Xは、O、S、S(O)、およびS(O)からなる群から選択され;
は、独立して、以下からなる群から選択され:
−H、
−(CH−Ar、および
−C(O)−Ar;
pは0、1、2、または3であり;
は、−Ar、必要に応じて−Arで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル
基、必要に応じてArで置換された−C1−6直鎖または分岐アルケニル基、および必要
に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルキニル基からなる群から選択さ
れ;
は、以下の群から選択され、ここで任意の環は必要に応じて−NH、−C(O)
−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NO、−CN、−ペルフルオロアル
キルC1−3アルキル、−R、−OR、−OR、−N(H)−R、−N(H)−
、1,2−メチレンジオキシ、および−SRにより単一または複数置換され得:
【0019】
【化7】


ここで、Yは独立して、OおよびSからなる群から選択され;
各Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオ
レニルおよびアントラセニルからなる群から選択される炭素環式基、および2−フリル、
3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル
、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、2−ピラゾリニ
ル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソトリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリ
ル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジ
ニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジ
ニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フ
ラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズ
チアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テトラヒド
ロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、シ
ンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、
ペリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、およびフ
ェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環式芳香族基であり、そしてこの環式基
は、必要に応じて−OR14、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)
N(R)(R10)、−C(O)−N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N
(R)(R10)、−N(R)(R10)、−C(O)−OR、−CF、−OC
、C1−6直鎖または分岐アルキル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または
−N(H)C(NR)N(R)(R10)で単一または複数置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じてArで置換され
た−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択され;
各R14は、−HまたはC1−6直鎖または分岐アルキル基であり;
は、以下からなる群から選択され:
−C(O)−R
−C(O)−OR
−C(O)−N(R)(R10)、
−S(O)−R
−C(O)C(O)−R
−R、および
−H;
は、必要に応じてArまたはWで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基
であり;
Wは、−OR、−SR、−N(H)C(NR)N(R)(R10)、−C(O
)−OR、および−N(R)(R10)であり;
は、−CHArまたは1と3の間の環を含む5〜15員非芳香族環式基であり、
そしてそれは必要に応じて0と2の間の環内の酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含
み、そしてこの環式基は必要に応じてArと縮合されており;
は、−H、または必要に応じてAr、−OH、−OR、−C(O)−OH、C(
O)−NH、または−ORで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル基であり

但し、−Arが一つ以上のさらなる−Ar基を含むRまたはR10を含む基で置換さ
れる場合、−Ar基はRまたはR10を含む基で置換されない。
【0020】
(4)項目3に記載の化合物であって、ここで:
は−C(O)−Hであり;
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
は、必要に応じて−Arで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基であり

mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0021】
【化8】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される、化合物。
【0022】
(5)以下からなる群から選択される、項目4に記載の化合物:
【0023】
【化9】

【0024】
【化10】

【0025】
【化11】

【0026】
【化12】



【0027】
(6)項目3に記載の化合物であって、
ここで:
は−C(O)−Rであり;
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
は、必要に応じて−Arで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基であり

mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0028】
【化13】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される、化合物。
【0029】
(7)以下からなる群から選択される、項目6に記載の化合物:
【0030】
【化14】

【0031】
【化15】



【0032】
(8)項目3に記載の化合物であって、ここでRは−C(O)−CHXRである
、化合物。
【0033】
(9)薬学的組成物であって、項目1〜8のいずれか1項に記載のICEインヒビター
を、IL−1媒介疾患の処置または予防に有効な量で、および薬学的に受容可能なキャリ
アを含む薬学的組成物。
【0034】
(10)薬学的組成物であって、項目1〜8のいずれか1項に記載のICEインヒビタ
ーを、アポトーシス媒介疾患の処置または予防に有効な量で、および薬学的に受容可能な
キャリアを含む薬学的組成物。
【0035】
(11)項目9に記載の薬学的組成物であって、上記IL−1媒介疾患が、骨関節炎、
膵炎、喘息、および成人性呼吸窮迫症からなる群から選択される炎症性疾患である、薬学
的組成物。
【0036】
(12)項目11に記載の薬学的組成物であって、上記炎症性疾患が骨関節炎または急
性膵炎である、薬学的組成物。
【0037】
(13)項目9に記載の薬学的組成物であって、ここで上記IL−1媒介疾患が、糸球
体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴ
ス病、自己免疫性胃炎、インスリン依存性糖尿病(I型)、自己免疫性溶血性貧血、自己
免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クロ
ーン病、乾癬、および移植片対宿主病自己免疫性疾患からなる群から選択される自己免疫
性疾患である、薬学的組成物。
【0038】
(14)項目13に記載の薬学的組成物であって、ここで上記自己免疫性疾患が、慢性
関節リウマチ、炎症性腸疾患、クローン病、または乾癬である、薬学的組成物。
【0039】
(15)項目9に記載の薬学的組成物であって、ここで上記IL−1媒介疾患が骨破壊
疾患であり、この疾患が骨粗鬆症または多発性骨髄腫関連骨疾患である、薬学的組成物。
【0040】
(16)項目9に記載の薬学的組成物であって、ここで上記IL−1媒介疾患が、急性
骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、および多発性骨髄腫
からなる群から選択される増殖性障害である、薬学的組成物。
【0041】
(17)項目9に記載の薬学的組成物であって、ここで上記IL−1媒介疾患が、敗血
症、敗血症ショック、および細菌性赤痢からなる群から選択される感染性疾患である、薬
学的組成物。
【0042】
(18)項目9に記載の薬学的組成物であって、ここで上記IL−1媒介疾患が、アル
ツハイマー病、パーキンソン病、脳性虚血および心筋虚血からなる群から選択される変性
または壊死性疾患である、薬学的組成物。
【0043】
(19)項目18に記載の薬学的組成物であって、ここで上記変性疾患がアルツハイマ
ー病である、薬学的組成物。
【0044】
(20)項目10に記載の薬学的組成物であって、ここで上記アポトーシス媒介疾患が
、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳性虚血、心筋虚血、棘筋萎縮症、多発性硬化症
、AIDS関連脳炎、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、および脳卒中による神経学的損傷
からなる群から選択される変性疾患である、薬学的組成物。
【0045】
(21)ICE媒介機能を阻害するための薬学的組成物であって、項目1〜8のいずれ
か1項に記載のICEインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組
成物。
【0046】
(22)患者における、IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己
免疫性疾患、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、壊死性疾患、骨関節炎、膵炎、喘息、
成人性呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮
症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、インスリン依存性糖尿病(I型)、
自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋
無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、骨粗鬆症、多発性骨髄腫関
連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発
性骨髄腫、敗血症、敗血症ショック、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、
脳性虚血、心筋虚血、脊椎筋萎縮症、多発性硬化症、AIDS関連脳炎、HIV関連脳炎
、老化、脱毛症、および脳卒中による神経学的損傷からなる群から選択される疾患の処置
または予防方法であって、この患者に項目9〜21のいずれか1項に記載の薬学的組成物
を投与する工程を含む、方法。
【0047】
(発明の要旨)
本発明は、ICEのインヒビターとして有用な新規な種類の化合物およびそれらの薬学
的に受容可能な誘導体を提供する。これらの化合物は、単独で、または他の治療剤または
予防剤(例えば、抗生物質、免疫調節剤または他の抗炎症性薬剤)と組み合わせて、IL
−1、またはアポトーシスが媒介する疾患の処置または予防に使用され得る。好ましい実
施態様によれば、本発明の化合物は、ICEの活性部位と結合し得、かつその酵素の活性
を阻害し得る。
【0048】
本発明の主要な目的は、新規な種類の次式により表されるICEインヒビターを提供す
ることにある:
【0049】
【化16】


ここで、種々の置換基が本明細書中に記載される。
【0050】
(略語および定義)
(略語)
記号 試薬またはフラグメント
Ala アラニン
Arg アルギニン
Asn アスパラギン
Asp アスパラギン酸
Cys システイン
Gln グルタミン
Glu グルタミン酸
Gly グリシン
His ヒスチジン
Ile イソロイシン
Leu ロイシン
Lys リジン
Met メチオニン
Phe フェニルアラニン
Pro プロリン
Ser セリン
Thr トレオニン
Trp トリプトファン
Tyr チロシン
Val バリン
AcO 無水酢酸
n−Bu ノーマル−ブチル
DMF ジメチルホルムアミド
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩
酸塩
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
Fmoc 9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
HBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメ
チルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸。
【0051】
(定義)
本明細書中では、以下の用語が使用される:
用語「活性部位」とは、ICE内の以下の部位の任意の部位または全ての部位をいう:
基質結合部位、インヒビターが結合する部位および基質の切断が起こる部位。
【0052】
「アルケニル」との用語は、単独または組み合わせて、2〜10個の炭素原子を含む直
鎖または分岐鎖アルケニル基を意味する。そのような基の例は、エテニル、E−およびZ
−プロペニル、イソプロペニル、E−およびZ−ブテニル、E−およびZ−イソブテニル
、E−およびZ−ペンテニル、デセニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0053】
「アルキニル」との用語は、単独または組み合わせて、2〜10個の炭素原子を含む直
鎖または分岐鎖アルキニル基を意味する。そのような基の例は、エチニル(アセチレニル
)、プロピニル、プロパルギル、ブチニル、ヘキシニル、デシニルなどを含むが、これら
に限定されない。
【0054】
「置換」との用語は、ある化合物中の水素原子を置換基で置き換えることを意味する。
【0055】
「K」との用語は、ある化合物が、標的酵素(例えば、ICE)の活性を阻害する有
効性の数値を意味する。Kの値が低いことは、高い有効性を反映している。このKi値
は、実験的に決定した速度データを標準酵素速度式に適合させることにより、誘導される
(I.H. Segel、Enzyme Kinetics、Wiley−Inters
cience(1975年)を参照せよ)。
【0056】
本願で使用する「患者」との用語は、任意の哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0057】
「薬学的有効量」との用語は、患者におけるIL−1またはアポトーシス媒介疾患を処
置するか、または改善する際に有効な量を意味する。用語「予防的有効量」とは、患者に
おけるIL−1またはアポトーシス媒介疾患を予防するか実質的に緩和するのに有効な量
を意味する。
【0058】
「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」との用語は、本発明の化合物と共
に患者に投与され得る非毒性のキャリアまたはアジュバントであって、この化合物の薬理
学的な活性を損なわないものを意味する。
【0059】
「薬学的に受容可能な誘導体」の用語は、本発明の化合物または他のいずれかの化合物
の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、またはこのようなエステルの塩であって、レ
シピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの抗ICE活性を示す、代謝物ま
たは残留物を(直接的または間接的)に提供できるものを意味する。
【0060】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、例えば、薬学的に受容可能な無機酸およ
び有機酸、ならびに塩基から誘導したものが挙げられる。適切な酸の例としては、塩酸、
臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳
酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタ
ンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼン
スルホン酸が包含される。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体薬学的に受容可能で
はないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸の付加塩を得る際に
、中間体として有用な塩の調製に使用できる。適当な塩基から誘導した塩としては、アル
カリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモ
ニウム塩およびN−(C1−4アルキル)塩が挙げられる。
【0061】
本発明はまた、本明細書中、開示された化合物のいずれかの塩基性窒素含有基の「四級
化」を想定している。この塩基性窒素は、当業者に公知のいずれかの試薬で四級化でき、
これらの試薬には、例えば、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化およびヨウ化
メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピルおよび塩化、
臭化およびヨウ化ブチル);硫酸ジアルキル(硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチ
ルおよび硫酸ジアミルを含む);長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル
、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチルおよび塩化、臭
化およびヨウ化ステアリル);およびハロゲン化アラルキル(臭化ベンジルおよび臭化フ
ェネチル)が挙げられる。水溶性または油溶性、あるいは分散性の生成物は、このような
四級化により得られ得る。
【0062】
本発明のICEインヒビターは、1個またはそれ以上の「不斉」炭素原子を含有し得、
それゆえ、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単独エナンチオマー、ジアステレオマー混
合物および個々のジアステレオマーとして、生じ得る。これらの化合物のこのような異性
体形態の全ては、明らかに、本発明に含まれる。各ステレオジェン炭素は、RまたはSの
立体配座であり得る。本願で例示している特定の化合物および骨格は、特定の立体化学的
な立体配座で表わされ得るものの、いずれかの限定のキラル中心にて反対の立体化学構造
であるか、またはそれらの混合物かのいずれかを有する化合物および骨格もまた、想定さ
れる。
【0063】
本発明のICEインヒビターは、必要に応じて、炭素原子、窒素原子または他の原子に
て、種々の置換基で置換され得る構造を有し得る。このような構造は、単一または複数で
置換されていてもよい。好ましくは、この構造は、0個と3個の間の置換基を含有する。
複数置換される場合、各置換基は、置換基の組み合わせにより安定な化合物が形成される
限り、他のいずれの置換基とは別々に選択され得る。
【0064】
本発明で想定する置換基および変数の組み合わせは、単に、安定な化合物を形成するも
のである。本明細書中で使用する「安定な」との用語は、当該技術分野で公知の方法によ
り、製造でき、かつ哺乳動物に投与し得るに充分な安定性を有する化合物を意味する。代
表的には、このような化合物は、湿気または他の化学的な反応条件のない場合、40℃ま
たはそれ未満の温度で少なくとも一週間安定である。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、IL−1が媒介する慢性および急性疾患、アポトーシスが媒介する疾
患、ならびに炎症性疾患、自己免疫性疾患、骨破壊性疾患、増殖性障害、感染症、退行性
疾患または壊死性疾患を予防し処置する薬剤として使用するための、インビボでのICE
の作用を効果的に阻害し得る化合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に記載される本発明が、より充分に理解され得る様に、以下に詳細な説明を
記載する。
【0067】
本発明の一つの実施態様(A)のICEインヒビターは、式αのものである:
【0068】
【化17】


ここで:
n=0、1、または2であり;
11は以下であり:
【0069】
【化18】


mは1または2であり;
12およびR13は、独立して、−R、−C(O)−R、および−C(O)−N
(H)−Rからなる群から選択されるか、またはR12とR13とは一緒になって4〜
8員飽和環式基を形成し;
は、−H、または必要に応じてAr、−OH、−OR、−C(O)−OH、C(
O)−NH、または−ORで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル基であり

は、−Ar、必要に応じて−Arで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル
基、必要に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルケニル基、および必要
に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルキニル基からなる群から選択さ
れ;
は、以下からなる群から選択され:
−C(O)−R
−C(O)−OR
−C(O)−N(R)(R10)、
−S(O)−R
−C(O)C(O)−R
−R、および
−H;
各Arは、独立して、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニ
ル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択される環式基、および2−フ
リル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピ
リジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、2−ピラ
ゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソトリアゾリル、1,2,3−オキサジ
アゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピ
リミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、イン
ドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[
b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、
ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テト
ラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニ
ル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジ
ニル、ペリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、お
よびフェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環式芳香族基であり、そして該芳
香族基は、必要に応じて−F、−Cl、−Br、−I、−OR14、−NO、−S(O
−N(R)(R10)、−C(O)−N(R)(R10)、−N(H)−C(O
)−N(R)(R10)、−N(R)(R10)、−C(O)−OR、−CF
−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、
または−N(H)C(NR)N(R)(R10)で単一または複数置換されており;
各R14は、−HまたはC1−6直鎖または分岐アルキル基であり;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れたC1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択され;
各Rは、必要に応じて−Arまたは−Wで置換された−C1−5直鎖または分岐アル
キル基であり;
Wは、−OR、−SR、−N(H)C(NR)N(R)(R10)、−C(O
)−OR、または−N(R)(R10)であり;
は、−CHArまたは1と3の間の環を含む5〜15員非芳香族環式基であり、
そしてそれは必要に応じて0と2の間の環内の酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含
み、そして該環式基は必要に応じてArと縮合されており;
但し、−Arが一つ以上のさらなる−Ar基を含むRまたはR10を含む基で置換さ
れる場合、−Ar基はRまたはR10を含む基で置換されない。
【0070】
本実施態様の好ましい化合物は、以下のものである:
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
各Rは、必要に応じてArで置換されたC1−5直鎖または分岐アルキル基であり;
mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0071】
【化19】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される。
【0072】
本発明の別の実施態様のICEインヒビターは、式(β)のものである:
【0073】
【化20】


ここで:
mは1または2であり;
nは0、1、または2であり;
は、以下からなる群から選択され:
−CN、
−C(O)−H、
−C(O)−CHXR
−C(O)−CHF、
−C=N−O−R、および
−C(O)−R
Xは、O、S、S(O)、およびS(O)からなる群から選択され;
は、独立して、以下からなる群から選択され:
−H、
−(CH−Ar、および
−C(O)−Ar;
pは0、1、2、または3であり;
は、−Ar、必要に応じて−Arで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル
基、必要に応じてArで置換された−C1−6直鎖または分岐アルケニル基、および必要
に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルキニル基からなる群から選択さ
れ;
は、以下の群から選択され、ここで任意の環は必要に応じて−NH、−C(O)
−OH、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NO、−CN、−ペルフルオロアル
キルC1−3アルキル、−R、−OR、−OR、−N(H)−R、−N(H)−
、1,2−メチレンジオキシ、および−SRにより単一または複数置換され得る:
【0074】
【化21】


ここで、Yは独立して、OおよびSからなる群から選択される;
各Arは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオ
レニルおよびアントラセニルからなる群から選択される炭素環式芳香族基、および2−フ
リル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピ
リジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、2−ピラ
ゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソトリアゾリル、1,2,3−オキサジ
アゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピ
リミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、イン
ドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[
b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、
ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テト
ラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニ
ル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジ
ニル、ペリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、お
よびフェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環式芳香族基であり、そして該環
式基は、必要に応じて−OR14、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)
−N(R)(R10)、−C(O)−N(R)(R10)、−N(H)−C(O)
−N(R)(R10)、−N(R)(R10)、−C(O)−OR、−CF、−
OCF、C1−6直鎖または分岐アルキル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、ま
たは−N(H)C(NR)N(R)(R10)で単一または複数置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択され;
各R14は、−HまたはC1−6直鎖または分岐アルキル基であり;
は、以下からなる群から選択され:
−C(O)−R
−C(O)−OR
−C(O)−N(R)(R10)、
−S(O)−R
−C(O)C(O)−R
−R、および
−H;
は、必要に応じてArまたはWで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基
であり;
Wは、−OR、−SR、−N(H)C(NR)N(R)(R10)、−C(O
)−OR、および−N(R)(R10)であり;
は、−CHArまたは1と3の間の環を含む5〜15員非芳香族環式基であり、
そしてそれは必要に応じて0と2の間の環内の酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含
み、そして該環式基は必要に応じてArと縮合されており;
は、−H、または必要に応じてAr、−OH、−OR、−C(O)−OH、C(
O)−NH、または−ORで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル基であり

但し、−Arが一つ以上のさらなる−Ar基を含むRまたはR10を含む基で置換さ
れる場合、−Ar基はRまたはR10を含む基で置換されない。
【0075】
本実施態様の好ましい化合物は以下である:
は−C(O)−Hであり;
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
は、必要に応じて−Arで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基であり

mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0076】
【化22】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される。
【0077】
本実施態様の好ましい化合物は、以下を含むがこれらに限定されない:
【0078】
【化23】

【0079】
【化24】

【0080】
【化25】

【0081】
【化26】


本実施態様の他の好ましい化合物は、以下のものである:
は−C(O)−Rであり;
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
は、必要に応じて−Arで置換された−C1−5直鎖または分岐アルキル基であり

mは1であり;
nは1であり;
は−CHArまたは以下であり;
【0082】
【化27】


EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択される。
【0083】
本実施態様の好ましい化合物は、以下を含むがこれらに限定されない:
【0084】
【化28】

【0085】
【化29】


本実施態様の他の好ましい化合物は、Rが−C(O)−CHXRであるものであ
る。
【0086】
本発明のICEインヒビターは、従来の技術を用いて合成され得る。有利なことに、こ
れらの化合物は容易に入手可能な出発物質から簡便に合成される。
【0087】
本発明の化合物は、最も容易に合成される既知のICEインヒビターである。以前記載
されたICEインヒビターは、しばしば4つ以上のキラル中心および多数のペプチド結合
を含む。本発明の化合物は比較的容易に合成され得、これの化合物の大量生産における利
点を表す。
【0088】
本発明の化合物は、溶媒の選択、pH、および当業者に公知の他のものを含めた条件に
依存して、種々の平衡形態で存在し得ることを理解するべきである。これらの化合物のこ
のような形態の全ては、明らかに、本発明に包含される。特に、本発明の多くの化合物(
特に、Rにアルデヒド基またはケトン基を含有し、そしてカルボン酸基(R=H)を
含有するもの)は、ヘミケタール(またはヘミアセタール)形態または水和形態をとり得
る。例えば、Rが−(CO)−Hであり、そしてRが−Hである場合、本発明の化合
物は以下に描写する形態をとり得る:
【0089】
【化30】


溶媒の選択および当業者に公知の他の条件に依存して、本発明の化合物はまた、アシル
オキシケタール形態、アシルオキシアセタール形態、ケタール形態またはアセタール形態
をとり得る:
【0090】
【化31】


さらに、本発明の化合物の平衡形態は、互変異性形態を包含し得ることを理解すべきで
ある。これらの化合物のこのような形態の全ては、明らかに、本発明に包含される。
【0091】
本発明の化合物は、選択的な生物学的特性を高めるために、適切な官能基により、改変
できることを理解すべきである。このような改変は、当該技術分野で公知であり、これに
は、所定の生体系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生体浸透性を高めるもの
、経口適用性を高めるもの、注射による投与を可能にするために溶解性を高めるもの、代
謝を変えるもの、および排出速度を変えるものが挙げられる。さらに、この化合物は、プ
ロドラッグに対する代謝または他の生化学過程の作用の結果として、所望の化合物が患者
の体内で形成されるように、プロドラッグ形態に変えることができる。このようなプロド
ラッグ形態は、代表的には、インビトロアッセイにおいて活性をほとんどまたは全く示さ
ない。プロドラッグ形態のいくつかの例には、ケトン基またはアルデヒド基を含有する化
合物のケタール形態、アセタール形態、オキシム形態、およびヒドラゾン形態が包含され
、この場合、特に、それらの形態は、本発明の化合物のR基で生じる。プロドラッグ形
態の他の例として、EQ1およびEQ2に記載される、ヘミケタール形態、ヘミアセター
ル形態、アシルオキシケタール形態、アシルオキシアセタール形態、ケタール形態、およ
びアセタール形態が挙げられる。
【0092】
本発明の化合物は、ICEに対する優れたリガンドである。従って、これらの化合物は
、IL−1媒介疾患およびアポトーシス媒介疾患における事象を標的および阻害し得、そ
れにより、炎症性疾患、自己免疫性疾患、増殖性障害、感染性疾患、および変性疾患にお
けるそのタンパクの最終的な活性を標的および阻害し得る。例えば、本発明の化合物は、
ICEを阻害することにより前駆体IL−1βの成熟IL−1βへの転化を阻害する。I
CEは、成熟IL−1βの生成に必須なために、その酵素の阻害は、成熟IL−1の生成
を阻害することにより、IL−1が媒介する生理学的な作用および症状(例えば、炎症)
の開始を効果的にブロックする。それゆえ、IL−1β前駆体の活性を阻害することによ
り、本発明の化合物は、IL−1インヒビターとして、効果的に作用する。
【0093】
本発明の化合物は、従来の様式にて、IL−1またはアポトーシスにより媒介される疾
患の処置に使用され得る。このような処置方法、それらの用量レベルおよび必要条件は、
利用可能な方法および技術から当業者により選択され得る。例えば、本発明の化合物は、
薬学的に受容可能な様式およびその疾患の重篤度を弱めるのに有効な量で、IL−1媒介
疾患またはアポトーシス媒介疾患を罹っている患者に対し投与するための薬学的に受容可
能なアジュバントと組み合わせ得る。
【0094】
あるいは、本発明の化合物は、長時間にわたって、IL−1媒介疾患またはアポトーシ
ス媒介疾患に対して個体を処置するか保護するための組成物および方法において使用され
得る。化合物は、このような組成物において、薬学的組成物におけるICEインヒビター
の従来の利用に一致する様式で、単独で、または本発明の他の化合物と組み合わせて使用
され得る。例えば、本発明の化合物は、通常ワクチンで使用され、そしてIL−1媒介疾
患、またはアポトーシス媒介疾患に対し長期間にわたって個体を保護する予防的有効量で
投与される、薬学的に受容可能なアジュバントと組み合わせ得る。
【0095】
本発明の化合物はまた、種々のIL−1媒介疾患またはアポトーシス媒介疾患に対する
治療または予防の効果を高めるために、他のICEインヒビターと同時投与し得る。
【0096】
さらに、本発明の化合物は、従来の抗炎症剤か、またはマトリックスメタロプロテアー
ゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、およびIL−1β以外のサイトカイン
のアンタゴニストのいずれかと組合わせて使用され得る。
【0097】
本発明の化合物はまた、IL−1媒介疾患症状またはアポトーシス媒介疾患症状(例え
ば、炎症)を予防するかまたは格闘するために、免疫調節剤(例えば、ブロピリミン、抗
ヒトαインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケファリン、イ
ンターフェロンα、ジエチルジチオカーバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソンおよび
rEPO)と組み合わせるか、またはプロスタグランジンと共に投与され得る。
【0098】
本発明の化合物を、他の薬剤との組み合わせ治療において投与する場合、それらは、患
者に連続的にまたは同時に投与され得る。あるいは、本発明に従った薬学的組成物または
予防組成物は、本発明のICEインヒビターおよび別の治療剤または予防剤の組合せから
なり得る。
【0099】
本発明の薬学的組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビ
ヒクルと共に、本発明の任意の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する。
本発明の薬学的組成物で使用し得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビ
ヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タン
パク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソ
ルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩また
は電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、
塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリ
ドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチル
セルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロッ
ク共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から
、鼻から、頬から、膣から、または移植したリザーバーを介して、投与され得る。経口投
与が好ましい。本発明の薬学的組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャ
リア、アジュバントまたはビヒクルを含有し得る。本明細書で使用する用語、非経口的は
、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および
頭蓋内の注射技術または注入技術を含む。
【0101】
薬学的組成物は、例えば、無菌の注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液として、無菌
の注射可能な調製物の形態であり得る。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤(例え
ば、Tween 80)および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って、処
方され得る。この無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の
溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液
または懸濁液であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、マンニトー
ル、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性
油は、溶媒または懸濁媒体として、従来使用されている。この目的には、任意のブランド
の不揮発性油も使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれ
る。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容
可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチル化
した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液は
また、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、Ph. Helvまたは類似のアル
コール)を含有し得る。
【0102】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(これには、カプセル、
錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、経口
的に投与され得る。経口用途に対する錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラ
クトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウ
ム)もまた、代表的には、添加される。カプセル形態の経口投与に有用な希釈剤には、ラ
クトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液を経口投与する場合、その
有効成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、所定の甘味料および/
または香料および/または着色剤が添加され得る。
【0103】
本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これらの
組成物は、本発明の化合物と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、
直腸温度では液体であり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)とを混合すること
により、調製され得る。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレン
グリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
所望の治療が、局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官を包含すると
き、本発明の薬学的組成物の局所投与は、特に有用である。皮膚への局所的適用のために
、この薬学的組成物は、キャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏
で、処方すべきである。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液化石油、
ホワイト石油(white petroleum)、プロピレングリコール、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに
限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、キャリアに懸濁するかまたは溶解した活
性化合物を含む適切なローションまたはクリームで処方できる。適切なキャリアには、鉱
油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート 60、セチルエステルワックス、セ
テアリール(cetearyl)アルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアル
コールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的組成物はまた、
直腸座剤処方物により、または適切な浣腸処方物にて、下部腸管に局所的に適用され得る
。局所的に投与される経皮パッチもまた、本発明に含まれる。
【0105】
本発明の薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により、投与され得る。このよう
な組成物は、薬学的処方の当該技術分野で周知の技術に従って調製され、そして生理食塩
液中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高め
るための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該技術分野で公知の他の可溶
化剤または分散剤を使用して調製され得る。
【0106】
有効成分化合物の1日あたり約0.01〜約100mg/kg体重、好ましくは1日あ
たり約1〜50mg/kg体重の投薬レベルは、以下を含むIL−1媒介疾患またはアポ
トーシス媒介疾患の防止および処置に有用である:炎症疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨
障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、骨関節炎、膵炎、慢性膵炎、喘息、成人呼吸
窮迫症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲
状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、インスリン依存性糖尿病(I型)、自己免疫性
溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎
症性腸疾患、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、骨粗鬆症、多発性骨髄腫関連骨疾患、
急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫敗
血症、敗血症ショック、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳性虚血、心
筋虚血、棘筋萎縮症、多発性硬化症、AIDS関連脳炎、HIV関連脳炎、および脳卒中
による神経学的損傷。代表的には、本発明の薬学的組成物は、1日あたり約1〜5回、あ
るいは連続注入として投与される。このような投与は、慢性治療または急性治療として使
用され得る。単回用量形態を生じるためにキャリア物質と組合わせされ得る有効成分の量
は、処置される宿主および特定の投与形態に依存して変化する。代表的な調製物は、約5
%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。好ましくは、このような調製物は、約20
〜約80%の活性化合物を含む。
【0107】
患者の状態の改善の際に、必要であれば、本発明の化合物、組成物、またはその組合せ
の維持用量が投与され得る。続いて、投与の投薬量もしくは頻度、またはその両方は、症
候が所望のレベルに軽減され、処置を止めるべき場合に、改善された状態が保持されるレ
ベルまで、症候の関数として低減され得る。しかし、患者は、いずれの再発または疾患症
候の長期基礎に対する断続的処置を必要とし得る。
【0108】
当業者が認識するように、上記の用量より低いまたは高い用量が必要とされる。あらゆ
る特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメは、種々の因子(使用される特定の
化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性、食事制限、投与時間、排泄率、薬物
の組合せ、疾患の重篤度および経過、および患者の疾患に対する素因、および処置する医
師の判断を含む)に依存する。
【0109】
本発明の化合物により治療または予防され得るIL−1またはアポトーシス媒介疾患に
は、炎症性疾患、自己免疫性疾患、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、および壊死性疾
患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
治療または予防され得る炎症性疾患には、骨関節炎、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、およ
び成人呼吸窮迫症候群が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、炎症性疾患
は、骨関節炎または急性膵炎である。
【0111】
治療または予防され得る自己免疫性疾患には、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性
エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、インスリン
依存性糖尿病(I型)、自己免疫性溶血貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、
慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、および移植片対宿主病
が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、自己免疫性疾患は、慢性関節リウ
マチ、炎症性腸疾患、クローン病、または乾癬である。
【0112】
治療または予防され得る破壊性骨障害には、骨粗鬆症、および多発性骨髄腫関連骨疾患
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
治療または予防され得る増殖性障害には、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移
性メラノーマ、カポジ肉腫、および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない

【0114】
治療または予防され得る感染性疾患には、敗血症、敗血症ショック、および細菌性赤痢
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本発明の化合物により治療または予防され得るIL−1媒介変性疾患またはIL−1媒
介壊死性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳性虚血、および心筋虚血が挙
げられるが、これらに限定されない。好ましくは、変性疾患は、アルツハイマー病である

【0116】
本発明の化合物により治療または予防され得るアポトーシス媒介変性疾患には、アルツ
ハイマー病、パーキンソン病、脳性虚血、心筋虚血、棘筋萎縮症、多発性硬化症、AID
S関連脳炎、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、および脳卒中による神経学的損傷が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明は、IL−1媒介疾患およびアポトーシス媒介疾患を予防し治療するために、本
明細書で開示の化合物の使用に焦点をあてているが、本発明の化合物はまた、他のシステ
インプロテアーゼのインヒビター剤として使用され得る。
【0118】
本発明の化合物はまた、ICEまたは他のシステインプロテアーゼに効果的に結合する
市販試薬として、有用である。市販試薬としては、本発明の化合物およびそれらの誘導体
は、生化学における標的ペプチドのタンパク質分解を阻止するたかまたはICEおよびI
CEホモログについての細胞アッセイのために使用され得るか、または誘導体化されて、
アフィニティークロマトグラフィー用の拘束基質として、安定な樹脂に結合され得る。市
販のシスチンプロテアーゼインヒビターを特徴づけるこれらの用途および他の用途は、当
業者に明らかである。
【0119】
本発明をさらに充分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示
の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈す
べきではない。
【実施例】
【0120】
実施例1
ICEの阻害
本発明のいくつかの化合物について、以下の3つの方法を用いて、阻害定数(K)お
よびIC50値を得た。
1. UV可視基質を用いた酵素アッセイ
このアッセイは、スクシニル−Tyr−Val−Ala−Asp−pニトロアニリド基
質を用いて行う。類似基質の合成は、L.A. Reiter (Int. J. Pe
ptide Protein Res. 43、87〜96 (1994))に記載され
ている。このアッセイ混合物は、以下を含有する:
65μlの緩衝液(10 mMトリス、1 mM DTT、 0.1% CHAPS
@pH 8.1)
10μlのICE (約1mOD/分の速度を得るための50 nMの最終濃度)
5μlのDMSO/インヒビター混合物
20μlの400μM基質(80 μMの最終濃度)
100μlの全反応容量
この可視ICEアッセイは、96ウェルのマイクロタイタープレートで行う。ここで挙
げた順序で、このウェルに、緩衝液、ICEおよびDMSO(もし、インヒビターが存在
しているなら)を添加する。これらの成分を、全ての成分が全てのウェルに存在する時点
から始めて15分間、室温でインキュベートしたままにする。このマイクロタイタープレ
ートの読みを、37℃でインキュベートするようにセットする。15分間のインキュベー
ション後、これらのウェルに基質を直接添加し、この反応を、37℃で20分間での40
5〜603 nmの発色団(pNA)の放出を追跡することによりモニターする。データ
の線形適合(linear fit)を行い、その速度をmOD/分で計算する。インヒ
ビターの関与する実験中には、DMSOだけが存在しており、他の実験では、100μl
の容量を補うために緩衝液を用いる。
【0121】
実施例2
以下のKi値を、化合物706、710、719、720、725〜727、729、
731、733、743、745、および747〜757について、実施例1に記載のア
ッセイを使用して、測定した。実施例2の化合物の構造を、以下の表および実施例3に示
す。
【0122】
【化32】

【0123】
【化33】

【0124】
【化34】


実施例3
実施例2の化合物を以下のように合成した:
【0125】
【化35】


N−ベンジルグリシンエチルエステル(701):無水EtOH(500 mL)中の
ベンズアルデヒド(14.0 g、0.132 mol)の溶液に、塩酸グリシンエチル
エステル(37.0 g、0.256 mol)、NaOAc(32.5 g、0.39
6 mol)、および水素化シアノホウ素ナトリウム(9.8 g、0.158 mol
)を添加し、そして得られた混合物を加熱して還流させた。還流での1時間後、反応物を
冷却し、そして真空下で濃縮した。残渣を1NNaOHおよびEtOAc中に取り上げた
。層を分離し、そして有機相を1NNaOH、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、
濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣をEtOAc(150 mL)中に取り上げ、そ
してHClガスで処理した。得られた固体を採集し、EtOで洗浄し、そして乾燥して
、23.4 gの化合物701をHCl塩として提供した。
【0126】
【化36】


((2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジル
アミノ)酢酸エチルエステル(702):−20℃のCHCl(20 mL)中のN
−Boc−バリン(2.18 g、10 mmol)およびDIEA(4.4 mL、2
5.3 mmol)の溶液に、トリメチルアセチルクロリド(1.2 mL、9.7 m
mol)を添加した。30分間撹拌した後、化合物701(2.18 g、10 mmo
l)を添加し、そして反応物を室温まで温め、そして5時間撹拌した。反応物を真空下で
濃縮し、そして残渣をEtOAcおよびHO中に取り上げた。層を分離し、そして有機
相を飽和水性NaHCO、飽和水性KHSO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥
し、濾過し、そして真空下で濃縮して、3.45 gの化合物702を提供した。
【0127】
【化37】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルアミノ酢酸エチルエ
ステル(703):0℃のEtOAc中の化合物702(3.45 g、8.8 mmo
l)の溶液に、HClガスを飽和するまで通気した。反応物を室温まで温め、そして3時
間撹拌した。窒素を反応物を通して通気して、過剰のHClを除去し、続いて真空下で濃
縮した。残渣をCHCl(50 mL)中に懸濁し、DIEA(3.4 mL、19
.5 mmol)、続いてベンゾイルクロリド(1.2 mL、10.3 mmol)で
処理し、そして反応物を一晩撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、そして残渣をEtOA
cおよびHO中に取り上げた。層を分離し、そして有機相を飽和水性NaHCO、飽
和水性KHSO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃
縮して、3.45 gの化合物703を提供した。
【0128】
【化38】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルアミノ)酢酸(70
4):MeOH(9mL)中の化合物703(3.45 g、8.8 mmol)の溶液
に1NLiOH(9mL)を添加し、そしてこの反応物を一晩撹拌した。反応物を真空下
で濃縮し、そして残渣をEtOAcおよびHO中に取り上げた。層を分離し、そして水
相を1NHClで酸性化した。生成物をEtOAcで抽出した(2×)。抽出物を合わせ
、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して、3.0
gの化合物704を提供した。
【0129】
【化39】


3(S)−(2−(2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルアミ
ノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾン(7
05):アセトニトリル(5.0 mL)中の3(S)−(1−フルオレニルメチルオキ
シカルボニルアミノ)−4−オキソ酪酸tert−ブチルエステルセミカルバゾン(67
8 mg、1.5 mmol;Graybillら, Int. J. Protein
Res., 44, 173−82頁 (1994)におけるベンジルオキシカルボニ
ルアナログと同様に調製した)にジエチルアミン(780μL、7.5 mmol)を添
加し、そして反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、そして残渣を真
空下でトルエンと共濃縮した(3×)。残渣の懸濁物(0℃の1:1のCHCl:D
MF(10 mL)中の化合物704(555 mg、1.5 mmol)およびHOB
T(224 mg、1.66 mmol))にEDC(318 mg、1.66 mmo
l)を添加した。反応物を室温まで温め、そして一晩撹拌した。反応物をEtOAcおよ
びHOで希釈した。層を分離し、そして有機相を飽和水性NaHCO、飽和水性KH
SO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。シ
リカゲルでの残渣のクロマトグラフィー(2〜6%MeOH:CHClでの溶出)は
、600 mgの化合物705を提供した。
【0130】
【化40】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルア
ミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(706):CHCl(10 mL)中
の化合物705(600 mg、1.04 mmol)の懸濁物にTFA(4.0 mL
)を添加し、そして反応物を4時間撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、そして残渣をト
ルエンと共濃縮した(3×)。残渣をMeOH(10 mL)中に溶解し、そしてHOA
c(2.0 mL)、続いてホルムアルデヒド(2.0 mL)で処理した。3時間室温
で撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。調製用HPLCは、89 mgの化合物70
6を提供した:
【0131】
【化41】


3(S)−(アリルオキシカルボニル)−アミノ−4−((2,6−ジクロロ−フェニ
ル)−オキサゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(7
07)。THF(65 mL)中の5−(2,6−ジクロロ−フェニル)オキサゾール(
2.71 g、12.7 mmol;Tet. Lett. 2369 (1972)に
記載の類似の方法により調製した)の溶液を−78℃に窒素雰囲気下で冷却した。この溶
液にn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.5 M溶液、8.5 mL、13.3 mmo
l)を添加した。30分後、マグネシウムブロミドエーテレート(3.6 g、13.9
mmol)を添加し、そしてこの溶液を−45℃まで15分間温めた。反応物を−78
℃まで冷却し、そしてTHF(65 mL)中の3(S)−(1−アリルオキシカルボニ
ルアミノ)−4−オキソ酪酸tert−ブチルエステル(3.26 g、12.7 mm
ol;Graybillら、Int. J. Protein Res., 44, 1
73−182 (1993))を滴下した。反応物を25分間撹拌し、次いで−40℃ま
で温め、そして3時間、次いで室温で1時間撹拌した。反応を5%NaHCO(12
mL)でクエンチし、そして3時間撹拌した。THFを真空下で除去し、そして得られた
残渣をCHClで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥し
、濾過し、そして真空下で濃縮すると、6.14 gを生じた。精製により、4.79
gの化合物707を得た。
【0132】
【化42】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルア
ミノ)アセチルアミノ)−4−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−オキサゾール−2
−イル)−4−ヒドロキシ酪酸tert−ブチルエステル(708):1:1のCH
:DMF(8.0 mL)中の化合物704(318 mg、0.86 mmol)
および化合物707(370 mg、0.78 mmol)の懸濁物にビス(トリフェニ
ルホスフィン)パラジウムジクロリド(10 mg)を添加し、続いて水素化トリ−n−
ブチルスズ(320μL、1.19 mmol)を滴下した。添加が完了した後、HOB
T(212 mg、1.57 mmol)を添加し、そして反応物を0℃まで冷却した。
EDC(180 mg、0.94 mmol)を添加し、そして反応物を室温まで温め、
そして一晩撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、そして残渣をEtOAcおよび飽和水性
KHSO中に取り上げた。層を分離し、そして有機相を飽和水性KCO、ブライン
で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。シリカゲルでのクロ
マトグラフィー(2%MeOH:CHCl)は、150 mgの化合物708を提供
した。
【0133】
【化43】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルア
ミノ)アセチルアミノ)−4−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−オキサゾール−2
−イル)−4−オキソ酪酸tert−ブチルエステル(709):CHCl(4.0
mL)中のDessmarten(259 mg、0.61 mmol)の懸濁物に、
CHCl(2.0 mL)中の化合物708(150 mg、0.20 mmol)
の溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。残渣をEtO
Ac中に溶解し、そして1:1の飽和水性Na:飽和水性NaHCO、飽和
水性NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃
縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(2〜5%MeOH:CHClでの溶出
)は、74 mgの化合物709を提供した。
【0134】
【化44】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルア
ミノ)アセチルアミノ−4−(4−(2,6−ジクロロフェニル)−オキサゾール−2−
イル)−4−オキソ酪酸(710):CHCl(4.0 mL)中の化合物709の
溶液に、TFA(2.0 mL)を添加し、そして反応物を室温で1時間撹拌した。反応
物を真空下で濃縮し、そして残渣をトルエンと共濃縮した。調製用HPLCは、35 m
gの化合物710を提供した:
【0135】
【化45】


2−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロフェノール(711):0℃のHO(100
mL)およびEtO(300 mL)中の2−クロロ−4−フルオロフェノール(2
5 g、0.171 mol)の混合物に、濃硝酸(25 mL)を滴下した。添加が完
了した後、反応物を室温まで温め、そして3時間撹拌した。層を分離し、そして有機相を
1:1のブライン:HO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真
空下でスラリーになるまで濃縮した。スラリーをヘキサンで希釈し、そして黄色固体を採
集し、そして乾燥して、23.6 gの化合物711を提供した。
【0136】
【化46】


2−クロロ−4−フルオロ−6−アミノフェノール塩酸塩(712):無水EtOH(
120 mL)中の化合物711(23.4 g、0.122 mol)および酸化白金
(2.3 g)の混合物を1気圧の水素下に置き、そして完全な還元が生じるまで撹拌し
た。水素を窒素に置換し、そして反応物をCeliteを通して濾過した。濾液をEt
O(300 mL)で希釈し、そして塩酸ガスを溶液に通して通気すると、白色沈澱を生
じた。固体を採集し、そして真空下で乾燥して、17.1 gの化合物712を白色固体
として提供した。
【0137】
【化47】


6−クロロ−4−フルオロベンズオキサゾール(713):無水MeOH(90 mL
)中の化合物712(17.0 g、86.3 mmol)およびオルトギ酸トリメチル
(18.9 mL、0.173 mol)の混合物を加熱して、還流させ、それに際して
溶液を形成させた。還流での24時間の撹拌後、反応物を冷却し、そして濃縮すると、オ
レンジ色の固体を生じた。この固体をEtO中に溶解し、1NNaOH、ブラインで洗
浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、黄橙色固体を生じた。熱水性EtOH
からの迅速な冷却を伴う再結晶化および濾過は、10.0 gの化合物713を白色針状
物として提供した。水性EtOH中での長すぎる(prolong)放置は、化合物71
3の分解を引き起こすことに留意のこと。
【0138】
【化48】


3(S)−(アリルオキシカルボニル)−アミノ−4−(6−クロロ−4−フルオロベ
ンズオキサゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(71
4)。−78℃のTHF(24 mL)中の化合物713(2.06 g、12.0 m
mol)の溶液にブチルリチウム(ヘキサン中1.6 M、7.0 mL、12.1 m
mol)を滴下し、そして反応物を1時間撹拌した。反応物を臭化マグネシウムの溶液(
ベンゼン:EtO 1:4中1M、13.2 mL)で処理し、そして反応物を−40
℃に温めた。1時間撹拌した後、反応物を−78℃に冷却し、そしてTHF(12 mL
)中の3(S)−(1−アリルオキシカルボニルアミノ)−4−オキソ酪酸tert−ブ
チルエステル(2.57 g、10 mmol)の溶液で処理した。反応物をゆっくりと
室温まで温め、そして一晩撹拌した。反応物を飽和水性NHClでクエンチし、EtO
Acで希釈し、そして水相を明澄にするに十分なHOを添加した。層を分離し、そして
有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。シ
リカゲルでの残渣のクロマトグラフィー(15〜45%EtOAc:ヘキサンでの溶出)
は、2.0 gの化合物714を提供した。
【0139】
【化49】


2,4−ジフルオロ−6−アミノフェノール塩酸塩(715):無水MeOH(120
mL)中の2,4−ジフルオロ−6−ニトロフェノール(28.4 g、0.162
mol;2−クロロ−4−フルオロフェノールを2,4−ジフルオロフェノールで置換し
た以外は、711と同様の方法により調製した)および炭素上の10%パラジウム(3.
5 g)の混合物を1気圧のH下に置き、そして完全な還元が生じるまで撹拌した。H
を窒素に置換し、そして反応物をCeliteを通して濾過した。塩酸ガスを濾液に通
して通気して、得られた溶液を濃縮した。残渣をHO中に取り上げ、EtOで洗浄し
(2×)、固体NaHCOで中和し、そして生成物をEtOで抽出した。抽出物を合
わせ、MgSOで乾燥し、そして濾過した。濾液をHClガスで処理し、そして得られ
た沈澱を採集し、そして真空下で乾燥して、12.9 gの化合物715をベージュ色固
体として提供した。
【0140】
【化50】


4,6−ジフルオロベンズオキサゾール(716):無水MeOH(90 mL)中の
化合物715(12.8 g、70.7 mmol)およびオルトギ酸トリメチル(23
mL、0.212 mol)の混合物を加熱して、還流させ、それに際して溶液が形成
された。還流での24時間の撹拌後、反応物を冷却し、そして濃縮した。残渣をEt
中に溶解し、1N水酸化ナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、
そして濃縮した。減圧下での蒸留により、5.0 gの化合物716を透明な液体(これ
は放置に際して固化した)として得た。
【0141】
【化51】


3(S)−(アリルオキシカルボニル)−アミノ−4−(4,6−ジフルオロベンズオ
キサゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(717)。
化合物713を化合物716で置換した以外、化合物717を、化合物714について記
載したように調製した。
【0142】
【化52】


3(S)−(アリルオキシカルボニル)−アミノ−4−(4,6−ジクロロベンズオキ
サゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(718)。化
合物711を2,4−ジクロロ−6−ニトロフェノールで置換した以外、化合物718を
、化合物714について使用した方法と同様の方法により調製した。
【0143】
【化53】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジル−
アミノ)アセチルアミノ)−4−(6−クロロ−4−フルオロベンズオキサゾール−2−
イル)−4−オキソ酪酸(719):708の調製において化合物707を化合物714
化合物で置換した以外、719を、化合物710を調製するために使用した方法と同様の
方法により調製した:
【0144】
【化54】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−3−ピコ
リルアミノ)アセチル−アミノ)−4−(4,6−ジクロロベンズオキサゾール−2−イ
ル)−4−オキソ酪酸(720):701の調製においてベンズアルデヒドを3−ピリジ
ンカルボキシアルデヒドで置換し、そして708の調製において化合物707を化合物7
18で置換した以外、化合物720を化合物710を調製するために使用した方法と同様
の方法により調製した:
【0145】
【化55】


N−インダン−2−イルグリシンt−ブチルエステル(721):無水EtOH(30
mL)中の2−アミノインダン塩酸塩(5.0 g、29.5 mmol)および粉末
CO(8.3 g、60.0 mmol)の懸濁物に、ブロモ酢酸tert−ブチ
ル(4.4 mL、29.5 mmol)を添加した。10分間室温で撹拌した後、反応
物を45℃まで加熱し、そして2時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、EtOAcで
希釈し、濾過し、そして濃縮した。シリカゲルでの残渣のクロマトグラフィー(20%E
tOAc:ヘキサンでの溶出)は、4.7 gの化合物721を白色結晶性固体として提
供した。
【0146】
【化56】


((2(S)−フルオレニルメチルオキシカルボニルアミノ−3−メチルブチリル)イ
ンダン−2−イルアミノ)酢酸t−ブチルエステル(722):DMF(100μ)を含
有するCHCl(50 mL)中のN−Fmoc−バリン(9.08 g、26.8
mmol)の部分溶液にオキサリルクロリド(3.5 mL、40.2 mmol)を
ゆっくり添加し、それに際してガスの発生が生じ、そして黄色溶液が形成された。30分
間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。残渣をCHCl(25 mL)中に溶解
し、そしてDIEA(2.3 mL、13.4 mmol)、続いてCHCl中の化
合物721(3.31 g、13.4 mmol)の溶液で処理した。一晩撹拌した後、
反応物をEtOAcで希釈し、5%NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥
し、濾過し、そして真空下で濃縮した。シリカゲルでの残渣のクロマトグラフィー(10
〜20%EtOAc:ヘキサンでの溶出)は、7.2 gの化合物722を提供した。
【0147】
【化57】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)インダン−2−イルアミノ)
酢酸t−ブチルエステル(723):CHCN(6.0 mL)中の化合物722(5
00 mg、0.88 mmol)の溶液にジエチルアミン(455μ、4.4 mmo
l)を添加し、そして反応物を2時間撹拌した。反応物を濃縮し、そして残渣をトルエン
と共濃縮して(2×)、粘性油を提供した。残渣をDMF(2mL)を含有するCH
(5mL)中に溶解し、安息香酸(161 mg、1.32 mmol)、続いてE
DC(252 mg、1.32 mmol)で処理し、そして反応物を一晩撹拌した。反
応物をEtOAcで希釈し、そしてHOで洗浄した。水層をEtOAcで再抽出した。
抽出物を合わせ、5%KHSOで洗浄し、濾過し、そして真空下で濃縮した。シリカゲ
ルでの残渣のクロマトグラフィー(10%EtOAc:ヘキサンで溶出)は、240 m
gの化合物723を提供した。
【0148】
【化58】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)インダン−2−イルアミノ)
酢酸(24):CHCl(4.0 mL)中の化合物723(240 mg、0.5
3 mmol)の溶液にTFA(2.0 mL)を添加し、そして反応物を室温で1時間
撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、そして残渣をトルエンと共濃縮した。この物質を、
直接、次の反応において、さらなる精製なしに使用した。
【0149】
【化59】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)インダン−
2−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4,6−ジクロロベンズオキサゾール−2−
イル)−4−オキソ酪酸(725):化合物708の調製において化合物704を化合物
724で置換し、そして化合物707を化合物718で置換した以外、化合物725を、
化合物710を調製するために使用した方法と同様の方法により調製した:
【0150】
【化60】


3(S)−(2−(2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)インダン−2
−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4,6−ジフルオロベンズオキサゾール−2−
イル)−4−オキソ酪酸(726):化合物708の調製において化合物704を化合物
724で置換し、そして化合物707を化合物717で置換した以外、化合物726を、
化合物710を調製するために使用した方法と同様の方法により調製した:
【0151】
【化61】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)インダン−
2−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4−(3,5−ジクロロフェニル)オキサゾ
ール−2−イル)−4−オキソ酪酸(727):化合物708の調製において化合物70
4を化合物724で置換した以外、化合物727を、化合物710を調製するために使用
した方法と同様の方法により調製した:
【0152】
【化62】


((2(S)−ベンゾ(1,3)ジオキソール−5−カルボニルアミノ−3−メチルブ
チリル)インダン−2−イルアミノ)酢酸(728):化合物723の調製において安息
香酸をピペロニル酸で置換した以外、化合物728を、化合物724を調製するために使
用した方法と同様の方法により調製した。
【0153】
【化63】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾ(1,3)ジオキソール−5−カルボニル)ア
ミノ)−3−メチルブチリル)インダン−2−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4
−(3,5−ジクロロフェニル)オキサゾール−2−イル)−4−オキソ酪酸(729)
:化合物708の調製において化合物704を化合物728で置換した以外、化合物72
9を、化合物710を調製するために使用した方法と同様の方法により調製した:
【0154】
【化64】


((2(S)−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルアミノ)−3−メチルブチリル
)インダン−2−イルアミノ)酢酸(730):化合物723の調製において安息香酸を
3,4,5−トリメチル安息香酸で置換した以外、化合物730を、化合物724を調製
するために使用した方法と同様の方法により調製した。
【0155】
【化65】


3−(S)−(2−((2(S)−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルアミノ)−
3−メチルブチリル)インダン−2−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4−(3,
5−ジクロロフェニル)オキサゾール−2−イル)−4−オキソ酪酸(731):化合物
708の調製において化合物704を化合物730で置換した以外、化合物731を、化
合物710を調製するために使用した方法と同様の方法により調製した:
【0156】
【化66】


((2(S)−(3,4,5−トリメトキシベンゾイルアミノ)−3−メチルブチリル
)インダン−2−イルアミノ)酢酸(732):化合物723の調製において安息香酸を
4−クロロ安息香酸で置換した以外、化合物732を、化合物724を調製するために使
用した方法と同様の方法により調製した。
【0157】
【化67】


3(S)−(2−((2(S)−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−メチルブチリ
ル)インダン−2−イルアミノ)アセチルアミノ)−4−(4−(3,5−ジクロロフェ
ニル)オキサゾール−2−イル)−4−オキソ酪酸(733):化合物708の調製にお
いて化合物704を化合物732で置換した以外、化合物33を、化合物710を調製す
るために使用した方法と同様の方法により調製した:
【0158】
【化68】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−ニトロベンジル)ア
ミノ)酢酸エチルエステル(734):化合物701の調製においてベンズアルデヒドを
3−ニトロベンズアルデヒドで置換した以外、化合物734を、化合物703を調製する
ために使用した方法と同様の方法により調製した。
【0159】
【化69】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−アミノベンジル)ア
ミノ)酢酸エチルエステル(735):MeOH(35 mL)中の化合物734(1.
5 g、3.4 mmol)および10%Pd/C(150 mg)の混合物を、H
1気圧)下に置き、そして還元が完了するまで撹拌した。Hを窒素で置換し、そして反
応物を濾過した。濾液を濃縮して、1.38 gの化合物735を提供した。
【0160】
【化70】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−Bocアミノベンジ
ル)アミノ)酢酸エチルエステル(703):触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジン
を含有するCHCl(7.0 mL)中の化合物735(1.45 g、3.5 m
mol)およびDIEA(740μl、4.25 mmol)の溶液にジ−tert−ブ
チルジカーボネート(850 mg、3.9 mmol)を添加した。1時間後、反応物
をEtOAcで希釈し、HO、飽和水性KHSO、ブラインで洗浄し、MgSO
乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して、1.78 gの化合物736を提供した。
【0161】
【化71】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル))−(3−
アミノベンジル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(737):化合物70
3を化合物736で置換した以外、化合物737を、化合物706を調製するために使用
した方法と同様の方法により調製した。
【0162】
【化72】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−グアニジオンベンジ
ル)アミノ)酢酸エチルエステル(738):化合物738を、化合物742を調製する
ために使用した方法と同様の方法により調製した。
【0163】
【化73】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−グ
アニジオンベンジル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(739):化合物
703を化合物738で置換した以外、化合物739を、化合物706を調製するために
使用した方法と同様の方法により調製した。
【0164】
【化74】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−ウレイドベンジル)
アミノ)酢酸エチルエステル(740):化合物740を、化合物742を調製するため
に使用した方法と同様の方法により調製した。
【0165】
【化75】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−ウ
レイドベンジル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(741):化合物70
3を化合物740で置換した以外、化合物741を、化合物706を調製するために使用
した方法と同様の方法により調製した。
【0166】
【化76】


(3−アセチルアミノベンジル−(2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル
)−アミノ)酢酸エチルエステル(742):ピリジン(3.0 ml)中の735(4
35.0 mg、1.06 mmol)の溶液に無水酢酸(50μL、1.59 mmo
l)を添加し、そして反応物を一晩撹拌した。反応物をEtOAcおよび1NHClで希
釈した。層を分離し、そして有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、
そして乾燥するまで濃縮して、480 mgの742を提供した。
【0167】
【化77】


3(S)−(2−((3−アセチルアミノベンジル)−(2(S)−ベンゾイルアミノ
−3−メチルブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(743):化合
物703を化合物742で置換した以外、化合物743を、化合物706を調製するため
に使用した方法と同様の方法により調製した。
【0168】
【化78】


((2(S)−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)−(3−メタンスルホニルベ
ンジル)アミノ)酢酸エチルエステル(744):ピリジン(3.0 mL)中の735
(476.0 mg、1.16 mmol)の溶液にメタンスルホニルクロリド(135
μL、1.75 mmol)を添加し、そして反応物を一晩撹拌した。反応物をEtOA
cおよび1NHClで希釈した。層を分離し、そして有機相をブラインで洗浄し、MgS
で乾燥し、濾過し、そして濃縮して、550 mgの744を提供した。
【0169】
【化79】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノメチルブチリル)−(3−メタンス
ルホニルベンジル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(745):化合物7
03を化合物744で置換した以外、化合物745を、化合物706を調製するために使
用した方法と同様の方法により調製した。
【0170】
【化80】

【0171】
【化81】


工程A.401 a/bの合成。TentaGel S(登録商標)NH樹脂(NH
)(0.16 mmol/g、10.0 g)を焼結ガラスロートに入れ、そしてDM
F(3×50 mL)、DMF中の10%(v/v)DIEA(2×50 mL)、およ
び最後にDMF(4×50 mL)で洗浄した。十分なDMFを樹脂に添加して、スラリ
ーを得、続いて以下を添加した:713a(1.42 g、2.4 mmol、(3S)
3−(フルオレニルメチルオキシカルボニル)−4−オキソ酪酸t−ブチルエステルから
A.M. Murphyら、J. Am. Chem. Soc., 114, 315
6−3157 (1992)に従って調製した)または713b(1.42 g、2.4
mmol、(3R)3−(フルオレニルメチルオキシカルボニル)−4−オキソオキソ
ペンタン酸t−ブチルエステルからA.M. Murphyら、J. Am. Chem
. Soc., 114, 3156−3157 (1992)に従って調製した)、H
OBT(HOBT・HO;0.367 g 2.4 mmol)、O−ベンゾトリアゾ
ール−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBT
U;0.91 g 2.4 mmol)、およびDIEA(0.55 mL、3.2 m
mol)。反応混合物をリストアームシェーカー(wrist arm shaker)
を使用して室温で一晩激しく撹拌した。樹脂を吸引濾過により焼結ガラスロート上に単離
し、そしてDMFで洗浄した(3×50 mL)。次いで、未反応アミン基を、樹脂を2
0%(v/v)無水酢酸/DMF(2×25 mL)と直接ロート中で(10分間/洗浄
)反応させることによりキャップした。一晩真空下で乾燥する前に、樹脂をDMF(3×
50 mL)およびCHCl(3×50 mL)で洗浄した。
【0172】
工程B。方法1:761a/bおよび762aの合成。樹脂761aおよび762aを
、それぞれ、樹脂401a(0.24 g、0.038 mmol)およびFmoc−バ
リンまたはFmoc−t−ロイシンから調製し、一方、樹脂761bを樹脂401bおよ
びFmoc−バリンからAdvanced ChemTech 396 Multipl
e Peptide synthesizerを使用して調製した。自動化サイクルは、
DMFでの樹脂洗浄(3×1mL)、3分間DMF(1mL)中の25%(v/v)ピペ
リジン、続いて10分間新鮮な試薬(1mL)での脱保護からなった。樹脂をDMF(3
×1mL)およびN−メチルピロリドン(methypyrrolidone)(3×1
mL)で洗浄した。次いで、樹脂をN−メチルピロリドン中の0.4M Fmoc−1−
バリンまたはFmoc−t−ロイシンのいずれかと0.4M HOBTとの溶液(1mL
)、N−メチルピロリドン中の0.4M HBTUの溶液(0.5 mL)、およびN−
メチルピロリドン中の1.6M DIEAの溶液(0.35 mL)でアシル化し、そし
て反応物を2時間室温で振とうした。アシル化工程を反復した。最後に、樹脂をDMFで
洗浄した(3×1mL)。
【0173】
工程C。方法1。747、748、752、753、および755の合成。適切なカル
ボン酸(0.4 M HOBt/NMP中0.4 M)を工程Bに記載のように樹脂にカ
ップリングした。アルデヒドを樹脂から分離(cleave)し、そして95%TFA/
5%HO(v/v、1.5 mL)での30分間室温での処理により全体的に脱保護し
た。樹脂を分離試薬(cleavage reagent)(1mL)で洗浄した後、合
わせた濾液を冷1:1EtO:ペンタン(12 mL)に添加し、そして生じた沈澱を
遠心分離およびデカンテーションにより単離した。生じたペレットを10%CHCH/
90%HO/0.1%TFA(15 mL)中に溶解し、そして凍結乾燥して、粗生成
物を白色粉末として得た。この化合物をRainin MicrosorbTM C18
カラム(5μ、21.4×250 mm)を有する半調製用RP−HPLCにより、0.
1%TFA(v/v)を含有する直線CHCN勾配(10%〜60%)で45分間にわ
たって12 mL/分で溶出して、精製した。所望の生成物を含有する画分をプールし、
そして凍結乾燥した。
【0174】
工程C。方法1A。751の合成。方法1と同様の手順により、樹脂761aを4−(
1−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)安息香酸でアシル化し、そして繰り返した
。Fmoc基を工程Cに記載のように除去し、そして遊離アミンをDMF中の20%(v
/v)無水酢酸(1mL)およびN−メチルピロリドン中の1.6M DIEA(0.3
5 mL)で2時間室温でアセチル化した。アセチル化工程を繰り返した。アルデヒドの
樹脂からの分離は751を与えた。
【0175】
分析用HPLC方法:
(1) Waters DeltaPak C18, 300A(5μ、3.9×150
mm)。14分間にわたる1mL/分での、0.1%TFAを含有する直線CHCN
勾配(10%〜60%)。
【0176】
化合物746〜755を以下の組み合わせの方法から調製した。
【0177】
【化82】


3(S)−(2−((2(S)−ベンゾイルアミノ−3,3−ジメチルブチリル)ベン
ジルアミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(746):白色固体として0.7
mg(4%):Rt(1)=11.14分(87%);(M+H)+=482(C26
31は481.6を要求する)。
【0178】
【化83】


3(S)−(2(S)−(ベンジル−(2−((イソキノリン−1−カルボニル)アミ
ノ)−3,3−ジメチルブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(74
7):白色固体として2.0 mg(8%);Rt(1)=12.27分(98%);(
M+H)+=533(C2932は532.6を要求する)。
【0179】
【化84】


3(S)−(2(S)−(ベンジル−(2−((イソキノリン−1−カルボニル)アミ
ノ)−3−メチルブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(748):
白色固体として9.2 mg(38%);Rt(1)=11.05分(98%);(M+
H)+=519(C2830は518.6を要求する)。
【0180】
【化85】


3(S)−(2(S)−(ベンジル−(2−((ナフタレン−1−カルボニル)アミノ
)−3−メチルブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(749):白
色固体として7.9 mg(40%);Rt(1)=11.78分(98%);(M+H
)+=518(C2931は517.6を要求する)。
【0181】
【化86】


3(S)−(2−((2(S)−(4−クロロベンゾイル)アミノ)−3−メチルブチ
リル)ベンジルアミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(750):白色固体とし
て5.9 mg(31%);Rt(1)=11.63分(98%);(M+H)+=50
2(C2528は501.5を要求する)。
【0182】
【化87】


3(S)−(2−((2(S)−(4−アセチルアミノベンゾイル)アミノ)−3−メ
チルブチリル)ベンジルアミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(751):白色
固体として3.8 mg(19%);Rt(1)=8.50分(98%);(M+H)+
=525(C2732は524.6を要求する)。
【0183】
【化88】


3(S)−(2(S)−ベンジル(3−メチル−2−(2−オキソ−2−(3,4,5
−トリメトキシアセチルアミノ)ブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪
酸(752):白色固体として5.0 mg(22%);Rt(1)=11.09分(9
7%);(M+Na)+=608(C293510は585.6を要求する)。
【0184】
【化89】


3(S)−(2(S)−(ベンジル(3−メチル−2−(2−オキソ−2−フェニルア
セチルアミノ)ブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪酸(753):白
色固体として3.0 mg(16%);Rt(1)=11.02分(96%);(M+N
a)+=518(C2629は495.5を要求する)。
【0185】
【化90】


4(R)−(2(S)−((2−ベンゾイルアミノ−3−メチルブチリル)ベンジルア
ミノ)アセチルアミノ)−5−オキソペンタン酸(754):白色固体として3.5 m
g(19%);Rt(1)=9.56分(94%);(M+H)+=482(C26
は481.6を要求する)。
【0186】
【化91】


4(R)−(2(S)−(ベンジル−(2−((イソキノリン−1−カルボニル)アミ
ノ)−3−メチルブチリル)アミノ)アセチルアミノ)−5−オキソペンタン酸(755
):白色固体として6.0 mg(24%);Rt(1)=10.53分(93%);(
M+H)+=533(C2932は532.6を要求する)。
【0187】
【化92】


3(S)−(2−((2(S)−(ベンゾイル)アミノ−3−メチルブチリル)−(1
,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ−酪
酸(756):2−アミノインダンを2−アミノイソインドリン(Eloy, F.,
Moussebois, C., Bull. Soc. Chim. Belg.
68,409−421頁 (1959)に記載のように調製した)で置換した以外、化合
物756を、化合物724および化合物706を調製するために使用した方法と同様の方
法により調製した。
【0188】
【化93】


3(S)−(2−((2(S)−(ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチルブチ
リル)−インダン−2−イル)アミノ)アセチルアミノ)−4−オキソ酪酸(757):
これを((2(S)−(ベンジルオキシカルボニル−3−メチルブチリル)インダン−2
−イル)アミノ)酢酸から、706の調製と同様の方法により調製した:
【0189】
【化94】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式により表される化合物:
【化1】


ここで:
mは2であり;
nは1であり;
は、−C(O)−Hであり;
は、−H、または−C1−6直鎖または分岐アルキル基であり;
は−CHArまたは以下であり;
【化5】



EはCHまたはNであり;
各Dは、独立して、NまたはCであり、ここでCは必要に応じて、−OR14、−F、
−Cl、−Br、−I、−NO、−S(O)−N(R)(R10)、−C(O)−
N(R)(R10)、−N(H)−C(O)−N(R)(R10)、−N(R)(
10)、−C(O)−OR、−CF、−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキ
ル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、または−N(H)C(NR)N(R)(
10)で置換されており;
は、必要に応じてArで置換されたC1−5直鎖または分岐アルキル基であり;
は−C(O)−Rまたは−C(O)C(O)−Rであり;
は、−Ar、必要に応じて−Arで置換された−C1−6直鎖または分岐アルキル
基、必要に応じてArで置換された−C1−6直鎖または分岐アルケニル基、および必要
に応じてArで置換された−C2−6直鎖または分岐アルキニル基を含む群から選択され

各RおよびR10は、独立して、−H、−Ar、および必要に応じて−Arで置換さ
れた−C1−5直鎖または分岐アルキル基からなる群から選択され
各Arは、独立して、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アズレニ
ル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択される環式基、および2−フ
リル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピ
リジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラキソリル、2−ピラ
ゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソトリアゾリル、1,2,3−オキサジ
アゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピ
リミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、イン
ドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[
b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、
ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テト
ラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニ
ル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジ
ニル、ペリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、お
よびフェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環式芳香族基であり、そして該芳
香族基は、必要に応じて−F、−Cl、−Br、−I、−OR14、−NO、−S(O
−N(R)(R10)、−C(O)−N(R)(R10)、−N(H)−C(O
)−N(R)(R10)、−N(R)(R10)、−C(O)−OR、−CF
−OCF、C1−6直鎖または分岐アルキル基、1,2−メチレンジオキシ、−CN、
または−N(H)C(NR)N(R)(R10)で単一または複数置換されており;
但し、−Arが一つ以上のさらなる−Ar基を含むRまたはR10を含む基で置換さ
れる場合、−Ar基はRまたはR10を含む基で置換されず、
各R14は、−HまたはC1−6直鎖または分岐アルキル基である、
化合物。
【請求項2】
【化754】


からなる群より選択される化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物の、以下からなる群より選択される疾患の処置または余殃のための医薬の製造における使用:
IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症性疾患、自己
免疫性疾患、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、壊死性疾患、骨関節炎、膵炎、喘息、
成人性呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮
症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、インスリン依存性糖尿病(I型)、
自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋
無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、骨粗鬆症、多発性骨髄腫関
連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発
性骨髄腫、敗血症、敗血症ショック、細菌性赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、
脳性虚血、心筋虚血、脊椎筋萎縮症、多発性硬化症、AIDS関連脳炎、HIV関連脳炎
、老化、脱毛症、および脳卒中による神経学的損傷。

【公開番号】特開2008−101008(P2008−101008A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292640(P2007−292640)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2003−408331(P2003−408331)の分割
【原出願日】平成8年12月20日(1996.12.20)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】